説明

バックライト装置

【課題】従来よりも光量を増大させて明るくすることができ、大型の広告や看板などにも適用することを可能にする。
【解決手段】透明または半透明の光学媒体であってその表面に乱反射部分21a,bが形成された導光板11,12を用いたバックライト装置1であって、複数の導光板11,12が重ねて配置されており、複数の導光板11,12の端面に配置された光源装置13a,bによってそれぞれの導光板11,12が表面から照明光を射出し、かつそれぞれの導光板の表面から射出される照明光が加算されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告、看板、表示装置などのバックライトとして用いられるバックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パーソナルコンピュータやテレビ受像機の表示装置として用いられる液晶パネルなどにはバックライト装置が用いられている。
【0003】
バックライト装置として、透明または半透明の光学媒体であってその表面に乱反射部分が形成された導光板を用いたバックライト装置がしばしば用いられる(特許文献1)。導光板を用いたバックライト装置は、製品の薄型または小型化に大きく貢献している。
【0004】
また、導光板の光源としてLED(発光ダイオード)を用いたバックライト装置は、消費電力が少なく、長寿命であり、耐久力もあり、現在において安定したバックライト装置として普及している。
【特許文献1】特開平6−118247
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の導光板を用いたバックライト装置において、小型機器、例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ、小型液晶テレビなどに対しては優れているが、広告や看板などの大型のものに対しては、光量が不足することがあった。
【0006】
例えば、一辺が1メートルないし数メートル程度の矩形状の広告塔において、従来のバックライト装置では光量不足のため充分な明るさが得られないことがあった。これは、光源を導光板の端面に配置するため、導光板の面積が大きくなるほど単位当たりの光量が減少するためである。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、従来よりも光量を増大させて明るくすることができ、大型の広告や看板などにも適用することの可能なバックライト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による装置は、透明または半透明の光学媒体であってその表面に乱反射部分が形成された導光板を用いたバックライト装置であって、複数の前記導光板が重ねて配置されており、複数の前記導光板の端面に配置された光源によってそれぞれの導光板が表面から照明光を射出し、かつそれぞれの導光板の表面から射出される照明光が加算されるように構成されている。
【0009】
好ましくは、複数の前記導光板のそれぞれは、背面側の表面に前記乱反射部分が形成されており、重ねられた複数の前記導光板の最下層の導光板の背面側の表面に、前記乱反射部分を覆う白色の反射層が形成されている。
【0010】
また、前記光源は、重ねられた複数の前記導光板のそれぞれの端面に対して光が入射するように配置されている。
【0011】
また好ましくは、前記乱反射部分は、重ねられた複数の前記導光板において互いにずれた位置に形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、従来よりも光量を増大させて明るくすることができ、大型の広告や看板などにも適用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の一実施形態のバックライト装置1の全体の外観を示す正面図、図2はバックライト装置1の平面図、図3は図1に示すバックライト装置1の一部を拡大して示す図、図4は図3に示すバックライト装置1の平面図、図5は光源の例を示す図である。
【0014】
図1〜図4において、バックライト装置1は、第1導光板11、第2導光板12、および光源装置13a,bなどからなる。
【0015】
第1導光板11は、透明または半透明の光学媒体KBであってその背面側の表面に乱反射部分21aが形成されたものである。第2導光板12は、透明または半透明の光学媒体KBであってその背面側の表面に乱反射部分21bが形成されたものである。
【0016】
第1導光板11および第2導光板12のための光学媒体KBとして、アクリル樹脂などの透光性の良い合成樹脂材料が用いられる。光学媒体KBの端面から光を入射させると、内部で反射を繰り返して他方の端面にまで到達する。入射光は、その途中において、乱反射部分21a,bによって乱反射し、第1導光板11および第2導光板12のそれぞれの表面から射出し、結果的に第1導光板11の表面SFから外部に射出する。
【0017】
このように、バックライト装置1は、複数の導光板、本実施形態では2枚の第1導光板11および第2導光板12が重ねて配置されており、複数の導光板の端面に配置された光源装置13a,bによってそれぞれの導光板が表面から照明光を射出し、かつそれぞれの導光板の表面から射出される照明光が加算されるように構成されている。
【0018】
図3および図4に示されるように、乱反射部分21a,bとして、縦線および横線からなる枡目(碁盤目)の模様が描かれている。各線は、各光学媒体KBの背面側の表面に、適当な刃物または工具を用いて切り込みを入れることによって形成されている。
【0019】
枡目の間隔は、光源装置13a,bのある端面に近い側が荒く、離れるにしたがって細かくなる。つまり、光源装置13a,bに近い位置では光源装置13a,bからの光の強度が大きいので乱反射量を少なくし、遠い位置では光の強度が小さいので乱反射量を多くし、これによってバックライト装置1の全面において均一な光量が得られるようになっている。
【0020】
図3によく示されるように、乱反射部分21a,bは、重ねられた2枚の第1導光板11および第2導光板12において、互いにずれた位置に形成されている。つまり、第1導光板11に形成された枡目と第2導光板12に形成された枡目とが、互いにずれるように、つまり互いに相手の中間位置に線がくるように、形成されている。しかし、それらの枡目が全て互いにすれていなくてもよく、一部が重なっていてもよい。
【0021】
これによって、下側の層となる第2導光板12から出る光ができるだけ第1導光板11の乱反射部分21aによって邪魔されることなく、表面SFを通って外部に射出することができる。
【0022】
なお、乱反射部分21a,bを形成する線の断面形状は種々のものとすることができる。また、枡目ではなく、他の模様としてもよい。また、線ではなく、多数のドット(点状の凹部)によって乱反射部分21a,bを形成してもよい。また、光学媒体KBの表面に切り込みを入れることによって乱反射部分21a,bを形成するのではなく、他の方法によって乱反射部分を形成してもよい。例えば、上に述べた特許文献1に記載のもの、その他のものを用いることも可能である。
【0023】
また、最下層の第2導光板12の背面側の表面HFに、乱反射部分21bを覆う白色の反射層22が形成されている。反射層22は、反射用のシート状のフィルムを表面HFに貼り付けてもよい。また、白色の塗料または顔料などを表面HFに塗布してもよい。
【0024】
光源装置13a,bは、長いプリント基板14上に、多数の発光ダイオード15,15,15…が適当な間隔で配置され、かつ、それらの間に発光ダイオード15の駆動回路が実装されたものである。各発光ダイオード15は、重ねられた2枚の第1導光板11および第2導光板12のそれぞれの端面に対して光が入射するように配置されている。
【0025】
なお、発光ダイオード15を、導光板のそれぞれの端面に対して光が入射するように配置したので光の利用効率が良いが、大きな発光ダイオードを用い、1つの発光ダイオードの光が複数の導光板の端面に対して入射するように配置してもよい。
【0026】
発光ダイオード15として、種々の形式のものを用いることができる。例えば、図5(A)に示すように、1つの正方形状のパッケージに4つの光源KGを配した発光ダイオード15aを用いてもよい。また、図5(B)に示すように、1つの長いパッケージに6つの光源KGを一列に配した発光ダイオード15bを用いてもよい。
【0027】
上に述べたバックライト装置1によると、2枚の第1導光板11および第2導光板12が重ねられているので、バックライト装置1の表面SFから外部に射出する光量が一枚の第1導光板11の場合と比べてほぼ2倍となり、光量が大幅に増大して明るくすることができる。そのため、大型の広告や看板などにも適用することが可能である。
【0028】
また、第1導光板11または第2導光板12の光学媒体KBとして、例えばアクリル樹脂の薄いもの、例えば板厚が5mm程度のものを用いることができ、一枚当たりの光学媒体KBつまり導光板の重量が軽くなる。したがって、導光板の製作が容易であり、また、バックライト装置1を運搬する際に複数の導光板を分解することによって軽量となり、運搬が容易であり、現地での組み立て設置も容易である。
【0029】
また、大きな光量が必要な場合であっても、重ねる導光板の個数を増加することによってそれに適応することができるので、光学媒体KBとして同じ標準品または汎用品を用いるができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0030】
このように、重ねる導光板の枚数を2倍3倍と増やすことにより、光量を2倍3倍と増やすことができる。導光板を多層にすることによって、限られた面積と奥行きの中で、導光板の入射面を増加させ、必要な光量を得ることができる。
【0031】
上に述べた実施形態において、光源装置13a,bとして、蛍光灯、冷陰極放電管などを用いることが可能である。光学媒体KBの周囲の全部の端面に光源装置13a,bを配置してもよい。バックライト装置1は、適当なハウジングの中に収めればよい。また、バックライト装置1は、適当な表示装置、広告塔、または看板などの中に装着することが可能である。
【0032】
上に述べた実施形態において、その全体または各部の構造、形状、寸法、個数、材質、組成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態のバックライト装置の全体の外観を示す正面図である。
【図2】バックライト装置の平面図である。
【図3】図1に示すバックライト装置の一部を拡大して示す図である。
【図4】図3に示すバックライト装置の平面図である。
【図5】光源の例を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 バックライト装置
11 第1導光板(導光板)
12 第2導光板(導光板)
13a,b 光源装置(光源)
21a,b 乱反射部分
22 反射層
SF 表面
HF 背面側の表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明または半透明の光学媒体であってその表面に乱反射部分が形成された導光板を用いたバックライト装置であって、
複数の前記導光板が重ねて配置されており、
複数の前記導光板の端面に配置された光源によってそれぞれの導光板が表面から照明光を射出し、かつそれぞれの導光板の表面から射出される照明光が加算されるように構成されている、
ことを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
複数の前記導光板のそれぞれは、背面側の表面に前記乱反射部分が形成されており、
重ねられた複数の前記導光板の最下層の導光板の背面側の表面に、前記乱反射部分を覆う白色の反射層が形成されている、
請求項1記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記光源は、重ねられた複数の前記導光板のそれぞれの端面に対して光が入射するように配置されている、
請求項2記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記乱反射部分は、重ねられた複数の前記導光板において互いにずれた位置に形成されている、
請求項2または3記載のバックライト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−44900(P2010−44900A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206757(P2008−206757)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(591243893)株式会社フオトクラフト社 (26)
【Fターム(参考)】