説明

バナナピューレ

【課題】明るい色調を有し、バナナ本来の香味が優れており、非常に滑らかな食感と適度な粘性を有し、咀嚼、嚥下困難者用に適し、またユニバーサルデザインフードで規定した、舌でつぶせるゾル又はかまなくてもよいゾルに相当し、バナナを100%原料とするバナナピューレを得る。
【解決手段】バナナ果肉を厚さ5〜15mmで輪切りし、これを加熱気体により0.22℃/秒以上の昇温速度で中心を85〜100℃まで加熱し、これにL−アスコルビン酸を0.1〜0.2(w/w)%添加した後に、破砕して、課題のバナナピューレを得る。また該バナナピューレを各種食品の原料として添加して、バナナピューレ含有食品を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バナナ本来の香味が優れ、バナナの明るい色調を有するバナナピューレに関し、また非常に滑らかな食感と適度な粘性を有し、咀嚼、嚥下困難者用に適し、またユニバーサルデザインフードで規定した、舌でつぶせるゾル又は噛まなくてもよいゾルに相当するバナナピューレに関する。
【0002】
一般に、バナナは、剥皮すると果肉が褐変酵素(ポリフェノールオキシダーゼなど)の作用により急速に黒変し、商品価値を損なうことが知られている。
従来その解決法として、フェルラ酸を使用する方法(特許文献1参照)、麹酸とL−アスコルビン酸を併用する方法(特許文献2参照)、食塩水又はL−アスコルビン酸を使用する方法(特許文献3参照)並びに酸、明礬及びポリリン酸塩を使用する方法(特許文献4参照)等が知られている。
しかし、これらの方法はフェルラ酸、麹酸、明礬又はポリリン酸塩などの添加物使用を余儀なくされる問題を有する。また食塩又は酸の使用は、バナナ加工食品のバナナ本来の香味を劣化させる問題を有する。
【0003】
一方、バナナを剥皮することなく、皮付きのままで加熱し、果肉温度を80〜100℃に上昇させて、バナナ果肉に含まれるポリフェノールオキシダーゼやペクチンエステラーゼ等を3〜60秒で失活させ、次いで冷却し、剥皮してバナナ果肉を得、フードミキサーにて破砕するバナナ加工食品の製造法(特許文献5参照)が知られている。
しかしこのバナナ加工法は、皮付きのまま加熱する方法であるため、該加熱によってバナナの果皮が異臭を放ち、この臭いがバナナの果肉にまで移行付着浸透するため、バナナ加工食品はバナナ本来の香味が損なわれる欠点を有する。
【0004】
また、バナナ果肉1kgをステンレス製の攪拌機を具備した二重釜に仕込み、これにクエン酸1g、L−アスコルビン酸0.5g、ペクチン2g及び水4mlを混和し、無酸素雰囲気下(真空状態下)で、75〜81℃で8分間高速攪拌して微細化し、バナナピューレを得る方法(特許文献6参照)が知られている。
しかし、このバナナ加工法には、バナナを剥皮した後、果肉を輪切りすることについて記載がなく、また果肉の加熱処理温度が75〜81℃であって、85℃未満の温度を採用するため、黒変化防止効果が充分でなく、明るい色調のバナナ加工食品を得ることができない問題を有する。
【0005】
また、バナナを剥皮し、得られたバナナ果肉をクラッシャーで破砕する際にL−アスコルビン酸溶液を加えて空気による酸化褐変を防ぎ、続くスクリューコンベア内で約85℃に加熱して酵素を失活させ、裏ごし波形0.5mmのパルパーを用い、種子、繊維質を除き、遠心分離してパルプ量を調節し、脱気によりピューレ中の空気を除き褐変を防ぐ、バナナピューレの製造法(非特許文献1参照)が知られている。
しかし、このバナナ加工法もバナナを剥皮した後、果肉を輪切りすることについて記載がない。このようにバナナ果肉を輪切りすることなくそのまま破砕するときは、果肉が速やかに褐変して明るい色調のバナナ加工食品を得ることができない問題を有する。また、バナナ加工食品は、バナナ本来の香味が乏しい欠点を有する。
【特許文献1】特許第3222419号公報
【特許文献2】特開平07−123915号公報
【特許文献3】特開昭63−294737号公報
【特許文献4】特開昭54−6620号公報
【特許文献5】特開昭61−100152号公報
【特許文献6】特開昭53−115864号公報
【非特許文献1】(社)日本果実協会監修、最新果汁・果実飲料辞典、1997年10月1日、P178
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、バナナ本来の香味が優れており、バナナの明るい色調を有するバナナピューレを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、バナナの果肉を輪切りにして、0.22℃/秒以上の昇温速度で品温85〜100℃に加熱し、これにL−アスコルビン酸を0.1〜0.2(w/w)%添加した後に、破砕するときは、バナナ本来の香味が優れており、滑らかな食感と適度な粘性を有し、しかもバナナの明るい色調を有するバナナピューレが得られること、また、バナナとしてシュガースポットが出始めたバナナを使用するときは、上記特徴が一段と優れたバナナピューレが得られること、またこれらのピューレは、咀嚼・嚥下困難者用として好適なものであること、またユニバーサルデザインフードで規定した物性(舌でつぶせるゾル又は噛まなくてもよいゾル)に相当するバナナピューレであることを知り、これらの知見に基いて本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、(1)硬さが1×10N/m以下であり、粘度が1.5Pa・s以上、明度L値が62.0以上であるバナナピューレであり、また本発明は、(2)バナナ果肉を厚さ5〜15mmで輪切りし、これを加熱気体により0.22℃/秒以上の昇温速度で中心を85〜100℃まで加熱し、これにL−アスコルビン酸を0.1〜0.2(w/w)%添加した後に、破砕することを特徴とするバナナピューレの製造法であり、また本発明は、(3)バナナが、シュガースポットが出始めたバナナである前記(2)記載のバナナピューレの製造法であり、また本発明は、(4)バナナ果肉を厚さ5〜15mmで輪切りし、これを加熱気体により0.22℃/秒以上の昇温速度で中心を85〜100℃まで加熱し、これにL−アスコルビン酸を0.1〜0.2(w/w)%添加した後に、破砕して得られるバナナピューレを添加することを特徴とするバナナピューレ含有食品の製造法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バナナ本来の香味が優れ、バナナの明るい色調を有するバナナピューレ及びバナナ加工食品を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で原料となるバナナは、その品種や産地に制限はなく、生食用のバナナ及び料理用バナナが挙げられる。生食用バナナとしてはキャベンディッシュ、セニョリータ、ラトンダン、ラカンタン及びモラード等が、また料理用バナナとしては、カルダバ、ツンドク、サバ及びリングキット等が挙げられる。
【0011】
また、本発明における原料バナナは、中央部が黄色で両端が青いもの、全体が黄色で黒斑(シュガースポットとも言う)がないもの、黒斑が出始めたもの(バナナ果皮中黒斑の占有面積が1〜60%のもの)及び全体に黒斑があるもの(同黒斑の占有面積が61%以上のもの)など任意のものが採用可能である。
これらのうち、バナナ追熟加工室内でエチレンガスを導入して追熟したもの、単に保存することによって追熟したもの、又はこれらの追熟によりバナナの果皮に黒い斑点(シュガースポット)が発生したものがより好ましい。そして、特にシュガースポットが出始めたバナナ、すなわちバナナ果皮中黒斑の占有面積が1〜60%のものが最も好ましい。
【0012】
本発明を実施するには、先ず、バナナの果皮を剥皮する。
本発明において、この果皮を剥皮することは極めて重要であって、バナナを剥皮することなく、皮つきのままで加熱するときは、加熱と共にバナナの果皮が一種独特な異臭を放ち、これがバナナの果肉にまで移行して、付着浸透するため、バナナピューレはバナナ本来の香味が損なわれる欠点を有する。
【0013】
次に、本発明では剥皮して得られるバナナ果肉を輪切りにする。
本発明において、この輪切りすることも重要であって、輪切りすることなく加熱するときは、その後に続いて行われる加熱工程において加熱ムラが起こり、バナナピューレの褐変化を完全に防止することができなくなる。また、バナナ本来の香味が劣化する問題を有する。
【0014】
また、この輪切りの方法は、制限はなく、例えば、電動フードカッターや、ナイフ及び包丁等の刃物の使用が挙げられる。
輪切りは、5〜15mmが好ましく、7〜13mmがより好ましく、8〜12mmが最も好ましい。
5mm未満の輪切り(スライス)、粗砕、微塵切りなどでは速やかにバナナ果肉が褐変化するため好ましくない。反対に15mmを越えると加熱ムラが生じるので好ましくない。
【0015】
また、本発明では輪切りしたバナナを、0.22℃/秒以上の昇温速度で、その中心部を85〜100℃まで、水蒸気、飽和蒸気、過熱水蒸気又は加熱空気等の加熱気体により加熱する。
本発明において、0.22℃/秒以上の昇温速度を採用することも重要であって、この値より少ないとバナナピューレの褐変化を効果的に防止することができない。
また、加熱温度が85℃未満では褐変を完全に防止することができない。反対に100℃を越えるとバナナ本来の香味が損なわれるので好ましくない。
【0016】
この加熱手段としては加熱気体との接触手段が挙げられ、例えばスチームクッカーや蒸し器等のスチームブランチングなどが挙げられる。二重釜やスコルダー(湯煮機)等による熱水ブランチングによる加熱の場合は、バナナの成分が一部熱水中に溶解流出し、また熱水の一部がバナナ組織に浸透して成分が希釈され、バナナピューレが水っぽい味になるので好ましくない。また、電子レンジ等のマイクロ波による誘電加熱も加熱した際に、バナナ表面が部分加熱されて沸騰してしまうため、好ましくない。
上記加熱気体は、バナナの果肉が水と接触することなく、バナナの果肉を加熱することができるので、水との接触に伴う成分の流出と希釈を防止でき、バナナ本来の香味を損なうことがないので好ましい。
【0017】
また、本発明では加熱処理後のバナナにL−アスコルビン酸を添加するが、添加量は0.1〜0.2(w/w)%が好ましく、0.12〜0.18(w/w)%がより好ましく、0.14〜0.16(w/w)%が最も好ましい。
アスコルビン酸が0.1(w/w)%より少ないと、褐変防止効果が充分でなく、製造したバナナピューレの色調が褐色になり、反対に0.2(w/w)%より多いと、バナナピューレの酸味が増して、その香味が悪くなるので好ましくない。
【0018】
加熱処理後のバナナにL−アスコルビン酸を添加した後は、常法により破砕し、バナナピューレを得る。
本発明において得られるバナナピューレは、硬さが、1×10N/m以下が好ましく、500〜2000N/mがより好ましく、800〜1200N/mが最も好ましい。
また粘度は、1.5Pa・s以上が好ましく、5〜30Pa・sがより好ましく、7〜15Pa・sが最も好ましい。
硬さが10000N/mを超えるときは、バナナピューレの固形物が舌で潰せなくなり、また粘度が1.5Pa・s以下であるときは、バナナピューレとして充分な食感を味わえなくなり、咀嚼、嚥下困難者用のバナナ加工食品としては充分に満足することができなくなるので好ましくない。
【0019】
本発明のバナナピューレは、(1)バナナ果肉を輪切りする手段、(2)加熱気体による急速加熱手段及び(3)アスコルビン酸を添加した後破砕する手段をこの順序で行う(組合せる)ことを最も特徴としており、この特徴を採用することにより、固形物は舌でつぶせる程度に軟らかく、また非常に滑らかな食感と適度な粘性を有し、しかもバナナ本来の香味が優れており、また色調の明るいバナナピューレを容易に得ることができる。本発明のバナナピューレは、硬さが1×10N/m以下であり、粘度が1.5Pa・s以上、色調L値が62.0以上であり、咀嚼、嚥下困難者用のバナナ加工食品として好適であり、またユニバーサルデザインフードで規定した、舌でつぶせるゾル又は噛まなくてもよいゾルに相当するバナナピューレとして好適に利用可能である。
【実施例1】
【0020】
(バナナの熟度の検討)
表1の各熟度にある剥皮したバナナ500gを、厚さ10mmに輪切りにし、スチームブランチャーを用いて、初発の中心温度が約20℃の該バナナ果肉を、その中心温度が300秒間で85℃に達するまで水蒸気加熱した(昇温速度0.22℃/秒)。そして、当該加熱処理したバナナの重量に対して、0.15(w/w)%のL−アスコルビン酸を添加してミキサーで破砕しバナナピューレを作製して、当該バナナピューレの物性(硬さ、粘度)と色調(L値)の測定と官能評価を行った。
その結果を表2に示す。
なお、バナナピューレの物性(硬さ、粘度)と色調(L値)の測定は、以下の方法で行った。
【0021】
(1)硬さ
テクスチャーアナライザー(英弘精機社製)を用いて、品温20℃に調整したバナナピューレを直径40mmで高さ15mmの容器に充填し、直径20mmのプランジャーで、圧縮速度10mm/秒、クリアランス5mmの条件で5回測定した。そして当該測定値の最大値と最小値を除いた3回の値の平均をバナナピューレの硬さの測定値とした。尚、熟度3のバナナ果肉の断面の色調L値は69.80であり、他の熟度1、2、4のバナナ果肉断面のL値もほぼ同程度であった。
【0022】
(2)粘度
B型回転粘度計(東機産業社製)を用いて、品温20℃に調整したバナナピューレを12rpmでローターを回転させて、2分後の示度を測定した。測定は2回行い、その平均をバナナピューレの粘度の測定値とした。
【0023】
(3)L値
測色色差計(日本電色工業社製)を用いて、バナナピューレの色調L値を測定した。




【0024】
【表1】

注1:黒斑が全くない、注2:バナナ果皮中黒斑の占有面積10%、注3:同占有面積80%
【0025】
【表2】

官能評価:◎:良、○:可、×:不可
【0026】
表2の結果から、果皮の状態が全体に黒くなった熟度4のバナナは、その果肉が非常に柔らかいため、切断処理やその他の取扱いで、果肉にダメージを受けやすく、製造したババナピューレの色調が若干劣るが、熟度3の果皮にシュガースポットが出始めたバナナを原料にパナナピューレを製造すると、硬さが1×10N/m以下であり、粘度が1.5Pa・s以上の物性を有し、非常に明るい色調を有し、バナナ本来の香味が優れたバナナピューレが得られることが分かる。
【実施例2】
【0027】
(バナナの切断形状の検討)
表1の熟度3にある剥皮したバナナ果肉500gを、輪切りしないまま(未切断)のもの、厚さ10mmに輪切りにしたもの、微塵切りしたものを、スチームブランチャーを用いて、実施例1と同じ加熱条件で(初発の中心温度が約20℃である厚さ10mmに輪切りしたバナナの中心温度が300秒間で85℃に達する、昇温速度0.22℃/秒の条件で)、水蒸気加熱した。
そして、加熱処理したバナナの重量に対して0.15(w/w)%のL−アスコルビン酸をそれぞれ添加してミキサーで破砕しバナナピューレを作製して、当該バナナピューレの物性(硬さ、粘度)と色調(L値)の測定と官能評価を行った。
その結果を表3に示す。
【0028】
【表3】

官能評価:◎:良、○:可、×:不可
【0029】
表3の結果より、バナナを剥皮した後、厚さ10mmに輪切りにすることで、加熱処理するバナナの熱効率が高まり、効果的にポリフェノールオキシダーゼを失活して、硬さが1×10N/m以下であり、粘度が1.5Pa・s以上の物性を有し、明るい色調を有し、バナナ香味が優れたバナナピューレが得られることが分かる。
【実施例3】
【0030】
(バナナの加熱条件の検討)
表1の熟度3にある剥皮したバナナ500gを、厚さ10mmに輪切りにし、スチームブランチャーを用い、初発の中心温度が約20℃の該バナナ果肉を、その中心温度が250秒間、300秒間、410秒間、1000秒間で85℃に達するまで水蒸気加熱した(昇温速度0.26℃/秒、0.22℃/秒、0.16℃/秒、0.065℃/秒)。そして、加熱処理したバナナの重量に対して0.15(w/w)%のL−アスコルビン酸を添加してミキサーで破砕しバナナピューレを作製して、当該バナナピューレの物性(硬さ、粘度)と色調(L値)の測定と官能評価を行った。
その結果を表4に示す。
【0031】
【表4】

官能評価:◎:良、○:可、×:不可
【0032】
表4の結果より、切断処理したバナナ果肉を0.22℃/秒以上の昇温速度で、85℃まで加熱することによって、硬さが1×10N/m以下であり、粘度が1.5Pa・s以上の物性を有し、明るい色調とバナナ本来の香味が優れたバナナピューレが得られることが分かる。
【実施例4】
【0033】
(L−アスコルビン酸の添加量の検討)
表1の熟度3にある剥皮したバナナ500gを、厚さ10mmに輪切りにし、スチームブランチャーを用い、初発の中心温度が約20℃の該バナナ果肉を、その中心温度が300秒間で85℃に達するまで水蒸気加熱した(昇温速度0.22℃/秒)。そして、当該加熱処理したバナナの重量に対して0(w/w)%、0.05(w/w)%、0.1(w/w)%、0.15(w/w)%、0.2(w/w)%、0.3(w/w)%のL−アスコルビン酸を添加してミキサーで破砕し、バナナピューレを作製して、当該バナナピューレの物性(硬さ、粘度)と色調(L値)の測定と官能評価を行った。
その結果を表5に示す。
【0034】
【表5】

官能評価:◎:良、○:可、×:不可
【0035】
表5の結果より、L−アスコルビン酸の添加が0.1(w/w)%未満であるときは、明るい色調のバナナピューレを得ることができないことが分かる。反対に0.2(w/w)%を超えるとバナナ香味が損なわれることが分かる。これに対し、0.1〜0.2(w/w)%添加すると、明るい色調を有し、バナナ香味が優れたバナナピューレが得られることが分かる。そして、0.15(w/w)%添加すると、それらの効果がより優れたバナナピューレが得られることが分かる。
【0036】
以上の結果より、追熟して、果皮にシュガースポットが出始めたバナナを剥皮した後、厚さ10mmに輪切りにして、その中心温度を、昇温速度0.22℃/秒で85℃に達するまで加熱した後、0.15(w/w)%のL−アスコルビン酸を添加して破砕することによって、硬さが1×10N/m以下であり、粘度が1.5Pa・s以上の物性を有し、したがって、日本介護食品協議会等で制定するユニバーサルデザインフード自主規格第1版の区分および物性規格において、区分3(区分形状:舌でつぶせるゾル、物性規格:硬さ上限値1×10N/m以下及び粘度下限値1.5Pa・s)と区分4(区分形状:かまなくてもよいゾル、物性規格:硬さ上限値3×10N/m以下及び粘度下限値1.5Pa・s)に分類され、尚且つ、明るい色調とバナナ本来の香味が優れたバナナピューレが得られることが分かる。
【実施例5】
【0037】
表1の熟度3にある剥皮したバナナ500gを、厚さ10mmに輪切りにし、スチームブランチャーを用い、該バナナ果肉を、その中心温度が300秒間で85℃に達するまで水蒸気加熱した。当該加熱処理したバナナの重量に対して0.15(w/w)%のL−アスコルビン酸を添加してミキサーで破砕し、バナナピューレを作製した。そして、当該バナナピューレを用いて、バナナコロッケを調製した。
【実施例6】
【0038】
(バナナコロッケ)
実施例5で得られたバナナピューレ100gに、茹でて皮を剥いて潰したジャガイモ200gと炒めた挽き肉40gを加えてよく混ぜ、円形に形を整えた。そして、強力粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけ、約170℃の油で揚げて、バナナコロッケを調製した。
【実施例7】
【0039】
(バナナミルク)
実施例5で得られたバナナピューレ80gに牛乳120gを加えて、ミキサーで撹拌してバナナミルクを調製した。
【実施例8】
【0040】
(バナナカレー)
通常どおり調理したカレー200gに、実施例5で得られたバナナピューレ40gを加えて、バナナカレーを調製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬さが1×10N/m以下であり、粘度が1.5Pa・s以上、色調L値が62.0以上であるバナナピューレ。
【請求項2】
バナナ果肉を厚さ5〜15mmで輪切りし、これを加熱気体により0.22℃/秒以上の昇温速度で中心を85〜100℃まで加熱し、これにL−アスコルビン酸を0.1〜0.2(w/w)%添加した後に、破砕することを特徴とするバナナピューレの製造法。
【請求項3】
バナナが、シュガースポットが出始めたバナナである請求項2記載のバナナピューレの製造法。
【請求項4】
バナナ果肉を厚さ5〜15mmで輪切りし、これを加熱気体により0.22℃/秒以上の昇温速度で中心を85〜100℃まで加熱し、これにL−アスコルビン酸を0.1〜0.2(w/w)%添加した後に、破砕して得られるバナナピューレを添加することを特徴とするバナナピューレ含有食品の製造法。

【公開番号】特開2008−104410(P2008−104410A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290581(P2006−290581)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000104559)日本デルモンテ株式会社 (44)
【Fターム(参考)】