説明

バルクフィーダ

【課題】電子部品が1次元通路を移動する過程で部品詰まりを生じた場合でもこれを簡単に解消できるバルクフィーダを提供する。
【解決手段】バルクフィーダは、1次元通路C1の入口C1aの下側に該1次元通路C1の横断面形を局部的に小さくした横断面形を有し、且つ、幅Wが基準幅+公差で高さHが基準高さ+公差の電子部品の通過を許容する絞り部NPを備えているので、1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECに塵埃や欠片等が付着していて幅Wと高さHの少なくとも一方の外観上寸法が絞り部NPを通過できない程度まで増している場合でも、該電子部品ECを1次元通路C1の絞り部NPの位置で積極的に詰まらせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラ状態で収納されている電子部品を所定向きに整列して供給するバルクフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバルクフィーダには、長さ>幅=高さの寸法関係或いは長さ>幅>高さの寸法関係を有する直方体形状の電子部品をバラ状態で収納するための3次元室と、該3次元室内の電子部品を幅及び高さの向きが揃った姿勢で取り込むための2次元室と、該2次元室内の電子部品を幅,高さ及び長さの向きが揃った姿勢で取り込んで自重移動させるための横断面矩形の1次元通路と、を備えたものが存在する。
【0003】
3次元室は電子部品をその姿勢を制限すること無しに収納できる形状を成していて、3次元室内に収納された電子部品は該3次元室内をランダムな姿勢で自由に移動することができる。2次元室は電子部品の幅の最大寸法(=基準幅+公差)或いは高さの最大寸法(=基準高さ+公差)よりも僅かに大きな間隔を有する平行スペースから成り、3次元室から2次元室内に取り込まれた電子部品は該2次元室内を幅及び高さの向きが揃った姿勢で移動することができる。1次元通路は電子部品の幅の最大寸法(=基準幅+公差)よりも僅かに大きな寸法の内面と高さの最大寸法(=基準高さ+公差)よりも僅かに大きな寸法の内面とが隣り合う横断面矩形の通路から成り、2次元室から1次元通路内に取り込まれた電子部品は該1次元通路内を幅,高さ及び長さの向きが揃った姿勢で自重により下方移動することができる。
【0004】
前記バルクフィーダは基本的には電子部品の姿勢を3次元→2次元→1次元の順に制御することによって所期の整列供給を行うものであるため、良品寸法の電子部品、即ち、長さと幅と高さのそれぞれが基準長さ±公差と基準幅±公差と基準高さ±公差に収まる電子部品を用いることが肝要となる。
【特許文献1】特許第3141236号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記バルクフィーダの3次元室内には必要に応じて電子部品が補充されることから、補充の際に外部から3次元室内に入り込んだ塵埃や、補充の際或いはその前後で電子部品から剥がれ落ちた欠片等が、3次元室内に収納されている電子部品に付着する恐れがある。
【0006】
特に、1次元通路は電子部品が幅,高さ及び長さの向きが揃った姿勢で通過できる横断面形を有するものであるため、1次元通路内に取り込まれた電子部品に前記の塵埃や欠片等が付着していて幅と高さの少なくとも一方の外観上寸法が1次元通路を通過できない程度まで増していると、該電子部品が1次元通路を移動する過程で部品詰まりを生じて以後の供給が停止してしまうことがある。
【0007】
この部品詰まりの発生頻度は電子部品1万個に対して1回発生するかしないかの度数ではあるが、該部品詰まりは1次元通路の様々な位置で生じるため、部品詰まりを生じたときには、まず、部品詰まりが生じている位置を探索し、その後に部品詰まりを解消する作業を施す必要を生じる。
【0008】
この位置探索及び詰まり解消の作業は意外に時間のかかる作業であり、その作業時間中は電子部品の供給が行えないわけであるから、バルクフィーダの稼働率が大きく低下することは勿論のこと、該バルクフィーダが設置されたマウンタ等の生産性にも大きな影響を生じてしまう。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、その目的とするところは、電子部品が1次元通路を移動する過程で部品詰まりを生じた場合でもこれを簡単に解消できるバルクフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、長さ>幅=高さの寸法関係或いは長さ>幅>高さの寸法関係を有する直方体形状の電子部品をバラ状態で収納するための3次元室と、該3次元室内の電子部品を幅及び高さの向きが揃った姿勢で取り込むための2次元室と、該2次元室内の電子部品を幅,高さ及び長さの向きが揃った姿勢で取り込んで自重移動させるための横断面矩形の1次元通路とを備えたバルクフィーダであって、前記1次元通路の所定位置に設けられ、該1次元通路の横断面形を局部的に小さくした横断面形を有し、幅が基準幅+公差で高さが基準高さ+公差の電子部品の通過を許容する絞り部を備えている、ことをその特徴とする。
【0011】
このバルクフィーダによれば、1次元通路の所定位置に該1次元通路の横断面形を局部的に小さくした横断面形を有し、且つ、幅Wが基準幅+公差で高さHが基準高さ+公差の電子部品の通過を許容する絞り部を設けてあるので、1次元通路内に取り込まれた電子部品に塵埃や欠片等が付着していて幅と高さの少なくとも一方の外観上寸法が絞り部を通過できない程度まで増している場合に該電子部品を1次元通路の絞り部の位置で積極的に詰まらせることができる。
【0012】
換言すれば、部品詰まりの原因となる電子部品が1次元通路内に取り込まれた場合でも該電子部品を常に同じ位置(絞り部の位置)で詰まらせることができるので、部品詰まりが生じている位置を探索する必要がないし、また、部品詰まりを生じる位置が定まっているので部品詰まりを解消する作業を迅速に行うことができる。従って、部品詰まりに伴う位置探索及び詰まり解消の作業を簡便化して、詰まり解消を極めて簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子部品が1次元通路を移動する過程で部品詰まりを生じた場合でもこれを簡単に解消できるバルクフィーダを提供することができる。
【0014】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1実施形態]
図1〜図6は本発明(バルクフィーダ)の第1実施形態を示す。
【0016】
図1はバルクフィーダを取込ローターの第2ローターの厚さ方向中心で破断した縦断面図、図2(A)はバルクフィーダを図1のa−a線で破断した横断面図、図2(B)はバルクフィーダを図1のb−b線で破断した横断面図、図3は電子部品の拡大斜視図、図4(A)は図1に示した絞り部の拡大横断面図、図4(B)は図1に示した絞り部の拡大縦断面図、図5はバルクフィーダによる電子部品の整列供給動作の説明図、図6は噴出バルブの開閉タイミングと噴出エアの圧力との関係を示す図である。
【0017】
また、図1〜図6中の符号11はセンタープレート、12aは第1カバープレート、12bは第2カバープレート、13は取込ローター、14はローター軸、NPは絞り部、ECは電子部品である。
【0018】
まず、バルクフィーダのメカニズムを説明する前に、該バルクフィーダで用いられる電子部品ECについて図3を参照して説明する。
【0019】
電子部品ECは、長さL(基準長さ±公差)>幅W(基準幅±公差)=高さH(基準高さ±公差)の寸法関係を有する直方体形状を成している。この電子部品ECは具体的にはコンデンサやインダクタや抵抗器等であって、表面の所定箇所に所定数の外部電極(図示省略)を有している。
【0020】
次に、図1と図2(A)と図2(B)と図4(A)と図4(B)を参照してバルクフィーダのメカニズムについて説明する。ここでの説明では図1の手前を前、奥を後、左を左、右を右と表記する。
【0021】
センタープレート11は、上部に後述の3次元室C3を構成するための空所11aを有し、該空所11aの下側に略180度の扇形状を成す空所11bを空所11aと連通して有し、該空所11bの前側に略90度の扇形状を成す空所11cを空所11aと連通して有し、該空所11cの下側に後述の1次元通路C1を構成するための矩形溝11dを有している。空所11bは後述の取込ローター13の第1ローター部13aの厚さよりも僅かに小さな深さを有し、第1ローター部13aをその上部が空所11aに露出した状態で回転自在に受容する。空所11cは後述の取込ローター13の第2ローター部13bの厚さよりも僅かに小さな深さを有し、第2ローター部13bをその上部が空所11aに露出した状態で回転自在に受容する
矩形溝11dは隣接する2つの内面の寸法が電子部品ECの幅Wの最大寸法(=基準幅+公差)と高さHの最大寸法(=基準高さ+公差)よりも僅かに大きく、該矩形溝11dの左内面は空所11bの外縁に沿って円弧状に上側に延びている。また、空所11aの下部左側には空所11aの左内面から矩形溝11dの左内面の延長端に至る湾曲したガイド面11eが設けられている。さらに、空所11aの下部右側には空所11aと空所11bとの境界を形成する傾斜したガイド面11fが設けられている。
【0022】
取込ローター13は、全体が円盤状を成す第1ローター部13aと、第1ローター部13aと一体または別体に形成され、且つ、略60度の扇形状を成す第2ローター部13bとから成る。第2ローター部13bの略60度の円弧面の曲率中心と第1ローター部13aの環状外周面の曲率中心とは一致しており、両者の曲率中心部分にはローター軸14が取り付けられている。また、第1ローター部11aの上部には環状外周面の一部を切り欠いて形成された撹拌部13a1が設けられている。
【0023】
第1ローター部13aの厚さは電子部品ECの長さの最大寸法(=基準長さ+公差)よりも大きく、第2ローター部13bの厚さは電子部品の幅Wの最大寸法(=基準幅+公差)と高さHの最大寸法(=基準高さ+公差)よりも僅かに大きい。また、第2ローター部13bの略90度の円弧面の曲率半径は第1ロータ部13aの半径よりも小さく、第2ローター部13bの円弧面と第1ロータ部13aの環状外周面との段差は後述の1次元通路C1の上部湾曲部分の隣接する2つの内面を構成する。この段差により形成される2つの内面の寸法は、電子部品ECの幅Wの最大寸法(=基準幅+公差)と高さHの最大寸法(=基準高さ+公差)よりも僅かに大きい。
【0024】
この取込ローター13は、第2ローター部13bをセンタープレート11の空所11cに嵌め込み、且つ、第1ローター部13aを空所11bに嵌め込んだ後に、センタープレート11の前後面に第1,第2カバープレート12a,12bをネジ止め(ネジは図示省略)することによって、センタープレート11と第1,第2カバープレート12a,12bの内部に組み込まれている。この組み込みの際、ローター軸14の後側部分は第2カバープレート12bの軸支孔12b1に回転自在に挿入される。図示を省略したが、ローター軸14の第2カバープレート12bの後面から突出する部分にはローター軸14に所定の動作、即ち、取込ローター13を図1中でA方向に変位させ、且つ、変位後にB方向に変位させて復帰させる動作を付与するための駆動機構が接続されている。
【0025】
また、センタープレート11を第1,第2カバープレート12a,12bで挟み込むことによって、センタープレート11の凹所11aは3次元室C3となり、取込ローター13の第1ローター部13の前面と第1カバープレート12aの後面との間の平行スペースは2次元室C2となり、センタープレート11の矩形溝11dと該矩形溝11dの上端と繋がる第2ローター部13bの円弧面と第1ロータ部13aの環状外周面との段差は1次元通路C1となる。
【0026】
要するに、3次元室C3は電子部品ECをその姿勢を制限すること無しに収納できる形状を成していて、3次元室C3内に収納された電子部品ECは該3次元室C3内をランダムな姿勢で自由に移動することができる。2次元室C2は電子部品ECの幅Wの最大寸法と高さHの最大寸法よりも僅かに大きな間隔を有する平行スペースから成り、3次元室C3から2次元室C2内に取り込まれた電子部品ECは該2次元室C2内を幅W及び高さHの向きが揃った姿勢で移動することができる。1次元通路C1は電子部品ECの幅Wの最大寸法よりも僅かに大きな内面と高さHの最大寸法よりも僅かに大きな内面とが隣り合う横断面矩形の通路から成り、2次元室C2から1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECは該1次元通路C1内を幅W,高さH及び長さの向きが揃った姿勢で自重により下方移動することができる。
【0027】
前記1次元通路C1は湾曲部分の上端をその入口C1aとしており、該入口C1aの下側(下流側)には、該1次元通路C1の横断面形を局部的に小さくした横断面形を有する絞り部NPが形成されている。この絞り部NPは、図4(A)及び図4(B)に示すように、前記1次元通路C1の隣接する2つの内面に設けられた縦断面台形の突起11g,12a1によって構成されており、図示例にあっては一方の突起11gはセンタープレート11に形成され、他方の突起12a1は第1カバープレート12aに形成されている。また、絞り部NPの横断面形は1次元通路C1の横断面形と相似の矩形であり、該絞り部NPの隣接する2つの内面の寸法WT1,WT2は電子部品ECの幅Wの最大寸法(=基準幅+公差)と高さHの最大寸法(=基準高さ+公差)よりも僅かに大きく設定されている。つまり、絞り部NPは幅が基準幅+公差で高さが基準高さ+公差の電子部品ECの通過を許容する。
【0028】
また、図4(B)に示すように、前記1次元通路C1の絞り部NPの下側(下流側)には、1次元通路C1内にエアを噴出するためのエア噴出孔12a2が前記1次元通路C1と直交する向きで設けられている。図示例にあってはこのエア噴出孔12a2は前記1次元通路C1の1つの内面を構成する第1カバープレート12aに設けられている。このエア噴出孔12a2には、該エア噴出孔12a2からのエアの噴出を行うためのエア供給装置AFDがエア配管(符号無し)を介して接続されている。このエア供給装置AFDは、エアポンプAPと、エア噴出に係るエアの供給及び停止を制御する噴出バルブGVと、該噴出バルブGVを所定の開時間及び閉時間に基づいて間欠的に開閉し得るようにその動作を制御するコントローラCONとを備えている。
【0029】
次に、図5を参照してバルクフィーダによる電子部品ECの整列供給動作について説明する。
【0030】
バルクフィーダによる電子部品ECの整列供給動作は、良品寸法の電子部品EC、即ち、長さLと幅Wと高さHのそれぞれが基準長さ±公差と基準幅±公差と基準高さ±公差に収まる電子部品ECを3次元室C3内にバラ状態で収納した後に、取込ローター13を図5中でA方向に所定角度変位させ、且つ、変位後にB方向に同一角度変位させて復帰させる動作を連続的或いは間欠的に行うと共に、エア噴出孔12a2(図4(B)参照)から1次元通路C1内に間欠的にエアを噴出する動作を行うことによって実行される。
【0031】
取込ローター13の前記動作によって、3次元室C3内に収納されている電子部品ECは該3次元室C3から2次元室C2内に幅W及び高さHの向きが揃った姿勢で取り込まれる。取込ローター13の第1ローター部13aの上部は3次元室C3内に露出しているため、3次元室C3内に収納されている電子部品ECは第1ローター部13aの上部、主に撹拌部13a1による撹拌によってその幅W及び高さHの向きを変化して2次元室C2内に取り込まれるような作用を生じる。
【0032】
また、取込ローター13の前記動作によって、2次元室C2内に取り込まれた電子部品ECは該2次元室C2から1次元通路C1内に幅W,高さH及び長さの向きが揃った姿勢で取り込まれる。取込ローター13の第2ローター部13bの上面は2次元室C2の底部に位置するため、2次元室C2内に取り込まれた電子部品ECは第2ローター部13bの上面の角度変化によってその長さLの向きを変化して1次元通路C1内に取り込まれるような作用を生じる。
【0033】
1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECは幅W,高さH及び長さLの向きが揃った姿勢で該1次元通路C1内を自重により下方移動する。1次元通路C1の入口C1aの下側(下流側)には絞り部NPが存在するが、1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECの幅W,高さH及び長さLのそれぞれが基準長さ±公差と基準幅±公差と基準高さ±公差に収まる場合、該電子部品ECは絞り部NPを通過する。
【0034】
バルクフィーダの3次元室C3内には必要に応じて電子部品ECが補充されることから、補充の際に外部から3次元室C3内に入り込んだ塵埃や、補充の際或いはその前後で電子部品ECから剥がれ落ちた欠片等が、3次元室C3内に収納されている電子部品ECに付着する恐れがある。依って、前述の整列供給動作によって1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECに前記の塵埃や欠片等が付着していて幅Wと高さHの少なくとも一方の外観上寸法が絞り部NPを通過できない程度まで増していると、該電子部品ECは1次元通路C1を移動する過程で絞り部NPで詰まって停止する。
【0035】
前述の整列供給動作に併せてエア噴出孔12a2から1次元通路C1内に間欠的に噴出されるエアは、1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECが絞り部NPで詰まって停止したときに、該電子部品EC1(破線参照)を絞り部NPから上方に吹き上げて詰まりを解消する作用を発揮する。エアを間欠的に噴出する理由は非噴出時間を利用して前記の整列供給動作を支障なく行うことにあり、以下この点について図6を参照して説明する。
【0036】
図6の符号toとtcは図4(B)に示したエア供給装置AFDの噴出バルブGVの開時間と閉時間を示すもので、該噴出バルブGVは所定の開時間to及び閉時間tcに基づいて間欠的に開閉し得るようにその動作をコントローラCONによって制御されている。図6から分かるようにエア噴出孔12a2から1次元通路C1内に噴出される実際上のエアの圧力は、前記噴出バルブGVの開時間toの開始点から徐々に増加してピークに達し該開時間toの終了点或いはその後から徐々に減少するような変化を示す。
【0037】
絞り部NPで詰まった電子部品ECを該絞り部NPから上方に吹き上げるには該電子部品ECのサイズ等に応じた所定値以上の圧力を必要とする。この圧力値をP1とするとエアの圧力が圧力値P1以上の区間t1が絞り部NPで詰まった電子部品ECを上方に吹き上げることが可能な時間(以下、吹き上げ時間t1と言う)となり、エアの圧力が圧力値p1未満の区間t2は吹き上げられた電子部品ECが自重落下することが可能な時間(以下、自重落下時間t2)となる。
【0038】
前記吹き上げ時間t1は圧力値P1以上の区間であるので、最低限の時間が確保されていれば絞り部NPで詰まった電子部品ECを該絞り部NPから上方に吹き上げて詰まりを解消することは可能である。しかし、絞り部NPで詰まった電子部品ECと共に吹き上げられた他の電子部品ECが元の高さ位置に落下する前に次の吹き上げが開始されてしまうと前述の整列供給動作は行えなくなってしまう。換言すれば、前述の整列供給動作は絞り部NPで詰まった電子部品ECと共に吹き上げられた他の電子部品ECが元の高さ位置に落下した後に行われることになるため、前記自重落下時間t2として十分な時間が確保できるように前記噴出バルブGVの閉時間tcを設定する必要がある。
【0039】
例えば、前記開時間toを0.01秒としたときの前記吹き上げ時間t1が0.02秒で該吹き上げ時間t1において絞り部NPで詰まった電子部品ECを10mm吹き上げることができるときに、該電子部品ECと共に吹き上げられた他の電子部品ECが元の高さ位置に落下する時間が0.03秒の場合には、0.03秒を十分に超える時間を前記自重落下時間t2として得るために前記閉時間tcとして0.04秒以上をその値として採用する。
【0040】
前記噴出バルブGVの開時間to及び閉時間tcは使用する電子部品ECのサイズ及び重量や絞り部NPで詰まった電子部品ECの上側に存する電子部品ECの数等によって異なるため、該開時間to及び閉時間tcは事前実験等によって適正な数値を選定する方法によって定めることが望ましい。
【0041】
このように、前述のバルクフィーダによれば、前記1次元通路C1の入口C1aの下側(下流側)に該1次元通路C1の横断面形を局部的に小さくした横断面形を有し、且つ、幅Wが基準幅+公差で高さHが基準高さ+公差の電子部品の通過を許容する絞り部NPを設けてあるので、1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECに塵埃や欠片等が付着していて幅Wと高さHの少なくとも一方の外観上寸法が絞り部NPを通過できない程度まで増している場合に該電子部品ECを1次元通路C1の絞り部NPの位置で積極的に詰まらせることができる。
【0042】
換言すれば、部品詰まりの原因となる電子部品ECが1次元通路C1内に取り込まれた場合でも該電子部品ECを常に同じ位置(絞り部NPの位置)で詰まらせることができるので、部品詰まりが生じている位置を探索する必要がないし、また、部品詰まりを生じる位置が定まっているいるので部品詰まりを解消する作業を迅速に行うことができる。従って、部品詰まりに伴う位置探索及び詰まり解消の作業を簡便化して、詰まり解消を極めて簡単に行うことができる。
【0043】
また、前述のバルクフィーダによれば、前記1次元通路C1の絞り部NPの下側(下流側)に該1次元通路C1内にエアを噴出するためのエア噴出孔12a2を設けると共に、このエア噴出孔12a2に該エア噴出孔12a2からのエアの噴出を行うためのエア供給装置AFDを接続してあるので、1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECが絞り部NPで詰まった場合でも、エア噴出孔12a2から1次元通路C1内に噴出されるエアによって絞り部NPで詰まった電子部品ECを該絞り部NPから上方に吹き上げて詰まりを解消することができる。
【0044】
さらに、前述のバルクフィーダによれば、前記エア供給装置AFDはエア噴出に係るエアの供給及び停止を制御する噴出バルブGVを所定の開時間to及び閉時間tcに基づいて間欠的に開閉し得るようにその動作を制御するコントローラCONを有しているので、該噴出バルブGVの開時間to及び閉時間tcを適宜設定することによって、バルクフィーダによる所期の整列供給動作に支障を生じることなく、該整列供給動作の途中で絞り部NPに詰まった電子部品ECを該絞り部NPから上方に吹き上げて詰まりを解消する動作を自動的に行うことができる。
【0045】
さらに、前述のバルクフィーダによれば、前記絞り部NPが1次元通路C1の隣接する2面に設けられた突起11g,12a1によって構成されているので、絞り部NPを構成するために複雑な加工及び成形を必要としない。
【0046】
尚、前述の説明では、エア噴出孔12a2を1次元通路C1と直交する向きで設けたものを示したが、図7(A)に示すようにエア噴出孔12a2’を絞り部NPに向かう向きで斜めに設けてもよい。このようにすれば、エア噴出孔12a2’から噴出されるエアを直接的に絞り部NPに詰まった電子部品ECに吹き付けて、該電子部品ECの吹き上げを効果的に行うことができる。
【0047】
また、前述の説明では、絞り部NPを縦断面台形の突起12a1によって構成したものを示したが、図7(B)に示すように縦断面三角形の突起12a1’によって絞り部NP’を構成してもよい。このようにすれば、絞り部NP’と該絞り部NP’に詰まった電子部品ECとの接触抵抗を減らして、エアによる該電子部品ECの吹き上げをスムースに行うことができる。
【0048】
さらに、前述の説明では、エア噴出孔12a2を1次元通路C1と直交する向きで設けて所定の噴出タイミングで該エア噴出孔12a2から1次元通路C1内にエアを噴出するようにしたが、図7(C)に示すように1次元通路C1のエア噴出孔12a2の下側(下流側)を閉塞可能なシャッター板15を第1カバープレート12aに形成したスリット12a3に横移動可能に設け、該シャッター板15をソレノイド等の駆動源によって横移動できるように構成し、エア噴出孔12a2から1次元通路C1内にエアが噴出されるタイミングでシャッター板15によって1次元通路C1のエア噴出孔12a2の下側(下流側)を閉塞するようにすれば、エア噴出孔12a2から1次元通路C1内に噴出されるエアを絞り部NPに詰まった電子部品ECに集中して吹き付けて、該電子部品ECの吹き上げを効果的に行うことができる。
【0049】
さらに、前述の説明では、エア噴出孔12a2から1次元通路C1内へのエアの噴出を間欠的に行うものを示したが、(1)絞り部NPに電子部品ECが詰まったときのみにエア供給装置の噴出バルブを手動操作で開として所期のエア噴出を行うことによって詰まりを解消するようにしたり、(2)絞り部NPの下側(下流側)に該絞り部NPに電子部品ECが詰まったことを検知するための光センサを設けて、該光センサによって詰まりが検出されたときのみにコントローラによってエア供給装置の噴出バルブを一定時間開として所期のエア噴出を行うことによって詰まりを解消するようにしてもよい。
【0050】
さらに、前述の説明では、長さL(基準長さ±公差)>幅W(基準幅±公差)=高さH(基準高さ±公差)の寸法関係を有する直方体形状を成す電子部品ECに適合したものを示したが、2次元室C2の間隔を高さHの最大寸法よりも僅かに大きく、且つ、幅Wの最大寸法よりも小さな間隔とすると共に1次元通路C1の横断面形を変更すれば、長さL(基準長さ±公差)>幅W(基準幅±公差)>高さH(基準高さ±公差)の寸法関係を有する直方体形状を成す電子部品ECを前記同様の動作で整列し供給することができ、且つ、前記同様の詰まり解消効果も得ることができる。
【0051】
[第2実施形態]
図8は本発明(バルクフィーダ)の第2実施形態を示す、バルクフィーダの縦断面図である。図8中の符号21はホッパー、22はスライダ、ECは電子部品である。電子部品ECは第1実施形態で説明したものと同じであるのでここでの説明を省略する。
【0052】
まず、図8を参照してバルクフィーダのメカニズムについて説明する。ここでの説明では図8の手前を前、奥を後、左を左、右を右と表記する。
【0053】
ホッパー21は、上部に3次元室C3を構成する縦断面ベース形の凹部21aを有し、該凹部21aの下側にスライダ22を上下移動可能に受容する矩形孔21bを有している。3次元室C3は電子部品ECをその姿勢を制限すること無しに収納できる形状を成していて、3次元室C3内に収納された電子部品ECは該3次元室C3内をランダムな姿勢で自由に移動することができる。
【0054】
スライダ22は外形が矩形で、上部に2次元室C2を構成する縦断面ベース形の凹部22aを有し、該凹部22aの下側に1次元通路C1を構成する横断面矩形の通路22bを有している。2次元室C2は電子部品ECの幅Wの最大寸法と高さHの最大寸法よりも僅かに大きな間隔を有する平行スペースから成り、3次元室C3から2次元室C2内に取り込まれた電子部品ECは該2次元室C2内を幅W及び高さHの向きが揃った姿勢で移動することができる。1次元通路C1は電子部品ECの幅Wの最大寸法よりも僅かに大きな面と高さHの最大寸法よりも僅かに大きな面が隣り合う横断面矩形の通路から成り、2次元室C2から1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECは該1次元通路C1内を幅W,高さH及び長さの向きが揃った姿勢で自重により下方移動することができる。
【0055】
前記1次元通路C1は前記2次元室C2との境界をその入口C1aとしており、該入口C1aの下側(下流側)には該1次元通路C1の横断面形を局部的に小さくした横断面形を有する絞り部NPが形成されている。この絞り部NPは、前記1次元通路C1の4つの内面に設けられた縦断面台形の突起22cによって構成されている。また、絞り部NPの横断面形は1次元通路C1の横断面形と相似の矩形であり、該絞り部NPの隣接する2つの内面の寸法は電子部品ECの幅Wの最大寸法(=基準幅+公差)と高さHの最大寸法(=基準高さ+公差)よりも僅かに大きく設定されている。
【0056】
また、前記1次元通路C1の絞り部NPの下側(下流側)には、1次元通路C1内にエアを噴出するためのエア噴出孔22dが前記1次元通路C1の1つの内面に該1次元通路C1と直交する向きで設けられている。図示を省略したが、このエア噴出孔22dには、該エア噴出孔22dからのエアの噴出を行うための第1実施形態と同様のエア供給装置AFDがエア配管を介して接続されている。
【0057】
次に、図8を参照してバルクフィーダによる電子部品ECの整列供給動作について説明する。
【0058】
バルクフィーダによる電子部品ECの整列供給動作は、良品寸法の電子部品EC、即ち、長さLと幅Wと高さHのそれぞれが基準長さ±公差と基準幅±公差と基準高さ±公差に収まる電子部品ECを3次元室C3内に収納した後に、スライダ22を図8中でA方向に所定距離変位させ、且つ、変位後にB方向に同一距離変位させて復帰させる動作を連続的或いは間欠的に行うと共に、エア噴出孔22dから1次元通路C1内に間欠的にエアを噴出する動作を行うことによって実行される。
【0059】
スライダ22の前記動作によって、3次元室C3内に収納されている電子部品ECは該3次元室C3から2次元室C2内に幅W及び高さHの向きが揃った姿勢で取り込まれる。前記動作においてスライダ22の上部は3次元室C3内に突出するため、3次元室C3内に収納されている電子部品ECはスライダ22の上部突出による撹拌によってその幅W及び高さHの向きを変化して2次元室C2内に取り込まれるような作用を生じる。また、スライダ22の前記動作によって、2次元室C2内に取り込まれた電子部品ECは該2次元室C2から1次元通路C1内に幅W,高さH及び長さの向きが揃った姿勢で取り込まれる。前記動作においてスライダ22は上下移動をするため、この上下移動による振動等によって2次元室C2内に取り込まれた電子部品ECはその長さLの向きを変化して1次元通路C1内に取り込まれるような作用を生じる。
【0060】
1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECは幅W,高さH及び長さLの向きが揃った姿勢で該1次元通路C1内を自重により下方移動する。1次元通路C1の入口C1aの下側(下流側)には絞り部NPが存在するが、1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECの幅W,高さH及び長さLのそれぞれが基準長さ±公差と基準幅±公差と基準高さ±公差に収まる場合、該電子部品ECは絞り部NPを通過する。
【0061】
バルクフィーダの3次元室C3内には必要に応じて電子部品ECが補充されることから、補充の際に外部から3次元室C3内に入り込んだ塵埃や、補充の際或いはその前後で電子部品ECから剥がれ落ちた欠片等が、3次元室C3内に収納されている電子部品ECに付着する恐れがある。依って、前述の整列供給動作によって1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECに前記の塵埃や欠片等が付着していて幅Wと高さHの少なくとも一方の外観上寸法が絞り部NPを通過できない程度まで増していると、該電子部品ECは1次元通路C1を移動する過程で絞り部NPで詰まって停止する。
【0062】
前述の整列供給動作に併せてエア噴出孔22dから1次元通路C1内に間欠的に噴出されるエアは、1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECが絞り部NPで詰まって停止したときに、該電子部品ECを絞り部NPから上方に吹き上げて詰まりを解消する作用を発揮する。エアを間欠的に噴出する理由は非噴出時間を利用して前記の整列供給動作を支障なく行うことにあり、以下この点については第1実施形態で述べた通りであるのでここでの説明を省略する。
【0063】
このように、前述のバルクフィーダによれば、前記1次元通路C1の入口C1aの下側(下流側)に該1次元通路C1の横断面形を局部的に小さくした横断面形を有し、且つ、幅Wが基準幅+公差で高さHが基準高さ+公差の電子部品の通過を許容する絞り部NPを設けてあるので、1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECに塵埃や欠片等が付着していて幅Wと高さHの少なくとも一方の外観上寸法が絞り部NPを通過できない程度まで増している場合に該電子部品ECを1次元通路C1の絞り部NPの位置で積極的に詰まらせることができる。
【0064】
換言すれば、部品詰まりの原因となる電子部品ECが1次元通路C1内に取り込まれた場合でも該電子部品ECを常に同じ位置(絞り部NPの位置)で詰まらせることができるので、部品詰まりが生じている位置を探索する必要がないし、また、部品詰まりを生じる位置が定まっているいるので部品詰まりを解消する作業を迅速に行うことができる。従って、部品詰まりに伴う位置探索及び詰まり解消の作業を簡便化して、詰まり解消を極めて簡単に行うことができる。
【0065】
また、前述のバルクフィーダによれば、前記1次元通路C1の絞り部NPの下側(下流側)に該1次元通路C1内にエアを噴出するためのエア噴出孔22dを設けると共に、このエア噴出孔22dに該エア噴出孔22dからのエアの噴出を行うためのエア供給装置AFDを接続してあるので、1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECが絞り部NPで詰まった場合でも、エア噴出孔22dから1次元通路C1内に噴出されるエアによって絞り部NPで詰まった電子部品ECを該絞り部NPから上方に吹き上げて詰まりを解消することができる。
【0066】
さらに、前述のバルクフィーダによれば、前記エア供給装置AFDはエア噴出に係るエアの供給及び停止を制御する噴出バルブGVを所定の開時間to及び閉時間tcに基づいて間欠的に開閉し得るようにその動作を制御するコントローラCONを有しているので、該噴出バルブGVの開時間to及び閉時間tcを適宜設定することによって、バルクフィーダによる所期の整列供給動作に支障を生じることなく、該整列供給動作の途中で絞り部NPに詰まった電子部品ECを該絞り部NPから上方に吹き上げて詰まりを解消する動作を自動的に行うことができる。
【0067】
尚、前述の説明では、エア噴出孔22dを1次元通路C1と直交する向きで設けたものを示したが、図7(A)に示したものと同様に、エア噴出孔を絞り部NPに向かう向きで斜めに設けてもよい。このようにすれば、エア噴出孔から噴出されるエアを直接的に絞り部NPに詰まった電子部品ECに吹き付けて、該電子部品ECの吹き上げを効果的に行うことができる。
【0068】
また、前述の説明では、絞り部NPを縦断面台形の突起22cによって構成したものを示したが、図7(B)に示したものと同様に、縦断面三角形の突起によって絞り部NPを構成してもよい。このようにすれば、絞り部NPと該絞り部NPに詰まった電子部品ECとの接触抵抗を減らして、エアによる該電子部品ECの吹き上げをスムースに行うことができる。
【0069】
さらに、前述の説明では、エア噴出孔22dを1次元通路C1と直交する向きで設けて所定の噴出タイミングで該エア噴出孔22dから1次元通路C1内にエアを噴出するようにしたが、図7(C)に示したものと同様に、1次元通路C1のエア噴出孔22dの下側(下流側)を閉塞可能なシャッター板をスライダ22に形成したスリットに横移動可能に設け、該シャッター板をソレノイド等の駆動源によって横移動できるように構成し、エア噴出孔22dから1次元通路C1内にエアが噴出されるタイミングでシャッター板によって1次元通路C1のエア噴出孔22dの下側(下流側)を閉塞するようにすれば、エア噴出孔22dから1次元通路C1内に噴出されるエアを絞り部NPに詰まった電子部品ECに集中して吹き付けて、該電子部品ECの吹き上げを効果的に行うことができる。
【0070】
さらに、前述の説明では、エア噴出孔22dから1次元通路C1内へのエアの噴出を間欠的に行うものを示したが、(1)絞り部NPに電子部品ECが詰まったときのみにエア供給装置の噴出バルブを手動操作で開として所期のエア噴出を行うことによって詰まりを解消するようしたり、(2)絞り部NPの下側(下流側)に該絞り部NPに電子部品ECが詰まったことを検知するための光センサを設けて、該光センサによって詰まりが検出されたときのみにコントローラによってエア供給装置の噴出バルブを所定時間だけ開として所期のエア噴出を行うことによって詰まりを解消するようにしてもよい。
【0071】
さらに、前述の説明では、長さL(基準長さ±公差)>幅W(基準幅±公差)=高さH(基準高さ±公差)の寸法関係を有する直方体形状を成す電子部品ECに適合したものを示したが、2次元室C2の間隔を高さHの最大寸法よりも僅かに大きく、且つ、幅Wの最大寸法よりも小さな間隔とすると共に1次元通路C1の横断面形を変更すれば、長さL(基準長さ±公差)>幅W(基準幅±公差)>高さH(基準高さ±公差)の寸法関係を有する直方体形状を成す電子部品ECを前記同様の動作で整列し供給することができ、且つ、前記同様の詰まり解消効果も得ることができる。
【0072】
[第3実施形態]
図9は本発明(バルクフィーダ)の第3実施形態を示す、バルクフィーダの縦断面図である。
【0073】
第3実施形態が第2実施形態と異なるところは、1次元通路C1の相対する2つの内面或いは4つの内面それぞれにその一部が1次元通路C1内に突出するようにローラ23を回転自在に配置して、2つ或いは4つのローラ23によって絞り部NPを構成した点にある。ローラ23が2つの場合、相対する2つのローラ23の対向間隔は電子部品ECの幅Wの最大寸法(=基準幅+公差)と高さHの最大寸法(=基準高さ+公差)よりも僅かに大きく設定されている。また、ローラ23が4つの場合、相対する2つのローラ23の対向間隔と他の2つのローラ23の対向間隔は電子部品ECの幅Wの最大寸法(=基準幅+公差)と高さHの最大寸法(=基準高さ+公差)よりも僅かに大きく設定されている。他の構成は第2実施形態と同じであるので同一符号を用いてその説明を省略する。
【0074】
バルクフィーダによる電子部品ECの整列供給動作は、良品寸法の電子部品EC、即ち、長さLと幅Wと高さHのそれぞれが基準長さ±公差と基準幅±公差と基準高さ±公差に収まる電子部品ECを3次元室C3内に収納した後に、スライダ22を図9中でA方向に所定距離変位させ、且つ、変位後にB方向に同一距離変位させて復帰させる動作を連続的或いは間欠的に行うと共に、エア噴出孔22dから1次元通路C1内に間欠的にエアを噴出する動作を行うことによって実行される。
【0075】
スライダ22の前記動作によって、3次元室C3内に収納されている電子部品ECは該3次元室C3から2次元室C2内に幅W及び高さHの向きが揃った姿勢で取り込まれる。前記動作においてスライダ22の上部は3次元室C3内に突出するため、3次元室C3内に収納されている電子部品ECはスライダ22の上部突出による撹拌によってその幅W及び高さHの向きを変化して2次元室C2内に取り込まれるような作用を生じる。また、スライダ22の前記動作によって、2次元室C2内に取り込まれた電子部品ECは該2次元室C2から1次元通路C1内に幅W,高さH及び長さの向きが揃った姿勢で取り込まれる。前記動作においてスライダ22は上下移動をするため、この上下移動による振動等によって2次元室C2内に取り込まれた電子部品ECはその長さLの向きを変化して1次元通路C1内に取り込まれるような作用を生じる。
【0076】
1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECは幅W,高さH及び長さLの向きが揃った姿勢で該1次元通路C1内を自重により下方移動する。1次元通路C1の入口C1aの下側(下流側)には絞り部NPが存在するが、1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECの幅W,高さH及び長さLのそれぞれが基準長さ±公差と基準幅±公差と基準高さ±公差に収まる場合、該電子部品ECは絞り部NPを通過する。
【0077】
バルクフィーダの3次元室C3内には必要に応じて電子部品ECが補充されることから、補充の際に外部から3次元室C3内に入り込んだ塵埃や、補充の際或いはその前後で電子部品ECから剥がれ落ちた欠片等が、3次元室C3内に収納されている電子部品ECに付着する恐れがある。依って、前述の整列供給動作によって1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECに前記の塵埃や欠片等が付着していて幅Wと高さHの少なくとも一方の外観上寸法が絞り部NPを通過できない程度まで増していると、該電子部品ECは1次元通路C1を移動する過程で絞り部NPにて詰まって停止する。
【0078】
前述の整列供給動作に併せてエア噴出孔22dから1次元通路C1内に間欠的に噴出されるエアは、1次元通路C1内に取り込まれた電子部品ECが絞り部NPで詰まって停止したときに、該電子部品ECを絞り部NPから上方に吹き上げて詰まりを解消する作用を発揮する。エアを間欠的に噴出する理由は非噴出時間を利用して前記の整列供給動作を支障なく行うことにあり、以下この点については第1実施形態で述べた通りであるのでここでの説明を省略する。
【0079】
このように、前述のバルクフィーダによれば、絞り部NPの構成が異なるものの、第2実施形態と同様の作用効果を発揮することができる。
【0080】
また、前述のバルクフィーダによれば、前記絞り部NPが回転自在な複数のローラ23によって構成されているので、ローラ23の回転を利用して絞り部NPに詰まった電子部品ECの吹き上げをスムースに行うことができる。
【0081】
尚、前述の説明では、エア噴出孔22dを1次元通路C1と直交する向きで設けたものを示したが、図7(A)に示したものと同様に、エア噴出孔を絞り部NPに向かう向きで斜めに設けてもよい。このようにすれば、エア噴出孔から噴出されるエアを直接的に絞り部NPに詰まった電子部品ECに吹き付けて、該電子部品ECの吹き上げを効果的に行うことができる。
【0082】
また、前述の説明では、エア噴出孔22dを1次元通路C1と直交する向きで設けて所定の噴出タイミングで該エア噴出孔22dから1次元通路C1内にエアを噴出するようにしたが、図7(C)に示したものと同様に、1次元通路C1のエア噴出孔22dの下側(下流側)を閉塞可能なシャッター板をスライダ22に形成したスリットに横移動可能に設け、該シャッター板をソレノイド等の駆動源によって横移動できるように構成し、エア噴出孔22dから1次元通路C1内にエアが噴出されるタイミングでシャッター板によって1次元通路C1のエア噴出孔22dの下側(下流側)を閉塞するようにすれば、エア噴出孔22dから1次元通路C1内に噴出されるエアを絞り部NPに詰まった電子部品ECに集中して吹き付けて、該電子部品ECの吹き上げを効果的に行うことができる。
【0083】
さらに、前述の説明では、エア噴出孔22dから1次元通路C1内へのエアの噴出を間欠的に行うものを示したが、(1)絞り部NPに電子部品ECが詰まったときのみにエア供給装置の噴出バルブを手動操作で開として所期のエア噴出を行うことによって詰まりを解消するようしたり、(2)絞り部NPの下側(下流側)に該絞り部NPに電子部品ECが詰まったことを検知するための光センサを設けて、該光センサによって詰まりが検出されたときのみにコントローラによってエア供給装置の噴出バルブを一定時間開として所期のエア噴出を行うことによって詰まりを解消するようにしてもよい。
【0084】
さらに、前述の説明では、長さL(基準長さ±公差)>幅W(基準幅±公差)=高さH(基準高さ±公差)の寸法関係を有する直方体形状を成す電子部品ECに適合したものを示したが、2次元室C2の間隔を高さHの最大寸法よりも僅かに大きく、且つ、幅Wの最大寸法よりも小さな間隔とすると共に1次元通路C1の横断面形を変更すれば、長さL(基準長さ±公差)>幅W(基準幅±公差)>高さH(基準高さ±公差)の寸法関係を有する直方体形状を成す電子部品ECを前記同様の動作で整列し供給することができ、且つ、前記同様の詰まり解消効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1実施形態を示す、バルクフィーダを取込ローターの第2ローターの厚さ方向中心で破断した縦断面図である。
【図2】バルクフィーダを図1のa−a線で破断した横断面図と、バルクフィーダを図1のb−b線で破断した横断面図である。
【図3】電子部品の拡大斜視図である。
【図4】図1に示した絞り部の拡大横断面図と、図1に示した絞り部の拡大縦断面図である。
【図5】バルクフィーダによる電子部品の整列供給動作の説明図である。
【図6】噴出バルブの開閉タイミングと噴出エアの圧力との関係を示す図である。
【図7】第1実施形態の部分変形例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態を示す、バルクフィーダの縦断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態を示す、バルクフィーダの縦断面図である。
【符号の説明】
【0086】
EC…電子部品、C3…3次元室、C2…2次元室、C1…1次元通路、NP,NP’…絞り部、11g,12a1,12a1’,22c…突起、12a2,12a2’…エア噴出孔、23…ローラ、AFD…エア供給装置、GV…噴出バルブ、CON…コントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ>幅=高さの寸法関係或いは長さ>幅>高さの寸法関係を有する直方体形状の電子部品をバラ状態で収納するための3次元室と、該3次元室内の電子部品を幅及び高さの向きが揃った姿勢で取り込むための2次元室と、該2次元室内の電子部品を幅,高さ及び長さの向きが揃った姿勢で取り込んで自重移動させるための横断面矩形の1次元通路とを備えたバルクフィーダであって、
前記1次元通路の所定位置に設けられ、該1次元通路の横断面形を局部的に小さくした横断面形を有し、且つ、幅が基準幅+公差で高さが基準高さ+公差の電子部品の通過を許容する絞り部を備えている、
ことを特徴とするバルクフィーダ。
【請求項2】
前記1次元通路の絞り部の下流側に設けられ、該1次元通路内にエアを噴出するためのエア噴出孔と、
前記エア噴出孔に接続され、該エア噴出孔からのエアの噴出を行うためのエア供給装置とをさらに備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルクフィーダ。
【請求項3】
前記エア供給装置は、前記エア噴出に係るエアの供給及び停止を制御する噴出バルブを有している、
ことを特徴とする請求項2に記載のバルクフィーダ。
【請求項4】
前記エア供給装置は、前記噴出バルブを所定の開時間及び閉時間に基づいて間欠的に開閉し得るようにその動作を制御するコントローラを有している、
ことを特徴とする請求項3に記載のバルクフィーダ。
【請求項5】
前記1次元通路の絞り部の下流側に設けられ、該絞り部に電子部品が詰まったことを検知するための光センサをさらに備えており、
前記エア供給装置は、光センサによって詰まりが検出されたときのみにエア供給装置の噴出バルブを所定時間だけ開とするコントローラを有している、
ことを特徴とする請求項3に記載のバルクフィーダ。
【請求項6】
前記絞り部は、前記1次元通路の少なくとも隣接する2つの内面に設けられた突起によって構成されている、
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のバルクフィーダ。
【請求項7】
前記突起は、縦断面台形を成す、
ことを特徴とする請求項6に記載のバルクフィーダ。
【請求項8】
前記突起は、縦断面三角形を成す、
ことを特徴とする請求項6に記載のバルクフィーダ。
【請求項9】
前記絞り部は、前記1次元通路の少なくとも相対する2つの内面にその一部が該1次元通路内に突出するように回転自在に設けられたローラによって構成されている、
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のバルクフィーダ。
【請求項10】
前記エア噴出孔は、前記1次元通路の1つの内面に該1次元通路と直交する向きで設けられている。
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のバルクフィーダ。
【請求項11】
前記エア噴出孔は、前記1次元通路の1つの内面に前記絞り部に向かう向きで設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のバルクフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−164381(P2009−164381A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1239(P2008−1239)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】