説明

バナナ繊維の製法ならびにバナナ繊維を用いた混紡糸及び繊維構造物

【課題】
資源の枯渇が懸念される繊維素材(麻やコットンなど)を代替でき、かつ産業廃棄物であるバナナの仮茎を原料として、衣料用のバナナ繊維を得るための効率的な製法を提供すること、及びその製法によって得られたバナナ繊維と他の繊維とを混用してなる繊維構造物、混紡糸、及び、軽く、吸湿性、嵩高性、シャリ感等の感触に優れた繊維構造物を提供すること。
【解決手段】
バショウ科・バショウ属バナナの剥皮した仮茎から得られる平均繊維長が10〜50mm、平均繊度が0.5〜80dtexであるバナナ繊維を以下の工程からなる製法で得る。
a)仮茎を構成する葉鞘を仮茎から剥がす工程、b)葉鞘を構成する繊維束を保持している表皮を葉鞘の表面から剥ぎ取り、繊維束を得る工程、c)繊維束を乾燥する工程、d)乾燥した繊維束を精錬し分繊する工程、e)精錬・分繊工程の前又は後に、繊維束を短く切断することによりステープルファイバーを得る工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バナナ繊維の製法、ならびにその製法により得られたバナナ繊維を用いた混紡糸及び繊維構造物に関し、さらに詳しくは資源の枯渇により将来の供給事情が懸念される繊維素材、特にセルロース系繊維の麻、綿などを代替でき、かつ産業廃棄物である、バナナを収穫した後の仮茎を原料とするバナナ繊維の製法、その製法によって得られたバナナ繊維と他の繊維とからなる混紡糸及び繊維構造物に関する。
そして、本発明の繊維構造物は、軽く、吸湿性に優れ、嵩高性に富み、シャリ感等の感触に優れており、パンツ、シャツ、又はジャケット等の一般的な衣料として利用することができる。
【背景技術】
【0002】
繊維構造物は、主に合成繊維または天然繊維を原料として作られている。合成繊維の大部分は、石油資源からスタートし石油化学製品を経て合成され、一方、天然繊維は、羊、アルパカなどの動物の毛や蚕を飼育したりして得られる動物繊維や、綿花、麻などを農耕栽培して得られる植物繊維などである。
【0003】
しかしながら、これら天然繊維や合成繊維は、必ずしも永久に入手できる原料とはいえず、例えば、天然繊維については、世界的な人口増加により食糧危機が叫ばれ、衣料用繊維を得る手段とし、動物を飼育したり、農耕栽培を行なうことが困難な時代背景となりつつあり、一方、合成繊維についても、同様に、石油資源の枯渇が懸念されている。
【0004】
こうした、従来繊維構造物に使用されていた繊維原料、特に衣料用の繊維が将来的には枯渇する恐れがあるという状況から、近年になって、従来の手段に限定せず衣料用の素材を開発する試みがなされている。例えば、従来剛直で衣料用糸とするのは難しかったケナフ繊維と他の繊維を複合糸とすること(特許文献1)などがある。
【0005】
一方で、バナナは、主にアジア、アフリカ、中南米などの熱帯地方の開発途上国で生産されており、その生産量は世界全体で年間1億t以上にもなっている。
バナナは数か月から1年以内で生長し、花をつけ、実を収穫することができるが、その頃には根元から新しい仮茎が出てきて、古い方の仮茎は根元で切り倒しそのまま大量の廃棄物となっていた。
この大量の廃棄物から繊維を採取し、紙や布を作ることで、開発途上国の助けともなり、かつ地球環境を守っていこうとすることも試みられている。
【0006】
廃棄されたバナナの茎から繊維を採取することは古くから行われており、高強度の繊維が得られるが、繊維束が太くて剛直であるため、ロープ、網、粗布などジュートの代用品としての産業資材用途が主であり、そのままでは一般的な衣料品の原料として使用することが困難であった。
【0007】
バナナは、高く伸びた茎のようなものの先端に、葉や花をつけ、実を結ぶが、その、一般には茎と呼称される、茎のようなものは、葉鞘が幾重にも重なりあって茎状となっているものであり、正しくは仮茎(偽茎)と呼ばれる。
その仮茎からバナナ繊維を得、そのバナナ繊維を混紡糸とし、衣料用とする技術は特許文献2にも開示されている。
しかしながら、該文献の製法では繊維を得ることは出来るものの、仮茎に含まれるリグニン等のガム質や不純物を取り除いていないため、得られる繊維の品質のバラつきが生じていた。原料であるバナナの仮茎が天然物であるため、各々の仮茎に含まれるガム質や不純物の含有量にもバラつきがあることが要因と思われる。
【0008】
【特許文献1】特開2001−234420号公報
【特許文献2】特許第41255065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑み、資源の枯渇により将来が懸念される繊維素材、特にセルロース系繊維の麻やコットンなどを代替でき、かつ産業廃棄物であるバナナの仮茎を原料として、衣料用に良好に使用し得るバナナ繊維を得るための効率的な製法の提供を課題とし、また、その製法によって得られたバナナ繊維と他の繊維とを混用してなる繊維構造物、混紡糸及びそれらから得られる、軽く、吸湿性に優れ、嵩高性に富み、シャリ感等の感触に優れた繊維構造物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、バナナの茎が産業廃棄物として大量に発生していることに注目し、その利用を図るべく、バナナの茎(のようなもの)の構造について研究したところ、バナナの茎のようなものは、中心に非繊維質の花軸があり、その周囲にはやわらかい葉鞘が幾重にも巻き付き重なり合って仮茎を構成し、各葉鞘は繊維束からなり、その繊維束を表皮で保持していることを観察した。
そして、繊維を効率よく採取するには、剥ぎ取った葉鞘(繊維束)を精錬することが効果的であることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は、特定の精錬工程を加えることを特徴とするバナナ繊維の製法、及びその製法により得られた繊維を用いた混紡糸、繊維構造物に係るものであって、以下の技術に基づくものである。
【0012】
(1) バショウ科・バショウ属バナナの剥皮した仮茎から得られる平均繊維長が10mm〜50mm、平均繊度が0.5dtex〜80dtexであるバナナ繊維の製法であって、
下記a)〜e)の工程からなることを特徴とするバナナ繊維の製法。
a)仮茎を構成する葉鞘を仮茎から剥がす工程
b)葉鞘を構成する繊維束を保持している表皮を葉鞘の表面から剥ぎ取り、繊維束を得る工程
c)繊維束を乾燥する工程
d)乾燥した繊維束を精錬し分繊する工程
e)精錬・分繊工程の前又は後に、繊維束を短く切断することによりステープルファイバーを得る工程
【0013】
(2) バナナの実を収穫した後の仮茎を用いることを特徴とする(1)に記載のバナナ繊維の製法。
【0014】
(3) アルカリ水溶液により精錬することを特徴とする(1)又は(2)に記載のバナナ繊維の製法。
【0015】
(4) 精錬を80〜140℃で1.5〜8.0時間処理することにより行うことを特徴とする(3)に記載のバナナ繊維の製法。
【0016】
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載のバナナ繊維の製法から得られるバナナ繊維と、少なくとも1種の他の衣料用繊維とを混紡してなるバナナ繊維混紡糸。
【0017】
(6) バナナ繊維の含有量は、全量に対して3%以上であることを特徴とする(5)に記載のバナナ繊維混紡糸。
【0018】
(7) 他の衣料用繊維は、綿繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維又は再生セルロース繊維から選択されることを特徴とする(5)又は(6)に記載のバナナ繊維混紡糸。
【0019】
(8) 混紡糸の番手は、綿番手で1番手以上80番手以下であることを特徴とする(5)〜(7)のいずれかに記載のバナナ繊維混紡糸。
【0020】
(9) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載のバナナ繊維の製法から得られるバナナ繊維と、少なくとも1種の他の衣料用繊維とを混用してなるバナナ繊維構造物。
【0021】
(10) 繊維構造物が、(5)〜(8)のいずれかに記載のバナナ繊維混紡糸で構成されていることを特徴とする繊維構造物。
【0022】
(11) 繊維構造物が、織物、編物又は不織布であることを特徴とする(9)又は(10)に記載の繊維構造物。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、産業廃棄物であるバナナの仮茎を原料として、資源の枯渇により将来が懸念される繊維素材、特にセルロース系繊維の麻やコットンなどを代替でき、衣料用に良好かつ効率的に使用し得るバナナ繊維を得ることが可能となる。また、その製法によって得られたバナナ繊維と他の繊維とを混用してなる繊維構造物、混紡糸から、軽く、吸湿性に優れ、嵩高性に富み、シャリ感等の感触に優れた繊維構造物を得ることできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体的に説明する。
<原料>
本発明で得ようとするバナナ繊維の原料は、バショウ科・バショウ属バナナの仮茎である。
よくバナナの木と言われるように、高さ2〜10mに生長するが、バナナは竹類などと同様に「草木」で、高く伸びた茎のような部分は、花軸の周りに柔らかい葉鞘が幾重にも巻き付き重なりあって茎状をなしており、正しくは仮茎(偽茎)と呼ばれる。畑へ植えつけられてから6ヶ月から18ヶ月ほどで生長し、花をつけ、実を収穫することができるようになる。その頃には根元から新しい仮茎が出ており、これは3〜6ヶ月で実をつける。このようなサイクルが次々に起こるため、収穫が終わった仮茎は根元で切り倒しそのまま廃棄されていた(図1参照)。
本発明は、この、ただ廃棄されていた仮茎を原料とする。「地球にやさしい」を実現できる素材である。
仮茎を構成する、花軸の周りに巻き付いた葉鞘を剥がして原料とする(図2参照)。
【0025】
<バナナ繊維の製造>
上記のバナナの仮茎を原料とし、以下の工程でバナナ繊維を得る。
まず、原料を調整する。仮茎から葉鞘を剥ぎ取る。通常、実を収穫した後、不要となった仮茎を切断したものを対象とするが、植えられた状態のまま剥ぎ取ることも可能である。
切断された仮茎は1〜3mの長さがあり、後工程での効率を考慮すれば、長いものは1m程度に切断し、調整するのが好ましい。
【0026】
次いで、仮茎を構成する葉鞘を、仮茎から剥がす。
仮茎の中心部分は水分が多くて柔らかすぎ、外側部分も3枚くらいは繊維が傷んでいたり粗かったりするので、実際には、外側から4枚目くらいから7枚目くらいまでが、繊維を採取する原料として適している。
【0027】
剥がされた葉鞘の表面にある表皮を剥皮機または人手で剥ぎ取り、内皮を取り出す。葉鞘を構成する繊維束を保持している表皮が剥ぎ取られることによって、内皮の繊維束をばらけさすことができる。
【0028】
得られた繊維束を乾燥する。乾燥方法は特に限定されないが、自然乾燥が望ましい。
この段階の繊維束は、約0.05〜1mmの太さ(直径)があり、また、ネップやきょう雑物などの不純物も含まれているため、必要に応じてブラッシング手段を適用し、繊維のもつれを分離し、不純物を取り除く。
【0029】
次に、乾燥した繊維束を精錬する。精練により一部分繊化した部分も観察される。
精錬は、レッティングやアルカリ液による精錬など汎用の方法を採用し得るが、アルカリ液による加熱加圧処理が好ましい。
精錬液に用いるアルカリはソーダ灰または苛性ソーダが好適に用いられる。
【0030】
アルカリ液による精錬は、92℃で8時間、または110〜140℃で1.5〜4時間処理することが好ましい。処理が不足している場合には、再度処理を行うことができる。またこの場合、高圧オーバーマイヤー加工機を用いて、高圧処理を行なうことが望ましく、処理時関の大幅な短縮が図られる。
より好ましくは、130℃で2.5時間程度で実施される。
【0031】
精錬処理により、一部分繊化した部分も観察され、またそれ以外の部分は次に述べる分繊工程が効率的になる。
精錬工程に続けて、揉んだり、叩いたり、引きちぎったりする機械的処理を付加することにより、分繊化をより完成させることができる。
【0032】
精錬・分繊工程の前又は後に、繊維用切断機を用いて、繊維束を適当な長さに切断することにより紡績に供し得るステープルファイバーとする。
通常平均繊維長が10mm〜50mm、好ましくは15〜45mmのステープル長とする。
【0033】
<混紡糸の製造>
上記製法により得られたバナナ繊維と他の衣料用繊維と混紡し、糸条とする。バナナ繊維は、繊度・繊維長・強力にバラツキが大きいため、100%での糸は細くするのに限度がある。そのため、綿繊維や合成繊維など他の既存の衣料用繊維との混紡糸とするのが好ましい。
混紡糸は、バナナ繊維を全量に対して3%以上の含有量とする。
他の繊維としては、汎用の繊維が使用でき、好ましくは綿繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維又は再生セルロース繊維から選択される。
混紡糸の太さは、綿番手で1番手以上80番手以下であることが好ましい。
混紡糸は、上記のバナナ繊維と他の繊維からなる混合ステープルファイバーを綿紡績の一般的な製造工程で紡績糸とすることによって製造することができる。
【0034】
<繊維構造物の製造>
上記混紡糸を用い、汎用の手段により、織物や編物などの繊維構造物とすることができる。
本発明の混紡糸を原料として使用し作った繊維構造物である織布又は編物から、例えば、ワイシャツ、ニットシャツ、ジャンバー、コート、ジャケット、スカート、ズボン、ブラウス、セーター、カーディガン、洋服、作業着、ユニホーム、学生服、オフィスワークウェア、運動着等の衣料が製造される。
また、バナナ繊維と、少なくとも1種の他の衣料用繊維とを繊維の状態で混用して不織布のような繊維構造物とすることもできる。
【0035】
バナナ繊維を含有する混紡糸、繊維構造物の染色加工については、セルロース系繊維の染色方法に準じた条件を採用する。
このバナナ繊維を使用した織・編物は、それを構成する繊度・繊維長に幅があり、吸湿性に優れ、嵩高性に富み、シャリ感の優れた衣料用の布が得られる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0037】
<実施例>
バナナの実を収穫した後のバナナの茎を、約1mの長さに揃えて切断して、茎の着色表皮を剥取り除去した後、茎を構成する樹皮を剥皮機により剥ぎとり、繊維束を取出した。その後、一旦自然乾燥し、さらに、ブラッシング機を用いて、夾雑物の除去を行った。
引き続いて、当該当該繊維束をオーバーマイヤー染色機を用いて、苛性ソーダ3%液にて、130℃×2時間40分高圧処理し、続いて、水洗、酸中和、湯洗い、乾燥を行なうことで、前述のブラッシングによる夾雑物の除去工程に加え、湿式分繊も行ったバナナ繊維を得た。
その後、前記の工程で得られた分割フィブリル化単繊維を繊維用切断機で35ミリ長にカットしステープルファイバーを得た。
【0038】
上記のステープルファイバー(平均繊維長35mm)と綿繊維(平均繊維長35mm)を等量、混綿機にて混紡しシリンダー260rpm、ドッファー8.0rpmにてカードを2回通し250ゲレンのスライバーを得た。
なお、上記のステープルファイバーの断面図及び側面図は、図3及び図4に示した。
ついで連条二頭通しにて300ゲレンとし、このものをシンプレックス(SPX)にて250ゲレン1.3T/吋の粗糸を得た。
この粗糸を一般的なリング精紡機にてスピンドル回転数6000rpmで紡績し紡出番手10番手、撚数12.6T/吋の糸を作成した。
次いでこの糸を通常のサイジング・整経工程にて製織の準備をし、経80本/吋、緯50本/吋、3/1綾組織の規格にてエアジェット織機(TOYOTAJAT610)にてパンツ用途の織物を作成した。
原料の分繊改良によって、別表の如く糸切れが減少し生産性が向上した。又、エアジェットでの製織が可能となった。
【0039】
<比較例>
ステープルファイバーを得る工程は実施例1と同様であるが、ブラッシングによる夾雑物の除去工程までのみ行なった。
上記のステープルファイバー(平均繊維長35mm)と綿繊維(平均繊維長35mm)を等量、混綿機にて混紡しシリンダー260rpm、ドッファー8.0rpmにてカードを2回通し250ゲレンのスライバーを得る。
ついで連条二頭通しにて300ゲレンとし、このものをシンプレックス(SPX)にて250ゲレン1.3T/吋の粗糸とする。
この粗糸を一般的なリング精紡機にてスピンドル回転数6000rpmで紡績し紡出番手10番手、撚数12.6T/吋の糸を作成した。
次いでこの糸を通常のサイジング・整経工程にて製織の準備をし、経80本/吋、緯50本/吋、3/1綾組織の規格にてレピア織機(ピカノールGTM)にてパンツ用途の織物を作成した。
【0040】
【表1】

【0041】
表1はバナナ繊維原綿差による生産性の比較を示すものである。
本発明の製法は効率よく製造することができると共に、表1からうかがえるように、本発明の製法により得られるバナナ繊維の使用により、混紡糸とする場合や織物とする場合には、生産性の向上が期待できるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明により、産業廃棄物であるバナナの仮茎を原料として、特にセルロース系繊維の麻や綿などを代替でき、衣料用に良好に使用し得るバナナ繊維糸や織物を効率的に得ることが可能となり、地球にやさしい繊維の商業的生産を可能にすることができる。また、産業廃棄物の有効利用の観点だけでなく、開発途上国の発展の手助けにもなり、きわめて有意義に利用可能な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】バナナの生長過程を示す図である。
【図2】バナナ繊維の原料となる葉鞘からなる仮茎を示す図である。
【図3】バナナ繊維の断面図である。
【図4】バナナ繊維の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バショウ科・バショウ属バナナの剥皮した仮茎から得られる平均繊維長が10mm〜50mm、平均繊度が0.5dtex〜80dtexであるバナナ繊維の製法であって、
下記a)〜e)の工程からなることを特徴とするバナナ繊維の製法。
a)仮茎を構成する葉鞘を仮茎から剥がす工程
b)葉鞘を構成する繊維束を保持している表皮を葉鞘の表面から剥ぎ取り、繊維束を得る工程
c)繊維束を乾燥する工程
d)乾燥した繊維束を精錬し分繊する工程
e)精錬・分繊工程の前又は後に、繊維束を短く切断することによりステープルファイバーを得る工程
【請求項2】
バナナの実を収穫した後の仮茎を用いることを特徴とする請求項1に記載のバナナ繊維の製法。
【請求項3】
アルカリ水溶液により精錬することを特徴とする請求項1又は2に記載のバナナ繊維の製法。
【請求項4】
精錬を80〜140℃で1.5〜8.0時間処理することにより行うことを特徴とする請求項3に記載のバナナ繊維の製法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のバナナ繊維の製法から得られるバナナ繊維と、少なくとも1種の他の衣料用繊維とを混紡してなるバナナ繊維混紡糸。
【請求項6】
バナナ繊維の含有量は、全量に対して3%以上であることを特徴とする請求項5に記載のバナナ繊維混紡糸。
【請求項7】
他の衣料用繊維は、綿繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維又は再生セルロース繊維から選択されることを特徴とする請求項5又は6に記載のバナナ繊維混紡糸。
【請求項8】
混紡糸の太さは、綿番手で1番手以上80番手以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のバナナ繊維混紡糸。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載のバナナ繊維の製法から得られるバナナ繊維と、少なくとも1種の他の衣料用繊維とを混用してなるバナナ繊維構造物。
【請求項10】
繊維構造物が、請求項5〜8のいずれかに記載のバナナ繊維混紡糸で構成されていることを特徴とする繊維構造物。
【請求項11】
繊維構造物が、織物、編物又は不織布であることを特徴とする請求項9又は10に記載の繊維構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−95805(P2010−95805A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264938(P2008−264938)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000004374)日清紡ホールディングス株式会社 (370)
【出願人】(508308341)東洋繊維株式会社 (1)
【Fターム(参考)】