説明

バルク材料精密移送シュート装置

バルク材料精密移送シュート装置10は、排出コンベア16から別個の受入コンベア18へ材料の流れを移送する。装置10は、排出コンベア16から材料の流れを受け入れ、その材料を受入コンベア18へ移送し、受入コンベア18が、受入コンベア18からの材料の流出を回避し、受入コンベア18に対する摩耗を回避し、材料の移送による過度の塵の発生を回避する精密な方式で材料を届ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出コンベアから別個の受入コンベアへ材料の流れを移送するバルク材料移送シュートに関する。特に、本発明は、材料の流出を回避し、材料の移送による過度の塵の発生を回避し、材料の劣化を減少させ、受入コンベア構成要素の応力および摩耗を減少させてそれによって維持および修理コストを減少させ、受入コンベアの所要電力を減少させるような精密な方式で、排出コンベアから材料の流れを受け、その材料を受入コンベアへ移送し、受入コンベアの表面上に材料の流れを届ける精密移送シュートに関する。
【背景技術】
【0002】
ある領域から別の領域への、たとえば石炭などのバルク材料の輸送はしばしば、あるコンベア装置から別のコンベア装置への材料のストリームまたは流れの移送を含む。一方のコンベアから他方のコンベアへの材料の移送では、材料が一方のコンベアの排出端部から排出され、かつ他方のコンベアの受入端部上へ移送されることが、しばしば必要である。このバルク材料の移送を容易にするために、排出コンベアから材料の流れを受け入れ、受入コンベア上へ材料の流れを届けるかまたは排出する大型のホッパまたは移送シュートが、設計されてきた。
【0003】
バルク材料移送シュートの設計は、過去50年にわたって基本的に変更されないままである。典型的な移送シュートは、粉炭および塵が蓄積して発火または爆発の危険を生じさせる可能性がある内部隅部および縁部を有する、ほぼ箱様の台形形状である。排出コンベアが、シュートの上部に配置され、受入コンベアがシュートの底部に配置されている。移送シュートの上部開口は、内部隅部および縁部、ならびに排出コンベアの排出端部に対向して配置された少なくとも1つの平坦な端壁を有する、ほぼ矩形の形状を有する。排出コンベアから排出された材料、たとえば石炭が、重力によってシュートの内部へ下向きに落ちる前に、平坦な端壁に衝突することがよくある。
【0004】
石炭は、シュートの移行セクションを通って下向きに落ちる。シュート移行セクションは、傾斜した内部隅部に接し、それらが下向きに延びるにつれて収束する平坦な側壁を有し、シュートの移行セクションの断面積は、シュートが下向きに延びるにつれて減少する。
【0005】
装填セクションが、シュート移行セクションの下に配置されている。装填セクションもまた、傾斜した内部隅部および受入コンベアの方向および速度に石炭を方向付ける滑動内部表面を有する、平坦な側壁を有する。
【0006】
装填スカートが、装填セクションの底部に配置されている。装填スカートは、受入コンベア長さの一部分に沿って延びる側壁、および受入コンベアのスカート付き部分を覆って延びる上壁すなわちカバーを有する。シュート装填セクションは、装填スカートの内部の受入コンベアの部分の上にバルク材料を排出する。装填スカート側壁は、コンベア上を移送される材料の乱流の結果として生じるコンベアの側部からの石炭の流出を防止し、上壁が側壁とともに塵閉じ込めチャンバを形成し、乱流によって生じる塵を最小化する。乱流は、シュートを通る材料の制御されない流れ、およびより速く移動する材料がより遅く移動する受入コンベアと衝突するときの材料速度の変化によって材料内に生じる。スカートが、装填セクションの底部から受入コンベア上へ注入されるバルク材料の塵および流出を最小化するように機能する。スカートはまた、装填セクションの底部を通って注入され、受入コンベアのベルト表面と衝突する石炭などの材料によって生成される塵を最小化するように意図されている。
【0007】
ラバーシールが、受入コンベアに隣接するスカート側壁の外側面に沿って一般に配置されている。ラバーシールは、締結タイプの装置を用いてスカート側壁に装着されている。装置は、ラバーシールを受入コンベアとの接触状態に保持し、受入コンベアからの塵の通過を防止する受入コンベアとの密封を形成する。ラバーシールは、消耗品として設計され、効率的な密封を提供することでのそれらの受入コンベアとの常時の接触により、定期的な維持作業および頻繁な交換を必要とする。また、コンベアシステムの両側での受入コンベアに対するシールの接触の一定の圧力が、摩擦抵抗を受入コンベア上に生じさせ、このことが受入コンベア動力源の馬力を増加させることを必要とし、したがってコンベアを動作させるコストを増加させる。
【0008】
上記で説明された従来型のバルク材料移送シュートは、いくつかの点で不利である。シュート内部の上部で移送シュートと衝突する、排出コンベアから排出されたバルク材料が、塵を生じさせ、シュート内に届ける材料のサイズを減少させ、材料によって衝突されるシュートの壁に摩耗を生じさせる。内部壁表面および隅部との材料の衝突が、材料の連続的な蓄積を生じさせ、シュートの詰まりを引き起こす。目詰まりは、シュートを通る材料の流れを停止させ、火災または爆発の可能性による安全性リスクを増加させ、目詰まりを一掃するための維持コストを増加させる。シュート移行セクションを通って落ちる材料が飛び散り、シュートを通ってまたはシュートから外へ塵を運ぶ空気を混入させる。いくつかのシュート移行および装填セクション設計では、シュートを通り、受入コンベアの表面上へのバルク材料の自由落下が、コンベアに摩耗を生じさせる可能性があり、かつ塵または流出を生じさせる可能性がある。シュートを通る材料の無秩序な流れが、受入コンベアの表面上への材料の中心からそれた装填を生じさせる。このことはしばしば、スカートを維持するための維持コストを増加させる受入コンベアの側面からの材料の流出を結果として生じさせ、かつ人によって吸入される可能性がある、または発火または爆発の危険を生じさせる可能性がある、塵の発生による安全性および健康上の危険をもたらす。シュート移行セクションの排出口での装填スカートに対する必要性もまた、維持コストを追加し、移送シュートの全体コストと健康および安全性リスクを増加させる。コンベア上でスカートをひきずることが、コンベアおよびスカートに摩耗を生じさせ、コンベアの所要電力を増加させる。スカートをひきずることはまた、より頻繁に、スカートおよびコンベアが修理される、または構成要素が交換されることを必要とする。
【0009】
コンピュータ生成の離散粒子法(DEM)を用いたシュートを通る材料の流れおよび速度の制御は、最近発達してきた。離散要素モデリングは、シュートを通過するときの材料の挙動を予測するために、バルク材料粒子サイズ、および様々なシュートライナー材料をシミュレートした理論上の摩擦係数を考慮する。シュート内部壁の傾斜勾配が、シュートを通過するバルク材料の速度を制御し、かつシュートを通過する圧縮された材料輪郭形状を維持するように構成および調節される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
DEMは多くの適用例で成功が証明されているが、シュート設計のこの方法もまた、顕著な欠点を有する。DEMは、従来型のシュート設計と同様に、受入コンベアの装填箇所でスカートシステムの使用を採用しており、既に説明されたのと同じ構成要素および欠点を有する。
【0011】
また、DEMは、単一のバルク材料粒子サイズおよび摩擦係数に基づいてシュートを通過するときの材料の輪郭形状および速度を制御している。しばしば、これらの粒子設計基準は、バルク材料取扱いシステムの予想される寿命全体にわたって変化する。発電プラント適用例では、石炭供給者を変更することにより、およびしばしば石炭粉砕機または粒化機などの関連する装置の性能により、頻繁に材料粒子サイズが変化する。この粒子サイズの変化は、シュートを通過する材料の速度および形状を正確に制御するためにシュートの設計を再モデリングすること対する必要性を結果として生じさせる。大雨および凍結状態による高水分含有量などの環境条件が、バルク材料粒子とシュート内部の境界表面との間の摩擦係数に悪影響を与える。環境条件の変化の結果としての摩擦係数のこの変化が、材料速度の制御においてDEMを不十分にする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のバルク材料精密移送シュート装置は、材料の速度および輪郭形状を制御し、材料の劣化を回避し、塵の発生を減少させ、シュート内の材料の蓄積を減少させ、かつ移送シュートおよび受入コンベアに対する摩耗を減少させながら、排出コンベアから受入コンベアへバルク材料を移送する調節可能かつ新規な移送および装填シュート構造を提供することによって、上記で議論された従来技術の移送シュートに付随する欠点を克服する。本発明の移送シュートはまた、装填スカートに対する必要性を除去し、それによって、移送シュートの製造コスト、維持コスト、安全性および健康リスク、ならびにエネルギー消費を減少させる。シュート構造は、石炭の状態(すなわち、乾燥または湿潤)に最も良く適するようにシュート流路を鉛直方向に調節することの利点を提供する。湿った石炭は、蓄積を防止するため、および受入コンベアへの排出速度を調節するために、より鉛直方向に落下されることができる。水平方向の調節もまた、受入コンベアの中央装填を可能にする。調節可能性は、シュートの目詰まりを回避する。
【0013】
本発明のバルク材料移送シュート装置は、シュートの上部に配置された湾曲したフードと、曲線状または丸みを帯びた漏斗形状の移行セクションと、移行セクションの下に配置された調節可能な、丸みを帯びた装填チューブから成る。移送シュートの構成部品は、金属またはその他の類似のタイプの耐摩耗性材料から製造され、外部枠組によって支持されている。排出コンベアが、バルク材料、たとえば石炭を、シュートの上部の移送シュート内へ運び、受入コンベアが、シュートの底部から排出された材料を運ぶ。
【0014】
移送シュートのフードセクションは、湾曲した形状を有する。フードは、排出コンベアの排出端部に対向して配置され、かつコンベアから排出された材料をシュート移行セクションの上部開口内へ再方向付けする。フードセクションは、開口デバイスが、シュート内部への容易なアクセスを許すために適用されるように設計されている。このアクセス可能方法は、より低い維持コストおよび大きな安全性を提供する。フードの湾曲した形状は、材料を捕捉し、かつコンパクトな材料輪郭形状を維持する。フードは、摩耗に対して耐性であり、材料の衝突力を減少させ、それによって材料の劣化および塵の発生を最小化する。
【0015】
移行セクションは、フードによって再方向付けされた材料を受ける上部開口を有する。湾曲したフードによって再方向付けされた材料が、移行セクションの内部空間を通って下向きに滑動する。移行セクションは、丸みを帯びた隅部を有するほぼ漏斗形状である。移行セクション内部の断面積が、移行セクションが下向きに延びるにつれて減少する。移行セクションは、材料が移行セクションの底部に向かって下に方向付けられるとき、移行セクションを通って滑動する材料を低減された断面積輪郭形状を有する圧縮されたストリームに集中可能にするように設計された、丸められたまたは丸みを帯びたプレートで製造されている。移行セクションの壁は、受入コンベアを停止させることによって材料の流れが停止した場合でさえも、移行セクション内での材料の蓄積を防止するために、十分な傾斜および湾曲を有して設計されている。移行セクションの傾斜した壁および移行セクションの断面積の減少は、セクションを通る材料の流れを制御して、材料内に混入される空気を最小化し、材料の蓄積を最小化し、材料の劣化を最小化し、材料の乱流の減少のため塵の発生を最小化する。移行セクション壁の傾斜は材料の流れの速度を改善する裏打ち材料などの構造の材料とともに、受入コンベアの速度に適合するようにセクションを通る材料の速度を制御する。移行セクションはまた、受入コンベア上への材料の中央装填を確実にするためにセクションを通る材料の流れを制御することを補助する内部ダイバータプレートを備えてもよい。
【0016】
移送シュート装置の装填チューブが、移行セクションの底部に装着される。装填チューブは、その長さに沿って円形断面を有する内部孔を有する。装填チューブ孔の円形断面は、チューブを通って流れる材料が、いかなる蓄積も洗い流し、材料が蓄積するいかなる隅部も除去することを可能にする。
【0017】
装填チューブの長さは、移行セクションから受入コンベアに向かって延びるにつれて曲げられる。曲げられた装填チューブ長さおよびその調節可能な下向きの角度は、ベルト上への材料の衝突を最小化し、それによってベルトへの衝突損傷を減少し、かつ塵の発生を最小化する排出角度でチューブからコンベアベルト上に排出された材料を配置するように設計されている。装填チューブの排出端部は、水平方向および鉛直方向の両方で調節可能であり、かつ、均一に、中央に、かつコンベア上の材料の最終的な安定した輪郭形状と類似の輪郭形状で、排出された材料を受入コンベア上に配置するような寸法および形状にされている。このことは、ベルトからの流出の可能性を最小化する。
【0018】
接続組立体が、装填チューブを移行セクションの底端部に装着する。接続組立体は、移送シュート装置に対する円弧セグメントを通っての装填チューブの移動を可能にする。ラバーシールまたはブートが、一次防塵シールを提供するために装填チューブと移行セクションの間の接続部を包囲する。二次防塵シールもまた、ブートの内部に設けられている。
【0019】
好ましい実施形態では、装填チューブの上端部が、枢動接続部によって移行セクションの下端部に接続されている。移行セクションの円筒形の底部部分は、装填チューブの円筒形の上側部分よりも小さい。装填チューブ上側部分よりも小さい移行セクションの底部部分の直径寸法は、移行セクションを包囲して上向きに装填チューブが延びることを可能にし、移行セクションに対する装填チューブの自由な枢動運動を可能にする。
【0020】
調節機構が、装填チューブとシュート移行セクションの間に接続されている。機構の長さを調節することは、装填チューブの移行セクションに対する角度位置を調節する。機構は、受入コンベアに対する装填チューブの角度調節を可能にし、それによって、装填チューブから受入コンベアのベルト上への材料の排出角度の調節を可能にする。受入コンベアに対する装填チューブの角度調節は、シュートを通る材料の流れの速度を制御し、かつそれによって目詰まりを防止し、かつチューブから排出され、コンベアベルト上へ配置される材料の流出を最小化する。
【0021】
本発明のバルク材料精密移送シュート装置のさらなる特徴が、装置についての以下の詳細な説明および図面で説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1および2は、本発明のバルク材料精密移送シュート装置10の実施形態を示している。装置10が、排出コンベア16の排出端部と受入コンベア18の受入端部の間で概略的に表された枠組14によって支持されて図1に示されている。図1、2および3に示されている装置10の例示的な環境では、装置は、たとえば石炭などのバルク材料を、装置の上に配置された排出コンベア16から装置の下に配置された受入コンベア18へ移送するために使用される。図1、2および3に示されている環境は例示的なものに過ぎず、限定するものとして意図されてはいないことを理解されたい。図1および2に示されているように、本発明のバルク材料移送装置10は、装置の上部に配置されたフード22、フード22の下に配置された移行セクション26、および移行セクション26の下に配置された装填チューブ28から基本的に成る。装置のこれらの構成部品のそれぞれは、摩耗および摩滅に対して耐性である金属またはその他のタイプの材料で製造または裏打ちされている。排出コンベア16および受入コンベア18は、ベルトコンベアの典型的な構造を表すために概略的に示されている。他のタイプの運搬装置もまた、本発明のバルク材料移送シュート装置とともに採用されてもよい。
【0023】
フード22が、図1、2、3および4に示されている。フード22は、鉛直方向に曲がった壁32から基本的に成る。壁32は、移行セクション26上に配置されたフードの底縁部34、および移行セクション26の上部開口を覆って配置されているフードの対向する上縁部36から、連続的な曲線状表面として延びている。フード壁32の湾曲した鉛直方向表面は、排出コンベア16によって移行セクション26内へ運ばれる材料をガイドするように機能する。フード壁32の湾曲した鉛直方向表面が、フード22の内部表面に対する排出された材料の衝突力を減少させながら、排出コンベア16から移行セクション内へ下向きに排出されたバルク材料、たとえば石炭を再び方向付けする。図2および3に最も良く見られるように、フード壁32はまた、ほぼ水平方向に湾曲した内部表面を有する。フード壁32の水平方向湾曲もまた、排出コンベア16から移行セクション26内へ下向きに排出されたバルク材料内に混入される空気を再方向付けし、最小化するように機能する。
【0024】
図1および4に示されている1対のヒンジ組立体38が、フードの底縁部34を移行セクション26と接続する。ヒンジ組立体38は、フードの上縁部36が移行セクション26のすぐ上方に配置されている図1に示されている第1の位置と、フード22が移行セクション26の片側に移動された移行セクション26に対するフードの第2の位置との間で、フードが枢動することを可能にする。フード22の第2の位置では、これらの構成要素のサービスのために、排出コンベア16および移行セクションにとって障害がない。
【0025】
移行セクション26が、フード22を装置10上で支持している。フードは、他の別個の構造によって支持されることができる。図3に最も良く見られるように、移行セクション26の上部は、セクションの上部の内部空間を包囲する複数の側壁42によって画定された多角形形状を有する。側壁42が、移行セクション26内へ下向きに延びる移送シュート内部空間の上部開口を画定している。
【0026】
図5は、移行セクション26の上部平面図である。図5に示されているように、移行セクション26は、そのほぼ漏斗状の形状の断面を与える複数の壁パネルから成る。パネルは、移行セクションの丸みを帯びた漏斗形状を画定するために隣合せに互いに固定されている、複数の細長い三角形パネル44、複数のより大きな三角形パネル46およびほぼアーチ形のパネル48を備える。パネル44、46、48の形状および配置が、移行セクションの上部開口52から底部開口54へ移行セクションが下向きに延びるにつれて減少する断面積を有する移行セクション26の内部空間を画定する。複数のパネル44、46、48が、フード22のすぐ下の移行セクション26のすべての側面が曲線状にされた内部表面を、移行セクション26に与える。湾曲した表面は、上部開口52から移行セクションを通って底部開口54へ落ちる材料を、減少した断面積形状を有するストリームに集中可能するように設計されている。パネル44、46、48は、摩耗または摩滅に対して耐性がある材料で裏打ちまたは製造されることができる。パネル材料は、摩耗に対するパラメータならびに材料速度を決定する摩擦係数に適合するように特に選択される。移行セクション26のパネル44、46、48は、移行セクション内の材料の目詰まりおよび蓄積を防止するために十分な傾斜を有して設計される。移行セクションの傾斜したパネル44、46、48、移行セクションの断面積の減少、パネル材料摩擦係数および移行セクション長さの組合せが、材料輪郭形状およびセクションを通る流れの速度を制御して、材料内に混入される空気を最小化し、材料の蓄積を最小化し、材料の劣化を最小化し、材料の衝突による塵の発生を最小化する。
【0027】
ダイバータプレート56が、移行セクション26の内部に固定されている。ダイバータプレート56は、上方に離隔され、かつ移行セクション底部開口54に対して心合せされている。ダイバータプレートの位置は、シュートを通過する材料のタイプ、シュートを通過される材料の典型的な体積、および排出コンベアから受入コンベアへ鉛直方向に降下するシュートの長さによって決定される。ダイバータプレート56は、プレートの周りの材料の流れを分割し、かつ材料がその上に蓄積することができる棚を提供しないように、Vの頂点が上向きに方向付けられたV字型の断面を有する。ダイバータプレートのすぐ下の空間は、材料の流れとの接触によるデバイスに対する劣化または損傷を回避するために、材料の流れから外れた所に他のデバイスを装着するために使用されることができる。たとえば、防火デバイス、化学薬品分配デバイス、制御デバイスなどのデバイスが、ダイバータプレート56のすぐ下方に配置されることができる。
【0028】
ダイバータプレート56が、セクションの底部に向かってかつセクションの円形の底部開口54のすぐ上方の、移行セクション26の中央に配置されている。ダイバータプレート56は、移行セクション26の後部内壁表面を横切って下向きに流れるとき材料のストリームを分割し、セクションの底部開口54の両側に材料のストリームの一部分を迂回させるように機能する。迂回させられた材料のいくらかは、逆流して、移行セクション後部壁へ戻り、材料のいくらかは、セクション底部開口54の前部に自由に流れることになる。ダイバータプレート56のこの機能が、材料の流れとともに移動する混入空気の量を減少させながら、移行セクション底部開口54を通る材料の流れの均等な分配さえも保証する。
【0029】
好ましい実施形態では、移行セクション底部開口54の直径寸法が、標準的技術手法によって決定されるような最大材料粒子サイズに基づく架橋効果を考慮して設計される。図6に示されているようなダイバータプレート56の下端部の高さは、ダイバータプレート56との衝突の結果生じる材料速度の減少とともに架橋効果を考慮して、移行セクション底部開口54の寸法の1.5倍であるように実験によって決定された。
【0030】
同心状に配列された孔58を有する1対の枢動ピンマウントが、移行セクションの正反対の対向面上に装着されている。枢動マウント58は、移行セクションの底部開口54に隣接して配置されている。説明されるように、枢動マウント58は、装填チューブ28を移行セクション26に装着するのに使用される。
【0031】
図1、2および6に示されているように、装填チューブ28が、装置10の移行セクション26の下方に懸架されている。装填チューブ28は、チューブの取入端部62からチューブの排出端部64へ延びる中空の内部孔60を有する。好ましい実施形態では、内部孔60は、取入端部62から排出端部64まで装填チューブの全長を通る円形の断面領域を有する。非円形の断面が使用されてもよい。1対の三角形のウィングガイド72が、チューブ排出端部64から外向きに突き出している。図7に最も良く見られるように、装填チューブ28は、複数の上側部分66および下側部分68から成ってもよい。チューブ上側部分66上の装填チューブ取入端部62が、移行セクション底部開口54を包囲し、底部開口が装填チューブ28の内部に配置されている。1対の同心状の枢動ピン74が、装填チューブ上側部分66の内部の正反対の対向面から内向きに突き出している。ピン74が、移行セクション26上の枢動マウント58の孔内に係合する。装填チューブピン74および枢動マウント58が、装填チューブ28を移行セクション26の底端部に装着する接続組立体を提供する。枢動接続部は、装填チューブ28が、図7で破線で示されているチューブ28の第1と第2の位置の間で、移行セクション26に対して円弧を通って枢動されることを可能にする。装填チューブ28と移行セクション26の間の相対運動を許す他のタイプの接続部が、採用されてもよい。図7に最も良く示されているように、装填チューブ下側部分68が、装填チューブ上側部分66から装填チューブの排出端部64へ連続曲線を通って延びている。装填チューブ28のこの湾曲した部分は、ベルト上への材料の衝突を最小化し、それによってベルトへの衝突損傷を減少させ、かつ塵の生成を最小化する排出の角度および速度で、チューブから排出された材料を、受入コンベア18のベルト上に配置するように設計されている。装填チューブ28が移行セクション26に対して移動されることが可能であることもまた、チューブが排出された材料を受入コンベア18のベルト上へ正確に配置および輪郭形成することを可能にし、ベルトからの材料の流出の可能性を最小にする。
【0032】
1対のウィングガイド72が、チューブ排出端部64の装填チューブ28の下側端部に形成されている。ウィングガイド72は、受入コンベアへ移送されるときに材料をその本来の輪郭形状で形成するために、装填チューブ排出端部64を出るときに材料に対するガイドを提供するように機能する。好ましい実施形態では、チューブ排出端部64上のウィングガイド72の高さおよびウィングガイドが排出端部から延びる長さが、標準的な技術手法によって決定されるようなチューブ排出端部から出る材料の近似的な断面高さに等しい。製造を容易にするために、および実験によって決定されたように、ウィングガイド長さは、ウィングガイド高さと等しい。図9でのウィングガイド72の上部平面図で示されているように、ウィングガイドは、装填チューブ排出端部64の中央から外向きに曲げられている。図9に見られるようなウィングガイド72の遠位先端部の間の寸法は、標準的な技術手法によって決定されるような受入コンベア上のその本来の位置での材料輪郭形状の通常の幅に等しい。
【0033】
ゴム製の一次シールすなわちブート76が、装填チューブ28と移行セクション26の間の接続部を包囲している。シール76は、装填チューブ28と移行セクション26の接続部間の防塵シールを形成する。
【0034】
調節機構28が、装填チューブ28と装置のホッパ移行セクション26の間に接続されている。図示されている例では、調節機構82は、移行セクション26から突き出したフランジ86および装填チューブ28から突き出したフランジ88と枢動接続部によって接続された線形アクチュエータ84を備える。他の同様に機能する機構が、アクチュエータ84の代わりに使用されてもよい。アクチュエータ84の長さを調節することが、装填チューブ28の移行セクション26に対する角度位置を調節する。このようにして、機構82が、装填チューブ28の受入コンベア18のベルトに対する角度位置を調節し、それによって、装填チューブ28から受入コンベア18のベルト上への材料の排出角度および速度の調節を可能にする。前に述べたように、装填チューブ28の受入コンベア18に対する角度調節が、チューブからコンベアのベルト上に排出される材料の流出を最小化し、材料の蓄積を最小化し、コンベアのベルトに対する摩耗を最小化し、かつ塵の発生を最小化する。
【0035】
ブート76が、移行セクション26と装填チューブ28の間の一次シールとして機能する。図7に示されているように、一次シール76の上部が、二部式円形クランプ94によって移行シュート26上の円形のフランジ92の周囲に固定されている。一次シール76の下側端部が、別の二部式円形クランプ96によって装填チューブ28の周囲に固定されている。一次シール76は、移行セクション26と装填チューブ28の間の可撓性の枢動接続部から逃げるいかなる塵の放出も除去するように機能する。一次シール76は、PVC被覆されたナイロン材料などであるが、それに限定されない耐化学薬品性の不透性膜で好ましくは製造されている。耐化学薬品性であることに加えて、この材料は、屋外用途のために耐候性および耐紫外線性であるべきである。実際の材料特性は、特定の用途に基づいて標準的な技術手法によって決定されるべきである。不透性膜76は、枢動ピン接続部74の周りの装填チューブ28の自由な運動を可能にするために、その上端部で移行セクション26の周囲を、およびその下端部で装填チューブ28を緩く包囲する。一次シール76の端部は、移行セクション26および装填チューブ28の周囲に連続する閉じた表面を形成するために、ヒートシール、テープ接着、または糊着されることができる。
【0036】
二次シール102が、一次シール76の内部に、移行セクション26と装填チューブ28の間に設けられている。二次シール102もまた、移行セクション26と装填チューブ28の間の可撓性の枢動接続部での塵の放出を減少させるように機能する。
【0037】
円形のフランジ104が、移送チューブ28の上端部に溶接されている。ボルト孔の円が、フランジ104を通って設けられている。図8に示されている円形の二次シール102が、フランジ104上に配置されている。円形のフランジ104と構造が類似している円形の保持リング106が、複数のボルトによって二次シール102の上部に固定されている。
【0038】
図9に見られるように、二次シール102は、移行セクション26の円筒形の底部開口54の外径よりも約4インチ小さい寸法にされた中央開口を有する。複数のスリット108が、移行セクション26の円筒形の底部開口54が二次シール102を通って挿入されることを可能にするためにシール内に切られている。二次シール102の円形の開口および包囲された縁部が、移行セクション円筒形底部開口54の外部とともに、装填チューブ28の移行セクション26とのその枢動接続部74の周りの自由な運動を可能にする可撓性の半透過性シールを形成する。
【0039】
図7および9は、装填チューブ28の排出端部64の水平方向位置を調節することを可能にする水平方向調節フランジ112、114を示している。水平方向調節フランジは、装填チューブ上側部分66の底端部に固定された上側フランジ112、および装填チューブ下側部分68の上端部に固定された下側フランジ114を備える。フランジ112、114のそれぞれが、フランジの円周の周りに空間的に配置された長円形の孔の組を有する。図9は、装填チューブ下側部分68のフランジ114内の長円形の孔116を示している。2つのフランジ112、114の位置合わせされた孔が、ねじ付固定具、たとえばナットおよびボルトによって互いに固定される。フランジの孔の長円形形状が、装填チューブ下側部分68が、受入コンベア18を覆う装填チューブ排出端部64を水平方向に配置するために制限された程度まで、装填チューブ上側部分66に対して移動することを可能にする。装填チューブ排出端部64の位置のより大きな水平方向の調節が必要とされる場合、ねじ付固定具が、2つのフランジ112、114の孔から取り外されることができ、装填チューブ上側部分66に対する装填チューブ下側部分68の位置を調節し、かつそれによって装填チューブ排出端部64の水平方向位置を調節するために、2つのフランジの他の孔を再び位置合わせするためにフランジが互いに対して回転されることができる。
【0040】
本発明の装置が本発明の特定の実施形態を参照して上記で説明されてきたが、変更および修正が、添付の特許請求の範囲の意図された範囲から逸脱することなく開示された装置に対して行われることができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】排出コンベアと受入コンベアの間に配置されて示されている本発明のバルク材料精密移送シュート装置の側部立面図である。
【図2】図1と同様であるが、移送シュート装置の反対側の側面図を示す立面図である。
【図3】移送シュート装置と排出コンベアと受入コンベアの相対的な位置を示す上部平面図である。
【図4】移送シュート装置の上側部分の背面図である。
【図5】装置の移行セクションの上部平面図である。
【図6】移行セクションの側部断面図である。
【図7】装置の下側部分の部分図である。
【図8】二次シールの平面図である。
【図9】装置の装填チューブの上部平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移行セクションの内部空間を包囲する側壁を有し、内部空間と連絡している上部開口と、内部空間と連絡している底部開口とを有し、上部開口が、材料を移行セクションへ運び、排出コンベアから移行セクション上部開口を通って移行セクション内部空間内へ材料を届ける排出コンベアへアクセス可能であるような構成および寸法にされている移行セクションと、
対向する取入および排出端部を備える管状の長さ、および装填チューブを通って延びる中空の内部孔を有する装填チューブと、
装填チューブ排出端部から材料を排出する速度を調節するために、複数の異なる方向で装填チューブ排出端部を調節可能に配置するために移行セクションに対して装填チューブの第1と第2の位置の間で装填チューブを移動させるために、移行セクション底部開口で装填チューブ取入端部を移行セクションと接続する接続組立体と、
を備える材料移送装置。
【請求項2】
移行セクション底部開口のすぐ下方に配置されている装填チューブ
をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
装填チューブ取入端部と移行セクション底部開口の間の可撓性のシール
をさらに備える請求項2に記載の装置。
【請求項4】
装填チューブ取入端部と排出端部の間に円形の断面領域を有する装填チューブ
をさらに備える請求項2に記載の装置。
【請求項5】
移行セクション底部開口の上方に配置された装填チューブ取入端部、および装填チューブ内部孔の内部に配置された移行セクション底部開口
をさらに備える請求項2に記載の装置。
【請求項6】
装填チューブ取入端部と排出端部の間に連続的な曲線で形成された装填チューブ長さ
をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項7】
移行セクションに対して第1と第2の位置の間で装填チューブを移動させるように動作可能である、移行セクションと装填チューブの間に接続された機構を含む接続組立体
をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項8】
移行セクションと装填チューブの間に延びる長さを有する機構をさらに備え、機構の長さが、機構長さを変化させることに応答して移行セクションに対して装填チューブを移動させるように調節可能である
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
移行セクションと装填チューブの間に接続された線形アクチュエータである機構
をさらに備える請求項7に記載の装置。
【請求項10】
移行セクションと装填チューブの間にヒンジ接続部を含む接続組立体
をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項11】
装填チューブを移行セクションに接続する、1対の同軸上に位置合わせされた枢動ピンを含む接続組立体
をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項12】
移行セクションの内部空間を包囲する側壁を有し、内部空間と連絡している上部開口と、内部空間と連絡している底部開口とを有し、上部開口が、材料を移行セクションへ運び、排出コンベアから、移行セクション上部開口を通って移行セクション内部空間内へ材料を届ける排出コンベアへアクセス可能であるような構成および寸法にされている移行セクションと、
対向する取入および排出端部を備える管状の長さ、および装填チューブを通って延びる中空の内部孔を有する装填チューブと、
移行セクションと装填チューブの間の可撓性の一次シールと、
移行セクションと装填チューブの間であり、かつ一次シールの内側の可撓性の二次シールと、
を備える材料移送装置。
【請求項13】
移行セクションに固定され、かつ装填チューブに固定された一次シールと、
移行セクションに対して移動可能である装填チューブと
をさらに備える請求項12に記載の装置。
【請求項14】
装填チューブとともに移動するために装填チューブに固定された二次シール
をさらに備える請求項13に記載の装置。
【請求項15】
平坦な、円形のシールである二次シール
をさらに備える請求項14に記載の装置。
【請求項16】
円筒形のシールである一次シール
をさらに備える請求項15に記載の装置。
【請求項17】
移行セクションの内部のダイバータプレートをさらに備え、ダイバータプレートが、上向きに方向付けられた頂点を備える逆V字型の断面を有する請求項12に記載の装置。
【請求項18】
移行セクションの内部空間を包囲する側壁を有し、内部空間と連絡している上部開口と、内部空間と連絡している底部開口とを有し、上部開口が、材料を移行セクションへ運び、排出コンベアから、移行セクション上部開口を通って移行セクション内部空間内へ材料を届ける排出コンベアへアクセス可能であるような寸法および構成にされている移行セクションと、
対向する取入および排出端部を備える管状の長さ、および装填チューブを通って延びる中空の内部孔を有し、装填チューブ取入端部から装填チューブ排出端部まで装填チューブの長さに沿って円形断面を有し、装填チューブ長さが、装填チューブ取入端部から装填チューブ排出端部まで連続する曲線で形成されている装填チューブと
を備える材料移送装置。
【請求項19】
装填チューブ排出端部から受入コンベア上に材料を排出するために所望の方向に装填チューブ排出端部を位置決めする装填チューブの湾曲
をさらに備える請求項18に記載の装置。
【請求項20】
移行セクションに対して第1と第2の位置の間で装填チューブを移動させるための装填チューブを移行セクションと接続する接続組立体
をさらに備える請求項19に記載の装置。
【請求項21】
装填チューブが移行セクションに対して装填チューブの第1と第2の位置の間の弧を通って枢動することを可能にする装填チューブと移行セクションの間の枢動接続部を含む接続組立体
をさらに備える請求項20に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2008−526652(P2008−526652A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550391(P2007−550391)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/046384
【国際公開番号】WO2006/076140
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(507230005)ベネテツク・インコーポレイテツド (1)
【Fターム(参考)】