説明

バラエティブレッド生地、及び、その製造方法

【課題】内相に呈味物質が均等に点在し、且つ、その呈味部分の食感と、ベースとなるパンのクラムの食感との間に違和感のないバラエティブレッドを得るためのバラエティブレッド生地、および該特徴を有するバラエティブレッドの製造方法を提供すること。
【解決手段】呈味物質で風味付けされた焼菓子の破砕物を含有することを特徴とするバラエティブレッド生地。また、呈味物質で風味付けされた焼菓子の破砕物をパン生地に分散させる工程、及び/又は該呈味物質で風味付けされた焼菓子の破砕物をパン生地に巻き込む工程を行うことを特徴とするバラエティブレッド生地の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラエティブレッド生地及びその製造方法に関し、詳しくは、内相に呈味部分が点在し、且つ、その呈味部分の食感と、ベースとなるパンのクラムの食感との間に違和感のないバラエティブレッドを得るためのバラエティブレッド生地、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食パン、菓子パン、デニッシュ等のパン類の内相に、呈味部分が点在するパン類はバラエティブレッドといわれ、その製造方法としては、焼成後にもそのままの形状で残るドライフルーツやチョコチップ等の呈味素材を、ベースとなるパン生地に混合する方法が一般に行なわれてきた。特にレーズン等の乾燥果実やチョコレートチップ等の油脂性菓子をベースとなるパン生地に分散させ、焼成して得られるバラエティブレッドは、その呈味素材の視認性が高く、風味を認識しやすいことから、古くから親しまれてきた。
【0003】
しかし、これらの乾燥果実や油脂性菓子は、それ自体硬い食感であったり、焼成により硬化したりするため、その呈味部分の食感と、ベースとなるパンのクラムの食感との間に違和感を生じ、一体感に欠ける食感のバラエティブレッドになってしまう。
【0004】
そこで、食した際にその呈味部分の食感と、ベースとなるパンのクラムの食感との間に違和感のないバラエティブレッドを得る方法が、各種試行されてきた。
【0005】
例えば、呈味物質を含有する小片状のマーガリンやショートニング等の油脂組成物を使用する方法(例えば特許文献1参照)、シュー生地やケーキ生地等の焼成前の生地を配合する方法(例えば特許文献2参照)、小片状のフラワーペーストを使用する方法(例えば特許文献3、4参照)、呈味を有するゼリーやグミやジャム等のゲル化物を使用する方法(例えば特許文献5参照)、肉挽機を使用して塊状とした素材を使用する方法(例えば特許文献6参照)、ゲル化剤を含有する水中油型乳化物を使用する方法(例えば特許文献7参照)、パイ生地等の生地で呈味素材をロールインした層状生地素材を使用する方法(例えば特許文献8、9参照)、冷凍した菓子生地を使用する方法(例えば特許文献10参照)、パンの耳(クラスト部分)を使用する方法(例えば特許文献11参照)等が提案されている。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の方法では、クラムに油脂に起因する孔があいてしまう問題があった。また、特許文献2に記載の方法では、添加するシュー生地やケーキ生地は極めて軟らかいため、ミキシングによってベースとなるパン生地に均質に練り込まれてしまい、呈味素材の視認性が悪いという問題があった。また、特許文献3〜9に記載の方法では、ミキシングによって呈味素材が生地に練り込まれやすいことに加え、呈味素材自体の食感が残ってしまうため、クラムの食感との間に違和感を生じてしまうという問題があった。さらに特許文献10に記載の方法では、風味が乏しくなってしまうことに加え、混合時にベースとなるパン生地の温度が低下してしまい製造時間が長くなってしまう問題があり、特許文献11に記載の方法では、パンの耳のヒキのある食感が残ってしまうため、クラムの食感との間に違和感が生じてしまう問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開平06−233649号公報
【特許文献2】特開昭61−128846号公報
【特許文献3】特開2001−145454号公報
【特許文献4】実開平07−028383号公報
【特許文献5】特開2000−287609号公報
【特許文献6】特開平07−236432号公報
【特許文献7】特開2002−262760号公報
【特許文献8】特開平09−149755号公報
【特許文献9】特開2001−269111号公報
【特許文献10】特開2006−129816号公報
【特許文献11】特開平8−38029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、内相に呈味物質が点在し、且つ、その呈味部分の食感と、ベースとなるパンのクラムの食感との間に違和感のないバラエティブレッドを得るための、バラエティブレッド生地を提供すること、および、該特徴を有するバラエティブレッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、呈味物質で風味付けされた焼菓子の破砕物、特に、ショートペーストを焼成して得られる焼菓子の破砕物を使用することにより、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、呈味物質で風味付けされた焼菓子の破砕物を含有することを特徴とするバラエティブレッド生地を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、呈味物質で風味付けされた焼菓子の破砕物を、ベースとなるパン生地に分散させる工程、及び/又は、ベースとなるパン生地に巻き込む工程を含むことを特徴とするバラエティブレッド生地の製造方法を提供するものである。
さらに本発明は、ショートペーストを焼成して得られた焼菓子であって呈味物質で風味付けされた焼菓子を、ベースとなるパン生地のミキシング時に添加することにより、焼菓子を破砕しながらベースとなるパン生地に分散させることを特徴とするバラエティブレッド生地の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のバラエティブレッド生地は、内相に呈味物質が点在し、且つ、その呈味部分の食感と、ベースとなるパンのクラムの食感との間に違和感のないバラエティブレッドを提供することができる。
【0013】
また、本発明のバラエティブレッド生地の製造方法によれば、上記特徴を有するバラエティブレッドを得るためのバラエティブレッド生地を簡単に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のバラエティブレッド生地について詳述する。
【0015】
本発明のバラエティブレッド生地は、呈味物質で風味付けされた焼菓子の破砕物を含有する。
上記呈味物質としては、甘味、辛味、苦味、酸味、旨み等の呈味を有する食品素材や、香料、香辛料等を使用することができるが、ベースとなるパン生地との風味のマッチングが良好であることから、糖類、カカオ製品、茶類、豆類、堅果類、果物類、及び、乳製品のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
【0016】
具体的には、上記糖類としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、蔗糖、液糖、はちみつ、ブドウ糖、果糖、黒糖、麦芽糖、乳糖、シクロデキストリン、酵素糖化水飴、酸糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、異性化液糖、ショ糖結合水飴、キャラメル、かえで糖、オリゴ糖、キシロース、トレハロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、アラビノース、パラチノースオリゴ糖、アガロオリゴ糖、キチンオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ヘミセルロース、モラセス、イソマルトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、カップリングシュガー、ラフィノース、ラクチュロース、テアンデオリゴ糖、ゲンチオリゴ糖等が挙げられ、上記カカオ製品としては、ココアパウダー、カカオマス、チョコレート等が挙げられ、上記茶類としては、緑茶、紅茶、ウーロン茶、プアール茶等が挙げられ、上記豆類としては、コーヒー、ピーナツ、大豆、小豆等が挙げられ、堅果類としては、アーモンド、へーゼルナッツ、栗、松の実等が挙げられ、上記果物類としては、キウイフルーツ、パパイヤ、マンゴー、パイナップル、イチジク、オレンジ、レモン、アップル、アプリコット、チェリー、ブドウ(レーズン)ラズベリー、ストロベリー、ブルーベリー、クランベリー、プラム等が挙げられ、上記乳製品としては生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、クリーム、チーズ、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料等が挙げられる。
【0017】
これらの呈味物質の形態としては、液状、ペースト状、粉末状のいずれかでもよく、また、その添加量は特に制限されず、求める風味によって適宜決定される。
【0018】
本発明で使用する呈味物質で風味付けされた焼菓子の破砕物は、呈味物質を含有する焼菓子生地を焼成して得られる焼菓子を破砕して得られるものであり、上記焼菓子の破砕物の基となる焼菓子としては、たとえば、クッキー、サブレ、ガレット、タルト、ハードビス、ラング、フィナンシェ、マドレーヌ、スポンジケーキ、バターケーキ、マフィン、シュー、練りパイ、折りパイ、メレンゲ等が挙げられる。
【0019】
このうち、本発明では、ベースとなるパン生地への分散性(適度に分散し、焼成直前まで生地中で形状を保つこと)が良好であること、更には、破砕工程を特に行わずともベースとなるパン生地製造のミキシング時に焼菓子を直接投入する方法によって、焼菓子の破砕と、ベースとなるパン生地への分散を同時に行うことが可能な点であることから、上記焼菓子はショートペーストを焼成して得られる焼菓子であることが好ましい。
ここで、ショートペーストとは製菓用の生地分類の一種であり、穀粉類と油脂類と水分を必須成分とし、油脂含量が高く、水分含量が低く、常温で流動性がない生地であり、詳しくはその油脂含量は10〜35質量%、且つ、水分含量が5〜40質量%であり、25℃で流動性のない生地である。その具体的な例としては、例えば、クッキー生地、サブレ生地、ガレット生地、タルト生地等が挙げられる。
【0020】
なお、ショートペースト以外の製菓用生地としては、穀粉類と油脂類と水分を必須成分とし、水分含量が高く、常温で流動性を有するラング生地、フィナンシェ生地、マドレーヌ生地、スポンジケーキ生地、バターケーキ生地、マフィン生地、シュー生地等のバッターや、穀粉類と油脂類と水分を必須成分とし、水分含量が低く、混捏工程を有するハードビス、練りパイ生地、折りパイ生地等のドウ、穀粉類を含まないメレンゲ生地等が挙げられる。
【0021】
また、本発明では、呈味部分の食感と、ベースとなるパンのクラムの食感との間に違和感のないバラエティブレッドが得られる点で、上記焼菓子の破砕物の油分含量が、好ましくは20〜35質量%、より好ましくは20〜30質量%であり、且つ、水分含量が好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜4質量%であることが好ましい。
【0022】
すなわち、本発明では、ショートペーストを焼成して得られる焼菓子の破砕物であって、油分含量が20〜35質量%、且つ、水分含量が0.5〜5質量%である焼菓子の破砕物を使用することが、好ましい。
【0023】
ここで、上記穀粉類としては、特に限定されるものではないが、小麦粉、薄力粉、中力粉、強力粉、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等をあげることができ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いるのがよい。本発明では、好ましくは小麦粉、薄力粉、中力粉、強力粉、米粉の中から選ばれた1種または2種以上を用いるのが良い。
【0024】
また、上記油脂類としては、ショートニング、マーガリン、バター等の可塑性油脂組成物や、サラダ油、流動ショートニング、溶かしバター等の流動状〜液体の形態であっても、粉末油脂の形態であってもよいが、焼菓子の製造が容易であること、及び、焼菓子の破砕が容易であること、更には、呈味部分と、ベースとなるパンのクラムの食感との間に違和感のないバラエティブレッドが得られる点で、可塑性油脂組成物を使用することが好ましい。該可塑性油脂組成物が乳化物である場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わない。また、上記油脂類に使用される油脂は特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0025】
上記焼菓子には上記穀粉類、油脂類、呈味物質に加え、一般に焼菓子に使用可能なその他の成分を適宜選択使用することができる。
例えば、水、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグルセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン類等の乳化剤、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、CMC、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等の増粘安定剤、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、ホエープロテインコンセートレート等の乳蛋白、卵及び各種卵加工品等の蛋白質、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、アミラーゼ、プロテアーゼ、アミログルコシダーゼ、プルラナーゼ、ペントサナーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、ホスフォリパーゼ、カタラーゼ、リポキシゲナーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、スルフィドリルオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ等の酵素、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、β―カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料類、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、着香料等が挙げられる。
【0026】
上記焼菓子の製法はとくに限定されず、シュガーバッター法、フラワーバッター法、オールインミックス法、後粉法等の一般の方法を採ることができる。
【0027】
本発明で使用する焼菓子の破砕物は、上記焼菓子を、破砕してなるものである。
破砕する方法については特に限定されず、各種ミキサーを使用する方法等一般的な方法を適宜選択することができる。
また、本発明で使用する上記焼菓子の破砕物の大きさは、塊状の場合はその平均粒径が好ましくは、0.5〜5mm、より好ましくは1〜3mmであり、薄板状の場合は、その厚さが好ましくは0.01〜2mm、より好ましくは0.03〜1mmである。該範囲外であると、ベースとなるパン生地への分散性が悪化するおそれがある。
【0028】
本発明のバラエティブレッド生地は、上記焼菓子の破砕物を、ベースとなるパン生地100質量部に対して、好ましくは5〜80質量部、更に好ましくは10〜50質量部、最も好ましくは20〜30質量部含有するものである。
【0029】
該ベースとなるパン生地としては、食パン、菓子パン、パイ、デニッシュ、クロワッサン、フランスパン、セミハードロール、ワッフル、スコーン等の製造に用いられる生地として従来から使用されているものを用いることができるが、本発明では、その呈味部分の食感と、ベースとなるパンのクラムの食感との間に違和感のないバラエティブレッドが得られる点で、糖類の配合量が穀粉類100質量部に対して好ましくは15質量部未満、より好ましくは8質量部未満、且つ、油脂類の配合量が穀粉類100質量部に対して好ましくは15質量部未満、より好ましくは8質量部未満であるパン生地を用いることが好ましい。
なお、このベースとなるパン生地に使用することにできる穀粉類、糖類、油脂類は、上述の、焼菓子の製造に使用することのできる穀粉類、油脂類、糖類と同様のものを問題なく使用することができる。
【0030】
次に、本発明のバラエティブレッド生地の好ましい製造方法について述べる。
【0031】
本発明のバラエティブレッド生地は、呈味物質で風味付けされた焼菓子の破砕物を、ベースとなるパン生地に分散させる工程、及び/又は、ベースとなるパン生地に巻き込む工程を含むものである。
【0032】
上記焼菓子の破砕物をベースとなるパン生地に分散させる工程は、例えば、ベースとなるパン生地製造のミキシング途中で焼菓子の破砕物を添加し、軽く混合することにより行なうことができる。
【0033】
なお、焼菓子としてショートペーストを焼成して得られた焼菓子を使用する場合は、より簡易な方法として、ベースとなるパン生地製造のミキシング時に、焼菓子を破砕することなく添加することで、焼菓子を破砕しながらベースとなるパン生地に分散させることができるため好ましい。
【0034】
また、上記焼菓子の破砕物を上記ベースとなるパン生地に巻き込む工程は、例えば、ベースとなるパン生地を成形するときに、焼菓子の破砕物をベースとなるパン生地上に散布し、これを巻き込むことにより行なうことができる。
【0035】
なお、上記製造方法で用いる焼菓子の破砕物は、1種でもよいが、2種以上を同時に、又は、別々に添加してもよい。その具体的な方法としては、焼菓子の破砕物を分散させたバラエティブレッド生地を成形するときに別の焼菓子の破砕物を巻き込む方法や、ベースとなるパン生地を成形するときに、2種の焼菓子の破砕物をベースとなるパン生地上に数条の帯状に散布し、これを巻き込む方法等が挙げられる。
【0036】
次に本発明のバラエティブレッドについて述べる。
【0037】
本発明のバラエティブレッドは、上記のバラエティブレッド生地を使用したものであり、その具体的な製法としては、上記のバラエティブレッド生地を通常のバラエティブレッド生地と同様に、必要に応じ、丸めたり、延展したり、さらに打抜く等の成形、型入れ、ホイロ等を行なった後、焼成、フライ、蒸す等の加熱工程に供することにより、得ることができる。
【0038】
また、本発明のバラエティブレッド生地は、ホイロをとらずに冷凍又は冷蔵しても良いし、ホイロをとった後に冷凍又は冷蔵しても良い。ホイロをとらずに冷凍又は冷蔵したものも、ホイロをとった後に冷凍又は冷蔵したものも、常法に従い、焼成してバラエティブレッドとすることができる。
【0039】
また、本発明のバラエティブレッド生地を焼成等の加熱工程に供して得られたバラエティブレッドは、冷凍保存することが可能であり、冷凍保存した該バラエティブレッドは、電子レンジで解凍調理することが可能である。
【実施例】
【0040】
以下、本発明で用いられる焼菓子の破砕物の製造例、及び製造例で得られた焼菓子の破砕物を用いた本発明のバラエティブレッド生地の実施例等を挙げ、本発明のバラエティブレッド生地を更に詳しく説明する。しかしながら、本発明は、これらの製造例及び実施例等により何等制限されるものではない。
【0041】
〔製造例1〕焼菓子の破砕物Aの製造
バター40質量部、上白糖50質量部をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーにてビーターを用いて低速1分混合し、高速7分クリーミングした後、食塩0.2質量部、全卵(正味)18質量部を投入して、さらに中速2分クリーミングした。ついで、薄力粉100質量部、ココアパウダー5質量部、ベーキングパウダー0.5質量部、ワニラオイル0.3質量部を添加し、低速1分混合し、ショートペーストの一種であるサブレ生地を得た。
このサブレ生地をリバースシーターで5mm厚に圧延し、直径50mmの丸型で型抜き成形し、200℃の固定オーブンで8分間焼成し、焼菓子の1種であるサブレを得た。このサブレは油分含量=19質量%、水分含量=1.5質量%であった。このサブレを室温で30分冷却後、ミキサーで破砕し、篩にかけて粒子を揃え、平均粒径2mmの焼菓子の破砕物Aを得た。
【0042】
〔製造例2〕焼菓子の破砕物Bの製造
製造例1におけるバターを60質量部に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、ショートペーストの一種であるクッキー生地を得た。このクッキー生地を直径60mm厚さ8mmのワイヤーカット成形し、200℃の固定オーブンで8分間焼成し、焼菓子の1種であるクッキーを得た。このクッキーは油分含量=24.6質量%、水分含量=1.5質量%であった。このクッキーを室温で30分冷却後、ミキサーで破砕し、篩にかけて粒子を揃え、平均粒径2mmの焼菓子の破砕物Bを得た。
【0043】
〔製造例3〕焼菓子の破砕物Cの製造
製造例2におけるカカオパウダー5質量部を、紅茶パウダー5質量部に変更した以外は、製造例2と同様の配合・製法で、ショートペーストの一種であるクッキー生地、さらに、クッキーを得た。このクッキーは油分含量=24.6質量%、水分含量=1.5質量%であった。このクッキーを室温で30分冷却後、ミキサーで破砕し、篩にかけて粒子を揃え、平均粒径2mmの焼菓子の破砕物Cを得た。
【0044】
〔製造例4〕焼菓子の破砕物Dの製造
製造例2におけるカカオパウダー5質量部を、インスタントコーヒー粉末5質量部に変更した以外は、製造例2と同様の配合・製法で、ショートペーストの一種であるクッキー生地、さらに、クッキーを得た。このクッキーは油分含量=24.3質量%、水分含量=1.5質量%であった。このクッキーを室温で30分冷却後、ミキサーで破砕し、篩にかけて粒子を揃え、平均粒径2mmの焼菓子の破砕物Dを得た。
【0045】
〔製造例5〕焼菓子の破砕物Eの製造
製造例2における上白糖を42.5質量部、全卵(正味)を15質量部に変更し、さらに、カカオパウダー5質量部に代えて、アーモンドペースト15質量部に変更した以外は、製造例2と同様の配合・製法で、ショートペーストの一種であるクッキー生地、さらに、クッキーを得た。このクッキーは油分含量=25.9質量%、水分含量=1.5質量%であった。このクッキーを室温で30分冷却後、ミキサーで破砕し、篩にかけて粒子を揃え、平均粒径2mmの焼菓子の破砕物Eを得た。
【0046】
〔製造例6〕焼菓子の破砕物Fの製造
製造例2におけるカカオパウダー5質量部を、ストロベリーパウダー5質量部に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、ショートペーストの一種であるクッキー生地、さらに、クッキーを得た。このクッキーは油分含量=24.2質量%、水分含量=1.5質量%であった。このクッキーを室温で30分冷却後、ミキサーで破砕し、篩にかけて粒子を揃え、平均粒径2mmの焼菓子の破砕物Fを得た。
【0047】
〔製造例7〕焼菓子の破砕物Gの製造
製造例2における上白糖を42.5質量部、全卵(正味)を15質量部に変更し、さらに、カカオパウダー5質量部に代えて、加糖練乳15質量部に変更した以外は、製造例2と同様の配合・製法で、ショートペーストの一種であるクッキー生地、さらに、クッキーを得た。このクッキーは油分含量=24.5質量%、水分含量=2質量%であった。このクッキーを室温で30分冷却後、ミキサーで破砕し、篩にかけて粒子を揃え、平均粒径2mmの焼菓子の破砕物Gを得た。
【0048】
〔製造例8〕焼菓子の破砕物Hの製造
予め−20℃に調温しておいた薄力粉40質量部、強力粉60質量部、ココアパウダー5質量部及び小片状の練パイ用油脂組成物56質量部をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーにて低速で30秒混合後、食塩1.5質量部を水54質量部に溶解した食塩水を投入し、低速1分で混合した後、さらに中速3分ミキシングし、ショートペーストの一種であるタルト生地を得た。
このタルト生地を、リバースシーターを用いて厚さ3mmまで延展し、打ち抜き成形し、200℃の固定オーブンで8分間焼成し、タルトを得た。このタルトは油分含量=27.5質量%、水分含量=2.5質量%であった。このタルトを室温で30分冷却後、ミキサーで破砕し、篩にかけて粒子を揃え、平均粒径2mmの焼菓子の破砕物Hを得た。
【0049】
〔製造例9〕焼菓子の破砕物Iの製造
シュー用マーガリン140質量部及び水140質量部をミキサーボウルに計量し、ガスコンロにかけ、105℃になるまで加熱溶解した。これに小麦粉100質量部とココアパウダー5質量部の混合物を一度に投入し、激しく攪拌して、十分糊化・混合して糊化させた。ミキサーボウルをミキサーにセットし、中速で2分ミキシングし、55℃まで冷えたところで、膨張剤1質量部と全卵250質量部との混合物を、中速でミキシングしながら2分間かけて徐々に加え、さらに中速1分ミキシングし、バッターの一種であるシュー生地とした。このシュー生地を展板に40g絞り、200℃の固定オーブンで18分焼成し、その後更に100℃で10時間乾燥焼きをおこない、シューを得た。このシューは油分含量=25.1質量%、水分含量=2.5質量%であった。このシューを室温で10分冷却後、ミキサーで破砕し、篩にかけて粒子を揃え、平均粒径2mmの焼菓子の破砕物Iを得た。
【0050】
〔製造例10〕焼菓子の破砕物Jの製造
バター100質量部、上白糖100質量部をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーにてビーターを用いて低速3分、中速7分クリーミングした後、食塩0.2質量部、全卵(正味)70質量部を投入して、中速2分クリーミングした。ついで、強力粉30質量部、薄力粉70質量部、ココアパウダー5質量部、ベーキングパウダー0.5質量部を混合し、低速1分、中速2分ミキシングし、バッターの一種であるバターケーキ生地を得た。このバターケーキ生地をパウンド型に敷き紙を敷き、このバターケーキ生地を400g流しこみ、200℃の固定オーブンで30分焼成し、バターケーキを得た。このバターケーキは油分含量=18.8質量%、水分含量=20質量%であった。このバターケーキを室温で10分冷却後、ミキサーで破砕し、篩にかけて粒子を揃え、平均粒径2mmの焼菓子の破砕物Jを得た。
【0051】
〔製造例11〕焼菓子の破砕物Kの製造
薄力粉100質量部、粉糖24質量部、脱脂粉乳2質量部、ココアパウダー5質量部をニーダーに投入して5分混合した。ここへバター15質量部を投入して更に5分混合した。さらに、食塩0.6質量部、全卵(正味)4質量部、炭安1質量部を水22質量部に溶解した水溶液を投入し、40分混捏して、ドウの1種であるハードビス生地を得た。このハードビス生地はシーターを使用して3つ折り3回おこなった後、厚さ1.5mmに圧延、型抜き後、260℃4分焼成し、ハードビスを得た。このハードビスは油分含量=10.4質量%、水分含量=1.8質量%であった。このハードビスを室温で30分冷却後、ミキサーで破砕し、篩にかけて粒子を揃え、平均粒径2mmの焼菓子の破砕物Kを得た。
【0052】
〔実施例1〕
製造例1で得られた焼菓子の破砕物Aを使用し、以下の配合及び製法により、まず、べースとなるパン生地としてセミハードロール生地を製造し、該セミハードロール生地と上記製造例1で得られた焼菓子の破砕物Aを使用して本発明のバラエティブレッド生地を製造し、さらに該バラエティブレッド生地を用いて本発明のバラエティブレッドを得た。
【0053】
(配合及び製法)
強力粉70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、さらに、強力粉20質量部、薄力粉10質量部、食塩1.8質量部、上白糖3質量部及び水22質量部を添加し、低速で3分、中速で3分ミキシングした。ここで、練込油脂(マーガリン)7質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で2分、高速で1分ミキシングを行ない、セミハードロール生地を得た。
【0054】
次いで、得られたセミハードロール生地に、上記焼菓子の破砕物A25質量部を添加し、さらに低速で1分混合し、本発明のバラエティブレッド生地を得た。
【0055】
ここで、フロアタイムを30分とった後、70gに分割・丸目を行ない、次いでベンチタイムを20分とった後、モルダーを使用し、セミハード型成形した。33℃、相対湿度70%で50分ホイロをとった後、クープを入れ、210℃に設定した固定窯に入れ、蒸気を入れ、15分焼成して、本発明のバラエティブレッドを得た。
【0056】
〔実施例2〕
焼菓子の破砕物Aに代えて、製造例2で得られた焼菓子の破砕物Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて本発明のバラエティブレッドを得た。
【0057】
〔実施例3〕
焼菓子の破砕物Aに代えて、製造例3で得られた焼菓子の破砕物Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて本発明のバラエティブレッドを得た。
【0058】
〔実施例4〕
焼菓子の破砕物Aに代えて、製造例4で得られた焼菓子の破砕物Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて本発明のバラエティブレッドを得た。
【0059】
〔実施例5〕
焼菓子の破砕物Aに代えて、製造例5で得られた焼菓子の破砕物Eを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて本発明のバラエティブレッドを得た。
【0060】
〔実施例6〕
焼菓子の破砕物Aに代えて、製造例6で得られた焼菓子の破砕物Fを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて本発明のバラエティブレッドを得た。
【0061】
〔実施例7〕
焼菓子の破砕物Aに代えて、製造例7で得られた焼菓子の破砕物Gを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて本発明のバラエティブレッドを得た。
【0062】
〔実施例8〕
焼菓子の破砕物Aに代えて、製造例8で得られた焼菓子の破砕物Hを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて本発明のバラエティブレッドを得た。
【0063】
〔実施例9〕
焼菓子の破砕物Aに代えて、製造例9で得られた焼菓子の破砕物Iを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて本発明のバラエティブレッドを得た。
【0064】
〔実施例10〕
焼菓子の破砕物Aに代えて、製造例10で得られた焼菓子の破砕物Jを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて本発明のバラエティブレッドを得た。
【0065】
〔実施例11〕
焼菓子の破砕物Aに代えて、製造例10で得られた焼菓子の破砕物Kを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて本発明のバラエティブレッドを得た。
【0066】
〔実施例12〕
上記製造例2で得られたクッキーを、破砕することなく直接添加し、添加後の混合時間を中速2分に変更した以外は、実施例2と同様にして、本発明のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて本発明のバラエティブレッドを得た。
【0067】
上記実施例1〜12で得られたバラエティブレッドを、それぞれ、袋に詰めて25℃で3日静置した後、厚さ15mmにスライスし、試食したところ、何れも、焼菓子の破砕物が生地中に練り込まれることなく、呈味部分がセミハードロールのクラム中に点在し、その呈味部分の食感は、クラム部分の食感との違和感がなく良好であった。
とりわけ、ショートペーストを焼成して得られた焼菓子の破砕物を使用して得られた実施例1〜8、12のバラエティブレッドは、バッターを焼成して得られた焼菓子を使用した、実施例9、10のバラエティブレッドや、ドウを使用した実施例11のバラエティブレッドに比べ、呈味部分が練りこまれることなく分散したため、より視認性が高いものであった。
【0068】
また、油分含量が20〜30質量%、水分含量が1〜5質量%である焼菓子の破砕物を使用した場合、(実施例2〜9、12)は、その呈味部分の食感と、クラム部分の食感との違和感が全くないものであった。
【0069】
また、焼菓子としてショートペーストを焼成して得られた焼菓子を使用し、ベースとなるパン生地製造のミキシング時に、焼菓子を破砕することなく添加することで、焼菓子を破砕しながらベースとなるパン生地に分散させた実施例12の製造方法によると、実施例2の製造方法に比べて簡易でありながら、実施例2同様の内相と食感を示していた。
【0070】
〔実施例13〕
製造例2で得られた焼菓子の破砕物Bを使用し、以下の配合及び製法により、バラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を焼成して本発明のバラエティブレッドを得た。
(配合及び製法)
強力粉70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、さらに、強力粉20質量部、薄力粉10質量部、食塩1.8質量部、上白糖3質量部及び水22質量部を添加し、低速で3分、中速で3分ミキシングした。ここで、練込油脂(マーガリン)7質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で2分、高速で1分ミキシングを行ない、セミハードロール生地を得た。
【0071】
ここで、フロアタイムを30分とった後、60gに分割・丸目を行ない、次いで、ベンチタイムを20分とった後、麺棒を用いてセミハードロール生地を平らに伸ばした。このセミハードロール生地上の全面に上記焼菓子の破砕物B25質量部をばらまき、セミハードロール生地ごと端から巻き込み、本発明のバラエティブレッド生地を得た。次いで、33℃、相対湿度70%で50分ホイロをとった後、クープを入れ、210℃に設定した固定窯に入れ、蒸気を入れ、15分焼成して本発明のバラエティブレッドを得た。
【0072】
上記実施例13で得られたバラエティブレッドを、袋に詰めて25℃で3日静置した後、厚さ15mmにスライスし、試食したところ、呈味部分がセミハードロールのクラム中に渦巻き状に存在しており、その呈味部分の食感は、クラム部分の食感との違和感がなく良好であった。
【0073】
〔比較例1〕
製造例2で得られたクッキー生地を2℃で12時間冷却して固めた後、3mm角のさいの目状に細断し、さらに−20℃で20時間冷凍し、3mm角のダイス状冷凍クッキー生地を得た。
焼菓子の破砕物Bの代わりに、上記ダイス状冷凍クッキー生地を使用した以外は、実施例2と同一の配合・製法で、比較例1のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて比較例の1のバラエティブレッドを製造した。
【0074】
得られたバラエティブレッドを実施例1と同様にして試食したところ、呈味部分がセミハードロールのクラム中に均等に点在していたが、その呈味部分の食感は、硬く、セミハードロールのクラム部分の食感とは違和感のあるものであった。
【0075】
〔比較例2〕
ゼラチン2.5質量部、インスタントコーヒー粉末2.0質量部、砂糖53質量部、水飴24質量部、ストロベリー香料0.1質量部及び水14質量部を混合し、加熱溶解した。この加熱溶解液を型に流し込み、2℃で12時間冷却して固めた後、3mm角のさいの目状に細断して、流動性を有さず定形性のダイス状コーヒーゼリーを得た。
【0076】
焼菓子の破砕物Bの代わりに、上記ダイス状コーヒーゼリーを焼菓子の破砕物として使用した以外は、実施例2と同一の配合・製法で、比較例2のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて比較例2のバラエティブレッドを製造した。
【0077】
得られたバラエティブレッドを実施例1と同様にして試食したところ、呈味部分がセミハードロールのクラム中にやや練り込まれ気味であり、その呈味部分の食感は、硬く且つ弾力性があり、セミハードロールのクラム部分の食感とは違和感のあるものであった。
【0078】
〔比較例3〕
パーム油25質量%及びハイエルシンナタネ極度硬化油(ヨウ素価1未満)0.05質量%に、カカオマス(油脂含量55質量%)1質量%、キサンタンガム0.01質量%及びペクチン0.3質量%を添加し、油相とした。水28.95質量%、デンプン4質量%、小麦粉3質量%、ゼラチン2質量%、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(糖分75質量%)27質量%、脱脂粉乳3質量%、カカオパウダー(油脂含量12質量%)5質量%及び香料0.69質量%を混合し、水相とした。この油相と水相とを加熱溶解、混合、乳化、均質化し、加熱殺菌し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填後、22℃まで冷却し、長さ400mm、幅200mm、厚さ8mmのシート状としたのち、さらにこのシート状のフラワーペーストを8mm角のさいの目状に細断して、ダイス状フラワーペーストを得た。
【0079】
焼菓子の破砕物Bの代わりに、上記ダイス状フラワーペーストを使用した以外は、実施例2と同一の配合・製法で、比較例3のバラエティブレッド生地を製造し、該バラエティブレッド生地を用いて比較例3のバラエティブレッドを製造した。
【0080】
得られたバラエティブレッドを実施例1と同様にして試食したところ、呈味部分がセミハードロールのクラム中にやや練り込まれ気味であり、その呈味部分の食感は、硬く且つ粘りと弾力性があり、セミハードロールのクラム部分の食感とは違和感のあるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呈味物質で風味付けされた焼菓子の破砕物を含有することを特徴とするバラエティブレッド生地。
【請求項2】
上記焼菓子が、ショートペーストを焼成して得られた焼菓子であることを特徴とする請求項1記載のバラエティブレッド生地。
【請求項3】
上記焼菓子の油分含量が20〜35質量%、水分含量が0.5〜5質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載のバラエティブレッド生地。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のバラエティブレッド生地を使用した、バラエティブレッド。
【請求項5】
呈味物質で風味付けされた焼菓子の破砕物を、ベースとなるパン生地に分散させる工程、及び/又は、ベースとなるパン生地に巻き込む工程を含むことを特徴とするバラエティブレッド生地の製造方法。
【請求項6】
ショートペーストを焼成して得られた焼菓子であって呈味物質で風味付けされた焼菓子を、ベースとなるパン生地のミキシング時に添加することにより、焼菓子を破砕しながらベースとなるパン生地に分散させることを特徴とするバラエティブレッド生地の製造方法。