説明

バリカンにおけるRF電極組立品

RFデバイスは、支持構造を持つ。前記支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。前記支持構造に結合された冷却部材は、前記RF電極の裏面を冷却するように構成される。前記冷却部材は、前記RF電極の裏面から離して置かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、RFデバイスに関するものであり、特に、導電部分及び絶縁部分を含み、支持構造に結合されるRF電極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間の皮膚は、表皮、及びその下にある真皮、の2つの成分から成る。角質層を持つ表皮は、周囲に対して生物学的障壁として働く。表皮の基底層には、メラニン細胞と呼ばれる色素形成細胞が存在する。それらが、皮膚の色の主な決定要素である。
【0003】
下にある真皮は、皮膚の主な生体構造支援を提供する。それは主に、コラーゲンと呼ばれる細胞外蛋白質から成る。コラーゲンは、繊維芽細胞により作り出され、熱不安定性及び熱安定性化学結合でつながれた3つのポリペプチド鎖を持つ三重螺旋として合成される。コラーゲン含有組織が暖められるとき、この蛋白質基質の物理特性の変化が、特性温度において生じる。コラーゲン収縮という生体構造変遷が、固有の「収縮」温度で生じる。熱によるコラーゲン基質の収縮、及び改造が、この技術の基礎である。とはいえ、この技術を用いて、皮膚、皮膚付属器(汗腺、皮脂腺、毛嚢等)、又は皮下組織構造への他の変化をもたらすこともできる。
【0004】
コラーゲン交差結合は、分子内(共有又は水素結合)、又は分子間(共有又はイオン結合)のいずれかである。分子内水素交差結合の熱切断は、切断イベントと弛緩イベント(水素結合の再生)との間の釣り合いによって作り出される段階的なプロセスである。このプロセスが生じるのに、何の外部力も必要とされない。結果として、分子内水素結合の熱切断により、分子間応力が作り出される。本質的に、分子の三次構造の収縮は、収縮の初期分子間ベクトルを作り出す。
【0005】
基質内のコラーゲン微小繊維は、様々な空間配向を示す。全てのベクトルの和が、微小繊維を延長するように作用する場合には、基質が延びる。全ての外因性ベクトルの和が、微小繊維を縮めるように作用する場合には、基質の収縮が促進される。分子内水素結合の分裂、及び分子間交差結合の力学的切断はまた、既存構成を復元する弛緩イベントに影響される。しかしながら、コラーゲン微小繊維の延長又は収縮後、交差結合が再生される場合には、分子長の固定変化が生じるであろう。力学的外力の断続的な印加は、微小繊維の延長又は収縮後の交差結合形成の確率を増大させるであろう。
【0006】
水素結合の切断は、エネルギーの閾値を必要とする量子力学イベントである。必要な(分子内)水素結合の切断の量は、コラーゲン微小繊維内の結合イオン、及び共有分子間結合の強度に対応する。この閾値に達するまで、殆ど又は全く、コラーゲン微小繊維の四元構造の変化は生じないであろう。分子間応力が適当であるとき、イオン及び共有結合の切断が生じるであろう。典型的には、延長又は収縮された微小繊維内の極性、又は非極性領域の再配列からの影響をラチェットすることにより、イオン及び共有結合の分子間切断が生じるであろう。
【0007】
コラーゲン結合の切断もまた、より低い割合であるが、より低い温度で生じる。低温熱切断は、分子長の最封的な変化なく結合を再生する弛緩現象と、頻繁に関連付けられる。微小繊維を力学的に切断する外力は、弛緩現象の可能性を減らし、より低い温度でコラーゲン基質を延長又は収縮するための手段を提供し、それと同時に、表面剥離の可能性を減らす。
【0008】
柔軟な組織改造は、細胞及び分子レベルで生じる生物物理現象である。コラーゲンの分子収縮、又は部分変性は、エネルギー源の付加を含み、それは、三重螺旋の熱不安定結合を切断することにより、分子の縦軸を不安定にする。結果として、応力を作り出して、基質の分子間結合を壊す。これは、本質的に、即時の細胞外プロセスであるのに対し、細胞収縮は、傷治療のシーケンスで提供されるような、傷の中での繊維芽細胞の移動及び増殖のための遅延期間を必要とする。より高度に発達した動物種では、傷に対する傷治療反応は、続いて傷跡組織の堆積につながる初期炎症プロセスを含む。
【0009】
初期炎症反応は、細胞の残骸を処理する白血球又は顆粒球による浸潤から構成される。72時間後、傷の部位での繊維芽細胞の増殖が生じる。これらの細胞は、収縮性の筋肉繊維芽細胞に分化し、それらは、細胞の軟組織の収縮の源である。細胞収縮に続いて、コラーゲンが、堅くなった軟組織構造における安定支持基質として、下に置かれる。発生期の傷跡基質の堆積、及びその後の改造は、審美目的のために軟組織の一貫性及び形状を変えるための手段を提供する。
【0010】
前記説明にかんがみて、皮膚、及び下にある組織に熱エネルギーを運んで、コラーゲンの収縮を引き起こし、及び/又は傷治療反応を開始させる治療を患者自身に与える、多数の皮膚科学的手順が存在する。そのような手順は、皮膚の改造/表面再生、しわの除去、及び、皮脂腺、毛嚢の脂肪組織、及び毛細血管の治療を含む。
【0011】
熱エネルギーを皮膚、及びその下にある組織に運搬する、現在利用可能な技術は、電磁エネルギー並びに超音波の無線周波(RF)、光(レーザ)、及びその他の形、及び、熱表面での直接加熱を含む。しかしながら、これらの技術は、治療の効果を制限する、及び/又は治療を完全に妨げる多数の技術的制限、及び臨床問題を持つ。
【0012】
これらの問題は、以下のものを含む。i)組織の広領域にわたる均一な熱効果を実現すること、ii)対象の選択された組織への熱効果の強さを制御し、対象組織、及び非対象組織の両方への不要な熱損傷を防ぐこと、iii)やけど、赤い水ぶくれのような悪い組織効果を減らすこと、iv)パッチワーク手法でのエネルギー/治療の運搬の実行を、治療のより連続的な運搬(例えば、スライディング又は塗りつぶし動作による)に置き換えること、v)皮膚表面の到達しにくい領域へのアクセスを改善すること、及び、vi)治療を完了するのに必要な手順の時間、及び患者の訪問の回数を減らすこと。本出願で説明するように、本発明は、これら及び他の制限を解決するための装置を提供する。
【0013】
皮膚を治療するための現在利用可能なRF技術の重大な欠点の1つは、エッジ効果現象である。一般的には、組織と接触している電極によって、RFエネルギーが、その組織に加えられた、又は運搬されたとき、その電極のエッジ、特に鋭いエッジのまわりに、電流が集中する。この効果は、一般的には、エッジ効果として知られている。円形のディスク電極の場合、その効果は、その円形ディスクの周囲のまわりのより高い電流密度、及び中心部の比較的低い電流密度、として現れる。正方形形状の電極では、典型的には、全周のまわりに高い電流密度が存在し、その角においては、さらに高い電流密度が存在する。
【0014】
エッジ効果は、幾つかの理由のため、皮膚を治療することにおいて問題を引き起こす。第一に、それらは、電極表面全体にわたる不均一な熱効果という結果になる。皮膚の様々な治療において、特に皮膚科学治療の場合、かなり広い表面積にわたって均一な熱効果をもつことが重要である。広いとは、この場合、数平方ミリメートル、又はさらには数平方センチメートル台である。組織を切断するための電気外科の応用例には、典型的には、その点において組織を切断する、或いはさらに組織を凝固させるホットスポットを獲得する目的で設計された点形式のアプリケータがある。しかしながら、この点設計は、広い表面積にわたって適度な熱効果を作り出すのに望ましくない。必要なことは、ホットスポットなしで、均一な熱エネルギーを皮膚、及び下にある組織に運搬するような電極設計である。
【0015】
皮膚/組織治療手順において、冷却が加熱と組み合わされるとき、均一な熱効果は特に重要である。以下に説明するように、不均一な熱パターンは、皮膚の冷却を困難にし、それゆえ、その結果として生じる治療プロセスも困難にする。RFエネルギーで皮膚を加熱する時、組織内へより深く移動する温度の低下に伴って、電極表面上の組織が最も温かくなる傾向がある。この熱勾配を克服し、電極からの所定距離において熱効果を作り出すための一手法は、電極と接触している皮膚の層を冷やすことである。しかしながら、不均一な加熱パターンが存在する場合には、皮膚の冷却を困難にする。
【0016】
正方形又は長方形電極の角において、又は、円形ディスク電極の周囲において、火傷が全くないように充分に皮膚を冷やす場合には、おそらく、電極の中心において過冷却し、電極の中心の下では、著しい熱効果(すなわち、組織加熱)は全く存在しないであろう。反対に、電極の中心において良い熱効果が存在する点まで、冷却効果を減らす場合には、おそらく、電極のエッジと接触する組織を保護するのに充分な冷却は存在しないであろう。これらの制限の結果として、標準電極の典型的な応用例では、通常、不均一治療の領域、及び/又は皮膚表面上の火傷が存在する。そのため、加熱パターンの均一性が非常に重要である。コラーゲン含有層を加熱して、皮膚を堅くするためのコラーゲン収縮応答を作り出すことが、皮膚を治療する応用例で特に重要である。この応用例、及び関連する応用例では、コラーゲン収縮、及び結果として生じる皮膚硬化の効果が不均一である場合には、医学的に望ましくない結果が生じるであろう。
【0017】
RFデバイスの改善の必要性が存在する。化粧品応用例に適したRFデバイスの更なる必要性が存在する。改善された誘電RF電極を利用するRFデバイスのさらなる必要性が、さらに存在する。
【0018】
(発明の要約)
従って、本発明の目的は、RFデバイスの改善を提供することである。
【0019】
本発明の更なる目的は、RF電極の導電部分及び絶縁部分を含むRFデバイスを提供することである。
【0020】
本発明のなお更なる目的は、支持部材に結合された2つの電気RF電極を提供することである。
【0021】
本発明のこれら、及び他の目的は、支持構造を持つRFデバイスで実現される。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。支持構造に結合された冷却部材は、RF電極の裏面を冷却するように構成される。冷却部材は、RF電極の裏面から離して置かれる。
【0022】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分、及びフレキシブル回路を含む。支持構造に結合された冷却部材は、RF電極の裏面を冷却するように構成される。
【0023】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが、支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を持つ。第一及び第二の係合部材は、支持構造の本体に形成される。第一及び第二の係合部材は、バリカン支持構造との係合及び遊離を提供する。
【0024】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが、支持構造を含む。導電部分及び絶縁部分を含むRF電極は、RF電極の少なくとも一部分が皮膚表面と接触しているとき、静電結合されるように構成される。背面板は、支持構造の近位部分に置かれる。複数の電気接触パッドが、背面板に結合される。
【0025】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスは、支持構造を含む。RF電極は、導電部分及び絶縁部分、組織境界面、及び向かい合った裏面を含む。背面板は、支持構造の近位部分に置かれる。背面板は、RF電極のその向かい合った裏面に面する前面、及び向かい合った裏面を含む。冷却部材は、背面板によって延びる遠位部分、及び、背面板の裏面の上方に引き上げられた近位部分を持つチャネルを提供される。
【0026】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。RF電極は、組織境界面、及び向かい合った裏面を持つ。冷却部材は、支持構造に結合される。少なくとも第一のセンサは、RF電極に結合される。
【0027】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスは、支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。RF電極は、組織境界面、及び向かい合った裏面を持つ。冷却部材は、支持構造に結合される。非揮発性メモリが支持構造に結合される。
【0028】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を持つ。支持構造に結合された冷却部材は、RF電極の裏面を冷却するように構成される。冷却部材は、RF電極の裏面から離して置かれる。
【0029】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスは、RFデバイスの本体を定める支持構造を含む。導電部分及び絶縁部分を持つRF電極が提供される。RF電極は、フレキシブル回路を含む。支持構造に結合された冷却部材は、RF電極の裏面を冷却するように構成される。
【0030】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。第一及び第二の係合部材が、支持構造の本体に形成される。第一及び第二の係合部材は、バリカン支持構造との係合及び遊離を提供する。
【0031】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。RF電極の少なくとも一部分が皮膚表面と接触しているとき、RF電極は、静電結合されるように構成される。背面板は、支持構造の近位部分に置かれる。複数の電気接触パッドが、背面板に結合される。
【0032】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分、組織境界面、及び向かい合った裏面を含む。背面板は、支持構造の近位部分に置かれる。背面板は、RF電極のその向かい合った裏面に面する前面、及び向かい合った裏面を含む。冷却部材は、背面板によって延びる遠位部分、及び背面板の裏面の上方に引き上げられた近位部分を持つチャネルを有する。
【0033】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスは支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。RF電極は、組織境界面、及び向かい合った裏面を持つ。冷却部材は、支持構造に結合される。少なくとも第一のセンサは、RF電極に結合される。
【0034】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスは支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。RF電極は、組織境界面、及び向かい合った裏面を持つ。冷却部材は支持構造に結合される。非揮発性メモリは支持構造に結合される。
【0035】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。RF電極は、組織境界面、向かい合った裏面、及び、その外側エッジにおける静電結合領域の量を減らすように構成された形状を持つ外側エッジ、を持つ。
【0036】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスは、支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。RF電極は、組織境界面、及び向かい合った裏面を持つ。RF電極の少なくとも一部分は、RF電極内の導電材料の量を減らす空隙を持つ。
【0037】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが支持構造を含む。支持構造に結合されるRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。RF電極は、皮下組織への制御可能な組織効果を提供し、それと同時に、その皮下組織の上にある表皮表面を保護するように構成される。
【0038】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが支持構造を含む。RF電極は支持構造に結合される。フレキシブル回路はRF電極に結合される。
【0039】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが、支持構造、RF電極、及びそのRF電極に結合されるフレキシブル回路を含む。複数の電気接触パッドがフレキシブル回路に結合される。
【0040】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。複数の電気接触パッドがRF電極に結合される。
【0041】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極が、導電部分及び絶縁部分を含む。RF電極の少なくとも数個の部分は、異なる幅を持つ。
【0042】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスが支持構造を含む。支持構造に結合されたRF電極は、導電部分及び絶縁部分を含む。RF電極の少なくとも数個の部分は、異なる導電率を持つ。
【0043】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスは、導電部分及び絶縁部分を持つRF電極を含む。支持構造は、RF電極に結合される。支持構造、及びRF電極は、そこで支持構造をRF電極に結合する封を形成する。
【0044】
本発明の更なる実施形態では、RFデバイスは、導電部分及び絶縁部分を持つRF電極を含む。支持構造は、RF電極に結合される。支持構造に結合された冷却部材は、RF電極の裏面に冷気を運搬するように構成される。冷却部材は、RF電極の裏面から離して置かれる。支持構造、及びRF電極は、そこで支持構造をRF電極に結合する封を形成する。
【0045】
(詳細な説明)
様々な実施形態において、本発明は、組織部位を治療するための方法を提供する。一実施形態では、エネルギー運搬デバイスのエネルギー運搬面が、皮膚表面に結合される。その結合は、皮膚表面上へのエネルギー運搬のエネルギー運搬面の接触する、直接的な配置、又は、媒体あり又はなしのその2つの間の離れた関係であって、エネルギー運搬デバイスのエネルギー運搬面から皮膚表面へエネルギーを伝えることができる。皮膚表面の温度が下にある組織の温度より低い、逆熱勾配を作り出すほど充分に、皮膚表面が冷やされる。エネルギーは、エネルギー配信デバイスから、下にある組織領域まで運搬され、皮膚表面における組織効果という結果になる。
【0046】
ここで図1(a)を参照すると、バリカン10の使用により、本発明の方法を実現することができる。バリカン10は、バリカン収納箱14、及び冷却流体媒体バルブ部材16を含むバリカン組立品12と結合される。バリカン収納箱14は、電極組立品18に結合されるように構成される。電極組立品18は、少なくともその一部が皮膚表面と接触しているとき、皮膚表面に静電結合される少なくとも1つのRF電極20を持つ。本発明の技術的範囲を限定することなく、RF電極20は、0.010から1.0mmの範囲の厚さを持つことができる。
【0047】
バリカン10は、選択された深さの組織において、より均一な熱効果を提供し、それと同時に、皮膚表面及び他の対象外の組織への熱損傷を防ぐ、又は最小化する。バリカン10は、RF生成器に結合される。RF電極20は、単極又は二極モードのいずれかで作動することができる。バリカン10は、エッジ効果、及びホットスポットを減らす、又は好ましくは取り除くように構成される。その結果は、悪い効果及び治療時間の除去、又は減少による、審美的な結果/臨床治療成果の改善である。
【0048】
流体運搬部材22は、冷却流体媒体バルブ部材16に結合される。流体運搬部材22、及び冷却流体媒体バルブ部材16は、集合して、冷却流体媒体分配組立品を形成する。流体運搬部材22は、RF電極20への冷却流体媒体の細分運搬を提供するように構成される。細分運搬は、霧又は細粒スプレーである。冷却流体媒体の、液体から気体への相転移は、それがRF電極20の表面に当たったときに生じる。液体から気体への転移は、冷却を作り出す。冷却流体媒体がRF電極20に当たる前に、転移があった場合には、RF電極20の冷却はそれほど効果的ではないであろう。
【0049】
図1(b)に示す更なる実施形態では、冷却流体媒体バルブ部材16、及び流体運搬部材22の代わりに、熱電冷却器23を利用する。
【0050】
一実施形態では、冷却流体媒体は、New Jersey, MorristownにあるHoneywell社から市販されている低温スプレーである。適当な低温スプレーの具体的な例は、New York 11101, Long Island City, 38-18 33rd StにあるRefron社から市販されるR134A2である。低温冷却流体媒体の使用は、皮膚治療のために多数の異なる形式のアルゴリズムを使用する能力を提供する。例えば、所望の組織へのRFエネルギーの運搬の前及び後に、低温冷却流体媒体を、数ミリ秒かけることができる。これは、低温源に結合された冷却流体媒体バルブ16の使用により実現され、これは圧縮ガスキャニスターを含むが、それに限られるわけではない。様々な実施形態において、冷却流体媒体バルブ部材16を、コンピュータ制御システムに結合できる、及び/又は、足踏みスイッチ又は同様なデバイスによって、医師により手動で制御することができる。
【0051】
低温冷却流体媒体のスプレー又は噴霧を提供することは、急速なオン及びオフ制御を実装する有用性を提供するので、特に適切である。低温冷却流体媒体は、冷却プロセスのより正確な時間制御を可能にする。これは、冷却材が散布され、蒸気状態にある時、冷却が生じるだけであるからであり、噴霧は、非常に早いつかの間のイベントである。従って、低温冷却流体媒体が止まった後、冷却が急速に中止される。その全体的な効果は、低温冷却流体媒体の、非常に正確な時間のオン-オフ制御を与えることである。
【0052】
ここで図2を参照すると、流体運搬部材22、及び熱電冷却器23を、バリカン収納箱14又は電極組立品18内に置くことができる。流体運搬部材22は、冷却流体媒体を制御可能に運搬するように構成される。流体運搬部材22、及び熱電冷却器23は、RF電極20の裏面24を冷やし、裏面24を所望の温度に維持する。冷却流体媒体は、蒸発によって、RF電極20を冷却し、RF電極20の前面26の実質的に均一な温度を維持する。流体運搬部材22は、蒸発によって、裏面24を冷却する。前面26は、皮膚に対して柔軟かつ快適とすることができる、又はできないが、それは、皮膚表面に押し付けられた時、良い熱結合を提供するのに充分な強度及び/又は構造をまだ持っている。
【0053】
次に、RF電極20は、RF電極20の前面26に隣接する皮膚表面を、導電的に冷却する。適当な流体媒体は、R134A、及びフレオンのような様々な冷却材を含む。
【0054】
流体運搬部材22は、勾配の方向を基準として、前面26の実質的に如何なる配向でも、冷却流体媒体を裏面24に制御可能に運搬するように構成される。流体運搬部材22の形状、及び配置は、裏面24上で冷却流体媒体の実質的に均一な分布を提供するように選択される。冷却流体媒体の運搬は、小滴のスプレー又は細粒噴霧により裏面24にあふれさせること等、とすることができる。冷却は、冷却流体媒体の大気との境界面において生じ、それは、蒸発が起こる場所となる。裏面24上に、流体の厚い層が存在する場合には、治療される皮膚から取り除かれた熱は、冷却流体媒体の厚い層を通り抜けて、熱抵抗を増大させる必要があるであろう。冷却速度を最大化させるために、冷却流体媒体の非常に薄い層を利用することが望ましい。RF電極20が水平ではない場合、及び、裏面24上に冷却流体媒体の厚い層が存在する、又は冷却流体媒体の大きい滴が存在する場合には、冷却流体媒体が、RF電極20の表面から流れ落ち、一方のエッジ又は角にたまり、一様でない冷却を引き起こし得る。従って、細粒スプレーで、冷却流体媒体の薄い層を塗布することが望ましい。熱電冷却器23は、冷却媒体を運搬することはないが、これらと同じ結果を実現する。熱電冷却器23は、表面24と隣接、或いは接触している側で冷たいのに対し、その反対側はより暖かくなる。
【0055】
様々な実施形態では、図3(a)に示すようなRF電極20が、導電部分28、及び絶縁部分30を持つ。導電部分28は、銅、金、銀、アルミニウム等を含む金属とすることができるが、これらに限られない。絶縁部分30は、ポリイミド、テフロン(R)等、窒化ケイ素、ポリシラン、ポリシラゼイン、ポリイミド、カプトン、及び他のポリマー、アンテナ絶縁体、及びこの技術分野でよく知られた他の絶縁材料を含む様々な異なる材料で作られることができるが、これらに限られない。他の絶縁材料は、ポリエステル、シリコン、サファイア、ダイアモンド、ジルコニウム強化アルミナ(ZTA)、アルミナ等のようなポリマーを含むが、これらに限られない。絶縁部分30は、導電部分28の周囲の少なくとも一部、又は全体のまわりに置くことができる。更なる実施形態では、RF電極20は、金めっき銅、銅-ポリイミド、ケイ素/窒化ケイ素等を含む複合材料で作られるが、これらに限られない。
【0056】
絶縁部分30は、RF電極20を通る電流の流れに対するインピーダンスの増大を作り出す。このインピーダンスの増大は、電流が、導電部分28を通って皮膚表面までのまっすぐ下向きの経路を移動するようにする。RF電極20のエッジから流出する電流の集中によって引き起こされる電界エッジ効果は、減少する。
【0057】
絶縁部分30は、RF電極20を通り抜けるより均一なインピーダンスを作り出し、より均一な電流が導電部分28を通って流れるようにする。結果として生じる効果は、RF電極20のエッジのまわりのエッジ効果を最小化する、又はさらには取り除く。図3(c)に示すように、RF電極20は、導電材料が殆ど又は全く存在しない、空隙33を持つことができる。導電材料で空隙33を作ることは、電界を変化させる。空隙の特定の構成を使用して、エッジ効果を最小化する、又は、電界の深さ、均一性、又は形状を変えることができる。固体導電材料を持つRF電極20の一部分28'の下では、電界がより深い。より多くの空隙を持つRF電極20の一部分28''の下では、電界がより浅い。様々な密度の導電材料を結合することにより、所望の加熱プロファイルを整合させるように、RF電極20を提供する。
【0058】
一実施形態では、限定ではなく、例として、約0.001の厚さを持つ基板とすることができる絶縁部分30に、導電部分28が密着している。この実施形態は、電子産業で市販されている標準のフレキシブル回路基板材料と同様である。この実施形態では、絶縁部分30は、組織、皮膚と接触しており、導電部分28は、皮膚から隔たれる。
【0059】
スパッタリング、電着、化学蒸着、プラズマ堆積、及びこの技術分野で知られる他の蒸着手法を含むが、それらに限られない様々な手法を使って、絶縁部分30上の導電部分28を成長させることにより、絶縁部分30の厚さを減らすことができる。さらに、これらの同じプロセスを使って、導電部分28上に絶縁部分30を蒸着させることもできる。一実施形態では、絶縁部分30は、導電部分28上で成長することのできる酸化物層である。酸化物層は、低い熱抵抗を持ち、ポリマーのような多くの他の絶縁体と比べて、皮膚の冷却効率を改善する。
【0060】
様々な実施形態では、RF電極20は、その外側のエッジ31に沿った組織との静電結合を妨げるように構成される。図3(b)を参照すると、RF電極20は、外側エッジ31における静電結合領域の量を減らすように構成された形状を持つ外側エッジ31を有することができる。外側エッジ31は、導電部分28より少ない量の材料を持つことができる。これは、波形の形状等を含むが、それに限られない様々な形状により実現することができる。様々な形状に応じて、外側エッジ31の全長を増大させることができ、組織に静電結合される全面積は減少する。これは、外側エッジ31のまわりのエネルギー生成の減少を生み出す。
【0061】
そのかわりに、エッジにおけるより厚い層において、絶縁材料を利用して、そのエッジにおける電界を減らすことができる。更なる代替は、エッジにおいてより強烈に冷却して、如何なる電界エッジ効果も補償するように、冷却を構成するものである。
【0062】
流体運搬部材22は、入口32、及び出口34を持つ。出口34は、入口32の断面積よりも小さい断面積を持つことができる。一実施形態では、流体運搬部材22はノズル36である。
【0063】
冷却流体媒体バルブ部材16は、冷却流体媒体のパルス運搬を提供するように構成することができる。冷却流体媒体の運搬をパルスにすることは、冷却流体媒体の塗布の速度を制御するための単純な方法である。一実施形態では、冷却流体媒体バルブ部材16は、ソレノイドバルブである。適当なソレノイドバルブの例は、NJ, West Caldwell にあるN-Research社で製造されたソレノイドピンチバルブである。流体が圧縮される場合には、バルブの開口は、流体の流れという結果になる。流体が一定圧力で維持される場合には、出水率は一定であり、単純な開閉ソレノイドバルブを使用することができ、有効出水率は、そのパルスのデューティサイクルによって特定される。100%に近い、より高いデューティサイクルは冷却を増大させるが、これに対し、0%により近い、より低いデューティサイクルは冷却を減少させる。所定の周波数で、短い継続時間の間、バルブをオンにすることにより、そのデューティサイクルを実現することができる。開口の継続時間は、1〜50ミリ秒又はそれ以上とすることができる。パルスする周波数は、1〜50Hz又はそれより高速とすることができる。
【0064】
そのかわりに、計量バルブ、又は顫動ポンプのような可変速度ポンプにより、冷却液体媒体の出水率を制御することができる。パルスすることの1つの利点は、単純な電子機器、及び制御アルゴリズムを使って制御することが容易ということである。
【0065】
冷却流体媒体が、裏面24から、RF電極20の前面と接触している皮膚表面上に漏れないように、電極組立品18は、充分密閉される。これは、皮膚表面を通り抜ける均一なエネルギー運搬、を提供するのに役立つ。一実施形態では、電極組立品18、特にRF電極20は、裏面24において貯槽を作成して、裏面24で収集された冷却流体媒体を保持し、集める形状を有する。裏面24は、「三角状の折り目」で形成されて、この貯槽を作ることができる。任意で、電極組立品18は、蒸発した冷却流体媒体が電極組立品18から流出することを可能にする出口を含む。
【0066】
出口は、電極組立品18内で圧力が高まることを防ぐ。出口は、大気又は出口線へのはけ口を与える圧力軽減バルブとすることができる。冷却流体媒体が、RF電極20と接触するようになり、蒸発するとき、その結果として生じる気体は、電極組立品18の内側を加圧する。これは、RF電極20を、部分的に膨らませ、前面26から外に曲げることができる。膨張したRF電極20は、皮膚との熱接触を強め、さらに、皮膚表面へのRF電極20のある程度の順応という結果となり得る。電子制御装置を提供することができる。計画された圧力に達した時、電子制御装置は、信号を送って、出口を開ける。
【0067】
様々なリード線40が、RF電極20に結合される。一又はそれ以上の温度センサ42が、RF電極に結合される。適当な温度センサ42は、熱電対、サーミスタ、赤外光エミッタ、及び感熱型ダイオードを含むが、これらに限られない。一実施形態では、温度センサ42は、RF電極20の各角に置かれる。皮膚表面、又は電極20の裏面24の充分な温度データを獲得するために、充分な数の温度センサ42を提供する。更なる実施形態では、少なくとも1つのセンサ42が、RF電極の裏面24に置かれ、冷却流体媒体の運搬に応じて、裏面24の温度を検出する。
【0068】
温度センサ42は、温度を測定し、治療の間のRF電極20及び/又は組織の温度を監視するために、フィードバックを提供することができる。温度センサ42は、サーミスタ、熱電対、感熱型ダイオード、コンデンサ、インダクタ、又は温度を測定するための他のデバイス、とすることができる。治療の制御を促進するために、温度センサ42が、RF電極20に結合されたRF生成器のマイクロプロセッサに、電子フィードバックを提供することが好ましい。
【0069】
温度センサ42からの測定値を使って、冷却流体媒体の塗布の速度を制御するのを助けることができる。例えば、冷却制御アルゴリズムを使って、温度が対象温度以下に下がるまで、高い出水率でRF電極20に冷却流体媒体を塗布し、その後、減速又は停止させることができる。PID、すなわち比例積分微分のアルゴリズムを使って、RF電極20の温度を所定の値に正確に制御することができる。
【0070】
温度センサ42を、組織から離れたRF電極20の裏面24上に置くことができる。この構成は、RF電極20の温度を制御するのに好ましい。そのかわりに、温度センサ42を、組織と直接接触するRF電極10の前面26上に置くことができる。この実施形態は、組織の温度を監視するためにより適しているとすることができる。温度センサ42でアルゴリズムを利用して、治療される組織の温度プロファイルを計算する。温度センサ42を使用して、皮膚の温度プロファイルを拡張することができ、これは次に、、適切な量の加熱及び冷却を運搬して、所望の深層組織の温度の上昇を実現し、それと同時に、皮膚組織の層を閾値温度以下に維持することを保証し、熱傷を避けるプロセス制御目的のために使用される。
【0071】
医師は、測定された温度プロファイルを使用して、所定の形式の治療について、理想的/平均的なプロファイルの境界内にとどまることを保証することができる。更なる目的のために、温度センサ42を使用することもできる。温度センサ42の温度を監視するとき、RF電極20が皮膚表面と接触している時を検出することが可能である。皮膚接触が成されたときの温度の直接的な変化を検出する、又は、皮膚との接触によって影響される温度変化の割合を調べることにより、これを実現することができる。同様に、一以上の温度センサ42が存在する場合には、その温度センサ42を使用して、RF電極20の一部分が持ち上げられているか、皮膚と接触していないか、のいずれかを検出することができる。接触領域が変化する場合には、皮膚に運搬される電流密度(単位面積あたりのアンペア)が変化し得るので、これは重要とすることができる。特に、RF電極20の表面の一部が皮膚と接触していない場合には、その結果として生じる電流密度は、予想より高い。
【0072】
再び図1(a)を参照すると、力覚センサ44もまた、電極組立品18に結合される。力覚センサ44は、力を加えられる皮膚表面に対して、医師を介して、電極組立品18によって加えられた力の量を検出する。力覚センサ44は、重力の方向に対して、RF電極20の前面26の如何なる配向においても、電極組立品18の重さの重力効果をゼロにする。更に、力覚センサ44は、RF電極20が皮膚表面と接触している時の表示を提供する。力覚センサ44はまた、接触している皮膚表面にRF電極20によって加えられた力が、(i)最低閾値以上である、又は(ii)最高閾値以下である、ことを示す信号を提供する。
【0073】
図4に示すように、力覚センサと組み合わせて、起動ボタン46を使用する。RF電極20を起動する直前に、医師は、バリカン10を、皮膚の表面からほんの少し離れた位置に保つ。バリカン10の配向は、重力の方向に対して、如何なる角度ともすることができる。バリカン10を作動状態にするために、医師は、それをゼロを読み取るようにセットすることにより、力覚センサ44の風袋を差し引く起動ボタン46を押すことができる。これは、その特定の治療の配向の重力により、力を相殺する。この方法は、重力の方向に対するバリカン10の角度に関係なく、皮膚表面へのRF電極20の一定の力の付加を可能にする。
【0074】
RF電極20は、フレキシブル回路とすることができ、これは掃引部品を含むことができる。さらに、温度センサ42、及び力覚センサ44は、フレキシブル回路の一部とすることができる。さらに、フレキシブル回路は、RF電極20の一部を形成する絶縁体を含むことができる。
【0075】
バルカン収納箱12内に、電極組立品18を可動に置くことができる。一実施形態では、電極組立品18は、バリカン収納箱12の縦軸に沿って、すべって動くことができる。
【0076】
電極組立品18を、バリカン収納箱12内に、回転可能に取り付けることができる。さらに、RF電極20を、電極組立品18内に回転可能に置くことができる。電極組立品18を、使い捨ての又は使い捨てでないRFデバイス52として、バリカン収納箱12に取り外し可能に結合することができる。
【0077】
本開示の目的のため、電極組立品18は、RFデバイス52と同じである。RFデバイス52は、バリカン収納箱12に可動に取り付けられると、力覚センサ44によって、バリカン収納箱12に結合されることができる。力覚センサ44は、圧縮力、及び引っ張り力の両方を測定することができる形式とすることができる。他の実施形態では、力覚センサ44は、圧縮力を測定するだけ、又は、引っ張り力を測定するだけである。
【0078】
RFデバイス52は、バネ48を積んだバネ装荷とすることができる。一実施形態では、バネ48は、バリカン収納箱12に向かう方向に、RF電極20を偏向させる。これは、力覚センサ44を事前に装備し、力覚センサ44に対してRFデバイス52を押されたままにする。皮膚表面へのRF電極20の付加の直前に、起動ボタン46が押された時、事前に装備された力の風袋が差し引かれる。
【0079】
側板50が、任意でバリカン10に結合される。側板50は、誤った力の読み取りを引き起こし得る使用の間、ユーザがRFデバイス52に触れさせないようにする働きをする。
【0080】
非揮発性メモリ54は、RFデバイス52に含められることができる。さらに、非揮発性メモリは、バリカン収納箱12に含められることもできる。非揮発性メモリ54は、EPROM等とすることができる。さらに、第二の非揮発性メモリは、バリカンモデルの番号又はバージョン、バリカンのソフトウェアのバージョン、バリカン10が提供したRFアプリケーションの数、耐用年数、及び製造年月日のような、しかしこれらに限定されない、バリカン10の情報を格納する目的のため、バリカン収納箱内12に含められることができる。バリカン収納箱12はまた、温度センサ42、力覚センサ44、流体圧力ゲージ、スイッチ、ボタン等を含むがこれらに限られない、バリカン収納箱12又はRFデバイス52上の様々なセンサからのデータを獲得、及び分析する目的のため、マイクロプロセッサ58を収容することができる。
【0081】
マイクロプロセッサ58はまた、光源、LED、バルブ、ポンプ、又は他の電子部品を含むがこれらに限られない、バリカン10上の構成部品を制御することができる。マイクロプロセッサ58はまた、データを、RF生成器のマイクロプロセッサに伝達することもできる。
【0082】
(i)RF電極20によって運搬される電流の量を制御すること、(ii)流体運搬部材22及び熱電冷却器23のデューティサイクルを制御すること、(iii)RF電極20のエネルギー運搬継続時間を制御すること、(iv)ターゲットの温度に対してRF電極20の温度を制御すること、(v)RF電極20の最大数の点火を提供すること、(vi)RF電極20により運搬可能な最大許容電圧を提供すること、(vii)RF電極20の使用の履歴を提供すること、(viii)RF電極20の裏面24への冷却流体媒体の運搬のため、流体運搬部材22及び熱電冷却器23に、制御可能なデューティサイクルを提供すること、(ix)流体運搬部材22から裏面24へ運搬される冷却流体媒体の制御可能な運搬速度を提供すること、(x)熱電冷却器23等の制御を提供すること、を含むがこれらに限られない、バリカン10及びその関連システムの制御、及び作動を促進することのできる様々なデータを、非揮発性メモリ54は格納することができる。
【0083】
ここで、図5及び6を参照すると、RFデバイス52は、RFデバイス52の本体を定める収納箱60を含むがこれに限られない支持構造を含む。RFデバイス52は、支持構造60の近位部分に置かれた背面板62を含むことができる。複数の電気接触パッド64を、背面板62に置くことができる。流体運搬部材22及び熱電冷却器23の少なくとも一部分は、背面板62によって延びることができる。流体運搬部材22は、背面板62の裏面の上方に引き上げられた近位端を持つチャネルとすることができる。
【0084】
また、第一及び第二の係合部材64を、支持構造60の本体に形成することもできる。係合部材64は、バリカン収容箱14との係合、及び遊離を提供する。適当な係合部材64は、スナップ部材、基板支持60のスナップ部材と係合するための開口等を含むが、これらに限られない。
【0085】
バリカン10を使用して、熱エネルギーを運搬して、脂肪組織を含む、表皮、真皮、及び皮下組織内のコラーゲン含有組織、を含むがこれらに限られない組織を修正することができる。組織の修正は、組織の肉体的機能、組織の構造、又は組織の肉体的特性を修正することを含む。コラーゲン含有組織を修正するのに充分なエネルギーを運搬し、コラーゲン収縮、及び/又は、新しい又は発生期のコラーゲンの堆積等を含む傷治療反応を引き起こすことにより、修正を実現することができる。
【0086】
(i)真皮の改造及び硬化、(ii)しわの減少、(iii)弾力繊維症の低減、(iv)傷跡の減少、(v)皮脂嚢の除去/非活性化、及び皮脂嚢の活動の低下、(vi)毛嚢の除去、(vii)脂肪組織の改造/除去、(viii)毛細血管の除去、(ix)皮膚表面の外形のでこぼこを修正する、(x)傷跡、又は発生期のコラーゲンを作る、(xi)皮膚のバクテリア活動の低下、(xii)皮膚の毛穴の大きさの縮小、(xiii)皮膚の毛穴の詰まりを取り除く、等を含むがこれらに限られない、皮膚、及びその下にある組織の多数の治療を実施するために、バリカン10を利用することができる。様々な実施形態において、(i)組織へのエネルギーの運搬が始まる前の前冷却、(ii)冷却と組合された作動段階又はエネルギー運搬段階、及び(iii)組織へのエネルギーの運搬が停止した後の後冷却、を含むがこれらに限られない、様々な治療プロセスにおいて、バリカン10を利用することができる。
【0087】
RF電極20が組織と接触している時、又はRFエネルギー源をオンにする前に、ターゲット組織の表面層が既に冷却されているように、バリカン10を使用して、ターゲット組織の表面層を前冷却することができる。RFエネルギー源をオンにする時、又は、組織へのRFの運搬が他の方法で始まる時、組織の加熱という結果になり、冷却されていた組織は、熱損傷を含む熱効果から保護される。冷却されなかった組織は、治療効果のある温度まで暖められ、所望の治療効果という結果になるであろう。
【0088】
前冷却は、冷却の熱効果が組織内まで下に向かって伝播するための時間を与える。特に、前冷却は、選択可能な深さで最低所望温度を実現して、所望の組織の深さの温度プロファイルの実現を可能にする。前冷却の量又は継続時間を使って、治療されていない組織の保護領域の深さを選択することができる。前冷却のより長い継続時間は、より深い保護領域、従って、治療領域の始めの部分について組織内のより深い深度を生み出す。RF電極20の前面26の温度はまた、温度プロファイルにも影響を及ぼす。前面26の温度が冷たければ冷たいほど、冷却はより早くかつより深くなり、またその逆も言える。
【0089】
たとえ、組織への外部エネルギー運搬が止んだとしても、後冷却は、より深い層まで運搬された熱が、上方に伝導し、もしかすると、より表面の層を、治療効果のある、又は損傷を与える温度範囲まで加熱することを防ぐ、及び/又は低減するので、後冷却は重要とすることができる。これ、及び関連する熱現象を防ぐために、RFエネルギーの付加が止んだ後、ある期間の間、治療表面の冷却を維持することが望ましいとすることができる。様々な実施形態において、後冷却の量を変えることは、リアルタイム冷却及び/又は前冷却と組み合わせることができる。
【0090】
様々な実施形態において、可変数のパルスオンオフ形式の冷却シーケンスで、バリカン10を使用することができ、アルゴリズムを用いることができる。一実施形態では、治療アルゴリズムは、低温冷却液体媒体の噴霧を開始することによる組織の前冷却に備えるものである、その後に、組織内へのRFエネルギーの短パルスが続く。この実施形態では、低温冷却流体媒体のスプレーは、RFエネルギーが配信される間続き、その後すぐに、例えばほぼ数ミリ秒で、停止する。再び、これ又は他の治療シーケンスを繰り返すことができる。従って、様々な実施形態において、治療シーケンスは、ほぼ数十ミリ秒で、冷却及び加熱時間での、冷却作動、加熱、冷却休止、冷却作動、加熱、冷却休止のパルスシーケンスを含むことができる。これらの実施形態では、皮膚の組織の表面が冷却されるたびに、皮膚表面から熱を取り除く。低温冷却流体媒体のスプレー期間、及びスプレー間の休止期間は、数十ミリ秒の範囲内とすることができ、これは、表面冷却を可能にし、それと同時に、所望の熱効果をより深いターゲット組織内へさらに運搬する。
【0091】
様々な実施形態において、治療効果領域、又は熱効果領域とも呼ばれる、治療におけるターゲット組織領域は、治療の形式によって、皮膚の表面の下のほぼ100μmの深さから10ミリメートル程度の深さまでの組織にあるとすることができる。コラーゲン収縮を含む治療において、100μmから2ミリメートルの間の冷却された深さの範囲までの、表皮、及び表皮の下にある皮膚の真皮の表面層の両方を冷却することが望ましいとすることができる。所望の深さにおいて所望の組織効果を作り出すために、様々な治療アルゴリズムが、様々な量の前冷却、加熱、及び後冷却の段階を含むことができる。
【0092】
治療の形式に依って、冷却及び加熱の様々なデューティサイクル、オン及びオフ時間を利用する。冷却及び加熱のデューティサイクルを、この技術分野で既知の電子制御システムによって、制御し、動的に変えることができる。具体的には、制御システムを使用して、冷却流体媒体バルブ部材16、及びRF電源を制御することができる。
【0093】
本発明の好ましい実施形態の前述の説明は、例証及び説明の目的のために呈示された。それは、網羅的であること、又は、本発明を開示された厳密な形に限定することを、意図されたものではない。明らかに、多くの修正及び変更が、当業者には明白であろう。本発明の技術的範囲が、以下の特許請求の範囲、及びそれらの均等物によって定められることを、意図している。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1(a)】本発明のバリカンの一実施形態の断面図である。
【図1(b)】熱電冷却器を持つRFデバイスの更なる実施形態の断面図である。
【図2】図1のRF電極組立品の分解組立図である。
【図3(a)】本発明のRF電極の一実施形態の拡大図である。
【図3(b)】外側エッジの形状が、該外側エッジにおける静電結合領域の量を減らすように構成された、本発明で利用することのできる、RF電極の一実施形態を示している。
【図3(c)】如何なる導電材料の場合も僅かしかない空隙を持ち、本発明で利用することのできる、RF電極の一実施形態を示している。
【図4】図1からのRF電極組立品の断面図である。
【図5】本発明のRFバリカン組立品の一実施形態の側面図である。
【図6】図5のRF電極組立品の背面図である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部分及び絶縁部分を含むRF電極、
を備え、前記RF電極は、該RF電極の少なくとも一部分が皮膚表面と接触している時、静電結合されるように構成され、前記導電部分は空隙を持ち、前記絶縁部分は、前記RF電極が皮膚表面に置かれた時、前記導電部分と前記皮膚表面との間に置かれる、ことを特徴とするRFデバイス。
【請求項2】
前記空隙は、前記RF電極のエッジにおけるエッジ効果を減らすように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記空隙が、前記RF電極によって作られる電界の深さ、均一性、及び形状、のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすように構成された、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記RF電極に結合された少なくとも第一のセンサ、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
支持構造、
前記支持構造に結合されている前記RF電極、及び
前記支持構造の本体に形成された第一及び第二の係合部材、
をさらに備え、前記第一及び第二の係合部材が、バリカン支持構造との係合及び遊離を提供する、ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
導電部分及び絶縁部分を含むRF電極、
を備え、前記絶縁部分が、前記電極のエッジにおいてより厚く、前記RF電極が皮膚表面に置かれた時、前記導電部分と前記皮膚表面との間に置かれる、ことを特徴とするRFデバイス。
【請求項7】
前記絶縁部分が、前記電極のエッジにおける電界を低減するように構成された、
ことを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記絶縁部分の厚さが、前記RF電極によって作られる電界の深さ、均一性、及び形状、のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすように構成された、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
支持構造、
前記支持構造に結合され、導電部分及び絶縁部分を含むRF電極、及び、
前記支持構造に結合され、前記RF電極の裏面を冷却するように構成された冷却部材、
を備え、前記冷却部材が、前記電極のエッジをより集中的に冷却して、如何なる電界エッジ効果も補償するように構成された、ことを特徴とするRFデバイス。

【図2】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−521178(P2006−521178A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509276(P2006−509276)
【出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/009118
【国際公開番号】WO2004/087253
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(501356341)サーメイジ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】