説明

バニロイド受容体リガンドとしての置換ピリミジン−4−イルアミン類縁体

式I:


(式中、可変基は明細書中に記載のようなものである)で表される置換ピリミジル−4−イルアミン類縁体を提供する。このような化合物は生体内及び生体外において、バニロイド受容体活性を調製するために使用可能なリガンドであり、そしてヒト、ペット及び家畜における病的な受容体活性に関連する疾患の治療に特に有用である。医薬組成物及び当該化合物を用いて当該疾患を治療する方法、さらに受容体の局在化を研究するために当該リガンドを用いる方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、カプサイシン受容体の調節剤である、置換ピリミジン−4−イルアミン類縁体、及び当該化合物をカプサイシン受容体活性に関連する疾患の治療に使用することに関するものである。本発明は更に、カプサイシン受容体の検出及び局在化のためのプローブとしての当該化合物を使用することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
疼痛知覚、又は侵害知覚には、「侵害受容体」という特化した知覚神経群の末梢ターミナルが介在している。多岐に亘る物理的及び化学的な刺激は、哺乳動物のこのような神経を活性化させるものであり、潜在的に有害な刺激の認知へとつながる。侵害受容体の不適切又は過剰な活性化は、しかしながら、衰弱性の急性もしくは慢性疼痛を生じさせる。
【0003】
神経性疼痛は、刺激がなくても疼痛シグナルの伝達を生じ、主として神経系の損傷に起因している。ほとんどの場合、このような疼痛は末梢系の初期の損傷(例えば、直接の損傷又は全身性疾患を介して)の後の末梢及び中枢神経系の鋭敏化によって生じるものと考えられている。神経性疼痛は、一般にその強さにより、灼熱痛(burning)、疼くような痛み(shooting)及び強烈な間断のない(unrelenting)痛みであり、時には、これをもたらした初期の損傷又は疾患を凌ぐほどのものである。
【0004】
既存の神経性疼痛の治療法は、ほとんどが効果がない。モルヒネのような麻薬は強力な鎮痛薬であるが、その実用性は、身体的嗜癖、退薬性のような、さらには呼吸障害、情緒変調、付随性便秘、悪心、嘔吐、及び内分泌及び自律神経系の変化による腸運動の減少のような、副作用のために限定されている。更に、神経性疼痛は従来のオピオイド鎮痛薬による治療に対して多くの場合は反応しないか又は部分的に反応するのみである。N−メチル−D−アスパラテート拮抗薬ケタミン又はアルファ−(2)−アドレナリン作動薬クロニジンを用いる治療法は急性又は慢性の疼痛を緩和することができ、オピオイド消費の減少を可能にするが、これらの薬剤は副作用のために症状を悪化させる場合がある。
【0005】
カプサイシンを用いる局所療法が、神経性疼痛を含む慢性及び急性疼痛の治療に用いられている。カプサイシンはなす科(辛いチリ・ペパーを含む)植物から得られる刺激的な物質であり、痛みに介在すると見なされる小さな直径を有する求心性神経線維(A−デルタ及びC繊維)上で特異的に作用すると思われている。カプサイシンに対する応答は、末梢組織の侵害受容体の持続的な活性化に続いて、1つ又はそれ以上の刺激に対して次第に末梢の侵害受容体が脱感作されるものと特徴付けられている。動物を用いた研究により、カプサイシンは、カルシウム及びナトリウムに対してカチオン選択性チャネルを開くことにより、C繊維膜の脱分極化を誘発するものと思われる。
【0006】
同様の応答が、バニロイド部位を共通にするカプサイシンの構造的な類縁体によっても引き起こされる。そのような類縁体の1つは、ユーホルビア(Euphorbia)植物の天然生成物であるレシニフェラトキシン(resiniferatoxin:RTX)である。バニロイド受容体(VR)という用語は、カプサイシン及びこれに関連する刺激性物質の神経膜認識部位を表すために造られた用語である。カプサイシンの応答は他の類縁体、カプサゼピンによって競合的に阻害され(従って拮抗され)、また非選択的カチオンチャネルブロッカー、ルテニウムレッドによっても阻害される。これらの拮抗薬は中等度未満の親和性(一般に140μM以上のK値で)でVRと結合する。
【0007】
ラット及びヒトのバニロイド受容体は、脊髄後根神経節細胞(dorsal root ganglion cells)からクローン化されている。最初に同定されたバニロイド受容体の型は、バニロイド受容体1型(VR1)として知られており、「VR1」及び「カプサイシン受容体」という用語は、哺乳動物の同属体のものと同様にラット及び/又はヒトのこのような型の受容体を意味し、本明細書では同義的に用いられる。痛覚におけるVR1の役割は、バニロイドが誘発する疼痛症状を示さず、熱及び炎症に対して応答障害を示すような、この受容体が欠如しているマウスを用いて確認された。VR1は、高温、低pH、及びカプサイシン受容体作動薬に応答してチャネルを開く閾値が低くなる、非選択的なカチオンチャネルである。例えば、このチャネルは通常約45℃以上の温度で開く。カプサイシン受容体チャンネルの開放は、一般に、この受容体を発現している神経細胞及び隣接する神経細胞からの炎症ペプチドの放出に引き続いて起こり、疼痛応答を増強させる。カプサイシンによる初期活性化後に、カプサイシン受容体は、cAMP依存プロテインキナーゼによるリン酸化によって急速に脱感作を受ける。
【0008】
末梢組織の侵害受容体を脱感作するこれらの能力により、VR1作動薬であるバニロイド化合物は局所麻酔薬として使用されている。しかしながら、作動薬の投与自体が灼熱痛を引き起こす場合があるため、治療への使用が制限されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
最近、非バニロイド化合物を含むVR1拮抗薬も疼痛の治療に有用であることが報告された(2002年1月31日公開のPCT国際出願公開公報第WO02/08221号を参照のこと)。
【0010】
従って、VR1と相互に作用するが、VR1作動薬であるバニロイド化合物のように初期疼痛を誘発しない化合物が、神経性疼痛を含む、慢性及び急性の疼痛の治療には望ましい。この受容体の拮抗薬は、疼痛、さらに催涙弾暴露、痒み及び尿失禁、過活動膀胱のような尿路疾患のような疾患の治療に対して特に望ましい。本発明はこの要求を満たし、さらに関連する効果を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要約)
本発明は、VR1活性を調節する、好ましくは阻害する化合物を提供する。ある態様において、本明細書で提供される化合物は、式Iで表される置換ピリミジン−4−イルアミン類縁体又はその薬学的に許容される形態(form)である。
【0012】
式I:
【化012】

【0013】
式中、
XはCR又はNであり;
YはCR又はNであり;
は、水素、ハロゲン、ニトロ、置換されていてもよいC−Cアルキル、アミノ、シアノ、置換されていてもよいC−Cアルキルスルホニル、置換されていてもよいモノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又は置換されていてもよいモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
は、水素又は置換されていてもよいC−Cアルキルであり;
−Aは独立して、CH、CR又はNである(但し、A−Aのうちの3個未満はNである)。
−Bは独立して、CH、CR又はNである(但し、B−Bのうちの3個未満はNである)。
【0014】
及びRはそれぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、置換されていてもよいC−Cアルキル、置換されていてもよいC−Cシクロアルキル、置換されていてもよいC−Cアルコキシ、置換されていてもよいC−Cアルキルエーテル、置換されていてもよいC−Cアルカノイル、置換されていてもよいC−Cアルカノン、置換されていてもよいC−Cハロアルキル、置換されていてもよいC−Cハロアルコキシ、置換されていてもよいモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノ、置換されていてもよいC−Cアルキルスルホニル、置換されていてもよいモノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、及び置換されていてもよいモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルから選ばれ;
【0015】
は、(i)及び(ii)から選ばれる。
(i)は、水素、ハロゲン及びシアノ;及び
(ii)は、C−Cアルキル及び式:
【化013】

【0016】
(式中、
Lは、結合又はC−Cアルキレンであり;
Mは、結合又はC−Cアルキレンであり;
及びRは、
(a)は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、及びLと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基からそれぞれ独立して選ばれるか;又は
(b)一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成し;そして
は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルアルカノイル、又はMと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基である。)で表される基であり、
ここにおいて、それぞれの(ii)は、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、置換されていてもよいC−Cアルキル、置換されていてもよいC−Cシクロアルキル、置換されていてもよいC−Cアルキルエーテル、置換されていてもよいC−Cアルコキシ、置換されていてもよいC−Cアルカノイル、置換されていてもよいC−Cハロアルキル及び置換されていてもよいモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノからそれぞれ独立して選らばれる0から3個の置換基で置換されている。
【0017】
ある態様においては、本明細書に記載されているようなVR1調節剤は、カプサイシン受容体結合試験において1マイクロモル、100ナノモル、50ナノモル、10ナノモル又は1ナノモル以下のKを示し、及び/又はカプサイシン受容体拮抗活性の測定試験において1マイクロモル、100ナノモル、50ナノモル、10ナノモル又は1ナノモル以下のEC50又はIC50値を有している。
【0018】
ある態様においては、本明細書に記載されているようなVR1調節剤はVR1拮抗剤であり、そしてカプサイシン受容体活性化のインビトロ試験において検出可能な程の作動活性を示さない。
ある実施態様においては、本明細書に記載されているVR1調節剤は、検出可能な標識(例えば、放射性標識又は蛍光結合)で標識されている。
ある実施態様においては、本明細書に記載されているVR1調節剤及びその薬学的に許容される形態は、検出可能な標識(例えば、放射性標識又は蛍光結合)で標識されている。
【0019】
他の態様によると、本発明はさらに本明細書に記載されている1つ以上の化合物(すなわち、本明細書で提供される化合物又は薬学的に許容されるその形態)を生理的に許容される担体又は賦形剤と共に含有してなる医薬組成物を提供する。
【0020】
さらなる態様において、カプサイシン受容体を発現している細胞(例えば、神経細胞)を、本明細書に記載されている1つ以上のVR1調節剤のカプサイシン受容体調節量と、接触させることからなる、細胞カプサイシン受容体のカルシウム伝達を減少させる方法を提供する。
【0021】
カプサイシン受容体のへのバニロイドリガンドの結合を阻害する方法もさらに提供される。このような態様においては、この阻害がインビトロで行われる。このような方法は、条件下で、カプサイシン受容体へのバニロイドリガンドの結合を阻害するのを検出できる十分な量で、本明細書に記載されている1つ以上のVR1調節剤をカプサイシン受容体と接触させることよりなる。他のこのような態様では、カプサイシン受容体は患者の体内にある。このような方法は、インビトロでクローンのカプサイシン受容体を発現する細胞へのバニロイドリガンドの結合を阻害するのを検出できる十分な量で、1つ以上の本発明に記載のVR1調節剤を、患者体内のカプサイシン受容体発現細胞と接触させて、これにより患者におけるカプサイシン受容体へのバニロイドリガンドの結合を阻害することからなる。
【0022】
本発明はさらに、本明細書に記載されている1つ以上のVR1調節剤のカプサイシン受容体調節量を、患者に投与することからなる、患者のカプサイシン受容体調節の応答に関連する疾患を治療する方法を提供する。
他の態様において、本明細書に記載されている1つ以上のVR1調節剤のカプサイシン受容体調節量を、疼痛に罹っている患者に投与することからなる、患者の疼痛を治療する方法を提供する。
【0023】
痒み、尿失禁、過活動膀胱、咳及び/又はしゃっくりの1つ以上に罹っている患者に、本明細書に記載されている1つ以上のVR1調節剤のカプサイシン受容体調節量を、投与することからなる、患者における痒み、尿失禁、過活動膀胱、咳及び/又はしゃっくりを治療する方法がさらに提供される。
本発明はさらに、肥満患者に、カプサイシン受容体調節量のここに記載されている1つ以上のVR1調節剤を投与することからなる、減量を促進する方法を提供する。
【0024】
さらなる態様によれば、本発明は(a)カプサイシン受容体へのVR1調節剤の結合が可能な条件で、試料に本明細書に記載されているVR1調節剤を接触させ;そして(b)カプサイシン受容体に結合しているVR1調節剤の濃度を検出することからなる、試料中のカプサイシン受容体の有無を測定する方法を提供する。
【0025】
本発明はまた、(a)容器中の本明細書に記載されている医薬組成物;及び(b)疼痛、痒み、尿失禁、過活動膀胱、咳、しゃっくり及び/又は肥満のような、カプサイシン受容体調節の応答に関連する1つ又はそれ以上の疾患の治療に当該化合物を使用するための使用説明書を含有してなる、包装された医薬組成物を提供する。
【0026】
さらに他の態様によれば、本発明は中間体を含め、本明細書に開示されている化合物の製造方法を提供する。
【0027】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下の詳細な説明を参照することにより明瞭となるであろう。
【0028】
(発明の詳細な説明)
上述のとおり、本発明は置換ピリミジン−4−イルアミン類縁体を提供する。このような調節剤はインビトロ又はインビボでカプサイシン受容体活性を調節するために様々な状況下で使用できる。
【0029】
(用語)
化合物は一般に、本明細書に標準の命名法を用いて記載されている。不斉中心を有する化合物については、特定される以外は、全ての光学異性体及びこれらの混合物は範囲内であることを理解すべきである。さらに、炭素−炭素2重結合を有する化合物はZ体及びE体を生じ、特定される以外は、全ての異性体が本発明に含まれる。多種の互変異性体の型で存在する化合物においては、表示されている化合物は一つの特定の互変異性体に限定されず、むしろ全ての互変異性体の型を含むものである。化合物は、可変基(例えば、R、A、X)を含む一般式を用いて本明細書に記載されている。特定しない限り、そのような式のそれぞれの可変基は、他の可変基から独立して定義されており、式中に一度以上現れるどの可変基もその都度独立して定義される。
【0030】
本明細書で用いられているような用語、「置換ピリミジン−4−イルアミン類縁体」は、式Iの全ての化合物、さらに本明細書で提供される他の式の化合物をも包含する。すなわち、核になる環:
【0031】
【化014】

【0032】
がピリジル、ピリミジル又はトリアジニル(すなわち、
【0033】
【化015】

【0034】
それぞれの環は、ここで述べられている置換基で置換されていてもよい)である化合物が、置換ピリミジン−4−イルアミン類縁体の定義に具体的に包含される。ある態様において、好ましい核構造は、以下の化学構造である。
【0035】
【化016】

【0036】
本明細書で示されている化合物の「薬学的に許容される形態」は、このような化合物の薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、結晶形、多形体、キレート、非共有複合体、エステル、包接体及びプロドラッグである。本明細書で用いられているような、薬学的に許容される塩は、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題もしくは合併症をもたらさずに、ヒト又は動物の組織に接触させて用いるのに適当であると当該技術分野で一般に考えられている、酸又は塩基の塩である。このような塩は、アミンのような塩基残基の鉱酸及び有機酸塩を、またカルボン酸のような酸残基のアルカリ又は有機塩を包含する。具体的な薬学的に許容される塩は、これに限定されないが、塩酸、リン酸、臭化水素酸、リンゴ酸、グリコール酸、フマル酸、硫酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、硝酸、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ステアリン酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、パモン酸、コハク酸、フマール酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヒドロキシマレイン酸、ヨウ化水素酸、フェニル酢酸、酢酸のようなアルカノイル酸、HOOC−(CH)n−COOH(nは0−4である)等のような酸の塩を包含する。同様に薬学的に許容されるカチオンは、これに限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム及びアンモニウムを包含する。当業者は、ここで提供される化合物のためのさらなる薬学的に許容される塩が、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, p.1418 (1985) に記載されているものを包含しているということを認識できるであろう。一般的に、薬学的に許容される酸又は塩基の塩は、塩基又は酸の部位を含んでいる親化合物からいくつかの慣用の化学的方法によって合成することができる。つまり、このような塩は、これの化合物の遊離酸又は塩基形態を水又は有機溶媒、又はこれらの混合物中で化学量論的な量の適当な塩又は酸と接触させることによって製造でき;一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロ
パノール、又はアセトニトリルのような非水溶媒の使用が好ましい。
【0037】
「プロドラッグ」は、本明細書で提供される化合物の構造的な要求を完全には満たしていないが、患者へ投与した後に、インビボで修飾されて、式I、又は本明細書で提供される他の式の化合物を生ずる化合物である。例えば、プロドラッグは本明細書で提供されるような化合物のアシル化誘導体であってよい。プロドラッグは、哺乳動物に投与した後に開裂してそれぞれ遊離のヒドロキシ、アミノ又はメルカプト基を形成する、ヒドロキシ、アミノ又はメルカプト基と任意の基とが結合している化合物を包含している。プロドラッグの例は、本明細書で提供される化合物中のアルコール及びアミン官能基の酢酸、ギ酸、安息香酸の誘導体を包含するがこれらに限定されるものではない。本発明の化合物のプロドラッグは、化合物中の官能基を、修飾体が開裂して親化合物になるような方法で、修飾することによって製造することができる。
【0038】
本明細書で用いられている「アルキル」という用語は、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素を示す。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル及び3−メチルペンチルのような、1から8個の炭素原子(C−Cアルキル)、1から6個の炭素原子(C−Cアルキル)及び1から4個の炭素原子(C−Cアルキル)を有する基を包含する。
「アルキレン」という用語は、2価のアルキル基を示す。すなわち、アルキレン基は、メチレンジクロライド(Cl−CH−Cl)中の1炭素メチレン基のような、2個の非水素基が付加結合するアルキル基である。
【0039】
同様に、「アルケニル」は、直鎖又は分枝鎖のアルケン基である。アルケニル基は、エテニル、アリル又はイソプロペニルのような、それぞれ2から8個、2から6個又は2から4個の炭素原子を有する、C−Cアケニル、C−Cアルケニル及びC−Cアルケニル基を包含する。
「アルキニル」は、直鎖又は分枝鎖のアルキン基で、1つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有し、それの1つ以上は3重結合である。アルキニル基は、それぞれ2から8個、2から6個及び2から4個の炭素原子を有する、C−Cアケキル、C−Cアルキニル及びC−Cアルキニル基を包含する。
【0040】
「シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルのような、環員原子の全てが炭素である、飽和環の基を示す。あるシクロアルキル基は、環が3から7の環員よりなる、C−Cシクロアルキルである。
【0041】
「アルコキシ」として本明細書で用いられているものは、酸素結合を介して結合している上記のアルキル基を意味する。アルコキシ基は、それぞれ1から6個又は1から4個の炭素原子を有する、C−Cアルコキシ及びC−Cアルコキシ基を包含する。メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、及び3−メチルペントキシが具体的なアルコキシ基である。
【0042】
「アルキルスルホニル」は、式−(SO)−アルキルの基を示し、ここでは硫黄原子が結合点である。アルキルスルホニル基は、C−Cアルキルスルホニル及びC−Cアルキルスルホニル基を包含し、それぞれ1から6個又は1から4個の炭素原子を有する。メチルスルホニルはアルキルスルホニル基の一具体例である。
【0043】
「アルキルスルホンアミド」は式−(SO)−N(R)の基を示し、ここでは硫黄原子が結合点であり、そしてRはそれぞれ独立して水素又はアルキルである。用語「モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド」は、1つのRがC−Cアルキルで、他方のRが水素又はそれぞれ独立して選ばれるC−Cアルキルであるような基を示す。
【0044】
「アルカノイル」という用語は、直状又は分枝状に配列しているアシル基(例えば、−(C=O)−アルキル)基を示す。アルカノイル基は、それぞれ2から8個、2から6個又は2から4個の炭素原子を有する、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノイル及びC−Cアルカノイル基を包含する。「Cアルカノイル」は−(C=O)−Hを示し、(C−Cアルカノイルと共に)「C−Cアルカノイル」の語によって包括される。エタノイルはCアルカノイルである。
【0045】
「アルカノン」は、炭素原子が直状又は分枝状にアルキル配列しているケトン基である。「C−Cアルカノン」、「C−Cアルカノン」及び「C−Cアルカノン」は、それぞれ3から8個、6個又は4個の炭素原子を有するアルカノン基を示す。例を挙げると、Cアルカノン基は構造−CH−(C=O)−CHを有する。
【0046】
同様に、「アルキルエーテル」は直鎖又は分枝鎖のエーテル置換基を示す。アルキルエーテル基は、それぞれ2から8個、6個又は4個の炭素原子を有する、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルキルエーテル及びC−Cアルキルエーテル基を包含する。例を挙げると、Cアルキルエーテル基は構造−CH−O−CHを有する。
【0047】
「アルキルアミノ」は一般構造−NH−アルキル又は−N(アルキル)(アルキル)を有する2級又は3級アミンを示し、ここにおいてそれぞれのアルキルは同一でも異なってもよい。このような基は、例えば、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノ基を包含し、ここにおいては、それぞれのアルキル基は同一でも異なってもよく、1から6個の炭素原子を含み、またモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノ基も包含する。
【0048】
「アミノカルボニル」という用語はアミド基(すなわち、−(C=O)NH)を示す。「モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニル」は、一方又は両方の水素原子がC−Cアルキルに置き換わったアミノカルボニル基である。両方の水素原子がこのように置き換わった場合には、このC−Cアルキル基は同一でも異なってもよい。
【0049】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を示す。
「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲン原子で置換された、分枝又は直鎖のアルキル基(例えば、「C−Cハロアルキル」は1から6個の炭素原子を有する)である。ハロアルキル基の例は、これに限定されないが、モノ−、ジ−又はトリ−フルオロメチル;モノ−、ジ−又はトリ−クロロメチル;モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−又はペンタ−フルオロエチル;モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−又はペンタ−クロロロエチル;及び1,2,2,2、−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチルを包含する。代表的なハロアルキル基はトリフルオロメチル及びジフルオロメチルである。
「ハロアルコキシ」という用語は、酸素結合を介して結合した上で定義したハロアルキル基を示す。「C−Cハロアルコキシ」基は1から6個の炭素原子を有する。
【0050】
2つの文字又は記号の間にない、ダッシュ(「−」)は置換基の結合位置を示すために用いられている。例えば、−CONHは炭素原子を介して結合している。
本明細書で用いられている「複素原子」は酸素、硫黄又は窒素である。
【0051】
「ヘテロシクロアルキル」は、飽和又は部分飽和の複素環(すなわち、1つ以上の環員原子が複素原子で、残りの環員原子が炭素である)を含有している基である。具体的には、複素環は、1から4個の複素原子を有し、ある態様においては複素環は、1個の環あたり1又は2個の複素原子を有する。それぞれの複素環は一般に、3から8個の環員原子を含有している(5から7個の環員原子を有する環がある態様で示されている)。ヘテロシクロアルキルは窒素及び/又は炭素原子が本明細書に記載されているような置換基で置換されていてもよい。ヘテロシクロアルキル基は、例えばアゼパニル、アゾシニル、ベンズイソチアゾリル、ジチアジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロピラニル、チアジアジニル、チアジアゾリル、チオモルホリニル及び硫黄原子が酸化されたこの変異体、トリアジニル、及び本明細書に記載されているように置換された上記のものを包含する。
【0052】
本明細書で用いられている「置換基」は、対象の分子中の原子に共有結合している分子の残基を示す。例えば、「環置換基」は、環員である原子(好ましくは炭素又は窒素原子)に共有結合しているハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基又は本明細書に記載されているその他の基のような残基であってよい。「置換」という用語は、分子構造中の水素原子を上記の置換基で、指定された原子の原子化が過剰にならないように、かつ置換の結果化学的に安定な化合物(すなわち、単離でき、特徴づけができ、生物活性を試験することができる化合物)が得られるように、置き換えることを示す。
【0053】
「置換されていてもよい」基は、非置換か又は、水素以外のもので1つ以上の可能な位置、具体的には1、2、3、4又は5位が、1つ以上の適当な基(これは同一でも異なってもよい)で置換されている。このような任意の置換基は、例えば、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノン、C−Cアルキルチオ、アミノ、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルコキシカルボニル、−COOH、−CONH、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニル、−SONH、及び/又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドを、さらに炭素環及び複素環基をも含有する。置換されていてもよいは、「0からXつの置換基で置換されている」(ここにおいてXは置換可能な最大数である)という語句でも表される。ある置換されていてもよい基は、0から2、3又は4個のそれぞれ独立して選ばれる置換基で置換されている(すなわち、これらは非置換であるか又は挙げられている置換基の最大数までで置換されている)。
【0054】
「VR1」及び「カプサイシン受容体」という用語は、1型のバニロイド受容体を示すためにここでは同義に用いられている。他に特定されない限り、これらの用語はラット及びヒトのVR1受容体の両方(例えば、GenBankの受託番号 AF327067、AJ277028及びNM 018727;あるヒトVR1cDNAsの配列表は米国特許第6,482,611号の配列番号1−3に示されており、そのコードするアミノ酸配列は配列番号4及び5に示されている)を含み、さらに他の種で見出されるこれらの同族体をも含む。
【0055】
「VR1調節剤」(本明細書では「調節剤」とも示す)とは、VR1活性化及び/又はVR1が介在するシグナル伝達を調節する化合物である。本明細書で具体的に提供されるVR1調節剤は式Iの化合物及び式Iの化合物の薬学的に許容される形態である。VR1調節剤はVR1の作動薬又は拮抗薬であってもよい。調節剤は、VR1におけるK値が1マイクロモル未満、好ましくは100ナノモル、10ナノモル又は1ナノモル未満であれば、「高い親和性」で結合する。VR1におけるK値を測定する代表的な試験は本明細書の実施例5に提供されている。
【0056】
調節剤は、バニロイドリガンドのVR1との結合及び/又はVR1が介在するシグナル伝達(例えば、実施例6で提供されている代表的な試験を用いて)を検出可能な程阻害するならば、拮抗薬と考えられ;一般に、このような拮抗薬はVR1活性化を、実施例6に提供されている試験において、1マイクロモル未満の、好ましくは100ナノモル未満の、より好ましくは10ナノモル又は1ナノモル未満のIC50値で阻害する。VR1拮抗薬はニュートラルアンタゴニスト及びインバースアゴニスト(逆作動薬)を含む。ある態様において、本明細書にはバニロイド以外のカプサイシン受容体拮抗薬も示されている。
【0057】
VR1の「逆作動薬」は、追加のバニロイドリガンドの非存在下で、VR1の活性をその基礎活性レベル以下に減少させる化合物である。VR1の逆作動薬はVR1におけるバニロイドリガンドの活性も阻害でき、及び/又はバニロイドリガンドがVR1にの結合するのも阻害できる。バニロイドリガンドがVR1に結合するのを阻害する化合物の能力は、実施例5で示されるような、結合試験で測定できる。VR1の基礎活性、さらにVR1拮抗薬の存在に因るVR1活性の減少は、実施例6の試験のような、カルシウム非固定化試験によって測定することができる。
【0058】
VR1の「ニュートラルアンタゴニスト」とは、VR1におけるバニロイドリガンドの活性を阻害するが、この受容体の基礎活性を有意に変化させない(すなわち、バニロイドリガンドの非存在下で行われる実施例6に記載のカルシウム非固定化試験において、VR1活性が、10%未満、より好ましくは5%未満、さらに好ましくは2%未満減少し、最も好ましくは検出可能な活性低下を示さない)化合物である。VR1のニュートラルアンタゴニストはバニロイドリガンドがVR1に結合するのを阻害できる。
【0059】
本明細書で用いられている「カプサイシン受容体作動薬」又は「VR1作動薬」は、受容体の活性を受容体の基礎活性より上に上昇させる(すなわち、VR1活性及び/又はVR1が介在するシグナル伝達を増強する)化合物である。カプサイシン受容体作動薬活性は実施例6で提供されている代表的な試験を用いて確認できる。一般に、このような作動薬は実施例6で提供されている試験において、1マイクロモル未満、好ましくは100ナノモル未満、より好ましくは10ナノモル以下のEC50値を有する。ある態様において、明細書にはバニロイド以外のカプサイシン受容体拮抗薬も示されている。
【0060】
「バニロイド」とは、カプサイシン又は、隣接する環の炭素原子(この炭素原子のうちの1つは、フェニル環に結合している第3の残基が結合している位置とパラ位にある)に結合した2つの酸素原子を有するフェニル環を含有してなるカプサイシン類縁体である。バニロイドは、10μM未満のK値(本明細書に記載されているようにして測定された)でVR1と結合するならば、「バニロイドリガンド」である。バニロイドリガンド作動薬はカプサイシン、オルバニル(olvanil)、N−アラキドノイル−ドーパミン及びレシニフェラトキシンを包含する。バニロイドリガンド拮抗薬はカプサゼピン及びヨード−レシニフェラトキシンを包含する。
【0061】
「カプサイシン受容体調節量」とは、患者に投与したときに、患者中のカプサイシン受容体におけるVR1調節剤の濃度が、インビトロでバニロイドリガンドのVR1との結合(実施例5で提供されている試験を用いて)及び/又はVR1が介在するシグナル伝達(実施例6で提供されている試験を用いて)を変化させるのに十分な濃度になるようにした量である。カプサイシン受容体は、例えば、血液、血漿、血清、脳脊髄液(CSF)、滑液、リンパ液、細胞間質液、涙又は尿のような体液中に存在する。
【0062】
「治療有効量」とは、投与により、患者に於いて治療中の疾患を検出可能な程軽減するのに十分な量である。このような軽減は、痛みのような1つ又はそれ以上の症状の緩和を含む、適当な基準によって検出可能である。
【0063】
「患者」とは、本発明で提供されるVR1調節剤で治療されている個人であり、ヒト、またペット(例えば、イヌ及びネコ)及び家畜のようなその他の動物も包含する。患者とは、カプサイシン受容体調節の応答に関連する疾患の1つ又はそれ以上の症状(例えば、疼痛、バニロイドリガンドへの暴露、痒み、尿失禁、過活動膀胱、呼吸器疾患、咳及び/又はしゃっくり)を呈していてもよいし、又はこのような症状を呈していなくてもよい(即ち、治療とは予防的な治療であってもよい)。
【0064】
(VR1調節剤)
上述のように、本発明は、疼痛(例えば神経性又は末梢神経を介する疼痛);カプサイシンへの暴露;酸、熱、光、催涙ガス、大気汚染、唐辛子スプレー又は関連する薬剤への暴露;喘息又は慢性閉塞性肺疾患のような呼吸器疾患;痒み;尿失禁又は過活動膀胱;咳又はしゃっくり;及び/又は肥満の治療を含む、多岐に亘る状況下で使用できるVR1調節剤を提供する。VR1調節剤は、インビトロ試験(例えば、受容体活性の試験)において、VR1の検出及び局在性のためのプローブとして及びリガンド結合及びVR1が介在するシグナル伝達試験における標準としても使用できる。
【0065】
本明細書で提供されるVR1調節剤は置換ピリミジン−4−イルアミン類縁体で、カプサイシンのVR1との結合を、ナノモル(すなわち、サブマイクロモル)濃度で、好ましくはサブナノモルの濃度で、よりに好ましくは100ピコモル、20ピコモル、10ピコモル又は5ピコモル未満の濃度で、検出可能な程調節する。この調節剤はバニロイドでないことが好ましい。ある好ましい調節剤はVR1拮抗薬であり、実施例6に記載されている試験において検出可能な作動薬活性を有していない。好ましいVR1調節剤はさらに高い選択性でVR1と結合して、ヒトEGF受容体チロシンキナーゼの活性を実質的に阻害しない。
【0066】
ある実施態様において、式IのVR1調節剤はさらに式IIを充たすか又は、このような化合物の薬学的に許容される形態である。
【0067】
【化017】

【0068】
式中、
Xは、CR又はNであり;
は、水素、ハロゲン、ニトロ、C−Cアルキル、アミノ、シアノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
は、CH又はNであり;
、A及びAは、それぞれ独立独立してCH,CR又はNであり(但しA−Aのうちの2個未満がNである);
及びBは、それぞれ独立独立してCH又はNであり;
、B及びBは、それぞれ独立独立してCH又はでCRあり(但し、B、B及びBのうちの1つ以上はCRである);
及びRは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルからそれぞれ独立して選ばれ;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cハロアルキル又はC−Cアルキルスルホニルであり;そして
は、(i)及び(ii)から選ばれる。
(i)は、シアノ;及び
(ii)は、C−Cアルキル及び式:
【0069】
【化018】

【0070】
(式中、
Lは、結合又はC−Cアルキレンであり;
Mは、結合又はC−Cアルキレンであり;
及びRは、
(a)水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル及びLと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基から独立して選ばれる(但し、R及びRのうちの1つ以上は水素ではない);か又は
(b)一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成し;
は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルカノイル、又はMと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する。)で表される基である。
ここにおいて、
(ii)は各々、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノから独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている。
式IIにおいて、式:
【0071】
【化019】

【0072】
で示される基は一般に、B、B及び/又はBに置換基を有する、置換されたフェニル、ピリジル又はピリミジルである。式IIのある化合物においては、B、B及びBがCRで、Rは、ハロゲン、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドからそれぞれ独立して選ばれる。特定のこのような化合物では、BがCRである。更にこのような化合物では、B、B及びBのうちの1つだけがCRであり、Rが、フルオロ、クロロ、シアノ、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルである。さらなる式IIの化合物においては、1つ以上のRがC−Cアルコキシである。
【0073】
式IIのRは、一般にシアノ、C−Cアルキル又は上記のような窒素又は酸素を含有する基である。特定のこのような化合物においては、RがC−Cアルキルである。他のこのような化合物においては、Rが、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ及びC−Cアルキルからそれぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキルエーテル、ピロリジニル、モリホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル又はアゼパニルである。
式IIにおいて、式:
【0074】
【化020】

【0075】
で示される基は一般に、結合位置のパラ位に置換基(すなわち、R)を有する、置換されたフェニル、ピリジル又はピリミジルである。Rは、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cハロアルキル又はC−Cアルキルスルホニルであり、ある化合物においては、Rは、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又はC−Cハロアルキルである。
、A及びAの1又はそれ以上は、必須ではないが、置換炭素であってもよい。A、A及びAに位置する置換基は、Rからそれぞれ独立して選ばれる。式IIのある化合物においては、Rは各々、アミノ、シアノ、ハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドからそれぞれ独立して選ばれる。例えば、特定のこのような化合物においては、A及びAがCHであり、そしてA及びAがそれぞれ独立してCH又はRである。更なるこのような化合物においては、A、A、A及びAが、それぞれCHである。
【0076】
式IIのXは、一般にCR又はNであり、ある化合物においてはXがCRである。代表的なR基は、例えば水素、ハロゲン、ニトロ、メチルスルホニル、メチル、エチル又はアミノを包含する。
式IIの化合物はさらに副式IIaを充たす。
【0077】
【化021】

【0078】
式中、
及びBは、独立してCH又はNであり;
、B及びBは、独立してCH又はCR(ここにおいて、Rは各々、ハロゲン、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、C−Cアルキルスルホニル及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドから独立して選ばれる)であり;そして
は各々、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、シアノ、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノからそれぞれ独立して選ばれる0から2個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルキルエーテル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル又はピペラジニルである。
【0079】
式IIaの化合物では、Bが、ハロゲン、アミノ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ又はC−Cハロアルキルで置換されている炭素であり、そしてRがt−ブチル又はトリフルオロメチルである。
【0080】
式IIの代表的な化合物は、
(4−tert−ブチル−フェニル)−[4−イソブトキシメチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;及び
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−メタンスルホニル−6−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン:
を包含するがこれらに限定されるものではない。
ある実施態様において、式IのVR1調節剤はさらに式III又はその薬学的に許容される形態を充たす。
【0081】
【化022】

【0082】
式中、
は、ハロゲン、C−Cアルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
Yは、CR又はNであり;
は、水素又はC−Cアルキルであり;
、A、A及びAは、独立してCH又はNであり;
は、CH、CR又はNであり;
及びBは、独立してCH又はでCRあり;
は、CH又はNであり;
はそれぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルから選ばれ;
は、ハロゲン、アミノ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドであり;
は、ハロゲン、シアノ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシであり;
は、(i)及び(ii)から選ばれる。
(i)は、水素、ハロゲン及びシアノ;及び
(ii)は、C−Cアルキル及び式:
【0083】
【化023】

【0084】

(式中、
Lは、結合又はC−Cアルキレンであり;
Mは、結合又はC−Cアルキレンであり;
及びRは、
(a)水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、及びLと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基から選ばれる(但し、R及びRのうちの1つ以上は水素ではない)か;又は
(b)一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成し;そして
は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルアルカノイル、又はLと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基である。)で表される基である。
ここにおいて、(ii)は各々、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノからそれぞれ独立して選らばれる0から3個の置換基で置換されている。
【0085】
式IIIで表される特定の化合物については、1又はそれ以上の可変基は以下のとおりである。
は、ハロゲン、ニトロ、メチルスルホニル、メチル、エチル又はアミノであり;
は、N又はCHであり;
、A及びAは、それぞれCHであり;
は、CH又はNであり;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又はC−Cハロアルキルであり;
は、水素又はC−Cアルキルであり;
各々は、アミノ、シアノ、ハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドからそれぞれ独立して選ばれ;及び/又は
Yは、Nである。
【0086】
式IIIで表される特定の化合物については、Rが、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシである。代表的なR基は、例えばC−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシを包含する。ある実施態様においては、RがC−Cアルコキシの場合には、B及びBのうちの1つ以上は、C−Cアルキルで置換されている炭素ではない。
式IIIの化合物は、さらに式IIIaを充たす。
【0087】
【化024】

【0088】
式中、
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドであり;
は、それぞれがハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、シアノ、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノから独立して選ばれる0から2個の置換基で置換されている、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル又はピペラジニルであり;
は、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシであり;そして
及びBは、独立してCH又はNである。
式IIIのある化合物においては、Rが、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシであり、そしてRが、t−ブチル又はトリフルオロメチルである。
【0089】
式IIIの代表的な化合物は、
2−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェノール;
2−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルアミノ]−5−トリフルオロメチル−フェノール;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−エチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−メタンスルホニル−6−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン:
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−5−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
[5−エチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
6−(3−メトキシ−フェニル)−N−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン
−(4−シクロヘキシル−フェニル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン;及び
−(4−tert−ブチル−フェニル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン:
を包含するが、これらに限定されるものではない。
ある実施態様において、式IのVR1調節剤はさらに式IV又はその薬学的に許容される形態を充たす。
【0090】
【化025】

【0091】
式中、
は、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、アミノ、ニトロ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
、A、A及びAは、独立してCH又はNであり;
−Bは、独立してCH、CR又はNであり(但し、B−Bのうちの1つだけがCRである);
は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルであり;
は、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドであり;そして
は、(i)及び(ii)から選ばれる。
(i)は、水素、ハロゲン及びシアノ;及び
(ii)は、C−Cアルキル及び式:
【0092】
【化026】

【0093】
(式中、
Lは、結合又はC−Cアルキレンであり;
Mは、C−Cアルキレンであり;
及びRは、
(a)水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、及びLと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基から独立して選ばれる(但し、R及びRのうちの1つ以上は水素ではない)か;又は
(b)一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成し;そして
は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルアルカノイル、又はMと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基である。)で表される基である。
ここにおいて、それぞれの(ii)は各々、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノから独立して選らばれる0から3個の置換基で置換されている。
【0094】
式IVのある化合物においては、1つ以上の可変基が以下のとおりである。
が、水素、ハロゲン、ニトロ、メチル、エチル、メチルスルホニル又はアミノであり;
が、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシであり;
が、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又はC−Cハロアルキルであり;
が、水素又は、それぞれがハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ及びC−Cアルキルから独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、アミノ、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、又はアゼパニルであり;及び/又は
及びBが、独立してCH又はNである。
【0095】
式IVの代表的な化合物は、
2−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルアミノ]−5−トリフルオロメチル−フェノール;
2−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェノール;
(4−tert−ブチル−フェニル)−(6−m−トリル−ピリミジン−4−イル)−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−エトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
6−(3−メトキシ−フェニル)−N−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−フルオロ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(4−クロロ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−メタンスルホニル−6−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(4−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;及び
−(4−シクロヘキシル−フェニル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン:
を包含するが、これらに限定されるものではない。
ある実施態様において、式IのVR1調節剤はさらに式V又はその薬学的に許容される形態を充たす。
【0096】
【化027】

【0097】
式中、
は、ハロゲン、C−Cアルキル、シアノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
Yは、CR又はNであり;
は、水素又はC−Cアルキルであり;
−Aは、独立してCH、CR又はNであり;
、B、B、B及びBは、独立してCH、CR又はNであり;
及びRは、それぞれ独立してハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルから選ばれ;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルであり;そして
は、(i)及び(ii)から選ばれる。
(i)は、水素、ハロゲン及びシアノ;及び
(ii)は、C−Cアミノアルキル及び式:
【0098】
【化028】

【0099】
(式中、
Lは、結合又はC−Cアルキレンであり;
及びRは、
(a)水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル及びC−Cシクロアルキルから独立して選ばれるか;又は
(b)一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する(但し、LがC−Cアルキルの場合は、R及びRは一緒になってヘテロシクロアルキルを形成する)。
Mは、結合又はC−Cアルキレンであり;そして
は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルカノイル、又はMと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する。)で表される基である。
ここにおいて、それぞれの(ii)は各々、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノから独立して選らばれる0から3個の置換基で置換されている。
【0100】
式Vのある化合物においては、1つ以上の可変基が以下のとおりである。
が、ハロゲン、メチル、エチル、ニトロ、メチルスルホニル又はアミノであり;
Yが、Nであり;
及びAが、独立してCH又はNであり;
それぞれのRが、独立してシアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシであり;
が、ハロゲン、アミノ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又はC−Cハロアルキルであり;及び/又は
が、水素、C−Cアルキルエーテル又はモルホリノである。
【0101】
式Vの代表的な化合物は、
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−エチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−メタンスルホニル−6−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−5−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
[5−エチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
2−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルアミノ]−5−トリフルオロメチル−フェノール;
2−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェノール;
6−(3−メトキシ−フェニル)−N−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン;
−(4−シクロヘキシル−フェニル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン;及び
−(4−tert−ブチル−フェニル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン:
を包含するがこれらに限定されるものではない。
ある実施態様において、式IのVR1調節剤はさらに式VI又はその薬学的に許容される形態を充たす。
【0102】
【化029】

【0103】
式中、
Xは、CR又はNであり;
は、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
及びAは、独立してCH又はNであり;
及びAは、独立してCH、CR又はNであり;
、B、B、B及びBは、独立してCH、CR又はNであり;
及びRは、それぞれ独立してハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルから選ばれ;
は、ヒドロキシ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルであり;そして
は、C−Cアルキルである。
【0104】
式VIのある化合物においては、1つ以上の可変基が以下のとおりである。
Xが、CRであり;そしてRが、水素、ハロゲン、メチル、エチル、ニトロ、メチルスルホニル又はアミノであり;
それぞれのRが、独立してシアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシであり;
及びBが、独立してCH又はNであり;
,B及びBのうちの1つ以上が、CRであり;
1つ以上のRが、C−Cアルコキシであり;
が、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル又はシクロヘキシルであり;及び/又は
が、メチルである。
【0105】
式VIの代表的な化合物は、
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−メタンスルホニル−6−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン:
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−アミン:及び
[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン:
を包含するがこれらに限定されるものではない。
【0106】
本明細書で提供される代表的な化合物は実施例1−3に具体的に記載されているものを包含するがこれらに限定されるものではない。本明細書に示されている具体的な化合物は代表例に過ぎず、本発明の範囲をなんら限定するものではないということは明らかなことである。さらに、上記のように、本発明の全ての化合物は、遊離塩基として、又は水和物又は薬学的に許容される酸付加塩のような、薬学的に許容される形態として存在し得る。
【0107】
本明細書で提供される置換ピリミジン−4−イルアミン類縁体は、インビトロのVR1リガンド結合試験及び/又はカルシウム非固定化試験のような機能試験、脊髄神経節試験又はインビボ疼痛緩和試験を用いて測定すると、VR1活性を検出可能な程度変化させる(調節する)。本明細書で「VR1リガンド結合試験」とは、実施例5で挙げられているような標準インビトロ受容体結合試験のことであり、また「カルシウム非固定化試験」(本明細書では「シグナル伝達試験」とも言う)は実施例6に記載されているように実施することができる。つまり、VR1との結合を評価するために、VR1調合液をVR1(例えば、RTXのようなカプサイシン受容体)と結合する(例えば、125I又はHで)標識された化合物及び標識されていない試験化合物と共に培養して、競合試験を行うことができる。ここで提供される試験において、使用されるVR1は哺乳動物のVR1が好ましく、より好ましくはヒト又はラットのVR1である。受容体は、組み換え技術で発現させても、自然に発現させてもよい。VR1調合液は、例えば、ヒトVR1を組み換え技術で発現するHEK293又はCHO細胞からの膜調合液であってもよい。VR1へのバニロイドリガンドの結合を検出可能な程度調節する化合物と共に培養すると、当該化合物を添加していない場合の結合した標識の量に比べて、VR1調合液と結合する標識の量が減少又は増加する。この様な増減は、本明細書に記載されているように、VR1におけるK値の測定に用いられる。一般には、このような試験に於いてVR1調合液と結合する標識の量を減少させる化合物が好ましい。
【0108】
上述のように、VR1拮抗薬が、ある態様においては好ましい。このような化合物のIC50値は、実施例6示されているような、標準のインビトロでのVR1が介在するカルシウム非固定化試験を用いて測定できる。つまり、カプサイシン受容体を発現する細胞を、対象の化合物及び細胞内カルシウム濃度の指示薬(例えば、それぞれ、Ca++と結合すると蛍光シグナルを発生するFluo−3又はFura−2のような膜透過性カルシウム感受性染料(両方とも、Molecular Probes社、Eugine社、OR社等から購入可能))と接触させる。このような接触は、溶液中に該化合物及び指示薬の一方又は両方を含有する緩衝液又は培養液中で細胞を1回又はそれ以上培養することによって行うことが好ましい。接触は染料が細胞に入るのに十分な時間(例えば、1−2時間)保持される。細胞を過剰な染料を除去するために細胞を洗浄又はろ過し、次いでバニロイド受容体作動薬(例えば、カプサイシン、RTX又はオルバニル)と、一般にはEC50と等しい濃度で接触させて、そして蛍光応答を測定する。作動薬と接触させた細胞をVR1拮抗薬である化合物と接触させると、蛍光応答は一般に、試験化合物を添加していない作動薬と接触させた細胞と比較して、少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%そしてより好ましくは少なくとも80%減少する。本明細書で提供されるVR1拮抗薬のIC50値は1マイクロモル未満、100nM未満、10nM未満又は1nM未満が好ましい。
【0109】
他の態様においては、カプサイシン受容体作動薬である化合物が好ましい。カプサイシン受容体作動薬活性は一般に実施例6に記載されているようにして測定できる。細胞をVR1作動薬である化合物1マイクロモルと接触ささせると、蛍光応答は一般に、細胞を100nMのカプサイシンと接触させて観測される増加の少なくとも30%の量で増加する。ここで提供されるVR1作動薬のEC50値は1マイクロモル未満、100nM未満又は10nM未満が好ましい。
【0110】
VR1調節活性も同様に、又は、実施例9に提供されているような培養脊髄神経節試験及び/又は実施例10に提供されているようなインビボ疼痛緩和試験を用いて評価できる。本発明で提供される化合物は好ましくは、本明細書で提供されている1つ又はそれ以上機能試験でVR1活性について統計的に有意な特異な効果を有している。
【0111】
ある態様においては、本発明で提供されるVR1調節剤は、EGF受容体チロシンキナーゼ又はニコチン性アセチルコリン受容体のような、他の細胞表面受容体とのリガンド結合を実質的に調節しない。すなわち、このような調節剤はヒト上皮細胞増殖因子(EGF)受容体チロシンキナーゼ又はニコチン性アセチルコリン受容体のような細胞表面受容体の活性を実質的に阻害しない(例えば、このような受容体におけるIC50又はIC40は、1マイクロモルより大きいことが好ましく10マイクロモルより大きいことが、最も好ましい)。好ましくは、調節剤は0.5マイクロモル、1マイクロモル又はより好ましくは10マイクロモルの濃度でEGF受容体又はニコチン性アセチルコリン受容体活性を検出可能な程阻害しない。細胞表面受容体の活性を測定する試験は、パンベラ社(Panvera: Madison, WI)から入手できる、チロシンキナーゼ試験キットを含め、市販されている。
【0112】
本明細書で提供される好ましいVR1調節剤は非鎮静剤である。すなわち、疼痛緩和測定の動物モデル(この実施例10に示されているモデルのような)において無痛覚を十分にもたらす最小用量の2倍であるVR1調節剤用量は、鎮静動物モデル試験(Fitsgerald et al. (1988) Toxicology 49 (2-3): 433-9 に記載の方法を用いて)において、一時的(すなわち、疼痛緩和持続時間の1/2以下持続する)又は好ましくは、統計的に有意性のない鎮静のみを引き起こす。好ましくは、無痛覚をもたらすのに十分な最小用量の5倍の用量が統計的に有意な鎮静を引き起こさない。より好ましくは、本明細書で提供されるVR1調節剤は、25mg/kg未満(好ましくは10mg/kg未満)の静脈内用量又は140mg/kg未満(好ましくは、50mg/kg未満、より好ましくは、30mg/kg未満)の経口用量で鎮静を引き起こさない。
【0113】
必要に応じて、本明細書で提供されるVR1調節剤は幾つかの薬理学的性質を評価することができ、この性質は、これに限定されないが、経口バイオアベイラビリティー(好ましい化合物は、140mg/kg未満、好ましくは50mg/kg未満、より好ましくは30mg/kg未満、さらに好ましくは10mg/kg未満、さらにより好ましくは1mg/kg未満そして最も好ましくは0.1mg/kg未満の経口用量で、この化合物の治療有効濃度が達成される程度まで経口で体内に吸収され利用され得る)、毒性(好ましいVR1調節剤はカプサイシン受容体調節量を患者に投与したときに非毒性である)、副作用(好ましいVR1調節剤は化合物の治療有効量を患者に投与したとき、プラセーボと同等の副作用を生ずる)、血清蛋白との結合性及びインビトロ及びインビボ半減期(好ましいVR1調節剤は、1日4回(Q.I.D.)投与、好ましくは1日3回(T.I.D.)投与、より好ましくは1日2回(B.I.D.)投与、そして最も好ましくは1日1回投与を容認する程のインビボ半減期と同等のインビトロ半減期を示す)を包含する。さらに、上述の1日の総経口投与量が治療効果のある調節をするといった、中枢神経系(CNS)のVR1活性を調節することによる疼痛の治療に用いるVR1調節剤には、血液脳関門の差別化された透過(differential penetration)が望ましいが、一方、末梢神経が介在する疼痛の治療には、VR1調節剤の脳レベルが低い方が好ましい(すなわち、化合物の脳(例えばCSF)レベルは、VR1活性を有意に調節するのに十分ではない用量である)。当該技術分野でよく知られた通常の試験はこれらの性質を評価し、そして特定の使用のための優れた化合物を確認するために用いられる。例えば、バイオアベイラビリティーを予測するために用いられる試験はCaco−2細胞単層を含む、ヒト腸細胞単層間の輸送試験を含む。ヒトにおける化合物の血液脳関門の透過は、化合物を投与(例えば、静脈内投与)した実験動物の脳内レベルから予測できる。血清蛋白結合性はアルブミン結合試験から予測できる。化合物の半減期は化合物の投与頻度に反比例する。化合物のインビトロ半減期は本明細書の実施例7で記載されているようなミクロソーム半減期の試験から予測できる。
【0114】
上述のように、本明細書で提供される好ましいVR1調節剤は非毒性である。一般に、本明細書で用いられている「非毒性」という用語は、相対的な意識で理解すべきであり、米国食品医薬品局(「FDA」)によって哺乳類(好ましくはヒト)への投与が承認されたか又は、判定基準を保持している、FDAによって哺乳動物(好ましくはヒト)への投与が承認される可能性のある幾つかの物質を参照することが意図されている。さらに、非常に好ましい非毒性の化合物は一般的に、以下の判定基準(1)細胞のATP生成を実質的に阻害しない;(2)心臓のQT間隔を有意に延長しない;(3)実質的な肝肥大を引き起こさない;及び(4)肝酵素の実質的な放出を引き起こさない;の1つ又はそれ以上を充たすものである。
【0115】
本明細書で用いられている、「細胞のATP生成を実質的に阻害しない」VR1調節剤はこの実施例8で示されている判定基準を充たしている化合物である。つまり、実施例8で述べられているように100μMのこのような化合物で処理された細胞は非処理の細胞で検出されたATPレベルの少なくとも50%のATPレベルを示す。さらに非常に好ましい態様によると、このような細胞は非処理の細胞で検出されたATPレベルの少なくとも80%のATPレベルを示す。
【0116】
「心臓のQT間隔を有意に延長しない」VR1調節剤とは、治療有効インビボ濃度を生ずる最小用量の2倍を投与したモルモット、ミニブタ又はイヌにおいて、心臓のQT間隔を統計的有意に延長しない(心電図記録で測定して)化合物のことである。ある好ましい態様においては、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、40又は50mg/kgの注射又は経口用量は、心臓のQT間隔の統計的に有意な延長をもたらさない。
「統計学的に有意に」とは、スチューデントT検定のような統計的有意性の標準パラメーター試験を用いて測定した、対照との差異で表され、有意性のレベルがp<0.1又はそれ以上、より好ましくはp<0.05となることを意味する。
【0117】
VR1調節剤は、実験用齧歯動物(例えば、マウス又はラット)に5〜10日間毎日、治療有効インビボ濃度を生ずる最小用量の2倍を投与する治療を施しても、対応する対照の100%以上の肝臓の対体重比の増加をもたらさず、「実質的な肝肥大をもたらさない」。さらに極めて好ましい態様においては、このような用量は、対応対照に対して75%を越える又は50%を越える肝肥大をもたらさない。非齧歯動物(例えば、イヌ)を用いると、このような用量は、対応する治療を施していない対照に対して50%以上の、好ましくは25%以上の、そしてより好ましくは10%以上の肝臓の対体重比の増加をもたらさない。このような試験における好ましい用量は、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、40又は50mg/kgの注射又は経口投与を包含する。
【0118】
同様にVR1調節剤は、実験用齧歯動物に治療有効インビボ濃度を生ずる最小用量の2倍量を投与しても、偽治療を施した対照のALT、LDH又はASTの血清レベルを100%を越えて上昇させず、「肝酵素の実質的な放出を促進しない」。さらに極めて好ましい態様においては、このような用量は、これらの血清レベルを対応する対照の75%を越えて又は50%を越えて上昇させない。また、VR1調節剤は、インビトロ肝細胞試験において、化合物の最小インビボ治療濃度の2倍に等しい濃度(インビトロで肝細胞と接触させて培養する培養液又は溶液の濃度)が、対応する偽治療を施した対照細胞と較べて培養液中に基礎レベルを超えて、このような酵素を培養液中に検出可能な程放出せず、「肝酵素の実質的な放出を促進しない」。さらに極めて好ましい態様においては、このような化合物の濃度が、化合物の最小インビボ治療濃度の5倍及び好ましくは10倍であっても、基礎レベル以上に、このような肝酵素を培養液に検出可能な程放出しない。
【0119】
他の態様において、ある好ましいVR1調節剤は、治療に有効な最小インビボ濃度と同じ濃度で、CYP1A2活性、CYP2A6活性、CYP2C9活性、CYP2C19活性、CYP2D6活性、CYP2E1活性又はCYP3A4活性のような、ミクロソームチトクロームP450酵素活性を阻害又は誘発しない。
【0120】
ある好ましいVR1調節剤は、治療に有効な最小インビボ濃度と同じ濃度で、染色体異常を誘発しない(例えば、マウス赤血球前駆細胞小核試験、エームス小核試験、らせん小核試験などを用いて決定されるような)。他の態様において、ある好ましいVR1調節剤は、このような濃度で姉妹染色分体交換(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞において)を誘発しない。
【0121】
以下で更に詳細に考察されるように、本発明のVR1調節剤は、検出を目的とする同位体標識又は放射性標識が可能である。例えば、式I−IIIで表される化合物は、一般に自然界で見出される原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有する同じ元素の原子で、置き換えられえた1つ又はそれ以上の原子を有することができる。本明細書で提供される化合物に存在させることができる同位体の例は、H、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clのような、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体を包含する。さらに、重水素(すなわち、H)のような重同位体は、例えばインビボ半減期の増加又は必要用量の減少のような大きな代謝安定性に起因する治療効果をもたらすので、特定の状況においては好ましい。
【0122】
(VR1調節剤の調製)
置換ピリミジン−4−イルアミン類縁体は一般的に、標準的な合成法を用いて製造できる。出発物質は、シグマ−アルドリッチ社[Sigma-Aldrich Corp. (St. Louis, MO)]のような供給業者から購入できるか、又は市販の前駆物質から確立された方法で製造することできる。1例として、以下のスキーム1〜4の何れかに示されているのと同様な合成経路は、有機化学合成の技術において知られている合成方法、又は当業者によって評価されているこれらの変法、と共に使用することができる。下記スキーム中の各可変基は、本明細書で提供される化合物の記載に一致した基を示す。
【0123】
以下のスキームにおいて、「触媒(catalyst)」という用語は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、又は酢酸パラジウム(II)のような、これに限定されないが、適した遷移金属を示す。さらに、この触媒系は、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ジフェニルエーテル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−ビフェニル、及びトリ−tert−ブチルホスフィンのような、これに限定されないが、単座配位子又はキレートリガンドを含有することができ、KPO、NaCO、又はナトリウム又はカリウムtert−ブトキシドのような塩基も含有していてもよい。遷移金属−触媒反応は、常温又は温度を上げて、トルエン、ジオキサン、DMF,N−メチル−ピロリジノン、エチレグリコール、ジメチルエーテル、ジグライム及びアセトニトリルのような、これに限定されないが、各種の不活性溶媒を用いて行うことができる。よく用いられる試薬/触媒の組み合わせは、アリールボロン酸/パラジウム(0)(スズキ反応;Miyamura and Suzuki (1995) Chemical Reviews 95: 2457)、アリール トリアルキルスズ/パラジウム(0)(シュティレ反応;T. N. Mitchell, (1992) Synthesis 9: 803-815)、アリール亜鉛/パラジウム(0)及びアリール グリニャール/ニッケル(II)を包含する。
以下のスキームで用いられている他の定義は次のとおりである。
【0124】
Ar 置換されていてもよい芳香族6員環
BINAP (rac)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル
Pd(dba) トリス[ジベンジリジンアセトン]ジ−パラジウム
PhNEt ジエチル−フェニルアミン(N,N−ジエチルアニリン、又はジエチルアニリンともいう)
t−BuOK カリウムtert−ブトキシド
【0125】
【化030】

【0126】
【化031】

【0127】
【化032】

【0128】
ある態様においては、VR1調節剤は1つ又はそれ以上の不斉炭素原子を含有することができるので、この化合物は異なった立体異性形態で存在することができる。このような形態は、例えば、ラセミ体又は光学活性体の形態になる。上で述べたように、全ての立体異性体は本発明の範囲に入る。それにもかかわらず、一つの鏡像異性体(すなわち、光学活性体)を得ることが望ましい。一つの鏡像異性体を製造する標準的な方法は不斉合成及びラセミ分割を包含する。ラセミ分割は、例えば、分割剤の存在下での再結晶、又はキラルHPLCカラムを用いるクロマトグラフィーのような普通の方法によって達成される。
【0129】
化合物は、放射性同位体である原子を1つ以上含有する前駆物質を用いる合成を行うことにより放射性標識できる。それぞれの放射性同位体は、炭素(例えば、14C)、水素(例えば、H)、硫黄(例えば、35S)、又はヨウ素(例えば、125I)が好ましい。トリチウム標識化合物も基質として該化合物を用いてトリチウムガスと、トリチウム化酢酸中でのプラチナ−触媒交換、トリチウム化トリフルオロ酢酸中での酸−触媒交換、又は不均一系触媒交換を介して触媒作用によって調製することができる。さらに、ある前駆体は、必要に応じて、トリチウムガスとトリチウム−ハロゲン交換、不飽和結合のトリチウムガス還元、又はナトリウムボロントリタイドを用いる還元に付すことができる。放射性標識化合物の調製は、プローブとして用いる放射性標識化合物の受注合成を専門とする放射性同位体供給業者によって容易になすことができる。
【0130】
(医薬組成物)
本発明は、1つ又はそれ以上のVR1調節剤を1つ以上の生理的に許容される担体又は賦形剤と共に含有してなる医薬組成物も提供する。医薬組成物は、例えば、1つ以上の水、緩衝液(例えば、中性に緩衝された食塩水、又はリン酸緩衝食塩水)、エタノール、鉱物油、植物油、ジメチルスルホキシド、糖質(例えば、ブドウ糖、マンノース、蔗糖又はデキストラン)、マンニトール、タンパク質、アジュバント、ポリペプチド又はグリシンのようなアミノ酸、抗酸化剤、EDTA又はグルタチオンのようなキレート剤及び/又は防腐剤を含有していてもよい。さらに、他の活性成分を本明細書で提供される医薬組成物に含有させてもよい(が必ずしも必須ではない)。
【0131】
医薬組成物は適切な投与方法、例えば、局所、経口、経鼻、直腸内又は非経口投与を含む、のために製剤化できる。本明細書で用いられている非経口という用語は皮下、皮内、血管内(例えば、静脈内)、筋肉内、脊髄、頭蓋内、鞘内及び腹腔内注射を、また同様な注射又は注入法も包含する。ある態様においては、経口使用に適する組成物が好ましい。このような組成物は、例えば、錠剤、トローチ、薬用キャンディー、水性又は油性懸濁液、分散性の粉末又は顆粒、乳剤、硬又は軟カプセル、又はシロップ又はエリキシルを包含する。さらなる他の態様においては、本発明の組成物は凍結乾燥剤として製剤化できる。局所投与用の製剤はある状況(例えば、火傷や痒みのような皮膚の症状を治療する場合)では好ましい。膀胱に直接投与する製剤(膀胱内投与(intravesicular administratin)は尿失禁及び過活動膀胱の治療に好ましい。
【0132】
経口使用のための組成物はさらに、魅力的かつ味の良い製剤を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤及び/又は保存剤のような成分を1つ以上含有していても良い。錠剤は活性成分を、錠剤の製造に適当な生理的に許容される賦形剤と共に含有している。このような賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳酸、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム)、顆粒化及び崩壊剤(例えば、トウモロコシ澱粉又はアルギン酸)、結合剤(例えば、澱粉、ゼラチン又はアラビアゴム)及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク)を包含する。錠剤は非被覆であるか又は胃腸系における崩壊及び吸収を遅らせて長期間にわたる除放作用を示すようにする公知の技術によって被覆することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリン又はジステアリン酸グリセリンのような時間遅延物質を使用できる。
【0133】
経口使用のための製剤は、活性成分を不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合した硬カプセル、又は活性成分を水又は油性媒体(例えば、ピーナッツオイル、流動パラフィン又はオリーブオイル)と混合した軟ゼラチンカプセルとして提供されてもよい。
【0134】
水性懸濁剤は、水性懸濁剤を製造するのに適している賦形剤と共に活性物質を含有している。このような賦形剤は、懸濁化剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴム);及び分散又は湿潤剤(レクチンのような自然界にあるリン脂質、アルキレンオキシドとステアリン酸ポリオキシエチレンのような脂肪酸との縮合生成物、エチレンオキシドとヘプタデカエチレンオキシセタノールのような長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、エチレンオキシドとモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールのような脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、又はエチレンオキシドとモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンのような脂肪酸及びヘキシトール無水物からから誘導される部分エステルとの縮合生成物)を包含する。水性懸濁剤は、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はn−プロピルのような1つ又はそれ以上の防腐剤、1つ又はそれ以上の着色剤、1つ又はそれ以上の着香剤、及び蔗糖又はサッカリンのような1つ又はそれ以上の甘味剤を含有していてよい。
【0135】
油性懸濁剤は、活性成分を植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブオイル、ごま油
又はココナッツ油)又は流動パラフィンのよう鉱物油に懸濁させることによって製剤化できる。油性懸濁剤は蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールのような増粘剤を含有することができる。味の良い経口用製剤を提供するために、上記のような甘味剤及び/又は着香剤を添加することができる。このような懸濁剤は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加により保存されてもよい。
【0136】
水を加えて水性懸濁剤を製造するのに適当な、分散性の粉末又は顆粒は活性成分を、分散又は湿潤剤、懸濁化剤及び1つ又はそれ以上の保存剤との混合剤とすることを提供する。適当な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤は既に上で述べたようなもので例示されている。甘味、着香及び着色剤のような追加の賦形剤も存在させることができる。
【0137】
医薬組成物は水中油型乳剤として製剤化してもよい。油層は植物油(例えば、オリーブオイル又はラッカセイ油)、鉱物油(例えば、流動パラフィン)又はこれらの混合物であってよい。適当な乳化剤は、自然界に存在するガム(例えば、アラビアゴム又はトラガカントゴム)、自然界に存在するリン脂質(例えば、大豆レシチン、及び脂肪酸及びヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル)、無水物(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)及び脂肪酸とヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)を包含する。乳剤は1つ又はそれ以上の甘味剤及び/又は着香剤を含有していてもよい。
【0138】
シロップ及びエリキシルはグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール又は蔗糖のような甘味剤と製剤化できる。このような製剤は1つ又はそれ以上の粘滑剤、保存剤、着香剤及び/又は着色剤も含有していてよい。
【0139】
局所投与用の製剤は、一般的に、活性剤を加えた局所用賦形剤を追加の任意成分とともに又はこれなしで含有している。適当な局所用賦形剤及び追加の任意成分は当該技術ではよく知られており、賦形剤の選択は、特殊な物理的形態及び送達方法によって決まるものと考えられる。局所用賦形剤は、水;アルコール(例えばエタノール又はイソプロピルアルコール)又はグリセリンのような有機溶媒;グリコール(例えば、ブチレン、イソプレン又はプロピレングリコール);脂肪族アルコール(例えば、ラノリン);水と有機溶媒との混合物及びアルコールのような有機溶媒とグリセリンの混合物;脂肪酸、アシルグリセロール(鉱物油のような油、及び天然又は合成の脂肪を含む)、ホスホグリセロイド、スフィンゴリピド及びワックスのような脂肪をベースとする物質;コラーゲン及びゼラチンのようなタンパク質をベースとする物質;シリコンをベースとする物質(不揮発性と揮発性の両方);及びマイクロスポンジ及び高分子物質のような炭化水素をベースとする物質を包含する。組成物は、さらに用いる製剤の安定性又は効果を高めるのに適する1つ又はそれ以上の成分を含有していてもよく、この成分は安定化剤、懸濁化剤、乳化剤、粘度調節剤、ゲル化剤、防腐剤、抗酸化剤、皮膚浸透増強剤、保湿剤及び徐放物質のようなものであるこのような成分の例は、Martindale- The Extra Pharmacopoeia (Pharmaceutical Press, London 1993) 及び Martin (ed.), Remington's Pharamceutical Sciences に記載されている。製剤は、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセルのようなマイクロカプセル、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルジョン、ナノ粒子又はナノカプセルを含有していてもよい。
【0140】
局所製剤は例えば、固体、ペースト、クリーム、フォーム、ローション、ゲル、パウダー、水性液及び乳剤を包含する多種の物理的な形態に製剤化することができる。このような薬学的に許容される形態の物理的な外観及び粘度は、この製剤に存在する乳化剤及び粘度調節剤の有無及び量によって規定できる。固体製剤は硬質で非注入性であって、一般に棒状又はスティック状、又は特定な形態で製剤化され;固定製剤は不透明又は透明で、溶媒、乳化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤、防腐剤及び最終物の効能を増加もしくは増強しうる他の活性成分を任意に含有していてもよい。クリーム及びローションは互いに同様なものであることが多く、主にこれらの粘度が異なる。ローション及びクリームの両者は不透明、透明又は透明感があり、乳化剤、溶媒、及び粘度調節剤を、さらに保湿剤、皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤、防腐剤及び最終物の効能を増加若しくは増強させる、その他の活性成分をも含む場合が多い。ゲルは高粘度から低粘度の範囲の粘度で製造できる。これらの製剤はローション及びクリームと同様に、溶媒、乳化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤、防腐剤及び最終物の効能を増加若しくは増強させる、その他の活性成分を含有していてもよい。液剤はクリーム、ローション、又はゲルよりも薄く、乳化剤を含まないことが多い。液状の局所用製品は溶媒、乳化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤、防腐剤及び最終物の効能を増加若しくは増強させる、その他の活性成分を多くの場合含んでいる。
【0141】
局所製剤中で使用するのに適している乳剤は、イオン性乳化剤、セテアリルアルコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテルのような非イオン性乳化剤、ステアリン酸PEG−40、セテアレス−12、セテアレス−20、セテアレス−30、セテアレスアルコール、ステアリン酸PEG−100及びステアリン酸グリセリルを包含するがこれに限定されない。適当な粘度調節剤は、これに限定されないが、保護コロイド、又はヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、シリカ、微結晶性ワックス、蜜蝋、パラフィン、及びパルミチン酸セチルのような非−イオン性のゴムを包含する。ゲル組成物は、キトサン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリクオタニウム(polyquaterniums)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー(carbomer)又はグリチルリチン酸アンモニウム(ammoniated glycyrrhizinate)のようなゲル化剤の添加によって形成できる。適当な界面活性剤は、これに限定されないが、非イオン、両性、陽イオン性及び陰イオン性界面活性剤を包含する。例えば、ジメチコンコポリオール、ポリソルベート(polysorbate)20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ラウラミドDEA,コカミドDEA、及びコカミドMEA、オレイルベタイン、コカミドプロピルホスファチジルPG−ジモニウムクロライド(PG-dimonium chloride)、及びラウレス硫酸アンモニウム(ammonium laureth sulfate)の1つ以上を局所製剤中に用いることができる。
【0142】
好ましい防腐剤は、これに限定されないが、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸、安息香酸及びホルムアルデヒドのような抗菌薬を、また物理的安定剤及びビタミンE、アスコルビン酸ナトリウム/アスコルビン酸及び没食子酸プロピルのような抗酸化剤をも包含する。適当な保湿剤は、これに限定されないが、乳酸及び他のヒドロキシ酸及びこれの塩、グリセリン、プロピレングリコール、及びブチレングリコールを包含する。適当な皮膚軟化剤は、ラノリンアルコール、ラノリン、ラノリン誘導体、コレステロール、ワセリン、ネオペンタン酸イソステアリル及び鉱油を包含する。適当な香料及び着色剤は、これに限定されないが、FD&C Red No.40及びFD&C Yellow No.5を包含する。局所製剤に包含できる他の好ましい更なる成分は、これに限定されないが、研磨剤、吸湿剤、固結防止剤、消泡剤、帯電防止剤、収れん剤(例えば、ヘーゼル、アルコール及びカモミールエキスのようなハーブエキス)、結合剤/賦形剤、緩衝剤、キレート化剤、フィルム形成剤、品質改良剤、高圧ガス、不透明化剤、pH調節剤及び保護剤を包含する。
【0143】
ゲルの製剤化のために適した局所賦形剤の例は:ヒドロキシプロピルセルロース(2.1%);70/30のイソプロピルアルコール/水(90.9%);プロピレングリコール(5.1%);及びポリソルベート80(1.9%)である。泡として製剤化するための適当な局所賦形剤の例は:セチルアルコール(1.1%);ステアリルアルコール(0.5%); クオターニウム52(Quaternium 52)(1.0%);プロピレングリコール(2.0%);エタノール95PGF3(61.05%)、脱イオン水(30.05%);P75炭化水素高圧ガス(4.30%)である。全てのパーセントは重量によるものである。
局所用組成物の局所送達方法は、指を使用する塗布;布、ティッシュー、綿棒、スティック又はブラシのような物理的な塗布具を用いる塗布;スプレー(霧、エアゾール又は泡のスプレーを包含する);点滴投与、散布;浸漬;及びすすぎ;を包含する。放出制御賦形剤も使用できる。
【0144】
医薬組成物は無菌注射用の水溶液又は油性懸濁液として製造することができる。調節剤は、使用する賦形剤及び濃度に応じて、賦形剤に懸濁させても溶解させてもよい。このような組成物は上記のように適した分散、湿潤剤及び/又は懸濁剤を用いて公知の技術に従って製剤化することができる。許容される賦形剤及び溶媒のうち使用し得るものは、水、1,3−ブタンジオール、リンゲル液及び生理食塩液である。さらに、無菌の不揮発性油を溶媒又は懸濁媒体として使用できる。この目的のために、合成モノ−又はジグリセライドを含む、幾つかの無菌の不揮発性油を使用することができる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は注射用組成物の製造において使用できると考えられ、局所麻酔剤、防腐剤及び/又は緩衝剤のようなアジュバントを賦形剤に溶解することができる。
【0145】
調節剤は坐薬(例えば、直腸内投与用)としても製剤化できる。このような組成物は薬剤を、常温では固体であるが直腸の温度では液体であるので直腸内で溶けて薬剤を放出する、適当な非刺激性の賦形剤と混合することによって製造できる。適当な賦形剤は、例えば、ココアバター又はポリエチレグリコールを包含する。
【0146】
医薬組成物は徐放製剤(すなわち、投与後に調節剤の徐放をもたらすカプセルのような製剤)として製剤化することができる。このような製剤は一般に、公知の技術で製造され、例えば、経口、径直腸又は皮下移植によって、又は目的の標的部位に移植することによって投与される。このような製剤に用いられる担体は生体適合性があり、生体分解性でもあるようなもので;好ましくは、この製剤は比較的一定のレベルで調節剤を放出する。徐放製剤中に含有する調節剤の量は例えば、移植部位、速度及び期待する放出時間、及び治療又は予防する疾患の性質によって決まる。
【0147】
さらに又は上記投与方法と共に、調節剤は便利に食物又は飲料水に添加することができる(例えば、ペットを含むヒト以外の動物(イヌ又はネコのような)及び家畜への投与)。動物用の餌及び飲料水組成物は、動物が食事と共に組成物の適当量を摂取できるように処方することができる。組成物を餌又は飲料水に添加するための、プレミックスとしても便利に提供できる。
【0148】
調節剤は一般に、カプサイシン受容体調節量、好ましくは治療有効量を投与する。好ましい全身用量は1日に体重1kg当り50mg未満(例えば、1日に体重1kg当り約0.001mgから約50mgの範囲)であり、経口では静脈内投与の約5−20倍高い(例えば、1日に体重1kg当り約0.01mgから約40mgの範囲)。
【0149】
単回投与単位を調製するために担体物質と混合する活性成分の量は例えば、治療する患者及び特定の投与方法によって変わる。投与単位は一般に約10μgから約500mgの活性成分を含有している。最適投与量は日常の検査、及びこの分野でよく知られている手順によって決めることができる。
【0150】
医薬組成物はVR1調節の応答に関連する疾患の治療(例えば、バニロイドリガンドへの暴露、疼痛、痒み、肥満又は尿失禁の治療)用に包装することができる。包装された医薬組成物とは、本明細書に記載されている1つ以上のVR1調節剤の治療有効量を入れた容器及び容器内の組成物はVR1調節の応答に関連する疾患に罹っている患者を治療するために使用するものであることを示す使用説明書(例えば、ラベル)を包含するものである。
【0151】
(使用方法)
本発明のVR1調節剤はインビトロ及びインビボの両方で、様々な状況下でカプサイシン受容体の活性化及び/又は活性を変化させるために使用できる。ある態様においては、VR1拮抗薬はインビトロ又はインビボにおいてカプサイシン受容体へのバニロイドリガンド作動薬(カプサイシン及び/又はRTXのような)の結合を阻害するために用いることができる。一般に、このような方法は、水溶液中でバニロイドリガンドの存在下に、このリガンドがカプサイシン受容体と結合するのに他の好ましい条件下に、本発明の1つ又はそれ以上のVR1調節剤をカプサイシン受容体調節量で、カプサイシン受容体を接触させる工程を含有してなる。カプサイシン受容体は溶液又は懸濁液中に(例えば、単離した膜又は細胞の調合液中)、又は培養された若しくは単離された細胞中に存在する。ある態様においては、カプサイシン受容体は患者の神経細胞に発現し、当該水溶液は体液である。好ましくは、1つ以上のVR1調節剤は、この類縁体が1マイクロモル以下、好ましくは500ナノモル以下、さらに好ましくは100ナノモル以下、50ナノモル以下、20ナノモル以下、又は10ナノモル以下の治療有効濃度で動物の体液の1つ以上に存在するような量で動物に投与される。例えば、このような化合物は20mg/体重kg未満、好ましくは5mg/体重kg、ある場合では、1mg/体重kg未満の投与量で投与可能である。
【0152】
細胞カプサイシン受容体のシグナル伝達活性(すなわち、カルシウム伝達)を調節する、好ましくは低減する方法も本明細書で提供される。このような調節は、カプサイシン受容体(インビトロ又はインビボのどちらかで)を、本明細書で提供される1つ又はそれ以上のVR1調節剤のカプサイシン受容体調節量と、調節剤が受容体と結合するのに適当な条件下で、接触させることによって達成することができる。この受容体は、溶液又は懸濁液中に、培養したか単離した細胞の調合液中、又は患者の細胞内に存在する。例えば、この細胞は動物のインビボで接触している神経細胞であってもよい。また、この細胞は、動物のインビボで接触している、膀胱上皮細胞(尿路上皮細胞)又は気道上皮細胞のような、上皮細胞であってもよい。シグナル送達活性の調節は、カルシウムイオンの伝導性(カルシウム非固定化又は流動化としても)を検出することによって評価することができる。シグナル送達活性の調節は、また本発明の1つ又はそれ以上のVR1調節剤で治療されている患者の症状(例えば、疼痛、灼熱感、気管支収縮、炎症、咳、しゃっくり、痒み、尿失禁又は過活動膀胱)の変化を検出することによっても評価することができる。
【0153】
本発明で提供されるVR1調節剤は、患者(例えば、ヒト)に経口で又は局所に投与され、VR1のシグナル伝達活性を調節している間、動物の1つ以上の体液中に存在させることが好ましい。このような方法に用いられる好ましいVR1調節剤はVR1シグナル伝達活性を、インビトロでは1ナノモル以下の、好ましくは100ピコモル以下の、より好ましくは20ピコモル以下の濃度で、インビボでは血液のような体液中で1マイクロモル以下の、500ナノモル以下の又は100ナノモル以下の濃度で、調節する。
【0154】
本発明はさらにVR1調節の応答に関連する疾患を治療する方法を提供する。本発明の文脈においては、「治療」という用語は、予防維持療法及び対症療法の両方(どちらも予防(すなわち、症状の発現前に、症状の重症度を阻止し、遅らせ、減少させるために)又は治療(すなわち、症状の発現後に、症状の重症度及び/又は期間を減少させるために)を含んでいる。局所的に存在するバニロイドリガンドの量に関係なく、カプサイシン受容体の不適切な活性によって特徴付けられるものであり、且つ/又はカプサイシン受容体活性の調節がこれらの疾患又は症状の緩和をもたらすものであれば、疾患は「VR1調節に応答性である」と言える。このような疾患とは例えば、以下で更に詳細に説明されるように、VR1を活性化する刺激への暴露、疼痛、喘息及び慢性閉塞性肺疾患のような呼吸器疾患、痒み、尿失禁、過活動膀胱、咳、しゃっくり、及び肥満からくる症状を包含する。これらの疾患は当該技術分野で確立されている評価基準を用いて診断及びモニターすることができる。上記の用量で治療される患者はヒト、ペット及び家畜を含む。
【0155】
治療する上での投薬計画は、使用する化合物、及び治療すべき特定の疾患に応じて変わるが、殆どの病気の治療には、一日に4回以下の投与が望ましい。一般に、一日に2回の投与がさらに望ましく、一日に1回が特に望ましい。急性の疼痛治療には、直ちに有効濃度に到達することが可能な単回投与が望ましい。しかし、投与量レベル及び投薬計画は、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、健康状況、性別、治療食、投与期間、投与経路、そして排出速度、薬剤の組合せ及び治療中の特定の病気を含む、種々の要因によってそれぞれ個別の患者に於いて、異なるものであることは理解されたい。効果的な治療を提供できる最少の投与量が望ましい。患者の治療効果は、通常、疾患の治療又は予防される疾患に適した、医療又は獣医学上の判断基準を用いて観察(モニター)される。
【0156】
カプサイシン受容体を活性化する刺激への暴露による症状を呈している患者には、熱、光、催涙ガス又は酸による火傷を負った者及び彼らの粘膜がカプサイシン(例えば、唐辛子又は唐辛子スプレーから)又は酸、催涙ガス若しくは汚染物質のような関連刺激に(例えば、摂食、吸入又は目からの接触を介して)曝されている者が含まれる。結果として生じる症状(本発明のVR1調節剤、特に拮抗薬を用いて治療される)には例えば、疼痛、気管支収縮及び炎症が含まれる。
【0157】
本発明のVR1調節剤を用いて治療できる疼痛は慢性又は急性のものであり、末梢神経介在の疼痛(特に、神経性疼痛)これらに限定されるものではない。本発明の化合物は例えば、乳房切除後疼痛症候群、断端痛、幻肢痛、口腔内神経因性疼痛、歯痛、義歯痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、反射性交感神経性ジストトロフィー、三叉神経痛、変形性関節症、関節リウマチ、線維筋痛、ギラン−バーレ症候群、知覚異常性大腿神経痛、口内焼灼感症候群及び/又は両側末梢神経障害の治療に用いることができる。さらなる神経障害性疼痛は、灼熱痛(反射性交感神経性ジストトロフィー−RSD、末梢神経損傷に続発する)、神経炎(例えば、坐骨神経炎、末梢神経炎、多発性神経炎、視神経炎、発熱後神経炎、移動性神経炎、分節性神経炎及びゴンボール神経炎(Gombault's neuritis)を含む)、ニューロン炎、神経痛(例えば、上で述べたもの、 頸腕神経痛、頭蓋神経痛、膝神経痛、舌咽神経痛、群発頭痛、特発性神経痛、肋間神経痛、乳房神経痛、顎関節神経痛、モートン神経痛(Morton's neuralgia)、鼻毛様体神経痛、後頭神経痛、紅神経痛、スラダー神経痛(Sluder's neuralgia)、スプレノパラチン(splenopalatine)神経痛、上部眼窩点神経痛及びヴィディウス神経痛)、手術関連疼痛、筋骨格痛、エイズ関連神経性疼痛、MS関連神経性疼痛、及び脊髄損傷に関連する疼痛を包含する。膿瘻、クラスター(すなわち、群発頭痛)のような末梢神経活性及びある種の緊張性頭痛を含む頭痛及び片頭痛を包含する頭痛も、本明細書に記載されているように治療することができる。例えば、片頭痛は、患者が片頭痛の前兆を感じたら直ちにここで提供される化合物を投与することによって阻止することができる。本明細書に記載されているように治療することが可能な更なる疼痛は、「口内焼灼感症候群」、労働痛、シャルコー疼痛、腸内ガスによる疼痛、生理痛、急性及び慢性の背痛(例えば、腰痛)、痔痛、消化不良性疼痛、狭心症、神経根痛、同所痛及び異所痛−癌関連疼痛(例えば、骨癌患者における)、毒への暴露による疼痛(及び炎症)(例えば、蛇、くもに咬まれたり昆虫に刺されたことによる)及び外傷性疼痛(例えば、手術後疼痛、切り傷、打撲及び骨折からの痛み、及び火傷の痛み)を包含する
。本明細書に記載されているように治療することが可能な更なる疼痛は、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群及び又は炎症性腸疾患に関連する疼痛を包含する。
【0158】
ある態様において、本発明のVR1調節剤は機械的疼痛の治療に用いることができる。本明細書で用いられている「機械的疼痛」という用語は、神経性のものではない頭痛又は熱、寒冷又は外からの化学的な刺激への暴露によるもの以外の疼痛を示す。機械的疼痛は、術後疼痛及び切り傷、打撲及び骨折からの痛み;歯痛;神経根痛、変形性関節症;間接リウマチ;線維筋痛;知覚異常性大腿神経痛;背痛;癌関連疼痛;狭心症;カーペルトンネル症候群(carpel tunnel syndrome);及び骨折、労働、痔、腸内ガス、消化不良、及び生理からくる疼痛のような物理的な外傷(熱又は化学的な火傷又は他の刺激及び/又は有毒な化学物質への有痛性の暴露以外の)を包含する。
【0159】
治療できる掻痒症は、乾癬性掻痒、血液透析による痒み、水性掻痒、及び膣前庭炎、接触皮膚炎、昆虫に咬まれる及び皮膚アレルギーに関連する痒みを包含する。本明細書に記載されているように治療することができる尿路疾患は、尿失禁(溢流性尿失禁、急迫性尿失禁及びストレス性尿失禁えお包含する)、さらに過活動又は不安定膀胱症(脊髄因性排尿筋過反射及び膀胱過敏症を包含する)を包含する。このようなある方法においては、VR1調節剤を直接膀胱に注射できるように、カテーテルまたは同様な器具を介してVR1調節剤を投与する。本発明の化合物は鎮該薬(咳を阻止し、緩和し又は抑える)として、及びしゃっくりの治療及び肥満患者の減量を促進するためにも使用することができる。
【0160】
他の態様において、ここで提供されるVR1調節剤は、炎症性要素を含む疾患の治療のための併用療法で使用することができる。このような疾患には、例えば、自己免疫疾患及び関節炎(特に関節リウマチ)、乾癬、クローン病、紅斑性狼瘡、過敏性腸症候群、組織移植不適合、及び移植臓器の超急性拒絶を、これに限定されないが、包含する炎症要素を有するものと知られている病的自己免疫反応を包含する。他のこのような疾患は外傷(例えば、頭部又は骨髄の損傷)、心臓−及び脳−血管疾患及びある種の感染症を包含する。
【0161】
このような併用療法においては、VR1調節剤は抗炎症剤とともに患者に投与される。このVR1調節剤と抗炎症剤は同じ医薬組成物中に存在させても、いずれかの順序で別々に投与されてもよい。抗炎症剤は、例えば、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID類)非特異的及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)特異的シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、金化合物、コルチコステロイド、メトトレキセート、腫瘍壊死因子(TNF)受容体拮抗薬、抗−TNFアルファー抗体、抗−C5抗体、及びインターロイキン−1(IL−1)受容体拮抗薬を包含する。NSAID類の例は、これに限定されないが、イブプロフェン(例えば、ADVIL(登録商標)、MOTRIN(登録商標))、フルビプロフェン(ANSAID(登録商標))、ナプロキセン又はナプロキセンナトリウム(例えば、NAPROSYN、ANAPROX、ALEVE(登録商標))、ジクロフェナク(例えば、CATAFLAM(登録商標)、VOLTAREN(登録商標))、ジクロフェナクナトリウムとミソプロストールの合剤(例えば、ARTHROTEC(登録商標))、スリンダック(CLINORIL(登録商標))、オキサプロジン(DAYPRO(登録商標))、ジフルニサール(DOLOBID(登録商標))、ピロキシカム(FELDENE(登録商標))、インドメタシン(INDOCIN(登録商標))、エトドラック(LODINE(登録商標))、フェノプロフェンカルシウム(NALFON(登録商標))、ケトプロフェン(例えば、ORUDIS(登録商標)、ORUVAIL(登録商標))、ナトリウムナブメトン(RELAFEN(登録商標))、スルファサラジン(AZULFIDINE(登録商標))、トルメチンナトリウム(TOLECTIN(登録商標))、及びヒドロキシクロロキン(PLAQUENIL(登録商標))を包含する。特定の種類のNSAID類は、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標))及びロフェコキシブ(VIOXX(登録商標))のように、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素を阻害する化合物からなっている。NSAID類はさらに、アセチルサリチル酸又はアスピリン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリン及びナトリウム(TRILISATE(登録商標))、及びサルサラーテ(DISALCID(登録商標))のようなサリチル酸塩を、またコーチゾン(CORTONE(登録商標)アセテート)、デキサメサゾン(例えば、DECADRON(登録商標))、メチルプレドニゾロン(MEDROL(登録商標))、プレドニゾロン(PRELONE(登録商標))、プレドニゾロンリン酸ナトリウムリン酸(PEDIAPRED(登録商標))、及びプレドニゾン(例えば、PREDNICEN−M(登録商標)、DELTASONE(登録商標)、STERAPRED(登録商標))のような副腎皮質ステロイドを包含する。
【0162】
このような併用療法におけるVR1調節剤の適切な用量は、一般に上記のようである。抗炎症剤の用量及び投与方法は、例えば Physician's Desk Reference 中の製造会社の説明書に見出すことができる。ある態様において、VR1調節剤と抗炎症剤との併用投与は、治療効果を生ずるのに必要な抗炎症剤の用量の減少をもたらす。したがって、好ましくは、本発明の併用又は併用療法における抗炎症剤の用量は、抗炎症剤を、VR1拮抗薬の併用投与なしで、投与する際の製造会社が助言している最大用量未満である。より好ましくは、この用量はこの最大用量の3/4未満、さらに好ましくは1/2未満、非常に好ましくは1/4未満であり、さらに最も好ましい用量は、VR1拮抗薬と併用投与しないで投与するときの抗炎症剤の投与に対して製造会社が助言する最大量の10%未満である。望ましい効果を達成するのに必要な併用薬のVR1拮抗薬成分の用量は、併用薬の抗炎症剤成分の用量及び効力によって影響されることは明らかであろう。
【0163】
1つ又はそれ以上のVR1調節剤及び1つ又はそれ以上の抗炎症剤をパッケージ内の別の容器に入れるか、又は1つ又はそれ以上のVR1調節剤及び1つ又はそれ以上の抗炎症剤の混合物として同じ容器に入れるか、して同じパッケージに包装することによって遂行できる。好ましい混合物は経口投与用(例えば、ピル、カプセル、錠剤など)に製剤化される。ある態様においては、このパッケージは、1つ又はそれ以上のVR1調節剤及び1つ又はそれ以上の抗炎症剤は、炎症性の疼痛を治療するために一緒に用いるように指示するしるし付きのラベルを含有してなる。非常に好ましい併用は抗炎症剤が、バルデコキシブ(BEXTRA(登録商標))、ルミラコキシブ(PREXIGE(登録商標))、エトリコキシブ(ARCOXIA(登録商標))、セレコキシブ(CELEBLEX(登録商標))及び/又はロフェコキシブ(VIOXX(登録商標))のようなCOX−2特異的シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤の1つ以上を含有しているものである。
【0164】
さらなる態様においては、本発明のVR1調節剤は1つ又はそれ以上のさらなる疼痛緩和薬剤と併用して用いることができる。このような薬剤のあるものは抗炎症剤で、上に記載されている。他のこのような薬剤は麻薬性鎮痛薬で、これは通常1つ又はそれ以上のオピオイド受容体のサブタイプ(例えば、μ、κ及び/又はδ)上で好ましくは作動薬又は部分作動薬として作用する。このような薬剤は、アヘン剤、アヘン誘導体及びオピオイドを、またこれらの薬学的に許容される塩及び水和物を包含する。麻薬性鎮痛薬の特定の例は、好ましい態様において、アルフェンタニル、アルファプロジン、アニレリジン、ベジトラマイド、ブプレノフィン、コデイン、ジアセチルジヒドロモルフィン、ジアセチルモルフィン、ジヒドロコデイン、ジフェノキシレート、エチルモルフィネ、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、イソメタドン、レボメトルファン、レボルファン、レボルファノール、メペリジン、メタゾシン、メタドン、メトルファン、メトポン、モルヒネ、アヘン抽出物、アヘン流エキス剤、粉末化アヘン、顆粒化アヘン、原料アヘン、アヘンチンキ、オキシコドン、オキシモルホン、パレゴリック、ペンタゾシン、ペチジン、フェナゾシン、ピミノジン、プロポキシフェン、ラセメトルファン、ラセモルファン、テバイン及びこれ薬剤の薬学的に許容される塩及び水和物を包含する。
【0165】
麻薬性鎮痛薬の他の例は、アセトルフィン、アセチルジヒドロコデイン、アセチルメタドール、アリルプロジン、アルファアセチルメタドール、アルファメプロジン、アルファメタドール、ベンゼチジン、ベンジルモルヒネ、ベータアセチルメタドール、ベータメプロジン、ベータメタドール、ベータプロジン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデインメチルブロマイド、コデイン−N−オキシド、シプレノルフィン(cyprenorphine)、デソモルヒネ、デキストロモルアミド、ジアンプロミド、ジエチルチアンブテン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン(dimethylthiamubetene)、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、ドロテバノール、エタノール、エチルメチルチアンブテン、エトニタゼン、エトルフィン、エトキセリジン、フレチジン、ヒドロモルヒノール、ヒドロキシペチジン、ケトベミドン、レボモラミド、レボフェナシルモルファン、メチルデソルフィン、メチルジヒドロモルヒネ、モルフェリジン、モルヒネメチルプロミド、モルヒネメチルスルホネート、モルフィンーN−オキシド、ミロフィン、ナロキソン、ナルブイフィン、ナルチヘキソン、ニココデイン、ニコモルヒネ、ノラシメタドール、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、ペンタゾカイン、フェナドキソン、フェナムプロミド、フェノモルファン、フェノペリジン、ピリトラミド、フォルコジン、プロヘプタゾイン、プロペリジン、プロピラン、ラセモラミド、テバコン、トリメペリジン及びこれらの薬学的に許容される塩及び水和物を包含する。
【0166】
更に、特定の代表的鎮痛剤は、例えば、TALWIN(登録商標)Nx及びDEMEROL(登録商標)(両者は Sanofi Winthrop Pharmaceuticals; New York、 NY より入手可能);LEVO−DROMORAN(登録商標)、BUPRENEX(登録商標)(Reckitt & Coleman Pharmaceuticals、 Inc.; Richmond, VA);MSIR(登録商標)(Purdue Pharma L. P.; Norwalk、 CT);DILAUDIO(登録商標)(Knoll Pharmaceutical Co.; Mount Olive, NJ);SUBLIMAZE(登録商標);SUFENTA(登録商標)(Janssen Pharmaceutical Inc.; Titusville, NJ);PERCOCET(登録商標)、NUBAIN(登録商標)及びNUMORPHAN(登録商標)(全てが Endo Pharmaceuticals Inc.; Chadds Ford, PA から入手可能);HYDROSTAT(登録商標)IR、MS/S及びMS/L(全てがRichwood Pharmaceutical Co. Inc; Florence, KY);ORAMORPH(登録商標)SR及びROXICODONE(登録商標)(両者は Roxanne Laboratories; Columbus、 OH から入手可能)及びSTADOL(登録商標)(Bristol-Myers Squibb; New York, NY)を包含する。さらなる鎮痛剤は、AM1241のようなCB2受容体作動薬、及びNeurontin(Gabapentin)及びプレガバリン(pregabalin)のようなα2δに結合する化合物を包含する。
【0167】
このような併用療法でのVR1調節剤の好ましい用量は上記のようである。他の疼痛緩和薬剤の用量及び投与方法は、例えば Physician's Desk Reference 中の製造会社の説明書に見出すことができる。ある態様において、VR1調節剤と1つ又はそれ以上の疼痛緩和薬剤との併用投与は、それぞれの治療薬が治療効果を示すのに必要な用量を減少させる(例えば、両薬剤の用量は上で示した又は製造会社が助言している最大容量の3/4未満、1/2未満、1/4未満又は10%未満であろう)。ある態様において、VR1調節剤と1つ又はそれ以上の追加の疼痛緩和薬剤との併用投与は、1つ又はそれ以上のVR1調節剤と1つ又はそれ以上の追加の疼痛緩和薬剤を、上記のように同じパッケージに包装することによって遂行できる。
【0168】
VR1作動薬である調節剤は、例えば、群衆整理で(催涙ガスの代用品として)又は身辺警護で(例えばスプレー製剤中に)又はカプサイシン受容体の脱感作による疼痛、痒み尿失禁又は過活動膀胱の治療用の薬剤として、さらに使用できるであろう。一般に、群集整理又は個人警護で用いられる化合物は通常の催涙ガス又は唐辛子スプレー技術に従って製剤化及び使用される。
【0169】
別の態様によると、本発明は、本発明の化合物についての多種のインビトロ及びインビボでの非医薬用途を提供する。例えば、このような化合物は標識されて、カプサイシン受容体の検出及び局在化(細胞調合液又は組織片、これらの調合液又は分画のような試料中の)のためのプローブとして使用できる。本発明の化合物は、受容体活性試験において陽性対照として、候補薬剤のカプサイシン受容体との結合能力を測定するための標準として、又は陽電子放出断層撮影(PET)用の又は単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)用の放射性追跡子 としても使用できる。これらの方法は対象生物のカプサイシン受容体を特徴付けるために使用することができる。例えば、VR1調節剤を多種のよく知られた技術を用いて標識し(例えば、ここに記載されているように、トリチウムのような放射性核種で放射性標識化)、そして試料と適当な培養時間(例えば、結合の時間的経過の最初の測定によって決定された)培養する。培養に続いて、結合しなかった化合物を除去し(例えば、洗浄によって)、結合した化合物を使用された標識に適した幾つかの方法(例えば、放射性標識された化合物に対してはオートラジオグラフィー又はシンチレーションカウントで;発光性の基及び蛍光性の基を検出するために分光方法を使用できる)により検出する。標識された化合物及び大量の(例えば10倍以上の)標識されていない化合物を含有する対応の試料を、対照として同様の方法で処理することができる。試験試料の中に、対照中よりも多い量の検出可能な標識が残っていれば、試験試料中にカプサイシン受容体が存在することを示す。培養細胞又は組織試料中のカプサイシン受容体の受容体オートラジオグラフィー(受容体マッピング)を含む検出試験は、Current Protocols in Pharmacology (1988) John Wiley & Sons, New York の section 8.11 から 8.19 中の Kuhar による記載のようにして行うことができる。
【0170】
本発明の調節剤は、周知の各種細胞分離方法においても使用できる。例えば、調節剤を、固定化のための親和性リガンドとして用いてインビトロでカプサイシン受容体を分離(例えば、カプサイシン受容体を発現する細胞を分離する)するために、組織培養のプレート又は他の支持体の内部表面に結合させてもよい。一つの好ましい態様によると、蛍光発光のような蛍光マーカーに結合させた調節剤を細胞に接触させ、次いでこれを蛍光活性化細胞選別(FACS)によって分析(又は単離)する。
【0171】
以下の実施例は説明の目的で提供されているものであり、それによって本発明は何ら制限されるものではない。特に明記されない限り、全ての試薬及び溶媒は標準の商用等級であり、さらに精製せずに使用した。通常の改変方法で、出発物質を変えてもよく、追加の工程を採用して本明細書で提供される他の化合物を製造することができる。
(実施例)
【実施例1】
【0172】
[4−(tert−ブチル)フェニル][6−(3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−イル]アミンの調製
この実施例は、代表的な置換ピリミジン−4−イルアミン類縁体である、[4−(tert−ブチル)フェニル][6−(3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−イル]アミンの調製を説明している。
1. 1−(6−クロロピリミジン−4−イル)−3−メトキシベンゼン
【0173】
【化033】

【0174】
トルエン(150mL)中の、4,6−ジクロロピリミジン(5g、33.5ミリモル)、3−メトキシフェニルボロン酸(5.17g、34.0ミリモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.4g、1.1ミリモル)及び2Mの炭酸カリウム(35mL)の混合物を窒素雰囲気下で、80℃に8時間加熱する。反応混合物を冷却して層を分離する。水層を酢酸エチル(3x100mL)で抽出して、合わせた有機層を4MのNaOH(100mL)、水(100mL)及び食塩水(100mL)で洗浄する。乾燥(MgSO)して、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(75%ヘキサン/25%エーテル)を用いて精製すると、標題化合物が得られる。
2. [4−(tert−ブチル)フェニル][6−(3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−イル]アミン
【0175】
【化034】

【0176】
4−tert−ブチルアニリン(30mg、0.2ミリモル)、次いでカリウムtert−ブトキシド(45mg、0.4ミリモル)を、1−(6−クロロピリミジン−4−イル)−3−メトキシベンゼン(44mg、0.2ミリモル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(18mg、0.02ミリモル)及びBINAP(17mg、0,02ミリモル)のトルエン(2mL)溶液に、窒素雰囲気下で加える。混合物を90℃で8時間撹拌し、塩化アンモニウム水溶液で希釈して、酢酸エチル(3x10mL)で抽出する。合わせた抽出液を乾燥(MgSO)して、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(50%ヘキサン/50%エーテル)を用いて精製すると、標題化合物が得られる。
400MHz 1H NMR (CDCl3): 1.35(s, 9H), 3.84(s, 3H), 7.00(d, 1H), 7.18(s, 1H), 7.28-7.48(m, 7H), 7.54(s, 1H), 8.74(s, 1H)
【実施例2】
【0177】
追加の代表的なピリミジン−4−イルアミン類縁体の合成
A. [4−(tert−ブチル)フェニル][6−(3−メトキシフェニル)−5−メチル−2−モリホリン−4−イルピリミジン−4−イル]アミン
1. 5−メチル−2−モルホリン−4−イルピリミジン−4,6−ジオール
【0178】
【化035】

【0179】
メタノール中のナトリウムメトキシド(15ml、45ミリモル)、モルホリノホルムアミジン臭化水素酸塩(6.3g、30ミリモル)及びメチルマロン酸ジエチル(5.22g、30ミリモル)の混合物を50℃に2時間加熱する。混合物を冷却して、減圧下で濃縮する。白色のガム状物質を水に溶解して、溶液を濃硫酸で酸性にする。得られる白色の固体をろ取し、水洗して、風乾すると、標題化合物が得られる。
2. 4−(4,6−ジクロロ−5−メチルピリミジン−2−イル)モルホリン
【0180】
【化036】

【0181】
5−メチル−2−モルホリン−4−イルピリミジン−4,6−ジオール(3.57g、17ミリモル)、N,N−ジエチルアニリン(4.37g、35ミリモル)及びオキシ塩化リン(25mL)の混合物を90℃に2時間加熱する。蒸発して過剰のオキシ塩化リンを除去し、水(100mL)を加えて、溶液を酢酸エチル(3x100mL)で抽出する。合わせた有機層を1Mの塩酸(100mL)、水(100mL)及び食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)して、減圧下で濃縮すると、標題化合物が得られる。このものをさらに精製せずに使用する。
3. 1−(6−クロロ−5−メチル−2−モルホリン−4−イルピリミジン−4−イル)−3−メトキシベンゼン
【0182】
【化037】

【0183】
トルエン(10mL)中の、4−(4,6−ジクロロ−5−メチルピリミジン−2−イル)モルホリン(372mg、1.5ミリモル)、3−メトキシフェニルボロン酸(243mg、1.6ミリモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(75mg)及び2Mの炭酸カリウム(1.5mL)の混合物を、窒素雰囲気下で80℃に3時間加熱する。反応混合物を冷却して、層を分離する。水層を酢酸エチル(3x10mL)
で抽出して、合わせた有機層を4Mの水酸化ナトリウム(10mL)、水(10mL)及び食塩水(10mL)で洗浄する。乾燥(MgSO)して、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(75%ヘキサン/25%エーテル)用いて精製すると、標題化合物が得られる。
4. [4−(tert−ブチル)フェニル][6−(3−メトキシフェニル)−5−メチル−2−モリホリン−4−イルピリミジン−4−イル]アミン
【0184】
【化038】

【0185】
4−tert−ブチルアニリン(30mg、0.2ミリモル)、次いでカリウムtert−ブトキシド(45mg、0.4ミリモル)を、1−(6−クロロ−5−メチル−2−モルホリン−4−イルピリミジン−4−イル)−3−メトキシベンゼン(64mg、0.2ミリモル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(18mg、0.02ミリモル)及びBINAP(17mg、0.02ミリモル)のトルエン(2mL)溶液に、窒素雰囲気下で加える。混合物を90℃で8時間撹拌し、塩化アンモニウム水溶液で希釈して、酢酸エチル(3x10mL)で抽出する。合わせた抽出液を乾燥(MgSO)して、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(65%ヘキサン/35%エーテル)を用いて精製すると、標題化合物が得られる。
400MHz 1H NMR(CDCl3): 1.35(s, 9H), 2.12(s, 3H), 3.76(brs, 8H), 3.84(s, 3H), 6.40(s, 1H), 6.96(dd, 1H), 7.08(m, 2H), 7.35(m, 1H), 7.38(d, 2H), 7.56(d, 2H)
B. (4−tert−ブチル−フェニル)−[4−イソブトキシメチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン
1. 2−クロロ−4−クロロメチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−[1,3,5]トリアジン
【0186】
【化039】

【0187】
3−メトキシ−N,N−ジメチル−ベンズアミド(2.39g、0.0133ミリモル)をアセトニトリルに溶解して、POCl(3mL)をこの透明な無色の溶液に加える。(N−シアノ)−2−クロロ−アセトアミジン(1.57g、0.133ミリモル)を全部一度に加えて、混合物を室温で16時間撹拌する。溶媒を減圧下で除去して、酢酸エチルとNaHCO水溶液の間で分配する。有機層を乾燥(NaSO)して、減圧下で濃縮する。フラッシュカラムを用いて、粗生成物をクロマトグラフ(ヘキサンから15%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)すると、純粋な生成物が単離される。
2. (4−tert−ブチル−フェニル)−[4−クロロメチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン
【0188】
【化040】

【0189】
2−クロロ−4−クロロメチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−[1,3,5]トリアジン(500mg、1.85ミリモル)をアセトニトリルに溶解して、4−tert−ブチルアニリン(331mg、2.22ミリモル)を加える。混合物を、薄層クロマトグラフィー(15%酢酸エチル/へキサンで溶出)を用いて出発物質が見えなくなるまで、80℃に加熱する。溶媒を減圧下で除去して、酢酸エチルとNaHCO水溶液の間で分配する。有機層を乾燥(NaSO)して、減圧下で濃縮する。フラッシュカラムを用いて、粗生成物をクロマトグラフ(ヘキサンから10%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)すると、無色泡状物質として純粋な生成物が単離される。
3. (4−tert−ブチル−フェニル)−[4−イソブトキシメチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン
【0190】
【化041】

【0191】
(4−tert−ブチル−フェニル)−[4−クロロメチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン(210mg、0.548ミリモル)を、THF及びイソ−ブタノール(761μL、8.23ミリモル)の混合物に溶解して、NaH(60%の油分散液、219mg、5.48ミリモル)を撹拌しながら、注意深く加える。ガスの発生が止まったら、混合物を60℃に1時間過熱する。水をゆっくり加えて反応を停止して、この混合物を酢酸エチルで抽出する。酢酸エチルを乾燥(NaSO)して、減圧下で濃縮する。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサンから10%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)を用いて精製すると、目的の生成物が透明な無色油状物として得られる。
【実施例3】
【0192】
追加の代表的な置換キノリン−4−イルアミン類縁体
通常の変法を用い、本明細書で提供される他の化合物を製造するために出発物質を変え、追加の工程を使用することができる。表1に載っている化合物は、このような方法を用いて製造された。
「IC50」と表示されている欄において、はここの実施例6に記載されているように測定されたIC50が1マイクロモル以下(すなわち、あるカプサイシンのIC50に暴露されている細胞の蛍光応答において、50%の減少をもたらすのに必要な、このような化合物の濃度が1マイクロモル以下である)であることを示している。
「MS]と標記されている欄の質量分析の値は、Waters 600ポンプ、Waters 996フォトダイオード配列検出器、Gilson 215オートサンプラー、及びGilson 841マイクロインジェクターを取り付けた Micromass Time-of-Flight LCT を用い、コーン電圧15V又は30Vの陽イオンモードによって得られるエレクトロスプレーMSである。MassLynx(Advanced Chemistry Development, Inc; Toronto, Canada)のバージョン4.0 ソフトウェアをデータ収集及び分析に用いた。1マイクロリッター量の試料を、50x4.6mmの Chromolith SpeedROD C18 カラム上に注入し、6ml/minの速度で、2相線形グラジエントを用いて溶出した。試料は、220−340nmのUV範囲における総吸収量を用いて検出した。
【0193】
溶出条件
移動相A−95/5/0.05: 水/メタノール/TFA;
移動相B−5/95/0.025: 水/メタノール/TFA
グラジエント: 時間(分) %B
0 10
0.5 100
1.2 100
1.21 10
総ランタイムは注入から注入まで2分であった。
【0194】
代表的な置換ピリミジン−4−イルアミン類縁体
【表1】





【実施例4】
【0195】
VR1導入細胞及び膜の調合液
この実施例はカプサイシン結合試験(実施例5)で用いるためのVR1導入細胞及び膜の調合液の調製を説明している。
ヒトカプサイシン受容体(米国特許第6,482,611号の配列番号1、2又は3)の全長をコードするcDNAを、哺乳動物の細胞中で組み換え体を発現させるために、プラスミドpBK−CMV(Stratagene, La Jolla, CA)にサブクローンした。
【0196】
ヒト胎児腎細胞(HEK293)に、標準の方法を用いて、ヒトカプサイシン受容体の全長をコードするコンストラクトを発現するpBK−CMVを導入した。導入された細胞をG418(400μg/ml)を含有する培地で2週間培養して選択し、安定に導入された細胞の集合(pool)を得た。この集合から独立したクローンを限界希釈法によって単離して、次の実験に用いる、安定にクローン化された細胞系を得た。
【0197】
放射性リガンド結合試験のために、細胞をT175細胞培養フラスコ中の抗生物質を含有していない培地に播種して約90%集密まで生育させた。次いで、フラスコをPBSで洗浄し、5mMのEDTAを含有するPBS中に細胞を集めた。細胞は緩やかに遠心分離してペレット状にし、試験まで−80℃で保管した。
【0198】
先の凍結した細胞を、組織ホモジナイザーを用いて氷冷したHEPESホモジナイズ緩衝液(5mMのKCl5、5.8mMのNaCl、0.75mMのCaCl、2mMのMgCl、320mMの蔗糖、及び10mMのHEPES;pH7.4)中でバラバラにした。組織のホモジネートはまず1000×g(4℃)で10分間遠心分離して核画分及び破片を除去し、次いで最初の遠心分離の上澄液をさらに35,000×g(4℃)で30分遠心分離して部分的に精製された膜画分を得た。膜は試験前に再度HEPESホモジナイズ緩衝液に懸濁した。この膜ホモジネートの1つのアリコートをブラッドフォード法[Bradford method (BIO-RAD Protein Assay Kit, #500-0001, BIO-RAD, Hercules, CA)]による蛋白濃度測定に用いた。
【実施例5】
【0199】
カプサイシン受容体結合試験
この実施例は、カプサイシン(VR1)受容体に対する化合物の結合親和性を測定するために用いることができる代表的なカプサイシン受容体結合試験を説明している。
H]レジニフェラトキシン(RTX)を用いる結合の検討は実質的には、Szallasi and Blumberg (1992) J. Pharmacol. Exp. Ter. 262: 883-888 に記載されているように行われる。この手順において、非特異的なRTX結合は、結合反応の終了後にウシα酸性糖タンパク(1管あたり100μg)を添加することによって減少した。
H]RTX(37Ci/mmol)は、Chemical Synthesis and Analysis Laboratory, National Cancer Institute-Fredrick Cancer Research and Development Center, Fredrick, MD で合成され、ここから入手した。また、[H]RTXは一般業者からも入手できる。(例えば、Amersham Pharmacia Biotech, Inc.; Piscataway, NJ)。
【0200】
実施例4の膜ホモジネートを前述のように遠心分離して、蛋白濃度が333μg/mlになるように、ホモジネート緩衝液に再懸濁する。結合試験用の混合物は氷の上に備え付け、[H]RTX(比活性:2200mCi/ml)、2μlの非放射性の試験化合物、0.25mg/mlのウシ血清アルブミン(コーンフラクションV)、及び5×10から1×10個のVR1−導入細胞を含有している。最終容量を上記の氷冷HEPESホモジネート緩衝液(pH7.4)で500μl(競合結合試験用)又は1,000μl(飽和結合試験用)に調整する。非特異的結合は1μMの非放射性RTX(ALexis Corp.; San Diego, CA)が存在すると生じるものであると定義する。飽和結合のために、[H]RTXを、1から2倍希釈を用いて、7〜1,000pMの濃度範囲で添加する。一般に、飽和結合曲線当り11個の濃度ポイントが収集される。
【0201】
競合結合試験は、60pMの[H]RTX及び各種の濃度の試験化合物の存在下で行われる。結合反応は、試験混合物を37℃の水浴に移したときに始まり、60分間培養した後に管を氷の上で冷却したときに終了する。膜に結合したRTXは、使用する2時間前に1.0%のPEI(ポリエチレンイミン)に予備浸漬したWALLACグラスファイバーフィルター(PERKIN-ELMER, Gaithersburg, MD)でろ過して非結合物から、同様にα酸性糖タンパクに結合したRTXからも分離する。フィルターを一晩乾燥して、WALLAC BETA SCINTシンチレーション液を添加した後に、WALLAC 1205 BETA PLATEカウンターでカウントする。
【0202】
平衡結合変数は、Szllasiら(1993) J. Pharmacol. Exp. Ter. 266: 678-683 に記載されているように、コンピュータプログラムFIT P(Biosoft, Ferguson, MO)の助けにより、アロステリックのヒルの式を測定値に当てはめて算出される。本発明の化合物は、この試験において、一般にカプサイシン受容体に対して1μM、100nM、50nM、25nM、10nM又は1nM未満のK値を示す。
【実施例6】
【0203】
カルシウム非固定化試験
本実施例は、試験化合物の作動薬及び拮抗薬活性を評価するために用いる代表的なカルシウム非固定化試験を説明するものである。
発現プラスミドを導入してヒトカプサイシン受容体を発現している細胞(実施例4に記載のような)をFALCONの壁が黒く、底が透明な、96ウェルプレート(#3904、BECTON-DICKINSON, Franklin Lakes, NJ)に播種し、70〜90%集密になるまで生育する。96ウェルプレートから培養液を空にし、FLUO−3 AMカルシウム感受性染料(Molecular Probes, Eugene, OR)をそれぞれのウェルに加える(染料溶液:1mgのFLUO−3 AM(1mg)、DMSO(440μl)及び20%のプルロン酸のDMSO溶液(440μl)を1:250でクレブス−リンガーHEPES(KRH)緩衝液(HEPES(25mM)、KCl(5mM)、NaHPO(0.96mM)、MgSO(1mM)、CaCl(2mM)、グルコース(5mM)、プロベネシド(1mM)、pH7)に希釈、各ウェルに希釈液を50μl)。プレートをアルミニウムホイルで覆って5%COを含有する環境下で1〜2時間37℃で培養する。培養後、染料をプレートから空にし、細胞をKRH緩衝液で一回洗浄してKRH緩衝液に再懸濁する。
【0204】
(カプサイシンEC50の算出)
カプサイシン受容体を発現している細胞中で、カプサイシン又は他のバニロイド作動薬に対するカルシウム非固定化応答に対する、試験化合物の作動又は拮抗する能力を測定するために、最初に作動カプサイシンのEC50を算出する。上記のように調整した、各細胞のウェルに、追加のKRH緩衝液20μl及びDMSO1μlを加える。KRH緩衝液中の100μlのカプサイシンをFLIPR器具で各ウェルに自動的に移す。カプサイシン−誘導のカルシウム非固定化は、FLUOROSKAN ASCENT(Labsystems; Franklin, MA)又はFLIPR(蛍光イメージングプレートリーダーシステム;Molecular Devices, Sunnyvale, CA)器具のいずれかを用いて観察する。8点濃度の反応曲線を作成するために、作動薬を適用してから30秒〜60秒後に得られたデータを、カプサイシン最終濃度1nMから3nMで使用した。KALEIDAGRAPHソフトウェア(Synergy Software,Reading、PA)を使用して、このデータを式:
y=a(1/(1+(b/x)))
に当てはめて、応答に対する50%影響濃度(EC50)を算出する。この式において、yは最大蛍光シグナルであり、xは作動薬又は拮抗薬(この場合は、カプサイシン)の濃度であり、aはEmaxで、bはEC50値に対応し、そしてcはヒル(Hill)係数である。
【0205】
(作動活性の測定)
試験化合物をDMSOに溶解しKRH緩衝液で希釈し、直ちに上記のように調整した細胞に加える。100nM(おおよそのEC90濃度)のカプサイシンも同様の96ウェルプレート中の細胞に陽性対照として加える。試験ウェル中の試験化合物の最終濃度は0.1nM〜5μMである。
【0206】
試験化合物のカプサイシン受容体の作動薬として作用する能力を、化合物によって誘発される、カプサイシン受容体を発現する細胞の蛍光応答を測定して、化合物濃度の関数として算定する。このデータを上記のように当てはめてEC50を得る。これは一般に、1マイクロモル未満で好ましくは100nM未満、より好ましくは10nM未満である。各試験化合物の有効性の範囲も、100nMのカプサイシンが誘発する応答に対する特定の濃度(一般に1μM)の試験化合物が誘発する応答の割合を算定して測定する。シグナルのパーセント(POS)と呼ばれる、この値は以下の式によって算出される:
POS=100試験化合物による応答/100nMカプサイシンによる応答
【0207】
この分析は、試験化合物のヒトカプサイシン受容体作動薬としての能力及び有効性の両方の定量的な評価を提供する。ヒトカプサイシン受容体の作動薬は一般に、100μM未満の濃度で、又は好ましくは1μM未満の濃度で、最も好ましくは10nM未満の濃度で検出可能な応答を誘発する。ヒトカプサイシン受容体に対する有効性の範囲は、1μMの濃度で、好ましくは30POSより大きく、より好ましくは80POSより大きい。ある作動薬は、以下に記載されている試験において、化合物の4nM未満の濃度で、より好ましくは10μM未満の濃度で、最も好ましくは100μM以下の濃度で検出可能な拮抗薬活性がないことを明らかにしたように、実質的に拮抗薬活性がない。
【0208】
(拮抗薬活性の測定)
試験化合物をDMSOに溶解し、試験ウェル中の試験化合物の最終濃度が1μM〜5μMになるように20μlのKRH緩衝液で希釈して、上記のように調製した細胞に加える。調製細胞及び試験化合物を含有する96ウェルプレートを、暗所において室温で0.5から6時間培養する。6時間を越えて培養を続けないことが重要である。蛍光応答を測定する直前に、KRH緩衝液中の上記のように測定したEC50の2倍濃度のカプサイシン100μlを、96ウェルプレートの各ウェルに、最終試験容量が200μlそしてカプサイシン濃度がEC50と等しくなるように、FLIPR器具により自動的に加える。試験ウェル中の試験化合物の最終濃度は1μMと5μMの間である。カプサイシン受容体の拮抗薬は、対応する対照(すなわち、試験化合物の非存在下に、カプサイシンのEC50の2倍濃度で処理した細胞)と比べて、10マイクモル以下の濃度で、好ましくは1マイクモル以下の濃度で、この応答を少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約50%、最も好ましくは少なくとも約80%減少する。カプサイシンの存在下で、拮抗薬なしで観測される応答に対して、50%の減少を示すのに必要な拮抗薬の濃度は、拮抗薬のIC50であり、これは1マイクロモル、100ナノモル、10ナノモル又は1ナノモル未満が好ましい。
【0209】
ある好ましいVR1調節剤は、上記試験において、4nM未満の濃度、より好ましくは10μM未満の化合物濃度、最も好ましくは100μM未満の濃度で検出可能な作動薬活性がないことを明らかにしたように、実質的に作動薬活性がない。
【実施例7】
【0210】
ミクロソームインビボ半減期
この実施例は、代表的な肝ミクロソーム半減期試験を用いる、化合物の半減期値(t1/2値)の評価を説明している。
【0211】
プールされたヒト肝ミクロソームは XenoTech LLC(Kansas City, KS)から入手する。このような肝ミクロソームは In Vitro Technologies(Baltimore, MD)又は Tissue Transformation Technologies (Edison, NJ)からも入手できる。それぞれがミクロソームを25μl、試験化合物100μM溶液を5μl及び0.1Mのリン酸緩衝液(0.1MのNaHPO19mL、0.1MのNaHPO81mL、HPOでpH7.4に調整)399μlを含有する6つの試験反応物を調製する。ミクロソームを25μl、0.1Mのリン酸緩衝液を399μl、及び既知の代謝特性を有する化合物(例えば、ジアゼパム又はクロザピン)の100μM溶液の5μlを含有する陽性対照として7番目の反応物を調製する。反応物は39℃で10分間予備培養する。
【0212】
NADP16.2mg及びグルコース−6−リン酸45.4mgを100mMのMgCl4mLに希釈してコファクター混合物を調製する。グルコース−6−リン酸脱水素酵素懸濁液(Roche Molecular Biochemicals; Indianapolis, IN)214.3μlを蒸留水1285.7μlに希釈して、グルコース−6−リン酸脱水素酵素溶液を調製する。出発反応混合物(コファクター混合物3mL;グルコース−6−リン酸脱水素酵素溶液1.2mL)71μlを6つの試験反応物のうちの5つ及び陽性対照に加える。100mMのMgCl71μlを6番目の試験反応物に加え、これを陰性対照として用いる。各時点(0、1、3、5、及び10分)での各試験反応物75μlを、氷冷アセトニトリル75μlを含有しているディープウェルを有する96ウェルプレートのウェルに、ピペットで添加する。試料をボルテックス撹拌及び遠心分離を3500rpmで10分行う(Sorval T 6000D centrifuge、 H1000B rotor)。各反応物から75μlの上澄液を、それぞれのウェルに既知のLCMSプロファイルを有する化合物(内部標準)の0.5μM溶液150μlを含有させた96ウェルプレートのウェルに移す。各試料のLCMS分析を行い、代謝されなかった試験化合物をAUCとして測定し、化合物の濃度対時間をプロットして試験化合物のt1/2値を外挿する。
本発明の好ましい化合物は、ヒト肝ミクロソームにおいて、10分超4時間未満の、好ましくは30分〜1時間のインビトロt1/2値を示す。
【実施例8】
【0213】
MDCK毒性試験
本実施例は、Madin Darbyイヌ腎(MDCK)細胞の細胞毒性試験を用いる化合物の毒性の評価を説明する。
試験化合物1μlを透明底の96ウェルプレート(PACKARD,Meriden,CT)の各ウェルに、試験における化合物の最終濃度が10マイクロモル、100マイクロモル又は200マイクロモルになるように加える。試験化合物を含まない溶媒を対照のウェルに加える。
【0214】
MDCK細胞であるATCC no.CCL−34(American Type Culture Collection, Manassas, VA)を、ATCC製品情報紙の指示に従って無菌条件下に保つ。集密になったMDCK細胞をトリプシン処理し、採取し、そして温めた(37℃)培地(VITACELLイーグル最小必須培地、ATCCカタログ#30−2003)で細胞0.1×10個/mlの濃度に希釈する。細胞を含まない100μlの温培地を含む標準曲線用の対照である5個のウェルを除いた各ウェルに、希釈した細胞100μlを加えた。ウェルプレートを37℃で、95%O及び5%COの雰囲気下で、振盪しながら2時間培養する。培養後、哺乳動物細胞溶解溶液(PACKARD(Meriden, CT)から入手の、ATP−LITE−M発光ATP検出キット)50μLを各ウェルに加え、ウェルをPACKARD TOPSEALステッカーで覆い、ウェルプレートを約700rpmで適当な振盪機上で2分間振盪する。
【0215】
毒性を生じる化合物は非処理細胞に比べて、ATP産生を減少させる。ATP−LITE−M発光ATP検出キットは、一般に処理及び非処理MDCK細胞におけるATP産生の測定についての製造会社の説明書に従って使用される。PACKARD ATP−LITE−M試薬は室温に調整する。調整したら直ちに、凍結乾燥した基質溶液を基質緩衝液(キットから)5.5mL中で解凍する。凍結乾燥したATP標準溶液を脱イオン水中で解凍して10mMのストックを得る。5個の対照試験ウェルについては、連続的に希釈したPACKARD標準10μlを、それぞれの標準曲線用の対照試験ウェルに、各ウェルの最終濃度が順次200nM、100nM、50nM、25nM及び12.5nMになるように加える。PACKARD基質溶液(50μL)を全てのウェルに加え、ウェルを覆い、プレートを約700rpmで適当な振盪機上で2分間振盪する。白色のPACKARDステッカーを各プレートの底に貼り、フォイルでプレートを包んで暗所に10分置くことによって試料を暗順応させる。次いで、発光計測器(例えば、PACKARD TOPCOUNT Microplate Scintillation and Luminescence Counter 又は TECAN SPECTRAFLUOR PLUS)を用いて22℃で発光を測定して、標準曲線からATPレベルを算出する。試験化合物で処理した細胞中のATPレベルを非処理の細胞について測定したレベルと比較する。好ましい試験化合物の10μMで処理した細胞は非処理の細胞の少なくとも80%、好ましくは90%のATPレベルを示した。試験化合物の100μM濃度を使用したときは、好ましい試験化合物で処理した細胞は、非処理細胞において検出されたATPレベルの少なくとも50%好ましくは少なくとも80%のATPレベルを示した。
【実施例9】
【0216】
脊髄後根神経節細胞試験
本実施例は、化合物のVR1拮抗薬又は作動薬活性を評価するための代表的な後根神経節細胞試験について説明する。
DRG(脊髄後根神経節)は新生児ラットから解剖して得、解離して標準的な方法(Aguayo and White (1992) Brain Rsearch 570: 61-67)を用いて培養する。48時間培養した後、細胞を1回洗浄し、カルシウム感受性染料Fluo4AM(2.5〜10ug/ml;TefLabs, Austin, TX)と共に30〜60分間培養する。次いで細胞を1回洗浄する。細胞にカプサイシンを加えると、VR1に依存して細胞内カルシウムレベルの増加が起きる。これは蛍光光度計によるFluo−4の蛍光の変化によって監視する。60〜180秒のデータを集めて最大蛍光シグナルを算定する。
【0217】
拮抗薬試験については、各種の濃度の化合物を細胞に加える。発光シグナルを化合物濃度の関数としてプロットして、カプサイシン−活性化応答を50%阻害するのに必要な濃度、又はIC50値を決定する。カプサイシン受容体の拮抗薬は好ましくは1マイクロモル、100ナノモル、10ナノモル又は1ナノモル未満のIC50値を有している。
【0218】
作動薬試験については、各種の濃度の化合物を、カプサイシンを添加しないで細胞に加える。カプサイシン受容体の作動薬である化合物はVR1に依存する細胞内カルシウムレベルの増加を引き起こす。これは蛍光光度計によるFluo−4の蛍光の変化によって監視する。EC50値又はカプサイシン活性化応答のための最大シグナルの50%を引き起こすのに必要な濃度は、好ましくは、1マイクロモル未満、100ナノモル未満又は10ナノモル未満である。
【実施例10】
【0219】
疼痛緩和確認のための動物実験
本実施例は、化合物がもたらす疼痛緩和の程度を評価する代表的な方法について説明している。
A.疼痛緩和試験
以下の方法は疼痛緩和を評価するために使用される。
【0220】
(機械的異痛症)
機械的異痛(無害の刺激に対する異常な応答)は本質的に、Chaplan et al. (1994) J. Neurosci. Methods 53: 55-63 及び Tal and Eliav (1998) Pain 64 (3): 511-518 に記載のようにして評価する。各種硬度の1組のフォン・フライのフィラメント(von Frey filaments:一般に、1組に8〜14本のフィラメント)を後足の足底面にフィラメントが曲がるのに十分な力で適用する。フィラメントはこの位置に3秒以内又は陽性異痛応答がラットによって示されるまで保持する。陽性異痛応答は、処理された足をあげると、直ちに足を舐めるか振る、よりなる。個々のフィラメントを適用する順序及び頻度は、ディクソンのアップダウン法を用いて決定する。試験は組の内の中程度の毛で始め、陰性又は陽性応答のどちらが最初のフィラメントで得られたかによって、上行性又は下行性の連続法で次のフィラメントを適用する。
【0221】
化合物は、このような化合物で処置されたラットが陽性異痛応答を示すのに、非処置又は賦形剤で処置されたラットに比べて、より硬い強度のフォン・フライのフィラメントでの刺激が必要であれば、機械的異痛様の症状を治療又は阻止するのに有効である。一方又はさらに、化合物を前投与又は後投与して動物の慢性疼痛の試験を行うことができる。このような試験において、有効化合物は、処置後に応答を引き起こすのに必要なフィラメントの硬度が、処置前の応答を引き起こすフィラメント又は慢性疼痛であるが無処置のままか賦形剤で処置されている動物に比べて、増加する。試験化合物は疼痛発現の前又は後に投与する。疼痛発現の後に試験化合物を投与しするきは、試験は与後10分から3時間後に行う。
【0222】
(機械的痛覚過敏症)
機械的痛覚過敏(疼痛刺激に対する誇張された応答)は実質的に、Koch ら, Analgesia 2 (3): 157-164に記載のようにして評価する。ラットを暖かい穴の開いた金属の床でできているオリの個室に入れる。後足を引っ込める時間(すなわち、動物が足を床に戻す前に足を抱えている時間の量)を、両後足の足底面に中程度に針を刺した後、測定する。
【0223】
後足を引っ込める時間を統計学的に有意に減少させるなら、化合物は機械的痛覚過敏の減少をもたらす。試験化合物は疼痛発現の前又は後に投与することができる。疼痛発現の後に投与する化合物については、試験は与後10分から3時間後に行う。
【0224】
(熱的痛覚過敏)
熱的痛覚過敏(有害な熱刺激に対する誇張された応答)は本質的に、Hargreaves ら,(1988) Pain. 32 (1): 77-88 に記載のようにして測定される。つまり、一定の放射熱源を動物の一方の後足の足底面 に当てる。引っ込める時間(すなわち、熱が当てられてから動物が足を動かす前の時間の量)又は熱限界又は潜在と記載されているものは、動物の後足の熱に対する感受性を決定する。
後足を引っ込める時間を統計学的に有意に増加させる(すなわち、熱限界又は潜在を増加する)なら、化合物は熱的痛覚過敏の減少をもたらす。試験化合物は疼痛発現の前又は後に投与することができる。疼痛発現の後に投与する化合物については、試験は投与後10分から3時間後に行う。
【0225】
B.疼痛モデル
化合物の鎮痛効果を試験するために、疼痛を下記の方法を用いて導入することができる。一般に、本発明の化合物は、雄性SDラット及び1つ以上の下記モデルを用いて、先に述べた1つ以上の試験方法によって確認されるように、統計的有意な疼痛減少をもたらす。
【0226】
(急性炎症性疼痛モデル)
急性炎症性疼痛モデルはカラギナンモデルを用いて、本質的に、Field ら (1997) Br. J. Pharmacol. 121 (8): 1513-1522 に記載のようにして導入する。1〜2%のカラギニン溶液100〜200μlをラットの後足に注射する。注射から3乃至4時間後に、熱及び機械刺激に対する動物の感応性を上記の方法を用いて試験する。試験化合物(0.01〜50mg/kg)を試験前又はカラギニン注射前に、動物に投与する。化合物は経口、又は何れかの非経口経路を介して、又は足に局所的に投与することができる。このモデルにおいて疼痛を緩和する化合物は機械的異痛及び又は熱的痛覚過敏の統計的有意な減少をもたらす。
【0227】
(慢性炎症性疼痛モデル)
慢性炎症性疼痛モデルは下記の手順のうちの1つを用いて導入される。
1.本質的に、Bertorelli et al. (1999) Br. J. Pharmacol. 128 (6): 1252-1258 及び Stein et al. (1998) Pharmacol. Biochem. Behav. 31 (2): 455-51 に記載のように、コンプリートフロインドアジュバント(Complete Freund's Adjuvant:加熱死させ乾燥したM.Tuberculosis0.1mg)をラットの後足に注射する(100μlを背面に、100μlを足底面に)。
2.本質的に、Abbadie et al. (1994) J. Neurosci. 14 (10): 5865-5871 に記載のように、150μlのCFA(1.5mg)を脛骨足根骨関節に注射する。
どちらの手順においてもCFAの注射前に、動物の後足の機械的及び熱的刺激に対する個々の基準感受性を、各実験動物に対して求める。
【0228】
CFAの注射に続いて、ラットに上記のような熱的痛覚過敏、機械的異痛及び機械的痛覚過敏の試験を行う。症状の進展を確認するために、CFAの注射から5,6、7日目にラットを試験する。7日目に、動物を試験化合物、モルヒネ又は賦形剤で処置する。モルヒネ1−5mg/kgの経口投与が陽性対照として適当である。一般に、試験化合物の0.01〜50mg/kgの用量が用いられる。化合物は試験の前に単回ボーラス投与として、又は試験前の数日、1日1回又は2回又は3回投与することができる。薬剤は経口、又は何れかの非経口経路を介して、又は動物に局所的に投与する。
結果は最大潜在的有効性に対する割合(Percent Maximum Potential Efficacy;MPE)として表す。0%MPEを賦形剤の鎮痛効果と定義し、100%MPEを動物がCFA投与前の基準感受性に戻ることと定義する。このモデルで疼痛を緩和する化合物は少なくとも30%のMPEをもたらす。
【0229】
(慢性神経性疼痛モデル)
慢性神経性疼痛は本質的に、Benett and Xie (1988) Pain 33: 87-107 に記載のように、ラットの坐骨神経に対する慢性の狭窄損傷(CCI)を用いて導入される。ラットを麻酔する(例えば、ペントバルビタール50−65mg/kgの腹腔内投与で、必要により追加用量を投与して)。各後肢の外側面の毛をそり、消毒する。無菌法を用いて、後肢の外側面を大腿の真ん中あたりで切断する。大腿二頭筋をずばり切り開き、坐骨神経を露出する。各動物の一方の後肢上に、坐骨神経の周りに1〜2mm離して4つのゆるく結ぶ結紮を行う。他方の坐骨神経は結紮せず、処理しない。筋肉を連続法で閉じ、皮膚を創傷クリップ又は縫合糸で閉じる。ラットを上記のように、機械的異痛、機械的痛覚過敏及び熱的痛覚過敏について評価する。
【0230】
当該モデルに於いて疼痛を緩和する化合物は、試験の直前に単回ボーラス投与、又は数日間に亘り1日1回又は2回又は3回の投与(0.01〜50mg/kg経口、注射又は局所投与)で、機械的異痛、機械的痛覚過敏及び/又は熱的痛覚過敏の統計的に有意な緩和をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化001】

[式中、
Xは、CR又はNであり;
は、水素、ハロゲン、ニトロ、C−Cアルキル、アミノ、シアノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
は、CH又はNであり;
、A及びAは、独立してCH,CR又はNであり(但しA−Aのうちの2個未満がNである);
及びBは、独立してCH又はNであり;
、B及びBは、独立してCH又はでCRあり(但し、B、B及びBのうちの1つ以上はCRである);
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルから選ばれ;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cハロアルキル又はC−Cアルキルスルホニルであり;そして
は、(i)及び(ii)から選ばれ、
(i)は、シアノ;及び
(ii)は、C−Cアルキル及び下記の式:
【化002】

(式中、
Lは、結合又はC−Cアルキレンであり;
Mは、結合又はC−Cアルキレンであり;
及びRは、
(a)水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル及びLと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基から独立して選ばれる(但し、R及びRのうちの1つ以上は、水素ではない);又は
(b)一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成し;そして
は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルカノイル、又はMと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基である。)で表される基であり、
ここにおいて、(ii)はそれぞれ、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノから独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている。]
で表される化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項2】
、B及びBのうちの1つ又は2つが、CR(ここにおいて、Rはハロゲン、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドから独立して選ばれる)である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項3】
がCRである、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項4】
、B及びBのうちの1つが、CRであり、そしてRがフルオロ、クロロ、シアノ、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、又はトリフルオロメチルである、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項5】
1つ以上のRが、C−Cアルコキシである、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項6】
がC−Cアルキルである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項7】
が、それぞれがハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ及びC−Cアルキルから独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキルエーテル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル又はアゼパニルである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項8】
が、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又はC−Cハロアルキルである、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項9】
それぞれのRが、アミノ、シアノ、ハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドから独立して選ばれる、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項10】
及びAがCHであり、そしてA及びAが、独立してCH又はCRである、請求項9に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項11】
、A、A及びAがそれぞれCHである、請求項10に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項12】
XがCRであり、そしてRが水素、ハロゲン、ニトロ、メチルスルホニル、メチル、エチル又はアミノである、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項13】
がハロゲン、ニトロ、メチルスルホニル、メチル、エチル又はアミノである、請求項12に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項14】
式:
【化003】

(式中、
及びBは、独立してCH又はNであり;
、B及びBは、独立してCH又はCR(ここにおいて、それぞれのRは、ハロゲン、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、C−Cアルキルスルホニル及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドから独立して選ばれる)であり;そして、
は、それぞれがハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、シアノ、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノから独立して選ばれる0から2個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルキルエーテル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル又はピペラリジニルである。)
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
が、ハロゲン、アミノ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ又はC−Cハロアルキルで置換されている炭素あり、そしてRが、t−ブチル又はトリフルオロメチルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
化合物が:
(4−tert−ブチル−フェニル)−[4−イソブトキシメチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;又は
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−メタンスルホニル−6−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン:
である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項17】
式:
【化004】

[式中、Rは、ハロゲン、C−Cアルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
Yは、CR又はNであり;
は、水素又はC−Cアルキルであり;
、A、A及びAは、独立してCH又はNであり;
は、CH、CR又はNであり;
及びBは、独立してCH又はCRあり;
は、CH又はNであり;
は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルから選ばれ;
は、ハロゲン、アミノ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドであり;
は、ハロゲン、シアノ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシであり;そして
は、(i)及び(ii)から選ばれ、
(i)は、水素、ハロゲン及びシアノ;及び
(ii)は、C−Cアルキル及び式:
【化005】

(式中、
Lは、結合又はC−Cアルキレンであり;
Mは、結合又はC−Cアルキレンであり;
及びRは、
(a)水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、及びLと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基から選ばれる(但し、R及びRのうちの1つ以上は水素ではない)か;又は
(b)一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する;そして
は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルカノイル、又はLと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基である。)で表される基であり、
ここにおいて、それぞれの(ii)は、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノから独立して選らばれる0から3個の置換基で置換されている。]
で表される化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項18】
が、ハロゲン、ニトロ、メチルスルホニル、メチル、エチル又はアミノである、請求項17に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項19】
が、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシである、請求項17又は請求項18に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項20】
が、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシである、請求項19に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項21】
が、CH又はNである、請求項17〜20のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項22】
がC−Cアルコキシである場合に、B及びBのうちの1つ以上が、C−Cアルコキシで置換されている炭素ではない、請求項17〜20のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項23】
が水素である、請求項17〜22のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項24】
がC−Cアルキルである、請求項17〜22のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項25】
が、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又はC−Cハロアルキルである、請求項17〜24のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項26】
それぞれのRが、アミノ、シアノ、ハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドから独立して選ばれる、請求項17〜25のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項27】
がN又はCHであり、そしてA、A及びAがそれぞれCHである、請求項17〜25のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項28】
YがNである、請求項17〜27のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項29】
式:
【化006】

(式中、
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドであり;
は、それぞれがハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、シアノ、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノから独立して選ばれる0から2個の置換基で置換されている、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル又はピペラジニルであり;
は、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシであり;そして
及びBは、独立してCH又はNである。)
で表される、請求項17に記載の化合物。
【請求項30】
が、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシであり;そして、Rがt−ブチル又はトリフルオロメチルである、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
化合物が:
2−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−ニトロ−ピリジン−4−イルアミノ]−フェノール;
2−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−ニトロ−ピリジン−4−イルアミノ]−5−トリフルオロメチル−フェノール;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−エチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−メタンスルホニル−6−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン:
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−5−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
[5−エチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
6−(3−メトキシ−フェニル)−N−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン
−(4−シクロヘキシル−フェニル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン;又は
−(4−tert−ブチル−フェニル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン:
である、請求項17に記載の化合物。
【請求項32】
式:
【化007】

[式中、
は、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、アミノ、ニトロ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
、A、A及びAは、独立してCH又はNであり;
−Bは、独立してCH、CR又はNであり(但し、B−Bのうちの1つだけがCRである);
は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルであり;
は、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルスルホニル、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミドであり;そして
は、(i)及び(ii)から選ばれ、
(i)は、水素、ハロゲン及びシアノ;及び
(ii)は、C−Cアルキル及び式:
【化008】

(式中、
Lは、結合又はC−Cアルキレンであり;
Mは、C−Cアルキレンであり;
及びRは、
(a)水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、及びLと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基から独立して選ばれる(但し、R及びRのうちの1つ以上は水素ではない)か;又は
(b)一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する;そして
は水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルアルカノイル、又はMと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基である。)で表される基であり、
ここにおいて、それぞれの(ii)は、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノから独立して選らばれる0から3個の置換基で置換されている。]
で表される化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項33】
が、水素、ハロゲン、ニトロ、メチル、エチル、メチルスルホニル又はアミノである、請求項32に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項34】
が、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシである、請求項32又は請求項33に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項35】
が、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又はC−Cハロアルキルである、請求項32〜34のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項36】
が水素である、請求項32〜35のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項37】
が、それぞれがハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ及びC−Cアルキルから独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、アミノ、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、又はアゼパニルである、請求項32〜36のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項38】
及びBが、独立してCH又はNである、請求項32〜37のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項39】
化合物が:
2−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルアミノ]−5−トリフルオロメチル−フェノール;
2−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェノール;
(4−tert−ブチル−フェニル)−(6−m−トリル−ピリミジン−4−イル)−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−エトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
6−(3−メトキシ−フェニル)−N−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−フルオロ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(4−クロロ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−メタンスルホニル−6−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(4−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;又は
−(4−シクロヘキシル−フェニル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン:
である、請求項32に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項41】
式:
【化009】

[式中、
は、ハロゲン、C−Cアルキル、シアノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
Yは、CR又はNであり;
は、水素又はC−Cアルキルであり;
−Aは、独立してCH、CR又はNであり;
、B、B、B及びBは独立してCH、CR又はNであり;
及びRは、それぞれ独立してハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルから選ばれ;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルであり;そして
は、(i)及び(ii)から選ばれ、
(i)は、水素、ハロゲン及びシアノ;及び
(ii)は、C−Cアミノアルキル及び式
【化010】

(式中、
Lは、結合又はC−Cアルキレンであり;
及びRは、
(a)水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル及びC−Cシクロアルキルから独立して選ばれるか;又は
(b)一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成し(但し、LがC−Cアルキルの場合は、R及びRは一緒になってヘテロシクロアルキルを形成する);
Mは、結合又はC−Cアルキレンであり;そして
は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルアルカノイル、又はLと一緒になって5から7員のヘテロシクロアルキルを形成する基である。)で表される基であり、
ここにおいて、それぞれの(ii)は、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノから独立して選らばれる0から3個の置換基で置換されている。]
で表される化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項42】
が、ハロゲン、メチル、エチル、ニトロ、メチルスルホニル又はアミノである、請求項41に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項43】
YがNである、請求項41又は42に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項44】
及びAが、独立してCH又はNである、請求項41〜43のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項45】
それぞれのRが、独立してシアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシである、請求項41〜44のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項46】
が、ハロゲン、アミノ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又はC−Cハロアルキルである、請求項41〜45のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項47】
が、水素、C−Cアルキルエーテル又はモルホリノである、請求項41〜46のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項48】
化合物が:
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−エチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−メタンスルホニル−6−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−5−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン;
[5−エチル−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
2−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルアミノ]−5−トリフルオロメチル−フェノール;
2−[6−(3−メトキシ−フェニル)−5−ニトロ−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェノール;
6−(3−メトキシ−フェニル)−N−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン;
−(4−シクロヘキシル−フェニル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン;又は
−(4−tert−ブチル−フェニル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4,5−ジアミン:
である、請求項41に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項49】
式:
【化011】

(式中、
XはCR又はNであり;
は、水素、ハロゲン、C−Cアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノであり;
及びAは、独立してCH又はNであり;
及びAは、独立してCH、CR又はNであり;
、B、B、B及びBは、独立してCH、CR又はNであり;
及びRは、それぞれ独立してハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、及びモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルから選ばれ;
は、ヒドロキシ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノイル、C−Cアルカノン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、又はモノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルであり;そして
はC−Cアルキルである。)
で表される化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項50】
XがCRであり、そしてRが水素、ハロゲン、メチル、エチル、ニトロ、メチルスルホニル又はアミノである、請求項49に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項51】
それぞれのRが、独立してシアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシである、請求項49又は請求項50に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項52】
及びBが、独立してCH又はNであり;B,B及びBのうちの1つ以上がCRであり;そして1つ以上のRがC−Cアルコキシである、請求項51に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項53】
が、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル又はシクロヘキシルである、請求項49〜52のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項54】
がメチルである、請求項49〜53のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項55】
化合物が:
(4−tert−ブチル−フェニル)−[5−メタンスルホニル−6−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン:
(4−tert−ブチル−フェニル)−[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−アミン:又は
[6−(3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピリミジン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン:
である、請求項49に記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項56】
化合物が、カプサイシン受容体作動のインビトロ試験において、検出可能な作動活性を示さない、請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項57】
化合物が、カプサイシン受容体のカルシウム非固定化試験において、1マイクロモル以下のIC50値を有する、請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項58】
化合物が、カプサイシン受容体のカルシウム非固定化試験において、100ナノモル以下のIC50値を有する、請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項59】
化合物が、カプサイシン受容体のカルシウム非固定化試験において、10ナノモル以下のIC50値を有する、請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項60】
請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態の1つ以上を、生理学的に許容される担体又は賦形剤と共に含有してなる、医薬組成物。
【請求項61】
組成物が、注射液、エアゾール、クリーム、ゲル、ピル、カプセル、シロップ又は経皮パッチの形態である、請求項60に記載の医薬組成物。
【請求項62】
カプサイシン受容体を発現する細胞を、請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態の1つ以上と接触させ、それによりカプサイシン受容体のカルシウム伝達を低減することからなる、細胞カプサイシン受容体のカルシウム伝達を低減する方法。
【請求項63】
細胞を動物体内でインビボ接触させる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
細胞が神経細胞である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
細胞が尿路上皮細胞である、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
接触中に化合物又はその薬学的に許容される形態を、動物の体液中に存在させる、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
化合物又はその薬学的に許容される形態を、1マイクロモル以下の濃度で動物の血液中に存在させる、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
化合物を、500ナノモル以下の濃度で動物の血液中に存在させる、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
化合物を、100ナノモル以下の濃度で動物の血液中に存在させる、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
動物がヒトである、請求項63に記載の方法。
【請求項71】
化合物又はその薬学的に許容される形態を経口で投与する、請求項63に記載の方法。
【請求項72】
カプサイシン受容体にバニロイドリガンドが結合するのを検出可能な程阻害するのに十分な量で、請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又は薬学的に許容される形態の1以上を、カプサイシン受容体と接触させることを含有してなる、インビトロでバニロイドリガンドがカプサイシン受容体にバニロイドリガンドが結合するのを阻害する方法。
【請求項73】
インビトロでクローンカプサイシン受容体を発現している細胞にバニロイドリガンドが結合するのを検出可能な程阻害するのに十分な量で、請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又は薬学的に許容される形態の1つ以上を、カプサイシン受容体を発現している細胞と接触させ、それにより患者におけるカプサイシン受容体にバニロイドリガンドが結合するのを阻害することを含有してなる、患者に於いてカプサイシン受容体にバニロイドリガンドが結合するのを阻害する方法。
【請求項74】
化合物を、1マイクロモル以下の濃度で患者の血液中に存在させる、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又は薬学的に許容される形態のカプサイシン受容体調節量を患者に投与し、それにより患者の疾患を軽減することからなる、患者に於けるカプサイシン受容体調節の応答に関連する疾患を治療する方法。
【請求項76】
患者が、(i)カプサイシンへの暴露、(ii)熱への暴露による火傷又は炎症、(iii)光への暴露による火傷又は炎症、(iv)催涙ガス、大気汚染又は唐辛子スプレーへの暴露による火傷、気管支収縮又は炎症、又は(v)酸への暴露による火傷又は炎症、に罹っている、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
疾患が喘息又は慢性閉塞性肺疾患である、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
疼痛に罹っている患者に、カプサイシン受容体調節量の請求項1、17又は33のいずれかに記載の化合物又は薬学的に許容される形態の1つ以上を投与し、それにより患者の疼痛を軽減することからなる、患者の疼痛を治療する方法。
【請求項79】
化合物を、1マイクロモル以下の濃度で患者の血液中に存在させる、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
化合物を、500ナノモ以下の濃度で患者の血液中に存在させる、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
化合物を、100ナノモ以下の濃度で患者の血液中に存在させる、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
患者が神経因性疼痛に罹っている、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
疼痛が、乳房切除後疼痛症候群、切断痛、幻肢痛、口腔内神経因性疼痛、歯痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、反射交感神経性ジストロフィー、三叉神経痛、変形性関節症、関節リウマチ、繊維筋痛、ギラン・バーレ症候群、知覚異常性大腿神経痛、口内焼灼感症候群、両側性末梢神経障害、灼熱痛、神経炎、ニューロン炎、神経痛、AIDS関連神経障害、MS関連神経障害、脊髄損傷関連の疼痛、手術関連の疼痛、筋骨格の疼痛、背中の疼痛、頭痛、片頭痛、狭心症、陣痛、痔、消化不良、シャルコー痛、腸内ガス、生理、ガン、毒汚染、過敏性腸症候群、炎症性大腸炎、及び外傷:から選ばれる疾患に関連ているものである、請求項78に記載の方法。
【請求項84】
患者がヒトである、請求項78に記載の方法。
【請求項85】
患者に、請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態のカプサイシン受容体調節量を投与し、それにより患者の痒みを軽減することからなる、患者の痒みを治療する方法。
【請求項86】
患者に、請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態のカプサイシン受容体調節量を投与し、それにより患者の咳又はしゃっくりを軽減することからなる、患者の咳又はしゃっくりを治療する方法。
【請求項87】
患者に、請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態のカプサイシン受容体調節量を投与し、それにより患者の尿失禁又は過活動膀胱を軽減することからなる、患者の尿失禁又は過活動膀胱を治療する方法。
【請求項88】
患者に、請求項1−49のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態のカプサイシン受容体調節量を投与し、それにより患者の減量を促進することからなる、肥満患者の減量を促進する方法。
【請求項89】
化合物又はその形態が放射性標識されている、請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態。
【請求項90】
(a)試料を、化合物がカプサイシン受容体と結合することが可能な条件下で、請求項1〜49のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される形態と接触させる;及び
(b)カプサイシン受容体に結合した化合物の量を検出し、それから試料中のカプサイシン受容体の有無を測定する;
の工程からなる、試料中のカプサイシン受容体の有無を測定する方法。
【請求項91】
化合物が請求項89に記載の放射性標識された化合物で、検出の工程が
(i)結合した化合物から結合しなかった化合物を分離する;及び
(ii)試料中の結合した化合物の有無を検出する;
の工程からなる、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
(a)容器中の請求項60に記載の医薬組成物;及び
(b)前記組成物を疼痛の治療に用いるための説明書;
を含有してなる、包装された医薬製剤。
【請求項93】
(a)容器中の請求項60に記載の医薬組成物;及び
(b)前記組成物を咳又はしゃっくりの治療に用いるための説明書;
を含有してなる、包装された医薬製剤。
【請求項94】
(a)容器中の請求項60に記載の医薬組成物;及び
(b)前記組成物を肥満症の治療に用いるための説明書;
を含有してなる、包装された医薬製剤。
【請求項95】
(a)容器中の請求項60に記載の医薬組成物;及び
(b)前記組成物を尿失禁又は過活動膀胱の治療に用いるための説明書;
を含有してなる、包装された医薬製剤。
【請求項96】
カプサイシン受容体調節の応答に関連する疾患を治療する薬剤を製造するための、請求項1〜55のいずれかに記載の化合物又はその形態の使用。
【請求項97】
疾患が疼痛、喘息、慢性閉塞性肺疾患、咳、しゃっくり、肥満症、尿失禁若しくは過活動膀胱、カプサイシンへの暴露、熱への暴露による火傷若しくは炎症、光への暴露による火傷若しくは炎症、催涙ガス、大気汚染若しくは唐辛子スプレーへの暴露による火傷、気管支収縮若しくは炎症、又は酸への暴露による火傷若しくは炎症である、請求項96に記載の使用。

【公表番号】特表2007−523875(P2007−523875A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520349(P2006−520349)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022820
【国際公開番号】WO2005/009977
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(500015456)ニューロジェン・コーポレーション (48)
【Fターム(参考)】