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バリア性積層体、ガスバリアフィルムおよびこれらを用いたデバイス
説明

バリア性積層体、ガスバリアフィルムおよびこれらを用いたデバイス

【課題】 バリア性と密着性に優れたバリア性積層体を提供する。
【解決手段】無機層と、該無機層の表面に設けられた有機層を有し、前記無機層は、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素炭化物、または、その混合物を主成分とし、前記有機層は、(メタ)アクリレート(1)と、シランカップリング反応を引き起こす基を有するラジカル重合性化合物(2)と、光ラジカル重合開始剤(3)と、光酸発生剤(4)を含む組成物を光照射して硬化させてなる、バリア性積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリア性積層体、ガスバリアフィルムおよびこれらを用いたデバイスに関する。特に、有機EL素子および太陽電池素子等の電子デバイスの封止または基板として有益な、バリア性積層体およびガスバリアフィルムに関する。さらに、これらのバリア性積層体またはガスバリアフィルムを用いた封止用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素等の金属酸化物薄膜を形成したガスバリアフィルムは、水蒸気や酸素など各種ガスの遮断を必要とする物品の包装や、食品、工業用品および医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。
【0003】
近年、有機デバイス(有機ELデバイス、有機太陽電池デバイス、有機TFTデバイス等)の分野においては、ガラス基板に代わって、ガスバリアフィルムを採用するニーズが高まっている。ガスバリアフィルムは軽量であり、ロールトゥロール(Roll to Roll)方式に適用可能であることから、コストの点で有利である。しかし、ガスバリアフィルムはガラス基板と比較して水蒸気バリア性に劣るという問題がある。
【0004】
この問題を解決するために、特許文献1には有機層と無機層の複数層の交互積層体(バリア性積層体)により、水蒸気透過率として0.005g/m2/day未満を実現する技術が開示されている。該明細書によれば有機層と無機層がそれぞれ1層ずつしか積層されていない場合は、水蒸気透過率が0.011g/m2/dayであり、多層積層することの技術的価値が明確に示されている。バリア性積層体をフィルム上に設置したガスバリアフィルムは有機デバイスの基板としての応用が期待される。
また、特許文献2には、プラスチック基材フィルムと無機酸化物層の密着性が高いガスバリアフィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,413,645号明細書
【特許文献2】特開2010−188600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2では、プラスチック基材フィルムと無機酸化物層の密着性について詳細に検討しているが、他の層(例えば、ガスバリア性被膜)との密着性については、全く検討していない。これは、他の層(例えば、ガスバリア性被膜)が無機酸化物層との密着性が高い層であり、本来的に密着性が問題がとならないためである。これに対し、有機層を、無機層の表面に、(メタ)アクリレートと光重合開始剤を含む重合性組成物を膜状に適用して光硬化して形成する場合、有機層と無機層との密着性が問題になる。かかる有機層と無機層の密着性の改善方法として、重合性組成物にシランカップリング剤を用いることが知られている。すなわち、シランカップリング剤が、(メタ)アクリレートと結合するとともに無機層の珪素化合物等と結合を形成して、有機層と無機層の密着性を向上させている。しかしながら、近年の技術の発展に伴い、かかる密着性の改善では十分ではなくなってきている。本願発明は、かかる従来技術の問題点を解消することを目的としたものであって、密着性およびバリア性がさらに優れたバリア性積層体およびこれを用いたガスバリアフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる状況のもと、本願発明者が検討を行った結果、従来技術では、シランカップリング剤のシランカップリング反応の開始時期に問題があることがわかった。すなわち、従来、(メタ)アクリレートと光重合開始剤とシランカップリング剤を含む重合性組成物を無機層の表面に膜状に適用して光硬化させる場合、シランカップリング剤と珪素化合物等の反応は、反応開始時期の制御が行えておらず、また光重合反応と比較して遅い反応であった。これは、シランカップリング反応が光刺激では進行しないことによる。そのため、この方法では、シランカップリング剤が無機層の珪素化合物等と十分に相互作用しないまま有機層が硬化してしまい、結果として密着性を低下させてしまっていることが分かった。そこで、本願発明者は、重合性組成物に、光酸発生剤を添加し、該光酸発生剤によって発生する酸によって、シランカップリング反応を開始させることにたどり着いた。すなわち、シランカップリング反応を(メタ)アクリレートの重合反応と同時、もしくは先行して開始させ、有機層と無機層の密着性を確保した後、有機層を完全に硬化させることに成功し本発明を完成するに至った。
具体的には、以下の手段<1>により、好ましくは<2>〜<12>により上記課題は解決された。
【0008】
<1>無機層と、該無機層の表面に設けられた有機層を有し、前記無機層は、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素炭化物、アルミニウム酸化物または、その混合物を主成分とし、前記有機層は、(メタ)アクリレート(1)と、シランカップリング反応を引き起こす基を有するラジカル重合性化合物(2)と、光ラジカル重合開始剤(3)と、光酸発生剤(4)を含む組成物を光照射して硬化させてなる、バリア性積層体。
<2>シランカップリング反応を引き起こす基を有するラジカル重合性化合物が、(メタ)アクリレートである、<1>に記載のバリア性積層体。
<3>前記(メタ)アクリレート(1)が多官能(メタ)アクリレートである、<1>または<2>に記載のバリア性積層体。
<4>前記(メタ)アクリレート(1)およびシランカップリング反応を引き起こす基を有するラジカル重合性化合物(2)のうち、酸発生化合物が3重量%以下である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
<5>少なくとも2層の有機層と、少なくとも2層の無機層が、交互に積層している、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
<6>前記組成物が、さらに、酸発生剤に対する増感剤を含む、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
<7>支持体上に、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のバリア性積層体を設けたガスバリアフィルム。
<8><1>〜<6>のいずれか1項に記載のバリア性積層体または<7>に記載のガスバリアフィルムを含むデバイス。
<9>前記デバイスが、有機EL素子または太陽電池素子である、<8>に記載のデバイス。
<10><1>〜<6>のいずれか1項に記載のバリア性積層体または<7>に記載のガスバリアフィルムを含む封止用袋。
<11>有機層に光照射をして硬化させる際に、光酸発生剤が分解し、重合開始剤が分解しない波長の光を当てた後、光ラジカル重合開始剤が分解する波長の光を当てることを含む、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のバリア性積層体の製造方法。
<12>前記組成物に増感剤を添加することによって、光酸発生剤が分解する光の波長を調整することを含む、<11>に記載のバリア性積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、バリア性と密着性の両方に優れたバリア性積層体およびガスバリアフィルムを提供可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のガスバリアフィルムの構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本発明における有機EL素子とは、有機エレクトロルミネッセンス素子のことをいう。
【0012】
本発明のバリア性積層体は、無機層と、該無機層の表面に設けられた有機層を有し、前記無機層は、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素炭化物、または、その混合物を主成分とし、前記有機層は、(メタ)アクリレート(1)と、シランカップリング反応を引き起こす基を有するラジカル重合性化合物(2)(以下、本願明細書において、「シランカップリング剤」ということがある)と、光ラジカル重合開始剤(3)と、光酸発生剤(4)を含む組成物を光照射して硬化させてなることを特徴とする。
これらの成分(1)〜(4)を併用することにより、(メタ)アクリレート(1)の硬化と、シランカップリング剤(2)のシランカップリング反応をともに制御することができ、バリア性を維持しつつ密着性をより向上させることが可能になる。
【0013】
(メタ)アクリレート(1)
本発明における重合性組成物は、(メタ)アクリレートを含むが、(メタ)アクリレートは、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。官能基の数は、3〜6が好ましい。
また、芳香族基を含有する(メタ)アクリレートがより好ましく、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0014】
以下に、(メタ)アクリレート系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】
【化3】

【0017】
【化4】

【0018】
【化5】

【0019】
【化6】

【0020】
さらに、本発明では、一般式(3)で表されるメタアクリレート系化合物が好ましく採用できる。
一般式(3)
【化7】

(一般式(3)中、R1は、置換基を表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは、0〜5の整数を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。但し、R1の少なくとも1つは重合性基を含む。)
【0021】
1の置換基としては、−CR22−(R2は水素原子または置換基)、−CO−、−O−、フェニレン基、−S−、−C≡C−、−NR3−(R3は水素原子または置換基)、−CR4=CR5−(R4、R5は、ぞれぞれ、水素原子または置換基)の1つ以上と、重合性基との組み合わせからなる基が挙げられ、−CR22−(R2は水素原子または置換基)、−CO−、−O−およびフェニレン基の1つ以上と、重合性基との組み合わせからなる基が好ましい。
2は、水素原子または置換基であるが、好ましくは、水素原子またはヒドロキシ基である。
1の少なくとも1つが、ヒドロキシ基を含むことが好ましい。ヒドロキシ基を含むことにより、機層の硬化率が向上する。
1の少なくとも1つの分子量が10〜250であることが好ましく、70〜150であることがより好ましい。
1が結合している位置としては、少なくともパラ位に結合していることが好ましい。
nは、0〜5の整数を示し、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、いずれも1であることがさらに好ましい。
【0022】
一般式(3)で表される化合物は、R1の少なくとも2つが同じ構造であることが好ましい。さらに、nは、いずれも1であり、4つのR1の少なくとも2つずつがそれぞれ同じ構造であることがより好ましく、nは、いずれも1であり、4つのR1が同じ構造であることがさらに好ましい。一般式(3)が有する重合性基は、(メタ)アクリロイル基またはエポキシ基であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。一般式(3)が有する重合性基の数は、2つ以上であることが好ましく、3つ以上であることがより好ましい。また、上限は特に定めるものではないが、8つ以下であることが好ましく、6つ以下であることがより好ましい。
一般式(3)で表される化合物の分子量は、600〜1400が好ましく、800〜1200がより好ましい。
【0023】
本発明では、一般式(3)で表される化合物を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含んでいる場合、例えば、同じ構造のR1を含み、かつ、該R1の数が異なる化合物およびそれらの異性体を含んでいる組成物が例示される。
【0024】
以下に、一般式(3)で表される化合物の具体例を示すが、これによって本発明が限定されることはない。また、下記化合物では、一般式(3)の4つのnがいずれも1の場合を例示しているが、一般式(3)の4つのnのうち、1つまたは2つまたは3つが0のもの(例えば、2官能や3官能化合物等)や、一般式(3)の4つのnのうち、1つまたは2つまたは3つ以上が2つ以上のもの(R1が1つの環に、2つ以上結合しているもの、例えば、5官能や6官能化合物等)も本発明の好ましい化合物として例示される。
【0025】
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【0026】
一般式(3)で表される化合物は、市販品として入手することができる。また、上記化合物は、公知の方法によって合成することもできる。例えば、エポキシアクリレートは、エポキシ化合物とアクリル酸との反応で得ることができる。これらの化合物は、通常、反応の際、2官能、3官能、5官能やその異性体なども生成する。これらの異性体を分離したい場合は、カラムクロマトグラフィによって分離できるが、本発明では、混合物として用いることも可能である。
【0027】
本発明における重合性組成物における、(メタ)アクリレートの配合量は、溶媒を除く固形分に対し、50〜99重量%であることが好ましく、85〜95重量%であることがより好ましい。
【0028】
シランカップリング反応を引き起こす基を有するラジカル重合性化合物(2)
本発明で用いるシランカップリング反応を引き起こす基を有するラジカル重合性化合物とは、RO−Siで表される無機化合物と化学結合を形成する反応基と、C=Cで表されるラジカル重合反応を起こす基とを同時に有する化合物を意味する。ここで、Rはメチル基、エチル基、2−メトキシエチル基が好ましい。
ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリレート基、ビニル基、スチリル基が例示され、(メタ)アクリレート基が好ましい。
シランカップリング反応を引き起こす基としては、下記で表される基が好ましい。
【化13】

(nは2または3の整数である。Rはアルキル基である。*でほかの基と結合する。)
Rはメチル基またはエチル基がより好ましい。
【0029】
本発明で用いるシランカップリング剤は、シランカップリング反応を引き起こす基とラジカル重合性基が、単結合または連結基を介して結合している構造を有することが好ましい。連結基としては、2価の連結基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましい。
【0030】
具体的には、信越シリコーン製KBM−502、KBM−503、KBE502、KBE−503、KBM−5103、KBM−1403、KBM−1003、KBE−1003が例示される。
【0031】
また、本発明では、下記一般式(I)で表されるシランカップリング剤も好ましく用いることができる。
一般式(I)
【化14】

(一般式(I)中、R1〜R6は、それぞれ、アルキル基またはアリール基である。該アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。但し、R1〜R6のうち少なくとも1つは、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基である。)
【0032】
1〜R6は、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基またはアリール基である。R1〜R6は、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基である場合を除き、無置換のアルキル基または無置換のアリール基が好ましい。アルキル基としては炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。アリール基としては、フェニル基が好ましい。R1〜R6は、メチル基が特に好ましい。
【0033】
1〜R6のうち少なくとも1つは、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基を有し、R1〜R6の2つがラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基であることが好ましい。さらに、R1〜R3のなかでラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基を有するものの数が1であって、R4〜R6のなかでラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基を有するものの数が1であることが特に好ましい。
一般式(I)で表されるシランカップリング剤が2つ以上のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基は、それぞれの置換基は同じであってもよいし、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0034】
ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基は、−X−Yで表されることが好ましい。ここで、Xは、単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、アリーレン基であり、好ましくは、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基である。Yは、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合基であり、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、ビニル基、プロペニル基、ビニルオキシ基、ビニルスルホニル基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0035】
また、R1〜R6はラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基以外の置換基を有しても良い。置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、等が挙げられる。
【0036】
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【化15】

【化16】

【0037】
本発明における重合性組成物における、シランカップリング剤の配合量は、溶媒を除く固形分に対し、1〜30重量%であることが好ましく、5〜20重量%であることがより好ましい。
【0038】
光ラジカル重合開始剤(3)
本発明で用いる光ラジカル重合開始剤はその種類等は特に定めるものではないが、紫外線の照射によるものが好ましい。
光ラジカル重合開始剤の含量は、重合性化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜2モル%であることがより好ましい。このような組成とすることにより、活性成分生成反応を経由する重合反応を適切に制御することができる。光重合開始剤の例としてはチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Esacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT、エザキュアKTO46など)等が挙げられる。
【0039】
光酸発生剤(4)
本発明で用いる光酸発生剤はその種類等特に定めるものではなく、トリアジン類、スルホニウム塩やヨードニウム塩、第四級アンモニウム塩類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物など公知の酸発生剤を広く用いることができる。好ましくは、スルホニウム塩およびヨードニウム塩である。
本発明における光酸発生剤の配合量は、重合性化合物に対し、0.01〜30重量%であることが好ましく、0.1〜20重量%であることがより好ましく、0.5〜5重量%であることがさらに好ましい。
【0040】
増感剤
本発明では、重合性組成物に酸発生剤に対する増感剤を添加してもよい。増感剤を添加することにより、光酸発生剤の酸発生の時期と、(メタ)アクリレートの重合の開始の時期により効果的にタイムラグを生じさせることができる。すなわち、光酸発生剤に対する増感剤を加えることで、可視光を当てた場合には光酸発生剤のみ反応を開始させることができる。具体的には、2種類の光(例えば、可視光とUV光)を用いて膜を硬化させることによって達成される。すなわち、光酸発生剤に対する増感剤を加えることで、可視光を当てた場合には光酸発生剤のみ反応を開始させることができる。そして、別途、UV光を照射することにより、(メタ)アクリレートの重合を開始させることができる。
このような増感剤としては、アントラセン、チオキサントン、カルバゾールおよびそれらの誘導体が例示され、チオキサントンの誘導体であるITX、CPTX(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)が好ましい。
本発明における増感剤の配合量は、光酸発生剤に対し、1〜200重量%であることが好ましく、5〜150重量%であることがより好ましく、10〜100重量%であることがさらに好ましい。
【0041】
本発明における有機層は、実質的に、(メタ)アクリレート(1)と、シランカップリング反応を引き起こす基を有するラジカル重合性化合物(2)と、光ラジカル重合開始剤(3)と、光酸発生剤(4)と、溶剤と、必要に応じ添加される増感剤のみからなる組成物を用いて形成することが好ましい。実質的にとは、不純物等を除きこれら以外の成分を含まないことをいう。例えば、(メタ)アクリレート(1)と、シランカップリング反応を引き起こす基を有するラジカル重合性化合物(2)と、光ラジカル重合開始剤(3)と、光酸発生剤(4)と、溶剤と、必要に応じ添加される増感剤の合計量が重合性組成物の97重量%以上を占める場合が例示される。
また、重合性化合物(メタ)アクリレート(1)およびシランカップリング剤(2)のうち、酸発生化合物が3重量%以下であることが好ましい。このような範囲とすることにより、シランカップリング剤の反応が、酸発生化合物によって引き起こされるのを抑制することができ、本発明の効果がより効果的に発揮される傾向にある。
【0042】
(有機層の形成方法)
重合性組成物を層状にする方法としては、通常、基材フィルムまたは無機層等の支持体の上に、重合性組成物を適用して形成する。適用方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、或いは、米国特許第2681294号明細書に記載のホッパ−を使用するエクストル−ジョンコート法が例示され、この中でも塗布による方法が好ましく採用できる。
照射する光は、通常、高圧水銀灯もしくは低圧水銀灯による紫外線である。照射エネルギーは0.1J/cm2以上が好ましく、0.5J/cm2以上がより好ましい。重合性化合物として、(メタ)アクリレート系化合物を採用する場合、空気中の酸素によって重合阻害を受けるため、重合時の酸素濃度もしくは酸素分圧を低くすることが好ましい。窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。また、100Pa以下の減圧条件下で0.5J/cm2以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行うのが特に好ましい。
【0043】
本発明における有機層は、平滑で、膜硬度が高いことが好ましい。有機層の平滑性は1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満であることが好ましく、0.5nm未満であることがより好ましい。モノマーの重合率は85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、92%以上であることが特に好ましい。ここでいう重合率とはモノマー混合物中の全ての重合性基(例えば、アクリロイル基およびメタクリロイル基)のうち、反応した重合性基の比率を意味する。重合率は赤外線吸収法によって定量することができる。
【0044】
有機層の膜厚については特に限定はないが、薄すぎると膜厚の均一性を得ることが困難になるし、厚すぎると外力によりクラックを発生してバリア性が低下する。かかる観点から、有機層の厚みは50nm〜2000nmが好ましく、200nm〜1500nmがより好ましい。
有機層の表面にはパーティクル等の異物、突起が無いことが要求される。このため、有機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
有機層の硬度は高いほうが好ましい。有機層の硬度が高いと、無機層が平滑に成膜されその結果としてバリア能が向上することがわかっている。有機層の硬度はナノインデンテーション法に基づく微小硬度として表すことができる。有機層の微小硬度は100N/mm以上であることが好ましく、150N/mm以上であることがより好ましい。
【0045】
(無機層)
無機層は、無機層は、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素炭化物、アルミニウム酸化物または、その混合物を主成分とする。ここで主成分とは、無機層に最も多く含まれる成分をいい、例えば、80重量%以上がこれらの化合物であることをいう。
無機層の形成方法は、目的の薄膜を形成できる方法であればいかなる方法でも用いることができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)、めっきやゾルゲル法等の液相成長法がある。本発明では、スパッタリング法で作成した場合であっても、高いバリア性を維持することができる。本発明では、無機層の材料として、これらの珪素化合物を用い、プラズマプロセスにより成膜した場合であっても、高いバリア性を有するバリア性積層体が得られる点で、極めて有意である。さらに好ましくは、窒化珪素であることにより、緻密な膜が得られ高いバリア性を有するバリア積層体が得られる点で望ましい。
本発明により形成される無機層の平滑性は、1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満であることが好ましく、0.5nm以下がより好ましい。このため、無機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
【0046】
無機層の厚みに関しては特に限定されないが、1層に付き、通常、5〜500nmの範囲内であり、好ましくは20〜200nmである。無機層は2層以上積層してもよい。本発明では、無機層を2層以上設ける態様において、層間の密着性が向上し、かつ、電子デバイスに用いたときの故障率を低減することができる。また、2層以上設ける場合、各層が同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、2層以上積層する場合は、各々の無機層が上記の好ましい範囲内にあるように設計することが望ましい。また、上述したとおり、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように有機層との界面が明確で無く、組成が膜厚方向で連続的に変化する層を含んでいてもよい。
【0047】
(有機層と無機層の積層)
有機層と無機層の積層は、所望の層構成に応じて有機層と無機層を順次繰り返し成膜することにより行うことができる。特に、本発明は、少なくとも2層の有機層と少なくとも2層の無機層を交互に積層した場合に、高いバリア性を発揮することができる。さらに、2層の無機層に挟まれた有機層が2層以上含まれる構成、例えば、無機層、有機層、無機層、有機層、無機層が該順に互いに隣接している構成では、さらに高いバリア性を発揮することができる。特に、本発明では、重合性芳香族シランカップリング剤由来の有機層の表面に無機層を設けることにより、該有機層と該無機層の密着性が向上し、より好ましい。
【0048】
(機能層)
本発明のデバイスにおいては、バリア性積層体上、もしくはその他の位置に、機能層を有していても良い。機能層については、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に詳しく記載されている。これら以外の機能層の例としてはマット剤層、保護層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、易接着層等が挙げられる。
【0049】
バリア性積層体の用途
本発明のバリア性積層体は、通常、支持体の上に設けるが、この支持体を選択することによって、様々な用途に用いることができる。支持体には、基材フィルムのほか、各種のデバイス、光学部材等が含まれる。具体的には、本発明のバリア性積層体はガスバリアフィルムのバリア層として用いることができる。また、本発明のバリア性積層体およびガスバリアフィルムは、バリア性を要求するデバイスの封止に用いることができる。本発明のバリア性積層体およびガスバリアフィルムは、光学部材にも適用することができる。以下、これらについて詳細に説明する。
【0050】
<ガスバリアフィルム>
ガスバリアフィルムは、基材フィルムと、該基材フィルム上に形成されたバリア性積層体とを有する。図1は、本発明のガスバリアフィルムの構成の一例を示したものであって、基材フィルム5の上に、有機層と無機層が交互に設けられた構成を示している。具体的には、基材フィルム5の側から順に、有機層6、無機層1、有機層2、無機層3の順に、それぞれの面が互いに隣接するように設けられている。有機層2が本発明で規定する有機層を用いる。有機層6は、アンダーコート層とも呼ばれ、基材フィルム5と無機層13の密着性を向上させている。有機層6は、本発明における有機層であってもよいし、他の有機層であってもよい。
ガスバリアフィルムにおいて、本発明のバリア性積層体は、基材フィルムの片面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。本発明のバリア性積層体は、基材フィルム側から無機層、有機層の順に積層していてもよいし、有機層、無機層の順に積層していてもよい。本発明のバリア性積層体の最上層は無機層でも有機層でもよい。
ガスバリアフィルムはバリア性積層体、基材フィルム以外の構成成分(例えば、易接着層等の機能性層)を有しても良い。機能性層はバリア性積層体の上、バリア性積層体と基材フィルムの間、基材フィルム上のバリア性積層体が設置されていない側(裏面)のいずれに設置してもよい。
【0051】
(プラスチックフィルム)
本発明におけるガスバリアフィルムは、通常、基材フィルムとして、プラスチックフィルムを用いる。用いられるプラスチックフィルムは、有機層、無機層等の積層体を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムとしては、具体的には、金属支持体(アルミニウム、銅、ステンレス等)ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0052】
本発明のガスバリアフィルムを後述する有機EL素子等のデバイスの基板として使用する場合は、プラスチックフィルムは耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上および/または線熱膨張係数が40ppm/℃以下で耐熱性の高い透明な素材からなることが好ましい。Tgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。このような熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン(株)製 ゼオノア1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の化合物:162℃)、ポリイミド(例えば三菱ガス化学(株)ネオプリム:260℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の化合物:300℃以上)が挙げられる(括弧内はTgを示す)。特に、透明性を求める場合には脂環式ポレオレフィン等を使用するのが好ましい。
【0053】
本発明のガスバリアフィルムを偏光板と組み合わせて使用する場合、ガスバリアフィルムのバリア性積層体がセルの内側に向くようにし、最も内側に(素子に隣接して)配置することが好ましい。このとき偏光板よりセルの内側にガスバリアフィルムが配置されることになるため、ガスバリアフィルムのレターデーション値が重要になる。このような態様でのガスバリアフィルムの使用形態は、レターデーション値が10nm以下の基材フィルムを用いたガスバリアフィルムと円偏光板(1/4波長板+(1/2波長板)+直線偏光板)を積層して使用するか、あるいは1/4波長板として使用可能な、レターデーション値が100nm〜180nmの基材フィルムを用いたガスバリアフィルムに直線偏光板を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0054】
レターデーションが10nm以下の基材フィルムとしてはセルローストリアセテート(富士フイルム(株):富士タック)、ポリカーボネート(帝人化成(株):ピュアエース、(株)カネカ:エルメック)、シクロオレフィンポリマー(JSR(株):アートン、日本ゼオン(株):ゼオノア)、シクロオレフィンコポリマー(三井化学(株):アペル(ペレット)、ポリプラスチック(株):トパス(ペレット))ポリアリレート(ユニチカ(株):U100(ペレット))、透明ポリイミド(三菱ガス化学(株):ネオプリム)等を挙げることができる。
また1/4波長板としては、上記のフィルムを適宜延伸することで所望のレターデーション値に調整したフィルムを用いることができる。
【0055】
本発明のガスバリアフィルムは有機EL素子等のデバイスとして利用されることから、プラスチックフィルムは透明であること、すなわち、光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。光線透過率は、JIS−K7105に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
本発明のガスバリアフィルムをディスプレイ用途に用いる場合であっても、観察側に設置しない場合などは必ずしも透明性が要求されない。したがって、このような場合は、プラスチックフィルムとして不透明な材料を用いることもできる。不透明な材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、公知の液晶ポリマーなどが挙げられる。
本発明のガスバリアフィルムに用いられるプラスチックフィルムの厚みは、用途によって適宜選択されるので特に制限がないが、典型的には1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。これらのプラスチックフィルムは、透明導電層、プライマー層等の機能層を有していても良い。機能層については、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に詳しく記載されている。これら以外の機能層の例としてはマット剤層、保護層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、易接着層等が挙げられる。
【0056】
<デバイス>
本発明のバリア性積層体およびガスバリアフィルムは空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく用いることができる。前記デバイスの例としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池等)等の電子デバイスを挙げることができ有機EL素子に好ましく用いられる。
【0057】
本発明のバリア性積層体は、また、デバイスの膜封止に用いることができる。すなわち、デバイス自体を支持体として、その表面に本発明のバリア性積層体を設ける方法である。バリア性積層体を設ける前にデバイスを保護層で覆ってもよい。
【0058】
本発明のガスバリアフィルムは、デバイスの基板や固体封止法による封止のためのフィルムとしても用いることができる。固体封止法とはデバイスの上に保護層を形成した後、接着剤層、ガスバリアフィルムを重ねて硬化する方法である。接着剤は特に制限はないが、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性アクリレート樹脂等が例示される。
【0059】
従来のバリア性積層体およびガスバリアフィルムは、これらをデバイスに組み込み、その状態で、80℃以上の温度で加熱したとき、シランカップリング剤由来のアルコールガスを放出し、デバイスにダメージを与えてしまっていた。しかしながら、本発明のバリア性積層体およびガスバリアフィルムは、80℃以上の温度(例えば、80〜200℃)で加熱してもアルコールガスを大量に放出しないため、デバイスにダメージを与えることを効果的に抑制できる。
【0060】
(有機EL素子)
ガスバリアフィルム用いた有機EL素子の例は、特開2007−30387号公報に詳しく記載されている。有機EL素子の製造工程には、ITOのエッチング工程後の乾燥工程や湿度の高い条件下での工程があるため、本発明のガスバリアフィルムを用いることは極めて優位である。
【0061】
(液晶表示素子)
反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる構成を有する。本発明におけるガスバリアフィルムは、前記透明電極基板および上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなる構成を有する。このうち本発明の基板は、前記上透明電極および上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。液晶セルの種類は特に限定されないが、より好ましくはTN型(Twisted Nematic)、STN型(Super Twisted Nematic)またはHAN型(Hybrid Aligned Nematic)、VA型(Vertically Alignment)、ECB型(Electrically Controlled Birefringence)、OCB型(Optically Compensated Bend)、CPA型(Continuous Pinwheel Alignment)、IPS型(In Plane Switching)であることが好ましい。
【0062】
(太陽電池)
本発明のバリア性積層体およびガスバリアフィルムは、太陽電池素子の封止フィルムとしても用いることができる。ここで、本発明のバリア性積層体およびガスバリアフィルムは、接着層が太陽電池素子に近い側となるように封止することが好ましい。太陽電池は、ある程度の熱と湿度に耐えることが要求されるが、本発明のバリア性積層体およびガスバリアフィルムは好適である。本発明のバリア性積層体およびガスバリアフィルムが好ましく用いられる太陽電池素子としては、特に制限はないが、例えば、単結晶シリコン系太陽電池素子、多結晶シリコン系太陽電池素子、シングル接合型、またはタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池素子、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池素子、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子、色素増感型太陽電池素子、有機太陽電池素子等が挙げられる。中でも、本発明においては、上記太陽電池素子が、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子であることが好ましい。
【0063】
(その他)
その他の適用例としては、特表平10−512104号公報に記載の薄膜トランジスタ、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のタッチパネル、特開2000−98326号公報に記載の電子ペーパー、特開平9−18042号公報に記載の太陽電池等が挙げられる。
また、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等の樹脂フィルムと、本発明のバリア性積層体またはガスバリアフィルムを積層して封止用袋として用いることができる。これらの詳細については、特開2005−247409号公報、特開2005−335134号公報等の記載を参酌できる。
【0064】
<光学部材>
本発明のガスバリアフィルムを用いる光学部材の例としては円偏光板等が挙げられる。
(円偏光板)
本発明におけるガスバリアフィルムを基板としλ/4板と偏光板とを積層し、円偏光板を作製することができる。この場合、λ/4板の遅相軸と偏光板の吸収軸とが45°になるように積層する。このような偏光板は、長手方向(MD)に対し45°の方向に延伸されているものを用いることが好ましく、例えば、特開2002−865554号公報に記載のものを好適に用いることができる。
【実施例】
【0065】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0066】
本願実施例で用いた材料を以下に示す。
(1)ラジカル重合性化合物
【化17】

(2)ラジカル重合性化合物
【化18】

【0067】
(3)プロトン酸強酸 (比較例) パラトルエンスルホン酸
(4)プロトン酸中酸 (比較例)
【化19】

(5)光酸発生剤 IRGACURE250
【化20】

(6)光酸発生剤 UVI-6990
【化21】

【0068】
(7)シランカップリング剤 KBM5103
【化22】

(8)シランカップリング剤 KBM503
【化23】

(9)シランカップリング剤 KBM403 (比較例)
【化24】

(10)シランカップリング剤 KBM1103 (比較例)
【化25】

【0069】
(11)増感剤 ITX
【化26】

(12)増感剤 CPTX
【化27】

【0070】
<実施例1>
[ガスバリアフィルム基板の作製]
ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製、テオネックスQ65FA、厚さ100μm)上に、ラジカル重合性化合物(1)または(2)と光ラジカル重合開始剤(Lamberti社、Esacure KTO46)、および2−ブタノンからなる重合性組成物を乾燥膜厚が1000nmとなるように塗布成膜し、酸素含有量100ppm以下の窒素雰囲気下で紫外線照射量0.5J/cm2で照射して硬化させ、第1の有機層を作製した。
その第1の有機層表面に、膜厚が40nmとなるように窒化珪素をプラズマCVD法で成膜した。続いて、下表のようにラジカル重合性化合物(1)または(2)、 各種の酸と、シランカップリング反応を引き起こす基を有する重合性化合物と、光ラジカル重合開始剤(Lamberti社、Esacure KTO46)、増感剤、および2−ブタノンからなる重合性組成物を乾燥膜厚が1000nmとなるように塗布成膜し、酸素含有量100ppm以下の窒素雰囲気下で紫外線照射量0.5J/cm2で照射して硬化させ、第2の有機層を作製した。
さらに第2の有機層上に上記と同様の方法で窒化珪素を作成し、ガスバリアフィルム基板を作製した。
増感剤は光酸発生剤の分解波長領域を広げる効果があり、可視光領域(〜400nm)の光を当てた場合にも、反応を開始させることができる。
【0071】
得られたガスバリアフィルムについて、初期および耐久性試験した後(85℃/85%の湿熱環境で1000時間保持)の水蒸気透過率、および耐久性試験した後の密着性を測定した。
【0072】
[バリア性能(水蒸気透過率)]
G.NISATO、P.C.P.BOUTEN、P.J.SLIKKERVEERらSID Conference Record of the International Display Research Conference 1435-1438頁に記載の方法を用いて水蒸気透過率(g/m2/day)を測定した。このときの温度は40℃、相対湿度は90%とした。結果を下記表に示した。
【0073】
[密着性の試験]
JIS K5400に準拠した碁盤目試験を行なった。上記層構成を有するガスバリアフィルム基板の表面にそれぞれカッターナイフで膜面に対して90°の切込みを1mm間隔で入れ、1mm間隔の碁盤目を100個作製した。この上に2cm幅のマイラーテープ[日東電工製、ポリエステルテープ(No.31B)]を貼り付け、テープ剥離試験機を使用して貼り付けたテープをはがした。積層フィルム上の100個の碁盤目のうち剥離せずに残存したマスの数(n)をカウントした。結果は、%で示した。
【0074】
【表1】

【0075】
上記表より明らかなとおり、光酸発生剤を添加することで耐久性試験後も密着性が維持され、バリア性能が高いことがわかった。また、シランカップリング反応を引き起こす基がない場合には、光酸発生剤添加の効果はなかった。さらに、試料No.8および15の結果から、カチオン重合性のシランカップリング剤を用いた場合には、その効果は小さかった。
【0076】
<実施例2>
実施例1において、第2の有機層の重合性化合物、酸発生剤、シランカップリング剤を下記表に記載の通りに変更し、他は同様に行ってバリア性能および密着性を評価した。
【0077】
【表2】

【0078】
上記表2の結果から明らかな通り、光酸発生剤の添加量は、0.1〜20重量%のときにより効果的であり、0.5〜5重量%のときにさらに効果的であることが分かった。
【0079】
<実施例3>
2つの光(可視光、UV光)を用いて膜を硬化させる手法について実施した。実施例1の試料No.4において、第2の有機層を形成する組成物に下記表に示す増感剤を、光酸発生剤に対する割合で、添加した。光1、光2の順に可視光またはUV光を照射した。可視光、UV光とも、酸素含有量100ppm以下の窒素雰囲気下で照射量0.5J/cm2で照射し、他は実施例1と同様に行ってガスバリアフィルムを作成した。耐久性試験した後(85℃/85%の湿熱環境で1000時間または2000時間保持)、実施例1に記載の方法で水蒸気透過率および密着性を測定した。
【0080】
【表3】

【0081】
上記表の結果から明らかなとおり、先に可視光を当てた場合に密着が向上し、バリア性能がより高く保持されることが確認できることが分かった。
【0082】
<実施例4>
無機膜として、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛をスパッタ法にて成膜した以外は実施例1と同様の方法で試料を作成した。下表のように、無機膜がシリコン化合物または酸化アルミニウムである場合、特に効果が大きいことが確認できた。
【0083】
【表4】

【0084】
有機EL発光素子での評価
上記で得られたガスバリアフィルムを用いて、有機EL素子を作成した。まず、ITO膜(抵抗:30Ω)を上記ガスバリアフィルムに上にスパッタで形成した。この基板(陽極)上に真空蒸着法にて以下の化合物層を順次蒸着した。
(第1正孔輸送層)
銅フタロシアニン:膜厚10nm
(第2正孔輸送層)
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチルベンジジン:膜厚40nm
(発光層兼電子輸送層)
トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム:膜厚60nm
(電子注入層)
フッ化リチウム:膜厚1nm
この上に、金属アルミニウムを100nm蒸着して陰極とし、その上に厚さ3μm窒化珪素膜を平行平板CVD法によって付け、有機EL素子を作成した。
次に、熱硬化型接着剤(エポテック310、ダイゾーニチモリ(株))を用いて、作成した有機EL素子上と、実施例1の試料No.1のガスバリアフィルムを、バリア性積層体が有機EL素子の側となるように貼り合せ、65℃で3時間加熱して接着剤を硬化させた。このようにして封止された有機EL素子を計10素子作製した。
この結果、実施例1の試料No.1のガスバリアフィルムを用いた場合、ITO膜基板として用いたガスバリアフィルムがダメージを受けずに、良好な有機EL素子が得られた。
【0085】
太陽電池の作成
実施例1の試料No.1のガスバリアフィルムを用いて、太陽電池モジュールを作成した。具体的には、太陽電池モジュールよう充填剤として、スタンダードキュアタイプのエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた。10cm角の強化ガラス上に厚さ450μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体でアモルファス系のシリコン太陽電池セルを挟み込み充填し、さらにその上のガスバリアフィルムを設置することで太陽電池モジュールを作成した。設置条件は、150℃にて真空引き3分行ったあと、9分間圧着を行った。本方法で作成した太陽電池モジュールは、良好に作動し、85℃、85%相対湿度の環境下でも良好な電気出力特性を示した。
【0086】
封止用袋の作成
実施例1の試料No.1のガスバリアフィルムを用いて、封止用袋を作成した。ガスバリアフィルムの基材フィルム側と、樹脂フィルムからなるバック(ポリエチレン製のバッグ)をヒートシール法によって融着し、封止用袋を作成した。得られた封止用袋に、薬剤として、セファゾリンナトリウム(大塚製薬工場製)を封入し、40℃相対湿度75%の条件で6ヶ月保存して色調の変化を評価したところ、色調に変化はほとんど見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明のガスバリアフィルムは、高いバリア性能を有するため、バリア性が求められる各種素子に広く採用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 無機層
2 有機層
3 無機層
5 基材フィルム
6 有機層
10 バリア性積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機層と、該無機層の表面に設けられた有機層を有し、前記無機層は、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素炭化物、アルミニウム酸化物または、その混合物を主成分とし、前記有機層は、(メタ)アクリレート(1)と、シランカップリング反応を引き起こす基を有するラジカル重合性化合物(2)と、光ラジカル重合開始剤(3)と、光酸発生剤(4)を含む組成物を光照射して硬化させてなる、バリア性積層体。
【請求項2】
シランカップリング反応を引き起こす基を有するラジカル重合性化合物が、(メタ)アクリレートである、請求項1に記載のバリア性積層体。
【請求項3】
前記(メタ)アクリレート(1)が多官能(メタ)アクリレートである、請求項1または2に記載のバリア性積層体。
【請求項4】
前記(メタ)アクリレート(1)およびシランカップリング反応を引き起こす基を有するラジカル重合性化合物(2)のうち、酸発生化合物が3重量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
【請求項5】
少なくとも2層の有機層と、少なくとも2層の無機層が、交互に積層している、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
【請求項6】
前記組成物が、さらに、酸発生剤に対する増感剤を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
【請求項7】
支持体上に、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバリア性積層体を設けたガスバリアフィルム。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のバリア性積層体または請求項7に記載のガスバリアフィルムを含むデバイス。
【請求項9】
前記デバイスが、有機EL素子または太陽電池素子である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のバリア性積層体または請求項7に記載のガスバリアフィルムを含む封止用袋。
【請求項11】
有機層に光照射をして硬化させる際に、光酸発生剤が分解し、重合開始剤が分解しない波長の光を当てた後、光ラジカル重合開始剤が分解する波長の光を当てることを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバリア性積層体の製造方法。
【請求項12】
前記組成物に増感剤を添加することによって、光酸発生剤が分解する光の波長を調整することを含む、請求項11に記載のバリア性積層体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−91180(P2013−91180A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233146(P2011−233146)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】