説明

バブル発生器

【課題】極小泡を生成できて、シャワーノズル、水道水のための水栓、浴室や水槽さらには食器洗浄機等への配管、園芸に用いられる散水シャワーに適したバブル発生器を提供すること。
【解決手段】下流側に向けて窄まる第1流路11を設けた上流側本体10と、第1流路11内に収納されて多数の通液孔31を設けた分流コマ30と、上流側本体10に取り付けられて、下流側に向けて広がる第2流路21を設けた下流側本体20とにより構成して、第1流路11の下流側端部を、第2流路21の上流側端部に対向させたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力液体供給部材と、吐出部材との間に介装されて、この吐出部材から吐出される液体中に極小泡を発生させるバブル発生器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、蛇口やシャワーノズルによって吐水される水中に、気泡を混入させるようにすると、洗浄効果を高めたり、肌に刺激を与えるようになったり、あるいは水はねを防止できる等といった効果が得られることが、特許文献1あるいは特許文献2等においてよく知られている。
【0003】
これらの特許文献1及び2で提案されている気泡の形成は、水道水の流れの中に負圧発生部分を形成して、この負圧発生部分に外気を導入してなされるものであるため、大きさがせいぜいミリ単位の気泡(以下、ミリバブル、あるいは微小泡という)である。この微小泡を、大きさがミクロン単位の気泡(以下、マイクロバブル、あるいは極小泡という)にすれば、洗浄効果等がより一層高まることが、例えば、特許文献3において示されている。
【0004】
一般に、「マイクロバブル」の定義としては、分野により様々な定義がなされているが、直径1mm以上を含まないことでは一致しており、また直径1μm未満のものはナノバブルと称されるので、これらの間の直径を有する気泡をマイクロバブルと定義する。本発明では、このように定義されるマイクロバブルを極小泡と言い、直径1mm以上の気泡を微小泡ということとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−7315号公報、要約
【特許文献2】特開2009−274026号公報、要約
【特許文献3】特開2009−78140号公報、要約
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3には、「より短時間で効率よく洗髪ないしマッサージなどの身体各部のケアを行なう」ことを目的としてなされた、「身体ケア用洗浄水供給装置」が提案されており、この「身体ケア用洗浄水供給装置」は、図8にも示すように、「原水に気泡を混合した洗浄水を用いて身体のケアを行なう洗浄水供給装置にとして、原水の供給部から身体を洗浄する洗浄水の注出部に至る水配管12と、原水に微細気泡を混合、溶解させるために上記水配管に設置した微細気泡発生装置及び発生した微細気泡が混合、溶解している原水をノズルから原水中に加速して噴射し、直径が約1〜50μmのマイクロバブルを混合、溶解した洗浄水を生成するため水配管に設置した洗浄水生成部29と、上記水配管の注出部に設けた洗浄水注出のための水栓及び注出した洗浄水を受け止められる身体洗浄用水受けを具備して構成する」という構成を有するものである。
【0007】
そして、この特許文献3の「直径が約1〜50μmのマイクロバブルを発生させる微細気泡発生装置」は、当該文献3の段落0018に示されているように、「上記微細気泡発生装置15は、…流入口15aから供給される浄水と、空気を吸引するための渦流ポンプ39と、渦流ポンプ39を駆動するモーター40と、渦流ポンプ39から排出される空気を原水と混合、攪拌し、原水に空気を溶解させるせん断・攪拌部41と、空気混合溶解液に含有され、溶解されない気体を分離する気液混合分離手段42、上記手段42から排出される空気溶解液を吐出、減圧して微細気泡を発生させる手段を備えている」ものであるが、当該文献3の段落0010に示されているように、「微細気泡発生装置は、原水を攪拌状態として渦流・せん断を生じさせる装置であり、いわゆるマイクロバブルとなる微細気泡を混合、溶解させるために用意されている」ものである。
【0008】
つまり、この特許文献3にて提案されている「微細気泡発生装置」は、上記のように複雑な構成を有しているだけでなく、「原水を攪拌状態として渦流・せん断を生じさせる装置」なのか、「マイクロバブルとなる微細気泡を混合、溶解させる」装置なのかよく判らないものとなっている。
【0009】
そこで、本発明者等は、簡単な構成で、マイクロバブル、つまり極小泡を生成あるいは発生させることができるだけでなく、シャワーノズル200、水道水のための水栓、浴室や水槽さらには食器洗浄機等への配管、園芸に用いられる散水シャワーに適したバブル発生器とするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0010】
すなわち、本発明の目的とするところは、極小泡を生成できて、シャワーノズル200、水道水のための水栓、浴室や水槽さらには食器洗浄機等への配管、園芸に用いられる散水シャワーに適したバブル発生器を、簡単な構成によって提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「圧力液体供給部材210と、この圧力流体供給部材210から給送されてくる液体を吐出する吐出部材200との間に介装されて、この吐出部材200から吐出される前記液体中に極小泡を発生させるバブル発生器100であって、
下流側に向けて窄まる第1流路11を設けた上流側本体10と、第1流路11内に収納されて多数の通液孔31を設けた分流コマ30と、上流側本体10に取り付けられて、下流側に向けて広がる第2流路21を設けた下流側本体20とにより構成して、
第1流路11の下流側端部を、第2流路21の上流側端部に対向させたことを特徴とするバブル発生器100」
である。
【0012】
すなわち、この請求項1に係るバブル発生器100は、図1に示すように、例えば給水栓のような圧力液体供給部材210と、この圧力流体供給部材210から例えば第1流路11を介して給送されてくる液体を吐出する、例えばシャワーノズルのような吐出部材200との間に介装されるものである。なお、このバブル発生器100は、種々な機器に適用されるものであり、図1に例示するようなシャワーノズル200に限らず、水道水のための水栓、浴室や水槽さらには食器洗浄機等への配管、園芸に用いられる散水シャワー等に適用できるものである。
【0013】
さらに、このバブル発生器100は、次のような種々な分野あるいは機器に、応用あるいは適用されるものである。
・理美容、ペット洗浄分野(洗浄性、消臭性向上が期待できる)
・お風呂分野(マイクロバブルバスとして洗浄性、保温性向上が期待できる)
・介護分野あるいは介護施設(シャワーとして洗浄性、保温性向上が期待できる)
・水産加工物洗浄分野(洗浄性が期待できる)
・洗濯機、コインランドリー分野(配管への装着で、衣類の洗浄性向上が期待できる)
・農業、食品工場分野(農産物の育成助長、減菌効果が期待できる)
・大学などの研究機関にマイクロバブル発生装置としての提供
・ガソリンスタンドの洗浄シャワーノズル分野(洗浄性向上が期待できる)
・化粧品分野(洗浄性効果が期待できる)
【0014】
そして、このバブル発生器100は、吐出部材200から吐出される水道水や湯水等の液体中に極小泡を発生させるものである。従って、このバブル発生器100が適用される液体も、シャワー水や洗浄水に限らず、極小泡が発生すると好ましい他の液体、例えば、液肥や処理液等をも対象とし得るものである。
【0015】
バブル発生器100は、図2〜図7に示すように、下流側に向けて窄まる第1流路11を設けた上流側本体10と、第1流路11内に収納されて多数の通液孔31を設けた分流コマ30と、上流側本体10に取り付けられて、下流側に向けて広がる第2流路21を設けた下流側本体20とにより構成したものである。また、このバブル発生器100は、上流側本体10の第1流路11内に流れた液体を、下流側本体20の第2流路21内に円滑に給送すべく、第1流路11の下流側端部を、第2流路21の上流側端部に対向させたものである。
【0016】
つまり、このバブル発生器100は、図5中の矢印にて示すように、圧力液体供給部材210から上流側本体10側に給送されてきた液体中に、図示下側に位置する下流側本体20から第2流路21に給送する間に、内部で極小泡を発生させることになるものであり、第2流路21から吐出された液体中に極小泡を混入させるものである。なお、図1に示したバブル発生器100は、図5に示したバブル発生器100とは上下反対になっている。
【0017】
このバブル発生器100において、極小泡は次のようにして発生する。まず、上流側本体10内に給送された液体は、分流コマ30の各通液孔31内に流れ込むことによって分流されながら第1流路11内に放出される。この第1流路11は、下流側に向けて窄まっているから、第1流路11内に放出された液体を圧縮しながら下流側にむけて送り込む。この第1流路11の下流側端部は、下流側本体20に形成してある第2流路21の上流側端部に対向させてあるから、液体は第1流路11から第2流路21内に流れ込む。この第2流路21は、下流側に向けて広がるものであるから、その下流側端部において、液体の圧力は急激に下がることになる。
【0018】
以上の各段階で、液体には、様々な剪断応力が掛けられるだけでなく、加圧されその開放もなされるから、液体中にキャビテーションが発生することになる。しかも、これらの各力は、バブル発生器100内が複雑形状の流れを発生させることもあって、これら各力自体が比較的大きいものとなるだけでなく、第1流路11及び第2流路21内という極めて短い道程、すなわち短時間内で、掛けられたり開放されたりすることになるのであるから、液体中に溶け込んでいた気体成分がキャビテーションによって気泡となって現出するにあたって、極めて微小な気泡、つまりマイクロバブルとなるのである。
【0019】
発明者の実験によると、このバブル発生器100を使用することによって液体中にキャビテーションが発生するのは、次の理由によると考えられる。このバブル発生器100を使用すると、上流側本体10の第1流路11の開口11aを液体が通過する際に、旋回流の作用で液流の中心に気体軸(真空軸)が形成される。一方、下流側本体20の開口21aから、第2流路21へ液体が吐出される際に、周囲の液体の壁によって中央部を流れると考えられる。従って、気体軸側に引き込まれようとする液体と、開口21aから放射状に噴出する液体とが衝突し、気体軸の気体が剪断されて極小泡(マイクロバブル)が発生するのであると、考えられる。
【0020】
一般に、キャビテーションによって発生する蒸気や気泡は、短時間内で再び液体中に吸収されてしまうのであるが、本発明に係るバブル発生器100内に発生した気泡は、マイクロバブルという極小泡であるから、その表面張力等によって短時間内で再び液体中に吸収されてしまうことはない。換言すれば、第2流路21から吐出される液体中にはマイクロバブル、つまり極小泡を残留させたままとなるのであり、この液体を、例えばシャワーノズル200からのシャワー水として使用すれば、高い洗浄力で洗髪や身体洗浄が行えるのである。
【0021】
従って、この請求項1に係るバブル発生器100においては、極小泡を生成できて、シャワーノズル200、水道水のための水栓、浴室や水槽さらには食器洗浄機等への配管、園芸に用いられる散水シャワーに適したものとなっているのである。
【0022】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載のバブル発生器100について、
「互いに当接し合う上流側本体10の当接面15または下流側本体20の当接面25のいずれか少なくとも一方の面粗度Raを、0.2〜6.3とし、
これらの当接面15・25間の微細な隙間から内部に外気を導入し得るようにしたこと」
である。
【0023】
この請求項2に係るバブル発生器100は、上述の請求項1のバブル発生器100で説明したように、下流側に向けて窄まる第1流路11を設けた上流側本体10と、第1流路11内に収納されて多数の通液孔31を設けた分流コマ30と、上流側本体10に取り付けられて、下流側に向けて広がる第2流路21を設けた下流側本体20とにより構成したものであるし、上流側本体10の第1流路11内に流れた液体を、下流側本体20の第2流路21内に円滑に給送すべく、第1流路11の下流側端部を、第2流路21の上流側端部に対向させたものである。
【0024】
つまり、このバブル発生器100は、図5中の矢印にて示すように、圧力液体供給部材210から上流側本体10側に給送されてきた液体が、図示下側に位置する下流側本体20の第2流路21の図示上端部に給送される際に、この給送液体に負圧が発生するものである。
【0025】
一方、図5及び図6に示すように、互いに当接し合う上流側本体10の当接面15または下流側本体20の当接面25のいずれか少なくとも一方の面粗度Raを、0.2〜6.3としてあるから、これらの当接面15・25間には微細な隙間が形成されている。そこで、上流側本体10側に給送されてきた液体が下流側本体20に給送される際に、この給送液体に負圧が発生するのであれば、この負圧によって、当接面15・25間の微細な隙間から当該バブル発生器100の内部に外気が導入されることになるのである。
【0026】
ここで、上流側本体10の当接面15または下流側本体20の当接面25のいずれか少なくとも一方の面粗度Raを、0.2〜6.3としなければならないが、その理由は次の通りである。先ず、上流側本体10の当接面15または下流側本体20の当接面25の面粗度RAが0.2より小さいと、当接面15・25間の隙間が小さくて外気の導入を行えないからだけでなく、そのような面粗度への加工はコストが掛かるだけで余り意味がないからである。一方、上流側本体10の当接面15または下流側本体20の当接面25の面粗度Raを6.3より大きいと、当接面15・25間の隙間が大きくなりすぎて、外気の導入は簡単に行えるが、この種のバブル発生器100の「液漏れ」の原因となってしまうのである。
【0027】
また、面粗度Raを、0.2〜6.3としなければならないのは、上流側本体10の当接面15または下流側本体20の当接面25のいずれか少なくとも一方であって、必ずしも、上流側本体10の当接面15及び下流側本体20の当接面25の両方である必要はない。しかしながら、上流側本体10の当接面15及び下流側本体20の当接面25の両方の面粗度Raを、0.2〜6.3としておけば、後述の微小泡の発生制御がし易くなることは当然である。
【0028】
さて、以上のような面粗度とした当接面15・25間の隙間からバブル発生器100の内部に導入された外気は、上流側本来10と下流側本来20との境界部分で液体中に分散されるから、直径がミリ単位の微小泡となるものであり、この微小泡は、下流側本来20の第2流路21から吐出される液体中に、極小泡とともに混入されることになるのである。この微小泡は、例えば、上記特許文献1や2等において知られているものである。
【0029】
従って、この請求項2に係るバブル発生器100においては、極小泡及び微小泡を同時に生成できて、シャワーノズル200、水道水のための水栓、浴室や水槽さらには食器洗浄機等への配管、園芸に用いられる散水シャワーに適したものとなっているのである。
【0030】
上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載のバブル発生器100について、
「分流コマ30の各通液孔31の軸心を、当該分流コマ30の軸心に対して傾斜させたこと」
である。
【0031】
すなわち、この請求項3のバブル発生器100では、図4の(a)及び図5に示すように、分流コマ30の各通液孔31の軸心を、当該分流コマ30の軸心に対して傾斜させたものであり、これにより、各通液孔31中を流れる液体に極小泡発生のための力をより一層与えるようにしてある。
【0032】
各通液孔31が、当該分流コマ30の軸心に対して傾斜させてあると、当該分流コマ30の軸心方向に流れてきた液体を旋回させることになり、この液体に対する旋回力が進行方向変更に伴う剪断応力として急激に加えられることになって、キャビテーションによる気泡の細分化がより促進され、極小泡の発生をより促すことになるのである。
【0033】
従って、この請求項3に係るバブル発生器100は、上記請求項1または請求項2のそれと同様な機能を発揮する他、極小泡の発生をより一層促進するものとなっているのである。
【0034】
さらに、上記課題を解決するために請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載のバブル発生器100について、
「上流側本体10と下流側本体20との間に空間40を形成するようにしたこと」
である。
【0035】
この請求項4のバブル発生器100は、図5に示すように、上流側本体10と下流側本体20との間に空間40を形成するようにしたものであり、互いに対向させてある、第1流路11の下流側端部と、第2流路21の上流側端部とが、一旦、この空間40で開口することになるものである。特に、この空間40に第1流路11の下流側端部が開口させてあることは、この第1流路11の下流側端部から流れ出る液体にベンチュリー効果による負圧を発生させることになるのである。
【0036】
これらの第1流路11の下流側端部と、第2流路21の上流側端部とが、この空間40で開口していれば、液体は、第1流路11の下流側端部から空間40に流れ出る際、またこの空間40から第2流路21の上流側端部へと流れる際に、バブル発生器100の構造的な抵抗と、圧力変化とを急激に受けることになり、この液体に対するキャビテーション発生の原因と、気泡の細分化がより多くなされる。
【0037】
従って、この請求項4に係るバブル発生器100は、上記請求項1〜3のいずれかのそれと同様な機能を発揮する他、極小泡の発生をより一層促進するものとなっているのである。
【0038】
また、請求項5に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載のバブル発生器100について、
「第1流路11の下流側端部に位置する開口11aの大きさを、第2流路21の上流側端部に位置する開口21aより小さくしたこと」
である。
【0039】
この請求項5のバブル発生器100では、図5に示すように、第1流路11の下流側端部に位置する開口11aの大きさを、第2流路21の上流側端部に位置する開口21aより小さくしたものであり、これにより、液体が第1流路11の下流側端部から空間40に流れ出る際、またこの空間40から第2流路21の上流側端部へと流れる際に、この液体に、バブル発生器100の構造的な抵抗と、圧力変化とをより急激に与えることになり、この液体に対するキャビテーション発生の原因と、気泡の細分化をより多くなすようになっているのである。
【0040】
従って、この請求項5に係るバブル発生器100は、上記請求項1〜4のいずれかに係るそれと同様な機能を発揮する他、極小泡の発生をより一層促進するものとなっているのである。
【0041】
そして、上記課題を解決するために、請求項6に係る発明の採った手段は、上記請求項4または請求項5に記載のバブル発生器100について、
「上流側本体10または下流側本体20に、空間40に連通する取入口51を有した外気取入部材50を取り付けて、前記液体中に前記極小泡と微小泡とを発生させ得るようにしたこと」
である。
【0042】
すなわち、この請求項6のバブル発生器100は、図5に示すように、空間40に連通する取入口51を有した外気取入部材50を取り付けたものであり、この外気取入部材50は、その取入口51が空間40に連通するのであれば、上流側本体10または下流側本体20のいずれに取り付けられるものであってもよい。
【0043】
外気取入部材50は、取入口51を介して空間40に連通しているし、この空間40内には第1流路11の下流側端部から液体が流れ出たとき負圧が生じるのであるから、当該バブル発生器100が機能中は、この外気取入部材50に空間40内の負圧が取入口51を介して掛けられことになる。この負圧が外気取入部材50に掛けられると、外気取入部材50は、外気を取入口51を介して空間40内に導入することになり、この外気が空間40内の液流によって微小泡となるのである。
【0044】
このバブル発生器100自体は、極小泡を本来的に生成するものであるから、下流側本体20から流れ出る液体中には、この極小泡と、外気取入部材50を介して導入された外気によって形成された微小泡と、が混在することになるのである。
【0045】
従って、この請求項6に係るバブル発生器100は、極小泡及び微小泡の両種の気泡を生成できて、シャワーノズル200、水道水のための水栓、浴室や水槽さらには食器洗浄機等への配管、園芸に用いられる散水シャワーに適したものとなっているのである。
【発明の効果】
【0046】
以上、説明した通り、本発明においては、
「圧力液体供給部材210と、この圧力流体供給部材210から給送されてくる液体を吐出する吐出部材200との間に介装されて、この吐出部材200から吐出される前記液体中に極小泡を発生させるバブル発生器100であって、
下流側に向けて窄まる第1流路11を設けた上流側本体10と、第1流路11内に収納されて多数の通液孔31を設けた分流コマ30と、上流側本体10に取り付けられて、下流側に向けて広がる第2流路21を設けた下流側本体20とにより構成して、
第1流路11の下流側端部を、第2流路21の上流側端部に対向させたこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、極小泡を生成できて、シャワーノズル200、水道水のための水栓、浴室や水槽さらには食器洗浄機等への配管、園芸に用いられる散水シャワーに適したバブル発生器100を、簡単な構成によって提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るバブル発生器100をシャワーノズル200と給水栓210との間に適用した状態を示す斜視図である。
【図2】同バブル発生器100の拡大斜視図である。
【図3】同バブル発生器100の正面図である。
【図4】同バブル発生器100を示すもので、(a)は平面図、(極小泡)は底面図である。
【図5】同バブル発生器100の縦断面図である。
【図6】図5に示したバブル発生器100の一部を拡大して示した縦断面図である。
【図7】同バブル発生器100を構成している分流コマ30を拡大して示すもので、(a)は正面図、(極小泡)は上から見た斜視図、(微小泡)は下から見た斜視図である。
【図8】特許文献3の技術を示す経路図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した実施の形態であるバブル発生器100について説明するが、この実施形態のバブル発生器100は、上記各請求項に係る発明の全てを含むものである。
【0049】
図1には、本発明に係るバブル発生器100を、その下流側本体20を介してシャワーノズル200の下端に連結し、このバブル発生器100の上流側本体10をホース220の一端に接続した状態が示してある。勿論、ホース220の他端は、給水栓210に接続してある。この給水栓210は、上述した分流コマ30に対応するものであり、シャワーノズル200は同空間40に対応するものである。本実施形態では、上流側本体10の接続部13によってホース220が接続され、下流側本体20の接続部23によってシャワーノズル200に接続される。
【0050】
バブル発生器100は、図2〜図7に示したように、下流側に向けて窄まる第1流路11を設けた上流側本体10と、第1流路11内に収納されて多数の通液孔31を設けた分流コマ30と、上流側本体10に取り付けられて、下流側に向けて広がる第2流路21を設けた下流側本体20とにより構成したものである。また、このバブル発生器100は、図5に示したように、その第1流路11の下流側端部を、第2流路21の上流側端部に対向させたものである。なお、この図5に示したバブル発生器100は、図1に示したそれと、上下逆にして表現してある。
【0051】
上流側本体10と下流側本体20とは、その各第2流路21及び24によって互いに連結されるものであり、その連結部には、パッキング16を介装して液漏れを防止している。本実施形態のバブル発生器100では、これらの上流側本体10と下流側本体20とを連結させたとき、図5に示したように、上流側本体10と下流側本体20との間に空間40を形成するようにしている。そして、上流側本体10に形成した第1流路11の下流側端部に位置する開口11aの大きさは、下流側本体20に形成した第2流路21の上流側端部に位置する開口21aより小さくしてある。
【0052】
上流側本体10の、第1流路11の開口端部(図5では第1流路11の上端側)に位置する部分には載置段部12が形成してあり、この載置段部12上には分流コマ30を収納して載置してある。この分流コマ30は、図4の(a)にも示したように、多数の通液孔31が形成してあるが、これらの通液孔31は、その軸心を当該バブル発生器100のそれに対して傾斜するようにしてある。また、この分流コマ30の上下には、整流突起32が突出形成してあり、これらの整流突起32の側面は傾斜させてある。この傾斜状態は、第1流路11の内面の傾斜状態に近いものとしてあり、これによって、第1流路11を流れる液流に滞留部分が大きく形成されないようにしてある。なお、この傾斜状態は、図5の図示下側の整流突起32については急にしてあり、上側の整流突起32については緩やかになるようにしてある。
【0053】
ここで、本実施形態に係るバブル発生器100では、図5及び図6に示したように、互いに当接し合う上流側本体10の当接面15または下流側本体20の当接面25のいずれか少なくとも一方の面粗度Raを、0.2〜6.3としてある。このため、これらの当接面15・25間には微細な隙間が形成されている。そこで、上流側本体10側に給送されてきた液体が下流側本体20に給送される際に、この給送液体に負圧が発生すると、この負圧によって、当接面15・25間の微細な隙間から当該バブル発生器100の内部に外気が導入されることになるのである。
【0054】
本実施形態のバブル発生器100では、図5及び図6に示したように、当接面15・25間より内部に、液漏れ防止のためのパッキング16が介装してあって、このパッキング16は、断面を逆U字状にしたものである。このパッキング16は、当接面15・25間の隙間からの外気の導入を許容し易く、逆に当該バブル発生器100の内部からの液圧による液漏れを防止し易くしている。
【0055】
本実施形態のバブル発生器100は、図1〜図7に示したように、外気取入部材50をも備えたものである。この外気取入部材50は、その取入口51を下流側本体20側に接続することによってバブル発生器100の一部品としたものであり、その内部が、前述した空間40内に連通し得るようにしてある。なお、この外気取入部材50の取入口51は、空間40に連通し得るのであれば、上流側本体10側に連結するように実施してもよい。
【0056】
外気取入部材50は、図5に示したように、取入口51の外側を構成している部分内に収納される弁体52と、この弁体52が当接する弁座54とを備えているものであり、弁体52のバブル発生器100側にはスプリング53が配置してあり、このスプリング53は当該弁体52を常にバブル発生器100とは反対側に付勢するものである。また、このスプリング53の付勢力は、外部に突出されて弁体52と一体化された調整ネジ55によって調整されるものである。さらに、この外気取入部材50は、弁体52が弁座54に当接していないときには、調整ネジ55の周囲を通して、外部と空間40内とを連通させるものである。
【0057】
さて、この外気取入部材50は、調整ネジ55の調整によってスプリング53の付勢力を小さくすれば、空間40内の負圧が大きくなくても外気を十分取り込み得る状態にし、逆に、このスプリング53の付勢力を大きくすれば、空間40内の負圧が大きくなければ外気を取り込み得ない状態にするものである。勿論、この外気取入部材50によって外気が取り込まれない場合、つまり微小泡が発生されない場合であっても、バブル発生器100の基本構造によって、「極小泡」自体は発生されていることは言うまでもない。
【0058】
また、この外気取入部材50は、「逆止弁」の機能も備えている。つまり、第1流路11または第2流路21側において異常な圧力が発生した場合、この圧力が取入口51を介して弁体52に掛かるから、この弁体52が弁座54に当接して、液漏れを防止するのである。
【0059】
なお、この外気取入部材50をバブル発生器100に取り付けたり、弁体52や弁座54を組み付けるにあたっては、必要に応じて、それぞれ適宜箇所にパッキングが採用されることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
100 バブル発生器
10 上流側本体
11 第1流路
11a 開口
12 載置段部
13 接続部
14 取付ネジ
15 当接面
16 パッキング
20 下流側本体
21 第2流路
21a 開口
23 取付部
24 取付ネジ
25 当接面
30 分流コマ
31 通液孔
32 整流突起
40 空間
50 外気取入部材
51 取入口
52 弁体
53 スプリング
54 弁座
55 調整ネジ
200 吐出部材(シャワーノズル)
210 圧力液体供給部材(給水栓)
220 ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力液体供給部材と、この圧力流体供給部材から給送されてくる液体を吐出する吐出部材との間に介装されて、この吐出部材から吐出される前記液体中に極小泡を発生させるバブル発生器であって、
下流側に向けて窄まる第1流路を設けた上流側本体と、前記第1流路内に収納されて多数の通液孔を設けた分流コマと、前記上流側本体に取り付けられて、下流側に向けて広がる第2流路を設けた下流側本体とにより構成して、
前記第1流路の下流側端部を、前記第2流路の上流側端部に対向させたことを特徴とするバブル発生器。
【請求項2】
互いに当接し合う前記上流側本体の当接面または前記下流側本体の当接面のいずれか少なくとも一方の面粗度Raを、0.2〜6.3とし、
これらの当接面間の微細な隙間から内部に外気を導入し得るようにしたことを特徴とする請求項1に記載のバブル発生器。
【請求項3】
前記分流コマの各通液孔の軸心を、当該分流コマの軸心に対して傾斜させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバブル発生器。
【請求項4】
前記上流側本体と下流側本体との間に空間を形成するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のバブル発生器。
【請求項5】
前記第1流路の下流側端部に位置する開口の大きさを、前記第2流路の上流側端部に位置する開口より小さくしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のバブル発生器。
【請求項6】
前記上流側本体または下流側本体に、前記空間に連通する取入口を有した外気取入部材を取り付けて、前記液体中に前記極小泡と微小泡とを発生させ得るようにしたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のバブル発生器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−130901(P2012−130901A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143955(P2011−143955)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(599166459)株式会社田中金属製作所 (7)
【Fターム(参考)】