説明

バルク材料輸送用コンベア

【課題】一般的なタイプのコンベア装置の欠点を克服するバルク材料輸送用コンベアの提供。
【解決手段】バルク材料輸送用コンベアは、鉛直方向上下に配置された3対の支持ケーブル31−36を含み、コンベアベルトは、距離を隔てて配置される支持梁14を備え、支持梁14は、中部支持ケーブル33,34と下部支持ケーブル35,36に沿って転がる取付ローラを端部に有する。支持フレーム4により支持ケーブル31−36が相互に接続され、鉛直方向で整列した2つの支持支柱41,42および水平方向で整列した2つの接続支柱43,44を有し、支持支柱41,42の上端部は上部支持ケーブル31,32のいずれかに接続される。接続支柱43,44は、中部支持ケーブル33,34と下部支持ケーブル35,36とに接続されるとともに、2つの接続支柱部分から形成され、支持ケーブル31−36に対して横方向に整列した水平軸に対して互いに回動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルク材料輸送用コンベアに関する。これは、それぞれ略鉛直に上下に配置された3対の支持ケーブルを備える。コンベアは、自己完結型のコンベアベルトを更に備える。自己完結型のコンベアベルトは、ローディングステーションからアンローディングステーションまで支持ケーブルに沿って移動可能であり、エンドステーションにおいて戻りドラム上を案内される。コンベアベルトは支持梁を有するよう構成されている。支持梁は、距離をおいて配置され、長手方向の範囲で横方向に整列されており、端部には取付ローラがある。取付ローラは中部支持ケーブルと下部支持ケーブルに沿って転がる。支持フレームが設けられ、支持フレームは、コンベアの長手方向において距離をおいて配置され、支持ケーブルによって支持ケーブルが互いに接続される。支持フレームは、少なくとも2つの少なくとも略鉛直に整列する支持支柱と、少なくとも2つの少なくとも略水平に整列する接続支柱と、により形成される。支持支柱の上端部は、2つの上部支持ケーブルのそれぞれ1つに接続される。接続支柱は、クランプ装置によって、中部支持ケーブルおよび下部支持ケーブルに接続されている。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、合衆国法典第35巻第119条に基づき、2010年12月2日に出願されたオーストリア特許出願第A2004/2010号の優先権を主張する。この先行出願の全体は参照によりここに取り入れられる。
【背景技術】
【0003】
例えば欧州特許である特許文献1(米国特許第6588583号に対応)および特許文献2(米国特許第6935490号に対応)から知られているこのタイプのコンベアは、表土材(overburden material)、鉱石、石炭などのバルク材料を、ローディングステーション(loading station)からアンローディングステーション(unloading station)まで輸送するように働く。これらのコンベアは支持ケーブルを備えており、この支持ケーブルに沿って自己完結型(self-contained)コンベアベルトが移動可能である。この目的のため、コンベアベルトの上面には横方向に整列した支持梁(beam)が配置されており、両端にはローラが取付けられる。コンベアベルトは、このローラにより、一方が他方の上に垂直に配置された2組の支持ケーブルに沿って動かされる。エンドステーションにおいて、コンベアベルトは戻りドラムを介して案内される。2対の支持ケーブルの上方には、さらに1対の支持ケーブルが設けられている。また、コンベアの長手方向には、互いに間隔をあけた支持フレームが設けられており、これらは安定したユニット単位を形成するために支持ケーブルの一方を他方に接続するように働く。
【0004】
1対の中部支持ケーブルに沿って動かされるコンベアベルトのストランドは、ローディングステーションからアンローディングステーションにバルク材料を運搬するように働く。コンベアベルトの下部ストランドは、アンローディングステーションからローディングステーションへと、2つの下部支持ケーブルからなる対に沿って動かされる。1対の上部支持ケーブルは、コンベアを安定化するように働く。
【0005】
支持フレームは、鉛直に整列した2つの支持支柱(supporting strut)と、鉛直支持支柱に接続されると共に水平に整列した2つの接続支柱と、により形成される。垂直に配向された支持支柱の上端部は2つの上部支持ケーブルに固定的に接続され、水平に整列した2つの接続支柱は、中部支持ケーブルと下部支持ケーブルとに固定的に接続される。コンベア内における支持ケーブルおよびコンベアベルトがいずれも弾性的であるのに対し、コンベア内における支持フレームは剛性の構造部品を構成する。
【0006】
このようなコンベアの運転中には、長さにわたって異なる量のバルク材料が搭載されるコンベアベルトが動くことにより、支持フレームにおいて変化する荷重によって変化する高張力が発生する。したがって、支持フレームは、適切な強度と寸法を有する必要があるが、これにより一方では材料支出が高くなり、他方では支持ケーブルに高荷重が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1295817B1号明細書
【特許文献2】欧州特許第1452466B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、先行技術の一般的なタイプの装置の上記欠点を克服するバルク材料輸送用コンベアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的、あるいは他の目的に伴い、本発明により、バルク材料を輸送するためのコンベアが提供される。コンベアは、下部支持ケーブル、中部支持ケーブルおよび上部支持ケーブルを含む鉛直方向上下に配置された3対の支持ケーブルを含む。自己完結型のコンベアベルトは、ローティングステーションからアンローディングステーションまで支持ケーブルに沿って動かされ、ローティングステーション及びアンローディングステーションにおいては戻りドラム上を案内される。コンベアベルトは、距離をあけて、コンベアベルトの長手方向の範囲にわたって横方向に整列している支持梁を有する。支持梁の両端には、取付ローラが配置されている。取付ローラは中部支持ケーブルと下部支持ケーブルに沿って転がる。支持フレームはコンベアの長手方向で互いに距離をあけて配置されこれにより支持ケーブルが互いに接続されている。支持フレームのそれぞれは、2つの少なくとも略鉛直に整列した支持支柱と、2つの略水平に整列した接続支柱と、により形成されている。支持支柱は上部支持ケーブルの1つに接続される上端部を有する。接続支柱は、中部支持ケーブルおよび下部支持ケーブルに接続されている。上部支持ケーブル上の支持支柱は、支持ケーブルに対して横方向に整列した少なくとも略水平軸周りを回転可能である。支持支柱は、支持ケーブルに対して横方向に整列した少なくとも略水平軸周りを互いに対して回転可能な2つの支持支柱部分から形成される。
【0010】
本発明の目的は、コンベアの効率を一定に維持する一方で、支持フレームに必要な材料費ひいてはその重量を低下できるよう、支持フレームの構成を改善することである。これは、上部支持ケーブルの支持支柱が支持ケーブルに対して横方向に整列した少なくとも略水平軸周りを回転可能であるという事実と、支持ケーブルに対して横方向に整列した少なくとも略水平軸周りを互いに対して回転可能な2つの支柱部分によって支持支柱が形成されるという事実によって、本発明により達成される。さらに、2つの接続支柱のうちの少なくとも1つが、支持ケーブルに対して横方向に整列した少なくとも略水平軸周りを回転可能に、2つの支持支柱に取り付けられていると好ましい。
【0011】
好ましい実施態様によれば、支持支柱を上部支持ケーブルへ接続するために支持バーが設けられている。支持バー上には、支持ケーブルに対して横方向に整列した少なくとも略水平軸周りを回転可能に上部支持支柱部分の上端がそれぞれ取付けられている。支持バーは、好ましくは少なくとも1つのブラケットを介して、関連する支持ケーブルに接続されている。さらに、上部支持支柱部分は、その下端にそれぞれハブを有するよう構成されていると好ましい。ハブ内には、上部接続支柱が回転可能に装着され、ハブの下では、下部支持支柱部分が連接的に上部支持支柱部分に連結されている。さらに、下部支持支柱部分もまた、その下端にそれぞれハブを有するよう構成されていると好ましく、ハブ内には下部接続支柱が回転可能に取付けられている。さらに、2つの接続支柱は、それぞれに割り当てられた支持部分と接触すると共に、支持フレームがそれぞれ割り当てられた支持ケーブルへ固定接続するためのクランプをそれぞれ有していると好ましい。
【0012】
本発明の特徴と見なされるその他の特徴については、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0013】
本明細書は、本発明がバルク材料輸送用コンベアとして実施されるものとして、例示、説明する。しかしながら、本発明は、その趣旨から逸脱することなく特許請求の範囲の均等物の趣旨および範囲内で様々な改変および構造的変更ができることから、記載された詳細な事項に限定されるものではない。
【0014】
ただし、本発明の構造および操作方法については、その追加の目的および利点と共に、添付の図面と併せて以下の特定の実施形態の説明を読むことにより最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるバルク材料用コンベアの一部の概略斜視図である。
【図2】図1に表されたコンベアの一部を拡大して示す概略斜視図である。
【図3A】4つの異なる運転状況のうちの1つにおける、図2に表されたコンベアベルトの側面図である。
【図3B】4つの異なる運転状況のうちの1つにおける、図2に表されたコンベアベルトの側面図である。
【図3C】4つの異なる運転状況のうちの1つにおける、図2に表されたコンベアベルトの側面図である。
【図3D】4つの異なる運転状況のうちの1つにおける、図2に表されたコンベアベルトの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を詳細に参照すると、まず、特に図1は、表土材、鉱石、石炭などのバルク材料のためのコンベアの一部が示されている。コンベアは自己完結型のコンベアベルト1を備える。自己完結型のコンベアベルト1は、ローディングステーションとアンローディングステーションとの間で運動し、2つのエンドステーションにおいては戻りドラムを介して案内される。コンベアベルト1の上側ストランド11は、ローディングステーションからアンローディングステーションへとバルク材料を運搬するように働く。コンベアベルト1の運動方向において、アンローディングステーションの後且つローディングステーションの前には回転装置があり、この回転装置によって、アンローディングステーションからローディングステーションへと動かされたコンベアベルト1の下側ストランド12が回転される。これにより、コンベアベルト1の下側ストランド12がローディングステーションへと戻ったときであっても、荷重表面(loading surface)をその上面で見ることができ、下側ストランド12が再びローディングステーションの前へと戻って、その位置においてローディングステーション内に存在する戻りドラムの周りを案内される。
【0017】
コンベアベルト1は、上面から上へと突出する横方向の弾性変形可能なバー、いわゆる波形側壁13を側縁に有するように構成されている。また、コンベアベルト1は、上面に支持梁14を有するように構成されている。支持梁14は、運動方向に対して横方向に整列すると共に、自由端にはローラ2が取り付けられている。コンベアはさらに三対の支持ケーブル31、32、33、34、35、36を備える。これらが支持フレーム4によって互いに接続されて上下に配置されることにより、コンベア全体が安定化される。ローラ2は中部支持ケーブルおよび下部支持ケーブル33〜36に沿って案内される。これにより、ローディングステーションからアンローディングステーションへとバルク材料が輸送される。
【0018】
図2には、上部支持ケーブル31、32、中部支持ケーブル33、34、および下部支持ケーブル35、36が同様に示されている。中部支持ケーブル33、34に沿って、コンベアベルト1の上側ストランド11は、ローディングステーションからアンローディングステーションへと、ローラ2により動かされる。下部支持ケーブル35、36に沿って、コンベアベルト1の下側ストランド12は、回転位置において、アンローディングステーションからローディングステーションへと戻るように移動される。コンベアベルト1の側縁においては、略垂直に上向きの波形側壁13がコンベアベルト1から突出している。波形側壁13は拡張可能であり、これによりコンベアベルト1がステーションへと戻りドラム上を案内され得る。コンベアベルト1の上面には、支持ケーブル33、34、35、36のそれぞれに沿って回転するローラ2が端部に取り付けられた支持梁14がある。
【0019】
さらに図2からわかるように、支持フレーム4は、2つの垂直支持支柱41、42と、2つの水平接続支柱43、44と、によって形成される。ここで、支持支柱41、42は、ヒンジピン41c、42cによってそれぞれ互いに接続される、2つの支持支柱部分41a、41b及び2つの支持支柱部分42a、42bから構成されている。2つのヒンジピン41c、42cは、支持ケーブル31〜36に対して横方向に且つほぼ水平に整列される。さらに、支持支柱部分41a、42aの上端部は、同じように支持ケーブル31〜36に対して横方向に整列された略水平軸線周りを回転可能であるヒンジピン41d、42dにより取り付けられたブラケット45a、46aによって、上部支持ケーブル31、32に固定的に接続されている支持バー45、46上に取付けられている。
【0020】
また、上部支持支柱部分41a、42aはそれぞれ、下部領域にハブ47、48を備えており、これらの中へと、円筒管部として構成された接続支柱43が突出して回転自在に取り付けられている。同じように、下部支持支柱部分41b、42bは下端にハブ49、50を備えており、これらの中へと、円筒管部として構成された下部接続支柱44が突出して回転自在に取付けられている。接続支柱43、44は横方向の端部にクランプ5を備えて構成されており、これによって接続支柱43、44が中部支持ケーブル33、34と下部支持ケーブル35、36に固定的に接続される。
【0021】
支持フレーム4の個々の部品が連接的に取り付けられている(articulate mounting)結果、コンベアの操作により変化する負荷に位置を適応させることができ、発生する圧力が大きく減少する。
【0022】
図3Aには、コンベアベルト1に均等に負荷がかけられたときにおける、支持フレーム4の個々の部品の位置が示されている。しかしながら、コンベアベルト1の長さにわたって、コンベアベルト1の上部ストランドにバルク材料によって不均等に負荷がかけられる限り、コンベアベルト1が動くと支持ケーブル33〜36の位置が変わる。これにより、支持フレーム4には絶えず変化する荷重が発生する。一方では支持フレーム4が支持ケーブル31、32に連接的に接続されていることによって、他方では支持支柱部分41a、41bおよび42a、42bが連接的に互いに対して接続されると共に接続支柱43、44が支持支柱41、42に連接的に接続されていることによって、支持フレーム4の個々の部品は、変化する負荷と調和する位置を選択することができ、支持フレーム4で発生する圧力は大きく減少する。
【0023】
図3B、図3C、および図3Dは、支持フレーム4の個々の部品が対応して変化している状態を示す。ここでは、連接的接続の働きを説明するために角度位置が拡大して示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク材料輸送用コンベアであって、
下部支持ケーブル、中部支持ケーブルおよび上部支持ケーブルを含む鉛直方向上下に配置された3対の支持ケーブルと、
取付ローラと、
ローディングステーションからアンローディングステーションへと前記支持ケーブルに沿って可動である自己完結型のコンベアベルトであって、前記コンベアベルトは、前記ローディングステーションおよび前記アンローディングステーションにおいては戻りドラム上を案内され、前記コンベアベルトは、距離をあけて配置されて前記コンベアベルトの長さ範囲に対して横方向に整列した支持梁を有し、前記支持梁の端部には前記取付ローラが配置されており、前記取付ローラが前記中部支持ケーブルおよび前記下部支持ケーブル上を転がる、コンベアベルトと、
前記コンベアの長手方向で互いに距離をあけて配置された支持フレームであって、前記支持ケーブルは前記支持フレームによって互いに接続され、前記支持フレームは少なくとも2つの少なくとも略鉛直方向で整列した支持支柱および少なくとも2つの少なくとも略水平方向で整列した接続支柱により形成され、前記支持支柱はそれぞれ前記2つの上部支持ケーブルのうち一方に接続される上端部を有し、前記接続支柱は前記中部支持ケーブルおよび前記下部支持ケーブルに接続される、支持フレームと、を備え、
前記上部支持ケーブル上の前記支持支柱は、前記支持ケーブルに対して横方向に整列した少なくとも略水平軸周りで回転可能であり、
前記支持支柱は、前記支持ケーブルに対して横方向に整列した少なくとも略水平軸周りで互いに回転可能な2つの支持支柱部分から形成される、コンベア。
【請求項2】
前記接続支柱の少なくとも1つが、前記支持ケーブルに対して横方向に整列した少なくとも略水平軸周りに回転可能な2つの前記支持支柱に取付けられている、請求項1に記載のコンベア。
【請求項3】
支持バーをさらに備え、
前記支持バーは、前記支持支柱を前記上部支持ケーブルへと接続するために設けられ、
前記支持支柱の上端が前記支持バー上に回転可能に取付けられ、前記支持バーが前記支持ケーブルのうち対応する支持ケーブルに固定的に接続される、請求項1に記載のコンベア。
【請求項4】
ハブをさらに備え、
前記接続支柱が、上部接続支柱および下部接続支柱を含み、
前記2つの支持支柱部分が、それぞれ下端を有する下部支持支柱部分および上部支持支柱部分を含み、前記下端が前記ハブの1つを有し、前記ハブ内に前記上部接続支柱が回転可能に取付けられている、請求項1に記載のコンベア。
【請求項5】
前記ハブの少なくとも1つの下において、前記下部支持支柱部分が前記上部支持支柱部分に連接的に結合される、請求項4に記載のコンベア。
【請求項6】
前記下部支持支柱部分が前記ハブと係合する下端を有し、前記ハブ内に前記下部接続支柱が回転可能に取付けられている、請求項4に記載のコンベア。
【請求項7】
クランプをさらに備え、
前記2つの接続支柱が、前記支持フレームを割り当てられた前記支持ケーブルへと固定的に接続するための前記クランプを介して前記支持ケーブルに接触するよう構成されている、請求項1に記載のコンベア。
【請求項8】
ブラケットをさらに備え、
前記支持バーが、対応する前記支持ケーブルに前記ブラケットの少なくとも1つによって固定的に接続される、請求項3に記載のコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公開番号】特開2012−116662(P2012−116662A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−263771(P2011−263771)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(500579431)インノヴァ・パテント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (31)
【Fターム(参考)】