バッテリの充電均等化システム
【課題】エネルギを有効に活用して、蓄電池の充放電を均等に行うことのできる充電均等化システムを提供する。
【解決手段】本発明は、直列に接続された少なくとも2つの蓄電池のステージ(Eti)を備え、各蓄電池のステージ(Eti)は、少なくとも1つの蓄電池(Aij)を有するバッテリ充電均等化システムに関し、少なくとも1つの電源と、各蓄電池のステージ(Eti)と関連づけられ、少なくとも1つの電源(7)により供給され、少なくとも1つのインダクタ(L1i)と、第1端子が少なくとも1つの電源(7)の正極(v2)に接続されている少なくとも1つのキャパシタ(C1i)と、アノードが、蓄電池のステージの負極に接続され、カソードが、少なくとも1つのインダクタの第1端子に接続されている少なくとも1つのダイオード(D1i)と、1つの端子が、少なくとも1つのインダクタの1つの端子に接続されている少なくとも1つのスイッチ(SW1i)とを含む充電装置(5)と、少なくとも1つの電源(7)を制御し、充電される蓄電池のステージに関連する充電装置の少なくとも1つのスイッチを閉じて、少なくとも1つのインダクタがエネルギを蓄積し、エネルギを、関連する蓄電池のステージへ移動させるようになっている制御装置(3)とを含む。
【解決手段】本発明は、直列に接続された少なくとも2つの蓄電池のステージ(Eti)を備え、各蓄電池のステージ(Eti)は、少なくとも1つの蓄電池(Aij)を有するバッテリ充電均等化システムに関し、少なくとも1つの電源と、各蓄電池のステージ(Eti)と関連づけられ、少なくとも1つの電源(7)により供給され、少なくとも1つのインダクタ(L1i)と、第1端子が少なくとも1つの電源(7)の正極(v2)に接続されている少なくとも1つのキャパシタ(C1i)と、アノードが、蓄電池のステージの負極に接続され、カソードが、少なくとも1つのインダクタの第1端子に接続されている少なくとも1つのダイオード(D1i)と、1つの端子が、少なくとも1つのインダクタの1つの端子に接続されている少なくとも1つのスイッチ(SW1i)とを含む充電装置(5)と、少なくとも1つの電源(7)を制御し、充電される蓄電池のステージに関連する充電装置の少なくとも1つのスイッチを閉じて、少なくとも1つのインダクタがエネルギを蓄積し、エネルギを、関連する蓄電池のステージへ移動させるようになっている制御装置(3)とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気またはハイブリッドの輸送車載システムの分野で使用可能な電気化学バッテリの充電均等化システムに関する。本発明は、軽量で大量のエネルギを蓄積する能力を備えているため、この種の適用に適したリチウムイオン(Liイオン)型バッテリにも関する。本発明は、電子的蓄電装置、例えばスーパーキャパシタにも適用可能である。
【背景技術】
【0002】
電気化学バッテリは、数ボルト程度の公称電圧を有する。より正確には、リン酸鉄に基づくLiイオンバッテリの場合は3.3Vであり、酸化コバルトに基づくLiイオン技術の場合は4.2Vである。この電圧が、電力が供給されるシステムの要求に対して低すぎる場合には、複数のセルが直列に接続される。利用可能な容量を増加させ、また、より大電流およびより大電力を供給するため、直列に接続された各セルに対して、1つ以上のセルを並列に配列することが可能である。この場合、並列に接続された複数のセルは、ステージと称されるものを構成する。1つのステージは、最小で1つのセルにより構成されている。ステージは、要求される電圧レベルとなるように直列に接続される。セルを接続したものは、公称電圧バッテリと呼ばれる。
【0003】
バッテリを充電および放電すると、それぞれ、セルの端子電圧を増大または減少させる。セルは、電気化学的に規定される電圧レベルに達すると、充電または放電される。複数のセルからなるステージを備える回路では、ステージの電流は、同じである。従って、ステージの充電または放電のレベルは、セルの固有の特性、すなわち、固有の電気容量と電解質、または電極と電解質との間の接点における直列および並列の寄生内部抵抗とに依存する。この場合、ステージの間の電圧には、製造誤差および経年変化により差が生じる可能性がある。
【0004】
Liイオン技術のバッテリでは、閾値電圧と称される電圧が高すぎるか、または、低すぎると、セルが損傷するか、または、破壊されることがある。例えば、酸化コバルトに基づくLiイオン蓄電池が過充電すると、熱暴走が生じて発火する可能性がある。リン酸鉄に基づくLiイオン蓄電池を過充電すると電解質を分解させて、耐用年数を減少させたり、蓄電池を損傷したりする。例えば、電圧が2Vよりも低下する過放電では、銅からなる場合には、負極の集電子が酸化して、蓄電池は損傷する。従って、安全性および信頼性の点から、充放電を行う間、各蓄電池のステージの端子電圧を監視することは、必須である。各ステージと並列に接続されている監視装置は、この機能を発揮することができる。
【0005】
監視装置は、各セルのステージの充放電の状態を追跡し、1つのステージがその閾値電圧に達した場合、バッテリの充電または放電を停止させるため、その情報を制御回路に送信する機能を有する。しかしながら、直列に配列された複数のセルのステージを有するバッテリの場合、最も多く充電されたステージが、閾値電圧に達して充電が停止されると、他のステージは、完全に充電されない場合がある。反対に、最も放電されたステージが閾値電圧に達して放電が停止されると、他のステージは、完全に放電されない場合がある。従って、各蓄電池のステージの充電は、最適な状態で使用されず、厳格な自律性の制約を有する輸送機関へ適用するのに大きな問題となる。この問題を多少とも解決するため、監視装置には、一般に均等化装置が関連づけられている。
【0006】
均等化装置は、バッテリの充電を最適化する機能を有する。すなわち、直列に接続されたセルのステージを、同じ充電状態、および/または放電状態とする自律性機能を有する。均等化装置には、いわゆる、エネルギ散逸均等化装置とエネルギ移動均等化装置との2つがある。
【0007】
エネルギ散逸均等化装置の場合、ステージの端子電圧は、閾値電圧に達すると、1つ以上のステージの充電電流が迂回し、抵抗器でエネルギが散逸することにより、同じ値となる。あるいはまた、ステージの端子電圧は、閾値電圧に達した1つ以上のステージを放電することにより同じ値となる。しかしながら、このようなエネルギ散逸の均等化装置は、バッテリの充電に必要なエネルギ以上のエネルギを消費するという大きな欠点を有する。この回路は、わずかに低い充電状態である最後のセルが充電を終了させるために、複数のセルを放電させるか、または、複数のセルの充電電流を迂回させる。従って、放散するエネルギは、充電量よりもはるかに大きい。さらに、余分なエネルギは、熱として放散し、かつ蓄電池の耐用年数は、温度が上昇すると、急激に低下する。
【0008】
エネルギ移動均等化装置は、蓄電池バッテリまたは補助電力ネットワークと、蓄電池の階との間でエネルギを交換する。
【0009】
例えば、米国特許第5659237号により、蓄積要素である結合インダクタを使用する複数の出力を有する“フライバック”構造により、補助ネットワークから階にエネルギを移動できる装置が知られている。蓄積要素は、この発明における特別な部材である。このような部材の価格は、実装される部材としては、非常に高価である。
【0010】
中国特許第1905259号には、ステージからバッテリにエネルギを移動できる装置が開示されている。この装置は、各セルに対する蓄積手段としてインダクタを使用している。しかしながら、この装置は、輸送装置へ適用する際、バッテリの均等化のために最適なエネルギの移動を行わせない。実際、バッテリの充電終了は、最後のステージが閾値電圧に達したことによって決定される。バッテリの充電を終了するためには、エネルギを1つ以上のステージから取得し、ステージのグループに戻される。1つ以上のセルのステージの充電が、不十分であると、エネルギは、それを要求する後のステージに優先的に移動させられず、またエネルギが取得されたステージにも移動させられない。従って、均等化においては、それらが過剰な電圧に充電されることを防止するため、充電時に、全てのステージからエネルギを取得する必要がある。このように、均等化には、非常に多くのコンバータが動作するため、極めて大きな損失がある。さらに、充電が既に完了している蓄電池には、無用な交流成分または直流成分が通過することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5659237号明細書
【特許文献2】中国特許第1905259号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、従来技術における上記した欠点を除去した、改善された均等化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明は、直列に接続された少なくとも2つのセルのステージを備え、前記各セルのステージは、少なくとも1つのバッテリを備えるバッテリ均等化システムであって、
− 少なくとも1つの正極と、少なくとも1つの負極とを備える少なくとも1つの電圧源と、
− 前記各バッテリのステージに対して関連づけられ、少なくとも1つの前記電圧源により供給され、かつ
・少なくとも1つのインダクタと、
・第1端子が、少なくとも1つの前記電圧源の正極に接続されている少なくとも1つのキャパシタと、
・アノードが、前記バッテリのステージの負極に接続され、カソードが、少なくとも1つの前記インダクタの第1端子に接続されている少なくとも1つのダイオードと、
・1つの端子が少なくとも1つの前記インダクタの1つの端子に接続されている少なくとも1つのスイッチとを備える充電装置と、
− 少なくとも1つの前記電圧源を制御し、かつ充電される蓄電池の階に関連する充電装置の少なくとも1つの前記スイッチを閉じて、少なくとも1つの前記インダクタがエネルギを蓄積し、前記エネルギを関連するバッテリのステージに移動させるようになっている制御装置
とを含むことを特徴とするバッテリ均等化システムを提供するものである。
【0014】
さらに、このバッテリ均等化システムは、以下の特徴の1つ以上を、個別に、または組み合わせて備えることができる。
【0015】
− 少なくとも1つの前記キャパシタの第2端子は、前記インダクタの第1端子に接続され、少なくとも1つの前記ダイオードのカソードは、前記キャパシタの第2端子に接続され、少なくとも1つの前記スイッチの、第1端子は、前記インダクタの第2端子に接続され、同じく第2端子は、関連する前記バッテリのステージの正極に接続されている。
【0016】
− 前記充電装置は、第1端子が前記電圧源の前記正極に接続され、かつ第2端子が前記インダクタの第1端子に接続されている少なくとも1つの第1キャパシタと、第1端子が電圧源の負極に接続され、第2端子が関連するバッテリのステージの負極に接続されている少なくとも1つの第2キャパシタとを備え、少なくとも1つの前記ダイオードの、アノードおよびカソードは、それぞれ前記第2キャパシタの第2端子と、前記第1キャパシタの第2端子とに接続され、かつ少なくとも1つの前記スイッチの、第1端子は、前記インダクタの第2端子に接続され、同じく第2端子が関連するバッテリのステージの正極の第2端子に接続されている。
【0017】
− 前記充電装置は、第1端子が前記電圧源の正極に接続されている少なくとも1つの第1キャパシタと、第1端子が電圧源の負極に接続され、第2端子がインダクタの第2端子と、関連するバッテリのステージの正極とに接続されている少なくとも1つの第2キャパシタとを備え、少なくとも1つの前記スイッチの、第1端子は、前記第1キャパシタの第2端子に接続され、同じく第2端子は、前記インダクタの第1端子に接続されている。
【0018】
− 前記充電装置は、少なくとも1つの第1インダクタと第2インダクタと、第1端子が前記電圧源の正極に接続され、第2端子が前記第1インダクタの第1端子に接続されている少なくとも1つの第1キャパシタと、第1端子が前記電圧源の負極に接続され、第2端子が前記第2インダクタの第1端子に接続されている少なくとも1つの第2キャパシタと、アノードおよびカソードが、関連するバッテリのステージの負極、および前記第1インダクタの第1端子にそれぞれ接続されている少なくとも1つの第1ダイオードと、アノードおよびカソードが、前記バッテリのステージの負極、および前記第2インダクタの第1端子にそれぞれ接続されている少なくとも1つの第2ダイオードとを含み、少なくとも1つの前記スイッチの、第1端子は、前記インダクタの第2端子に接続され、同じく第2端子は、関連する前記バッテリのステージの正極に接続されている。
【0019】
− 前記制御装置は、前記充電装置に供給する電圧が、前記電圧源の前記正極に予め印加されているとき、充電されるバッテリのステージに関連する充電装置の少なくとも1つの前記スイッチを閉じる速度を制御するように構成されている。
【0020】
− 前記充電装置は、充電状態にある間、関連するバッテリのステージ、およびバッテリの電圧のレベルを、個別に不連続誘導モードで動作するように構成されている。
【0021】
− 前記バッテリ均等化システムは、前記充電装置の全てに供給する1つの電圧源を含んでいる。
【0022】
− 前記バッテリ均等化システムは、前記各充電装置に対する電圧源を含んでいる。
【0023】
− 前記バッテリ均等化システムは、所定数の充電装置のそれぞれに関連する少なくとも2つの電圧源を含んでいる。
【0024】
− 少なくとも1つの電圧源は、前記制御装置により制御される少なくとも1つのスイッチを含んでいる。
【0025】
− 少なくとも1つの電圧源は、デカップリングキャパシタを含んでいる。
【0026】
− 少なくとも1つの電圧源は、2つの制御されるスイッチ、および2つのインダクタを含んでいる。
【0027】
− 少なくとも1つの電圧源は、スイッチおよびトランスを含んでいる。
【0028】
− 少なくとも1つの電圧源は、4つのスイッチ、およびトランスを備えるブリッジを含んでいる。
【0029】
− 少なくとも1つの電圧源は、2つのスイッチ、トランス、および2つのキャパシタを含んでいる。
【0030】
− 少なくとも1つの電圧源は、2つのスイッチ、および一次側にセンタータップを有するトランスを含んでいる。
【0031】
− 前記制御装置は、それぞれが充電状態の間に一定である誘導期間、および開いている期間を有し、少なくとも1つの前記電圧源が有する少なくとも1つの制御される前記スイッチを開閉するように構成されている。
【0032】
− 前記誘導期間は、前記充電装置が不連続誘導モードで動作するように計算される。
【0033】
− 少なくとも1つの前記電圧源は、バッテリの端子に接続される。
【0034】
− バッテリは、少なくとも1つの基本モジュールを含み、各基本モジュールは、直列に接続されている複数のバッテリのステージを備え、前記バッテリ均等化システムは、さらに、前記各基本モジュールの端子に、追加の充電装置を含んでいる。
【0035】
− バッテリは、直列に配置された複数の前記基本モジュールを含み、前記バッテリ均等化システムは、所定数の前記基本モジュールの端子に、追加の充電装置を含んでいる。
【0036】
− 少なくとも1つの前記電圧源は、少なくとも1つの前記基本モジュールの端子に接続されている。
【0037】
− 前記バッテリ均等化システムは、前記制御装置に電圧情報を送信するように構成され、かつ前記バッテリの各ステージの電圧を測定する装置を含んでいる。
【0038】
− 前記蓄電池は、Liイオン型である。
【0039】
− バッテリは、スーパーキャパシタを含んでいる。
【0040】
また、本発明は、上に定義した充電均等化システムのための充電装置を提供するものである。
【0041】
本発明の上記以外の特徴および利点は、非限定的な実施形態、および添付の図面に関する以下の説明から、さらに明らかになると思う。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】直列に接続されたバッテリのステージと、各バッテリのステージのための充電装置、および電源を含むバッテリ充電均等化システムとのブロック図である。
【図2】各充電装置のための電源を含む図1の均等化システムの変形例のブロック図である。
【図3】直列に接続されたバッテリのステージを含む各基本モジュールのための電源を含む、図1の均等化システムの他の変形例のブロック図である。
【図4】各基本モジュールのための追加の充電装置を含む図3の均等化システムの他の変形例のブロック図である。
【図5】均等化システムの充電装置の第1実施形態のブロック図である。
【図6】連続誘導モードにおける図5の充電装置に関連する電源の一実施例のブロック図である。
【図7】不連続誘導モードにおける図5の充電装置に関連する電源の一実施例のブロック図である。
【図8A】図5の充電装置と図6の電源とを含み、誘導期間の電流の流れを示す均等化システムのブロック図である。
【図8B】図5の充電装置と図6の電源とを含み、誘導期間の終わりであり、充電装置のダイオードがブロックするまでの電流の流れを示す均等化システムのブロック図である。
【図8C】図5の充電装置と図6の電源とを含み、充電装置のダイオードが一旦ブロックされた電流の流れを示す均等化システムのブロック図である。
【図9】図5の充電装置と並列なバッテリのステージにおける種々の電流の時間の関数としての変化を示す図である。
【図10】第1シミュレーションのための図5の充電装置と、関連するバッテリのステージとにおける種々の電流の変化の概略曲線を示す。
【図11】第2シミュレーションのための図5の充電装置と、関連するバッテリのステージとにおける種々の電流の変化の概略曲線を示す。
【図12】均等化システムの充電装置の第2実施形態のブロック図である。
【図13】図12の充電装置に関連する電源の一実施例のブロック図である。
【図14】図13の電源の変形例のブロック図である。
【図15】図15Aは、図12の充電装置と図13の電源とを含み、誘導期間の電流の流れを示す均等化システムのブロック図であり、図15Bは、図12の充電装置と図13の電源とを含み、誘導期間が終わり、動作期間までの電流の流れを示す回路のブロック図である。
【図16】図12の充電装置と、並列なバッテリのステージとにおける種々の電流の変化を、時間の関数としての変化を示す図である。
【図17】図12の充電装置と関連する蓄電池のステージとにおける種々の電流の変化を示す概略曲線である。
【図18】均等化システムの充電装置の第3実施形態のブロック図である。
【図19】図19Aは、図18の充電装置と図13の電源とを含み、誘導期間の電流の流れを示す均等化システムのブロック図であり、図19Bは、図18の充電装置と図13の電源とを含み、誘導期間の終わりであり、動作期間までの電流の流れを示す均等化システムのブロック図である。
【図20】図18の充電装置と関連するバッテリのステージとにおける種々の電流の変化の概略曲線を示す図である。
【図21】均等化システムの充電装置の第4実施形態のブロック図である。
【図22】図22Aは、図21の充電装置の第1変形例のブロック図であり、図22Bは、図21の充電装置の第2変形例のブロック図である。
【図23】図23は、図21、図22A、図22Bの充電装置に関連する電源の一実施例のブロック図であり、図23′は、図23の電源の変形例のブロック図である。
【図24】図24Aは、図23の電源の変形例のブロック図であり、図24Bは、図23の電源の他の変形例のブロック図である。
【図25】図25Aは、図21の充電装置と図24Aの電源とを含み、誘導期間の電流の流れを示す均等化装置のブロック図であり、図25Bは、図21の充電装置と図24Aの電源とを含み、誘導期間の終わりであり、動作期間の半分までの電流の流れを示す均等化装置のブロック図である。
【図26】図21の充電装置における種々の電流の、時間の関数としての変化を示す概略図である。
【図27】第1シミュレーションのための図21の充電装置と、関連するバッテリのステージとにおける種々の電流の変化の概略曲線を示す図である。
【図28】第2シミュレーションのための図21の充電装置と、関連するバッテリのステージとにおける種々の電流の変化の概略曲線を示す図である。
【0043】
各図において、実質的に同一の要素には、同じ符号を付してある。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、蓄電池1を示す。この蓄電池1は、直列に接続されるN個のステージEtiを備えている。各ステージEtiは、並列に接続された1つまたは複数のバッテリAijを備えている。添え字iは、ステージの番号を示す。この添え字iは、例えば、図1に示すように、1からNまで変化する。添え字jは、ステージにおける蓄電池の番号を示す。添え字jは、例えば、1からMまで変化する。同じステージEtiの蓄電池Aijの端子は、電気的に相互に接続されている。また、同様にして、各ステージEtiは、隣接するステージEtiと電気的に接続されている。
【0045】
本発明の主題は、直列に接続された少なくとも2つのステージEtiを含む、この種の蓄電池1のための充電均等化システム2である。
【0046】
充電均等化システム2は、図1に示すように、制御装置3と、各バッテリのステージEtiのための複数の同一の充電装置5と、少なくとも1つの電源7とを含んでいる。充電装置5および電源7は、制御装置3により制御される。
【0047】
さらに、充電均等化システム2は、各ステージEtiの電圧を測定し、電圧情報を制御装置3に送信するための電圧測定装置(図示せず)を備えていてもよい。制御装置3は、この電圧情報に基づき、バッテリのステージEtiが充電を必要とするか否かを決定し、それに応じて、バッテリのステージと並列に接続されている充電装置5と、関連する電源7とを制御することができる。
【0048】
各バッテリのステージEtiは、例えば、充電装置5の1つと単一の電源7とに関連付けられている。
【0049】
充電装置5の一方は、各バッテリのステージEtiの負極Niおよび正極Piに接続され、他方は、1つ以上の電源7のv2で示されている正極、およびv1で示されている負極に接続されている。
【0050】
単一の電源7の場合(図1)、後者は、充電装置5の群に接続される。
【0051】
複数の電源7の場合、図2に示すように、電源7の数がステージEtiの数と等しければ、1つの電圧源7は、1つの充電装置5に接続される。
【0052】
図3に示す選択肢として、電源7の数がステージEtiの数よりも少なければ、1つの電圧源7を、複数の充電装置5に接続してもよい。
【0053】
例えば、直列に接続された100の蓄電池を有する電気車両において、直列に接続されている多数のバッテリのステージEtiが使用される場合、例えば、蓄電池1は、それぞれが直列に接続されている10〜12のバッテリのステージEtiを含む基本モジュール9(図3)に直列接続して構成してもよい。従って、電源7は、10〜12の構成要素の端子に接続される。ダイオードおよび制御スイッチの耐電圧は、Liイオンバッテリに応じて、約45V〜60Vに制限される。これは、半導体の分野で標準化されている耐電圧の値である。電気車両の場合、多数の基本モジュール9のメンテナンスが容易になる。
【0054】
さらに、バッテリのステージEtiのための充電装置5に加えて、図4に示すように、同一の充電装置5を、N個のステージに直列に接続して使用してもよい。この変形例は、N個の隣接するステージの間、すなわち、直列に接続された関連する基本モジュール9間で、エネルギを送ることができる。この場合、1つ以上の追加の電源7は、N個のステージの端子に接続された充電装置5にエネルギを供給する。
【0055】
電源7は、充電装置5に、正、負または正負極性の電圧パルスと、形状が変化する例えば、方形波または正弦波の電圧パルスとを供給する。
【0056】
第1実施形態
次に、充電均等化システム2の充電装置5および電源7の第1実施形態について説明する。
【0057】
充電装置
図5を参照して、第1実施形態の充電装置5は、
− インダクタL1iと、
− 第1端子が電源7の極v2に接続され、第2端子がインダクタL1iの第1端子に接続されるキャパシタC1iと、
− アノード及びカソードがステージの極NiおよびキャパシタC1iの第2端子にそれぞれ接続されるダイオードD1iと、
− 第1端子がインダクタL1iの第2端子に接続され、第2端子がステージの極Piに接続される、例えば、MOSFETからなるスイッチSW1iとを含んでいる。
【0058】
制御装置3は、スイッチSW1iを開閉することができる。
【0059】
電源7の極v1が、蓄電池バッテリ1(図1〜図4)の負極Niに接続される場合、この第1実施形態の充電装置5は、充電装置5が接続されるバッテリのステージEtiと、このステージEtiの下に配置されているバッテリのステージとを介して、電源7の極v1が接続されているという特有の特徴を有する。
【0060】
この種の充電装置5は、連続誘導モードまたは不連続誘導モードで動作する。
【0061】
不連続誘導モードでの動作は、コストがより安く、かつより容易に実行できるという利点があるため、好ましい。
【0062】
不連続誘導モードでは、インダクタL1iの電流は、その名のとおり、充電装置5が動作する各期間Tの前に中断される。電源7がエネルギを供給しているときのインダクタL1iにおける電流値は、インダクタL1iの端子に印加される電圧、インダクタL1iにおけるエネルギの蓄積時間、及びその値から推測することができる。その後、電源7は、固定された誘導期間の命令によって制御可能である。
【0063】
一方、連続誘導モード(図6)では、直列に接続されているバッテリのステージに対して、例えば、スイッチとして動作するトランジスタを使用する切り替えモードの電流監視装置12とともに、調整ループ11および基準電流変数13に関連する電流センサ10を使用する必要がある。連続誘導モードでは、電圧源7が各充電装置5に必要である。この場合、電源7は、パルス幅変調モードにより制御される。
【0064】
不連続誘導モードでは、本発明は、キャパシタC1iによって直流電流を阻止することにより、全ての充電装置5を電源7の出力に並列に接続することができる。
【0065】
変形例では、各充電装置5の出力にキャパシタ(図示せず)を追加してもよい。このキャパシタは、端子NiとスイッチSW1iの第1端子との間に接続される。この種のキャパシタは、充電装置5に起因するリップル電流をフィルタリングするように設計される。従って、平滑化された直流電流は、充電装置5の動作中、各蓄電池のステージに供給される。
【0066】
また、スイッチSW1iの位置は、キャパシタC1iに直列に接続するように変更することが可能である。
【0067】
スイッチSW1iは、他の2つの位置を取ることが可能である。すなわち、スイッチSW1iは、電源7の出力v2およびキャパシタC1iの第1端子、または、キャパシタC1iの第2端子およびダイオードD1iのカソードのいずれかに接続することが可能である。
【0068】
他の変形例として、ダイオードに代えて、各充電装置5に制御スイッチを使用して構成することができる。この場合、いわゆる同期整流が可能である。充電装置5の効率は、素子のオン状態における電圧降下を減らすことにより、向上させることができる。
【0069】
電源
電源7は、種々の構成とすることが可能である。例えば、一実施形態では、正電圧パルスのみを供給する電源7が適用可能である。
【0070】
図7は、第1実施形態の充電装置5に関連する電圧源7の実施形態を示す。
【0071】
電源7は、蓄電池1の端子NおよびPに接続される、例えば、MOSFETであるスイッチSW2iおよびSW3iを含んでいる。2つのスイッチSW2iおよびSW3iの端子には、いわゆるデカップリングキャパシタC3iを接続することができる。
【0072】
電源7は、蓄電池1の端子、または補助電源(例えば、車両の電源12V)の端子と同様に、基本モジュール9の端子に接続することができる。
【0073】
動作
次に、図8A〜図8Cおよび図9を参照して、第1実施形態の動作について説明する。
【0074】
充電装置5は、充電が継続している所定のステージを充電することができる。上述した理由から、不連続誘導モードによる動作が好ましい。
【0075】
例えば、制御装置3がステージEti、例えば、ステージEt1へのエネルギの移動を指令する場合、対応するステージEtiと並列に接続されている充電装置5のスイッチSW11が、制御装置3により閉じられる。
【0076】
また、充電装置5に電力を供給する電源7は、制御装置3により制御される。
【0077】
ステージEt1と直列に接続されているステージは、各ステージと並列に接続されている充電装置5のスイッチSW11が開状態である間、充電されない。
【0078】
充電装置5の動作の開始に先立って、電源7が動作していた場合、大きすぎる電流がステージに供給されるのを阻止するため、スイッチSW11の閉じる速度を制御する必要がある。
【0079】
スイッチは、それらがブロックされた状態であるとき、完全であると見なされ、従って、この状態にあるとき、電流の流れは阻止される。
【0080】
第1変形例:デカップリングキャパシタのない電源
スイッチSW2iおよびSW3iの端子に、デカップリングキャパシタC3iがない図6の電源7を考える。
【0081】
図8A〜図8Cおよび図9を参照して、誘導期間t1の間、電源7の端子v1、v2間に正電圧が印加される。スイッチSW2iは閉じられ、スイッチSW3iは開かれる。従って、電源7は、スイッチSW2iが閉じられ、スイッチSW3iが開かれている間、正電圧パルスを供給する。
【0082】
期間t1の電流の流れは、図8Aの点線の矢印で概略的に示される。
【0083】
エネルギは、インダクタL11に蓄積される。キャパシタC11は、インダクタL11の端子に十分な電流を供給して準定電圧を印加するため、十分に大きな容量が必要である。インダクタL11の電流は、充電中のステージEt1の電圧よりも低く、蓄電池1の電圧とほぼ等しく、その端子に印加される電圧に比例して増加する。電流は、ステージEt1の上に配置されているステージに流れる。ダイオードD11は、この状態の間、ブロックされる。ダイオードD11の端子電圧は、蓄電池1の負電圧と等しい。
【0084】
期間t1が終了すると、電圧源7の出力電圧は零になる。電圧源7のスイッチSW21が開く。スイッチSW21が完全に開くと、スイッチSW31が閉じる。
【0085】
このとき、インダクタL11の電流は、電圧源7がエネルギを供給しているときのインダクタの端子に印加される電圧にt1を乗算し、インダクタの値で割った値とほぼ等しいピーク値Ipicに達する(図9)。この式は、充電装置5の各動作期間の前に、インダクタの電流が零であることを考慮した近似式である。
【0086】
充電装置5は、インダクタL11の電流が負になった後、ダイオードD11がブロックされ、従って、充電装置5の動作の各期間Tの前に、正負の値の間で振動するという特徴を有する。この特有の特徴は、キャパシタC11を流れる平均電流が、定常状態において、充電装置5の動作の各期間Tで零でなければならない点で必然的なものである。
【0087】
期間t1が終了し、ダイオードD11がブロックされるまで、電圧源7は、端子v1、v2の電圧を零にする。スイッチSW31が閉じ、スイッチSW21が開く。この状態での電流の流れは、図8Bの鎖線の矢印で概略的に示されている。
【0088】
インダクタL11の電流は、オン状態のダイオードD11での電圧低下よりも低く、蓄電池のステージEt1の負電圧と等しく、その端子に印加される電圧に比例して減少する。ダイオードD11は、その中を流れる電流が相殺されるまでの間、オンである。ダイオードD11が一旦ブロックされるときの電流の流れは、図8Cの点線の矢印で概略的に示されている。
【0089】
上述したように、インダクタL11の電流は、ダイオードD11の誘導後、負になり、次いで、正負の値の間で振動する(図9)。この状態の間の電流の振動周波数は、キャパシタC11およびインダクタL11の固有の共鳴周波数によって概略的に決まる。この電流は、充電中のステージEt1、ステージEt1に下に配置されているステージ、キャパシタC11、インダクタL11およびスイッチSW31を介して流れる。
【0090】
期間Tが終了し、スイッチSW11がまだ閉じた状態であると、動作の新たなシーケンスが開始される。電圧源7は、バッテリが短絡することを防止するため、2つのスイッチSW21、SW31が同時にオンとならないように制御される。スイッチSW31が開き、スイッチSW21が閉じる間、インダクタL11の電流は、ダイオードD11の電流が継続して流れるように、強制的に零または正にする。キャパシタC11およびインダクタL11の固有の共鳴周波数は、装置を設計する際に考慮する必要がある。
【0091】
インダクタL11の電流が負であるならば、スイッチSW21は、例えば、スイッチSW21に逆並列に接続されるダイオードを使用することで、電流の流れに関して双方向とする必要がある。
【0092】
第2変形例:デカップリングキャパシタを有する電圧源
スイッチSW2iおよびSW3i(図6)の端子に、デカップリングキャパシタC3iを使用する場合、スイッチSW2iが閉じられると、電流の循環が変更される。また、キャパシタC3iは、インダクタL1iに流れる電流の一部を供給する。この電流は、充電中のステージEtiと、このステージEtiの下に配置されているステージとにより閉回路を形成する。供給される電流の値は、N個のステージに対する充電中のステージEtiの位置に依存する。ステージEtiがバッテリの端子Nに近いほど、充電中のステージEtiの上に位置するステージを流れる電流に対して、キャパシタC3iにより供給される電流の値は大きくなる。
【0093】
設計
式
充電装置5(図5)の設計は、上述した動作を表す式を使用して決定される。式は、関連する電圧源7(図6)に対して有効である。
【0094】
以下に説明する式は、一般化しうる。そのため、入力電圧および出力電圧を、それぞれVeおよびVsと表す。電圧Veは、蓄電池1の端子N、P間の電圧である。電圧Vsは、蓄電池のステージEtiの端子Ni、Pi間の電圧である。
【0095】
設計を簡単にするため、キャパシタC1iの端子電圧は、零でない場合、充電装置5の動作の期間Tにおいて一定と見なされる。
【0096】
期間t1の間、インダクタL1iの電流(iL1i)は、増加する。電流は、動作の各期間Tにおいて零と見なされる。スイッチSW2i、SW1iのオン状態での電圧降下を無視し、オン状態のダイオードD1iによる電圧降下Vdを考慮すると、電流iL1i(t)は、次のようになる。
【0097】
【数1】
【0098】
期間t1が終了すると、スイッチSW2iが開く。インダクタの電流は、以下のピーク値に達する。
【0099】
【数2】
【0100】
期間t1が終了し、インダクタL1iの電流が相殺されるまで、ダイオードD1iが導通する。インダクタL1iの電流は、以下の式に従って減少する。
【0101】
【数3】
【0102】
不連続誘導モードで動作する充電装置5の誘導期間t1を超えない値t1(max)は、式3により定めることができる。インダクタの電流は、動作の各期間Tに対し、零または正でなければならない。キャパシタC1iおよびインダクタL1iの通常の振動期間は、式4を定める際に考慮される。期間t1(max)は、2つの項AおよびBに依存する。最悪の場合を考えると、項Aは、最大の入力電圧Veおよび最小の出力電圧Vsに対して評価される。項Bは、入力電圧および出力電圧に依存するとともに、平均出力電流Isi(moy)に依存する。項Bは、一定であり、従って、最大入力電圧、最小出力電圧および最大出力平均電流に対して評価されるか、または、反対に、最小入力電圧、最大出力電圧および最小出力平均電流に対して評価される。
【0103】
【数4】
【0104】
充電装置の出力電流は、インダクタL1iの電流と等しい。充電装置5の平均出力電流は、式5から計算される。キャパシタC1iの平均電流が、定常状態で零であれば、平均出力電流Isi(moy)は、ダイオードD1iの平均電流と等しい。電流Isi(moy)は、入力電圧Veの自乗に比例し、出力電圧Vsに反比例する。蓄電池のステージの電圧にかかわらず、所定期間t1の間、所望の平均電流を供給するためには、最大出力電圧および最小入力電圧を考慮する必要がある。
【0105】
【数5】
【0106】
充電されたステージEtiの電流iEti(t)は、動作する充電装置5の数と、ステージEtiに対するそれらの位置とに依存する。
【0107】
ステージEtiに並列な充電装置5だけが動作している場合、ステージEtiの電流は、t1とTとの間、インダクタL1iの電流と等しく、残りの期間は零である。この変形例は、図9に実線で示してある。
【0108】
ステージEtiの上に配置されている動作しているL個の充電装置5を考慮すると、対応する充電装置のダイオードD1iがブロックされているとき、追加電流は、ステージEtiを流れる。この状態では、充電装置が同一であることを考慮すると、電流iEti(t)は、キャパシタC1iの電流に動作している充電装置の数L+1を掛けた電流と等しい。この変形例は、図9のL=1の点線で示されている。
【0109】
ステージEtiの下に配置され、動作しているM個の充電装置を考慮すると、追加電流は、期間t1の間、ステージEtiを流れる。この状態では、充電装置が同一であることを考慮すると、電流iEti(t)は、インダクタL1iの電流に動作している充電装置の数Mを掛けた逆方向の電流と等しい。この変形例は、図9のM=1の破線で示されている。
【0110】
充電されたステージの電流の平均値IEt(moy)は、式6から得られる。
【0111】
【数6】
【0112】
例
例えば、各充電装置5は、蓄電池のステージEtiの充電状態を追跡することができ、10個のステージの端子に接続されている。単一の電圧源7が、すべての充電装置5に供給するために考慮される。電圧源7は、直列に接続された10個のステージの端子に接続されている。
【0113】
設計は、2つのステップに分けられる。まず、電圧源7のスイッチSW2iの最大誘導期間t1を、不連続誘導モードでの充電装置の動作のために計算する。次に、充電装置の出力に所望の平均電流を供給するためのインダクタL1iの最大値を求める。
【0114】
次の定義を適用する。
− 平均出力電流(最小値Isi(moy)):1A
− 特定動作周波数(F):50kHz、すなわち、T=1/F=20μs
− 1つの蓄電池の電圧(リン酸鉄に基づくLiイオン):
・最小電圧:2.5V
・最大電圧:3.6V
− ダイオードのオン状態における電圧降下(Vd):0.3V〜0.7V
【0115】
キャパシタC1iは、十分な電流を流し、充電装置5のインダクタL1iの端子に準定電圧を印加するように設計されている。6A程度のピーク電流、および2.0μsの期間t1に対する3V程度の電圧降下を考慮し、キャパシタの値は、2μF程度である。キャパシタの値は、典型的には、1μF〜10μF程度である。
【0116】
期間t1の最大値、およびインダクタL1iのインダクタンスは、以下のようにして計算される。期間t1(max)は、充電装置5のダイオードD1iの最小電圧降下、最大入力電圧および最小出力電圧の項Aを計算し、最小平均出力電流、最小入力電圧および最大出力電圧の項Bを計算し、阻止キャパシタの値を2μFとし、これらを使用して計算される。最大インダクタンスL1iは、期間t1(max)で項Bを計算するために使用された同じ条件を使用して計算される。期間t1(max)は、ピーク電流を最小にするインダクタL1iのインダクタンスと、インダクタ、スイッチおよびダイオードのrms(自乗平均)電流とを計算するために使用される。なお、堅牢性の理由から、より小さい値を用いることが可能である。充電装置の出力にフィルタキャパシタを使用することは、期間t1(max)およびインダクタL1iのインダクタンスを決定する工程を変更するものではない。
【0117】
【数7】
【0118】
【数8】
【0119】
シミュレーション
例として、2つのシミュレーション結果を、図10および図11に示す。
【0120】
第1シミュレーション(図10):
第1シミュレーションでは、蓄電池Aijのほとんどの部分が、2.5Vの閾値電圧に充電され、ステージ7の1つの蓄電池が、例えば、3.6Vに充電される。充電装置5は、最大の充電電圧、すなわち、3.6Vの蓄電池に並列に接続される。
【0121】
シミュレートされる電圧源7は、デカップリングキャパシタC3iのない図6に示される発生器である。
【0122】
第1の結果は、平均出力電流が少なくとも1Aでなければならない動作の極端な場合を示す。
【0123】
図10は、この第1シミュレーションの結果を示す。曲線C1は、インダクタL17の電流、曲線C2は、キャパシタC17の電流、曲線C3は、ダイオードD17の電流、および、曲線C4は、最大の充電電圧を有する蓄電池の電流を示す。
【0124】
先立つ動作として、上述したように、インダクタL17の電流は、期間t1の間、増加する。この期間t1の間、電流は、充電中の蓄電池に流れず、充電中の蓄電池の上に配置されている蓄電池に流れる。ダイオードD17は、この状態の間、ブロックされる。
【0125】
期間t1が終了すると、電流値は、この例では、10.7A程度のピークの値に達する。期間t1から、インダクタの電流は減少し、蓄電池に供給される。ダイオードD17が導通し、インダクタL17の消磁が可能となる。インダクタL17の電流は、装置の動作の各期間の前に相殺されるため、回路は不連続誘導モードで動作する。充電されている蓄電池に流れるインダクタL17の電流は、ダイオードD17がブロックされるとき、すなわち、電流iD17が相殺されるとき、負になる。この電流iL17は、キャパシタC17およびインダクタL17に対する固有の振動周波数に近い周波数で振動する。この電流iL17は、インダクタL17、充電中の蓄電池、充電中のステージの下に配置されている蓄電池、キャパシタC17およびスイッチSW31を介して流れる。従って、定常状態のキャパシタC17の平均電流は、動作期間中、零である。
【0126】
平均出力電流Is7(moy)は、約1.9Aである。1Aの最小平均電流は、充電された蓄電池のどのような電圧にも従う。電流は、装置の設計パラメータとして仮定されたように、主として各期間Tの電流が零でないため、所望の値よりも大きい。従って、インダクタのピーク電流は、1Aの平均電流を供給するのに必要な値よりも大きい。従って、高いインダクタンスのピーク電流の自乗に比例する平均電流の影響は大きい(式5)。
【0127】
第2シミュレーション(図11):
第2シミュレーションでは、ほとんどの蓄電池が、3.6Vの閾値電圧に充電され、1つの蓄電池、例えば、7番目の蓄電池は、2.5Vに充電される。充電装置5は、最も低い充電電圧、すなわち、2.5Vのこの蓄電池に並列に接続される。従って、充電装置は、7番目のステージEt7の端子に接続される。
【0128】
第2の結果は、充電装置が不連続誘導モードで動作し、動作の各期間Tの前に、インダクタL1iの電流が、零または正でなければならない極端な場合を示す。
【0129】
図11は、この第2シミュレーションの結果を示す。曲線C5は、インダクタL17の電流、曲線C6は、キャパシタC17の電流、曲線C7は、ダイオードD17の電流、曲線C8は、最小の充電電圧を有する蓄電池の電流を示す。
【0130】
インダクタL17の電流は、装置の動作の各期間の前に相殺されるため、回路は、不連続誘導モードで動作する。インダクタL1iの電流が、正または零である不連続誘導の動作は、充電された蓄電池のどのような電圧にも従う。
【0131】
平均出力電流Is7(moy)は、約3.4Aである。この値は、1Aの最小値よりも大きい。実効電流(rms)は、充電中のステージの上下に配置されているステージを介して、約1.7Aまで上昇する。平均電流は、約330mAである。
【0132】
第2実施形態
次に、充電均等化システム2の第2実施形態について説明する。
【0133】
充電装置
図12に示すように、第2実施形態の充電装置5は、図5に示す第1実施形態とは、第1端子が、第1キャパシタC1iが接続されている電圧源7の極v1に接続され、第2端子が、ステージEtiの極Niに接続されている第2キャパシタC2iを含む点で異なる。
【0134】
このキャパシタC2iは、電圧源7により供給されるいくつか、または全ての電流の復帰経路を提供する。
【0135】
電圧源
この第2実施形態は、例えば、正の電圧パルスのみを供給する電圧源7に等しく適用できる。
【0136】
この第2実施形態の充電装置5に対して、それぞれ、図13および図14に示す電圧源7の2つの変形例を提供することが可能である。
【0137】
第1変形例(図13):
この電源7は、2つのインダクタL3iおよびL4iが蓄電池1の端子NおよびPに直列に実装されている点で、図6に示す第1実施形態の電圧源7とは異なる。
【0138】
従って、電源7のスイッチSW3iまたはSW2iが閉じるとき、充電装置5の第2キャパシタC2iに電流が強制的に流れる。いわゆるデカップリングキャパシタC3iは、2つのスイッチの端子に接続しなければならない。
【0139】
第2変形例(図14):
図14に示す電源7は、その一部に、デカップリングキャパシタC3i、スイッチSW2iおよびトランスT1iを含んでいる。この電源7は、第1変形例(図13)の電圧源7と比較して、素子の数を最小にするという利点を有する。
【0140】
動作
図13に示す電源7に関連する第2実施形態の動作につき、次に説明する。図15A、図15Bは、ステージEt1の充電の対応を示し、図16は、より一般的なステージEtiの充電の対応を示す。
【0141】
ステージEt1、Eti、インダクタL31、L3iおよびL41、L4iの電流は、インダクタの電流がキャパシタC31、C3iの平均電流に対して定常状態の動作期間では、零である必要のあることが、図に鎖線の矢印で概略的に示されている。電流は、直流と見なされ、従って、動作期間Tの間、一定である。図16では、この電流は、階Etiの電流iEti(t)の表示において無視されている。
【0142】
動作は、第1実施形態におけるのと実質的に同じである。第1実施形態に対して追記することは、期間t1の間、図15Aの点線の矢印で示される電流が、ステージNを除くステージEt1、Etiの上下に配置されているすべてのステージに流れることである。電流は、充電装置5の全ての第2キャパシタC2j(j=1〜N)へ流れる。理想的な場合、電流は、全てのキャパシタに対して均等に分割される。また、期間t1が終了し、動作期間T(図15B)が終了するまで、電流は、ステージEt1、充電中のステージEt1の上下に配置されている充電装置5の第2キャパシタC2jの組、インダクタL11、L1i、キャパシタC11、C1iおよびスイッチSW31、SW3i(点線で示す)を介して流れる。
【0143】
第1実施形態と比較すると、この第2実施形態は、充電されていないステージの実効電流(rms)を減少させる利点を有する。
【0144】
期間t1の間であり、また、ダイオードD11、D1iがブロックされた瞬間から、期間Tの終了までのキャパシタC11、C1iの電流は、充電装置5のキャパシタC2jの間で分割される。ステージが充電中のステージに近いほど、このステージを流れる実効電流(rms)は大きくなる。
【0145】
さらに、例えば、ステージEt1、Etiの端子N1、Niと、ダイオードD11、D1iのアノードとの間に直列に接続される各充電装置にスイッチ(図示せず)を追加することにより、充電されていないステージの実効電流(rms)を最小にすることができる。このスイッチは、動作している1つ以上の他の充電装置5の電流の一部が、動作していない充電装置5のキャパシタC2jへ流れることを阻止する。この場合、充電されていないステージを流れる実効電流(rms)は、理論的には、バッテリにより供給される直流電流の値と等しい。
【0146】
設計
充電装置5(図12)の設計は、上述した動作を規定する式に基づいて行われる。式は、関連する電圧源7(図13)に有効である。簡単な設計では、キャパシタC1iおよびC2iの端子電圧は、電圧がある場合には、充電装置5の動作期間Tの間、一定と見なされる。
【0147】
インダクタL1iの電流(iL1i)の式1〜3は、第2実施形態および第1実施形態と同じであり、同様にして、誘導期間t1を超えない値(t1(max))を規定する式4と、平均出力電流を規定する式5とが適用される。
【0148】
iEti(t)で示される充電されたステージEtiの電流は、動作している充電装置の数、ステージEtiに対する充電装置の位置、および、ステージの数に対するステージEtiの位置に依存する。ステージEti(図16)の下に配置されている動作中の充電装置5の数Mと、ステージEtiの上の動作中の充電装置5の数Lとを考慮すると、期間t1の間のステージEtiの電流は、式7により近似することが可能である。ダイオードD1iがブロックされた瞬間から、期間Tの終了までのステージEtiの電流は、同じ式により近似させることが可能である。
【0149】
【数9】
【0150】
従って、定常状態では、キャパシタC1iの平均電流が、動作期間中零であれば、期間t1の間のダイオードD1iがブロックされた瞬間から、期間Tの終了までのステージEtiの平均電流は、零である。インダクタL3i、L4iの電流を考慮すると、充電されたステージの平均電流(lEti(moy))は、式6により定められる。
【0151】
この第2実施形態では、デカップリングキャパシタC3iが、電圧源7に実装して使用される。このキャパシタC3iは、端子の所定の電圧降下を有する充電装置5に必要な電流を供給するように定められる。キャパシタC3iの端子の電圧降下は、出力電流の関数として、式9により与えられる。Kは、動作している充電装置5の数である。
【0152】
【数10】
【0153】
シミュレーション
キャパシタC2iは、キャパシタC1iと同じ固定された2μFの値を有する。シミュレートされる電圧源は、図13に示されている。
【0154】
2つのインダクタL3i、L4iの値は、電力電子変換器の分野における典型的な値である100μHに固定されている。
【0155】
10μFのデカップリングキャパシタC3iを使用する。このキャパシタは、端子の所定の電圧降下を有する充電装置5に必要な電流を供給するように定められる。キャパシタの端子の電圧降下は、出力電流の関数として、式9により与えられる。
【0156】
第2実施形態の充電装置5の設計は、第1実施形態の充電装置の設計と同じである。従って、受動素子L1i、C1iの同じ値に対して、第1実施形態および第2実施形態の充電装置5の平均出力電流が同じであることを確認するため、1つのシミュレーション結果だけを示す。
【0157】
シミュレーション結果は、装置が不連続誘導モードで動作し、また、インダクタL1iの電流が各動作期間の前に、零または正でなければならない極端な動作状態を示す。
【0158】
図17は、シミュレーション結果を示す。曲線C9はインダクタL17の電流、曲線C10は、キャパシタC17の電流、曲線C11は、ダイオードD17の電流、曲線C12は、最小の充電電圧を有する蓄電池の電流を示す。
【0159】
平均出力電流Is7(moy)は、約3.3Aである。これは、第1実施形態で得られた平均電流(約3.4A)に非常に近い。従って、第1実施形態および第2実施形態の設計は、同様である。
【0160】
インダクタL41、L31の平均電流は、約330mAである。充電中のステージEtiの上下に配置されているステージの平均電流は、330mAである。これは、第1実施形態の充電されていないステージの平均電流と同じである。
【0161】
ステージ8の実効電流(rms)は、610mAである。充電中のステージEtiの上に配置されているステージの実効電流(rms)は、ステージEtiからの距離が増加すると減少する。ステージ10の実効電流(rms)は、インダクタL31、L41の直流電流、すなわち、330mAである。ステージ6の実効電流(rms)は、915mA程度である。充電中のステージEtiの下に配置されているステージの実効電流(rms)は、ステージEtiからそのステージまでの距離が増加すると、減少する。ステージ1の実効電流(rms)は、360mA程度である。ステージの実効電流(rms)は、第1実施形態に対して、最悪の場合、少なくとも1.8の因子で減少する。
【0162】
第3実施形態
次に、充電均等化システム2の第3実施形態について説明する。
【0163】
充電装置
図18は、充電装置5の第3実施形態を示す。この第3実施形態は、次の点で第2実施形態と異なる。
− 第2キャパシタC2iの第2端子は、インダクタL1iの第2端子、およびステージの極Piに接続されている。
− ダイオードD1iのカソードは、インダクタL1iの第1端子に接続されている。
− スイッチSW1iは、キャパシタC1iの第2端子、およびインダクタL1iの第1端子に接続されている。
【0164】
変形例として、充電装置5に起因するリップル電流をフィルタリングするように設計されるキャパシタ(図示せず)を追加することが可能である。第1実施形態および第2実施形態のように、端子NiとスイッチSW1iの第1端子との間に接続する代わりに、第3実施形態では、このキャパシタは、端子PiとダイオードD1iのアノードとの間に接続されている。
【0165】
また、第3実施形態では、スイッチを、電源7の出力v2とキャパシタC1iの第1端子とに接続することが可能である。
【0166】
電圧源
第1実施形態および第2実施形態のように、第3実施形態は、正電圧パルスだけを供給する電圧源に適用することができる。
【0167】
この第3実施形態では、電圧源を、第2実施形態として説明した図13および図14に示す電圧源のいずれかとすることが可能である。
【0168】
動作(図16、図19A、図19B)
次に、図13に示す電圧源に関連する第3実施形態の動作について説明する。ステージEt1の充電に対応する図19A、図19Bと、より一般的なステージEtiの充電に対応する図16とを示す。
【0169】
1つの差異を除き、第2実施形態の動作と同様である。すなわち、第2実施形態の場合と同様に、期間t1の間、インダクタL1iの電流は、ステージNではないステージ1を除くステージEtiの上下に配置されているすべてのステージに流れる。
【0170】
インダクタL1i、2つのキャパシタC1i、C2i、ダイオードD1i、および並列に接続されているステージEtiの電流の変化は、第2実施形態と同じである(図16)。
【0171】
ステージEt1を充電する特別な場合について述べると、このステージEt1の電流の変化は、電流がt1で相殺され、また、そのときにダイオードがブロックされるため、一般の場合とは異なる。
【0172】
設計
上述したように、充電装置5(図18)のパラメータ化は、その動作を規定する式に基づくものであり、また、関連する電圧源7にとって有効である。
【0173】
式1〜5は、第1実施形態および第2実施形態のものと同じである。
【0174】
充電されたステージの電流iEti(t)は、動作している充電装置の数、ステージEtiに関する位置、および、ステージの数に関するステージEtiの位置に依存する。ステージEtiの下に配置される動作している充電装置の数Mと、ステージEtiの上に配置される動作している充電装置の数Lとを考慮すると、期間t1の間のステージEtiの電流は、式10により近似させることができる。ダイオードD1iがブロックされる瞬間から、期間Tが終了するまでのステージEtiの電流は、同じ式により近似させることが可能である。
【0175】
【数11】
【0176】
定常状態において、キャパシタC1iの平均電流が動作の期間中零であれば、期間t1の間と、ダイオードD1iがブロックされてから期間Tが終了するまでとのステージEtiの平均電流は、従って零である。インダクタL3i、L4iの電流を考慮すると、充電されたステージの平均電流(lEti(moy))は、式6により与えられる。
【0177】
シミュレーション
シミュレーションの条件は、第2実施形態のものと同じである。
【0178】
第3実施形態の充電装置5の設計は、第1実施形態および第2実施形態の充電装置5の設計と同じである。従って、この節では、受動素子L1i、C1iの同じ値に対して、これらの3つの実施形態の充電装置の平均出力電流が同じであることを確認するため、1つのシミュレーション結果だけを示す。
【0179】
シミュレーションの結果は、装置が不連続誘導モードで動作し、また、インダクタL1iの電流が、各動作期間Tの前に零または正でなければならない極端な動作状態を示す。
【0180】
図20は、シミュレーション結果を示す。曲線C13は、インダクタL17の電流、曲線C14は、キャパシタC17の電流、曲線C15は、ダイオードD17の電流、曲線C16は、最小の充電電圧を有する蓄電池の電流を示す。
【0181】
平均出力電流Is7(moy)は、約3.3Aである。これは、第1実施形態および第2実施形態で得られた平均電流(約3.4A〜3.3A)に非常に近い。従って、最初の3つの実施形態の設計は、同様である。
【0182】
インダクタL31、L41の平均電流は、約330mAである。充電中のステージEtiの上下に配置されたステージの平均電流は、330mAである。これは、第1実施形態および第2実施形態の充電されていないステージの平均電流と同じである。
【0183】
ステージ8の実効電流(rms)は、670mAである。充電中のステージEtiの上に配置されているステージの実効電流(rms)は、ステージEtiからのそのステージの距離が増大すると減少する。ステージ10の実効電流(rms)は、380mAである。ステージ6の実効電流(rms)は、890mA程度である。充電中のステージEtiの下に配置されているステージの実効電流(rms)は、ステージEtiからそのステージまでの距離が増加すると減少する。ステージ1の実効電流(rms)は、インダクタL31、L41の直流電流、すなわち、330mAである。充電されていないステージの実効電流(rms)は、第1実施形態に対して、最悪の場合、少なくとも1.9の因子で減少する。充電されていないステージの実効電流(rms)は、第3実施形態および第2実施形態に対してほぼ同一である。
【0184】
第4実施形態
次に、充電均等化システム2の第4実施形態について説明する。
【0185】
充電装置
図21は、充電装置5の第4実施形態を示す。この第4実施形態は、充電装置5がさらに、第2インダクタL2iおよび第2ダイオードD2iを含み、また、次の点で第2実施形態とは異なる。
− 第2キャパシタC2iの第2端子は、第2インダクタL2iの第1端子に接続されている。
− 第2ダイオードD2iのアノードおよびカソードは、ステージの極Niおよび第2インダクタL2iの第1端子にそれぞれ接続されている。
− スイッチSW1iは、2つのインダクタL1i、L2iの第2端子に接続されている。
【0186】
また、第4実施形態は、例えば、正負の電圧パルスを供給する電源とともに使用するのに適している点で異なっている。
【0187】
充電装置の第4実施形態に対するスイッチSW1iの他の位置は、図22A、図22Bに示されている。
【0188】
図22Aでは、スイッチSW1iは、第1端子が電圧源7の正極v2に接続され、第2端子が第1キャパシタC1iの第1端子に接続されている。
【0189】
図22Bでは、スイッチSW1iの第1端子は、第1キャパシタC1iの第2端子に接続され、スイッチSW1iの第2端子は、第1インダクタL1iの第1端子に接続されている。
【0190】
さらに、これらの図から分かるように、追加のスイッチSW11iが、電圧源7の出力v1およびキャパシタC2iの第1端子(図22A)、または、キャパシタC2iの第2端子および第2ダイオードD2iのカソード(図22B)のいずれかにさらに接続される必要がある。
【0191】
電圧源
この種の充電装置5に対して、電源の第1実施例では、4つのスイッチSW2i〜SW5iを有する完全なブリッジと、図23′に示されている変形例を含むトランスT1i(図23)とを使用する。この変形例によれば、電源7が蓄電池バッテリ1の端子に接続される場合、電源7は、1つの一次巻線および複数の二次巻線から構成されるトランスT1iを使用することが可能である。この例では、トランスT1iの一次巻線の端子に、4つのスイッチSW2i〜SW5iを有する完全なブリッジが示されている。複数の二次巻線を使用することにより、充電装置5のキャパシタの耐電圧を減少させることができる。直列に接続された10〜12のステージに対して、1つの二次巻線を対応させることは、一案である。
【0192】
電圧源7の第2実施例では、2つのスイッチSW2i、SW3iを有する半ブリッジと、一次巻線が2つのスイッチSW2i、SW3iの中点と2つのキャパシタC4i、C5iとの間に接続されるトランスT1iとを使用する(図24A)。第2実施例は、第1実施例よりもスイッチの数が少ないという利点を有する。また、第2実施例は、トランスT1iの一次巻線を有する直列に接続されるキャパシタC4i、C5iにより、スイッチの制御シーケンスが不均衡になるため、トランスが飽和するリスクを確実に回避するという利点を有する。
【0193】
電圧源の第3実施例では、一次側にセンタータップを有するトランスT1iと、スイッチSW2i、SW3iとを使用する(図24B)。第3実施例は、2つのスイッチSW2i、SW3iを制御するための基準が共通であるという利点を有する。
【0194】
いずれの電源7であっても、各充電装置5が不連続誘導モードで動作するため、スイッチSW2i、SW3iの誘導期間が規定される。
【0195】
3つの実施例は、出力として正負の電圧パルスを生成する。
【0196】
動作(図25A、図25B、図26)
図24Aに示す電源7に関連する第4実施形態の動作につき、次に説明する。
【0197】
図25A、図25Bでは、正の電圧パルスの動作のみを示す。
【0198】
定常状態において、キャパシタC31、C41、C51の平均電流に対して、蓄電池バッテリ1の電流が、動作期間中零でなければならない場合、蓄電池バッテリ1の電流は、図に鎖線の矢印で概略的に示されている。この電流は、直流と見なされ、従って、動作期間中は一定である。
【0199】
次に、充電中のステージEtiを有する第2実施形態と比較した動作の差異について説明する。
【0200】
期間t1の間、インダクタL11の電流は、充電中のステージEtiの電圧よりも低いトランスT11の二次巻線の電圧とほぼ等しく、その端子に印加される電圧に比例して増加する。電流は、ステージEtiにだけ流れる。動作している充電装置5のキャパシタC11、C21の電流は、インダクタL11の電流と等しい。この状態の間、充電装置5の第2ダイオードD21は、導通している。ダイオードD11は、少なくとも蓄電池バッテリ1の電圧と等しい電圧で、端子がブロックされる。第2インダクタL21は、エネルギを蓄積する。第2インダクタL21の端子電圧は、オン状態のダイオードD21での電圧降下よりも低い充電中のステージEtiの負電圧に等しい。
【0201】
期間t1が終了すると、スイッチSW21が開く。このとき、インダクタL11の電流は、電圧源がエネルギを供給しているときのインダクタの端子に印加される電圧に期間t1を乗算し、インダクタンスの値で割った値とほぼ等しいピーク値に達する。
【0202】
電圧源は、期間t1が終了し、動作期間の半分T/2までは、ステージEtiの充電装置の端子v2、v1に電圧を印加しない。スイッチSW31、SW21が開く(図25B、図26)。インダクタL11の電流は、オン状態のダイオードD11による電圧降下よりも低く、少なくとも蓄電池のステージEtiの電圧と等しい端子に印加される電圧に比例して減少する。ダイオードD11は、充電中のステージEtiの電流が相殺されるまでオンである。ダイオードD11は、インダクタL11に電流を誘導し、L21にも電流を誘導する。インダクタL21の電流は、トランスの二次側のインピーダンスがインダクタL11、L21のインピーダンスよりも非常に大きいことを考慮すると、この状態の間、一定と見なされる。インダクタL21の電流は、トランスの磁化電流と等しい。これは、図26において、Imで示されている。ダイオードD11がブロックされると、インダクタL21の電流は、インダクタL11の電流に等しく、方向が反対のステージにこれ以上流れない。この状態の間、ダイオードD21は、少なくもステージEtiの電圧と等しい電圧で、その端子はブロックされる。
【0203】
半期間T/2が終わり、期間T/2+t1の終わりまで、電圧源の端子v2、v1間に負電圧が印加される。スイッチSW31が閉じ、スイッチSW21が開く。エネルギは、インダクタL21に蓄積される。インダクタL21の電流は、充電中のステージの電圧よりも少ないトランスT11の二次電圧とほぼ等しく、その端子に印可される電圧に比例して増加する。電流は、充電中のステージEtiにだけ流れる。動作する充電装置のキャパシタC11、C21の電流は、インダクタL21の電流と等しい。この状態の間、ダイオードD11は導通する。ダイオードD21は、少なくとも蓄電池バッテリ1の電圧に等しい端子電圧でブロックされる。インダクタL11は、エネルギを蓄積する。インダクタL11の端子電圧は、オン状態のダイオードD11の電圧降下よりも低い充電中のステージEtiの電圧と少なくとも等しい。
【0204】
期間T/2+t1が終了すると、スイッチSW31が開く。このとき、インダクタの電流は、電圧源がエネルギを供給しているときのインダクタの端子に印加される電圧に期間t1を乗算し、インダクタンスの値で割った値とほぼ等しいピーク値に達する。
【0205】
電源7は、期間T/2+t1が終了し、期間Tの終わりまでは、ステージEt1の充電装置5の端子v2、v1に電圧を印加しない。スイッチSW31、SW21は開く。インダクタL21の電流は、オン状態のダイオードD21による電圧降下よりも低く、少なくとも蓄電池のステージEt1の電圧と等しく、その端子に印加される電圧に比例して減少する。ダイオードD21は、充電中のステージEt1の電流が相殺されるまでオンである。ダイオードD21は、インダクタL11に電流を誘導し、L21にも電流を誘導する。インダクタL11の電流は、トランスの磁化電流(Im)と等しい。ダイオードD21がブロックされると、インダクタL11の電流は、インダクタL21の電流に等しく方向が反対のステージに、これ以上流れない。この状態の間、ダイオードD11は、少なくともステージEtiの電圧と等しい電圧で、その端子がブロックされる。
【0206】
第4実施形態は、キャパシタC11、C21に同時に流れる電流が同じであるため、充電されていないステージに最小の実効電流(rms)を印加するという利点を有する。従って、実効電流(rms)は、この電流が直流電流であることを考慮すると、蓄電池1により供給される電流と等しい。
【0207】
設計
これまでのように、充電装置5(図21)の設計は、その動作を規定する式に基づき、また、関連する電源7に対して有効である。
【0208】
期間t1の間、インダクタL1iの電流(iL1i)は、増加する。電流は、各動作期間では、零と見なされる。トランスの二次側電圧は、VsT1iで表される。キャパシタC1i、C2iに同時に印加される端子電圧の和は、0と見なされる。オン状態のスイッチSW2i、SW1iでの電圧降下を無視し、オン状態のダイオードの電圧降下Vdを考慮すると、電流iL1i(t)は、次のようになる。
【0209】
【数12】
【0210】
期間t1が終了すると、スイッチSW2iが開く。インダクタL1iの電流は、以下のピーク値に達する。
【0211】
【数13】
【0212】
期間t1が終了し、インダクタL1iの電流が相殺されるまで、ダイオードD1iが導通する。インダクタL1iの電流は、次の式に従って減少する。
【0213】
【数14】
【0214】
インダクタL2iの電流は、期間零から動作の半期間T/2の間のインダクタL1iの電流と同じ式により、T/2とTとの間で制御される。
【0215】
式13から、不連続誘導モードで動作する装置のための誘導期間t1を超えない値(t1(max))を定めることができる。インダクタL1i、L2iの電流は、装置の各半期間の前に相殺される。出力電流のリップルを制限するため、各動作期間の近傍でインダクタの電流を相殺することが可能である。図26に示す状態では、期間t1(max)は、T/2で相殺されるインダクタL1i、L2iの電流を考慮して決定される。最悪の場合を考慮して、期間t1(max)は、最大の入力電圧VsT1iおよび最小の出力電圧Vsに対して求められる。さらに、ダイオードの電圧降下は、最悪の場合を考慮するために無視することが可能である。
【0216】
【数15】
【0217】
充電装置の出力電流isi(t)は、インダクタL1i、L2iの電流の和に等しい。平均出力電流(Isi(moy))は、ダイオードD1i、D2iがそれぞれ導通する期間のImおよび電流iL1i、iL2iを無視した式15から計算される。さらに、インダクタL1i、L2iは同じであるものと仮定する。
【0218】
【数16】
【0219】
iEti(t)で表される充電されたステージiの電流は、この実施形態では、動作している充電装置の数にのみ依存する。動作している充電装置の数Kと、トランスT1i(m=v2/v1)の変換率mとを考慮して、充電されたステージの電流の平均値(IEti(moy))は、式16から得られる。ダイオードD1i、D2iがそれぞれ導通しているときのインダクタL1i、L2iの電流は、考慮されない。
【0220】
【数17】
【0221】
例
図21から、電源7に関連する充電装置5の第4実施形態において、トランスT1iの変換率mは、トランスT1iの二次側電圧をバッテリの電圧と等しい電圧に維持するため、2に固定されている。
【0222】
仮定は、周波数が25kHzである点を除き、第1実施形態と同じである。
【0223】
期間t1(max)は、ダイオードの最小電圧降下と、充電装置の最大入力電圧および最小出力電圧とを使用して計算される。インダクタL1i(max)、L2i(max)の最大値は、それらの一部に対して、ダイオードの最大電圧降下と、充電装置の最小入力電圧および最大出力電圧とを使用して計算される。期間t1(max)は、インダクタ、スイッチおよびダイオードのピーク電流および実効電流(rms)を最小にするため、インダクタL1iの値の計算に使用される。堅牢にするため、より小さい値を用いることが可能である。
【0224】
【数18】
【0225】
【数19】
【0226】
シミュレーション
インダクタL1i、L2iの値は、8.5μHに固定されている。阻止キャパシタC1i、C2iの値は、2μFに固定されている。
【0227】
この第4実施形態では、25kHzの典型的な動作周波数を仮定する。すなわち、T=1/F=40μsである。
【0228】
シミュレートされる電圧源7は、図24Aに示すものである。電圧源7は、スイッチSW2iが閉じられ、スイッチSW3iが開かれると、正のパルス電圧を供給する。電圧源7は、スイッチSW3iが閉じられ、スイッチSW2iが開かれている限り、負のパルス電圧を供給する。
【0229】
スイッチSW2iおよびSW3iが開かれた状態のとき、トランスT1iの一次側の端子電圧は、固定されない。スイッチSW2iおよびSW3iの導通期間は、1.6μsに固定される。また、ダイオードは、トランスの一次側の消磁を可能とするため、各スイッチに並列に実装される。キャパシタC3i、C4iおよびC5iは、この例では10μFに固定される。第3実施形態に対して、これらのキャパシタは、端子に所定の電圧降下を有するトランスT1iの一次側に必要な電流を供給するように定められる。キャパシタの端子の電圧降下は、式9により、出力電流の関数として与えられる。
【0230】
バッテリおよび電圧源の入力に直列に接続されるインダクタL5は、バッテリからの電流のリップルをフィルタリングするために使用される。
【0231】
第1シミュレーション(図27):
第1の結果は、平均出力電流が少なくとも1Aでなければならない極端な動作の場合を示す。
【0232】
図27は、シミュレーション結果を示す。曲線C17およびC18は、それぞれインダクタL17、L27の電流、曲線C19は、キャパシタC17の電流、曲線C20は、ダイオードD17の電流、曲線C21は、充電装置の出力の電流、曲線C22は、最大の充電電圧を有する蓄電池の電流を示す。
【0233】
観察された動作は、第4実施形態に関する前述の節で説明した動作と同様である。
【0234】
平均出力電流Is7(moy)は、約1.1Aである。1Aの最小平均電流は、充電された蓄電池のどのような電圧にも従う。
【0235】
回路は、要求されるように、装置の動作の各半期間の前に相殺されたインダクタL1i、L2iの電流を有する不連続誘導モードで動作する。
【0236】
第2シミュレーション(図28):
第2の結果は、装置が不連続誘導モードで動作しなければならない場合、すなわち、インダクタL1i、L2iを流れる電流が、装置の動作の半期間T/2の前に相殺されなければならない極端な動作の場合を示す。
【0237】
図28は、シミュレーション結果を示す。曲線C23およびC24は、それぞれインダクタL17、L27の電流、曲線C25は、キャパシタC17の電流、曲線C26は、ダイオードD17の電流、曲線C27は、充電装置の出力の電流、曲線C28は、最小の充電電圧を有する蓄電池の電流を示す。
【0238】
回路は、不連続誘導モードで動作し、インダクタL1i、L2iを流れる電流は、装置の動作の各半期間の前に相殺される。不連続誘導モードでの動作は、充電された蓄電池のどのような電圧にも従う。
【0239】
平均出力電流Is7(moy)は、約2.8Aである。この値は、1Aの最小値よりも大きい。バッテリの直流電流は、約260mAである。充電されていないステージの実効電流(rms)は、バッテリにより供給される直流電流と等しい。
【0240】
以上のように、いずれの実施形態によっても、蓄電池1の充電を有効に均等化することができる。
【符号の説明】
【0241】
1 蓄電池
2 充電均等化システム
3 制御装置
5 充電装置
7 電源
9 基本モジュール
10 電流センサ
11 調整ループ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気またはハイブリッドの輸送車載システムの分野で使用可能な電気化学バッテリの充電均等化システムに関する。本発明は、軽量で大量のエネルギを蓄積する能力を備えているため、この種の適用に適したリチウムイオン(Liイオン)型バッテリにも関する。本発明は、電子的蓄電装置、例えばスーパーキャパシタにも適用可能である。
【背景技術】
【0002】
電気化学バッテリは、数ボルト程度の公称電圧を有する。より正確には、リン酸鉄に基づくLiイオンバッテリの場合は3.3Vであり、酸化コバルトに基づくLiイオン技術の場合は4.2Vである。この電圧が、電力が供給されるシステムの要求に対して低すぎる場合には、複数のセルが直列に接続される。利用可能な容量を増加させ、また、より大電流およびより大電力を供給するため、直列に接続された各セルに対して、1つ以上のセルを並列に配列することが可能である。この場合、並列に接続された複数のセルは、ステージと称されるものを構成する。1つのステージは、最小で1つのセルにより構成されている。ステージは、要求される電圧レベルとなるように直列に接続される。セルを接続したものは、公称電圧バッテリと呼ばれる。
【0003】
バッテリを充電および放電すると、それぞれ、セルの端子電圧を増大または減少させる。セルは、電気化学的に規定される電圧レベルに達すると、充電または放電される。複数のセルからなるステージを備える回路では、ステージの電流は、同じである。従って、ステージの充電または放電のレベルは、セルの固有の特性、すなわち、固有の電気容量と電解質、または電極と電解質との間の接点における直列および並列の寄生内部抵抗とに依存する。この場合、ステージの間の電圧には、製造誤差および経年変化により差が生じる可能性がある。
【0004】
Liイオン技術のバッテリでは、閾値電圧と称される電圧が高すぎるか、または、低すぎると、セルが損傷するか、または、破壊されることがある。例えば、酸化コバルトに基づくLiイオン蓄電池が過充電すると、熱暴走が生じて発火する可能性がある。リン酸鉄に基づくLiイオン蓄電池を過充電すると電解質を分解させて、耐用年数を減少させたり、蓄電池を損傷したりする。例えば、電圧が2Vよりも低下する過放電では、銅からなる場合には、負極の集電子が酸化して、蓄電池は損傷する。従って、安全性および信頼性の点から、充放電を行う間、各蓄電池のステージの端子電圧を監視することは、必須である。各ステージと並列に接続されている監視装置は、この機能を発揮することができる。
【0005】
監視装置は、各セルのステージの充放電の状態を追跡し、1つのステージがその閾値電圧に達した場合、バッテリの充電または放電を停止させるため、その情報を制御回路に送信する機能を有する。しかしながら、直列に配列された複数のセルのステージを有するバッテリの場合、最も多く充電されたステージが、閾値電圧に達して充電が停止されると、他のステージは、完全に充電されない場合がある。反対に、最も放電されたステージが閾値電圧に達して放電が停止されると、他のステージは、完全に放電されない場合がある。従って、各蓄電池のステージの充電は、最適な状態で使用されず、厳格な自律性の制約を有する輸送機関へ適用するのに大きな問題となる。この問題を多少とも解決するため、監視装置には、一般に均等化装置が関連づけられている。
【0006】
均等化装置は、バッテリの充電を最適化する機能を有する。すなわち、直列に接続されたセルのステージを、同じ充電状態、および/または放電状態とする自律性機能を有する。均等化装置には、いわゆる、エネルギ散逸均等化装置とエネルギ移動均等化装置との2つがある。
【0007】
エネルギ散逸均等化装置の場合、ステージの端子電圧は、閾値電圧に達すると、1つ以上のステージの充電電流が迂回し、抵抗器でエネルギが散逸することにより、同じ値となる。あるいはまた、ステージの端子電圧は、閾値電圧に達した1つ以上のステージを放電することにより同じ値となる。しかしながら、このようなエネルギ散逸の均等化装置は、バッテリの充電に必要なエネルギ以上のエネルギを消費するという大きな欠点を有する。この回路は、わずかに低い充電状態である最後のセルが充電を終了させるために、複数のセルを放電させるか、または、複数のセルの充電電流を迂回させる。従って、放散するエネルギは、充電量よりもはるかに大きい。さらに、余分なエネルギは、熱として放散し、かつ蓄電池の耐用年数は、温度が上昇すると、急激に低下する。
【0008】
エネルギ移動均等化装置は、蓄電池バッテリまたは補助電力ネットワークと、蓄電池の階との間でエネルギを交換する。
【0009】
例えば、米国特許第5659237号により、蓄積要素である結合インダクタを使用する複数の出力を有する“フライバック”構造により、補助ネットワークから階にエネルギを移動できる装置が知られている。蓄積要素は、この発明における特別な部材である。このような部材の価格は、実装される部材としては、非常に高価である。
【0010】
中国特許第1905259号には、ステージからバッテリにエネルギを移動できる装置が開示されている。この装置は、各セルに対する蓄積手段としてインダクタを使用している。しかしながら、この装置は、輸送装置へ適用する際、バッテリの均等化のために最適なエネルギの移動を行わせない。実際、バッテリの充電終了は、最後のステージが閾値電圧に達したことによって決定される。バッテリの充電を終了するためには、エネルギを1つ以上のステージから取得し、ステージのグループに戻される。1つ以上のセルのステージの充電が、不十分であると、エネルギは、それを要求する後のステージに優先的に移動させられず、またエネルギが取得されたステージにも移動させられない。従って、均等化においては、それらが過剰な電圧に充電されることを防止するため、充電時に、全てのステージからエネルギを取得する必要がある。このように、均等化には、非常に多くのコンバータが動作するため、極めて大きな損失がある。さらに、充電が既に完了している蓄電池には、無用な交流成分または直流成分が通過することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5659237号明細書
【特許文献2】中国特許第1905259号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、従来技術における上記した欠点を除去した、改善された均等化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明は、直列に接続された少なくとも2つのセルのステージを備え、前記各セルのステージは、少なくとも1つのバッテリを備えるバッテリ均等化システムであって、
− 少なくとも1つの正極と、少なくとも1つの負極とを備える少なくとも1つの電圧源と、
− 前記各バッテリのステージに対して関連づけられ、少なくとも1つの前記電圧源により供給され、かつ
・少なくとも1つのインダクタと、
・第1端子が、少なくとも1つの前記電圧源の正極に接続されている少なくとも1つのキャパシタと、
・アノードが、前記バッテリのステージの負極に接続され、カソードが、少なくとも1つの前記インダクタの第1端子に接続されている少なくとも1つのダイオードと、
・1つの端子が少なくとも1つの前記インダクタの1つの端子に接続されている少なくとも1つのスイッチとを備える充電装置と、
− 少なくとも1つの前記電圧源を制御し、かつ充電される蓄電池の階に関連する充電装置の少なくとも1つの前記スイッチを閉じて、少なくとも1つの前記インダクタがエネルギを蓄積し、前記エネルギを関連するバッテリのステージに移動させるようになっている制御装置
とを含むことを特徴とするバッテリ均等化システムを提供するものである。
【0014】
さらに、このバッテリ均等化システムは、以下の特徴の1つ以上を、個別に、または組み合わせて備えることができる。
【0015】
− 少なくとも1つの前記キャパシタの第2端子は、前記インダクタの第1端子に接続され、少なくとも1つの前記ダイオードのカソードは、前記キャパシタの第2端子に接続され、少なくとも1つの前記スイッチの、第1端子は、前記インダクタの第2端子に接続され、同じく第2端子は、関連する前記バッテリのステージの正極に接続されている。
【0016】
− 前記充電装置は、第1端子が前記電圧源の前記正極に接続され、かつ第2端子が前記インダクタの第1端子に接続されている少なくとも1つの第1キャパシタと、第1端子が電圧源の負極に接続され、第2端子が関連するバッテリのステージの負極に接続されている少なくとも1つの第2キャパシタとを備え、少なくとも1つの前記ダイオードの、アノードおよびカソードは、それぞれ前記第2キャパシタの第2端子と、前記第1キャパシタの第2端子とに接続され、かつ少なくとも1つの前記スイッチの、第1端子は、前記インダクタの第2端子に接続され、同じく第2端子が関連するバッテリのステージの正極の第2端子に接続されている。
【0017】
− 前記充電装置は、第1端子が前記電圧源の正極に接続されている少なくとも1つの第1キャパシタと、第1端子が電圧源の負極に接続され、第2端子がインダクタの第2端子と、関連するバッテリのステージの正極とに接続されている少なくとも1つの第2キャパシタとを備え、少なくとも1つの前記スイッチの、第1端子は、前記第1キャパシタの第2端子に接続され、同じく第2端子は、前記インダクタの第1端子に接続されている。
【0018】
− 前記充電装置は、少なくとも1つの第1インダクタと第2インダクタと、第1端子が前記電圧源の正極に接続され、第2端子が前記第1インダクタの第1端子に接続されている少なくとも1つの第1キャパシタと、第1端子が前記電圧源の負極に接続され、第2端子が前記第2インダクタの第1端子に接続されている少なくとも1つの第2キャパシタと、アノードおよびカソードが、関連するバッテリのステージの負極、および前記第1インダクタの第1端子にそれぞれ接続されている少なくとも1つの第1ダイオードと、アノードおよびカソードが、前記バッテリのステージの負極、および前記第2インダクタの第1端子にそれぞれ接続されている少なくとも1つの第2ダイオードとを含み、少なくとも1つの前記スイッチの、第1端子は、前記インダクタの第2端子に接続され、同じく第2端子は、関連する前記バッテリのステージの正極に接続されている。
【0019】
− 前記制御装置は、前記充電装置に供給する電圧が、前記電圧源の前記正極に予め印加されているとき、充電されるバッテリのステージに関連する充電装置の少なくとも1つの前記スイッチを閉じる速度を制御するように構成されている。
【0020】
− 前記充電装置は、充電状態にある間、関連するバッテリのステージ、およびバッテリの電圧のレベルを、個別に不連続誘導モードで動作するように構成されている。
【0021】
− 前記バッテリ均等化システムは、前記充電装置の全てに供給する1つの電圧源を含んでいる。
【0022】
− 前記バッテリ均等化システムは、前記各充電装置に対する電圧源を含んでいる。
【0023】
− 前記バッテリ均等化システムは、所定数の充電装置のそれぞれに関連する少なくとも2つの電圧源を含んでいる。
【0024】
− 少なくとも1つの電圧源は、前記制御装置により制御される少なくとも1つのスイッチを含んでいる。
【0025】
− 少なくとも1つの電圧源は、デカップリングキャパシタを含んでいる。
【0026】
− 少なくとも1つの電圧源は、2つの制御されるスイッチ、および2つのインダクタを含んでいる。
【0027】
− 少なくとも1つの電圧源は、スイッチおよびトランスを含んでいる。
【0028】
− 少なくとも1つの電圧源は、4つのスイッチ、およびトランスを備えるブリッジを含んでいる。
【0029】
− 少なくとも1つの電圧源は、2つのスイッチ、トランス、および2つのキャパシタを含んでいる。
【0030】
− 少なくとも1つの電圧源は、2つのスイッチ、および一次側にセンタータップを有するトランスを含んでいる。
【0031】
− 前記制御装置は、それぞれが充電状態の間に一定である誘導期間、および開いている期間を有し、少なくとも1つの前記電圧源が有する少なくとも1つの制御される前記スイッチを開閉するように構成されている。
【0032】
− 前記誘導期間は、前記充電装置が不連続誘導モードで動作するように計算される。
【0033】
− 少なくとも1つの前記電圧源は、バッテリの端子に接続される。
【0034】
− バッテリは、少なくとも1つの基本モジュールを含み、各基本モジュールは、直列に接続されている複数のバッテリのステージを備え、前記バッテリ均等化システムは、さらに、前記各基本モジュールの端子に、追加の充電装置を含んでいる。
【0035】
− バッテリは、直列に配置された複数の前記基本モジュールを含み、前記バッテリ均等化システムは、所定数の前記基本モジュールの端子に、追加の充電装置を含んでいる。
【0036】
− 少なくとも1つの前記電圧源は、少なくとも1つの前記基本モジュールの端子に接続されている。
【0037】
− 前記バッテリ均等化システムは、前記制御装置に電圧情報を送信するように構成され、かつ前記バッテリの各ステージの電圧を測定する装置を含んでいる。
【0038】
− 前記蓄電池は、Liイオン型である。
【0039】
− バッテリは、スーパーキャパシタを含んでいる。
【0040】
また、本発明は、上に定義した充電均等化システムのための充電装置を提供するものである。
【0041】
本発明の上記以外の特徴および利点は、非限定的な実施形態、および添付の図面に関する以下の説明から、さらに明らかになると思う。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】直列に接続されたバッテリのステージと、各バッテリのステージのための充電装置、および電源を含むバッテリ充電均等化システムとのブロック図である。
【図2】各充電装置のための電源を含む図1の均等化システムの変形例のブロック図である。
【図3】直列に接続されたバッテリのステージを含む各基本モジュールのための電源を含む、図1の均等化システムの他の変形例のブロック図である。
【図4】各基本モジュールのための追加の充電装置を含む図3の均等化システムの他の変形例のブロック図である。
【図5】均等化システムの充電装置の第1実施形態のブロック図である。
【図6】連続誘導モードにおける図5の充電装置に関連する電源の一実施例のブロック図である。
【図7】不連続誘導モードにおける図5の充電装置に関連する電源の一実施例のブロック図である。
【図8A】図5の充電装置と図6の電源とを含み、誘導期間の電流の流れを示す均等化システムのブロック図である。
【図8B】図5の充電装置と図6の電源とを含み、誘導期間の終わりであり、充電装置のダイオードがブロックするまでの電流の流れを示す均等化システムのブロック図である。
【図8C】図5の充電装置と図6の電源とを含み、充電装置のダイオードが一旦ブロックされた電流の流れを示す均等化システムのブロック図である。
【図9】図5の充電装置と並列なバッテリのステージにおける種々の電流の時間の関数としての変化を示す図である。
【図10】第1シミュレーションのための図5の充電装置と、関連するバッテリのステージとにおける種々の電流の変化の概略曲線を示す。
【図11】第2シミュレーションのための図5の充電装置と、関連するバッテリのステージとにおける種々の電流の変化の概略曲線を示す。
【図12】均等化システムの充電装置の第2実施形態のブロック図である。
【図13】図12の充電装置に関連する電源の一実施例のブロック図である。
【図14】図13の電源の変形例のブロック図である。
【図15】図15Aは、図12の充電装置と図13の電源とを含み、誘導期間の電流の流れを示す均等化システムのブロック図であり、図15Bは、図12の充電装置と図13の電源とを含み、誘導期間が終わり、動作期間までの電流の流れを示す回路のブロック図である。
【図16】図12の充電装置と、並列なバッテリのステージとにおける種々の電流の変化を、時間の関数としての変化を示す図である。
【図17】図12の充電装置と関連する蓄電池のステージとにおける種々の電流の変化を示す概略曲線である。
【図18】均等化システムの充電装置の第3実施形態のブロック図である。
【図19】図19Aは、図18の充電装置と図13の電源とを含み、誘導期間の電流の流れを示す均等化システムのブロック図であり、図19Bは、図18の充電装置と図13の電源とを含み、誘導期間の終わりであり、動作期間までの電流の流れを示す均等化システムのブロック図である。
【図20】図18の充電装置と関連するバッテリのステージとにおける種々の電流の変化の概略曲線を示す図である。
【図21】均等化システムの充電装置の第4実施形態のブロック図である。
【図22】図22Aは、図21の充電装置の第1変形例のブロック図であり、図22Bは、図21の充電装置の第2変形例のブロック図である。
【図23】図23は、図21、図22A、図22Bの充電装置に関連する電源の一実施例のブロック図であり、図23′は、図23の電源の変形例のブロック図である。
【図24】図24Aは、図23の電源の変形例のブロック図であり、図24Bは、図23の電源の他の変形例のブロック図である。
【図25】図25Aは、図21の充電装置と図24Aの電源とを含み、誘導期間の電流の流れを示す均等化装置のブロック図であり、図25Bは、図21の充電装置と図24Aの電源とを含み、誘導期間の終わりであり、動作期間の半分までの電流の流れを示す均等化装置のブロック図である。
【図26】図21の充電装置における種々の電流の、時間の関数としての変化を示す概略図である。
【図27】第1シミュレーションのための図21の充電装置と、関連するバッテリのステージとにおける種々の電流の変化の概略曲線を示す図である。
【図28】第2シミュレーションのための図21の充電装置と、関連するバッテリのステージとにおける種々の電流の変化の概略曲線を示す図である。
【0043】
各図において、実質的に同一の要素には、同じ符号を付してある。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、蓄電池1を示す。この蓄電池1は、直列に接続されるN個のステージEtiを備えている。各ステージEtiは、並列に接続された1つまたは複数のバッテリAijを備えている。添え字iは、ステージの番号を示す。この添え字iは、例えば、図1に示すように、1からNまで変化する。添え字jは、ステージにおける蓄電池の番号を示す。添え字jは、例えば、1からMまで変化する。同じステージEtiの蓄電池Aijの端子は、電気的に相互に接続されている。また、同様にして、各ステージEtiは、隣接するステージEtiと電気的に接続されている。
【0045】
本発明の主題は、直列に接続された少なくとも2つのステージEtiを含む、この種の蓄電池1のための充電均等化システム2である。
【0046】
充電均等化システム2は、図1に示すように、制御装置3と、各バッテリのステージEtiのための複数の同一の充電装置5と、少なくとも1つの電源7とを含んでいる。充電装置5および電源7は、制御装置3により制御される。
【0047】
さらに、充電均等化システム2は、各ステージEtiの電圧を測定し、電圧情報を制御装置3に送信するための電圧測定装置(図示せず)を備えていてもよい。制御装置3は、この電圧情報に基づき、バッテリのステージEtiが充電を必要とするか否かを決定し、それに応じて、バッテリのステージと並列に接続されている充電装置5と、関連する電源7とを制御することができる。
【0048】
各バッテリのステージEtiは、例えば、充電装置5の1つと単一の電源7とに関連付けられている。
【0049】
充電装置5の一方は、各バッテリのステージEtiの負極Niおよび正極Piに接続され、他方は、1つ以上の電源7のv2で示されている正極、およびv1で示されている負極に接続されている。
【0050】
単一の電源7の場合(図1)、後者は、充電装置5の群に接続される。
【0051】
複数の電源7の場合、図2に示すように、電源7の数がステージEtiの数と等しければ、1つの電圧源7は、1つの充電装置5に接続される。
【0052】
図3に示す選択肢として、電源7の数がステージEtiの数よりも少なければ、1つの電圧源7を、複数の充電装置5に接続してもよい。
【0053】
例えば、直列に接続された100の蓄電池を有する電気車両において、直列に接続されている多数のバッテリのステージEtiが使用される場合、例えば、蓄電池1は、それぞれが直列に接続されている10〜12のバッテリのステージEtiを含む基本モジュール9(図3)に直列接続して構成してもよい。従って、電源7は、10〜12の構成要素の端子に接続される。ダイオードおよび制御スイッチの耐電圧は、Liイオンバッテリに応じて、約45V〜60Vに制限される。これは、半導体の分野で標準化されている耐電圧の値である。電気車両の場合、多数の基本モジュール9のメンテナンスが容易になる。
【0054】
さらに、バッテリのステージEtiのための充電装置5に加えて、図4に示すように、同一の充電装置5を、N個のステージに直列に接続して使用してもよい。この変形例は、N個の隣接するステージの間、すなわち、直列に接続された関連する基本モジュール9間で、エネルギを送ることができる。この場合、1つ以上の追加の電源7は、N個のステージの端子に接続された充電装置5にエネルギを供給する。
【0055】
電源7は、充電装置5に、正、負または正負極性の電圧パルスと、形状が変化する例えば、方形波または正弦波の電圧パルスとを供給する。
【0056】
第1実施形態
次に、充電均等化システム2の充電装置5および電源7の第1実施形態について説明する。
【0057】
充電装置
図5を参照して、第1実施形態の充電装置5は、
− インダクタL1iと、
− 第1端子が電源7の極v2に接続され、第2端子がインダクタL1iの第1端子に接続されるキャパシタC1iと、
− アノード及びカソードがステージの極NiおよびキャパシタC1iの第2端子にそれぞれ接続されるダイオードD1iと、
− 第1端子がインダクタL1iの第2端子に接続され、第2端子がステージの極Piに接続される、例えば、MOSFETからなるスイッチSW1iとを含んでいる。
【0058】
制御装置3は、スイッチSW1iを開閉することができる。
【0059】
電源7の極v1が、蓄電池バッテリ1(図1〜図4)の負極Niに接続される場合、この第1実施形態の充電装置5は、充電装置5が接続されるバッテリのステージEtiと、このステージEtiの下に配置されているバッテリのステージとを介して、電源7の極v1が接続されているという特有の特徴を有する。
【0060】
この種の充電装置5は、連続誘導モードまたは不連続誘導モードで動作する。
【0061】
不連続誘導モードでの動作は、コストがより安く、かつより容易に実行できるという利点があるため、好ましい。
【0062】
不連続誘導モードでは、インダクタL1iの電流は、その名のとおり、充電装置5が動作する各期間Tの前に中断される。電源7がエネルギを供給しているときのインダクタL1iにおける電流値は、インダクタL1iの端子に印加される電圧、インダクタL1iにおけるエネルギの蓄積時間、及びその値から推測することができる。その後、電源7は、固定された誘導期間の命令によって制御可能である。
【0063】
一方、連続誘導モード(図6)では、直列に接続されているバッテリのステージに対して、例えば、スイッチとして動作するトランジスタを使用する切り替えモードの電流監視装置12とともに、調整ループ11および基準電流変数13に関連する電流センサ10を使用する必要がある。連続誘導モードでは、電圧源7が各充電装置5に必要である。この場合、電源7は、パルス幅変調モードにより制御される。
【0064】
不連続誘導モードでは、本発明は、キャパシタC1iによって直流電流を阻止することにより、全ての充電装置5を電源7の出力に並列に接続することができる。
【0065】
変形例では、各充電装置5の出力にキャパシタ(図示せず)を追加してもよい。このキャパシタは、端子NiとスイッチSW1iの第1端子との間に接続される。この種のキャパシタは、充電装置5に起因するリップル電流をフィルタリングするように設計される。従って、平滑化された直流電流は、充電装置5の動作中、各蓄電池のステージに供給される。
【0066】
また、スイッチSW1iの位置は、キャパシタC1iに直列に接続するように変更することが可能である。
【0067】
スイッチSW1iは、他の2つの位置を取ることが可能である。すなわち、スイッチSW1iは、電源7の出力v2およびキャパシタC1iの第1端子、または、キャパシタC1iの第2端子およびダイオードD1iのカソードのいずれかに接続することが可能である。
【0068】
他の変形例として、ダイオードに代えて、各充電装置5に制御スイッチを使用して構成することができる。この場合、いわゆる同期整流が可能である。充電装置5の効率は、素子のオン状態における電圧降下を減らすことにより、向上させることができる。
【0069】
電源
電源7は、種々の構成とすることが可能である。例えば、一実施形態では、正電圧パルスのみを供給する電源7が適用可能である。
【0070】
図7は、第1実施形態の充電装置5に関連する電圧源7の実施形態を示す。
【0071】
電源7は、蓄電池1の端子NおよびPに接続される、例えば、MOSFETであるスイッチSW2iおよびSW3iを含んでいる。2つのスイッチSW2iおよびSW3iの端子には、いわゆるデカップリングキャパシタC3iを接続することができる。
【0072】
電源7は、蓄電池1の端子、または補助電源(例えば、車両の電源12V)の端子と同様に、基本モジュール9の端子に接続することができる。
【0073】
動作
次に、図8A〜図8Cおよび図9を参照して、第1実施形態の動作について説明する。
【0074】
充電装置5は、充電が継続している所定のステージを充電することができる。上述した理由から、不連続誘導モードによる動作が好ましい。
【0075】
例えば、制御装置3がステージEti、例えば、ステージEt1へのエネルギの移動を指令する場合、対応するステージEtiと並列に接続されている充電装置5のスイッチSW11が、制御装置3により閉じられる。
【0076】
また、充電装置5に電力を供給する電源7は、制御装置3により制御される。
【0077】
ステージEt1と直列に接続されているステージは、各ステージと並列に接続されている充電装置5のスイッチSW11が開状態である間、充電されない。
【0078】
充電装置5の動作の開始に先立って、電源7が動作していた場合、大きすぎる電流がステージに供給されるのを阻止するため、スイッチSW11の閉じる速度を制御する必要がある。
【0079】
スイッチは、それらがブロックされた状態であるとき、完全であると見なされ、従って、この状態にあるとき、電流の流れは阻止される。
【0080】
第1変形例:デカップリングキャパシタのない電源
スイッチSW2iおよびSW3iの端子に、デカップリングキャパシタC3iがない図6の電源7を考える。
【0081】
図8A〜図8Cおよび図9を参照して、誘導期間t1の間、電源7の端子v1、v2間に正電圧が印加される。スイッチSW2iは閉じられ、スイッチSW3iは開かれる。従って、電源7は、スイッチSW2iが閉じられ、スイッチSW3iが開かれている間、正電圧パルスを供給する。
【0082】
期間t1の電流の流れは、図8Aの点線の矢印で概略的に示される。
【0083】
エネルギは、インダクタL11に蓄積される。キャパシタC11は、インダクタL11の端子に十分な電流を供給して準定電圧を印加するため、十分に大きな容量が必要である。インダクタL11の電流は、充電中のステージEt1の電圧よりも低く、蓄電池1の電圧とほぼ等しく、その端子に印加される電圧に比例して増加する。電流は、ステージEt1の上に配置されているステージに流れる。ダイオードD11は、この状態の間、ブロックされる。ダイオードD11の端子電圧は、蓄電池1の負電圧と等しい。
【0084】
期間t1が終了すると、電圧源7の出力電圧は零になる。電圧源7のスイッチSW21が開く。スイッチSW21が完全に開くと、スイッチSW31が閉じる。
【0085】
このとき、インダクタL11の電流は、電圧源7がエネルギを供給しているときのインダクタの端子に印加される電圧にt1を乗算し、インダクタの値で割った値とほぼ等しいピーク値Ipicに達する(図9)。この式は、充電装置5の各動作期間の前に、インダクタの電流が零であることを考慮した近似式である。
【0086】
充電装置5は、インダクタL11の電流が負になった後、ダイオードD11がブロックされ、従って、充電装置5の動作の各期間Tの前に、正負の値の間で振動するという特徴を有する。この特有の特徴は、キャパシタC11を流れる平均電流が、定常状態において、充電装置5の動作の各期間Tで零でなければならない点で必然的なものである。
【0087】
期間t1が終了し、ダイオードD11がブロックされるまで、電圧源7は、端子v1、v2の電圧を零にする。スイッチSW31が閉じ、スイッチSW21が開く。この状態での電流の流れは、図8Bの鎖線の矢印で概略的に示されている。
【0088】
インダクタL11の電流は、オン状態のダイオードD11での電圧低下よりも低く、蓄電池のステージEt1の負電圧と等しく、その端子に印加される電圧に比例して減少する。ダイオードD11は、その中を流れる電流が相殺されるまでの間、オンである。ダイオードD11が一旦ブロックされるときの電流の流れは、図8Cの点線の矢印で概略的に示されている。
【0089】
上述したように、インダクタL11の電流は、ダイオードD11の誘導後、負になり、次いで、正負の値の間で振動する(図9)。この状態の間の電流の振動周波数は、キャパシタC11およびインダクタL11の固有の共鳴周波数によって概略的に決まる。この電流は、充電中のステージEt1、ステージEt1に下に配置されているステージ、キャパシタC11、インダクタL11およびスイッチSW31を介して流れる。
【0090】
期間Tが終了し、スイッチSW11がまだ閉じた状態であると、動作の新たなシーケンスが開始される。電圧源7は、バッテリが短絡することを防止するため、2つのスイッチSW21、SW31が同時にオンとならないように制御される。スイッチSW31が開き、スイッチSW21が閉じる間、インダクタL11の電流は、ダイオードD11の電流が継続して流れるように、強制的に零または正にする。キャパシタC11およびインダクタL11の固有の共鳴周波数は、装置を設計する際に考慮する必要がある。
【0091】
インダクタL11の電流が負であるならば、スイッチSW21は、例えば、スイッチSW21に逆並列に接続されるダイオードを使用することで、電流の流れに関して双方向とする必要がある。
【0092】
第2変形例:デカップリングキャパシタを有する電圧源
スイッチSW2iおよびSW3i(図6)の端子に、デカップリングキャパシタC3iを使用する場合、スイッチSW2iが閉じられると、電流の循環が変更される。また、キャパシタC3iは、インダクタL1iに流れる電流の一部を供給する。この電流は、充電中のステージEtiと、このステージEtiの下に配置されているステージとにより閉回路を形成する。供給される電流の値は、N個のステージに対する充電中のステージEtiの位置に依存する。ステージEtiがバッテリの端子Nに近いほど、充電中のステージEtiの上に位置するステージを流れる電流に対して、キャパシタC3iにより供給される電流の値は大きくなる。
【0093】
設計
式
充電装置5(図5)の設計は、上述した動作を表す式を使用して決定される。式は、関連する電圧源7(図6)に対して有効である。
【0094】
以下に説明する式は、一般化しうる。そのため、入力電圧および出力電圧を、それぞれVeおよびVsと表す。電圧Veは、蓄電池1の端子N、P間の電圧である。電圧Vsは、蓄電池のステージEtiの端子Ni、Pi間の電圧である。
【0095】
設計を簡単にするため、キャパシタC1iの端子電圧は、零でない場合、充電装置5の動作の期間Tにおいて一定と見なされる。
【0096】
期間t1の間、インダクタL1iの電流(iL1i)は、増加する。電流は、動作の各期間Tにおいて零と見なされる。スイッチSW2i、SW1iのオン状態での電圧降下を無視し、オン状態のダイオードD1iによる電圧降下Vdを考慮すると、電流iL1i(t)は、次のようになる。
【0097】
【数1】
【0098】
期間t1が終了すると、スイッチSW2iが開く。インダクタの電流は、以下のピーク値に達する。
【0099】
【数2】
【0100】
期間t1が終了し、インダクタL1iの電流が相殺されるまで、ダイオードD1iが導通する。インダクタL1iの電流は、以下の式に従って減少する。
【0101】
【数3】
【0102】
不連続誘導モードで動作する充電装置5の誘導期間t1を超えない値t1(max)は、式3により定めることができる。インダクタの電流は、動作の各期間Tに対し、零または正でなければならない。キャパシタC1iおよびインダクタL1iの通常の振動期間は、式4を定める際に考慮される。期間t1(max)は、2つの項AおよびBに依存する。最悪の場合を考えると、項Aは、最大の入力電圧Veおよび最小の出力電圧Vsに対して評価される。項Bは、入力電圧および出力電圧に依存するとともに、平均出力電流Isi(moy)に依存する。項Bは、一定であり、従って、最大入力電圧、最小出力電圧および最大出力平均電流に対して評価されるか、または、反対に、最小入力電圧、最大出力電圧および最小出力平均電流に対して評価される。
【0103】
【数4】
【0104】
充電装置の出力電流は、インダクタL1iの電流と等しい。充電装置5の平均出力電流は、式5から計算される。キャパシタC1iの平均電流が、定常状態で零であれば、平均出力電流Isi(moy)は、ダイオードD1iの平均電流と等しい。電流Isi(moy)は、入力電圧Veの自乗に比例し、出力電圧Vsに反比例する。蓄電池のステージの電圧にかかわらず、所定期間t1の間、所望の平均電流を供給するためには、最大出力電圧および最小入力電圧を考慮する必要がある。
【0105】
【数5】
【0106】
充電されたステージEtiの電流iEti(t)は、動作する充電装置5の数と、ステージEtiに対するそれらの位置とに依存する。
【0107】
ステージEtiに並列な充電装置5だけが動作している場合、ステージEtiの電流は、t1とTとの間、インダクタL1iの電流と等しく、残りの期間は零である。この変形例は、図9に実線で示してある。
【0108】
ステージEtiの上に配置されている動作しているL個の充電装置5を考慮すると、対応する充電装置のダイオードD1iがブロックされているとき、追加電流は、ステージEtiを流れる。この状態では、充電装置が同一であることを考慮すると、電流iEti(t)は、キャパシタC1iの電流に動作している充電装置の数L+1を掛けた電流と等しい。この変形例は、図9のL=1の点線で示されている。
【0109】
ステージEtiの下に配置され、動作しているM個の充電装置を考慮すると、追加電流は、期間t1の間、ステージEtiを流れる。この状態では、充電装置が同一であることを考慮すると、電流iEti(t)は、インダクタL1iの電流に動作している充電装置の数Mを掛けた逆方向の電流と等しい。この変形例は、図9のM=1の破線で示されている。
【0110】
充電されたステージの電流の平均値IEt(moy)は、式6から得られる。
【0111】
【数6】
【0112】
例
例えば、各充電装置5は、蓄電池のステージEtiの充電状態を追跡することができ、10個のステージの端子に接続されている。単一の電圧源7が、すべての充電装置5に供給するために考慮される。電圧源7は、直列に接続された10個のステージの端子に接続されている。
【0113】
設計は、2つのステップに分けられる。まず、電圧源7のスイッチSW2iの最大誘導期間t1を、不連続誘導モードでの充電装置の動作のために計算する。次に、充電装置の出力に所望の平均電流を供給するためのインダクタL1iの最大値を求める。
【0114】
次の定義を適用する。
− 平均出力電流(最小値Isi(moy)):1A
− 特定動作周波数(F):50kHz、すなわち、T=1/F=20μs
− 1つの蓄電池の電圧(リン酸鉄に基づくLiイオン):
・最小電圧:2.5V
・最大電圧:3.6V
− ダイオードのオン状態における電圧降下(Vd):0.3V〜0.7V
【0115】
キャパシタC1iは、十分な電流を流し、充電装置5のインダクタL1iの端子に準定電圧を印加するように設計されている。6A程度のピーク電流、および2.0μsの期間t1に対する3V程度の電圧降下を考慮し、キャパシタの値は、2μF程度である。キャパシタの値は、典型的には、1μF〜10μF程度である。
【0116】
期間t1の最大値、およびインダクタL1iのインダクタンスは、以下のようにして計算される。期間t1(max)は、充電装置5のダイオードD1iの最小電圧降下、最大入力電圧および最小出力電圧の項Aを計算し、最小平均出力電流、最小入力電圧および最大出力電圧の項Bを計算し、阻止キャパシタの値を2μFとし、これらを使用して計算される。最大インダクタンスL1iは、期間t1(max)で項Bを計算するために使用された同じ条件を使用して計算される。期間t1(max)は、ピーク電流を最小にするインダクタL1iのインダクタンスと、インダクタ、スイッチおよびダイオードのrms(自乗平均)電流とを計算するために使用される。なお、堅牢性の理由から、より小さい値を用いることが可能である。充電装置の出力にフィルタキャパシタを使用することは、期間t1(max)およびインダクタL1iのインダクタンスを決定する工程を変更するものではない。
【0117】
【数7】
【0118】
【数8】
【0119】
シミュレーション
例として、2つのシミュレーション結果を、図10および図11に示す。
【0120】
第1シミュレーション(図10):
第1シミュレーションでは、蓄電池Aijのほとんどの部分が、2.5Vの閾値電圧に充電され、ステージ7の1つの蓄電池が、例えば、3.6Vに充電される。充電装置5は、最大の充電電圧、すなわち、3.6Vの蓄電池に並列に接続される。
【0121】
シミュレートされる電圧源7は、デカップリングキャパシタC3iのない図6に示される発生器である。
【0122】
第1の結果は、平均出力電流が少なくとも1Aでなければならない動作の極端な場合を示す。
【0123】
図10は、この第1シミュレーションの結果を示す。曲線C1は、インダクタL17の電流、曲線C2は、キャパシタC17の電流、曲線C3は、ダイオードD17の電流、および、曲線C4は、最大の充電電圧を有する蓄電池の電流を示す。
【0124】
先立つ動作として、上述したように、インダクタL17の電流は、期間t1の間、増加する。この期間t1の間、電流は、充電中の蓄電池に流れず、充電中の蓄電池の上に配置されている蓄電池に流れる。ダイオードD17は、この状態の間、ブロックされる。
【0125】
期間t1が終了すると、電流値は、この例では、10.7A程度のピークの値に達する。期間t1から、インダクタの電流は減少し、蓄電池に供給される。ダイオードD17が導通し、インダクタL17の消磁が可能となる。インダクタL17の電流は、装置の動作の各期間の前に相殺されるため、回路は不連続誘導モードで動作する。充電されている蓄電池に流れるインダクタL17の電流は、ダイオードD17がブロックされるとき、すなわち、電流iD17が相殺されるとき、負になる。この電流iL17は、キャパシタC17およびインダクタL17に対する固有の振動周波数に近い周波数で振動する。この電流iL17は、インダクタL17、充電中の蓄電池、充電中のステージの下に配置されている蓄電池、キャパシタC17およびスイッチSW31を介して流れる。従って、定常状態のキャパシタC17の平均電流は、動作期間中、零である。
【0126】
平均出力電流Is7(moy)は、約1.9Aである。1Aの最小平均電流は、充電された蓄電池のどのような電圧にも従う。電流は、装置の設計パラメータとして仮定されたように、主として各期間Tの電流が零でないため、所望の値よりも大きい。従って、インダクタのピーク電流は、1Aの平均電流を供給するのに必要な値よりも大きい。従って、高いインダクタンスのピーク電流の自乗に比例する平均電流の影響は大きい(式5)。
【0127】
第2シミュレーション(図11):
第2シミュレーションでは、ほとんどの蓄電池が、3.6Vの閾値電圧に充電され、1つの蓄電池、例えば、7番目の蓄電池は、2.5Vに充電される。充電装置5は、最も低い充電電圧、すなわち、2.5Vのこの蓄電池に並列に接続される。従って、充電装置は、7番目のステージEt7の端子に接続される。
【0128】
第2の結果は、充電装置が不連続誘導モードで動作し、動作の各期間Tの前に、インダクタL1iの電流が、零または正でなければならない極端な場合を示す。
【0129】
図11は、この第2シミュレーションの結果を示す。曲線C5は、インダクタL17の電流、曲線C6は、キャパシタC17の電流、曲線C7は、ダイオードD17の電流、曲線C8は、最小の充電電圧を有する蓄電池の電流を示す。
【0130】
インダクタL17の電流は、装置の動作の各期間の前に相殺されるため、回路は、不連続誘導モードで動作する。インダクタL1iの電流が、正または零である不連続誘導の動作は、充電された蓄電池のどのような電圧にも従う。
【0131】
平均出力電流Is7(moy)は、約3.4Aである。この値は、1Aの最小値よりも大きい。実効電流(rms)は、充電中のステージの上下に配置されているステージを介して、約1.7Aまで上昇する。平均電流は、約330mAである。
【0132】
第2実施形態
次に、充電均等化システム2の第2実施形態について説明する。
【0133】
充電装置
図12に示すように、第2実施形態の充電装置5は、図5に示す第1実施形態とは、第1端子が、第1キャパシタC1iが接続されている電圧源7の極v1に接続され、第2端子が、ステージEtiの極Niに接続されている第2キャパシタC2iを含む点で異なる。
【0134】
このキャパシタC2iは、電圧源7により供給されるいくつか、または全ての電流の復帰経路を提供する。
【0135】
電圧源
この第2実施形態は、例えば、正の電圧パルスのみを供給する電圧源7に等しく適用できる。
【0136】
この第2実施形態の充電装置5に対して、それぞれ、図13および図14に示す電圧源7の2つの変形例を提供することが可能である。
【0137】
第1変形例(図13):
この電源7は、2つのインダクタL3iおよびL4iが蓄電池1の端子NおよびPに直列に実装されている点で、図6に示す第1実施形態の電圧源7とは異なる。
【0138】
従って、電源7のスイッチSW3iまたはSW2iが閉じるとき、充電装置5の第2キャパシタC2iに電流が強制的に流れる。いわゆるデカップリングキャパシタC3iは、2つのスイッチの端子に接続しなければならない。
【0139】
第2変形例(図14):
図14に示す電源7は、その一部に、デカップリングキャパシタC3i、スイッチSW2iおよびトランスT1iを含んでいる。この電源7は、第1変形例(図13)の電圧源7と比較して、素子の数を最小にするという利点を有する。
【0140】
動作
図13に示す電源7に関連する第2実施形態の動作につき、次に説明する。図15A、図15Bは、ステージEt1の充電の対応を示し、図16は、より一般的なステージEtiの充電の対応を示す。
【0141】
ステージEt1、Eti、インダクタL31、L3iおよびL41、L4iの電流は、インダクタの電流がキャパシタC31、C3iの平均電流に対して定常状態の動作期間では、零である必要のあることが、図に鎖線の矢印で概略的に示されている。電流は、直流と見なされ、従って、動作期間Tの間、一定である。図16では、この電流は、階Etiの電流iEti(t)の表示において無視されている。
【0142】
動作は、第1実施形態におけるのと実質的に同じである。第1実施形態に対して追記することは、期間t1の間、図15Aの点線の矢印で示される電流が、ステージNを除くステージEt1、Etiの上下に配置されているすべてのステージに流れることである。電流は、充電装置5の全ての第2キャパシタC2j(j=1〜N)へ流れる。理想的な場合、電流は、全てのキャパシタに対して均等に分割される。また、期間t1が終了し、動作期間T(図15B)が終了するまで、電流は、ステージEt1、充電中のステージEt1の上下に配置されている充電装置5の第2キャパシタC2jの組、インダクタL11、L1i、キャパシタC11、C1iおよびスイッチSW31、SW3i(点線で示す)を介して流れる。
【0143】
第1実施形態と比較すると、この第2実施形態は、充電されていないステージの実効電流(rms)を減少させる利点を有する。
【0144】
期間t1の間であり、また、ダイオードD11、D1iがブロックされた瞬間から、期間Tの終了までのキャパシタC11、C1iの電流は、充電装置5のキャパシタC2jの間で分割される。ステージが充電中のステージに近いほど、このステージを流れる実効電流(rms)は大きくなる。
【0145】
さらに、例えば、ステージEt1、Etiの端子N1、Niと、ダイオードD11、D1iのアノードとの間に直列に接続される各充電装置にスイッチ(図示せず)を追加することにより、充電されていないステージの実効電流(rms)を最小にすることができる。このスイッチは、動作している1つ以上の他の充電装置5の電流の一部が、動作していない充電装置5のキャパシタC2jへ流れることを阻止する。この場合、充電されていないステージを流れる実効電流(rms)は、理論的には、バッテリにより供給される直流電流の値と等しい。
【0146】
設計
充電装置5(図12)の設計は、上述した動作を規定する式に基づいて行われる。式は、関連する電圧源7(図13)に有効である。簡単な設計では、キャパシタC1iおよびC2iの端子電圧は、電圧がある場合には、充電装置5の動作期間Tの間、一定と見なされる。
【0147】
インダクタL1iの電流(iL1i)の式1〜3は、第2実施形態および第1実施形態と同じであり、同様にして、誘導期間t1を超えない値(t1(max))を規定する式4と、平均出力電流を規定する式5とが適用される。
【0148】
iEti(t)で示される充電されたステージEtiの電流は、動作している充電装置の数、ステージEtiに対する充電装置の位置、および、ステージの数に対するステージEtiの位置に依存する。ステージEti(図16)の下に配置されている動作中の充電装置5の数Mと、ステージEtiの上の動作中の充電装置5の数Lとを考慮すると、期間t1の間のステージEtiの電流は、式7により近似することが可能である。ダイオードD1iがブロックされた瞬間から、期間Tの終了までのステージEtiの電流は、同じ式により近似させることが可能である。
【0149】
【数9】
【0150】
従って、定常状態では、キャパシタC1iの平均電流が、動作期間中零であれば、期間t1の間のダイオードD1iがブロックされた瞬間から、期間Tの終了までのステージEtiの平均電流は、零である。インダクタL3i、L4iの電流を考慮すると、充電されたステージの平均電流(lEti(moy))は、式6により定められる。
【0151】
この第2実施形態では、デカップリングキャパシタC3iが、電圧源7に実装して使用される。このキャパシタC3iは、端子の所定の電圧降下を有する充電装置5に必要な電流を供給するように定められる。キャパシタC3iの端子の電圧降下は、出力電流の関数として、式9により与えられる。Kは、動作している充電装置5の数である。
【0152】
【数10】
【0153】
シミュレーション
キャパシタC2iは、キャパシタC1iと同じ固定された2μFの値を有する。シミュレートされる電圧源は、図13に示されている。
【0154】
2つのインダクタL3i、L4iの値は、電力電子変換器の分野における典型的な値である100μHに固定されている。
【0155】
10μFのデカップリングキャパシタC3iを使用する。このキャパシタは、端子の所定の電圧降下を有する充電装置5に必要な電流を供給するように定められる。キャパシタの端子の電圧降下は、出力電流の関数として、式9により与えられる。
【0156】
第2実施形態の充電装置5の設計は、第1実施形態の充電装置の設計と同じである。従って、受動素子L1i、C1iの同じ値に対して、第1実施形態および第2実施形態の充電装置5の平均出力電流が同じであることを確認するため、1つのシミュレーション結果だけを示す。
【0157】
シミュレーション結果は、装置が不連続誘導モードで動作し、また、インダクタL1iの電流が各動作期間の前に、零または正でなければならない極端な動作状態を示す。
【0158】
図17は、シミュレーション結果を示す。曲線C9はインダクタL17の電流、曲線C10は、キャパシタC17の電流、曲線C11は、ダイオードD17の電流、曲線C12は、最小の充電電圧を有する蓄電池の電流を示す。
【0159】
平均出力電流Is7(moy)は、約3.3Aである。これは、第1実施形態で得られた平均電流(約3.4A)に非常に近い。従って、第1実施形態および第2実施形態の設計は、同様である。
【0160】
インダクタL41、L31の平均電流は、約330mAである。充電中のステージEtiの上下に配置されているステージの平均電流は、330mAである。これは、第1実施形態の充電されていないステージの平均電流と同じである。
【0161】
ステージ8の実効電流(rms)は、610mAである。充電中のステージEtiの上に配置されているステージの実効電流(rms)は、ステージEtiからの距離が増加すると減少する。ステージ10の実効電流(rms)は、インダクタL31、L41の直流電流、すなわち、330mAである。ステージ6の実効電流(rms)は、915mA程度である。充電中のステージEtiの下に配置されているステージの実効電流(rms)は、ステージEtiからそのステージまでの距離が増加すると、減少する。ステージ1の実効電流(rms)は、360mA程度である。ステージの実効電流(rms)は、第1実施形態に対して、最悪の場合、少なくとも1.8の因子で減少する。
【0162】
第3実施形態
次に、充電均等化システム2の第3実施形態について説明する。
【0163】
充電装置
図18は、充電装置5の第3実施形態を示す。この第3実施形態は、次の点で第2実施形態と異なる。
− 第2キャパシタC2iの第2端子は、インダクタL1iの第2端子、およびステージの極Piに接続されている。
− ダイオードD1iのカソードは、インダクタL1iの第1端子に接続されている。
− スイッチSW1iは、キャパシタC1iの第2端子、およびインダクタL1iの第1端子に接続されている。
【0164】
変形例として、充電装置5に起因するリップル電流をフィルタリングするように設計されるキャパシタ(図示せず)を追加することが可能である。第1実施形態および第2実施形態のように、端子NiとスイッチSW1iの第1端子との間に接続する代わりに、第3実施形態では、このキャパシタは、端子PiとダイオードD1iのアノードとの間に接続されている。
【0165】
また、第3実施形態では、スイッチを、電源7の出力v2とキャパシタC1iの第1端子とに接続することが可能である。
【0166】
電圧源
第1実施形態および第2実施形態のように、第3実施形態は、正電圧パルスだけを供給する電圧源に適用することができる。
【0167】
この第3実施形態では、電圧源を、第2実施形態として説明した図13および図14に示す電圧源のいずれかとすることが可能である。
【0168】
動作(図16、図19A、図19B)
次に、図13に示す電圧源に関連する第3実施形態の動作について説明する。ステージEt1の充電に対応する図19A、図19Bと、より一般的なステージEtiの充電に対応する図16とを示す。
【0169】
1つの差異を除き、第2実施形態の動作と同様である。すなわち、第2実施形態の場合と同様に、期間t1の間、インダクタL1iの電流は、ステージNではないステージ1を除くステージEtiの上下に配置されているすべてのステージに流れる。
【0170】
インダクタL1i、2つのキャパシタC1i、C2i、ダイオードD1i、および並列に接続されているステージEtiの電流の変化は、第2実施形態と同じである(図16)。
【0171】
ステージEt1を充電する特別な場合について述べると、このステージEt1の電流の変化は、電流がt1で相殺され、また、そのときにダイオードがブロックされるため、一般の場合とは異なる。
【0172】
設計
上述したように、充電装置5(図18)のパラメータ化は、その動作を規定する式に基づくものであり、また、関連する電圧源7にとって有効である。
【0173】
式1〜5は、第1実施形態および第2実施形態のものと同じである。
【0174】
充電されたステージの電流iEti(t)は、動作している充電装置の数、ステージEtiに関する位置、および、ステージの数に関するステージEtiの位置に依存する。ステージEtiの下に配置される動作している充電装置の数Mと、ステージEtiの上に配置される動作している充電装置の数Lとを考慮すると、期間t1の間のステージEtiの電流は、式10により近似させることができる。ダイオードD1iがブロックされる瞬間から、期間Tが終了するまでのステージEtiの電流は、同じ式により近似させることが可能である。
【0175】
【数11】
【0176】
定常状態において、キャパシタC1iの平均電流が動作の期間中零であれば、期間t1の間と、ダイオードD1iがブロックされてから期間Tが終了するまでとのステージEtiの平均電流は、従って零である。インダクタL3i、L4iの電流を考慮すると、充電されたステージの平均電流(lEti(moy))は、式6により与えられる。
【0177】
シミュレーション
シミュレーションの条件は、第2実施形態のものと同じである。
【0178】
第3実施形態の充電装置5の設計は、第1実施形態および第2実施形態の充電装置5の設計と同じである。従って、この節では、受動素子L1i、C1iの同じ値に対して、これらの3つの実施形態の充電装置の平均出力電流が同じであることを確認するため、1つのシミュレーション結果だけを示す。
【0179】
シミュレーションの結果は、装置が不連続誘導モードで動作し、また、インダクタL1iの電流が、各動作期間Tの前に零または正でなければならない極端な動作状態を示す。
【0180】
図20は、シミュレーション結果を示す。曲線C13は、インダクタL17の電流、曲線C14は、キャパシタC17の電流、曲線C15は、ダイオードD17の電流、曲線C16は、最小の充電電圧を有する蓄電池の電流を示す。
【0181】
平均出力電流Is7(moy)は、約3.3Aである。これは、第1実施形態および第2実施形態で得られた平均電流(約3.4A〜3.3A)に非常に近い。従って、最初の3つの実施形態の設計は、同様である。
【0182】
インダクタL31、L41の平均電流は、約330mAである。充電中のステージEtiの上下に配置されたステージの平均電流は、330mAである。これは、第1実施形態および第2実施形態の充電されていないステージの平均電流と同じである。
【0183】
ステージ8の実効電流(rms)は、670mAである。充電中のステージEtiの上に配置されているステージの実効電流(rms)は、ステージEtiからのそのステージの距離が増大すると減少する。ステージ10の実効電流(rms)は、380mAである。ステージ6の実効電流(rms)は、890mA程度である。充電中のステージEtiの下に配置されているステージの実効電流(rms)は、ステージEtiからそのステージまでの距離が増加すると減少する。ステージ1の実効電流(rms)は、インダクタL31、L41の直流電流、すなわち、330mAである。充電されていないステージの実効電流(rms)は、第1実施形態に対して、最悪の場合、少なくとも1.9の因子で減少する。充電されていないステージの実効電流(rms)は、第3実施形態および第2実施形態に対してほぼ同一である。
【0184】
第4実施形態
次に、充電均等化システム2の第4実施形態について説明する。
【0185】
充電装置
図21は、充電装置5の第4実施形態を示す。この第4実施形態は、充電装置5がさらに、第2インダクタL2iおよび第2ダイオードD2iを含み、また、次の点で第2実施形態とは異なる。
− 第2キャパシタC2iの第2端子は、第2インダクタL2iの第1端子に接続されている。
− 第2ダイオードD2iのアノードおよびカソードは、ステージの極Niおよび第2インダクタL2iの第1端子にそれぞれ接続されている。
− スイッチSW1iは、2つのインダクタL1i、L2iの第2端子に接続されている。
【0186】
また、第4実施形態は、例えば、正負の電圧パルスを供給する電源とともに使用するのに適している点で異なっている。
【0187】
充電装置の第4実施形態に対するスイッチSW1iの他の位置は、図22A、図22Bに示されている。
【0188】
図22Aでは、スイッチSW1iは、第1端子が電圧源7の正極v2に接続され、第2端子が第1キャパシタC1iの第1端子に接続されている。
【0189】
図22Bでは、スイッチSW1iの第1端子は、第1キャパシタC1iの第2端子に接続され、スイッチSW1iの第2端子は、第1インダクタL1iの第1端子に接続されている。
【0190】
さらに、これらの図から分かるように、追加のスイッチSW11iが、電圧源7の出力v1およびキャパシタC2iの第1端子(図22A)、または、キャパシタC2iの第2端子および第2ダイオードD2iのカソード(図22B)のいずれかにさらに接続される必要がある。
【0191】
電圧源
この種の充電装置5に対して、電源の第1実施例では、4つのスイッチSW2i〜SW5iを有する完全なブリッジと、図23′に示されている変形例を含むトランスT1i(図23)とを使用する。この変形例によれば、電源7が蓄電池バッテリ1の端子に接続される場合、電源7は、1つの一次巻線および複数の二次巻線から構成されるトランスT1iを使用することが可能である。この例では、トランスT1iの一次巻線の端子に、4つのスイッチSW2i〜SW5iを有する完全なブリッジが示されている。複数の二次巻線を使用することにより、充電装置5のキャパシタの耐電圧を減少させることができる。直列に接続された10〜12のステージに対して、1つの二次巻線を対応させることは、一案である。
【0192】
電圧源7の第2実施例では、2つのスイッチSW2i、SW3iを有する半ブリッジと、一次巻線が2つのスイッチSW2i、SW3iの中点と2つのキャパシタC4i、C5iとの間に接続されるトランスT1iとを使用する(図24A)。第2実施例は、第1実施例よりもスイッチの数が少ないという利点を有する。また、第2実施例は、トランスT1iの一次巻線を有する直列に接続されるキャパシタC4i、C5iにより、スイッチの制御シーケンスが不均衡になるため、トランスが飽和するリスクを確実に回避するという利点を有する。
【0193】
電圧源の第3実施例では、一次側にセンタータップを有するトランスT1iと、スイッチSW2i、SW3iとを使用する(図24B)。第3実施例は、2つのスイッチSW2i、SW3iを制御するための基準が共通であるという利点を有する。
【0194】
いずれの電源7であっても、各充電装置5が不連続誘導モードで動作するため、スイッチSW2i、SW3iの誘導期間が規定される。
【0195】
3つの実施例は、出力として正負の電圧パルスを生成する。
【0196】
動作(図25A、図25B、図26)
図24Aに示す電源7に関連する第4実施形態の動作につき、次に説明する。
【0197】
図25A、図25Bでは、正の電圧パルスの動作のみを示す。
【0198】
定常状態において、キャパシタC31、C41、C51の平均電流に対して、蓄電池バッテリ1の電流が、動作期間中零でなければならない場合、蓄電池バッテリ1の電流は、図に鎖線の矢印で概略的に示されている。この電流は、直流と見なされ、従って、動作期間中は一定である。
【0199】
次に、充電中のステージEtiを有する第2実施形態と比較した動作の差異について説明する。
【0200】
期間t1の間、インダクタL11の電流は、充電中のステージEtiの電圧よりも低いトランスT11の二次巻線の電圧とほぼ等しく、その端子に印加される電圧に比例して増加する。電流は、ステージEtiにだけ流れる。動作している充電装置5のキャパシタC11、C21の電流は、インダクタL11の電流と等しい。この状態の間、充電装置5の第2ダイオードD21は、導通している。ダイオードD11は、少なくとも蓄電池バッテリ1の電圧と等しい電圧で、端子がブロックされる。第2インダクタL21は、エネルギを蓄積する。第2インダクタL21の端子電圧は、オン状態のダイオードD21での電圧降下よりも低い充電中のステージEtiの負電圧に等しい。
【0201】
期間t1が終了すると、スイッチSW21が開く。このとき、インダクタL11の電流は、電圧源がエネルギを供給しているときのインダクタの端子に印加される電圧に期間t1を乗算し、インダクタンスの値で割った値とほぼ等しいピーク値に達する。
【0202】
電圧源は、期間t1が終了し、動作期間の半分T/2までは、ステージEtiの充電装置の端子v2、v1に電圧を印加しない。スイッチSW31、SW21が開く(図25B、図26)。インダクタL11の電流は、オン状態のダイオードD11による電圧降下よりも低く、少なくとも蓄電池のステージEtiの電圧と等しい端子に印加される電圧に比例して減少する。ダイオードD11は、充電中のステージEtiの電流が相殺されるまでオンである。ダイオードD11は、インダクタL11に電流を誘導し、L21にも電流を誘導する。インダクタL21の電流は、トランスの二次側のインピーダンスがインダクタL11、L21のインピーダンスよりも非常に大きいことを考慮すると、この状態の間、一定と見なされる。インダクタL21の電流は、トランスの磁化電流と等しい。これは、図26において、Imで示されている。ダイオードD11がブロックされると、インダクタL21の電流は、インダクタL11の電流に等しく、方向が反対のステージにこれ以上流れない。この状態の間、ダイオードD21は、少なくもステージEtiの電圧と等しい電圧で、その端子はブロックされる。
【0203】
半期間T/2が終わり、期間T/2+t1の終わりまで、電圧源の端子v2、v1間に負電圧が印加される。スイッチSW31が閉じ、スイッチSW21が開く。エネルギは、インダクタL21に蓄積される。インダクタL21の電流は、充電中のステージの電圧よりも少ないトランスT11の二次電圧とほぼ等しく、その端子に印可される電圧に比例して増加する。電流は、充電中のステージEtiにだけ流れる。動作する充電装置のキャパシタC11、C21の電流は、インダクタL21の電流と等しい。この状態の間、ダイオードD11は導通する。ダイオードD21は、少なくとも蓄電池バッテリ1の電圧に等しい端子電圧でブロックされる。インダクタL11は、エネルギを蓄積する。インダクタL11の端子電圧は、オン状態のダイオードD11の電圧降下よりも低い充電中のステージEtiの電圧と少なくとも等しい。
【0204】
期間T/2+t1が終了すると、スイッチSW31が開く。このとき、インダクタの電流は、電圧源がエネルギを供給しているときのインダクタの端子に印加される電圧に期間t1を乗算し、インダクタンスの値で割った値とほぼ等しいピーク値に達する。
【0205】
電源7は、期間T/2+t1が終了し、期間Tの終わりまでは、ステージEt1の充電装置5の端子v2、v1に電圧を印加しない。スイッチSW31、SW21は開く。インダクタL21の電流は、オン状態のダイオードD21による電圧降下よりも低く、少なくとも蓄電池のステージEt1の電圧と等しく、その端子に印加される電圧に比例して減少する。ダイオードD21は、充電中のステージEt1の電流が相殺されるまでオンである。ダイオードD21は、インダクタL11に電流を誘導し、L21にも電流を誘導する。インダクタL11の電流は、トランスの磁化電流(Im)と等しい。ダイオードD21がブロックされると、インダクタL11の電流は、インダクタL21の電流に等しく方向が反対のステージに、これ以上流れない。この状態の間、ダイオードD11は、少なくともステージEtiの電圧と等しい電圧で、その端子がブロックされる。
【0206】
第4実施形態は、キャパシタC11、C21に同時に流れる電流が同じであるため、充電されていないステージに最小の実効電流(rms)を印加するという利点を有する。従って、実効電流(rms)は、この電流が直流電流であることを考慮すると、蓄電池1により供給される電流と等しい。
【0207】
設計
これまでのように、充電装置5(図21)の設計は、その動作を規定する式に基づき、また、関連する電源7に対して有効である。
【0208】
期間t1の間、インダクタL1iの電流(iL1i)は、増加する。電流は、各動作期間では、零と見なされる。トランスの二次側電圧は、VsT1iで表される。キャパシタC1i、C2iに同時に印加される端子電圧の和は、0と見なされる。オン状態のスイッチSW2i、SW1iでの電圧降下を無視し、オン状態のダイオードの電圧降下Vdを考慮すると、電流iL1i(t)は、次のようになる。
【0209】
【数12】
【0210】
期間t1が終了すると、スイッチSW2iが開く。インダクタL1iの電流は、以下のピーク値に達する。
【0211】
【数13】
【0212】
期間t1が終了し、インダクタL1iの電流が相殺されるまで、ダイオードD1iが導通する。インダクタL1iの電流は、次の式に従って減少する。
【0213】
【数14】
【0214】
インダクタL2iの電流は、期間零から動作の半期間T/2の間のインダクタL1iの電流と同じ式により、T/2とTとの間で制御される。
【0215】
式13から、不連続誘導モードで動作する装置のための誘導期間t1を超えない値(t1(max))を定めることができる。インダクタL1i、L2iの電流は、装置の各半期間の前に相殺される。出力電流のリップルを制限するため、各動作期間の近傍でインダクタの電流を相殺することが可能である。図26に示す状態では、期間t1(max)は、T/2で相殺されるインダクタL1i、L2iの電流を考慮して決定される。最悪の場合を考慮して、期間t1(max)は、最大の入力電圧VsT1iおよび最小の出力電圧Vsに対して求められる。さらに、ダイオードの電圧降下は、最悪の場合を考慮するために無視することが可能である。
【0216】
【数15】
【0217】
充電装置の出力電流isi(t)は、インダクタL1i、L2iの電流の和に等しい。平均出力電流(Isi(moy))は、ダイオードD1i、D2iがそれぞれ導通する期間のImおよび電流iL1i、iL2iを無視した式15から計算される。さらに、インダクタL1i、L2iは同じであるものと仮定する。
【0218】
【数16】
【0219】
iEti(t)で表される充電されたステージiの電流は、この実施形態では、動作している充電装置の数にのみ依存する。動作している充電装置の数Kと、トランスT1i(m=v2/v1)の変換率mとを考慮して、充電されたステージの電流の平均値(IEti(moy))は、式16から得られる。ダイオードD1i、D2iがそれぞれ導通しているときのインダクタL1i、L2iの電流は、考慮されない。
【0220】
【数17】
【0221】
例
図21から、電源7に関連する充電装置5の第4実施形態において、トランスT1iの変換率mは、トランスT1iの二次側電圧をバッテリの電圧と等しい電圧に維持するため、2に固定されている。
【0222】
仮定は、周波数が25kHzである点を除き、第1実施形態と同じである。
【0223】
期間t1(max)は、ダイオードの最小電圧降下と、充電装置の最大入力電圧および最小出力電圧とを使用して計算される。インダクタL1i(max)、L2i(max)の最大値は、それらの一部に対して、ダイオードの最大電圧降下と、充電装置の最小入力電圧および最大出力電圧とを使用して計算される。期間t1(max)は、インダクタ、スイッチおよびダイオードのピーク電流および実効電流(rms)を最小にするため、インダクタL1iの値の計算に使用される。堅牢にするため、より小さい値を用いることが可能である。
【0224】
【数18】
【0225】
【数19】
【0226】
シミュレーション
インダクタL1i、L2iの値は、8.5μHに固定されている。阻止キャパシタC1i、C2iの値は、2μFに固定されている。
【0227】
この第4実施形態では、25kHzの典型的な動作周波数を仮定する。すなわち、T=1/F=40μsである。
【0228】
シミュレートされる電圧源7は、図24Aに示すものである。電圧源7は、スイッチSW2iが閉じられ、スイッチSW3iが開かれると、正のパルス電圧を供給する。電圧源7は、スイッチSW3iが閉じられ、スイッチSW2iが開かれている限り、負のパルス電圧を供給する。
【0229】
スイッチSW2iおよびSW3iが開かれた状態のとき、トランスT1iの一次側の端子電圧は、固定されない。スイッチSW2iおよびSW3iの導通期間は、1.6μsに固定される。また、ダイオードは、トランスの一次側の消磁を可能とするため、各スイッチに並列に実装される。キャパシタC3i、C4iおよびC5iは、この例では10μFに固定される。第3実施形態に対して、これらのキャパシタは、端子に所定の電圧降下を有するトランスT1iの一次側に必要な電流を供給するように定められる。キャパシタの端子の電圧降下は、式9により、出力電流の関数として与えられる。
【0230】
バッテリおよび電圧源の入力に直列に接続されるインダクタL5は、バッテリからの電流のリップルをフィルタリングするために使用される。
【0231】
第1シミュレーション(図27):
第1の結果は、平均出力電流が少なくとも1Aでなければならない極端な動作の場合を示す。
【0232】
図27は、シミュレーション結果を示す。曲線C17およびC18は、それぞれインダクタL17、L27の電流、曲線C19は、キャパシタC17の電流、曲線C20は、ダイオードD17の電流、曲線C21は、充電装置の出力の電流、曲線C22は、最大の充電電圧を有する蓄電池の電流を示す。
【0233】
観察された動作は、第4実施形態に関する前述の節で説明した動作と同様である。
【0234】
平均出力電流Is7(moy)は、約1.1Aである。1Aの最小平均電流は、充電された蓄電池のどのような電圧にも従う。
【0235】
回路は、要求されるように、装置の動作の各半期間の前に相殺されたインダクタL1i、L2iの電流を有する不連続誘導モードで動作する。
【0236】
第2シミュレーション(図28):
第2の結果は、装置が不連続誘導モードで動作しなければならない場合、すなわち、インダクタL1i、L2iを流れる電流が、装置の動作の半期間T/2の前に相殺されなければならない極端な動作の場合を示す。
【0237】
図28は、シミュレーション結果を示す。曲線C23およびC24は、それぞれインダクタL17、L27の電流、曲線C25は、キャパシタC17の電流、曲線C26は、ダイオードD17の電流、曲線C27は、充電装置の出力の電流、曲線C28は、最小の充電電圧を有する蓄電池の電流を示す。
【0238】
回路は、不連続誘導モードで動作し、インダクタL1i、L2iを流れる電流は、装置の動作の各半期間の前に相殺される。不連続誘導モードでの動作は、充電された蓄電池のどのような電圧にも従う。
【0239】
平均出力電流Is7(moy)は、約2.8Aである。この値は、1Aの最小値よりも大きい。バッテリの直流電流は、約260mAである。充電されていないステージの実効電流(rms)は、バッテリにより供給される直流電流と等しい。
【0240】
以上のように、いずれの実施形態によっても、蓄電池1の充電を有効に均等化することができる。
【符号の説明】
【0241】
1 蓄電池
2 充電均等化システム
3 制御装置
5 充電装置
7 電源
9 基本モジュール
10 電流センサ
11 調整ループ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された少なくとも2つの蓄電池のステージ(Eti)を備え、前記各蓄電池のステージ(Eti)は少なくとも1つの蓄電池(Aij)を含むバッテリ均等化システムであって、
− 少なくとも1つの正極(v2)と、少なくとも1つの負極(v1)とを含む少なくとも1つの電圧源と、
− 前記各蓄電池のステージ(Eti)に対して関連付けられ、少なくとも1つの前記電圧源(7)により供給され、
・少なくとも1つのインダクタ(L1i)と、
・第1端子が少なくとも1つの前記電源(7)の前記正極(v2)に接続されている少なくとも1つのキャパシタ(C1i)と、
・アノードが、前記蓄電池のステージの前記負極に接続され、カソードが、少なくとも1つの前記インダクタの第1端子に接続されている少なくとも1つのダイオード(D1i)と、
・1つの端子が、少なくとも1つの前記インダクタの1つの端子に接続されている少なくとも1つのスイッチ(SW1i)とを備える充電装置(5)と、
− 少なくとも1つの前記電源(7)を制御し、充電される蓄電池のステージに関連する充電装置の少なくとも1つの前記スイッチを閉じて、少なくとも1つの前記インダクタがエネルギを蓄積し、前記エネルギを、関連する前記蓄電池のステージに移動させるようになっている制御装置(3)とを含むことを特徴とするバッテリ充電均等化システム。
【請求項2】
− 少なくとも1つの前記キャパシタ(C1i)の第2端子は、前記インダクタ(L1i)の第1端子に接続され、
− 少なくとも1つの前記ダイオード(D1i)のカソードは、前記キャパシタ(C1i)の第2端子に接続され、
− 少なくとも1つの前記スイッチ(SW1i)は、第1端子が前記インダクタ(L1i)の第2端子に接続され、第2端子が関連する前記蓄電池のステージの正極(Pi)に接続されている、
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項3】
− 前記充電装置は、
・第1端子が、前記電源(7)の正極(v2)に接続され、第2端子が、前記インダクタ(L1i)の第1端子に接続されている少なくとも1つの第1キャパシタ(C1i)と、
・第1端子が、前記電源(7)の負極(v1)に接続され、第2端子が、関連する前記蓄電池のステージの負極(Ni)に接続されている少なくとも1つの第2キャパシタ(C2i)とを含み、
− 少なくとも1つの前記ダイオード(D1i)は、アノードおよびカソードが、前記第2キャパシタ(C2i)の第2端子と、前記第1キャパシタ(C1i)の第2端子とにそれぞれ接続され、
− 少なくとも1つの前記スイッチ(SW1i)の、第1端子は、前記インダクタ(L1i)の第2端子に接続され、前記スイッチ(SW1i)の第2端子は、関連する前記蓄電池のステージの正極(Pi)の第2端子に接続されていることを特徴とする請求項1記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項4】
− 前記充電装置は、
・第1端子が、前記電源(7)の正極(v2)に接続されている少なくとも1つの第1キャパシタ(C1i)と、
・第1端子が、前記電源(7)の負極(v1)に接続され、前記第2端子が前記インダクタ(L1i)の第2端子と、関連する前記蓄電池のステージの正極(Pi)とに接続されている少なくとも1つの第2キャパシタ(C2i)とを含み、
− 少なくとも1つの前記スイッチ(SW1i)の、第1端子は、前記第1キャパシタ(C1i)の端子に接続され、同じく第2端子は、前記インダクタ(L1i)の第1端子に接続されていることを特徴とする請求項1記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項5】
− 前記充電装置は、
・少なくとも1つの第1インダクタ(L1i)および1つの第2インダクタ(L2i)と、
・第1端子が、前記電源(7)の正極(v2)に接続され、第2端子が、前記第1インダクタ(L1i)の第1端子に接続されている少なくとも1つの第1キャパシタ(C1i)と、
・第1端子が、前記電源(7)の負極(v1)に接続され、第2端子が、前記第2インダクタ(L2i)の第1端子に接続されている少なくとも1つの第2キャパシタ(C2i)と、
・アノードおよびカソードが、関連する前記蓄電池のステージの前記負極(Ni)および前記第1インダクタ(L1i)の第1端子にそれぞれ接続されている少なくとも1つの第1ダイオード(D1i)と、
・アノードおよびカソードが、関連する前記蓄電池のステージの負極(Ni)および前記第2インダクタ(L2i)の第1端子にそれぞれ接続されている少なくとも1つの第2ダイオード(D2i)とを含み、
− 少なくとも1つの前記スイッチ(SW1i)の、第1端子は、前記インダクタ(L1i)、(L2i)の第2端子に接続され、第2端子は、関連する前記蓄電池のステージの正極(Pi)に接続されていることを特徴とする請求項1記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項6】
前記制御装置(3)は、前記充電装置(5)に供給する電圧が、前記電圧源(7)の極(v1、v2)に予め印加されているとき、充電される蓄電池のステージ(Eti)に関連する充電装置(5)の少なくとも1つの前記スイッチ(SW1i)を閉じる速度を制御するように構成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項7】
前記充電装置(5)は、充電状態にある間、関連する前記蓄電池のステージ(Eti)および蓄電池(1)の電圧のレベルを個別に不連続誘導モードで動作するように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項8】
前記充電装置(5)の全てに供給する1つの電源(7)を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項9】
前記各充電装置(5)に対する電源(7)を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項10】
所定数の充電装置(5)のそれぞれに関連する少なくとも2つの電源(7)を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項11】
少なくとも1つの前記電源(7)は、前記制御装置(3)により制御される少なくとも1つのスイッチ(SW2i、SW3i、SW4i、SW5i)を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項12】
少なくとも1つの前記電源(7)は、デカップリングキャパシタ(C3i)を含むことを特徴とする請求項11記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項13】
少なくとも1つの前記電源(7)は、2つの制御されるスイッチ(SW2i、SW3i)および2つのインダクタ(L3i、L4i)を含むことを特徴とする請求項12と組み合わされた請求項3または4記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項14】
少なくとも1つの前記電源(7)は、スイッチ(SW2i)およびトランス(T1i)を含むことを特徴とする請求項12と組み合わされた請求項3または4記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項15】
少なくとも1つの前記電源(7)は、4つのスイッチ(SW2i、SW3i、SW4i、SW5i)およびトランス(T1i)を備えるブリッジを含むことを特徴とする請求項12と組み合わされた請求項5記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項16】
少なくとも1つの前記電源(7)は、2つのスイッチ(SW2i、SW3i)、トランス(T1i)および2つのキャパシタ(C4i、C5i)を含むことを特徴とする請求項12と組み合わされた請求項5記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項17】
少なくとも1つの前記電源(7)は、2つのスイッチ(SW2i、SW3i)および一次側にセンタータップを有するトランス(T1i)を含むことを特徴とする請求項12と組み合わされた請求項5記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項18】
前記制御装置(3)は、それぞれが充電状態の間に一定である誘導期間、および開いている期間を有し、少なくとも1つの前記電源(7)が有する少なくとも1つの制御される前記スイッチ(SW2i、SW3i、SW4i、SW5i)を開閉するように構成されることを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項19】
前記誘導期間は、前記充電装置(5)が不連続誘導モードで動作するために計算されることを特徴とする請求項18と組み合わされた請求項7記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項20】
少なくとも1つの前記電源(7)は、蓄電池(1)の端子(N、P)に接続されていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項21】
蓄電池(1)は、少なくとも1つの基本モジュール(9)を含み、前記各基本モジュール(9)は、直列に接続される複数の蓄電池のステージ(Eti)を備え、前記バッテリ均等化システム(2)は、さらに、前記各基本モジュール(9)の端子に追加された充電装置(5)を含むことを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項22】
蓄電池(1)は、直列に配置される複数の前記基本モジュール(9)を含み、前記バッテリ均等化システム(2)は、所定数の前記基本モジュール(9)の端子に追加の充電装置(5)を含むことを特徴とする請求項21記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項23】
少なくとも1つの前記電源(7)は、少なくとも1つの前記基本モジュール(9)の端子に接続されていることを特徴とする請求項21または22記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項24】
前記制御装置(3)に電圧情報を送信するように構成され、前記各蓄電池のステージの電圧を測定する装置を含むことを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項25】
前記蓄電池(Aij)は、Liイオン型であることを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項26】
蓄電池は、スーパーキャパシタを含むことを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システムを含むことを特徴とする蓄電池のステージの充電装置。
【請求項1】
直列に接続された少なくとも2つの蓄電池のステージ(Eti)を備え、前記各蓄電池のステージ(Eti)は少なくとも1つの蓄電池(Aij)を含むバッテリ均等化システムであって、
− 少なくとも1つの正極(v2)と、少なくとも1つの負極(v1)とを含む少なくとも1つの電圧源と、
− 前記各蓄電池のステージ(Eti)に対して関連付けられ、少なくとも1つの前記電圧源(7)により供給され、
・少なくとも1つのインダクタ(L1i)と、
・第1端子が少なくとも1つの前記電源(7)の前記正極(v2)に接続されている少なくとも1つのキャパシタ(C1i)と、
・アノードが、前記蓄電池のステージの前記負極に接続され、カソードが、少なくとも1つの前記インダクタの第1端子に接続されている少なくとも1つのダイオード(D1i)と、
・1つの端子が、少なくとも1つの前記インダクタの1つの端子に接続されている少なくとも1つのスイッチ(SW1i)とを備える充電装置(5)と、
− 少なくとも1つの前記電源(7)を制御し、充電される蓄電池のステージに関連する充電装置の少なくとも1つの前記スイッチを閉じて、少なくとも1つの前記インダクタがエネルギを蓄積し、前記エネルギを、関連する前記蓄電池のステージに移動させるようになっている制御装置(3)とを含むことを特徴とするバッテリ充電均等化システム。
【請求項2】
− 少なくとも1つの前記キャパシタ(C1i)の第2端子は、前記インダクタ(L1i)の第1端子に接続され、
− 少なくとも1つの前記ダイオード(D1i)のカソードは、前記キャパシタ(C1i)の第2端子に接続され、
− 少なくとも1つの前記スイッチ(SW1i)は、第1端子が前記インダクタ(L1i)の第2端子に接続され、第2端子が関連する前記蓄電池のステージの正極(Pi)に接続されている、
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項3】
− 前記充電装置は、
・第1端子が、前記電源(7)の正極(v2)に接続され、第2端子が、前記インダクタ(L1i)の第1端子に接続されている少なくとも1つの第1キャパシタ(C1i)と、
・第1端子が、前記電源(7)の負極(v1)に接続され、第2端子が、関連する前記蓄電池のステージの負極(Ni)に接続されている少なくとも1つの第2キャパシタ(C2i)とを含み、
− 少なくとも1つの前記ダイオード(D1i)は、アノードおよびカソードが、前記第2キャパシタ(C2i)の第2端子と、前記第1キャパシタ(C1i)の第2端子とにそれぞれ接続され、
− 少なくとも1つの前記スイッチ(SW1i)の、第1端子は、前記インダクタ(L1i)の第2端子に接続され、前記スイッチ(SW1i)の第2端子は、関連する前記蓄電池のステージの正極(Pi)の第2端子に接続されていることを特徴とする請求項1記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項4】
− 前記充電装置は、
・第1端子が、前記電源(7)の正極(v2)に接続されている少なくとも1つの第1キャパシタ(C1i)と、
・第1端子が、前記電源(7)の負極(v1)に接続され、前記第2端子が前記インダクタ(L1i)の第2端子と、関連する前記蓄電池のステージの正極(Pi)とに接続されている少なくとも1つの第2キャパシタ(C2i)とを含み、
− 少なくとも1つの前記スイッチ(SW1i)の、第1端子は、前記第1キャパシタ(C1i)の端子に接続され、同じく第2端子は、前記インダクタ(L1i)の第1端子に接続されていることを特徴とする請求項1記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項5】
− 前記充電装置は、
・少なくとも1つの第1インダクタ(L1i)および1つの第2インダクタ(L2i)と、
・第1端子が、前記電源(7)の正極(v2)に接続され、第2端子が、前記第1インダクタ(L1i)の第1端子に接続されている少なくとも1つの第1キャパシタ(C1i)と、
・第1端子が、前記電源(7)の負極(v1)に接続され、第2端子が、前記第2インダクタ(L2i)の第1端子に接続されている少なくとも1つの第2キャパシタ(C2i)と、
・アノードおよびカソードが、関連する前記蓄電池のステージの前記負極(Ni)および前記第1インダクタ(L1i)の第1端子にそれぞれ接続されている少なくとも1つの第1ダイオード(D1i)と、
・アノードおよびカソードが、関連する前記蓄電池のステージの負極(Ni)および前記第2インダクタ(L2i)の第1端子にそれぞれ接続されている少なくとも1つの第2ダイオード(D2i)とを含み、
− 少なくとも1つの前記スイッチ(SW1i)の、第1端子は、前記インダクタ(L1i)、(L2i)の第2端子に接続され、第2端子は、関連する前記蓄電池のステージの正極(Pi)に接続されていることを特徴とする請求項1記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項6】
前記制御装置(3)は、前記充電装置(5)に供給する電圧が、前記電圧源(7)の極(v1、v2)に予め印加されているとき、充電される蓄電池のステージ(Eti)に関連する充電装置(5)の少なくとも1つの前記スイッチ(SW1i)を閉じる速度を制御するように構成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項7】
前記充電装置(5)は、充電状態にある間、関連する前記蓄電池のステージ(Eti)および蓄電池(1)の電圧のレベルを個別に不連続誘導モードで動作するように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項8】
前記充電装置(5)の全てに供給する1つの電源(7)を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項9】
前記各充電装置(5)に対する電源(7)を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項10】
所定数の充電装置(5)のそれぞれに関連する少なくとも2つの電源(7)を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項11】
少なくとも1つの前記電源(7)は、前記制御装置(3)により制御される少なくとも1つのスイッチ(SW2i、SW3i、SW4i、SW5i)を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項12】
少なくとも1つの前記電源(7)は、デカップリングキャパシタ(C3i)を含むことを特徴とする請求項11記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項13】
少なくとも1つの前記電源(7)は、2つの制御されるスイッチ(SW2i、SW3i)および2つのインダクタ(L3i、L4i)を含むことを特徴とする請求項12と組み合わされた請求項3または4記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項14】
少なくとも1つの前記電源(7)は、スイッチ(SW2i)およびトランス(T1i)を含むことを特徴とする請求項12と組み合わされた請求項3または4記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項15】
少なくとも1つの前記電源(7)は、4つのスイッチ(SW2i、SW3i、SW4i、SW5i)およびトランス(T1i)を備えるブリッジを含むことを特徴とする請求項12と組み合わされた請求項5記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項16】
少なくとも1つの前記電源(7)は、2つのスイッチ(SW2i、SW3i)、トランス(T1i)および2つのキャパシタ(C4i、C5i)を含むことを特徴とする請求項12と組み合わされた請求項5記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項17】
少なくとも1つの前記電源(7)は、2つのスイッチ(SW2i、SW3i)および一次側にセンタータップを有するトランス(T1i)を含むことを特徴とする請求項12と組み合わされた請求項5記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項18】
前記制御装置(3)は、それぞれが充電状態の間に一定である誘導期間、および開いている期間を有し、少なくとも1つの前記電源(7)が有する少なくとも1つの制御される前記スイッチ(SW2i、SW3i、SW4i、SW5i)を開閉するように構成されることを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項19】
前記誘導期間は、前記充電装置(5)が不連続誘導モードで動作するために計算されることを特徴とする請求項18と組み合わされた請求項7記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項20】
少なくとも1つの前記電源(7)は、蓄電池(1)の端子(N、P)に接続されていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項21】
蓄電池(1)は、少なくとも1つの基本モジュール(9)を含み、前記各基本モジュール(9)は、直列に接続される複数の蓄電池のステージ(Eti)を備え、前記バッテリ均等化システム(2)は、さらに、前記各基本モジュール(9)の端子に追加された充電装置(5)を含むことを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項22】
蓄電池(1)は、直列に配置される複数の前記基本モジュール(9)を含み、前記バッテリ均等化システム(2)は、所定数の前記基本モジュール(9)の端子に追加の充電装置(5)を含むことを特徴とする請求項21記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項23】
少なくとも1つの前記電源(7)は、少なくとも1つの前記基本モジュール(9)の端子に接続されていることを特徴とする請求項21または22記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項24】
前記制御装置(3)に電圧情報を送信するように構成され、前記各蓄電池のステージの電圧を測定する装置を含むことを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項25】
前記蓄電池(Aij)は、Liイオン型であることを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項26】
蓄電池は、スーパーキャパシタを含むことを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システム。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか1項に記載のバッテリ充電均等化システムを含むことを特徴とする蓄電池のステージの充電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2013−519350(P2013−519350A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551640(P2012−551640)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051688
【国際公開番号】WO2011/095608
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(510132347)コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ (51)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051688
【国際公開番号】WO2011/095608
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(510132347)コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ (51)
【Fターム(参考)】
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