説明

バルクモールディングコンパウンド、並びにランプリフレクター及びその製造方法

【課題】内部離型剤の除去処理を行わなくても、アンダーコート剤の塗装性及びアンダーコート層との密着性に優れたバルクモールディングコンパウンド成形体を与えるバルクモールディングコンパウンドを提供する。
【解決手段】本発明は、不飽和ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂と、重合性架橋剤と、内部離型剤とを含むバルクモールディングコンパウンドであって、前記不飽和ポリエステル樹脂及び/又は前記ビニルエステル樹脂と前記重合性架橋剤との合計100質量部に対して、ポリブタジエン類を1〜20質量部さらに含むことを特徴とするバルクモールディングコンパウンドである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルクモールディングコンパウンド(以下、BMCという。)、並びにランプリフレクター及びその製造方法に関する。詳細には、本発明は、自動車やオートバイなどの車両におけるヘッドランプやフォグランプなどのランプに用いられるランプリフレクターを製造するために用いられるBMC、並びにこのBMCを用いて製造されるランプリフレクター及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車やオートバイなどの車両におけるヘッドランプやフォグランプなどのランプに用いられるランプリフレクターでは、成形性、寸法安定性、耐熱性、機械的強度などの特性に優れるBMCの成形体(以下、BMC成形体という。)が基材として一般に使用されている。ここで、BMCとは、不飽和ポリエステル樹脂などのマトリックス樹脂に繊維強化材や無機充填材などを配合した成形材料である。また、このBMCにスチレン−ブタジエンブロック共重合体を配合することでBMC成形体の収縮を低減することも知られている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【0003】
ランプリフレクターの製造では、反射面の平滑性を確保するため、アンダーコート剤を基材であるBMC成形体上に塗布及び硬化してアンダーコート層を形成した後、このアンダーコート層上に蒸着などの方法を用いてアルミニウムなどの金属からなる金属反射層を形成する。そのため、BMC成形体には、アンダーコート剤の塗装性及びアンダーコート層との密着性に優れていることが要求される。
しかしならが、BMCには内部離型剤が一般に配合されているため、アンダーコート剤をBMC成形体上に塗布する際に、BMC成形体の表面に存在する内部離型剤によってアンダーコート剤の「ハジキ」が生じたり、アンダーコート層がBMC成形体と十分に密着しないという問題がある。そのため、BMC成形体を長時間加熱炉に入れる熱処理やフレーム処理などのような、BMC成形体の表面に存在する内部離型剤の除去処理が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−53844号公報
【特許文献2】特開平5−140434号公報
【特許文献3】国際公開第2006/095414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、BMC成形体の表面に存在する内部離型剤の除去処理は、ランプリフレクターの生産性を低下させたり、ランプリフレクターの製造コストを高めたりするという問題がある。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、内部離型剤の除去処理を行わなくても、アンダーコート剤の塗装性及びアンダーコート層との密着性に優れたBMC成形体を与えるBMCを提供することを目的とする。
また、本発明は、生産性を高め、且つ製造コストを低減したランプリフレクター及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、BMC成形体におけるアンダーコート剤の塗装性及びアンダーコート層との密着性の低下が、BMC成形体の表面における内部離型剤の偏在化と密接に関係しているという知見に基づき、ポリブタジエン類を特定の割合でBMCに配合することにより、相分離構造を有するBMC成形体が得られ、この相分離構造によってBMC成形体の表面における内部離型剤の偏在化を防止し得ることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、不飽和ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂と、重合性架橋剤と、内部離型剤とを含むBMCであって、前記不飽和ポリエステル樹脂及び/又は前記ビニルエステル樹脂と前記重合性架橋剤との合計100質量部に対して、ポリブタジエン類を1〜20質量部さらに含むことを特徴とするBMCである。
また、本発明は、前記BMCの成形体と、前記成形体上に形成されたアンダーコート層と、前記アンダーコート層上に形成された金属反射層とを含むことを特徴とするランプリフレクターである。
さらに、本発明は、前記BMCを成形して成形体を得る工程と、内部離型剤の除去処理を行うことなく、前記成形体上にアンダーコート剤を塗布して硬化させてアンダーコート層を形成する工程と、前記アンダーコート層上に金属反射層を形成する工程とを含むことを特徴とするランプリフレクターの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内部離型剤の除去処理を行わなくても、アンダーコート剤の塗装性及びアンダーコート層との密着性に優れたBMC成形体を与えるBMCを提供することができる。
また、本発明によれば、生産性を高め、且つ製造コストを低減したランプリフレクター及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1a】実施の形態2のランプリフレクターを備えたランプの断面図である。
【図1b】図1aのa−a'線の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
本実施の形態のBMCは、不飽和ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂、重合性架橋剤並びに内部離型剤に加えて、ポリブタジエン類を含む。
本実施の形態のBMCに用いられる不飽和ポリエステル樹脂とは、一般に、多価アルコールと、不飽和多塩基酸及び任意の飽和多塩基酸とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を、重合性架橋剤(反応性希釈剤ともいう。)に溶解したものである。このような不飽和ポリエステル樹脂は、当該技術分野において一般に公知であり、例えば、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)や「塗料用語辞典」(色材協会編、1993年発行)などに記載されている。
【0011】
不飽和ポリエステルとしては、特に限定されず、公知の方法により製造されたものを用いることができる。不飽和ポリエステルの原料として用いられる不飽和多塩基酸(重合性不飽和結合を有する多塩基酸)としては、特に限定されず、例えば、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸又はそれらの無水物などが挙げられる。不飽和ポリエステルの原料として用いられる飽和多塩基酸(重合性不飽和結合を有しない多塩基酸)としては、特に限定されず、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ヘット酸、コハク酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸又はそれらの無水物などが挙げられる。不飽和ポリエステルの原料として用いられる多価アルコールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリンなどが挙げられる。これらの不飽和ポリエステルの原料は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和ポリエステルの合成条件は、特に限定されず、使用する原料の種類などに応じて適宜設定すればよい。
【0012】
不飽和ポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲において変性してもよい。例えば、不飽和ポリエステルの末端のカルボキシル基にグリシジル(メタ)アクリレートなどを付加させてポリエステル(メタ)アクリレートとしてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲において、不飽和ポリエステルの一部として、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂などのラジカル硬化性樹脂を用いることもできる。
不飽和ポリエステルは、不飽和度が比較的高いことが好ましく、不飽和基当量(不飽和基1個当たりの分子量)が約100〜約800であることがより好ましい。不飽和基当量が100未満のものは合成が困難である。一方、不飽和基当量が800を超えると所望の硬度を有するBMC成形体を得ることができない場合がある。
【0013】
不飽和ポリエステル樹脂に用いられる重合性架橋剤としては、不飽和ポリエステルと重合可能な二重結合を有しているものであれば特に限定されず、例えば、スチレンモノマー、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系架橋剤;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系架橋剤;ジアリルフタレートモノマー;ジアリルフタレートプレポリマー;トリアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの中でも、スチレンモノマーは、上記の特性をバランス良く得ることができるので好ましい。
【0014】
不飽和ポリエステルを重合性架橋剤に溶解した不飽和ポリエステル樹脂の酸価は、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。不飽和ポリエステル樹脂の酸価が20を超えると、BMC成形体が相分離構造を十分に有さず、内部離型剤の偏在化を十分に防止することができない場合がある。
【0015】
本実施の形態のBMCに用いられるビニルエステル樹脂は、エポキシアクリレート樹脂とも呼ばれるものであり、一般に、グリシジル基(エポキシ基)を有する化合物と、重合性不飽和結合を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和結合を有する化合物(ビニルエステル)を、重合性架橋剤に溶解したものである。このようなビニルエステル樹脂は、当該技術分野において一般に公知であり、例えば、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)や「塗料用語辞典」(色材協会編、1993年発行)などに記載されている。
【0016】
ビニルエステルとしては、特に限定されず、公知の方法により製造されたものを用いることができる。ビニルエステルの原料として用いられるグリシジル基(エポキシ基)を有する化合物としては、特に限定されず、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ノボラック型グリシジルエーテル類などが挙げられる。ビニルエステルの原料として用いられる重合性不飽和結合を有するカルボキシル化合物としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和一塩基酸;ビスフェノール(A型など)、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの二塩基酸などが挙げられる。特に、二塩基酸を原料として用いれば、ビニルエステルに可撓性を付与することができる。これらのビニルエステルの原料は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニルエステルの合成条件は、特に限定されず、使用する原料の種類などに応じて適宜設定すればよい。
【0017】
ビニルエステルは、不飽和ポリエステルと同じように、本発明の効果を阻害しない範囲において、変性したり、ビニルエステルの一部としてラジカル硬化性樹脂を用いたりすることもできる。
ビニルエステルは、不飽和度が比較的高いものが好ましく、不飽和基当量(不飽和基1個当たりの分子量)が約100〜約800であることがより好ましい。不飽和基当量が100未満のものは合成が困難である。一方、不飽和基当量が800を超えると所望の硬度を有するBMC成形体を得ることができない場合がある。
【0018】
ビニルエステル樹脂に用いられる重合性架橋剤としては、ビニルエステルと重合可能な二重結合を有していれば特に限定されず、一般に、不飽和ポリエステル樹脂に用いられる重合性架橋剤と同じである。具体的には、ビニルエステル樹脂に用いられる重合性架橋剤としては、スチレンモノマーなどのスチレン系架橋剤、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの中でも、スチレンモノマーは、重合性架橋剤に要求される様々な特性をバランス良く得ることができるので好ましい。
【0019】
本実施の形態のBMCに用いられる重合性架橋剤は、繊維強化材や無機充填材などの混練性や含浸性を高めると共に、BMC成形体の硬度、強度、耐薬品性、耐熱性などを向上させる成分である。この重合性架橋剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。また、この重合性架橋剤は、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂に用いられる重合性架橋剤と同じものであってよい。
本実施の形態のBMCにおける重合性架橋剤(不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂に用いられる重合性架橋剤も含む)の配合量は、不飽和ポリエステル100質量部に対して10〜250質量部、好ましくは20〜100質量部である。重合性架橋剤の配合量が10質量部未満であると、繊維強化材や無機充填材などの混練性や含浸性、及び作業性が低下する共に、所望の耐食性を有するBMC成形体が得られない場合がある。一方、重合性架橋剤の配合量が250質量部を超えると、所望の強度及び耐熱性を有するBMC成形体が得られない場合がある。
【0020】
本実施の形態のBMCに用いられる内部離型剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。内部離型剤の例としては、ステアリン酸;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸塩;オレイン酸;カルバナワックス;シリコンオイル;界面活性剤とコポリマーとの混合物(ビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−P9050)などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、内部離型剤の配合量は、特に限定されず、使用する原料の種類などに応じて適宜設定すればよい。
【0021】
本実施の形態のBMCに用いられるポリブタジエン類はブタジエンゴムとも呼ばれるものであり、BMC成形体に相分離構造を与え、この相分離構造によってBMC成形体の表面における内部離型剤の偏在化を防止する成分である。ここで、相分離構造とは、樹脂成分中に複数の相が存在する構造を意味する。
ポリブタジエン類としては、例えば、1,2−ポリブタジエン;水酸基末端ポリブタジエン、カルボキシル基末端ポリブタジエン、アミノ基末端ポリブタジエンなどの官能基を末端に有するポリブタジエン;アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムなどが挙げられる。これらの中でも、官能基を末端に有するポリブタジエンが好ましく、水酸基末端ポリブタジエンがより好ましい。また、ポリブタジエン類として、市販のものを用いることもできる。市販のポリブタジエン類としては、例えば、水酸基末端ポリブタジエンである出光興産株式会社製R−45HT、R−15HTなどが挙げられる。
【0022】
本実施の形態のBMCにおけるポリブタジエン類の配合量は、不飽和ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂と重合性架橋剤との合計100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは1〜18質量部である。ポリブタジエン類の配合量が1質量部未満であると、ポリブタジエン類の配合による効果が十分に得られず、BMC成形体の表面における内部離型剤の偏在化を十分に防止することができない。逆に、ポリブタジエン類の配合量が20質量部を超えると、BMC成形体の脱型性などの特性が低下してしまう。
【0023】
本実施の形態のBMCは、一般に繊維強化材や無機充填材を含む。
繊維強化材としては、特に限定されず、例えば、繊維長1.5〜25mm程度に切断したチョップドストランドガラスが挙げられる。また、カーボン繊維、パルプ繊維、テトロン(登録商標)繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ワラストナイトなどの有機繊維や無機繊維を使用することもできる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施の形態のBMCにおける繊維強化材の配合量は、特に限定されず、不飽和ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂と重合性架橋剤との合計100質量部に対して、好ましくは3〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部である。繊維強化材の配合量が3質量部未満であると、所望の強度を有するBMC成形体が得られない場合がある。逆に、繊維強化材の配合量が300質量部を超えると、繊維強化材の混練性又は含浸性や、BMCの流動性が低下すると共に、所望の特性を有するBMC成形体が得られない場合がある。
【0024】
無機充填材としては、特に限定されず、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムが一般的である。これらの無機充填材以外にも、ガラス粉、ガラスビーズ、シリカ、タルク、クレー、アルミナ、硫酸バリウム、酸化チタン、中空フィラーなどの公知の無機充填材を用いることができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで、中空フィラーとしては、特に限定されず、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、アルミナバルーンなどが挙げられる。中空フィラーは、耐圧強度が、好ましくは少なくとも2100×10N/m以上、より好ましくは4100×10N/m以上、真比重が、好ましくは0.3〜0.8、より好ましくは0.4〜0.65の範囲である。中空フィラーの耐圧強度が2100×10N/m未満であると、BMCの調製時やBMCの成形時に中空フィラーが破壊されてしまい、中空フィラーの配合による効果(成形体の比重の低減)が十分に得られない場合がある。また、中空フィラーの真比重が0.3未満であると、BMCの粘度が高くなるため、BMCの成形性が低下すると共に、中空フィラー以外の無機充填材の配合量を減らす必要がある。その結果、所望の特性を有するBMC成形体が得られない場合がある。逆に、中空フィラーの真比重が0.8を超えると、中空フィラーの配合による効果が十分に得られない場合がある。
【0025】
無機充填材の形状としては、特に限定されない。また、無機充填材は、混練性又は含浸性などを考慮すると、平均粒径が0.5μm〜50μmであることが好ましい。平均粒径が0.5μm未満であると、BMCの粘度が高くなり、所望の成形性が得られない場合がある。逆に、平均粒径が50μmを超えると、BMCの流動性が低下し、所望の成形性が得られない場合がある。
【0026】
本実施の形態のBMCにおける無機充填材の配合量は、特に限定されず、不飽和ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂と重合性架橋剤との合計100質量部に対して、好ましくは100〜500質量部、より好ましくは200〜450質量部である。無機充填材の配合量が100質量部未満であると、BMCの流動性が高くなりすぎると共に、所望の特性を有するBMC成形体が得られない場合がある。無機充填材の配合量が500質量部を超えると、BMCの粘度が高くなり、無機充填材の混練性又は含浸性や、BMCの流動性が低下すると共に、所望の特性を有するBMC成形体が得られない場合がある。
【0027】
また、特に、無機充填材として中空フィラーを用いる場合、BMCにおける中空フィラーの配合量は、不飽和ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂と重合性架橋剤との合計100質量部に対して、好ましくは30〜120質量部、より好ましくは40〜75質量部である。中空フィラーの配合量が30質量部未満であると、中空フィラーの配合による効果が十分に得られない場合がある。逆に、中空フィラーの配合量が120質量部を超えると、BMCの粘度が高くなるため、BMCの成形性が低下すると共に、中空フィラー以外の無機充填材の配合量を減らす必要がある。その結果、所望の特性を有するBMC成形体が得られない場合がある。
【0028】
本実施の形態のBMCは、必要に応じて硬化剤、低収縮剤、増粘剤、減粘剤、顔料などの公知の添加剤を含むことができる。
硬化剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。硬化剤の例としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどの有機過酸化物系触媒や、アゾ化合物などが挙げられる。具体的には、硬化剤として、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,3−イソプロピルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミドなどを用いることができる。これらの中でも、保存安定性の観点から、ジクミルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドが好ましい。また、これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施の形態のBMCにおける硬化剤の配合量は、特に限定されず、使用する硬化剤の種類に応じて適宜調整すればよい。
【0029】
低収縮剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。低収縮剤の例としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、飽和ポリエステルなどの熱可塑性ポリマーが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施の形態のBMCにおける低収縮剤の配合量は、不飽和ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂と重合性架橋剤との合計100質量部に対して、好ましくは15〜50質量部である。低収縮剤の配合量が15質量部未満であると、低収縮剤の配合による効果が十分に得られない場合がある。逆に、低収縮剤の配合量が50質量部を超えると、BMCの成形時に、型内流動性が低下する場合がある。
【0030】
増粘剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。増粘剤の例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどの金属酸化物や金属水酸化物;イソシアネート化合物などが挙げられる。
減粘剤及び顔料としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。
本実施の形態のBMCにおける増粘剤、減粘剤及び顔料の配合量は、特に限定されず、使用する増粘剤、減粘剤及び顔料の種類に応じて適宜調整すればよい。
【0031】
本実施の形態のBMCは、上記のような成分を通常行われる方法、例えば、上記成分を配合した後、ニーダーなどを用いて混練することによって製造することができる。
また、本実施の形態のBMCは、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形などの公知の成形法を用いて所望の形状に形成することができる。
このようにして得られるBMC成形体は、相分離構造を有しており、この相分離構造によってBMC成形体の表面における内部離型剤の偏在化を防止することができる。これにより、アンダーコート剤をはじめとする各種コーティングを施す場合に、各種コーティングの「ハジキ」を防止することができ、各種コーティングとBMC成形体との密着性を高めることが可能となる。
【0032】
実施の形態2.
本実施の形態のランプリフレクターは、BMC成形体と、BMC成形体上に形成されたアンダーコート層と、アンダーコート層上に形成された金属反射層とを含む。
以下、ランプリフレクターの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1aは、本実施の形態のランプリフレクターを備えたランプの断面図である。また、図1bは、図1aのa−a'線の拡大断面図である。
図1aにおいて、ランプは、一般に、ランプリフレクターと、ランプリフレクターの所定の位置に設けられた光源4と、ランプリフレクターの開口部に設けられた前面レンズ5とを備えている。ここで、ランプリフレクターは、図1bに示すように、BMC成形体1と、BMC成形体1上に形成されたアンダーコート層と、アンダーコート層2上に形成された金属反射層3とを有する。このランプでは、光源4から生じる光を、ランプリフレクター、より具体的には金属反射層3によって反射させる。
【0033】
このような構成を有する本実施の形態のランプリフレクターは、次のようにして製造することができる。
まず、実施の形態1のBMCを成形してBMC成形体1を得る。ここで、BMC成形体1は、実施の形態1のBMCを圧縮成形、トランスファー成形、射出成形などの公知の成形法を用いて所定の形状に成形することによって得ることができる。このBMC成形体1は、相分離構造を有しており、この相分離構造によってBMC成形体1の表面における内部離型剤の偏在化を防止することができる。
【0034】
次に、内部離型剤の除去処理を行うことなく、BMC成形体1上にアンダーコート剤を塗布して硬化させてアンダーコート層2を形成する。ここで、従来のランプリフレクターの製造方法においては、アンダーコート剤の「ハジキ」などの問題を解決するためにBMC成形体1の表面に存在する内部離型剤の除去処理を行う必要があったのに対し、本発明では、BMC成形体1の相分離構造によってBMC成形体1の表面における内部離型剤の偏在化を防止しているため、BMC成形体1の表面に存在する内部離型剤の除去処理を行う必要がない。これにより、ランプリフレクターの生産性を高めると共に、ランプリフレクターの製造コストを低減することが可能になる。また、このBMC成形体1は、その表面に微細な凹凸を有しているため、BMC成形体1とアンダーコート層2との密着性を高めることができ、結果として信頼性の向上にもつながる。
【0035】
アンダーコート層2を与えるアンダーコート剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。このアンダーコート剤は、プライマー組成物とも呼ばれ、一般に熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物である。熱硬化性樹脂の例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどの多官能性モノマーの単独重合又は共重合によって得られるアクリル樹脂などが挙げられる。また、この樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニル変性ポリエステル樹脂、フェノール変性ポリエステル樹脂、油脂変性ポリエステル樹脂、シリコーン変性ポリエステル樹脂などのポリエステル樹脂、硬化剤、溶剤などを含んでいてもよい。このようなアンダーコート剤は一般に市販されており、例えば、BASF社製QN11−0107などを用いることができる。
【0036】
アンダーコート剤をBMC成形体1上に塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、エアースプレー方式やエアレススプレー方式などの公知の方法を用いることができる。また、硬化方法も、特に限定されず、アンダーコート剤の種類に応じて適宜選択すればよい。
アンダーコート層2の厚さは、要求されるランプリフレクターの大きさなどにあわせて適宜設定すればよいが、一般に10〜50μmである。
【0037】
次に、アンダーコート層2上に金属反射層3を形成する。金属反射層3の材料としては特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。金属反射層3の材料の例としては、アルミニウム、銀、亜鉛、銀や亜鉛を主体とした合金などが挙げられる。
金属反射層3をアンダーコート層2上に形成する方法としては、特に限定されず、例えば、真空蒸着法などの公知の方法を用いることができる。
金属反射層3の厚さは、要求されるランプリフレクターの大きさなどにあわせて適宜設定すればよいが、一般に800〜2,000Åである。
【0038】
ランプボディの所定の位置に設けられる光源4及び前面レンズ5としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。光源4及び前面レンズ5を設ける方法は、特に限定されず、公知の方法に準じて行うことができる。
このようにして製造される本実施の形態のランプリフレクターは、生産性が高く、且つ製造コストが安い。
【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例によって本発明を詳細に説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(不飽和ポリエステル樹脂Aの合成)
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管及び温度計を備えた反応容器中に、プロピレングリコール100モル、無水フタル酸30モル、無水マレイン酸70モルを仕込み、定法に従い210℃で酸価が20mgKOH/gになるまで反応させた。次に、反応物100質量部に対してハイドロキノンを0.015質量部添加して160℃に冷却した後、スチレンモノマーをさらに添加して不飽和ポリエステル樹脂Aを得た。ここで、スチレンモノマーは、不飽和ポリエステル樹脂A中で35質量%となるように添加した。また、不飽和ポリエステル樹脂の酸価は、13mgKOH/gであった。
【0040】
(不飽和ポリエステル樹脂Bの合成)
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管及び温度計を備えた反応容器中に、1,000gの不飽和ポリエステル樹脂A、不飽和ポリエステル樹脂Aのカルボキシル基の1.2倍当量のグリシジルメタクリレート0.24モル(33.6g)、不飽和ポリエステル樹脂Aとグリシジルメタクリレートの合計量100質量部に対して0.2質量部のトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、不飽和ポリエステル樹脂Aとグリシジルメタクリレートの合計量100質量部に対して0.015質量部のハイドロキノンを仕込み、空気を吹き込みながら110〜130℃で3〜4時間反応させて不飽和ポリエステル樹脂Bを得た。この不飽和ポリエステル樹脂Bの酸価は0mgKOH/gであった。また、不飽和ポリエステル樹脂B中のスチレンモノマーの含有量は35質量%とした。
【0041】
(実施例1〜12)
表1に示す配合組成で各成分を仕込み、双碗型ニーダーを用いて混練することでBMCを得た。
得られたBMCについて、成形収縮率、成形性、機械的強度の評価を行った。試験、評価の方法は次の通りである。
【0042】
(1)成形収縮率
成形収縮率は、JIS K−6911に規定される収縮円盤を、成形温度150℃、成形圧力100Kg/cm、成形時間3分の条件下で圧縮成形することによって作製し、JIS K−6911に従って成形収縮率を算出した。
【0043】
(2)成形性
成形性は、レベリング、光沢、充填性及び脱型性について評価した。
レベリング、光沢、充填性、脱型性は、成形温度150℃、成形圧力100Kg/cm、成形時間3分の条件下で圧縮成形して3mm×300mm×220mmの平板を作製し、目視にて評価した。
レベリング、充填性及び脱型性の評価において、◎は非常に優れる、○は良好、△はやや劣る、×は不良を意味する。
光沢の評価において、Aは光沢あり、Bは光沢なし(曇っている)を意味する。
【0044】
(3)機械的強度
機械的強度は、曲げ強さ、曲げ弾性率及びシャルピー衝撃強さについて評価した。
JIS K6911に規定される曲げ強さ及び曲げ弾性率試験片を、成形温度150℃、成形圧力10MPa、成形時間3分の条件下で圧縮成形することによって作製し、JIS K6911に基づいて曲げ強さ及び曲げ弾性率を測定した。また、同様の試験片について、シャルピー衝撃試験機を用いてシャルピー衝撃強さを測定した。
【0045】
次に、上記で得られたBMCを用い、140℃×4分の条件下で圧縮成形を行い、3mm×300mm×220mmの平板(BMC成形体)を作製した。そして、この平板上に、UV硬化型アンダーコート剤(BASF社製QN11−0107)をスプレーによって40μmの厚みとなるように塗布した後、高圧水銀ランプを用いてUVを照射し、塗布物を硬化させた。UV照射では、1パスあたり600mJ/cmのUVを照射したところ、2パス目においてタックフリーとなり、6パス目においてアセトンで拭いてもベトツキがなくなった。
UV照射を6パス行ったサンプルについて、碁盤目テストによる密着性評価を行った。碁盤目テストは、当該サンプルについて、JIS K 5400 8.5.2項の碁盤目テープ法(切り傷間隔:2mm)に従い、JIS K 5400 8.5項の表18に規定される評価点数で評価した。
【0046】
他方、上記で得られたBMCを用い、射出成形によってランプリフレクターの形状に成形した後、その上に上記と同様にしてUV硬化型アンダーコート剤(BASF社製QN11−0107)を40μmの厚みとなるように塗布し、硬化させた。このサンプルについて、上記と同様にして碁盤目テストによる密着性評価を行った。
また、このサンプル上にアルミニウムを蒸着させたところ、均一なアルミ層が形成されることが確認された。
【0047】
(比較例1〜5)
実施例1〜12と同様にして、各サンプルを作製して同様の評価を行った。
上記の評価結果に関し、実施例1〜12の結果を表1、比較例1〜5の結果を表2にそれぞれ示す。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
表1及び2の結果からわかるように、ポリブタジエン類を特定の割合で配合した実施例1〜12のBMCは成形性が良好であり、機械的強度に優れたBMC成形体を与えることがわかった。また、実施例1〜12のBMC成形体は、アンダーコート剤の塗装性や密着性に優れていることもわかった。これは、実施例1〜12の光沢の評価においてBMC成形体の表面が曇っていることから、BMC成形体が相分離構造を有していることに起因していると考えられる。つまり、この相分離構造によってBMC成形体の表面における内部離型剤の偏在化が防止され、内部離型剤の除去処理を行わなくても、アンダーコート剤の塗装性や密着性が向上したものと考えられる。
これに対して、ポリブタジエン類の配合量が多すぎる比較例1〜3のBMCは、BMC成形体が相分離構造を有しているため、アンダーコート剤の塗装性や密着性に優れていたものの、成形性(特に、脱型性)や、BMC成形体の機械的強度(特に、熱間強度)が低下した。
また、ポリブタジエン類を配合していない比較例4及び5のBMCは、成形性が良好であり、機械的強度が良好なBMC成形体を与えたものの、BMC成形体に対するアンダーコート剤の塗装性や密着性が十分でなかった。これは、比較例4及び5のBMC成形体は、光沢の評価において光沢があり、相分離構造を有していないためであると考えられる。
【0051】
以上の結果からわかるように、本発明によれば、内部離型剤の除去処理を行わなくても、アンダーコート剤の塗装性及びアンダーコート層との密着性に優れたBMC成形体を与えるBMCを提供することができる。また、本発明によれば、生産性を高め、且つ製造コストを低減したランプリフレクター及びその製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 BMC成形体、2 アンダーコート層、3 金属反射層、4 光源、5 前面レンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂と、重合性架橋剤と、内部離型剤とを含むバルクモールディングコンパウンドであって、
前記不飽和ポリエステル樹脂及び/又は前記ビニルエステル樹脂と前記重合性架橋剤との合計100質量部に対して、ポリブタジエン類を1〜20質量部さらに含むことを特徴とするバルクモールディングコンパウンド。
【請求項2】
相分離構造を有する成形体を与えることを特徴とする請求項1に記載のバルクモールディングコンパウンド。
【請求項3】
前記不飽和ポリエステル樹脂の酸価は20以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルクモールディングコンパウンド。
【請求項4】
前記ポリブタジエン類は水酸基末端ポリブタジエンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルクモールディングコンパウンド。
【請求項5】
硬化剤、低収縮剤、増粘剤、減粘剤及び顔料からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルクモールディングコンパウンド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のバルクモールディングコンパウンドの成形体と、前記成形体上に形成されたアンダーコート層と、前記アンダーコート層上に形成された金属反射層とを含むことを特徴とするランプリフレクター。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のバルクモールディングコンパウンドを成形して成形体を得る工程と、
内部離型剤の除去処理を行うことなく、前記成形体上にアンダーコート剤を塗布して硬化させてアンダーコート層を形成する工程と、
前記アンダーコート層上に金属反射層を形成する工程と
を含むことを特徴とするランプリフレクターの製造方法。

【図1a】
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【図1b】
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【公開番号】特開2011−162748(P2011−162748A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30392(P2010−30392)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】