説明

バックスピントイ

【課題】 従来のフライホイール内蔵の走行玩具は、発進台から前進方向へ発射させることしかできず、変化に富んだ遊戯を実現できなかった。
【解決手段】 走行体に回転自在に軸支されたフライホイールを逆回転付勢させ、発進台より前進方向へ高加速度で急発進された走行体が、前進付勢力限界時点において、フライホイールの逆転付勢力でフライホイールがバックスピンし、走行体が発進台方向へ逆走行するように構成し、また、シャフトとピニオンがフライホイールに一体的に固定されており、該ピニオンに当接されたラックベルトを一気に引き出すことにより、走行体に回転自在に軸支されたフライホイールを回転付勢させるようにされており、ラックベルトの差し位置により回転方向を前進、または後退方向に変更することを可能に構成し、且つ、走行体のバンパーにマグネットが収納されており、ターゲット内に収納された磁性体を吸着したのち、発進台方向へ逆走行するように構成したことにより、変化に富んだ遊戯を実現できるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転自在に軸支されたフライホイールを収納する走行体であって、特に、走行体に回転自在に軸支されたフライホイールを逆回転付勢させ、発進台より前進方向へ高加速度で急発進された走行体が、前進付勢力限界時点において、フライホイールの逆転付勢力でフライホイールがバックスピンし、走行体が発進台方向へ逆走行するように構成されたバックスピントイである。
【背景技術】
【0002】
従来、発進台から走行体を発進させる玩具やフライホイールの回転力を駆動輪に伝達するもの、あるいはフライホイール自体を駆動輪として利用する玩具が開発されている。
【0003】
例えば、実開昭52−9586号公報では、スタート台に載置した車輪走行体のフライホイールに回転力を付与し、この回転力を車輪に付与するものが開示されている。
【0004】
また、特開昭62−298389号公報では、玩具自動車の駆動輪に連結したフライホイール式駆動機構に回転力を付勢させ、発進台から玩具自動車を発進させる発進装置に関するものが開示されている。
【0005】
また、実公平8−5758号公報では、走行玩具発射装置に載置された走行玩具のフライホイールを回転させて走行玩具を発射するものが開示されている。
【先行技術文献】
【0006】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 実開昭52−9586号公報
【特許文献2】 特開昭62−298389号公報
【特許文献3】 実公平8−5758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記せる先行技術文献の実開昭52−9586号公報は、傾料走行面を滑り下りる車輪走行体に車輪に慣性回転力を付与するフライホイールを設け、車輪走行体をより遠くまで走行させることを目的としたものであるが、車輪走行体がバックスピンする動きのあるものではなかった。
【0009】
また、前記せる先行技術文献の特開昭62−298389号公報は、玩具自動車の駆動輪に連結したフライホイール式駆動機構に回転力を畜勢させた後に、発進機構を動作させることで、駆動機構から放勢される回転力による駆動輪の駆動によって玩具自動車を発進させ、玩具自動車の速度が急激に低下しないようにしたものであるが、玩具自動車がバックスピンする動きのあるものではなかった。
【0010】
また、前記せる先行技術文献の実公平8−5758号公報は、フライホイール自体が駆動輪となり、高い初速度と安定した発進ができるものであるが、フライホイール自体がバックスピンする動きのあるものではなかった。
【0011】
前記せる引用文献はいずれもフライホイールの駆動力を利用して高い初速度で発進させ、より遠くまで走行させるものであったが、本発明のバックスピントイは、ひとたび高加速度で発進した走行体2が一定距離を走行後に急激にバックスピンして元の発進台1の方向に逆走行するように構成されており、スピード感のみならず思いもよらない動きをするので、走行体2をターゲット8に当てたり、バックスピンしてきた走行体2を元の発進台1で受け止めたり、または走行体2のバンパー21に収納されたマグネット22がターゲット8に収納された磁性体81を吸着して、ターゲット8が走行体2と共に発進台1の方向に逆走行して移動するように構成されており、使用する者にとって極めて変化に富んだ遊技を実現できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは前記せる課題を解決するために鋭意研究を重ね、本発明を完成させたものであり、走行体2に回転自在に軸支されたフライホイール3を逆回転付勢させ、発進台1より前進方向へ高加速度で急発進された走行体2が、前進付勢力限界時点において、フライホイール3の逆転付勢力でフライホイール3がバックスピンし、走行体2が発進台1方向へ逆走行するように構成し、シャフト31とピニオン32がフライホイール3に一体的に固定されており、該ピニオン32に当接されたラックベルト41又はラックベルト42を一気に引き出すことにより、走行体2に回転自在に軸支されたフライホイール3を回転付勢させるようにされており、ラックベルト41又はラックベルト42の差し位置により回転方向を前進、または後退方向に変更することを可能に構成し、スプリング52に抗してプッシュレバー5とプッシュ部材51の操作により、走行体2が走行体収納部6より押し出されて急発進されるように構成し、走行体2のバンパー21にマグネット22が収納されており、ターゲット8内に収納された磁性体81を吸着したのち、発進台1方向へ逆走行するように構成し、且つ、フライホイール3を前進または後退方向に回転付勢させる手段は、ピニオン・ラックベルト方式のみならず、ギヤ列を駆動する回転ハンドル、モータードライブ等の手段を適用できることを特徴とするバックスピントイを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバックスピントイは、以上に説明したような構成であるので発進台より、ひとたび高加速度で発進した走行体が一定距離を通過後に急激にバックスピンして元の発進台の方向に逆走行するように構成されており、スピード感のみならず思いもよらない動きをするので、走行体2をターゲット8に当てたり、バックスピンしてきた走行体2を元の発進台1で受け止めたり、走行体2に収納されたマグネット22がターゲット8に収納された磁性体81を吸着して発進台1の方向に逆走して移送したりするので、ユーザーにとって極めて変化に富んだ遊戯を実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明のバックスピントイの全体斜視図である。
【図2】 外側カバーの一部を除去したバックスピントイの要部斜視図である。
【図3】 フライホイール回転付勢機構の部分側面図である。
【図4】 フライホイール回転付勢機構の部分側面図である。
【図5】 走行体の斜視図である。
【図6】 走行体の分解斜視図である。
【図7】 発進操作説明図である。
【図8】 走行体の走行状態の斜視図である。
【図9】 走行体がターゲットに当たった斜視図である。
【図10】 ターゲットを吸着した走行体の逆走状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明を実施するための形態を具体的に説明する。
図1は本発明のバックスピントイの全体斜視図であり、発進台1の走行体収納部6に走行体2が載置されており、走行体2にはフライホイール3が回転自在に保持されている。
【0016】
図2に示すように、フライホイール3の中心に固定されたシャフトと該シャフトに一体的に固定されたピニオン32が走行体2の側面に配置されている。
【0017】
図3はフライホイール3への回転付勢機構の部分側面図であり、矢印Aはラックベルト41を引き出す方向を示しており、矢印Bは走行体2の発進方向を示しており、矢印Cはフライホイール3の回転付勢方向を示している。
【0018】
図4はフライホイール3への回転付勢機構の部分側面図であり、矢印Aはラックベルト41を引き出す方向をしめしており、矢印Bは走行体2の発進方向を示しており、矢印Dはフライホイール3の回転付勢方向を示している。
【0019】
図3乃至図4にて明らかなように、シャフト31に固定されたピニオン32へ噛み合わされるラックベルト41とラックベルト42とはそれぞれピニオン32の上下に配置されているので、ラックベルト41を一気に引き出すことによりフライホイール3は矢印C方向へ回転付勢され、ラックベルト42を一気に引き出すことによりフライホイール3は矢印D方向へ回転付勢される。
【0020】
図5は走行体2の斜視図であり、バンパー21にはマグネット22が収納されている。マグネット22はターゲット8に収納された鉄等の磁性体81を吸着して走行体2がバックスピンする時にこのターゲット8を発進台1の方向へ引き戻すことができる。
【0021】
図6は走行体2の分解斜視図であり、この分解状態のバンパー21,フライホイール3補助輪35を右ボディ23と左ボディ24と間に嵌着し、最後にロック部25にリアロック部材36をロックすれば走行体2が組立てられる。
【0022】
フライホイール3は、軸受33、33を介して軸受部34に回転自在に保持されており、補助凛35も右ボディ23と左ボディ24間に保持されており、補助輪35は走行体2の走行安定性に役立っている。
【0023】
走行体2が高加速度で急発進されると、走行体2に回転自在に取付けられたフライホイール3がフライホイール3の接地点と床面との摩擦に抗して図8に示すように前進し、前進付勢力の限界時点または図9に示すようにターゲット8に当たり、バンパー21内のマグネット21がターゲット8内の磁性体81を吸着し、フライホイール3の回転付勢力でフライホイール3自体がバックスピンし、図10に示すように走行体2が発進台1の方向へターゲット8を引きよせながら逆走行する。
【0024】
フライホイール3を回転付勢させる手段は、ピニオン・ラックベルト方式のみならず、ギヤ列を駆動する回転ハンドル、モータードライブ等の手段も適用可能であり、このような設計変更は本発明の技術範囲に属するものである。
【0025】
以上説明したように、本発明のバックスピントイによれば、走行体に回転自在に軸支されたフライホイールを逆回転付勢させ、発進台より前進方向へ高加速度で急発進された走行体が、前進付勢力限界時点において、フライホイールの逆転付勢力でフライホイールがバックスピンし、走行体が発進台方向へ逆走行するようにできるので、変化に富んだ遊戯を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のバックスピントイは以上説明したような構成であり、従来のような単に走行距離を延ばしたり加速度を上げたりする単純な動作のものばかりでなく、急発進された走行体が一定の距離を超えると元の発進台の方向へバックスピンして逆走してくるので、この動作を利用した種々の遊戯を実施することができるので、広い使用者層に興味を喚起し、広い利用範囲を創出することができる。
【符号の説明】
【0027】
1.発進台
2.走行体
21.バンパー
22.マグネット
23.右ボディ
24.左ボディ
25.ロック部
3.フライホイール
31.シャフト
32.ピニオン
33.軸受
34.軸受部
35.補助輪
36.リアロック部材
40.ラックベルト把手
41.ラックベルト
42.ラックベルト
5.プッシュレバー
51.プッシュ部材
52.スプリング
6.走行体収納部
7.手
8.ターゲット
81.磁性体
A.ラックベルトを引き出す方向
B.走行体の発進方向
C.フライホイールの回転方向
D.フライホイールの回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体に回転自在に軸支されたフライホイールを逆回転付勢させ、発進台より前進方向へ高加速度で急発進された走行体が、前進付勢力限界時点において、フライホイールの逆転付勢力でフライホイールがバックスピンし、走行体が発進台方向へ逆走行するように構成されたことを特徴とするバックスピントイ。
【請求項2】
シャフトとピニオンがフライホイールに一体的に固定されており、該ピニオンに当接されたラックベルトを一気に引き出すことにより、走行体に回転自在に軸支されたフライホイールを回転付勢させるようにされており、ラックベルトの差し位置により回転方向を前進、または後退方向に変更することを可能に構成したことを特徴とする請求項1記載のバックスピントイ。
【請求項3】
スプリングに抗してプッシュレバーとプッシュ部材の操作により、走行体が走行体収納部より押し出されて急発進されるように構成したことを特徴とする請求項1記載のバックスピントイ。
【請求項4】
走行体のバンパーにマグネットが収納されており、ターゲット内に収納された磁性体を吸着したのち、発進台方向へ逆走行するように構成したことを特徴とする請求項1記載のバックスピントイ。
【請求項5】
フライホイールを前進または後退方向に回転付勢させる手段は、ピニオン・ラックベルト方式のみならず、ギヤ列を駆動する回転ハンドル、モータードライブ等の手段を適用できることを特徴とする請求項1記載のバックスピントイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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