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バナジウム酸ビスマス粒子及びその製造方法
説明

バナジウム酸ビスマス粒子及びその製造方法

本発明の対象は、化学式BiVO4の粒子を得るための方法であって、ビスマスの前駆体及びバナジウムの前駆体と、少なくとも1つの炭化水素鎖を含むサルフェート型またはホスホネート型の界面活性剤から選択される少なくとも1つの添加剤とを、50℃未満の温度にて反応させる、方法である。本発明の対象はまた、表面にブレンステッドサイトを含む化学式BiVO4の粒子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式BiVO4のバナジウム酸ビスマスで作られた光触媒粒子の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
バナジウム酸ビスマスBiVO4は、その光触媒特性が知られている。その特性が、可視光によって活性化されるという事実から、特に評価されている。可視光放射の作用下で、電子正孔対が形成され、それによって、酸化還元反応の触媒作用に寄与して、特に有機化合物の分解をもたらす。これによって、防汚性、汚染除去性、または殺菌性が得られる。
【0003】
ヤング等(Material Chemistry and Physics 114, 2009, 69-72頁)は、180℃〜220℃の温度におけるBiVO4粒子の水熱合成について記載している。これらの合成条件下で、界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を添加することによって、単斜晶系シーライト(scheelite)相における結晶化を改良することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このたび、本発明者は、水熱合成の条件には含まれない条件下の低温にて合成を行うことによって、有機化合物の分解に、より効果的なメカニズムをもたらす超酸特性を有する一次粒子を得ることが可能になることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
それゆえ、本発明の対象は、式BiVO4の粒子を得るための方法であって、ビスマスの前駆体及びバナジウムの前駆体と、少なくとも1つの炭化水素鎖を含むサルフェート型またはホスホネート型の界面活性剤から選択される少なくとも1つの添加剤とを、50℃未満の温度にて反応させる、方法である。
【0006】
本発明の対象はまた、表面にブレンステッドサイトを含む化学式BiVO4の粒子である。前記粒子は、特に本発明に係る方法によって得られ得る。
【0007】
得られる粒子の化学式は、厳密に定式化された式BiVO4に対して若干変わってもよい。特に、Bi/Vのモル比は概して0.96〜1.04の間で変化してもよい。また、酸素の化学量論も、本発明の範囲から逸脱することなく若干変わってもよい。
【0008】
前記反応は好ましくは、室温、特に15〜30℃、好ましくは20〜25℃で起こる。反応は好ましくは、大気圧で起こる。
【0009】
前記反応は好ましくは、水溶液中で起こり、毒性溶媒または環境に有害な溶媒の使用を避ける。
【0010】
単一のビスマス前駆体及び単一のバナジウム前駆体が好ましくは用いられる。これらの前駆体は好ましくは塩または酸化物である。
【0011】
少なくとも1つのビスマス前駆体が、硝酸ビスマスまたは塩化ビスマスから選択される。硝酸ビスマス五水和物が特に好ましい。少なくとも1つのバナジウム前駆体が、好ましくは、バナジウム酸アンモニウムまたはバナジウム酸ナトリウムから選択される。また、酸化バナジウムを前駆体として用いてもよい。
【0012】
好ましくは、サルフェート型またはホスホネート型の添加剤の炭化水素鎖は、6〜20個の炭素原子、特に10〜16個の炭素原子を含む直鎖状または分枝鎖状アルキル鎖である。十分に長い炭化水素鎖は、正方相から単斜相への変態を遅くさせることができる。添加剤の対イオンは、例えば、ナトリウムイオン(Na+)、リチウムイオン(Li+)、カリウムイオン(K+)、またはアンモニウムイオンであることができる。また、「サルフェート」または「ホスホネート」が共役酸をも意味する場合、それはプロトン(H+)であってもよい。ドデシル硫酸ナトリウム及びテトラデシルホスホン酸は、特に有利であることが分かった。
【0013】
本発明にしたがって用いられる非水熱条件下にて、添加剤は、粒子の表面に、ブレンステッド酸サイトを形成し得ることが分かった。これらのサイトの存在によって、粒子の表面に有機化合物を非常に強力に吸着させることができ、より効果的な分解メカニズムによって、これらの化合物をより迅速に分解させることができる。添加剤の存在によって、さらに、粒子の特定の形態を形成することができ、並びに、粒子の比表面積を顕著に増加させることができる。
【0014】
ビスマス前駆体及びバナジウム前駆体の相対比は、好ましくは、Bi/V原子比が0.9〜1.1、特に0.95〜1.05であるように、選択される。1に等しい比が好ましい。これらの条件は、他の明確な化合物の形成を避けながら、BiVO4相の形成を促進することができる。
【0015】
バナジウム及び/またはビスマスのモル濃度は好ましくは0.01〜0.5mol/L、特に0.05〜0.2mol/Lである。添加剤の濃度は好ましくは、0.005〜0.05mol/L、特に0.008〜0.02mol/Lである。反応の際のpHは概して酸性であり、典型的には2未満、あるいは1に近い。
【0016】
前記反応の継続時間は、数時間〜数日、典型的には2時間〜1週間で変わり得る。
【0017】
反応の最後にて、前記粒子は、公知の技法、例えば、遠心分離によって回収される。粒子は好ましくは洗浄される。
【0018】
ブレンステッドサイトの存在は、前記粒子をピリジンと接触させた後に、赤外分光法によって測定され得る。ブレンステッドサイトはプリジンのプロトン化をもたらし、次の波長:1640cm-1、1540cm-1、及び1490cm-1の領域におけるピークの存在を伴うだろう。
【0019】
これらのサイトの存在によって、有機化合物、特にピリジンの強い吸着がもたらされる。これの結果の1つとして、特に、化学吸着ピリジンの完全な脱着温度が150℃超であることである。この温度は、本明細書の以下に詳細に記載される実験プロトコルにしたがって、ピリジンと接触させた粒子試料を様々な温度にして、赤外線分光法によってピリジンの存在を評価することによって測定され得る。
【0020】
ブレンステッドサイトの存在はまた、粒子の最表面における過剰な濃度のビスマスをもたらす。この過剰な濃度は、特に、X線光電子分光法(XPS)によって測定される1.5超、特に1.7超のBi/V比をもたらす。
【0021】
粒子の平均直径は、好ましくは、500nm〜5μm、特に700nm〜2μmの間である。以下に立証されるように、添加剤の添加は、マイクロメートルサイズの粒子にもかかわらず、非常に高い比表面積を得ることを可能にする。それゆえ、肺に吸入されやすいことに関連する毒物学的問題が存在し得るナノメートル粒子を用いる必要がない。その上、小さいサイズのナノ粒子は、電子正孔の再結合を促進するため、光触媒の観点であまり効果的でないことがあり得る。
【0022】
得られる粒子は、伝導帯と価電子帯との間に約2.4eVのギャップを有する。約515nmの波長を有する放射は、光触媒反応を活性化させることができる。
【0023】
本発明による粒子は、好ましくは、シーライト(scheelite)型の単斜相結晶及びジルコン型の正方相結晶を含む。光触媒の観点でより活性な相はシーライト相であるにもかかわらず、他の相の存在が、光触媒効率を増加させることができるようである。この効果は、おそらく電子及び正孔の間のより良好な分離によるものであり、ルチル相がそれ自身に低活性を有するものの、アナターゼ相及びルチル相の混合が特に活性であることが分かっている酸化チタンに関連して特に記載される。単斜相は好ましくは、その質量比が50%超、特に60%超または65%超であるという意味で、大部分を占める。
【0024】
前記粒子の比表面積は、BET法を用いた窒素吸着によって測定され、好ましくは10m2/g以上である。
【0025】
本発明の対象はまた、本発明の方法によって製造された粒子または本発明による粒子を含む少なくとも一層で被覆された基板である。
【0026】
前記粒子は好ましくは、無機バインダーを用いて前記基板に結合される。有機バインダーは、実際、BiVO4粒子の光触媒作用によって急速に分解されやすい。
【0027】
無機バインダーは、好ましくは酸化物系、特にシリカ系である。それはシリカからなってもよく、特にゾルゲル型の方法によって得られ得る。これを行うために、有機金属前駆体、例えば、テトラエトキシオルトシリケート(TEOS)を、基板の表面で縮合させる。ゾルは、ディップコーティング、セルコーティング、またはスプレーコーティングによって堆積され得る。熱処理工程は概して、溶媒を除去して、層を高密度化し、機械的強度を向上するために必要である。前記粒子と不純物種とのアクセスを促進するために、バインダー、特にシリカは、多孔質であってもよい。それは特に、空孔が2〜50nmの直径を有するメソポーラスを有してもよい。そのようなメソポーラスは、概して、界面活性剤またはブロックコポリマー等の両親媒性分子をベースとする構造化剤または「テンプレート」を用いて得られ得る。これらの剤は、周りに前駆体が析出及び縮合するミセルに編成され得る。また、アルミナまたはジルコニア等の他の金属酸化物を同様の方法によって得ることができ、それらはバインダーとして働き得る。
【0028】
また、バインダーは、シランまたはシリコーン系であることができる。
【0029】
基板は好ましくは、ガラスから作られ、特にガラスのシートである。ただし、任意の種類の材料、例えばセラミック、金属、または高分子有機材料等を、特にシート、フィルム、または繊維の形態で用いてもよい。基板は好ましくは、透明または半透明である。この理由のため、ガラスまたはポリカーボネート若しくはポリメチルメタクリレート等の高分子有機材料が好ましい。好ましくは、ガラスシートは、1メートル、あるいは2または3メートル超の少なくとも1つの寸法を有する。その厚みは好ましくは、0.5〜19mm、特に3〜9mmである。ガラスは特に、ソーダライムシリカ、またはボロシリケート若しくはアルミノボロシリケート型からなることができる。ガラスは、透明若しくは高透明または色付き、例えば青色、銅色、灰色、琥珀色、ピンク色等であることができる。ガラスシートは、特にアニールされ、硬化され、強化され、または曲げられる。基板は、平坦または湾曲していてもよい。
【0030】
本発明による粒子を含有する層に加えて、基板の同じ面または他の面が、少なくとも1つの他の層または積層体によって被覆され得る。
【0031】
それは、例えば、(特に少なくとも1つの銀層を含む)層または低放射積層体からなることができ、太陽光を制御し、反射防止、帯電防止、導電性、反射性(例えば鏡用の銀層)であることができ、または塗料若しくはラッカーの層からなることができる。特に、本発明による粒子を含む層の下に1つ以上の下層を堆積することができる。基板から発生するアルカリのマイグレーションは、光触媒にとって有害となり得るが、それは、特に、基板から発生するアルカリのマイグレーションに対するバリアとなる層からなることができる。それは、本発明に係る粒子を含む層から反射された光を減衰させるように及び/または反射において無彩色またはわずかに青みがかった色合いを得るように構成された一層または複数層からなることができる。この場合に、好ましくは、高屈折率及び低屈折率を有する層を交互にすることによって干渉現象が用いられる。
【0032】
本発明による粒子を含む層は好ましくは、基板から最も離れた層であるため、周辺の空気に接触する。このようにして、前記層は、大気中の汚染物質とより接触することができ、且つその浄化または自己清浄機能を果たすことができるだろう。
【0033】
本発明の対象はまた、本発明による少なくとも1つの基板を含む、特に建造物、乗り物、若しくは家具用のグレージング、鏡、壁装ガラス、ドア、またはガラスの仕切り壁である。
【0034】
グレージングは、特に、単一または複数(例えば二重または三重グレージング)、あるいは積層されていてもよい。
【0035】
このようなグレージングは、自己清浄特性、防汚特性、殺菌特性、または汚染除去特性、または脱臭特性を有する。グレージングは可視光によって活性化されるので、紫外線放射が低い建物または乗り物の内部を含んで、その機能を果たし得る。
【0036】
これらの特性はまた、グレージング以外の材料用にも有効に使用され得る。特に、本発明による粒子を含む層は、特にフィルターとして機能するミネラルウール、フェルト、マット、織物、織布または不織布のウェブ等の繊維状材料の表面に堆積され得る。
【0037】
本発明は、次の、実施形態の非限定的な例の記載によって、より良好に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明による粒子の走査型電子顕微鏡像である。
【図2】図2は、比較例による粒子の走査型電子顕微鏡像である。
【図3】図3は、本発明による粒子及び比較例による粒子のそれぞれについての、2つの赤外線スペクトルの重ね合わせ図である。
【実施例】
【0039】
25mLの水溶液Aを、1.5Mの硝酸溶液中の硝酸ビスマス五水和物Bi(NO33・5H2Oを含んで調製した。
【0040】
さらに、バナジウム酸ナトリウムNaVO3を含む25mLの水溶液Bを調製した。これらのそれぞれの溶液中のビスマス及びバナジウムの濃度は0.2Mであった。
【0041】
0.146gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を、溶液Aに添加した。
【0042】
次いで、2つの溶液を混合し、室温にて一週間、マグネチックスターラーで攪拌し続けた。
【0043】
形成された粒子を、遠心分離、水洗浄、次いで窒素流下で乾燥して回収した。
【0044】
SDSの添加が無いこと及びバナジウム前駆体がV25であることを除いて、比較例の試料を、同一の方法で得た。また、本発明による試料の場合と同じ前駆体を用いて試料を調製し、それらの試料は、比較例の試料よりもさらに低い光触媒活性を有することが分かった。
【0045】
X線回折分析によれば、粒子が、約70質量%のシーライト型の単斜相及び約30質量%の正方晶のジルコン相を含むことが示された。
【0046】
BET法を用いた窒素吸着によって測定した比表面積は12m2/gであった。比較例の試料の比表面積は3m2/g未満であった。
【0047】
本発明による粒子の形態を図1に表す。薄片状に特徴付けられた表面構造をみることができる。この特有の形態は、図2に示されるSDSの添加無しに合成された比較例試料の粒子の形態とは、非常に異なる。前記形態はまた、水熱合成を用いてヤング等(Material Chemistry and Physics 114, 2009, 69-72頁)によって得られたものとも非常に異なる。
【0048】
X線光電子分光法(XPS)によって測定されたBi/V比は1.8であり、これは、粒子の最表面における著しく過剰な濃度のビスマスを反映するものである。したがって、結晶表面はビスマスリッチの面である。一方で、比較例試料について測定されたBi/V比は、ほんの1.3であった。
【0049】
この過剰な濃度は、粒子のより高い表面酸性度及び表面におけるブレンステッドサイトの存在に関連しているようである。
【0050】
ブレンステッドサイトの存在を、次の方法で立証した。
【0051】
粉末を圧縮することによって得たペレットを、表面の不純物を清浄するために、高真空下にて200℃で2時間加熱した。次いで、ペレットを、1トールの圧力にて過剰なピリジンと接触させた。次いで、物理吸着ピリジンの存在を排除し、化学吸着ピリジンのみを残すように、試料を低真空下に入れ、次いで高真空下に入れた。
【0052】
図3の赤外線スペクトルは、本発明による試料について得られたもの(カーブA)及び比較例試料について得られたもの(点線のカーブB)である。ピリジンのプロトン化の特徴を示す1640cm-1、1540cm-1、及び1490cm-1の波数にピークが存在することがわかる。このプロトン化は、粒子表面及びピリジンの間の強いO−H−N結合を示し、その結合はブレンステッドサイトの存在に由来する。一方で、比較例試料の赤外線スペクトルには、ピリジンのプロトン化の痕跡がみられず、これはブレンステッドサイトがないことを示している。一方で、配位結合の存在が、1593cm-1、1574cm-1、及び1440cm-1の波数にみられる。これらの結合は、ルイスサイトが存在する証拠となる。
【0053】
このように、赤外線スペクトルは、ピリジン及び本発明による粒子の間の結合が、SDS無しに合成した比較例の粒子にみられる結合よりもかなり強いことを示しており、これはブレンステッドサイトが存在するためである。
【0054】
これは、本発明による粒子の場合にピリジンの完全な脱着についてより高い温度、特に150℃超をもたらす。調製したペレットを、様々な温度:50℃、100℃、及び150℃にて、15分間加熱することによって、完全な脱着のための温度を測定することができた。この加熱は、化学吸着ピリジンの脱着をもたらした。化学吸着ピリジンが存在するか否かを、赤外線分光法によって評価した。比較例試料の場合に、全脱着は、50℃〜100℃の間の温度にて起こった。一方で、本発明による試料は、150℃の温度にて、化学吸着ピリジンを依然として含んでいた。
【0055】
光触媒による有機化合物についての分解メカニズムは、可視領域における分光法によって調査され得る。
【0056】
これを行うために、粒子試料を、ローダミンBの水溶液に添加した。ローダミンBの濃度は、暗やみの中での吸着後に、溶液の吸光度が約1であるように選択される。暗やみの中で1時間攪拌した後に、混合物を可視光にさらした。
【0057】
溶液に添加された粒子の量は、粒子の表面積が、本発明による試料及び比較例試料について同じになるように調整した。比表面積の違いを考慮に入れると、本発明による粒子の量(0.125g)は、比較例の粒子の量(0.5g)よりも非常に少なかった。それにもかかわらず、両方の場合において、ローダミンBは、320分の最後には、完全に分解された。このように、本発明は、非常により少ない粒子で等しい活性、または同じ量の粒子で非常に高い活性を得ることを可能にした。
【0058】
比較例の試料について得られたスペクトルは、555nmの波長に位置するピークの吸収強度の減少によって特徴付けられた。そのような変化は、水溶液中に存在するラジカルによる分子の共役構造の分解の特徴であった。
【0059】
一方で、本発明による試料について得られたスペクトルは、連続的なN−脱エチル化反応を表す、より低い波長への吸収ピークのシフトによって本質的に特徴付けられた。この分解メカニズムは、溶液中だけでなく、粒子の表面に存在するラジカルを伴う。これは、1つには、本発明に係る粒子による有機分子のより良好な吸着を確かにする。一方で、粒子の表面に存在するラジカルの反応を含むこのメカニズムは、任意の液体媒体無しに、例えば、それが汚染清浄ガスであるかまたは自己清浄表面を形成する場合、非常により効果的であった。言い換えれば、ブレンステッドサイトの存在のために、本発明に係る粒子による有機分子のより良好な吸着が、有機分子の連続的な分解を大きく促進するだろう。
【0060】
本発明による粒子を含む層を、以下のようにして調製した。粒子及びドデシル硫酸添加剤を含む混合物を、スピンコーティングによって、清浄なソーダライムシリカガラス基板上に堆積した。添加剤を紫外線に24時間曝露して分解した後に、BiVO4の粒子からなる層を得た。また、比較例の粒子を含む層を、THF(テトラヒドロフラン)中に粒子を含む溶液を用いてスピンコーティングによって調製した。
【0061】
光触媒活性を、次のようにして測定した:
5×5cmの試料に切り出し、
4000〜400cm-1の波数についてFTIRにより赤外線スペクトルを測定して、参照スペクトルを準備し、
ステアリン酸を堆積:エタノール中に10g/Lの割合で溶解させた60μLのステアリン酸溶液をスピンコーティングによって前記試料上に堆積し、
FTIRによる赤外線スペクトルを測定:3000〜2700cm-1のCH2−CH2結合の伸縮バンドの面積を測定し、
放射、すなわちUV光及び可視光、または可視光のみに曝露し(用いたランプは、太陽放射をシミュレートするランプ(太陽試験型(Suntest type)のキセノンアークランプ)であり、耐UVフィルターが必要に応じて加えられる)、
30分間の連続曝露によりステアリン酸層の光分解を行い、2980〜2825cm-1のCH2−CH3結合の伸縮バンドの面積Aを測定した。
【0062】
ステアリン酸の分解の証拠は、領域Aが、光触媒活性として規定される係数kにしたがって時間に応じて線形に減少したことである。
【0063】
UV及び可視光放射下での層の光触媒活性は、約1.25×10-2/分であった。それに比べて、アルカリへのバリアである層上に堆積された15nmの厚みの酸化チタン層の光活性触媒は、ほんの0.25×10-2/分であった。
【0064】
可視光のみによる放射の場合、光触媒活性は、6.2×10-3/分であった。(添加剤無しで合成された)比較例の粒子を含む層の光触媒活性は、0.6×10-3/分であった。同じ条件下の酸化チタン層の光触媒活性は、ゼロであった。
【0065】
このように、本発明による粒子は、可視光による放射下で、非常に高い光触媒活性を有する層を得ることを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式BiVO4の粒子を製造する方法であって、ビスマス前駆体及びバナジウム前駆体と、少なくとも1つの炭化水素鎖を含むサルフェート型またはホスホネート型の界面活性剤から選択される少なくとも1つの添加剤とを、50℃未満の温度にて反応させる、方法。
【請求項2】
前記反応が室温で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応が水溶液中で起こる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのビスマス前駆体が、硝酸ビスマスまたは塩化ビスマスから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのバナジウム前駆体が、バナジウム酸アンモニウムまたはバナジウム酸ナトリウムから選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記サルフェート型またはホスホネート型の添加剤の炭化水素鎖が、6〜20個の炭素原子を含む直鎖状または分枝鎖状アルキル鎖である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
表面にブレンステッドサイトを含む化学式BiVO4の粒子。
【請求項8】
平均粒径が500nm〜5μmである、請求項7に記載の粒子。
【請求項9】
シーライト型の単斜相結晶及びジルコン型の正方相結晶を含む、請求項7または8に記載の粒子。
【請求項10】
BET法を用いた窒素吸着によって測定される比表面積が10m2/g以上である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法によって製造された粒子または請求項7〜10のいずれか一項に記載の粒子を含む少なくとも一層で被覆された基板。
【請求項12】
前記粒子が、無機バインダーを用いて前記基板に結合されている、請求項11に記載の基板。
【請求項13】
前記無機バインダーがシリカ系である、請求項12に記載の基板。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの基板を含む、特に建造物、乗り物、若しくは家具用のグレージング、鏡、または壁装ガラス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−503098(P2013−503098A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526105(P2012−526105)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051794
【国際公開番号】WO2011/023918
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【出願人】(506291494)ユニベルシテ ピエール エ マリー キュリー (1)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【Fターム(参考)】