説明

バックライト装置

【課題】発光面全体を面発光させた場合の輝度ムラ等を抑制することができ、しかも、発光領域毎の輝度制御を違和感なく行うことができるバックライト装置を提供する。
【解決手段】外面側に発光面12が設定された拡散板8と、拡散板8の内面側に実装面5aが対向された実装基板5と、実装面5a上に実装された複数のLED6と、LED6群を囲繞して拡散板8と実装基板5との間に空隙10を形成する枠体7とを備えた所謂直下型方式のバックライト装置1において、実装面5aの反射率R1を、枠体7の内周面7aの反射率R2よりも小さく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光面を形成する拡散板等の光学部材の内面側に、複数の発光ダイオードの発光素子を光源として対向配置した所謂直下型方式のバックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置等に用いられるバックライト装置においては、拡散板等の内面側に複数の冷陰極蛍光管(CCFL)が光源として対向配置された、所謂直下型方式のバックライト装置が広く採用されている。この種のバックライト装置では、一般に、各CCFLからの出射光を発光面までの空間(空気層)内で混合させることにより、発光面を均一な輝度で白色発光させるよう構成されている。
【0003】
また、近年、バックライト装置においては、液晶表示装置を用いたテレビ等の普及に伴う液晶表示装置の画質向上等の要求に対処し、液晶パネルのセル動作に同期させて各CCFLの点灯を制御する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、液晶パネルのフレーム周期に同期してCCFLを点滅点灯させることで動画を表示する際のぼやけを抑制し、液晶表示装置の画質向上を図る技術が開示されている。
【0004】
また、直下型方式のバックライト装置において、更に細分化された領域毎に発光面の輝度や色度等を制御するため、CCFLに代えて発光ダイオード(LED)を光源として採用し、発光面に設定された発光領域毎にLEDを個別に点灯制御する技術が提案されている。
【0005】
その一方で、上述のように複数のLEDを直下配置した場合、各LEDからの出射光が広範囲に亘って相互に影響し合い、その結果、例えば、発光面全体を面発光させようとした場合に中央部の輝度が周辺部よりも相対的に高くなる等の輝度ムラが生じる虞がある。また、発光領域毎に輝度等を制御しようとした場合にも、相互の発光領域間で、漏れ光が所望の発光領域以外の領域に必要以上に影響を及ぼす等の虞がある。
【0006】
これに対処し、例えば、非特許文献1には、各LEDの周囲に隔壁を設け、この隔壁を用いて発光領域を区分する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−252127号公報
【非特許文献1】SID 06 DIGEST 1520-1523 44.4/T.Shirai
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の非特許文献1に開示された技術のように隔壁を設けた場合、隔壁が発光面上に暗線として現出したり、発光区分があまりにも明瞭となり、発光領域の境界近傍において画像上の発光強度を滑らかにコントロールすることが困難となる等の虞がある。
【0008】
本発明は、発光面全体を面発光させた場合の輝度ムラ等を抑制することができ、しかも、発光領域毎の輝度制御を違和感なく行うことができるバックライト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、外面側に発光面が設定された光学部材と、前記光学部材の内面側に実装面が対向された実装基板と、前記実装面上に実装された複数の発光素子と、前記発光素子群を囲繞して前記光学部材と前記実装基板との間に空隙を形成する枠体とを備え、前記実装面の反射率を前記枠体の内周面の反射率よりも小さく設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のバックライト装置によれば、発光面全体を面発光させた場合の輝度ムラ等を抑制することができ、しかも、発光領域毎の輝度制御を違和感なく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、図1はバックライト装置の要部を示す分解斜視図、図2はバックライト装置の平面図、図3は図2のIII−III線に沿う要部断面図である。
【0012】
図1乃至図3において、符号1は液晶テレビ等に好適なバックライト装置を示し、このバックライト装置1は、光源ユニット2を有する。光源ユニット2は、平板状の実装基板5を有し、この実装基板5の一方の面側に設定された実装面5a上に、発光素子として複数の発光ダイオード(LED)6が実装されて要部が構成されている。この光源ユニット2には、実装面5a上のLED6群を囲繞する枠体7が固設され、枠体7の端部には光学部材としての拡散板8が配置されている。そして、拡散板8の縁辺部及び枠体7にベゼル9が冠設されることにより、拡散板8は、実装基板5との間に所定の空隙(空気層)10を隔てた状態で枠体7に保持されている。
【0013】
実装基板5は、平面視略矩形形状をなす回路基板で構成されている。この実装基板5は、例えば、難燃性グレードFR−4のプリント配線基板、ガラス不織布とガラス布とエポキシ樹脂とを用いたコンポジット積層基板(CEM−3基板)、或いは、アルミ基板等を用いて構成されている。また、実装基板5の実装面5a側は、例えば、黒色のPETシートが貼着されることにより、反射率R1が20%以下、好ましくは反射率R1が5%の低反射面で構成されている。なお、実装面5a側の反射率R1は、例えば、実装基板5に用いられるレジストの色等によって調整されるものであってもよい。
【0014】
各LED6は、例えば、青色の発光体に黄色の蛍光体が付加された面実装型の白色LEDで構成されている。本実施形態において、実装面5aには64個のLED6が実装されるようになっており、これらLED6は、等間隔毎に配置されることで実装面5a上に8×8のマトリクスを形成する。
【0015】
ここで、LED6の出射面には、片凸レンズ6aが固設されている。この片凸レンズ6aの光学特性は、例えば、LED6の出力特性や配列状態等に基づくシミュレーション等によって適宜設定されており、これにより、各LED6の法線方向を光軸とする出射光の放射状態等が最適化されている。
【0016】
なお、LED6としては、上述の白色LEDに代えて、例えば、R,G,Bそれぞれ単色の発光体からなるLEDを使用してもよく、さらに、出射光に紫外線を含む発光体にR,G,Bそれぞれに発光する蛍光体を付加したものを使用してもよい。
【0017】
枠体7は、実装基板5の縁辺部に沿って実装面5aから突出するよう周設された矩形の環状部材で構成されている。この枠体7において、実装基板5と拡散板8との間の空隙10を囲繞する内周面7a(すなわち、LED6群を以上する内周面7a)は、例えば、白色の反射シートが貼着されることにより、反射率R2が80%以上、好ましくは反射率R2が95%の高反射面で構成されている。ここで、内周面7aは、鏡面であることがより好ましい。
【0018】
拡散板8は、実装基板5と略同形の平面視略矩形形状をなす平板状の部材で構成されている。拡散板8の外面側には、レンズシート等からなる複数の光学シート11が貼着され、最外に位置する光学シート11の外面が発光面12として設定されている。
【0019】
このように、本実施形態のバックライト装置1は、拡散板8の内面側に複数のLED6が光源として対向配置された、所謂直下型方式のバックライト装置で構成されている。このバックライト装置1を領域発光させるべく、例えば、図2に示すように、発光面12には、等分割された4×4個の発光領域12aが設定されている。また、これらの発光領域12aに対応して、実装基板5上の各LED6は、隣接する2×2個毎の小群にグループ化されている。そして、実装基板5に接続された点灯回路15(図1参照)によって、各LED6がグループ毎にそれぞれ独立駆動されることにより、バックライト装置1は、発光領域毎に所望の輝度を得ることが可能となっている。ここで、各LED6のグループは、例えば、PWM制御によって駆動される。この場合において、各グループに対するPWM信号は、LED6の温度特性等を参照した上で、図示しないフォトセンサやカラーセンサからの信号に基づいてフィードバック制御されることが望ましい。
【0020】
このような構成のバックライト装置1において、点灯回路15によってグループ毎にLED6が点灯制御されると、点灯制御されたグループ内の各LED6からの出射光は、その多くが、片凸レンズ6aで調光されることにより、LED6の法線方向に対して所定の放射角以内で空隙10内を進行する。そして、これらの光は、空隙10内で混合さえながら拡散板8に達し、主として対応する発光領域12aの発光に寄与するとともに、その周辺の所定領域の微発光に寄与する。一方、片凸レンズ6aで好適に調光されることなくLED6の法線方向に対して大きな放射角で放射された一部の光や拡散板8で反射した一部の光等は、実装面5aに到達すると、これらの光の多くが、そのまま吸収される。すなわち、実装面5aの反射率R1は小さな反射率(例えば、R1=5%)に設定されているため、実装面5aに到達した光の多くがそのまま吸収される。従って、各LED6から出射された光は、空隙10内で必要以上の広範囲に拡散されることが的確に防止され、所望の発光領域12a毎の輝度制御を違和感なく実現することが可能となる。
【0021】
また、発光面12を全面発光させるべく点灯回路15によって全てのLED6が点灯制御された場合においても、同様に、各LED6からの出射光は、空隙10内で必要以上の広範囲に拡散されることなく、主として対応する発光領域12aの発光に寄与するとともに、その周辺の所定領域の微発光に寄与する。これにより、隣接する発光領域12aのLED6からの光が互いの発光を補完し合い、各発光領域12aの境界近傍における輝度ムラの発生が抑制される。ここで、発光面12上の端部(縁辺部)では、隣接する発光領域12aが存在しないため、周辺のLED6からの補完は期待できないが、枠体7の内周面7aの反射率R2は大きな反射率(例えば、R2=95%)に設定されているため、端部に位置するLED6からの光の一部が、内周面7aで反射して自己の発光領域12aの端部の発光を補完する。これにより、発光面12を全域に渡って発光させた場合の輝度ムラを好適に抑制することが可能となる。
【0022】
ここで、図4は、実装面5aの反射率R1を5%、内周面7aの反射率R2を95%(非鏡面)に設定した上述のバックライト装置1を全面発光させた際の発光面12全域に渡る輝度分布のシミュレーション結果であり、図7中の折れ線Aは、当該バックライト装置1の、図2のIII−III線に沿う輝度分布のシミュレーション結果である。
【0023】
また、図5は、実装面5aの反射率R1を5%、内周面7aを反射率R2が95%の鏡面に設定した上述のバックライト装置1を全面発光させた際の発光面12全域に渡る輝度分布のシミュレーション結果であり、図7中の折れ線Bは、当該バックライト装置1の、図2のIII−III線に沿う輝度分布のシミュレーション結果である。
【0024】
一方、図6は、上述のバックライト装置1において、実装面5aの反射率R1は5%のまま保持したまま、内周面7aの反射率R2を5%に変更し、全面発光させた際の発光面12全域に渡る輝度分布のシミュレーション結果を比較例として示すものであり、図7中の折れ線Cは、当該反射率R2を変更後のバックライト装置1の、図2のIII−III線に沿う輝度分布のシミュレーション結果を比較例として示すものである。
【0025】
これらの対比からも明らかなように、実装面5aの反射率R1を低い反射率に設定するとともに、内周面7aの反射率R2を実装面5aの反射率R1よりも相対的に高い反射率に設定することにより、発光面12の端部に暗部が発生することを抑制し、発光面12を全域に渡って高い輝度の均斉度で発光させることが可能となる。さらに、内周面7aを鏡面とすることにより、発光面12を全面発光させた際の輝度の均斉度をより向上させることができる。
【0026】
ところで、上述のバックライト装置1においては、8×8個のLED6を均等配置し、16等分割した発光面12上の各発光領域12aをそれぞれ2×2個のLED6を使用して発光させる場合の一例について説明したが、1の発光領域12a毎のLED6の数、LED6の配置、発光領域12aの形状、発光領域12aの数等は、適用される液晶表示装置の大きさや解像度等によって任意に変更することが可能である。
【0027】
例えば、図8,9に示すように、10×10個のLED6を用い、25等分割した発光面12上の各発光領域12aをそれぞれ2×2個のLED6を使用して発光させることも可能である。
【0028】
さらに、例えば、発光領域12aに対応するグループ間で隣接するLED6の間隔d2を、同一グループ内で隣接するLED6の間隔d1よりも相対的に大きく設定することも可能である。このように構成すれば、例えば、バックライト装置1の一の発光領域12aのみを領域発光させる際に、隣接する他の発光領域12aに対するLED6からの直接的な「漏れ光」の量を抑制することができる。これにより、各LED6の点灯制御による明るさの領域コントロールを鮮明なものとすることが可能となる。
【0029】
その一方で、発光区分の過剰な明瞭化を抑制したい場合、実装面5aの反射率R1を高く設定することにより、該当する発光領域12aの周辺領域を微発光させるための光を補うことができる。そして、このように実装面5aの反射率R1を高めることにより、LED6から出射される光の利用効率を向上することができる。なお、この場合においても、発光面12を全面発光させた際の輝度ムラを抑制すべく、実装面5aと内周面7aとの反射率の関係は、R1<R2に設定されていることは勿論である。
【0030】
このような構成によれば、例えば、図10中に破線でに示すように、LED6から出射される光の利用効率を向上させつつも、全LED6を均等配置した場合の相対輝度特性(図10中に実線で示す)と略同等の相対輝度特性を得ることができる。
【0031】
なお、上述の実施形態においては、LEDを発光素子として用いた一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、有機EL等を発光素子として用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】バックライト装置の要部を示す分解斜視図
【図2】バックライト装置の平面図
【図3】図2のIII−III線に沿う要部断面図
【図4】実装面の反射率を5%に設定し且つ内周面の反射率を95%に設定したバックライト装置を全面発光させたときの輝度分布のシミュレーション結果を模式的に示す説明図
【図5】実装面の反射率を5%に設定し且つ内周面を反射率が95%の鏡面に設定したバックライト装置を全面発光させたときの輝度分布のシミュレーション結果を模式的に示す説明図、
【図6】比較例として実装面の反射率及び内周面の反射率を5%に設定したバックライト装置を全面発光させたときの輝度分布のシミュレーション結果を模式的に示す説明図
【図7】バックライト装置を全面発光させたときの図2のIII−III線に沿う各輝度分布のシミュレーション結果を示す説明図
【図8】バックライト装置の変形例を示す平面図
【図9】図8のIX−IX線に沿う要部断面図
【図10】バックライト装置を領域発光させたときの図8のIX−IX線に沿う輝度分布のシミュレーション結果を示す説明図
【符号の説明】
【0033】
1…バックライト装置、2…光源ユニット、5…実装基板、5a…実装面、6…発光ダイオード(発光素子)、6a…片凸レンズ、7…枠体、7a…内周面、8…拡散板(光学部材))、9…ベゼル、10…空隙、11…光学シート、12…発光面、12a…発光領域、15…点灯回路、R1…反射率(実装面の反射率)、R2…反射率(内周面の反射率)、d1…間隔(グループ内における発光素子の間隔)、d2…間隔(グループ間における発光素子の間隔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面側に発光面が設定された光学部材と、
前記光学部材の内面側に実装面が対向された実装基板と、
前記実装面上に実装された複数の発光素子と、
前記発光素子群を囲繞して前記光学部材と前記実装基板との間に空隙を形成する枠体とを備え、
前記実装面の反射率を前記枠体の内周面の反射率よりも小さく設定したことを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
前記枠体の内周面は鏡面であることを特徴とする請求項1記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記複数の発光素子は、前記発光面に設定される複数の領域毎にグループ化され、各グループ毎に点灯制御されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記グループ内における前記発光素子の間隔は、隣接する前記グループ間における前記発光素子の間隔よりも相対的に小さく設定されていることを特徴とする請求項3記載のバックライト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−181883(P2009−181883A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21328(P2008−21328)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】