説明

バネ及び/又は緩衝要素の自動車ボディの中空支持体への取付構造

本発明は、中空支持体(22)の下部フランジ(28)に通されたバネ及び/又は緩衝要素(20)のための貫通開口部(30)を有する自動車シャーシ上の中空支持体(22)へのバネ及び/又は緩衝要素(20)の取付構造に関する。ホイールガイドサスペンションは、負荷分散支持体(38)によってバネ及び/又は緩衝要素(20)を有する中空支持体(22)に取り付けられる。より長いバネ及び/緩衝要素をホイールガイドボディまでの距離を増すことなく自動車シャーシの中空支持体で支えることができるようにするために、バネ及び/又は緩衝要素(20)は、中空支持体(22)を完全に横切り、中空支持体(22)の上部フランジ(26)から上向きに延び、それによってバネ及び/又は緩衝要素(20)が、中空支持体(22)の上部フランジ(26)上の半径方向に突き出ているソケット(40)によって、中空支持体(22)の上部フランジ(26)で支えられる。アダプタープレート(42)は、中空支持体(22)の下部フランジ(28)で支えられ、これは間隔を空けて支えるようにソケット(40)に対し補強される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文で特定されたタイプの自動車ボディの中空支持体にバネ及び/又は緩衝要素を取り付けるための取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、バネ要素の上部端が貫通して中空支持体内に突き出る、貫通開口部が中空支持体の下部フランジに通される、このような取付構造を開示している。バネ要素は、ダンパードームの形態の負荷分散支持体によって自動車のホイールサスペンション部材を中空支持体に取り付ける働きをする。この周知の取付構造に伴う欠点は、ホイールサスペンション部材とボディの中空支持体との間の距離が、例えば、より長いバネ及び/又は緩衝要素をそれらの間に配置できるようにする、いかなる拡張も受け入れることができないことである。
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第198 27 864 C1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、より長いバネ及び/又は緩衝要素を自動車ボディの中空支持体で支えることができる、導入部に記載のタイプの取付構造を造ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従い、この目的は主請求項の特徴により達成される。
【0006】
本発明の有利な発展形態は、他の請求項に記載されている。
【0007】
本発明による取付構造では、バネ及び/又は緩衝要素は中空支持体を貫通するので、それは中空支持体の上部フランジから上向きに延び、中空支持体上の一般に利用できる全空間を都合良く塞ぐ。同時にバネ及び/又は緩衝要素は、半径方向に突き出ているソケットによって中空支持体の上部フランジで支えられる。取付構造のこの実施形態は、中空支持体から上向きに延び、対応して大きな有効長(バネ/緩衝要素の移動距離)を有する長いバネ及び/緩衝要素を、ホイールサスペンション部材と中空支持体との間の距離を変更する必要もなく使用できることを意味する。バネ及び/又は緩衝要素の、比較的大きなバネ/緩衝要素の移動距離を可能にする省スペースの取付構造が提供される。
【0008】
装着されると補強及び分離効果をもってバネ及び/又は緩衝要素のソケットに締結されるアダプタープレートが、中空支持体の下部フランジで支えられる場合、バネ及び/又は緩衝要素が特に堅牢且つ安定的に取り付けられる。
【0009】
中空支持体にバネ及び/又は緩衝要素が取り付けられる領域の剛性のさらなる増加は、中空支持体の上部フランジと下部フランジを一緒に接続すると共にその部材横断面を強化するケージが、ソケットと中空支持体の内部のアダプタープレートとの間に提供されることで保証される。
【0010】
特に、そのケージが中空支持体のオフセットの領域に−例えば、自動車のホイールハウジング又は車軸の近くに−配置される場合、そのケージは中空支持体の座屈剛性に影響を及ぼす。
【0011】
本発明のさらなる利点、特徴、及び細部は、好ましい例示的実施形態の以下の説明、及び図面から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、ホイールハウジング12を備えた側壁14によって側面にそって、トランクの床16によって底部で、及び後部壁18によって前部で画定される、トランク10を有する独立自動車ボディの後部を斜視図で示す。自動車の空気圧サスペンションのバネ及び緩衝要素20は各ホイールハウジング12の内部に配置され、各要素は、以下でさらに詳述されるように、自動車の指定後部側面部材22に取り付けられている。
【0013】
図2は、ボディ後部側面部材22にバネ及び緩衝要素20を取り付けるための取付構造を部分斜視図で示す。側面部材22は、ここでは、例えば、一緒に溶接された板金シェルから構成される連続中空支持体の形態をとる。側面部材22は、ここでは、自動車のホイールハウジング12又は、ここでは図示されない後軸の領域にオフセット24を有する。
【0014】
図2による取付構造が側面部材22を破断した斜視図で、及び側面部材22を破断した分解斜視図で示される、図3及び4と共に図2を参照するに、後部側面部材22へのバネ及び緩衝要素20の取付の細部を明瞭に見ることができる。バネ及び緩衝要素20の貫通開口部30(図4)は、中空支持体22の上部フランジ26及び下部フランジ28にそれぞれ通されるので、要素は中空支持体22を貫通する。中空支持体22の上を上向きに延びる部分は、ドーム状円筒ハウジング32を具備し、その内部にコイルバネ(図示せず)及びダンパが配置される。ホイールサスペンション部材(図示せず)は、バネ及び緩衝要素20の連結棒34の軸受固定部36によって連接され、その連結棒34は中空支持体22を貫通する。
【0015】
バネ及び緩衝要素20は、円筒ハウジング32に一体的に連結された半径方向に突き出ているソケット40、アダプタープレート42、及び側面部材22の内部−ソケット40とアダプタープレート42の間−に配置されたケージ44(図3〜6)を基本的に具備する負荷分散支持体38によって側面部材22に取り付けられる。円筒ハウジング32は、ここでは鋳物から構成される。半径方向に突き出ているソケット40は、上部フランジの形状に合わせて造られるので、装着されると、バネ及び緩衝要素20は、そのソケット40によって中空支持体22の上部フランジ26で支えられる。アダプタープレート42は、下部フランジ28の形状に合わせて造られ、装着されると、その下部フランジ28で支えられ、そのアダプタープレート42は中央開口部46を有する。その開口部46は、下部フランジ28内の貫通開口部30に挿入できる上方に伸びるカラー部48(図4、6)で画定される。装着されると、ソケット40及びアダプタープレート42は、4カ所のボルト締結具50によって一緒に締結され、以下でさらに詳述されるように、ケージ44によって互いに補強され、分離される。
【0016】
図5は、図3及び4で見ることができ、別に準備組立したユニットとして設計されるケージ44を斜視図で示す。このケージは、中空支持体22の指定上部フランジ26及び下部フランジ28と平行に延び、装着されるとこれらに当接する上部プレート52及び下部プレート54を具備する。このケージ44は、それによって中空支持体22の上部フランジ26及び下部フランジ28を一緒に接続すると共に、その部材横断面を強化する。中空支持体22の上部フランジ26及び下部フランジ28は、ケージ44が配置される領域で鋭角で合流するので、下部プレート52及び上部プレート54も互いに同一鋭角で延びる。4本のネジ用スリーブ58が延びる4個の穴56は、下部プレート52及び上部プレート54の両方にそれぞれ通される。これらのスリーブ58は、連結接続、特に溶接で下部プレート52及び上部プレート54に接続される。下部プレート52及び上部プレート54はそれぞれ開口部60を具備し、開口部の形状は、中空支持体22の上部フランジ26及び下部フランジ28内の貫通開口部30に合わせて設計されている。ケージ44の下部プレート52及び上部プレート54がネジ用スリーブ58にさらに一緒に接続される管状スリーブ62も同様に開口部30、60のこの形状に合わせて設計されている。下部プレート52及び上部プレート54は、連結接続、特に溶接によって管状スリーブ62に接続されるのが好ましい。ここで示された例示的実施形態では、下部プレート52及び上部プレート54の両方共、並びに管状スリーブ62は、板金製である。中空支持体22の上部フランジ26上のソケット40と下部フランジ28上のアダプタープレート42との間に特に堅牢な分離された補強部を造るために、ケージ44の管状スリーブ62と共に上部プレート52及び下部プレート54は、ビード、リブ又は同様の強化部分を備えている。
【0017】
図6は、上向きに突き出ているカラー部48によって画定された開口部46を有するアダプタープレート42を斜視図で示す。ボルト締結具50が貫通する4つの穴64がそのアダプタープレート42に通される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明により配置された2つのバネ及び緩衝要素を有する独立自動車ボディの後部を斜視図で示す。
【図2】バネ及び/又は緩衝要素をボディ後部側面部材に取り付けるための本発明による取付構造を部分斜視図で示す。
【図3】ボディ後部側面部材が破断されて示されている、図2による取付構造を斜視図で示す。
【図4】中空支持体の内部に配置されたケージと共に図2及び3による取付構造を分解斜視図で示す。
【図5】図3及び4に示されるケージを斜視図で示す。
【図6】装着されると中空支持体の下部フランジで支えられる、取付構造用アダプタープレートを斜視図で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ボディの中空支持体(22)にバネ及び/又は緩衝要素(20)を取り付け、前記中空支持体の下部フランジ(28)に前記バネ及び/又は緩衝要素(20)の貫通開口部(30)が通され、前記バネ及び/又は緩衝要素(20)は負荷分散支持体(38)によって前記自動車のホイールサスペンション部材を前記中空支持体(22)に取り付ける、取付構造であって、
前記バネ及び/又は緩衝要素(20)は、前記中空支持体(22)を貫通し、前記中空支持体(22)の上部フランジ(26)から上向きに延び、
前記バネ及び/又は緩衝要素(20)は、半径方向に突き出ているソケット(40)によって前記中空支持体(22)の前記上部フランジ(26)で支えられることを特徴とする取付構造。
【請求項2】
装着されると補強及び分離効果をもって前記ソケット(40)に締結されるアダプタープレート(42)は、前記中空支持体(22)の前記下部フランジ(28)で支えられることを特徴とする請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記中空支持体(22)の前記上部フランジ(26)及び下部フランジ(28)を一緒に接続すると共に前記部材横断面を強化するケージ(44)は、前記中空支持体(22)の内部のソケット(40)とプレート(42)との間に提供されることを特徴とする請求項1に記載の取付構造。
【請求項4】
前記中空支持体(22)の前記上部フランジ(26)及び下部フランジ(28)は、前記ケージ(44)が配置される領域において鋭角で合流することを特徴とする請求項3に記載の取付構造。
【請求項5】
前記ケージ(44)の下部プレート(52)及び上部プレート(54)は、前記中空支持体(22)の前記指定上部フランジ(26)及び下部フランジ(28)とほぼ平行に延びることを特徴とする請求項3に記載の取付構造。
【請求項6】
前記ケージ(44)の前記下部プレート(52)及び上部プレート(54)は、管状スリーブ(62)によって一緒に接続されることを特徴とする請求項5に記載の取付構造。
【請求項7】
前記ケージ(44)の前記下部プレート(52)及び前記上部プレート(54)は、複数のネジ用スリーブ(58)によって一緒に接続されることを特徴とする請求項5に記載の取付構造。
【請求項8】
前記ケージ(44)は、準備組立したユニットの形態をとることを特徴とする請求項3に記載の取付構造。
【請求項9】
前記ケージ(44)は、前記中空支持体(22)のオフセット(24)の領域に配置されることを特徴とする請求項3に記載の取付構造。
【請求項10】
前記中空支持体(22)は、前記ホイールハウジング(12)の領域のオフセット側面部材であることを特徴とする請求項9に記載の取付構造。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ボディの中空支持体(22)にバネ及び/又は緩衝要素(20)を取り付け、前記中空支持体の下部フランジ(28)に前記バネ及び/又は緩衝要素(20)の貫通開口部(30)が通され、前記バネ及び/又は緩衝要素(20)は負荷分散支持体(38)によって前記自動車のホイールサスペンション部材を前記中空支持体(22)に取り付け、前記バネ及び/又は緩衝要素(20)は、前記中空支持体(22)を貫通し、前記中空支持体(22)の上部フランジ(26)から上向きに延び、前記バネ及び/又は緩衝要素(20)は、半径方向に突き出たソケット(40)によって前記中空支持体(22)の前記上部フランジ(26)で支えられる、取付構造であって、
装着されると補強及び分離効果をもって前記ソケット(40)に締結されるアダプタープレート(42)は、前記中空支持体(22)の前記下部フランジ(28)で支えられることを特徴とする取付構造。
【請求項2】
前記中空支持体(22)の前記上部フランジ(26)及び下部フランジ(28)を一緒に接続すると共に前記部材横断面を強化するケージ(44)は、前記中空支持体(22)の内部のソケット(40)とプレート(42)との間に提供されることを特徴とする請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記中空支持体(22)の前記上部フランジ(26)及び下部フランジ(28)は、前記ケージ(44)が配置される領域において鋭角で合流することを特徴とする請求項2に記載の取付構造。
【請求項4】
前記ケージ(44)の下部プレート(52)及び上部プレート(54)は、前記中空支持体(22)の前記指定上部フランジ(26)及び下部フランジ(28)とほぼ平行に延びることを特徴とする請求項2に記載の取付構造。
【請求項5】
前記ケージ(44)の前記下部プレート(52)及び上部プレート(54)は、管状スリーブ(62)によって一緒に接続されることを特徴とする請求項4に記載の取付構造。
【請求項6】
前記ケージ(44)の前記下部プレート(52)及び前記上部プレート(54)は、複数のネジ用スリーブ(58)によって一緒に接続されることを特徴とする請求項4に記載の取付構造。
【請求項7】
前記ケージ(44)は、準備組立したユニットの形態をとることを特徴とする請求項2に記載の取付構造。
【請求項8】
前記ケージ(44)は、前記中空支持体(22)のオフセット(24)の領域に配置されることを特徴とする請求項2に記載の取付構造。
【請求項9】
前記中空支持体(22)は、前記ホイールハウジング(12)の領域のオフセット側面部材であることを特徴とする請求項8に記載の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−502897(P2006−502897A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−525151(P2004−525151)
【出願日】平成15年7月5日(2003.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007213
【国際公開番号】WO2004/012979
【国際公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】