説明

バッテリー用温度センサーの取付用クリップ

【課題】バッテリー用温度センサーの取付用クリップに関し、解除用の操作部を操作することにより、クリップを簡単に取り外すことができ、バッテリーのメンテナンス性を向上することができるようにしたものである。
【解決手段】センサー本体21と、張出部22とを有する温度センサー20を保持し、バッテリーケース30の取付穴31に取り付けられるバッテリー用温度センサー20の取付用クリップ10である。クリップ10は、内部に温度センサー20を挿入し保持可能な保持部60、保持部60から垂下し、温度センサー20を挿通可能で、取付穴31に挿入可能な脚部50、脚部50から突出し、取付穴31に挿入した際に、ケース30に係合可能な係合部51を備える。クリップ10には、係合部51から延出し、係合部51のケース30への係合を解除可能な操作部42が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バッテリー用温度センサーの取付用クリップに関し、解除用の操作部を操作することにより、クリップを簡単に取り外すことができ、バッテリーのメンテナンス性を向上することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、温度センサーユニットを備えた電気自動車のバッテリ構造が知られている(例えば特許文献1の段落番号「0034」、図1、図6〜8参照)。
従来の温度センサーユニットは、バッテリケースの上壁のセンサー取付孔にねじ込み固定されるネジ部を有する筒状のユニット本体と、その内側に摺動自在に配設した合成樹脂性の温度検出部と、該温度検出部の先端部内に配設した温度センサーと、ユニット本体内に弾装されて温度検出部をユニット本体から突出する方向に付勢するスプリングとから構成されていた(例えば特許文献1の段落番号「0034」参照)。
【0003】
なお、本願出願人は、「バッテリー用温度センサーの取付用クリップ」(特願2011-17182、平成23年1月28日出願)、「クリップ」(特願2011-199846、平成23年9月13日出願)を既に提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-302847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の電気自動車のバッテリ構造の温度センサーユニットは、センサー取付孔にねじ込まなければならず、取付時に工具が必要となり、又、取り付けが面倒で、時間が掛かるという問題点があった。
また、バッテリの温度センサーは、取付精度が要求されるため、上記した従来の温度センサーユニットでは、スプリングを使用して温度検出部を突出する方向に付勢していた。このため、従来の温度センサーユニットは、部品点数が多く、構造が複雑であるという問題点があった。
【0006】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、解除用の操作部を操作することにより、クリップを簡単に取り外すことができ、バッテリーのメンテナンス性を向上することができるようにしたものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0007】
すなわち、請求項2に記載の発明は、クリップを取り外す時に、温度センサーを保持した状態でクリップと一緒に外すことができるようにしたものである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0008】
すなわち、請求項3に記載の発明は、温度センサーをクリップの保持部に装着する時に、スリットを介して保持部を押し開くことができるので、温度センサーの装着性を向上することができるばかりでなく、当該スリットを温度センサーの配線用にも利用することができるようにしたものである。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項4に記載の発明は、保持部の内周面の突起を、温度センサーの装着時のガイドとして利用することができるばかりでなく、装着後のガタつきを防止することができるようにしたものである。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0010】
すなわち、請求項5に記載の発明は、保持部の内周面の係止部により、温度センサーの装着時の節度感を発生させることができるばかりでなく、装着後の抜け止めとすることができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0012】
第1に、例えば図1〜6に示すように、センサー本体(21)と、センサー本体(21)から張り出す張出部(22)とを有する温度センサー(20)を保持し、バッテリーケース(30)の取付穴(31)に取り付けられるバッテリー用温度センサー(20)の取付用クリップ(10)である。
第2は、クリップ(10)は、例えば図1〜6に示すように、次の構成を備える。
(1)保持部(60)
保持部(60)は、例えば図1〜6に示すように、内部に温度センサー(20)を挿入し保持可能なものである。
【0013】
(2)脚部(50)
脚部(50)は、例えば図1〜5に示すように、保持部(60)から垂下し、温度センサー(20)を挿通可能で、取付穴(31)に挿入可能なものである。
(3)係合部(51)
係合部(51)は、例えば図1〜5に示すように、脚部(50)から突出し、取付穴(31)に挿入した際に、ケース(30)に係合可能なものである。
【0014】
第3に、クリップ(10)には、例えば図1〜5、図8、図9及び図14〜16に示すように、係合部(51)から延出し、係合部(51)のケース(30)への係合を解除可能な操作部(42)が設けられている。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、操作部(42)による解除操作時に、例えば図15に示すように、操作部(42)と係合部(51)の連結部分が温度センサー(20)の張出部(22)を保持する。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、保持部(60)に、例えば図4〜7に示すように、温度センサー(20)の挿入方向に沿って形成されるスリット(41)を有する。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、保持部(60)の内周面に、例えば図8に示すように、温度センサー(20)の挿入方向に沿って延びる突起(62)を有する。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、保持部(60)の内周面に、例えば図8に示すように、温度センサー(20)の張出部(22)を係止する係止部(63)を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、解除用の操作部を操作することにより、クリップを簡単に取り外すことができ、バッテリーのメンテナンス性を向上することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0020】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、クリップを取り外す時に、温度センサーを保持した状態でクリップと一緒に外すことができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0021】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、温度センサーをクリップの保持部に装着する時に、スリットを介して保持部を押し開くことができるので、温度センサーの装着性を向上することができるばかりでなく、当該スリットを温度センサーの配線用にも利用することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0022】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、保持部の内周面の突起を、温度センサーの装着時のガイドとして利用することができるばかりでなく、装着後のガタつきを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】クリップを介して温度センサーをバッテリーケースに取り付けた状態の断面図である。
【図2】クリップ、温度センサー、バッテリーケースの断面図である。
【図3】図2に対応し、温度センサーをクリップに装着した断面図である。
【図4】クリップ、温度センサー、バッテリーケースの斜視図である。
【図5】図4に対応し、温度センサーをクリップに装着した斜視図である。
【図6】図4に対応し、温度センサーを装着したクリップをバッテリーケースに取り付けた状態の斜視図である。
【図7】クリップの斜視図である。
【図8】クリップの片半部を切断した状態の斜視図である。
【図9】図8に対応し、異なる角度から見た斜視図である。
【図10】クリップの正面図である。
【図11】クリップの側面図である。
【図12】クリップの平面図である。
【図13】図11のA−A線に沿う断面図である。
【図14】バッテリーケースからクリップを取り外す際の断面図である。
【図15】一対の操作部を摘んだ状態の断面図である。
【図16】図14に対応し、クリップの異なる取り外し方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(クリップ10)
図中、10は、クリップを示し、クリップ10は、図1〜6に示すように、温度センサー20を保持し、バッテリー(図示せず)を収納したケース状のバッテリーケース30の内外に貫通した取付穴31に取り付けられるものである。
クリップ10は、図1、図3、図5及び図6に示すように、温度センサー20を保持した状態で、バッテリーケース30の取付穴31に取り付けられるものである。
【0025】
クリップ10は、適度な弾性と剛性とを有する熱可塑性合成樹脂、例えばPOM(ポリアセタール)により一体的に成形されている。
クリップ10は、図7〜13に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)頭部40
(2)脚部50
(3)保持部60
なお、クリップ10の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(バッテリーケース30)
バッテリーケース30は、ケース状に形成され、図示しないが、内部にはバッテリーが収納される。バッテリーケース30の外壁には、図1〜6に示すように、内外、すなわち同図において上下方向に貫通した円形の取付穴31を設けている。
【0026】
取付穴31は、クリップ10の後述する脚部50を挿入可能なものである。
なお、取付穴31を、円形に形成したが、これに限定されず、楕円形、長円形、或いは方形や他の多角形に形成しても良い。
バッテリーは、図示しないが、電気自動車やハイブリッド自動車に用いられ、セルを積層したモジュールとして構成されている。バッテリーは、図示しないが、バッテリーケース30内に収容された状態で車両に搭載される。バッテリーは、内部での電気化学反応によって発熱し、その温度が上昇する。高温になるとバッテリーの発電効率が低下するため、バッテリーは、熱伝達性の高いケース状のバッテリーケース30内に収容され、外部から冷却風を送風して冷却している。冷却風の送風を制御するため、バッテリーケース30内の温度を温度センサー20により測定している。
(温度センサー20)
温度センサー20は、内部にサーミスタ素子が内蔵されたものである。
【0027】
温度センサー20は、図2及び図4に示すように、センサー本体21と、当該センサー本体21から張り出す張出部22とを有する。
センサー本体21は、図示しないが、サーミスタ素子が内蔵され、円筒形に形成され、先端部が半球形に形成されている。張出部22は、センサー本体21の基端部の周囲から略ドーナツ形に張り出し、その外径をセンサー本体21の外径より大きく形成している。
【0028】
なお、温度センサー20の内部に、サーミスタ素子が内蔵させたが、これに限定されない。
(頭部40)
頭部40は、図1及び図14に示すように、後述する脚部50及び保持部60と協同して、温度センサー20を保持した状態で、バッテリーケース30の取付穴31に取り付けられるものであり、バッテリーケース30の外面側、すなわち図1において上面側に位置する。
【0029】
頭部40は、図7〜13に示すように、円筒形に形成され、その外径をバッテリーケース30の取付穴31の内径より大きく、本実施の形態ではほぼ等しく設定している。また、頭部40の中空内部の内径を、温度センサー20の張出部22の外径以上、本実施の形態ではほぼ等しく設定している。
頭部40には、図7、図9、図10、図12及び図13に示すように、大別すると、次の各部を備える。
【0030】
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)スリット41
(2)操作部42
なお、頭部40の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(スリット41)
スリット41は、図7、図9、図10、図12及び図13に示すように、頭部40の上端部から略U字形に切り欠いて形成している。
【0031】
なお、スリット41を、略U字形に切り欠いたが、これに限定されず、穴状に形成しても良い。
温度センサー20を保持部60内に装着する時に、その張出部22の外周に頭部40の中空内部の内周が押されて、スリット41を介して保持部60を押し開くことができるので、温度センサー20の装着性を向上することができるとともに、当該スリット41を、図示しないが、温度センサー20の配線用にも利用することができる。
(操作部42)
操作部42は、図7〜16に示すように、脚部50の後述する係合部51から延出し、係合部51のケース30への係合を解除可能なものである。操作部42は、一対形成され、脚部50の後述する一対の係合部51の上方にそれぞれ位置する。操作部42は、頭部40の外周から板状に突出し、上端部が頭部40の周壁に連結され、下端部が後述するが一対の係合部51にそれぞれ連結されている。操作部42は、側面から見ると、台形形に形成され、上端部を斜めに下り傾斜させた傾斜面42aとしている。
【0032】
操作部42による解除操作時に、図15に示すように、操作部42と係合部51の連結部分が温度センサー20の張出部22を保持する。すなわち、一対の操作部42を、図14に矢印で示すように、左右両側から内側に向かって摘む。一対の操作部42を摘むと、図15に示すように、保持部60の後述する略L字形ないしは略V字形に折れ曲がった段部61が、張出部22の下側、すなわち張出部22とセンサー本体21との境目のくびれた部分に食い込むように張出部22を保持する。
【0033】
このため、クリップ10を取り外す時に、温度センサー20を保持した状態で一緒に外すことができる。
また、操作部42の上端部に傾斜面42aを形成していることから、図16に示すように、操作部42の上端部をバッテリーケース30に向かって押圧することでも、同様に一対の操作部42を互いに接近する方向に移動させ、張出部22を保持することができる。操作部42の周囲に指を入れるスペースが無く、操作部42を摘めない場合であっても、クリップ10を取り外すことができる。
(脚部50)
脚部50は、図1〜5に示すように、保持部60から垂下し、温度センサー20を挿通可能で、取付穴31に挿入可能なものである。
【0034】
脚部50は、図7〜13に示すように、頭部40と同様に、円筒形に形成され、その外径をバッテリーケース30の取付穴31の内径以下、本実施の形態ではほぼ等しく設定している。脚部50の中空内部の内径は、温度センサー20の張出部22の外径より小さく、かつセンサー本体21の外径以上、本実施の形態ではほぼ等しく設定している。
脚部50には、図7〜13に示すように、次の各部を備える。
【0035】
なお、次の(1)については、後述する。
(1)係合部51
なお、脚部50の各部は、上記した(1)に限定されない。
(係合部51)
係合部51は、図1〜5に示すように、脚部50から突出し、取付穴31に挿入した際に、ケース30に係合可能なものである。
【0036】
係合部51は、一対形成され、円筒形の頭部40の直径方向に位置し、一対の操作部42の下方にそれぞれ位置する。一対の係合部51と、頭部40の前述したスリット41とは、直交する向きに配置され、一対の係合部51の間にスリット41が位置する。
係合部51は、断面略三角形に形成され、上端部が下方に向かって急傾斜した急斜面となり、下端部が下方に向かって緩やかに傾斜した緩斜面となっている。
【0037】
なお、係合部51を2個形成したが、これに限定されず、3個以上形成しても良い。
(保持部60)
保持部60は、図1〜6に示すように、内部に温度センサー20を挿入し保持可能なものである。保持部60は、クリップ10の中空内部に位置し、頭部40から脚部50に貫通する穴状に形成され、上下面が開口している。
【0038】
保持部60には、図7〜13に示すように、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(4)については、後述する。
(1)段部61
(2)突起62
(3)係止部63
(4)切欠部64
なお、保持部60の各部は、上記した(1)〜(4)に限定されない。
(段部61)
段部61は、図8、図9、図13及び図14に示すように、保持部60の高さの途中に位置し、保持部60の中心に向かって段状に突出し、温度センサー20の張出部22の底面が載置されるものである。
(突起62)
突起62は、図8に示すように、保持部60の内周面に位置し、温度センサー20の挿入方向に沿って延びるものである。
【0039】
突起62は、図8及び12に示すように、複数個、例えば計4個形成され、保持部60の内周面から中空内部に向かって突出したリブ状に形成されている。突起62は、頭部40の下半部に位置し、上端部が保持部60の中空内部の高さの途中に位置し、下端部が段部61に連接している。
なお、突起62を4個形成したが、これに限定されず、単数としても良いし、或いは2個、3個、5個以上形成しても良い。
【0040】
突起62は、温度センサー20を保持部60内に挿入する際に、張出部22の外周に接することで、挿入方向のガイドとして作用するとともに、装着後には同じく張出部22の外周と当接することで、保持部60内での温度センサー20のガタつきを防止することができる。
(係止部63)
係止部63は、図1〜7に示すように、保持部60の内周面に位置し、温度センサー20を係止するものである。
【0041】
係止部63は、段部61の上面から温度センサー20の張出部22の高さに等しい距離離れて位置し、保持部60の中空内部に向かって突出した爪状に形成されている。
係止部63は、スリット41と対向して位置し、1個形成されている。係止部63は、下端部に向かって徐々に突出量を増加させ、斜面を斜め上方に向けた略直角三角形状に形成されている。
【0042】
なお、係止部63を1個形成したが、これに限定されず、複数個形成しても良い。
(切欠部64)
切欠部64は、図11及び図12に示すように、頭部40の操作部42及び脚部50の係合部51に沿って位置し、操作部42及び係合部51を撓み易くするためのものである。切欠部64は、頭部40及び脚部50の左右両側に一対形成され、頭部40及び脚部50の円筒の内外周に貫通し、上下方向に連続的した溝状に形成されている。切欠部64により、操作部42の上端部が、ヒンジとなり、頭部40の外壁に連結される。また、切欠部64により、操作部42の下端部と係合部51の上端部とが連結される。さらに、切欠部64により、係合部51の下端部が、ヒンジとなり、脚部50の外壁に連結される。
【0043】
なお、切欠部64を上下方向に連続的に形成したが、これに限定されず、頭部40の操作部42と、脚部50の係合部51とに個別に設けて、非連続としても良い。
(温度センサー20の取付方法)
つぎに、上記した構成を備えたクリップ10を用いた温度センサー20の取付方法について説明する。
【0044】
クリップ10に温度センサー20を装着し、その後、温度センサー20を保持したクリップ10を、バッテリーケース30の取付穴31に取り付けても良いし、或いはクリップ10を取付穴31に先に取り付け、その後、取付穴31に固定されたクリップ10に対して温度センサー20を装着しても良い。
本実施の形態の説明においては、前者の取付方法を例に挙げて説明する。
【0045】
まず、クリップ10に温度センサー20を装着する。
温度センサー20のセンサー本体21の先端部を、図2及び図4に示すように、クリップ10の保持部60の開口上面に合わせて挿入する。
温度センサー20を挿入すると、その張出部22が保持部60の中空内部にはまり込み、その外周面が爪状の係止部63に当接する。
【0046】
ここで、張出部22を強く押し込むと、その外周面で爪状の係止部63を押圧する。このため、スリット41を介して保持部60を押し開かれ、頭部40の中空内部の内径が拡径され、張出部22の通過が可能となる。
張出部22が爪状の係止部63を通過すると、頭部40が樹脂の弾性復元力によりパチンと復元し、係止部63が張出部22の上面に引っ掛かることから、保持部60の開口上面から抜けなくなる。また、その際に、張出部22の下面が段部61の上面に載置され、張出部22は、係止部63と段部61との間に上下方向からはさみ持たれる。
【0047】
なお、頭部40が復元する際に、節度感が発生する。
またこのとき、温度センサー20のセンサー本体21の先端部は、図3及び図5に示すように、保持部60の開口下面から突出する。
つぎに、温度センサー20を保持したクリップ10の脚部50を、図3及び図5に示すように、バッテリーケース30の取付穴31に合わせて挿入する。
【0048】
脚部50を挿入すると、その周囲から突出する2個の係合部51が取付穴31の周囲に当接する。
ここで、脚部50を強く押し込むと、2個の係合部51が取付穴31の内縁に押されて、保持部60の半径方向内向きに撓むことで、2個の係合部51の通過が可能となる。
2個の係合部51が取付穴31を通過すると、バッテリーケース30の内側、すなわち本実施の形態では図1の下側において樹脂の弾性復元力により係合部51が復元して拡径し、係合部51が取付穴31から上方に向かって抜けなくなる。
【0049】
また、その際に、頭部40の下面がバッテリーケース30の外面、すなわち本実施の形態では図1の上側の上面に載置され、頭部40の下面と係合部51との間で上下方向からバッテリーケース30が弾性的にはさみ持たれる。
こうして、温度センサー20は、図1に示すように、クリップ10を介して、バッテリーケース30の取付穴31に固定される。
(温度センサー20の取り外し方法)
つぎに、温度センサー20の取り外し方法について説明する。
【0050】
温度センサー20を取り外す際には、図14に示すように、一対の操作部42を左右両側から内側に向かって摘み、摘んだ状態でバッテリーケース30の取付穴31から引き抜けば良い。
一対の操作部42を摘むと、図15に示すように、操作部42と係合部51の連結部分が張出部22の下側、すなわち張出部22とセンサー本体21との境目のくびれた部分に食い込む。
【0051】
このため、2個の係合部51が半径方向内向きに撓むことで、脚部50の外径が縮径し、脚部50を取付穴31から引き抜くことができる。
また、このとき、操作部42と係合部51の連結部分が温度センサー20の張出部22を保持することで、温度センサー20を保持した状態でクリップ10と一緒に、取付穴31から引き抜くことができる。
【0052】
一方、操作部42の上端部に傾斜面42aを形成していることから、図16に示すように、操作部42の上端部をバッテリーケース30に向かって押圧しても良い。
操作部42を押し上げると、一対の操作部42が互いに接近する方向に移動し、2個の係合部51を半径方向内向きに撓み、脚部50を取付穴31から引き抜くことができる。
【符号の説明】
【0053】
10 クリップ 20 温度センサー
21 センサー本体 22 張出部
30 バッテリーケース 31 取付穴
40 頭部 41 スリット
42 操作部 42a 傾斜面
50 脚部 51 係合部
60 保持部
61 段部 62 突起
63 係止部 64 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサー本体と、前記センサー本体から張り出す張出部とを有する温度センサーを保持し、バッテリーケースの取付穴に取り付けられるバッテリー用温度センサーの取付用クリップにおいて、
前記クリップは、
内部に前記温度センサーを挿入し保持可能な保持部と、
前記保持部から垂下し、前記温度センサーを挿通可能で、前記取付穴に挿入可能な脚部と、
前記脚部から突出し、前記取付穴に挿入した際に、前記ケースに係合可能な係合部とを備え、
前記係合部から延出し、前記係合部の前記ケースへの係合を解除可能な操作部が設けられていることを特徴とするバッテリー用温度センサーの取付用クリップ。
【請求項2】
前記操作部による解除操作時に、前記操作部と前記係合部の連結部分が前記温度センサーの張出部を保持することを特徴とする請求項1に記載のバッテリー用温度センサーの取付用クリップ。
【請求項3】
前記保持部に、
前記温度センサーの挿入方向に沿って形成されるスリットを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッテリー用温度センサーの取付用クリップ。
【請求項4】
前記保持部の内周面に、
前記温度センサーの挿入方向に沿って延びる突起を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバッテリー用温度センサーの取付用クリップ。
【請求項5】
前記保持部の内周面に、
前記温度センサーの前記張出部を係止する係止部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバッテリー用温度センサーの取付用クリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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