説明

バッテリ構造

【課題】 ボルトの締めすぎによる締結部の破損を防ぎつつ、締結箇所を少なくして容積効率を向上させることができるバッテリ構造を提供すること。
【解決手段】 電池セルの単数あるいは複数を内部に収容した電池モジュール3を複数積層させて構成される電池パック1において、電池モジュール3を複数積層させ、内孔43を有する中空ボルト4で積層方向に締結して、電池サブモジュール2を構成し、電池サブモジュール2を複数積層させ、複数が直列配置となる中空ボルト4の内孔43に長い1本物の通しボルト6を貫通させるようにして積層方向に締結して、電池パック1を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池モジュールを積層させて構成されるバッテリ構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、フィルム外装電池がセルケースに個別に収容された電池セルを積層してなる組電池を備えた電池パックであって、積層された電池セルを複数本の長尺ロッドがその積層方向に貫き、積層方向両端の電池セルから突出した各長尺ロッドの端部にナットをそれぞれ螺合している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−172882号公報(第2−8頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来にあっては、長尺ロッドとナットで締め付けていくと、その部位には応力が集中するため対策として電池パックの両端に拘束プレートを設定しなければならず、容積効率上問題であった。
【0004】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、ボルトの締めすぎによる締結部の破損を防ぎつつ、締結箇所を少なくして容積効率を向上させることができるバッテリ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、扁平型組電池の単数あるいは複数を内部に収容した電池モジュールを複数積層させて構成されるバッテリにおいて、前記電池モジュールを複数積層させ、内孔を有する中空のボルトで積層方向に締結して、中間組付モジュールを構成し、前記中間組付モジュールを複数積層させ、複数が直列配置となる前記中空ボルトの内孔に長い1本物の通しボルトを貫通させるようにして積層方向に締結して、前記バッテリを構成した、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明にあっては、ボルトの締めすぎによる締結部の破損を防ぎつつ、締結箇所を少なくして容積効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のバッテリ構造を実現する実施の形態を、請求項1,2に係る発明に対応する実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の電池モジュールの電池サブモジュールの組付状態を示す説明図である。図2は実施例1の電池モジュールの電池パックの組付状態を示す説明図である。
【0009】
実施例1では、電池パック1は、複数の電池サブモジュール2からなり、電池サブモジュール2は、複数の電池モジュール3からなる構成である。
まず電池モジュール3について説明する。
電池モジュール3は、厚みのある矩形板状のもので、内部にリチウムイオン電池などの薄い電池セルを単数あるいは複数内蔵している。
そして、立設させる際に下面となる側部と広い上下面を金属製にし、この金属部分31の三方を囲み、矩形の角部を形成するよう樹脂部分32を設ける。樹脂部分32となる4つの角部には、取り付け孔33を設ける。
取り付け孔33は、筒体を樹脂部分32にインサート成形して構成しても、樹脂部分32で形成してもよい。
また、電池モジュールの側面には、内部の電池セルと電気的に接続された端子34を露呈させるように設ける。
【0010】
次に、電池サブモジュール2について説明する。
電池サブモジュール2を構成するには、電池モジュール3の金属部分の側面を下方にして立設し、広い上下面が横方向の面となるようにし、この広い面を重ねるようにして、複数の電池モジュール3を積層する。
そして、複数重ねた電池モジュールの各角部の取り付け孔33に中空ボルト4を挿入し、貫通させる。
【0011】
ここで、中空ボルト4について説明する。中空ボルト4は、頭部41とネジ部42からなり、且つ内孔43を有する筒形状のボルトである。
この中空ボルト4を4箇所の取り付け孔33に貫通させたならば、頭部41と反対側の電池モジュール3の取り付け孔33から突出しているネジ部42にナット5を螺合して締結する。
これにより電池サブモジュール2が構成される。
【0012】
次に、電池パック1について説明する。
複数の電池サブモジュール2を側面となっている広い金属面で対向させるように、つまり電池サブモジュール2を同じ向きに横方向に積層させるように配置する。そして、複数の電池サブモジュール2における4箇所角部の中空ボルト4の内孔43にそれぞれ長い通しボルト6を貫通させるようにする。
そして、通しボルト6のネジ部先端にナットを締結して電池パック1を構成する。
【0013】
つまり4本の長い通しボルト6により複数積層させた電池モジュール3が貫通支持される構造と言える。
電池モジュール3の側面に設けられた端子34は、隣接する電池モジュール3の端子34と接続されることで、直列あるいは並列に電気的に接続される。例えば、電池モジュール3の側面の端子34の2つがプラス、マイナスと並んでいるならば、直列接続するには、図2に示すような一様な接続となる。
これを図2に電極7として示す。
また、比較的下方に並列する端子34は、横に接続されることで、電圧検出ライン8を構成する。
【0014】
作用を説明する。
[締結部の破損防止作用]
実施例1では、複数の電池サブモジュール2を構成する際に、中空ボルト4を用いるようにし、電池パック1を構成する際には、長い通しボルト6を中空ボルト4の内孔43を通すようにする。そして、通しボルト6の締結が行われ、電池サブモジュール2が隣接する電池サブモジュール2に挟まれる方向に締結力が働くことになるが、その締結力は中空ボルト4に加えられることになる。
【0015】
その際、中空ボルト4は長手方向、つまり力が加わる方向と同様の方向を自身の長手方向としているため、金属部材の強い耐圧縮力で突っ張ることになる。
そのため、電池モジュール3は、通しボルト6の締結力を受けることがないと言ってよく、通しボルト6の締結が締めすぎることになっても、破損が防止される。
【0016】
[容積効率向上作用]
実施例1では、電池サブモジュール2が構成される組付け時には、中空ボルト4による締結が行われる。そして、電池パック1が構成される組付け時にも、締結を行う位置は、中空ボルト4の位置で行われる。
つまり締結を行うための位置は、電池サブモジュール2という中間の段階を設けているにも関わらず、電池パック1を構成する締結位置と同じ位置、どちらも角部の4箇所で行われる。このように実施例1では、締結箇所を少なくしている。
【0017】
例えば、電池サブモジュール2と電池パック1の締結箇所を異なる位置に設けることは、容易に考えられる。しかしながら、その場合には、電池モジュール3には、締結用部分を多く、例えば8箇所に設ける必要が生じる。
これは、電池セル以外の部分を増やすことになり、実施例1のように電池パック1は複数の電池モジュールで構成されるため、電池セル以外の部分を増やすことは、容積効率を低下させ問題となる。
【0018】
実施例1では、締結箇所を少なくしているため、電池モジュール3における電池セル以外に部分が増えることを抑制し、電池パック1の容積効率を向上させている。
また、実施例1では、電池パック1を構成した状態では、電池パック1の通しボルト6の軸直角方向に突出した部材が電池パック1の組付けのために生じることはない。そのため、電池パック1をさらに、装置などに設置、搭載する際に効率的にスペースを用いるようになる。
【0019】
また、電池パック1をさらに、装置などに設置、搭載する際は、その設置位置、搭載位置で、電池サブモジュール2から電池パック1を組み上げるようにすればよい。
【0020】
次に、効果を説明する。
実施例1のバッテリ構造にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0021】
(1)電池セルの単数あるいは複数を内部に収容した電池モジュール3を複数積層させて構成される電池パック1において、電池モジュール3を複数積層させ、内孔43を有する中空ボルト4で積層方向に締結して、電池サブモジュール2を構成し、電池サブモジュール2を複数積層させ、複数が直列配置となる中空ボルト4の内孔43に長い1本物の通しボルト6を貫通させるようにして積層方向に締結して、電池パック1を構成したため、ボルトの締めすぎによる締結部の破損を防ぎつつ、締結箇所を少なくして容積効率を向上させることができる。
【0022】
(2)電池モジュール3は、中空ボルト4による締結部分の少なくとも周囲を樹脂製にしたため、締結の影響を樹脂部で吸収するようにして電池セルに及ぶことをさらに防止することができる。
【0023】
以上、本発明のバッテリ構造を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0024】
例えば、中空ボルトや通しボルトの締結は、ナットを螺合させて締結するものであっても、ナットに相当する部分を、電池モジュールに設けたものであってもよい。
中空ボルトのネジ部は全ネジであっても、先端側のみにネジ山を設けたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1の電池モジュールの電池サブモジュールの組付状態を示す説明図である。
【図2】実施例1の電池モジュールの電池パックの組付状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 電池パック
2 電池サブモジュール
3 電池モジュール
31 金属部分
32 樹脂部分
33 取り付け孔
34 端子
4 中空ボルト
41 頭部
42 ネジ部
43 内孔
5 ナット
6 通しボルト
7 電極
8 電圧検出ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平型組電池の単数あるいは複数を内部に収容した電池モジュールを複数積層させて構成されるバッテリにおいて、
前記電池モジュールを複数積層させ、内孔を有する中空のボルトで積層方向に締結して、中間組付モジュールを構成し、
前記中間組付モジュールを複数積層させ、複数が直列配置となる前記中空ボルトの内孔に長い1本物の通しボルトを貫通させるようにして積層方向に締結して、前記バッテリを構成した、
ことを特徴とするバッテリ構造。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリ構造において、
前記電池モジュールは、前記中空ボルトによる締結部分の少なくとも周囲を樹脂製にした、
ことを特徴とするバッテリ構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−282639(P2008−282639A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125108(P2007−125108)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】