説明

バッテリケース、車両

【課題】バッテリ冷却に用いられるエネルギー消費量の増大を抑制することを目的とする。
【解決手段】バッテリを収容するバッテリケースであって、金属からなる第1の層と、
前記第1の層よりも前記バッテリに近接した領域に位置する断熱材からなる第2の層と、前記第2の層よりも前記バッテリに近接した領域に位置する相変化蓄熱材からなる第3の層と、を有するバッテリケース。前記バッテリは、複数の単電池が配列された電池群である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリケース内の温度を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境を意識した車両として、車両走行用の電動モータを搭載した電気自動車、ハイブリッド自動車などが注目され、実用化されている。電動モータは、充放電可能な複数の単電池を有するバッテリから出力される電力により駆動する。
【0003】
バッテリは、高温環境では劣化が進み寿命が短くなる。このことから様々な熱対策が施されている。
【0004】
特許文献1は、バッテリケース内の温度が車外の温度よりも高い場合には、ファンを駆動することにより車外の空気をバッテリケース内に導き、車外の温度がバッテリケース内の温度よりも高い場合には、ファンを駆動することにより吸気された空気を、エバポレータコイルを通過させて冷却してからバッテリケース内に導く冷却構造を備えた車両を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−093434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1では、バッテリを冷却するためにファンを駆動する必要があるため、エネルギー消費量が大きくなる。また、車外の温度がバッテリケース内の温度よりも高い場合には、エアコン冷媒を用いて空気を冷却する必要があるため、現実的には、車両停車中のバッテリの温度上昇を抑制することができない。
【0007】
そこで、本願発明は、バッテリ冷却に用いられるエネルギー消費量の増大を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明のバッテリケースは、(1)バッテリを収容するバッテリケースであって、金属からなる第1の層と、前記第1の層よりも前記バッテリに近接した領域に位置する断熱材からなる第2の層と、前記第2の層よりも前記バッテリに近接した領域に位置する相変化蓄熱材からなる第3の層と、を有する。
【0009】
(2)上記(1)の構成において、前記バッテリは、複数の単電池が配列された電池群であってもよい。(2)の構成によれば、複数の単電池からなる電池群を過熱から保護することができる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)に記載のバッテリケースと、車両を走行させるための動力を発生するモータに作動電力を供給する前記バッテリと、を有する車両。(3)の構成によれば、バッテリの冷却に用いられるエネルギー消費量の増大を抑制した車両を提供することができる。
【0011】
(4)上記(1)又は(2)に記載の前記バッテリケースと、車両を走行させるための動力を発生するモータに作動電力を供給する前記バッテリと、前記バッテリケースの内部に配置される第1の熱交換器と、前記バッテリケースの外部であって、車両の放熱部に配置される第2の熱交換器と、前記第1及び第2の熱交換器の間で冷媒を循環させる循環経路と、を備える熱輸送デバイスと、を有する車両。(4)の構成によれば、バッテリケース及び熱輸送デバイスによる相乗効果により、バッテリの温度上昇をさらに効果的に抑制することができる。
【0012】
(5)上記(4)の構成において、前記循環経路は、前記第1の熱交換器において前記バッテリケースの内部の空気と熱交換を行うことにより液相状態から気相状態に変化した前記冷媒を、前記第2の熱交換器に移送するための第1の接続管と、前記第2の熱交換器において前記車両の放熱部と熱交換を行うことにより気相状態から液相状態に変化した前記冷媒を前記第1の熱交換器に移送するための第2の接続管と、を有していてもよい。
【0013】
(6)上記(5)の構成において、前記第2の熱交換器は、前記第1の熱交換器よりも上方に位置し、前記第1及び第2の接続管はそれぞれ、上下方向に延びる縦管を有し、前記冷媒は、前記第1及び前記第2の接続管を介して、前記第1及び前記第2の熱交換器の間を自然循環する。(6)の構成によれば、冷媒を移送するためのポンプ及び電源などが不要となるため、熱輸送デバイスの作動に用いられるエネルギー消費量の増大を抑制することができる。
【0014】
(7)上記(4)〜(6)の構成において、前記車両の放熱部は、車両の内外において空気を導通させる通気管であってもよい。(7)の構成によれば、簡易な構成で、第2の熱交換器において発生した熱を車外に対して放熱することができる。
【0015】
(8)上記(7)の構成において、前記第2の熱交換器は、前記通気管の内部に配置され、前記通気管の内部に入射する直射日光により照射される照射領域を避けた非照射領域に配置するのが好ましい。(8)の構成によれば、直射日光によって第2の熱交換器が加熱されることが防止されるため、第2の熱交換器における熱交換率を高めることができる。
【0016】
(9)上記(8)の構成において、前記通気管は、上下方向に延びる直管形状部と、上下方向に対して傾斜した傾斜管形状部と、を有し、前記第2の熱交換器は、前記非照射領域としての前記傾斜管形状部に配置することができる。(9)の構成によれば、非照射領域を簡易に形成することができる。
【0017】
(10)上記(7)〜(9)の構成において、前記通気管には、空気の導通を許容する開き位置と、空気の導通を抑制する閉じ位置との間で動作する開閉弁を設けることができる。
【0018】
(11)上記(10)の構成において、前記開閉弁を駆動する駆動部を有し、前記駆動部は、車外の温度が前記バッテリの入出力特性に基づき設定される閾値よりも低い場合には、前記開閉弁を閉じ位置に動作させ、車外の温度が前記閾値以上である場合には、前記開閉弁を開き位置に動作させるとよい。(11)の構成によれば、極低温時におけるバッテリの出力低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、バッテリ冷却に用いられるエネルギー消費量の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】車両の一部におけるハード構成を示すブロック図である。
【図2A】第1、第2実施形態のバッテリパックを示す斜視図である。
【図2B】第1、第2実施形態のバッテリパックの断面図である。
【図3】第2実施形態のバッテリパックおよび熱輸送デバイスを備えるバッテリ冷却システムの一例を模式的に示した模式図である。
【図4】第2実施形態のバッテリパック及び熱輸送デバイスを搭載した車両の概略図である。
【図5】第2実施形態の車両の一部分を透過した斜視図である。
【図6A】比較例の単電池の時間経過に伴う温度変化を示したグラフである。
【図6B】実施例の単電池の時間経過に伴う温度変化を示したグラフである。
【図7】比較例及び実施例のバッテリ寿命を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である車両の一部におけるハード構成を示すブロック図である。同図において、点線の矢印は信号の流れる方向を示している。車両200は、バッテリの出力を用いてモータを駆動する駆動経路とエンジンによる駆動経路とを有し、車両外部の外部電源を用いてバッテリを充電可能なプラグインハイブリッド車両である。ただし、車両200は、車両外部の外部電源を用いてバッテリを充電可能であって、当該エンジンを省略した電気車両であってもよい。また、車両200は、車両外部の外部電源を用いたバッテリの充電が不可能なハイブリッド車両であってもよい。
【0022】
同図を参照して、車両200は、バッテリ11と、平滑用コンデンサC1、C2と、電圧コンバータ32と、インバータ33と、モータジェネレータMG1と、モータジェネレータMG2と、動力分割プラネタリーギヤP1と、リダクションプラネタリーギヤP2と、減速機Dと、エンジン34と、リレー31と、DC/DCコンバータ41と、補機バッテリ42と、エアコン43と、吸気ファン44と、外気温度センサ45と、ECU50と、監視ユニット51と、充電器61と、インレット62とを含む。
【0023】
車両200は、さらに、電源ラインPL1と、接地ラインSLとを含む。バッテリ11は、リレー31を構成するシステムメインリレーSMR−G,SMR−B,SMR−Pを介して、電圧コンバータ32に接続されている。バッテリ11のプラス端子には、システムメインリレーSMR−Gが接続され、バッテリ11のマイナス端子には、システムメインリレーSMR−Bが接続されている。また、システムメインリレーSMR−Pおよびプリチャージ抵抗31Aは、システムメインリレーSMR−Bに対して並列に接続されている。
【0024】
これらのシステムメインリレーSMR−G,SMR−B,SMR−Pは、コイルに対して通電したときに接点が閉じるリレーである。SMRがオンとは通電状態を意味し、SMRがオフとは非通電状態を意味する。
【0025】
ECU50は、電流遮断時、すなわちイグニッションスイッチがOFF位置になるときには、全てのシステムメインリレーSMR−G,SMR−B,SMR−Pをオフする。すなわち、システムメインリレーSMR−G,SMR−B,SMR−Pのコイルに対する励磁電流をオフにする。なお、イグニッションスイッチは、OFF位置→ON位置の順に切り替わる。
【0026】
ECU50は、車両200全体の制御を司る。ECU50は、CPU、MPUであってもよいし、これらのCPUなどにおいて実行される処理の少なくとも一部を回路的に実行するASIC回路を含んでも良い。また、CPUなどの個数は、単数であってもよいし、或いは複数であってもよい。したがって、例えば、電圧コンバータ32を制御するCPUと、吸気ファン44の駆動を制御するCPUとが異なっていても良い。ECU50は、補機バッテリ42から電力が供給されることにより、起動する。
【0027】
ハイブリッドシステム起動時(メイン電源接続時)、すなわち、たとえば運転者がブレーキペダルを踏み込んでプッシュ式のスタートスイッチを押し込むと、ECU50は、最初にシステムメインリレーSMR−Gをオンにする。次に、ECU50は、システムメインリレーSMR−Pをオンしてプリチャージを実行する。
【0028】
システムメインリレーSMR−Pにはプリチャージ抵抗31Aが接続されている。このため、システムメインリレーSMR−Pをオンしてもインバータ33への入力電圧は緩やかに上昇し、突入電流の発生を防止できる。
【0029】
イグニッションスイッチがON位置からOFF位置に切り替わると、ECU50は、先ずシステムメインリレーSMR−Bをオフし、続いてシステムメインリレーSMR−Gをオフする。これにより、バッテリ11とインバータ33との間の電気的な接続が遮断され、電源遮断状態となる。システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pは、ECU50から与えられる制御信号に応じて導通/非導通状態が制御される。
【0030】
コンデンサC1は、電源ラインPL1と接地ラインSL間に接続され、ライン間電圧を平滑化する。また、電源ラインPL1と接地ラインSL間には、DC/DCコンバータ41と、エアコン43とが並列に接続されている。DC/DCコンバータ41は、バッテリ11から供給される電力を降圧して、補機バッテリ42を充電したり、或いは吸気ファン44に電力を供給する。また、エアコン43は、バッテリ11から電力の供給を受けることにより動作する。
【0031】
電圧コンバータ32は、コンデンサC1の端子間電圧を昇圧する。コンデンサC2は、電圧コンバータ32によって昇圧された電圧を平滑化する。インバータ33は、電圧コンバータ32から与えられる直流電圧を三相交流に変換してモータジェネレータMG2に出力する。リダクションプラネタリーギヤP2は、モータジェネレータMG2で得られた動力を減速機Dに伝達して、車両200を駆動する。動力分割プラネタリーギヤP1は、エンジン34で得られた動力を二経路に分割し、一方は減速機Dを介して車輪に伝達され、他方はモータジェネレータMG1を駆動して発電を行う。
【0032】
このモータジェネレータMG1において発電された電力は、モータジェネレータMG2の駆動に用いられることでエンジン34を補助する。また、リダクションプラネタリーギヤP2は、車両減速時に、減速機Dを介して伝達される動力をモータジェネレータMG2に伝達し、モータジェネレータMG2を発電機として駆動する。このモータジェネレータMG2で得られた電力は、インバータ33において三相交流から直流電圧に変換され、電圧コンバータ32に伝達される。このとき、ECU50は、電圧コンバータ32が降圧回路として動作するように制御する。電圧コンバータ32で降圧された電力は、バッテリ11に蓄電される。
【0033】
監視ユニット51は、バッテリ11の電圧、電流及び温度に関する情報を取得する。監視ユニット51は、バッテリ11とともにユニット化されている。監視ユニット51は、バッテリ11から取得した情報をECU50に対して出力する。ECU50は、監視ユニット51から取得した情報に基づき、バッテリ11の充放電を制御したり、或いはエアコンと43、吸気ファン44の駆動を制御する。
【0034】
ここで、吸気ファン44は、回転動作に応じて車室内の空気をバッテリ11に対して供給する。すなわち、ECU50は、車両200のイグニッションスイッチがオンされた状態で、バッテリ11の温度が所定値よりも高いと判定した場合には、吸気ファン44を作動させる。これにより、バッテリ11を保護することができる。ここで、所定値は、バッテリ11の劣化の促進を抑制する観点から適宜定めることができる。所定値は、例えば、45℃であってもよい。また、ECU50は、車室内の温度がバッテリ11の温度よりも高い場合には、エアコン43を作動させて、吸気ファン44によって吸気される車室内の空気の温度を下げる処理を行っても良い。吸気ファン44は、シロッコ式のファン、クロスフロー式のファンであってもよい。
【0035】
充電器61は、リレー31を介して、バッテリ11に接続されている。リレー31が開いた状態である場合には、バッテリ11が、電圧コンバータ32、充電器61等から電気的に遮断される。リレー31が閉じた状態である場合には、バッテリ11が、電圧コンバータ32、充電器61等と電気的に接続される。
【0036】
ECU50は、車両外部の商用電源からバッテリ11の充電が行われるときに、充電器61を駆動するための駆動信号を生成して出力する。インレット62は、車両200の側部に設けられていても良い。インレット62には、車両200と外部電源とを連結する充電ケーブルのコネクタが接続される。なお、本願発明は、インレット62及びコネクタを接続しない非接触充電に適用することもできる。なお、ECU50は、充電器61によりバッテリ11を充電する際(つまり、車両200を停車した状態で充電を行う際)に、エアコン43を駆動しない。
【0037】
次に、図2(A)及び図2(B)を参照しながら、バッテリを有するバッテリパックについて詳細に説明する。図2(A)は、本実施形態のバッテリパックの斜視図であり、図2(B)は図2(A)のバッテリパックをA−A´面で切断した断面図であり、ケース壁部の断面を拡大して図示する。これらの図において、X軸、Y軸及びZ軸は互いに異なる直交する三軸である。
【0038】
バッテリパック1は、バッテリ11及びバッテリ11を収容するバッテリケース10を含む。バッテリパック1は、例えば、車両後方のラゲージルームに設置することができる。バッテリ11は、X軸方向に並ぶ電池群を有し、これらの電池群はそれぞれ単電池11AをY軸方向に配列することにより構成されている。Y軸方向に隣接する単電池11Aの間には、空気を導通させるための隙間、つまり、冷却経路が形成されている。
【0039】
バッテリ11のZ軸方向の端部側には、各単電池11Aを電気的に直列に接続するための複数のバスバーを保持したバスバーモジュール12が位置する。ただし、電池群の中に電気的に並列に接続された単電池11Aが含まれていてもよい。また、電池群は、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。バスバーモジュール12により各バスバーがユニット化されるため、バスバーの取り付け作業を簡素化することができる。
【0040】
単電池11Aは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの二次電池、或いはキャパシタであってもよい。単電池11Aは、単一の電池セル、或いは複数の電池セルを接続した電池モジュールであってもよい。ここで、電池セルとは、充放電可能な最小単位の要素を意味する。
【0041】
単電池11Aは、X軸方向において向き合う一対の外面と、Y軸方向において向き合う一対の外面と、Z軸方向において向き合う一対の外面とを有するいわゆる角型電池である。ただし、単電池11Aは、円筒型形状の電池であってもよい。
【0042】
バッテリ11は、X軸方向の一端部に吸気チャンバ13Aを有し、X軸方向の他端部に排気チャンバ13Bを有する。ただし、バッテリ11は、Z軸方向の一端部に吸気チャンバ13Aを有し、Z軸方向の他端部に排気チャンバ13Bを有していてもよい。吸気チャンバ13Aは、図示しない吸気経路を介して車室内に連通している。
【0043】
吸気経路には、図1に示す吸気ファン44が設けられている。吸気ファン44が作動すると、吸気経路を介して車室内の空気が吸気チャンバ13Aに吸気される。吸気チャンバ13Aに吸気された空気は、隣接する単電池11Aの間に形成された冷却経路を移動しながら各単電池11Aを冷却して、排気チャンバ13Bに排気される。
【0044】
一方、車両200のイグニッションスイッチがオフされた状態では、車室内の空気を吸気することによるバッテリ11の冷却制御は行われない。車両200は、通常、寿命期間中において走行状態よりも走行していない停車状態(つまり、車両200のイグニッションスイッチがオフされた状態)のが長いため、停車状態であってもバッテリ11の温度管理を行うことは非常に重要である。特に、停車状態にある車両200の周辺環境が高温である場合には、外気により車室内の温度が上がり、バッテリ11の温度も上昇するため、バッテリ11の劣化が促進される。以下、バッテリ11の温度上昇を抑制する構造を備えたバッテリケース10について、詳細に説明する。
【0045】
バッテリケース10は、一対のアッパーケース101及びロアケース102を含む。アッパーケース101の下端部には、X−Y面方向に延在するアッパー側フランジ101Aが形成されている。ロアケース102の上端部には、X−Y面方向に延在するロア側フランジ102Aが形成されている。アッパー側フランジ101A及びロア側フランジ102AはZ軸方向において互いに向き合っており、締結部材14が締結されることにより連結されている。これにより、バッテリケース10の内部は、車両200の外部に対して遮断された密閉構造となる。
【0046】
バッテリケース10は、ケースの外側から内側に向かって順に金属材10A(第1の層に相当する)、断熱材10B(第2の層に相当する)、相変化蓄熱材10C(第3の層に相当する)が配列された構造である。金属材10Aは、例えば亜鉛メッキ鋼板であってもよい。断熱材10Bは、例えば独立発砲PPであってもよい。相変化蓄熱材10Cは、融点以下において周囲の温度に同調し、周囲の温度が融点に達すると溶融を開始して、固体と液体とが共存する状態が一定時間継続する。そして、相変化蓄熱材10Cは、固体と液体とが共存する状態では周囲の温度に同調せずに融点と同一の温度を維持し、完全に液体になると周囲の温度に同調して温度上昇を開始する。
【0047】
例えば、相変化蓄熱材10Cの融点が26℃である場合、相変化蓄熱材10Cは、周囲の温度が26℃以上になっても、完全に溶融するまでは温度上昇することなく、周囲の熱を吸収する。相変化蓄熱材10Cは、例えば、酢酸ナトリウム三水和物などが内部に封入された軟質容器であってもよい。ただし、相変化蓄熱材10Cには、26℃を融点とする素材のほか、バッテリ11を外熱(バッテリケース10内の空気などによる外熱)から保護するのに適した融点を有する他の素材を用いることもできる。ここで、バッテリ11を外熱から保護するのに適した融点は、バッテリ11を構成する単電池11Aの種類などに応じて異なる。
【0048】
金属材10Aは、バッテリ11から放出される電磁波を吸収する。これにより、バッテリ11から放出された電磁波がノイズとなって、通信障害を引き起こすことが防止される。ここで、通信障害とは、車両200に設けられたアンテナが受信するTV等のオーディオ機器の受信信号等に対して、ノイズが入り込むことである。また、金属材10Aは、外部からの衝撃から単電池11Aを保護するために、最外層に配置される。
【0049】
断熱材10Bは、外気と相変化蓄熱材10Cとの熱交換を防止するため(換言すると、相変化蓄熱材10Cをバッテリケース10の内部の空気とのみ熱交換させるため)に備えられる。したがって、断熱材10Bは、金属材10Aと相変化蓄熱材10Cとの間に配置される。
【0050】
次に、金属材10A、断熱材10B及び相変化蓄熱材10Cが、バッテリケース10の外側から内側に向かってこの順序で配列されることによる効果について詳細に説明する。バッテリケース10の外部の温度が、バッテリケース10の内部の温度よりも高い場合、バッテリケース10の外部の空気によって最外層に位置する金属材10Aが加熱される。金属材10Aと相変化蓄熱材10Cとの間には、断熱材10Bが位置するため、金属材10Aの熱が相変化蓄熱材10Cに伝熱することを抑制できる。これにより、バッテリ11は、車両外部の外熱から保護される。
【0051】
一方、車両200のイグニッションスイッチがオフされた状態で、車両200の周辺環境の温度が高くなると、外熱により車室内の温度が上昇するとともに、車室内に連通するバッテリケース10の内部の温度も上昇する。バッテリケース10の内部の温度がさらに上昇し、相変化蓄熱材10Cの融点に達すると、相変化蓄熱材10Cは、融点と同一の温度を維持しながら、バッテリケース10の内部の熱を吸収する。これにより、バッテリ11の温度上昇を抑制することができる。
【0052】
以上説明したように、金属材10A、断熱材10B及び相変化蓄熱材10Cが、バッテリケース10の外側から内側に向かってこの順序で配列されることにより、バッテリ11を外熱から保護することができる。しかも、バッテリ11を外熱から保護するために、エアコン43、吸気ファン44を駆動する必要がないため、消費電力の削減とバッテリ11の保護とを両立することができる。
【0053】
なお、本発明において、金属材10Aと相変化蓄熱材10Cとの間に断熱材10B以外の他の板状部材が含まれていても良い。
【0054】
(第2実施形態)
本実施形態は、実施形態1の構成に加えて、バッテリケース10の内部の温度上昇をさらに効果的に抑制する熱輸送デバイスを備える。
【0055】
図3は、バッテリパック1および冷却機構を備えるバッテリ冷却システムの一例を示す模式図であり、図4は、当該バッテリ冷却システムが搭載された車両の模式図である。なお、第1実施形態と同一の機能を有する要素には、同一符合を付している。バッテリ冷却システム100は、バッテリパック1と、バッテリパック1を冷却する機構である熱輸送デバイス2とを有する。熱輸送デバイス2は、通気管21、パック内熱交換器22A(第1の熱交換器に相当する)、パック外熱交換機22B(第2の熱交換器に相当する)及び冷却ファン23を有する。
【0056】
通気管21は、車両200の下部に吸気口21A、車両200の上部に排気口21Bを有し、地表面に対して略垂直方向に設置される。図5に図示するように、吸気口21Aは、リア側のホイールハウス内の上部、排気口21BはCピラーの上部付近に設けられていてもよい。また通気管21は、排気口21Bとパック外熱交換機22Bとの間に、開閉弁21Cを有する。開閉弁21Cは、通気管21の内部と外気と間の通気を許可する開き位置と、通気管21の内部と外気と間の通気を抑制する閉じ位置との間で切り替わる。開閉弁21Cは、基本的には、開き位置に位置する。開閉弁21Cを作動させる作動方法については、後述する。
【0057】
パック内熱交換器22Aは、バッテリケース10の内部に位置する。パック内熱交換器22Aの内部には、上下方向に延びる複数の管路221Aが形成されており、これらの管路221Aは、ハッチングで示す液冷媒で満たされている。ここで、液冷媒は、40〜60℃の温度で沸騰する低沸騰剤(剤料)であってもよい。管路221Aは、熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属であってもよい。
【0058】
パック内熱交換器22Aは、第1の接続管22C及び第2の接続管22Dを介して、パック外熱交換器22Bに対して接続されている。なお、第1の接続管22C及び第2の接続管22Dにより、循環経路が形成される。第1の接続管22Cは、上下方向に延びる縦管221Cと、縦管221Cの下端部から水平方向に延びる下側横管222Cと、縦管221Cの上端部から水平方向に延びる上側横管223Cとを有する。第1の接続管22Cは、熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属であってもよい。
【0059】
下側横管222Cは、バッテリケース10の第1の開口部10Dを通って、パック内熱交換器22Aに接続されている。下側横管222Cと第1の開口部10Dとの間には、図示しないシール材が設けられている。シール材は、ゴムであってもよい。下側横管222Cと第1の開口部10Dとの間に、シール材が設けられることにより、バッテリケース10の密閉状態が維持される。縦管221Cの一部及び下側横管222Cの全部は、ハッチングで示す液相状態の低沸騰剤で満たされている。縦管221Cの残部及び上側横管223Cの全部は、バッテリ11との熱交換により、液相状態から気相状態に変化した低沸騰剤で満たされている。
【0060】
第2の接続管22Dは、上下方向に延びる縦管221Dと、縦管221Dの下端部から水平方向に延びる下側横管222Dと、縦管221Dの上端部から水平方向に延びる上側横管223Dと、を有する。下側横管222Dは、バッテリケース10の第2の開口部10Eを通って、パック内熱交換器22Aに接続されている。下側横管222Dと第2の開口部10Eとの間には、図示しないシール材が設けられている。シール材は、ゴムであってもよい。下側横管222Dと第2の開口部10Eとの間に、シール材が設けられることにより、バッテリケース10の密閉状態が維持される。第2の接続管22Dは、全てがハッチングで示す液相状態の低沸騰剤で満たされている。
【0061】
パック外熱交換器22Bは、パック内熱交換器22Aよりも地表面を基準として上方に配置される。パック外熱交換器22Bは、通気管21の曲げ部21D(車両の放熱部及び傾斜管形状部に相当する)の内部に延出している。したがって、パック外熱交換器22Bは、排気口21Bから視認できない位置、つまり、排気口21Bから通気管21内に入射する直射日光により照射される照射領域を避けた非照射領域に配置される。これにより、パック外熱交換器22Bが直射日光により温められることを防止できる。
【0062】
パック外熱交換器22Bの内部には、上下方向に延びる複数の管路221Bが形成されている。管路221Bは、熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属であってもよい。これらの管路221Bのうち、第1の接続管22Cに接続された上側の領域には、第1の接続管22Cから流入した気相状態の低沸騰剤が充満しており、第2の接続管22Dに接続された下側の領域には、気相状態から液相状態に変化した低沸騰剤が満たされている。
【0063】
熱輸送デバイス2による熱交換作用を高めるために、バッテリケース10の内部に冷却ファン23を配置してもよい。冷却ファン23は、バッテリケース10内で循環流を起こすファンであり、パック内熱交換器22Aで冷却された空気をバッテリ11に送り、またバッテリ11を冷却することにより熱せられた空気をパック内熱交換器22Aに送る循環流W1を起こす。冷却ファン23は、図1に図示する補機バッテリ42から電力を供給することにより作動させてもよい。また、図1に図示するECU50が、冷却ファン23の駆動を制御してもよい。
【0064】
ここで、炎天下に停車されることにより車室内の温度が高くなっている状況下で、バッテリ11を冷却する方法として、図1に図示するエアコン43を作動することにより車室内の温度を低下させ、温度低下した車室内の空気を、吸気ファン44を作動させることにより、バッテリ11に供給する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、エアコン43を作動させるエネルギーと、吸気ファン44を作動させるエネルギーとが必要となるため、エネルギー消費量が大きくなる。これに対して、本実施形態では、冷却ファン23を作動させるだけで、バッテリ11を冷却できるため、相対的にはエネルギー消費量を少なくすることができる。
【0065】
また、エアコン43を作動させるためには、バッテリ11からエアコン43に対して電力を供給する必要があるため、放電に伴いバッテリ11が発熱する。これに対して、本実施形態では、補機バッテリ42から供給される電力により冷却ファン23が駆動されるため、放電によるバッテリ11の発熱を考慮する必要がない。これにより、バッテリ11の使用頻度が減るため、バッテリ11の寿命低下を抑制できる。
【0066】
さらに、本実施形態では、バッテリケース10が第1実施形態で説明した複層構造を備えることにより、バッテリ11が外熱から十分に保護されている。そのため、冷却能力の向上を図るために、冷却ファン23を高速で駆動する必要がない。したがって、冷却ファン23の作動電力を少なくすることができる。
【0067】
次に、図3を参照しながら、熱輸送デバイス2の動作について説明する。初期状態において、車両200のイグニッションスイッチがオフされた状態で、高温環境下に車両200が停車されることにより、バッテリ11の温度が高くなっているものとする。バッテリ11の温度がさらに上昇すると、パック内熱交換器22Aの管路221A内で、低沸騰剤が沸騰して、液相状態から気相状態に変化する。
【0068】
この際、気化熱によってパック内熱交換器22Aの周辺空気が冷やされ、冷やされた空気が循環流W1によってバッテリ11に送られる。バッテリ11は、この冷却された空気により冷却される。バッテリ11と熱交換を行うことにより温度上昇した空気は、循環流W1によりパック内熱交換器22Aに送られる。
【0069】
一方、パック内熱交換器22Aの管路221A内で発生した気相状態の低沸騰剤は、液相状態の低沸騰剤との比重差により、上側に移動し、第1の接続管22Cを通って、パック外熱交換器22Bの管路221Bに流入する。
【0070】
通気管21内では、車両200が放置中である場合、車室内や車両ボディからの外熱によって通気管21内の空気が温められ、通気管21の下部に負圧が働く(つまり、いわゆる煙突効果が働く)。これにより、車両200の下側から上側に向かって空気流W2が発生する。パック外熱交換器22B内に移動した気相状態の低沸騰剤は、この空気流W2により冷却されて液相状態に戻る。
【0071】
液相状態に戻った低沸騰剤は、自重により第2の接続管22Dの内部を降下して、パック内熱交換器22Aの管路221Aに流入する。管路221Aに流入した液相状態の低沸騰剤は、バッテリ11を冷却することにより温度上昇した空気と熱交換を行うことにより、気相状態に変化する。
【0072】
このように、本実施形態では、熱輸送デバイス2が、上下方向に延びる縦管221C及び縦管221Dをそれぞれ有する第1の接続管22C及び第2の接続管22Dを備えることにより、パック内熱交換器22Aとパック外熱交換器22Bとの間で、低沸騰剤を自然循環させることができる。熱輸送デバイス2として低沸騰剤を送液するためのポンプ、或いはポンプを駆動する電源などが不要となるため、エネルギー消費量を抑制しながら、バッテリケース10内の熱を通気管21に排熱することができる。
【0073】
また、通気管21に排熱された熱は、上述したいわゆる煙突効果により、自然に車外に排気される。熱輸送デバイス2として通気管21に排熱された熱を車外に逃がすための送風部、送風部を駆動する電源などが不要となるため、エネルギー消費量を抑制することができる。
【0074】
本実施形態は、車両走行中は主として車室内の空気を吸気することによりバッテリ11を冷却し、車両停車中はバッテリケース10の複層構造及び熱輸送デバイス2によりバッテリ11を冷却することを基本思想としているが、これに限るものではない。
【0075】
例えば、車室内の空気を吸気してバッテリ11を冷却する冷却経路を省略することもできる。車両走行中は、ベンチュリ効果により、通気管21の下部が吸気、上部が排気となる空気流が発生するため、パック外熱交換器22Bから通気管21に排熱された熱を車外に自然に逃がすことができる。したがって、車両走行中であっても、バッテリケース10の複層構造及び熱輸送デバイス2によりバッテリ11を効率的に冷却することができる。
【0076】
ここで、バッテリ11は、温度が低くなると、入出力特性が低下する。したがって、外気が氷点下などの極低温である場合、開閉弁21Cが開き位置に位置すると、バッテリ11の温度が外気により奪われ、バッテリ11の出力が低下する。この出力低下を防止するため、外気温度が例えば10℃(閾値)未満の場合には、開閉弁21Cを閉じ位置に動作させ、外気への放熱を抑制する。なお、開閉弁21Cは、吸気口22Aに設置されていてもよいし、或いは吸気口21A及び排気口21Bの両方に設置されてもよい。
【0077】
ここで、開閉弁21Cは、図示しない駆動モータによって駆動してもよい。この場合、開閉弁21Cを駆動する駆動部は、当該駆動モータと、図1に示すECU50、当該駆動モータに駆動電力を供給する補機バッテリ42及び車室外温度センサ45と、が協同することにより実現してもよい。すなわち、ECU50は、車室外温度センサ45が取得した温度情報に基づき、外気温度が10℃よりも低いと判定した場合には、当該駆動モータに駆動信号を出力して、開閉弁21Cを開き位置から閉じ位置に動作させる。
【0078】
本実施形態では、通気管21の曲げ部21Dにパック外熱交換器22Bを設置したが、他の位置に設置することもできる。当該他の位置は、排気口21Bから通気管21内に入射する直射日光により照射される照射領域を避けた非照射領域であればいかなる位置であってもよい。例えば、通気管21の途中に曲げ部を設けて、この曲げ部の下方の直管形状部にパック外熱交換器22Bを設置してもよい。
【実施例】
【0079】
次に、実施例を示して、本実施形態の効果について詳細に説明する。図6(A)は、比較例の単電池の時間経過に伴う温度変化を示しており、図6(B)は実施例の単電池の時間経過に伴う温度変化を示している。比較例では、バッテリケースを亜鉛メッキ鋼板のみで構成したバッテリパックをプラグインハイブリッド車両に搭載して、バッテリに含まれる単電池の時間経過に伴う温度変化を測定した。また、比較例では、熱輸送デバイス2を省略した。
【0080】
実施例では、実施形態2の構成、つまり、バッテリパック1及び熱輸送デバイス2をプラグインハイブリッド自動車に搭載して、バッテリに含まれる単電池11Aの時間経過に伴う温度変化を測定した。
【0081】
図6(A)及び図6(B)において、「放置」は、車両のイグニッションスイッチをオフした状態でプラグインハイブリッド車両を停車させた時間帯を示している。したがって、放置の時間帯は、図1に図示する吸気ファン44を用いた冷却が停止している。「走行」は、図1に図示するエンジン34のみを駆動したり、モータジェネレータMG2のみを駆動したり、エンジン34及びモータジェネレータMG2の双方を駆動したりすることによりプラグインハイブリッド車両が実際に走行している時間帯を示している。「充電」は、図1に図示するインレット62に外部電源から延びる充電ケーブルのコネクタを接続することにより、プラグインハイブリッド車両を充電している時間帯を示している。実験結果を同一基準で比較するために、実験日及び実験場所を同じにして、実施例及び比較例それぞれの単電池の温度を測定した。
【0082】
図6(A)及び図6(B)を比較参照して、比較例では、放置中にバッテリケースの内部の温度が相変化蓄熱材10Cの融点を超えて上昇する時間帯があったが、実施例では、常時バッテリケースの内部の温度を相変化蓄熱材10Cの融点若しくは融点以下の温度に抑えることができた。その結果、実施例は、比較例よりも単電池の温度上昇を約5℃抑えることができるということがわかった。つまり、本実施例によれば、特に放置中にバッテリの温度上昇を効果的に抑制できるということがわかった。
【0083】
比較例のバッテリパックと、実施例のバッテリパックとの寿命差について図7を参照しつつ説明する。比較例では、平均電池温度が高いためバッテリの寿命が約6.25年と試算されるが、実施例では、平均電池温度が相対的に低くなるためバッテリの寿命が約8年(試算値)となる。これらの結果から、実施形態2の効果が実証された。
【0084】
(変形例1)
上述の実施形態では、パック内熱交換器22Aとパック外熱交換器22Bとの間を循環する低沸騰剤を、液相状態と固相状態とに基づく比重差などにより、自然循環させたが、本発明は必ずしもこれに限るものではない。例えば、ポンプなどの送液手段を用いて、冷媒を強制的に循環する方法であってもよい。この場合、パック外熱交換器22Bは、必ずしもパック内熱交換器22Aよりも上方に設置する必要はなく、また、冷媒は常時液相状態を保つものを使用してもよい。この種の冷媒として、例えば、フロリナートを用いることができる。これにより、車両の設計の自由度を高めることができる。なお、バッテリ11は、バッテリケース10の複層構造により温度上昇が抑制されているため、ポンプなどの送液手段に用いられる電力は少なくてもよい。例えば、ポンプなどを間欠的に駆動したり、或いは冷媒をゆっくりと循環させることにより、消費電力を抑えることもできる。
【符号の説明】
【0085】
1 バッテリパック 2 熱輸送デバイス 10 バッテリケース
10A 金属材 10B 断熱材 10C 相変化蓄熱材
11A 単電池 21 通気管 21A 吸気口 21B 排気口
21C 開閉弁 22A パック内熱交換器 22B パック外熱交換器
23 冷却ファン 100 バッテリ冷却システム 200 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを収容するバッテリケースであって、
金属からなる第1の層と、
前記第1の層よりも前記バッテリに近接した領域に位置する断熱材からなる第2の層と、
前記第2の層よりも前記バッテリに近接した領域に位置する相変化蓄熱材からなる第3の層と、
を有するバッテリケース。
【請求項2】
前記バッテリは、複数の単電池が配列された電池群であることを特徴とする請求項1に記載のバッテリケース。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリケースと、
車両を走行させるための動力を発生するモータに作動電力を供給する前記バッテリと、を有する車両。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の前記バッテリケースと、
車両を走行させるための動力を発生するモータに作動電力を供給する前記バッテリと、
前記バッテリケースの内部に配置される第1の熱交換器と、前記バッテリケースの外部であって、車両の放熱部に配置される第2の熱交換器と、前記第1及び第2の熱交換器の間で冷媒を循環させる循環経路と、を備える熱輸送デバイスと、
を有する車両。
【請求項5】
前記循環経路は、前記第1の熱交換器において前記バッテリケースの内部の空気と熱交換を行うことにより液相状態から気相状態に変化した前記冷媒を、前記第2の熱交換器に移送するための第1の接続管と、前記第2の熱交換器において前記車両の放熱部と熱交換を行うことにより気相状態から液相状態に変化した前記冷媒を前記第1の熱交換器に移送するための第2の接続管と、を有することを特徴とする請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記第2の熱交換器は、前記第1の熱交換器よりも上方に位置し、
前記第1及び第2の接続管はそれぞれ、上下方向に延びる縦管を有し、
前記冷媒は、前記第1及び前記第2の接続管を介して、前記第1及び前記第2の熱交換器の間を自然循環することを特徴とする請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記車両の放熱部は、車両の内外において空気を導通させる通気管であることを特徴とする請求項4乃至6のうちいずれか一つに記載の車両。
【請求項8】
前記第2の熱交換器は、前記通気管の内部に配置され、前記通気管の内部に入射する直射日光により照射される照射領域を避けた非照射領域に配置されることを特徴とする請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記通気管は、上下方向に延びる直管形状部と、上下方向に対して傾斜した傾斜管形状部と、を有し、
前記第2の熱交換器は、前記非照射領域としての前記傾斜管形状部に配置されることを特徴とする請求項8に記載の車両。
【請求項10】
前記通気管には、空気の導通を許容する開き位置と、空気の導通を抑制する閉じ位置との間で動作する開閉弁が配置されていることを特徴とする請求項7乃至9のうちいずれか一つに記載の車両。
【請求項11】
前記開閉弁を駆動する駆動部を有し、
前記駆動部は、車外の温度が前記バッテリの入出力特性に基づき設定される閾値よりも低い場合には、前記開閉弁を閉じ位置に動作させ、車外の温度が前記閾値以上である場合には、前記開閉弁を開き位置に動作させることを特徴とする請求項10に記載の車両。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−97891(P2013−97891A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237074(P2011−237074)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】