説明

バブリング装置及び方法

【課題】ミスト成分が十分に除去された液体原料の蒸気を生成することが可能なバブリング装置を提供する。
【解決手段】バブリング装置10は、液体原料17を収容する容器11と、液体原料17が供給される液体原料供給口12と、キャリアガスが供給されるキャリアガス供給口13と、容器11内のガスを排出するガス排出口14と、キャリアガスを用いて液体原料17をバブリングさせる下部フィルタ15と、バブリングによって得られた液体原料17の蒸気を含むキャリアガスから液体原料17のミスト成分を除去する上部フィルタ16とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バブリング装置及び方法に関し、特に、フッ酸等の液体原料を気化させるためのバブリング装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェーハの洗浄にはフッ酸(HF)が用いられている。一般にフッ酸を用いた洗浄ではフッ化水素の水溶液が用いられるが、表面張力等の問題から微小欠陥内の洗浄が非常に難しい。洗浄が不十分であると、微細構造におけるHF洗浄/エッチング処理ができないという問題がある。そこで最近は、フッ酸の蒸気(フッ化水素ガス)を用いてウェーハを洗浄する試みがなされている。
【0003】
液体原料を蒸発させる方法の一つとしてバブリングが知られている。例えば特許文献1では、高粘性の液体原料をキャリアガスに同伴させて大流量でCVD装置に供給する方法が提案されている。液体原料をバブリング容器に封入し、容器内の圧力を大気圧以下に保った状態で液体原料中に設けられたノズルからキャリアガスを吹き込み、液体原料内に溶解させた後、微小な気泡として発生させ、キャリアガスに原料を同伴させる。
【0004】
また特許文献2及び3には、液体原料の気化装置が開示されている。特許文献2に記載の装置は導入パイプの先端部に取り付けられたバブリングノズルを備えている。バブリングノズルは複数の細管によって構成され、略均等間隔かつ放射状に配置されているので、きめ細かい気泡を連続的かつ均一に発生させることができ、液体原料の気化効率を向上させることができる。また特許文献3に記載の装置はバブリング室と静止液面室との間に設けられた仕切り板を備えている。静止液面室の液面はバブリング中であっても仕切り板によって波立たず、センサによって液面レベルを正確に検知できる。
【0005】
特許文献4には、キャリアガスを用いたバブリングによる液体原料(液体化学品)の気化をモニタする方法が開示されている。この方法は、液体原料が収容されるコンテナへ移相されるキャリアガスの圧力の順々の値を求める決定ステップと、この決定ステップで求められたキャリアガスの圧力の順々の値に基づき、液体原料から蒸気の質量流量を算出する計算ステップを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−244121号公報
【特許文献2】特開平6−267852号公報
【特許文献3】特開平7−14770号公報
【特許文献4】特表2001−515200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のバブリング方法はいずれもフッ酸を対象とするものではないが、これらの方法を用いてフッ酸をバブリングする場合、フッ酸を高濃度で気化させることが難しいという問題がある。また、バブリングはフッ酸の蒸気のみならずミストを発生させるため、キャリアガスがフッ酸のミスト成分を含んだ状態のまま洗浄プロセスに移送されてしまうおそれがある。キャリアガスがフッ酸のミストを含んでいると、ウェーハに付着したミストにフッ酸の蒸気がさらに溶け込み、ミスト中のフッ酸の濃度が非常に高くなり、ウェーハが不均一に洗浄されるという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、フッ酸等の液体原料を蒸発させて、ミスト成分が除去された高濃度な蒸気を安定して発生させることが可能なバブリング装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明によるバブリング装置は、液体原料を収容する容器と、キャリアガスを用いて前記液体原料をバブリングさせる第1フィルタと、前記バブリングによって前記容器内で気化した原料及び前記液体原料のミスト成分を含むキャリアガスから前記液体原料のミスト成分を除去する第2フィルタとを備え、前記容器は、前記液体原料が供給される液体原料供給口と、前記キャリアガスが供給されるキャリアガス供給口と、前記ミスト成分が除去された前記キャリアガスをガス排出口とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による液体原料のバブリング方法は、容器内の液体原料に浸漬された第1フィルタにキャリアガスを送り込むことにより前記液体原料をバブリングさせ、前記バブリングによって得られた前記液体原料の蒸気を含むキャリアガスを前記容器から取り出す際、第2フィルタを用いて前記液体原料のミスト成分を除去することを特徴とする。
【0011】
本発明において、前記容器は、垂直方向に細長い円筒形状を有し、前記第1フィルタは、前記容器内の下端部に設けられており、前記第2フィルタは、前記容器内の上端部に設けられていることが好ましい。この構成によれば、キャリアガスの気泡がフッ酸液中を浮上して液面に達するまでの距離を十分に確保することができると共に、容器内の上部に十分なガス収容スペースを確保することができる。さらに、液面から第2フィルタまでの距離を十分に確保することができる。よって、ミスト濃度の薄い空間で第2フィルタによるミスト除去を行うことができ、第2フィルタの負荷を軽減することができる。
【0012】
本発明において、第1フィルタは、ポアサイズが1μm以下のフッ素系樹脂製フィルタであることが好ましく、第2フィルタもまた、ポアサイズが1μm以下のフッ素系樹脂製フィルタであることが好ましい。このようなフィルタを用いた場合、フッ酸内で非常に微細な気泡を発生させることができ、フッ酸を高濃度で気化させることができる。
【0013】
本発明において、第1及び第2フィルタは同一の形状、構造及びサイズを有することが好ましい。この構成によれば、部品の共通化が可能であり、低コストで安定した運用が期待できる。
【0014】
本発明によるバブリング装置は、容器内の液体原料の液面レベルを検出するレベルセンサをさらに備えることが好ましい。この場合において、前記レベルセンサは、バブリング中における前記液面レベルの最適範囲の下限レベルを検出する第1レベルセンサと、バブリング中における前記液面レベルの最適範囲の上限レベルを検出する第2レベルセンサと、前記第1レベルセンサよりも下方に位置する第3レベルセンサと、前記第2レベルセンサよりも上方に位置する第4レベルセンサとを備えることが好ましい。さらに、前記第3レベルセンサは前記第1フィルタよりも上方に位置することが好ましく、前記第4レベルセンサは前記第2フィルタよりも下方に位置することが好ましい。この構成によれば、バブリング中における液面レベルを常に最適範囲に維持することができ、信頼性の高い液面レベルの監視体制を確保することできる。
【0015】
本発明によるバブリング装置は、前記容器内に供給される液体原料の濃度及びバブリングによって前記容器内に充満する液体原料のミストの濃度を測定する濃度計をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、バブリング開始前のフッ酸液の濃度やバブリングによってガスを発生させた後のフッ酸液の濃度変化を測定することができ、バブリング処理の信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フッ酸等の液体原料を気化させて、ミスト成分が除去された高濃度な原料ガスを安定して発生させることが可能なバブリング装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるバブリング装置の主要部の構成を示す略斜視図である。
【図2】図1に示したバブリング装置10の側面断面図である。
【図3】バブリング装置10のシステム全体を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるバブリング装置10の主要部の構成を示す略斜視図である。また図2は、図1に示したバブリング装置10の側面断面図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、このバブリング装置10は、フッ酸液17が収容される容器11と、容器11内にフッ酸液17を供給するための液体原料供給口12と、容器11内にキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給口13と、容器11内で発生したフッ酸の蒸気(フッ化水素ガス)をキャリアガスと共に排出するためのガス排出口14と、容器11内の下端部に設けられた下部フィルタ15(第1フィルタ)と、容器11内の上端部に設けられた上部フィルタ16(第2フィルタ)とを備えている。
【0021】
容器11は垂直方向に細長い円筒形状を有し、支持台11a上に設置されている。容器11の高さが十分に高ければ容器11の上方においてフッ酸のミスト成分が少ないガス雰囲気を得ることができるが、高すぎると装置が大型化するため好ましくない。よって容器11の高さは1〜3m程度であることが好ましい。
【0022】
液体原料供給口12は容器11の下端部の側面に設けられており、液体原料供給口12から供給されるフッ酸液17は容器11内にチャージされる。キャリアガス供給口13は容器11の下端部であって容器11の中心軸から見て液体原料供給口12とは反対側の側面に設けられている。キャリアガス供給口13は容器11内に設けられた下部フィルタ15に接続されており、キャリアガス供給口13より供給されるキャリアガスは必ず下部フィルタ15を経由して容器11内に供給される。キャリアガスとしてはNガスが好ましいが、Hガス、Arガス等の他の不活性ガスを用いてもよい。
【0023】
下部フィルタ15は容器11内の下端部に設けられている。下部フィルタ15は、キャリアガス供給口13から注入されるキャリアガスをきめ細かな気泡に変換して容器11内のフッ酸液17中に放出する。下部フィルタ15は耐薬品性(耐フッ酸性)に優れたフッ素樹脂製メンブレンフィルタであることが好ましい。特に、ポアサイズが1μm以下のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のろ材を用いることが好ましい。PTFEのろ材は極めて微細な連続多孔質体であることから、キャリアガスを非常に微細な気泡に変換することができる。
【0024】
上部フィルタ16は容器11内の上端部に設けられている。上部フィルタ16は、ガス排出口14に送り出されるフッ化水素ガスを含むキャリアガスに含まれるフッ酸のミストを除去し、フッ酸の蒸気を含むキャリアガスのみをガス排出口14に送り込む。上部フィルタ16は、耐薬品性(耐フッ酸性)に優れたフッ素樹脂製メンブレンフィルタであることが好ましい。特に、ポアサイズが1μm以下のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のろ材を用いることが好ましい。ポアサイズが1μm以下であればフッ酸のミストを確実に除去することができ、しかも下部フィルタ15と共通のろ材を使用することができる。
【0025】
下部フィルタ15及び上部フィルタ16を通過可能なガスの流量は50〜200NL/min程度であることが好ましい。流量範囲はプロセスとの兼ね合いで適宜決定されるが、ある程度の流量を確保できないとフッ酸の蒸気を充分に供給できないからである。そのためには、ポアサイズが極端に小さくないほうがよく、ポアサイズのみならずフィルタ面積を考慮する必要があるが、例えば、半径約60mm、高さ約76mm(約3インチ)の円筒形のフィルタの場合、0.1μm以上のポアサイズであれば上記流量の確保が可能である。
【0026】
本実施形態においては、上部フィルタ16は下部フィルタ15と同一製品(形状、構造及びサイズが同一)であることが特に好ましい。下部フィルタ15と上部フィルタ16の使用目的は異なるが、上記のフッ素樹脂製メンブレンフィルタを用いた場合には同一製品を用いて異なる目的を達成することができる。よって、部品の共通化が可能であり、低コストで安定した運用が期待できる。
【0027】
ガス排出口14は容器11の上端部の側面に設けられている。キャリアガスは必ず上部フィルタ16を経由してガス排出口14に供給され、ガス排出口14から容器11の外部に排出され、図示しないプロセスチャンバーに移送される。プロセスチャンバーではウェーハの洗浄等の各種プロセスが実施される。
【0028】
図3は、バブリング装置10を含むバブリングシステム全体の構成を示すブロック図である。
【0029】
図3に示すように、このバブリングシステムは、本実施形態によるバブリング装置10と、フッ酸液が蓄えられた薬液タンク20と、キャリアガスが蓄えられたキャリアガスタンク30と、フッ酸の濃度を測定するHF濃度計40とを備えている。薬液タンク20は、ポンプ21及びバルブ22を介してバブリング装置10の液体原料供給口12に接続されており、フッ酸液の供給量はポンプ21及びバルブ22の動作によって制御される。キャリアガスタンク30は、レギュレータ31及びマスフローコントローラ32を介してキャリアガス供給口13に接続されており、キャリアガスタンク30から圧送されてくるキャリアガスの流量はマスフローコントローラ32によって制御される。
【0030】
バブリング装置10内のフッ酸液の液面レベル17Sはレベルセンサ25〜28によって監視されている。配管29の両端はバブリング装置10の上端部及び下端部(フッ酸液供給系統)にそれぞれ接続されており、配管29内のフッ酸液の液面レベルは容器11内の液面レベル17Sと一致している。配管29の適所に設けられたレベルセンサ25〜28は、フッ酸液の液面の最低レベル、最適範囲の下限レベル、最適範囲の上限レベル、最高レベルをそれぞれ監視する。特に、レベルセンサ25は下部フィルタ15よりも少し上方に位置し、下部フィルタ15がフッ酸液に完全に浸漬されているかの判定に用いられる。またレベルセンサ28は、HF濃度計40と容器11とを接続する配管41の容器11側の接続位置41aとほぼ同じ高さに設けられており、HF濃度計40によるフッ酸蒸気含有ガスの濃度測定が可能か否かの判定に用いられる。
【0031】
レベルセンサ25〜28の出力信号は、システム全体を制御する制御盤(不図示)に供給され、制御盤はレベルセンサ25〜28の検出結果に基づいてポンプ21及びバルブ22の動作を制御し、これによりフッ酸液の供給量を制御する。フッ酸液の液面レベルがレベルセンサ26を下回った場合、液体原料供給口12からフッ酸液が追加チャージされ、追加チャージによって液面レベルがレベルセンサ27を上回った場合、追加チャージが停止される。したがって、バブリング中において液面レベルを一定範囲内に維持することができる。
【0032】
液面レベルの制御は基本的に中間の2つのレベルセンサ26、27を用いれば足りるが、もしレベルセンサ26、27が正常に動作しなかった場合には、容器11中のフッ酸液が不足したり容器11から溢れたりすることが考えられる。このような不測の事態を防止するため、レベルセンサ25、28を設けて信頼性の向上を図っている。
【0033】
HF濃度計40は、配管41を介して容器11の上部空間に接続されており、さらに配管43を介してフッ酸液供給系統に接続されている。そのため、HF濃度計40は、容器11内に充満するフッ酸液のミストの濃度と、薬液タンク20から容器11内に供給されるフッ酸液の濃度の両方を測定可能である。これにより、ガスを発生させた後のフッ酸液の濃度変化を測定することができる。また特に、配管内を純水で置換(洗浄)した後にフッ酸液を流したとき、配管内に残った純水によってフッ酸液の濃度が変化することも考えられる。このような不測の状況を確実に把握するため、容器11内に供給されるフッ酸液の濃度の測定も可能としている。
【0034】
容器11内のフッ酸液のミストの濃度を測定する場合、バルブ44を閉じた状態でバルブ42を開放して配管41から容器11内のミスト成分を取り込む。また、フッ酸液の濃度を測定する場合、バルブ42を閉じた状態でバルブ44を開放して配管43からフッ酸液を取り込む。したがって、1つのHF濃度計40を用いてフッ酸ミストとフッ酸原料液の両方を効率良く測定することができる。
【0035】
フッ酸液のバブリングでは、まず空の容器11内にフッ酸液をチャージする。このとき、図1に示すように、下部フィルタ15が十分に浸漬されるようにフッ酸液17をチャージする必要がある。フッ酸液17のチャージ量が少ないと、下部フィルタ15から放出された気泡がすぐに液面17Sに到達してしまい、フッ酸の蒸気を気泡中に十分に含ませることができず、フッ酸蒸気含有ガスの濃度が低くなるからである。ただし、フッ酸液のチャージ量が多すぎるとガス雰囲気の占有空間が狭くなり、フッ酸のミスト濃度が濃くなり過ぎるため注意が必要である。容器11内に所定量のフッ酸液をチャージすると、容器11の下部空間はフッ酸液の貯留空間となり、容器11の上部空間はキャリアガスが充満した空間となる。以上により、バブリングの準備が完了する。
【0036】
次に、バブリング装置10にキャリアガスを供給する。容器11内に送り込まれたキャリアガスは下部フィルタ15を通過した後、フッ酸液中に放出される。下部フィルタ15を通過したキャリアガスは微細な気泡に変換される。下部フィルタ15はフッ酸液中に気泡を発生させ、この気泡はフッ酸液中を浮上する。このとき、気泡はある量のフッ化水素を気相状態で有しており、この気泡はフッ酸液の液面17Sに達した後、容器11内の上部空間(蒸気スペース)に放出され、容器11内のガス雰囲気中に拡散する。
【0037】
キャリアガス供給口13から容器11内にキャリアガスが送り込まれると、容器11内に存在するガス雰囲気は順に送り出される。容器11内のガス雰囲気はキャリアガス及びフッ酸の蒸気を含んでいるが、バブリングによって発生したフッ酸のミスト成分も含んでいる。しかし、フッ酸のミスト成分は上部フィルタ16によって除去されるので、上部フィルタ16を通過したガスにはフッ酸のミスト成分は含まれておらず、ガス排出口14からは主にフッ酸の蒸気のみを含んだキャリアガスが得られる。
【0038】
フッ酸の蒸気を含んだキャリアガスはウェーハ洗浄プロセスに移送される。キャリアガスがフッ酸のミスト成分を含まないので、フッ酸が高濃度に溶け込んだミストによってウェーハが不均一に洗浄されるという問題は生じない。また、フッ酸の蒸気はウェーハの表面に形成された微小欠陥の内部まで深く入り込むので、微小欠陥内に形成されたシリコン酸化膜を除去することが可能である。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によるバブリング装置は、下部フィルタ15を用いてキャリアガスの気泡サイズを十分に小さくしたので、気泡中により多くのフッ酸の蒸気を含ませることができる。したがって、飽和濃度のフッ酸蒸気含有ガスを効率的に発生させることができる。また、容器11内のフッ酸液の濃度、フッ酸液のチャージ量、キャリアガスの流量等を変化させることにより、ガス排出口14から得られるフッ酸蒸気含有ガスの濃度を調整することができる。
【0040】
また、本実施形態によるバブリング装置は、フッ酸液をバブリングするための下部フィルタ15と、フッ酸の蒸気を含有するキャリアガスからフッ酸のミスト成分を除去する上部フィルタ16とを備えているので、ガス排出口14からフッ酸の蒸気だけを安定的に取り出すことができる。そのため、フッ酸の蒸気を用いたシリコンウェーハの洗浄工程において、濃縮されたフッ酸のミストの影響を受けることなくムラのない均一な洗浄処理を行うことができる。
【0041】
本発明は以上の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形を加えることが可能であり、それらも本発明の範囲に包含されるものであることは言うまでもない。
【0042】
例えば、上記実施形態においては、垂直方向に細長い略円筒状の容器11を用いたが、容器11の形状は特に限定されず、例えば略直方体の容器11であってもよく、略球体の容器11であってもよい。但し、円筒状の容器11を用いた場合には高濃度のフッ酸蒸気を比較的容易に生成することができる。また、上記実施形態においては、下部フィルタ15と上部フィルタ16が同一製品である場合について説明したが、下部フィルタ15と上部フィルタ16のサイズ、構成、形状、材質等を異ならせても構わない。
【0043】
また、上記実施形態においては、フッ酸液のバブリングを例に挙げたが、本発明によるバブリング装置はフッ酸液のバブリングに限定されるものではなく、種々の液体原料を対象とすることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 バブリング装置
11 容器
11a 支持台
12 液体原料供給口
13 キャリアガス供給口
14 ガス排出口
15 下部フィルタ
16 上部フィルタ
17 フッ酸液
17S フッ酸液の液面
20 薬液タンク
21 ポンプ
22 バルブ
25〜28 レベルセンサ
29 配管
30 キャリアガスタンク
31 レギュレータ
32 マスフローコントローラ
40 HF濃度計
41,43 配管
41a 配管41の容器11側の一端
42,44 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体原料を収容する容器と、
キャリアガスを用いて前記液体原料をバブリングさせる第1フィルタと、
前記バブリングによって前記容器内で気化した原料及び前記液体原料のミスト成分を含むキャリアガスから前記液体原料のミスト成分を除去する第2フィルタとを備え、
前記容器は、前記液体原料が供給される液体原料供給口と、前記キャリアガスが供給されるキャリアガス供給口と、前記ミスト成分が除去された前記キャリアガスを排出するガス排出口とを備えることを特徴とするバブリング装置。
【請求項2】
前記容器は、垂直方向に細長い円筒形状を有し、
前記第1フィルタは、前記容器内の下端部に設けられており、
前記第2フィルタは、前記容器内の上端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバブリング装置。
【請求項3】
前記第1フィルタはポアサイズが1μm以下のフッ素系樹脂製フィルタであることを特徴とする請求項1又は2に記載のバブリング装置。
【請求項4】
前記第2フィルタはポアサイズが1μm以下のフッ素系樹脂製フィルタであることを特徴とする請求項1又は2に記載のバブリング装置。
【請求項5】
前記第1及び第2フィルタは共にポアサイズが1μm以下のフッ素系樹脂製フィルタであり、同一の形状、構造及びサイズを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のバブリング装置。
【請求項6】
容器内の液体原料に浸漬された第1フィルタにキャリアガスを送り込むことにより前記液体原料をバブリングさせ、
前記バブリングによって得られた前記液体原料の蒸気を含むキャリアガスを前記容器から取り出す際、第2フィルタを用いて前記液体原料のミスト成分を除去することを特徴とするバブリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−194313(P2011−194313A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63154(P2010−63154)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】