説明

バランスの取れた性質を備えるエッジシーラント

2層もしくは多層の複層ガラス又はソーラーモジュール用シーラント組成物であって、前記シーラント組成物は、a)数平均分子量約100D〜約700,000D、好ましくは約100D〜約300,000Dのオレフィン系重合体と;b)変性オレフィン系重合体と;c)微粒子不活性充填剤と;d)乾燥剤及び水分捕捉剤の少なくとも1種と;e)老化防止剤を含有する。前記シーラント組成物は引張強度が20PSIを上回り、好ましくは50PSIを上回り、ラップシェア強度が20PSIを上回り、好ましくは40PSIを上回り、シーラントが接着破壊する前に凝集破壊するように、引張強度とラップシェア強度のバランスを取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]
(関連特許出願とのクロスリファレンス)
本願は2009年10月14日付け米国仮特許出願第61/251,517号の優先権主張出願であり、2007年9月20日付けドイツ出願第DE/10 2007 045 104.2号の優先権主張出願である2008年9月22日付け国際出願第PCT/DE/2008/001564号の更に優先権主張出願である2010年3月19日付け同時係属米国特許出願第12/679,250号の一部継続出願である。上記各出願の内容全体を本願に援用する。
【0002】
[0002]
(技術分野)
本発明は2層もしくは多層の複層ガラス又はソーラーモジュールの製造用エッジシールに関し、エッジシールが基板から層間剥離しないようにするために、ガラス表面との強い接着結合と、多少弱いが、依然として強い内部凝集強さを確保するようにバランスの取れた凝集性と接着性を備えるシーラントを提供する。
【背景技術】
【0003】
[0003]
2層又は多層の板ガラスを含む複層ガラスユニットの製造は知られている。各層の板ガラスに加え、この目的にはシーラント及び/又は接着剤、スペーサー並びに乾燥剤又は水分捕捉剤を使用するのが標準的な方法である。2枚の板ガラスをシート状金属及び/又はプラスチックフィルムで部分的又は完全に置き換える以外は、ソーラーモジュールガラス(光起電力ソーラーモジュール及び温水用ソーラーモジュールの両者)も同様に組立てられる。
【0004】
[0004]
スペーサーは主に金属(通常はアルミニウム)から構成され、板ガラスの周縁部に配置され、2枚の板ガラスを所望の間隔に維持する機能をもつ。板ガラス間に閉じ込められた空気又はガスを乾燥状態に維持するために中空スペーサーの内側に更に乾燥剤(例えばモレキュラーシーブ)を加える。乾燥剤が水分を完全に吸収できるようにするために、スペーサーには板ガラス間スペースに面した側に小孔(長手方向細孔列)を設ける。この構成により、水分が低温の周囲温度で板ガラスの内面に凝縮して複層ガラスユニットの透明度を低下させるのを防いでいる。
【0005】
[0005]
板ガラスに面したスペーサーの面と板ガラスの内面の間にはポリイソブチレン及び/又はブチルゴム系のシールを設ける。このシールは一般に一次シールと呼ばれる。一次シールの機能は複層ガラス用板ガラスの製造中では、後続製造段階中にアセンブリを一体化するために、一次シーラントをプレコートしておいたスペーサーに板ガラスを固定しながら1種の「組立補助材」として機能することであり、その後の複層ガラスユニットの使用期間中では、外部から板ガラス間スペースに水分が侵入するのを防ぐ水蒸気バリアを形成し、複層ガラスユニットにガスが充填されている場合には、このガスが板ガラス間スペースから外部に漏出するのを防ぐことである。
【0006】
[0006]
スペーサーの外周縁部は板ガラスの外周縁部の数ミリメートル内側に配置されるので、「チャネル」が形成され、一般に知られているような二次シーラントをこのチャネルに注入する。二次シールの主な目的は複層ガラスユニット(板ガラスとスペーサー)の周縁部と弾性結合することであり、更に外部からの水及び水蒸気と内部(板ガラス間スペース)からのガスに対するシール(ある程度まで付加的なシール)を形成することである。原則として、二次シールはポリサルファイド、ポリウレタン又はシリコーンを主成分とする室温硬化性2液型シーラント及び/又は接着剤から構成される。例えばシリコーンを主成分とする1液系や、高温の間に塗布するホットメルトブチル接着剤も可能である。
【0007】
[0007]
しかし、上記システムには所定の欠点もある。複層ガラスユニットの製造中には、一連の複雑でコスト集約的段階で多数の材料を処理しなければならず、中には同時に実施する段階も存在する。
【0008】
[0008]
エッジシールの断熱性に関する限り、複層ガラスの板ガラスはK値を低くすることが望ましく、2層又は多層の複層ガラスの場合には、近年では板ガラス間スペースに不活性ガスを充填すると共に低放射(低E)層をコーティングした板ガラスを使用することにより実質的に改善されているが、エッジシールで使用される金属スペーサーは熱良導体であるため、このK値に負の影響があるという欠点がある。
【0009】
[0009]
特に第2の欠点の結果として、最近では、スペーサーとしてアルミニウムの代わりに既製ステンレス鋼プロファイル(壁厚を減らすことが可能であるため、ヒートフローが低下する)、又は既製プラスチックプロファイル、又は既製熱可塑性プロファイル、又は熱可塑性材料を板ガラスの1枚に直接押出成形した押出成形コンパウンドを使用した複層ガラスシステムが益々多く出回っている。エッジシールの断熱性の改善により、これらのシステムは「ウォームエッジシステム」とも呼ばれている。上記の例はEP 517 067 A2に記載されており、その例と適用機構はEP 714 964 A1、EP 176 388 A1及びEP 823 531 A2に記載されている。
【0010】
[0010]
DE 196 24 236 A1はシラン官能性ポリイソブチレン、水素化ポリブタジエン及び/又はポリαオレフィンを主成分とする少なくとも1種の反応性結合剤と、ブチルゴム、ポリαオレフィン、ジエン系重合体、ポリブテン又はスチレンブロック共重合体を含む群からなる非反応性結合剤の混合物を含有する複層ガラス用ホットメルト接着剤組成物を記載しており、この組成物は複層ガラスの製造で1液型又は2液型接着剤/シーラントとして使用することができる。ここでは金属又はプラスチックプロファイルを含む別のスペーサーは不要であり、他の二次シーラントも不要である。
【0011】
[0011]
DE 198 21 355 A1は多層の複層ガラス製造用シーリングコンパウンドを記載しており、このコンパウンドはシラン変性ブチルゴムを含有しており、多層の複層ガラスの個々の板ガラス間のスペーサーとして機能する。ここでも二次シーラントは不要である。
【0012】
[0012]
特に板ガラスの1枚に直接押出成形したスペーサーは製法に関する問題も解決する。その結果、融通性が著しく高く、生産性も高い自動化製法を使用して複層ガラス用板ガラスを製造することができる。
【0013】
[0013]
ソーラーモジュール製造分野でも、このようにモジュール周縁部にスペーサーを直接設けると、多くの利点があることが分かっている。例えば、予め押出成形したブチルテープを手動又は半自動で貼り付ける方法と比較して、この方法は光学的利点のみならず、生産性の利点もあり、更に、水蒸気侵入とガス漏洩に対してより確実で長期的なバリアを形成し易くなる。EP 1 615 272 A1(またはDE 10 2004 032 604 A1)はソーラーモジュールを組立てるための典型的な方法と装置に関する記載も含んでいる。
【0014】
[0014]
使用される熱可塑性材料はスペーサーの機能と所謂一次シールの機能を兼備する。乾燥剤も含有する。TPSシステム(TPS=熱可塑性スペーサー)はこのようなシステムの1例である。
【0015】
[0015]
これらのシステムでも、スペーサーの外周縁部は板ガラスの外周縁部の数ミリメートル内側に配置され、隙間のスペースにはユニットと弾性結合する所謂二次シールが充填される。
【0016】
[0016]
TPSシステム等の熱可塑性スペーサーと二次シーラントとしてシリコーンを併用する場合には、不活性ガスを充填したものを含めて複層ガラスユニットを実質的に高い信頼性で製造することができ、多数の耐候性サイクル後でもエッジシールでその気密性を維持できることが分かっている(EP 916 801 A2)。標準一次シール及びシリコーン系二次シールと金属スペーサーを併用する場合には安定して低いガス漏洩速度を得ることは非常に困難である。
【0017】
[0017]
ポリサルファイドを二次シーラントとして併用した場合、TPSシステムは過去十年間では複層ガラス窓用途で全く問題ないことが分かっている。
【0018】
[0018]
一方、シリコーンを二次シーラントとして使用する場合には欠点があり、場合により、複層ガラスユニットの内側で光学欠陥として現れる場合もある。
a)外部からの影響により、複層ガラスエッジシールに対して非相溶性になる材料(例えばウェザーシール、EPDMガラスプロファイル等)、
b)不適切な設計に起因する複層ガラスユニットのガラス領域の製造ミス(ガラス実接ぎ溝の通気/排水の不良)、及び
c)設置状況に起因する極限暴露(複層ガラス用板ガラスとエッジシールの特に高温暴露)
といった要因が重なると、熱可塑性スペーサープロファイルが板ガラス間スペース内に変形又は移動する可能性がある。この現象はドイツ語で「Girlanden−Effekt」とも呼ばれる。使用するTPSシーラントの品質(組成/製法)に応じて、a)〜c)に記載した外部からの影響に対する感受性は著しく異なる。シリコーンを二次シーラントとして使用する場合には、TPSシーラントと二次シールの間の接着性の欠如と、主に物理的相互作用のみに依存するTPSシーラントとガラスの接着不良が主な理由であると考えられる。この結合は多かれ少なかれ、ガラス/TPSシーラント界面に移動する物質により容易に弱まると思われる。
【0019】
[0019]
押出成形TPSプロファイルの横断面を特殊な形状にすることにより機械的固定又は摩擦接合を確保するような結合をTPSとシリコーン二次シールの間に形成する方法が提案されている(DE 102 04 174 A1)が、このようなプロファイル横断面を押出成形するのに適した形状のダイを得ることができないため、残念ながら実現できない。この方法の別の未解決の問題は言うまでもなく板ガラス上に押出成形したスペーサープロファイルの先端部と後端部を如何にして接合するかという点である。通常の長方形横断面では、これはEP 823 531 A2に記載され、解決されている。この方法には二次シーラントの塗布中に如何にして気泡を混入せずにTPSストランド内の部分的に凸状の空隙を完全に塞ぐかという問題もある。従って、結局のところ、この方法は日常的製法でそのまま実施することができないため、所望の目的を果たせない。
【0020】
[0020]
伝統的なシラン系接着促進剤を一方及び/又は両方のシーラントに選択的に添加することによりTPSシーラントとシリコーンシーラントの間に化学的接着を確保しようとする試みも失敗に終わっている。このため、残念ながら他の所望の性質(例えばTPSシーラントの作業コンシステンシー)に負の影響があったり、後でユニットを設置してから複層ガラスに曇りを生じるような品質及び量を使用することが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】欧州特許出願第517 067号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第714 964号明細書
【特許文献3】欧州特許出願第176 388号明細書
【特許文献4】欧州特許出願第823 531号明細書
【特許文献5】独国特許出願第196 24 236号明細書
【特許文献6】独国特許出願第198 21 355号明細書
【特許文献7】欧州特許出願第1 615 272号明細書(または独国特許出願第10 2004 032 604号明細書)
【特許文献8】欧州特許出願第916 801号明細書
【特許文献9】独国特許出願第102 04 174号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
[0021]
a)オレフィン系重合体と、b)シラン変性オレフィン系重合体と、c)充填剤と、d)乾燥剤又は水分捕捉剤と、e)老化防止剤を含有するシーラント組成物を提供する。シーラントが接着破壊する前に凝集破壊するように、シーラント組成物の引張強度とラップシェア強度のバランスを取る。
【課題を解決するための手段】
【0023】
[0022]
本発明の1例において、シーラント組成物は20PSIを上回る引張強度と、20PSIを上回るラップシェア強度をもつ。
【0024】
[0023]
本発明の別の例において、シーラント組成物は50PSIを上回る引張強度と、40PSIを上回るラップシェア強度をもつ。
【0025】
[0024]
本発明の更に別の例において、シーラント組成物はアルコキシ基及び水酸(−OH)基の少なくとも1種を含む極性表面(限定されないが、例えばガラスやポリビニルアルコール(PVA))と化学的に反応する。
【0026】
[0025]
本発明の更に別の例において、シーラント組成物は相対湿度85%、85℃で4週間エージング後に約100〜140℃のピークに50J/g未満の吸熱エンタルピーをもつ。
【0027】
[0026]
本発明の更に別の例において、シーラント組成物は相対湿度85%、85℃で4週間エージング後に約100〜140℃のピークに30J/g未満の吸熱エンタルピーをもつ。
【0028】
[0027]
本発明の更に別の例において、シーラント組成物は厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで38℃及び相対湿度100%にて0.7g/m/日未満の水蒸気透過率(MVT)をもつ。
【0029】
[0028]
本発明の更に別の例において、シーラント組成物は厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで38℃及び相対湿度100%にて0.4g/m/日未満の水蒸気透過率(MVT)をもつ。
【0030】
[0029]
本発明の更に別の例において、シーラント組成物は厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで85℃及び相対湿度100%にて15g/m/日未満の水蒸気透過率(MVT)をもつ。
【0031】
[0030]
本発明の更に別の例において、シーラント組成物は厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで85℃及び相対湿度100%にて8g/m/日未満の水蒸気透過率(MVT)をもつ。
【0032】
[0031]
本発明の更に別の例において、シーラント組成物は130℃及び荷重10kgで直径0.0823インチのオリフィスの通過に関して50cm/10分未満のメルトボリュームインデックス(MVI)をもつ。
【0033】
[0032]
本発明の更に別の例において、シーラント組成物は第1の剪断力をシーラント組成物に加えたときに第1の粘度を示し、第2の剪断力を組成物に加えたときに第2の粘度を示す。
【0034】
[0033]
本発明の更に別の例において、シーラント組成物の第1の粘度は第2の粘度よりも大きく、第1の剪断力は第2の剪断力よりも小さい。
【0035】
[0034]
本発明の更に別の例において、オレフィン系重合体は組成物全体の約30〜約60重量%の量で組成物中に存在する。
【0036】
[0035]
本発明の更に別の例において、オレフィン系重合体は組成物全体の約40〜約50重量%の量で組成物中に存在する。
【0037】
[0036]
本発明の更に別の例において、シラン変性オレフィン系重合体は組成物全体の約2〜約35重量%の量で組成物中に存在する。
【0038】
[0037]
本発明の更に別の例において、シラン変性オレフィン系重合体は組成物全体の約5〜約25重量%の量で組成物中に存在する。
【0039】
[0038]
本発明の更に別の例において、充填剤は組成物全体の約5〜約40重量%の量で組成物中に存在する。
【0040】
[0039]
本発明の更に別の例において、充填剤は組成物全体の約10〜約30重量%の量で組成物中に存在する。
【0041】
[0040]
本発明の更に別の例において、乾燥剤又は水分捕捉剤は組成物全体の約2.5〜約25重量%の量で組成物中に存在する。
【0042】
[0041]
本発明の更に別の例において、乾燥剤又は水分捕捉剤は組成物全体の約10〜約15重量%の量で組成物中に存在する。
【0043】
[0042]
本発明の更に別の例において、老化防止剤は組成物全体の約0〜約3重量%の量で組成物中に存在する。
【0044】
[0043]
本発明の他の特徴及び利点は以下の記載と添付図面を参照することにより自明となり、図面中の類似の参照番号は同一コンポーネント、素子ないし構成要素を表す。
【0045】
[0044]
本願に記載する図面は例証の目的に過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】[0045]シーラント組成物の1例と比較例のラップシェア強度を示す棒グラフである。
【図2】[0046]各種シラン含有率のシーラント組成物の1例のラップシェア強度を示す棒グラフである。
【図3】[0047]湿熱老化時間の関数として比較例のDSCスキャンを示すグラフである。
【図4】[0048]湿熱老化時間の関数としてシーラント組成物の1例のDSCスキャンを示すグラフである。
【図5】[0049]結晶化重合体鎖と未結晶化重合体鎖を示す図である。
【図6】[0050]シーラント組成物の1例と比較例のラップシェア強度を示す棒グラフである。
【図7】[0051]各種シラン含有率のシーラント組成物の1例の引張強度を示す棒グラフである。
【図8】[0052]老化時間の関数として比較例のDSCスキャンを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[0053]
以下、1態様と比較例を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0048】
[実施例1]
比較例(従来技術)
【0049】
【表1】


[実施例2]
【0050】
【表2】


[0054]
従来技術と比較した本発明のシーリングコンパウンドの効果は以下の比較試験から明白になる。
【0051】
[0055]
供試用の500×350mm複層ガラス用板ガラスを、フロートガラス4mm/板ガラス間スペース16mm/フロートガラス4mmで配置し、更に、一方の場合には、
1)熱可塑性スペーサーとして比較例1のシーリングコンパウンドと、二次シーラントとして従来の2液型シリコーンから構成されるエッジシールを配置し、他方の場合には、
2)熱可塑性スペーサーとして本発明の実施例2のシーリングコンパウンドと、二次シーラントとして1)と同一の従来の2液型シリコーンから構成されるエッジシールを配置した。
【0052】
シリコーン可塑剤含有率の高い1液型シリコーンシーラントを使用し、ガラス用途で常用されているような鉱油約20%の可塑剤含有率のEPDMプロファイルを前記板ガラスの各々の一方の長縁部に結合し、こうして前記プロファイルをエッジシールシーラントと直接接触させた。このように作製した供試用板ガラスを次に耐候性サイクル試験(相対湿度95〜100%で−20℃/+80℃,1サイクル8時間,1日3サイクル)に供した。
【0053】
[0056]
僅か約4〜5週間の耐候性サイクル試験後に、供試用板ガラス1)は板ガラス間スペース内への熱可塑性スペーサープロファイルの変形、即ち移動を示した。これは非相溶性反応(EPDMプロファイルと1液型シリコーンシーラントからの可塑剤の移行)により生じた。
【0054】
[0057]
他方、供試用板ガラス2)は50週間を越える耐候性サイクル試験後でもエッジシールの欠陥を全く示さなかった。
【0055】
[0058]
同様に、ガラス接着性とエッジシールは4,000時間を越えるUV灯(紫外線)照射と板ガラス表面を110℃までの温度に暴露後も認識可能な欠陥を全く示さなかった。
【0056】
[0059]
以上のように、この種のストレスに耐えることができるエッジシールは、特に要件の厳しい状況における絶縁ガラス(insulating-glass)用途(例えばファサードや屋根のフレームレスガラス(構造ガラスと呼ばれる))のみならず、例えば、ソーラーモジュールにおけるエッジシールにも適している。
【0057】
[0060]
反応性ブチルコンパウンドのストランドの1回目の塗布に加え、ソーラーモジュールを圧着する前に第2のブチルストランドを塗布することも可能である。これはモジュールに含まれる光起電力セルの電気接点がエッジシールを貫通して外側まで延びるように形成されている場合に特に有用な方法である。第1のストランドを塗布後、通常では薄いテープ状の接点を外部に引き出した後、第2のブチルストランドを第1のストランドの上に直接押出成形する。従って、接点はブチルコンパウンドに埋込まれるため、完成後のソーラーモジュールでエッジシールを通って外側まで延びる接点リードは気密になり、水蒸気に対して非透過性になる。接点は通常では非絶縁金属テープ状であるため、エッジシールは導電性を示すべきでなく、導電性の場合には接点間に漏電や短絡を生じる可能性がある。シリコーン系二次シールの場合には、シリコーンは通例では体積抵抗率が非常に高く、大半の場合には>1014Ω・cmであり、従って電気絶縁体の部類に入るので、これは問題ない。しかし、ここに記載する反応性ブチルコンパウンドの場合のようにカーボンブラック充填剤含有率の高いブチルシーラントは体積抵抗率が<10Ω・cmであるため、コンパウンドは導電性となる。カーボンブラック含有率を減らすと、体積抵抗率は明らかに増加するが、多くの欠点も伴う。機械的強化と粘度調節以外に、ブチルシーラントのカーボンブラック含有率を高くする目的は混合物を高温とUV照射に対して特に安定にすることである。体積抵抗率の理由からカーボンブラック含有率を実質的に低下させるならば、この目的に適わなくなり、ブチルシーリングコンパウンドはソーラーモジュール分野の用途、即ち高温と太陽放射を伴う用途に必要な長期安定性を示さなくなる。しかし、ブチルシーラントで一般に使用されているカーボンブラックの代わりに特殊カーボンブラックを使用することにより、必要な全性質を備える反応性ブチルコンパウンドを得ることが可能である。ファーネス法により製造され、50〜60nmの範囲の一次粒径をもつ、酸化的に後処理されたカーボンブラックを選択することにより、安定化、機械的強化及び粘度調節に必要な20重量%までの充填剤含有率で反応性ブチルコンパウンドに添加できると同時に、反応性ブチルシーリングコンパウンドに必要な電気絶縁効果に完全に十分な>1010Ω・cmの体積抵抗率を実現するカーボンブラックが得られることが判明した。
【0058】
[0061]
以下の実施例ではこのような特殊カーボンブラックを使用する。
[実施例3]
【0059】
【表3】


[0062]
シーリングコンパウンドは水の存在下でガラスの水酸(−OH)基又はアルコキシ基と化学的に反応して共有結合を形成するシラングラフト非晶質ポリαオレフィン(APAO)であるVestoplast 206を含有するホットメルトシーラントとする。シランはガラスと化学的に結合することができないため、層間剥離の原因となる可能性がある。よくある破壊形態の1つは水がガラス−シーラント界面付近の通路(開口)を通ってモジュールに侵入する場合であるため、このシーラントとガラスの化学結合は長期ソーラーモジュール耐水性の点で非常に重要である。
【0060】
[0063]
エッジシーラント製造業者から市販されている比較用のサンプルを使用してシーラント組成物の性能を比較した。180°ラップシェア解析を使用してシーラントとガラスの反応の進行を定量化した。1”×1”、厚さ1.7mmのサンプルを2枚のガラスプレート(1”×3”)間に挟んだ。このサンドイッチを240°Fで〜30分間コンディショニングし、最終厚さ1.22mmまで圧縮した。これらのラップシェアサンプルを85℃、相対湿度85%の(湿熱)チャンバーで1カ月間老化させ、剪断値と破壊形態をモニターした。ラップシェア報告値は少なくとも3個の試験片を4インチ/分で引っ張った平均である(ピーク値をラップシェア値として報告する)。示差走査熱量計(標準モード,TA instruments社)を使用して熱老化及び湿熱老化サンプル(約3〜5mg)を分析し、サンプル中の遊離水の存在と結晶化挙動をモニターした。サンプルを−90℃で平衡化し、10℃/分で200℃まで昇温した。
【0061】
[0064]
図1は85℃、相対湿度85%での老化時間の関数として本発明のシーラント組成物と比較例のラップシェア値を示す。シーラント組成物のラップシェア値は1カ月間の老化試験中では常に比較例よりも高いことが認められた。従って、シーラント組成物のガラスとの接着結合は比較例よりも著しく強いと判断された。更に、比較例は接着破壊又は部分接着破壊を示したが、シーラント組成物は常に凝集破壊し、凝集性と接着性の良好なバランスを示した。
【0062】
[0065]
図2は85℃、相対湿度85%での老化時間の関数として各種シラン含有率のシーラント組成物のラップシェア値を示す。初期(ほぼ5日目まで)はシーラント組成物、シランを添加しないシーラント組成物、非反応性シランを添加したシーラント組成物、及び2倍量のシランを添加したシーラント組成物でラップシェア値(ガラス接着性)に有意差はなかった。他方、これらのサンプルを湿熱チャンバーで老化させると、シーラント組成物と2倍量のシランを添加したシーラント組成物はシランを添加しないシーラント組成物と非反応性シランを添加したシーラント組成物よりもラップシェア強度(ガラス接着性)が有意に高いことが認められた。このラダー試験の結果、シランの存在はシーラント(シラン)とガラス表面の化学結合を介してガラスとの接着を経時的に強化することが裏付けられた。
【0063】
[0066]
図3は湿熱老化時間の関数として比較例のサンプルのDSCスキャンを示す。1日目に、老化サンブルは吸熱融解ピーク(100℃付近で開始)を示した。この融解ピークは老化後に拡大することが認められ(図3)、結晶化度が増加すると判断された。このピークは比較例のシランの担体であると思われる(低密度及び/又は直鎖状低密度)ポリエチレンに対応する。これらのシランは結晶化すると、ガラスに向かって拡散することができなくなり、ガラスとの化学的接着を増すように反応することができなくなる。シーラント組成物のシランの熱解析によると、老化後に有意な結晶化は認められなかった(図4参照)。シーラント組成物のラップシェア値(ガラス接着性)が高い理由はこの非結晶化傾向にあると思われた。
【0064】
[0067]
結晶化は重合体鎖の配向を伴うことが多いため、配向構造(結晶)となる(図5参照)。これらの結晶が形成されると、重合体鎖は固定化され、移動できなくなる。化学反応は反応性種の相互拡散後、配向とその後の反応を含む。ソーラーエッジシーラント用途の場合には、ガラスは静止表面である。従って、シーラント(シラン)とガラスの反応はガラス表面への反応性シランの拡散によってのみ進行する。しかし、結晶化すると、これらのシランは固定化され、(融解又は溶解しない限り)拡散できないので、表面に移動してガラスと反応することができなくなる。
【0065】
[0068]
シーラント組成物と比較例を凝集性と接着性についても試験した。シーラント組成物は湿気硬化能があるため、ガラスと共有結合的に反応するのに適している。180°ラップシェア解析を使用してこの反応の進行を定量化した。1インチ×1インチ、厚さ1.7mmのサンプルを2枚のガラスプレート(1”×3”)間に挟んだ。このサンドイッチを240°Fで〜30分間コンディショニングし、最終厚さ1.22mmまで圧縮した。引張サンプルはドッグボーン型とし、ゲージ寸法は1.5インチ×8mmとした。これらのラップシェアサンプルと引張サンプルを85℃、相対湿度85%のチャンバーで1カ月間老化させ、ラップシェア値をモニターした。ラップシェア報告値は少なくとも3個の試験片を室温にて4インチ/分で引っ張った平均である(ピーク値をラップシェア値として報告する)。
【0066】
[0069]
示差走査熱量計(標準モード,TA instruments社 Q200 DSC)を使用して熱老化及び湿熱老化サンプル(約3〜5mg)を分析し、サンプル中の遊離水の存在と結晶化挙動をモニターした。サンプルを−90℃で平衡化し、10℃/分で200℃まで昇温した。
【0067】
[0070]
シーラント組成物と比較例のサンプルについて130℃でメルトフローインデックス値を測定した。直径0.823mmの円筒形カラムを130℃まで予熱後、供試サンプルをこのカラムに挿入した。0.1kgピストンを9.9kg重りに付け(重り合計10kg)、上端部に挿入し、下端部から排出される材料を採取した。
【0068】
[0071]
Mocon社水蒸気透過率測定装置(Permatarn−w 3/33)を使用してサンプル(直径5cm、厚さ1.5mmの円形サンプル)の水分透過率をモニターした。
【0069】
[0072]
図5は85℃、相対湿度85%での老化時間の関数としてシーラント組成物と比較例のラップシェア値を示す。シーラント組成物のラップシェア値は1カ月間の老化試験中では常に比較例よりも高いことが認められた。従って、シーラント組成物のガラスとの接着結合は比較例よりも著しく強いと判断された。
【0070】
[0073]
図6は85℃、相対湿度85%での老化時間の関数として各種シラン含有率のシーラント組成物のラップシェア値を示す。初期(ほぼ5日目まで)はシーラント組成物、シランを添加しないシーラント組成物、非反応性シランを添加したシーラント組成物、及びシラン含有率を2倍にしたシーラント組成物でラップシェア値(ガラス接着性)に顕著な差はなかった。他方、これらのサンプルを湿熱チャンバーで老化させると、シーラント組成物とシラン含有率を2倍にしたシーラント組成物はシランを添加しないシーラント組成物と非反応性シランを添加したシーラント組成物よりもラップシェア強度(ガラス接着性)が有意に高いことが認められた。このラダー試験の結果、反応性シランの存在はガラスとの接着を経時的に強化することが分かった。なお、シーラント組成物とシラン含有率を2倍にしたシーラント組成物のラップシェア強度は僅差であったが、この試験は1カ月間しか実施しなかったので、更に経過をモニターすると、相違が認められる可能性もある。
【0071】
[0074]
85℃、相対湿度85%での老化時間の関数として各種シラン含有率の本発明のシーラント組成物のラップシェア値を示し、A:シラン含有率を2倍にした本発明の組成物、B:本発明の組成物、C:非反応性シランを添加した本発明の組成物、D:シランを添加しない本発明の組成物である。
【0072】
[0075]
図7は85℃、相対湿度85%での老化時間の関数として各種シラン含有率のシーラント組成物の引張強度を示す。引張強度はシーラント内の凝集強さを表す。本発明のシーラント組成物の引張強度(凝集強さ)は比較例よりも高いことが明白に認められた。
【0073】
[0076]
本発明のシーラント組成物のメルトフローインデックスは130℃で25±5g/10分であり、比較例のメルトフローインデックスは0であった(材料はカラムを通過しなかった)。従って、本発明のシーラント組成物は通常の処理温度で処理(ポンプ輸送)中に著しく良好に流動すると判断された。
【0074】
[0077]
本発明のシーラント組成物は85℃/相対湿度100%で4.5g/m/日という低い水蒸気透過率(MVT)を示したが、これに対して比較例のMVTは11.57g/m/日であった。
【0075】
[0078]
図8は本発明のシーラント組成物と比較例(0日目と2週間老化後のサンプル)のサンプルのDSCスキャンを示す。比較例の2週間老化後のサンプルは0℃付近で氷→水転移ピークを示した。エッジシールに遊離水が存在するのは機械的性能の観点から許容できないと思われる。更に、比較例のテープは老化後に迅速に結晶化する傾向を示した(110℃付近のピーク参照)。このピークはシランの担体であると思われる(低密度及び/又は直鎖状低密度)結晶化ポリエチレンに対応する。これらのシランは結晶化すると、ガラスに向かって拡散することができなくなり、ガラスとの化学的接着を増すように反応することができなくなる。本発明のシーラント組成物のシランの熱解析によると、老化後に有意な結晶化は認められなかった。本発明のシーラントのラップシェア値(ガラス接着性)が高い理由はこの非結晶化傾向にあると思われた。
【0076】
[0079]
本発明のシーラント組成物と比較例(0日目と2週間老化後のサンプル)のDSCスキャンを示す。比較例の2週間老化後のサンプルは0℃付近で氷→水転移ピークを示した。
【0077】
[0080]
以下は本発明のシーラント組成物の実施例である。
[実施例4]
【0078】
【表4】


[実施例5]
【0079】
【表5】


[実施例6]
【0080】
【表6】


[0081]
オレフィン系重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ブチルゴム(ポリイソブテン・イソプレン)、スチレンブロック共重合体及びスチレンブロック共重合体の変性物が挙げられる。オレフィン系重合体は100〜700,000Daの数平均分子量をもち、好ましくは100〜300,000Daの数平均分子量をもつ。
【0081】
[0082]
シランとしては、例えば、DFDA−5451NT(Midland,Mlに所在のDow Chemical社製シラングラフトPE)、DFDA−5481NT(Midland,Mlに所在のDow Chemical社製湿気硬化触媒)、非晶質ポリαオレフィン(限定されないが、例えばMarl,ドイツに所在のEvonik Degussa GmbH製品であるVESTOPLAST 206及びVESTOPLAST 2412)、アルコキシシラン及びアミノシランが挙げられる。
【0082】
[0083]
不活性充填剤としては、例えば、重質及び軽質チョーク、ケイ酸塩、酸化ケイ素、カーボンブラック、CaCO、Ca(OH)並びに二酸化チタンが挙げられる。ケイ酸塩としては、例えば、タルク、カオリン、マイカ、酸化ケイ素、シリカ、及びケイ酸カルシウム又はケイ酸マグネシウムが挙げられる。老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、チオエーテル、メルカプト化合物、亜リン酸エステル、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン及びオゾン劣化防止剤が挙げられる。
【0083】
[0084]
本発明のシーラント組成物は以下の特徴を示す:
a)20PSIを上回る引張強度(工学的応力−歪み曲線上のピーク値);
b)50PSIを上回る引張強度(工学的応力−歪み曲線上のピーク値);
c)凝集破壊をもたらす20PSIを上回るラップシェア強度;
d)凝集破壊をもたらす40PSIを上回るラップシェア強度;
e)水酸(−OH)基及び/又はアルコキシ基を含む極性表面(例えばガラスやポリビニルアルコール(PVA))と反応する;
f)相対湿度85%、85℃で4週間エージング後に約100〜140℃のピークに50J/g未満の吸熱エンタルピー(DSCとしてTA instruments社製Q200装置を10℃/分で運転した場合);
g)相対湿度85%、85℃で4週間エージング後に約100〜140℃のピークに30J/g未満の吸熱エンタルピー(DSCとしてTA instruments社製Q200装置を10℃/分で運転した場合);
h)厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで38℃及び相対湿度100%にて0.7g/m日未満の水蒸気透過率;
i)厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで38℃及び相対湿度100%にて0.4g/m日未満の水蒸気透過率;
j)Mocon Permatron−W(登録商標)モデル3/33を使用して試験した場合に厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで85℃及び相対湿度100%にて15g/m日未満の水蒸気透過率;
k)Mocon Permatron−W(登録商標)モデル3/33を使用して試験した場合に厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで85℃及び相対湿度100%にて8g/m日未満の水蒸気透過率;
l)130℃及び荷重10kgで直径0.0823インチのオリフィスの通過に関して50cm/10分未満のメルトボリュームインデックス;
m)低剪断下の高粘度と高剪断下の低粘度。
【0084】
[0085]
以上の本発明の説明は本質的に例示に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない変形も本発明の範囲に含むものとする。このような変形は本発明の趣旨及び範囲から逸脱するとみなすべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)オレフィン系重合体と;
b)シラン変性オレフィン系重合体と;
c)充填剤と;
d)乾燥剤及び水分捕捉剤の少なくとも1種と;
e)老化防止剤
を含有するシーラント組成物であって、シーラントが接着破壊する前に凝集破壊するように、シーラント組成物の引張強度とラップシェア強度のバランスを取らせた前記シーラント組成物。
【請求項2】
シーラント組成物が20PSIを上回る引張強度と、20PSIを上回るラップシェア強度をもつ請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項3】
シーラント組成物が50PSIを上回る引張強度と、40PSIを上回るラップシェア強度をもつ請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項4】
シーラント組成物がアルコキシ基及び水酸(−OH)基の少なくとも1種を含む極性表面と化学的に反応し、水酸基の少なくとも1個がガラス又はポリビニルアルコール(PVA)に含まれる請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項5】
シーラント組成物が相対湿度85%、85℃で4週間エージング後に約100〜140℃のピークに50J/g未満の吸熱エンタルピーをもつ請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項6】
シーラント組成物が相対湿度85%、85℃で4週間エージング後に約100〜140℃のピークに30J/g未満の吸熱エンタルピーをもつ請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項7】
シーラント組成物がシーラント組成物の厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで38℃及び相対湿度100%にて0.7g/m/日未満の水蒸気透過率(MVTR)をもつ請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項8】
シーラント組成物がシーラント組成物の厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで38℃及び相対湿度100%にて0.4g/m/日未満の水蒸気透過率(MVTR)をもつ請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項9】
シーラント組成物がシーラント組成物の厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで85℃及び相対湿度100%にて15g/m/日未満の水蒸気透過率(MVTR)をもつ請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項10】
シーラント組成物がシーラント組成物の厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで85℃及び相対湿度100%にて8g/m/日未満の水蒸気透過率(MVTR)をもつ請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項11】
シーラント組成物が130℃及び荷重10kgで直径0.0823インチのオリフィスの通過に関して50cm/10分未満のメルトボリュームインデックス(MVI)をもつ請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項12】
シーラント組成物が第1の剪断力をシーラント組成物に加えたときに第1の粘度を示し、第2の剪断力をシーラント組成物に加えたときに第2の粘度を示す請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項13】
シーラント組成物の第1の粘度が第2の粘度よりも大きく、第1の剪断力が第2の剪断力よりも小さい請求項12に記載のシーラント組成物。
【請求項14】
オレフィン系重合体がシーラント組成物全体の約20〜約60重量%の量でシーラント組成物中に存在する請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項15】
オレフィン系重合体がシーラント組成物全体の約30〜約50重量%の量でシーラント組成物中に存在する請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項16】
シラン変性オレフィン系重合体がシーラント組成物全体の約2〜約35重量%の量でシーラント組成物中に存在する請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項17】
シラン変性オレフィン系重合体がシーラント組成物全体の約5〜約25重量%の量でシーラント組成物中に存在する請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項18】
充填剤がシーラント組成物全体の約5〜約55重量%の量でシーラント組成物中に存在する請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項19】
充填剤がシーラント組成物全体の約20〜約50重量%の量でシーラント組成物中に存在する請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項20】
乾燥剤及び水分捕捉剤の少なくとも1種がシーラント組成物全体の約2.5〜約25重量%の量でシーラント組成物中に存在する請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項21】
乾燥剤及び水分捕捉剤の少なくとも1種がシーラント組成物全体の約10〜約15重量%の量でシーラント組成物中に存在する請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項22】
老化防止剤がシーラント組成物全体の約3重量%までの量でシーラント組成物中に存在する請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項23】
水酸基をもつ第1の基板と;
水酸基及びアルコキシ基の少なくとも1種をもつ第2の基板と;
第1の基板と第2の基板の間に配置された少なくとも1個の光起電力セルと;
少なくとも1個の光起電力セルに水蒸気を到達させないために水蒸気バリアを形成するように第1の基板及び第2の基板と接触するシーラント
を含むソーラーモジュールであって、前記シーラントが、
a)オレフィン系重合体と;
b)シラン変性オレフィン系重合体と;
c)充填剤と;
d)乾燥剤及び水分捕捉剤の少なくとも1種と;
e)老化防止剤
を含有しており;
シーラントが接着破壊する前に凝集破壊するように、シーラントの引張強度とラップシェア強度のバランスを取り、シーラントが20PSIを上回る引張強度と、20PSIを上回るラップシェア強度をもつ前記ソーラーモジュール。
【請求項24】
シーラントがアルコキシ基及び水酸(−OH)基の少なくとも1種を含む第1の基板及び第2の基板の少なくとも一方の極性表面と化学的に反応する請求項23に記載のソーラーモジュール。
【請求項25】
シーラントが相対湿度85%、85℃で4週間エージング後に約100〜140℃のピークに50J/g未満の吸熱エンタルピーをもつ請求項23に記載のソーラーモジュール。
【請求項26】
シーラントが相対湿度85%、85℃で4週間エージング後に約100〜140℃のピークに30J/g未満の吸熱エンタルピーをもつ請求項23に記載のソーラーモジュール。
【請求項27】
シーラントが厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで38℃及び相対湿度100%にて0.7g/m/日未満の水蒸気透過率(MVTR)をもつ請求項23に記載のソーラーモジュール。
【請求項28】
シーラントが厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで38℃及び相対湿度100%にて0.4g/m/日未満の水蒸気透過率(MVTR)をもつ請求項23に記載のソーラーモジュール。
【請求項29】
シーラントが厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで85℃及び相対湿度100%にて15g/m/日未満の水蒸気透過率(MVTR)をもつ請求項23に記載のソーラーモジュール。
【請求項30】
シーラントが厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで85℃及び相対湿度100%にて8g/m/日未満の水蒸気透過率(MVTR)をもつ請求項23に記載のソーラーモジュール。
【請求項31】
シーラントが130℃及び荷重10kgで直径0.0823インチのオリフィスの通過に関して50cm/10分未満のメルトボリュームインデックス(MVI)をもつ請求項23に記載のソーラーモジュール。
【請求項32】
シーラントが第1の剪断力をシーラントに加えたときに第1の粘度を示し、第2の剪断力をシーラントに加えたときに第2の粘度を示す請求項23に記載のソーラーモジュール。
【請求項33】
シーラントの第1の粘度が第2の粘度よりも大きく、第1の剪断力が第2の剪断力よりも小さい請求項32に記載のソーラーモジュール。
【請求項34】
シーラントのオレフィン系重合体がシーラント全体の約30〜約60重量%の量でシーラント中に存在し、変性オレフィン系重合体がシーラント全体の約2〜約35重量%の量でシーラント中に存在し、微粒子不活性充填剤がシーラント全体の約5〜約55重量%の量でシーラント中に存在し、乾燥剤及び水分捕捉剤の少なくとも1種がシーラント全体の約2.5〜約25重量%の量でシーラント中に存在し、老化防止剤がシーラント全体の約0〜約3重量%の量でシーラント中に存在する請求項23に記載のソーラーモジュール。
【請求項35】
シーラントのオレフィン系重合体がシーラント全体の約30〜約50重量%の量でシーラント中に存在し、変性オレフィン系重合体がシーラント全体の約5〜約25重量%の量でシーラント中に存在し、微粒子不活性充填剤がシーラント全体の約10〜約30重量%の量でシーラント中に存在し、乾燥剤及び水分捕捉剤の少なくとも1種がシーラント全体の約10〜約15重量%の量でシーラント中に存在し、老化防止剤がシーラント全体の約0〜約3重量%の量でシーラント中に存在する請求項23に記載のソーラーモジュール。
【請求項36】
a)オレフィン系重合体と;
b)シラン変性オレフィン系重合体と;
c)充填剤と;
d)乾燥剤及び水分捕捉剤の少なくとも1種と;
e)老化防止剤
を含有するシーラント組成物であって、
シラン変性オレフィン系重合体がシーラント組成物の凝集強さよりも強い結合を形成するようにアルコキシ基及び水酸(−OH)基の少なくとも1種を含む極性表面と化学的に反応する反応性基を含有しており、シーラント組成物が20PSIを上回る引張強度と、20PSIを上回るラップシェア強度をもつ前記シーラント組成物。
【請求項37】
シーラント組成物の引張強度が50PSIを上回る請求項36に記載のシーラント組成物。
【請求項38】
シーラント組成物のラップシェア強度が40PSIを上回る請求項36に記載のシーラント組成物。
【請求項39】
シーラント組成物が相対湿度85%、85℃で4週間エージング後に約100〜140℃のピークに50J/g未満の吸熱エンタルピーをもつ請求項36に記載のシーラント組成物。
【請求項40】
シーラント組成物が相対湿度85%、85℃で4週間エージング後に約100〜140℃のピークに30J/g未満の吸熱エンタルピーをもつ請求項36に記載のシーラント組成物。
【請求項41】
シーラント組成物が厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで38℃及び相対湿度100%にて0.7g/m/日未満の水蒸気透過率(MVTR)をもつ請求項36に記載のシーラント組成物。
【請求項42】
シーラント組成物が厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで38℃及び相対湿度100%にて0.4g/m/日未満の水蒸気透過率(MVTR)をもつ請求項36に記載のシーラント組成物。
【請求項43】
シーラント組成物が厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで85℃及び相対湿度100%にて15g/m/日未満の水蒸気透過率(MVTR)をもつ請求項36に記載のシーラント組成物。
【請求項44】
シーラント組成物が厚さ0.060〜0.080インチのサンプルで85℃及び相対湿度100%にて8g/m/日未満の水蒸気透過率(MVTR)をもつ請求項36に記載のシーラント組成物。
【請求項45】
シーラント組成物が130℃及び荷重10kgで直径0.0823インチのオリフィスの通過に関して50cm/10分未満のメルトボリュームインデックス(MVI)をもつ請求項36に記載のシーラント組成物。
【請求項46】
シーラント組成物が第1の剪断力をシーラント組成物に加えたときに第1の粘度を示し、第2の剪断力を組成物に加えたときに第2の粘度を示す請求項36に記載のシーラント組成物。
【請求項47】
シーラント組成物の第1の粘度が第2の粘度よりも大きく、第1の剪断力が第2の剪断力よりも小さい請求項46に記載のシーラント組成物。
【請求項48】
シーラント組成物のオレフィン系重合体がシーラント組成物全体の約30〜約60重量%の量でシーラント組成物中に存在し、変性オレフィン系重合体がシーラント組成物全体の約2〜約35重量%の量でシーラント組成物中に存在し、微粒子不活性充填剤がシーラント組成物全体の約5〜約40重量%の量でシーラント組成物中に存在し、乾燥剤及び水分捕捉剤の少なくとも1種がシーラント組成物全体の約2.5〜約25重量%の量でシーラント組成物中に存在し、老化防止剤がシーラント組成物全体の約0〜約3重量%の量でシーラント組成物中に存在する請求項36に記載のシーラント組成物。
【請求項49】
シーラント組成物のオレフィン系重合体がシーラント組成物全体の約30〜約50重量%の量でシーラント組成物中に存在し、変性オレフィン系重合体がシーラント組成物全体の約5〜約25重量%の量でシーラント組成物中に存在し、微粒子不活性充填剤がシーラント組成物全体の約10〜約30重量%の量でシーラント組成物中に存在し、乾燥剤及び水分捕捉剤の少なくとも1種がシーラント組成物全体の約10〜約15重量%の量でシーラント組成物中に存在し、老化防止剤がシーラント組成物全体の約0〜約3重量%の量でシーラント組成物中に存在する請求項36に記載のシーラント組成物。
【請求項50】
第1の基板と第2の基板の間に配置されたシーラントであって、前記シーラントが第1の基板と第2の基板の間に配置された感湿性材料への水分透過を阻止するように構成されており、前記シーラントが、
オレフィン系重合体又はその組合せと;
シラン変性APAO及びシラン変性ポリイソブチレンの少なくとも1種と;
カーボンブラックと;
充填剤と;
水分捕捉剤及び乾燥剤の少なくとも1種と;
老化防止剤
を含有しており、
シラン変性APAO及びシラン変性ポリイソブチレンの少なくとも1種がシーラントの凝集強さよりも強い結合を形成するように第1の基板及び第2の基板の反応性基と化学的に結合する反応性基を含有する前記シーラント。
【請求項51】
カーボンブラックが約20重量%までの量で配合されている請求項50に記載のシーラント。
【請求項52】
オレフィン系重合体がシーラント組成物全体の約30〜約60重量%の量で配合されたポリイソブチレンを含み、シラン変性APAO及びシラン変性ポリイソブチレンの少なくとも1種ががシーラント組成物全体の約2〜約35重量%の量で配合されており、充填剤がシーラント組成物全体の約5〜約47重量%の量で配合されており、水分捕捉剤及び乾燥剤の少なくとも1種がシーラント組成物全体の約2.5〜約25重量%の量で配合されており、老化防止剤がシーラント組成物全体の0.1〜約3重量%の量で配合されている請求項50に記載のシーラント。
【請求項53】
オレフィン系重合体がシーラント組成物全体の約30〜約50%の量で配合されたポリイソブチレンを含む請求項50に記載のシーラント。
【請求項54】
シラン変性APAO及びシラン変性ポリイソブチレンの少なくとも1種がシーラント組成物全体の約5〜約25%の量で配合されている請求項50に記載のシーラント。
【請求項55】
カーボンブラックがファーネス法により酸化的に後処理されたものであり、シーラント組成物全体の5〜20重量%の量で配合されており、シーラントが1×10Ω・cmを上回る体積抵抗率をもつ請求項50に記載のシーラント。
【請求項56】
カーボンブラックがファーネス法により酸化的に後処理されたものであり、シーラント組成物全体の5〜20重量%の量で配合されており、シーラントが1×1010Ω・cmを上回る体積抵抗率をもつ請求項50に記載のシーラント。
【請求項57】
水分捕捉剤及び乾燥剤の少なくとも1種がシーラント組成物全体の約2.5〜約30%の量で配合されたモレキュラーシーブである請求項50に記載のシーラント。
【請求項58】
シーラントが110℃を上回る温度に4000時間暴露した後に、酸化的に安定である請求項50に記載のシーラント。
【請求項59】
充填剤が炭酸カルシウム又はケイ酸塩を含む請求項50に記載のシーラント。
【請求項60】
カーボンブラックと充填剤の組合せが約10%〜約50%の量で配合されている請求項50に記載のシーラント。
【請求項61】
老化防止剤がフェノール系酸化防止剤を含む請求項50に記載のシーラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−509455(P2013−509455A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534372(P2012−534372)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/052733
【国際公開番号】WO2011/047194
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(594093600)アドコ・プロダクツ・インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】ADCO PRODUCTS INC.
【Fターム(参考)】