説明

バニロイド受容体アンタゴニストとしてのテトラヒドロ−ナフタレン誘導体

本発明は、医薬製剤の有効成分として有用なテトラヒドロ−ナフタレン誘導体およびそれらの塩に関する。本発明のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体は、VR1アンタゴニストとしての優れた活性を有し、VR1活性に関連する疾患の予防および処置、特に尿失禁、急迫性尿失禁、過活動膀胱、慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ痛、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性、卒中、炎症性障害、喘息およびCOPDの処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の詳細な説明
技術分野
本発明は、医薬製剤の有効成分として有用なテトラヒドロ−ナフタレン誘導体に関する。本発明のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体は、バニロイド受容体(VR)アンタゴニスト活性を有し、VR1活性に関連する疾患の予防および処置、特に過活動膀胱、急迫性尿失禁などの尿失禁、慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ痛、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性、卒中、並びに喘息および慢性閉塞性肺(または気道)疾患(COPD)などの炎症性障害の処置に使用できる。
【0002】
背景技術
バニロイド化合物は、バニリル基または機能的に同等な基の存在を特徴とする。いくつかのバニロイド化合物またはバニロイド受容体調節因子の例は、バニリン(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−ベンズアルデヒド)、グアヤコール(2−メトキシ−フェノール)、ジンゲロン(4−/4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル/−2−ブタノン)、オイゲノール(2−メトキシ4−/2−プロペニル/フェノール)およびカプサイシン(8−メチ−N−バニリル−6−ノナンアミド)である。
【0003】
なかんずく、「辛い」唐辛子の主要な刺激性成分であるカプサイシンは、C線維求心神経を脱感作させる特異的神経毒である。カプサイシンは、後根神経節(DRG)の細胞体またはC線維神経終末を含む求心感覚線維の神経終末に支配的に発現するバニロイド受容体(VR)と相互作用する[Tominaga M, Caterina MJ, Malmberg AB, Rosen TA, Gilbert H, Skinner K, Raumann BE, Basbaum AI, Julius D: The cloned capsaicin receptor integrates multiple pain-producing stimuli. Neuron. 21: 531-543, 1998]。VR1受容体は、最近クローニングされ [Caterina MJ, Schumacher MA, Tominaga M, Rosen TA, Levine JD, Julius D: Nature 389: 816-824, (1997)]、TRP(一過性受容体電位)チャネルファミリーと構造的に関連する6個の膜貫通ドメインを有する非選択的陽イオンチャネルとして同定された。VR1へのカプサイシンの結合は、ナトリウム、カルシウムおよび恐らくカリウムイオンをそれらの濃度勾配に沿って流れるようにし、初期脱分極および神経末端からの神経伝達物質の放出を引き起こす。従って、VR1は、病的状態または疾患において神経シグナルを誘起する化学および物理刺激の分子インテグレーター(integrator)と見ることができる。
【0004】
VR1活性と、疼痛、虚血および炎症などの疾患との関連を示す直接または間接的証拠が豊富に存在する(例えば、WO99/00115および00/50387)。さらに、VR1が、脊髄反射経路が損なわれているかまたは異常である患者の過活動膀胱に関与する反射シグナルを伝達することが立証された[De Groat WC: A neurologic basis for the overactive bladder. Urology 50 (6A Suppl): 36-52, 1997]。カプサイシンなどのVR1アゴニストを使用して神経伝達物質を涸渇させることによる求心神経の脱感作は、脊髄損傷および多発性硬化症に伴う膀胱機能不全の処置において、有望な結果をもたらすと示された [(Maggi CA: Therapeutic potential of capsaicin-like molecules - Studies in animals and humans. Life Sciences 51: 1777-1781, 1992) および (DeRidder D; Chandiramani V; Dasgupta P; VanPoppel H; Baert L; Fowler CJ: Intravesical capsaicin as a treatment for refractory detrusor hyperreflexia: A dual center study with long-term followup. J. Urol. 158: 2087-2092, 1997)]。
【0005】
VR1受容体の拮抗作用は、神経伝達物質放出の遮断を導き、VR1活性に関連する症状および疾患の予防および処置をもたらすと思われる。
【0006】
従って、VR1受容体のアンタゴニストは、慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ痛、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性、卒中、炎症性障害、急迫性尿失禁(UUI)などの尿失禁(UI)、および/または過活動膀胱を含む症状および疾患の予防および処置に使用できると期待される。
【0007】
UIは、非自発的な尿の損失である。UUIは、ストレス性尿失禁(SUI)と共に、最も一般的なのタイプのUIの一つである。それは、通常、尿道閉鎖メカニズムの欠陥に起因する。UUIは、しばしば、痴呆、パーキンソン病、多発性硬化症、卒中および糖尿病などの神経損傷を引き起こす神経性障害または疾患と関連するが、そのような障害のない人でも起こる。UUIの通常の原因の1つは、過活動膀胱(OAB)である。それは、排尿筋の異常な収縮と不安定さによりもたらされる頻繁かつ緊急の症状を表す医学的状態である。
【0008】
今日では、主にUUIの処置を補助するために、いくつかの尿失禁用医薬品が市販されている。OABの治療は、末梢神経の制御メカニズムに影響を与える薬物か、または膀胱の排尿平滑筋の収縮に直接作用するものに集中しており、抗コリン剤の開発に重きが置かれている。これらの物質は、膀胱の排尿を制御する副交感神経を阻害することができるか、または、膀胱の排尿筋に対して直接的鎮痙効果を発揮することができる。これは、膀胱内圧の低下、容量の増大、および膀胱収縮頻度の減少をもたらす。プロパンテリン(ProBanthine)、トルテロジン(tolterodine)酒石酸塩(Detrol)およびオキシブチニン(oxybutynin;Ditropan)などの経口活性抗コリン性薬物は、最も一般的に処方される薬物である。しかしながら、それらの最も重篤な欠点は、口の乾燥、視覚異常、便秘および中枢神経系の障害などの許容できない副作用である。これらの副作用は、低い服薬率(compliance)を導く。口の乾燥の症状のみで、オキシブチニンの非服薬率70%の原因となっている。現行治療法の不適切さは、副作用がごくわずかな、新しい、有効な、安全な、経口摂取可能な薬物の必要性を強調している。
【0009】
WO00/50387は、一般式:
【化1】

式中、
は、酸素または硫黄原子であり;
は、−NHCH−または−CH−であり;
は、置換または非置換C1−4アルキル基、またはRalCO−であり;
ここで、Ralは、炭素数1ないし18のアルキル基、炭素数2ないし18のアルケニル基、または炭素数6ないし10の置換もしくは非置換アリール基であり;
は、水素原子、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数1ないし6のアルコキシ基、炭素数1ないし6のハロアルキル基またはハロゲン原子であり;
は、水素原子、炭素数1ないし4のアルキル基、アミノアルキル、二酸モノエステルまたはα−アルキル酸であり;そして、
アスタリスク記号*は、不斉炭素原子を示す、
で表される、バニロイドアゴニスト活性を有する化合物、およびそれらの医薬的に許容し得る塩を開示している。
【0010】
WO2000/61581は、一般式:
【化2】

式中、
(R'、R'')は、(F、F)、(CF、H)または(iPr、iPr)を表す、
で表されるアミン誘導体を、糖尿病、高脂血症、動脈硬化症および癌に有用な物質として開示している。
【0011】
WO00/75106は、一般式:
【化3】

式中、
Zは、
【化4】

(ここで、R90は、水素、C1−12アルキル、C3−8シクロアルキルなどであり、R91は、アミノ−C1−6アルキル、アミノカルボニル−C1−6アルキルまたはヒドロキシアミノカルボニルC1−6アルキルである;そして、
90およびR91は、H、C1−6アルキル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードおよびニトロからなる群から独立して選択される)
を表す;
で表される化合物を、哺乳動物におけるMMP介在性疾患の処置に有用な物質として開示している。
【0012】
WO00/55152は、一般式:
【化5】

式中、
Arは、ヘテロ環であり;
Arは、テトラヒドロナフチルであり;
は、OまたはSであり;そして、
LおよびQは、本明細書で定義の通りである、
で表される化合物を、炎症、免疫関連疾患、疼痛および糖尿病の処置に有用な物質として開示している。
【0013】
しかしながら、これらの参考文献はいずれも、VR1アンタゴニスト活性を有する単純なテトラヒドロ−ナフタレン誘導体を開示していない。
【0014】
有効なVR1アンタゴニスト活性を有し、VR1活性に関連する疾患の予防および処置、特に尿失禁、急迫性尿失禁、過活動膀胱、並びに疼痛、および/または喘息およびCOPDなどの炎症性疾患の処置に使用できる化合物の開発が望まれてきた。
【0015】
発明の概要
本発明は、式(I)のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体、それらの互変体および立体異性体、並びにそれらの塩を提供するものである:
【化6】

式中、
nは、0ないし6の整数を表し;
は、水素またはC1−6アルキルを表し;
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素からなる群から選択される1個または2個の原子により中断されていることもある3員ないし8員の飽和複素環式環を形成し、
ここで、
該飽和複素環式環は、ハロゲン、ベンジル、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、オキソ、アミノカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルおよびC1−6アルキル(ヒドロキシ、カルボキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)からなる群から選択される置換基を有することもあり、
または、
は、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはC1−6アルキル(アミノ、ヒドロキシ、C1−6アルキルアミノまたはジ(C1−6アルキル)アミノにより置換されている)を表し;
は、水素、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはC1−6アルキル(アミノ、ヒドロキシ、C1−6アルキルアミノまたはジ(C1−6アルキル)アミノにより置換されていることもある)を表し;そして、
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキル(1個、2個または3個のハロゲンにより置換されていることもある)またはC1−6アルコキシ(1個、2個または3個のハロゲンにより置換されていることもある)を表す。
【0016】
式(I)のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体、それらの互変体および立体異性体、並びにそれらの塩は、驚くべきことに、優れたVR1アンタゴニスト活性を示す。それ故に、それらは、VR1活性に関連する疾患の予防および処置、特に尿失禁、急迫性尿失禁および/または過活動膀胱の処置にことさらに適する。
【0017】
本発明の化合物は、慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ痛、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性および/または卒中からなる群から選択される疾患、並びに喘息およびCOPDなどの炎症性疾患の処置または予防にも有効である。なぜなら、これらの疾患もVR1活性に関連するからである。
【0018】
本発明の化合物は、神経因性疼痛の処置および予防にも有用である。それは、帯状疱疹にしばしば伴う疼痛および疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性神経障害、神経障害性腰痛、外傷後および術後神経痛、神経圧迫による神経痛および他の神経痛、幻肢痛、複合性局所性疼痛症候群、感染性または傍感染性神経障害(HIV感染に伴うものなど)、中枢神経系障害(多発性硬化症、またはパーキンソン病、または脊椎損傷、または外傷性脳損傷など)に伴う疼痛および卒中後疼痛の形態である。
【0019】
さらに、本発明の化合物は、筋骨格疼痛、即ち、骨関節炎またはリウマチ性関節炎にしばしば伴う疼痛の形態または関節炎の他の形態、および背痛の処置に有用である。
加えて、本発明の化合物は、内臓の癌を含む癌に伴う疼痛、または癌もしくは癌の処置に伴う神経因性疼痛の処置に有用である。
【0020】
本発明の化合物はさらに、例えば、胆石疝痛などの中空の内臓の閉塞症に伴う疼痛、過敏性大腸症候群に伴う疼痛、骨盤痛、陰門痛、睾丸痛または前立腺疼痛などの内臓痛、関節、皮膚、筋肉または神経の炎症性病変に伴う疼痛、口顔の疼痛、および、例えば偏頭痛または緊張型頭痛などの頭痛の処置に有用である。
【0021】
他の実施態様では、式(I)のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体は、式中;
nが、0または1の整数を表し;
が水素を表し;
およびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、酸素および窒素からなる群から選択される1個または2個の原子により中断されていることもある5員ないし7員の飽和複素環式環を形成し、
ここで、
該飽和複素環式環は、ベンジル、ヒドロキシ、カルボキシ、オキソ、アミノカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルおよびC1−6アルキル(ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)からなる群から選択される置換基を有することもあり、
または、
が、C1−6アルキル(ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノまたはジ(C1−6アルキル)アミノにより置換されている)を表し;
が、水素、C1−6アルキル(ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノまたはジ(C1−6アルキル)アミノにより置換されていることもある)を表し;そして、
が、水素、ハロゲン、C1−6アルキル(1個、2個または3個のハロゲンにより置換されていることもある)またはC1−6アルコキシ(1個、2個または3個のハロゲンにより置換されていることもある)を表す、
ものである。
【0022】
式(I)のなお他の実施態様は、式中:
nが、0または1の整数を表し;
が水素を表し;
およびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジニル(オキソにより置換されていることもある)、ピペリジノ(ヒドロキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルまたはC1−6アルキル(ヒドロキシにより置換されていることもある)により置換されていることもある)、ピペラジニル(ベンジルにより置換されていることもある)、ホモピペリジノまたはモルホリニルを形成し、
または、
が、C1−6アルキル(ヒドロキシまたはジ(C1−6アルキル)アミノにより置換されている)を表し;
が、水素またはC1−6アルキルを表し;そして、
が、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−6アルキル(1個、2個または3個のハロゲンにより置換されていることもある)またはC1−6アルコキシを表す、
ものであり得る。
【0023】
より好ましくは、該式(I)のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体は、以下からなる群から選択される:
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−N'−[3−ピペリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−N'−[4−ピロリジン−1−イル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−N'−[3−ピロリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
N−[4−アゼパン−1−イル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)尿素;
N−[3−アゼパン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)尿素;
N−(3−ブロモ−4−ピペリジン−1−イルベンジル)−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)尿素;
N−[(7R)−7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−N'−[3−ピロリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
N−[(7S)−7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−N'−[3−ピロリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−N'−[4−ピペリジン−1−イル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
エチル1−[5−[({[(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)メチル]−2−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−カルボキシレート;
N−[(7R)−7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−N'−[3−モルホリン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素。
【0024】
さらに、本発明は、上記の化合物の1つおよび場合により医薬的に許容し得る賦形剤を含む医薬を提供する。
【0025】
アルキル自体、並びにアルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノおよびアルカノイルアミノ中の「アルカ(アルキ、アルケ、アルコ)」および「アルキル」は、一般的に1個ないし6個、好ましくは1個ないし4個、そして特に好ましくは1個ないし3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表し、例示的に、そして好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルを表す。
【0026】
アルコキシは、例示的に、そして好ましくは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキソキシを表す。
【0027】
アルキルアミノは、例示的に、そして好ましくは、1個または2個の(独立して選択される)アルキル置換基を有するアルキルアミノ基を表し、例示的に、そして好ましくは、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、n−ヘキシル−アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N−t−ブチル−N−メチルアミノ、N−エチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノを表す。
【0028】
本明細書で使用されるヘテロ環および/または複素環は、環中の1個またはそれ以上の原子が硫黄、窒素、酸素などのヘテロ原子である、閉じた環系を示す。適する例には、限定ではないが、ピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、ホモピペリジノ、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフリル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニルなどが含まれる。
【0029】
本発明の実施態様
本発明の式(I)の化合物は、様々な既知方法を組み合わせて製造できるが、それに限定されるものではない。いくつかの実施態様では、出発物質または中間体として使用される化合物のアミノ基、カルボキシル基およびヒドロキシル基などの1個またはそれ以上の置換基を、当業者に既知の保護基により保護するのが有利である。保護基の例は、"Protective Groups in Organic Synthesis (3rd Edition)" by Greene and Wuts, John Wiley and Sons, New York 1999 に記載されている。
【0030】
本発明の式(I)の化合物は、下記方法[A]、[B]、[C]、[D]、[E]、[F]、[G]または[H]により製造できるが、これらに限定されるわけではない。
【0031】
[方法A]
【化7】

式(I)の化合物(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)は、式(II)の化合物(式中、Rは、上記定義と同義である)と式(III)の化合物(式中、Lは、塩素、臭素またはヨウ素原子などのハロゲン原子を表す)を反応させ、次いで、式(IV)の化合物(式中、n、R、RおよびRは、上記定義と同義である)を反応混合物に添加することにより製造できる。
【0032】
反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族性炭化水素類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)およびN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などの尿素類;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類などを含む溶媒中で実行し得る。場合により、2またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0033】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし50℃である。反応は、通常、30分間ないし10時間、好ましくは1ないし24時間実行し得る。
【0034】
反応は、例えば、ピリジン、トリエチルアミンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの有機アミン類、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどを含む塩基の存在下で、有利に実行できる。
【0035】
式(III)および(IV)の化合物は、市販されているか、または既知技法を使用して製造できる。
【0036】
[方法B]
【化8】

式(I)の化合物(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)は、式(II)の化合物(式中、Rは、上記定義と同義である)と式(V)の化合物(式中、n、R、RおよびRは、上記定義と同義である)の反応により製造できる。
【0037】
反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族性炭化水素類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)およびN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などの尿素類;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類などを含む溶媒中で実行し得る。場合により、2またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0038】
反応は、ピリジンまたはトリエチルアミンなどの有機塩基の存在下で実行できる。
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、ほぼ室温ないし100℃である。反応は、通常、30分間ないし48時間、好ましくは1ないし24時間実行し得る。
式(V)の化合物は、既知技法を使用して製造できるか、または、市販されている。
【0039】
[方法C]
【化9】

式(I)の化合物(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)は、式(II)の化合物(式中、Rは、上記定義と同義である)を、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、1,1−カルボニルジイミダゾール(CDI)または1,1'−カルボニルジ(1,2,4−トリアゾール)(CDT)と反応させ、次いで、式(IV)の化合物(式中、n、R、RおよびRは、上記定義と同義である)を反応混合物に添加することにより、製造できる。
【0040】
反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族性炭化水素類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)およびN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などの尿素類;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類などを含む溶媒中で実行し得る。場合により、2またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0041】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし50℃である。反応は、通常、30分間ないし10時間、好ましくは1ないし24時間実行し得る。
ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、CDIおよびCDTは、市販されている。
【0042】
[方法D]
【化10】

式(I)の化合物(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)は、式(IV)の化合物(式中、R、RおよびRは、上記定義と同義である)を、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、1,1−カルボニルジイミダゾール(CDI)または1,1'−カルボニルジ(1,2,4−トリアゾール)(CDT)と反応させ、次いで、式(II)の化合物(式中、Rは、上記定義と同義である)を反応混合物に添加することにより、製造できる。
【0043】
反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族性炭化水素類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)およびN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などの尿素類;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類などを含む溶媒中で実行し得る。場合により、2またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0044】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし50℃である。反応は、通常、30分間ないし10時間、好ましくは1ないし24時間実行し得る。
【0045】
[方法E]
【化11】

式(I)の化合物(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)は、式(IV)の化合物(式中、n、R、RおよびRは、上記定義と同義である)と式(III)の化合物(式中、Lは、上記定義と同義である)を反応させ、次いで、式(II)の化合物(式中、Rは、上記定義と同義である)を反応混合物に添加することにより製造できる。
【0046】
反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族性炭化水素類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)およびN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などの尿素類;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類などを含む溶媒中で実行し得る。場合により、2またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0047】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし50℃である。反応は、通常、30分間ないし10時間、好ましくは1ないし24時間実行し得る。
【0048】
反応は、例えば、ピリジン、トリエチルアミンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンのような有機アミン類、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどの塩基の存在下で、有利に実行できる。
【0049】
[方法F]
【化12】

【0050】
式(I)の化合物(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)は、以下の方法により3段階で製造できる;
段階F−1において、式(VII)の化合物(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)は、式(VI)の化合物(式中、Rは、上記定義と同義である)を式(V)の化合物(式中、n、R、RおよびRは、上記定義と同義である)と、式(I)の化合物の製造のために方法Bで記載したものと同様のやり方で反応させることにより製造できる。
【0051】
段階F−2において、式(VIII)の化合物(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)は、式(VII)の化合物(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)を、塩酸などの酸と反応させることにより製造できる。
【0052】
反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;水などを含む溶媒中で実行し得る。場合により、2またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0053】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし100℃である。反応は、通常、30分間ないし10時間、好ましくは1ないし24時間実行し得る。
【0054】
段階F−3において、式(I)の化合物(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)は、式(VIII)の化合物(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)を、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化リチウムアルミニウムなどの還元剤と反応させることにより製造できる。
【0055】
反応は、例えば、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類などを含む溶媒中で実行し得る。場合により、2またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0056】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし50℃である。反応は、通常、30分間ないし10時間、好ましくは1ないし24時間実行し得る。
化合物(VI)は、市販されているか、または既知技法を使用して製造できる。
【0057】
[方法G]
【化13】

式(I)の化合物(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)は、式(X)の化合物(式中、n、R、R、R、RおよびLは、上記定義と同義である)を、式(IX)の化合物(式中、RおよびRは、上記定義と同義である)と反応させることにより得ることができる。
【0058】
反応は、例えば、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族性炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンなどのアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール類;水などを含む溶媒中で実行し得る。場合により、2またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0059】
反応は、パラジウム触媒などの触媒の存在下で、有利に実行できる。
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし120℃である。反応は、通常、30分間ないし60時間、好ましくは1ないし48時間実行し得る。
【0060】
化合物(X)は、式(I)の化合物の製造のために方法[A]、[B]、[C]、[D]、[E]または[F]で記載したのと同様のやり方で、化合物(IV)または(V)の代わりに化合物(IV’)
【化14】

または(V’)
【化15】

(式中、n、LおよびRは、上記定義と同義である)を使用して製造できる。
【0061】
[方法H]
【化16】

【0062】
化合物(I)の立体異性体のR型(I−i)(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)は、式(II−i)の化合物(式中、Rは、上記定義と同義である)を、式(V)の化合物(式中、n、R、RおよびRは、上記定義と同義である)と、方法Bで式(I)の化合物の製造について記載したものと同様のやり方で反応させることにより製造できる。
【0063】
化合物(I)の立体異性体のS型(I−ii)(式中、n、R、R、RおよびRは、上記定義と同義である)は、式(II−ii)の化合物(式中、Rは、上記定義と同義である)を、式(V)の化合物(式中、n、R、RおよびRは、上記定義と同義である)と、方法Bで式(I)の化合物の製造について記載したものと同様のやり方で反応させることにより製造できる。
化合物(II−i)または(II−ii)は、既知技法により製造できる。
【0064】
式(I)で示される化合物またはその塩が構造中に不斉炭素を有する場合、それらの光学活性化合物およびラセミ混合物も、本発明の範囲に包含される。
【0065】
式(I)で示される化合物の典型的な塩には、本発明の化合物と、無機もしくは有機酸、または有機もしくは無機塩基の反応により製造される塩が含まれる。かかる塩は、各々、酸付加塩および塩基付加塩として知られている。
【0066】
酸付加塩を形成する酸には、限定されないが、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸、および、限定されないが、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、蓚酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などの有機酸が含まれる。
【0067】
塩基付加塩には、限定されないが、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などの無機塩基、および、限定されないが、エタノールアミン、トリエチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどの有機塩基から誘導されるものが含まれる。無機塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどが含まれる。
【0068】
本発明の化合物またはその塩は、その置換基に依存して、低級アルキルエステル類または既知の他のエステル類;および/または水和物または他の溶媒和物を形成するように修飾され得る。それらのエステル類、水和物および溶媒和物は、本発明の範囲に包含される。
【0069】
本発明の化合物は、限定されないが、通常および腸溶性被覆錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、固体および液体エアゾル剤並びに乳剤などの経口形態で投与し得る。それらはまた、限定されないが、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内などの、医薬分野の当業者に周知の非経腸形態で投与し得る。本発明の化合物は、適切な鼻腔内媒体の局所使用を介して鼻腔内形態で、または当業者に周知の経皮送達システムを使用して経皮経路で、投与できる。
【0070】
本発明の化合物の使用を伴う投薬法は、限定されないが、受容者の年齢、体重、性別および健康状態、処置しようとする症状の重篤度、投与経路、受容者の代謝および排出機能のレベル、採用する投与形態、採用する特定の化合物およびその塩などを含む様々な要因を考慮して、当業者により選択される。
【0071】
本発明の化合物は、好ましくは、投与に先立ち、1またはそれ以上の医薬的に許容し得る賦形剤と一緒に製剤される。賦形剤は、限定されないが、担体、希釈剤、着香料、甘味料、潤滑剤、可溶化剤、懸濁剤、結合剤、錠剤崩壊剤およびカプセル化材料などの不活性物質である。
【0072】
本発明のなお別の実施態様は、本発明の化合物および1またはそれ以上の医薬的に許容し得る賦形剤を含む医薬製剤である。賦形剤は、製剤の他の成分と適合し、その受容者に有害でないものである。本発明の医薬製剤は、治療的有効量の本発明の化合物と、1またはそれ以上の医薬的に許容し得る賦形剤を一緒に合わせることにより製造する。本発明の組成物の作成において、有効成分を希釈剤と混合し得、あるいは、カプセル、小袋、紙または他の容器の形態であり得る担体に封入し得る。担体は、媒体として作用する固体、半固体または液体の物質であり得る希釈剤として役立ち得るか、または、錠剤、丸剤、粉末剤、トローチ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアゾル剤、軟膏(例えば10重量%までの活性化合物を含有する)、ソフトおよびハードゼラチンカプセル剤、座剤、滅菌注射可能液剤および滅菌包装粉末剤の形態であり得る。
【0073】
経口投与のために、有効成分を、限定されないが、乳糖、デンプン、ショ糖、ブドウ糖、炭酸ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、メチルセルロースなどの経口用、非毒性、医薬的に許容し得る担体と;場合により、限定されないが、トウモロコシ、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタン・ガム、アルギン酸などの崩壊剤と;そして、場合により、例えば、限定されないが、ゼラチン、天然糖、ベータ−乳糖、トウモロコシ甘味料、天然および合成ゴム、アカシア、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、蝋などの結合剤と;そして、場合により、例えば、限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、タルクなどの潤滑剤と、合わせ得る。
【0074】
粉末形態では、担体は、微粉化した固体であり得、それを微粉化した有効成分と混合する。有効成分は、結合特性を有する担体と適切な割合で混合し得、錠剤を製造するのに望ましい形状とサイズに成形し得る。粉末剤および錠剤は、好ましくは、約1ないし約99重量パーセントの、本発明の新規組成物である有効成分を含有する。適する固体担体は、マグネシウムカルボキシメチルセルロース、低融点蝋およびココアバターである。
【0075】
滅菌液体製剤には、懸濁剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。有効成分は、滅菌水、滅菌有機溶媒、または滅菌水と滅菌有機溶媒の両方の混合物などの、医薬的に許容し得る担体に溶解または懸濁できる。
【0076】
有効成分はまた、例えば、水性プロピレングリコールなどの適する有機溶媒に溶解することができる。他の組成物は、微粉化した有効成分を、水性デンプンもしくはナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液または適切な油に分散させることにより作成できる。
【0077】
製剤は、単位剤型であり得る。それは、ヒトまたは他の哺乳動物への投与に適する単位用量を含有する、物理的に別個の単位である。単位剤型は、1個のカプセル剤もしくは錠剤、または数個のカプセル剤もしくは錠剤であり得る。「単位用量」は、1またはそれ以上の賦形剤と共に所望の治療効果を奏するために算出された、予め定めた本発明の活性化合物の量である。単位用量中の有効成分の量は、関与する特定の処置に従い、約0.1ないし約1000ミリグラムまたはそれ以上の範囲で変動し得、またはそれに合わせ得る。
【0078】
典型的な本発明の経口用量は、指示された効果のために使用するとき、約0.01mg/kg/日ないし約100mg/kg/日、好ましくは、0.1mg/kg/日ないし30mg/kg/日、最も好ましくは、約0.5mg/kg/日ないし約10mg/kg/日の範囲にある。非経腸投与の場合、約0.001ないし100mg/kg/日、好ましくは0.01mg/kg/日ないし1mg/kg/日の量を投与するのが有利であることが、一般的に証明された。本発明の化合物は、一日量で投与してもよく、あるいは、総一日量を、一日に2回、3回またはそれ以上に分割された用量で投与してもよい。送達が経皮形態を介する場合、当然、投与は連続的である。
【0079】
実施例
本発明を実施例の形態として説明するが、それらは決して本発明の境界および限界を定義するものと解釈されるべきではない。
下記実施例では、断りのない限り、全ての量的データは重量パーセントに関する。
【0080】
質量分析は、エレクトロスプレー(ES)イオン化法(micromass Platform LC)を使用して得た。融点は無補正である。液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)のデータは、Shimadzu Phenomenex ODS カラム(4.6mmφ X 30mm)を備えた Micromass Platform LC で記録し、アセトニトリル−水(9:1ないし1:9)の混合物を、流速1ml/分で流した。TLCは、予め被覆したシリカゲルプレート(Merck silica gel 60 F-254) 上で実施した。シリカゲル(WAKO−ゲルC−200(75−150μm))を、全てのカラムクロマトグラフィー分離に使用した。全化学物質は試薬等級であり、Sigma-Aldrich、和光純薬株式会社、英国、東京化成工業株式会社、ナカライテスク株式会社、渡辺化学工業株式会社、Maybridge plc、Lancaster Synthesis Ltd.、Merck KgaA、ドイツ、Kanto Chemical Co., Ltd.から購入した。
【0081】
H NMRスペクトルは、Bruker DRX-300 (1Hに300 MHz) 分光計またはBrucker 500 UltraShieled(商標)(1Hに500 MHz)のいずれかを使用して記録した。化学シフトを、テトラメチルシラン(TMS)をゼロppmでの内部標準として、百万分率(ppm)で報告する。結合定数(J)は、ヘルツで示し、略号s、d、t、q、mおよびbrは、各々、一重線、二重線、三重線、四重線、多重線および幅広(broad)を意味する。質量決定は、MAT95 (Finnigan MAT)により実行した。
全出発物質は、市販されているか、文献に記載されている方法を使用して製造できる。
【0082】
本化合物の効果を、以下のアッセイおよび薬理試験により調べた。
[ヒトVR1−形質移入CHO細胞株におけるカプサイシン誘導Ca2+流入の測定](アッセイ1)
(1)ヒトVR1−CHOluc9aeq細胞株の樹立
ヒトバニロイド受容体(hVR1)cDNAを、軸索切断された後根神経節のライブラリーからクローニングした(WO00/29577)。クローニングしたhVR1cDNAを、pcDNA3ベクターで構築し、CHOluc9aeq細胞株に形質移入した。細胞株は、エクオリンおよびCREルシフェラーゼレポーター遺伝子を読み出しシグナルとして有する。形質移入体を、選択培地(10%FCS、1.4mMピルビン酸ナトリウム、20mM HEPES、0.15%重炭酸ナトリウム、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、2mMグルタミン、非必須アミノ酸および2mg/ml G418を添加したDMEM/F12培地(Gibco BRL))中での限界希釈によりクローニングした。Ca2+流入をカプサイシン刺激クローンで調べた。高応答クローンを選択し、本プロジェクトにおけるさらなる実験に使用した。ヒトVR1−CHOluc9aeq細胞を選択培地で維持し、3−4日毎に1−2.5x10細胞/フラスコ(75mm)で植え継いだ。
【0083】
(2)FDSS−3000を使用するCa2+流入の測定
ヒトVR1−CHOluc9aeq細胞を、G418以外は選択培地と同じである培養培地に懸濁し、1ウェルにつき1,000細胞の密度で384ウェルプレート(黒壁、透明底/Nalge Nunc International)に播いた。48時間培養した後、培地を2μM Fluo−3AM(Molecular Probes) および0.02% Puronic F-127 を含むアッセイ緩衝液(ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、17mM HEPES(pH7.4)、1mMプロベネシド、0.1%BSA)に換え、細胞を60分間25℃でインキュベートした。アッセイ緩衝液で2回洗浄した後、細胞を試験化合物または媒体(vehicle)と20分間25℃でインキュベートした。細胞質Ca2+の流動を、FDSS−3000(λex=488nm、λem=540nm/浜松ホトニクス)で、10nMカプサイシンによる刺激の後、60秒間測定した。積分値Rを算出し、対照と比較した。
【0084】
[初代培養したラット後根神経節ニューロンにおけるカプサイシン誘導Ca2+流入の測定](アッセイ2)
(1)ラット後根神経節ニューロンの調製
新生Wisterラット(5−11日齢)を犠牲にし、後根神経節(DRG)を取り出した。DRGを、0.1%トリプシン(Gibco BRL)を含むPBS(−)(Gibco BRL)と、30分間37℃でインキュベートし、半量のウシ胎児血清(FCS)を添加し、細胞を遠沈した。DRG神経細胞をHam F12/5%FCS/5%ウマ血清(Gibco BRL)に再懸濁し、ピペッティングと70μmメッシュ(Falcon)の通過を繰り返して分散させた。培養プレートを3時間37℃でインキュベートし、混入しているシュワン細胞を除去した。非接着細胞を回収し、ラミニン被覆384ウェルプレート(Nunc)中、1x10細胞/50μl/ウェルで、2日間、50ng/ml組換えラットNGF(Sigma)および50μM5−フルオロデオキシウリジン(Sigma)の存在下で、さらに培養した。
【0085】
(2)Ca2+流動アッセイ
DRG神経細胞を、17mM HEPES(pH7.4)および0.1%BSAを添加したHBSSで2回洗浄した。2μM fluo−3AM(Molecular Probe)、0.02%PF127(Gibco BRL)および1mMプロベネシド(Sigma)と、40分間37℃でインキュベートした後、細胞を3回洗浄した。細胞をFDSS−6000(λex=480nm、λem=520nm/浜松ホトニクス)中で、VR1アンタゴニストまたは媒体(ジメチルスルホキシド)と、次いで1μMカプサイシンとインキュベートした。480nmでの蛍光の変化を2.5分間モニターした。積分値Rを算出し、対照と比較した。
【0086】
[カプサイシン誘導膀胱収縮を測定するための器官浴アッセイ](アッセイ3)
雄のWistarラット(10週齢)を、エーテルで麻酔し、首を脱臼させて犠牲にした。全膀胱を摘出し、酸素を含ませた以下の組成(112mM NaCl、5.9mM KCl、1.2mM MgCl、1.2mM NaHPO、2mM CaCl、2.5mM NaHCO、12mMグルコース)の修正クレブス・ヘンゼライト液(pH7.4)に入れた。以前に記載された通りに膀胱の収縮反応を調査した [Maggi CA et al: Br.J.Pharmacol. 108: 801-805, 1993]。ラット排尿筋の縦方向の細長い切片を使用して、1g負荷下での等尺性張力を記録した。各刺激の前に、膀胱切片を60分間平衡化した。80mM KClに対する収縮反応を、再現性のある反応が得られるまで、15分間隔で測定した。KClに対する反応を、カプサイシンに対する最大反応を評価する内部標準として使用した。1μMカプサイシンによる刺激に先立ち、切片を化合物と30分間インキュベートすることにより、化合物の効果を調べた(媒体:80%塩水、10%EtOHおよび10%Tween80)。同じ動物から作成された標本の1つを対照として供し、他を化合物の評価に使用した。内部標準(即ち、KCl誘導収縮)に対する各カプサイシン誘導収縮の比を算出し、カプサイシン誘導収縮に対する試験化合物の効果を評価した。
【0087】
[ヒトP2X1形質移入CHO細胞株におけるCa2+流入の測定]
(1)ヒトP2X1形質移入CHOluc9aeq細胞株の調製
ヒトP2X1形質移入CHOluc9aeq細胞株を樹立し、7.5%FCS、20mM HEPES−KOH(pH7.4)、1.4mMピルビン酸ナトリウム、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、2mMグルタミン(Gibco BRL)および0.5ユニット/mlアピラーゼ(等級I、Sigma)を添加したダルベッコ修正イーグル培地(DMEM/F12)中で維持した。懸濁した細胞を、384ウェル光学底黒色プレート(Nalge Nunc International)の各ウェルに3x10/50μl/ウェルで播いた。続いて48時間細胞を培養し、プレートに接着させた。
【0088】
(2)細胞内Ca2+レベルの測定
P2X1受容体アゴニストに媒介される細胞質Ca2+レベルの上昇を、蛍光Ca2+キレート化染料であるFluo−3AM(Molecular Probes)を使用して測定した。プレートに接着した細胞を洗浄緩衝液(HBSS、17mM HEPES−KOH(pH7.4)、0.1%BSAおよび0.5ユニット/mlアピラーゼ)で2回洗浄し、40μlのロード用(loading)緩衝液(洗浄緩衝液中、1mM Fluo−3AM、1mMプロベネシド、1μMシクロスポリンA、0.01%プルロニック(Molecular Probes))中、1時間、暗所でインキュベートした。プレートを40μlの洗浄緩衝液で2回洗浄し、35μlの洗浄緩衝液を、5μlの試験化合物または基準としての2',3'−o−(2,4,6−トリニトロフェニル)アデノシン5'−三リン酸(Molecular Probes)と共に、各ウェルに添加した。さらに10分間暗所でインキュベートした後、200nMα,β−メチレンATPアゴニストを添加し、Ca2+流動を開始させた。蛍光強度を、FDSS−6000(λex=410nm、λem=510nm/浜松ホトニクス)により250msec間隔で測定した。データから積分比を算出し、対照のものと比較した。
【0089】
[麻酔ラットにおけるカプサイシン誘導膀胱収縮の測定](アッセイ4)
(1)動物
雌のSprague−Dawleyラット(200〜250g/日本チャールズ・リバー)を使用した。
(2)カテーテル移植
1.2g/kgのウレタン(Sigma)の腹腔内投与により、ラットを麻酔した。正中切開により腹部を切開し、円蓋部を通してポリエチレンカテーテル(BECTON DICKINSON, PE50)を膀胱に移植した。並行して、鼠径部を切開し、2IU/mlのヘパリン(Novo Heparin, Aventis Pharma)を含む塩水(Otsuka)を満たしたポリエチレンカテーテル(Hibiki、サイズ5)を、総腸骨動脈に挿入した。
【0090】
(3)膀胱計量(cystometric)調査
T管を介して膀胱カテーテルを圧力変換器(Viggo-Spectramed Pte Ltd, DT-XXAD)およびマイクロインジェクションポンプ(TERUMO)に連結した。塩水を室温で膀胱に2.4ml/時の速度で注入した。膀胱内圧をチャートペンレコーダー(Yokogawa)で継続的に記録した。20分間に相当する少なくとも3回の再現性のある排尿サイクルを、試験化合物投与前に記録し、ベースライン値として使用した。
【0091】
(4)試験化合物の投与とカプサイシンによる膀胱刺激
化合物を投与する前に、塩水注入を停止した。エタノール、Tween80(ICN Biomedicals Inc.)および塩水(1:1:8、v/v/v)の混合物に溶解した試験化合物を、動脈内に10mg/kgで投与した。化合物の投与から2分後、エタノールに溶解したカプサイシン(Nacalai Tesque)10μgを動脈内投与した。
【0092】
(5)膀胱計量パラメーターの分析
カプサイシン誘導膀胱内圧の相対的上昇を、膀胱計量データから分析した。カプサイシン誘導膀胱圧を、カプサイシン刺激のない排尿中の最大膀胱圧と比較した。試験化合物に媒介される膀胱圧上昇の阻害を、スチューデントのt検定を使用して評価した。5%より小さい確率水準を、有意差と認めた。
【0093】
[麻酔した膀胱炎のラットにおける過活動膀胱の測定](アッセイ5)
(1)動物
雌のSprague−Dawleyラット(180〜250g/日本チャールズ・リバー)を使用した。塩水に溶解したシクロホスファミド(CYP)を実験の48時間前に150mg/kgで腹腔内投与した。
【0094】
(2)カテーテル移植
1.25g/kgのウレタン(Sigma)の腹腔内投与により、ラットを麻酔した。正中切開により腹部を切開し、円蓋部を通してポリエチレンカテーテル(BECTON DICKINSON, PE50)を膀胱に移植した。並行して、鼠径部を切開し、塩水(Otsuka)を満たしたポリエチレンカテーテル(BECTON DICKINSON, PE50)を、大腿静脈に挿入した。膀胱が空になった後、手術からの回復のためにラットを1時間放置した。
【0095】
(3)膀胱計量調査
T管を介して膀胱カテーテルを圧力変換器(Viggo-Spectramed Pte Ltd, DT-XXAD)およびマイクロインジェクションポンプ(TERUMO)に連結した。塩水を室温で膀胱に3.6ml/時の速度で20分間注入した。膀胱内圧をチャートペンレコーダー(Yokogawa)で継続的に記録した。20分間に相当する少なくとも3回の再現性のある排尿サイクルを、試験化合物投与前に記録した。
【0096】
(4)試験化合物の投与
エタノール、Tween80(ICN Biomedicals Inc.)および塩水(1:1:8、v/v/v)の混合物に溶解した試験化合物を、静脈内に0.05mg/kg、0.5mg/kgまたは5mg/kgで投与した。化合物の投与から3分後、塩水(Nacalai Tesque)を室温で膀胱に3.6ml/時の速度で注入した。
【0097】
(5)膀胱計量パラメーターの分析
膀胱計量パラメーターを以前に記載された通りに分析した [Lecci A et al: Eur. J. Pharmacol. 259: 129-135, 1994]。排尿間隔から算出した排尿頻度と、最初の排尿までの塩水注入量から算出した膀胱容量を、膀胱計量データから分析した。試験化合物に媒介される頻度の阻害と、試験化合物に媒介される膀胱容量の増大を、対応のない(unpaired)スチューデントのt検定を使用して評価した。5%より小さい確率水準を、有意差と認めた。データを、4−7匹のラットの平均±SEMとして分析した。
【0098】
[急性疼痛の測定]
急性疼痛は、ホットプレート上で、主にラットで測定する。ホットプレート試験の2つの変法を使用する:古典的変法では、動物を熱い表面(52ないし56℃)に置き、動物が足踏みしたり足をなめたりするなどの侵害受容行動を示すまで、潜時を測定する。他方の変法は、温度上昇ホットプレートであり、実験動物を中間的な温度の表面に置く。続いて、動物が後足をなめ始めるまで、この表面をゆっくりとしかし絶えず加熱する。後足をなめ始めた時に達する温度が、疼痛閾値の測定値である。
【0099】
化合物を、媒体処置対照群と対照して試験する。疼痛試験に先立ち、様々な時点で、様々な投与経路(i.v.、i.p.、p.o.、i.t.、i.c.v.、s.c.、皮内、経皮)を介して、物質投与を実施する。
【0100】
[持続性疼痛の測定]
ホルマリンまたはカプサイシン試験で、持続性疼痛を主にラットで測定する。1ないし5%ホルマリンまたは10ないし100μgカプサイシンの溶液を実験動物の一方の後足に注射する。ホルマリンまたはカプサイシン適用の後、動物は、冒された足をひいたり、なめたり、噛んだりするなどの侵害受容反応を示す。90分間までの時間枠内における侵害受容反応の数が、疼痛強度の測定値である。
【0101】
化合物を、媒体処置対照群と対照して試験する。ホルマリンまたはカプサイシン投与に先立ち、様々な時点で、様々な投与経路(i.v.、i.p.、p.o.、i.t.、i.c.v.、s.c.、皮内、経皮)を介して、物質投与を実施する。
【0102】
[神経因性疼痛の測定]
片側性坐骨神経損傷の様々な変法により、主にラットで神経因性疼痛を誘導する。手術は、麻酔下で実施する。坐骨神経損傷の第1の変法は、ゆるく収縮する結紮糸を総坐骨神経(common sciatic nerve)のまわりに配置することにより成す (Bennett and Xie, Pain 33 (1988): 87-107)。第2の変法は、総坐骨神経の直径の約半分の緊密な結紮である (Seltzer et al., Pain 43 (1990): 205-218)。次の変法では、緊密な結紮または切断を、L5およびL6脊髄神経か、またはL5脊髄神経のみかのいずれかに施すモデル群を使用する (KIM SH; CHUNG JM, AN EXPERIMENTAL-MODEL FOR PERIPHERAL NEUROPATHY PRODUCED BY SEGMENTAL SPINAL NERVE LIGATION IN THE RA, PAIN 50 (3) (1992): 355-363)。第4の変法は、坐骨神経の3本の末端枝のうちの2本(脛骨神経および総腓骨神経(common peroneal nerve))の軸索切断を含み、残りの腓腹神経はそのままにしておく。一方、最後の変法は、脛骨枝の軸索切断のみを含み、腓腹神経および総腓骨神経は無傷にしておく。対照動物は、偽手術処置する。
【0103】
術後、神経損傷動物は、慢性の機械誘発異痛(mechanical allodynia)、冷感異痛(cold allodynia)、並びに熱痛覚過敏を発症する。機械誘発異痛は、圧力変換器 (electronic von Frey Anesthesiometer, IITC Inc.-Life Science Instruments, Woodland Hills, SA, USA; Electronic von Frey System, Somedic Sales AB, Hoerby, Sweden) を利用して測定する。熱痛覚過敏は、放射熱源(Plantar Test, Ugo Basile, Comerio, Italy)を利用するか、または、5ないし10℃のコールドプレートを利用して測定し、冒された後足の侵害防御反応を疼痛強度の測定値として計測する。冷感誘導疼痛のさらなる試験は、冒された後脚にアセトンを足底投与した後の、侵害防御反応または侵害防御反応の期間の計測である。一般に、慢性疼痛は、活動の概日リズムを記録することにより(Surjo and Arndt, Universitaet zu Koeln, Cologne, Germany)、そして、歩行の差異をスコア付けすることにより (足跡パターン; FOOTPRINTS program, Klapdor et al., 1997. A low cost method to analyse footprint patterns. J. Neurosci. Methods 75, 49-54)、評価する。
【0104】
化合物を、偽手術対照群および媒体処置対照群と対照して試験する。疼痛試験に先立ち、様々な時点で、様々な投与経路(i.v.、i.p.、p.o.、i.t.、i.c.v.、s.c.、皮内、経皮)を介して、物質投与を実施する。
【0105】
[炎症性疼痛の測定]
炎症性疼痛は、一方の後足に0.75mgカラゲナンまたはフロイントの完全アジュバントを注射することにより、主にラットで誘導する。動物は、機械誘発異痛を伴う浮腫および熱痛覚過敏を発症する。機械誘発異痛は、圧力変換器(electronic von Frey Anesthesiometer, IITC Inc.-Life Science Instruments, Woodland Hills, SA, USA) を利用して測定する。熱痛覚過敏は、放射熱源 (Plantar Test, Ugo Basile, Comerio, Italy, Paw thermal stimulator, G. Ozaki, University of California, USA)を利用して測定する。浮腫の測定のために、2つの方法を使用する。第1の方法では、動物を犠牲にし、冒された後足を切片にし、重さを量る。第2の方法は、肢体容積計(plethysmometer;Ugo Basile, Comerio, Italy)における水との置き換えを測定することによる、後足体積の差異を含む。
【0106】
化合物を、非炎症対照群および媒体処置対照群と対照して試験する。疼痛試験に先立ち、様々な時点で、様々な投与経路(i.v.、i.p.、p.o.、i.t.、i.c.v.、s.c.、皮内、経皮)を介して、物質投与を実施する。
【0107】
[糖尿病性神経因性疼痛の測定]
50ないし80mg/kgストレプトゾトシンの単回腹腔内注射で処置したラットは、1ないし3週間の内に根深い高血糖および機械誘発異痛を発症する。機械誘発異痛は、圧力変換器 (electronic von Frey Anesthesiometer, IITC Inc.-Life Science Instruments, Woodland Hills, SA, USA) を利用して測定する。
【0108】
化合物を、糖尿病および非糖尿病の媒体処置対照群と対照して試験する。疼痛試験に先立ち、様々な時点で、様々な投与経路(i.v.、i.p.、p.o.、i.t.、i.c.v.、s.c.、皮内、経皮)を介して、物質投与を実施する。
【0109】
ヒトVR1−形質移入CHO細胞株におけるカプサイシン誘導Ca2+流入のIC50の結果を、下記の実施例および実施例の表に示す。データは、固相合成により得られたままの化合物に対応し、従って、約40ないし90%の純度レベルに対応する。実用的な理由から、化合物を以下の通りに4つの活性等級にグループ分けする:
IC50=A(<または=)0.1μM<B(<または=)0.5μM<C(<または=)1μM<D
本発明の化合物はまた、上記の他のアッセイ2−5において、優れた選択性と強い活性を示す。
【0110】
以下の部において融点で使用されるZは、分解を示す。
【0111】
化合物の製造
[出発化合物A]
(7−エトキシ−5,8−ジヒドロナフタレン−1−イル)アミン
【化17】

テトラヒドロフラン(1000mL)中の8−アミノ−2−ナフトール(50.0g、314mmol)の撹拌溶液に、ジ−t−ブチルジカルボネート(68.6g、314mmol)を添加した。混合物を70℃で18時間撹拌した。混合物を室温に冷却した後、溶媒を減圧下で除去した。残渣に酢酸エチルを添加し、飽和炭酸ナトリウム水性溶液で、次いで水で洗浄した。抽出した有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣にジイソプロピルエーテルを添加し、沈殿を濾過し、乾燥させ、tert−ブチル(7−ヒドロキシ−1−ナフチル)カルバメート(64.2g、収率79%)を得た。
【0112】
次に、無水DMF300mL中のtert−ブチル(7−ヒドロキシ−1−ナフチル)カルバメート(64.0g、247mmol)および炭酸セシウム(161g、493mmol)の混合物に、ヨードエタン(42.3g、272mmol)を室温で添加した。混合物を60℃で2時間撹拌した。混合物に水を添加し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣にジイソプロピルエーテルを添加し、沈殿を回収し、乾燥させ、tert−ブチル(7−エトキシ−1−ナフチル)カルバメート(47.9g、収率67.5%)を得た。
【0113】
次に、無水1,4−ジオキサン100mL中のtert−ブチル(7−エトキシ−1−ナフチル)カルバメート(47.9g、167mmol)の溶液に、1,4−ジオキサン(100mL)中の4N HClを0℃で添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。ジイソプロピルエーテルを反応混合物に添加し、沈殿を濾過した。得られた固体に飽和重炭酸ナトリウムを添加し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、(7−エトキシ−1−ナフチル)アミン(27.0g、収率86.3%)を得た。
【0114】
次に、テトラヒドロフラン(20mL)中の(7−エトキシ−1−ナフチル)アミン(1.80g、9.61mmol)およびt−ブタノール(2.13g、28.8mmol)の混合物を含有するフラスコに、液体状アンモニア(300mL)を−78℃で集めた。混合物にリチウム(0.200g、28.8mmol)を30分間かけて添加し、−78℃で1時間撹拌した。メタノールおよび水を添加し、混合物を室温で16時間撹拌し、アンモニアを蒸発させた。得られた残渣に酢酸エチルを添加した。有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、(7−エトキシ−5,8−ジヒドロナフタレン−1−イル)アミン(1.37g、収率76%)を得た。
【0115】
[出発化合物B]
8−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール
【化18】

テトラヒドロフラン(30mL)中の(7−エトキシ−5,8−ジヒドロナフタレン−1−イル)アミン(1.07g、5.65mmol)の撹拌溶液に、水性2N HCl溶液(10mL)を添加し、40℃で1時間撹拌した。混合物を重炭酸ナトリウムの添加により中和し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、8−アミノ−3,4−ジヒドロナフタレン−2(1H)−オン(0.71g、収率78%)を得た。
【0116】
次に、メタノール(10mL)中の8−アミノ−3,4−ジヒドロナフタレン−2(1H)−オン(0.050g、0.318mmol)に、水素化ホウ素ナトリウム(0.030g、0.175mmol)を0℃で添加し、混合物を1時間撹拌した。混合物を水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、8−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−オール(0.037g、収率71%)を得た。
【0117】
[出発化合物C]
8−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オールのキラルエナンチオマー
【化19】

脱気イソプロパノール中のベンゼンルテニウム(II)クロリドダイマー(3.10mg、0.006mmol)および(1S,2R)−(−)−cis−1−アミノ−2−インダノール(3.7mg、0.025mmol)の撹拌溶液を、80℃で20分間アルゴン下に加熱した。混合物をイソプロパノール(3mL)中の8−アミノ−3,4−ジヒドロナフタレン−2(1H)−オン(50mg、0.310mmol)の溶液に室温で添加した。イソプロパノール(1mL)中の水酸化カリウム(3.48mg、0.062mmol)の溶液を添加し、混合物を45℃で1時間撹拌した。混合物をシリカゲルに通し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、8−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オールのキラルエナンチオマー(33.0mg、収率65%)を得た。
【0118】
[出発化合物D]
[3−ピペリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]アミン
【化20】

3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(300mg、1.59mmol)のDMSO溶液(5.0mL)に、ピペリジン(675mg、7.93mmol)を添加し、混合物を43時間55℃で撹拌した。混合物を室温に冷却した後、酢酸エチルを添加し、水、次いで塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製し、3−ピペリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(353mg、収率88%)を得た。
【0119】
次に、テトラヒドロフラン(5.0mL)中の水素化リチウムアルミニウム(44.8mg、1.18mmol)の懸濁液に、3−ピペリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(100.0mg、0.39mmol)を0℃で添加した。混合物を0℃で1時間、室温で14時間撹拌した。混合物に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(メタノール:酢酸エチル=1:2)により精製し、[3−ピペリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]アミン(46.8mg、収率46%)を得た。
【0120】
[出発化合物E]
フェニル(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)カルバメート
【化21】

THF1.0mL中の8−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール(30.0mg、0.18mmol)およびピリジン(21.8mg、0.28mmol)の撹拌溶液に、フェニルクロロホルメート(30.2mg、0.19mmol)を添加し、混合物を1時間室温で撹拌した。生成物の混合物に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルおよびヘキサンでトリチュレートし、フェニル(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)カルバメート(25.2mg、収率48%)を得た。
【0121】
実施例1−1
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−N'−[3−ピペリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素
【化22】

(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)カルバメート(41.1mg、0.15mmol)のDMSO溶液(1.0mL)に、[3−ピペリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]アミン(45.0mg、0.17mmol)を室温で添加した。混合物を1時間撹拌し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、次いで塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。生じた固体をジエチルエーテルで洗浄し、N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−N'−[3−ピペリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素(44.6mg、収率69%)を得た。
1H NMR (300M Hz, アセトン); δ 1.56 - 1.70 (7H, m), 1.96 (1H, m), 2.49 (1H, dd), 2.75 (1H, m), 2.84 - 2.96 (6H, m), 4.05 (1H, m), 4.46 (2H, d), 6.67 (1H, brt), 6.79 (1H, d), 7.03 (1H, t), 7.26 (1H, d), 7.33 (1H, s), 7.48 (1H, s), 7.59 (1H, d), 7.67 (1H, d).
mp162.9℃;
分子量:447.50
MS(M+H):448
活性等級:A
【0122】
実施例1−1に記載のものと同様のやり方で、表1に示す実施例1−2ないし1−28の化合物を合成した。
表1
【表1】

【0123】
【表2】

【0124】
【表3】

【0125】
【表4】

【0126】
【表5】

【0127】
【表6】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

式中、
nは、0ないし6の整数を表し;
は、水素またはC1−6アルキルを表し;
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、酸素、硫黄および窒素からなる群から選択される1個または2個の原子により中断されていることもある3員ないし8員の飽和複素環式環を形成し、
ここで、
該飽和複素環式環は、ハロゲン、ベンジル、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、オキソ、アミノカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルおよびC1−6アルキル(ヒドロキシ、カルボキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)からなる群から選択される置換基を有することもあり、
または、
は、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはC1−6アルキル(アミノ、ヒドロキシ、C1−6アルキルアミノまたはジ(C1−6アルキル)アミノにより置換されている)を表し;
は、水素、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはC1−6アルキル(アミノ、ヒドロキシ、C1−6アルキルアミノまたはジ(C1−6アルキル)アミノにより置換されていることもある)を表し;そして、
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキル(1個、2個または3個のハロゲンにより置換されていることもある)またはC1−6アルコキシ(1個、2個または3個のハロゲンにより置換されていることもある)を表す、
のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体、その互変体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【請求項2】
式中、
nが、0または1の整数を表し;
が水素を表し;
およびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、酸素および窒素からなる群から選択される1個または2個の原子により中断されていることもある5員ないし7員の飽和複素環式環を形成し、
ここで、
該飽和複素環式環は、ベンジル、ヒドロキシ、カルボキシ、オキソ、アミノカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルおよびC1−6アルキル(ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)からなる群から選択される置換基を有することもあり、
または、
が、C1−6アルキル(ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノまたはジ(C1−6アルキル)アミノにより置換されている)を表し;
が、水素、C1−6アルキル(ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノまたはジ(C1−6アルキル)アミノにより置換されていることもある)を表し;そして、
が、水素、ハロゲン、C1−6アルキル(1個、2個または3個のハロゲンにより置換されていることもある)またはC1−6アルコキシ(1個、2個または3個のハロゲンにより置換されていることもある)を表す、
請求項1に記載の式(I)のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体、その互変体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【請求項3】
式中、
nが、0または1の整数を表し;
が水素を表し;
およびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジニル(オキソにより置換されていることもある)、ピペリジノ(ヒドロキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルまたはC1−6アルキル(ヒドロキシにより置換されていることもある)により置換されていることもある)、ピペラジニル(ベンジルにより置換されていることもある)、ホモピペリジノまたはモルホリニルを形成し、
または、
が、C1−6アルキル(ヒドロキシまたはジ(C1−6アルキル)アミノにより置換されている)を表し;
が、水素またはC1−6アルキルを表し;そして、
が、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−6アルキル(1個、2個または3個のハロゲンにより置換されていることもある)またはC1−6アルコキシを表す、
請求項1に記載の式(I)のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体、その互変体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【請求項4】
該式(I)のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体が、
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−N'−[3−ピペリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−N'−[4−ピロリジン−1−イル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−N'−[3−ピロリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
N−[4−アゼパン−1−イル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)尿素;
N−[3−アゼパン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)尿素;
N−(3−ブロモ−4−ピペリジン−1−イルベンジル)−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)尿素;
N−[(7R)−7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−N'−[3−ピロリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
N−[(7S)−7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−N'−[3−ピロリジン−1−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−N'−[4−ピペリジン−1−イル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
エチル1−[5−[({[(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)メチル]−2−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−カルボキシレート;
N−[(7R)−7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−N'−[3−モルホリン−4−イル−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素
からなる群から選択される、請求項1に記載の式(I)のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体、その互変体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体、その互変体もしくは立体異性体、またはその生理的に許容し得る塩を有効成分として含む、医薬。
【請求項6】
1またはそれ以上の医薬的に許容し得る賦形剤をさらに含む、請求項5に記載の医薬。
【請求項7】
該式(I)のテトラヒドロ−ナフタレン誘導体、その互変体もしくは立体異性体、またはその生理的に許容し得る塩がVR1アンタゴニストである、請求項5に記載の医薬。
【請求項8】
泌尿器系障害または疾患の処置および/または予防のための、請求項5に記載の医薬。
【請求項9】
該泌尿器系障害または疾患が急迫性尿失禁または過活動膀胱である、請求項8に記載の医薬。
【請求項10】
疼痛の処置および/または予防のための、請求項5に記載の医薬。
【請求項11】
該疼痛が、慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛または関節リウマチ痛である、請求項11に記載の医薬。
【請求項12】
疼痛に関連する障害または疾患の処置および/または予防のための、請求項5に記載の医薬。
【請求項13】
該疼痛に関連する障害または疾患が、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性または卒中である、請求項12に記載の医薬。
【請求項14】
炎症性障害または疾患の処置および/または予防のための、請求項5に記載の医薬。
【請求項15】
該炎症性障害または疾患が、喘息またはCOPDである、請求項14に記載の医薬。
【請求項16】
泌尿器系障害または疾患の処置および/または予防のための医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項17】
疼痛の処置および/または予防のための医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項18】
炎症性障害または疾患の処置および/または予防のための医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項19】
VR1アンタゴニスト的に有効な量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物を投与することによる、ヒトおよび動物における泌尿器系障害または疾患の制御方法。
【請求項20】
VR1アンタゴニスト的に有効な量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物を投与することによる、ヒトおよび動物における疼痛の制御方法。
【請求項21】
VR1アンタゴニスト的に有効な量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物を投与することによる、ヒトおよび動物における炎症性障害または疾患の制御方法。

【公表番号】特表2006−509017(P2006−509017A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557950(P2004−557950)
【出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013452
【国際公開番号】WO2004/052845
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】