説明

バネホック

【課題】バネホックの連結性能を向上させると共に、製造コストの削減を図る。
【解決手段】1本の金属線を屈曲してなるバネホック10であって、第1疑似リング12と、第1線部13と、第2線部14と、第3線部15と、第4線部17と、第5線部18と、第6線部19と、第2疑似リング20を有する。さらに前記第2疑似リング20の末端から、前記第1線部13と前記第6線部19の間を途中まで延びて形成され、そこで終止している起伏部21を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バネホックに関する。1本の金属線を屈曲させて成形するのが一般的であるが、プラスチック成形したものも含まれる。
【背景技術】
【0002】
現在最もよく用いられているバネホックは、下記特許文献1の図3に示されているものである。基本的な変化がないまま、半世紀以上も使用されているのは、この技術が製造面及び使用面で非常に完成度が高いためであろう。もしそうなら改良が難しい技術分野といえるのかも知れない。
【特許文献1】実公昭25−8253号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術のバネホックに対して、連結性能を向上させると共に、製造コストの削減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のバネホックは、起点から延びて形成された第1疑似リングと、第1疑似リングから前方へ延びて形成された第1線部と、前記第1線部から垂直に立ち上がって形成された第2線部と、前記第2線部から、後方に伸びて形成された第3線部と、前記第3線部からUターン部を介して、前方に向かって延びて形成された第4線部と、前記第4線部から前記第2線部と平行に下降させて形成された第5線部と、前記第5線部から後方に向かって前記第1線部と平行に形成された第6線部と、前記第6線部の末端に形成された第2疑似リングと、前記第2疑似リングの末端から、前記第1線部と前記第6線部の間を途中まで延びて形成され、そこで終止している起伏部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、起伏部は、第2疑似リングの末端から、第1線部と第6線部の間を途中まで延びて形成され、そこで終止している。本発明の構成によれば、後に図3及び図4に関して比較説明するように、起伏部のバネとしての強度が強いので、バネホックは留め金にしっかりと連結される。そのため不用意に外れることもなく安定している。さらに、使用する材料が少なくて済むので、コストダウンにつながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
冒頭に記したとおり、本発明のバネホックし金属線によって成形するのが一般的であるが、プラスチックで一体成形してもよい。
【0007】
本発明において「疑似リング」とは完全に閉鎖したリングではなく、曲線部のつなぎ目でリングとしてつながらずに、さらにリング外へ延長しているものをいう。
【0008】
また、本発明において「平行」とは、厳密な意味で完全に平行でなくてもよく、例えば10°以下程度の傾きは許容される。
【0009】
また本発明において「線部」とは、直線であることが一般的であるが、ある程度の曲線も含まれるほか、例えば、次のような例外がある。
【0010】
前記Uターン部周辺は直線ではなく、外方へ向かって傾斜させるのが好ましい。この傾斜にはバネホックを留め金に掛け易くする効果がある。
【0011】
また、第2線部と第5線部も、直線でなくてもよく、特許文献1に見られるような曲線でもよい。
【実施例1】
【0012】
以下、添付の図面に基づき、本発明の1実施例を説明する。
【0013】
図1は、本発明に係るバネホック10の全体斜視図である。留め金(アイ)30と連結した状態を表している。それぞれは、リング部が糸で生地に縫い付けられることにより、衣服の開閉部などに固定される。
【0014】
図2(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は側面図である。
【0015】
これらの図に示すように、この実施例のバネホック10は、1本の金属線を屈曲してなる。符号11を起点とすれば、第1疑似リング12を形成した後、前方へ延びて第1線部13を形成し、次に垂直に立ち上がって第2線部14を形成する。この第2線部14から、後方に伸びて第3線部15を形成する。この第3線部15の後部からUターン部16となり、前方に向かって延びて第4線部17を形成する。続いて、第4線部17から第2線部14に平行に下降して第5線部18を形成する。続いて、後方に向かって第1線部13と平行に第6線部19を形成する。この第6線部19の末端に第2疑似リング20が形成される。第2疑似リング20の末端から、第1線部13と第6線部19の間を途中まで延びて起伏部21を形成した後、符号22において終止する。
【0016】
ここで、起伏部21は平坦部と山形の突起部からなる。第1線部13と第6線部19、第2線部14と第5線部18、第3線部15と第4線部17は、それぞれほぼ同じ長さである。第1、第6線部13,19と第3、第4線部15,17は、ほぼ平行である。また、第1疑似リング12と第2疑似リング20はほぼ同じ大きさである。
【0017】
第3線部15と第4線部17の境界をなすUターン部16は、図2(c)に示すように、少し上向きに立ち上がって傾斜部を形成している。この傾斜にはバネホック10を留め金30に掛け易くする効果がある。
【0018】
本発明が従来例と最も異なるのは、起伏部を形成した後、金属線が符号22で終止していることである。従来例では、例えば前記特許文献1の図3に見られるように、起伏部からさらに延びて、再び立ち上がり、その後、また第3線部と第4線部の間を進み、Uターン部の付近になってやっと終止する。
【0019】
図3と図4を使用して、本発明のバネホックと前記特許文献1の図3のバネホックとを比較する。
【0020】
本発明のバネホック(図3)では、留め金30にバネホック10を掛けると、起伏部21と第3,第4線部15,17に挟まれた狭窄部で抵抗を受ける。末端22は自由端であるので、起伏部21は自由に下方へ動くことができる。この狭窄部を抜けると起伏部は元の位置に回復するので、バネホック10と留め金30は連結される。
【0021】
それに対して、前記特許文献1の図3のバネホック(図4)では、起伏部21Aの末端は自由端ではなく、上記したように、起伏部21Aからさらに延びて、立ち上がり部23と第7線部24を有する。したがって、留め金30Aが狭窄部で抵抗を受けると、留め金は、第3,第4線部15A,17A及び第7線部24を持ち上げる。3本の金属線からなるので、起伏部21Aのバネとしての強度は強すぎるものとなり、長期間使用しているうちにバネの復元力が弱る原因となる。
【0022】
本発明によれば、起伏部21には、従来例の第7線部のような余分な力が加わらず、バネとしての強度が強いので、バネホック10は留め金30にしっかりと連結される。そのため不用意に外れることもなく安定している。さらに、使用する金属線が少なくて済むので、コスト削減につながる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るバネホック10の全体斜視図である。留め金(アイ)30と連結した状態を表している。
【図2】(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は側面図である。
【図3】本発明のバネホックの使用状態の断面図である。
【図4】前記特許文献1の図3のバネホックの使用状態の断面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 バネホック
11 起点
12 疑似リング
13 第1線部
14 第2線部
15 第3線部
16 Uターン部
17 第4線部
18 第5線部
19 第6線部
20 疑似リング
21,21A 起伏部
22 末端
30,30A 留め金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バネホック(10)であって、
起点(11)から延びて形成された第1疑似リング(12)と、
第1疑似リング(12)から前方へ延びて形成された第1線部(13)と、
前記第1線部(13)からほぼ垂直に立ち上がって形成された第2線部(14)と、
前記第2線部(14)から、後方に伸びて形成された第3線部(15)と、
前記第3線部(15)からUターン部(16)を介して、前方に向かって延びて形成された第4線部(17)と、
前記第4線部(17)から前記第2線部(14)と平行に下降させて形成された第5線部(18)と、
前記第5線部(18)から後方に向かって前記第1線部(13)と平行に形成された第6線部(19)と、
前記第6線部(19)の末端に形成された第2疑似リング(20)と、
前記第2疑似リング(20)の末端から、前記第1線部(13)と前記第6線部(19)の間を途中まで延びて形成され、そこで終止している起伏部(21)とを
有することを特徴とするバネホック。
【請求項2】
前記Uターン部(16)周辺が外方へ向かって傾斜している請求項1記載のバネホック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−22738(P2010−22738A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190462(P2008−190462)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【出願人】(000206381)大石金属工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】