説明

バックライト

【課題】 導光板の入射面近傍での光反射部を過度に大型化させることなく、面発光部から出光する光の輝度ムラを容易に平滑化することができるバックライトを提供する。
【解決手段】 導光板31の出光面31aを拡散板32に対して傾斜させ、導光板31と拡散板32との間に空隙40を形成する。これにより、導光板31の出光面31aからの出射光を十分な広角度に拡散させて拡散板32に入射させることができ、導光板31の入射面31c近傍の光反射部39を過度に大型化させることなく、入射面31cの近傍で面発光部38から出光する光の輝度ムラを容易に平滑化することができる。従って、導光板31の入射面31c近傍での光量の消費を抑制することができ、LED10等の点光源を用いた場合にも、面発光部38全体としての輝度を高いレベルに維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光ダイオード等の発光素子を光源として用いたバックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示パネル等に好適なバックライトとしては、透明な平行平板や断面楔形平板等からなる導光板の側端面から光を入射させる、いわゆるエッジライト方式のものが広く普及している。また、この種のエッジライト方式のバックライトにおいて、近年では、複数の発光ダイオード(LED)等の発光素子を、光源として導光板の入射面に配列したものが提案されている。ところで、LED等の発光素子を光源として用いた場合、各発光素子は点光源であるため、バックライトの面発光部から出光する光の輝度ムラは、光源に対して垂直な方向(すなわち、光源から見た導光板の奥行き方向)のみならず、光源に対して水平な方向(すなわち、光源の配列方向)にも発生し易い。具体的には、特に、導光板の入射面近傍におけるLEDの配置部から外れた領域で、面発光部から出光する光の輝度が局所的に低下し易くなる。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、導光板の反射面上に、ドット印刷等によって光反射部(光反射パターン)を配列し、各光反射部の面積率を、各光源に対して垂直方向に離間する程大きく形成し、且つ、各光源に対して水平方向に離間する程大きく形成する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−43714公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された技術のように、単に光反射部の面積率の設計のみで光源に対して垂直な方向及び水平な方向の輝度ムラを同時に調整することは困難な場合がある。特に、導光板の入射面近傍で面発光部から出光する光の輝度の低下(暗部の発生)を解消すべく、当該暗部に対応する部分の光反射部を大型化させると、導光板内における入射面近傍での光量の消費が増大し、面発光部全体としての輝度が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、導光板の入射面近傍での光反射部を過度に大型化させることなく、面発光部から出光する光の輝度ムラを容易に平滑化することができるバックライトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、出光面と反射面とが互いに対向し、これらの少なくとも一側端面に入射面を有する導光板と、前記導光板の入射面に沿って配列する複数の点光源と、前記導光板の出光面に対向配置する光学部材とを具備したバックライトであって、前記導光板の出光面を前記光学部材に対して傾斜させ、当該出光面の傾斜によって前記導光板と前記光学部材との間に空隙を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のバックライトによれば、導光板の入射面近傍での光反射部を過度に大型化させることなく、面発光部から出光する光の輝度ムラを容易に平滑化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、図1はバックライトの分解斜視図、図2はバックライトの要部断面図、図3は導光板から拡散板に入射する光の挙動の一例を示す説明図、図4は輝度分布の等高線図、図5はバックライトの変形例を示す要部断面図、図6は導光板の変形例を示す斜視図である。
【0009】
図1,2において符号1は液晶テレビ等に好適なバックライトを示し、このバックライト1は、上面が開口した扁平な略箱形形状のケース2を有する。ケース2は、例えば、矩形の背面板2aと当該背面板2aの各辺に立設する側壁2bとが射出成形によって一体形成された樹脂成型品で構成され、さらに、背面板2aの短手方向の両端部には、側壁2bに対向する隔壁3がそれぞれ立設している。そして、これら隔壁3により、ケース2の内部は、一対のLED収容室5と、これらLED収容室5の間に介在する導光室6とに画成されている。
【0010】
LED収容室5は、例えば、点光源である複数(例えば、4個)の表面実装型の発光ダイオード(以下、LEDと称す)10を光源として収容する。具体的には、LED収容室5の長手方向両端部には互いに対向する一対の基板保持溝5aが凹設しており、これら基板保持溝5aは、各LED10をLED基板11上に等間隔毎に実装した光源ユニット20をLED収容室5内に保持する。そして、図1,2に示すように、LED収容室5内に収容保持された各LED10は、隔壁3に凹設された連通溝7を介して、その発光面を導光室6に露呈する。
【0011】
ここで、本実施形態において、各LED10は、所定色温度の白色光を発光する白色LEDである。このようなLED10は、例えば、R、G、Bの3つの発光体を1つのパッケージにして構成してもよく、また、例えば、単色のLEDに蛍光物質を塗布して出射光を白色光に変換するよう構成してもよい。
【0012】
導光室6は、例えば、一方の面に反射面30aを有する平面矩形形状の反射シート30と、互いに対向する出光面31aと反射面31bとを有する平面矩形形状の導光板31と、平面矩形形状をなし導光板31の出光面31aに対向配置する光学部材としての拡散板32と、一方の面に拡散シート34を貼着した平面矩形形状のレンズシート33と、を背面板2a側から順に積層して収容する。
【0013】
なお、図中符号36は、ケース2に冠設するベゼルである。このベゼル36には、レンズシート33に貼着された拡散シート34を外部に露呈するための矩形の開口部36aが開口しており、図2に示すように、ベゼル36は、ケース2に冠設することにより、LED収容室5の上部開口部を閉塞し、さらに、レンズシート33(及び、拡散シート34)の縁辺部をケース2との間に挟持する。そして、本実施形態のバックライト1では、ベゼル36の開口部36aから外部に露呈する拡散シート34上の領域が、面発光部38として機能する。
【0014】
図1,2に示すように、本実施形態の導光板31において、各光源ユニット20のLED10に対向する2つの側端面は、それぞれ、各LED10からの出射光を入射する入射面31cとして設定されている。
【0015】
また、導光板31は、各入射面31cから入射した光を反射して出光面31aに導く反射面31b上に、複数の光反射部39を有する。本実施形態において、各光反射部39は、例えば、ドット印刷等によって反射面31b上に形成された円形の反射部材であり、その面積が配設位置に応じて異なる大きさとなっている。具体的には、光反射部39は、例えば、LED10の発光面に対して垂直方向に離間するものほど相対的に大きな面積を有し、且つ、LED10の発光面に対して水平方向に離間するものほど相対的に大きな面積を有する。
【0016】
また、導光板31の出光面31aは拡散板32に対して相対的に傾斜しており、導光板31は、出光面31aが傾斜することにより、拡散板32との間に空隙40を形成する。本実施形態において、出光面31aは、各入射面31cでの導光板31の板厚を最大とし、且つ、入射面31cか離間するにつれて導光板31の板厚を小さくするよう傾斜している。すなわち、本実施形態において、出光面31aは、図2に示すように、その断面形状が、なだらかなV字状となっている。ここで、導光板31の設定に際し、入射面31cでの導光板31の板厚を、各LED10の発光面の幅(導光板31の板厚方向の幅)と一致させることが望ましい。
【0017】
このような構成において、各LED10から導光板31に入射された光は、反射面31b上の各位置に配設された各光反射部39で反射した後、出光面31aから出射する。その際、図3に示すように、出光面31aからの出射光は、導光板31と空気の屈折率差に起因して屈折し、拡散板32に到達するまでの間に、空隙40内を屈折方向に進行する。これにより、導光板31からの出射光を、十分に広角度に拡散させて拡散板32に入射させることができ、面発光部38から出光する光の輝度ムラを容易に平滑化することができる。
【0018】
すなわち、導光板31の出光面31aを拡散板32に対して傾斜させ、導光板31と拡散板32との間に空隙40を形成することにより、導光板31の出光面31aからの出射光を十分な広角度に拡散させて拡散板32に入射させることができ、導光板31の入射面31c近傍の光反射部39を過度に大型化させることなく、入射面31cの近傍で面発光部38から出光する光の輝度ムラを容易に平滑化することができる。従って、導光板31の入射面31c近傍での光量の消費を抑制することができ、LED10等の点光源を用いた場合にも、面発光部38全体としての輝度を高いレベルに維持することができる。
【0019】
その際、出光面31aを、入射面31cでの導光板31の板厚を最大とし、入射面31cから離間するにつれて板厚を小さくする方向に傾斜させることにより、導光板31と拡散板32との間に空隙40を形成した場合にも、バックライト1を厚さ方向に大型化させることを的確に防止できる。しかも、出光面31aの傾斜により、導光板31の板厚が入射面31cから離間するにつれて薄型化するので、その分、導光板31を軽量化させることができ、バックライト1全体としての軽量化を実現することができる。
【0020】
ここで、図4(a)は、導光板31の反射面31b上に所定パターンで配列された複数の光反射部39を有し、且つ、出光面31aと拡散板32との間に空隙40を形成した本実施形態のバックライト1において、各LED10の近傍で面発光部38から出光する光の輝度分布のシミュレーション結果を示す。また、図4(b)は、導光板の反射面上に同一パターンで配列された複数の光反射部を有し、且つ、出光面と拡散板とが略密着したバックライトにおいて、各LED10の近傍で面発光部から出光する光の輝度分布のシミュレーション結果を示す。これらのシミュレーション結果からも明らかなように、導光板31の出光面31aと拡散板32との間に空隙40を形成することにより、面発光部38から出光する光の輝度分布を飛躍的に改善できることが分かる。
【0021】
なお、上述の実施形態では、導光板31の互いに対向する一対の側端面に入射面31cを設定したバックライト1に本発明を適用した場合の一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、導光板の一側端面のみに入射面を設定したバックライト、導光板の互いに隣接する2つの側端面に入射面を設定したバックライト、或いは、導光板の3以上の側端面に入射面を設定したバックライト等にも適用が可能である。例えば、図5に示すように、導光板31の一側端面のみに入射面31cを設定した場合、出光面31aを入射面31c側から該入射面31cに対向する側端面に向けて傾斜させることにより、導光板31と拡散板32の間に良好な空隙40を形成することが可能となる。また、例えば図6に示すように、導光板31の4つの側端面に入射面31cを設定した場合、出光面31aを各入射面31cから導光板31の中心部に向けて傾斜させ、出光面31aを反射面31b側に凹の四角錐形状とすることにより、導光板31と拡散板との間に良好な空隙を形成することが可能となる。
【0022】
また、導光板31の出光面31aに対向する光学部材は、拡散板に限定されるものではなく、例えば、レンズシート等であってもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】バックライトの分解斜視図
【図2】バックライトの要部断面図
【図3】導光板から拡散板に入射する光の挙動の一例を示す説明図
【図4】輝度分布の等高線図
【図5】バックライトの変形例を示す要部断面図
【図6】導光板の変形例を示す斜視図
【符号の説明】
【0024】
1…バックライト、10…発光ダイオード(点光源)、31…導光板、31a…出光面、31b…反射面、31c…入射面、32…拡散板(光学部材)、38…面発光部、39…光反射部、40…空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出光面と反射面とが互いに対向し、これらの少なくとも一側端面に入射面を有する導光板と、前記導光板の入射面に沿って配列する複数の点光源と、前記導光板の出光面に対向配置する光学部材とを具備したバックライトであって、
前記導光板の出光面を前記光学部材に対して傾斜させ、当該出光面の傾斜によって前記導光板と前記光学部材との間に空隙を形成したことを特徴とするバックライト。
【請求項2】
前記出光面は、前記入射面での前記導光板の板厚を最大とし、且つ、前記入射面から離間するにつれて前記導光板の板厚を小さくする方向に傾斜していることを特徴とする請求項1記載のバックライト。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−294560(P2006−294560A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117288(P2005−117288)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】