説明

バラ胎座組織培養物またはその抽出物を含有する皮膚外用剤組成物およびその製造方法、機能性食品、ならびに抗酸化用組成物

【課題】バラ胎座組織培養物またはその抽出物を有効成分として含有する皮膚改善用皮膚外用剤組成物およびその製造方法、に機能性食品、ならびに抗酸化用組成物を提供する。
【解決方法】本発明の皮膚改善用皮膚外用剤組成物、機能性食品および抗酸化用組成物は、バラの胎座組織培養抽出物またはその抽出物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラ胎座組織培養物またはその抽出物を含有する皮膚外用剤組成物およびその製造方法、機能性食品、ならびに抗酸化用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
全世界で約30万種類の植物が知られており、様々な生理活性に有用な成分が植物に含有されていることが明らかになっている。その有用成分は、細胞の正常な代謝過程で副次的に生産され、細胞内の特殊な場所に蓄積される二次代謝産物であり、生化学的または生態学的な観点から見ると、微生物や外部の動物から植物体自身を守る点、および生理活性の面で有利な物質である点で関心が高まっている。
【0003】
植物が生産する二次代謝産物には、アルカロイド(alkaloids)、フラボノイド(flavonoids)、カロテノイド(carotenoids)、グリコサイド(glycosides)、テルペノイド(terpenoids)などがある。このような植物の二次代謝産物には、保湿、皮膚の鎮静と収束、紫外線遮断、美白、角質除去、皮膚の老化防止、酸化防止、皮膚のシワの改善、抗菌、抗炎、抗がんなどの効果を表すものが多い。
【0004】
植物体から、胚珠が子房についている場所である、胎座を摘出分離して、基内培養(栄養分が含有されている培地に無菌的に培養する植物組織培養技術)によって、二次代謝産物(Secondary metabolites)の生理活性物質を生産することができる。このように、植物組織培養を通じて、植物の器官・組織・および細胞から有用な物質を大量に生産する技術が発達している。
【0005】
これに対して、植物から二次代謝産物を直接抽出しようとしても、二次代謝産物の含有量があまりにも低いうえに、植物体の部位別で生産性が異なったり、または天候、季節、場所などの影響により植物の生育が制限されたりなどの多くの制約がある。これらの制約を植物の細胞培養システムの開発で克服することにより、優れた生理活性効果がある二次代謝産物の商業生産が可能になる。
【0006】
一方、産業が発達するにつれて、環境汚染が深刻化し、皮膚の老化防止、美白などに関する関心が高まり、紫外線カット、皮膚の鎮静と収れん、抗酸化、皮膚のシワの改善などのための製品開発に多くの努力がなされており、特に、胎盤由来の抽出物を使った化粧品の製造などが試みられている。
【0007】
しかしながら、牛をはじめとする動物由来の胎盤抽出物は、BSE(Bovine Spongiform Encephalopathy)の問題が懸念され、中でも、豚由来の胎盤抽出物は、コレラなどの病原性およびアレルギーの問題が懸念されている。また、人間を含む哺乳類の胎盤から直接抽出し、化粧品の原料として利用する場合、その抽出方法によって、皮膚の美容に関与していない多量の不純物が含まれる場合があり、皮膚、特に皮膚に傷がある場合は、免疫拒絶反応をきたす恐れがある。特にヒト胎盤は倫理的な問題があるため、ヒト胎盤抽出物を含有する化粧品の販売が制度的に禁止されている国も多い。
【0008】
一方、植物の胎座抽出物を利用した皮膚外用剤組成物や機能性食品は開発の余地があるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2001−503754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者は、肌の改善機能を有する皮膚外用剤組成物または食品を製造するために努力していたところ、バラの胎座組織を分離し組織培養して得られたバラの胎座組織培養物またはその抽出物が、皮膚細胞の成長および増殖を活性化させ、抗酸化作用やシワの改善作用があることを見出して、本発明を完成した。
【0011】
したがって、本発明は、バラ胎座組織培養物またはその抽出物を有効成分として含有する皮膚改善用の皮膚外用剤組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物を含有する機能性食品を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物を有効成分として含有する皮膚外用剤組成物の製造方法を提供する。
【0014】
加えて、本発明は、上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物を有効成分として含有する機能性食品の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様に係る皮膚改善用皮膚外用剤組成物は、バラ胎座組織培養物またはその抽出物を有効成分として含有する。
上記皮膚外用剤組成物において、上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物の含有量は、組成物の総重量に対して0.1〜10質量%であることができる。
上記皮膚外用剤組成物において、上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物が粉末状で含有されていることができる。
上記皮膚外用剤組成物において、皮膚細胞の増殖作用および/または再生作用を有することができる。
上記皮膚外用剤組成物において、抗酸化作用を有することができる。
上記皮膚外用剤組成物において、コラーゲン合成増進作用を有することができる。
上記皮膚外用剤組成物において、皮膚の老化防止作用を有することができる。
【0016】
本発明の別の一態様に係るバラ胎座組織の培養物またはその抽出物を含有する皮膚改善用皮膚外用剤組成物の製造方法は、下記工程(a)および(b)を含む。
(a)バラの子房内の胎座組織を分離して培養する工程、および
(b)上記(a)工程で得られた培養物またはその抽出物を含有する組成物を製造する工程。
上記方法において、上記工程(b)は、上記工程(a)で得られたバラ胎座組織培養物を乾燥し、粉末化し、水に混合させて組成物を製造する工程を含むことができる。
上記方法において、上記工程(b)は、上記(a)で得られたバラ胎座組織培養物を乾燥し、粉末化し、水に混合させた後、超音波抽出および/または熱水抽出して組成物を製造する工程を含むことができる。
【0017】
本発明の他の一態様に係る機能性食品は、バラ胎座組織培養物またはその抽出物を含有する。
上記機能性食品は皮膚の改善用であることができる。
上記機能性食品は皮膚細胞の増殖作用および/または再生作用を有することができる。
上記機能性食品は抗酸化作用を有することができる。
上記機能性食品はコラーゲン合成促進作用を有することができる。
上記機能性食品はEGF、TGF−β1およびTNF−αから選ばれる少なくとも1種のサイトカインの発現作用を有することができる。
上記機能性食品は免疫疾患改善作用を有することができる。
上記機能性食品は皮膚の老化防止作用を有することができる。
上記機能性食品は、粉末、顆粒、タブレット、ソフトカプセル、ハードカプセル、粉末、顆粒、液状、丸剤、飲料、ゼリー、グミ、キャンディー、焼き菓子、およびエナジーバーから選ばれる少なくとも1種の食品または飲料の形態であることができる。
上記機能性食品は、上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物が希釈されていない状態で、または希釈された状態で、カプセルに含まれていてもよい。
【0018】
本発明のさらに他の一態様に係る抗酸化用組成物は、バラ胎座組織培養物またはその抽出物を含有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の皮膚外用剤組成物は、抗酸化活性に優れたバラ胎座組織培養物またはその抽出物を含有することにより、皮膚細胞の成長や増殖によって皮膚細胞を活性化させて、皮膚の再生作用、抗酸化作用およびシワの改善作用を高める優れた作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、ヒト角質形成細胞での本発明によるバラ胎座培養組織の抽出物の細胞増殖効果を示すグラフである。
【図2】図2は、バラ胎座培養組織抽出物の抗酸化作用を示すグラフである。
【図3】図3は、バラ胎座培養組織の抽出物のヒト繊維芽細胞のコラーゲンの強化の効果を示すグラフである。
【図4】図4は、バラの胎座培養組織抽出物のサイトカイン発現率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、バラの胎座組織培養物またはその抽出物に関し、具体的には、皮膚細胞の成長および増殖を活性化させ、抗酸化作用およびシワの改善効果を有し、様々なサイトカインを発現しており、免疫疾患の改善機能と代謝活性を促進させることができ、皮膚の改善用、免疫疾患の改善用、代謝活性促進用、抗酸化剤の用途などで利用可能なバラ胎座組織培養物またはその抽出物に関する。
【0022】
また、本発明は、皮膚の改善用皮膚外用剤組成物およびその製造方法、ならびにこれを含有する機能性食品に関する。本発明の皮膚の改善用皮膚外用剤組成物は、バラ胎座組織培養物またはその抽出物を有効成分として含有する。
【0023】
さらに、本発明は、ばら胎座組織培養物またはその抽出物を使ったシワの改善などの皮膚の改善方法、皮膚(肌)の老化を抑制または予防する方法、または免疫疾患を改善または予防する方法に関するもので、具体的には、上記バラ胎座組織培養物(水)またはそれらの抽出物を対象に投与する工程を含む方法である。ここでの対象は、人間を含む動物、植物、微生物などに対応することで、投与はin vivoまたはin vitroで行うことができ、従来に知られている様々な投与方法、投与形態などを利用して、適切に実行できる。
【0024】
加えて、本発明は、肌の老化抑制用、皮膚の改善用、免疫疾患の改善用、代謝活性促進用、または抗酸化剤の使用などのためのバラ胎座組織培養物またはその抽出物の用途に関するものである。
【0025】
以下の実施形態において、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、単に「%」と記載されているものは原則として「質量%」を意味するものとする。
【0026】
1.皮膚改善用皮膚外用剤組成物
1.1.バラ胎座組織培養物またはその抽出物
本発明の皮膚改善用の皮膚外用剤組成物は、バラ胎座組織培養物またはその抽出物を有効成分として含有する。具体的には、上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物は、組成物の総重量に対して0.1〜10質量%で含有することができる。これらの比率はただの適合範囲であり、例えば、後述する実施例では、上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物の含有量が0.1〜5質量%である場合について試験を行ったが、これらに加えて10質量%まで、またはそれ以上の20質量%または30質量%以上の場合にも、優れた皮膚改善効果、皮膚の増殖、再生、シワ改善、抗酸化作用の機能を有することは、当業者にとって明確である。
【0027】
本発明において、上記バラ胎座組織培養物(培養体)自体を使用したり、培養物を濾過して使用したり、培養物を破砕して使用したり、培養物を乾燥させ粉末化した後、水(精製水)に混合して溶かして使用することができる。すなわち、本発明の皮膚改善用の皮膚外用剤組成物は、バラ胎座組織培養物またはその抽出物を粉末状で含有することができる。
【0028】
本発明において、「抽出物」は、必要に応じて上記バラ胎座組織培養物を粉末化して、熱水抽出法、エタノール抽出法等によって従来から知られている多様な抽出法によって取得した抽出物を意味する。
【0029】
本発明のバラ胎座組織培養物の抽出方法は特に制限されず、例えば冷浸抽出、超音波抽出、還流抽出、熱水抽出などがあり、バラ胎座組織培養体内の生理活性物質を確実に抽出できる観点から、超音波抽出/熱水抽出することが好ましい。ここで、超音波抽出の場合には、超音波発生器(Elma、Transsonic 1040 / H)を使用して40kHzで60分間超音波抽出を行い、65℃で2時間攪拌して反応させた後、熱湯蒸留器で8〜48時間、80〜100℃に加熱して熱水抽出物を得ることができる。
【0030】
また、水、有機溶媒、またはその混合溶媒を使用して抽出する方法で抽出物を製造してもよい。抽出液は、すぐに使用してもよいし、または濃縮および/または乾燥して使用してもよい。有機溶媒を使用して抽出する場合は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレン、アセトン、ヘキサン、エーテル、クロロホルム、酢酸エチル、ブチル酢酸、ジクロロメタン、N、N -ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、またはこれらの混合溶媒である有機溶媒を使用し、生薬の有効成分が破壊されないように最小化された状態で、室温または加温して抽出することができる。抽出する有機溶媒によって、薬剤の有効成分の抽出程度と損失程度が異なることがあるので、適当な有機溶媒を選択して使用するのが好ましい。
【0031】
本発明において、上記抽出物は濃縮または希釈して使用することができ、抽出物の蒸留液を使用してもよい。
【0032】
本発明において、「皮膚(の)改善用」とは、皮膚の保護、皮膚状態の改善、皮膚の美白、皮膚の老化防止および/または改善作用、皮膚のシワの予防および/または改善作用、皮膚の炎症反応の緩和、免疫疾患改善作用、皮膚のバリア機能の改善、皮膚刺激緩和、皮膚細胞増殖および再生作用、抗酸化作用、コラーゲン合成増進作用などを含む概念である。
【0033】
本発明において、「有効成分として含有する」とは、皮膚外用剤組成物として皮膚の改善効果を表すことができること、例えば、皮膚細胞の増殖活性が改善でき、活性化させることができる程度に含有することを意味する。また、「有効成分として含有する」とは、皮膚外用剤組成物として、シワの改善効果に関連するコラーゲン合成またはMMP-1、9抑制活性を示すことができる程度の有効量を含有すること、あるいは抗酸化作用またはサイトカイン発現作用を示すことができる程度の有効量を含有することを意味する。
【0034】
本発明において、バラ[薔薇、rose]は、双子葉植物バラ目バラ科(Rosaceae)バラ属(Rosa)に属する植物の総称であり、低木性の花木である。バラ属の植物は落葉性の低木であり、時にはツル性になり、茎にはとげが多く、葉は互生、花は単生、または花の花柄の長さが下のものは長く、上へ行くほど短くなり、それぞれの花はほぼ同一平面に並んで咲く散房状に生る。萼および花弁は通常5個であり、まれに4個の場合もある。雄蕊は複数あり、雌蕊は花床の中に多数存在し、多数の花床は果、場合によっては膨らんでジャンゴ形になり、中には多くの硬い痩果を含んでいる。
【0035】
今日、バラと称されるものは、これらの野生種の自然雑種と改良種を意味する。各種には、個体変異が多く、種間雑種になりやすい。バラは、花の美しい形と香りのための観賞用と香料用に栽培されてきており、改良を加えて育成した園芸種(Rosa hybrida Hort.)を意味する。バラは西欧では古代から最も愛される観賞低木であり、現代に至っても、世界で最も人気の高い観賞低木の一つである。西欧の古代のものはRosa gallica、R. centifolia、R. damascenaなどであった。現代のものは、中国の月季花やR. odorataと地中海のR. gallica、R. damascena、R. moschataとの複雑な交配からHybrid Teaが作られた。純黄品種は、イラン原産のR. foetidaとHybrid Teaとの交配によって作られた。野いちごの花と月季花を交配したものにHybird Teaを交配することで、花が大きい多化性フロリバンダ(floribunda)が作られた。
【0036】
本発明において、「バラ」はこれらに制限されるものではなく、Rosa gallica, Rosa centifola, Rosa damascene, Rosa chinensis, Rosa odorata, Rosa moschata, Rosa foetida, Rosa canina, Rosa rugosa, Rosa davurica Pall, Rosa multiflora, Rosa luciae, Rosa wichuraiana, Rosa gigantea, Rosa alba, Rosa primula, Rosa banksiae, Rosa Mundi, Rosa brunonii, Rosa cinnamomea, Rosa glauca, Rosa spinosissma, Rosa foetida bicolor, Rosa foetida persiana, Rosa fedtschenkoana, Rosa mulliganii, Rosa sericana pteracantha, Rosa hugonis, Rosa banksiae lutea, Rosa banksiae, Rosa roxburghii, Rosa hirtula, Rosa aciculaisis nipponensis, Rosa uchiyamana, Rosa jasminoides, Rosa fujisanensis, Rosa laevigata, Rosa cinnamomea, Rosa nitida, Rosa california, Rosa virginiana, および Rosa palustrisを含むバラ属植物がバラに含まれる。
【0037】
植物組織培養は、生きている小さな植物の組織を基内(in vitro)で無菌的に培養し、培養の目的によって植物の細胞、器官、および植物体を増殖させる技術である。植物組織培養は、植物が有する基本的な特性を利用するものである。より具体的には、植物組織培養技術は、植物が有する独特の特徴である植物の体細胞から植物体を再生させることができる分化全能性(totipotency)を利用することをベースにした技術である。つまり、植物の単細胞(原形質体を含む)または葉と根の切片を、特定の栄養物質および成長調節剤が添加された培地で培養すると、これらの細胞や組織から植物体が再生することができる
。これらの植物が分化全能性(totipotency)を有する能力は、植物が有する特性である固着生活と長期生存のために、劣悪な環境と草食動物の被害から生存するための戦略である。この戦略のために、植物は、失われた器官を再生させるための能力を有するようになったと思われる。母植物体から分離された植物組織細胞は、適切な培養環境で培養すると、完全な植物体に再生できる潜在力を有する。すなわち、植物は分化全能を有するため、発生学などの学術的な重要性を有することに加えて、化粧品原料等の実用化のためにも活用価値が高い。
【0038】
植物の胎座(胎座、Placenta)は、動物由来の胎盤に相当し、種子の育成を主管する重要な部位であり、雌蕊の子房(Ovary)の中で胚珠がつく部分である。通常、子房を形成する心皮(carpel)の端のところにあり、時には心皮の中脈にもある。また、子房の基底か、基底から子房の中に立っている柱の形で胎座ができる場合もある。
【0039】
本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物を得るにあたり、バラ胎座組織の培養を行うことにより、本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物を天候の影響を受けずに安定して得ることができる。また、バラ胎座組織の培養は、栽培したバラから抽出物を得る場合と比較して、栽培用の土地が必要なく、高濃度の純粋な物質を得ることができるうえに、バラの栽培で通常行われているような農薬等の有害物質の散布の必要がなくなるため、安全性に優れ、環境汚染を防止することができる。
【0040】
1.2.バラ胎座組織培養物またはその抽出物の製造方法
本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物を含有する皮膚改善用皮膚外用剤組成物の製造方法は、下記工程(a)および(b)を含む:
(a)バラの子房内の胎座組織を分離して培養する工程、および
(b)上記(a)工程で得られた培養物またはその抽出物を含有する組成物を製造する工程。
【0041】
上記工程(a)において、具体的にはバラの胎座組織を培養するために、適切な培地を選択することができる。技術分野での植物組織培養に一般的に使用されている培地がある場合は、制限なしで使用可能である。植物では一般的にMS培地、B5培地などを主に使用し、一例として、MS培地の組成(1Lベース)は、NH4NO3 1650 mg, KNO3 1900 mg, CaCl2.2H2O 440 mg, MgSO4.7H2O 370 mg, KH2PO4 170 mg, KI 0.83 mg, H3BO3 6.2 mg, MnSO4.4H2O 22.3 mg, ZnSO4.7H2O 8.6 mg, Na2MoO4.2H2O 0.25 mg, CuSO4.5H2O 0.025 mg, CoCl2.6H2O 0.025 mg, FeSO4.7H2O 27.8 mg, Na2EDTA.2H2O 37.3 mg, ミオイノシトール 100 mg, ニコチン酸 0.5 mg, ピリドキシン塩酸塩 0.5 mg, チアミン塩酸塩 0.5 mg, グリシン 2 mg, ショ糖 30000 mgである。
【0042】
本発明において、上記工程(b)において、上記工程(a)の培養を通じて得られたバラ胎座組織培養物をそのまま含む組成物を適切な形態の皮膚外用剤組成物または機能性食品として製造したり、または、上記培養物を抽出方法によって抽出物の形態で取得したりして、適切な形態の皮膚外用剤組成物または機能性食品として製造することができる。例えば、上記工程(a)で得られた培養物を熱風乾燥した後、粉末化して水分を蒸発させ、必要によっては適切なバインダーと混合することにより、組成物を製造してもよい。
【0043】
本発明において、上記バインダーは、本発明のバラ胎座培養物またはその抽出物が食品用素材として提供される場合(例えば、液状体、粉末体(散剤)、粒剤、錠剤などの形で提供される場合)に、取り扱いの利便性および形成性の向上のために追加される添加剤である。このようなバインダーの例として、液体の場合、水、アルコール、グリセリン、増粘多糖類などがあり、粉末の場合、乳糖、澱粉、デキストリン、ショ糖、オリゴ糖、サイクロデキストリン、セルロース誘導体などがあり、粒剤、タブレット、カプセルなどの場合、乳糖、澱粉、デキストリン、ショ糖、オリゴ糖、サイクロデキストリン、セルロース
誘導体、ショ糖エステル、脂肪酸エステルなどがある。
【0044】
本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物を含有する皮膚改善用皮膚外用剤組成物の製造方法によれば、上記(a)工程を含むことにより、天候の影響を受けずに安定してバラ胎座組織培養物またはその抽出物を製造することができる。また、本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物を含有する皮膚改善用皮膚外用剤組成物の製造方法によれば、上記(b)工程が、上記(a)工程で得られたバラ胎座組織培養物を乾燥し、粉末化し、水に混合させた後、超音波抽出および/または熱水抽出して組成物を製造する工程を含むことにより、該バラ胎座組織培養物を乾燥することによって培養物の中の成分を濃縮してから抽出させることができるため、該成分を高濃度に溶出させることができる。また、粉末化によって該バラ胎座組織培養物が溶媒である水と接する表面積が増えるため、該成分をより溶出させやすくすることができる。
【0045】
1.3.化粧料組成物または薬剤学的組成物
本発明の皮膚外用剤組成物は、化粧料組成物または薬剤学的組成物であってもよい。
【0046】
上記化粧料組成物においては、化粧品製剤における許容可能な担体を含むことができる。ここで、「化粧品製剤における許容可能な担体」とは、化粧品製剤に含めることができる、公知であり公用されている化合物または組成物であるか、または今後開発される化合物または組成物として、皮膚との接触時、人体が適応できる以上の毒性、不安定性、または刺激性がないものをいう。
【0047】
本発明の皮膚外用剤組成物において、上記担体は、組成物の総重量に対して約1質量%から約99.99質量%、好ましくは、組成物の総重量の約90質量%から約99.99質量%で含まれていてもよい。しかし、上記割合は、本発明の皮膚外用剤組成物を含む後述の剤形によって、それの具体的な適用部位(顔、首など)や望ましい適用量などに依存するもので、上記割合はどのような側面であれ、本発明の範囲を制限するものとして認識されない。
【0048】
上記担体としては、アルコール、オイル、界面活性剤、脂肪酸、シリコーンオイル、湿潤剤、保湿剤、粘性変形剤、油剤、安定剤、紫外線散乱剤、紫外線吸収剤、発色剤、香料などが例示できる。上記アルコール、オイル、界面活性剤、脂肪酸、シリコーンオイル、湿潤剤、保湿剤、粘性変形剤、油剤、安定剤、紫外線散乱剤、紫外線吸収剤、発色剤、香料として使用できる化合物/組成物は当業者に公知であり、当業者であれば適切な該当物質/組成物を選択して使用できる。
【0049】
本発明の皮膚外用剤組成物は例えば、上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物以外にグリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、エタノール、トリエタノールアミンなどを含むことができ、防腐剤、香料、着色料、精製水などを必要に応じて微量含むことができる。
【0050】
本発明の皮膚外用剤組成物は多様な形で製造できるが、例えば、化粧水、エッセンス、ゲル、エマルジョン、乳液、クリーム(水中油積型、油中水積型、多重象)、溶液、懸濁液(無水および水系)、無水生成物(オイルおよびグリコール系)、マスク、パック、粉末、またはゼラチンなどの皮膜を有するカプセル(ソフトカプセル、ハードカプセル)剤形などの形態に製造できる。
【0051】
本発明において、「皮膚」とは顔の皮膚のみではなく、頭皮、全身の皮膚も含まれる概念である。例えば、頭皮に適用できる皮膚外用剤組成物としては、例えば、シャンプー、リンス、トリートメント、発毛剤などがあり、全身に適用できる皮膚外用剤組成物としては、例えば、石鹸、ボディーシャンプー、ボディーローション、ボディークリームなどの用途として多様な形態に製造できる。
【0052】
本発明の皮膚外用剤組成物の製造方法は、上記製造方法に限定されるものではなく、本発明が属する技術分野で一般の知識を有する者であれば、上記製造方法の一部を変形した方法によっても、本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物を含有する皮膚外用剤組成物を製造することができる。
【0053】
特に、上記皮膚外用剤組成物は、本発明に特別に開示された製造方法以外にも、一般的に知られている製造方法を利用して、一般的な油化剤形および可溶化剤形の形で製造することができる。
【0054】
化粧料組成物として製造される場合、油化剤形の化粧品としては、栄養化粧水、クリーム、エッセンスなどがあり、可溶化剤形の化粧品としては、柔軟化粧水などがある。また、皮膚科学的に許容可能な媒質や基剤を含有することで、皮膚科学の分野で一般的に使用される局所適用または全身に適用できるサプリメントの形で製造できる。
【0055】
また、適切な化粧品の剤形としては、例えば、溶液、ゲル、固体、練り無水生成物、水状物に油状物を分散させて得たエマルジョン、懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、ナノソームまたはイオン型(リポソーム)、非イオン型の小胞性分散剤の形態、クリーム、スキン、乳液、パウダー、軟膏、スプレー、またはコンシーラースティックの形で提供できる。また、泡(foam)の形態、圧縮された推進剤をさらに含有するエアロゾル組成物の形であってもよい。
【0056】
また、本発明の皮膚外用剤組成物はさらに、脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤、ゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤(foaming agent)、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型または非イオン型油化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、キレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、必須オイル、染料、顔料、親水性または親油性活性剤、脂質小胞、化粧品に一般に使用される任意の他の成分と同じ化粧品学または皮膚科学の分野で一般に使用されている補助剤を含有することができる。そして、皮膚科学の分野で一般に使用される量にて上記成分を導入することができる。
【0057】
本発明の皮膚外用剤組成物は、優れた皮膚細胞再生作用および/または増殖作用を有し、皮膚(肌)状態改善作用、抗酸化作用、コラーゲン合成増進作用による皮膚老化防止作用、皮膚の美白作用、優れたサイトカイン発現作用による炎症の緩和/予防作用を有し、免疫疾患の治療/予防が可能な機能性化粧品の形態を含む。
【0058】
後述する実施例に示されるように、本発明の薬剤学的組成物は、様々なサイトカイン(例えば、VEGF、EGF、FGF、TGF−β1、IL−1α、IL−6、IL−8およびTNF−α)の発現作用を有し、中でも、EGF、TGF−β1およびTNF−αについて有意的なレベルのサイトカイン発現作用を有するため、免疫疾患治療および/または予防のための薬剤学的組成物として機能することができる。
【0059】
これらの薬剤学的組成物は、有効成分であるバラ胎座組織培養物またはその抽出物のほかに、「薬学的に許容可能な担体」を含むことができ、これらの担体は、希釈剤、活澤剤、接着剤、崩解剤、甘味剤、安定剤、および防腐剤からなる群から選択することができる。上記薬剤学的組成物は添加剤をさらに含んでいてもよい。上記添加剤に香料、ビタミン、および抗酸化剤が含まれていてもよい。上記担体で薬剤学的に許容可能な担体はすべて可能で、例えば、希釈剤としては、乳糖、デキストリン、タピオカ(tapioca)澱粉、トウモロコシ澱粉、大豆油、微結晶セルロース、またはマンニトールなどが挙げられ、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウムまたはタルクなどが挙げられ、結合剤としては、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。また、崩解剤としては、カルボキシメチルセルロースカルシウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、ポラクリリンカリウム、またはクロスポビドンなどが挙げられ、甘味剤としては、白糖、果糖、ソルビトール、またはアスパルテームなどが挙げられ、安定剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ベータサイクロデキストリン、またはキサンタンガムなどが挙げられ、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、またはソルビン酸カリウムなどが挙げられる。
【0060】
上記薬製学的組成物は、当該技術分野で公知である通常の薬剤学的製剤として製剤化される。上記薬製学的組成物は、経口投与製剤、注射剤、座剤、経皮投与製剤、または経鼻投与製剤の剤形に製剤化されて投与することができる。例えば、上記剤形は液剤、懸濁剤、散剤、顆粒剤、タブレット、カプセル剤、丸剤、またはエキス剤のような経口投与用製剤であってもよい。
【0061】
2.食品
本発明は、上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物を含む食品(機能性食品または食品添加物)に関する。
【0062】
本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物自体は毒性や副作用がほとんどないため、食品に安全に使用できる。
【0063】
本発明において、「機能性食品(functional food)」とは、特定保健用食品(food for special health use、FoSHU)を含み、栄養補給のほか、生体調節機能が効率的に現れるように加工された医学、医療効果が高い食品を意味する。また、本発明において、「機能性食品」という用語は、健康食品、健康補助食品という用語と互用される。「健康食品(health food)」は、通常の食品に比べて積極的な健康維持や増進効果を有する食品を意味し、健康補助食品(health supplement food)は、健康補助目的の食品を意味する。これらの機能性食品は、皮膚の美白、シワの改善、抗酸化作用などの効果を得るために、タブレット、ソフトカプセル、ハードカプセル、粉末、顆粒、液状、丸剤、飲料、ゼリー、グミ、キャンディー、焼き菓子、エナジーバー(バランス栄養食品)などの食品または飲料などの様々な形態の食品であることができる。これらの形態の食品は、後述する実施例に示される方法に制限されることなく、公知の方法を用いて製造することができる。
【0064】
本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物を、皮膚の保護および改善効果、皮膚の美白効果、皮膚刺激緩和、皮膚の老化防止または改善、シワの予防または改善、皮膚の保護、皮膚の炎症反応の緩和効果、皮膚のバリア機能の回復効果を目的として、食品や飲料に加えることができる。また、本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物はポリフェノール、フラボノイドなどの生理活性物質を含有しており、抗酸化作用を有することにより、本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物を含む食品または飲料は、新陳代謝活性を高め、体の機能を回復し、老化を防止することができる。
【0065】
また、本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物は、様々なサイトカイン(VEGF、EGF、FGF、TGF−β1、IL−1α、IL−6、IL−8およびTNF−α)を発現しており、EGF、TGF−β1およびTNF−αへの有意的なレベルのサイトカイン発現作用を有するため、免疫疾患を改善することができる。この際、食品および飲料中における上記バラ胎座組織培養物または抽出物の量は、一般的に、食品全体重量の0.01〜5質量%で添加でき、飲料は100mlを基準に0.01〜2g、好ましくは0.3〜1gの割合で添加できる。
【0066】
本発明の食品は、水(精製水)をはじめとする無機溶媒または有機溶媒を使用して、本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物を希釈した状態で、または希釈されていない状態で含有することができる。
【0067】
本発明の飲料は、必須成分として上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物を所定の割合で含むが、その他の成分には特別な制限はなく、通常の飲料のように、様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有できる。上記炭水化物の例は、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、マンノースなどのモノサッカライド;マルトース、スクロースなどのジサッカライド;デキストリン、シクロデキストリンなどのような通常の糖;キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールなどがある。上記甘味料として、ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオサイドA、グリチルリチンなど)な
どの天然甘味料や、サッカリン、アスパルテームなどの合成甘味料を有利に使用できる。上記天然炭水化物の割合は、本発明の飲料100mlあたり一般的に約1〜20g、好ましくは約5〜12gである。
【0068】
本発明の食品や飲料はさらに、様々な栄養剤、ビタミン類、ミネラル類(電解質)、合成香料および天然香料など風味剤、着色剤、および香味増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸、およびその塩、有機酸、保護コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有してもよい。本発明の食品や飲料にはそのほかに、天然のフルーツジュースやフルーツジュース飲料および野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。これらの成分は単独でまたは組み合わせて使用することができる。これらの添加剤の割
合は、本発明の機能性食品100質量%当たり0〜約20質量%の範囲で選択されるのが一般的である。
【0069】
また、本発明のバラ胎座組織培養物または抽出物を食品に直接添加しても使用できるが、対象食品をバラ胎座組織培養物またはその抽出物に直接浸漬したり、バラ胎座組織培養物またはその抽出物を食品に噴霧したりすることで、皮膚の保護および改善効果、皮膚の美白効果、皮膚の老化防止または改善効果、シワの予防または改善効果、皮膚の保護、皮膚の炎症反応の緩和効果、および皮膚のバリア機能の回復効果を得ることができる。
【0070】
本発明の機能性食品では、本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物が食品添加物として配合されていてもよい。
【0071】
上記食品添加物としては、例えば、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酸性ピロリン酸塩、ポリリン酸塩(重合リン酸塩)などのリン酸塩、ポリフェノール、カテキン(catechin)、α-トコフェロール、ローズマリー抽出物(rose mary extract)、甘草抽出物、キトサン、タンニン酸、フィチン酸などの天然の抗酸化剤のいずれかまたはこれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0072】
また、本発明は、上記食品添加物に加えて、あるいは上記食品添加物の代わりに、殺菌剤、香辛料、調味剤、様々な栄養剤、ビタミン、ミネラル(電解質)、合成香料および天然香料など風味剤、着色剤、および香味増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護コロイド増粘剤、pH調整剤、安定剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを、食品素材の必須原料として使用する食品添加物の使用方法を提供する。この場合、食品添加物は食品を浸漬、噴霧または混合して上記食品に添加でき、本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物の含有量は、組成物全体100質量部に対して0〜約20質量部の範囲であることができる。
【0073】
本発明の食品は、穀類、芋類、豆類、野菜類、果物類、魚介類、肉類、乳類、海藻類などの天然食品、またはパン類、菓子類、ラーメン、アイスクリームなどの加工食品、または飲料であることができる。
【0074】
3.抗酸化用組成物
本発明の抗酸化用組成物は、本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物を含む。優れた抗酸化作用を有する本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物を含む本発明の抗酸化用組成物は、新陳代謝機能を促進し、体の機能を回復し、老化を防止することができる。また、本発明のバラ胎座組織培養物またはその抽出物は様々なサイトカイン(例えば、VEGF、EGF、FGF、TGF−β1、IL−1α、IL−6、IL−8およびTNF−α)を発現しており、特にEGF、TGF−β1およびTNF−αへの有意的なレベルのサイトカイン発現作用を有することにより、免疫疾患の改善を図ることができるた
め、本発明の抗酸化用組成物は、抗老化組成物、免疫疾患の改善用組成物の形態を含むことができる。
【0075】
4.実施例
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、あくまでも本発明を例示するためのもので、本発明の範囲が、これらの実施例によって制限されるものと解釈されていないのは当業者に自明である。
【0076】
特に、以下の実施例では、バラ胎座組織培養物またはその抽出物の効能を確認したが、抽出物ではない培養物についても、このような効果があることは当業者に明確である。
【0077】
4.1.実施例1(本発明のバラ胎座組織培養抽出物の製造)
(1)バラ(Rosa Damascena)胎座組織の分離
培養のために、バラの花のつぼみ内の胚珠、子房を70%エタノールおよび0.5%次亜塩素酸ナトリウムで5分間滅菌消毒し、滅菌水で数回洗った。慎重にピンセットを使用して、子房の壁をはがして、胎座を分離し、5%ショ糖を含むMS培地(Duchefa, Cat# M0256)で2〜3週間培養した。
【0078】
(2)分離されたバラ胎座組織の培養および大量生産
無菌的に分離されたバラの胎座組織を、5%ショ糖およびwhiteのビタミンを含むMS培地で一定の間隔(2〜3週間)で継代培養した。その後、風船型生物反応器((株)三星科学)を使って寒天を除いた同一組成の液体培地で温度25℃、空気供給量を0.1vvmで一定に調整しながら14日間隔で培養・増殖して大量生産した。
【0079】
(3)バラ胎座組織培養抽出物の製造
増殖させたバラ胎座組織培養物を収穫して、清潔なティッシュで十分に水分を除去した後、60℃で2日間乾燥機を使い乾燥させた。乾燥されたバラ胎座組織培養物の粉末100gを容器に入れ、精製水10Lを入れた後、超音波発生器(Elma, Transsonic 1040/H)を使って、40kHzで60分間超音波抽出を行い、65℃で2時間攪拌して反応させた後、熱湯蒸留器で8〜48時間、80〜100℃に加熱して熱水抽出物を得た。抽出後、メッシュでろ過し、固形物を除去して、バラ胎座組織培養抽出物(バラ胎座組織培養物の抽出物)を製造した。
【0080】
4.2.比較例1(バラ花びら抽出物の製造)
バラの花びらを収穫して、60℃で2日間乾燥機を使い十分に乾燥した。乾燥したバラの花びら100gを容器に入れ、精製水10 Lを添加した後、超音波発生器(Elma、Transsonic1040/H)を使用して40kHzで60分間超音波抽出を行い、65℃で2時間攪拌して反応させた後、熱湯蒸留器で8〜48時間、80〜100℃に加熱して熱水抽出物を得た。抽出後、メッシュでろ過し、固形物を除去して、バラの花びら抽出物を製造した。
【0081】
4.3.比較例2(バラ子房部抽出物の製造)
バラ子房部を収穫して60℃の乾燥機内で2日間十分に乾燥させた。乾燥させたバラ子房部10gを容器に入れ、精製水1L を入れた後、超音波発生器(Elma, Transsonic 1040/H)を利用して40kHzで60分間超音波抽出を行い、65℃で2時間攪拌して反応させた後、熱湯蒸留機で8〜48時間、80〜100℃で加熱し、熱水抽出物を得た。抽出後、メッシュでろ過し、固形分を除去して、バラ子房部抽出物を製造した。
【0082】
4.4.実験例1(本発明のバラ胎座組織培養抽出物の細胞成長および増殖作用の評価試験)
本発明によるバラ胎座組織培養抽出物の肌細胞の増殖活性を調べるために、ヒト角質形成細胞(Human Skin Keratinocyte、HaCaT)はATCC(American Type Culture Collection)で分珠を受けて培養した。細胞を1×104細胞/mlの濃度にして、24ウエル培養プレートに接種した。培地は、10%FBSを含有するDMEM(Dubelcco 'S Modified Eagle Medium、BRL、USA)を使用した。10%FBSを含有するDMEMで48時間培養し、培養容器の表面積の25〜30%ほど培養すると、実施例1で製造されたバラ胎座組織培養抽出物を0.1%〜5%含有するFBS - free DMEMに交換して24時間さらに培養した。培養後、3-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-2,5-ジフェニル-2H-テトラゾリウムブロマイド(MTT、Sigma M5655、USA)溶液(2.5 mg/ml)を50μl添加し、3時間、追加で培養した後、上清を除去し、各ウエルあたり200μlのジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma D2650、USA)溶液を加えた後、20分間攪拌して形成されたホルマザン(formazan)の結晶を溶かした後、100μlずつ96ウエルにとり、Enzyme - Linked Immunosorbent Assay(ELISA)で570 nmでの吸光度を測定した。肌細胞の増殖活性度は、純水(精製水)を使用した対照群の吸光強度を基準とする下記式1に基づいて計算してパーセントで表示した。
[式1]
細胞増殖効果(%)=(抽出物処理時の吸光度/対照群の吸光度)× 100
【0083】
【表1】

【0084】
上記ヒト角質形成細胞(keratinocyte)を用いた細胞成長および増殖に及ぼす影響実験の結果、表1および図1に示されるように、5%バラ胎座組織培養抽出物を用いた場合の細胞増殖効果は124%であり、対照群と比較して高い細胞増殖効果が確認できた。1%バラ胎座組織培養抽出物を用いた場合、対照群と比較して116%の細胞増殖効果が確認され、0.5%、0.1%のバラ胎座組織培養抽出物を用いた場合、対照群と比較して109%、102%の細胞増殖効果が確認された。
【0085】
このように、本発明のバラ胎座組織培養抽出物は、肌細胞の成長および増殖を活性化することが確認された。これに対して、胎座組織培養物ではないバラの花びら抽出物(対照群)の場合、細胞の増殖効果が微々たるものであった。
【0086】
4.5.実験例2(本発明のバラ胎座組織培養抽出物の抗酸化作用の評価試験)
本発明によるバラ胎座組織培養抽出物の抗酸化作用は、Antioxidant Assay Kit(Cayman、Ann Arbor、Mich.)を使用し、製造者の指示にしたがって実験した。
【0087】
バラ胎座組織培養抽出物の抗酸化作用(Antioxidative Capacity)は、Antioxidant Assay Kit(Cayman社、Cat No.709001、Antioxidant Kit)を利用して、トロロックス(Trolox)の抗酸化作用(Antioxidative Capacity)をさまざまな濃度の基準(standard)にして、トロロックス濃度に転換させて算出した。
【0088】
【表2】

【0089】
その結果、表2および図2に示されるように、バラ胎座組織培養抽出物は濃度依存的(Dose - Dependent)に抗酸化作用が増加することが明らかになった。5%のバラ胎座組織培養抽出物は、陽性対照群の100μMのビタミンCよりも高い抗酸化作用(Antioxidative Potency)を示したことから、バラ胎座組織培養抽出物が高い抗酸化作用を有することが理解できる。これに対して、バラの花びら抽出物およびバラ子房部抽出物は、バラ胎座組織培養抽出物と比較して抗酸化作用がかなり低かった。
【0090】
4.6.実験例3(本発明のバラ胎座組織培養抽出物のシワ改善(コラーゲン合成)効果の評価試験)
ヒト繊維芽細胞(Human Skin Fibroblast)を37℃、5% CO2培養器で一定の湿度を維持する細胞培養器内で10%FBS、ペニシリン(50U/ml)、ストレプトマイシン(50/ml)を含有するDMEM(Dulbecco's Modified Eagle 's Medium、Gibco、USA)で培養し、1×105個/mlで24ウエルプレートに500μlずつ分珠した後、24時間培養した。対照群(DMEM培地)と0.1〜5%の様々な濃度の実施例1のバラ胎座組織培養抽出物を含有する培地を入れて48時間、37℃、5%二酸化炭素培養器で培養した。48時間後、培地の上階液をそれぞれ20μl採取してProcollagen Type I C - Peptide EIA Kit(PICP、Takara、Cat No.MK101)を利用して測定することにより、新たに合成されたコラーゲン量を測定した。比較例のバラ花びら抽出物を用いて上記方法と同じ方法で処理を行った。PICP量ng/1×105細胞へ換算した。
【0091】
【表3】

【0092】
対照群の数値を100にした場合のバラの花びら抽出物処理群、バラ子房部抽出物処理群、バラ胎座組織培養抽出物処理群および陽性対照群のコラーゲン生合成の増加率を表3および図3に示す。
【0093】
表3および図3に示されるように、本発明の組成物は、バラ胎座組織培養抽出物の含有量が増加するにつれて、コラーゲンの生合成量が増加することが確認できる。また、バラ花びらの抽出物に比べても、本発明の組成物が、優れたコラーゲン合成促進作用があることが理解できる。
【0094】
4.7.実験例4(本発明のバラ胎座組織培養抽出物のサイトカインの発現分析試験)
本発明のバラ胎座組織培養抽出物のサイトカイン発現率を調べるために、ヒト繊維芽細胞のフィブロブラスト(Cell Lines Service、Germany)を1×105細胞/mlの濃度で24ウエル培養プレートに接種した。10%FBSを含有するDMEM(Dubelcco's Modified Eagle Medium、BRL、USA)で培養し、培養容器の表面積の25〜30%ほど培養した後、実施例1で製造されたバラ胎座組織培養抽出物を1%含有するFBS-free DMEM、対照群で使用されるFBS-free DMEMに交換してさらに48時間培養した。HUMAN CYTOKINE ASSAY KIT(Millipore)を使用して、VEGF、EGF、FGF、TGF−β1、IL−1α、IL−6、IL−8およびTNF−αのサイトカインの発現率を調査した。実験方法は、HUMAN CYTOKINE ASSAY
KITの指示に従って実行した。
【0095】
【表4】

【0096】
表4および図4に示されるように、サイトカインの発現率は、無処理の対照群および1%バラ子房部抽出物で処理した群と比較して、1%バラ胎座組織培養抽出物で処理した場合、EGF、TGF−β1およびTNF−αが有意なレベルで発現することが確認できた。このような結果は、本発明のバラ胎座組織培養抽出物がサイトカイン発現効果を有しており、免疫調節剤として機能できることを意味する。
【0097】
4.8.実験例5(本発明のバラ胎座組織培養抽出物の生理活性物質の含有量の分析試験)
(1)ポリフェノールの総含有量(Total polyphenol content)
ポリフェノールの総含有量は、分析方法として広く使用されているFolins-Denisの方法で測定した。バラ胎座組織培養抽出物0.5 mlにフォリン試薬0.5 mlを加え、3分間定置した後、0.5 mlの10% Na2CO3溶液を加えた。この混合液を1時間定置した後、分光光度計(UV / VIS spectrometer、Jasco、Japan)を使用して、760 nmでの吸光度を測定した。試料の総ポリフェノ―ル含有量は、没食子酸(gallic acid)を用いて標準曲線を作成して、mM 没食子酸当量として示した。
【0098】
【表5】

【0099】
表5に示されるように、本発明のバラ胎座組織培養抽出物はバラ花びら抽出物と比較して、総ポリフェノ―ルの含有量が濃度依存的に増加することが確認された。
【0100】
(2)フラボノイドの総含有量(Total flavonoid content)
フラボノイドの総含有量は、Morenoなどの方法により測定した。バラ胎座組織培養抽出物0.5 mLに10%aluminum nitrate 0.1 mLを添加した後、1 M酢酸カリウム0.1 mLおよびエタノール4.3 mLを順に混合し、常温で40分間反応させ、415 nmでの吸光度を測定した。また、総フラボノイド含有量は、カテキンを標準物質とした標準曲線を利用して、バラ胎座組織培養抽出物g当たりの含有量で計算した。
【0101】
【表6】

【0102】
表6に示されるように、本発明のバラ胎座組織培養抽出物がバラ花びら抽出物と比較して、総ポリフェノ―ルの含有量が濃度依存的に増加することが確認された。
【0103】
これらのポリフェノールおよびフラボノイドは抗酸化作用を有するため、皮膚の老化防止効果を示す。本発明のバラ胎座組織培養抽出物はこれらのポリフェノールおよびフラボノイドを含有しているため、生体の機能を増進させ、体を活性化させる機能を有すると推測される。
【0104】
4.9.実施例2(化粧料組成物の製造)
本発明のバラ胎座組織培養抽出物を有効成分として含有する化粧品であって、栄養化粧水、クリーム、エッセンスなどの油化剤形の化粧品および柔軟化粧水などの可溶化剤形の化粧品を製造した。
【0105】
(1)製造例2−1:化粧水
以下の処方にて、通常の化粧水製造方法に基づいて化粧水を製造した。
【0106】
【表7】

【0107】
(2)製造例2−2:エッセンス
以下の処方にて、通常のエッセンスの製造方法に基づいてエッセンスを製造した。
【0108】
【表8】

【0109】
(3)製造例2−3:乳液
以下の処方にて、通常の乳液の製造方法に基づいて乳液を製造した。
【0110】
【表9】

【0111】
(4)製造例2−4:クリーム
以下の処方にて、通常のクリーム製造方法に基づいてクリームを製造した。
【0112】
【表10】

【0113】
(5)製造例2−5:ゲル
以下の処方にて、通常のゲルの製造方法に基づいてゲルを製造した。
【0114】
【表11】

【0115】
4.10.実施例3(機能性食品の製造)
本発明のバラ胎座組織培養抽出物を含む食品を次のように製造した。
【0116】
(1)製造例3−1:小麦粉食品
本発明のバラ胎座組織培養抽出物0.5〜5.0質量部を小麦粉99.5〜95質量部に添加し、これらの混合物を使用して、パン、ケーキ、クッキー、クラッカーや麺類を製造した。
【0117】
(2)製造例3−2:スープと肉汁(gravies)
本発明のバラ胎座組織培養抽出物0.1〜5.0質量部をスープや肉汁99.9〜95質量部に添加して、健康増進用肉加工品、麺類のスープや肉汁を製造した。
【0118】
(3)製造例3−3:ひき肉(ground beef)
本発明のバラ胎座組織培養抽出物10質量部をグラウンドビーフ90質量部に加えて、健康増進用ひき肉を製造した。
【0119】
(4)製造例3−4:乳製品(dairy products)
本発明のバラ胎座組織培養抽出物5〜10質量部を牛乳95〜90質量部に加え、上記牛乳を使用して、バター、チーズ、ヨーグルト、プリン、ババロア、ムースおよびアイスクリームなどのさまざまな乳製品を製造した。
【0120】
(5)製造例3−5:雑穀粉末食品(仙食)
玄米、大麦、もち米、鳩麦を公知の方法でα化させて乾燥させたものを焙煎した後、粉砕機で粒度60メッシュの粉末に製造した。黒豆、黒ごま、エゴマを公知の方法で蒸して乾燥させたものを焙煎した後、粉砕機で粒度60メッシュの粉末に製造した。本発明のバラ胎座組織培養抽出物を真空濃縮機で減圧濃縮し、噴霧、熱風乾燥機で乾燥して得られた乾燥物を粉砕機で粒度60メッシュに粉砕し、乾燥粉末を得た。
【0121】
上記で製造された穀物類、種実類とバラ胎座組織培養抽出物とを次の割合で配合して製造した。
穀物類(玄米30質量部、鳩麦15質量部、大麦20質量部)
種実類(エゴマ7質量部、黒豆8質量部、黒ごま7質量部)
バラ胎座組織培養抽出物(3質量部)
【0122】
上記製法で得られた雑穀粉末食品(仙食)に適量の水等を加えて混合し、食することができる。
【0123】
(6)製造例3−6:飲料
(6−1)健康飲料の製造
液状果糖(0.5%)、オリゴ糖(2%)、砂糖(2%)、食塩(0.5%)、水(75%)などの部材と、本発明のバラ胎座組織培養抽出物5gとを均質に配合して殺菌をした後、これをガラス瓶、ペットボトルなどの小包装容器に包装して製造した。
(6−2)野菜ジュースの製造
本発明のバラ胎座組織培養抽出物5gを、トマトジュースまたはにんじんジュース1,000mlに加えて、野菜ジュースを製造した。
(6−3)フルーツジュースの製造
本発明のバラ胎座組織培養抽出物1gを、りんごジュースまたはぶどうジュース1,000mlに加えて、フルーツジュースを製造した。
【0124】
(7)製造例3−7:ソフトカプセル
サフラワー油、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、菜種油、ごま油、米胚芽油、大豆油、ヒマワリ油、月見草オイル、アボカド油、アマニ油、シソ油などの植物油に本発明のバラ胎座組織培養抽出物を25%混合し、更にビタミン類やミネラル類や各種健康機能素材をその目的とした機能に応じて適宜混合し、ミツロウやグリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤を配合しスラリー状のものを調整した。そのスラリー280mgを内容物とし、ゼラチンにグリセリンを適量配合した被膜、または加工デンプン、グリセリン、増粘多糖類からなる植物性被膜で包み、全体量450mgのソフトカプセルを熱形成した。
【0125】
(8)製造例3−8:ハードカプセル
本発明のバラ胎座組織培養抽出物180mgに対し、デキストリン40mgを混合し、その粉体220mgを内容物として、ゼラチンもしくはセルロースなどから構成されるハードカプセルに充填した。
【0126】
以上に、本発明の内容を詳細に記述したが、当業者にとってこのような具体的な記述は好ましい実施形態に過ぎず、これにより、本発明の範囲が制限されるものではない点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項およびそれらの均等物によって定義されるとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラ胎座組織培養物またはその抽出物を有効成分として含有する、皮膚改善用皮膚外用剤組成物。
【請求項2】
上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物の含有量は、組成物の総重量に対して0.1〜10質量%である、請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項3】
上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物が粉末状で含有されている、請求項1または2に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項4】
皮膚細胞の増殖作用および/または再生作用を有する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項5】
抗酸化作用を有する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項6】
コラーゲン合成増進作用を有する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項7】
皮膚の老化防止作用を有する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項8】
下記工程(a)および(b)を含む、バラ胎座組織の培養物またはその抽出物を含有する皮膚改善用皮膚外用剤組成物の製造方法:
(a)バラの子房内の胎座組織を分離して培養する工程、および
(b)上記(a)工程で得られた培養物またはその抽出物を含有する組成物を製造する工程。
【請求項9】
上記工程(b)は、上記工程(a)で得られたバラ胎座組織培養物を乾燥し、粉末化し、水に混合させて組成物を製造する工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記工程(b)は、上記(a)で得られたバラ胎座組織培養物を乾燥し、粉末化し、水に混合させた後、超音波抽出および/または熱水抽出して組成物を製造する工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
バラ胎座組織培養物またはその抽出物を含有する機能性食品。
【請求項12】
皮膚の改善用である、請求項11に記載の機能性食品。
【請求項13】
皮膚細胞の増殖作用および/または再生作用を有する、請求項11に記載の機能性食品。
【請求項14】
抗酸化作用を有する、請求項11に記載の機能性食品。
【請求項15】
コラーゲン合成促進作用を有する、請求項11に記載の機能性食品。
【請求項16】
EGF、TGF−β1およびTNF−αから選ばれる少なくとも1種のサイトカインの発現作用を有する、請求項11に記載の機能性食品。
【請求項17】
免疫疾患改善作用を有する、請求項16に記載の機能性食品。
【請求項18】
皮膚の老化防止作用を有する、請求項11ないし17のいずれか1項に記載の機能性食品。
【請求項19】
粉末、顆粒、タブレット、ソフトカプセル、ハードカプセル、粉末、顆粒、液状、丸剤、飲料、ゼリー、グミ、キャンディー、焼き菓子、およびエナジーバーから選ばれる少なくとも1種の食品または飲料の形態である、請求項11ないし18のいずれか1項に記載の機能性食品。
【請求項20】
上記バラ胎座組織培養物またはその抽出物が希釈されていない状態で、または希釈された状態で、カプセルに含まれる、請求項11ないし18のいずれか1項に記載の機能性食品。
【請求項21】
バラ胎座組織培養物またはその抽出物を含有する抗酸化用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−14582(P2013−14582A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130273(P2012−130273)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【出願人】(502435672)株式会社 銀座・トマト (1)
【出願人】(511138124)バイオ−エフディーアンドシー カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】