説明

バリア性を有する容器及びその製造方法

多層又は単層のプラスチック容器の製造方法が開示されている。この容器は、(i)ポリエステル樹脂、好ましくはポリエチレンテレフタレートのような芳香族ポリエステル樹脂と、(ii)ポリアミド材料、好ましくは芳香族ポリアミド材料と、(iii)脱酸素材料、好ましくは遷移金属と、から調製されるバリア層を有している。また、本発明は、多層又は単層の本体を有する容器を提供する。バリア層の調製に於いては、最初に予備成型物が、希釈剤ポリエステル、ポリアミド材料、及び脱酸素材料を含むプレブレンドが射出成形プロセスの間にベースポリエステルに添加される射出成形プロセスで調製される。次に、、予備成型物が延伸されて容器が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製容器及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、優れたバリア性を有し、ポリエステル樹脂、ポリアミド材料及び脱酸素材料から製造される少なくとも1層を有する多層及び単層の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのパッケージされた製品、特に食品及び飲料は、酸素による劣化、並びに/又はパッケージの壁を透過する水分の吸収及び損失の影響を受け易い。従って、容器は、剛性の、半剛性の、柔軟性の、又は蓋付きの又はこれらを組み合わせたものであり、製品のパッケージとしてのみではなく、環境からの望ましくない物質の進入を防ぐのに役立っている。
【0003】
大気中の酸素は、容器中にパッケージされた製品と最も反応する物質の一つである。分子状酸素(O2)は、1〜4個の電子を付与することにより種々の高い反応性を有する中間体種に還元される。実質的に全ての食品及び飲料に存在する炭素−炭素二重結合は、これらの反応性の中間種との反応に特に影響を受け易い。結果として生ずる酸化性生物は、製品の性能、臭気及び/又は風味に悪影響を与える。
【0004】
食品、飲料及び医薬製品を含む「酸素感受性」の材料は、外部の酸素のパッケージ内への進入の防止と、パッケージ内に存在する酸素の除去とを含む特別な包装の必要性を有している。いくつかの場合、特にオレンジジュース及び醸造産業では、酸素は真空により除去され、不活性ガスが噴霧され、又は両方が行われる。しかし、これらの方法では、最終的に残存する痕跡の酸素を除去するのは困難であり、費用が高くなる。
【0005】
容器は、容器からの物質の排出及び環境からの物質の進入の両方に優れたバリア性を提供するガラス又は金属によりもっぱら作製されている。殆どの場合、ガラス又は金属のガス透過は無視し得る。ポリマー製の容器は、全部又は一部に於いて、一般的にガラス又は金属容器のような有効期間又はバリア性を有していない。従って、ポリマーのこの大きな利点にもかかわらず、欠点が容器におけるそれらの使用を制限している。
【0006】
ポリマーの利点には、良好な機械的、熱的及び光学的特性と、均一に積層され及び/又はコーティングされた容器を提供する容器作製技術の適応能力とが含まれる。ポリマーから作製される容器の更なる利点には、軽量で、壊れ難く、製造コストが低いことが含まれる。
【0007】
これらの利点から、パッケージ業界は次第にプラスチック容器にシフトしている。この傾向は、炭酸飲料を含む飲料容器と、食品容器との両方に関係している。全てのこれらの適用分野で、プラスチック材料の不十分なバリア特性、特に、例えば、酸素、二酸化炭素及び例えば水蒸気のような気化した液体のようなガスの透過を防止するのに不十分な能力は、プラスチック容器にパッケージされた製品の有効期間を減少させる結果となる。
【0008】
プラスチック容器に関連する問題を解決するための多くの解決策が提案されている。しかしながら、その提案された解決策は、プラスチック材料から作製された容器が実質的に採用され得るほど、商業的に確立されている高いバリア特性と相俟って低コストの要求に合致したものとはなっていない。提案されている解決策の例は、以下のとおりである。
【0009】
a)2又はそれ以上の層のポリマー材料が使用された積層体で、各層のそのポリマー材料は、例えばガス浸透性、光浸透性、又は水蒸気浸透性の任意に有益なバリア特性を有しているもの;
b)アルミニウムのような材料を、ポリマー物質の層の間に配するか又は容器の内面に形成した構成;
c)金属以外のバリア性材料の層をポリマー物質の層の間に配するか又は容器の内面に形成した構成。
【0010】
他の提案されている解決策は、異なるタイプのプラスチック材料を混合し、成形により容器を形成するものである。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリアミドとの混合物を含むポリマー材料の製品容器が知られている。例えば、米国特許第4,501,781号、第4,837,115号、第5,034,252号、第5,258,233号、第5,281,360号、第5,641,825号、及び第5,759,653号を参照されたい。
【0011】
特に、ポリマー即ちプラスチックの容器に関する問題を解決しようとする試みは、パッケージ材料において、酸素バリア性及び/又は水蒸気バリア性を広範囲に使用することになる。典型的な水蒸気バリアにはポリエチレン及びポリプロピレンが含まれる。酸素バリアには、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ナイロン、及びこれらの混合物が含まれる。ビニリデンクロライド/ビニルクロライド共重合体及びビニリデンクロライド/メチルメタクリレート共重合体は、水蒸気及び酸素バリアの両方として使用されている。
【0012】
バリア性の材料だけから商業的に有用なプラスチック容器を製造することは、それらの高いコスト、不安定な構造特性及び他の欠点により、困難である。例えば、EVOHは優れた酸素バリア特性を有しているが、そのポリマー条の多数の水酸基のために、水蒸気の問題に苦しめられる。他のバリア性の材料は、そのような材料のみで製造された容器が手が出せないほどの値段となり、十分に高価である。従って、多層構造体を製造することが常識となっており、これにより、高価又は敏感なバリア性の材料の量を薄い層に減少させ、高価でないポリマーがそのバリア層の一方又は両側に構造層として配置されている。
【0013】
バリア層を含む多層構造体はさほど高価ではなく、バリア性の材料の単層より構造的に強いけれども、このような容器は、単層の容器より製造するのは、より複雑となる。加えて、多層構造体におけるバリア層の厚さを減少させることは、しばしば容器のバリア特性を減少させる。従って、バリア層を有する多層容器に加えて、高いバリア性と構造特性とを有し、しかしバリア性の材料単独で作製される容器に対する高いコストなしに、単層の容器に対するこの分野での受容が存在している。
【0014】
パッケージ応用分野で一般に使用されている一つの材料は、ポリエチレンテレフタレート樹脂であり、以後PETと称する。PETは、パッケージ応用分野での使用に多くの有利な特性を有しているが、多くの適用分野で要求されるガスバリア性は有していない。例えば、PETは炭酸入りのジュースに対しては良好な酸素バリア特性を有しているが、PETは、例えばボトル内への酸素移動によるフレーバが急速に失われるビール、柑橘製品、トマトベースの製品及び無菌パックされた肉等の他の製品に対しては、パッケージ材料として有用ではない。PETと同様の物理特性を有するパッケージ材料は、ポリエチレンナフタレート(PEN)である。PENはPETよりバリア性が大きいけれども、PENはPETよりかなり高価である。
【0015】
エチレン及びビニルアルコールの、ビニリデンクロライド及びビニルクロライドの、並びにm−キシリレンジアミン及びアジピン酸(即ち、MXD6)のコポリマー等の極端な不浸透性のポリマーが存在する。しかし、実際上の又はコスト的な理由により、これらのコポリマーは、PET層の上若しくは間の薄層として、又はMXD6の場合はPETとブレンドして、少ない百分率の量で典型的に使用され、些細なガス透過性を達成している。また、キシリレン基含有ポリアミド樹脂を30重量%を超える量でPETと共に使用することは、積層されたホイル構造となり、これは容器のホイル層の間の剥離が生ずる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上から、酸素及び二酸化炭素などのガスに対する優れたバリア特性を有する改良されたプラスチックの多層又は単層の容器が望まれていることが認識されている。このような容器内に満足にパッケージされ得る製品には、例えば、ビール(特にラガービール)、ワイン(特に白ワイン)、フルーツジュース、炭酸入りソフトドリンク、フルーツ、ナッツ、野菜、肉製品、ベビーフード、コーヒー、ソース、及び乳製品が含まれる。本明細書には、優れたバリア特性を有する多層及び単層の容器が開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、優れたバリア特性を有する多層及び単層の容器の製造方法を指向している。その容器は、(i)ポリエステル、(ii)ポリアミド材料、及び(iii)脱酸素材料、を含有する少なくとも一つのバリア層を有している。多層容器又は単層容器のバリア層は、射出成形又は押出プロセスを使用して作製され、そこでは希釈剤のポリエステル、ポリアミド材料及び脱酸素材料を含有するプレブレンドが、射出成形又は押出プロセスの間にベースポリエステルに加えられる。
【0018】
より詳細には、本発明は、射出成形又は押出プロセスにより作製されたプラスチック製の多層又は単層の容器を指向しており、この容器は、芳香族ポリエステル、芳香族ポリアミド及び遷移金属脱酸素剤から調製された少なくとも一つのバリア層を有している。単層の容器については、バリア層は容器の唯一の層である。多層又は単層の容器については、バリア層を有する予備成型物の膨張により形成される。予備成型物は射出成形又は押出プロセスにより作製され、そこではバリア層は、予備成型物を形成するための射出成形又は押出に先だってベースポリマーと成形装置内で混合されたプレブレンドから作製される。
【0019】
従って、本発明の一態様は、バリア層を有する予備成型物を提供することであり、このバリア層はベースポリエステルに希釈剤ポリエステル、ポリアミド材料及び脱酸素材料を含んだプレブレンドを加えたものを射出成形又は押出することにより作製される。典型的には、プレブレンドは、射出に先だってペレット又は顆粒の形状で成形装置内に於いてベースポリエステルに加えられる。
【0020】
本発明のもう一つの態様は、(a)約25重量%から約75重量%の希釈剤ポリエステル、(b)約25重量%から約75重量%のポリアミド材料、及び(c)約20から2000ppmの遷移金属脱酸素剤を含んだプレブレンドを提供することである。プレブレンドは、射出成形又は押出プロセスの注入ステップに先だって、ベースポリエステルと混合されて、予備成型物のバリア層を形成する。次に、予備成型物は、多層又は単層の容器を提供するために膨張が行われる。希釈剤ポリエステル及びベースポリエステルは、同じであっても異なっていても良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、又はこれらの混合物である。
【0021】
本方法に於いて使用されるプレブレンドは、優れた安定性を示し、即ち、25℃、相対湿度40%での6ヶ月後の保存安定性は、同じ保存条件下のポリアミド及び脱酸素材料のみを含む混合物より優れている。
【0022】
プレブレンドとベースポリエステルは、約0.5重量%から約20重量%、好ましくは約1重量%から約15重量%のプレブレンドと、約80重量%から約99.5重量%、好ましくは約85重量%から約99重量%のベースポリエステルの量で混合される。より好ましくは、プレブレンドとベースポリエステルは、約2重量%から約12重量%プレブレンドと、約88重量%から約98重量%のベースポリエステルの量で混合される。典型的には、プレブレンドとベースポリエステルは、約10ppmから約80ppm、好ましくは約20ppmから約50ppmの脱酸素材料の十分な量を含んで予備成型物を与えるように混合される。
【0023】
本発明の他の態様は、酸素バリア特性が水との接触後に活性化される本方法によって調製されるバリア層を有する多層又は単層の容器を提供することである。
【0024】
本発明の他の態様は、予備成形物の延伸による多層容器を提供することであり、該多層容器は、(a)希釈剤ポリエステル、ポリアミド材料、及び本発明の方法に従って調製した脱酸素材料、及び(b)正規のポリマーの内側及び外側層、を有している。
【0025】
本発明の更なる他の実施形態は、芳香族ポリエステル、ポリアミド及び遷移金属脱酸素材料を有する希釈剤ポリエステルを有するプレブレンドを加えた芳香族ポリエステルを含有するベースポリエステルの射出成形又は押出により、単層プラスチック容器を製造する方法を提供することである。好ましい実施形態では、ベースエステル及びプレブレンドの芳香族ポリエステルは、同じか又は異なっており、PET、PEN、又はこれらの混合物であり、ポリアミドは例えばキシレンポリアミド等の芳香族ポリアミドであり、遷移金属脱酸素材料は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム白金、又はこれらの組み合わせの塩又は錯体である。
【0026】
更なる本発明の他の実施形態は、ポリエステル、ポリアミド材料及び脱酸素材料を含有する単層の容器を提供することである。単層の容器は優れた構造的強度を有し、その容器を水性の製品で満たした後に引き起こされる脱酸素材料の活性化により、保存中の高いバリア性を保持する。また、その容器は優れた審美的性質を示し、特に容器の透明度に関して優れている。
【0027】
これら及び他の本発明の態様は、以下の好ましい実施形態の詳細な記述から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
ビールやジュースのような製品のための容器は、製品の完全性を維持するための十分なバリア特性を必要としている。前記で論じたように、プラスチック容器は、典型的にはバリア特性を提供し又は高めるために添加剤を必要とする。バリア特性は、バリア層を有する多層容器を提供することにより、しばしば達成される。包装された製品の完全性を維持するための十分なバリア特性を有する改良された多層容器又は単層容器を提供することは好ましいことである。
【0029】
バリア性の材料の少なくとも1層を有するポリマーベースの容器の外観と性能に影響を与える幾つかのファクターがある。これらのファクターは、成形のプロセスの間にバリア層に与えられる剪断、乾燥及び成形のプロセスの間の材料の熱履歴、及びバリア材料の空気への暴露を含んでいる。空気への暴露は、酸化プロセス及び湿気との接触により、バリア材料が分解してしまうことがある。これらの変数は、例えば、スクリューの設計、樹脂の乾燥及び供給構造を変更することにより、対処される。本発明は、上記で論じた劣化ファクターを最小限にする予備成型物を製造する方法における改良を提供する。
【0030】
単一ステージ又は多段ステージ射出成形装置におけるプラスチック容器のバリア層を製造する幾つかの方法が想定される。これ他の方法は、以下を含む;(1)ポリアミド材料及び脱酸素材料を計量してポリエステルとともにインジェクタースクリューに送る;(2)ポリアミド材料及び脱酸素材料を混合し、次に得られる混合物を、ポリエステルとともにインジェクタースクリューに入れる;及び(3)ポリアミド材料、脱酸素材料及びポリエステルを混合し、次に得られるブレンドを射出成形に使用する。
【0031】
方法(1)は、脱酸素材料の15ppm即ち0.05%又はそれより少ない計量をしてインジェクタースクリューに入れ次に均一な混合物を得るようにブレンドすることを必要とするので、確実に実施することはできない。方法(2)の欠点は、ポリアミド材料/脱酸素材料のブレンドは、温度、酸素及び湿気に敏感であり、従ってそのブレンドは製造の間に重大な分解を受け、結果として受容しがたいヘーズ及び容器の黄色化を生ずることである。方法(3)の欠点は、固定されたバリアレベルを有するブレンドされた材料を多量に保管しておくことが必要であることであり、これはこの方法を経済的には魅力がないものとしている。
【0032】
本発明の方法は、従来の方法に関連する欠点を克服し、改良されたバリア特性及び外観を有する容器のより容易な製造方法を提供する。予備成型物を調製する本発明の方法は、優れたバリア特性を有する多層容器又は単層容器をもたらし、酸素バリア特性の劣化を減少させ、これによりより審美的な容器、即ちヘーズ低減などの改良された光学的特性を有する容器を提供する。
【0033】
本発明の重要な特徴は、25℃で40%の相対湿度の保存安定性が少なくとも6ヶ月である予備混合物の調合である。もう一つの重要な特徴は、本発明の予備成型物からの容器の調製であり、そこに於いては、脱酸素層の脱酸素の性能は、その容器に水性液状物が満たされるまで活性化されない。従って、容器は充填前の長い保管期間と、水性液状物の充填後の長い酸素バリア性能とを有している。
【0034】
本発明は、ビールのような容器に充填される酸素に敏感な製品の完全性を維持するために、十分な酸素バリア特性を有するプラスチック容器を製造する方法を提供する。この容器はまた、優れた外観を有している。この容器は、この技術分野でよく知られた方法による予備成型物から調製され、ポリエステル、ポリアミド及び脱酸素材料を含有する少なくとも一つのバリア層を有している。
【0035】
予備成型物は、射出成形又は押出プロセスによって調製される。特に、予備成型物のバリア層は、以下のようにして調製される。希釈剤ポリエステル、ポリアミド材料、及び脱酸素材料を含むプレブレンドが最初に調製される。このプレブレンドは、射出成形又は押出プロセスに先だってインジェクションスクリュー内のベースポリエステルに加えられ混合される。
【0036】
特に、このプレブレンドは、(a)約25重量%から約75重量%の希釈剤ポリエステルと、(b)約25重量%から約75重量%のポリアミド材料と、約20ppmから約2000ppmの脱酸素材料とを含んでいる。成分(a),(b)及び(c)は親密に混合され、好ましくは、ベースポリエステルへの添加のためにペレット又は粒状に形成される。粒子状又は粉状の(a),(b)及び(c)のプレブレンドがベースポリエステルに添加され得ることが想定される。
【0037】
より詳細には、このプレブレンドは、約25重量%から約75重量%、好ましくは約30重量%から約70重量%の希釈剤ポリエステルを含んでいる。更に好ましい実施形態では、このプレブレンドは、約40重量%から約60重量%の希釈剤ポリエステルを含んでいる。
【0038】
希釈剤ポリエステルは、二塩基酸及びグリコールの縮合生成物である。典型的な二塩基酸には、 芳香族二塩基酸、又はこれらのエステル若しくは無水物が含まれ、例えば、イソフタル酸,テレフタル酸,ナフタレン−1,4−ジカルボン酸,ナフタレン−2,6,−ジカルボン酸,フタル酸,無水フタル酸,テトラヒドロ無水フタル酸,トリメリット酸無水物,ジフェノキシオキシエタン−4,4'−ジカルボン酸,ジフェニル−4,4'−ジカルボン酸,及びそれらの混合物である。また、二塩基酸は、脂肪族二塩基酸又は無水物であり得、例えば、 アジピン酸,セバシン酸,デカn−1,10−ジカルボン酸,フマル酸 ,suコハク酸無水物,コハク酸,シクロヘキサンジ酢酸,グルタル酸,アゼライン酸,及びそれらの混合物である。当業者に公知の他の芳香族及び脂肪族二塩基酸も使用することができる。好ましくは、二塩基酸は、芳香族二塩基酸と、任意に更に約20重量%までの脂肪族二塩基酸の二塩基酸成分を含んでいる。
【0039】
希釈剤ポリエステルの成分のグリコール又はジオールは、エチレングリコール,プロピレングリコール,ブタン−1,4−ジオール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ネオペンチルグリコール,ポリテトラメチレングリコール,1,6−へキシレングリコール,ペンタン−1,5−ジオール,3−メチルペンタンジオール−(2,4),2−メチルペンタンジオール−(1,4),2,2,4−トリメチルペンタン−ジオール−(1,3),2−エチルヘキサンジオール−(1,3),2,2−ジエチルプロパンジオール−(1,3),ヘキサンジオール−(1,3),1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン,2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン,2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルシクロブタン,2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン,2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン,1,4−ジヒドロキシメチル−シクロヘキサン,及びこれらの混合物である。当業者に公知の追加のグリコールもまた、希釈剤ポリエステルのグリコール成分として使用され得る。
【0040】
好ましい二つの希釈剤ポリエステルは、PET及びPENである。PET及びPENは、ホモポリマー又はテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸とは異なる二塩基酸を10モル%まで、及び/又はエチレングリコールとは異なるグリコールを10モル%まで、更に含み得る。
【0041】
ここで使用されているように、用語「PEN」は、ポリエチレンナフタレン−2,6−ジカルボキシレート、ポリエチレンナフタレン−1,4−ジカルボキシレート、ポリエチレンナフタレン−1,6−ジカルボキシレート、ポリエチレンナフタレン−1,8−ジカルボキシレート、及びポリエチレンナフタレン−2,3−ジカルボキシレートのことをいう。好ましくは、PENは、ポリエチレンナフタレン−2,3−ジカルボキシレートである。
【0042】
特に、希釈剤ポリエステルは、PET(即ち、未使用ボトルグレードPET又は使用済みPET(PC−PET))、シクロヘキサンジメタノール/PETコポリマー(PETG)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びこれらの混合物を含んでいるのが好ましい。
【0043】
また、適切なポリエステルには、先に特定した単純なポリエステルの形式的な前駆体とは異なるポリマー結合、側鎖、及び末端基が含まれ得る。
【0044】
本発明に使用される適切なポリエステルは、典型的には、約0.6から約1.2、より好ましくは約0.7から約1.0(フェノール/テトラクロロエタン溶媒の60/40のブレンドについて。)の固有粘度を有している。PETについては、0.6の固有粘度値は粘度平均分子量36,000に相当し、1.2の固有粘度値は粘度平均分子量103,000に相当している。
【0045】
希釈剤ポリエステルは、プレブレンド又は予備成型物又はそれらから調製される容器に悪影響を与えない添加剤を任意に含み得る。任意の添加剤には、抗酸化剤、紫外線遮蔽剤などの安定剤、押出助剤、乾燥助剤、フィラー、抗凝固剤、結晶化助剤、衝撃改質剤、ポリマーをより分解可能にし又は可燃性にする添加剤、染料、顔料、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。任意の添加剤は、希釈剤ポリエステルに、個別には約0重量%から2重量%で存在し、全体では約0重量%から10重量%で存在する。
【0046】
希釈剤ポリエステルに加えて、プレブレンドは約25重量%から約75重量%、好ましくは約30重量%から約70重量%のポリアミド材料を含んでいる。より好ましくは実施形態では、プレブレンドは約40重量%から約60重量%のポリアミド材料を含んでいる。
【0047】
ポリアミド材料は、芳香族ポリアミド又は脂肪族ポリアミドであり得る。ポリアミド材料ホモポリマー材料又はコポリマーアミド材料であり得る。芳香族ポリアミドは、ホモポリマーもコポリマーも好ましい。
【0048】
ポリアミド材料の好ましい種類は、MXナイロンである。MXナイロンは、m−キシリレンジアミン単独、又はm−キシリレンジアミン及びp−キシリレンジアミンを全体の30%より少ない量で含有し6〜10の炭素原子を有するα,ω−脂肪族ジカルボン酸を含有するキシリレンジアミン混合物から得られる構造ユニットを、少なくとも70モル%で含有するポリマーである。
【0049】
MXポリマーの例には、ポリ−m−キシリレンアジパミド、ポリ−m−キシリレンセバカミド、のようなホモポリマー、m−キシリレン/p−キシリレンアジパミドコポリマー、m−キシリレン/p−キシリレンピペラミドコポリマー、及びm−キシリレン/p−キシリレンアゼラミドコポリマーなどのコポリマー、並びにこれらのホモポリマー又はコポリマー成分と、ヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジンのような環状ジアミン、p−ビス(2−アミノエチル)ベンゼンのような芳香族ジアミン、テレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタム、ω−アミノヘプタン酸のようなω−アミノカルボン酸、及びp−アミノ安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸とのコポリマーが含まれる。任意には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610及びナイロン11のようなポリマーをMXポリマーと併用してもよい。
【0050】
特に好ましい芳香族ポリアミドは、例えば、メタキシリレンジアミン(H2NCH2−m−C64−CH2NH2)とアジピン酸(H02C(CH24CO2H)の重合によって形成されるポリマーであり、これは日本の三菱ガス化学がMXD6の表示で製造及び販売する製品である。MXD6の種々のグレード、例えば、グレード6001,6007,6021が利用できる。好ましい脂肪族ポリアミド材料は、ナイロン66である。他の適切なポリアミドには、GRIVORY(R)(例えば、GRIVORY(R) G16及びG21、これらは線状脂肪族ユニット及び環状の芳香族成分を有するコポリアミドであり、EMS−Chemie Inc.から入手可能である)と、VERSAMID(R)(インク樹脂として典型的に使用される脂肪族ポリアミドであり、Cognis Corporationから入手可能である)とが含まれる。
【0051】
希釈剤ポリエステル及びポリアミド材料に加えて、プレブレンドは脱酸素材料を含んでいる。脱酸素材料は、プレブレンドの重量で、約20ppmから約2000ppm、好ましい約50ppmから約1500ppmで存在する。より好ましい実施形態では、プレブレンドの重量で、プレブレンドは好ましい約100ppmから約1000ppmで脱酸素材料を含有している。
【0052】
「脱酸素剤」は、捉えた酸素と反応し若しくは結合し又は無害の生成物を生ずる酸化反応を促進することにより、酸素を密閉された容器の内部から除去し又は容器内に酸素が入るのを妨げ得る全ての材料又は化合物である。
【0053】
脱酸素材料は高い酸素バリア特性、即ち、容器内への酸素の透過に耐える実質的な能力を与える。バリア特性能力が負う効果は、「脱」酸素効果と言う。何れの理論にも制約されるものではないが、脱酸素材料としては、酸素と結合する能力を有する活性金属錯体が提案される。従って、脱酸素材料は、容器に高い酸素バリア特性を与える。
【0054】
広汎な種類の金属化合物が、脱酸素効果を提供するのに効果的であり、適切な脱酸素材料は、コスト及びプレブレンドの希釈剤ポリエステル及びポリアミド材料との相溶性に基づいて選択される。好ましい脱酸素材料は、周期律表の第1、第2及び第3遷移系列から選択される金属、錯体又は塩である。このような金属には、鉄、コバルト、銅、マンガン、亜鉛、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が含まれる。本発明に於いて使用される適切な脱酸素材料には、アルミニウム粉末、アルミニウムカーバイド、塩化アルミニウム、コバルト粉末、酸化コバルト、塩化コバルト、アンチモン粉末、酸化アンチモン、アンチモン三酢酸、塩化アンチモン III、塩化アンチモン V、鉄、電解鉄、酸化鉄、白金、アルミナ上の白金、パラジウム、アルミナ上のパラジウム、ルテニウム、ロジウム、銅、酸化銅、ニッケル、及び混合金属のナノ粒子(即ち、コバルト鉄オキサイドナノ粒子)も含まれる。適切なナノ粒子は、約200nmより小さく、好ましくは約100nmより小さく、より好ましくは約5から約50nmの平均粒子サイズを有している。
【0055】
コバルト、鉄、ニッケル、銅、又はマンガン化合物は、好ましい脱酸素材料である。コバルト化合物は最も好ましい脱酸素材料である。脱酸素材料は、金属の塩又は錯体として存在するのが典型的である。塩のアニオンは無機又は有機であり得る。アニオンの例には、ハライド特にクロライド、アセテート、ステアレート、及びオクトエートが含まれる。他の脱酸素材料には、臭化コバルト(II)及びコバルトカルボキシレートが含まれる。コバルトカルボキシレートは、コバルトSICCATOL(R)(Akzo Chemie Nederland B.V.,Amersfordの商標、オランダ)として入手可能である。コバルトカルボキシレートは、C8〜C10のコバルトカルボキシレートの溶液であり、コバルトの濃度(金属として)は、その溶液に対して約10重量%である。
【0056】
プレブレンドに於ける希釈剤ポリエステル、ポリアミド材料、及び脱酸素材料の相対的な量は、ベースポリエステルの個性、容器に充填されるべき製品、及びベースポリマーに添加されるプレブレンドの量のような変数に関連している。プレブレンドは、ペレット、粒状又は粉状の形状であり得る。
【0057】
一実施形態のPET、MXD6及び酸化コバルト脱酸素材料を含む本発明のプレブレンドをツインスクリュー押出機で調製する一般的な方法は、以下のようである。特に、希釈剤ポリエステル(PET)は)、固定ベッドデシケータドライヤ中で乾燥し、このようなドライヤーはConairにより製造されている。PETの典型的な乾燥条件は、約160℃4時間である。MXD6は業者からのシールされたホイルバッグで供給されるものを使用するか、又はPETと別々又は一緒に約140℃で乾燥させることができる。酸化コバルト脱酸素材料は、液状又は固体状で使用され得る。コバルト触媒は、PET及びMXD6の一方又は両方にヘンシェルミキサー(Henschel Industrietecknik GmBH,Kassel,ドイツ)で予めブレンドされ、又は液状で別にポンプで押出機の供給口に送られる。好ましくは、酸化コバルト脱酸素材料は、押出機の最初の供給ゾーンでPET及びMXD6の少なくとも一方と同時に導入される。
【0058】
以下の実施例1は、(a)46重量%のPET、(b)54重量%のMXD6、及び(c)500ppmの酸化コバルト脱酸素材料(コバルトネオデカノエートとして)を含むプレブレンドの非限定的な実施例である。
【0059】
実施例1
三菱ガスコーポレーションから購入したMXD6のグレード6007(16.2ポンド)を、Voridian Chemicalから購入した13.8ポンドのPETグレード9663と混合し、得られるブレンド物を140℃4時間乾燥させた。この混合物の10ポンドに、OM Group,Inc.,クリーブランド,オハイオ州から購入した2.27g(重量で500ppm)のコバルトネオデカノエート(即ち、コバルトイオン基準で128ppm)を加えた。この混合物を手で混合し、次に、定量供給機を備えたWerner and Pfleiderer ZSK−25のツインスクリュー押出機に導いた。押出機の加熱された領域は240℃と280℃との間に維持した。押し出されたブレンド物は空冷ベルト上に載せられ、次にペレット化された。得られるペレットは、真空下120℃4時間再結晶化された。
【0060】
上記のように、プレブレンドの固形粒子は、予備成型物のバリア層を与える射出成形又は押出プロセスの注入ステップに先だって、ベースポリマーの固形粒子と混合される。予備成型物は次のステップで容器に変えられる。特に、プレブレンドの粒子は計量され、インジェクションステップに先だってインジェクタースクリュー内のベースポリエステル粒子と混合される。
【0061】
プレブレンドは、プレブレンド/ベースポリエステル混合物の比率で、約0.5重量%から約20重量%、好ましくは約1重量%から約15重量%でベースポリマーに加えられる。より好ましい実施形態では、プレブレンドは、プレブレンド/ベースポリエステル混合物の比率で、約2重量%から約12重量%で存在する。
【0062】
ベースポリエステルは、プレブレンドの希釈剤ポリエステルと同じであっても異なっていてもよい。ベースポリマーは、単一のポリマー又は2若しくはそれ以上のポリマーの混合物を含み得る。適切なベースポリマーは、個々の希釈剤ポリマーに関連して上述したポリエステルを含んでいる。プレブレンドと同様に、ベースポリエステル、又はプレブレンド/ベースポリエステル混合物は、この技術分野の当業者に公知の任意成分を含み得る。
【0063】
ベースポリエステルの選択は、特に限定されるものではない。しかし、必要条件は、ベースポリエステルとプレブレンド成分との相溶性である。この技術分野の当業者は、特定のプレブレンドに使用するためのベースポリエステルを選択することができる。更に、プレブレンドの成分は、物理的及び化学的に相性のよいプレブレンド/ベースポリエステル混合物を提供するために、所望のベースポリエステルを視野に入れて選択され得る。
【0064】
ベースポリマーに対するプレブレンドの比率は、プレブレンドに於ける成分の個性、その重量パーセント、ベースポリエステルの個性、望まれるバリア効果、特定の容器の最終用途、望まれる容器の保管期間、リサイクル性、経済性、製造の容易さ等の種々のパラメータにも依存している。
【0065】
多くの多層の予備成型物及び容器の構造が存在し、そのそれぞれは、特定の製品及び/又は製造プロセスに対して適合している。幾つかの代表例を以下に示す。
【0066】
3層構造物は、内側及び外側の層の間に配されたバリア層を有している。例えば、容器の3層側壁構造は、内側及び外側のPET及びコアのバリア層を有している。
【0067】
5層構造は、透明性を失わずに高い酸素バリア特性を提供するために、比較的薄い内側及び外側の中間層を有している。比較的厚いPETの内側及び外側の層は、必要な強度と透明性を提供する。上述のものと比較して薄いバリア層、必要なバリア効果を提供する。
【0068】
好ましい実施形態では、多層容器のバリア層は、容器壁の合計厚さの約1%から10%、より好ましくは約2%と8%との間、最も好ましくは約3%と6%との間に厚さを有している。
【0069】
本発明の容器を調製するための幾つかの異なる方法が実施されている。
【0070】
一つの方法では、多層の容器は、以下によって調製される:(i)上述のようなプレブレンドとベースポリエステルの混合物を供給する;(ii)適当な形成可能なポリマーの内側及び外側層を供給する;(iii)プレブレンド/ベースポリエステル混合物と内側及び外側層の材料と同時注入して、多層の予備成型物を形成する;(iv)予備成型物を加熱し膨張させて容器を形成する。
【0071】
もう一つの方法では、多層の容器は、以下によって調製される:(i)上述のようなプレブレンドとベースポリエステルの混合物を供給する;(ii)適当な形成可能なポリマーの内側及び外側層を供給する;(iii)適当な形成可能なポリマーの内側及び外側層とプレブレンド/ベースポリエステル混合物のコア層とを有する多層のパリソンチューブを押し出す;(iv)パリソンチューブを中空キャビティの型に固定する;(v)パリソンチューブをキャビティに対して吹く;及び(vi)成形した容器のトリミングを行う。
【0072】
更なる他の方法(「オーバーインジェクテドパリソン」法)では、多層の容器は、以下によって調製される:(i)上述のようなプレブレンドとベースポリエステルの混合物を供給する;(ii)適当な形成可能なポリマーの内側及び外側層を供給する;(iii)適当な形成可能なポリマーの内側及び外側層とプレブレンド/ベースポリエステル混合物の中央バリア層とを有する多層のパリソンチューブを押し出す;(iv)パリソンを覆って一又はそれ以上の追加の層をを押し出す;(v)パリソンチューブを中空キャビティの型に固定する;(vi)パリソンチューブをキャビティに対して吹く;及び(vii)任意に成形した容器のトリミングを行う。
【0073】
更なる他の方法(「IOI」と称される)では、多層の容器は、以下によって調製される:(i)上述のようなプレブレンドとベースポリエステルの混合物を供給する;(ii)適当な形成可能なポリマーを供給する;(iii)プレブレンド/ベースポリエステル混合物を押し出して予備成型物を形成する;(iv)予備成型物に対して(即ち、外側表面)形成可能なポリマーの層を押し出す;(v)予備成型物を加熱し膨張させて容器を形成する。
【0074】
本発明に従って単層の容器を形成するためには、プレブレンド及びベースポリエステルを使用して射出成形又は押出プロセスにより予備成型物が製造される。次に、予備成型物は、この技術分野の当業者に公知のプロセスを使用して容器に変えられる。現在の射出成形又は押出プロセスでは、ベースポリエステルはインジェクタースクリューに導入される。インジェクタースクリューの供給口又はインジェクタースクリューの長さに沿った適当な位置の何れかで、プレブレンドがベースコポリエステルに加えられる。プレブレンドは、均一な混合物を提供するために、溶融したベースポリエステル及び溶融したプレブレンドの十分な混合を可能とするポイントでベースポリエステルに加えられる。ベースポリエステル/プレブレンド混合物は、次に、射出され又は押し出されて予備成型物を形成する。予備成型物は、次に、加熱され及び膨張されて、例えば、単層の容器に形成される。
【0075】
一般的に、単層容器又は多層容器のバリア層の調製に於いては、ベースポリエステル/プレブレンド混合物は、周囲の雰囲気に曝されることなく従来技術に従って成形装置に供給され、その混合物は溶融し、その溶融したブレンド物から予備成型物が射出成形され又は押し出される。射出成形については、ベースポリエステル/プレブレンド混合物は射出成形装置の加圧セクションにおいて、約255℃から約280℃の温度で、好ましくは260℃から約270℃の温度で保持され、インジェクションノズル内でも同じ温度範囲にある。予備成型物はアモルファスの状態を維持するように急速に冷却される。
【0076】
アモルファスの予備成型物は、続いて容器に再成形される。特定の物理的な応用に於いては、再成形は、アモルファス材料が軸方向及び/又はその円周方向に延伸されて予備成型物より薄い中間予備成型物をもたらす。中間予備成型物は、続いて容器の最終形状に延伸される。他の物理的応用に於いては、予備成型物は単一の成形ステージで容器に変換される。単層の容器を製造する現方法は、実質的に製造コストを低減する使用済みPETの使用も可能とする。
【0077】
以下は、本発明を例証し、その範囲を限定することがないと解されるべき非限定的な実施例である。
【0078】
実施例2
炭酸ソフトドリンクボトルを、ベースポリエステルと、希釈剤ポリエステル46重量%、ポリアミド材料54重量%、及びコバルトネオデカノエートとしての500ppmのコバルトイオンを含むプレブレンドとから製造した。
【0079】
以下の表に述べられているように、プレブレンドはベースポリエステルに混合物全体の4重量%で添加される。結果として得られる混合物から調製した容器は、バリア特性及び審美性についてテストされる。この実施例で使用される炭酸ソフトドリンクボトルは、概略的に以下のようにして調製される。
【0080】
実施例1のようなプレブレンドをConairドライヤで、140℃で3時間、最大水分含量50ppmまで乾燥させる。乾燥プレブレンドは、Husky射出成形機の供給口に取り付けられた定量供給機(Maguire Products, Aston,ペンシルベニア州、から商業的に入手可能)に充填される。定量供給機のホッパには、乾燥したプレブレンドがプロセス中に水分及び酸素のない状態を確実に維持するように窒素ガスパージが取り付けられている。定量供給機の搬送は、インジェクタースクリューの供給口へのPETの搬送に電気的に同期している。供給機は、各サイクルに於いてプレブレンドの予め決められた量、典型的には全組成物の約1重量%から10重量%に相当する量を搬送するように調整されている。プレブレンド及びベースポリマーを含む予備成型物は、この技術分野で公知のPETのみを含む予備成型物と同様の方法で製造される。予備成型物は、次にこの技術分野で公知の方法で、吹き込み成形されてソフトドリンクボトルが供給され、又は吹き込み成形の後に任意的にヒートセットされてホット充填ジュースボトルが供給される。
【0081】
異なるプレブレンド及び異なるベースポリマーから上記の方法によって種々の容器を調製し、次にバリア特性及びヘーズをテストし、その概要を表1に示した。
【0082】
【表1】

【0083】
容器1〜7は、以下の成分から調製された。各プレブレンドは、PET46重量%と、MXD6の54重量%と、コバルトネオデカノエート500ppmとを含んでいる。プレブレンドのPET及びベースPETは各容器で同じである。全ての容器は、4重量%のプレブレンドを使用して調製され、これはそれぞれコバルトイオンの20ppm(Eastman Chemicalsから入手したコバルトネオデカノエートとして)を与える。
【0084】
容器1−−高分子量PET(即ち、TRAYTUF 8506、入手先、M&G Polymer USA,LLC,ヒューストン,テキサス州)、MXD6(グレード6121、入手先、三菱ガスコーポレーション);
容器2−−TRAYTUF 8506 PET、MXD6(グレード6007);
容器3−−Eastman 9663 PET、Eastman Chemicalから入手可能、MXD6(Grade 6007);
容器4−−Eastman 9663 PET、MXD6(Grade 6007);
容器5−−TRAYTUF 8506 PET、MXD6(Grade 6007);
容器6−−Eastman 9663 PET、MXD6(Grade 6121);及び
容器7−−TRAYTUF 8506 PET、MXD6(Grade 6121)。
異なるPET成分が実質的に同じ固有粘度を有していた。異なるMXD6成分は分子量と粘度に於いて変化した。
【0085】
表1のデータは、未充填の容器及び冷水を48時間充填した容器についての酸素透過性の概要を示している。酸素透過測定は、周囲温度及び湿度で10オンス(295ml)ボトル用に設定したMocon Oxtran 2/20 モデルML及びSMで行った。容器は、各測定の前に24から48時間、条件を調製した。テストは、120時間の試験時間についてのMoconデータを提供し、ccO2/パッケージ/日で酸素透過性を示している。また、表1は、Hunter Laboratories Color−questを使用しておこなわれたヘーズテストからのデータを含んでいる。
【0086】
表1のデータは、本発明の方法に従って製造された予備成型物から調製された容器は、優れた酸素バリア特性を提供し、特に、コバルト/MXD6バリアシステムが活性化される冷水充填で顕著であることを示している。ヘーズ値%はまた、高いバリア特性に加えて、これらの容器が優れた外観を有していることを示している。
【0087】
特に、未充填容器は冷水充填容器より大きな、即ち10倍の大きさの酸素透過性を示している。このことは、本発明の方法に従って製造された容器の酸素バリア特性は、その容器が満たされた後に惹起されることを示している。このことは本発明の重要な特徴であり、活性化された後は、酸素バリア特性は時間と共に低下する。充填後に酸素バリア特性が惹起されることにより、未充填の保管状態の間とは対照的に、容器内に詰められた製品は長期に亘って保護される。
【0088】
本発明の方法は、ポリエステル、ポリアミド材料、及び脱酸素材料を含む容器の従来の製造方法に関連する問題点を解決する。第一に、プレブレンドは、予備成型物を形成する前の長期間に亘って安定である。希釈剤ポリエステルの存在は、酸素バリア錯体の活性化を妨げ又は遅らせ、そして予備成型物の製造の前の数ヶ月の間、プレブレンドの保管を可能とする。この特徴は、容器製造業者に大きな経済的利益である。第二に、酸素バリア特性は容器が充填されるまで活性化されないので、本発明の方法は、容器が作製されてから長期間、優れたバリア及び審美特性を有する容器の製造を可能とする。
【0089】
また、本発明の方法は、脱酸素材料のポリエステル全体に亘る均一な分布を可能とし、ポリアミド−脱酸素金属錯体の早すぎる接触と活性化による酸素バリア効果の低下を減少させ、PET/プレブレンド混合物の熱的安定性を増大させて改良された安定性をもたらし、そして、手軽でそして経済的に魅力がある。重要なのは、プレブレンドの調製は、ポリアミド材料と脱酸素材料とがベースポリエステルに混合される前に接触することを最小限にし又は防止することである。このことは、結果として、脱酸素材料の早すぎる活性化、即ち単層容器の酸素バリア特性を減少させる早期の酸化を防止することとなる。
【0090】
本発明の方法によって製造された容器は、0.1と0.01の間の酸素に対する等価係数を示した。このように、これらの容器は、高い酸素バリア特性が要求される製品のパッケージとして特に適している。
【0091】
本発明の単層又は多層容器は、炭酸ソフト飲料のような製品のパッケージに対して優れた酸素バリア特性と審美特性とを提供する。本発明の容器は、ビール、柑橘製品、トマトベース製品、及び無菌包装された肉のパッケージにおいて特に有用であり、これは、これらの製品がボトル内への酸素の移行により、フレーバを急速に失うからである。
【0092】
明らかに、これまで説明した本発明の多くの改良と改変とが、その精神と範囲から逸脱することなく為され得、従って、添付の特許請求の範囲に示されている限定のみが強要されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)希釈剤ポリエステル、(ii)ポリアミド材料、及び(iii)脱酸素材料、を含むプレブレンドを調製すること、
(b)ベースポリエステルを供給すること、
(c)ステップ(a)のプレブレンド及びステップ(b)のベースポリエステルを成形装置に導入して、前記プレブレンド及び前記ベースポリエステルを溶融し混合することを可能とすること、
(d)ステップ(c)の混合物を前記装置内で射出成形又は押出を行って予備成型物を提供し、及び
(e)ステップ(d)の予備成型物を延伸してバリア層を有するプラスチック容器を提供する、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記プラスチック容器が多層プラスチック容器である方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、前記プラスチック容器が単層プラスチック容器である方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、前記容器のバリア特性は、前記容器が水性流動体で満たされた後に活性化される、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、前記ステップ(a)のプレブレンドは、25℃相対湿度40%で6ヶ月の保存後に於ける安定性が、ポリアミド材料及び脱酸素材料のみを含むブレンド物の同じ条件下での安定性より高い、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、前記プレブレンドは、固体の粒状物の形状である、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、前記希釈剤ポリエステルは、前記プレブレンドの約25重量%から約75重量%の量で前記プレブレンドに存在している、方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、前記希釈剤ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール/ポリエチレンテレフタレートコポリマー、又はこれらの混合物のホモポリマー又はコポリマーを含有している、方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法であって、前記ポリエチレンテレフタレートは、未使用のボトルグレードのポリエチレンテレフタレート、使用済みグレードのポリエチレンテレフタレート、又はこれらの混合物を含有している、方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法であって、前記ポリアミド材料は、前記プレブレンドの約25重量%から約75重量%の量で前記プレブレンドに存在している、方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法であって、前記ポリアミド材料は、m−キシリレンジアミンモノマーユニット、p−キシリレンジアミンモノマーユニット、又はこれらの混合物を含むポリマーを含有している、方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法であって、前記ポリアミド材料は、m−キシリレンジアミンとアジピン酸との重合生成物を含有している、方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法であって、前記脱酸素材料は、重量で約20ppmから約2000ppmの量で前記プレブレンドに存在している、方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法であって、前記脱酸素材料は、周期律表の第1、第2又は第3遷移金属系列から選択される遷移金属又はその錯体若しくは塩を含有している、方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法であって、前記脱酸素材料は、コバルト、鉄、ニッケル、銅、マンガン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるもの、又はその塩若しくは錯体を含有している、方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法であって、前記プレブレンドは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、又はこれらの混合物を含有する希釈剤ポリエステルを約30重量%から約70重量%と、芳香族ポリアミド材料の約30重量%から約70重量%と、重量で約50から1500ppmのコバルトの塩又は錯体を含有する脱酸素材料と、を含有している、方法。
【請求項17】
請求項1記載の方法であって、前記ベースポリエステルは、固体の粒状物の形状である、方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法であって、前記プレブレンド及び前記ベースポリエステルは、前記プレブレンドの約0.5重量%から約20重量%と、前記ベースポリエステルの約80重量%から約99.5重量%との量で混合される、方法。
【請求項19】
請求項1記載の方法であって、前記ベースポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリフタレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール/ポリエチレンテレフタレートコポリマー、又はこれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法であって、前記ポリフタレンテレフタレートは、未使用のボトルグレードのポリエチレンテレフタレート、使用済みグレードのポリエチレンテレフタレート、又はこれらの混合物を含有している、方法。
【請求項21】
請求項1記載の方法であって、前記予備成型物は、前記脱酸素材料を重量で約10から約80ppmで含有している、方法。
【請求項22】
請求項1記載の方法によって調製されるプラスチック容器。
【請求項23】
請求項22記載の容器であって、水充填から48時間後の酸素透過性が、0.035ccO2/パッケージ/日又はそれより小さい値である、容器。
【請求項24】
請求項22記載の容器であって、水充填から48時間後のccO2/パッケージ/日による酸素透過性が、水充填前の容器の酸素透過性より小さい、容器。

【公表番号】特表2007−522049(P2007−522049A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553123(P2006−553123)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/000394
【国際公開番号】WO2005/083003
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(503220495)ヴァルスパー ソーシング インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】