説明

バルキーヤーンの延長した長さおよび比較的高い密度のパッケージ類並びにそれらの製造方法

バルク加工された連続フィラメントヤーンを巻き上げる方法が開示されており、それは優れた形状およびヤーン除去特性を有する比較的高い密度のパッケージを包含する優秀なヤーンパッケージ形成を可能にする。この方法はスピンドル速度、所望する巻き上げ比、横断カム速度、および表面速度を絶えず監視する独特の巻き上げ調節方策により達成される隣のではないおよび隣のヤーンパターンにおける独特の螺旋角度および巻き上げ特徴を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロス−リファレンス
本出願は2009年10月30日に出願された米国特許暫定出願第61/256744号からの優先権を主張する。
【0002】
本発明は特定のヤーンタイプおよびパッケージ寸法に関して先行技術の方法に従い巻き上げられた同じヤーンの同様なパッケージより大きいヤーン長さを有するバルク加工された連続フィラメント(BCF)ヤーンおよび他の織られたまたは「バルキー」ヤーンのパッケージに関する。ここに開示される巻き上げ方法のパッケージはパッケージの単位容量当たりの正味ヤーン重量に関して測定して比較的高い密度を有しており、同様な幅および直径のヤーンパッケージ当たりの比較的大きいヤーン重量を与えるが、バルクおよびインターレースの重要な品質特性はパッケージ全体にわたり一定に維持される。開示される発明のパッケージはまた先行技術のヤーンパッケージより容易に巻きほどかれ、より高い除去速度で実質的に減じられた巻きほどき張力が観察される。独特の螺旋角度、隣のおよび隣のではない巻き上げ比、並びに巻き上げ特徴を用いてバルキーヤーンを製造する方法もここに開示される。
【背景技術】
【0003】
技術の背景
北米カーペット産業の製作所およびそれらのヤーン供給業者は毎年200,000,000個の「チューブ芯」と称する厚紙、プラスチックまたはロールよりなる複合BCFヤーンパッケージを取り扱っている。ヤーンのバルクによるが、これらのBCFパッケージの各々は通常は約8〜20ポンドのヤーンを含有しており、バルクは特定重量のヤーンにより持ち上げられた空間の測定値である。ヤーンがバルキーになればなるほど、パッケージが一般的に含有する重量はより少なくなる。ヤーンタイプおよび関係する工程により、カーペット産業はしばしばチューブ芯を、時には複数回にわたり、使用する。しかしながら、芯の費用は依然としてかなりの原価問題である。さらに、パッケージが処理される時毎に、人件費に関して並びにヤーンおよびチューブ芯に対する損傷危険性からの両者で、この原価が生じる点を理解することも重要である。
【0004】
BCFヤーンパッケージの物理的な寸法は容易に変更されない。標準的なBCFパッケージの寸法および構造は現存する紡糸、巻き上げ、および巻きほどき工程並びに装置の制限量を包含する数種の要素により設定される。例えば、チューブ芯直径は円滑な巻きほどきを可能にするのに充分なほど大きくなければならないが、それはまた高速における巻き上げを可能にするのに充分なほど強くなければならない。内部にパッケージが適合しなければならないような標準的なツイスターバケット直径による1つの事例では、BCFヤーンパッケージの全体的な直径も制限される。チューブ芯上のヤーンの行程すなわち幅も現存する装置寸法および巻きほどき効率を包含する工程制限に従い設定される。
【0005】
ヤーンパッケージ密度を増加させる数種の方法が使用されてきている。これらはチューブ芯の周辺の比較的緊密な巻き上げおよび重複ループとの比較的緊密なヤーンパッキングを包含する。しかしながら、これらの方法はそれらの独自の欠点を有しており、それらは困難なヤーン除去、バルク性質における損傷、パッケージ安定性における低下、および芯終点のヤーン悪化を包含する。上記の問題を回避するために、精密な巻き上げおよび不規則的な巻き上げ方法が使用されている。
【0006】
精密な巻き上げは典型的には織物ヤーン用に使用され、それらは微細なデニールであり且つ平らであり、それらがバルク織りされておらずそしてそのためにほとんど「バルク」性質を有していないことを意味する。これらのヤーンは典型的には二次段階で織られ、そして巻きほどきの円滑さおよび均一性がその後の工程生産性にとって最も重要である。織物ヤーンの巻き上げられたパッケージも定型的にはより微細なデニールである。これらの要素のために、織物ヤーンパッケージは典型的にはBCFパッケージよりはるかに長いヤーン長さを有しており、そしてBCFに関して現在典型的なものより高い速度において巻き上げそして巻きほどきの両方を行う。リボン形成を回避するために設計された精密な巻き上げ調節方法および巻き上げ特徴はProdiおよびAlbonettiへの特許文献1に提供されており、そこでは操作制限が例えばリボン形成巻き上げ比において制定されており、そうすると回避される。Jennings他への特許文献2に記述されている他の特徴は整数および半整数の巻き上げ比の隣の値で巻き上げそしてパッケージ全体にわたり各々の巻き上げ比からの一定の片寄りを課すことによりパッケージの不整を回避するように設計されている。
【0007】
BCFヤーンに関すると、調整スピンドル速度および横断案内速度により一定の螺旋角度/巻き上げ比が維持される不規則的な巻き上げ特徴を使用することが常習的である。この方式の結果はパッケージ全体にわたるヤーン撚糸間に変動する空間を有するBCFパッケージ上の不規則的なヤーン配置パターンである。これはわずかな巻き上げ問題を有する安定なパッケージを与える傾向があり、そしてそれは上記の「リボン」問題を回避する。この方式のさらに幾らか進歩した例は、Haakにより特許文献3に開示されるように、ヤーン層がパッケージ上で重なるにつれて一定の交差角度を維持し、スピンドル駆動および摩擦駆動巻き上げシステムの両者に適用される。不規則的に巻き上げられたパッケージは、特にヤーンバルクによって、パッキング密度において大きく変動し、より高いバルクのヤーンはより軽い重量のパッケージを製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,056,724号明細書
【特許文献2】米国特許第6,311,920号明細書
【特許文献3】米国特許第5,740,981号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の簡単な要旨
最近の数年間では、パッケージ寸法の特定セットにおけるヤーンの重量はBCFヤーンがバルク性において増加するにつれて徐々に減少してきている。ある特定のデニールに関すると、このことは1つのパッケージ当たりの比較的短いヤーン長さ並びに1ヤーン当たりおよび1ヤード当たりのより大きいチューブ芯およびより大きいパッケージの処理を意味する。それ故、パッケージを効率的に使用できる場合には単位量のヤーン当たりの原価を低下させるためにはより大きいヤーンパッケージが望ましいであろう。
【0010】
従って、先行技術の不規則的に巻き上げられたヤーンパッケージまたは精密に巻き上げられたパッケージと比べてバルキーヤーンのパッケージ密度(特定寸法のパッケージ中に含有されるヤーン重量)を実質的に増加させうる巻き上げ方法を発明することが望ましい。同時に、ヤーンバルクレベル、バルク恒常性、巻き上げ張力、パッケージ形態安定性、およびパッケージ巻きほどき張力を、先行巻き上げ方法と比べて、維持するかまたは改良することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここに開示される発明は先行技術の不規則的に巻き上げられたヤーンパッケージまたは精密に巻き上げられたパッケージと比べて約7%〜約17%および約7%〜約11%を包含する約2%〜約20%のパッキング密度(特定寸法のパッケージ中に含有されるヤーン重量)における増加を有するBCFパッケージを製造するためのヤーン巻き上げ方法を提供する。この開示のBCFパッケージは先行方法の調節ヤーンより高いヤーンバルクレベルを、同じかまたは優れたバルク恒常性およびパッケージ形態安定性と共に、示す。紡糸巻き上げ張力は先行巻き上げ方法より低いことが示される。パッケージ巻きほどき張力は、先行方法と比べて、特に(例えばパッケージ逆巻き上げにおけるような)より高速におけるパッケージの巻きほどき時には、より低い。当業者が開示される特徴を充分な精密さで有効に実施しうる新規な巻き上げ機スピンドルおよび横断案内調節アルゴリズムも開示される。開示される方法の種々の面により製造される新規なBCFパッケージも提供される。
【0012】
開示される方法の一面では、約150mm〜約180mmおよび約160mm〜約180mmを包含する約130mm〜約180mmの間のパッケージ直径が得られるまでバルキーヤーンはチューブ芯上で精密な隣のではない巻き上げ比を用いて巻き上げられる。この点で、隣の整数および非整数の精密な巻き上げ比をヤーン巻き上げの残りに関して使用できる。チューブ芯上に巻き上げられた典型的なバルキーヤーンは275mmを包含する約250mm〜約280mmの最終的な直径を有する。最終的な直径は79mmの標準的なチューブ芯直径を包含する。当業者はチューブ直径が変動すること並びに巻き上げ特徴をそれに応じてどのように修正するかをわかるであろう。
【0013】
開示される方法の他の面では、約150mm〜約180mmおよび約160mm〜約180mmを包含する約130mm〜約180mmの間のパッケージ直径が得られるまでバルキーヤーンはチューブ芯上で隣のではない不規則的な巻き上げを用いて巻き上げられる。この点において、隣の整数および非整数の精密な巻き上げ比をヤーン巻き上げの残りに関して使用できる。
【0014】
開示される方法の別の面では、バルキーヤーンはチューブ芯上で第一の隣のではない巻き上げ比および第一の螺旋角度を有する第一の隣と異なる設定点を用いて巻き上げられる。約150mm〜約180mmおよび約160mm〜約180mmを包含する約130mm〜約180mmの間のパッケージ直径が得られるまで、巻き上げ比は隣のではない巻き上げ比および第一の螺旋角度より大きい螺旋角度を有する付加的な隣のではない設定点に段階的に増加させられる。この点において、巻き上げ比は少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比および少なくとも1つの該第一の螺旋角度より大きい螺旋角度を有する少なくとも1つの隣の設定点に段階的に増加させられる。
【0015】
開示される方法のさらに別の面では、バルキーヤーンはチューブ芯上で第一の隣のではない巻き上げ比および第一の螺旋角度を有する第一の隣のではない設定点を用いて不規則的に巻き上げられる。約150mm〜約180mmおよび約160mm〜約180mmを包含する約130mm〜約180mmの間のパッケージ直径が得られるまで巻き上げ比は付加的な設定点に段階的に増加させられる。この点まで、ヤーンはチューブ芯上に隣のではないパターンで置かれる。巻き上げ比は次に少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比および少なくとも1つの該第一の螺旋角度より大きい螺旋角度を有する少なくとも1つの隣の設定点に段階的に増加させられる。
【0016】
開示される方法のさらに他の面では、バルキーヤーンはチューブ芯上で15より多く且つ25より少ない量を包含する10より多く且つ約30より少ない一連の巻き上げ比設定点を用いて巻き上げられる。各々の設定点は特定の巻き上げ比および螺旋角度において開始し、新たな巻き上げ比およびより高い螺旋角度が設定される新たな設定点に達するまで
パッケージ直径の増加を伴いながら螺旋角度は徐々に減少し、そこから次の設定点まで螺旋角度は再び徐々に減少する。開示される方法の各々の設定点に関する開始(またはジャンプ)点における螺旋角度はパッケージ芯では約9度からの範囲でありそしてジャンプ点では約15度までピーク時に徐々に増加し、そして次にBCFパッケージの外層におけるジャンプ点では約11度に減退する。隣のではない巻き上げ比を設定点の最初の50%〜75%に関して使用することができ、隣の巻き上げ比は設定点の残りの25%〜50%に関して使用することができる。
【0017】
別の面では、1cm当たり約0.5グラム〜1cm当たり約0.55グラムを包含する1cm当たり約0.4グラム〜1cm当たり約0.6グラムのパッキング密度を有するチューブ芯上に巻き上げられたバルキーヤーンが開示される。パッケージ直径が約150mm〜約180mmおよび約160mm〜約180mmを包含する約130mm〜約180mmに達するまでこのヤーンは隣のではない巻き上げ比を用いて巻き上げることができる。この点において、隣の精密な巻き上げ比をヤーン巻き上げの残りに関して使用することができる。このバルキーヤーンパッケージは、同じヤーンの不規則的に巻き上げられたパッケージより、約7%〜約17%および約7%〜約11%を包含する約2%〜約20%のパッケージ密度における改良を有する。
【0018】
開示される方法のさらに他の面では、約1.6:1〜約2.3:1、約1.9:1〜約2.3:1、および約2.0:1〜約2.3:1のパッケージ直径対チューブ芯直径の比が得られるまでバルキーヤーンはチューブ芯上で精密な隣のではない巻き上げ比を用いて巻き上げられる。この点において、隣の整数および非整数の精密な巻き上げ比をヤーン巻き上げの残りに関して使用することができる。
【0019】
開示される方法のさらに別の面では、バルキーヤーンはチューブ芯上で巻き上げられ、チューブ芯は軸、該軸の周りの内径、該軸の周りの外径、外周および長さを有し、パッケージはチューブ芯の外径に等しい内径、外径、周囲、チューブ芯の長さより短い幅を有し且つチューブ芯の軸に対して直角にありそして該幅により分離されている平面上にほぼ平らな側面を有しており、この方法は
(a)チューブをその軸の周りで回転させ、
(b)初期位置におけるチューブ芯の外周と接触しているバルク加工された連続フィラメントヤーンの連続する長さをチューブ芯の長さに沿って置き、
(c)該ヤーンをチューブ芯の外周の周りに、ヤーンがチューブ芯により持ち上げられそしてヤーン接触位置がチューブ芯の周りを移動するように、巻き上げ、
(d)チューブ芯が回転するにつれてヤーン接触位置をチューブ芯の長さに沿って往復運動で移動させて、パッケージが回転しそしてパッケージ外径が増加するにつれてヤーン接触位置がパッケージの周辺上の移動点になり始め、そして接触位置がパッケージの全幅を各々の横断行程上で端から端に横断して、パッケージ外径においてパッケージ表面を形成し、
(e)回転するパッケージの回転速度に関して所望する接触位置横断速度を選択し、
(f)回転するパッケージの回転速度に関して所望する接触位置横断速度調節点を設定し、
(g)実際の接触位置横断速度を検知し、
(h)接触位置横断速度調節点に関する設定を調整して実際の横断速度を所望する速度に収斂させ、
(i)特定の時間間隔後に新たな所望するパッケージ回転速度および新たな接触位置横断速度を選択し、
(j)選択された時間間隔後に新たなパッケージ回転速度およびヤーン接触位置横断速度調節点を設定し、
(k)新たな実際の接触位置横断速度を検知し、
(l)新たな接触位置横断速度調節点に関する設定を調整して、実際の横断速度を新たな所望する速度に収斂させ、そして
(m)パッケージ外径が所望する値に達するまで段階(i)〜段階(l)を繰り返す
ことを含んでなる。
【0020】
さらにもっと他の面では、0.018:1より大きいパッキング密度(1cm当たりのグラム数で測定される)対最終的なパッケージ直径(cmで測定される)の比を有するバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージが開示される。比は0.019:1〜約0.022:1、0.020:1〜約0.022:1、および約0.021:1〜約0.022:1を包含する0.018:1〜約0.022:1でもありうる。
【0021】
さらにもっと別の面では、同じヤーンを含有する不規則的に巻き上げられたパッケージのパッケージ密度と比べて約7%〜約17%の間のパッケージ密度増加を有するバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージが開示される。パッケージ密度増加は約7%〜約11%でもありうる。
【0022】
開示される方法の他の面では、該パッケージ直径が該最終的なパッケージ直径の約47%〜約65%になるまでバルク加工された連続フィラメントヤーンはチューブ芯上で少なくとも1つの隣のではない巻き上げ比を用いて巻き上げられる。この点において、ヤーンは少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比を用いて巻き上げられる。
【0023】
開示される方法の別の面では、該パッケージ直径が該最終的なパッケージ直径の約47%〜約65%になるまでバルク加工された連続フィラメントヤーンはチューブ芯上で隣のではない不規則的な巻き上げ比パターンを用いて巻き上げられる。この点において、ヤーンは少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比を用いて巻き上げられる。
【0024】
開示される方法のさらに別の面では、約1.6:1〜約2.3:1のパッケージ直径対チューブ芯直径の比が得られるまでバルク加工された連続フィラメントヤーンはチューブ芯上で隣のではない不規則的な巻き上げパターンを用いて巻き上げられる。この点において、ヤーンは少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比を用いて巻き上げられる。
【0025】
さらに別の面では、1cm当たり約0.4グラム〜1cm当たり約0.6グラムのパッキング密度を有する最終的な直径を有するバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージが開示されており、該パッケージは約1.6:1〜約2.3:1のパッケージ直径対チューブ芯直径比で終了する隣のではない巻き上げパターン並びに約1.6:1〜約2.3:1のパッケージ直径対チューブ芯直径比で開始する精密な隣の巻き上げパターンをさらに有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面の簡単な記述
【図1】図1は開示された方法の一面の22個の巻き上げ比設定点を有する段階的な精密な巻き上げ特徴を示す。
【図2】図2は開示された方法の他の面の22個の巻き上げ比設定点を有する段階的な精密な巻き上げ特徴を示す。
【図3】図3は開示された方法に従う巻き上げ調節方策である。
【0027】
定義
当業者には大体知られているが、明白にするためにこの開示で使用される用語の幾つかの以下の定義を提供する。
隣の:ヤーンパッケージの表面上の1つの巻き上げパスと次のパスとの間に挟まる空間
がほとんどまたは全くないが、ヤーンパスが事実上互いの頂部にない。
バルク:ヤーン密度の逆測定値であり、より高いバルク数は単位重量のヤーンにより占有されるより大きい容量を示す。バルクはヤーンが熱硬化された後に測定される。
クリンプ:織られたヤーンの波状性または捩じれでありそして熱硬化前に測定される。
デニール:ヤーンの長さ当たりの重量(グラム/9000メートル)である製品記述の一部。数が高くなればなるほど、ヤーンまたは繊維は重くなる。
非整数(例えば、半整数、四分整数)巻き上げ比:1つの横断行程当たりのパッケージの回転数が全数(整数)でない場合の巻き上げ比。例えば、ヤーンはその横断行程およびパターンをパッケージ上で繰り返すため3.5の巻き上げ比は7つのバンドを作成する。
整数(integral)(整数(integer))巻き上げ比:1つの横断行程当たりのパッケージの回転数が整数(whole number)であり、例えば5.0の整数(整数)巻き上げ比では、ヤーンはその横断行程およびパターンをパッケージ上で繰り返すため互いの頂部上で正確に5つのバンドとなるであろう。
螺旋角度:見かけ角度ヤーンがパッケージの周りに巻き上げられるためそれが特定点におけるチューブ芯の軸に対して直角な平面に関して採用され、これは全パッケージ側壁(それはチューブ芯軸に対して90度にある平面を形成するはずである)に関するヤーンパスの角度でもある。
螺旋角度特徴:パッケージ直径に対する螺旋角度の関係。
ジャンプまたは段階点:パッケージ回転速度および横断速度が一緒に新たな設定点に移動して螺旋角度における突然の変化も生ずる巻き上げ特徴における時点。
パッケージ:巻き上げられたヤーンがチューブより長さが幾分短い円筒形上をとっていずれかの端部に明白に規定された平らな側面を有するように厚紙または他の材料のチューブの周りに巻き上げられた、ある長さのヤーン。
リボン:「バンド」と同義語であり、リボンはヤーンがパッケージ上に巻き上げられるかまたは置かれているため各々のパスまたはヤーン通路が(同じ巻き上げ螺旋角度で)他の頂部のすぐ上の位置にある。
横断:チューブ芯が回転するにつれてヤーン接触点がチューブ芯の長さに沿って前後に移動する動作であり、ヤーンはチューブ芯に巻き上げられてパッケージを製造する。
横断サイクル:横断案内またはヤーン接触点がパッケージの軸に沿う最初の基準点からパッケージの一側面に通過し、最初の基準点を通ってパッケージの他の側面に逆行し、そして次に最初の基準点に戻る。
横断案内:ヤーンをチューブ芯の周りに巻き上げながら、ヤーン撚糸をパッケージの一端から他端に前後に送るための機械的装置。
横断行程:1つのパッケージ側面から他への芯チューブまたはパッケージ上のヤーン接触点のパスであり、また、横断がそれを通って移動するパッケージ側面間の距離である。
横断速度:ヤーン接触点がパッケージを横断する速度(直線性)であり、横断案内が行程および戻りを完了するための1分間当たりのサイクルにおける頻度である。
チューブ芯:チューブと同義語であり、紙、ボール紙、樹脂、重合体、それらの組み合わせ、または高速で回転するのに適する構成材料から製造されたチューブ並びに破砕力に対して適度に抵抗するのに充分な紐。典型的なチューブ芯は約79mmの直径を有するが、他の直径の利用可能なチューブ芯も利用可能である。
巻き上げ比:1つの完全な横断サイクル(完全なサイクル、など)当たりのスピンドル(またはチューブ芯)の1分間当たりの回転数。
【0028】
発明の詳細な記述
同じ張力において製造された同じヤーンタイプの不規則的に巻き上げられたパッケージより驚くべきことに約7−17%および約7−11%を包含する約2−20%ほど密度が大きいがBCFナイロンヤーンに関する要求される寸法内にパッケージ形態を維持するBCFパッケージを作成する方法が開示される。この方法は独特の電子調節および特定の巻き上げ設定を包含する。
【0029】
パッケージ製造および巻きほどきを改良する目的のためには、この方法は精密な巻き上げタイプである。精密な巻き上げは一連の巻き上げ比段階を使用して均一なヤーン空間を調節する。段階的な精密な巻き上げでは、(パッケージ直径の関数としての螺旋角度のグラフからの)設計された螺旋角度特徴に従い段階パターンを形成する一連の巻き上げ比が使用される。例えば図1および2を参照のこと。
【0030】
最高のパッキング密度は完全整数および整数以下数のリボンの隣にあり、その理由はこれが撚糸間の最もきつい空間が存在する場所だからである。隣の整数の巻き上げ比に関して所望する空間は以下に示された式1により決めることができる:
【0031】
【数1】

【0032】
この式は整数の巻き上げ比(WR)および実際の巻き上げ比(WR)の間の巻き上げ比差異を計算して中心−中心撚糸空間(D)とする。TRstrokeは一方向における横断により走行されるmm単位の距離である。この式は特定の整数のリボンから特定された空間を得るために必要な巻き上げ比を決めるために有用である。
【0033】
BCFナイロンヤーンの成功裡のパッケージ形成を伴いながら密度増加に必用な巻き上げ設定は螺旋角度範囲、螺旋角度特徴、およびパッケージ全体にわたる特定直径における特定の巻き上げ比/ヤーン空間決定を包含する。BCFヤーンはいずれかのバルク加工された連続フィラメントヤーン、例えば約500〜約2400のデニール範囲および約10%〜約40%の間のクリンプを有するバルク加工された連続フィラメントヤーン、でありうる。織物ヤーン巻き上げ工程と比べて、BCFナイロンヤーンは、精密な巻き上げを試みる時には幾らかの特別な考慮を行うことを必要とする。これは、ヤーンの比較的重く且つバルキーな構成並びにその比較的自然発生的な「弾性」およびヤーン表面上の仕上げ剤と添加剤によるものであり、それらはヤーンを引き込みに対して敏感にさせ且つ低摩擦による逆転時の脱落に対しても敏感にさせる。まとめると、これらの要素は精密な巻き上げによるBCFパッケージ側壁均一性の達成を非常に困難にさせる。精密な巻き上げに固有な特性はカム逆転時の脱落によるパッケージ形成事象の機会を増大させる。より近くにあるヤーン空間は典型的には精密な巻き上げにより得られ、それが逆転時の撚糸のパイリングおよび劣悪なパッケージ形成の比較的多くの機会を与える。また、比較的高い横断速度/螺旋角度の精密な巻き上げ工程は、ヤーンが常に横断案内を垂れ下がりそして横断行程長さが本質的に短縮されるために、より多く脱落する傾向がある。
【0034】
パッケージの比較的長い期間にわたり一定の巻き上げ比を保ちながら、横断速度は遅くなり、そして横断行程は実際に変わる。この遅延は、一定の巻き上げ比が維持される各々の巻き上げ比で起きる。パッケージの構成全体にわたるこの効果の合体が、逆転時の膨張およびサドリングにより、先行技術の精密な巻き上げによる側壁均一性の達成を非常に困難にさせる。この現象のために、数種の独特の修正がここに開示される巻き上げ方法およびその調節方法に対してなされてきており、それらがここに開示される巻き上げ方法を先行技術と明白に区別している。
【0035】
図1および2は開示される方法の種々の面に従うナイロン6,6の試料を巻き上げるために使用される巻き上げ特徴を示す。Toray NXA/B巻き上げが両方の巻き上げ特徴で使用される。これは4−端部スピンドル駆動される自動ドッフ巻き上げ機であり、それは2−端部工程に変換されうる。この巻き上げ機は650−2600デニールの範囲
のBCFナイロンヤーンを毎分1100−3100メートルの表面速度で紡糸しうる。ヤーンは263.5mmの横断行程でヤーンを横断するためのモーター駆動カムを用いて275mmの最大パッケージ直径に紡糸されうる。
【0036】
図1Aは巻き上げ特徴1を示しそして図1Bは試料1−9(以下に記載されている)を開示される方法の一面に従い巻き上げるために使用される1段階当たりの巻き上げ比を示す。22段階が巻き上げ特徴1で使用され、そこでは整数および非整数のリボンの隣のではない巻き上げ比(すなわち、隣のではない巻き上げ比)が最初の13段階に関して(すなわち、パッケージ直径が約130mmになるまで)使用される。残りの9段階は整数および非整数のリボンの隣の巻き上げ比(すなわち、隣の巻き上げ比)である。
【0037】
図2Aは巻き上げ特徴2を示しそして図2Bは試料10(以下に記載されている)を開示される方法の他の面に従い巻き上げるために使用される1段階当たりの巻き上げ比を示す。22段階が巻き上げ特徴1で使用され、そこでは整数および非整数のリボンの隣のではない巻き上げ比(すなわち、隣のではない巻き上げ比)が最初の15段階に関して(すなわち、パッケージ直径が約148mmになるまでに)使用される。残りの7段階は整数および非整数のリボンの隣の巻き上げ比(すなわち、隣の巻き上げ比)である。
【0038】
螺旋角度範囲
比較的高いパッキング密度を充分に均一であり且つ安定なパッケージ形成と共に達成するためには、BCFナイロンヤーンは比較的広い範囲の螺旋角度を必要とする。開示される方法の一面では、螺旋角度は約9度から約15度までの範囲にわたる。これは低い螺旋角度で良好なパッケージを芯のところで構成可能にそしてパッケージ構造中でその後に隣の整数および非整数のリボンを有するはるかに長いヤーン層を構成可能にする。
【0039】
他の面では、この方法はパッケージ構造でその後に隣の整数の巻き上げ比を使用し、その理由は速度調節は1/4整数層によりそしてある場合には隣の半整数の巻き上げ比でさらに可変性となるためである。駆動モーターへのフィードバック調節によるさらに相対的に小さい速度変動でさえ半および1/4整数の巻き上げ比に関する空間内の可変性を引き起こす。従って、比較的高い全体的密度が効率的に得られうるパッケージの外層では整数および半整数の巻き上げ比が好ましい。
【0040】
螺旋角度は以下の式:
【0041】
【数2】

【0042】
[式中、Vは水平ヤーン速度でありそしてVは垂直ヤーン速度である]
で決めることができる。Vは以下の式:
【0043】
【数3】

【0044】
[式中、Tはサイクル中の1分間当たりの横断速度でありそしてdは横断行程であり、それは案内がパッケージの一面から他の面に移動するにつれて横断案内により通過する距離である]
で決めることができる。Vは以下の式:
【0045】
【数4】

【0046】
[式中、Sはrpmでのスピンドル速度でありそしてdはパッケージ直径である]
で決めることができる。ヤーン速度はVおよびVを用いて以下の通りにして計算することができる:
【0047】
【数5】

【0048】
ほとんどの場合、ヤーン中で一定の張力を維持することが望ましいためVは固定される。
【0049】
螺旋角度特徴
開示される方法を、パッケージの最初では約9度の螺旋角度で開始し、パッケージの中間に向かって約15度でピークとなり、そして完全に巻き上げられたパッケージの表面で約11度に下がる螺旋角度特徴を使用することができる。この螺旋角度特徴は、充分なパッケージ均一性および安定性を維持しながら、不規則的な巻き上げ方法より約7−17%および約7%−11%を包含する2−20%の密度改良をもたらす。パッキングの開始時の高い横断速度による逆転時の過剰な「プルバック」を回避するためには、最初の螺旋角度が低く開始しそして次にスピンドル速度が低下するにつれてその途中でより高く動き、それがBCFパッケージの開始時の変化の相対的に急速な割合を引き起こす。スピンドル速度低下割合が基準外になるにつれて、螺旋角度も基準外になることができ、そして実際にピーク達成可能となりそして次に有意なパッケージ形成事象を引き起こさずに低下可能となる。一定の巻き上げ比を維持しそしてパッケージ密度を最大にするためには、BCFパッケージの終点、すなわち表面、に向かって、螺旋角度はそのピーク値から好ましくは急落する。
【0050】
パッケージの特定直径における巻き上げ比
整数および整数以下数のリボンの隣の巻き上げ比はパッケージの実体部分により回避される。成功裡のパッケージ形成を達成するためには、BCFパッケージは撚糸間の比較的広い空間を有するように製造可能でなければならず、そして整数および整数以下数のリボンの隣のではない巻き上げ比(すなわち、隣のではない巻き上げ比)はこの芯内で回避されなければならない。次に、約150mm〜約180mmおよび約160mm〜約180mmを包含する約130mm〜約180mmのパッケージ直径を達成した後にのみ、整数および整数以下数のリボンの隣の巻き上げ比(すなわち、隣の巻き上げ比)をBCFパッケージ形成の品質に悪影響を与えずに使用することができる。或いは、パッケージ形成の最初の約150mm〜約180mmおよび約160mm〜約180mmを包含する約130mm〜約180mm以内での別の精密な隣のではない巻き上げ方法の代わりに不規則的な巻き上げを、パッケージ品質および全体的なパッケージ密度を有意に妥協することなく、使用することができる。
【0051】
パッケージ直径が約150mm〜約180mmおよび約160mm〜約180mmを包含する約130mm〜約180mmに達した後に、それはヤーンパッケージ上のヤーン配
置パターンの一部として隣の整数および非整数の巻き上げ比を選択し始めうる。近似している整数の隣の巻き上げ比を選択するときには、上記の空間式を用いて選択される実際の巻き上げ比は常に整数のリボンより小さくなければならない。この巻き上げ比パターンは、充分なパッケージ均一性および安定性を維持しながら、不規則的な巻き上げ方法より約7−11%および約7%−11%を包含する2−20%の密度改良をもたらす。
【0052】
巻き上げ比は以下の式:
【0053】
【数6】

【0054】
[式中、SおよびTは上記のスピンドル速度および横断速度である]
を用いて計算することができる。
【0055】
ドッフィングにおける横断カム調節
異なる横断駆動装置を用いて開示される方法の調節方策を実施するために種々の代替手段が予想されうるため、制限する意図はないが、以下の方式が誘導駆動装置の駆動用横断カムの有効な横断調節を可能にする。
【0056】
図3は開示される方法に従うBCFヤーンの巻き上げで使用できる巻き上げ調節方策を開示する。スピンドルRPM測定入力2および所望する巻き上げ比入力4はプロセッサー12にそれぞれ調節信号135および130を介して伝達される。プロセッサー12は式7を用いて横断速度信号115を計算し、それはプロセッサー16およびプロセッサー14に信号120を介して送られる。プロセッサー14は横断カムCPM測定入力6も調節信号140を介して受ける。プロセッサー14は組み合わせ信号110を積算構成部品18に送る。図3における機能ブロックのソフトウェア構成部品がプログラムされて例えばプログラム可能な論理調節器(PCL)またはダイナミックランダムアクセスメモリーの如き当該技術で既知である構成部品および方法を用いて急速に且つ正確に相互作用を受ける。種々の代替用の現在の計算装置タイプまたは配置を予想しうるが、それは開示される方法に従うBCFヤーンの精密な巻き上げ用の巻き上げ機および横断の両方の有効な調節を可能にする方策の論理である。
【0057】
横断カムが可変周波数駆動装置から供給される誘導駆動装置により駆動される場合には、駆動負荷速度を変更しうる割合において固有の制限がある。ここに開示される精密な巻き上げ方法に関する独特の螺旋角度特徴により、横断カム速度における特に急速な変化がドッフィングにおいて指令され、それは誘導駆動装置に関する変化限度の割合を超えうる。その後の改良なしに、駆動装置は指令された速度における急速な変化に傾く傾向があり、巻き上げ機を止めるであろう。
【0058】
巻き上げ機が横断カム駆動装置への出力をフィルタリングするドッフィング配列を開始する時点でPLCへの別個の入力10および信号100の導入により上記の速度変化制限問題が回避されうる。このフィルタリングである割合制限器20が駆動指令信号145の変化の割合を、パッケージがドッフされそして新たなパッケージが開始される間に駆動装置に固有な物理的限度が超えられないように、制限する。割合制限はパッケージの外層が脱落危険性低下によって処理を改良する不規則的なパターンを有するようにさせる。
【0059】
横断速度調節
精密な巻き上げは横断カム速度の精密で且つ繰り返し可能な調節を必要とするため、実
際の巻き上げ比は所望する比から有意に逸脱しない。ここに開示される方法は独特の速度調節方策を使用し、それが置かれたBCFヤーンパッケージを所望するパッケージ形状で効率的に製造するのに必要な横断カム速度の極めて精密な調節を可能にする。
【0060】
図3を参照すると、横断カムの速度が監視され6そして実際の速度信号140が計算されそしてプログラム可能な調節器に入力される。図3に示されているように調節器が次に組み合わされたフィードフォワードおよびフィードバック速度調節ループを実行する。フィードバック構成部品は積算のみの作用である積算構成部品18を低い利得信号125と共に有する。低い利得信号125は横断カム駆動装置への出力をゆっくり調整するために作用し、それが構成部品16のところで目標横断速度信号115と組み合わされて、指令された速度および実際の速度の間の誤差が0近くにされるような組み合わせ信号140を発生させる。低い利得はノイズ免疫を改良しそして生ずる巻き上げ比の変動を低下させる。フィードフォワード構成部品はモーター滑りの不存在下において正確な横断カム速度を生ずる速度指令22を計算する。
【0061】
積算構成部品18は操作段階(その入力値を積算する)または保持状態(積算器の出力が一定である)にあることができる。巻き上げ特徴が指令される巻き上げ比において巻き上げジャンプ検知器8により検知されるジャンプを引き起こしそして信号105を介して積算構成部品18に送られる時に、積算値18は保持状態になる。これにより、積算構成部品18が定常状態におけるモーター滑りにのみ応答することが確実になる。
【0062】
横断カム22の指令速度は、スピンドル速度(rpm)の測定および以下の式:
【0063】
【数7】

【0064】
[式中、Wは所望する巻き上げ比でありそしてTは所望する横断カム速度である]
を用いる所望する巻き上げ比によるこのスピンドル速度値の割り算により、直接的に計算される。
【0065】
張力損失補正
スピンドル速度は典型的には一定のパッケージ表面速度またはヤーン速度(V)を維持するように調節される。開示される方法の独特の巻き上げ特徴のために、螺旋角度が低下するにつれてヤーン張力は損失されうる。同様に、螺旋角度が種々の設定点において増加するにつれてヤーン張力は増加されうる。張力におけるこの変化を補正しそして一定のヤーン速度を維持するためには、スピンドル速度を巻き上げ工程全体にわたり変動させなければならない。
【0066】
以下の式は一定の張力を維持するために開示される方法で使用されるスピンドル速度、ヤーン速度、所望する巻き上げ比、パッケージ直径、および横断行程の間の関係を示す。
【0067】
【数8】

【0068】
式2−8は図3における調節方策で使用することができ、ここでスピンドル速度が調節されて二構成部品方策を用いて張力変動に関して部分的に補正する。一構成部品はスピンドル速度を調整して作成されるパッケージ全体にわたりパッケージの表面速度を一定値に維持し、この値はヤーンタイプに従い選択される。第二構成部品は目標表面速度に対する調整を計算して螺旋角度における変化により引き起こされる張力変動を部分的に消す。調整が進度制限されて調節ループの不安定性を回避し且つ特徴におけるジャンプまたは設定点における整数の巻き上げ比を回避する。
【0069】
逆巻き上げ方法
逆巻き上げは、それによりヤーンのいっぱいになったチューブを特定条件下で他の空のチューブ上に紡糸させうる工程である。この工程を実施すべき条件を以下の表に挙げる。
【0070】
【表1】

【0071】
これらの条件は多数の製品にわたり繰り返し可能な結果を得るために必要である。パッケージ密度を有効にするためには、逆巻き上げチューブは最低10インチの直径で作動させるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0072】
実施例
以下は、不規則的な巻き上げおよびToray NXA/B巻き上げを用いる開示された方法の面を包含する種々の方法に従い巻き上げられたナイロン6,6BCFヤーンパッ
ケージの実施例である。ナイロンBCFおよび他の「バルキー」ヤーンの共通する特徴は、パッケージの端部からの弾性回復すなわち「プルバック」へのそれらの傾向および空気摩擦の結果としての横断案内後部での遅れへのそれらの傾向である。異なるバルクおよび回復特徴を有する他のヤーンおよび重合体の選択は記述されている特徴への微調整を必要とするであろう。
【0073】
試験方法
パッキング密度はバルク加工された連続ヤーンの巻き上げられたパッケージの重量(グラム)をヤーンの容量(cm)により割り算することにより測定される。全ての場合、一定の重量を有する標準的なチューブ芯が使用された。
【0074】
DynafilTMクリンプ力(「クリンプ力」)はMorschel,U:Paschen,A.;Stein,W.:BCF yarn testing with Dynafil ME,Chemical Fibers International,53,pp.204−206(2003)(引用することにより本発明の内容となる)にある試験方法に従い測定される。BCFナイロンヤーンをDynafilTM器具上でヤーン速度、頂部ロールにおけるヤーン過剰供給量およびヒーター温度によって試験する時には、収縮に対する抵抗により張力計上で発生する力がある。約100mpm(1分間当たりのメートル数)より低いヤーン速度では、収縮力(1)と称するヤーンの収縮による力が主である。120mpmを越えるより高い速度では、達成される最高ヤーン温度は相対的に低くそしてクリンプ力と称するより低い力が発生する。以下に報告される測定はDynafilTM上で150mpmヤーン速度において0.1gpdのプレテンション(pretension)、207℃のヒーター温度および頂部ロールからの3%の頂部リールからの過剰供給下で行われた。
【0075】
以下の表1は不規則的方法および開示された方法の異なる面に従い巻き上げられた種々のヤーンを示す:
【0076】
【表2】

【実施例1】
【0077】
実施例1は不規則的な巻き上げ方法および図1で上記した精密な巻き上げ方法を用いて巻き上げられたヤーン試料1〜9のパッケージ密度(1cm当たりのグラム数)を比較する。
【0078】
【表3】

【実施例2】
【0079】
実施例2は不規則的な巻き上げ方法および図2で上記した精密な巻き上げ方法を用いて巻き上げられたヤーン試料10のパッキング密度(1cm当たりのグラム数)を比較する。
【0080】
【表4】

【0081】
本発明を開示された方法および製品の種々の面を参照しながら以上で記述してきた。これまでの詳細な記述を読み且つ理解すると明白な修正および変更が思いつくであろう。本発明は全てのそのような修正および変更をそれらが特許請求の範囲内にある限り包含すると解釈されることを意図する。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)チューブをその軸上で回転させ、
(b)パッケージ直径が約130mm〜約180mmになるまで該チューブ上のヤーンを少なくとも1つの隣のではない巻き上げ比を用いて巻き上げ、そして
(c)該チューブ上の該ヤーンを少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比を用いて巻き上げる
ことを含んでなる、軸を有するチューブ芯上に巻き上げられたバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージを製造する方法。
【請求項2】
(a)チューブをその軸上で回転させ、
(b)パッケージ直径が約130mm〜約180mmになるまで該チューブ上のヤーンを隣のではない不規則的な巻き上げパターンを用いて巻き上げ、そして
(c)該チューブ上の該ヤーンを少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比を用いて巻き上げる
ことを含んでなる、軸を有するチューブ芯上に巻き上げられたバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージを製造する方法。
【請求項3】
該パッケージ直径が約150mm〜約180mmである、請求項1または2の方法。
【請求項4】
該パッケージ直径が約160mm〜約180mmである、請求項1または2の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの精密な整数の隣の巻き上げ比をさらに有する、請求項1または2の方法。
【請求項6】
(a)第一の隣のではない巻き上げ比および第一の螺旋角度を有する第一の隣と異なる設定点を設定し、
(b)チューブ芯上のヤーンを該第一の設定点において巻き上げ、
(c)パッケージ直径が約130mm〜約180mmになるまで付加的な隣のではない設定点に段階的に増加させ、該付加的な隣のではない設定点は隣のではない巻き上げ比および該第一の螺旋角度より大きい螺旋角度を有しており、そして
(d)少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比および該第一の螺旋角度より大きい少なくとも1つの螺旋角度を有する少なくとも1つの隣の設定点に段階的に増加させる
ことを含んでなる、軸を有するチューブ芯上に巻き上げられたバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージを製造する方法。
【請求項7】
(a)第一の隣のではない巻き上げ比および第一の螺旋角度を有する第一の隣のではない設定点を設定し、
(b)パッケージ直径が約130mm〜約180mmになるまで付加的な設定点に段階的に増加させながら、チューブ芯上のヤーンを不規則的に巻き上げ、該ヤーンは該チューブ芯上に隣のではないパターンで置かれ、そして
(c)少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比および該第一の螺旋角度より大きい少なくとも1つの螺旋角度を有する少なくとも1つの隣の設定点に段階的に増加させる
ことを含んでなる、軸を有するチューブ芯上に巻き上げられたバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージを製造する方法。
【請求項8】
少なくとも1つの精密な整数の隣の巻き上げ比をさらに有する、請求項6または7の方法。
【請求項9】
該パッケージ直径が約150mm〜約180mmである、請求項6または7の方法。
【請求項10】
該パッケージ直径が約160mm〜約180mmである、請求項6または7の方法。
【請求項11】
隣のではない巻き上げ比および該第一の螺旋角度より大きい螺旋角度を有する最終的な設定点に段階的に増加させることをさらに含んでなる、請求項6または7の方法。
【請求項12】
請求項1−11のいずれか1項の方法に従い製造されるバルク加工された連続ヤーンのパッケージ。
【請求項13】
1cm当たり約0.4グラム〜1cm当たり約0.6グラムのパッキング密度を有する最終的な直径を有するバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージであって、該パッケージが該最終的な直径の約47%〜約65%のパッケージ直径で終了する隣のではない巻き上げパターン並びに該最終的な直径の約47%〜約65%のパッケージ直径で開始する精密な隣の巻き上げパターンをさらに含んでなる、パッケージ。
【請求項14】
該隣のではない巻き上げパターンが不規則的な巻き上げを含んでなる、請求項13のバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージ。
【請求項15】
該パッキング密度が1cm当たり約0.5グラム〜1cm当たり約0.55グラムである、請求項13のバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージ。
【請求項16】
該ヤーンの不規則的に巻き上げられたパッケージより約7%〜約17%のパッキング密度増加をさらに含んでなる、請求項13のバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージ。
【請求項17】
該ヤーンがナイロン6,6である、請求項13−16のいずれか1項のバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージ。
【請求項18】
(a)チューブをその軸の周りに回転させ、
(b)初期位置におけるチューブ芯の外周と接触しているバルク加工された連続フィラメントヤーンの連続する長さをチューブ芯の長さに沿って置き、
(c)該ヤーンをチューブ芯の外周の周りに、ヤーンがチューブ芯により持ち上げられそしてヤーン接触位置がチューブ芯の周りを移動するように、巻き上げ、
(d)チューブ芯が回転するにつれてヤーン接触位置をチューブ芯の長さに沿って往復運動で移動させて、パッケージが回転しそしてパッケージ外径が増加するにつれてヤーン接触位置がパッケージの周辺上の移動点になり始め、そして接触位置がパッケージの全幅を各々の横断行程上で端から端に横断して、パッケージ外径においてパッケージ表面を形成し、
(e)回転するパッケージの回転速度に関して所望する接触位置横断速度を選択し、
(f)回転するパッケージの回転速度に関して所望する接触位置横断速度調節点を設定し、
(g)実際の接触位置横断速度を検知し、
(h)接触位置横断速度調節点に関する設定を調整して、実際の横断速度を所望する速度に収斂させ、
(i)特定の時間間隔後に新たな所望するパッケージ回転速度および新たな接触位置度調節点を選択し、
(j)選択された時間間隔後に新たなパッケージ回転速度およびヤーン接触位置横断速度調節点を設定し、
(k)新たな実際の接触位置横断速度を検知し、
(l)新たな接触位置横断速度調節点に関する設定を調整して、実際の横断速度を新たな
所望する速度に収斂させ、そして
(m)パッケージ外径が所望する値に達するまで段階(i)〜段階(l)を繰り返す
ことを含んでなる、チューブ芯上に巻き上げられたバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージを製造する方法であって、チューブ芯が軸、該軸の周りの内径、該軸の周りの外径、外周および長さを有し、パッケージがチューブ芯の外径に等しい内径、外径、周囲、チューブ芯の長さより短い幅を有し且つチューブ芯の軸に対して直角にありそして該幅により分離されている平面上にほぼ平らな側面を有する方法。
【請求項19】
パッケージ外径が約130mm〜約180mmになるまで1つの横断サイクル当たりのパッケージ回転数が隣のではない巻き上げパターンを生ずるように第一の接触位置横断速度を選択しそして1つの横断サイクル当たりのパッケージ回転数が隣のではないように付加的な接触位置横断速度を選択することをさらに含んでなる、請求項18の方法。
【請求項20】
パッケージ外径が約150mm〜約180mmになるまで1つの横断サイクル当たりのパッケージ回転数が不規則的であるように第一の接触位置横断速度を選択しそして1つの横断サイクル当たりのパッケージ回転数が隣のではないように付加的な接触位置横断速度を選択することをさらに含んでなる、請求項18の方法。
【請求項21】
パッケージ外径が約130mm〜約180mmになるまで1つの横断サイクル当たりのパッケージ回転数が隣のではない巻き上げパターンを生ずるように第一の接触位置横断速度を選択しそして1つの横断サイクル当たりのパッケージ回転数が隣のではないように付加的な接触位置横断速度を選択することをさらに含んでなる、請求項18の方法。
【請求項22】
パッケージ外径が約150mm〜約180mmになった後に1つの横断サイクル当たりのパッケージ回転数が隣のものであるが整数または半整数より小さくなるように接触位置横断速度を選択することをさらに含んでなる、請求項18−21のいずれかの方法。
【請求項23】
請求項18−22のいずれか1項の方法に従い巻き上げられたバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージであって、該パッケージが該ヤーンの不規則的に巻き上げられたパッケージより約7%〜約17%のパッキング密度増加を有するパッケージ。
【請求項24】
(a)チューブをその軸上で回転させ、
(b)パッケージ直径が最終的なパッケージ直径の約47%〜約65%になるまで該チューブ上のヤーンを少なくとも1つの隣のではない巻き上げ比を用いて巻き上げ、そして
(c)該チューブ上の該ヤーンを少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比を用いて巻き上げる
ことを含んでなる、軸および最終的なパッケージ直径を有するチューブ芯上に巻き上げられたバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージを製造する方法。
【請求項25】
(a)チューブをその軸上で回転させ、
(b)約1.6:1〜約2.3:1のパッケージ直径対チューブ芯直径の比が得られるまで該チューブ上のヤーンを少なくとも1つの隣のではない巻き上げ比を用いて巻き上げ、そして
(c)該チューブ上の該ヤーンを少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比を用いて巻き上げる
ことを含んでなる、軸および最終的なパッケージ直径を有するチューブ芯上に巻き上げられたバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージを製造する方法。
【請求項26】
(a)チューブをその軸上で回転させ、
(b)パッケージ直径が最終的なパッケージ直径の約47%〜約65%になるまで該チュ
ーブ上のヤーンを隣のではない不規則的な巻き上げパターンを用いて巻き上げ、そして
(c)該チューブ上の該ヤーンを少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比を用いて巻き上げる
ことを含んでなる、軸および最終的なパッケージ直径を有するチューブ芯上に巻き上げられたバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージを製造する方法。
【請求項27】
(a)チューブをその軸上で回転させ、
(b)約1.6:1〜約2.3:1のパッケージ直径対チューブ芯直径の比が得られるまで該チューブ上のヤーンを隣のではない不規則的な巻き上げパターンを用いて巻き上げ、そして
(c)該チューブ上の該ヤーンを少なくとも1つの精密な隣の巻き上げ比を用いて巻き上げる
ことを含んでなる、軸および最終的なパッケージ直径を有するチューブ芯上に巻き上げられたバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージを製造する方法。
【請求項28】
1cm当たり約0.4グラム〜1cm当たり約0.6グラムのパッキング密度を有する最終的な直径を有するバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージであって、該パッケージが約1.6:1〜約2.3:1のパッケージ直径対チューブ芯直径比において終了する隣のではない巻き上げパターンおよび約1.6:1〜約2.3:1のパッケージ直径対チューブ芯直径比において開始する精密な隣の巻き上げパターンをさらに含んでなるパッケージ。
【請求項29】
(a)第一の巻き上げ比および第一の螺旋角度を有する第一の設定点を設定し、
(b)チューブ芯上のヤーンを該第一の設定点において巻き上げ、該第一の螺旋角度はパッケージ直径の増加につれて徐々に減少し、そして
(c)巻き上げ比および該第一の螺旋角度より大きい螺旋角度を有する付加的な設定点に段階的に増加させ、該第一の螺旋角度は約9度でありそして該付加的な螺旋角度は約9度〜約15度の範囲にあり、さらに該第一の巻き上げ比は隣のではなく且つ該付加的な巻き上げ比は該付加的な設定点の約50%〜約75%に関しては隣のではなくそして該付加的な設定点の残りの約25%〜約50%に関しては隣のものである
ことを含んでなる、軸を有するチューブ芯上に巻き上げられたバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージを製造する方法。
【請求項30】
0.018:1より大きいパッキング密度(1cm当たりのグラム数で測定される)対最終的なパッケージ直径(cmで測定される)の比を有するバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージ。
【請求項31】
該比が0.018:1〜約0.022:1の間である、請求項30のバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージ。
【請求項32】
該比が0.019:1〜約0.022:1の間である、請求項30のバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージ。
【請求項33】
該比が0.020:1〜約0.022:1の間である、請求項30のバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージ。
【請求項34】
該比が0.021:1〜約0.022:1の間である、請求項30のバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージ。
【請求項35】
ヤーンを含有する不規則的に巻き上げられたパッケージのパッケージ密度と比べて約7
%〜約17%の間のパッケージ密度増加を有するバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージ。
【請求項36】
該パッケージ密度増加が該ヤーンを含有する不規則的に巻き上げられたパッケージのパッケージ密度と比べて約7%〜約11%の間である、請求項35のバルク加工された連続フィラメントヤーンのパッケージ。

【図3】
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【公表番号】特表2013−509506(P2013−509506A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537103(P2012−537103)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/054671
【国際公開番号】WO2011/053767
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】