説明

バッテリアダプタ、バッテリ出力制御方法およびバッテリ出力制御プログラム

【課題】電源として用いる際のバッテリまたは電池の電力を無駄なく出力することが可能なバッテリアダプタを提供する。
【解決手段】実装したバッテリ20または電池の種類、出力条件、充電条件を少なくとも含むバッテリ仕様設定情報を、電力線201,202を介して伝送される外部の通信端末からのデータまたはユーザが操作するパネル回路9の設定スイッチ回路の操作に基づきあらかじめバッテリ仕様データ部8に設定登録し、該バッテリ仕様設定情報とバッテリ20または電池の温度、電圧、電流の測定結果と電力線201,202を介して取得した負荷装置の給電条件とに基づき算出した値に、DC/DCコンバータ6によりバッテリ20または電池の出力を変換して出力する。また、バッテリ20を充電する際には、前記バッテリ仕様設定情報とバッテリ20の温度、電圧、電流の測定結果とに基づき算出した充電電圧にDC電源電圧を変換してバッテリ20を充電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリアダプタ、バッテリ出力制御方法およびバッテリ出力制御プログラムに関し、特に、充電可能なバッテリや電池を使用する用途に好適に適用することができ、バッテリや電池の電力を最大限に利用することができるバッテリアダプタ、バッテリ出力制御方法およびバッテリ出力制御プログラムに関する。本発明は、バッテリや電池を実装して使用するノートパソコンや電動工具、電動自動車等にも活用することができ、さらに、電力を作って保持したり、種々の用途に転用したりするスマートグリッド(Smart Grid:知的電力網)などの電力活用ツールとして特に効果的であり、回路の小型化を実現することによって、携帯カメラや携帯電話機、懐中電灯などの電池に適用することも可能になる。
【背景技術】
【0002】
一般に、バッテリや電池は、電力を放電することによって、電圧が低下し、そのために、電力を供給する負荷装置に十分な電力が供給できなくなって、負荷装置の電源としては利用できなくなり、バッテリや電池に電力が残っているにも関わらず、廃棄や交換、あるいは、充電をしなければならなかった。また、複数のバッテリや電池を接続して一つの電源として使用する場合は、同じ仕様の同じ劣化状態、同じ充電状態のバッテリや電池を使用することが必要であった。
【0003】
このため、特許文献1の特開2005−291803号公報「バッテリ寿命予測装置とこれを用いた電源装置」においては、通常の使用状態において、個々のバッテリの劣化状態を短時間に高精度で診断して、バッテリの電力が残っていても、負荷装置に対する給電が困難になるバッテリの寿命時期を予測して、交換することを可能にする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−291803号公報(第3−5頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、使用途中の電池や充電可能な2次電池などのバッテリを電源として使用している場合は、出力する電圧が低下することによって、まだ電力が残っているにも関わらず、給電される負荷装置の電力要求を満足することができなくなるために、交換や再充電を行うことが必要となっていた。
【0006】
また、電池やバッテリを複数併用して電源として使用する場合においては、種類の異なる電池やバッテリを用いたり、充電状態の異なる電池やバッテリを用いたりして、電源として使用した場合、それぞれの電池やバッテリの間で、出力することが可能な電圧や電流の量が異なってしまう。この結果、それぞれの電池やバッテリにおいて、出力可能な電圧や電流が最も低い電圧や最も低い電流の電池やバッテリ側に引き下げられてしまうことになる。
【0007】
例えば、新しい電池と古い電池とを並列に接続した場合、新しい電池の電圧も、古い電池が出力する電圧に引き下げられてしまい、新しい電池の電力が残っていたとしても、負荷装置に給電する電源としての電圧が低くなって使用することができなくなってしまう。
【0008】
したがって、電池やバッテリを複数併用して電源として使用する場合、同じ種類のものであって、かつ、同レベルの充電状態のものを使用しなければならず、複数接続した電池やバッテリそれぞれの電力を十分に活用することができないという問題があった。
【0009】
さらには、種類の異なる電池やバッテリを併用して電源として接続した場合、それぞれの電池やバッテリが出力する電圧が異なるために、電池やバッテリ間で不要な電流が流れて、各電池や各バッテリをさらに劣化させたり、場合によっては、電池の故障や異常発熱を発生させたりするという問題もあった。
【0010】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、電源として用いる際のバッテリや電池の電力を無駄なく出力することが可能なバッテリアダプタ、バッテリ出力制御方法およびバッテリ出力制御プログラムを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため、本発明によるバッテリアダプタ、バッテリ出力制御方法およびバッテリ出力制御プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0012】
(1)本発明によるバッテリアダプタは、バッテリまたは電池を実装し、該バッテリに対する充電電圧または該バッテリまたは電池からの出力電圧を調整するDC/DCコンバータを備えたバッテリアダプタであって、前記バッテリまたは電池の種類、出力条件、充電条件を少なくとも含むバッテリ仕様設定情報を、電力線を介して伝送される外部の通信端末からのデータまたはユーザが操作するパネル回路の設定スイッチ回路の操作に基づいて、あらかじめ設定登録するバッテリ仕様データ部を備え、前記DC/DCコンバータの出力を負荷装置に前記電力線を介して給電する際に、該電力線を介して取得した前記負荷装置の給電条件と、前記バッテリまたは電池の温度、電圧、電流のうち少なくとも1ないし複数の測定結果と、前記バッテリ仕様データ部に設定登録した前記バッテリ仕様設定情報と、に基づいて算出した、前記負荷装置の給電条件に適合するいずれかの値に、前記DC/DCコンバータにより、前記バッテリまたは電池の出力を変換して前記負荷装置に対して給電することを特徴とする。
【0013】
(2)本発明によるバッテリ出力制御方法は、バッテリまたは電池を実装し、該バッテリに対する充電電圧または該バッテリまたは電池からの出力電圧を調整するDC/DCコンバータを備えたバッテリアダプタにおけるバッテリ出力制御方法であって、前記バッテリまたは電池の種類、出力条件、充電条件を少なくとも含むバッテリ仕様設定情報を、電力線を介して伝送される外部の通信端末からのデータまたはユーザが操作するパネル回路の設定スイッチ回路の操作に基づいて、あらかじめ設定登録することにより、前記DC/DCコンバータの出力を負荷装置に前記電力線を介して給電する際に、該電力線を介して取得した前記負荷装置の給電条件と、前記バッテリまたは電池の温度、電圧、電流のうち少なくとも1ないし複数の測定結果と、あらかじめ設定登録した前記バッテリ仕様設定情報と、に基づいて算出した、前記負荷装置の給電条件に適合するいずれかの値に、前記DC/DCコンバータにより、前記バッテリまたは電池の出力を変換して前記負荷装置に対して給電することを特徴とする。
【0014】
(3)本発明によるバッテリ出力制御プログラムは、少なくとも前記(2)に記載のバッテリ出力制御方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のバッテリアダプタ、バッテリ出力制御方法およびバッテリ出力制御プログラムによれば、以下のような効果を奏することができる。
【0016】
第1の効果は、バッテリまたは電池の放電によって、バッテリまたは電池の出力電圧が、負荷装置が必要とする電圧以下に低下した場合であっても、バッテリまたは電池に残っている電力をすべて出力し終わるまで利用することができることにある。その理由は、外部から取得したバッテリまたは電池の特性、バッテリまたは電池の現在の状態および負荷装置の状態に応じて、DC/DCコンバータを制御して、バッテリまたは電池の出力電圧を負荷装置が必要とする電圧に変換して出力することを可能にしているからである。
【0017】
第2の効果は、バッテリの充電電圧や充電電流、温度状態を考慮して、バッテリの状態に最適な充電を実施することができることにある。その理由は、バッテリの仕様や充電条件を、設定スイッチ回路のユーザ操作や外部の通信端末等からのデータ受信によって、外部から設定することを可能とし、充電・放電中の電圧や電流、温度のデータの観測結果から、バッテリの劣化状況を推定することができ、バッテリの劣化状況に応じた充電を行うことができるためである。
【0018】
第3の効果は、複数のバッテリまたは電池を接続して使用する際に、バッテリまたは電池の種類や劣化状態、充電状態を意識することなく使用することができることにある。その理由は、電力を供給する負荷装置が要求する電圧や電力、接続しているバッテリまたは電池それぞれの特性をあらかじめ設定登録するか、あるいは、電力線通信が可能な通信端末や本発明によるバッテリアダプタに実装したバッテリまたは電池を電力線に接続することによって、電力線に接続されている負荷装置の情報や各バッテリアダプタに実装したバッテリまたは電池の情報を把握し、各バッテリまたは各電池が保持する電力をすべて出力するように制御することができるためである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるバッテリアダプタのブロック構成の一例を示すブロック構成図である。
【図2】図1に示したバッテリアダプタの各回路部位のうちバッテリの充電動作に関連する部位を抽出して示す説明図である。
【図3】図1のバッテリアダプタにおけるバッテリの充電動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1のバッテリアダプタにおけるバッテリのバッテリ出力制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示したバッテリアダプタの実装形状の一例を説明する外観図である。
【図6】図5に示した形状の外箱内に実装したバッテリアダプタを複数並列接続して負荷となる電球に給電する接続構成の一例を説明する説明図である。
【図7】図5に示した形状の外箱内に実装したバッテリアダプタを複数直列接続して負荷となる電動ドリルに給電する接続構成の一例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明によるバッテリアダプタ、バッテリ出力制御方法およびバッテリ出力制御プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明によるバッテリアダプタおよびバッテリ出力制御方法について説明するが、かかるバッテリ出力制御方法をコンピュータにより実行可能なバッテリ出力制御プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、バッテリ出力制御プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0021】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、実装するバッテリまたは電池の種類、出力条件、充電条件を少なくとも含む情報(例えば、実装するバッテリまたは電池の種類の他に、その運用期間、使用したい出力電圧、電流リミット値、充電電圧、放電終止電圧、寿命時期等の情報)をバッテリ仕様設定情報として外部からあらかじめ設定登録することを可能として、該バッテリ仕様設定情報と、バッテリまたは電池の温度、放電電流、放電電圧それぞれの測定結果と、負荷装置の給電条件と、に基づいて、負荷装置に対する最適な給電電圧を算出し、バッテリまたは電池から出力する電圧を、DC/DCコンバータ回路により、最適な給電電圧に変換して、バッテリの出力状態を考慮するために、バッテリまたは電池の温度や放電電圧、放電電流の状態を監視しつつ、負荷装置に対して出力することを主要な特徴としている。また、前記バッテリ仕様設定情報と、バッテリの温度、充電電流、充電電圧それぞれの測定結果とに基づいて、バッテリの最適な充電電圧を計算し、入力されるDC電源電圧を最適な充電電圧に変換して、バッテリの充電状態を考慮するために、バッテリ温度や充電電圧、充電電流の状態を監視しつつ、バッテリを充電することを主要な特徴としている。
【0022】
さらに、バッテリの電力がすべて放電し終わって、放電終止となる場合は、事前に、LED(Light Emitting Diode)の点灯やブザー鳴動によるアラーム(警報)の出力によってユーザに通知する。また、充電動作や放電動作によるバッテリの劣化状態を測定し、寿命時期を推定し、LED点灯やブザー鳴動によって推定寿命時期をユーザに通知する。
【0023】
さらに、他のバッテリと並列接続または直列接続して使用する場合は、他のバッテリの種類と特性情報とをあらかじめ取得して設定した後で、他のバッテリと接続することによって、他のバッテリの仕様に合わせた電圧を出力することを可能としている。
【0024】
また、本発明によるバッテリアダプタに接続したバッテリ同士を並列または直接に接続して使用する場合は、いずれのバッテリアダプタからも負荷装置に給電する最適な値として設定した電圧を出力し、かつ、各バッテリアダプタ同士が電力線を介して互いに通信する通信機能を備えることによって、互いの通信データに基づいて、各バッテリの最適な出力条件に調整しつつ、負荷装置に電力を出力することを可能としている。
【0025】
また、本発明によるバッテリアダプタと同等の電力線上での通信機能を有した通信端末を電力線上に接続することによって、該通信端末との電力線上の通信データを用いて、当該電力線上に接続されている各バッテリアダプタの設定やバッテリの状態を、確認することを可能としている。
【0026】
(実施形態の構成例)
次に、本発明によるバッテリアダプタの構成例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明によるバッテリアダプタのブロック構成の一例を示すブロック構成図である。なお、以下の説明においては、バッテリアダプタには充電が可能な2次電池のバッテリが実装されている場合について説明するが、充電することができない電池(乾電池)が実装されている場合であっても構わない。電池(乾電池)を用いる場合は、当然のことながら、放電をすべて終了して、残電力がなくなった場合には、充電を行うことができないので、電池交換を行うことになる。
【0027】
図1に示すバッテリアダプタ100は、バッテリ接続端子1,2、バッテリ充電回路3、電流電圧センサ4、温度センサ5、DC/DCコンバータ6、バッテリアダプタ制御回路7、バッテリ仕様データ部8、パネル回路9、電力線通信回路10、電力入出力部11,12を少なくとも備えて構成される。
【0028】
ここで、バッテリ接続端子1,2は、バッテリ20の電源端子を接続する接続端子であり、電力入出力部11,12は、本バッテリアダプタ100に電力(DC電源電圧)を供給したり、バッテリ20の電力をDC/DCコンバータ6にて変換して出力したりする入出力端子である。
【0029】
バッテリ充電回路3は、バッテリアダプタ制御回路7の制御に基づいて、バッテリ仕様データ部8に設定されたバッテリ20の仕様(バッテリ仕様設定情報)や現在の状態に最適な電圧となるバッテリ充電用電圧を出力して、バッテリ20を充電する回路である。
【0030】
電流電圧センサ4は、バッテリ20の出力電圧、充電電圧や入出力される電流(出力電流、充電電流)の値を測定する測定器であり、温度センサ5は、バッテリ20の温度を測定する測定器であり、バッテリ20の充電状態や放電状態を推測するためのデータをバッテリアダプタ制御回路7に対して出力する。
【0031】
DC/DCコンバータ6は、バッテリ仕様データ部8に設定された条件や本バッテリアダプタ100の電力入出力部11,12すなわち電力線201,202に接続された他のバッテリアダプタ101,…や外部の通信端末からの情報を基にして決定したバッテリアダプタ制御回路7の制御情報に基づいて、バッテリ20の充電用の充電電圧を最適な充電電圧に変換して、バッテリ20に対して出力したり、逆に、バッテリ20の出力電力が最大限に利用することができるように、バッテリ20の出力電力を負荷装置に給電すべき最適な電圧に変換して出力したりする電力変換器である。
【0032】
また、バッテリ仕様データ部8は、パネル回路9の設定スイッチ回路の操作結果や電力線通信回路10の受信データによってあらかじめ設定されるバッテリ20の仕様データをバッテリ仕様設定情報として保存する部位である。ここで、バッテリ20のバッテリ仕様設定情報としては、実装するバッテリ20の種類、出力条件、充電条件を少なくとも含む情報(例えば、実装するバッテリ20の種類の他に、その運用期間、使用したい出力電圧、電流リミット値、充電電圧、放電終止電圧、寿命時期等の情報)からなっている。
【0033】
パネル回路9は、本バッテリアダプタ100の状態や寿命推定時期を点灯表示するLED(Light Emitting Diode)、バッテリ20の劣化や異常や寿命推定時期を鳴動音によって通知するブザー(警報)や、本バッテリアダプタの動作を設定するための設定スイッチ回路等からなっているヒューマンインタフェース回路部である。
【0034】
つまり、バッテリ20の電力がすべて放電し終わって、放電終止となる場合は、事前に、LEDの点灯やブザー鳴動によるアラーム(警報)の出力によってユーザに通知する。また、充電動作や放電動作によるバッテリ20の劣化状態を測定し、寿命時期を推定し、LED点灯やブザー鳴動によって、推定寿命時期をユーザに通知する。また、設定スイッチ回路は、実装するバッテリ20の種類、出力条件、充電条件を少なくとも含む情報、例えば、バッテリ20の種類やその運用期間、使用したい出力電圧、電流リミット値、充電電圧、放電終止電圧、寿命時期等の情報を、ユーザが設定することにより、バッテリ仕様設定情報としてバッテリ仕様データ部8に設定登録することができる。
【0035】
電力線通信回路10は、電力入出力部11,12に接続された他のバッテリアダプタ101,…や外部の通信端末との間で電力線201,202を介してバッテリ20の仕様やバッテリ20の充電、放電状態等の情報を通信するための通信回路であり、例えば、バッテリ20の充電を行うための最適な充電電圧を算出したり、他のバッテリアダプタ101,…と連携して、各バッテリアダプタ100,101,…それぞれのバッテリ電力を最大限に利用することを可能にするために、各バッテリ20の出力電圧を変換して負荷装置に対して出力する最適な電圧を算出したりするためのデータを、電力線201,202を介して送受信する。
【0036】
また、バッテリアダプタ制御回路7は、バッテリ仕様データ部8に保存した仕様データや電流電圧センサ4、温度センサ5の測定データを活用して、バッテリ充電回路3やDC/DCコンバータ6やパネル回路9や電力線通信回路10を制御して、バッテリ20に対する最適なバッテリ充電を実施したり、バッテリ20の電力を無駄なく出力したりする制御を行う。
【0037】
例えば、バッテリアダプタ制御回路7は、他のバッテリや電池と並列接続または直列接続して使用する場合は、他のバッテリや電池の種類と特性情報(仕様や充電状態等)とをあらかじめ取得して保存した後で、他のバッテリや電池と接続することによって、DC/DCコンバータ6を制御してバッテリ20の出力電圧を、他のバッテリや電池の仕様と同一の出力状態に変換して出力することを可能としている。
【0038】
あるいは、バッテリアダプタ制御回路7は、本発明によるバッテリアダプタ100,101,…を接続したバッテリ20同士を並列または直接に接続して使用する場合は、いずれのバッテリアダプタ100,101,…からも負荷装置に給電する最適な値として設定した電圧を出力し、かつ、各バッテリアダプタ100,101,…同士が電力線を介して互いに通信する通信機能を備えることによって、バッテリ20の出力電圧を、他のバッテリアダプタ100,101,…と同一の出力状態に変換して、各バッテリ20の最適な出力条件に調整しつつ、負荷装置に電力を出力することができる。
【0039】
あるいは、本発明によるバッテリアダプタ100と同等の電力線上での通信機能を有した通信端末を電力線上に接続することによって、バッテリアダプタ制御回路7は、該通信端末との間で電力線201,202を介して送受信される通信データを用いて、当該電力線上に接続されている各バッテリアダプタ100,101,…の設定やバッテリの状態を、確認することができる。
【0040】
(実施形態の動作の説明)
次に、図1に示したバッテリアダプタ100の動作の一例について、まず、図2の説明図および図3のフローチャートを参照して、バッテリ20の充電動作例を説明する。図2は、図1に示したバッテリアダプタ100の各回路部位のうちバッテリ20の充電動作に関連する部位を抽出して示す説明図である。また、図3は、図1のバッテリアダプタ100におけるバッテリ20の充電動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0041】
図2の説明図に示すように、バッテリ20の充電動作は、バッテリアダプタ100の各回路部位を制御するバッテリアダプタ制御回路7の制御下に実行される。バッテリアダプタ制御回路7は、バッテリ仕様データ部8に保存したバッテリ仕様設定情報ならびに電流電圧センサ4及び温度センサ5の測定結果に基づいて、バッテリ充電回路3を適宜制御して、電力入出力部11,12を介して外部から取り込んだ充電電力(DC電源電圧)を最適な充電電圧に設定してバッテリ20に対して供給させることによって、バッテリ20の充電を行わせる。なお、本実施形態においては、バッテリ充電回路3により、DC電源電圧をバッテリ20の充電用の電圧値に変換する動作を行っている例を示しているが、場合によっては、DC−DCコンバータ6によって、DC電源電圧をバッテリ20の充電用の電圧値に変換する動作を行い、バッテリ充電回路3は、DC−DCコンバータ6にて変換された充電電圧を用いてバッテリ20に対する充電動作を制御するようにしても良い。
【0042】
次に、図3のフローチャートを用いて、バッテリ20の充電動作についてさらに詳細に説明する。図3のフローチャートに示すように、バッテリ20の充電動作に先立って、まず、パネル回路9の設定スイッチ回路のユーザ操作により、または、外部の通信端末からのデータを電力線201,202を介して受信した電力線通信回路10からの出力により、バッテリ20の種類や充放電等に関するバッテリ仕様設定情報が入力されてくると、バッテリアダプタ制御回路7の制御により、該バッテリ仕様設定情報をバッテリ仕様データ部8にあらかじめ設定登録する(ステップS10)。
【0043】
バッテリ仕様データ部8にバッテリ仕様設定情報が設定登録されている状態で、バッテリ20の充電動作が起動されると、バッテリアダプタ制御回路7は、最初に、バッテリ20の出力電圧を電流電圧センサ4により測定して、バッテリアダプタ100のバッテリ接続端子1,2にバッテリ20が接続されているか否かを確認する(ステップS1)。バッテリ20の出力電圧の測定結果が0Vであり、バッテリ20がバッテリ接続端子1,2に接続されていない場合には(ステップS1の"電圧=0V"の場合)、バッテリ未実装の旨をパネル回路9のLEDに表示して(ステップS3)、ユーザがバッテリ20を実装するまで、ステップS1のバッテリ20接続確認動作を繰り返す。
【0044】
一方、バッテリ20の出力電圧の測定結果が0V以外であり、バッテリ20がバッテリ接続端子1,2に接続されていた場合には(ステップS1の"電圧≠0V"の場合)、ステップS10においてバッテリ仕様データ部8にあらかじめ設定登録されているバッテリ20のバッテリ仕様設定情報を確認する(ステップS2)。
【0045】
バッテリ仕様設定情報の確認結果として、バッテリ接続端子1,2に接続されているバッテリ20が充電可能な2次電池であり、かつ、当該バッテリ20の充電条件や特性データが得られると、バッテリアダプタ制御回路7の制御により、バッテリ接続端子1,2に接続されているバッテリ20の現在の条件に最適な電圧条件になるように、バッテリ充電回路3の充電電圧を設定して、バッテリ20に対する充電を開始する(ステップS4)。ここで、バッテリ接続端子1,2に充電が不可能な乾電池が接続されていた場合には、充電が不可能な電池が接続されている旨をパネル回路9のLEDに表示して、ユーザに通知し、図3の充電動作を終了する。
【0046】
バッテリ20に対する充電を実施中の状態においては、バッテリアダプタ制御回路7の制御により、電流電圧センサ4、温度センサ5によってバッテリ20の充電電圧、充電電流、バッテリ温度を常時測定し(ステップS5)、異常が発生していないか否かを確認する(ステップS6)。
【0047】
充電電圧、充電電流、バッテリ温度に異常値を検出した場合は(ステップS6のYes)、電力入出力部1,2すなわち電力線201,202に通信端末や他のバッテリアダプタ101,…が接続されている場合には、電力線通信回路10を駆動して、電力線201,202を介して、当該バッテリアダプタ100のバッテリ20の充電動作が異常になった旨を、外部の通信端末や他のバッテリアダプタ101,…に通知するとともに、異常が発生した旨をパネル回路9のLEDに表示することによってユーザに通知した後(ステップS8)、充電動作を停止する。
【0048】
一方、充電電圧、充電電流、バッテリ温度に異常値を検出していない場合は(ステップS6のNo)、測定した充電電圧値や充電電流値やバッテリ温度を解析して、バッテリ20が満充電状態に達したか否かを確認する(ステップS7)。バッテリ20が満充電状態に達していない場合は(ステップS7のNo)、ステップS5に復帰して、充電動作を継続するとともに、バッテリ20の充電電圧、充電電流、バッテリ温度の測定動作を継続する。
【0049】
一方、バッテリ20が満充電状態に達した場合は(ステップS7のYes)、バッテリ20の充電動作が正常に終了したものとして、バッテリ20に対する充電動作を停止するか、あるいは、トリクル充電動作を行う動作に移行する(ステップS9)。
【0050】
次に、図1に示したバッテリアダプタ100におけるバッテリ20のバッテリ出力制御方法の一例について、図4のフローチャートを参照して説明する。図4は、図1のバッテリアダプタ100におけるバッテリ20のバッテリ出力制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0051】
図4のフローチャートにおいても、図3の充電動作の場合と同様、バッテリ出力動作に先立って、まず、パネル回路9の設定スイッチ回路のユーザ操作により、または、外部の通信端末からのデータを電力線201,202を介して受信した電力線通信回路10からの出力により、バッテリ20の種類や充放電等に関するバッテリ仕様設定情報が入力されてくると、バッテリアダプタ制御回路7の制御により、該バッテリ仕様設定情報をバッテリ仕様データ部8にあらかじめ設定登録する(ステップS20)。
【0052】
バッテリ仕様データ部8にバッテリ仕様設定情報が設定登録されている状態で、バッテリ20のバッテリ出力動作が起動されると、バッテリアダプタ制御回路7は、最初に、図3の充電動作の場合と同様、バッテリ20の出力電圧を電流電圧センサ4により測定して、バッテリアダプタ100のバッテリ接続端子1,2にバッテリ20が接続されているか否かを確認する(ステップS11)。バッテリ20の出力電圧の測定結果が0Vであり、バッテリ20がバッテリ接続端子1,2に接続されていない場合には(ステップS11の"電圧=0V"の場合)、バッテリ未実装の旨をパネル回路9のLEDに表示して(ステップS13)、ユーザがバッテリ20を実装するまで、ステップS1のバッテリ20接続確認動作を繰り返す。
【0053】
一方、バッテリ20の出力電圧の測定結果が0V以外であり、バッテリ20がバッテリ接続端子1,2に接続されていた場合には(ステップS11の"電圧≠0V"の場合)、ステップS20においてバッテリ仕様データ部8にあらかじめ設定登録されているバッテリ20のバッテリ仕様設定情報を確認する(ステップS12)。
【0054】
バッテリ仕様設定情報の確認結果として、バッテリ接続端子1,2に接続されているバッテリ20のバッテリ仕様や充電状態を示すデータが得られると、電力入出力部1,2すなわち電力線201,202に通信端末や他のバッテリアダプタ101,…が接続されている場合には、電力線通信回路10によって、電力入出力部11,12すなわち電力線201,202を介して、電力線201,202に接続されている外部の通信端末からの情報や他のバッテリアダプタ101,…のバッテリに関する状況、電力供給先となる負荷装置の給電条件をも合わせて確認したバッテリアダプタ制御回路7の制御情報に基づいて、DC/DCコンバータ6を制御して、バッテリ20の出力電圧を、バッテリ20の出力電力を最大限に利用することが可能になるように、負荷装置に給電すべき最適な出力電圧に変換して、電力入出力部11,12から負荷装置に対して出力する動作を開始する(ステップS14)。
【0055】
ここで、バッテリアダプタ制御回路7は、他のバッテリや電池と並列接続または直列接続して使用する場合は、他のバッテリや電池の種類と特性情報とをあらかじめ取得して保存した後で、他のバッテリや電池と接続することによって、DC/DCコンバータ6を制御して、バッテリ20の出力電圧を、他のバッテリの仕様に合わせた電圧に変換して出力するように制御している。
【0056】
また、図1のようなバッテリアダプタ100に接続したバッテリ20同士を並列または直接に接続して使用する場合は、いずれのバッテリアダプタ100,101,…からも負荷装置に給電する最適な値として設定した電圧を出力し、かつ、各バッテリアダプタ100,101,…同士が電力線201,202を介して互いに通信する通信機能すなわち電力線通信回路10を備えることによって、バッテリアダプタ制御回路7は、互いの通信データに基づいて、各バッテリ20の最適な出力条件に調整しつつ、負荷装置に電力を出力することを可能とするように制御している。
【0057】
また、図1のようなバッテリアダプタ100と同等の電力線上での通信機能を有した通信端末を電力線201,202上に接続することによって、バッテリアダプタ制御回路7は、該通信端末との電力線201,202上の通信データを用いて、電力線201,202上に接続されている各バッテリアダプタ100,101,…の設定や各バッテリ20の状態を、確認することが可能になるように制御している。
【0058】
バッテリ20のバッテリ出力動作中の状態においては、バッテリアダプタ制御回路7の制御により、電流電圧センサ4、温度センサ5によってバッテリ20の充電電圧、充電電流、バッテリ温度を常時測定するとともに、電力線201,202に接続されている他のバッテリアダプタ101,…の状態や外部の通信端末からの情報や負荷装置の状態を電力線通信回路10によって常時受信して(ステップS15)、当該バッテリアダプタ100のバッテリ20のバッテリ出力動作に異常が発生していないか否かを確認する(ステップS16)。
【0059】
当該バッテリアダプタ100のバッテリ20のバッテリ出力動作に異常を検出した場合は(ステップS16のYes)、電力入出力部1,2すなわち電力線201,202に通信端末や他のバッテリアダプタ101,…が接続されている場合には、電力線通信回路10を駆動して、電力線201,202を介して、当該バッテリアダプタ100のバッテリ20の出力動作が異常になった旨を、外部の通信端末や他のバッテリアダプタ101,…や負荷装置に通知するとともに、バッテリ20の出力動作に異常が発生した旨を、パネル回路9のLEDに表示し、ブザーを鳴動させて、ユーザに通知する(ステップS18)。ここで、他のバッテリアダプタ101,…と連携しても、当該バッテリアダプタ100のバッテリ20のバッテリ出力の継続が不可能になった場合には、事前に出力を停止した旨も通知する。
【0060】
一方、当該バッテリアダプタ100のバッテリ20のバッテリ出力動作に異常を検出していない場合は(ステップS16のNo)、測定した放電電圧値や放電電流値やバッテリ温度を解析して、バッテリ20の電力がすべて放電し終わって、バッテリ20の出力電圧があらかじめ定めた放電終止電圧以下に低下したか否かを確認する(ステップS17)。バッテリ20の出力電圧が放電終止電圧以下にまで低下していない場合は(ステップS17のNo)、ステップS15に復帰して、バッテリ出力動作を継続するとともに、バッテリ20の放電電圧、放電電流、バッテリ温度の測定動作、他のバッテリアダプタ101,…の状態や外部の通信端末の状態や負荷装置の状態の受信動作を継続する。
【0061】
一方、バッテリ20の出力電圧が放電終止電圧以下にまで低下した場合は(ステップS17のYes)、電力入出力部1,2すなわち電力線201,202に通信端末や他のバッテリアダプタ101,…が接続されている場合には、電力線通信回路10を駆動して、電力線201,202を介して、当該バッテリアダプタ100のバッテリ20の出力電圧が放電終止電圧以下にまで低下した旨を、外部の通信端末や他のバッテリアダプタ101,…や負荷装置に通知することによって、他のバッテリアダプタ101,…と連携して、バッテリ20の出力電力に関する調整を行う(ステップS19)。
【0062】
ここで、バッテリ20の電力がすべて放電し終わって、他のバッテリアダプタ101,…と連携して出力電力の調整を行っても、当該バッテリアダプタ100のバッテリ20のバッテリ出力の継続が不可能になった場合には、事前に、バッテリ20からの出力を停止した旨を外部の通信端末や他のバッテリアダプタ101,…や負荷装置に通知するとともに、バッテリ20の出力動作(放電動作)を停止した旨を、パネル回路9のLEDに表示し、ブザーを鳴動させて、ユーザに通知する(ステップS18)。
【0063】
つまり、バッテリ20の電力がすべて放電し終わって、放電終止となる場合は、事前に、パネル回路9のLEDの点灯やブザー鳴動によるアラーム(警報)の出力によってユーザに通知する。また、放電動作や充電動作によるバッテリ20の劣化状態に関し、バッテリ20の温度、出力電圧、出力電流のいずれか1ないし複数を測定することによって、たとえ、放電終止電圧に達していなくても、適宜、バッテリ仕様データ部8に設定登録されているバッテリ20の特性を参照して、寿命時期を推定し、パネル回路9のLEDの点灯やブザー鳴動によって、推定寿命時期をユーザに通知することも可能である。
【0064】
(実施例)
次に、以上に説明したバッテリアダプタ100の具体的な実施例について、さらに説明する。
【0065】
図5は、図1に示したバッテリアダプタ100の実装形状の一例を説明する外観図であり、バッテリ20を実装したバッテリアダプタ100を、乾電池形状すなわち円筒形状の外箱120内に収納している例を示している。
【0066】
図5に示すように、バッテリアダプタ100の外部との入出力インタフェース端子部となる電力入出力部11,12は、円筒形状の外箱120の天井面と底面とに突出する形で配設されており、バッテリアダプタ100の本体およびバッテリ20は、外箱120内に収納されている。ここで、外箱120の具体的なサイズとして、例えば、単3サイズのバッテリ20または電池(乾電池)をバッテリアダプタ100に実装している場合であれば、円筒形状の外箱120は、単1サイズの形状とする。
【0067】
また、図6は、図5に示した形状の外箱120内に実装したバッテリアダプタ100を複数並列接続して負荷となる電球に給電する接続構成の一例を説明する説明図であり、3個のバッテリアダプタ100と2個の乾電池とを並列接続して、負荷となる電球に給電している場合を示している。
【0068】
図6においては、3個のバッテリアダプタ100と2個の単1乾電池120とを並列接続して負荷装置の電球130を点灯しており、3個のバッテリアダプタ100それぞれは、単3サイズのバッテリ20または電池(乾電池)を実装して、単1サイズの外箱120内に収納されることにより、バッテリの種類が異なる単1乾電池と同様のサイズ形状となっている。
【0069】
また、図7は、図5に示した形状の外箱120内に実装したバッテリアダプタ100を複数直列接続して負荷となる電動ドリルに給電する接続構成の一例を説明する説明図であり、2個のバッテリアダプタ100と1個の乾電池とを直列接続して、負荷となる電動ドリル140に給電している場合を示している。
【0070】
図7においては、2個のバッテリアダプタ100と1個の単1乾電池120とを直列接続して負荷装置の電動ドリル140を駆動しており、2個のバッテリアダプタ100それぞれは、単3サイズのバッテリ20または電池(乾電池)を実装して、単1サイズの外箱120内に収納されることにより、バッテリの種類が異なる単1乾電池と同様のサイズ形状となっている。
【0071】
つまり、図6、図7のいずれにおいても、バッテリアダプタ100を種類が異なる単1乾電池と接続している場合を例示している。ここで、バッテリアダプタ100は、前述したように、バッテリアダプタ制御回路7が、バッテリ仕様データ部8に設定登録されているバッテリ仕様、電力入出力部11,12に接続されている他のバッテリアダプタ101,…のバッテリに関する情報、乾電池に関する情報、電力供給先となる負荷装置の給電条件を取得して、バッテリアダプタ100に実装しているバッテリ20または電池(乾電池)が最適な出力状態になるように、DC/DCコンバータ6を制御して、出力電圧を変換して、電力入出力部11,12から負荷装置に対して出力している。
【0072】
したがって、例えば、図6、図7のように、バッテリアダプタ100に種類が異なるバッテリや電池、充電状態が異なるバッテリ同士を相互に接続するような接続を行ったとしても、各バッテリアダプタ100に実装されているバッテリ20や電池の残存電力をすべて出力させることができる。さらには、各バッテリアダプタ100に実装されているバッテリ20や電池が放電する状況を外部の通信端末やパネル回路9のLED、ブザーによってユーザに通知することも可能である。
【0073】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、次のような効果が得られる。
【0074】
第1の効果は、バッテリ20または電池の放電によって、バッテリ20または電池の出力電圧が、負荷装置が必要とする電圧以下に低下した場合であっても、バッテリ20または電池に残っている電力をすべて出力し終わるまで利用することができることにある。その理由は、外部から取得したバッテリ20または電池の特性、バッテリ20または電池の現在の状態および負荷装置の状態に応じて、バッテリアダプタ制御回路7の制御により、DC/DCコンバータ6を制御して、バッテリ20または電池の出力電圧を負荷装置が必要とする電圧に変換して出力することを可能にしているからである。
【0075】
第2の効果は、バッテリ20の充電電圧や充電電流、温度状態を考慮して、バッテリ20の状態に最適な充電を実施することができることにある。その理由は、バッテリ20の仕様や充電条件を、パネル回路9の設定スイッチ回路のユーザ操作や電力入出力部11,12を介した外部の通信端末等からのデータ受信によって、外部から設定することを可能とし、バッテリアダプタ制御回路7の制御により、充電・放電中の電圧や電流、温度のデータの観測結果から、バッテリ20の劣化状況を推定することができ、バッテリ20の劣化状況に応じた充電を行うことができるためである。
【0076】
第3の効果は、複数のバッテリまたは電池を接続して使用する際に、バッテリ20または電池の種類や劣化状態、充電状態を意識することなく使用することができることにある。その理由は、電力を供給する負荷装置が要求する電圧や電力、接続しているバッテリ20または電池それぞれの特性をあらかじめ設定登録するか、あるいは、電力線通信が可能な通信端末や本発明によるバッテリアダプタ100,101,…に実装したバッテリ20または電池を電力入出力部11,12すなわち電力線201,202に接続することによって、電力線201,202に接続されている負荷装置の情報や各バッテリアダプタ100,101,…に実装したバッテリ20または電池の情報を把握し、各バッテリ20または各電池が保持する電力をすべて出力するように制御することができるためである。
【0077】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0078】
1 バッテリ接続端子
2 バッテリ接続端子
3 バッテリ充電回路
4 電流電圧センサ
5 温度センサ
6 DC/DCコンバータ
7 バッテリアダプタ制御回路
8 バッテリ仕様データ部
9 パネル回路
10 電力線通信回路
11 電力入出力部
12 電力入出力部
20 バッテリ
100 バッテリアダプタ
101 他のバッテリアダプタ
110 外箱
120 乾電池
130 電球
140 電動ドリル
201 電力線
202 電力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリまたは電池を実装し、該バッテリに対する充電電圧または該バッテリまたは電池からの出力電圧を調整するDC/DCコンバータを備えたバッテリアダプタであって、前記バッテリまたは電池の種類、出力条件、充電条件を少なくとも含むバッテリ仕様設定情報を、電力線を介して伝送される外部の通信端末からのデータまたはユーザが操作するパネル回路の設定スイッチ回路の操作に基づいて、あらかじめ設定登録するバッテリ仕様データ部を備え、前記DC/DCコンバータの出力を負荷装置に前記電力線を介して給電する際に、該電力線を介して取得した前記負荷装置の給電条件と、前記バッテリまたは電池の温度、電圧、電流のうち少なくとも1ないし複数の測定結果と、前記バッテリ仕様データ部に設定登録した前記バッテリ仕様設定情報と、に基づいて算出した、前記負荷装置の給電条件に適合するいずれかの値に、前記DC/DCコンバータにより、前記バッテリまたは電池の出力を変換して前記負荷装置に対して給電することを特徴とするバッテリアダプタ。
【請求項2】
前記電力線を介して前記バッテリをDC電源電圧によって充電する際に、前記バッテリの温度、電圧、電流のうち少なくとも1ないし複数の測定結果と、前記バッテリ仕様データ部に設定登録した前記バッテリ仕様設定情報と、に基づいて算出したいずれかの充電電圧に、前記DC電源電圧を変換して前記バッテリを充電することを特徴とする請求項1に記載のバッテリアダプタ。
【請求項3】
前記バッテリまたは電池の温度、出力電圧、出力電流のうちいずれか1ないし複数を取得することにより、前記バッテリ仕様データ部に設定登録した前記バッテリ仕様設定情報に基づいて、前記バッテリまたは電池の劣化状況を検出し、該劣化状況により前記バッテリまたは電池の寿命時期を推測し、推測した寿命時期をユーザに通知することを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリアダプタ。
【請求項4】
他のバッテリや電池を前記電力線を介して並列または直列に接続して用いる際に、該電力線を介して接続した前記他のバッテリや電池の仕様や充電状態に関するデータを取得して、取得した前記他のバッテリや電池の仕様や充電状態に関するデータ、前記負荷装置の給電条件、および、前記バッテリ仕様データ部に設定登録した前記バッテリ仕様設定情報に基づいて、前記DC/DCコンバータを制御して、前記バッテリまたは電池の出力電圧を前記他のバッテリや電池と同一の出力状態に変換して前記負荷装置に対して出力することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のバッテリアダプタ。
【請求項5】
バッテリや電池を実装した他のバッテリアダプタを前記電力線を介して並列または直列に接続した際に、該電力線を介して接続した外部の通信端末または前記他のバッテリアダプタとの間の通信を行うことにより、前記他のバッテリアダプタの制御と連携して、前記DC/DCコンバータを制御して、前記バッテリまたは電池の出力電圧を前記他のバッテリアダプタと同一の出力状態に変換して前記負荷装置に対して出力することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のバッテリアダプタ。
【請求項6】
前記バッテリまたは電池の温度、出力電圧、出力電流のいずれか1ないし複数を取得することにより、前記バッテリ仕様データ部に設定登録した前記バッテリ仕様設定情報に基づいて、前記バッテリまたは電池の電力がすべて放電し終わって、放電終止となることを認識した場合は、事前に、ユーザに通知するとともに、バッテリや電池を実装した他のバッテリアダプタを前記電力線を介して並列または直列に接続している場合には、該電力線を介して接続した外部の通信端末または前記他のバッテリアダプタに対して、放電終止となる旨を、前記電力線を介して通知することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のバッテリアダプタ。
【請求項7】
バッテリまたは電池を実装し、該バッテリに対する充電電圧または該バッテリまたは電池からの出力電圧を調整するDC/DCコンバータを備えたバッテリアダプタにおけるバッテリ出力制御方法であって、前記バッテリまたは電池の種類、出力条件、充電条件を少なくとも含むバッテリ仕様設定情報を、電力線を介して伝送される外部の通信端末からのデータまたはユーザが操作するパネル回路の設定スイッチ回路の操作に基づいて、あらかじめ設定登録することにより、前記DC/DCコンバータの出力を負荷装置に前記電力線を介して給電する際に、該電力線を介して取得した前記負荷装置の給電条件と、前記バッテリまたは電池の温度、電圧、電流のうち少なくとも1ないし複数の測定結果と、あらかじめ設定登録した前記バッテリ仕様設定情報と、に基づいて算出した、前記負荷装置の給電条件に適合するいずれかの値に、前記DC/DCコンバータにより、前記バッテリまたは電池の出力を変換して前記負荷装置に対して給電することを特徴とするバッテリ出力制御方法。
【請求項8】
前記電力線を介して前記バッテリをDC電源電圧によって充電する際に、前記バッテリの温度、電圧、電流のうち少なくとも1ないし複数の測定結果と、あらかじめ設定登録した前記バッテリ仕様設定情報と、に基づいて算出したいずれかの充電電圧に、前記DC電源電圧を変換して前記バッテリを充電することを特徴とする請求項7に記載のバッテリ出力制御方法。
【請求項9】
他のバッテリや電池を前記電力線を介して並列または直列に接続して用いる際に、該電力線を介して接続した前記他のバッテリや電池の仕様や充電状態に関するデータを取得して、取得した前記他のバッテリや電池の仕様や充電状態に関するデータ、前記負荷装置の給電条件、および、あらかじめ設定登録した前記バッテリ仕様設定情報に基づいて、前記DC/DCコンバータを制御して、前記バッテリまたは電池の出力電圧を前記他のバッテリや電池と同一の出力状態に変換して前記負荷装置に対して出力することを特徴とする請求項7または8のいずれかに記載のバッテリ出力制御方法。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載のバッテリ出力制御方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とするバッテリ出力制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−157224(P2012−157224A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16750(P2011−16750)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】