説明

バリア特性を有する金属化不透明フィルム

本発明は、空隙を含むベース層で構成される、金属化された、共押出しされた、多層化された二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムに関する。空隙を含む前記ベース層は、1つまたは数々の層によって被覆されており、前記上層の厚さは、トータルで少なくとも3μlであり、前記被覆された層の外部表面上のフィルムは金属化されており、透過性は、23℃、50%の相対空気湿度で=50cm3/m2・日・バールである。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、金属化不透明ポリプロピレンフィルム、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(boPP)は、広く様々な用途で包装フィルムとして用いられている。ポリプロピレンフィルムは、例えば、高い透明性、つや、水蒸気に対するバリア性、優れた印刷特性、剛性、穴あけ耐性などの多数の有利な使用特性を有することを特徴とする。ここ数年、透明フィルムに加えて、不透明ポリプロピレンフィルムも非常によく開発されている。特定の用途については、これらフィルムの特殊な外観(不透明度および白色度)が特に望ましい。加えて、不透明フィルムの密度は低いため、使用者は、これらフィルムを高収率で生産することができる。
【0003】
これら多くの好ましい特性にもかかわらず、特定の欠点を補うために、ポリプロピレンフィルムはとその他の材料とを組合せなければならない分野がある。ポリプロピレンフィルムは、特に湿度および酸素に敏感なバルク製品のための単独の包装材としてはこれまで成功していない。例えば、スナックの包装の分野で、水蒸気バリアと酸素バリアはいずれも重要な役割を有する。わずか3%の水吸収でも、ポテトチップスなどのスナック品目は、消費者が食べられないと思うほどべとべとになる。加えて、酸素バリアは、スナック品目に含まれる脂肪が、光酸化によって敗油性の味を引き起こさないことを確実にしなければならない。これらの包装材としての必要条件は、ポリプロピレンフィルム単独では充足されない。
【0004】
空隙を含むベース層を有するポリプロピレンフィルムのバリア特性は、さらにより多くの問題があるが、なぜなら、これらのタイプのフィルムにおいて、ベース層中の空隙により水蒸気バリアがさらに損なわれるためである。例えば、透明二軸延伸ポリプロピレンフィルムの25μmの水蒸気バリアは、38℃で、約4.4g/m2・日である。相当するバリア値は、厚さ35μmの空隙を含むベース層を有する不透明フィルムによってのみ達成される。酸素バリアは、透明および不透明ポリプロピレンフィルムのいずれにおいても、多くの用途においてまったく不十分である(>2000cm3/m2・日・バール)。
【0005】
金属化によるboPPのバリア特性の改善により、水蒸気透過性と酸素透過性がいずれも顕著に減少することがわかっている。一般的に、不透明フィルムのバリアは、金属化を行わないと透明フィルムのバリアに比べて顕著に悪いため、不透明フィルムは金属化に用いられない。金属化前のベースフィルムのバリアが良好であれば、金属化フィルムのバリアも良好である。例えば、20μm透明boPPフィルムの酸素透過性は、金属化とさらなる20μm透明フィルムでのラミネーションによって、約40cm3/m2・日・バールに減少することも可能である(VR Interpack 99 Special D28 “Der gewisse Knack[the special snap]”を参照)。
【0006】
いくつかの用途において、透明金属化フィルムに関してわかっているように、優れたバリアと、空隙を含むフィルムの特殊な不透明な外観とが組み合わされる、すなわち、金属化不透明バリアフィルムが提供される。不透明フィルムの既知の不良なバリアの初期値を補うために、例えばPVOH、PVDCまたはEVOHで製造されたバリアのコーティングを金属化の前に施用し、金属化しようとする基板の透過性を減少させる。コーティング上に金属化を行うと、不透明フィルムでも優れたバリア値を達成することができる。しかしながら、この目的達成は、2つのコストがかかる仕上げ工程が必要なため、かなり非経済的である。
【0007】
いくつかの用途において、boPPフィルムはまた、見た目の印象の考慮だけのために金属化される。この場合において、実際にはより優れたバリアがなくても、高品質パッケージの印象を消費者に与えることができる。これらの場合において、金属化フィルムへの必要条件は、比較的重要ではない。金属化フィルムは、均一な外観と十分な金属接着が達成されればよい。得られたバリアは機能をもたず、金属化によってもほんのわずかしか改善されない。
【0008】
DE3933695は、ポリプロピレンで製造されたベース層、および、特殊なエチレン−プロピレンコポリマーから合成された少なくとも1つの上層からなるシールされていないフィルムを説明している。このコポリマーは、エチレン含量が1.2〜2.8重量%、分配率が>10、融解エンタルピーが>80J/g、メルトフローインデックスが3〜12g/10分(21.6Nおよび230℃)を特徴とする。説明によれば、印刷特性と見た目の特性を改善するには、このコポリマーの特性をこの狭い限定の範囲内に維持なければならない。この文献は、全体的に透明フィルムに関連するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、酸素および水蒸気に対して優れたバリアを有する不透明フィルムを提供する目的に基づく。もちろん、本フィルムの使用に関する一般的な使用特性も維持されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の根底にある目的は、共押出しされた、多層化された、二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムによって達成され、本フィルムにおいて、共押出しフィルムの少なくとも1つの外部表面が金属化されており、空隙を含むベース層を含み、この空隙を含むベース層は1またはそれ以上の層によって被覆されており、この被覆層の厚さは、総計で少なくとも3μmであり、金属化フィルムの水蒸気透過性は、38℃、相対周囲湿度90%で、0.5g/m2・日以下であり、酸素透過性は、50cm3/m2・日・バール以下である。
【0011】
本発明で定義されるように、ベース層は、本フィルムにおいて、本フィルムの総厚さの40%超、好ましくは50%超を構成する層である。可能な実施形態において、被覆層をベース層に直接施用してもよく、それにより、本フィルムの第一の上層(トップ層)が形成される。この実施形態において、第一の上層の厚さは、少なくとも3μm、好ましくは4〜8μmである。さらなる実施形態において、この第一の上層と、空隙を含むベース層との間にさらなる層を追加で付着させてもよく、それにより、1またはそれ以上の第一の中間層が形成される。上層は、金属化されていない共押出しフィルムの外部層を形成する。この実施形態において、上層と中間層の総厚さは、少なくとも3μm、好ましくは4〜8μmであり、上層の最小厚さは通常、0.5μmであり、それゆえに、対応する第一の中間層の最小厚さは、2.5μmである。ベース層の反対側に、第二の任意の上層をベース層に直接施用してもよい。その上、一実施形態において、本フィルムの中間層に両方の上層が施用される。
【0012】
驚くべきことに、本フィルムのベース層が空隙を含み、1またはそれ以上の追加の層によって被覆層されており、このの総厚さは、少なくとも3μmである場合、本フィルムは、金属化後に優れたバリアを有することが見出された。金属化は、第一の上層の外部表面に形成される。
【0013】
驚くべきことに、この基準により、非金属化不透明フィルムで特殊なバリア特性が存在していなくても、また、その他の特殊な基準、例えばコーティング、金属化されていない基板を改善するためにが用いられていなくても、金属化後に本フィルムのバリアは顕著に改善される。
【0014】
本発明に係る不透明フィルムは、不透明フィルムにもともと備えられていない優れたバリア値を有することを特徴とする。本発明に係る不透明金属化フィルムの水蒸気透過性は、一般的に、38℃、相対周囲湿度90%で、≦0.5g/m2・日であり、好ましくは0.05〜0.3g/m2・日の範囲である。酸素透過性は、好ましくは≦50cm3/m2・日・バール、好ましくは5〜30cm3/m2・日・バール、特に5〜25cm3/m2・日・バールである。
【0015】
金属化しようとする不透明フィルムの外側の共押出しされた上層は、エチレンホモポリマーで製造されたアイソタクチックプロピレンホモポリマー、または、コモノマー含量が低いプロピレンまたはエチレンの共重合体から合成してもよい。一般的に、金属化しようとする第一の上層は、上述のポリマー、または、それらの混合物を、少なくとも80重量%、好ましくは85〜<100重量%、特に95〜99重量%含む。
【0016】
適切なプロピレンホモポリマーは、100重量%のプロピレン単位から合成され、融点が160℃またはそれ以上、好ましくは162℃のアイソタクチックプロピレンホモポリマーである。一般的に、これらポリプロピレンホモポリマーのメルトフローインデックスは、230℃、21.6N(DIN53735)の力で、1〜10g/10分、好ましくは2〜8g/10分である。第一の上層にとって好ましいプロピレンポリマーとしては、アタクチックの比率が10重量%、好ましくは<5重量%のアイソタクチックプロピレンホモポリマーが代表的である。明示された重量パーセントは、特定のポリマーに関連する。さらなる実施形態において、アイソタクチックポリプロピレンは、アイソタクチシティが95%の高度にアイソタクチックなポリプロピレンであってもよい。このタイプのマテリアルは、関連技術においてそれ自体は既知であり、HCPP(高結晶性ポリプロピレン)とも呼ばれる。必要に応じて、メタロセン触媒を用いて製造されるアイソタクチックポリプロピレンを選択することもできる。これらメタロセンポリプロピレンは、好ましくは、限定された分子量分布(Mw/Mn<2)で区別される。
【0017】
適切なポリエチレンとしては、例えば、HDPEまたはLDPEポリマーが挙げられ、これらは、そのものは既知の方法で、boPPフィルムにおいて金属化しようとする層として用いられている。
【0018】
コモノマー含量が低い共重合体のコモノマーは、一般的に、<3重量%、好ましくは0.1〜2.5重量%である。このような、包含させようとするコモノマー成分は、可能な限りベースポリマー鎖に分配させるため、これら共重合体はまたランダムコポリマーまたはランダムターポリマーとも呼ばれる。特に、<2.5重量%の低いエチレン含量を有し、融点が150〜165℃のプロピレンコポリマーが好ましい。これらマテリアルは、それ自体既知であり、例えばEP0361280またはDE3933695で、それらの比較的低いエチレン含量のために「ミニコポ(minicopo)」としても説明されている。例えば、これらプロピレン−エチレンコポリマーのエチレン含量は、1.2〜2.8重量%、特に1.2〜2.3重量%、好ましくは1.5〜<2重量%であり、融点は、150〜155℃であり、融解エンタルピーは、90〜100J/gであり、メルトフローインデックスは、3〜15g/10分、好ましくは3〜9g/10分(230℃、21.6N DIN53735)である。さらに、エチレン含量が<1重量%、好ましくは0.05〜0.7重量%のプロピレン−エチレンコポリマーを用いてもよく、これらは、例えばUS5,958,566で説明されている。原則的には、2.5重量%未満の低いブチレン含量を有するプロピレンコポリマーも使用可能である。これらポリマーもそれ自体既知であり、文献ですでに説明されており、市販されている。本発明において、引用された出版物と、これら出版物におけるこれらポリマーの説明を特に参照する。
【0019】
上記の主成分に加えて、第一の上層は、粘着防止剤、安定剤、および/または中和剤のような典型的な添加剤を、所定の有効量で含んでもよい。金属化に関して、上層には、金属化される能力を損なう添加剤を含むべきではなく、また含むのなら最少量で含まれるべきである。これは、例えば移動潤滑剤または静電防止剤にも当てはまる。
【0020】
金属の接着を改善するために、第一の上層の表面は、一般的に、そのものは既知の方法で、コロナ、フレームまたはプラズマを用いて表面張力を高める方法で処理される。典型的には、このようにして処理された、まだ金属化されていない上層の表面張力は、35〜45mN/mの範囲である。
【0021】
必要に応じて、ベース層はまた、複数の層によって被覆されていてもよく、すなわち、上述した第一の上層に加えて、少なくとも1つの、ポリオレフィンで製造された場合によっては複数の中間層を、その下に付着させる。この第一の中間層は、一般的に、少なくとも80重量%、好ましくは95〜100重量%、特に98〜<100重量%のプロピレンホモポリマーを含む。この主成分に加えて、第一の中間層は、例えば安定剤および/または中和剤、同様にTiO2のような顔料などの典型的な添加剤を所定の有効量で含んでもよい。本発明において、第一の中間層の厚さは、4〜10μm、好ましくは5〜8μmの範囲である。
【0022】
原則的には、第一の上層に関して上述した全てのマテリアルは、中間層のためのポリオレフィンとして用いてもよい。しかしながら、中間層のためのポリマーの選択は、比較的重要ではなく、上記の説明されたコモノマー成分量が低いホモポリマーまたはコポリマーおよびターポリマーに加えて、二軸延伸フィルムに一般的に用いられるその他の原材料、特にその他の共重合体も使用可能である。このタイプの共重合体は、以下で第二の中間層および第二の上層に関して詳細に説明する。しかしながら、これら可能なポリマーのなかでも、融点が155〜165℃、好ましくは160〜162℃であり、一般的にメルトフローインデックスが、230℃、21.6N(DIN53735)の力で、1〜10g/10分、好ましくは2〜8g/10分であるアイソタクチックプロピレンホモポリマーが好ましい。
【0023】
白色の第一の中間層を有する実施形態において、一般的に、2〜15重量%、好ましくは3〜10重量%のTiO2を含む。適切なTiO2は、以下でベース層に関して詳細に説明される。このタイプの着色された中間層は、「見た目の」バリアとしてとして有利に作用し、金属コーティングが本フィルムの反対の不透明な側に透けて見えないようにし、本フィルムにおいて、この不透明な側に有利な白色の外観を提供する。
【0024】
本発明に係るフィルムはまた、ベース層に存在する空隙を特徴とし、それにより、本フィルムに不透明な外観が提供されりう。本発明で定義される「不透明フィルム」は、光透過率(ASTM−D1003−77)が最大70%、好ましくは最大50%の不透明フィルムを意味する。
【0025】
多層フィルムのベース層は、ポリオレフィン、好ましくはプロピレンポリマー、および、空隙導入充填剤を含み、同様に、必要に応じて、さらなる典型的な添加剤を所定の有効量で含む。一般的に、ベース層は、ポリオレフィンを、それぞれの場合の層の重量に対して、少なくとも70重量%、好ましくは75〜98重量%、特に85〜95重量%で含む。さらなる実施形態において、ベース層は、顔料、特にTiO2をさらに含んでもよい。
【0026】
ベース層のポリオレフィンとして、プロピレンポリマーが好ましい。これらプロピレンポリマーは、90〜100重量%、好ましくは95〜100重量%、特に98〜100重量%のプロピレン単位を含み、融点は、120℃またはそれ以上、好ましくは150〜170℃であり、一般的に、メルトフローインデックスは、230℃、21.6N(DIN53735)の力で、1〜10g/10分、好ましくは2〜8g/10分である。ベース層のためのプロピレンポリマーとしては、アタクチックの比率が15重量%またはそれ未満のアイソタクチックプロピレンホモポリマー、エチレン含量が5重量%またはそれ未満のエチレンとプロピレンのコポリマー、オレフィン含量が5重量%またはそれ未満のC4〜C8オレフィンとのプロピレンコポリマー、エチレン含量が10重量%またはそれ未満であり、ブチレン含量が15重量%またはそれ未満のプロピレン、エチレンおよびブチレンのターポリマーが好ましく、アイソタクチックプロピレンホモポリマーが特に好ましい。明示された重量%は、特定のポリマーに関連する。
【0027】
その上、上記のプロピレンホモポリマーおよび/またはコポリマーおよび/またはターポリマー、および、その他のポリオレフィン(特に2〜6個のC原子を有するモノマーから製造されたもの)の混合物も適切であり、このような混合物は、少なくとも50重量%、特に少なくとも75重量%のプロピレンポリマーを含む。ポリマー混合物における適切なその他のポリオレフィンは、ポリエチレンであり、特にHDPE、MDPE、LDPE、VLDPE、および、LLDPEであり、これらポリオレフィンの比率は、それぞれ、ポリマー混合物に対して15重量%を超過しない。
【0028】
本フィルムの不透明ベース層は、一般的に、空隙導入充填剤を含み、これらは、不透明ベース層の重量に対して、最大30重量%、好ましくは2〜25重量%、特に2〜15重量%の量で含まれる。
【0029】
本発明で定義されるように、空隙導入充填剤は、ポリマーマトリックスと不相容性であり、フィルムが延伸される際に空隙様の洞が形成される固体粒子であり、空隙のサイズ、タイプおよび数は、固体粒子の量およびサイズ、ならびに、延伸条件(例えば延伸率および延伸温度)に応じて変化する。空隙は密度を減少させ、本フィルムに特徴的な真珠光沢のような不透明な外観を付与し、これは、「空隙/ポリマーマトリックス」の境界における光散乱によって生じる。固体粒子そのものでの光散乱は、一般的に、本フィルムの不透明度に比較的わずかしか寄与していない。典型的には、効果的な量、すなわち不透明さを生じさせる量で空隙を発生させるために、空隙導入充填剤の最小サイズは1μmである。一般的に、粒子の平均粒径は、1〜6μm、好ましくは1〜4μmである。粒子の化学的性質は、付随的なものである。
【0030】
ポリプロピレンと不相容性の典型的な空隙導入充填剤としては、無機および/または有機マテリアル、例えば酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩、例えばケイ酸アルミニウム(カオリンクレイ)およびケイ酸マグネシウム(タルカム)、ならびに、二酸化ケイ素が挙げられ、なかでも炭酸カルシウムおよび二酸化ケイ素が好ましく使用される。有機性充填剤として、一般的に用いられるベース層のポリマーと不相容性のポリマーも考慮されており、特に、EP−A−0623463で説明されているような環式オレフィン(COC)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミドおよびハロゲン化有機ポリマーと、ポリエステル(例えばポリブチレンテレフタレートおよびシクロオレフィン系コポリマー)とのコポリマーが好ましい。不相容性マテリアルおよび/または不相容性ポリマーは、本発明の定義によれば、マテリアルおよび/またはポリマーが、独立した粒子および/または独立した相として本フィルムに存在するものを意味する。
【0031】
さらなる実施形態において、ベース層は、顔料をさらに含んでもよく、例えば、0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、特に1〜5重量%の量で含む。この明細は、ベース層の重量に関連する。
【0032】
本発明で定義されるように、顔料は、フィルムを延伸した際に記載の実質的に空隙を形成しない不相容性の粒子である。顔料の着色作用は、粒子そのものによって生じる。用語「顔料」は、一般的に、平均粒径が0.01から、最大1μmの範囲であり、フィルムを白色くする「白色顔料」、または、フィルムを色付けするか、または黒くする「着色顔料」の両方をを意味する。一般的に、顔料の平均粒径は、0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.7μm、特に0.01〜0.4μmの範囲である。
【0033】
典型的な顔料は、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩、例えばケイ酸アルミニウム(カオリンクレイ)およびケイ酸マグネシウム(タルカム)、二酸化ケイ素、および、二酸化チタン、のような物質であり、なかでも、白色顔料、例えば炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、および、硫酸バリウムが好ましく用いられる。二酸化チタンが特に好ましい。関連技術において、TiO2の様々な改変およびコーティングがそれ自体既知である。
【0034】
本フィルムの密度は、実質的に、ベース層の密度によって決定される。一般的に、空隙を含むベース層の密度は、より大量のTiO2により空隙の密度減少効果が補填されない場合、空隙によって減少する。一般的に、不透明ベース層の密度は、0.45〜0.85g/cm3の範囲である。本フィルムの密度は、説明された白色〜不透明の実施形態において広範囲で様々であってよく、一般的に、0.5〜0.95g/cm3、好ましくは0.6〜0.9g/cm3の範囲である。原則的に、密度は、TiO2の添加によって高くなるが、同時に、ベース層中の空隙導入充填剤によって減少する。密度を高めるTiO2をまったく含まないベース層について、不透明ベース層の密度は、好ましくは、0.45〜0.75g/cm3の範囲であり、白色〜不透明ベース層については、0.6〜0.9g/cm3の範囲が好ましい。
【0035】
本フィルムの総厚さは、一般的に、20〜100μm、好ましくは25〜60μm、特に30〜50μmの範囲である。ベース層の厚さは、それに対応して、10〜50μm、好ましくは10〜40μmである。
【0036】
さらなる好ましい実施形態において、本フィルムは、さらなる層を含み、ベース層の反対側に施用される。第二の上層を含めて、4層のフィルムが形成される。第二の中間層とそれに施用された第二の上層をさらに有する実施形態においては、5層のフィルムが形成される。これらの実施形態において、第二の上層の厚さは、一般的に、0.5〜3μmであり、中間層は、1〜8μmの範囲である。中間層と上層とからなる組合せの総厚さは、有利には2〜8μmである。さらなる層としては、シール可能な層が好ましく、これらの層は、加熱シールされていてもよいし、冷却シールされてもよく、いずれも本発明において考慮される。また、冷却シールコーティングを、ベース層の表面に直接施用してもよい。しかしながら、一般的に、まずベース層をポリマー上層で被覆し、このポリマー上層に冷却シールコーティングを施用することが好ましい。
【0037】
追加の上層と中間層は、一般的に、少なくとも80重量%、好ましくは90以上100重量%未満のオレフィン系ポリマーまたはそれらの混合物を含む。適切なポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、プロピレンコポリマー、および/またはプロピレンターポリマー、同様に、プロピレンホモポリマー(ベース層に関して上述した)が挙げられる。
【0038】
適切なプロピレンコポリマーまたはターポリマーは、一般的には、コモノマーとして、少なくとも50重量%のプロピレン、ならびに、エチレンおよび/またはブチレン単位から合成される。好ましい共重合体は、それぞれコポリマーの総重量に対して、エチレン含量が2〜10重量%、好ましくは5〜8重量%のランダムエチレン−プロピレンコポリマー、または、ブチレン含量が4〜25重量%、好ましくは10〜20重量%のランダムプロピレン−ブチレン−1コポリマー、または、それぞれターポリマーの総重量に対して、エチレン含量が1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%、および、ブチレン−1含量が3〜20重量%、好ましくは8〜10重量%のランダムエチレン−プロピレン−ブチレン−1ターポリマーである。これらコポリマーおよびターポリマーのメルトフローインデックスは、一般的に、3〜15g/10分、好ましくは3〜9g/10分(230℃,21.6N DIN53735)であり、それらの融点は、70〜145℃、好ましくは90〜140℃(DSC)である。
【0039】
適切なポリエチレンとしては、例えば、HDPE、MDPE、LDPE、VLDPE、および、LLDPEが挙げられ、なかでも、HDPEおよびMDPEタイプが特に好ましい。HDPEは、一般的に、MFI(50N/190℃)が>0.1〜50g/10分、好ましくは0.6〜20g/10分(DIN53735に従って測定)、および、粘度係数(DIN53728第4部、または、ISO1191に従って測定)が、100〜450cm3/g、好ましくは120〜280cm3/gの範囲である。結晶度は、35〜80%、好ましくは50〜80%である。密度(23℃で、DIN53479方法Aに従って測定された、または、ISO1183)は、>0.94〜0.96g/cm3の範囲である。DSCを用いて測定された融点(融解曲線の最大値、加熱速度20℃/分)は、120〜140℃の間である。一般的に、適切なMDPEのMFI(50N/190℃)が、>0.1〜50g/10分、好ましくは0.6〜20g/10分(DIN53735に従って測定)である。密度(23℃で、DIN53479方法Aに従って測定された、または、ISO1183)は、>0.925〜0.94g/cm3の範囲である。DSC(融解曲線の最大値、加熱速度20℃/分)を用いて測定された融点は、115〜130℃である。
【0040】
このフィルム側の外観に関して、プロピレンホモポリマー中間層と、シール可能な上層を有する実施形態が好ましい。この場合において、中間層は、少なくとも80重量%、好ましくは85〜98重量%のプロピレンホモポリマーから合成され、その厚さは、少なくとも2μm、好ましくは2.5〜6μmである。外観、特に白色度を改善するために、この中間層に、ベース層に関して上述した顔料が添加され、特に、TiO2を、中間層の重量に対して、2〜12重量%、好ましくは3〜8重量%の量で添加される。
【0041】
一般的に、この方法で、シール層を、白色にした中間層に、0.3〜4μmの厚さで施用する。この目的のために、典型的な、プロピレンコポリマーまたはプロピレンターポリマーで製造されたシール層が考慮される。適切なプロピレンコポリマーまたはターポリマーは、一般的に、コモノマーとして、少なくとも50重量%のプロピレン、ならびに、エチレンおよび/またはブチレン単位から合成される。それぞれコポリマーの総重量に対して、エチレン含量が2〜10重量%、好ましくは5〜8重量%のランダムエチレン−プロピレンコポリマー、または、ブチレン含量が4〜25重量%、好ましくは10〜20重量%のランダムプロピレン−ブチレン−1コポリマー、または、それぞれターポリマーの総重量に対して、エチレン含量が1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%、および、ブチレン−1含量が3〜20重量%、好ましくは8〜10重量%のランダムエチレン−プロピレン−ブチレン−1ターポリマーが好ましい。これらコポリマーおよびターポリマーのメルトフローインデックスは、一般的に、3〜15g/10分、好ましくは3〜9g/10分(230℃,21.6N DIN53735)であり、それらの融点は、70〜145℃、好ましくは90〜140℃(DSC)である。
【0042】
これらの実施形態は、金属コーティングの反対側の特に有利な外観を特徴とする。二酸化チタンを添加することにより、このフィルムの「不透明な」側が灰色がかって見え、白色の外観を損なう原因となる金属コーティングの透き通しが効果的に防がれる。
【0043】
本フィルムがチョコレート製品のパッケージとして用いられている場合、金属化された側(接着促進剤の施用後)、または、「不透明な側」の表面のいずれかに、冷却シール接着剤が提供される。加えて、本フィルムは、通常のシール可能なフィルムとして用いてもよく、この場合、パッケージの製造は、加熱シールによって行われる。
【0044】
必要に応じて、本フィルムはまた、粉末バルク製品のためのパウチパッケージとして用いてもよい。このタイプの用途のために、第二の中間層に、必要に応じて第二の上層に、説明されたプロピレンコポリマーおよび/またはターポリマー、および、引用されたポリエチレンで製造された混合物が特に用いられる。これら混合物は、パウチが粉末バルク製品の包装に用いられる場合、本フィルムのシール特性の面で特に有利である。本発明の粉末を包装する方法を用いて、シール領域の汚染を効果的に防ぐことが可能である。このような汚染は、シール中に問題を生じることが多い。汚染された領域では、シールの接着が減少するか、または、強度がなくなることもあり、シール接合の強固さが損なわれる。驚くべきことに、シール層がプロピレンポリマーとポリエチレンの混合物から合成される場合、シールの際に、汚染はほんのわずかしか干渉しないか、または、まったく干渉しない。この目的のために、HDPEおよび/またはMDPEを含み、HDPEまたはMDPEの比率が10〜50重量%、特に15〜40重量%の上層の混合物が特に有利である。
【0045】
さらなる用途において、本発明に係るフィルムは、ラミネートに加工してもよい。この目的のために、金属化された側は、好ましくは、不透明または透明のポリプロピレンまたはポリエチレンフィルムに対してラミネートされる。この複合材は、脂肪質の食品、例えば乾燥粉末またはスナックを包装するのに好ましく用いられる。
【0046】
上述したように、本フィルムの全ての層は、好ましくは、中和剤、および、安定剤を所定の有効量で含む。
エチレン、プロピレンおよびその他のオレフィンポリマーに典型的な安定化化合物を、安定剤として用いてもよい。添加量は、0.05〜2重量%の間である。フェノール系安定剤、アルカリ/アルカリ土類金属のステアリン酸塩、および、アルカリ/アルカリ土類金属の炭酸塩が、特に適切である。フェノール系安定剤は、好ましくは、0.1〜0.6重量%、特に0.15〜0.3重量%の量であり、モル質量は500g/mol超である。ペンタエリトリチル−テトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、または、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンは、特に有利である。
【0047】
中和剤は、好ましくは、ステアリン酸カルシウム、および/または、炭酸カルシウム、および/または、平均粒度が最大 0.7μmであり、絶対粒度が10μm未満であり、比表面積が少なくとも40m2/gである合成ジハイドロタルサイト(SHYT)である。一般的に、中和剤は、層に対して50〜1000ppmの量で用いられている。
【0048】
好ましい実施形態において、粘着防止剤が、金属化しようとする上層と、反対側の上層の両方に添加される。
適切な粘着防止剤は、無機添加剤、例えば二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸カルシウム等、および/または、不相容性ポリマー、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA) ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートであり、なかでも、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、二酸化ケイ素および二酸化炭素が好ましい。粘着防止剤の有効量は、特定の上層に対して、0.1〜2重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲である。EP−A−0236945、および、DE−A−3801535で説明されているように、平均粒度は、1〜6μm、特に2〜5μmの間であり、粒子の形状は球状のものが特に適切である。
【0049】
その上、本発明は、そのものは既知の共押出し法に従って、本発明に係る多層フィルムを製造するための方法に関し、テンター法が特に好ましい。
この方法の際に、本フィルムの個々の層に対応するメルトを、シートダイを通過して共押出し、このようにして得られたフィルムを引き出して1またはそれ以上のロール上で固化させ、それに続いて、このフィルムを延伸し(配向させる)、延伸されたフィルムを熱固定し、場合によっては、処理のために提供された表面層上をプラズマ、コロナまたはフレーム処理する。
【0050】
特に、この目的のために、押出し方法でよくみられるように、個々の層のポリマーおよび/またはポリマー混合物を押出機で圧縮して液化し、空隙導入充填剤、およびその他の添加される可能性がある添加剤は、ポリマーおよび/またはポリマー混合物にあらかじめ含ませておいてもよい。あるいは、これら添加剤は、マスターバッチを介して含ませてもよい。
【0051】
次に、メルトを、合流させてシートダイを同時通過させてプレスし、押出しされた多層フィルムを、冷却および固化されるように、5〜100℃、好ましくは10〜50℃の温度で1またはそれ以上のドローオフロール上に引き出す。
【0052】
次に、このようにして得られたフィルムを、押出し方向にに向かって縦と横に延伸し、これにより、分子鎖の配向が起こる。縦延伸は、好ましくは、80〜150℃の温度で、便宜上、望ましい延伸比に従って異なる速度での2つのロールを稼動させることによって行われ、横延伸は、好ましくは、120〜170℃の温度で、対応する幅出機を用いて行われる。縦延伸比は、4〜8、好ましくは4.5〜6の範囲である。横延伸比は、5〜10、好ましくは7〜9の範囲である。
【0053】
フィルムの延伸の後、それらを熱固定(熱処理)し、フィルムは、100〜160℃の温度で約0.1〜10秒間保持される。その後、そのフィルムを、典型的な方法で、巻き取り装置を用いて巻き取る。
【0054】
好ましくは、二軸延伸の後に、フィルムの一方または両方の表面を、既知の方法のいずれか一つに従って、プラズマ、コロナ、または、火炎処理する。処理強度は、一般的に、35〜50mN/m、好ましくは37〜45mN/m、特に39〜40mN/mの範囲である。
【0055】
コロナ処理のために、このフィルムは、電極として用いられた2つの導体要素の間に導かれ、スプレーまたはコロナ放出が起こるような高電圧を、電極間に印加し、通常は交流電圧(約10,000V、および、10,000Hz)である。スプレーまたはコロナ放出によって、フィルム表面上の空気はイオン化され、フィルム表面の分子と反応し、実質的に非極性のポリマーマトリックスで極性の相互作用が起こる。処理強度は、典型的な範囲内であり、好ましくは37〜45mN/mである。
【0056】
そのものは既知の方法に従って、共押出しされた多層フィルムに、第一の上層の外部表面上で、好ましくはアルミニウムで製造された金属コーティングが提供される。この金属化は、減圧室で行われ、ここで、アルミニウムを蒸発させ、フィルム表面に沈着させる。好ましい実施形態において、金属化しようとする表面は、金属化の前に直接プラズマ処理を受ける。金属コーティングの厚さは、一般的に、金属化フィルムの光学密度と相関しており、すなわち金属コーティングが厚ければ、金属化フィルムの光学密度より高くなる。一般的に、本発明に係る金属化フィルムの光学密度は、少なくとも2、特に2.5〜4である。
【0057】
以下の測定方法を用いて、原材料とフィルムを特徴付けた:
メルトフローインデックス
メルトフローインデックスを、DIN53735に従って、21.6Nのロード、230℃で測定した。
【0058】
光学密度
光学密度は、所定の光線の透過度の測定値である。測定は、東芝アソシエイツ社(Tobias Associates Inc.)製のタイプTCXのデンシトメーターを用いて行われた。光学密度は、寸法なしで特定される相対値である。
【0059】
水蒸気および酸素透過性
DIN53122第2部に従って、水蒸気透過性を決定した。索引番号DIN53380第3部に従って、周囲湿度約50%で、酸素バリア効果を決定した。
【0060】
エチレン含量の決定
コポリマーのエチレン含量を、13C NMR分光分析を用いて決定した。ブルカー・アバンス360(Bruker Avance360)の原子共鳴分光装置を用いて、測定を行った。特徴付けようとするコポリマーをテトラクロロエタンに溶解させ、10%混合物を得た。参照標準として、オクタメチルテトラシロキサン(OTMS)を添加した。原子共鳴分スペクトルを120℃で測定した。J.C.Randall Polymer Sequence Distribution (アカデミック・プレス(Academic Press),ニューヨーク,1977年)で説明されているようにスペクトルを解析した。
【0061】
融点および融解エンタルピー
融点および融解エンタルピーを、DSC(示差走査熱量測定)測定(DIN51007、および、DIN53765)を用いて決定した。特徴付けようとする原材料の数ミリグラム(3〜5mg)を、示差熱量計で、加熱速度20℃/分で加熱した。熱出納を温度に対してプロットし、融点は、融解曲線の最大値として決定し、融解エンタルピーは、特定の溶融ピーク面積として決定した。
【0062】
密度
密度を、DIN53479の方法Aに従って決定した。
表面張力
表面張力を、DIN53364によるインク方法によって決定した。
【0063】
以下の実施例によって、本発明を説明する。
【実施例】
【0064】
実施例1
共押出し法に従って、シートダイから、240〜270℃で、5層の前駆フィルムを押出した。まず、この前駆フィルムを冷却ロール上に引き出し、冷却した。その後、前駆フィルムを縦および横方向に配向させ、最終的に固定した。第一の上層の表面をコロナを用いて前処理し、表面張力を高めた。5層のフィルムの層構造は、第一の上層/第一の中間層/ベース層/第二の中間層/第二の上層である。本フィルムの個々の層の組成は、以下の通りである:
第一の上層(0.5μm)
〜100重量%のエチレン−プロピレンコポリマー、そのエチレン比率は、1.7重量%(コポリマーに対して)、融点は155℃;および、メルトフローインデックスは、230℃、2.16kgロード(DIN53735)で8.5g/10分であり、融解エンタルピーは、96.9J/gである。
【0065】
第一の中間層(6.5μm)
〜100重量%のプロピレンホモポリマー(PP)、そのn−ヘプタンの可溶性率は、約4重量%(100%のPPに対して)、融点は、163℃;および、メルトフローインデックスは、230℃、2.16kgロード(DIN53735)で、3.3g/10分である。
【0066】
ベース層
91.6重量%のプロピレンホモポリマー(PP)、そのn−ヘプタンの可溶性率は、約4重量%(100%のPPに対して)、融点は、163℃;および、メルトフローインデックスは、230℃、2.16kgロード(DIN53735)で、3.3g/10分、6.0重量%の炭酸カルシウム、平均粒径は約2.7μm、2.4重量%の二酸化チタン、平均粒径は0.1〜0.3μm。
【0067】
第二の中間層(3μm)
96.4重量%のプロピレンホモポリマー(PP)、そのn−ヘプタンの可溶性率は、約4重量%(100%のPPに対して)、融点は、163℃;および、メルトフローインデックスは、230℃、2.16kgロード(DIN53735)で、3.3g/10分、3.6重量%の二酸化チタン、平均粒径は0.1〜0.3μm。
【0068】
第二の上層(0.7μm)
99.7重量%のエチレン−プロピレンコポリマー、そのエチレン比率は、4重量%(コポリマーに対して)、融点は、136℃;および、メルトフローインデックスは、230℃、2.16kgロード(DIN53735)で、7.3g/10分である、融解エンタルピーは、64.7J/g、0.1重量%の粘着防止剤、その平均粒径は約4μmである(Sylobloc45)。
【0069】
本フィルムの全ての層は、さらに、安定剤と中和剤を一般的な量で含む。
特に、フィルムを製造する場合に、以下の条件および温度を選択した:
押出し:押出し温度約250〜270℃、
冷却ロール:温度30℃、
縦延伸:T=120℃、
係数5で縦延伸する、
横延伸:T=160℃、
係数9で横延伸する、
固定:T=100℃。
【0070】
フィルムの第一の上層の表面を、コロナを用いて表面処理したところ、表面張力は38mN/mであった。このフィルムの厚さは、35μmであり、不透明な外観を有していた。
【0071】
実施例2
実施例1に従ってフィルムを製造した。実施例1とは異なり、第二の中間層にはTiO2を含んでいなかった。残りの層の組成と製造条件に変更はない。
【0072】
比較例1
不透明フィルムを、実施例1に従って製造した。実施例1とは異なり、第一の中間層を省略した、すなわち第一の上層をベース層の表面に直接施用した。
【0073】
比較例2
不透明フィルムを、実施例1に従って製造した。実施例1とは対照的に、第一の上層には典型的なプロピレンコポリマーを用いた:
第一の上層(0.5μm)
〜100重量%のエチレン−プロピレンコポリマー、そのエチレン比率は、4重量%(コポリマーに対して)、融点は、136℃;および、メルトフローインデックスは、230℃、2.16kgロード(DIN53735)で、7.3g/10分、融解エンタルピーは、64.7J/gである。
【0074】
比較例3
実施例2と同様にしてフィルムを製造した。実施例2とは異なり、ベース層には空隙導入充填剤とTiO2を含んでおらず、第二の中間層もTiO2を含んでいなかった。中間層とベース層をプロピレンホモポリマーだけで製造したため、3層フィルムが得られた。
【0075】
真空蒸着施設で、実施例と比較例による全てのフィルムを、アルミニウムコーティング材でコーティングした。金属の接着を改善するために、コーティングの前に、表面をプラズマ処理で直接処理した。表1に、実施例と比較例による金属化フィルムの特性を要約する。本発明に係る、実施例1および2のフィルムは、水蒸気および酸素に対する優れたバリア値を有し、同時に、反対側には優れた不透明および/または白色の外観を有することが示された。
【0076】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属化され共押出しされ多層化された、空隙を含むベース層を備えた二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムであって、空隙を含むベース層は、1またはそれより多い層で被覆されており、この被覆層の厚さは、総計で少なくとも3μmであり、この被覆層の外部表面は金属化されており、そしてこの金属化フィルムは、38℃、相対周囲湿度90%で0.5g/m2・日以下の水蒸気透過性、50cm3/m2・日・バール以下の酸素透過性を有する、前記フィルム。
【請求項2】
被覆層は、ベース層に、上層(トップ層)として施用されていることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
中間層および第一の上層は、ベース層に、被覆層として施用されていることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
上層および/または中間層は、少なくとも80重量%のプロピレンホモポリマー、エチレンホモポリマー、コモノマーが3重量%未満のプロピレンコポリマー、または、コモノマーが3重量%未満のエチレンコポリマー、または、これらポリマーの混合物を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記プロピレンコポリマーのコモノマーは、エチレンまたはブチレンであることを特徴とする、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記プロピレンコポリマーは、エチレン含量が2.5重量%未満、融点が150〜160℃のプロピレン−エチレンコポリマーであることを特徴とする、請求項5に記載のフィルム。
【請求項7】
前記プロピレンホモポリマーは、融点が159〜162℃のアイソタクチックプロピレンホモポリマー、または、アイソタクチシティが97%超の高度にアイソタクチックなプロピレンホモポリマー、または、メタロセン触媒を用いて製造されたプロピレンホモポリマーであることを特徴とする、請求項4に記載のフィルム。
【請求項8】
前記ベース層は、プロピレンホモポリマーから合成され、2〜15重量%の空隙導入充填剤を含み、0.45〜0.85cm3/gの密度を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項9】
金属化されたフィルムの光学密度は、少なくとも2.0であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項10】
光学密度が2.5〜5であることを特徴とする、請求項9に記載のフィルム。
【請求項11】
プロピレンホモポリマー、ポリエチレンホモポリマー、または、プロピレンコポリマーおよび/またはプロピレンターポリマーで製造された第二の上層を含むことを特徴とする、請求項10に記載のフィルム。
【請求項12】
第二の上層はシール可能であり、その厚さは0.3〜4μmであることを特徴とする、請求項11に記載のフィルム。
【請求項13】
第二の中間層は、ベース層と、第二の上層との間に付着されることを特徴とする、請求項12に記載のフィルム。
【請求項14】
第一の上層の厚さは、4〜8μmであることを特徴とする、請求項2に記載のフィルム。
【請求項15】
前記中間層の厚さは、少なくとも3.5μmであり、第一の上層の厚さは、少なくとも0.5μmであることを特徴とする、請求項3に記載のフィルム。
【請求項16】
前記中間層の厚さは、少なくとも4〜10μmであり、前記上層の厚さは、少なくとも0.8〜3μmであることを特徴とする、請求項15に記載のフィルム。
【請求項17】
水蒸気および酸素に対するバリアを有するパッケージを製造するための、請求項1〜16に記載のフィルムの使用。
【請求項18】
ラミネートを製造するための請求項1〜16のいずれか1項に記載のフィルムの使用であって、フィルムの金属化された側は、さらなるポリプロピレンフィルム、または、ポリエチレンフィルムに対してラミネートされることを特徴とする、前記使用。
【請求項19】
金属化しようとする不透明フィルムの表面を、金属化の前に直接プラズマを用いて処理することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。

【公表番号】特表2006−518290(P2006−518290A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501910(P2006−501910)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001681
【国際公開番号】WO2004/073980
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(504422379)トレオファン・ジャーマニー・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー (17)
【Fターム(参考)】