バラスト水処理方法及びバラスト水処理装置
【課題】
バラスト水の加熱による微小生物処理に当たって、加熱に要するエネルギーが削減でき、処理装置のスペースが合理化できるバラスト水処理方法及びバラスト水処理装置を提供すること。
【解決手段】
本発明のバラスト水処理方法は、低温バラストタンク2aから排出される低温バラスト水を、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理手段2bに供給し、この微小生物処理手段2bに高温バラストタンク2cから高温バラスト水を供給して所定温度で微小生物処理を行い、この微小生物処理後のバラスト水から熱回収を行って熱処理前の該低温バラスト水の昇温に役立てたことを特徴とする。
バラスト水の加熱による微小生物処理に当たって、加熱に要するエネルギーが削減でき、処理装置のスペースが合理化できるバラスト水処理方法及びバラスト水処理装置を提供すること。
【解決手段】
本発明のバラスト水処理方法は、低温バラストタンク2aから排出される低温バラスト水を、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理手段2bに供給し、この微小生物処理手段2bに高温バラストタンク2cから高温バラスト水を供給して所定温度で微小生物処理を行い、この微小生物処理後のバラスト水から熱回収を行って熱処理前の該低温バラスト水の昇温に役立てたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、船航中に係る船舶の安定を図るために用いられるバラスト水中に含まれる微小生物を適正に処理して排出するための処理方法及び処理装置に係り、特に熱回収の原理を利用して熱処理を行うことを特徴とするバラスト水処理方法及びバラスト水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶は積載貨物などの重量を含めて設計されているため、空荷だと、船の重心が上がり、復原性が低下し、横波や横風に対して不安定になり遭難、衝突及び推進効率の低下等、様々な支障を生じる可能性がある。したがって、これらを防ぐために、船内に設けたバラストタンクに海水等を積んで重し代わりとし、船体を安定させる対策が取られている。こうして、年間約120億トンのバラスト水が世界中を移動していると推定されている。なお、日本には、推定1700万トンのバラスト水が海外から持ち込まれ、逆に3億トンのバラスト水を日本から海外に持ち出している。
【0003】
しかし、積み込み港と排出する港が異なるため、バラスト水に含まれる水生生物が多国間を行き来し、地球規模で生態系が撹乱されるなどの問題が生じている。バラスト水は浮遊性の微小生物を大量に移動させるため、例えば、他国の海洋生物によって自国の養殖物が食われたり、もともと存在しない有毒物質を含んだ魚介類が食されることによって人体に悪影響をもたらしたりする。したがって、今後の気候変動や経済活動の活性化、工業化及び都市化による水質汚濁等により繁殖条件が好転すれば、新たな被害例が生じるおそれがあるため問題となる。
【0004】
上記のことから、バラスト水を排出するには、バラスト水に含まれる微小の水生生物を死滅させる死滅処理が必要である。この点で、特許の分野においては、死滅処理を行うため、例えば、特許文献1、2に示すような対策が提案されてきた。
【0005】
特許文献1に開示される技術思想は、プレート式熱交換装置を用いて、熱により浄化処理された後の高温バラスト水の熱エネルギーを、汲み上げられた低温バラスト水に遷移して温度の上昇に活用し、高温維持装置により高温バラスト水の温度をプランクトン等の死滅時間だけ高温に維持することを提供する熱回収型浄化処理システムである。
【0006】
特許文献2に開示される技術思想は、バラスト水を予熱用熱交換器で予熱温まで加熱し、エンジン等の廃熱の熱流体に係る熱源で該バラスト水を加熱して殺菌させる殺菌タンクを有する流体殺菌装置である。
【0007】
しかし、これらの従来技術では、設置されたバラストタンクのみがバラスト水貯蔵の役割を果たすと考えられるため、他のタンクでバラスト水処理を行わせたい場合には、別途タンクを設置する必要がある。したがって、設置スペースを確保できない場合には、処理自体が不可能となってしまう恐れがある。また、熱交換したバラスト水の温度を高温に維持するために加熱しなければならず、エネルギー消費が発生する。
【特許文献1】特開2008−110276号
【特許文献2】特表2007−533440号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
船舶を安定させて船航させるにはバラスト水の利用が必要であるが、不用意に他の港で排出することは海洋の生態系の秩序を崩すばかりでなく、海洋に糧を得ている人類にも多大なる影響を与える可能性がある。したがって、排出の際はバラスト水の微小生物処理が不可欠である。その一方で、船舶の運行に係るエネルギー消費を抑制するため、廃熱回収の仕組みもエネルギー効率等の良好なものとする必要がある。
【0009】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決しようとするもので、バラスト水の加熱による微小生物処理に当たって、加熱に要するエネルギーが削減でき、処理装置のスペースが合理化できるバラスト水処理方法及びバラスト水処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
さらに詳しくは、高温バラストタンク(あるいは、高温水タンク)がバラストを兼ねられるようなバラスト水処理方法及びバラスト水処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、別の目的は、こうすることで、バラストタンクの設置スペースを確保する必要をなくすことにある。
【0012】
さらに別の目的は、バラスト水の微小生物処理用タンクをバラスト水貯水用タンクとしても利用可能とし、微小生物の死滅処理に必要な温度を保持するように制御することができるバラスト水処理方法及びバラスト水処理装置を提供することにある。
【0013】
また別の目的は、該高温水を貯水するタンクから高温水を供給して、直接温度上昇或いは高温の維持を行うことを可能とし、熱効率もよいバラスト水を熱処理するバラスト水処理方法及びバラスト水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するために、本発明のバラスト水処理方法は、低温バラストタンクから排出される低温バラスト水を、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理手段に供給し、この微小生物処理手段に高温バラストタンクから高温バラスト水を供給して所定温度で微小生物処理を行い、この微小生物処理後のバラスト水から熱回収を行って熱処理前の前記低温バラスト水の昇温に役立てたことを特徴とする。
【0015】
ここで、低温バラストタンクとは、加熱又は熱交換の前のバラスト水(以下、「低温バラスト水」ともいう。)を貯水しておく容器を示す。一方、高温バラストタンクとは、加熱又は熱交換後、或いは、加熱又は熱交換の後に高温が維持されたバラスト水(以下、「高温バラスト水」ともいう。)を貯水する容器を示す。なお、容器の寸法、容積及び材質等に制限はなく、低温バラストタンク或いは高温バラストタンクが通常の用途として利用されるバラストタンクの役割を果たすことが好ましい。
【0016】
また、微小生物とは、ろ過フィルタでもろ過しきれなかったプランクトン、例えば、ケイソウ、小型甲殻類、クラゲ及び魚類の幼生等のその他全ての分類群に属する生物、肉眼でその存在が判別できず、顕微鏡などによって観察できる程度以下の大きさの生物(微少生物)、微生物を含む概念である。なお、生息地等に限定はない。なお、本願において「微小生物」というときには、場合により、微小生物そのもののほかにその死骸をも含む概念として用いることもある。
【0017】
また、微小生物処理手段とは、熱処理によりバラスト水を船舶から排出する前に微小生物を死滅させることを可能とする装置を示す。具体的には、高温バラスト水を注水したり、補助的に微小生物処理手段を加熱したりして熱処理に必要な所定温度を獲得し、微小生物を熱により死滅させる作用を果たすものを示す。なお、微小生物処理手段の温度変化を検出して適量の高温水を供給するための温度制御機能或いはその他の制御機能を有するようにしてもよい。
【0018】
また、所定温度とは、微小生物を死滅させることが可能な程度の水温が好ましい。なお、微小生物の種類によって死滅させることが可能な水温は異なると考えられるため、タンク内に存在する微小生物全てを死滅させることができる水温であることが好ましい。
【0019】
また、熱回収とは、微小生物処理手段により微小生物処理された後の熱エネルギーを、排出前に他の媒体に遷移し、或いは蓄熱することを意味し、具体的には、間接熱交換、直接熱交換、あるいはヒートポンプ等の媒体を介して微小生物処理後のバラスト水から熱を取り出す等の機能を実現するものをいう。
【0020】
上記のように構成されることで、バラスト水を船舶から排出する前に、水中内に存在する微小生物を、熱処理により死滅させることができる。したがって、死滅処理終了後、高温化したバラスト水の熱エネルギーを、排水前に回収することで、熱エネルギーの回生を実現することができる。また、微小生物処理手段としては、低温バラストタンクからの配管と高温バラストタンクからの配管を混合させたり、低温バラスト水を貯水する低温バラストタンクに高温バラストタンク内の高温バラスト水を注水したりすることで、低温バラスト水の水温を微小生物の死滅温度に保持することも可能となる。
【0021】
また、本発明に係るバラスト水処理方法は、該微小生物処理手段による微小生物の熱処理の際に、該所定温度に加え所定時間をかけて微小生物処理をおこなったことを特徴とする。
【0022】
ここで、所定時間とは、所定温度条件下でタンク内に存在する微小生物の全部を死滅させるために必要な時間あるいはこれに安全率を掛けた時間をいい、予め実験に基づいて定めた時間、また微小生物センサーで微小生物の生存しないことが確認されるまでの時間も含む。
【0023】
上記のように構成されることで、微小生物を熱処理する際に、所定温度に所定時間で到達させたり、所定温度を所定時間保持させたりすることによって、微小生物センサーで微小生物の生存しないことが確認されるまでの所定時間をかけて制御をすることができる。
【0024】
また、本発明に係るバラスト水処理装置は、バラスト水を貯えるバラストタンクと、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理タンクと、微小生物処理後のバラスト水と処理前のバラスト水の熱交換を行う熱交換器と、該微小生物処理タンクに高温水を供給する高温水タンクと、この高温水タンクを加熱する加熱源を備え、該バラストタンクから該熱交換器を通過して該微小生物処理タンクにバラスト水を供給し微小生物を所定温度で熱処理した後、再び該熱交換器を通過させて該バラスト水を排水したことを特徴とする。
【0025】
ここで、バラストタンクとは、船舶に係るバラスト水を貯水する容器を示す。なお、容器の寸法、容積、材質或いは設置場所等に制限はない。
【0026】
また、微小生物処理タンクとは、微小生物を死滅させるためにバラスト水を貯水する容器を示す。なお、容器の寸法、容積、材質或いは設置場所等に制限はない。微小生物処理タンクがバラストタンクの役割を兼ねてもよい。また、温度低下を防ぐ断熱材で抱合することが好ましい。
【0027】
また、高温水タンクとは、微小生物処理タンクへ高温水を注水するために貯水しておく容器であり、高温水には、清水及びバラスト水を含む。なお、容器の寸法、容積、材質或いは設置場所等に制限はない。高温水タンクがバラストタンクの役割を兼ねてもよい。また、温度低下を防ぐ断熱材で抱合することが好ましい。
【0028】
また、熱交換器とは、温度の高い物体から低い物体へ効率的に熱を移動させる機器であり、例えば、スパイラル式熱交換器、プレート式熱交換器、二重菅式熱交換器、多重円菅式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、タンクコイル式熱交換器、タンクジャケット式熱交換器、直接接触液式熱交換器、その他の相変化も含めた熱交換器を含むが、これらに限定されない。
【0029】
また、加熱源は、物体の温度を上昇させるための加熱機能を有するものであり、例えば、主位的には、主機(エンジン)の廃熱(廃熱回収熱交換器や排ガスエコノマイザーから得る。)、過給機の廃熱(インタークーラー等から得る。)、或いは発電機の廃熱等を再利用することによって実現されるものをいうが、従位的には、重油燃焼を熱源とするもの、自然エネルギーを利用するもの、ヒートポンプ等によってもよく、これらに限定されない。また、船舶に係るエンジンからの廃熱を回収する廃熱回収熱交換器或いは排ガスエコノマイザーを用いるものであってもよい。
【0030】
上記のように構成されることで、排出時にバラスト水を熱処理で死滅させるための微小生物処理タンクをバラストタンク内の一部に設けるか、もしくは、別途設けることができる。一方、高温水タンクにはバラスト水或いは船舶の運用上必要な清水のいずれかを貯水する。その後、微小生物処理タンク及び高温水タンク内のバラスト水を加熱源により所定温度まで加熱し、微小生物の熱処理の前段階準備を行う。バラスト水排出の際には、バラストタンク内のバラスト水を熱交換器に移送し、微小生物処理タンクに注水する。一方、微小生物処理中の水温低下を抑制するため、高温水タンク内の高温のバラスト水或いは清水は、温度制御及び流量制御により、バルブを介して最適に微小生物処理タンクに注水される。死滅処理終了後、熱処理された高温のバラスト水は再び熱交換器に移送され、熱エネルギー回収しつつ海洋に排出可能な温度まで低下させるが、このときの熱源としては、主要熱源に加えて、不足した場合の補助熱源を具備し、これにより補助加熱するようにしてもよい。
【0031】
また、本発明に係るバラスト水処理装置は、微小生物処理タンクによる微小生物処理の際に、所定温度に加え所定時間をかけて微小生物処理をおこなうべく微小生物処理タンクの容積及び/もしくはバラスト水排水量を設定したことを特徴とする。
【0032】
この場合、微小生物処理タンクの容積及び/もしくはバラスト水排水量の設定態様としては、微小生物処理タンクの容積を最初から固定的に設定する場合と、状況に応じて自由度を持たせて変更設定できる場合の双方を含む。また、バラスト水排水量が多いか少ないかによって、微小生物処理タンク内のバラスト水の滞在時間を調節できる。さらに、微小生物処理タンクの容積及び/もしくはバラスト水排水量に関して、上記所定時間は調節可能な構成としてもよい。
【0033】
上記のように構成されることで、微小生物処理タンクの容積及び/もしくはバラスト水排水量を設定することにより、所定温度に加えて所定時間の調整をタンク容積及び/もしくはバラスト水排水量を適合的に調整及び制御することとなる。
【0034】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における加熱源は、船舶の機関から放出される廃熱としたことを特徴とする。
【0035】
ここで、船舶の機関とは、船舶の主機(エンジン)、過給機、発電機及びコンプレッサーその他駆動によって熱を発する全ての機関を含み、これらに限定されない。
【0036】
上記のように構成されることで、加熱源を別途設ける必要がなく、例えば、エンジンの廃熱の場合、廃熱回収熱交換器により回収し、該微小生物処理タンク或いは高温バラストタンクの加熱に再利用することができる。さらに、微小生物処理のための加熱の熱源に船舶の機関からの廃熱を利用するので、熱消費を抑えることができる。
【0037】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における高温水タンク及び/もしくは微小生物処理タンクは、バラスト水タンクを兼ねたことを特徴とする。
【0038】
上記のように構成されることで、高温水タンク及び微小生物処理タンクがバラスト水タンクの役割を兼ね、省スペース、省資源や低コスト化が実現される。
【0039】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における高温水タンクは、微小生物処理を必要としないときに清水を高温状態で貯えることを可能としたことを特徴とする。
【0040】
ここで、清水とは、陸の上水道から組み上げた水や雨水、また海水を蒸留して得た水であり、バラスト水以外の用途、例えば、船体その他船舶に関するものの洗浄、人体その他人に関することの洗浄、食材の洗浄及び調理、火災等の消化、高温物の冷却、及び外部への噴射その他清水を要する船舶に関すること全ての用途に利用される。
【0041】
上記のように構成されることで、高温水タンクの容量相当分の清水を貯水するタンクを別途設ける必要がなく、清水をバラスト水としても利用することができる。これにより、清水を高温水タンクに貯えることで省スペースが実現され、たとえばタンカーなどの大型船舶では清水で満たし清水高温水を人用など多くの用途に使用し、入港が近づいて使い終わったら海水を入れて加熱し、微小生物処理に備えるといった利用法を用いることができる。
【0042】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における熱交換器は、メンテナンスの際に、高温水による逆洗浄を行ったことを特徴とする。
【0043】
ここで、逆洗浄の高温水は、高温水タンクの高温水に限定されることはなく、微小生物処理タンクの湯も含まれる。
【0044】
上記のように構成されることで、熱交換器の付着物、粘着物やバイオフィルム等の堆積による熱交換効率低下を回復させることができる。また、微小生物処理タンク或いは高温水タンクに係る高温水を逆方向に流水することで、熱回収を行うためにバラスト水を移送した際、熱交換器に残存したバラスト水による微小生物が残存する可能性を最小化することができる。
【0045】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における熱交換器は、メンテナンスの際に、洗浄剤による洗浄を行ったことを特徴とする。
【0046】
ここで、洗浄剤とは、洗浄力を増強させるものであり、例えば、中性或いはアルカリ性の水系洗浄剤、準水系洗浄剤、炭化水素系洗浄剤、アルコール系洗浄剤、シリコーン系洗浄剤、その他フッ素系洗浄剤及び塩素系洗浄剤(塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン)その他全ての洗浄剤或いは化学反応物質を含み、これらに限定されない。
【0047】
上記のように構成されることで、熱交換器の付着物、粘着物やバイオフィルム等の堆積による熱交換効率低下を回復させることができる。また、逆洗浄の際、洗浄剤で洗浄するので、微小生物が残存する可能性を更に極小化することができ、上記の微小生物処理の効率、性能が一層向上する。
【0048】
また、本発明に係るバラスト水処理装置において、微小生物処理タンクは温度検出手段を備え、微小生物処理タンクの温度として所定の温度が得られるように高温水タンクから供給される高温水量及び/もしくはバラスト水の排水量を調節したことを特徴とする。
【0049】
ここで、温度検出手段とは、微小生物処理タンク内のバラスト水の温度を検知・把握・検出するものであり、温度感知センサーの他、制御プログラムを搭載したICチップ、電子基板、制御基盤、コントローラ及び制御モジュールのうち少なくとも一つの媒体で制御システムを構成し、検出した温度の値を基に、最適な温度制御及び流量制御を実現させるものを採用することもできる。なお、温度検出手段は、熱電対、温度抵抗体、サーミスタ、放射温度計その他全ての温度検出器を含み、また取り付け場所も微小生物処理タンクの液中や空間を介した液上、また微小生物処理タンクの外表面等これらに限定されない。
【0050】
上記のように構成されることで、高温水タンクから供給される高温水及び/もしくはバラスト水の排水量の調整・制御を通じて微小生物処理タンクの温度が所定温度を保持するので、微小生物処理の熱処理に要する温度を適切かつ確実に管理・保持することができる。
【0051】
また、本発明に係るバラスト水処理装置は、バラスト水を貯えるバラストタンクと、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理手段と、該微小生物処理手段に高温水を供給する高温水タンクと、この高温水タンクを加熱する加熱源と、少なくとも該バラスト水の排出と、該加熱源による該高温水タンクの加熱を制御する制御手段を備え、この制御手段により該バラスト水の排出がされていないときに該加熱源による該高温水タンクの加熱を行ったことを特徴とする。
【0052】
ここで、微小生物処理手段とは、微小生物処理を行う機能を持つものをいい、タンクによるもの、タンクによらないものを含む。
【0053】
また、ここで、制御手段とは、バラスト水の排出がされていないときに加熱源による高温水タンクの加熱を行う制御を行う機能を有するものであり、たとえば、バラスト水排出の有無を物理的に検知し、排出がされていないときに高温水タンクの加熱のスイッチが入るような制御をプログラム、計算機、ICチップ、電子基板、コントローラ、回路構造によって実現するものであってもよい。また、代替的に、微小生物処理手段にかかる温度検出手段により検出されたバラスト水の温度の値を基に、微小生物処理手段からバラスト水の排出或いは高温バラスト水の温度を調整・制御するものをプログラム、計算機、ICチップ、電子基板、コントローラ、回路構造によって実現するものであってもよい。また、制御手段に係る制御方式は、例えば、シーケンス制御、フィードバック制御、フィードフォワード制御、PID制御、H∞制御(H−infinity Control)及びニューラルネットワークその他全ての制御理論によるもの或いは制御方式を含み、これらに限定されない。
【0054】
また、ここで、熱交換器での熱回収なしでバラストタンクと混ぜ合わせた場合に所定の処理温度が得られるだけの容量を確保した高温水タンクを備えて蓄熱し、直接混ぜ合わせて処理温度(たとえば70℃)を得るものであってもよく、或いは熱交換器での熱回収を加えて所定の処理温度が得られるだけの容量を確保した高温水タンクを備えて蓄熱し、直接混ぜ合わせて所望温度を得るものであってもよい。
【0055】
上記のように構成されることで、加熱源によって加熱された高温バラスト水が直接供給されることにより所望の温度で微生物を含む微小生物が熱処理されるにあたり、制御手段が加熱を制御することにより、所望の温度に効率良く至ることができ、微小生物の死滅処理を確実化することができる。
【0056】
これら所定の処理温度を得ることもあるが、バラスト水の排出がされていないとき、すなわち航行時を含めて船舶の機関が動いているときに、加熱源による高温水タンクの加熱を行い、廃熱利用を実現し、加熱能力を確保し、排出時に機関が動いていないことの問題が解消される。
【0057】
また、本発明に係るバラスト水処理装置は、制御手段により加熱源が停止しているときに、バラスト水を排出したことを特徴とする。
【0058】
ここで、制御手段には、検出機構を持たせても良く、たとえば、制御手段によって、加熱源の運転・停止状況を検出し、これに応じてバラスト水の排出・停止を行う(加熱源の停止を検出するとバラスト水の排出を行い、及び/もしくは、加熱源の運転を検出するとバラスト水の排出を停止する)ものであってもよい。
【0059】
上記のように構成されることで、微小生物処理されたバラスト水を加熱源の停止時に排出するので、機関のポンプを共用することが可能となる。
【0060】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における制御手段は、微小生物処理手段の所定の処理温度が得られるように少なくとも高温水の供給量を制御する機能を更に備えたことを特徴とする。
【0061】
ここで、制御手段は、高温水の供給量を制御することにより微小生物処理手段に供給されるバラスト水との混合温度を制御したり、直接微小生物処理手段の温度を制御することが可能となる。また、高温水供給量の制御により、微小生物が死滅処理された後のバラスト水排出量を間接的に制御することができる。なお、高温水の供給量を制御する機能以外にも、たとえば、バラスト水排出量の制御、補助加熱の制御等の各機能を備えていてもよい。
【0062】
上記のように構成されることで、所望の温度を獲得するための制御手段に係る高温水の供給量制御機能により、高温水の供給量やバラスト水の排出量を最適化する。
【0063】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における制御手段は、微小生物処理手段を通るバラスト水の排出量が所定の範囲となるように少なくとも該バラスト水の排出量を制御する機能を更に備えたことを特徴とする。
【0064】
この場合、バラスト水排出量の制御機能は、バラスト水処理時間制御、タンク式微小生物処理の水位の制御、処理温度の制御の各制御をも機能として備えていても良い。
【0065】
上記のように構成されることで、制御手段に係るバラスト水排出量制御機能により、一気に排出したり、或いは逆に一定の残存温度を持つバラスト水を滞留させたりといった制御が適合的に行える。さらに、バラスト水を決められた定刻までに処理することが計画できる。
【発明の効果】
【0066】
本願発明によれば、高温バラストタンク内のバラスト水は加熱源により加熱し、微小生物の熱処理を行うことができる。船航中は船舶のバランスを安定させるための通常のバラストタンクとしての役割を兼ねることができるため、通常のバラストタンク内に貯水するバラスト水の水量を、高温水バラストタンク内に貯水するバラスト水と調整することができる。また、通常のバラストタンクの寸法や容積等の縮小化或いは設置面積の省スペース化も実現することができる。
【0067】
また、加熱源により加熱された高温バラストタンク内の高温バラスト水を微小生物処理タンクに注水することにより、微小生物処理タンク内のバラスト水中に存在する微小生物の熱処理を行うことができる。特に、微小生物処理手段に高温バラストタンクから高温バラスト水を供給することにより、特別な部品を必要とせずに効率の高い熱供給が可能となる。また、所定温度を維持するために高温水を都度適量注水することで、一定時間後には熱処理を完了させることができる。これにより、高温水に係る熱エネルギーの再利用が可能となり、エネルギー回生効果を利用することで、加熱源によって加熱し続ける必要がなくなる。したがって、エネルギー消費量も減少し、省エネルギー効果を得ることができる。
【0068】
また、本願発明によれば、微小生物の熱処理のために所定時間費やすことで、より確実にバラスト水の微小生物死滅処理を行うことができる。また、所定時間を短くする場合は高温バラスト水の流量或いは注水量を増加させたり微小生物処理タンク内のバラスト水の排水量を増加させたり、又は、所定時間を長くする場合は高温バラスト水の流量或いは注水量を減少させたり微小生物処理タンク内のバラスト水の排水量を減少させたりすることができる。また、微小生物処理タンクの容積を変化させる事によっても実現できる。これにより、簡単な方法により、微小生物処理の上で重要なファクターとなる処理時間が自由に変更可能となり、状況に対応して確実に微小生物の死滅処理が図れる。
【0069】
また、本願発明によれば、高温水タンクや微小生物処理タンクがバラストタンクを兼ねることが可能な構成となり、高温バラストタンクから高温バラスト水を供給することにより、特別な部品を必要とせずに効率の高い熱供給が可能となる。また、熱処理するためにバラストタンク内に貯水されるバラスト水を微小生物処理タンクに移送する際、熱交換器を介することで、熱交換器が回収した熱エネルギーをバラスト水の昇温に利用することができる。これにより、熱処理に係る所望の温度に近づけることができ、バラスト水を加熱するための熱エネルギーを節約することができる。すなわち、加熱源でバラスト水を加熱する熱エネルギーを削減することができる。
【0070】
さらに、設計上、最初から微小生物処理タンクの寸法或いは容積を固定的に限定するだけでなく、微小生物処理タンクの容積を任意に設定することで、容積によって熱処理に係る時間や温度調整を柔軟に行うことができる。また、微小生物処理タンクの容積と所定時間に応じて、バラスト水の排水量をも設定することができ、必要に応じて排水の時間的間隔や排水量を調整することができる。これにより、簡単な方法により、微小生物処理の上で重要なファクターとなる処理時間が自由に変更可能となり、状況に対応して確実に微小生物の死滅処理が図れる。
【0071】
また、本願発明によれば、船舶の機関から放出される廃熱の熱エネルギーを回生することができ、バラスト水を熱処理するのに必要な温度に加熱するためのエネルギーを軽減することができる。具体的には、船舶の機関がエンジンの場合、エンジンからの廃熱を廃熱回収熱交換器で回収し、回収した廃熱を利用して高温バラストタンクを昇温させることができるため、廃熱の利用用途を拡大し、無駄なくエネルギー回生を実現することができる。
【0072】
また、本願発明によれば、高温水タンク及び/もしくは微小生物処理タンクは、バラスト水タンクを兼ねることにより、バラスト水タンクの小型化や省スペース化が実現し、タンク間のバラスト水の移送時間が短縮し、バラスト水を排出するまでの処理時間を短縮させることができる。特に、高温水タンク及び/もしくは微小生物処理タンクは、常に温度が高く保たれるため、内部の微小生物が死滅しているので、バラストタンクと熱処理装置を別に設ける場合と比べ、バラスト水排水時の処理時間が短縮できる。
【0073】
また、本願発明によれば、高温水タンクは、微小生物処理を必要としないときに清水を高温状態で貯えることにより、高温水タンクの容量に相当する清水を貯水するためのタンクを設ける必要がなく、船舶内の省スペース化が実現し得る。また、仮に清水を船航中に全て使用することがない場合でも、高温水であるため微小生物処理タンクへの注水による熱処理として利用することもできるため、清水の貯水の際には無駄が発生しないようにするための調整が不要となる。
【0074】
また、本願発明によれば、メンテナンスの際に、通常の流れ方向とは逆方向から水を流して洗浄を行う逆洗浄を可能とすることで、洗浄効果を増幅させることができる。より詳細には、バラスト水を流すことで熱交換器に付着物や粘着物やバイオフィルム等が蓄積するが、該付着物や粘着物は、流れ方向とは逆向きに最大静止摩擦力が働いているため、逆方向から水を流して洗浄することで、同じ流量でも除去できる付着物等の量は多く、洗浄効果を増大させることができる。
【0075】
また、本願発明によれば、洗浄剤の効果により、熱交換器の付着物、粘着物やバイオフィルム等の堆積による熱交換効率低下を回復させることができる。また、逆洗浄の際、洗浄熱交換器に付着する付着物等を極力除去することができ、熱交換器に係る熱交換率を、何も付着していない状態と同程度に維持することができる。これにより、熱交換率の減少を防ぎ、低温バラスト水への熱エネルギーの遷移或いは高温バラスト水からの熱エネルギーの回収を効率よく行うことができ、船舶全体としてのエネルギー効率を好適に維持することができる。
【0076】
また、本願発明によれば、温度検出手段により検出された微小生物処理タンク内のバラスト水の温度によって、高温水タンクから供給する高温のバラスト水の流量及び注水量或いは微小生物処理タンクから排出するバラスト水の排水量を最適に算出することができる。これにより、簡単な方法で無駄に高温水を注水したり未処理のバラスト水を排出したりすることがなくなり、効率の良い熱処理を実現することができる。
【0077】
また、本願発明によれば、バラスト水が排出されていないとき、すなわち航行時を含めて船舶の機関が動いているときに、加熱源による高温水タンクの加熱を行い、廃熱利用を実現し、加熱能力を確保し、微小生物処理の際に機関が動いていないことの問題が解消される。また、高温水タンクの加熱を制御することにより、常に適温の高温水を貯えることができ、微小生物処理タンクへの供給に当たっても温度が高すぎたり、低すぎたりする問題を未然に防ぐことができる。
【0078】
また、本願発明によれば、船舶の機関が停止して加熱源が停止したときにバラスト水の処理を行うため、乗組員はバラスト水処理作業に集中することができ、心理的にも負担が軽減し、安全に作業を推進することができる。また、船舶の機関が停止しているため、バラスト水を広域にまき散らすことなく、環境の浄化にも役立つ。
【0079】
また、本願発明によれば、微小生物処理手段の所定の処理温度が得られるように、高温水の供給量を制御することにより、微小生物処理手段に供給される高温水とバラスト水との混合温度を制御したり、直接、微小生物処理手段の温度を制御することが可能となる。また、高温水供給量の制御により、微小生物が死滅処理された後のバラスト水排出量を間接的に制御することができる。
【0080】
また、本願発明によれば、定刻や期限内にバラスト水処理を終えねばならない場合や、一定範囲の排出に抑えたい場合などに排出量を最適化でき、排出量管理、ひいては周囲環境の汚染防止を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0081】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0082】
図1は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理方法或いはバラスト水処理装置を利用し得る船舶1の内部構成を示す図である。同図に示すとおり、船舶1はその内部にバラストタンク2を搭載している。バラストタンク2は海水を貯水し、船舶のバランスを取ることを目的としているため、船舶の両端に設置されている。なお、海水はポンプ等で取水する(図示しない)。
【0083】
図2は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理方法の概念図を示す図である。同図に示すとおり、本願に係るバラスト水処理装置は、船舶1で利用した場合、バラストタンク2a、微小生物処理タンク2b(以下、「死滅処理タンク」ともいう。)及び高温水タンク2c(以下、「蓄熱タンク」ともいう。)、バラストポンプ3、廃熱回収熱交換器4、主機関5、排水シーチェスト6、プレート式熱交換器7の構成を少なくとも備える。
【0084】
バラストタンク2aは、船舶に係るバラスト水を貯水する容器を示す。一方、微小生物処理手段の一実現態様である微小生物処理タンク2bは、熱処理でバラスト水中の微小生物を死滅させるための容器であり、温度低下を防ぐ断熱材で抱合することが好ましい。また、高温水タンク2cは、微小生物処理タンク2bでの熱処理を保持するための高温水(海水或いは清水)を貯水するための容器であり、温度低下を防ぐ断熱材で抱合することが好ましい。さらに、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2cがバラストタンク2aの役割を兼ねる構成でもよい。より詳細には、バラストタンク2a内の一部を微小生物処理タンク2b或いは高温水タンク2cにすることで、それらがバラストタンク2aの一部として機能し、外部に別途設ける必要がないため、省スペース化が実現する。なお、各タンクの寸法、容積、材質及び設置場所等に制限はない。
【0085】
バラストポンプ3は、バラストタンク2a、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2cのうち少なくとも一つのバラスト水を吸引及び排出することができる。この場合、バラストポンプ3の駆動は、人員によるマニュアル操作或いはコンピュータによるオート操作のいずれでもよい。人員によるマニュアル操作の場合は、微小生物処理タンク2b内の液位等を配慮して駆動・停止を行う必要がある。一方、コンピュータによるオート操作の場合は、微小生物処理タンク2b内の液位或いはバラスト水の吸引量等の値をもとに、駆動・停止のタイミング制御を自動的に行うロジック等を有することが好ましい。
【0086】
廃熱回収熱交換器4は、船舶の主機関5(例えば、エンジンを含む船舶の機関)からの廃熱を回収することができる。さらに、廃熱回収熱交換器4で、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2c内のバラスト水を所望の温度に加熱・昇温することができる。
【0087】
シーチェスト6は、海水の吸入口或いは排出口であり、設ける数、船舶に係る位置及び構造について限定はない。
【0088】
プレート式熱交換器7は、温度の高いバラスト水から熱エネルギーを回収し、温度の低いバラスト水に熱エネルギーを遷移させることができる機能を有する装置・機器である。具体例としては図3の本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器7の分解斜視図で表されるものを採用することができる。同図において、幅の狭いプレート間流路を形成するように複数のプレート(伝熱面)を密に並べて一体化し、全プレートに低温経路及び高温経路を貫通させ、これらプレートに挟まれて並ぶプレート間流路に対して低温経路又は高温経路から交互に低温バラスト水と高温バラスト水とを対向流として送り込むように構成される。低温経路及び高温経路は一つおきのプレート間流路に連通して孔を設けており、低温バラスト水及び高温バラスト水はこの孔からそれぞれのプレート間流路に流れ込む。そして、各プレート間流路を画すプレートを介し、低温バラスト水及び高温バラスト水の間で熱交換させる。なお、プレート式熱交換器に関する先行技術文献として、特開2008−110276がある。
【0089】
ここで、バラスト水処理方法の概念について説明する。同図において、廃熱回収熱交換器4で、微小生物処理タンク2bに貯水されるバラスト水は、熱処理に必要な(たとえば)約70℃まで、高温水タンク2cに貯水されるバラスト水或いは清水は、約90℃まで加熱される。一方、バラストタンク2a内に貯水されるバラスト水は低温であるため、バラストポンプ3により吸引し、プレート式熱交換器7に移送され、回収した熱エネルギーを低温のバラスト水に遷移する。これにより、プレート式熱交換器7の入口側で約15℃程度のバラスト水が、出口側で約69℃程度の高温のバラスト水となる。したがって、微小生物処理タンク2bには69℃のバラスト水が供給され、バラストタンク2a内でバラスト水が熱処理される。このとき、高温水タンク2cの高温のバラスト水を微小生物処理タンク2bに注水することにより、微小生物処理タンク2b内の水温を約70℃に保持することができる。また、所定時間経過し、熱処理が終了した高温のバラスト水は、微小生物処理タンク2bからプレート式熱交換器7に移送され、熱エネルギーが回収される。したがって、約18.5℃となったバラスト水が、排水シーチェスト6を介して排出される。このような方法により、微小生物を処理し、かつ、熱エネルギーの回生効果を利用できるバラスト水処理を実現させることができる。高温水タンク2cに貯水されるバラスト水或いは清水は、微小生物処理に必要な70℃以上の高温として90℃が蓄熱され、かつプレート式熱交換器7で熱回収され、微小生物処理タンク2bには69℃の温度で供給されるため、高温水タンク2cの容量は小さいもので済む。
【0090】
図4は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置の全体ラインを示す全体配管系統図である。同図において、バラスト水処理装置は、バラストタンク2a、微小生物処理タンク2b、高温水タンク2c、バラストポンプ3a、3b、3c及び3d、廃熱回収熱交換器4、取水シーチェスト6a、排出シーチェスト6b、プレート式熱交換器7、バルブ8a、8b、8c、8d、8e、8f、8g、8h、8i、8j、8k、8l、8m及び8n、温度検出器9a、9b、9c及び9d、空気抜き菅10を備えて構成される。ここで、バラストタンク2aは複数のタンク及び複数の系統(Qi01〜Qi0n、Vi01〜 Vi0n)を備えていても良く、その意味でバラストタンク2aはタンク及び系統について総称的に表示したものである。
【0091】
同図に示すとおり、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2cは、バラストタンク2a内部に設置される。高温水タンク2cは、バラストタンクとしての役割を果たすことができる。また、微小生物処理タンク2bも、バラストタンクとしての役割を果たすことができる。
【0092】
また、バラストポンプ3aは、取水シーチェスト6aを介してバラストタンク2aにバラスト水を供給したり、バラストタンク2a内のバラスト水を移送させたりすることができる。また、バラストポンプ3b及び3cは、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2c内のバラスト水を移送させることができる。さらに、バラストポンプ3dは、加熱するために廃熱回収熱交換器4にバラスト水を移送させることができる。この場合、バラストポンプ3a、3b、3c及び3dの駆動は、人員によるマニュアル操作或いはコンピュータによるオート操作のいずれでもよい。人員によるマニュアル操作の場合は、各タンク内の液位等を配慮して駆動・停止を行う必要がある。一方、コンピュータによるオート操作の場合は、微小生物処理タンク2b内の液位或いはバラスト水の吸引量等の値を基に、駆動・停止を自動的に行うロジック等を有することが好ましい。
【0093】
取水シーチェスト6aは、海水をバラストタンク2aに貯水するために船舶1の船体に設けられた開口部であり、排水シーチェスト6bは、バラスト水を排水するために船舶1の船体に設けられた開口部である。
【0094】
プレート式熱交換器7は、微小生物処理タンク2b内の熱処理済みのバラスト水を排出する際に熱エネルギーを回収し、バラストタンク2a内の低温のバラスト水に該熱エネルギーを遷移させることができる。
【0095】
バルブ8a、8b、8c、8d、8e、8f、8g、8h、8i、8j、8k、8l、8m及び8nはバラスト水の温度或いは排水量の値を基に、弁を開閉する機能を有するものである。それぞれ弁に接続された制御機構によって弁が開閉されることで、バラスト水の取り込み、蓄熱、バラスト水処理、逆洗浄、洗浄剤洗浄等の各モードごとに、それぞれに対応する(予め定められた)シーケンスに応じた経路切り換え動作が制御される。さらに、弁の開度を調節することにより、水温や流量を調節するように制御がされる。
【0096】
温度検知器9aは高温バラストタンク2a中の高温水タンク2c内のバラスト水の温度を検知し、温度検知器9cは微小生物処理タンク2b内のバラスト水の温度を検知し、温度検知器9bはプレート式熱交換器7を経たバラスト水と高温水タンク2cからの高温水のミキシング温度を検出し、温度検知器9dは排水直前のバラスト水の温度を検知することができる。さらに、これらの温度検知器9a乃至9dは、弁の開閉動作による、バラスト水の取り込み、蓄熱、バラスト水処理、逆洗浄、洗浄剤洗浄等の各シーケンス、及び弁の開度調節動作による水温や流量の調節に係るシーケンスの制御プログラムを搭載したICチップ、電子基板、制御基盤、コントローラ及び制御モジュールのうち少なくとも一つの媒体をもって制御システムを構成するものであり、検出した温度の値を基に、最適な温度制御及び流量制御を実現させることが好ましい。
【0097】
空気抜き菅10は、微小生物処理タンク2b内の空気を抜くことができる。また、バラスト水の液位を自動監視する機能も有する。さらに、空気抜き菅10は、管の(たとえば弁、開閉機構等による)開閉、流量調節等の各制御プログラムを搭載したICチップ、電子基板、制御基盤、コントローラ及び制御モジュールのうち少なくとも一つの媒体とで制御システムを構成し、検出した液位の値を基に、最適な温度制御及び流量制御を実現させることが好ましい。
【0098】
なお、バラスト水の流路は、金属管、樹脂管、フレキ管等の配管及び配管を繋ぎ合わせる継手(以下、「カップリング」、「ジョイント」及び/もしくは「コネクター」ともいう。)で構成される。
【0099】
次に、図5及至図11を用いて、バラスト水処理装置の動作及び使用方法を説明する。
【0100】
図5は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置のバラスト水の給水を模式的に示す図である。同図に示すとおり、バルブ8aを開成し、取水シーチェスト6aを介してバラスト水をポンプ3aで吸引する。また、バルブ8b及び8nを開成し、バラストタンク2内にバラスト水を供給する。一方、バルブ8c及び8dも開成されることでバラスト水は、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2c内に供給される。こうすることで、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2cもバラストタンク2aの役割を兼ねることができる。
【0101】
図6は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置のバラスト水の蓄熱状況を模式的に示す図である。同図に示すとおり、微小生物処理タンク2b内のバラスト水は、開成されたバルブ8gを介してポンプ3dで吸引される。また、高温水タンク2c内のバラスト水は、開成されたバルブ8fを介してポンプ3dで吸引される。吸引されたバラスト水は、廃熱回収熱交換器4に係る廃熱エネルギーの提供を受け、微小生物処理タンク2bには約70℃、高温水タンク2cには約90℃のバラスト水が供給される。こうすることで、船舶の主機関に係るエンジンからの廃熱を再利用することができる。なお、空気抜き管10は、随時微小生物処理タンク2b内の空気を抜き、液面を自動監視する環境を整えることができる。
【0102】
図7は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置のバラスト水の微小生物処理を模式的に示す図である。同図に示すとおり、バルブ8n及び8hを開成し、ポンプ3aでバラストタンク2a内のバラスト水を吸引することができる。また、バルブ8jを開成し、プレート式熱交換器7にこのバラスト水を移送する。このとき、プレート式熱交換器7で処理済みバラスト水から回収された熱エネルギーが当該バラスト水に遷移する結果、約69℃のバラスト水が微小生物処理タンク2b内に供給される。これにより、熱処理に必要な水温約70℃を有するバラスト水は所定時間をかけて死滅処理される。このとき、約70℃の水温を保持するために温度制御を行い、バルブ8eを開成し、高温水タンク2c内の約90℃のバラスト水をポンプ3cで吸引し、流量制御を行って微小生物処理タンク2bに注水する。死滅処理終了後、バラスト水をポンプ3bで吸引してプレート式熱交換器7に移送し、熱エネルギーが回収されて約18.5℃となったバラスト水が、開成されたバルブ8lを経由して排出シーチェスト6bを介して海洋に排水される。また、(図示しない)温度検知器9dによって排水直前のバラスト水の温度を検知し、所定の温度以下になったものを海洋に排水するようにして、不測の高温水が放流されることにより環境に害を与えることを防止するようにしてもよい。
【0103】
図8は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置におけるプレート式熱交換器7の循環洗浄を模式的に示す熱交換高温高速循環洗浄図である。同図に示すとおり、バルブ8i、8j、8k及び8mを開成し、ポンプ3aで微小生物処理タンク2b内のバラスト水を吸引し、プレート式熱交換器7に移送する。この場合、プレート式熱交換器7を経由するバラスト水の流路は一方向であり、図7記載の熱処理後のバラスト水排出時の流路とは逆向きであるため、洗浄力はその分強力となる。なお、この時点では高温水タンク2c内のバラスト水が貯水されていない状態となる。
【0104】
図9は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置における微小生物処理タンク2b内のバラスト水の希釈排水を模式的に示す死滅処理タンク水希釈排水図である。同図に示すとおり、ポンプ3bで微小生物処理タンク2b内のバラスト水を吸引し、バルブ8mを開成してバラスト水をプレート式熱交換器7を経由させた後にバルブ8mを閉成する。バルブ8lを開成して排出シーチェスト6bを介して海洋に排出されるにあたって、熱処理後の高温バラスト水を希釈化させるため、バルブ8aを開成してポンプ3aで海水を吸引し、バルブ8jを開成して排水直前のバラスト水をこれと融合させるとバルブ8jを閉成する。融合させることで希釈化されて水温が低下したバラスト水をバルブ8kを開成して海洋に排出することで、不測の高温水が放流されることにより環境に害を与えることを防止することができる。
【0105】
図10は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置における洗浄剤を用いたプレート式熱交換器7の洗浄用ラインを付加した全体ラインを示す洗浄剤洗浄ライン付加図である。同図に示すとおり、図4記載の全体ラインに、空気タンク11a、洗滌剤タンク11b及びゆすぎタンク11cを付加したものであり、バルブ8o、8p、8q及び8rを別途設けてポンプ3bの吸排によりプレート式熱交換器7を洗浄するものである。
【0106】
ここで、洗浄剤タンク11bは、洗浄剤を貯える容器である。洗浄剤の種類は、例えば、中性或いはアルカリ性の水系洗浄剤、準水系洗浄剤、炭化水素系洗浄剤、アルコール系洗浄剤、シリコーン系洗浄剤、その他フッ素系洗浄剤及び塩素系洗浄剤(塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン)その他全ての洗浄剤或いは化学反応物質を含み、これらに限定されない。洗浄剤タンク11b内の洗浄剤は、バルブ8pを開成することで利用することができる。また、ゆすぎ水タンク11cは、洗浄剤でプレート式熱交換器7を洗浄後、残存する洗浄剤や汚れ等を除去するための清水を貯える容器である。ゆすぎ水タンク11c内の清水は、バルブ8qを開成することで利用することができる。さらに、空気タンク11aは、ゆすぎ水タンク11c内の清水でゆすぎ後、残存する汚れ等を空気圧で吹き飛ばすための空気を貯える容器である。空気タンク11a内の空気は、バルブ8oを開成することで利用することができる。なお、これらのタンクの寸法、容積、材質及び設置場所等に制限はない。また、バルブ8o、8p、8q及び8rの開閉操作は、人員によるマニュアル操作或いはコンピュータによるオート操作のいずれでもよい。ただし、洗浄剤が微小生物処理タンク2bの方に逆流してしまうのを防止するための装置、例えば、系全体を通じて、メンテナンス時や、配管・機器類の交換脱着等において、逆流や不測の漏水を防ぐ予防的手段としての系をブロック毎に仕切るバルブ等の設計段階からの設置を妨げるものではなく、必要性に応じてこれらの設置が出来る。
【0107】
本願に係る発明は、上記のような様々なバルブの追加等を制限・限定するものではなく、種々のバルブ等を追加することで所望の機能を追加的に働かせることを許容するものである。
【0108】
図11は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置におけるプレート式熱交換器7の洗浄剤による洗浄を模式的に示す洗浄剤洗浄図である。同図において、バルブ8k、8m及び8oを開成し、はじめに洗浄剤タンク11b内の洗浄剤を利用するためにバルブ8pを開成することで、ポンプ3bは洗浄剤を吸排し、プレート式熱交換器7内部を洗浄することができる。次に、ゆすぎ水タンク11c内の清水を利用するためにバルブ8qを開成することで、ポンプ3bは清水を吸排し、プレート式熱交換器7内部をゆすぎ、洗浄剤の残りや汚れを除去することができる。さらに、空気タンク11a内の空気を利用するためにバルブ8oを開成することで、ポンプ3bは空気を吸排し、プレート式交換機7内部の洗浄しきれなかった汚れ等を空気圧で吹き飛ばすことができる。なお、ポンプ3bで洗浄剤、清水を循環させることができる。
【0109】
以上、詳細に説明したように、本願発明によれば、主機関からの廃熱エネルギーを利用してバラスト水を加熱すると共に、高温水を貯水するタンク内の高温水を、微小生物処理を行うタンクに注水することで熱処理を補助することができる。これにより、他の海洋にも安全にバラスト水を排水でき、無駄なエネルギー損失もない。また、熱交換器で高温のバラスト水が持つ熱エネルギーを回収し、低温のバラスト水に回収した熱エネルギーを遷移することで、熱処理を補助し、高温のバラスト水の排水を行うことがない。したがって、海洋生物及び人体への悪影響を最大限に抑制することができる。
【0110】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【0111】
また、上述したものは本発明に係る技術思想を具現化するための実施形態の一例を示したにすぎないものであり、他の実施形態でも本発明に係る技術思想を適用することが可能である。
【0112】
さらにまた、本発明を用いて生産される装置、方法、システムが、その2次的生産品に搭載されて商品化された場合であっても、本発明の価値は何ら減ずるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
上述したように、既存のバラストタンクの一部を微小生物処理するためのタンク及び微小生物処理を補助する高温水を貯水するためのタンクとすることで、省スペース化し、構築費用が最小化される。また、高温水を注水して微小生物処理を補助することで、別途バラスト水を加熱する熱エネルギーを抑制し、省エネルギー化が実現する。こうすることで、船舶全体の構築・運用・維持管理費用の高騰を抑えられる。さらに、本願に係るバラスト水処理装置は船舶の既存の設備を利用して構築することができるため、構築期間は長期に及ぶこともない。
【0114】
したがって、本願は、バラスト水を利用する全ての船舶に適用可能である。また、本願の技術思想は船舶にその適用範囲を限定されることなく、微小生物処理や微生物処理、殺菌等が要求されかつ熱源の余剰熱を活用し得る浮体、プラント、発電所、工場など広い産業において利用可能性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理方法或いはバラスト水処理装置を利用しえる船舶の内部構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理方法の概念図を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器7の分解斜視図を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置の全体ライン図を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置のバラスト水の給水を模式的に示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置の高温水タンク、微小生物処理タンクの加熱或いは蓄熱状況を模式的に示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置のバラスト水の微小生物処理を模式的に示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置におけるプレート式熱交換器7の循環洗浄を模式的に示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置における微小生物処理タンク2b内のバラスト水の希釈排水を模式的に示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置における洗浄剤を用いたプレート式熱交換器7の洗浄用ラインを付加した全体ライン図を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置におけるプレート式熱交換器7の洗浄剤による洗浄を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0116】
2a…バラストタンク、2b…微小生物処理タンク、2c…高温水タンク、3…バラストポンプ、4…廃熱回収熱交換器、5…主機関、6…排水シーチェスト、7…プレート式熱交換器
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、船航中に係る船舶の安定を図るために用いられるバラスト水中に含まれる微小生物を適正に処理して排出するための処理方法及び処理装置に係り、特に熱回収の原理を利用して熱処理を行うことを特徴とするバラスト水処理方法及びバラスト水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶は積載貨物などの重量を含めて設計されているため、空荷だと、船の重心が上がり、復原性が低下し、横波や横風に対して不安定になり遭難、衝突及び推進効率の低下等、様々な支障を生じる可能性がある。したがって、これらを防ぐために、船内に設けたバラストタンクに海水等を積んで重し代わりとし、船体を安定させる対策が取られている。こうして、年間約120億トンのバラスト水が世界中を移動していると推定されている。なお、日本には、推定1700万トンのバラスト水が海外から持ち込まれ、逆に3億トンのバラスト水を日本から海外に持ち出している。
【0003】
しかし、積み込み港と排出する港が異なるため、バラスト水に含まれる水生生物が多国間を行き来し、地球規模で生態系が撹乱されるなどの問題が生じている。バラスト水は浮遊性の微小生物を大量に移動させるため、例えば、他国の海洋生物によって自国の養殖物が食われたり、もともと存在しない有毒物質を含んだ魚介類が食されることによって人体に悪影響をもたらしたりする。したがって、今後の気候変動や経済活動の活性化、工業化及び都市化による水質汚濁等により繁殖条件が好転すれば、新たな被害例が生じるおそれがあるため問題となる。
【0004】
上記のことから、バラスト水を排出するには、バラスト水に含まれる微小の水生生物を死滅させる死滅処理が必要である。この点で、特許の分野においては、死滅処理を行うため、例えば、特許文献1、2に示すような対策が提案されてきた。
【0005】
特許文献1に開示される技術思想は、プレート式熱交換装置を用いて、熱により浄化処理された後の高温バラスト水の熱エネルギーを、汲み上げられた低温バラスト水に遷移して温度の上昇に活用し、高温維持装置により高温バラスト水の温度をプランクトン等の死滅時間だけ高温に維持することを提供する熱回収型浄化処理システムである。
【0006】
特許文献2に開示される技術思想は、バラスト水を予熱用熱交換器で予熱温まで加熱し、エンジン等の廃熱の熱流体に係る熱源で該バラスト水を加熱して殺菌させる殺菌タンクを有する流体殺菌装置である。
【0007】
しかし、これらの従来技術では、設置されたバラストタンクのみがバラスト水貯蔵の役割を果たすと考えられるため、他のタンクでバラスト水処理を行わせたい場合には、別途タンクを設置する必要がある。したがって、設置スペースを確保できない場合には、処理自体が不可能となってしまう恐れがある。また、熱交換したバラスト水の温度を高温に維持するために加熱しなければならず、エネルギー消費が発生する。
【特許文献1】特開2008−110276号
【特許文献2】特表2007−533440号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
船舶を安定させて船航させるにはバラスト水の利用が必要であるが、不用意に他の港で排出することは海洋の生態系の秩序を崩すばかりでなく、海洋に糧を得ている人類にも多大なる影響を与える可能性がある。したがって、排出の際はバラスト水の微小生物処理が不可欠である。その一方で、船舶の運行に係るエネルギー消費を抑制するため、廃熱回収の仕組みもエネルギー効率等の良好なものとする必要がある。
【0009】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決しようとするもので、バラスト水の加熱による微小生物処理に当たって、加熱に要するエネルギーが削減でき、処理装置のスペースが合理化できるバラスト水処理方法及びバラスト水処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
さらに詳しくは、高温バラストタンク(あるいは、高温水タンク)がバラストを兼ねられるようなバラスト水処理方法及びバラスト水処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、別の目的は、こうすることで、バラストタンクの設置スペースを確保する必要をなくすことにある。
【0012】
さらに別の目的は、バラスト水の微小生物処理用タンクをバラスト水貯水用タンクとしても利用可能とし、微小生物の死滅処理に必要な温度を保持するように制御することができるバラスト水処理方法及びバラスト水処理装置を提供することにある。
【0013】
また別の目的は、該高温水を貯水するタンクから高温水を供給して、直接温度上昇或いは高温の維持を行うことを可能とし、熱効率もよいバラスト水を熱処理するバラスト水処理方法及びバラスト水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するために、本発明のバラスト水処理方法は、低温バラストタンクから排出される低温バラスト水を、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理手段に供給し、この微小生物処理手段に高温バラストタンクから高温バラスト水を供給して所定温度で微小生物処理を行い、この微小生物処理後のバラスト水から熱回収を行って熱処理前の前記低温バラスト水の昇温に役立てたことを特徴とする。
【0015】
ここで、低温バラストタンクとは、加熱又は熱交換の前のバラスト水(以下、「低温バラスト水」ともいう。)を貯水しておく容器を示す。一方、高温バラストタンクとは、加熱又は熱交換後、或いは、加熱又は熱交換の後に高温が維持されたバラスト水(以下、「高温バラスト水」ともいう。)を貯水する容器を示す。なお、容器の寸法、容積及び材質等に制限はなく、低温バラストタンク或いは高温バラストタンクが通常の用途として利用されるバラストタンクの役割を果たすことが好ましい。
【0016】
また、微小生物とは、ろ過フィルタでもろ過しきれなかったプランクトン、例えば、ケイソウ、小型甲殻類、クラゲ及び魚類の幼生等のその他全ての分類群に属する生物、肉眼でその存在が判別できず、顕微鏡などによって観察できる程度以下の大きさの生物(微少生物)、微生物を含む概念である。なお、生息地等に限定はない。なお、本願において「微小生物」というときには、場合により、微小生物そのもののほかにその死骸をも含む概念として用いることもある。
【0017】
また、微小生物処理手段とは、熱処理によりバラスト水を船舶から排出する前に微小生物を死滅させることを可能とする装置を示す。具体的には、高温バラスト水を注水したり、補助的に微小生物処理手段を加熱したりして熱処理に必要な所定温度を獲得し、微小生物を熱により死滅させる作用を果たすものを示す。なお、微小生物処理手段の温度変化を検出して適量の高温水を供給するための温度制御機能或いはその他の制御機能を有するようにしてもよい。
【0018】
また、所定温度とは、微小生物を死滅させることが可能な程度の水温が好ましい。なお、微小生物の種類によって死滅させることが可能な水温は異なると考えられるため、タンク内に存在する微小生物全てを死滅させることができる水温であることが好ましい。
【0019】
また、熱回収とは、微小生物処理手段により微小生物処理された後の熱エネルギーを、排出前に他の媒体に遷移し、或いは蓄熱することを意味し、具体的には、間接熱交換、直接熱交換、あるいはヒートポンプ等の媒体を介して微小生物処理後のバラスト水から熱を取り出す等の機能を実現するものをいう。
【0020】
上記のように構成されることで、バラスト水を船舶から排出する前に、水中内に存在する微小生物を、熱処理により死滅させることができる。したがって、死滅処理終了後、高温化したバラスト水の熱エネルギーを、排水前に回収することで、熱エネルギーの回生を実現することができる。また、微小生物処理手段としては、低温バラストタンクからの配管と高温バラストタンクからの配管を混合させたり、低温バラスト水を貯水する低温バラストタンクに高温バラストタンク内の高温バラスト水を注水したりすることで、低温バラスト水の水温を微小生物の死滅温度に保持することも可能となる。
【0021】
また、本発明に係るバラスト水処理方法は、該微小生物処理手段による微小生物の熱処理の際に、該所定温度に加え所定時間をかけて微小生物処理をおこなったことを特徴とする。
【0022】
ここで、所定時間とは、所定温度条件下でタンク内に存在する微小生物の全部を死滅させるために必要な時間あるいはこれに安全率を掛けた時間をいい、予め実験に基づいて定めた時間、また微小生物センサーで微小生物の生存しないことが確認されるまでの時間も含む。
【0023】
上記のように構成されることで、微小生物を熱処理する際に、所定温度に所定時間で到達させたり、所定温度を所定時間保持させたりすることによって、微小生物センサーで微小生物の生存しないことが確認されるまでの所定時間をかけて制御をすることができる。
【0024】
また、本発明に係るバラスト水処理装置は、バラスト水を貯えるバラストタンクと、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理タンクと、微小生物処理後のバラスト水と処理前のバラスト水の熱交換を行う熱交換器と、該微小生物処理タンクに高温水を供給する高温水タンクと、この高温水タンクを加熱する加熱源を備え、該バラストタンクから該熱交換器を通過して該微小生物処理タンクにバラスト水を供給し微小生物を所定温度で熱処理した後、再び該熱交換器を通過させて該バラスト水を排水したことを特徴とする。
【0025】
ここで、バラストタンクとは、船舶に係るバラスト水を貯水する容器を示す。なお、容器の寸法、容積、材質或いは設置場所等に制限はない。
【0026】
また、微小生物処理タンクとは、微小生物を死滅させるためにバラスト水を貯水する容器を示す。なお、容器の寸法、容積、材質或いは設置場所等に制限はない。微小生物処理タンクがバラストタンクの役割を兼ねてもよい。また、温度低下を防ぐ断熱材で抱合することが好ましい。
【0027】
また、高温水タンクとは、微小生物処理タンクへ高温水を注水するために貯水しておく容器であり、高温水には、清水及びバラスト水を含む。なお、容器の寸法、容積、材質或いは設置場所等に制限はない。高温水タンクがバラストタンクの役割を兼ねてもよい。また、温度低下を防ぐ断熱材で抱合することが好ましい。
【0028】
また、熱交換器とは、温度の高い物体から低い物体へ効率的に熱を移動させる機器であり、例えば、スパイラル式熱交換器、プレート式熱交換器、二重菅式熱交換器、多重円菅式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、タンクコイル式熱交換器、タンクジャケット式熱交換器、直接接触液式熱交換器、その他の相変化も含めた熱交換器を含むが、これらに限定されない。
【0029】
また、加熱源は、物体の温度を上昇させるための加熱機能を有するものであり、例えば、主位的には、主機(エンジン)の廃熱(廃熱回収熱交換器や排ガスエコノマイザーから得る。)、過給機の廃熱(インタークーラー等から得る。)、或いは発電機の廃熱等を再利用することによって実現されるものをいうが、従位的には、重油燃焼を熱源とするもの、自然エネルギーを利用するもの、ヒートポンプ等によってもよく、これらに限定されない。また、船舶に係るエンジンからの廃熱を回収する廃熱回収熱交換器或いは排ガスエコノマイザーを用いるものであってもよい。
【0030】
上記のように構成されることで、排出時にバラスト水を熱処理で死滅させるための微小生物処理タンクをバラストタンク内の一部に設けるか、もしくは、別途設けることができる。一方、高温水タンクにはバラスト水或いは船舶の運用上必要な清水のいずれかを貯水する。その後、微小生物処理タンク及び高温水タンク内のバラスト水を加熱源により所定温度まで加熱し、微小生物の熱処理の前段階準備を行う。バラスト水排出の際には、バラストタンク内のバラスト水を熱交換器に移送し、微小生物処理タンクに注水する。一方、微小生物処理中の水温低下を抑制するため、高温水タンク内の高温のバラスト水或いは清水は、温度制御及び流量制御により、バルブを介して最適に微小生物処理タンクに注水される。死滅処理終了後、熱処理された高温のバラスト水は再び熱交換器に移送され、熱エネルギー回収しつつ海洋に排出可能な温度まで低下させるが、このときの熱源としては、主要熱源に加えて、不足した場合の補助熱源を具備し、これにより補助加熱するようにしてもよい。
【0031】
また、本発明に係るバラスト水処理装置は、微小生物処理タンクによる微小生物処理の際に、所定温度に加え所定時間をかけて微小生物処理をおこなうべく微小生物処理タンクの容積及び/もしくはバラスト水排水量を設定したことを特徴とする。
【0032】
この場合、微小生物処理タンクの容積及び/もしくはバラスト水排水量の設定態様としては、微小生物処理タンクの容積を最初から固定的に設定する場合と、状況に応じて自由度を持たせて変更設定できる場合の双方を含む。また、バラスト水排水量が多いか少ないかによって、微小生物処理タンク内のバラスト水の滞在時間を調節できる。さらに、微小生物処理タンクの容積及び/もしくはバラスト水排水量に関して、上記所定時間は調節可能な構成としてもよい。
【0033】
上記のように構成されることで、微小生物処理タンクの容積及び/もしくはバラスト水排水量を設定することにより、所定温度に加えて所定時間の調整をタンク容積及び/もしくはバラスト水排水量を適合的に調整及び制御することとなる。
【0034】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における加熱源は、船舶の機関から放出される廃熱としたことを特徴とする。
【0035】
ここで、船舶の機関とは、船舶の主機(エンジン)、過給機、発電機及びコンプレッサーその他駆動によって熱を発する全ての機関を含み、これらに限定されない。
【0036】
上記のように構成されることで、加熱源を別途設ける必要がなく、例えば、エンジンの廃熱の場合、廃熱回収熱交換器により回収し、該微小生物処理タンク或いは高温バラストタンクの加熱に再利用することができる。さらに、微小生物処理のための加熱の熱源に船舶の機関からの廃熱を利用するので、熱消費を抑えることができる。
【0037】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における高温水タンク及び/もしくは微小生物処理タンクは、バラスト水タンクを兼ねたことを特徴とする。
【0038】
上記のように構成されることで、高温水タンク及び微小生物処理タンクがバラスト水タンクの役割を兼ね、省スペース、省資源や低コスト化が実現される。
【0039】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における高温水タンクは、微小生物処理を必要としないときに清水を高温状態で貯えることを可能としたことを特徴とする。
【0040】
ここで、清水とは、陸の上水道から組み上げた水や雨水、また海水を蒸留して得た水であり、バラスト水以外の用途、例えば、船体その他船舶に関するものの洗浄、人体その他人に関することの洗浄、食材の洗浄及び調理、火災等の消化、高温物の冷却、及び外部への噴射その他清水を要する船舶に関すること全ての用途に利用される。
【0041】
上記のように構成されることで、高温水タンクの容量相当分の清水を貯水するタンクを別途設ける必要がなく、清水をバラスト水としても利用することができる。これにより、清水を高温水タンクに貯えることで省スペースが実現され、たとえばタンカーなどの大型船舶では清水で満たし清水高温水を人用など多くの用途に使用し、入港が近づいて使い終わったら海水を入れて加熱し、微小生物処理に備えるといった利用法を用いることができる。
【0042】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における熱交換器は、メンテナンスの際に、高温水による逆洗浄を行ったことを特徴とする。
【0043】
ここで、逆洗浄の高温水は、高温水タンクの高温水に限定されることはなく、微小生物処理タンクの湯も含まれる。
【0044】
上記のように構成されることで、熱交換器の付着物、粘着物やバイオフィルム等の堆積による熱交換効率低下を回復させることができる。また、微小生物処理タンク或いは高温水タンクに係る高温水を逆方向に流水することで、熱回収を行うためにバラスト水を移送した際、熱交換器に残存したバラスト水による微小生物が残存する可能性を最小化することができる。
【0045】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における熱交換器は、メンテナンスの際に、洗浄剤による洗浄を行ったことを特徴とする。
【0046】
ここで、洗浄剤とは、洗浄力を増強させるものであり、例えば、中性或いはアルカリ性の水系洗浄剤、準水系洗浄剤、炭化水素系洗浄剤、アルコール系洗浄剤、シリコーン系洗浄剤、その他フッ素系洗浄剤及び塩素系洗浄剤(塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン)その他全ての洗浄剤或いは化学反応物質を含み、これらに限定されない。
【0047】
上記のように構成されることで、熱交換器の付着物、粘着物やバイオフィルム等の堆積による熱交換効率低下を回復させることができる。また、逆洗浄の際、洗浄剤で洗浄するので、微小生物が残存する可能性を更に極小化することができ、上記の微小生物処理の効率、性能が一層向上する。
【0048】
また、本発明に係るバラスト水処理装置において、微小生物処理タンクは温度検出手段を備え、微小生物処理タンクの温度として所定の温度が得られるように高温水タンクから供給される高温水量及び/もしくはバラスト水の排水量を調節したことを特徴とする。
【0049】
ここで、温度検出手段とは、微小生物処理タンク内のバラスト水の温度を検知・把握・検出するものであり、温度感知センサーの他、制御プログラムを搭載したICチップ、電子基板、制御基盤、コントローラ及び制御モジュールのうち少なくとも一つの媒体で制御システムを構成し、検出した温度の値を基に、最適な温度制御及び流量制御を実現させるものを採用することもできる。なお、温度検出手段は、熱電対、温度抵抗体、サーミスタ、放射温度計その他全ての温度検出器を含み、また取り付け場所も微小生物処理タンクの液中や空間を介した液上、また微小生物処理タンクの外表面等これらに限定されない。
【0050】
上記のように構成されることで、高温水タンクから供給される高温水及び/もしくはバラスト水の排水量の調整・制御を通じて微小生物処理タンクの温度が所定温度を保持するので、微小生物処理の熱処理に要する温度を適切かつ確実に管理・保持することができる。
【0051】
また、本発明に係るバラスト水処理装置は、バラスト水を貯えるバラストタンクと、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理手段と、該微小生物処理手段に高温水を供給する高温水タンクと、この高温水タンクを加熱する加熱源と、少なくとも該バラスト水の排出と、該加熱源による該高温水タンクの加熱を制御する制御手段を備え、この制御手段により該バラスト水の排出がされていないときに該加熱源による該高温水タンクの加熱を行ったことを特徴とする。
【0052】
ここで、微小生物処理手段とは、微小生物処理を行う機能を持つものをいい、タンクによるもの、タンクによらないものを含む。
【0053】
また、ここで、制御手段とは、バラスト水の排出がされていないときに加熱源による高温水タンクの加熱を行う制御を行う機能を有するものであり、たとえば、バラスト水排出の有無を物理的に検知し、排出がされていないときに高温水タンクの加熱のスイッチが入るような制御をプログラム、計算機、ICチップ、電子基板、コントローラ、回路構造によって実現するものであってもよい。また、代替的に、微小生物処理手段にかかる温度検出手段により検出されたバラスト水の温度の値を基に、微小生物処理手段からバラスト水の排出或いは高温バラスト水の温度を調整・制御するものをプログラム、計算機、ICチップ、電子基板、コントローラ、回路構造によって実現するものであってもよい。また、制御手段に係る制御方式は、例えば、シーケンス制御、フィードバック制御、フィードフォワード制御、PID制御、H∞制御(H−infinity Control)及びニューラルネットワークその他全ての制御理論によるもの或いは制御方式を含み、これらに限定されない。
【0054】
また、ここで、熱交換器での熱回収なしでバラストタンクと混ぜ合わせた場合に所定の処理温度が得られるだけの容量を確保した高温水タンクを備えて蓄熱し、直接混ぜ合わせて処理温度(たとえば70℃)を得るものであってもよく、或いは熱交換器での熱回収を加えて所定の処理温度が得られるだけの容量を確保した高温水タンクを備えて蓄熱し、直接混ぜ合わせて所望温度を得るものであってもよい。
【0055】
上記のように構成されることで、加熱源によって加熱された高温バラスト水が直接供給されることにより所望の温度で微生物を含む微小生物が熱処理されるにあたり、制御手段が加熱を制御することにより、所望の温度に効率良く至ることができ、微小生物の死滅処理を確実化することができる。
【0056】
これら所定の処理温度を得ることもあるが、バラスト水の排出がされていないとき、すなわち航行時を含めて船舶の機関が動いているときに、加熱源による高温水タンクの加熱を行い、廃熱利用を実現し、加熱能力を確保し、排出時に機関が動いていないことの問題が解消される。
【0057】
また、本発明に係るバラスト水処理装置は、制御手段により加熱源が停止しているときに、バラスト水を排出したことを特徴とする。
【0058】
ここで、制御手段には、検出機構を持たせても良く、たとえば、制御手段によって、加熱源の運転・停止状況を検出し、これに応じてバラスト水の排出・停止を行う(加熱源の停止を検出するとバラスト水の排出を行い、及び/もしくは、加熱源の運転を検出するとバラスト水の排出を停止する)ものであってもよい。
【0059】
上記のように構成されることで、微小生物処理されたバラスト水を加熱源の停止時に排出するので、機関のポンプを共用することが可能となる。
【0060】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における制御手段は、微小生物処理手段の所定の処理温度が得られるように少なくとも高温水の供給量を制御する機能を更に備えたことを特徴とする。
【0061】
ここで、制御手段は、高温水の供給量を制御することにより微小生物処理手段に供給されるバラスト水との混合温度を制御したり、直接微小生物処理手段の温度を制御することが可能となる。また、高温水供給量の制御により、微小生物が死滅処理された後のバラスト水排出量を間接的に制御することができる。なお、高温水の供給量を制御する機能以外にも、たとえば、バラスト水排出量の制御、補助加熱の制御等の各機能を備えていてもよい。
【0062】
上記のように構成されることで、所望の温度を獲得するための制御手段に係る高温水の供給量制御機能により、高温水の供給量やバラスト水の排出量を最適化する。
【0063】
また、本発明に係るバラスト水処理装置における制御手段は、微小生物処理手段を通るバラスト水の排出量が所定の範囲となるように少なくとも該バラスト水の排出量を制御する機能を更に備えたことを特徴とする。
【0064】
この場合、バラスト水排出量の制御機能は、バラスト水処理時間制御、タンク式微小生物処理の水位の制御、処理温度の制御の各制御をも機能として備えていても良い。
【0065】
上記のように構成されることで、制御手段に係るバラスト水排出量制御機能により、一気に排出したり、或いは逆に一定の残存温度を持つバラスト水を滞留させたりといった制御が適合的に行える。さらに、バラスト水を決められた定刻までに処理することが計画できる。
【発明の効果】
【0066】
本願発明によれば、高温バラストタンク内のバラスト水は加熱源により加熱し、微小生物の熱処理を行うことができる。船航中は船舶のバランスを安定させるための通常のバラストタンクとしての役割を兼ねることができるため、通常のバラストタンク内に貯水するバラスト水の水量を、高温水バラストタンク内に貯水するバラスト水と調整することができる。また、通常のバラストタンクの寸法や容積等の縮小化或いは設置面積の省スペース化も実現することができる。
【0067】
また、加熱源により加熱された高温バラストタンク内の高温バラスト水を微小生物処理タンクに注水することにより、微小生物処理タンク内のバラスト水中に存在する微小生物の熱処理を行うことができる。特に、微小生物処理手段に高温バラストタンクから高温バラスト水を供給することにより、特別な部品を必要とせずに効率の高い熱供給が可能となる。また、所定温度を維持するために高温水を都度適量注水することで、一定時間後には熱処理を完了させることができる。これにより、高温水に係る熱エネルギーの再利用が可能となり、エネルギー回生効果を利用することで、加熱源によって加熱し続ける必要がなくなる。したがって、エネルギー消費量も減少し、省エネルギー効果を得ることができる。
【0068】
また、本願発明によれば、微小生物の熱処理のために所定時間費やすことで、より確実にバラスト水の微小生物死滅処理を行うことができる。また、所定時間を短くする場合は高温バラスト水の流量或いは注水量を増加させたり微小生物処理タンク内のバラスト水の排水量を増加させたり、又は、所定時間を長くする場合は高温バラスト水の流量或いは注水量を減少させたり微小生物処理タンク内のバラスト水の排水量を減少させたりすることができる。また、微小生物処理タンクの容積を変化させる事によっても実現できる。これにより、簡単な方法により、微小生物処理の上で重要なファクターとなる処理時間が自由に変更可能となり、状況に対応して確実に微小生物の死滅処理が図れる。
【0069】
また、本願発明によれば、高温水タンクや微小生物処理タンクがバラストタンクを兼ねることが可能な構成となり、高温バラストタンクから高温バラスト水を供給することにより、特別な部品を必要とせずに効率の高い熱供給が可能となる。また、熱処理するためにバラストタンク内に貯水されるバラスト水を微小生物処理タンクに移送する際、熱交換器を介することで、熱交換器が回収した熱エネルギーをバラスト水の昇温に利用することができる。これにより、熱処理に係る所望の温度に近づけることができ、バラスト水を加熱するための熱エネルギーを節約することができる。すなわち、加熱源でバラスト水を加熱する熱エネルギーを削減することができる。
【0070】
さらに、設計上、最初から微小生物処理タンクの寸法或いは容積を固定的に限定するだけでなく、微小生物処理タンクの容積を任意に設定することで、容積によって熱処理に係る時間や温度調整を柔軟に行うことができる。また、微小生物処理タンクの容積と所定時間に応じて、バラスト水の排水量をも設定することができ、必要に応じて排水の時間的間隔や排水量を調整することができる。これにより、簡単な方法により、微小生物処理の上で重要なファクターとなる処理時間が自由に変更可能となり、状況に対応して確実に微小生物の死滅処理が図れる。
【0071】
また、本願発明によれば、船舶の機関から放出される廃熱の熱エネルギーを回生することができ、バラスト水を熱処理するのに必要な温度に加熱するためのエネルギーを軽減することができる。具体的には、船舶の機関がエンジンの場合、エンジンからの廃熱を廃熱回収熱交換器で回収し、回収した廃熱を利用して高温バラストタンクを昇温させることができるため、廃熱の利用用途を拡大し、無駄なくエネルギー回生を実現することができる。
【0072】
また、本願発明によれば、高温水タンク及び/もしくは微小生物処理タンクは、バラスト水タンクを兼ねることにより、バラスト水タンクの小型化や省スペース化が実現し、タンク間のバラスト水の移送時間が短縮し、バラスト水を排出するまでの処理時間を短縮させることができる。特に、高温水タンク及び/もしくは微小生物処理タンクは、常に温度が高く保たれるため、内部の微小生物が死滅しているので、バラストタンクと熱処理装置を別に設ける場合と比べ、バラスト水排水時の処理時間が短縮できる。
【0073】
また、本願発明によれば、高温水タンクは、微小生物処理を必要としないときに清水を高温状態で貯えることにより、高温水タンクの容量に相当する清水を貯水するためのタンクを設ける必要がなく、船舶内の省スペース化が実現し得る。また、仮に清水を船航中に全て使用することがない場合でも、高温水であるため微小生物処理タンクへの注水による熱処理として利用することもできるため、清水の貯水の際には無駄が発生しないようにするための調整が不要となる。
【0074】
また、本願発明によれば、メンテナンスの際に、通常の流れ方向とは逆方向から水を流して洗浄を行う逆洗浄を可能とすることで、洗浄効果を増幅させることができる。より詳細には、バラスト水を流すことで熱交換器に付着物や粘着物やバイオフィルム等が蓄積するが、該付着物や粘着物は、流れ方向とは逆向きに最大静止摩擦力が働いているため、逆方向から水を流して洗浄することで、同じ流量でも除去できる付着物等の量は多く、洗浄効果を増大させることができる。
【0075】
また、本願発明によれば、洗浄剤の効果により、熱交換器の付着物、粘着物やバイオフィルム等の堆積による熱交換効率低下を回復させることができる。また、逆洗浄の際、洗浄熱交換器に付着する付着物等を極力除去することができ、熱交換器に係る熱交換率を、何も付着していない状態と同程度に維持することができる。これにより、熱交換率の減少を防ぎ、低温バラスト水への熱エネルギーの遷移或いは高温バラスト水からの熱エネルギーの回収を効率よく行うことができ、船舶全体としてのエネルギー効率を好適に維持することができる。
【0076】
また、本願発明によれば、温度検出手段により検出された微小生物処理タンク内のバラスト水の温度によって、高温水タンクから供給する高温のバラスト水の流量及び注水量或いは微小生物処理タンクから排出するバラスト水の排水量を最適に算出することができる。これにより、簡単な方法で無駄に高温水を注水したり未処理のバラスト水を排出したりすることがなくなり、効率の良い熱処理を実現することができる。
【0077】
また、本願発明によれば、バラスト水が排出されていないとき、すなわち航行時を含めて船舶の機関が動いているときに、加熱源による高温水タンクの加熱を行い、廃熱利用を実現し、加熱能力を確保し、微小生物処理の際に機関が動いていないことの問題が解消される。また、高温水タンクの加熱を制御することにより、常に適温の高温水を貯えることができ、微小生物処理タンクへの供給に当たっても温度が高すぎたり、低すぎたりする問題を未然に防ぐことができる。
【0078】
また、本願発明によれば、船舶の機関が停止して加熱源が停止したときにバラスト水の処理を行うため、乗組員はバラスト水処理作業に集中することができ、心理的にも負担が軽減し、安全に作業を推進することができる。また、船舶の機関が停止しているため、バラスト水を広域にまき散らすことなく、環境の浄化にも役立つ。
【0079】
また、本願発明によれば、微小生物処理手段の所定の処理温度が得られるように、高温水の供給量を制御することにより、微小生物処理手段に供給される高温水とバラスト水との混合温度を制御したり、直接、微小生物処理手段の温度を制御することが可能となる。また、高温水供給量の制御により、微小生物が死滅処理された後のバラスト水排出量を間接的に制御することができる。
【0080】
また、本願発明によれば、定刻や期限内にバラスト水処理を終えねばならない場合や、一定範囲の排出に抑えたい場合などに排出量を最適化でき、排出量管理、ひいては周囲環境の汚染防止を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0081】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0082】
図1は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理方法或いはバラスト水処理装置を利用し得る船舶1の内部構成を示す図である。同図に示すとおり、船舶1はその内部にバラストタンク2を搭載している。バラストタンク2は海水を貯水し、船舶のバランスを取ることを目的としているため、船舶の両端に設置されている。なお、海水はポンプ等で取水する(図示しない)。
【0083】
図2は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理方法の概念図を示す図である。同図に示すとおり、本願に係るバラスト水処理装置は、船舶1で利用した場合、バラストタンク2a、微小生物処理タンク2b(以下、「死滅処理タンク」ともいう。)及び高温水タンク2c(以下、「蓄熱タンク」ともいう。)、バラストポンプ3、廃熱回収熱交換器4、主機関5、排水シーチェスト6、プレート式熱交換器7の構成を少なくとも備える。
【0084】
バラストタンク2aは、船舶に係るバラスト水を貯水する容器を示す。一方、微小生物処理手段の一実現態様である微小生物処理タンク2bは、熱処理でバラスト水中の微小生物を死滅させるための容器であり、温度低下を防ぐ断熱材で抱合することが好ましい。また、高温水タンク2cは、微小生物処理タンク2bでの熱処理を保持するための高温水(海水或いは清水)を貯水するための容器であり、温度低下を防ぐ断熱材で抱合することが好ましい。さらに、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2cがバラストタンク2aの役割を兼ねる構成でもよい。より詳細には、バラストタンク2a内の一部を微小生物処理タンク2b或いは高温水タンク2cにすることで、それらがバラストタンク2aの一部として機能し、外部に別途設ける必要がないため、省スペース化が実現する。なお、各タンクの寸法、容積、材質及び設置場所等に制限はない。
【0085】
バラストポンプ3は、バラストタンク2a、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2cのうち少なくとも一つのバラスト水を吸引及び排出することができる。この場合、バラストポンプ3の駆動は、人員によるマニュアル操作或いはコンピュータによるオート操作のいずれでもよい。人員によるマニュアル操作の場合は、微小生物処理タンク2b内の液位等を配慮して駆動・停止を行う必要がある。一方、コンピュータによるオート操作の場合は、微小生物処理タンク2b内の液位或いはバラスト水の吸引量等の値をもとに、駆動・停止のタイミング制御を自動的に行うロジック等を有することが好ましい。
【0086】
廃熱回収熱交換器4は、船舶の主機関5(例えば、エンジンを含む船舶の機関)からの廃熱を回収することができる。さらに、廃熱回収熱交換器4で、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2c内のバラスト水を所望の温度に加熱・昇温することができる。
【0087】
シーチェスト6は、海水の吸入口或いは排出口であり、設ける数、船舶に係る位置及び構造について限定はない。
【0088】
プレート式熱交換器7は、温度の高いバラスト水から熱エネルギーを回収し、温度の低いバラスト水に熱エネルギーを遷移させることができる機能を有する装置・機器である。具体例としては図3の本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器7の分解斜視図で表されるものを採用することができる。同図において、幅の狭いプレート間流路を形成するように複数のプレート(伝熱面)を密に並べて一体化し、全プレートに低温経路及び高温経路を貫通させ、これらプレートに挟まれて並ぶプレート間流路に対して低温経路又は高温経路から交互に低温バラスト水と高温バラスト水とを対向流として送り込むように構成される。低温経路及び高温経路は一つおきのプレート間流路に連通して孔を設けており、低温バラスト水及び高温バラスト水はこの孔からそれぞれのプレート間流路に流れ込む。そして、各プレート間流路を画すプレートを介し、低温バラスト水及び高温バラスト水の間で熱交換させる。なお、プレート式熱交換器に関する先行技術文献として、特開2008−110276がある。
【0089】
ここで、バラスト水処理方法の概念について説明する。同図において、廃熱回収熱交換器4で、微小生物処理タンク2bに貯水されるバラスト水は、熱処理に必要な(たとえば)約70℃まで、高温水タンク2cに貯水されるバラスト水或いは清水は、約90℃まで加熱される。一方、バラストタンク2a内に貯水されるバラスト水は低温であるため、バラストポンプ3により吸引し、プレート式熱交換器7に移送され、回収した熱エネルギーを低温のバラスト水に遷移する。これにより、プレート式熱交換器7の入口側で約15℃程度のバラスト水が、出口側で約69℃程度の高温のバラスト水となる。したがって、微小生物処理タンク2bには69℃のバラスト水が供給され、バラストタンク2a内でバラスト水が熱処理される。このとき、高温水タンク2cの高温のバラスト水を微小生物処理タンク2bに注水することにより、微小生物処理タンク2b内の水温を約70℃に保持することができる。また、所定時間経過し、熱処理が終了した高温のバラスト水は、微小生物処理タンク2bからプレート式熱交換器7に移送され、熱エネルギーが回収される。したがって、約18.5℃となったバラスト水が、排水シーチェスト6を介して排出される。このような方法により、微小生物を処理し、かつ、熱エネルギーの回生効果を利用できるバラスト水処理を実現させることができる。高温水タンク2cに貯水されるバラスト水或いは清水は、微小生物処理に必要な70℃以上の高温として90℃が蓄熱され、かつプレート式熱交換器7で熱回収され、微小生物処理タンク2bには69℃の温度で供給されるため、高温水タンク2cの容量は小さいもので済む。
【0090】
図4は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置の全体ラインを示す全体配管系統図である。同図において、バラスト水処理装置は、バラストタンク2a、微小生物処理タンク2b、高温水タンク2c、バラストポンプ3a、3b、3c及び3d、廃熱回収熱交換器4、取水シーチェスト6a、排出シーチェスト6b、プレート式熱交換器7、バルブ8a、8b、8c、8d、8e、8f、8g、8h、8i、8j、8k、8l、8m及び8n、温度検出器9a、9b、9c及び9d、空気抜き菅10を備えて構成される。ここで、バラストタンク2aは複数のタンク及び複数の系統(Qi01〜Qi0n、Vi01〜 Vi0n)を備えていても良く、その意味でバラストタンク2aはタンク及び系統について総称的に表示したものである。
【0091】
同図に示すとおり、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2cは、バラストタンク2a内部に設置される。高温水タンク2cは、バラストタンクとしての役割を果たすことができる。また、微小生物処理タンク2bも、バラストタンクとしての役割を果たすことができる。
【0092】
また、バラストポンプ3aは、取水シーチェスト6aを介してバラストタンク2aにバラスト水を供給したり、バラストタンク2a内のバラスト水を移送させたりすることができる。また、バラストポンプ3b及び3cは、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2c内のバラスト水を移送させることができる。さらに、バラストポンプ3dは、加熱するために廃熱回収熱交換器4にバラスト水を移送させることができる。この場合、バラストポンプ3a、3b、3c及び3dの駆動は、人員によるマニュアル操作或いはコンピュータによるオート操作のいずれでもよい。人員によるマニュアル操作の場合は、各タンク内の液位等を配慮して駆動・停止を行う必要がある。一方、コンピュータによるオート操作の場合は、微小生物処理タンク2b内の液位或いはバラスト水の吸引量等の値を基に、駆動・停止を自動的に行うロジック等を有することが好ましい。
【0093】
取水シーチェスト6aは、海水をバラストタンク2aに貯水するために船舶1の船体に設けられた開口部であり、排水シーチェスト6bは、バラスト水を排水するために船舶1の船体に設けられた開口部である。
【0094】
プレート式熱交換器7は、微小生物処理タンク2b内の熱処理済みのバラスト水を排出する際に熱エネルギーを回収し、バラストタンク2a内の低温のバラスト水に該熱エネルギーを遷移させることができる。
【0095】
バルブ8a、8b、8c、8d、8e、8f、8g、8h、8i、8j、8k、8l、8m及び8nはバラスト水の温度或いは排水量の値を基に、弁を開閉する機能を有するものである。それぞれ弁に接続された制御機構によって弁が開閉されることで、バラスト水の取り込み、蓄熱、バラスト水処理、逆洗浄、洗浄剤洗浄等の各モードごとに、それぞれに対応する(予め定められた)シーケンスに応じた経路切り換え動作が制御される。さらに、弁の開度を調節することにより、水温や流量を調節するように制御がされる。
【0096】
温度検知器9aは高温バラストタンク2a中の高温水タンク2c内のバラスト水の温度を検知し、温度検知器9cは微小生物処理タンク2b内のバラスト水の温度を検知し、温度検知器9bはプレート式熱交換器7を経たバラスト水と高温水タンク2cからの高温水のミキシング温度を検出し、温度検知器9dは排水直前のバラスト水の温度を検知することができる。さらに、これらの温度検知器9a乃至9dは、弁の開閉動作による、バラスト水の取り込み、蓄熱、バラスト水処理、逆洗浄、洗浄剤洗浄等の各シーケンス、及び弁の開度調節動作による水温や流量の調節に係るシーケンスの制御プログラムを搭載したICチップ、電子基板、制御基盤、コントローラ及び制御モジュールのうち少なくとも一つの媒体をもって制御システムを構成するものであり、検出した温度の値を基に、最適な温度制御及び流量制御を実現させることが好ましい。
【0097】
空気抜き菅10は、微小生物処理タンク2b内の空気を抜くことができる。また、バラスト水の液位を自動監視する機能も有する。さらに、空気抜き菅10は、管の(たとえば弁、開閉機構等による)開閉、流量調節等の各制御プログラムを搭載したICチップ、電子基板、制御基盤、コントローラ及び制御モジュールのうち少なくとも一つの媒体とで制御システムを構成し、検出した液位の値を基に、最適な温度制御及び流量制御を実現させることが好ましい。
【0098】
なお、バラスト水の流路は、金属管、樹脂管、フレキ管等の配管及び配管を繋ぎ合わせる継手(以下、「カップリング」、「ジョイント」及び/もしくは「コネクター」ともいう。)で構成される。
【0099】
次に、図5及至図11を用いて、バラスト水処理装置の動作及び使用方法を説明する。
【0100】
図5は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置のバラスト水の給水を模式的に示す図である。同図に示すとおり、バルブ8aを開成し、取水シーチェスト6aを介してバラスト水をポンプ3aで吸引する。また、バルブ8b及び8nを開成し、バラストタンク2内にバラスト水を供給する。一方、バルブ8c及び8dも開成されることでバラスト水は、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2c内に供給される。こうすることで、微小生物処理タンク2b及び高温水タンク2cもバラストタンク2aの役割を兼ねることができる。
【0101】
図6は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置のバラスト水の蓄熱状況を模式的に示す図である。同図に示すとおり、微小生物処理タンク2b内のバラスト水は、開成されたバルブ8gを介してポンプ3dで吸引される。また、高温水タンク2c内のバラスト水は、開成されたバルブ8fを介してポンプ3dで吸引される。吸引されたバラスト水は、廃熱回収熱交換器4に係る廃熱エネルギーの提供を受け、微小生物処理タンク2bには約70℃、高温水タンク2cには約90℃のバラスト水が供給される。こうすることで、船舶の主機関に係るエンジンからの廃熱を再利用することができる。なお、空気抜き管10は、随時微小生物処理タンク2b内の空気を抜き、液面を自動監視する環境を整えることができる。
【0102】
図7は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置のバラスト水の微小生物処理を模式的に示す図である。同図に示すとおり、バルブ8n及び8hを開成し、ポンプ3aでバラストタンク2a内のバラスト水を吸引することができる。また、バルブ8jを開成し、プレート式熱交換器7にこのバラスト水を移送する。このとき、プレート式熱交換器7で処理済みバラスト水から回収された熱エネルギーが当該バラスト水に遷移する結果、約69℃のバラスト水が微小生物処理タンク2b内に供給される。これにより、熱処理に必要な水温約70℃を有するバラスト水は所定時間をかけて死滅処理される。このとき、約70℃の水温を保持するために温度制御を行い、バルブ8eを開成し、高温水タンク2c内の約90℃のバラスト水をポンプ3cで吸引し、流量制御を行って微小生物処理タンク2bに注水する。死滅処理終了後、バラスト水をポンプ3bで吸引してプレート式熱交換器7に移送し、熱エネルギーが回収されて約18.5℃となったバラスト水が、開成されたバルブ8lを経由して排出シーチェスト6bを介して海洋に排水される。また、(図示しない)温度検知器9dによって排水直前のバラスト水の温度を検知し、所定の温度以下になったものを海洋に排水するようにして、不測の高温水が放流されることにより環境に害を与えることを防止するようにしてもよい。
【0103】
図8は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置におけるプレート式熱交換器7の循環洗浄を模式的に示す熱交換高温高速循環洗浄図である。同図に示すとおり、バルブ8i、8j、8k及び8mを開成し、ポンプ3aで微小生物処理タンク2b内のバラスト水を吸引し、プレート式熱交換器7に移送する。この場合、プレート式熱交換器7を経由するバラスト水の流路は一方向であり、図7記載の熱処理後のバラスト水排出時の流路とは逆向きであるため、洗浄力はその分強力となる。なお、この時点では高温水タンク2c内のバラスト水が貯水されていない状態となる。
【0104】
図9は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置における微小生物処理タンク2b内のバラスト水の希釈排水を模式的に示す死滅処理タンク水希釈排水図である。同図に示すとおり、ポンプ3bで微小生物処理タンク2b内のバラスト水を吸引し、バルブ8mを開成してバラスト水をプレート式熱交換器7を経由させた後にバルブ8mを閉成する。バルブ8lを開成して排出シーチェスト6bを介して海洋に排出されるにあたって、熱処理後の高温バラスト水を希釈化させるため、バルブ8aを開成してポンプ3aで海水を吸引し、バルブ8jを開成して排水直前のバラスト水をこれと融合させるとバルブ8jを閉成する。融合させることで希釈化されて水温が低下したバラスト水をバルブ8kを開成して海洋に排出することで、不測の高温水が放流されることにより環境に害を与えることを防止することができる。
【0105】
図10は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置における洗浄剤を用いたプレート式熱交換器7の洗浄用ラインを付加した全体ラインを示す洗浄剤洗浄ライン付加図である。同図に示すとおり、図4記載の全体ラインに、空気タンク11a、洗滌剤タンク11b及びゆすぎタンク11cを付加したものであり、バルブ8o、8p、8q及び8rを別途設けてポンプ3bの吸排によりプレート式熱交換器7を洗浄するものである。
【0106】
ここで、洗浄剤タンク11bは、洗浄剤を貯える容器である。洗浄剤の種類は、例えば、中性或いはアルカリ性の水系洗浄剤、準水系洗浄剤、炭化水素系洗浄剤、アルコール系洗浄剤、シリコーン系洗浄剤、その他フッ素系洗浄剤及び塩素系洗浄剤(塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン)その他全ての洗浄剤或いは化学反応物質を含み、これらに限定されない。洗浄剤タンク11b内の洗浄剤は、バルブ8pを開成することで利用することができる。また、ゆすぎ水タンク11cは、洗浄剤でプレート式熱交換器7を洗浄後、残存する洗浄剤や汚れ等を除去するための清水を貯える容器である。ゆすぎ水タンク11c内の清水は、バルブ8qを開成することで利用することができる。さらに、空気タンク11aは、ゆすぎ水タンク11c内の清水でゆすぎ後、残存する汚れ等を空気圧で吹き飛ばすための空気を貯える容器である。空気タンク11a内の空気は、バルブ8oを開成することで利用することができる。なお、これらのタンクの寸法、容積、材質及び設置場所等に制限はない。また、バルブ8o、8p、8q及び8rの開閉操作は、人員によるマニュアル操作或いはコンピュータによるオート操作のいずれでもよい。ただし、洗浄剤が微小生物処理タンク2bの方に逆流してしまうのを防止するための装置、例えば、系全体を通じて、メンテナンス時や、配管・機器類の交換脱着等において、逆流や不測の漏水を防ぐ予防的手段としての系をブロック毎に仕切るバルブ等の設計段階からの設置を妨げるものではなく、必要性に応じてこれらの設置が出来る。
【0107】
本願に係る発明は、上記のような様々なバルブの追加等を制限・限定するものではなく、種々のバルブ等を追加することで所望の機能を追加的に働かせることを許容するものである。
【0108】
図11は、本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置におけるプレート式熱交換器7の洗浄剤による洗浄を模式的に示す洗浄剤洗浄図である。同図において、バルブ8k、8m及び8oを開成し、はじめに洗浄剤タンク11b内の洗浄剤を利用するためにバルブ8pを開成することで、ポンプ3bは洗浄剤を吸排し、プレート式熱交換器7内部を洗浄することができる。次に、ゆすぎ水タンク11c内の清水を利用するためにバルブ8qを開成することで、ポンプ3bは清水を吸排し、プレート式熱交換器7内部をゆすぎ、洗浄剤の残りや汚れを除去することができる。さらに、空気タンク11a内の空気を利用するためにバルブ8oを開成することで、ポンプ3bは空気を吸排し、プレート式交換機7内部の洗浄しきれなかった汚れ等を空気圧で吹き飛ばすことができる。なお、ポンプ3bで洗浄剤、清水を循環させることができる。
【0109】
以上、詳細に説明したように、本願発明によれば、主機関からの廃熱エネルギーを利用してバラスト水を加熱すると共に、高温水を貯水するタンク内の高温水を、微小生物処理を行うタンクに注水することで熱処理を補助することができる。これにより、他の海洋にも安全にバラスト水を排水でき、無駄なエネルギー損失もない。また、熱交換器で高温のバラスト水が持つ熱エネルギーを回収し、低温のバラスト水に回収した熱エネルギーを遷移することで、熱処理を補助し、高温のバラスト水の排水を行うことがない。したがって、海洋生物及び人体への悪影響を最大限に抑制することができる。
【0110】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【0111】
また、上述したものは本発明に係る技術思想を具現化するための実施形態の一例を示したにすぎないものであり、他の実施形態でも本発明に係る技術思想を適用することが可能である。
【0112】
さらにまた、本発明を用いて生産される装置、方法、システムが、その2次的生産品に搭載されて商品化された場合であっても、本発明の価値は何ら減ずるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
上述したように、既存のバラストタンクの一部を微小生物処理するためのタンク及び微小生物処理を補助する高温水を貯水するためのタンクとすることで、省スペース化し、構築費用が最小化される。また、高温水を注水して微小生物処理を補助することで、別途バラスト水を加熱する熱エネルギーを抑制し、省エネルギー化が実現する。こうすることで、船舶全体の構築・運用・維持管理費用の高騰を抑えられる。さらに、本願に係るバラスト水処理装置は船舶の既存の設備を利用して構築することができるため、構築期間は長期に及ぶこともない。
【0114】
したがって、本願は、バラスト水を利用する全ての船舶に適用可能である。また、本願の技術思想は船舶にその適用範囲を限定されることなく、微小生物処理や微生物処理、殺菌等が要求されかつ熱源の余剰熱を活用し得る浮体、プラント、発電所、工場など広い産業において利用可能性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理方法或いはバラスト水処理装置を利用しえる船舶の内部構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理方法の概念図を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器7の分解斜視図を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置の全体ライン図を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置のバラスト水の給水を模式的に示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置の高温水タンク、微小生物処理タンクの加熱或いは蓄熱状況を模式的に示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置のバラスト水の微小生物処理を模式的に示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置におけるプレート式熱交換器7の循環洗浄を模式的に示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置における微小生物処理タンク2b内のバラスト水の希釈排水を模式的に示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置における洗浄剤を用いたプレート式熱交換器7の洗浄用ラインを付加した全体ライン図を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るバラスト水処理装置におけるプレート式熱交換器7の洗浄剤による洗浄を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0116】
2a…バラストタンク、2b…微小生物処理タンク、2c…高温水タンク、3…バラストポンプ、4…廃熱回収熱交換器、5…主機関、6…排水シーチェスト、7…プレート式熱交換器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温バラストタンクから排出される低温バラスト水を、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理手段に供給し、この微小生物処理手段に高温バラストタンクから高温バラスト水を供給して所定温度で微小生物処理を行い、この微小生物処理後のバラスト水から熱回収を行って熱処理前の前記低温バラスト水の昇温に役立てたことを特徴とするバラスト水処理方法。
【請求項2】
前記微小生物処理手段による微小生物の熱処理の際に、前記所定温度に加え所定時間をかけて微小生物処理をおこなったことを特徴とする請求項1記載のバラスト水処理方法。
【請求項3】
バラスト水を貯えるバラストタンクと、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理タンクと、微小生物処理後のバラスト水と処理前のバラスト水の熱交換を行う熱交換器と、前記微小生物処理タンクに高温水を供給する高温水タンクと、この高温水タンクを加熱する加熱源を備え、前記バラストタンクから前記熱交換器を通過して前記微小生物処理タンクにバラスト水を供給し微小生物を所定温度で熱処理した後、再び前記熱交換器を通過させて前記バラスト水を排水したことを特徴とするバラスト水処理装置。
【請求項4】
前記微小生物処理タンクによる微小生物処理の際に、前記所定温度に加え所定時間をかけて微小生物処理をおこなうべく前記微小生物処理タンクの容積及び/もしくはバラスト水排水量を設定したことを特徴とする請求項3記載のバラスト水処理装置。
【請求項5】
前記加熱源は、船舶の機関から放出される廃熱としたことを特徴とする請求項3記載のバラスト水処理装置。
【請求項6】
前記高温水タンク及び/もしくは微小生物処理タンクは、バラスト水タンクを兼ねたことを特徴とする請求項3乃至請求項5記載のバラスト水処理装置。
【請求項7】
前記高温水タンクは、微小生物処理を必要としないときに清水を高温状態で貯えることを可能としたことを特徴とする請求項3記載のバラスト水処理装置。
【請求項8】
前記熱交換器は、メンテナンスの際に、高温水による逆洗浄を行ったことを特徴とする請求項3記載のバラスト水処理装置。
【請求項9】
前記熱交換器は、メンテナンスの際に、洗浄剤による洗浄を行ったことを特徴とする請求項3あるいは請求項8記載のバラスト水処理装置。
【請求項10】
前記微小生物処理タンクは温度検出手段を備え、前記微小生物処理タンクの温度として前記所定の温度が得られるように前記高温水タンクから供給される高温水量及び/もしくはバラスト水の排水量を調節したことを特徴とする請求項3記載のバラスト水処理装置。
【請求項11】
バラスト水を貯えるバラストタンクと、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理手段と、前記微小生物処理手段に高温水を供給する高温水タンクと、この高温水タンクを加熱する加熱源と、少なくとも前記バラスト水の排出と、前記加熱源による前記高温水タンクの加熱を制御する制御手段を備え、この制御手段により前記バラスト水の排出がされていないときに前記加熱源による前記高温水タンクの加熱を行ったことを特徴とするバラスト水処理装置。
【請求項12】
前記制御手段により前記加熱源が停止しているときに、前記バラスト水を排出したことを特徴とする請求項11記載のバラスト水処理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記微小生物処理手段の所定の処理温度が得られるように少なくとも前記高温水の供給量を制御する機能を更に備えたことを特徴とする請求項11記載のバラスト水処理装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記微小生物処理手段を通るバラスト水の排出量が所定の範囲となるように少なくとも前記バラスト水の排出量を制御する機能を更に備えたことを特徴とする請求項11記載のバラスト水処理装置。
【請求項1】
低温バラストタンクから排出される低温バラスト水を、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理手段に供給し、この微小生物処理手段に高温バラストタンクから高温バラスト水を供給して所定温度で微小生物処理を行い、この微小生物処理後のバラスト水から熱回収を行って熱処理前の前記低温バラスト水の昇温に役立てたことを特徴とするバラスト水処理方法。
【請求項2】
前記微小生物処理手段による微小生物の熱処理の際に、前記所定温度に加え所定時間をかけて微小生物処理をおこなったことを特徴とする請求項1記載のバラスト水処理方法。
【請求項3】
バラスト水を貯えるバラストタンクと、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理タンクと、微小生物処理後のバラスト水と処理前のバラスト水の熱交換を行う熱交換器と、前記微小生物処理タンクに高温水を供給する高温水タンクと、この高温水タンクを加熱する加熱源を備え、前記バラストタンクから前記熱交換器を通過して前記微小生物処理タンクにバラスト水を供給し微小生物を所定温度で熱処理した後、再び前記熱交換器を通過させて前記バラスト水を排水したことを特徴とするバラスト水処理装置。
【請求項4】
前記微小生物処理タンクによる微小生物処理の際に、前記所定温度に加え所定時間をかけて微小生物処理をおこなうべく前記微小生物処理タンクの容積及び/もしくはバラスト水排水量を設定したことを特徴とする請求項3記載のバラスト水処理装置。
【請求項5】
前記加熱源は、船舶の機関から放出される廃熱としたことを特徴とする請求項3記載のバラスト水処理装置。
【請求項6】
前記高温水タンク及び/もしくは微小生物処理タンクは、バラスト水タンクを兼ねたことを特徴とする請求項3乃至請求項5記載のバラスト水処理装置。
【請求項7】
前記高温水タンクは、微小生物処理を必要としないときに清水を高温状態で貯えることを可能としたことを特徴とする請求項3記載のバラスト水処理装置。
【請求項8】
前記熱交換器は、メンテナンスの際に、高温水による逆洗浄を行ったことを特徴とする請求項3記載のバラスト水処理装置。
【請求項9】
前記熱交換器は、メンテナンスの際に、洗浄剤による洗浄を行ったことを特徴とする請求項3あるいは請求項8記載のバラスト水処理装置。
【請求項10】
前記微小生物処理タンクは温度検出手段を備え、前記微小生物処理タンクの温度として前記所定の温度が得られるように前記高温水タンクから供給される高温水量及び/もしくはバラスト水の排水量を調節したことを特徴とする請求項3記載のバラスト水処理装置。
【請求項11】
バラスト水を貯えるバラストタンクと、バラスト水中の微小生物を熱処理する微小生物処理手段と、前記微小生物処理手段に高温水を供給する高温水タンクと、この高温水タンクを加熱する加熱源と、少なくとも前記バラスト水の排出と、前記加熱源による前記高温水タンクの加熱を制御する制御手段を備え、この制御手段により前記バラスト水の排出がされていないときに前記加熱源による前記高温水タンクの加熱を行ったことを特徴とするバラスト水処理装置。
【請求項12】
前記制御手段により前記加熱源が停止しているときに、前記バラスト水を排出したことを特徴とする請求項11記載のバラスト水処理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記微小生物処理手段の所定の処理温度が得られるように少なくとも前記高温水の供給量を制御する機能を更に備えたことを特徴とする請求項11記載のバラスト水処理装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記微小生物処理手段を通るバラスト水の排出量が所定の範囲となるように少なくとも前記バラスト水の排出量を制御する機能を更に備えたことを特徴とする請求項11記載のバラスト水処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−23691(P2010−23691A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187973(P2008−187973)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(501204525)独立行政法人海上技術安全研究所 (185)
【出願人】(395008333)株式会社大晃産業 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(501204525)独立行政法人海上技術安全研究所 (185)
【出願人】(395008333)株式会社大晃産業 (12)
【Fターム(参考)】
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