説明

バッテリ電源ユニットから電気エネルギを供給する方法およびそのシステム

【課題】低い気温における自転車の電子機器用のバッテリ電源ユニットのパフォーマンスを向上させる。
【解決手段】温度検出回路により、バッテリ電源ユニット4の温度が下側温度しきい値以下であれば、バッテリ電源ユニットに熱的に結合された加熱エレメント5にバッテリ電源ユニットから電気エネルギが供給される。バッテリ電源ユニットはこれにより自己発熱し、適切な動作温度に保持される。またバッテリ電源ユニットの電気エネルギの一部は、同時に、電子機器3に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、詳細には自転車に取り付けられる電子機器に、バッテリ電源ユニットから電気エネルギを温度制御式に供給する方法およびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子式ギヤシフトを制御し、さらに/あるいはライディング・パラメータおよび様々な関数を取得し、表示しかつ制御する、自転車に取り付けられる電子機器は、電源ユニットを使用する。
【0003】
電源ユニットは、一般的には直列接続された1つまたは複数のバッテリからなり、バッテリ・パックとも呼ばれる。このような電子機器に使用されるバッテリは、一般的には再充電可能なタイプである。
【0004】
バッテリの公称電圧と容量は、バッテリ温度の変化に伴って変化する関係性によって相関される。図22に特性曲線の一例を示し、Vで表される公称電圧およびmAhで表される容量の推移が、−20℃、−10℃、0℃、室温および60℃の各温度で示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図22の特性曲線から分かるように、温度が低下すると、電圧および容量の値は下がる。すなわち、曲線はゼロ点に向かって移動する。したがって、特定の低温状態では、寒い季節に電子機器(詳細には自転車に取り付けられた電子機器)のバッテリ電源ユニットにおいてそうなることが経験されるように、バッテリが充電されているにも関わらず負荷に必要な電流を供給すること、または必要な電圧を維持することができない。これにより、システム性能が低下する。したがって、バッテリを最大限に活用するためには、低温で使用しないのが有利である。
【0006】
本発明の基底にある技術的課題は、電源ユニットを低い気温でも使用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その第1の構成において、バッテリ電源ユニットから自転車の電子機器に電気エネルギを温度制御式に供給する方法に関し、
− 前記電源ユニットの温度を示す少なくとも1つの温度を検出する工程と、
− 前記バッテリ電源ユニットの動作状態を制御する工程であって、この検出された温度が下側温度しきい値以下であるか否かをチェックする工程と、
前記チェックする工程が肯定結果を有する場合は、
− 前記電源ユニットに熱的に結合される少なくとも1つの加熱エレメントに前記電源ユニットから電気エネルギを供給する工程とを備える。
【0008】
電源ユニットの自己発熱によって、電源ユニットのパフォーマンスが満足のいくものになる温度値まで、電源ユニットの温度は上昇される。
【0009】
下側温度しきい値は、有利には、前記電源ユニットの最大公称容量の少なくとも5%、好ましくは40%の電源ユニット容量を保証するように選択される。
【0010】
高分子電解質のリチウムイオン・バッテリを使用する場合、下側温度しきい値Tlowは、有利には、−4℃に選択される。
【0011】
有利な実施形態においては、前記チェックする工程は、検出された温度が上側温度しきい値よりも低いか否かをチェックすることを含む。2つのしきい値を規定することによって、電源ユニットの温度が下側温度しきい値の周辺で急激に変化しても、電源ユニットのより継続的な加熱を達成することが可能である。具体的には、このように電源ユニットの温度が変化した場合には、加熱用のエレメントをオン、オフ切換する頻度が過度になってシステムが不安定になるおそれがあるが、その危険性が回避される。
【0012】
上側温度しきい値は、電源ユニットのパフォーマンスとその消費電荷量との間で良好な妥協点を得るために選択されるものであり、好ましくは、前記電源ユニットの最大公称容量の少なくとも75%の電源ユニット容量を保証するように選択される。
【0013】
より好ましくは、上側温度しきい値は4℃である。一実施形態においては、電源ユニットから前記少なくとも1つの加熱エレメントへの電気エネルギは、下側温度しきい値と、検出された温度に比例する温度との差の関数として供給される。このようにして、閉ループのフィードバック制御が実装される。
【0014】
前記関数は、好ましくは、比例、積分および/または微分型の関数である。
【0015】
少なくとも1つの温度を検出する工程は、前記バッテリ電源ユニットの複数のバッテリのそれぞれについての温度を、例えば、平均温度または最低温度をチェックの基準に採用して、検出することを含む。
【0016】
代わりにもしくはさらに、前記チェックする工程は、下側温度しきい値と検出された温度との差が最大温度差以下であるか否かをチェックすることを含む。
【0017】
下側温度しきい値と検出された温度との最大温度差は、この最大温度差を超えると、電源ユニットが十分に、すなわち、下側温度しきい値に到達するかこれを超えるまで自己発熱することができず、同時に電子機器を妥当な時間にわたって動作させるほど十分な残留電荷を保つことができないようなものとして選択される。
【0018】
好ましくは、高分子電解質のリチウムイオン・バッテリに対して、ΔTmax=15℃である。
【0019】
チェックを最大限に単純化するために、最大温度差は、実験を基礎として、かつ使用される電源ユニットおよび加熱エレメントの種類に基づいて選択された定数、例えば15℃、に選択されてもよい。
【0020】
代わりに、電源ユニットの自己発熱の実際の傾向をより大きく考慮して、電源ユニットの残留電荷の非減少関数として最大温度差を選択することも可能である。
【0021】
これと同一の目的で、本発明による方法は、電源ユニットの残留電荷を検出する工程を含むことができ、前記チェックする工程は、残留電荷が最小残留電荷より大きいか否かをチェックすることを含む。
【0022】
一実施形態では、最小残留電荷は一定の比率値であり、例えば電源ユニットの最大電荷の75%である。
【0023】
前記一定の比率値は、例えば、下側温度しきい値と検出された温度との差が、それを超えると電源ユニットが下側温度しきい値に達するための自己発熱が不可能である最大温度差に等しい場合に、電源ユニットの加熱と、および電子機器の少なくとも数時間にわたる、例えば少なくとも3時間にわたる容認できるパフォーマンスとを保証するように選択されてもよい。
【0024】
電源ユニットの自己発熱の傾向および容認できるパフォーマンスをもたらすことをより大きく考慮するために、最小残留電荷は、温度差の非減少関数であってもよい。
【0025】
好ましくは、最小残留電荷は、0℃から最大温度差の間に含まれる温度差範囲内では温度差の増加関数であり、温度差が0℃のときは残留予備電荷に等しく、温度差が最大温度差以上では電源ユニットの最大電荷(100%)に等しい。
【0026】
言い替えれば、本発明による自己発熱は、電子機器の動作の安全保護のために、温度差が極めて大きければ電源ユニットが完全に充電されている場合のみ実行され、電源ユニットがほとんど空であれば絶対に実行されない。このような両極端の状況では、電子機器のために電源ユニットのエネルギを残しておく必要性と、電源ユニットを加熱する必要性との間で妥協が図られる。
【0027】
特に単純な実施形態では、0℃から最大温度差までの間の温度差範囲内において温度差の増加関数は線形である。
【0028】
また、0℃未満の温度差では、最小残留電荷は残留予備電荷に等しくなるように選択される。
【0029】
残留予備電荷は、好ましくは、電源ユニットの最大電荷の30%に等しくなるように選択される。
【0030】
好ましくは、これまでに述べた様々な実施形態において残留電荷のチェックと組み合わせて使用される、下側温度しきい値と検出された温度との温度差においては、気温が検出温度として使用される。
【0031】
有利には、チェックする工程は、電子機器がアクティブであるか否かを予めチェックすることを含む。
【0032】
アクティブなシステムとは、システムが、例えば自転車が長期にわたって静止している場合にシステムが至る状態であるスタンバイ状態ではないことを意味する。ボタン、センサ、バッテリ再充電などの起動後に、最小限の時間にわたって、システムはアクティブになる。これに対して、自転車が動いているか制御されている時、または自転車の電子部品が使用されている場合はいつでも、システムは常にアクティブである。最後に、周期的なウェイクアップが発生している場合、システムは所定の期間にわたってアクティブである。このように周期的なウェイクアップが発生している場合システムは、たとえスタンバイ状態であっても、考慮する必要のある緩やかな大きさの変化を制御することが必要とされる。
【0033】
前記電源ユニットが複数のバッテリを備える場合、好ましくは、電源ユニットからのエネルギの一部は、各バッテリと熱的に結合された複数の加熱エレメントに供給される。これにより、各バッテリの温度を別個に制御することが可能であり、各バッテリのパフォーマンスが向上する。
【0034】
これまでに概説した方法は、さらに、電子機器に電気エネルギを供給する工程を備えてもよい。
【0035】
有利には、電気エネルギを電子機器に供給する工程は、検出された温度が下側温度しきい値よりも高い場合にのみ発生するようにされてもよい。これにより、非最適条件で動作している電源ユニットの電気エネルギは、専ら自己発熱に向けられる。
【0036】
本発明は、その第2の構成において、自転車の電子機器用の電源システムに関し、
− バッテリ電源ユニットと、
− 前記電源ユニットの温度を検出する少なくとも1つの温度センサと、
− 前記電源ユニットに熱的に接続される少なくとも1つの加熱エレメントと、
− 前記電源ユニットから前記加熱エレメントへの選択的に作動可能な電気接続と、
− 前記システムの動作状態をチェックして、前記システムが動作していれば、前記電気接続を作動させて電気エネルギを電源ユニットから前記加熱エレメントに供給させるコントローラとを備え、
前記動作状態は、検出される温度が下側温度しきい値以下であるか否かを含む。
【0037】
自転車用電子機器は、一般的には、電子式ギヤシフトを制御し、さらに/あるいは自転車のライディング・パラメータおよび他の機能を獲得し、表示しかつ制御する。自転車用電子機器は、また、システムに外付けされたものでも、システムの一部であってもよい。
【0038】
下側温度しきい値については、本発明方法に関して先に説明したことが同様に当てはまる。
【0039】
動作状態は、さらに、検出された温度が上側温度しきい値よりも低いか否かを含んでもよい。
【0040】
上側温度しきい値については、本発明方法に関して先に説明したことが同様に当てはまる。
【0041】
好ましくは、コントローラは、継電器およびソリッド・ステート・スイッチよりなるグループから選択される電力調整器を、前記電気接続を介して作動させる。
【0042】
一実施形態では、検出された温度に比例する温度と下側温度しきい値との差の関数である熱電力を電源ユニットに供給するように、前記コントローラは前記電力調整器を駆動する。
【0043】
前記関数は、好ましくは、比例、積分、微分およびこれらの組合せよりなるグループから選択される。
【0044】
より詳細には、前記加熱エレメントは抵抗型であり、前記コントローラは、前記少なくとも1つの温度センサの出力信号を乗算する乗算器と、前記下側温度しきい値から前記乗算器の出力を減算してエラー信号を取得する減算器と、前記エラー信号に作用して前記電力調整器の駆動信号を出力するP.I.D.型の電力調整器ブロックとを備える。前記駆動信号は、好ましくは、電流または電圧の駆動信号である
【0045】
一実施形態においては、前記P.I.D.電力調整器ブロックは、前記加熱エレメントの両端間の電圧または前記加熱エレメントを流れる電流を発生させ、この電圧または電流は、エラー信号の増加に伴って増加する。
【0046】
一実施形態においては、前記P.I.D.電力調整器ブロックは、前記加熱エレメントの両端間の変調電圧または前記加熱エレメントを流れる変調電流を発生させ、この変調電圧または変調電流のデューティサイクルは、エラー信号の増加に伴って増加する。
【0047】
好ましくは、前記少なくとも1つの温度センサは、前記電源ユニットに熱的に結合される少なくとも1つの温度センサを含む。
【0048】
前記電源ユニットが少なくとも2つのバッテリを備える場合、好ましくは、各バッテリの実際の温度をより良く制御するために、少なくとも1つの温度センサが各バッテリに熱的に接続される。これまでに説明した実施形態のうちの1つによる方法に使用される温度は、例えば、複数の検出された温度のうちの最低温度または平均温度であってもよい。
【0049】
好ましくは、前記少なくとも1つの温度センサはサーミスタを備え、より好ましくは、負の温度係数を有するサーミスタすなわちNTCを備える。
【0050】
コントローラによってチェックされる動作状態は、さらに、下側温度しきい値と検出された温度との差が最大温度差以下であるか否かを含んでもよい。
【0051】
本発明方法に関してこれまでに説明した内容と同様に、最大温度差は、一定値、例えば15℃であってもよく、また、個々のセンサによって検出される電源ユニットの残留電荷の非減少関数であってもよい。
【0052】
本システムが電源ユニットの残留電荷の少なくとも1つのセンサを備える場合、コントローラによってチェックされる動作状態は、残留電荷が最小残留電荷よりも大きいか否かを含んでもよい。前記最小残留電荷に関しては、本発明方法に関して先に述べた内容が同様に当てはまる。
【0053】
この場合、本システムは、好ましくは、温度差を評価するために気温センサを備えて、気温を検出する。
【0054】
本発明方法に関してこれまでに説明した内容と同様に、動作状態は、電子機器がアクティブであるか否かを含んでもよい。この目的に添って、本システムは、好ましくは、コントローラと電子機器との間に補助接続を備える。
【0055】
好ましくは、前記加熱エレメントは抵抗型であり、より好ましくは、前記加熱エレメントは、前記電源ユニットの少なくとも1つのバッテリに貼付される少なくとも1つの抵抗シートを備え、さらに好ましくは、前記少なくとも1つの抵抗シートは、前記電源ユニットの隣接する2つのバッテリ間に介装される。
【0056】
電源ユニットの各バッテリに温度センサおよび加熱エレメントが設けられる場合、本発明の方法は、有利には、各バッテリに対して個別に実行されてもよい。
【0057】
本システムの構成要素は、自転車のフレームに固定されることができる単一のケーシング内に収納されてもよい。
【0058】
別の実施形態では、電源ユニットは第1のケーシング内に収納され、かつ電子機器は第2のケーシング内に収納されて、前記第1および第2のケーシングは取り外しが可能な形態で機械的かつ電気的に接続可能である。このようにして、再充電のためおよび/または充電済みのものと交換するために、電源ユニットを自転車から取り外すことが可能である。
【0059】
コントローラは、前記第1のケーシング内に収納されてもよい。この場合、自転車の電子機器は規格品であってもよく、特にシステムに外付けされたものでもよい。これにより、本システムは電源装置のみで構成され、既存の自転車の電子機器に取り換える際に容易に取り付けることができる。
【0060】
代わりに、コントローラは前記第2のケーシング内に収納されてもよい。したがって、相互に交換可能な取外しのできる充電式電源装置が2つ以上提供されれば、この電源装置はより廉価で有利な構成となる。
【0061】
電源ユニットからヒータへの前記電気接続を選択的に作動させる電力調整器は、前記第1のケーシング内に収納されてもよい。電力調整器が例えばMOSFET型であるソリッド・ステート型の場合、その作動と作動停止の間のスイッチング損失によって生じる加熱を電力調整器が受けることがら、この構成は有利である。このような損失によって生じる熱は、加熱エレメントによって生成される加熱に加えて、電源ユニットを加熱するのに有利に活用される。
【0062】
代わりに、前記電気接続を選択的に作動させる電力調整器は、例えば、2つ以上の相互に交換可能な電源装置のコストをさらに低減するために、前記第2のケーシング内に収納されてもよい。
【0063】
選択的に作動可能な電気接続は、電源ユニットから電子機器への間で、電気接続から分路されてもよい。すなわち、電源ユニットと電子機器との境界では統合された接続が分岐されるものであってもよい。このような構成は、電源装置と電子機器とがコネクタを介して取外しできるように接続可能である場合、接点の数が特に少なくなることから有利である。
【0064】
好ましくは、電源ユニットの残留電荷センサは、前記第1のケーシング内に収納される。この残留電荷センサは電源ユニットに接続されていることから、電荷センサは、有利には、電源ユニットによって供給される電流の経時的積分の計算を活用することができる。
【0065】
代わりに、電荷センサは、前記第2のケーシング内に収納されることもある。
【0066】
気温センサが存在する場合、このセンサは、好ましくは、前記第2のケーシング内に収納されるが、第1のケーシング内、またはケーシング外の自転車の任意の位置に収納されることもある。
【0067】
一般的に、バッテリ電源ユニットは充電型である。
【0068】
本発明は、その第3の構成において、上述のシステム用の自転車の電子機器に関し、
− 少なくとも1つの加熱エレメントを備える電源ユニットから電気エネルギを受け取るコネクタと、
− 前記電源ユニットの温度を表示する信号を入力において受信して、この温度が下側温度しきい値以下であれば、前記電源ユニットの電気エネルギの一部を加熱エレメントに向けて切り換えるための信号を供給するコントローラとを備える。
【0069】
好ましくは、本電子機器は、さらに、前記電気エネルギの一部の切換を調整する電力調整器であって、前記コントローラによって供給される前記信号によって駆動される電力調整器を備える。
【0070】
好ましくは、本電子機器は、さらに、温度センサを備え、この出力は前記コントローラに供給される。
【0071】
本発明のさらなる特徴および利点が、添付の図面を参照して行う本発明のいくつかの好ましい実施の形態についての以下の詳細な説明から、さらに明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
図1は、本発明の第1実施形態にかかるシステム1のブロック図を示す。
【0073】
この実施形態において、2つの機能ブロック、すなわち、電源装置2と、例えば電子式ギヤシフトを制御し、さらに/あるいは自転車のライディング・パラメータおよび他の関数を取得し、表示しかつ制御する自転車の電子機器3とが区別される。
【0074】
説明を簡単にするため、電子機器3の構成要素は、符号3aで示した電子回路のみを概略的に示している。このような電子機器3は、実際には、ユーザ・インタフェース装置ならびにディレーラのアクチュエータの駆動ユニットをさらに含んでもよく、かつ一般的には、例えばセンサや傾斜計などの他のデバイスに接続されることは理解されるべきである。
【0075】
自転車の電子機器3および電源装置2は、以後は同一参照符号2および3で表す別個のケーシング内に収納され、例えば多極コネクタCNが介在して取外し可能な形態で機械的かつ電気的に接続可能である。代わりに、自転車の電子機器3および電源装置2は、以後は同一参照符号1で表す単一ケーシング内に収納されてもよい。
【0076】
電源装置2は、電源ユニット4と、電源ユニット4と熱的に結合される加熱エレメント5と、電源ユニット4と熱的に結合されてその温度Tbattを検出する温度センサ6と、制御論理ユニットすなわちコントローラ8とを備える。
【0077】
実際的な実施形態において、電源ユニット4は、例えば自転車の電子機器3にも電力を供給するのに十分な電圧を得るように、例えば直列接続された、多くのバッテリ素子からなる。電源ユニット4は充電型であり、例えば、高分子電解質のリチウムイオン型である。
【0078】
加熱エレメント5は、好ましくは、電源ユニット4の外面に接触するようにされた抵抗シートからなる。
【0079】
加熱エレメント5は電気接続部7を介して電源ユニット4に電気的に接続され、この電気接続部7には電力調整器SWが配置されている。電力調整器SWは、矢印9すなわちデータ接続によって概略的に示されるように、コントローラ8によって駆動されるものである。電力調整器SWは、単なるON/OFFスイッチであってもよい。
【0080】
電力調整器SWは、好ましくは、MOSFETからなるが、別の実施形態では、このような電力調整器は、例えばトランジスタからなってもよい、さらには継電器からなってもよい。
【0081】
温度センサ6は、電源ユニット4に近接して配置され、好ましくは加熱エレメント5と同様に電源ユニット4の外面に接触するようにされる。さらに、温度センサ6は、好ましくは、NTC(負の温度係数)サーミスタのような受動素子からなる。別の実施形態では、このようなセンサは異なるタイプであってもよく、例えば、PTCサーミスタ、アクティブ(アナログまたはデジタル)センサなどであってもよい。温度センサ6の出力は、矢印10すなわちデータ接続によって示されるように、コントローラ8の入力に供給される。
【0082】
電源ユニット4は、電源線11を介してコントローラ8に電力を供給する。電源ユニット4は、また、電源線12を介して電子機器3、詳細にはその電子回路3aに、電力を供給する。図示されている接続に加えて、便宜上図示されていない接地接続も存在することは理解されるであろう。
【0083】
コントローラ8と電子機器3との間には、補助通信ライン13がさらに設けられてもよい。
【0084】
なお、コントローラ8が電源装置2の一部である図1の実施形態の場合、自転車の電子機器3は規格品であってもよく、特にシステム1に外付けされたものでもよい。これにより、システム1は電源装置2で構成され、既存の自転車の電子機器3に取り換える際に容易に取り付けることができる。
【0085】
図1に示すシステムの動作については、図5〜図8を参照して後述する。
【0086】
図2は、本発明の第2実施形態にかかるシステムを示す。図2の実施形態が図1の実施形態と異なる点は、コントローラ8が電子機器3の一部である点である。この場合、コントローラ8は、有利には、電子機器3の電子回路3aが配置されるプリント回路に搭載される電子回路からなる。
【0087】
代わりに、コントローラ8は、例えば自動または半自動ギヤシフトの管理のような他の自転車制御機能用の電子機器3のマイクロプロセッサに組み込まれてもよい。
【0088】
コントローラ8を電子機器3の一部とすることにより、充電型の相互に交換可能な取外しのできる電源装置2が2つ以上提供される場合、電源装置2はより廉価で有利な構成となる。電力調整器SWを電源装置2の一部としておくことにより、電力調整器SWが例えばMOSFET型であるソリッド・ステート型の場合、その作動と作動停止の間のスイッチング損失によって生じる加熱を電力調整器SWが受けることから、特に有利である。このような損失によって生じる熱は、加熱エレメント5によって生成される熱に加えて、電源ユニット4を加熱するのに有利に活用される。加熱エレメントによって生成される熱については後述する。
【0089】
しかしながら、図3における本発明の第3実施形態にかかるシステムが示すように、例えば、電力調整器SWも電子機器3の一部とすることにより、2つ以上の相互に交換できる電源ユニット4のコストをさらに低減することが可能である。この点を除けば、図3の実施形態は図2の実施形態と共通する。
【0090】
図4は、本発明の第4実施形態にかかるシステムを示す。
【0091】
図4の実施形態が図3の実施形態と異なる点は、電子機器3のコントローラ8と電子回路3aの電源線11、12、および電力調整器SWを設けた加熱エレメント5の電気接続7が、電源ユニット4側では単一の電源線14からなる点である。電源装置2および電子機器3がコネクタを介して取外しができるように接続可能である場合、このような構成は、接点の数が特に少ないことから有利である。
【0092】
次に、これまでに説明した実施形態のうちの1つのシステムを参照して、本発明による方法の第1実施形態について説明する。
【0093】
本発明の第1実施形態にかかる方法では、下記のパラメータが使用される。
【0094】
Tlow=下側温度しきい値。実験に基づいて、かつ使用されるバッテリ電源ユニット4の種類に基づいて、選択される値。この下側温度しきい値は、電源ユニット4の温度をこれ以上にして、維持することが望まれる温度であり、この温度では電源ユニット4は満足のいく動作をとることができる。
【0095】
下側温度しきい値Tlowの値は、有利には、電源ユニット4の容量が電源ユニット4の最大公称容量の少なくとも5%であることを保証するものとして選択され、好ましくは、40%であることを保証するものとして選択される。
【0096】
Tlowの値はコントローラ8に格納され、電子機器3のユーザ・インタフェースを介して設定可能である。
【0097】
高分子電解質のリチウムイオン・バッテリを使用する場合、Tlowの値は、有利には、−4℃に選択される。
【0098】
本発明の第1実施形態にかかる方法では、コントローラ8に格納され、電子機器3のインタフェースが存在する場合にはこれを介して設定可能な下記のパラメータを使用することも可能である。
【0099】
ΔTmax=最大温度差。実験を基礎として、かつ使用される電源ユニット4および加熱エレメント5の種類に基づいて、選択される。この温度差を超えると、電源ユニット4は下側温度しきい値Tlowまでも届かず、十分に自己発熱することができない、と見なされる。または電源ユニット4は自己発熱して同時に電子機器3が妥当な時間にわたって作動するための十分な残留電荷を保つことができない、と見なされる。例えば、高分子電解質のリチウムイオン・バッテリの場合、ΔTmax=15℃である。
【0100】
図5を参照して、任意のブロック101において、コントローラ8は、補助の通信ライン13から入ってくる信号によって、システムがアクティブであるか否かをチェックする。
【0101】
アクティブなシステムとは、システムが、例えば自転車が長期にわたって静止している場合にシステムが至る状態であるスタンバイ状態ではないことを意味する。ボタン、センサ、電源ユニットの再充電などの起動後に、最小限の時間にわたって、システムはアクティブになる。これに対して、自転車が動いているか制御されている時、または自転車の電子部品が使用されている場合はいつでも、システムは常にアクティブである。最後に、周期的なウェイクアップが発生している場合、システムは所定の期間にわたってアクティブである。このように周期的なウェイクアップが発生している場合、システムは、たとえスタンバイ状態であっても、考慮する必要のある緩やかな大きさの変化をチェックすることが必要とされている。
【0102】
システムがアクティブであるか否かのチェック(ブロック101)の結果が肯定(yes)の場合、コントローラ8は、ブロック102において、温度センサ6によってバッテリ4の温度値Tbattを検出する。
【0103】
検出されたTbatt値が予め選択された下側温度しきい値Tlow以下であれば、すなわち、Tbatt≦Tlowであれば、コントローラ8は、ブロック103において、データ接続9を介して加熱エレメント5を作動させる。すなわち、ON/OFFスイッチ型の電力調整器SWを閉にする。これにより、電気エネルギは、電源ユニット4から加熱エレメント5に供給される。したがって、電源ユニット4は自己発熱する。
【0104】
これに対して、ブロック102のチェックの結果が否(no)であれば、すなわち、検出された値Tbattが予め選択された下側温度しきい値Tlowよりも高く、T>Tlowであれば、工程はブロック104に進み、ここで、制御論理ユニット8は加熱エレメント5を作動停止する。すなわち、電力調整器であるON/OFFスイッチSWを開にする。
【0105】
したがって、本実施形態に従って実行される自己発熱は、あるしきい値Tlowで実行される温度チェックをもたらす。
【0106】
なお、システムがアクティブであるか否かに関する任意のチェック101は、後続のチェックを可能にし、とりわけ、バッテリ4から電子機器3にエネルギを供給する必要がなく、よってバッテリ4を加熱する必要もない場合に、電源ユニット4の自己発熱がスタンバイ状態のシステムでて実行されることを防止できる。
【0107】
本発明の第2実施形態にかかる方法では、パラメータTlowおよびおそらくは先に述べたパラメータΔTの他に、下記のパラメータが使用される。
【0108】
Thigh=上側温度しきい値。実験を基礎として、かつ使用されるバッテリ電源ユニット4の種類およびヒータ5の電力に基づいて、選択される値。この上側温度しきい値は、この温度以上においては、電源ユニット4のパフォーマンスとその消費電荷量との間で良好な妥協点を得るために、電源ユニット4の加熱を中断することが望まれる温度である。
【0109】
上側温度しきい値Thighの値は、有利には、電源ユニット4の容量が最大公称容量の約75%であることを依然として保証するように選択される。
【0110】
高分子電解質のリチウムイオン・バッテリを使用する場合、Thighの値は、有利には、−4℃に選択される。Thighの値はコントローラ8に格納され、電子機器3のユーザ・インタフェースを介して設定可能であってもよい。
【0111】
図6を参照して、任意のブロック201において、制御論理ユニット8は、先に明記したように、システムがアクティブであるか否かをチェックする。
【0112】
結果が是(yes)である場合、ブロック202において、コントローラ8は、温度センサ6によって電源ユニット4の温度値Tbattを検出する。
【0113】
検出された値Tbattが下側温度しきい値Tlow以下、すなわち、Tbatt≦Tlowであれば、コントローラ8は、ブロック203において、加熱エレメント5を作動させる。すなわち、ON/OFFスイッチ型の電力調整器SWを、データ接続9を介して閉にする。これにより、電気エネルギは電源ユニット4から加熱エレメント5に供給される。したがって、電源ユニット4は自己発熱する。
【0114】
なお、これと同時に、電源ユニット4は、任意のブロック90によって示されるように、電子機器3に電力を供給することができる。
【0115】
また、電源ユニット4は、電源ユニット4自体が下側温度しきい値Tlowよりも低い温度Tbattにある間は、電子機器3に電力を供給(ブロック90)しないようにしてもよい。このようにして、非最適状態で動作している電源ユニット4の電気エネルギは、専ら自己発熱に向けられる。
【0116】
これに対して、ブロック202において検出された値Tbattが予め選択された下側温度しきい値Tlowよりも高ければ、すなわち、Tbatt>Tlowであれば、工程は204に進む。ここで、検出された温度値Tbattは上側温度しきい値Thighと比較される。検出された値Tbattが上側温度しきい値Thighよりも高ければ、すなわち、Tbatt>Thighであれば、工程はブロック205に進む。ここで、制御論理ユニット8は加熱エレメント5を作動停止にする。すなわち、電力調整器であるスイッチSWを開にする。
【0117】
したがって、本実施形態に従って実行される自己発熱は、2つのしきい値ThighおよびTlowで実行される温度制御をもたらす。
【0118】
2つのしきい値ThighおよびTlowで実行される温度制御は、電力調整器であるスイッチSWの作動および作動停止の回数を減らすことができ、特に、このような電力調整器が例えばMOSFETのようなソリッド・ステート・デバイスである場合にスイッチング損失を減らすことから、しきい値Tlowのみによる制御よりも好ましいことがある。さらに、2つのしきい値ThighおよびTlowで実行されるこの制御は、システムが不安定になる可能性を回避できる。すなわち、図5による下側温度しきい値Tlowのみで実行される制御では、スイッチSWの連続的な切換を伴って、電源ユニット4の温度Tbattが温度Tlowの周辺で急激に変化して、システムが不安定になることがあるからである。
【0119】
本発明の第3実施形態にかかる方法では、最大温度差である先述のパラメータΔTmaxに加えて、下側温度しきい値は、ここではTrefと表示されて使用される。
【0120】
図7を参照して、任意のブロック301において、制御論理ユニット8は、先に明記したように、システムがアクティブであるか否かをチェックする。
【0121】
結果が是(yes)である場合、ブロック302において、制御ユニット8は、温度センサ6によって電源ユニット4の温度値Tbattを検出する。検出された値Tbattが下側温度しきい値すなわち基準温度Trefよりも高ければ、加熱エレメント5は作動停止される(ブロック303)。検出された値Tbattが基準温度Tref以下であれば、電源ユニット4の温度Tbattと下側温度しきい値Tlowとの差が先述の最大温度差ΔTmaxよりも大きくない否か、というさらなるチェックが行われる(ブロック305)。言い替えれば、ブロック305において、Tbatt≧Tlow−ΔTmaxであるか否かがチェックされ、電源ユニット4の自己発熱は、電源ユニット4の電荷を浪費しないように、結果が是(yes)である場合にのみ実行される。
【0122】
ブロック302のチェックおよびさらなるブロック305でのチェックの結果が是(yes)であれば、ブロック304において、制御ユニット8は、データ接続9を介して、図8に示される閉ループ・フィードバック制御システムで取得される信号によって加熱エレメント5を作動する。
【0123】
加熱エレメント5のための駆動信号は、P.I.D.調整器ブロックによって適切にフィルタリングされたエラー信号の処理から取得される。
【0124】
より詳細には、電源ユニット4の温度センサ6によって検出される温度値Tは、乗算器26において、例えばユニタリである利得値GAINによって乗算される。乗算器の出力信号GAIN*Tは、減算器ノード27において値Trefから減算される。減算器ノード27の出力は、エラー信号ε=Tref−GAIN*Tで表される。
【0125】
エラー信号εは、比例P、微分Dおよび/または積分Iの伝達関数を有するP.I.D.型調整器ブロック28に送られる。
【0126】
調整器ブロック28の出力信号S(ε)が電力調整器SWを駆動するために使用される。これにより、加熱エレメント5の両端の電圧V(t)または加熱エレメント5を流れる電流I(t)が所望される熱電力を供給するように所望の推移を有する。
【0127】
例えば、駆動信号S(ε)は加熱エレメント5の両端の電圧値V(t)または加熱エレメント5を流れる電流値I(t)を発生させ、加熱エレメント5が抵抗型である場合、図9の特性曲線が示すように、この電圧値V(t)または電流値I(t)はエラー信号εの増加に伴って増加する。
【0128】
さらなる例として、駆動信号S(ε)は加熱エレメント5の両端の電圧値V(t)または加熱エレメント5を流れる電流値I(t)を発生させ、加熱エレメント5が抵抗型である場合、図10に示すように、この電圧値V(t)または電流値I(t)のパルス幅を変調された信号(PWM信号)のデューティサイクルはエラー信号εの増加に伴って増加する。
【0129】
電源ユニット4の自己発熱と同時に電子機器3に電力を供給する任意のブロック90(図6)が、本発明の第1および第3実施形態にかかる方法にも設けられてもよいことは明らかであろう。なお、この電源ユニット4の自己発熱は、電源ユニット4の温度Tbattが下側温度しきい値すなわち基準温度Tlow、Tref以下であるか否かのチェックの後にチェックの結果次第で実行されるものである。
【0130】
同様に、本発明の第1および第3実施形態にかかる方法にも、電源ユニット4の温度Tbattと下側温度しきい値Tlowとの差が最大温度差ΔTmax以下であるか否かをチェックするブロック305が設けられてもよい。
【0131】
図11に、本発明の第5実施形態にかかるシステム1を示す。この実施形態が第1実施形態と異なる点は、電源装置2がさらに電源ユニット4の残留電荷Chの検出するセンサ15と、気温Tatmを検出するセンサ17とを備える点である。センサ15の出力は線16を介してコントローラ8に供給され、センサ17の出力は線18を介してコントローラ8に供給される。
【0132】
電荷センサ15は、好ましくは、電源ユニット4によって供給された電流の経時的な積分計算に基づいて残留電荷を求める。
【0133】
気温Tatmのセンサ17は、電源ユニット4の温度センサ5と同一タイプであってもよい。気温Tatmのセンサ17は、好ましくは、電源ユニット4のケーシング2内に収納され、好ましくは、加熱エレメント5から離れた場所に収納される。代わりに、気温Tatmのセンサ17は、電源ユニット4のケーシング2の外側で自転車の任意の位置に配置されてもよい。
【0134】
さらに代わりに、気温Tatmのセンサ17は省略されてもよい。実際に、システム1が使用され、詳細には電源装置2が自転車に取り付けられていることから、電源ユニット4がONにされた時点の気温Tatmと電源ユニット4の温度Tbattとはほとんど差がない。いずれにしても、気温Tatmで実行されるチェックは、後に論じるように、センサ6によって検出される、電源ユニット4の初期温度Tbattで代わりに実行されてもよい。
【0135】
図11のシステムの動作については、図15〜図20を参照して後述する。
【0136】
図12に、本発明の第6実施形態にかかるシステムを示す。図12の実施形態が図11の実施形態と異なる点は、コントローラ8と、気温Tatmのセンサであるセンサ17が存在する場合はそのセンサ17とが、電子機器3の一部である点である。この場合、図2〜図4の実施形態と同様に、コントローラ8は、有利には、電子機器3の電子回路が配置されるプリント回路に搭載される電子回路からなってもよく、または、電子機器3のマイクロプロセッサに組み込まれてもよい。
【0137】
コントローラ8を電子機器3の一部とすることにより、充電型の相互に交換可能な取外しできる電源装置2が2つ以上想定される場合、電源装置2はより廉価で有利な構成となる。電力調整器SWは電源装置2の一部としておくことにより、電力調整器SWが例えばMOSFET型のようなソリッド・ステート・デバイスである場合、その作動と作動停止の間にスイッチング損失によって生じる加熱を電力調整器SWが受けることから、特に有利である。このような損失によって生じる熱は、加熱エレメント5によって生成される熱に加えて、電源ユニット4を加熱するのに有利に活用される。
【0138】
さらに、相互に交換可能な取外しできる電源装置2が2つ以上提供される場合に、気温Tatmのセンサ17を電子機器3に設けることで、センサ17は1つで足りる。
【0139】
しかしながら、図13に示す本発明の第7実施形態にかかるシステムが示すように、電力調整器SWも電子機器3の一部とすることが可能である。図13の実施形態は、この点を除けば、図12の実施形態と共通する。
【0140】
図14に、本発明の第8実施形態にかかるシステムを示す。
【0141】
図14の実施形態が図13の実施形態と異なる点は、電子機器3のコントローラ8と電子回路3aの電源線11および12、および電力調整器SWを設けた加熱エレメント5の電気接続7が、電源ユニット4側では単一の電源線14からなる点である。電源装置2および電子機器3がコネクタCN対を介して取外しができるように接続可能である場合、このような構成は、接点の数が特に少ないことから有利である。
【0142】
図示されていないが、図11〜図14の実施形態において、代わりに、電荷センサ15は電子機器3の一部であってもよい。詳細には相互に交換できる取外し可能な電源装置2が2つ以上である場合、たとえこの場合は供給電流を追跡し続けることができないために、瞬間的な電荷検出を実行せざるを得なくなるとしても、電荷センサ15は電子機器3の一部である。
【0143】
図11〜図14の実施形態のうちの1つにおけるシステムによって実行され得る本発明による方法の第4実施形態では、先に定義した下側温度しきい値Tlowおよび最大温度差ΔTmaxパラメータに加えて下記のパラメータが使用される。これらパラメータは、コントローラ8に格納され、電子機器3のインタフェースが存在する場合にはこれを介して設定可能である。
【0144】
Chmin=バッテリの最小電荷値。実験に基づいて、かつ使用される電源ユニット4の種類に基づいて選択され、臨界動作大気条件、すなわち、ΔTがΔTmaxに等しいときに、十分な時間にわたって、例えば少なくとも3時間にわたってシステムの加熱および容認できるパフォーマンスを保証する。例えば、Chminは電源ユニット4の最大電荷に対する比率として表され、好ましくは、電源ユニット4の最大電荷の75%に等しい。
【0145】
また、コントローラ8によって計算される下記の変数も使用される。
【0146】
ΔT=下側温度しきい値Tlowと温度センサ15によって検出される気温Tatmの値との温度差。ΔT=Tlow−Tatm。
【0147】
図15を参照して、動作ブロック401において、制御論理ユニットすなわちコントローラ8は、先に述べた第1実施形態にかかる方法のブロック101と同様に、システムがアクティブであるか否かをチェックする。
【0148】
ブロック401においてシステムがアクティブであれば、検出された値Tbattが下側温度しきい値TlowすなわちTref以下であるか否かがチェックされる任意のブロック405が設けられる。アクティブでない場合は、電源ユニット4を加熱する必要がないことから、この後続チェックは省かれる。
【0149】
システムがアクティブであり、かつブロック405が存在する場合にそのチェックの結果が是(yes)であれば、工程はブロック402に進み、ここで、値ΔTと値Δtmaxとの比較が実行される。ΔTの値がΔTmaxよりも大きければ、システムおよび詳細には電源ユニット4は十分に自己発熱できないもの見なされ、よってサイクルは前進しない。
【0150】
反対に、ΔTがΔTmax以下であれば、工程はブロック403に移り、ここで、電荷センサ15によって検出された残留電荷値Chと最小電荷値Chminとの比較が実行される。残留電荷値ChがChminよりも小さければ、システムおよび詳細には電源ユニット4は十分に自己発熱できないものと見なされ、よってサイクルは前進しない。
【0151】
これに対して、残留電荷値ChがChmin以上であれば、工程はブロック404に進み、ここで、電源ユニット4の温度調整が実行される。ブロック404において実行される電源ユニット4の温度調整は、例えば、図5〜図8を参照して説明した方法のうちの1つに従って実行されてもよい。このような方法のうちの1つを使用する場合、図5、6および7のブロック101、201および301におけるシステムがアクティブであるか否かのチェックは、ブロック401において事前に実行されることから、それぞれ省略されてもよい。
【0152】
図11〜図14の実施形態のうちの1つにおけるシステムによって実行され得る本発明による方法の第5実施形態では、先に定義した下側温度しきい値Tlowパラメータおよび温度差ΔT変数が使用される。パラメータ関数が使用され、コントローラ8に格納され、電子機器3のインタフェースが存在する場合にはこれを介して設定可能である。
【0153】
Chmin(ΔT)=バッテリの最小残留電荷値。実験に基づいて、かつ使用される電源ユニット4の種類に基づいて選択され、下側温度しきい値Tlowと温度センサ17によって検出された気温値Tatmとの温度差ΔT(ΔT=Tlow−Tatm)の関数として、システムの加熱および容認できるパフォーマンスを保証する。
【0154】
図17は、パラメータ関数Chmin(ΔT)の一好適な推移を示し、この推移は下記のゾーンを包含する。
− 0℃から例えば15℃である最大値ΔTmaxまでに含まれる温度差値ΔTに対して、電源ユニット4の最大電荷の例えば30%である予備の電荷値Chrisを起点として最終値100%すなわち電源ユニット4の最大電荷に至るまでの線形的に推移するゾーンA。予備の電荷値Chrisは、この電荷値を下回ると電源ユニットの自己発熱はいずれにしても容認されない最小電荷しきい値を設定するように選択されるが、この値はゼロであってもよい。
− 最大温度差ΔTmaxよりも大きい温度差値ΔTに対して、Chmin(ΔT)の推移が一定であって電源ユニット4の最大電荷100%に等しいゾーンB。
【0155】
さらに代わりに、予備の電荷値Chrisは、例えば電源ユニット4の再充電よりも前の自転車の予測される使用時間に基づいて、ユーザによって電子機器3のインタフェースを介して設定可能なパラメータであってもよい。
【0156】
なお、先に定義したパラメータTlowおよびパラメータΔTmaxも暗黙的に使用される。実際に、パラメータTlowはパラメータΔTの計算に使用され、パラメータΔTmaxはパラメータ関数Chmin(ΔT)に使用される。代わりに、このようなパラメータが明示的に使用されてもよく、ユーザによって、例えば電子機器3のインタフェースを介して設定可能である。この場合、関数Chmin(ΔT)は、Chmin(ΔT)=Chris+(100%−Chris)*ΔT/ΔTmaxのように計算される。
【0157】
図16を参照して、任意のブロック501において、制御論理ユニット8は、先に述べた第1実施形態にかかる方法のブロック101と同様に、システムがアクティブであるか否かをチェックする。
【0158】
ブロック501においてシステムがアクティブであれば、検出された値Tbattが下側温度しきい値TlowすなわちTref以下であるか否かがチェックされる任意のブロック505が設けられる。アクティブでない場合は、電源ユニット4を加熱する必要がないことから、この後続チェックは省かれる。
【0159】
システムがアクティブであり、かつブロック505が存在する場合にそのチェックの結果が是(yes)であれば、工程はブロック502に進み、ここで、ΔTの値が0以上であるか否かがチェックされる。
【0160】
結果が否(no)の場合、気温Tatmが予め選択された下側温度しきい値Tlowよりも高いことから、システム1は自己発熱する必要がない。
【0161】
ブロック502のチェックの結果が是(yes)である場合、すなわち、ΔTが0以上であれば、工程はブロック503に進み、ここで、電荷センサ15によって検出された残留電荷値Chと、温度差値ΔTに依存する最小電荷値Chmin(ΔT)との比較が実行される。残留電荷値Chが温度差値ΔTに依存する最小電荷値Chmin(ΔT)よりも小さければ、システムおよび詳細には電源ユニット4は自己発熱できないものと見なされ、よってサイクルは前進しない。
【0162】
これに対して、残留電荷値Chが温度差値ΔTに依存する最小電荷値Chmin(ΔT)以上であれば、工程はブロック504に進み、ここで、電源ユニット4の温度調整が実行される。ブロック504において実行される電源ユニット4の温度調整は、例えば、図5〜図8を参照して説明した方法のうちの1つに従って実行されてもよい。このような方法のうちの1つを使用する場合、図5、6および7のブロック101、201および301におけるシステムがアクティブであるか否かのチェックは、ブロック501において事前に実行されることから、それぞれ省略されてもよい。
【0163】
したがって、ブロック504の電源ユニット4の温度調整は、システムが図17のハッチング領域にある場合に実行される。
【0164】
図11〜図14の実施形態のうちの1つにおけるシステムによって実行され得る本発明による第6実施形態にかかる方法では、先に定義したパラメータΔTおよびパラメータ関数Chmin(ΔT)が使用される。
【0165】
上述の第5実施形態にかかる方法とは異なり、図19に示すパラメータ関数Chmin(ΔT)の好適な推移は、ゾーンA,Bに加えて、さらに、下記のゾーンを包含する。
− 0℃未満の温度差値ΔTに対して、Chmin(ΔT)の推移が一定であって、電源ユニット4の最大電荷の例えば30%である予備の電荷値Chrisに等しいゾーンC。
【0166】
この場合もやはり、予備の電荷値Chrisは、例えば電源ユニット4の再充電よりも前の自転車の予測される使用時間に基づいて、ユーザによって電子機器3のインタフェースを介して設定可能なパラメータであってもよい。
【0167】
なお、この場合も、パラメータTlowおよびパラメータΔTmaxは、暗黙的に使用される。実際に、パラメータTlowはパラメータΔTの計算に使用され、パラメータΔTmaxはパラメータ関数Chmin(ΔT)に使用される。代わりに、このようなパラメータが明示的に使用されてもよく、ユーザによって、例えば電子機器3のインタフェースを介して設定可能である。この場合、関数Chmin(ΔT)のゾーンAは、Chmin(ΔT)=Chris+(100%−Chris)*ΔT/ΔTmaxのように計算される。
【0168】
図18を参照して、任意のブロック601において、制御論理ユニット8は、先に述べた第1実施形態にかかる方法のブロック101と同様に、システムがアクティブであるか否かをチェックする。
【0169】
ブロック601においてシステムがアクティブであれば、検出された値Tbattが下側温度しきい値TlowすなわちTref以下であるか否かがチェックされる任意のブロック604が設けられる。アクティブでない場合は、電源ユニット4を加熱する必要がないことから、この後続チェックは省かれる。
【0170】
システムがアクティブであり、かつブロック604が存在する場合にそのチェックの結果が是(yes)であれば、工程はブロック602に進み、ここで、残留電荷値Chが温度差値ΔTに依存する最小残留電荷Chmin(ΔT)以上であるか否かがチェックされる。
【0171】
残留電荷値Chが温度差値ΔTに依存する最小電荷値Chmin(ΔT)よりも小さければ、システムおよび詳細には電源ユニット4は十分に自己発熱できないものと見なされ、よってサイクルは前進しない。
【0172】
これに対して、残留電荷値Chが温度差値ΔTに依存する最小電荷値Chmin(ΔT)以上であれば、工程はブロック603に進み、ここで、電源ユニット4の温度調整が実行される。ブロック603において実行される電源ユニット4の温度調整は、例えば、図5〜図8を参照して説明した方法のうちの1つに従って実行されてもよい。このような方法のうちの1つを使用する場合、図5、6および7のブロック101、201および301におけるシステムがアクティブであるか否かのチェックは、ブロック601において事前に実行されることから、それぞれ省略されてもよい。
【0173】
したがって、ブロック603の電源ユニット4の温度調整は、システムが図19のハッチング領域にある場合に実行される。
【0174】
図11〜図14の実施形態のうちの1つにおけるシステムによって実行され得る本発明による第7実施形態にかかる方法では、先に定義した下側温度しきい値Tlowパラメータおよび温度差ΔT変数が使用される。パラメータ関数も使用され、コントローラ8に格納され、電子機器3のインタフェースが存在する場合にはそれを介して設定可能である。
【0175】
ΔTmax(Ch)=最大温度差値。実験に基づいて、かつ使用される電源ユニット4の種類に基づいて選択され、この温度差において、システムの加熱および容認できるパフォーマンスは、電荷センサ15によって検出された残留電荷Chの関数として保証される。
【0176】
図21に示すパラメータ関数ΔTmax(Ch)の一好適な推移は、図19の実施形態のパラメータ関数Chmin(ΔT)の推移をほぼ反転したものである。電源ユニット4の最大電荷の例えば30%である予備の電荷値Chrisから最終値100%すなわち電源ユニット4の最大電荷までに含まれる残留電荷値に対して、0℃から例えば15℃である最大値ΔTmaxまで線形的に増加する。予備の電荷値Chrisは、この電荷値を下回ると電源ユニットの自己発熱はいずれにしても容認されない最小電荷しきい値を設定するように選択されるが、このような値はゼロであってもよい。
【0177】
当然ながら、最終値100%すなわち電源ユニット4の最大電荷を超えると、パラメータ関数ΔTmax(Ch)は定義されない。予備の電荷Chrisよりも小さい場合、パラメータ関数ΔTmax(Ch)は無限大に設定される。
【0178】
この場合もやはり、予備の電荷値Chrisは、例えば電源ユニット4の再充電よりも前も自転車の予測される使用時間に基づいて、ユーザによって電子機器3のインタフェースを介して設定可能なパラメータであってもよい。
【0179】
図20を参照して、任意のブロック701において、制御論理ユニット8は、先に述べた第1実施形態にかかる方法のブロック101と同様に、システムがアクティブであるか否かをチェックする。
【0180】
ブロック701においてシステムがアクティブであれば、検出された値Tbattが下側温度しきい値TlowすなわちTref以下であるか否かがチェックされる任意のブロック704が設けられる。アクティブでない場合は、電源ユニット4を加熱する必要がないことから、この後続チェックは省かれる。
【0181】
システムがアクティブであり、かつブロック704が存在する場合にそのチェックの結果が是(yes)であれば、工程はブロック702に進み、ここで、ΔTの値が電荷センサ15によって検出された残留電荷値Chに依存する最大温度差値以下であるか否か、すなわち、ΔT≦ΔTmax(Ch)であるか否かがチェックされる。
【0182】
結果が否(no)である場合、システムおよび詳細には電源ユニット4は十分に自己発熱できないものと見なされ、よってサイクルは前進しない。
【0183】
結果が是(yes)である場合、工程はブロック703に進み、ここで、電源ユニット4の温度調整が実行される。ブロック703において実行される電源ユニット4の温度調整は、例えば、図5〜図8を参照して説明した方法のうちの1つに従って実行されてもよい。このような方法のうちの1つを使用する場合、図5、6および7のブロック101、201および301におけるシステムがアクティブであるか否かのチェックは、ブロック701において事前に実行されることから、それぞれ省略されてもよい。
【0184】
したがって、ブロック703における電源ユニット4の温度調整は、システムが図21のハッチング領域にある場合に実行される。
【0185】
これまでに述べたシステムの様々な実施形態では、電源ユニット4が複数のバッテリを備える場合、個々の温度を検出するために複数の温度センサ6が設けられてもよい。この場合、これまでに述べた本発明の方法の様々な実施形態は、複数の加熱エレメント5が設けられていれば個々の温度について実装されてもよく、または、電源ユニット4を構成する複数のバッテリの平均温度または最低温度について実装されてもよい。
【0186】
本発明の方法の第4、第5、第6および第7実施形態において、センサ6によって検出される電源ユニットの温度値Tbattを、センサ17によって検出される気温値Tatmの代わりに使用してよい。したがって、センサ17は省略されてもよい。この場合、このような単一の温度値でチェックが実行される時点、すなわち、ブロック404、504、603および703における電源ユニットの自己発熱が実行される前に、電源ユニット4はほぼ周囲温度であることが想定される。スタンバイ時間が比較的短い場合、電源ユニット4はまだ気温にまで冷却されていない可能性があるため、この想定通りではないこともある。いずれにしても、最も関連のあるのは電源ユニット4自体の温度であり、いずれの場合も、本発明方法による気温Tatmについての様々なチェックの実行は、せいぜい、電源ユニット4の無駄な自己発熱の実行を意味するものでしかない。
【0187】
本発明の方法の第6実施形態のブロック603における電源ユニット4の温度調整に関する限り、センサ6によって検出される電源ユニット4の温度Tbattが直接、センサ17によって検出される気温Tatmの代わりに使用される場合には、負の温度差値ΔTのゾーンにおける調整は、図5〜図8の実施形態のブロック102、202および302に従う調整中に実行されるチェックによって、事実上防止される。
【0188】
当業者には、上述の種々の実施形態に対して、請求の範囲に限定されている本発明の保護範囲を逸脱することなく、幾つかの変更、追加、削除および置換を実行し得ることが理解されるであろう。具体的には、説明した様々な実施形態において実行される様々なチェックの順序および頻度は、指示される内容に応じて変更されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるシステムを示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態にかかるシステムを示すブロック図である。
【図3】本発明の第3実施形態にかかるシステムを示すブロック図である。
【図4】本発明の第4実施形態にかかるシステムを示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる方法の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる方法の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる方法の処理を示すフローチャートである。
【図8】図7の調整処理をより詳細に示すブロック図である。
【図9】本発明によるヒータの電源信号の好適な一実施形態を示す図である。
【図10】本発明によるヒータの電源信号の好適な別の実施形態を示す図である。
【図11】本発明の第5実施形態にかかるシステムを示すブロック図である。
【図12】本発明の第6実施形態にかかるシステムを示すブロック図である。
【図13】本発明の第7実施形態にかかるシステムを示すブロック図である。
【図14】本発明の第8実施形態にかかるシステムを示すブロック図である。
【図15】本発明の第4実施形態にかかる方法の処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第5実施形態にかかる方法の処理を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第5実施形態にかかる方法において使用される関数を示す図である。
【図18】本発明の第6実施形態にかかる方法の処理を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第6実施形態にかかる方法において使用される関数を示す図である。
【図20】本発明の第7実施形態にかかる方法の処理を示すフローチャートである。
【図21】本発明の第7実施形態にかかる方法において使用される関数を示す図である。
【図22】バッテリ電源ユニットの特性曲線を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ電源ユニットから自転車の電子機器(3)に電気エネルギを供給する方法であって、
前記電源ユニット(4)の温度を示す少なくとも1つの温度(Tbatt,Tatm)を検出する(6,15)工程と、
前記電源ユニット(4)の動作状態をチェックする工程であって、前記検出される温度(Tbatt,Tatm)が下側温度しきい値(Tlow,Tref)以下であるか否かをチェックする(102,202,302,405,505,604,704)工程と、
前記チェックする工程が肯定結果を有する場合は、
前記電源ユニット(4)に熱的に結合された少なくとも1つの加熱エレメント(5)に前記電源ユニット(4)から電気エネルギを供給する(7,SW)工程(90)とを備えた電気エネルギ供給方法。
【請求項2】
請求項1において、前記下側温度しきい値(Tlow)は前記電源ユニット(4)の最大公称容量の少なくとも5%の電源ユニット(4)容量を保証するように選択される電気エネルギ供給方法。
【請求項3】
請求項2において、前記下側温度しきい値(Tlow)は前記電源ユニット(4)の最大公称容量の40%の電源ユニット(4)容量を保証するように選択される電気エネルギ供給方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項において、前記下側温度しきい値(Tlow)は−4℃である電気エネルギ供給方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項において、前記チェックする工程は、さらに、前記検出される温度(Tbatt,Tatm)が上側温度しきい値(Thigh)よりも低いか否かをチェックする(204)電気エネルギ供給方法。
【請求項6】
請求項5において、前記上側温度しきい値(Thigh)は前記電源ユニット(4)の最大公称容量の約75%の電源ユニット(4)容量を保証するように選択される電気エネルギ供給方法。
【請求項7】
請求項5または6において、前記上側温度しきい値(Thigh)は4℃である電気エネルギ供給方法。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一項において、前記電源ユニット(4)から前記少なくとも1つの加熱エレメント(5)への電気エネルギは、前記下側温度しきい値(Tref)と、前記検出される温度(Tbatt)に比例する温度(GAIN*T)との差(ε)の関数として供給される(304)電気エネルギ供給方法。
【請求項9】
請求項8において、前記関数は比例、積分および/または微分型の関数である電気エネルギ供給方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項において、前記少なくとも1つの温度(Tbatt)を検出する工程は、前記バッテリ電源ユニット(4)の複数のバッテリのそれぞれについての温度を検出する電気エネルギ供給方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項において、前記チェックする工程は、前記下側温度しきい値(Tlow,Tref)と前記検出される温度(Tbatt,Tatm)との差(ΔT)が最大温度差(ΔTmax,ΔTmax(Ch))以下であるか否かをチェックする(305,402,502,702)電気エネルギ供給方法。
【請求項12】
請求項11において、前記最大温度差(ΔTmax)は一定値である電気エネルギ供給方法。
【請求項13】
請求項12において、前記最大温度差(ΔTmax)は15℃である電気エネルギ供給方法。
【請求項14】
請求項11において、前記最大温度差(ΔTmax(Ch))は前記電源ユニット(4)の残留電荷(Ch)の非減少関数である電気エネルギ供給方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項において、さらに、
前記電源ユニット(4)の残留電荷(Ch)を検出する(15)工程を備え、
前記チェックする工程は、さらに、前記残留電荷が最小残留電荷(Chmin,Chris,Chmin(ΔT))よりも大きいか否かをチェックする(403,503,602)電気エネルギ供給方法。
【請求項16】
請求項15において、前記最小残留電荷(Chmin)は前記電源ユニット(4)の最大電荷の一定の比率値である電気エネルギ供給方法。
【請求項17】
請求項16において、前記最小残留電荷(Chmin)は前記電源ユニット(4)の最大電荷の75%である電気エネルギ供給方法。
【請求項18】
請求項15において、前記最小残留電荷(Chmin(ΔT))は前記温度差(ΔT)の非減少関数である電気エネルギ供給方法。
【請求項19】
請求項18において、前記最小残留電荷(Chmin(ΔT))は、0℃から最大温度差(ΔTmax,ΔTmax(Ch))までの間に含まれる温度差範囲内では前記温度差(ΔT)の増加関数であり、温度差(ΔT)が0℃のときは残留予備電荷(Chris)に等しく、温度差(ΔT)が前記最大温度差(ΔTmax,ΔTmax(Ch))以上では前記電源ユニット(4)の最大電荷に等しい電気エネルギ供給方法。
【請求項20】
請求項19において、0℃から最大温度差(ΔTmax,ΔTmax(Ch))までの間の前記温度差範囲(ΔT)における温度差(ΔT)の前記増加関数は線形である電気エネルギ供給方法。
【請求項21】
請求項19または20において、前記最小残留電荷(Chmin(ΔT))は、0℃未満の温度差(ΔT)では残留予備電荷(Chris)に等しい電気エネルギ供給方法。
【請求項22】
請求項19から21のいずれか一項において、前記残留予備電荷(Chris)は前記電源ユニット(4)の最大電荷の30%である電気エネルギ供給方法。
【請求項23】
請求項11から22のいずれか一項において、前記検出される温度は前記気温(Tatm)である電気エネルギ供給方法。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか一項において、前記チェックする工程は、さらに、前記電子機器(3)がアクティブであるか否かをチェックする(101,201,301,401,501,601,701)電気エネルギ供給方法。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか一項において、前記電源ユニット(4)からのエネルギの一部は、前記バッテリ電源ユニット(4)の複数のバッテリのそれぞれに熱的に結合された複数の加熱エレメント(5)に供給される電気エネルギ供給方法。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項において、さらに、前記電子機器(3)に電気エネルギを供給する工程(90)を備えた電気エネルギ供給方法。
【請求項27】
請求項26において、前記電気エネルギを前記電子機器(3)に供給する工程(90)は、前記検出される温度(Tbatt)が前記下側温度しきい値(Tlow)よりも高い場合に実行される電気エネルギ供給方法。
【請求項28】
自転車の電子機器(3)用の電源システムであって、
バッテリ電源ユニット(4)と、
前記電源ユニット(4)の温度を表示する少なくとも1つの温度(Tbatt,Tatm)センサ(6,15)と、
前記電源ユニット(4)に熱的に接続される少なくとも1つの加熱エレメント(5)と、
前記電源ユニット(4)から前記加熱エレメント(5)への選択的に作動可能な電気接続(7,SW)と、
前記システム(1)の動作状態をチェックして、前記システムがアクティブであれば、前記電気接続(7,SW)を作動させて電気エネルギを前記電源ユニット(4)から前記加熱エレメント(5)に供給させるコントローラ(8)とを備え、
前記動作状態のチェックは、前記検出される温度(Tbatt,Tatm)が下側温度しきい値(Tlow,Tref)以下であるか否かを含む電源システム。
【請求項29】
請求項28において、前記電源ユニット(4)から前記自転車の電子機器(3)への電気接続(12)を備えるシステム。
【請求項30】
請求項28または29において、さらに、前記自転車の電子機器(3)を備えたシステム。
【請求項31】
請求項28から30のいずれか一項において、前記動作状態のチェックは、さらに、前記検出される温度(Tbatt,Tatm)が上側温度しきい値(Thigh)よりも低いか否かを含むシステム。
【請求項32】
請求項28から31のいずれか一項において、前記コントローラ(8)は前記電気接続部(7,SW)を、継電器および固体素子よりなるグループから選択される電力調整器(SW)を介して作動させるシステム。
【請求項33】
請求項32において、前記加熱エレメント(5)は抵抗型であり、前記加熱コントローラ(8)は、前記少なくとも1つの温度センサ(6)の出力信号(Tbatt)を乗算する乗算器(26)と、前記下側温度しきい値(Tref)から前記乗算器の出力(GAIN*T)を減算してエラー信号(ε)を取得する減算器(27)と、前記エラー信号(ε)に作用して前記電力調整器(SW)の駆動信号(S(ε))を出力するP.I.D.型の電力調整器ブロック(28)とを備えるシステム。
【請求項34】
請求項33において、前記P.I.D.電力調整器ブロック(28)の出力における前記駆動信号(S(ε))は、前記加熱エレメント(5)の両端間の電圧値(V(t))または前記加熱エレメント(5)を流れる電流値(I(t))を発生させ、この電圧値(V(t))または電流値(I(t))は、前記エラー信号(ε)の増加に伴って増加するシステム。
【請求項35】
請求項33において、前記P.I.D.電力調整器ブロック(28)は、前記加熱エレメント(5)の両端間の変調電圧(V(t))または前記加熱エレメントを流れる変調電流(I(t))を発生させ、この変調電圧(V(t))または変調電流(I(t))のデューティサイクルは、前記エラー信号(ε)の増加に伴って増加するシステム。
【請求項36】
請求項28から35のいずれか一項において、前記少なくとも1つの温度センサ(6)は、前記電源ユニット(4)に熱的に結合される少なくとも1つの温度センサを備えるシステム。
【請求項37】
請求項36において、前記電源ユニット(4)は少なくとも2つのバッテリを備え、前記少なくとも1つの温度センサ(6)は各バッテリに熱的に接続されるシステム。
【請求項38】
請求項28から37のいずれか一項において、前記少なくとも1つの温度センサ(6)はサーミスタを備えるシステム。
【請求項39】
請求項28から38のいずれか一項において、前記動作状態のチェックは、さらに、前記下側温度しきい値(Tlow,Tref)と前記検出される温度(Tbatt,Tatm,6,17)との差(ΔT)が最大温度差(ΔTmax,ΔTmax(Ch))以下であるか否かを含むシステム。
【請求項40】
請求項28から39のいずれか一項において、さらに、残留電荷センサ(7)を備え、
前記動作状態のチェックは、さらに、前記残留電荷が最小残留電荷(Chmin,Chris,Chmin(ΔT))よりも大きいか否かを含むシステム。
【請求項41】
請求項39または40において、前記電源ユニット(4)の温度(Tbatt)を表示する前記少なくとも1つの温度センサは、前記温度差(ΔT)を評価するために使用される前記検出される温度を供給する気温(Tatm)センサ(17)を備えるシステム。
【請求項42】
請求項28から41のいずれか一項において、前記少なくとも1つの加熱エレメント(5)は、前記電源ユニット(4)に貼付される少なくとも1つの抵抗シートを備えるシステム。
【請求項43】
請求項28から42のいずれか一項において、前記電源ユニット(4)は少なくとも2つのバッテリを備え、少なくとも1つの加熱エレメント(5)が各バッテリに熱的に接続されるシステム。
【請求項44】
請求項28から43のいずれか一項において、前記システムの構成要素は、自転車のフレームに固定されることができる単一のケーシング(1)内に収納されるシステム。
【請求項45】
請求項28から43のいずれか一項において、前記電源ユニット(4)は第1のケーシング(2)内に収納され、前記電子機器(3)は第2のケーシング(3)内に収納され、前記第1および第2のケーシング(2,3)は取外し可能式な形態で機械的かつ電気的に接続可能であるシステム。
【請求項46】
請求項45において、前記コントローラ(8)は前記第1のケーシング(2)内に収納されるシステム。
【請求項47】
請求項45において、前記コントローラ(8)は前記第2のケーシング(3)内に収納されるシステム。
【請求項48】
請求項45において、前記電気接続(7)を選択的に作動させる電力調整器(SW)は前記第1のケーシング(2)内に収納されるシステム。
【請求項49】
請求項45において、前記電気接続(7)を選択的に作動させる電力調整器(SW)は前記第2のケーシング(3)内に収納されるシステム。
【請求項50】
請求項29において、前記電気接続(7)を選択的に作動させる電力調整器(SW)は前記第1のケーシング(2)内に収納され、前記選択的に作動可能な電気接続(7)は、前記電源ユニット(4)から前記電子機器(3)への間で電気接続(14)から分路されるシステム。
【請求項51】
請求項50において、前記電源ユニットの残留電荷センサ(15)は前記第1のケーシング(2)内に収納されるシステム。
【請求項52】
請求項50において、少なくとも1つの気温センサ(17)が前記第1のケーシング(1)内に収納されるシステム。
【請求項53】
請求項50において、少なくとも1つの気温センサ(17)が前記第2のケーシング(3)内に収納されるシステム。
【請求項54】
請求項28から53のいずれか一項において、前記バッテリ電源ユニット(4)は充電型であるシステム。
【請求項55】
自転車の電子機器(3)であって、
少なくとも1つの加熱エレメント(5)を備える電源ユニット(4)から電気エネルギを受け取るコネクタ(CN)と、
前記電源ユニット(4)の温度(Tbatt,Tatm)を表示する信号(6)を入力において受信して、前記検出される温度(Tbatt,Tatm)が下側温度しきい値(Tlow,Tref)以下であれば、前記電源ユニット(4)の電気エネルギの一部を加熱エレメント(5)に向けて切り換えるための信号を供給するコントローラ(8)とを備えた自転車の電子機器。
【請求項56】
請求項55において、さらに、
前記電気エネルギの一部の切り換えを調整する電力調整器(SW)であって、前記コントローラ(8)によって供給される前記信号によって駆動される電力調整器(SW)を備えた自転車の電子機器。
【請求項57】
請求項55または56において、さらに、
気温(Tatm)センサ(17)を備え、この出力は前記コントローラ(8)に供給される自転車の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−71740(P2008−71740A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−167836(P2007−167836)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(592072182)カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (94)
【氏名又は名称原語表記】CAMPAGNOLO SOCIETA A RESPONSABILITA LIMITATA
【Fターム(参考)】