バックル
【課題】情報表示部材を変更することの可能なバックルを提供する。
【解決手段】バックルは、筒状をなす雌部材2に雄部材1が脱離可能に挿着される。バックルは、情報を表示する情報表示部材3と、情報表示部材3を雌部材2に対して着脱する着脱手段としての係合部31と係合孔27と、係合突部32と係合溝28とを備える。係合部31と係合孔27と、係合突部32と係合溝28とは、雌部材2から情報表示部材3が離脱することを、雄部材1と雌部材2との係合により不可能とし、雄部材1と雌部材2との非係合により可能とする。
【解決手段】バックルは、筒状をなす雌部材2に雄部材1が脱離可能に挿着される。バックルは、情報を表示する情報表示部材3と、情報表示部材3を雌部材2に対して着脱する着脱手段としての係合部31と係合孔27と、係合突部32と係合溝28とを備える。係合部31と係合孔27と、係合突部32と係合溝28とは、雌部材2から情報表示部材3が離脱することを、雄部材1と雌部材2との係合により不可能とし、雄部材1と雌部材2との非係合により可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄部材が雌部材に着脱可能なバックルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のように、名前や誕生日、血液型等の情報が表示されたプレートである情報表示部材が取り付けられたベルト用のバックルが考案されている。特許文献1に記載のバックルは、特に緊急の事態において本人確認する際に身分証の代わりに使用することを目的としている。また、情報表示部材をバックルの裏面に設けることで、バックルの外観が損なわれないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−100608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のバックルでは、情報表示部材がバックルの裏面に固着されているため、情報表示部材に表示される情報の変更が難しい。そのため、情報表示部材を備え、当該情報表示部材の情報を容易に変更できるバックルが求められていた。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報表示部材を備え、当該情報表示部材の情報を変更できるバックルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
本発明の一態様では、筒状をなす雌部材に雄部材が脱離可能に挿着されるバックルであって、情報を表示する情報表示部材と、前記情報表示部材を前記雌部材に対して着脱する着脱手段と、を備え、前記着脱手段は、前記雌部材から前記情報表示部材が離脱することを、前記雄部材と前記雌部材との係合により不可能とし、前記雄部材と前記雌部材との非係合により可能とする。
【0007】
上述した情報表示部材の情報が変更される場合とは、通常、情報表示部の情報が確認される場合ではなく、情報表示部材の情報が新たな情報に更新される場合である。雄部材と雌部材とから構成されるバックルとは、例えば鞄やバックパック等に用いられる。このようなバックルにて情報表示部材の情報が更新される場合とは、一般には、利用者によってバックルが使用されていない場合、すなわち雄部材と雌部材との連結機能がバックルに対して求められない場合である。一方、情報表示部材の情報が確認される場合とは、利用者によってバックルが使用されている場合、すなわち雄部材と雌部材との連結機能がバックルに対して求められる場合が少なくない。
【0008】
この点、上記態様によれば、雌部材に取り付けられた情報表示部材が、雄部材と雌部材との係合により離脱不能になり、雄部材と雌部材との非係合により離脱可能となる。このため、雄部材が雌部材から離脱する非係合状態になることで、情報表示部材の情報が変更可能になる。また、雄部材が雌部材と係合する係合状態では、情報表示部材が雌部材から離脱しないため、こうしたバックルの使用時に情報表示部材が雌部材から脱落することがない。
【0009】
本発明の一態様では、前記雌部材に前記情報表示部材を解除可能に仮止めする仮止め手段を備え、前記着脱手段は、前記非係合の状態で前記仮止めの解除を可能とし、前記係合の状態で前記仮止めの解除を不可能にする。
【0010】
上記態様によれば、雄部材と雌部材との係合が解除されたとしても仮止め手段によって情報表示部材が雌部材に仮止めされるため、雄部材と雌部材との係合の解除と同時に情報表示部材が雌部材から脱落することを抑えることが可能である。
【0011】
本発明の一態様では、前記着脱手段は、前記情報表示部材を表裏交換して前記雌部材に取り付ける表裏交換構造を備える。
上記態様によれば、着脱手段が表裏交換構造を備えたので、情報表示部材の表裏を交換して雌部材に取り付けることができる。
【0012】
本発明の一態様では、前記着脱手段は、前記情報表示部材を前記雌部材に嵌合させる嵌合構造を備える。
上記態様によれば、着脱手段が嵌合構造を備えたので、情報表示部材を雌部材に取り付ける際には、嵌合すればよく、ユーザによる雌部材に対する情報表示部材の着脱操作を容易に行うことができる。
【0013】
本発明の一態様では、前記着脱手段は、前記嵌合構造に加え、前記係合の状態において前記雌部材に嵌合した前記情報表示部材を前記雄部材が係合する係合構造を備える。
上記態様によれば、着脱手段が嵌合構造に加え係合構造を備えたので、雌部材に嵌合した情報表示部材を雄部材によって係合する。このため、バックルの雄部材と雌部材とが係合した係合状態では、情報表示部材を雄部材と雌部材とによって確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バックルに設けられた情報表示部材の情報を容易に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)本発明におけるバックルの第1の実施形態の構成を示す分解斜視図、(b)同実施形態における情報表示部材の裏面を示す図。
【図2】同実施形態における非係合状態のバックルの構成を示す斜視図。
【図3】同実施形態における係合状態のバックルの構成を示す斜視図。
【図4】(a)同実施形態における図2のA−A断面を示す断面図、(b)同実施形態における図3のB−B断面を示す断面図。
【図5】(a)本発明における第2の実施形態の非係合状態のバックルの断面を示す図、(b)同実施形態における係合状態のバックルの断面を示す図。
【図6】(a)本発明における第3の実施形態の非係合状態のバックルの断面を示す図、(b)同実施形態における係合状態のバックルの断面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
図1(a)に示されるように、バックルを構成する雄部材1は、平面視方向から見てE字形状をなす。直方体状をなす雄側基部11には、ベルト等の帯体が挿通される雄側スリット11aが上下方向に沿って形成されている。
【0017】
雄側基部11における上下方向の両端部には、膨大した先端部12を有して互いに対向する上下一対の脚部13が、雄側スリット11aに対して直交する方向である左右方向に延設されている。これら上下一対の脚部13の各々には、該脚部13における雄側基部11側に、上下方向の肉厚が先端部12よりも小さいヒンジ部15が形成されている。また、一対の先端部12の各々は、他方の先端部12とは反対側に突出する係合部としての係合突起16を有している。そして、一対の先端部12が互いに近づくように一対の脚部13が左右方向の外力を受けると、一対の先端部12が互いに近づくように、一対の脚部13が撓曲する。なお、図1の紙面に対して直交する方向である厚さ方向では、上下一対の脚部13における厚さは、該脚部13が延びる方向の全体にわたり略均一であって、且つ雄側基部11の厚さよりも小さい。
【0018】
バックルを構成する雌部材2の雌側基部22には、ベルト等の帯体が挿通される雌側スリット25が上下方向に沿って形成されている。雌側基部22には、上下両側が括れた矩形筒状の筒部21が、雌側スリット25に対して直交する方向に延設されている。筒部21の先端側には、上述した上下一対の脚部13及びガイド部14の挿脱される挿脱孔23が、雌側スリット25に対して直交する方向に沿って形成されている。このような挿脱孔23が筒部21に形成されることによって、該筒部21は、上記上下一対の脚部13及びガイド部14を収納する収納部として機能する。
【0019】
上記筒部21において括れた部分には、挿脱孔23と連通する被係合部としての上下一対の被係合孔24が互いに対向して形成されている。
本実施例のバックルには、個人に関する情報等が記載された情報表示部材3が設けられている。すなわち、情報表示部材3は、板状であって、雌部材2の上部26に装着されている。情報表示部材3における雌部材2の基端側端部下面には、側面視においてL字状の係合部31が設けられている。また、情報表示部材3における雌部材2の先端側端部下面には、先端側から見て逆T字状の係合突部32が設けられている。係合突部32は、情報表示部材3の下方へ延出する基部32aと、基部32aの左右両側方へ延出する側方延出部32bとを備えている。
【0020】
一方、雌部材2の筒部21の上部26の基端側には、係合部31を挿し込んで係合する係合孔27が形成されている。この係合孔27と係合部31とが嵌合構造であって、着脱手段を構成する。また、雌部材2の筒部21の上部26の先端側には、係合突部32を挿入して係合する係合溝28が形成されている。係合溝28の幅は、係合突部32の基部32aの幅とほぼ同一である。よって、係合突部32の側方延出部32bが筒部21の挿脱孔23の内壁に当接して、情報表示部材3が雌部材2の上部26から離間することを規制する。この係合溝28と係合突部32とが係合構造であって、着脱手段を構成する。係合溝28には、係合溝28に挿入された係合突部32の抜け出しを規制する左右一対の規制突起29が形成されている。また、雄部材1のガイド部14の雄側基部11側には、雄部材1が雌部材2に係合した際に、係合溝28に挿入された係合突部32の抜け出しを、係合溝28に挿入されることで規制する規制突部17が形成されている。なお、規制突起29が仮止め手段として機能する。
【0021】
図1(b)に示されるように、情報表示部材3の裏面には、個人に関する情報が記載可能な記載欄33が設けられている。記載欄33には、名前(NAME)、血液型(BLOOD)、アレルギー(ALLERGY)、医薬品(MEDICINE)が記載されている。なお、記載欄33の項目は用途に合わせて任意に設定可能である。
【0022】
次に、上記構成からなるバックルの作用について説明する。
まず、図1(a)に示されるように、雄部材1と雌部材2とが非係合状態であるとき、情報表示部材3の取り外しが可能となる。すなわち、情報表示部材3が雌部材2から取り外されると、情報表示部材3の係合部31が雌部材2の係合孔27に係合していないとともに、情報表示部材3の係合突部32が雌部材2の係合溝28と係合していない。
【0023】
図2及び図4(a)に示されるように、情報表示部材3が雌部材2に取り付けられる際には、情報表示部材3の基端側の係合部31が雌部材2の係合孔27に挿入された後、情報表示部材3の係合突部32が雌部材2の上部26に沿って係合溝28に挿入され、係合突部32の基部32aが規制突起29よりも奥に配置される。
【0024】
図3及び図4(b)に示されるように、雄部材1と雌部材2とが係合状態になると、雌部材2の上部26に取り付けられた情報表示部材3は、雌部材2の筒部21から取り外せないようになる。すなわち、情報表示部材3の係合部31が雄部材1のガイド部14の上面と接することで係合部31の係合孔27からの挿脱を規制するとともに、係合溝28に雄部材1の規制突部17が挿入されることで係合溝28からの係合突部32の抜け出しが規制される。なお、情報表示部材3が規制突起29の規制を超える過度な力で引っ張られると、係合溝28の溝幅が広がり、係合突部32が規制突起29よりも外側へ変位する。
【0025】
そして、緊急時等に情報表示部材3が使用される際には、雄部材1と雌部材2とが係合状態から非係合状態に遷移する。すなわち、雄部材1の左右一対の脚部13の先端部12が内側に押されることで、先端部12の係合突起16と被係合孔24との係合が解除され、先端部12が雌部材2の挿脱孔23内に通過可能となる。そして、図1に示されるように、雄部材1との係合が解除された雌部材2から情報表示部材3が取り外され、裏面の記載欄33が確認されることで、ユーザのパーソナル情報が確認されることとなる。
【0026】
次いで、個人情報の確認が終わった際には、情報表示部材3が表向きで雌部材2に取り付けられる。図3に示されるように、雄部材1が雌部材2に挿入され、脚部13の先端部12が雌部材2の被係合孔24に係合されることで、バックルが係合状態となる。
【0027】
さて、本例のバックルでは、雌部材2の上部26に情報表示部材3が設けられるため、雄部材1と雌部材2とが係合する係合状態では、情報表示部材3の取り外しが規制される。一方で、非係合状態では、情報表示部材3が取り外し可能となる。よって、雄部材1と雌部材2とが係合した係合状態では情報表示部材3が雌部材2に固定され、雄部材1と雌部材2とが非係合状態に遷移することで個人情報が確認可能となる。
【0028】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)雄部材1と雌部材2とから構成されるバックルに情報表示部材3が設けられ、係合孔27と係合部31と、係合溝28と係合突部32とによって係合状態では離脱できず、非係合状態では離脱できる。このため、雄部材1を雌部材2から離脱して非係合状態とすることで、情報表示部材3を雌部材2から離脱することができるので、情報表示部材3の情報を容易に変更できる。
【0029】
また、雄部材1と雌部材2とが係合した係合状態では情報表示部材3が雌部材2から離脱不能になるため、雄部材1と雌部材2とが係合した使用時には、情報表示部材3が雌部材2から脱落することがない。さらに、鞄やバックパック等の装身具や衣類等に用いられるバックルに情報表示部材3が設けられるため、ベルトの取り外しにより情報が確認される態様と比べて、利用者の着衣が乱れることを防ぐこともできる。そして、緊急の事態が発生した際には、バックルの雄部材1と雌部材2との係合が解除され、情報表示部材3が雌部材2から取り外されることによって、情報表示部材3に記載された情報が確認可能になる。
【0030】
(2)バックルの雄部材1と雌部材2との係合が解除されたとしても規制突起29によって情報表示部材3が雌部材2に仮止めされるので、非係合状態においても情報表示部材3が雌部材2から脱落することを抑制できる。また、上述した仮止めが解除される程度の力で情報表示部材3が操作されることで情報表示部材3が雌部材2から取り外されることとなる。
【0031】
(3)係合孔27と係合部31と、係合溝28と係合突部32とが嵌合構造を備えたので、情報表示部材3を雌部材2に取り付ける際には、嵌合すればよく、ユーザによる雌部材2に対する情報表示部材3の着脱操作を容易に行うことができる。
【0032】
(4)係合孔27と係合部31と、係合溝28と係合突部32とが嵌合構造に加え係合構造を備え、雌部材2と嵌合する情報表示部材3が雄部材1と係合する。このため、バックルの雄部材1と雌部材2とが係合した係合状態では、情報表示部材3を雄部材1と雌部材2とによって確実に保持することができる。
【0033】
(5)係合突部32と、係合突部32に係止する規制突起29とを備え、雌部材2から離脱する離脱方向へ情報表示部材3が変位することを規制突起29が規制することで、情報表示部材3が雌部材2に仮止めされる。そして、規制突起29による規制を超える程度の力で情報表示部材3が離脱方向へ変位されることで仮止めが解除される。
【0034】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態について、図5を参照して説明する。この実施形態のバックルは、係合溝28と係合突部32とに代わって、規制ピンと規制孔とが設けられている点、情報表示部材3の裏表を変更して雌部材に取り付けられる裏表交換構造を備えた点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0035】
図5(a)に示されるように、情報表示部材3は、板状であって、上下方向に突出部を備えていない。このため、情報表示部材3は、その表側と裏側とを雌部材2に対して交換することが可能である。
【0036】
雌部材2の上部26の雌側基部22側には、情報表示部材3を紙面左右方向に嵌め込む嵌合凹部41が形成されている。また、雌部材2の上部26の先端側には、情報表示部材3の紙面左右方向へ移動を規制する円柱状の規制ピン42が形成されている。規制ピン42の高さは、情報表示部材3の厚みとほぼ同じである。情報表示部材3の雌部材2の先端側には、雌部材2の規制ピン42を挿入する規制孔34が形成されている。なお、規制ピン42が仮止め手段として機能する。また、嵌合凹部41が嵌合構造として機能する。
【0037】
一方、雄部材1の雄側基部11のガイド部14側には、雄側スリット11aと直交する方向へ突出する規制部18が形成されている。図5(b)に示されるように、規制部18は、雄側基部11の最上部に形成され、雌部材2に雄部材1が挿着された際に、規制ピン42の上部に位置する。なお、規制ピン42と規制部18とが係合構造を構成する。
【0038】
次に、上記構成からなるバックルの作用について説明する。
まず、図5(a)に示されるように、雄部材1と雌部材2とが非係合状態であるとき、情報表示部材3は、表示したい面を選択して、嵌合凹部41に挿し込まれる。そして、情報表示部材3の規制孔34が雌部材2の規制ピン42に係合する。
【0039】
次に、図5(b)に示されるように、雄部材1と雌部材2とが係合状態であるとき、雄部材1の規制部18が雌部材2の規制部18が規制ピン42の上端部を覆い、情報表示部材3を抜け止めする。これにより、雄部材1を雌部材2に挿着した係止状態では情報表示部材3が固定され、雄部材1を雌部材2から取り外すことで個人情報を容易に確認できる。また、情報表示部材3の裏表を交換して取り付けることができるので、情報を表示した状態で、雄部材1を雌部材2に挿着することもできる。
【0040】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(5)に準じた効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(6)表裏交換構造を備えたので、情報表示部材3の表裏を交換して雌部材2に取り付けることができる。
【0041】
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態について、図6を参照して説明する。この実施形態のバックルは、係合溝28と係合突部32とに代わって、係止爪と係止爪を保持するための規制突部が設けられている点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0042】
図6(a)に示されるように、情報表示部材3は、板状であって、雌部材2に係止する係止爪35,36が紙面左右方向端部の下面に設けられている。これら係止爪35,36は、挿脱孔23に挿入され、挿脱孔23への突出量が異なる。基端側の第1係止爪35は、雌部材2の挿脱孔23の内壁に係止する長さに設定されている。先端側の第2係止爪36は、雌部材2の挿脱孔23よりも長く設定されている。なお、これら係止爪35,36が仮止め手段として機能する。
【0043】
雌部材2の上部26には、情報表示部材3を嵌合する嵌合凹部43が形成され、係止爪35,36を挿通する挿通孔44,45が形成されている。雄部材1の雄側基部11のガイド部14側には、雄側スリット11aと直交する方向へ突出する規制突部19が形成されている。図6(b)に示されるように、規制突部19は、雄側基部11の上部に形成され、雌部材2に雄部材1が挿着された際に、挿脱孔23内に挿入されて係止爪36と挿脱孔23の内壁との間に位置する。そして、規制突部19は第2係止爪36の離脱を規制する。なお、嵌合凹部43が嵌合構造として機能する。なお、第2係止爪36と規制突部19とが係合構造として機能する。
【0044】
次に、上記構成からなるバックルの作用について説明する。
まず、図6(a)に示されるように、雄部材1と雌部材2とが非係合状態であるとき、係止爪35,36の位置を合わせて情報表示部材3が雌部材2の嵌合凹部43に嵌合される。そして、情報表示部材3の第1係止爪35が雌部材2の挿脱孔23の内壁に係止する。
【0045】
次に、図6(b)に示されるように、雄部材1と雌部材2とが係合状態であるとき、雄部材1の規制突部19が雌部材2の挿脱孔23の内壁と第2係止爪36との間に挿入され、第2係止爪36の離脱を規制する。これにより、雄部材1を雌部材2に挿着した係止状態では情報表示部材3が固定され、雄部材1を雌部材2から取り外すことで個人情報を容易に確認できる。
【0046】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(5)に準じた効果を奏することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
【0047】
・上記第1の実施形態のバックルでは、係合部31をL字形状としたが、雌部材2に対して情報表示部材3が係合する形状であれば、他の形状を採用してもよい。また、係合部31の情報表示部材3に対する位置は、任意に変更可能である。
【0048】
・上記第1の実施形態のバックルでは、係合突部32によって雌部材2の筒部21に係合したが、係合突部32は情報表示部材3が雌部材2に係合すれば他の形状を採用してもよい。
【0049】
・上記第1の実施形態のバックルは、規制突起29が省略された構成であってもよい。
・上記第1の実施形態のバックルは、規制突部17が省略された構成であってもよい。
・上記第2の実施形態のバックルは、規制ピン42が省略された構成であってもよい。
【0050】
・上記第3の実施形態のバックルは、係止爪35,36の長さを異ならせたが、同じ長さとしてもよい。
・上記第3の実施形態のバックルは、規制突部19に代えて、情報表示部材3の上面を覆う規制部を設けてもよい。
【0051】
・上記各実施形態のバックルは、ガイド部14が割愛された構成であってもよい。
・上記実施形態では、サイドリリースタイプのバックルに本発明を適用したが、フロントリリースタイプのバックルに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…雄部材、2…雌部材、3…情報表示部材、11…雄側基部、11a…雄側スリット、12…先端部、13…脚部、14…ガイド部、15…ヒンジ部、16…係合突起、17…規制突部、18…規制部、19…規制突部、21…筒部、22…雌側基部、23…挿脱孔、24…被係合孔、25…雌側スリット、26…上部、27…係合孔、28…係合溝、29…規制突起、31…係合部、32…係合突部、32a…基部、32b…側方延出部、33…記載欄、34…規制孔、35…第1係止爪、36…第2係止爪、41…嵌合凹部、42…規制ピン、43…嵌合凹部、44,45…挿通孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄部材が雌部材に着脱可能なバックルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のように、名前や誕生日、血液型等の情報が表示されたプレートである情報表示部材が取り付けられたベルト用のバックルが考案されている。特許文献1に記載のバックルは、特に緊急の事態において本人確認する際に身分証の代わりに使用することを目的としている。また、情報表示部材をバックルの裏面に設けることで、バックルの外観が損なわれないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−100608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のバックルでは、情報表示部材がバックルの裏面に固着されているため、情報表示部材に表示される情報の変更が難しい。そのため、情報表示部材を備え、当該情報表示部材の情報を容易に変更できるバックルが求められていた。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報表示部材を備え、当該情報表示部材の情報を変更できるバックルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
本発明の一態様では、筒状をなす雌部材に雄部材が脱離可能に挿着されるバックルであって、情報を表示する情報表示部材と、前記情報表示部材を前記雌部材に対して着脱する着脱手段と、を備え、前記着脱手段は、前記雌部材から前記情報表示部材が離脱することを、前記雄部材と前記雌部材との係合により不可能とし、前記雄部材と前記雌部材との非係合により可能とする。
【0007】
上述した情報表示部材の情報が変更される場合とは、通常、情報表示部の情報が確認される場合ではなく、情報表示部材の情報が新たな情報に更新される場合である。雄部材と雌部材とから構成されるバックルとは、例えば鞄やバックパック等に用いられる。このようなバックルにて情報表示部材の情報が更新される場合とは、一般には、利用者によってバックルが使用されていない場合、すなわち雄部材と雌部材との連結機能がバックルに対して求められない場合である。一方、情報表示部材の情報が確認される場合とは、利用者によってバックルが使用されている場合、すなわち雄部材と雌部材との連結機能がバックルに対して求められる場合が少なくない。
【0008】
この点、上記態様によれば、雌部材に取り付けられた情報表示部材が、雄部材と雌部材との係合により離脱不能になり、雄部材と雌部材との非係合により離脱可能となる。このため、雄部材が雌部材から離脱する非係合状態になることで、情報表示部材の情報が変更可能になる。また、雄部材が雌部材と係合する係合状態では、情報表示部材が雌部材から離脱しないため、こうしたバックルの使用時に情報表示部材が雌部材から脱落することがない。
【0009】
本発明の一態様では、前記雌部材に前記情報表示部材を解除可能に仮止めする仮止め手段を備え、前記着脱手段は、前記非係合の状態で前記仮止めの解除を可能とし、前記係合の状態で前記仮止めの解除を不可能にする。
【0010】
上記態様によれば、雄部材と雌部材との係合が解除されたとしても仮止め手段によって情報表示部材が雌部材に仮止めされるため、雄部材と雌部材との係合の解除と同時に情報表示部材が雌部材から脱落することを抑えることが可能である。
【0011】
本発明の一態様では、前記着脱手段は、前記情報表示部材を表裏交換して前記雌部材に取り付ける表裏交換構造を備える。
上記態様によれば、着脱手段が表裏交換構造を備えたので、情報表示部材の表裏を交換して雌部材に取り付けることができる。
【0012】
本発明の一態様では、前記着脱手段は、前記情報表示部材を前記雌部材に嵌合させる嵌合構造を備える。
上記態様によれば、着脱手段が嵌合構造を備えたので、情報表示部材を雌部材に取り付ける際には、嵌合すればよく、ユーザによる雌部材に対する情報表示部材の着脱操作を容易に行うことができる。
【0013】
本発明の一態様では、前記着脱手段は、前記嵌合構造に加え、前記係合の状態において前記雌部材に嵌合した前記情報表示部材を前記雄部材が係合する係合構造を備える。
上記態様によれば、着脱手段が嵌合構造に加え係合構造を備えたので、雌部材に嵌合した情報表示部材を雄部材によって係合する。このため、バックルの雄部材と雌部材とが係合した係合状態では、情報表示部材を雄部材と雌部材とによって確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バックルに設けられた情報表示部材の情報を容易に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)本発明におけるバックルの第1の実施形態の構成を示す分解斜視図、(b)同実施形態における情報表示部材の裏面を示す図。
【図2】同実施形態における非係合状態のバックルの構成を示す斜視図。
【図3】同実施形態における係合状態のバックルの構成を示す斜視図。
【図4】(a)同実施形態における図2のA−A断面を示す断面図、(b)同実施形態における図3のB−B断面を示す断面図。
【図5】(a)本発明における第2の実施形態の非係合状態のバックルの断面を示す図、(b)同実施形態における係合状態のバックルの断面を示す図。
【図6】(a)本発明における第3の実施形態の非係合状態のバックルの断面を示す図、(b)同実施形態における係合状態のバックルの断面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
図1(a)に示されるように、バックルを構成する雄部材1は、平面視方向から見てE字形状をなす。直方体状をなす雄側基部11には、ベルト等の帯体が挿通される雄側スリット11aが上下方向に沿って形成されている。
【0017】
雄側基部11における上下方向の両端部には、膨大した先端部12を有して互いに対向する上下一対の脚部13が、雄側スリット11aに対して直交する方向である左右方向に延設されている。これら上下一対の脚部13の各々には、該脚部13における雄側基部11側に、上下方向の肉厚が先端部12よりも小さいヒンジ部15が形成されている。また、一対の先端部12の各々は、他方の先端部12とは反対側に突出する係合部としての係合突起16を有している。そして、一対の先端部12が互いに近づくように一対の脚部13が左右方向の外力を受けると、一対の先端部12が互いに近づくように、一対の脚部13が撓曲する。なお、図1の紙面に対して直交する方向である厚さ方向では、上下一対の脚部13における厚さは、該脚部13が延びる方向の全体にわたり略均一であって、且つ雄側基部11の厚さよりも小さい。
【0018】
バックルを構成する雌部材2の雌側基部22には、ベルト等の帯体が挿通される雌側スリット25が上下方向に沿って形成されている。雌側基部22には、上下両側が括れた矩形筒状の筒部21が、雌側スリット25に対して直交する方向に延設されている。筒部21の先端側には、上述した上下一対の脚部13及びガイド部14の挿脱される挿脱孔23が、雌側スリット25に対して直交する方向に沿って形成されている。このような挿脱孔23が筒部21に形成されることによって、該筒部21は、上記上下一対の脚部13及びガイド部14を収納する収納部として機能する。
【0019】
上記筒部21において括れた部分には、挿脱孔23と連通する被係合部としての上下一対の被係合孔24が互いに対向して形成されている。
本実施例のバックルには、個人に関する情報等が記載された情報表示部材3が設けられている。すなわち、情報表示部材3は、板状であって、雌部材2の上部26に装着されている。情報表示部材3における雌部材2の基端側端部下面には、側面視においてL字状の係合部31が設けられている。また、情報表示部材3における雌部材2の先端側端部下面には、先端側から見て逆T字状の係合突部32が設けられている。係合突部32は、情報表示部材3の下方へ延出する基部32aと、基部32aの左右両側方へ延出する側方延出部32bとを備えている。
【0020】
一方、雌部材2の筒部21の上部26の基端側には、係合部31を挿し込んで係合する係合孔27が形成されている。この係合孔27と係合部31とが嵌合構造であって、着脱手段を構成する。また、雌部材2の筒部21の上部26の先端側には、係合突部32を挿入して係合する係合溝28が形成されている。係合溝28の幅は、係合突部32の基部32aの幅とほぼ同一である。よって、係合突部32の側方延出部32bが筒部21の挿脱孔23の内壁に当接して、情報表示部材3が雌部材2の上部26から離間することを規制する。この係合溝28と係合突部32とが係合構造であって、着脱手段を構成する。係合溝28には、係合溝28に挿入された係合突部32の抜け出しを規制する左右一対の規制突起29が形成されている。また、雄部材1のガイド部14の雄側基部11側には、雄部材1が雌部材2に係合した際に、係合溝28に挿入された係合突部32の抜け出しを、係合溝28に挿入されることで規制する規制突部17が形成されている。なお、規制突起29が仮止め手段として機能する。
【0021】
図1(b)に示されるように、情報表示部材3の裏面には、個人に関する情報が記載可能な記載欄33が設けられている。記載欄33には、名前(NAME)、血液型(BLOOD)、アレルギー(ALLERGY)、医薬品(MEDICINE)が記載されている。なお、記載欄33の項目は用途に合わせて任意に設定可能である。
【0022】
次に、上記構成からなるバックルの作用について説明する。
まず、図1(a)に示されるように、雄部材1と雌部材2とが非係合状態であるとき、情報表示部材3の取り外しが可能となる。すなわち、情報表示部材3が雌部材2から取り外されると、情報表示部材3の係合部31が雌部材2の係合孔27に係合していないとともに、情報表示部材3の係合突部32が雌部材2の係合溝28と係合していない。
【0023】
図2及び図4(a)に示されるように、情報表示部材3が雌部材2に取り付けられる際には、情報表示部材3の基端側の係合部31が雌部材2の係合孔27に挿入された後、情報表示部材3の係合突部32が雌部材2の上部26に沿って係合溝28に挿入され、係合突部32の基部32aが規制突起29よりも奥に配置される。
【0024】
図3及び図4(b)に示されるように、雄部材1と雌部材2とが係合状態になると、雌部材2の上部26に取り付けられた情報表示部材3は、雌部材2の筒部21から取り外せないようになる。すなわち、情報表示部材3の係合部31が雄部材1のガイド部14の上面と接することで係合部31の係合孔27からの挿脱を規制するとともに、係合溝28に雄部材1の規制突部17が挿入されることで係合溝28からの係合突部32の抜け出しが規制される。なお、情報表示部材3が規制突起29の規制を超える過度な力で引っ張られると、係合溝28の溝幅が広がり、係合突部32が規制突起29よりも外側へ変位する。
【0025】
そして、緊急時等に情報表示部材3が使用される際には、雄部材1と雌部材2とが係合状態から非係合状態に遷移する。すなわち、雄部材1の左右一対の脚部13の先端部12が内側に押されることで、先端部12の係合突起16と被係合孔24との係合が解除され、先端部12が雌部材2の挿脱孔23内に通過可能となる。そして、図1に示されるように、雄部材1との係合が解除された雌部材2から情報表示部材3が取り外され、裏面の記載欄33が確認されることで、ユーザのパーソナル情報が確認されることとなる。
【0026】
次いで、個人情報の確認が終わった際には、情報表示部材3が表向きで雌部材2に取り付けられる。図3に示されるように、雄部材1が雌部材2に挿入され、脚部13の先端部12が雌部材2の被係合孔24に係合されることで、バックルが係合状態となる。
【0027】
さて、本例のバックルでは、雌部材2の上部26に情報表示部材3が設けられるため、雄部材1と雌部材2とが係合する係合状態では、情報表示部材3の取り外しが規制される。一方で、非係合状態では、情報表示部材3が取り外し可能となる。よって、雄部材1と雌部材2とが係合した係合状態では情報表示部材3が雌部材2に固定され、雄部材1と雌部材2とが非係合状態に遷移することで個人情報が確認可能となる。
【0028】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)雄部材1と雌部材2とから構成されるバックルに情報表示部材3が設けられ、係合孔27と係合部31と、係合溝28と係合突部32とによって係合状態では離脱できず、非係合状態では離脱できる。このため、雄部材1を雌部材2から離脱して非係合状態とすることで、情報表示部材3を雌部材2から離脱することができるので、情報表示部材3の情報を容易に変更できる。
【0029】
また、雄部材1と雌部材2とが係合した係合状態では情報表示部材3が雌部材2から離脱不能になるため、雄部材1と雌部材2とが係合した使用時には、情報表示部材3が雌部材2から脱落することがない。さらに、鞄やバックパック等の装身具や衣類等に用いられるバックルに情報表示部材3が設けられるため、ベルトの取り外しにより情報が確認される態様と比べて、利用者の着衣が乱れることを防ぐこともできる。そして、緊急の事態が発生した際には、バックルの雄部材1と雌部材2との係合が解除され、情報表示部材3が雌部材2から取り外されることによって、情報表示部材3に記載された情報が確認可能になる。
【0030】
(2)バックルの雄部材1と雌部材2との係合が解除されたとしても規制突起29によって情報表示部材3が雌部材2に仮止めされるので、非係合状態においても情報表示部材3が雌部材2から脱落することを抑制できる。また、上述した仮止めが解除される程度の力で情報表示部材3が操作されることで情報表示部材3が雌部材2から取り外されることとなる。
【0031】
(3)係合孔27と係合部31と、係合溝28と係合突部32とが嵌合構造を備えたので、情報表示部材3を雌部材2に取り付ける際には、嵌合すればよく、ユーザによる雌部材2に対する情報表示部材3の着脱操作を容易に行うことができる。
【0032】
(4)係合孔27と係合部31と、係合溝28と係合突部32とが嵌合構造に加え係合構造を備え、雌部材2と嵌合する情報表示部材3が雄部材1と係合する。このため、バックルの雄部材1と雌部材2とが係合した係合状態では、情報表示部材3を雄部材1と雌部材2とによって確実に保持することができる。
【0033】
(5)係合突部32と、係合突部32に係止する規制突起29とを備え、雌部材2から離脱する離脱方向へ情報表示部材3が変位することを規制突起29が規制することで、情報表示部材3が雌部材2に仮止めされる。そして、規制突起29による規制を超える程度の力で情報表示部材3が離脱方向へ変位されることで仮止めが解除される。
【0034】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態について、図5を参照して説明する。この実施形態のバックルは、係合溝28と係合突部32とに代わって、規制ピンと規制孔とが設けられている点、情報表示部材3の裏表を変更して雌部材に取り付けられる裏表交換構造を備えた点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0035】
図5(a)に示されるように、情報表示部材3は、板状であって、上下方向に突出部を備えていない。このため、情報表示部材3は、その表側と裏側とを雌部材2に対して交換することが可能である。
【0036】
雌部材2の上部26の雌側基部22側には、情報表示部材3を紙面左右方向に嵌め込む嵌合凹部41が形成されている。また、雌部材2の上部26の先端側には、情報表示部材3の紙面左右方向へ移動を規制する円柱状の規制ピン42が形成されている。規制ピン42の高さは、情報表示部材3の厚みとほぼ同じである。情報表示部材3の雌部材2の先端側には、雌部材2の規制ピン42を挿入する規制孔34が形成されている。なお、規制ピン42が仮止め手段として機能する。また、嵌合凹部41が嵌合構造として機能する。
【0037】
一方、雄部材1の雄側基部11のガイド部14側には、雄側スリット11aと直交する方向へ突出する規制部18が形成されている。図5(b)に示されるように、規制部18は、雄側基部11の最上部に形成され、雌部材2に雄部材1が挿着された際に、規制ピン42の上部に位置する。なお、規制ピン42と規制部18とが係合構造を構成する。
【0038】
次に、上記構成からなるバックルの作用について説明する。
まず、図5(a)に示されるように、雄部材1と雌部材2とが非係合状態であるとき、情報表示部材3は、表示したい面を選択して、嵌合凹部41に挿し込まれる。そして、情報表示部材3の規制孔34が雌部材2の規制ピン42に係合する。
【0039】
次に、図5(b)に示されるように、雄部材1と雌部材2とが係合状態であるとき、雄部材1の規制部18が雌部材2の規制部18が規制ピン42の上端部を覆い、情報表示部材3を抜け止めする。これにより、雄部材1を雌部材2に挿着した係止状態では情報表示部材3が固定され、雄部材1を雌部材2から取り外すことで個人情報を容易に確認できる。また、情報表示部材3の裏表を交換して取り付けることができるので、情報を表示した状態で、雄部材1を雌部材2に挿着することもできる。
【0040】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(5)に準じた効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(6)表裏交換構造を備えたので、情報表示部材3の表裏を交換して雌部材2に取り付けることができる。
【0041】
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態について、図6を参照して説明する。この実施形態のバックルは、係合溝28と係合突部32とに代わって、係止爪と係止爪を保持するための規制突部が設けられている点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0042】
図6(a)に示されるように、情報表示部材3は、板状であって、雌部材2に係止する係止爪35,36が紙面左右方向端部の下面に設けられている。これら係止爪35,36は、挿脱孔23に挿入され、挿脱孔23への突出量が異なる。基端側の第1係止爪35は、雌部材2の挿脱孔23の内壁に係止する長さに設定されている。先端側の第2係止爪36は、雌部材2の挿脱孔23よりも長く設定されている。なお、これら係止爪35,36が仮止め手段として機能する。
【0043】
雌部材2の上部26には、情報表示部材3を嵌合する嵌合凹部43が形成され、係止爪35,36を挿通する挿通孔44,45が形成されている。雄部材1の雄側基部11のガイド部14側には、雄側スリット11aと直交する方向へ突出する規制突部19が形成されている。図6(b)に示されるように、規制突部19は、雄側基部11の上部に形成され、雌部材2に雄部材1が挿着された際に、挿脱孔23内に挿入されて係止爪36と挿脱孔23の内壁との間に位置する。そして、規制突部19は第2係止爪36の離脱を規制する。なお、嵌合凹部43が嵌合構造として機能する。なお、第2係止爪36と規制突部19とが係合構造として機能する。
【0044】
次に、上記構成からなるバックルの作用について説明する。
まず、図6(a)に示されるように、雄部材1と雌部材2とが非係合状態であるとき、係止爪35,36の位置を合わせて情報表示部材3が雌部材2の嵌合凹部43に嵌合される。そして、情報表示部材3の第1係止爪35が雌部材2の挿脱孔23の内壁に係止する。
【0045】
次に、図6(b)に示されるように、雄部材1と雌部材2とが係合状態であるとき、雄部材1の規制突部19が雌部材2の挿脱孔23の内壁と第2係止爪36との間に挿入され、第2係止爪36の離脱を規制する。これにより、雄部材1を雌部材2に挿着した係止状態では情報表示部材3が固定され、雄部材1を雌部材2から取り外すことで個人情報を容易に確認できる。
【0046】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(5)に準じた効果を奏することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
【0047】
・上記第1の実施形態のバックルでは、係合部31をL字形状としたが、雌部材2に対して情報表示部材3が係合する形状であれば、他の形状を採用してもよい。また、係合部31の情報表示部材3に対する位置は、任意に変更可能である。
【0048】
・上記第1の実施形態のバックルでは、係合突部32によって雌部材2の筒部21に係合したが、係合突部32は情報表示部材3が雌部材2に係合すれば他の形状を採用してもよい。
【0049】
・上記第1の実施形態のバックルは、規制突起29が省略された構成であってもよい。
・上記第1の実施形態のバックルは、規制突部17が省略された構成であってもよい。
・上記第2の実施形態のバックルは、規制ピン42が省略された構成であってもよい。
【0050】
・上記第3の実施形態のバックルは、係止爪35,36の長さを異ならせたが、同じ長さとしてもよい。
・上記第3の実施形態のバックルは、規制突部19に代えて、情報表示部材3の上面を覆う規制部を設けてもよい。
【0051】
・上記各実施形態のバックルは、ガイド部14が割愛された構成であってもよい。
・上記実施形態では、サイドリリースタイプのバックルに本発明を適用したが、フロントリリースタイプのバックルに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…雄部材、2…雌部材、3…情報表示部材、11…雄側基部、11a…雄側スリット、12…先端部、13…脚部、14…ガイド部、15…ヒンジ部、16…係合突起、17…規制突部、18…規制部、19…規制突部、21…筒部、22…雌側基部、23…挿脱孔、24…被係合孔、25…雌側スリット、26…上部、27…係合孔、28…係合溝、29…規制突起、31…係合部、32…係合突部、32a…基部、32b…側方延出部、33…記載欄、34…規制孔、35…第1係止爪、36…第2係止爪、41…嵌合凹部、42…規制ピン、43…嵌合凹部、44,45…挿通孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなす雌部材に雄部材が脱離可能に挿着されるバックルであって、
情報を表示する情報表示部材と、
前記情報表示部材を前記雌部材に対して着脱する着脱手段と、を備え、
前記着脱手段は、
前記雌部材から前記情報表示部材が離脱することを、
前記雄部材と前記雌部材との係合により不可能とし、
前記雄部材と前記雌部材との非係合により可能とする
ことを特徴とするバックル。
【請求項2】
請求項1に記載のバックルにおいて、
前記雌部材に前記情報表示部材を解除可能に仮止めする仮止め手段を備え、
前記着脱手段は、
前記非係合の状態で前記仮止めの解除を可能とし、
前記係合の状態で前記仮止めの解除を不可能にする
ことを特徴とするバックル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバックルにおいて、
前記着脱手段は、
前記情報表示部材を表裏交換して前記雌部材に取り付ける表裏交換構造を備える
ことを特徴とするバックル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のバックルにおいて、
前記着脱手段は、
前記情報表示部材を前記雌部材に嵌合させる嵌合構造を備える
ことを特徴とするバックル。
【請求項5】
請求項4に記載のバックルにおいて、
前記着脱手段は、
前記嵌合構造に加え、前記係合の状態において前記雌部材に嵌合した前記情報表示部材を前記雄部材が係合する係合構造を備える
ことを特徴とするバックル。
【請求項1】
筒状をなす雌部材に雄部材が脱離可能に挿着されるバックルであって、
情報を表示する情報表示部材と、
前記情報表示部材を前記雌部材に対して着脱する着脱手段と、を備え、
前記着脱手段は、
前記雌部材から前記情報表示部材が離脱することを、
前記雄部材と前記雌部材との係合により不可能とし、
前記雄部材と前記雌部材との非係合により可能とする
ことを特徴とするバックル。
【請求項2】
請求項1に記載のバックルにおいて、
前記雌部材に前記情報表示部材を解除可能に仮止めする仮止め手段を備え、
前記着脱手段は、
前記非係合の状態で前記仮止めの解除を可能とし、
前記係合の状態で前記仮止めの解除を不可能にする
ことを特徴とするバックル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバックルにおいて、
前記着脱手段は、
前記情報表示部材を表裏交換して前記雌部材に取り付ける表裏交換構造を備える
ことを特徴とするバックル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のバックルにおいて、
前記着脱手段は、
前記情報表示部材を前記雌部材に嵌合させる嵌合構造を備える
ことを特徴とするバックル。
【請求項5】
請求項4に記載のバックルにおいて、
前記着脱手段は、
前記嵌合構造に加え、前記係合の状態において前記雌部材に嵌合した前記情報表示部材を前記雄部材が係合する係合構造を備える
ことを特徴とするバックル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−75063(P2013−75063A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217261(P2011−217261)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
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