説明

バックボードの取付構造

【課題】外観を損なうことがなく、しかも、簡単に交換することができるバックボードの取付構造を提供する。
【解決手段】バックボード20は、壁面WSを覆う正面板21と、この正面板21の上部後方に湾曲した上端縁から後方に張り出す上面板22と、正面板21の両側縁からそれぞれ後方に張り出す側面板と、正面板21の下端縁から後方に張り出す下面板24と、上面板22の後端縁から垂下した上部垂下片25と、下面板24の後端縁から垂下した下部垂下片26とを備えており、壁面WSの所定位置に取付金具30を固定し、バックボード20の下面板24を設置済みのキッチンキャビネット10のカウンター11の上面に載せるようにして、バックボード20の上部垂下片25を取付金具30と壁面WSとの間に圧入すると共に、バックボード20の下部垂下片26を設置済みのキッチンキャビネット10と壁面WSとの間に挿入して挟み込むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁面に沿って設置されたキッチンキャビネットの上部の前記壁面に取り付けられるバックボードの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
こういったキッチンキャビネットのバックボードの取付構造としては、例えば、図6及び図7に示すようなものがある。図6に示すバックボードの取付構造50では、壁面WSの所定位置に、止め金物51をビス止めし、バックボード53の上端下方屈曲片部54を止め金物51の係止片部52に係合させることにより、バックボード53を壁面WSの所定位置に懸垂させた状態で、バックボード53の下端下方屈曲片部55をビス56を用いて壁面WSに固定し、ビス止めされたバックボード53の下端下方屈曲片部55を、後部側で立ち上がったカウンター部分で隠蔽するように、流し台57を壁面WSに沿って設置するようになっている。
【0003】
また、図7に示すバックボードの取付構造60では、壁面WSに沿って設置された調理台61の上部の壁面WSの所定位置に、取付金具63をビス止めし、調理台61のカウンター62の上面との間にある程度の隙間Sが形成されるように、バックボード64の上面板65の先端から垂下した引っ掛け片66を取付金具63に引っ掛けることにより、バックボード64を係止した状態で、バックボード64の下部をビス67等を用いて壁面WSに固定するようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−224448号公報
【特許文献2】実開昭52−20952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図6に示すバックボードの取付構造50では、壁面WSにビス56を用いてビス止めされているバックボード53の下端下方屈曲片部55が流し台57によって隠蔽されているので、取り付けられたバックボード53の外観が損なわれることはないが、汚れたバックボード53を新しいバックボード53に交換しようとすると、バックボード53の下端下方屈曲片部55を壁面WSに固定しているビス56を外すために、設置されている流し台57を一旦移動させなければならず、バックボード53の交換作業が繁雑になるといった問題がある。
【0006】
一方、図7に示すバックボードの取付構造60では、バックボード64の下部を固定しているビス67を外すだけで、固定調理台61を移動させずに、バックボード64だけを簡単に交換することができるが、バックボード64の下部に固定用のビス67の頭部が露出することになるので、外観が損なわれるといった問題がある。
【0007】
そこで、この発明の課題は、外観を損なうことがなく、しかも、簡単に交換することができるバックボードの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、壁面に沿って設置されたキッチンキャビネットの上部の前記壁面に取り付けられるバックボードの取付構造であって、前記バックボードは、前記壁面を覆う正面板と、前記正面板の上端縁から後方に張り出す上面板と、前記正面板の下端縁から後方に張り出す下面板と、前記上面板の後端縁から垂下する上部垂下片と、前記下面版の後端縁から垂下する下部垂下片とを備えており、前記壁面の所定位置に取付金具を固定し、前記バックボードの下面板を、設置済みの前記キッチンキャビネットのカウンターの上面に載せるようにして、前記バックボードの前記上部垂下片を前記取付金具と前記壁面との間に圧入すると共に、前記バックボードの前記下部垂下片を設置済みの前記キッチンキャビネットと前記壁面との間に挿入して挟み込むようにしたことを特徴とするバックボードの取付構造を提供するものである。
【0009】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明のバックボードの取付構造において、前記バックボードの前記上部垂下片を前記取付金具と前記壁面との間に圧入することによって、前記取付金具が弾性変形し、前記上部垂下片を前記壁面側に付勢するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、請求項1にかかる発明のバックボードの取付構造では、バックボードの下面板を、設置済みのキッチンキャビネットのカウンターの上面に載せるようにして、バックボードの上部垂下片を取付金具と壁面との間に圧入すると共に、バックボードの下部垂下片を設置済みのキッチンキャビネットと壁面との間に挿入して挟み込むようにしたので、バックボードを壁面にビス等によって固定しなくても、バックボードを壁面の所定位置に確実に保持することができ、バックボードの外観を損なうこともない。
【0011】
しかも、壁面に取り付けたバックボードは、上方に持ち上げることによって壁面から取り外すことができるので、バックボードを交換する際、キッチンキャビネットを移動させる必要がなく、バックボードの交換作業性にも優れている。
【0012】
特に、請求項2にかかる発明のバックボードの取付構造では、前記バックボードの前記上部垂下片を前記取付金具と前記壁面との間に圧入することによって、前記取付金具が弾性変形し、前記上部垂下片を前記壁面側に付勢するようになっているので、バックボードの上部垂下片が係合する段部を取付金具に形成する必要がなく、取付金具の部品コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、壁面WSに沿って設置されたキッチンキャビネット10の上部の壁面WSに、取付金具30を介して、バックボード20を取り付けた状態を示している。
【0014】
前記バックボード20は、厚さ0.7mmのステンレス鋼板によって形成されており、図3(a)、(b)及び図4に示すように、壁面WSを覆う正面板21と、この正面板21の上部後方に湾曲した上端縁から後方に張り出す上面板22と、正面板21の両側縁からそれぞれ後方に張り出す側面板23、23と、正面板21の下端縁から後方に張り出す下面板24と、上面板22の後端縁から垂下した上部垂下片25と、下面板24の後端縁から垂下した下部垂下片26とを備えている。なお、このバックボード20では、上部垂下片25及び下部垂下片26の垂下長さを9mm及び26mmにそれぞれ設定してある。
【0015】
前記取付金具30は、図5(a)、(b)に示すように、厚さ0.6〜0.8mmのステンレス鋼板によって形成されており、ビスの軸部を挿通する長孔31a、31aが形成された長方形状の金具本体31と、金具本体31の上端縁から前方側の斜め上方に張り出した案内片32とを備えている。なお、案内片32は垂直方向に5mm立ち上がった状態となっている。
【0016】
上述したバックボード20の取付方法について、以下に説明する。まず、キッチンキャビネット10を壁面WSに沿うように配置し、床面に固定設置する。続いて、設置されたキッチンキャビネット10の上部の壁面WSの所定位置に、案内片32が前方側に張り出すように、金具本体31の長孔31aに挿通したビス33によって、取付金具30を固定する(図2(a)参照)。
【0017】
次に、図2(a)に示すように、バックボード20の上部垂下片25を、案内片32に沿わせながら、金具本体31と壁面WSとの間に圧入することで、バックボード20を取付金具30に引っ掛けながら、同図(b)に示すように、バックボード20の下面板24を既に設置されているキッチンキャビネット10のカウンター11の上面に載せるようにして、バックボード20の下部垂下片26をカウンター11と壁面WSとの間に挿入して両者間に挟み込み、バックボード20の正面板21の下端縁とキッチンキャビネット10のカウンター11との隙間をコーキングすると、バックボード20の取り付けが完了する。
【0018】
なお、バックボード20の上部垂下片25を、取付金具30の金具本体31と壁面WSとの間に圧入すると、金具本体31が弾性変形し、バックボード20の上部垂下片25を壁面WS側に付勢した状態となっている。
【0019】
以上のように、このバックボードの取付構造では、バックボード20の下面板24を、設置済みのキッチンキャビネット10のカウンター11の上面に載せるようにして、バックボード20の上部垂下片25を取付金具30と壁面WSとの間に圧入すると共に、バックボード20の下部垂下片26を設置済みのキッチンキャビネット20と壁面WSとの間に挿入して挟み込むようにしたので、バックボード20を壁面WSにビス等によって固定しなくても、バックボード20を壁面WSの所定位置に確実に保持することができ、バックボード20の外観を損なうこともない。
【0020】
しかも、壁面WSに取り付けたバックボード20は、上方に持ち上げることによって壁面WSから取り外すことができるので、バックボード20を交換する際、床面に固定設置されているキッチンキャビネット10を移動させる必要がなく、バックボード20の交換作業性にも優れている。
【0021】
なお、上述した実施形態では、金具本体31が弾性変形するバネ性を備えた取付金具30を採用しているが、これに限定されるものではなく、バックボード20の上部垂下片25を、取付金具30の金具本体31と壁面WSとの間に圧入すると、金具本体31が組成変形を起こすものであってもよい。
【0022】
また、上述した実施形態では、バックボード20の上部垂下片25及び下部垂下片26の垂下長さを9mm及び26mmにそれぞれ設定しているが、これに限定されるものではなく、下部垂下片26は、少なくとも、5mm以上あればよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)はこの発明にかかるバックボードの取付構造を採用して壁面にバックボードを取り付けた状態を示す正面図、(b)は同上の状態を示す側面図である。
【図2】(a)は同上のバックボードの上側垂下片の支持状態を示す部分断面図、(b)は同上のバックボードの下側垂下片の支持状態を示す部分断面図である。
【図3】(a)は同上のバックボードを示す正面図、(b)は同上のバックボードを示す側面図である。
【図4】図3のX−X線に沿った断面図である。
【図5】(a)は同上のバックボードを壁面に取り付けるための取付金具を示す正面図、(b)は同上の取付金具を示す側面図である。
【図6】従来のバックボードの取付構造を示す断面図である。
【図7】従来の他のバックボードの取付構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 キッチンキャビネット
11 カウンター
20 バックボード
21 正面板
22 上面板
23 側面板
24 下面板
25 上部垂下片
26 下部垂下片
30 取付金具
31 金具本体
31a 長孔
32 案内片
33 ビス
WS 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に沿って設置されたキッチンキャビネットの上部の前記壁面に取り付けられるバックボードの取付構造であって、
前記バックボードは、前記壁面を覆う正面板と、前記正面板の上端縁から後方に張り出す上面板と、前記正面板の下端縁から後方に張り出す下面板と、前記上面板の後端縁から垂下する上部垂下片と、前記下面版の後端縁から垂下する下部垂下片とを備えており、
前記壁面の所定位置に取付金具を固定し、
前記バックボードの下面板を設置済みの前記キッチンキャビネットのカウンターの上面に載せるようにして、前記バックボードの前記上部垂下片を前記取付金具と前記壁面との間に圧入すると共に、前記バックボードの前記下部垂下片を設置済みの前記キッチンキャビネットと前記壁面との間に挿入して挟み込むようにしたことを特徴とするバックボードの取付構造。
【請求項2】
前記バックボードの前記上部垂下片を前記取付金具と前記壁面との間に圧入することによって、前記取付金具が弾性変形し、前記上部垂下片を前記壁面側に付勢するようになっている請求項1に記載のバックボードの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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