説明

バルクコンテナ

【課題】バルクコンテナにおいて、コンテナ本体の積載容量を減らすことなくコンテナ本体の後端下部のコーナー部に粒状の積載物が溜まりにくくする。
【解決手段】バルクコンテナは、油圧式リフトLによってその前方部分をリフト可能なトレーラTの荷台C上に搭載して搬送されるコンテナ本体10の内部に合成樹脂ペレット、石炭、穀類等の粒状の積載物が充填される内袋20を張設し、内袋20の後端上部に粒状の積載物が投入される21と内袋20から空気が排出される排気部22を左右に離間して設け、内袋20の後端下部に内袋20の内部に充填された粒状の積載物を外部に放出する一対の放出部23,23を左右に離間して設けて、コンテナ本体10の後端下部に着脱可能に横方向に組付けられる支持部材30に内袋の放出部23,23が接続される左右一対の導入ダクト51,51と一体に形成した導出ダクト52を組付けて、導出ダクト52に設けたバルブ53の開閉により内袋20に充填して搬送された粒状の積載物が適宜な貯蔵槽に放出されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧式リフトによってその前方部分をリフト可能なトレーラの荷台上に搭載して搬送されるコンテナ本体の内部に合成樹脂ペレット、石炭、穀類等の粒状の積載物が充填される内袋を張設したバルクコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合成樹脂ペレット、石炭、穀類等の粒状の積載物を搬送するためのバルクコンテナが開示されており、このバルクコンテナは、汎用のコンテナ本体の内部に内袋が張設されたものであり、この内袋の後端上部には、粒状の積載物が投入される投入部と内袋から空気が排出される排気部が左右に離間して設けられ、内袋の後端下部の中央には、内袋の内部に充填された粒状の積載物を外部に放出する放出部が設けられている。このバルクコンテナにおいて、内袋の内部に充填された粒状の積載物を放出するときには、バルクコンテナの前方部分を油圧式リフト等により持ち上げ、内袋の放出部から粒状の積載物を貯蔵槽等に放出させる。このバルクコンテナには、放出部から粒状の積載物を放出するときに粒状の積載物がコンテナ本体の後端下部のコーナー部に留まるのを防止するために、コーナー部に放出部に向けて傾斜する三角形状の当て板が設けられている。これにより、内袋に充填された粒状の積載物は、当て板の放出部への傾斜により、放出部に案内されてコーナー部に粒状の積載物が留まるのを防止されている。
【特許文献1】特開2002−166995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のバルクコンテナでは、当て板によりコンテナ本体のコーナー部に粒状の積載物が留まるのを防止することができるが、この当て板を設けたことにより、コンテナ本体のコーナー部の一部に粒状の積載物を充填することができずにコンテナの積載容量が少なくなる問題があった。本発明は、コンテナ本体の積載容量を減らすことなくコンテナ本体の後端下部のコーナー部に粒状の積載物が溜まりにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決するため、油圧式リフトによってその前方部分をリフト可能なトレーラの荷台上に搭載して搬送されるコンテナ本体の内部に合成樹脂ペレット、石炭、穀類等の粒状の積載物が充填される内袋を張設したバルクコンテナにおいて、内袋の後端上部に粒状の積載物が投入される投入部と内袋から空気が排出される排気部を左右に離間して設け、内袋の後端下部に内袋の内部に充填された粒状の積載物を外部に放出する一対の放出部を左右に離間して設けて、コンテナ本体の後端下部に着脱可能に横方向に組付けられる支持部材に内袋の放出部が接続される左右一対の導入ダクトと一体に形成した導出ダクトを組付けて、導出ダクトに設けたバルブの開閉により内袋に充填して搬送された粒状の積載物が適宜な貯蔵槽に放出されるようにしたことを特徴とするバルクコンテナを提供するものである。
【0005】
上記のように構成したバルクコンテナにおいては、内袋の後端下部に内袋の内部に充填された粒状の積載物を外部に放出する一対の放出部を左右に離間して設けたので、放出部を中央に1箇所設けたものに比べて各放出部がコンテナ本体の後端下部のコーナー部と近くなってこのコーナー部に粒状の積載物が留まりにくくなる。また、この導入ダクトと一体に形成した導出ダクトは、コンテナ本体の後端下部に着脱可能に組み付けられる支持部材に組み付けられるので、バルクコンテナを搬送するときにはこれらダクトを取り外して搬送することができ嵩張ることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図6を用いて説明する。本発明に係るバルクコンテナは、図1に示すように、油圧式リフトLによってその前方部分をリフト可能なトレーラTの荷台C上に搭載して搬送される汎用のコンテナ本体10の内部に合成樹脂ペレット、石炭、穀類等の粒状の積載物が充填される内袋20を張設したものである。図3に示すように、このバルクコンテナは、内袋20の後端上部に粒状の積載物が投入される投入部(投入口)21と内袋20から空気が排出される排気部(排気口)22を左右に離間して設け、内袋20の後端下部に内袋20の内部に充填された粒状の積載物を外部に放出する一対の放出部23,23を左右に離間して設けて、コンテナ本体10の後端下部に着脱可能に横方向に組付けられる支持部材30に内袋20の放出部23,23が接続される左右一対の導入ダクト51,51と一体に形成した導出ダクト52を組付けて、導出ダクト52に設けたバルブ(バタフライ弁)53の開閉により内袋20に充填して搬送された粒状の積載物が適宜な貯蔵槽に放出されるようにしたものである。以下にこのバルクコンテナについて詳細な説明を記載する。
【0007】
図1〜図3に示すように、コンテナ本体10は、直方体形状をして後端に両開き式の扉を備えた汎用のコンテナである。コンテナ本体10の側壁の上部には、内袋20を張設するための吊金具(図示省略)が複数箇所に取り付けられている。コンテナ本体10の後端には、4本のサイドバー11が取り付けられており、このサイドバー11は、コンテナ本体10の前方部分を上方に持ち上げて内袋20内の粒状の積載物を放出するときに、内袋20が落下しないようにするためのものである。このサイドバー11は、内袋20内の充填される積載物の重量によりその強度を強くして用いるものである。
【0008】
図3及び図4に示すように、内袋20は、合成樹脂ペレット、石炭、穀類等の粒状の積載物が充填されるものであり、コンテナ本体10の内径とほぼ同じ寸法で略直方体形状をしている。内袋20の上部には、コンテナ本体10の吊金具と対応する位置に吊り紐(図示省略)が設けられており、これら吊り紐をコンテナ本体10に取り付けた吊金具に引っかけることで、内袋20をコンテナ本体10内に張設している。内袋20の後端上部には、粒状の積載物が投入される投入口(投入部)21と、投入口21から積載物を投入しているときに内袋20内の空気を排出する排出口(排出部)22が設けられている。内袋20の後端下部には、粒状の積載物を外部に放出する一対(2つ)の放出部23が設けられている。これら放出部23,23は、内袋20の横幅をほぼ3等分する位置で内袋20の後端下部から筒状に延出されており、先端の放出口から積載物を放出するものである。なお、図6の2点差線に示すように、放出部23は、粒状の積載物を搬送するときなどには、軸線方向の中間部を紐24で縛ることにより放出口を閉塞して粒状の積載物が放出されないようになっている。
【0009】
図2、図3及び図5に示すように、コンテナ本体10の後端下部には、内袋20内に充填されている粒状の積載物を放出させる放出装置30が着脱自在に取り付けられている。なお、図2の斜め後方から見た斜視図は、本実施形態を容易に理解するためのものであり、細部については、図3、図5及び図6に表している。放出装置30は、コンテナ本体10の後端に設けられた縦溝12に着脱可能に組み付けられる支持部材31と、2本の導入ダクト51,51と1本の導出ダクト52とからなるY字形ダクト50とを備えている。
【0010】
図3及び図5に示すように、支持部材31は、平行に配置した2本の横桟32,32と、これら横桟32を連結するように平行に配置した3本の縦桟33,33,33とからなる略梯子形状をしている。各横桟32は、中空のパイプ部材よりなり、各横桟32の横方向の両端部にはレバー34により横方向に移動可能なスライドバー35が挿入されている。支持部材31は、レバー34の操作によりスライドバー35をコンテナ本体10の後端に設けられた縦溝12に係合させることでコンテナ本体10の後端下部に着脱可能に組み付けられる。なお、このスライドバー35は、横桟32の横方向の両端部に取り付けられたねじ36を締め付けることで横方向に移動しないように固定される。
【0011】
図3及び図5に示すように、支持部材31は、内袋20の各放出部23,23が設けられた位置に連結アダプタ40,40を備えている。連結アダプタ40は、内袋20の各放出部23,23をY字形ダクト50の導入ダクト51,51に接続するものである。各連結アダプタ40は、内袋20の各放出部23のある位置で横桟32に固定された4本の支持柱41を介して取り付けられる長方形状の取付板42と、この取付板42に固定された連結筒43とを備えている。取付板42には、内袋20の放出部23を挿通するための開口42aが形成されている。連結筒43は、この開口42aと連通する位置の取付板42に固定されている。取付板42の上部及び下部には、Y字形ダクト50の導入ダクト51,51を固定するファスナー44が設けられている。なお、図6に示すように、内袋20の放出部23は、連結アダプタ40の取付板42の開口42a及び連結筒43内に挿通され、放出部23の先端部を連結筒43の外周面を覆うようにして折り返して連結アダプタ40に取り付けられ、Y字形ダクト50の導入ダクト51と連結可能となる。
【0012】
Y字形ダクト50は、左右一対の円筒形の導入ダクト51,51と、これら導入ダクト51,51と一体に形成した円筒形の導出ダクト52とを備えている。Y字形ダクト50は、これら導入ダクト51,51を連結筒43,43内に挿入して上下にあるファスナー44,44により着脱可能に取り付けられる。各導入ダクト51,51は、各連結筒43,43に取り付けられた状態で、放出部23,23の放出口を閉塞している紐24を解くことで放出部23,23の放出口と連通接続された状態となる。導出ダクト52内には、バタフライ弁53が設けられており、レバー54の操作によりバタフライ弁53を開閉させることで放出部23,23から導入ダクト51,51を通る粒状の積載物の放出または遮断をする。導出ダクト52の導出口には、適宜なホースを取り付けて搬送先の貯蔵槽に着脱可能に接続される。
【0013】
以上のように構成したバルクコンテナにおける内袋20内から粒状の積載物の放出手順について説明する。トレーラTにより、内袋20内に粒状の積載物を充填したコンテナ本体10を荷台C上に搭載して搬送先に搬送する。搬送後に、コンテナ本体10の後端にある扉を開放してコンテナ本体10の後端下部に放出装置30を取り付ける。放出装置30においては、支持部材31をコンテナ本体10の後端下部に位置決めし、各レバー34を操作してスライドバー35をコンテナ本体10の後端に設けられた縦溝12に係合させ、支持部材31をコンテナ本体10の後端下部に取り付ける。図6に示すように、内袋20の放出部23を紐24で縛ることにより放出口を閉塞した状態で、内袋20の放出部23を連結アダプタ40の取付板42の開口42a及び連結筒43内に挿通し、放出部23の先端部23aを連結筒43の外周面を覆うようにして折り返す。次に、Y字形ダクト50の導入ダクト51,51を連結筒43内に挿入し、各ファスナー44によりY字形ダクト50を連結アダプタ40に取り付ける。これにより、内袋20の各放出部23は、紐24を解くことによりY字形ダクト50の導入ダクト51,51と連通接続可能な状態となる。また、Y字形ダクト50の導出ダクト52の導出口には、搬送先の貯蔵槽にホース等を介して適宜連結する。なお、導出ダクト52の導出口には、搬送先の貯蔵槽の受入口の形状に応じた適宜なホースや接続管を選択して接続したり、直接導出ダクト52の導出口を貯蔵槽の開口に向けるようにしてもよい。内袋20内の粒状の積載物を放出するときには、支持柱41,41の間から紐24を解いて放出部23の放出口を開放する。これにより、内袋20内の粒状の積載物は、各放出部23,23と、これに連通する導入ダクト51,51、及び導出ダクト52を通って貯蔵槽に放出されることになる。
【0014】
上記のように構成したバルクコンテナにおいては、内袋20の後端下部に内袋20の内部に充填された粒状の積載物を外部に放出する一対の放出部23を左右に離間して設けたので、放出部23を中央に1箇所設けたものに比べて各放出部23,23がコンテナ本体10の後端の下部のコーナー部と近くなってこのコーナー部に粒状の積載物が留まりにくくなる。また、これら導入ダクト51,51と一体に形成した導出ダクト52は、コンテナ本体10の後端下部に着脱可能に組み付けられる支持部材30に組み付けられるので、コンテナ本体10はこれらダクトを取り外して搬送することができ嵩張ることがない。また、内袋20の各放出部23,23の放出口からY字ダクト50の導出ダクト52の導出口までは密閉性が保たれているので、内袋20内の粒状の積載物に外部から異物が混入する可能性は少ない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るバルクコンテナにより積載物を放出するときの側面図である。
【図2】バルクコンテナの扉を開放した状態の斜め後方から見た斜視図である。
【図3】バルクコンテナの扉を開放した状態の後面図である
【図4】内袋の斜め後方から見た斜視図である。
【図5】図3のA−A断面図である
【図6】図5のB−Bにおける一部拡大断面図
【符号の説明】
【0016】
10…コンテナ本体、20…内袋、21…投入部(投入口)、22…排気部(排気口)、23…放出部、51…導入ダクト、52…導出ダクト、53…バルブ(バタフライ弁)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧式リフトによってその前方部分をリフト可能なトレーラの荷台上に搭載して搬送されるコンテナ本体の内部に合成樹脂ペレット、石炭、穀類等の粒状の積載物が充填される内袋を張設したバルクコンテナにおいて、
前記内袋の後端上部に前記粒状の積載物が投入される投入部と同内袋から空気が排出される排気部を左右に離間して設け、同内袋の後端下部に同内袋の内部に充填された前記粒状の積載物を外部に放出する一対の放出部を左右に離間して設けて、
前記コンテナ本体の後端下部に着脱可能に横方向に組付けられる支持部材に前記内袋の放出部が接続される左右一対の導入ダクトと一体に形成した導出ダクトを組付けて、前記導出ダクトに設けたバルブの開閉により前記内袋に充填して搬送された粒状の積載物が適宜な貯蔵槽に放出されるようにしたことを特徴とするバルクコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−286444(P2009−286444A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142017(P2008−142017)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(593078202)日本トランスシティ株式会社 (3)
【出願人】(303061270)日本ポリケム株式会社 (2)
【Fターム(参考)】