説明

バックドアトリム

【課題】ランプカバー部から外部に漏れる光をなくし、外観品質を向上させる。
【解決手段】本発明は、車両のバックドア10に装着されるバックドアトリム30であって、バックドアウィンドウ50の車室内側に取り付けられたハイマウントストップランプ40を覆うランプカバー部35と、ランプカバー部35の対向部35Aの後端部からバックドアウィンドウ50の車室内側面に沿って上下方向に延びるフランジ部36とを備えた構成としたところに特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバックドアに装着されるバックドアトリムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバックドアトリムとして、例えば下記特許文献1に記載のバックドアトリムが知られている。一般にバックドアには、ハイマウントストップランプが取り付けられている。ハイマウントストップランプは、ストップランプとは別に設けられた補助制動灯であって、バックドアウィンドウの車室内側に取り付けられることで車両後方から視認できるように構成されている。バックドアトリムは、ハイマウントストップランプを覆うランプカバー部を備えている。このランプカバー部の外周端部とバックドアウィンドウとの間には、隙間が設けられている。この隙間は、走行時の振動などによってランプカバー部の外周端部とバックドアウィンドウとが擦れ合い、異音が発生することを防ぐために設けられている。
【特許文献1】特開2004−82852公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ハイマウントストップランプからの光の一部が隙間を通過し、ランプカバー部から外部に光が漏れる場合がある。また、バックドアウィンドウの車室内側面で反射した光の一部が隙間を通過して車室内に漏れる場合もある。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ランプカバー部から外部に漏れる光をなくし、外観品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車両のバックドアに装着されるバックドアトリムであって、バックドアウィンドウの車室内側に取り付けられたハイマウントストップランプを覆うランプカバー部と、ランプカバー部の外周端部からバックドアウィンドウの車室内側面に沿って上下方向に延びるフランジ部とを備えた構成としたところに特徴を有する。
【0006】
このような構成によると、ハイマウントストップランプをランプカバー部で覆うことができる。このとき、ランプカバー部の外周端部とバックドアウィンドウの車室内側面との間を通過する光をフランジ部によって遮光することができる。したがって、ランプカバー部から外部に漏れる光をなくすことができ、外観品質を向上させることができる。
【0007】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
ハイマウントストップランプは、バックドアウィンドウの下部に取り付けられている構成としてもよい。
このような構成によると、バックドアトリムにランプカバー部を容易に形成できるとともに、バックドアウィンドウの下部においてランプカバー部から外部に漏れる光をなくすことができる。
【0008】
フランジ部は、ランプカバー部の外周端部から上方に延びる形態とされている構成としてもよい。
このような構成によると、ランプカバー部の開口面積を小さくすることなく、バックドアウィンドウの車室内側面で反射した光の一部をフランジ部で遮光することができる。
【0009】
ランプカバー部の外周端部におけるフランジ部と反対側の角部は、望ましくは曲率半径が0.5mm以下の角部としてもよい。さらに望ましくは、曲率半径が0.3mm以下の角部としてもよい。
このような構成によると、例えば曲率半径が1mmの角部よりも外部に大きく突出した形状の角部を形成できるから、この突出部分でランプカバー部から外部に向かう光を遮光することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ランプカバー部から外部に漏れる光をなくすことができ、外観品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図5の図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における車両のバックドア10の正面図(車室外視)であり、図2は、バックドア10の背面図(車室内視)である。このバックドア10は、荷室(図示せず)の後部に設けられたドア用開口部(図示せず)を開閉可能に設けられている。一方、バックドア10の車室内側面には、シール部材11がバックドア10の外周に沿って貼着されている。シール部材11は、バックドア10を閉じたときにドア用開口部の外周縁部に密着するように構成されている。これにより、ドア用開口部から荷室内に水が浸入することが規制されている。
【0012】
バックドア10は、バックドアパネル20、バックドアトリム30、ハイマウントストップランプ(以下、実施形態1ないし3の説明においては単に「ストップランプ」と略していう。)40、バックドアウィンドウ50などを備えて構成されている。
【0013】
図5は、ストップランプ40を車両前後方向に切断した状態を車幅方向から見た断面図である。バックドアパネル20は、図5に示すように、車室外側のアウタパネル21、車室内側のインナパネル22、ストップランプ40を取り付けるための取付パネル23などを備えて構成されている。取付パネル23は、インナパネル22の上部から上方に延びた後、後方へ延出されている。この後方に延出された部分は、水平方向に延びる平坦な取付座24とされている。
【0014】
バックドアパネル20は、バックドアウィンドウ50用の開口部25を有している。開口部25は、バックドアウィンドウ50によって閉止されている。バックドアパネル20においてバックドアウィンドウ50の周縁部と対向する位置には、バックドアウィンドウ50を取付固定するための取付縁部26が周設されている。取付縁部26は、アウタパネル21の外面より一段凹んだ位置に設けられており、この凹んだ位置にバックドアウィンドウ50が嵌め込まれることで、バックドアウィンドウ50の外面とアウタパネル21の外面とがほぼ揃うようになっている。
【0015】
取付縁部26は、バックドアウィンドウ50の車室内側面に沿って内周側に延びる形態をなしている。つまり、取付縁部26とバックドアウィンドウ50の周縁部とは、互いに重畳する配置とされている。取付縁部26の外面とバックドアウィンドウ50の周縁部における車室内側面との間には、接着シール部材60が全周に亘って設定されている。この接着シール部材60によってバックドアウィンドウ50をバックドアパネル20に接着保持した上で、接着シール部材60によってバックドアパネル20とバックドアウィンドウ50との間をシールしている。
【0016】
バックドアトリム30は、図2に示すように、バックドアパネル20の車室内側に取り付けられている。シール部材11は、バックドアパネル20の車室内側においてバックドアトリム30とバックドアウィンドウ50とを囲むようにして取り付けられている。このバックドアトリム30は、バックドアウィンドウ50の下側に配置された本体部31を有している。
【0017】
本体部31は、図3に示すように、複数のクリップ座34が突出して形成された平面部32と、平面部32の外周から立ち上がる立壁部33とを備えて構成されている。クリップ座34には、クリップ(図示せず)が取り付け可能である。一方、インナパネル22には、クリップ座に取り付けられたクリップが差し込まれる取付孔(図示せず)が開口している。したがって、クリップが取付孔に差し込まれた状態に保持されることで、本体部31がインナパネル22の車室内側面に固定される。
【0018】
立壁部33のうちバックドアウィンドウ50に面した上面部33Aには、ストップランプ40を覆うランプカバー部35が設けられている。ランプカバー部35は、上面部33Aにおける車幅方向中央部分を上方に膨出させることによって上面部33Aよりも一段高く形成されている。
【0019】
ストップランプ40は、図5に示すように、取付座24の上面にクリップ等で固定されている。ストップランプ40は、バックドアウィンドウ50の車内側に配置されており、車両後方からバックドアウィンドウ50を介して視認可能とされている。ストップランプ40は、ランプ(図示せず)を収容するケース41、ケース41を支持する支持部42、ランプに給電する給電部43などを備えて構成されている。ケース41はランプを覆うようにして車両前方に開口する形態をなし、ケース41のうちランプと車両前後方向に対向する面がレンズ44とされている。
【0020】
支持部42は、図4に示すように、レンズ44の車幅方向両側と下側とを覆いつつ、バックドアウィンドウ50の車室内側面に沿って下方に延びるベゼル45を備えている。レンズ44とベゼル45とによって、下方に向かうほど幅広となる略台形のランプパネル46が構成されている。ランプパネル46は、バックドアウィンドウ50の車両後方に臨んでいる。
【0021】
また、支持部42は、図5に示すように、下方に膨出する凹部42Aを備えており、この凹部42Aが取付座24の上面に対してねじ止めされることによって支持部42が取付座24に固定されている。
【0022】
給電部43は、ハーネス70を介して車両に設けられた制御装置に接続されている。このため、制御装置によってブレーキ操作が行われたと判定されると、ハーネス70を介して給電部43に電力が供給される。そして、給電部43に導通可能に接続されたランプに給電することにより、ランプを点灯させることができる。したがって、ブレーキ操作に伴ってストップランプ40を点灯させることができる。
【0023】
ところで、ベゼル45は、レンズ44の下端から車両後方に延びる形態で段差状に形成された段差部45Aを備えている。このため、レンズ44は、段差部45Aの寸法だけバックドアウィンドウ50の車室内側面よりもやや奥まった位置(やや車両前方位置)に配置されている。一方、ランプカバー部35には、段差部45Aと上下方向に対向する対向部35Aが形成されている。この対向部35Aは、段差部45Aよりも車両前後方向の寸法が短くなっている。その理由は、バックドアウィンドウ50が車両前方に向けて斜め上方に傾斜しているためである。対向部35Aの車両前後方向の寸法が短いと、レンズ44からの散乱光L1が対向部35Aとバックドアウィンドウ50との間に差し込みやすくなる。そこで、本来であれば対向部35Aとバックドアウィンドウ50とを接触させることによって散乱光L1を遮光することが望ましい。しかしながら、対向部35Aとバックドアウィンドウ50とを接触させてしまうと、走行時の振動などによって対向部35Aとバックドアウィンドウ50とが擦れ合い、異音が発生しやすくなる。
【0024】
そこで、本実施形態では、対向部35Aがバックドアウィンドウ50の車室内側面に接触しないものの、対向部35Aの後端部(本発明の「ランプカバー部の外周端部」に相当する。)からバックドアウィンドウ50の車室内側面に沿って上方に延びるフランジ部36を設けている。
【0025】
フランジ部36は、図4に示すように、車幅方向においてレンズ44と対応する範囲に設けられている。また、図5に示すように、対向部35Aの後端におけるフランジ部36と反対側の角部37は、曲率半径が0.3mmに設定されている。また、フランジ部36の対向部35Aからの突出量は、レンズ44の下端からの散乱光L1が対向部35Aとバックドアウィンドウ50との間に差し込んだときに、バックドアウィンドウ50の車室内側面で反射した散乱光L2を遮光できる程度の突出量とされている。このため、レンズ44の下端からの散乱光L1は、バックドアウィンドウ50の車室内側面で反射し、バックドアウィンドウ50で反射した散乱光L2がフランジ部36で遮光される。なお、当然のことながらレンズ44の下端より上方領域から対向部35Aとバックドアウィンドウ50との間に差し込む散乱光についてもフランジ部36で遮光される。したがって、レンズ44から対向部35Aとバックドアウィンドウ50との間を通って外部に漏れる光をなくすことができ、外観品質を向上させることができる。
【0026】
以上のように本実施形態では、対向部35Aとバックドアウィンドウ50とを接触させずに、ストップランプ40をランプカバー部35で覆うことができる。そして、対向部35Aの後端とバックドアウィンドウ50の車室内側面との間に差し込んだ散乱光L1がバックドアウィンドウ50の車室内側面で反射し、この反射した散乱光L2をフランジ部36によって遮光することができる。よって、ランプカバー部35の上方に漏れる光をなくすことができる。
【0027】
また、本実施形態では角部37の曲率半径を0.3mmに設定したが、曲率半径を0.5mm以下とすれば、例えば曲率半径が1.0mmの角部を形成する場合よりもバックドアウィンドウ50側に突出する突出部分を鋭い形状で、かつ、大きく形成することができる。したがって、角部37の突出部分で対向部35Aの後端とバックドアウィンドウ50の車室内側面との間に差し込む光を遮光することができる。
【0028】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図6の図面を参照しながら説明する。本実施形態は、実施形態1における角部37の形状を鋭くしたものであって、実施形態1と共通する構成については同一の符号を付すものとし、実施形態1と重複する構成、作用、および効果については、その説明を省略する。すなわち、本実施形態の角部38は、実施形態1の角部37よりも曲率半径を小さくしたものである。このようにすると、実施形態1の角部37よりもバックドアウィンドウ50側に突出する突出部分を鋭く、かつ、大きく形成することができるから、対向部35Aの後端とバックドアウィンドウ50の車室内側面との間を通過できる散乱光L1の量を少なくすることができる。
【0029】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図7の図面を参照しながら説明する。本実施形態は、実施形態1における角部37からバックドアウィンドウ50の車室内側面に沿って下方に延びる第2のフランジ部39を設けたものであって、実施形態1と共通する構成については同一の符号を付すものとし、実施形態1と重複する構成、作用、および効果については、その説明を省略する。このようにすると、対向部35Aの後端とバックドアウィンドウ50の車室内側面との間を通過できる散乱光L1の量をさらに少なくすることができる。
【0030】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態ではフランジ部36が対向部35Aの後端部から上方に延びているものの、本発明によると、対向部35Aの後端部から下方に延びる形態のフランジ部としてもよい。
【0031】
(2)本実施形態ではハイマウントストップランプ40がバックドアウィンドウ50の下部に取り付けられているものの、本発明によると、ハイマウントストップランプ40をバックドアウィンドウ50の上部に取り付けてもよい。
【0032】
(3)本実施形態ではランプを光源とするハイマウントストップランプ40を例示しているものの、本発明によると、発光ダイオード(LED)を光源とするハイマウントストップランプ40としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態1におけるバックドアの正面図
【図2】実施形態1におけるバックドアの背面図
【図3】実施形態1におけるバックドアトリムの斜視図
【図4】実施形態1におけるハイマウントストップランプの斜視図
【図5】図1におけるA−A線断面図
【図6】実施形態2における角部の断面図
【図7】実施形態3における第2のフランジ部の断面図
【符号の説明】
【0034】
10…バックドア
30…バックドアトリム
35…ランプカバー部
36…フランジ部
37,38…角部
39…第2のフランジ部
40…ハイマウントストップランプ
50…バックドアウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバックドアに装着されるバックドアトリムであって、
前記バックドアウィンドウの車室内側に取り付けられたハイマウントストップランプを覆うランプカバー部と、
前記ランプカバー部の外周端部から前記バックドアウィンドウの車室内側面に沿って上下方向に延びるフランジ部とを備えたバックドアトリム。
【請求項2】
前記ハイマウントストップランプは、前記バックドアウィンドウの下部に取り付けられている請求項1に記載のバックドアトリム。
【請求項3】
前記フランジ部は、前記ランプカバー部の外周端部から上方に延びる形態とされている請求項2に記載のバックドアトリム。
【請求項4】
前記ランプカバー部の外周端部における前記フランジ部と反対側の角部は、曲率半径が0.5mm以下の角部とされている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のバックドアトリム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−100213(P2010−100213A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274576(P2008−274576)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】