説明

バックホーのカバー構造

【課題】 カバーを容易に量産することができて、カバーを形成するための金型が小さなもので済んで安価に製造することができると共に、カバーに衝撃が加わって破損することがあっても、カバーの一部を交換すればよくて経済的になるようにする。
【解決手段】 旋回台に支持フレームが設けられ、この支持フレームに旋回台上の機器を包囲するカバーがヒンジ具を介して開閉自在に枢支されており、前記カバーは、機器の上方を覆う樹脂製の上部材と機器の外側方を覆う板金製の側部材とで形成され、前記上部材はヒンジ具を介して支持フレームに連結され、前記上部材と側部材とが連結部材で連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホーのカバー構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バックホーには、旋回台に支持枠を設け、この支持枠に旋回台上の機器を包囲する右サイドカバー等のカバーをヒンジ具を介して開閉自在に枢支したものがあるが、この種の従来のバックホーでは、右サイドカバー等のカバー全体を板金又は樹脂により形成していた(例えば特許文献1〜3)。
【特許文献1】特開2003−205871号公報
【特許文献2】特開2003−64724号公報
【特許文献3】特開2001−90110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、従来の場合、カバー全体を樹脂で形成したものでは、カバーを量産することが可能になるが、カバーが大型になるため、該カバーを形成するための大きな金型が必要になって、製造費用が高く付くし、バックホーの使用時にカバーに衝撃が加わって、カバー全体が割れたりして破損した場合、大きなカバーの全体を交換する必要が生じ、不経済になった。
また、カバー全体を板金により形成したものでは、カバーを量産することが困難になり、生産性が悪くなるという問題を生じた。また、重量も大きくなった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑み、カバーを容易に量産することができて、カバーを形成するための金型が小さなもので済んで安価に製造することができると共に、カバーに衝撃が加わって破損することがあっても、カバーの一部を交換すればよくて経済的になり、重量も軽くなるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、旋回台に支持フレームが設けられ、この支持フレームに旋回台上の機器を包囲するカバーがヒンジ具を介して開閉自在に枢支されており、前記カバーは、機器の上方を覆う樹脂製の上部材と機器の外側方を覆う板金製の側部材とで形成され、前記上部材はヒンジ具を介して支持フレームに連結され、前記上部材と側部材とが連結部材で連結されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記連結部材には、上部材と側部材との前部同士を連結する前連結部材と、上部材と側部材との後部同士を連結する後連結部材と、上部材と側部材との前後中途部同士を連結する中途連結部材とがあり、前連結部材、後連結部材及び中途連結部材の内少なくとも1つは、側部材に加わる衝撃を緩衝可能な弾性変形可能構造体で形成されている点にある。
【0006】
また、本発明の他の技術的手段は、旋回台の上部に運転席が配置され、旋回台の後部にエンジンが搭載されると共にこのエンジンを跨ぐ支持フレームが設けられ、旋回台の右側部にオイルタンクが搭載され、
前記支持フレームに、オイルタンクの外方を覆いかつ前記エンジンルームの右側方を覆うカバーがヒンジ具を介して開閉自在に枢支されており、
前記カバーは、オイルタンクの上方及び前方を覆う樹脂製の上部材とオイルタンクの右側方及び後方を覆う板金製の側部材とで形成され、前記上部材は支持フレームにヒンジ具を介して前後方向の支軸廻りに開閉自在に連結され、前記上部材と側部材とが複数の連結部材で連結されている点にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カバーを容易に量産することができて、カバーを形成するための金型が小さなもので済んで安価に製造することができると共に、カバーに衝撃が加わって破損することがあっても、カバーの一部を交換すればよくて経済的になる。また、カバー全体の重量も軽くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2において、旋回作業機であるバックホー1は、左右一対のクローラ走行体を有する走行装置の上部に、旋回ベアリングを介して上下方向の旋回軸心廻りに回動自在に旋回台2を搭載したものとなっている。
図3〜図5において、旋回台2は、底部に板状の旋回基板3を有すると共に、旋回基板3上を前後に区切る縦壁5を有し、縦壁5は旋回基板3の前後中途部に立設されている。旋回基板3に、左右一対の縦リブ6,7が、旋回基板3の前方側から後方広がり状に設けられている。左右一対の縦リブ6,7の前部側に装着ブラケット9が旋回基板3から前方突出するように設けられ、この装着ブラケット9を介して旋回台2の前端部に掘削用作業装置が装着されている。
【0009】
図1〜図5において、旋回基板3の後端部にカウンタウエイト11が設けられ、旋回基板3の後端部であってカウンタウエイト11の前側に円弧状の取付壁12が上方に突設されている。旋回基板3の後端部の取付壁12の前側にエンジン14が設けられ、旋回基板3の左側に燃料タンク15が設けられ、旋回基板3の右側にバッテリ17、オイルタンク18が設けられている。燃料タンク15は縦壁5より前側であって左縦リブ6のすぐ左側に配置されている。バッテリ17及びオイルタンク18は縦壁5の前側であって右縦リブ7の右側に配置されている。
【0010】
而して、旋回台2の縦壁5の後側にエンジンルーム20が形成されていて、旋回台2の後部にエンジン14、ラジエータ等が搭載されている。旋回台2の左側部に燃料タンク15が搭載され、旋回台2の右側部にバッテリ17及びオイルタンク18が搭載されている。
図6〜図9に示すように、旋回台2のエンジン14の前側にエンジンルーム20の前側を仕切る仕切板22が設けられ、仕切板22の下端部が縦壁5にボルト等の固定具により固定されている。旋回台2の後端部にリヤカバー24が設けられ、旋回台2のリヤカバー24の左側に左サイドカバー25が設けられ、旋回台2の仕切板22の右側に右内壁カバー26が設けられ、旋回台2の右内壁カバー26の右側に右サイドカバー28が設けられている。
【0011】
仕切板22は、前端下部の起立壁部31と、起立壁部31の上端から後上がりに傾斜した傾斜壁部32と、傾斜壁部32の上端から後方に突出した水平壁部33と、水平壁部33の後端から垂直に立ち上がった後に後下がりの円弧状に突出した突出壁部34とを有し、起立壁部31の下部が縦壁5の上部に重合されて、縦壁5にボルトナット等の固定具により固定されている。なお、仕切板22の傾斜壁部32に点検用等の開口窓35が設けられ、開口窓35を図示省略の蓋部材で着脱自在に塞ぐようになっている。
リヤカバー24はカウンタウエイト11の上側にあり、カウンタウエイト11とリヤカバー24とはエンジンルーム20の後側を包囲し、左サイドカバー25はエンジンルーム20の左側を包囲し、縦壁5と仕切板22とは、エンジンルーム20の前側及び上側を包囲し、右サイドカバー28の後部はエンジンルーム20の右側を包囲している。従って、縦壁5と仕切板22と左サイドカバー25と右サイドカバー28の後部とカウンタウエイト11とリヤカバー24とで、エンジン14の周囲(エンジンルーム20)を取り囲んでいる。右サイドカバー28は、旋回台2上の機器を包囲し、バッテリ17及びオイルタンク18の外方を覆いかつエンジンルーム20の右側方を覆っていて、バッテリ17、オイルタンク18等の機器がある旋回基板3上の右前側の前部、上部及び外側部を覆い、右内壁カバー26は、バッテリ17、オイルタンク18等の機器がある旋回基板3上の右前側の内側部を覆っている。
【0012】
なお、仕切板22、左サイドカバー25、右サイドカバー28の後部及びリヤカバー24により、後部ボンネットが構成され、右サイドカバー28及び右内壁カバー26により、側部ボンネットが構成されている。
図1に示すように、旋回台2の縦壁5及び仕切板22の前側に運転席38が配置されて、旋回台2の縦壁5の前側に運転席38や操縦レバーを有する操縦部が形成されおり、旋回台2の縦壁5及び仕切板22の前側に、運転席38(操縦部)を包囲するキャビン39が搭載されている。キャビン39は旋回基板3の左寄りに配置されている。キャビン39の左側に乗降用ドア40が設けられ、乗降用ドア40の後縁が仕切板22の前側近傍で略垂直に配置されている。図2、図3に示すように、燃料タンク15は旋回台2の運転席38下方の左側であって仕切板22の前側に搭載されている。
【0013】
図2、図3、図6〜図9に示すように、旋回台2の後部にエンジン14を跨ぐ支持フレーム43が設けられている。支持フレーム43は、左前脚体45と左後脚体46と右後脚体47と右前脚体48と横支持板49と縦支持板50等から主構成されていて、エンジン14を跨ぐように配置されている。横支持板49は脚体45,46,47の上端に連結され、縦支持板50は横支持板49の右端部から前方に突出され、右前脚体48は縦支持板50の前部側を支持している。
左前脚体45及び右前脚体48の下端は、取付板52,53により縦壁5等を介して旋回基板3に取付固定されている。左後脚体46及び右後脚体47の下端は取付板54,55により取付台56等を介して旋回基板3に取り付け固定されている。横支持板49は横長の帯板形状であり、横支持板49の左端部と左前脚体45の上端部とが溶接等により連結固定され、横支持板49の左右方向中途部と左後脚体46の上端部とが溶接等により連結固定され、横支持板49の右端部と右後脚体47の上端部とが溶接等により連結固定されている。縦支持板50の後端部が横支持板49の右端部及び右後脚体47の上端部に溶接等により連結固定され、縦支持板50の前部側と右前脚体48の上端部とが連結板57を介して溶接又は固定具等により連結固定されている。
【0014】
リヤカバー24は、支持フレーム43の横支持板49及び旋回基板3に縦軸59廻りに後方側に開閉自在に支持されている。左サイドカバー25は、支持フレーム43の横支持板49に取付ブラケット60等を介して支持固定され、右内壁カバー26は、支持フレーム43の横支持板49に取付ブラケット62等を介して支持固定され、右サイドカバー28は支持フレーム43の縦支持板50にヒンジ具64を介して前後方向の支軸65廻りに開閉自在に支持されている。仕切板22の水平壁部33が支持フレーム43の横支持板49上に配置されて、横支持板49にボルトナット等の固定具により固定されている。
【0015】
支持フレーム43の縦支持板50に、くの字状に屈曲した支軸取付板66がボルト等の固定具又は溶接等により上方突出状に固設され、支軸取付板66に前後一対の前後方向に支軸65が突設されている。
図10〜図14に示すように、右サイドカバー28は、樹脂製の上部材68と板金製の側部材69とで形成されている。上部材68は上壁部68aと前壁部68bとを一体に有し、バッテリ17、オイルタンク18その他の機器の上方及び前方を覆っている。側部材69は側壁部69aと後壁部69bとを一体に有し、バッテリ17、オイルタンク18その他の機器の右側方及び後方を覆っている。側部材69の側壁部69aの後部に、吸気用の開口窓70が設けられ、開口窓70を塞ぐように防塵網74が取り付けられている。
【0016】
上部材68の前壁部68bに後方に膨出した前取付壁71が設けられ、上部材68の上壁部68aの前後中途部に下方に膨出した中途取付壁72が設けられ、上部材68の上壁部68aの後部に下方に膨出した後取付壁73が設けられ、中途取付壁72に左右一対のヒンジ具64がボルト等の固定具で固定されている。上部材68は前後一対のヒンジ具64を介して支持フレーム43の縦支持板50に前後方向の支軸65廻りに開閉自在に連結されている。
側部材69の側壁部69aに左右内方に突出した前取付板75が溶接等により固設され、側部材69の側壁部69aの前後中途部に左右内方にコの字状に突出した中途取付板76が溶接等により固設され、側部材69の後壁部69bに前方に突出した後取付板77が溶接等により固設されている。
【0017】
右サイドカバー28の上部材68と側部材69とが連結部材79で連結されている。連結部材79には、上部材68と側部材69との前部同士を連結する前連結部材79Fと、上部材68と側部材69との後部同士を連結する後連結部材79Rと、上部材68と側部材69との前後中途部同士を連結する中途連結部材79Hとがあり、前連結部材79F、後連結部材79R及び中途連結部材79Hの内少なくとも1つは、側部材69に加わる衝撃を緩衝可能な弾性変形可能構造体で形成されている。
即ち、前連結部材79Fは金属板等により構成され、前連結部材79Fは、左右方向内方側の第1固定部81と、左右方向外方側の第2固定部82と、第1固定部81と第2固定部82とを連結するくの字状に屈曲した連結部83とを有し、前連結部材79Fの第1固定部81が、上部材68の前取付壁71にボルト等の固定具により固定され、第2固定部82が側部材69の前取付板75にボルト等の固定具により固定されている。前連結部材79Fは、第1固定部81と第2固定部82とがくの字状に屈曲した連結部83の介在によって離間しており、側部材69に加わる衝撃を、くの字状に屈曲した連結部83の弾性変形により緩衝可能なるように構成され、これにより前連結部材79Fは側部材69に加わる衝撃を緩衝可能な弾性変形構造体とさている。
【0018】
後連結部材79RはL字状に屈曲した金属板により構成され、後連結部材79Rは、前側の第1固定部85と、後側の第2固定部86とを有し、後連結部材79Rの第1固定部85が、上部材68の後取付壁73にボルト等の固定具により固定され、第2固定部86が側部材69の後取付板77にボルト等の固定具により固定されている。
中途連結部材79Hは、金属板等により長細い板状に形成され、左右方向に水平状に延びた上側の第1固定部88と、上下方向に垂直状に延びた下側の第2固定部89と、第1固定部88と第2固定部89とを連結する連結部90とを有し、連結部90は第1固定部88及び第2固定部89に対してくの字状に屈曲されている。中途連結部材79Hの第1固定部88が、中途取付壁72の一対のヒンジ具64間に取付板92を介してボルト等の固定具により固定され、第2固定部82が中途取付板76にボルト等の固定具により固定されている。中途連結部材79Hは、第1固定部88と第2固定部89とが連結部90の介在によって大きく離間しており、側部材69に加わる衝撃を、第1固定部88及び第2固定部89に対してくの字状に屈曲した連結部90の弾性変形により緩衝可能なるように構成され、これにより中途連結部材79Hは側部材69に加わる衝撃を緩衝可能な弾性変形構造体とさている。
【0019】
側部材69に、一対の連結片91,93が溶接等により突設され、これら連結片91,93がボルト等の固定具により上部材68に固着されており、これら連結片91,93により、上部材68と側部材69とが、中途連結部材79Hと前連結部材79Fとの中間部分と、中途連結部材79Hと後連結部材79Rとの中間部分とで連結されている。
図15に示すように、側部材69の側壁部69aの前後方向中央部にロック機構94が設けられている。ロック機構94は、右サイドカバー28を閉鎖したときに旋回基板3側に設けた係止部に自動的に係合して右サイドカバー28を閉鎖状態にロック解除自在にロックするように構成されている。
【0020】
右サイドカバー28の内側に右サイドカバー28を開閉させるダンパ96が設けられている。ダンパ96は油圧シリンダ、ガスダンパ等により構成され、その上端部は右サイドカバー28の取付板92に支持軸97廻りに揺動自在に連結され、ダンパ96の下端部は旋回基板3側のオイルタンク18等に連結されており、ダンパ96の伸縮により右サイドカバー28をヒンジ具64の支軸65廻りに開閉動作させるように構成されている。
図2〜図5に示すように、燃料タンク15の後部上端に給油口部材98が後上がりに傾斜して上方突出されている。図16、図17及び図20に示すように、燃料タンク15の給油口部材98は、燃料タンク15の後部上端に突設した突出口部107と、突出口部107の上端部に外嵌固定して連結した延長口部材108と、延長口部材108の上端部に固設したフランジ部109と、延長口部材108の上端部に上方突出状に内嵌固着した給油口100とを有し、給油口100の上端部に給油口100の開口を塞ぐキャップ110が着脱自在に装着されている。
【0021】
図4、図5、図6、図7に示すように、燃料タンク15の給油口部材98は、仕切板22の左下端部に前方に突出した凸状部111の下側を通ると共に、縦壁5の左上端部に下方に没入形成した凹状部113の上側を通って、仕切板22の後方であって左サイドカバー25の内側方に延設されている。
図2、図16〜図19に示すように、仕切板22の後方であって左サイドカバー25の内側方に、給油口部材98をエンジンルーム20から隔離する保護部材99が設けられている。図7、図8、図20に示すように、左サイドカバー25に給油口部材98の給油口100を外部に露出するための凹部102が形成されている。凹部102の底壁103に円形の挿通口112が設けられ、この挿通口112を通して給油口部材98の給油口100が外部に露出されている。
【0022】
図16〜図19に示すように、保護部材99は、金属板等を折り曲げ形成してなり、背板部114と天板部115と側板部116とを有し、天板部115に円形の挿通口117が設けられ、この挿通口117を介して、給油口部材98の給油口100側が上下に挿通され、給油口部材98のフランジ部109が保護部材の99の天板部115の上面に接当配置されてボルト等の固定具により固定され、これにより給油口部材98が保護部材99により支持固定されている。
保護部材99の側板部116に上下一対の取付片119が上下に突設されており、保護部材99は一対の取付片119を介して支持フレーム43の左前脚体45に突設した上下一対のブラケット120に固定され、これにより保護部材99は支持フレーム43に取り付けられ、支持フレーム43に、給油口部材98、仕切板22の上部、左サイドカバー25及びリヤカバー24が支持されている。
【0023】
保護部材99の天板部115及び背板部114の左端縁にシール材105が装着され、これに対応して図20に示す如く仕切板22の左端縁にシール材104が装着されており、これにより仕切板22と保護部材99の外側縁がシール材104,105を介して左サイドカバー25に当接されている。保護部材99の側板部116の前縁は図示省略のシール材を介して仕切板22の起立壁部31及び縦壁5に接当されている。従って、保護部材99によって、仕切板22と縦壁5と左サイドカバー25と保護部材99とで取り囲まれた密閉空間が形成され、この密閉空間内に給油口部材98を収納保持して、給油口部材98をエンジンルーム20から隔離し保護している。
【0024】
前記実施の形態によれば、燃料タンク15の給油口部材98が、仕切板22の後方であって左サイドカバー25の内側方に延設されているので、燃料タンク15の給油口部材98を仕切板22の前端部(起立壁部31)及びキャビン39のドア40よりも後方に配置することができ、給油口部材98が運転席38への乗降に邪魔にならずに済んで、運転席38に楽に乗降できるようになる。また、給油口部材98をエンジンルーム20から隔離する保護部材99が設けられ、左サイドカバー25に給油口部材98の給油口100を外部に露出するための凹部102が形成されているので、燃料タンク15への給油を左サイドカバー25の外側方から外部に露出した給油口100から簡単に給油することができるようになる。しかも、燃料タンク15の給油口部材98が、仕切板22の後方であって左サイドカバー25の内側方に延設されているにも拘わらず、エンジンルーム20内からのエンジン14の熱風が燃料タンク15の給油口部材98に吹き込んで燃料タンク15乃至燃料タンク15内の燃料が加熱されるのを、保護部材99により効果的に防ぐことができる。
【0025】
また、燃料タンク15は縦壁5より前側で旋回基板3上に配置され、仕切板22と保護部材99の外側縁がシール材104,105を介して左サイドカバー25に当接されているので、エンジンルーム20からの熱風が左サイドカバー25と仕切板22との間の隙間から燃料タンク15側に流れ込んで、燃料タンク15が加熱されたり、エンジンルーム20からの熱風が左サイドカバー25と保護部材99との間の隙間から燃料タンク15の給油口部材98側に流れ込んで、燃料タンク15の給油口部材98が加熱されたりするのを確実に防止することができる。
【0026】
また、上記の如く燃料タンク15の給油口部材98を仕切板22の前端部(起立壁部31)及びキャビン39のドア40よりも後方に配置することができるため、旋回台2の仕切板22の前側に、運転席38を包囲するキャビン39が搭載されている場合には、キャビン39の乗降用のドア40の後縁が仕切板22の前側近傍で略垂直に配置することによって、給油口部材98が邪魔にならずに済んでキャビン39の乗降用のドア40全体を大きくとることができ、この点からも運転席38への乗降が楽にできるようになる。
また、旋回台2の後部にエンジン14を跨ぐ支持フレーム43を有し、この支持フレーム43に、仕切板22の上部、左サイドカバー25及びリヤカバー24が支持されると共に、保護部材99が取付けられているので、支持フレーム43に集中して給油口部材98、仕切板22の上部、左サイドカバー25及びリヤカバー24を支持することができ、給油口部材98、仕切板22の上部、左サイドカバー25及びリヤカバー24の支持構造を簡単で強固な支持構造にすることができ、組み立ての精度も向上する。
【0027】
また、前記実施の形態によれば、右サイドカバー28は、機器の上方を覆う樹脂製の上部材68と機器の外側方を覆う板金製の側部材69とで形成され、上部材68はヒンジ具64を介して支持フレーム43に連結され、上部材68と側部材69とが連結部材79で連結されているので、樹脂製である上部材68は右サイドカバー28全体の半分程度の大きさで済むため、上部材68を簡単に量産することができて右サイドカバー28全体も容易に量産することができるようになる。また、右サイドカバー28を形成するための金型が小さなもので済んで、右サイドカバー28全体を安価に製造することができるようになる。また、右サイドカバー28に衝撃が加わって破損することがあっても、板金製の側部材69は変形したりするだけであり、変形部分を修理してそのまま使用することができるため、右サイドカバー28が破損しても右サイドカバー28の一部である上部材68のみを交換すればよくなり、経済的になる。しかも、バックホー1の使用により、右サイドカバー28のうち外部のものと衝当等によって衝撃の加わり易い部分である側部材69を板金製にしているため、衝撃によって右サイドカバー28が破損するのを効果的に防ぐことができる。また、右サイドカバー28全体の重量も軽くなる。
【0028】
また、連結部材79には、上部材68と側部材69との前部同士を連結する前連結部材79Fと、上部材68と側部材69との後部同士を連結する後連結部材79Rと、上部材68と側部材69との前後中途部同士を連結する中途連結部材79Hとがあり、このうち前連結部材79F及び中途連結部材79Hは、側部材69に加わる衝撃を緩衝可能な弾性変形可能構造体で形成されているので、右サイドカバー28の側部材69に大きな衝撃が加わっても、前連結部材79Fの連結部83の弾性変形又は中途連結部材79Hの連結部83の弾性変形等により、その衝撃を連結部材79側で効果的に緩和吸収して、右サイドカバー28の樹脂製の上部材68が破損するのを防ぐことができる。
【0029】
なお、前記実施の形態では、旋回台2の左側部に燃料タンク15が搭載され、燃料タンク15の給油口部材98が、仕切板22の後方であって左サイドカバー25の内側方に延設され、左サイドカバー25に給油口部材98の給油口100を外部に露出するための凹部102が形成されているが、これに代え、旋回台2の右側部に燃料タンク15を搭載し、燃料タンク15の給油口部材98を、仕切板22の後方であって右サイドカバー28の内側方に延設し、右サイドカバー28に給油口部材98の給油口100を外部に露出するための凹部102が形成するしてもよく、この場合、旋回台2の右側から運転席38に乗降するようにしていれば、前記実施の形態の場合と同様に給油口部材98が運転席38への乗降に邪魔にならずに済んで、運転席38に楽に乗降できるようになる。
【0030】
また、前記実施の形態では、右サイドカバー28が、機器の上方を覆う樹脂製の上部材68と機器の外側方を覆う板金製の側部材69とで形成され、上部材68はヒンジ具64を介して支持フレーム43に連結され、上部材68と側部材69とが連結部材79で連結されているが、これに代え、左サイドカバー25を、機器の上方を覆う樹脂製の上部材68と機器の外側方を覆う板金製の側部材69とで形成し、上部材68をヒンジ具64を介して支持フレーム43に連結し、上部材68と側部材69とを連結部材79で連結するようにしてもよい。
【0031】
また、前記実施の形態では、前連結部材79F、後連結部材79R及び中途連結部材79Hの内、前連結部材79Fと中途連結部材79Hとが、側部材69に加わる衝撃を緩衝可能な弾性変形可能構造体で形成されているが、これに代え、後連結部材79Rも側部材69に加わる衝撃を緩衝可能な弾性変形可能構造体で形成してもよい。また、前連結部材79F、後連結部材79R及び中途連結部材79Hの内のいずれか1つ又はいずれか2つを側部材69に加わる衝撃を緩衝可能な弾性変形可能構造体で形成してもよいし、前連結部材79F、後連結部材79R及び中途連結部材79Hの全部を、側部材69に加わる衝撃を緩衝可能な弾性変形可能構造体で形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態を示すバックホーの上部の斜視図である。
【図2】同バックホーの上部の側面図である。
【図3】同旋回台の平面図である。
【図4】同旋回台の側面図である。
【図5】同旋回台の側面図である。
【図6】同旋回台の後部の平面図である。
【図7】同旋回台の後部ボンネット部分の平面図である。
【図8】同旋回台の後部ボンネット部分の左側面図である。
【図9】同旋回台の後部ボンネット部分の背面図である。
【図10】同右サイドカバーの平面図である。
【図11】同右サイドカバーの左側面図である。
【図12】同右サイドカバーの右側面図である。
【図13】同右サイドカバーの底面図である。
【図14】同右サイドカバーの底面図である。
【図15】同右サイドカバー部分の背面断面図である。
【図16】同燃料タンク部分の左側面図である。
【図17】同燃料タンク部分の背面図である。
【図18】同保護部材の左側面図である。
【図19】同保護部材の背面図である。
【図20】同給油口部材及び左サイドカバー部分の切欠側面断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 バックホー
2 旋回台
3 旋回基板
5 縦壁
14 エンジン
15 燃料タンク
18 オイルタンク
20 エンジンルーム
22 仕切板
24 リヤカバー
25 左サイドカバー
28 右サイドカバー
38 運転席
39 キャビン
40 ドア
64 ヒンジ具
65 支軸
68 上部材
69 側部材
79F 前連結部材
79R 後連結部材
79H 中途連結部材
79 連結部材
98 給油口部材
99 保護部材
100 給油口
102 凹部
104 シール材
105 シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回台(2)に支持フレーム(43)が設けられ、この支持フレーム(43)に旋回台(2)上の機器を包囲するカバー(28)がヒンジ具(64)を介して開閉自在に枢支されており、前記カバー(28)は、機器の上方を覆う樹脂製の上部材(68)と機器の外側方を覆う板金製の側部材(69)とで形成され、前記上部材(68)はヒンジ具(64)を介して支持フレーム(43)に連結され、前記上部材(68)と側部材(69)とが連結部材(79)で連結されていることを特徴とするバックホーのカバー構造。
【請求項2】
前記連結部材(79)には、上部材(68)と側部材(69)との前部同士を連結する前連結部材(79F)と、上部材(68)と側部材(69)との後部同士を連結する後連結部材(79R)と、上部材(68)と側部材(69)との前後中途部同士を連結する中途連結部材(79H)とがあり、前連結部材(79F)、後連結部材(79R)及び中途連結部材(79H)の内少なくとも1つは、側部材(69)に加わる衝撃を緩衝可能な弾性変形可能構造体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバックホーのカバー構造。
【請求項3】
旋回台(2)の上部に運転席(38)が配置され、旋回台(2)の後部にエンジン(14)が搭載されると共にこのエンジン(14)を跨ぐ支持フレーム(43)が設けられ、旋回台(2)の右側部にオイルタンク(18)が搭載され、
前記支持フレーム(43)に、オイルタンク(18)の外方を覆いかつ前記エンジンルーム(20)の右側方を覆うカバー(28)がヒンジ具(64)を介して開閉自在に枢支されており、
前記カバー(28)は、オイルタンク(18)の上方及び前方を覆う樹脂製の上部材(68)とオイルタンク(18)の右側方及び後方を覆う板金製の側部材(69)とで形成され、前記上部材(68)は支持フレーム(43)にヒンジ具(64)を介して前後方向の支軸(65)廻りに開閉自在に連結され、前記上部材(68)と側部材(69)とが複数の連結部材(79)で連結されていることを特徴とするバックホーのカバー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−243120(P2009−243120A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90095(P2008−90095)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】