説明

バランスのとれた光化学プロセスを用いるTTIインジケータ

本発明は、a)マトリックス基材の中および/または上に導入され、UV光照射によりチャージされるフォトクロミック着色剤少なくとも1種;b)フォトクロミック着色剤を含有する下側の層a)に付着される透明無色または透明有色の光吸収保護層少なくとも1層を含み;光吸収保護層が、UV光吸収剤またはUV光吸収剤混合物を1〜50wt%で、および蛍光増白剤を0.1〜10wt%で含み、ここでUV光吸収剤および蛍光増白剤の重量比が0.1〜10であることを特徴とする、時間温度インジケータに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャージング(charging)後の再チャージング並びに光漂白反応の光化学プロセスがバランスのとれている、フォトクロミック着色剤に基づいて経時的に温度変化を示すシステム(時間温度インジケータ)に関する。
【0002】
チルド食品および飲料は、貯蔵および輸送の間の変りやすい温度条件のために駄目になることが最も多い。したがって、製品が適切な冷蔵条件下で保管されていたかどうかを示すことは重要である。時間温度インジケータ(TTI)は、それが付着された製品の経過時間−温度履歴の見て分かる集計を表示するデバイスである。
【0003】
OnVu(商標)は、商品化された時間−温度インジケータ(TTI)である。この技術は、温度変動に応じて色が経時的に変化する、フォトクロミック着色剤の特性に依拠する。TTIは、パッケージに適用する直前に、標準的な市販されているUV光源(好ましくはLEDとして公知である発光ダイオード)によって活性化される。故意の再チャージングから保護するために、UVAフィルターをTTIの上に付け加えることは公知である。
【0004】
ほとんどのフォトクロミック材料のいくつかの基本的な限界は、活性化された時間温度インジケータそれ自体が、限られた光安定性しか持たないという事実に起因する。多くの場合、僅かな周囲の光によってさえ、有色種の光漂白がもたらされる。
【0005】
したがって、フォトクロミック着色剤を活性化光照射の後、活性化された着色剤が活性化光をさらに照射されないことを確実にするために注意しなければならないが、それはこれが計算された戻り期間を危うくするからである。米国特許第7,081,364号の時間−温度インジケータは、初めの活性化紫外線の後に付着された黄色セロファンフィルムまたは他の黄色ポリマーによって、さらなる光照射から保護される。
【0006】
国際公開公報第2005/075978号(Freshpoint)には、支持マトリックスに導入されたフォトクロミック着色剤を含む時間温度インジケータが開示されている。ポリプロピレンカラーフィルタを用いて、再チャージングまたは漂白を回避している。
【0007】
国際出願PCT−EP2007/06098(2007年10月16日出願、Ciba)には、フォトクロミック着色剤を含有する下側層に付着された、紫外線および/または可視光線吸収層(ポリマーバインダーおよびUV吸収剤を含む)を付け加えることが提案されている。これには、さらなる添加剤を含有することができると述べられている。蛍光増白剤が、他の添加剤の中に挙げられている。しかし、この出願は、蛍光増白剤が光化学プロセスの調節を促進し得ることは、何も記述していない。
【0008】
チャージされたフォトクロミック着色剤の主な望ましくない光誘起反応は、再チャージングおよび光漂白である。
【0009】
したがって、本発明の根本的な課題は、フォトクロミック着色剤の限られた光安定性を、不安定なフォトクロミック着色剤が必要な時間枠にわたってTTIとして機能する方法で補償するTTIデバイスを見出すことである。
【0010】
したがって、本発明は、
a)マトリックス基材の中および/または上に導入され、UV光照射によりチャージされるフォトクロミック着色剤少なくとも1種;
b)フォトクロミック着色剤を含有する下側の層a)に付着される透明無色または透明有色の光吸収保護層少なくとも1層;
を含み、
光吸収保護層が、UV光吸収剤またはUV光吸収剤混合物1〜50wt%、および蛍光増白剤0.1〜10wt%を含み、ここでUV光吸収剤および蛍光増白剤の重量比は0.1〜10であることを特徴とする時間温度インジケータに関する。
【0011】
特定量のUV光吸収剤および蛍光増白剤を添加することにより、必要な時間枠内で光漂白と同じ程度までフォトクロミック着色剤の再チャージングが起こるように、光化学プロセスのバランスをとることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、TTIラベルおよびUV−Visフィルターの組み合わせを図示する。
【0013】
定義:
フォトクロミック着色剤は、フォトクロミック染料または顔料であり、例えばフォトクロミック着色剤は、フォトクロミック顔料である。
【0014】
種々のフォトクロミック染料および顔料が公知であり、多数が市販されている。選択されたフォトクロミック着色剤は、UV活性化および色戻り両方の速度が予測可能かつ適切でなければならない。
【0015】
フォトクロミック着色剤として有用な顔料の種類の具体例は、国際公開公報第2005/075978号(Ciba)(全て参照により本明細書に組み入れられる)に開示されているようなスピロピランである。
【0016】
スピロピランは、一般的なスピロ炭素中心を介して別の複素環に結合されたピラン環からなる。無色のスピロピランをUV光照射すると、C−O結合のヘテロリティック開裂を起こして、しばしば「メロシアニン」型と呼ばれる、cis−(1,2)またはtrans−(1,3)またはオルトキノイドの型を呈し得る、開環有色種が形成する。ピラン環は通常、置換されたベンゾまたはナフトピランであるが、スピロ炭素中心の向こう側に位置する複素環成分は、環構造の長いリスト、例えば、インドール、ベンズチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズセレナゾール、キノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾピラン、ナフトピラン、キサンタン、ピロリジンおよびチアゾリジンから選択することができるが、これらに限定されない。
【0017】
例えば、使用するスピロピランは、式IまたはII:
【0018】
【化1】

【0019】
の化合物である。
【0020】
用語「チャージング」は、強い紫外線による、無色のフォトクロミック着色剤の最初の活性化の推進に用いる。上で例示されたスピロピランの活性化は、例えば365nmのUV発光ダイオード(LED)を用いることにより行う。スピロピラン顔料は、直ちにその色をベージュから非常に強い青色に変える。チャージング後、青色TTI色は、時間および温度に応じて退色する。熱退色は、青色開環型のベージュの有色閉環型への熱誘起逆反応である。
【0021】
【化2】

【0022】
用語「再チャージング」は、熱退色したTTIの、UV(365nm)または可視の(420nmまで)光を用いる、青色の開環型への再活性化に用いる。
【0023】
用語「光漂白」は、TTIの光化学的に誘起された退色に用い、これは、開環型の閉環型への光化学逆反応と、さらにTTI顔料の光誘起された不可逆分解の両方を含む。上で例示されたスピロピランの光漂白は、450nm〜650nmのUV/Vis光により行う。
【0024】
フォトクロミック着色剤は、それを、例えば当該技術分野において公知の任意の印刷方法(例えば、インクジェット印刷、フレキソ印刷、レーザ印刷などを用いる印刷)に適切な印刷可能なインクに変えることにより、マトリックス基材、例えばポリマー、ガラス、金属、紙などの中および/または上に導入される。
【0025】
必要な時間枠は、時間温度履歴をモニターするべき製品、および貯蔵条件に依存する。時間枠は、例えば1日から数週間までである。
【0026】
UV光吸収剤(UVA)は、広く公知の化合物であり、多数が市販されている。光吸収層に含まれるUVAの量は、層の厚さにある程度依存する。光吸収層が機能する条件は、正確な光学濃度または吸光度である。UV光吸収剤の濃度と層厚さの関係は、E=ε×c×dと読み取れる、ランベルト−ベールの法則により与えられる。印刷インクの適切な層厚さは、1〜20μmである。
【0027】
薄い層は、厚い層と同量のUV光を吸収するために、より高い濃度のUVAを必要とする。例えば層は厚さ1〜1,000μmであるが、1〜500μm、1〜100μm、1〜50μmおよび1〜20μmのフィルムが極めて望ましい。
【0028】
本発明に有用なUVAは、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾオキサゾン、α−シアノアクリレート、オキサアニリド、トリス−アリール−s−トリアジン、ホルムアミジン、シンナメート、マロネート、ベンジリデン、サリチレートおよびベンゾエートUVAおよびこれらの混合物から選択される。トリス−アリール−s−トリアジンUVAが好ましい。
【0029】
UV吸収剤は、次のUV/Vis光の透過率の条件を満たす必要がある。
・最初のチャージングを行うUV領域で、透過率は実質的に0でなければならない。
・可視の波長範囲での再チャージングが可能なUV/Vis領域で、透過率は、0より高くなければならない。
【0030】
UVAは、公知の一般に行われる方法を用いて、ポリマーおよびコーティング組成物の、配合物に組み込まれる。
【0031】
適切なUVAの例を、下記に示すがこれらに限定されない。
【0032】
【化3】

【0033】
A、BおよびCの、またはAおよびCの混合物も好ましい。
【0034】
ポリマーバインダーは、市販されている天然または合成ポリマーである。例えば、ポリマーは、ワックス、ゼラチン、天然ゴム、セルロースまたはこれらの化学修飾誘導体、例えば酢酸セルロース、プロピオネートおよびブチレート、セルロースエーテル、例えばメチルセルロース並びにコロホニウム樹脂および誘導体であってもよい。
【0035】
ポリマーは、熱可塑性、ゴム弾性、熱硬化性、ゴム弾性、内部架橋(inherently crosslinked)または架橋ポリマーであってもよい。このような熱可塑性、ゴム弾性、熱硬化性、ゴム弾性、内部架橋または架橋ポリマー、ポリマーの例は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ハロゲン化ビニルポリマー、例えばPVC、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、不飽和ポリアミド、ポリイミド、フッ素化ポリマー、ケイ素含有およびカルバメートポリマーを含むが、これらに限定されない。ポリマーは、前述の化学物質のブレンドおよびコポリマーでもよい。
【0036】
光吸収保護層は、UV光吸収剤混合物を含んでもよい。用語「UV光吸収剤混合物」とは、次のものを指す。
・ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾオキサゾン、α−シアノアクリレート、オキサアニリド、トリス−アリール−s−トリアジン、ホルムアミジン、シンナメート、マロネート、ベンジリデン、サリチレートおよびベンゾエートUVAから選択されるUVA吸収剤少なくとも2種の混合物。
・UVA吸収剤と、UV/Vis領域で吸収する添加剤との混合物であって、該添加剤は、好ましくは蛍光増白剤である混合物。
【0037】
トリス−アリール−s−トリアジンおよび蛍光増白剤の混合物が好ましい。
【0038】
蛍光増白剤の量は、0.1〜10wt%、好ましくは0.5〜5%である。
【0039】
蛍光増白剤対UV吸収剤の重量比は、0.1〜10wt%、好ましくは0.5〜8wt%である。
【0040】
用語「蛍光増白剤」は、紫外線および再放射光を、青色領域で吸収する化合物を指す。適切な化合物は、ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)誘導体であり、他にジスチリルベンゼン、ジスチリルビフェニル、ジビニルスチルベン、トリアジニルアミノスチルベン、スチルベニル−2H−トリアゾール、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ジフェニルピラゾリン、クマリン、ナフタルイミドなどがある。
【0041】
ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)誘導体、例えば2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)が好ましい。
【0042】
有色光吸収保護層は、ポリマーバインダー、並びに層の合計重量に基づいて、UV吸収剤またはUV光吸収剤混合物を1〜50wt%、さらに染料または顔料を0.1〜10wt%、好ましくは0.5〜5wt%含む。
【0043】
適切な染料または顔料は、好ましくは、黄色または青色の染料または顔料、例えばMicrolith Yellow 4G-K(C.I.PY151)、Yellow 3G-K(C.I.PY93)、Yellow 2R-K(C.I.PY83)、Yellow 3R-K(C.I.PY110)、並びにViolet B-K(C.I.PV37)およびBlue 4G-K(C.I.PB 15:3)である。
【0044】
他の例は、ORASOL blue GNおよびOrasol Blue GL(フタロシアニンベース)、Yellow 4GN(ピリドン−アゾ)、Yellow 2GLN(クロム錯体)、Yellow 3R、Yellow 2RLN、Orange G(全てコバルト錯体)である。
【0045】
特にMicrolith Blue A3R-K、C.I.一般名ピグメントブルー60(インダントロン)(Ciba製)、およびOrasol Blue BL(アントラキノン)(Ciba製)が好ましい。
【0046】
光吸収層は、一般的な印刷方法、例えば熱転写またはインクジェット方式により付着させるのが好都合である。低融点のキャリヤ、例えばワックスおよびエチレン酢酸ビニルのブレンドが、熱転写方式に好都合なバインダーである。例えば、バインダーおよびUVA(吸収剤/吸収剤混合物および/または染料または顔料)を含む組成物を、例えば、キャリヤリボン、例えばPETキャリヤリボン上にコーティングし、フォトクロミック着色剤を含む基材上に印刷する。インクジェット方式によって付着させる場合、バインダーおよびUVAは、通常、インクジェットインクと他のインクジェット配合物とを典型的に接触させる溶剤、例えば水および/または有機溶剤を含む、液体組成物の一部である。
【0047】
光化学プロセスのバランスをとることは、UV吸収剤および/または蛍光増白剤の量を変化させて、蛍光増白剤をUV吸収剤に加えることにより、行うことができる。同じ波長範囲を吸収する青色着色剤を加えることにより、青色のTTIの開環型の光化学分解は、効率よく制御することができる。光化学プロセスのバランスは、視覚的に観測される。TTIラベルおよびUV/Visフィルターを含むチャージされた時間温度インジケータ(図1に図示する)は、対照のために、光の透過を防ぐ光学高密度フィルターにより部分的にカバーされ、そして未カバー部分は、例えば11W蛍光灯(OSRAM、カラーインデックス840)、距離25cmで照射される。この照射値は、食品および飲料を、フリーザー中、約2℃で保管するスーパーマーケットでの一般的な照射値よりも、はるかに高い。カバーされた部分は、対照として、元のチャージされた(かつ熱的に部分的に退色された)TTI顔料の色を示す。
【0048】
照射後、カバーされた部分の色と、未カバー部分の色とを比べる。再チャージングが光漂白と同じ程度である場合、両者に違いはない。
【0049】
好適
光吸収保護層は、TTIのより良い可視性のために、無色であるのが好ましい。
【0050】
有色であるならば、光吸収保護層は、青色顔料または青色染料を含むのが好ましい。
【0051】
特に好ましい態様は、
a)マトリックス基材の中および/または上に導入され、UV光照射によりチャージされる式IまたはII:
【0052】
【化4】

【0053】
のフォトクロミック着色剤;および
b)フォトクロミック着色剤を含有する下側の層a)に付着される、透明無色の光吸収保護層
を含み;
光吸収保護層が、ポリマーバインダー、並びに層の合計重量に基づいて、トリス−アリール−s−トリアジンを1〜50wt%で、および2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)を0.1〜10wt%で、含むことを特徴とする時間温度インジケータである。
【0054】
有色光吸収保護層に関して、特に好ましい態様は、
a)マトリックス基材の中および/または上に導入され、UV光照射によりチャージされる式IまたはII
【0055】
【化5】

【0056】
のフォトクロミック着色剤;および
b)フォトクロミック着色剤を含有する下側の層a)に付着され、青色顔料または染料を0.1〜10wt%で含む透明な光吸収保護層;
を含み;
光吸収保護層が、ポリマーバインダー、並びに層の合計重量に基づいて、トリス−アリール−s−トリアジンを1〜50wt%で、および2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)を0.1〜10wt%で含むことを特徴とする時間温度インジケータである。
【0057】
本発明はさらに、必要な時間枠内で再チャージングおよび光漂白の光化学プロセスのバランスをとるための、UV光吸収剤またはUV光吸収剤混合物を1〜50wt%で、および蛍光増白剤を0.1〜10wt%で含む、透明無色または有色の光吸収保護層の使用に関する。
【0058】
実施例
TTIの製造は、国際公開公報第2005/075978(Ciba)にしたがって行うことができる。
式:
【0059】
【化6】

【0060】
の無色化合物を微細に粉砕した粉末を、不活性溶剤に懸濁し、紙支持材上に吸着させた。あるいは、その化合物のエタノールまたはエーテル:ヘキサン混合物溶液を、適切な表面、例えば紙にスプレーし、溶剤を蒸発させ、支持材マトリックス内でスピロピランを結晶化した。
【0061】
以下の試験に、フレキソ印刷されたTTIラベルを用いた。
【0062】
無色光吸収保護層の製造
【0063】
【表1】

【0064】
組成物を、溶解機を用いて、15m/sで30分混合し、透明な粘着性ポリプロピレンラベルストック(Bizerba)上にグラビア印刷した(乾燥フィルム厚2〜2.5μm)。
【0065】
CGL 777 MPA-Dは、下記のトリアジンである(メトキシプロピルアセトン中、Ciba Specialty Chemicalsにより販売)。
【0066】
【化7】

【0067】
λ-max:360nm(10mgトリアジン/l、トルエン中、1cm)
【0068】
UVITEX OB蛍光増白剤:2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)
【0069】
ビニルケトンワニスは、下記の組成を有する。
クリヤワニス
VYHH 塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー(UCC製) 14%
DOWANOL PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 10%
MEK(メチルエチルケトン) 76%
【0070】
有色光吸収保護層
【0071】
【表2】

【0072】
組成物を、溶解機を用いて、15m/sで30分混合し、透明な粘着性ポリプロピレンラベルストック(Bizerba)上にグラビア印刷した(乾燥フィルム厚2〜2.5μm)。
【0073】
Microlith Blue A3R-K、C.I.一般名ピグメントブルー60(インダントロン)(Cibaより販売)
Orasol Blue BL(アントラキノン)(Cibaより販売)
【0074】
図1は、TTIラベルおよびUV−Visフィルターの組み合わせを図示する。
【0075】
光化学プロセスのバランスは、視覚的に観測される。チャージされたTTIデバイスは、対照のために、光の透過を防ぐ光学高密度フィルターにより部分的にカバーされ、そして未カバー部分は、11W蛍光灯(OSRAM、カラーインデックス840)距離25cm、T=2℃で、1または2日照射した。カバーされた部分は、元のチャージされた(かつ熱的に部分的に退色した)TTI顔料の色を示す。
【0076】
照射後、カバーされた部分と、未カバー部分とを比べた。再チャージングが光漂白と同じ程度である場合、色の差はない。
【0077】
結果は下記の通りである。
【0078】
【表3】

【0079】
上の表は、2日後に、光化学プロセスはバランスがとれたことを示す。
【0080】
照射4日後、2日後と同じ結果が得られた。光漂白および再チャージングは、デバイスA〜Cでバランスがとれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)マトリックス基材の中および/または上に導入され、UV光照射によりチャージされる少なくとも1種のフォトクロミック着色剤;
b)フォトクロミック着色剤を含有する下側の層a)に付着される透明無色または透明有色の少なくとも1層の光吸収保護層
を含み;
光吸収保護層が、UV光吸収剤またはUV光吸収剤混合物を1〜50wt%で、および蛍光増白剤を0.1〜10wt%で含み、ここでUV光吸収剤および蛍光増白剤の重量比は0.1〜10であることを特徴とする、時間温度インジケータ。
【請求項2】
透明な光吸収保護層が無色である、請求項1記載の時間温度インジケータ。
【請求項3】
透明な光吸収保護層が、青色顔料または青色染料を含み有色である、請求項1記載の時間温度インジケータ。
【請求項4】
着色剤が式IまたはII:
【化8】


の化合物である、請求項1記載の時間温度インジケータ。
【請求項5】
蛍光増白剤が2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)である、請求項1記載の時間温度インジケータ。
【請求項6】
UV吸収剤が、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾオキサゾン、α−シアノアクリレート、オキサアニリド、トリス−アリール−s−トリアジン、ホルムアミジン、シンナメート、マロネート、ベンジリデン、サリチレートおよびベンゾエートUVAおよびこれらの混合物から選択される、請求項1記載の時間温度インジケータ。
【請求項7】
a)マトリックス基材の中および/または上に導入され、UV光照射によりチャージされる式IまたはII:
【化9】


のフォトクロミック着色剤;および
b)フォトクロミック着色剤を含有する下側の層a)に付着される透明無色の光吸収保護層
を含み;
光吸収保護層が、ポリマーバインダー、並びに層の合計重量に基づいて、トリス−アリール−s−トリアジンを1〜50wt%で、および2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)を0.1〜10wt%で含むことを特徴とする、請求項2記載の時間温度インジケータ。
【請求項8】
a)マトリックス基材の中および/または上に導入され、UV光照射によりチャージされる式IまたはII:
【化10】


のフォトクロミック着色剤;および
b)フォトクロミック着色剤を含有する下側の層a)に付着され、青色顔料または染料を0.1〜10wt%で含む透明な光吸収保護層;
を含み;
光吸収保護層が、ポリマーバインダー、並びに層の合計重量に基づいて、トリス−アリール−s−トリアジンを1〜50wt%で、および2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)を0.1〜10wt%で含むことを特徴とする、請求項3記載の時間温度インジケータ。
【請求項9】
必要な時間枠内で再チャージングおよび光漂白の光化学プロセスのバランスをとるための、UV光吸収剤またはUV光吸収剤混合物を1〜50wt%で、および蛍光増白剤を0.1〜10wt%で含む、透明無色または透明有色の光吸収保護層の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−515902(P2010−515902A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545126(P2009−545126)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064019
【国際公開番号】WO2008/083895
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.