説明

バルク粒状物質の高密度化

バルク粒状物質の高密度化方法は、少なくとも部分的にバルク粒状物質を閉じ込め、少なくとも2つの長尺の回転部材(14)(15)によって、閉じ込めたバルク粒状物質を機械的に攪拌する。この際、少なくとも2つの長尺の回転部材(14)(15)の少なくとも1つは閉じ込めたバルク粒状物質に埋没している。各回転部材は回転軸を有し、かつ、軸方向に間隔を開けて配置されると共に、回転軸から外方に向けて突出する複数の攪拌構成体(40)を具備する。回転部材は横断方向に間隔を開けて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野および背景技術】
【0001】
本発明は、バルク(嵩張)粒状物質の高密度化に関し、特に、バルク粒状物質の高密度化方法および装置に関する。
【発明の開示】
【0002】
本発明の一側面によれば、バルク粒状物質の高密度化方法が提供される。高密度化方法は、少なくとも部分的にバルク粒状物質を閉じ込め、閉じ込めたバルク粒状物質を少なくとも2つの長尺の回転部材により機械的に攪拌するものであり、回転部材のうち少なくとも1つはバルク粒状物質に埋没しており、各回転部材は回転軸を有すると共に軸方向に間隔を空けて配置される複数の攪拌構成体を備えており、この攪拌構成体は回転軸から外側に突出しており、回転部材は横断方向に間隔を空けて配置され、それによってバルク粒状物質を高密度化するものである。
【0003】
埋没した単数又は複数の回転部材および攪拌構成体の動作は、このようにバルク粒状物質を圧縮するものではなく、閉じ込めたバルク粒状物質を機械的に強力に攪拌し、バルク粒状物質を極端に流動化することなく、またバルク粒状物質の中にいかなる定常的な空所を生じることなく、攪拌中にバルク粒状物質を完全に混合する。
【0004】
一般的には、各回転部材は、閉じ込めたバルク粒状物質の中に埋没している。すなわち、一般的にはすべての回転部材上にバルク粒状物質のヘッド(頂部)がある。
【0005】
この方法は、高密度化しようとするバルク粒状物質を回転部材の回転軸を横断する方向に回転部材を越えて供給することを含む。
【0006】
好ましくは、少なくとも2つの長尺の回転部材の一方が他方の上方に配置される。少なくとも2つの回転部材の一方が他方の上方に配置された場合、2つの回転部材は同じ方向に回転させてもよい。
【0007】
好ましくは、少なくとも2つの長尺の回転部材は並設される。少なくとも2つの長尺の回転部材が並設された場合、2つの回転部材は逆方向に回転させてもよい。
閉じ込めたバルク粒状物質中には、垂直方向のバルク密度勾配を形成することができ、この際、底部が最も高いバルク密度を有する。
【0008】
バルク粒状物質は、閉じ込めたバルク粒状物質の上方に自由ヘッド空間を残した状態で、少なくとも部分的に閉じ込めることができ、したがって、攪拌されたバルク粒状物質は攪拌中に少なくとも自由ヘッド空間の一部を占めることができる。
回転部材の回転軸は、一般的には略平行に配置される。回転軸は、好ましくは横向きに伸延し、例えば略水平方向に伸延する。しかし、回転軸が上向きに伸延し、例えば垂直方向に伸延することも、本発明の範囲内に含まれる。
【0009】
バルク粒状物質は、少なくとも部分的には容器内に閉じ込めることができる。
バルク粒状物質に埋没した回転部材は、回転部材の半径方向最周縁部の点が、約3 m/s〜約100m/s の速度で移動し、一般的には、約20 m/s〜約23 m/s の速度で移動する。
【0010】
バルク粒状物質を閉じ込める動作は、バルク粒状物質を容器に供給する動作を含む。したがって、バルク粒状物質全体を容器内において高密度化して、容器内で均一なバルク密度を有する粒状物質の均一体を形成することができる。
【0011】
本発明では、容器の内面に対して粒状物質の塊状化、または堆積、あるいは凝固を防止するために容器を振動させることができる。
【0012】
本発明では、容器から流動性を有する高密度化されたバルク粒状物質を排出することができる。本発明は、連続的に、またはバッチ的に行なうことができることも理解されるべきである。すなわち、容器から高密度化されたバルク粒状物質を排出すること、およびバルク粒状物質を容器内に供給することを、バッチ的にまたは制御的に行なうことができる。よって、バルク粒状物質を容器内に連続式に供給することができ、かつ、高密度化されたバルク粒状物質を容器から連続式に排出することができ、容器内のバルク粒状物質全体は、供給されるバルク粒状物質よりも実質的により高い平均バルク密度を定常条件で有することができる。
【0013】
本発明の一実施例において、バルク粒状供給物質を回転部材の上方から供給し、回転部材の下方より高密度化されたバルク粒状物質を除去することにより、連続的に高密度化される。
【0014】
本発明に関わる方法は、高密度化されたバルク粒状物質を容器から排出する前に、高密度化されたバルク粒状物質のバルク密度を測定し、または判定することを含む。このような測定または判定の代わりに、高密度化されたバルク粒状物質が容器から排出された後に、またはバルク粒状物質の攪拌中に、たとえば回転部材を回転させるために用いられる1台あるいは複数の電動モータに流れる電流を測定することにより、高密度化されたバルク粒状物質のバルク密度を測定し判定することも含む。
【0015】
回転部材は100rpm〜3500rpmの角速度(angular speed)で回転できる。好ましくは、回転部材は500rpm〜1000rpmの角速度で回転する。一般的には、回転部材は、700rpm〜800rpmの角速度、例えば、約732rpmで回転する。
【0016】
高密度化される前は、バルク粒状物質は1mm未満の平均粒径を有する。一般的に、バルク粒状物質の平均粒径は、0.5mm未満であり、1μm未満であってもよく、たとえば約0.15μmとすることができる。
【0017】
本発明に係る方法は、容器から粉塵を抜き出すことを含む。
【0018】
高密度化前の粒状物質のバルク密度と流動性を有する高密度化された粒状物質のバルク密度の比率は、少なくとも2:3とすることができる。好ましくは、高密度化前の粒状物質のバルク密度と流動性を有する高密度化された粒状物質のバルク密度の比率は、高密度化前の粒状物質と高密度化された粒状物質のバルク密度によっては、少なくとも1:5である。高密度化前の粒状物質のバルク密度と流動性を有する高密度化された粒状物質のバルク密度の比率は、高密度化前の粒状物質と高密度化された粒状物質のバルク密度によっては、1:10あるいはさらに大きく、例えば、1:12とすることもできる。
【0019】
バルク粒状物質の機械的な攪拌は、高密度化剤を用いて行なうことができる。この場合、高密度化剤は、高密度化されたバルク粒状物質が流動状態および実質的に乾燥状態を保持できる、したがって、バルク粒状物質がパン生地状、ペースト状、スラリー状等になるのを防止するために必要十分な少量を用いる。
【0020】
高密度化剤として、極性を有する液体を用いることもできる。本発明の好適な実施例においては、高密度化剤として、水性液体、例えば水あるいは脱塩水を用いる。
【0021】
高密度化剤として水性液体を用いる場合、バルク粒状物質は、高密度化前あるいは高密度化中に、下限が約0.5%の範囲の質量濃度を有する水を含むことができる。
【0022】
しかし、水の質量濃度の下限は、約0.45%まで低くすることができ、あるいはさらに低く約0.4%まで低くすることもできる。水の質量濃度の上限は、約10%とすることができ、またさらに約15%とすることもでき、さらに高く約20%にすることもできる。
【0023】
しかし、水性高密度化剤が、高密度化されるバルク粒状物質の使用可能な有効領域に影響を与えるということは理解されるべきである。しかし、前述の領域は、シリカヒュームのような微小シリカの高密度化に好適である。
【0024】
バルク粒状物質としては、吸湿性物質を用いることもできる。バルク粒状物質には、微小シリカ、たとえば、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、コロイド状シリカ、あるいはシリカゲルを用いることもできる。
【0025】
これらの物質に代わり、バルク粒状物質は、カーボンブラック、石炭、フライアッシュ、カオリン、メタカオリンで構成されるグループから選択することができる。また、バルク粒状物質は、Mn、Mn、V、アルミニウム、ボーキサイト、セメント、およびスラグで構成されるグループから選択することができる。
【0026】
バルク粒状物質として粒状シリカを用いる場合、粒状シリカは、0.5μm未満の粒径を有し、一般的には、0.2μm未満の粒径を有する。実際、本発明は、いわゆるシリカヒュームを高密度化することに際し、特殊な、しかし限定的でない用途を見出すことができると考えられる。
【0027】
本発明に係る方法では、バルク粒状物質の機械的攪拌前または攪拌中に、高密度化剤をバルク粒状物質に添加するようにしてもよい。
【0028】
本発明に係る方法では、バルク粒状物質の機械的攪拌後または攪拌中に、高密度化剤の濃度を減少させることも含む。このように、高密度化されたバルク粒状物質中の高密度化剤の平均濃度は、高密度化しようとするバルク粒状物質中の高密度化剤の濃度よりも低くすることができる。
【0029】
本発明に係る方法は、機械的攪拌中に、バルク粒状物質を加熱することを含み、この場合、少なくとも高密度化剤の一部が、高密度化中のバルク粒状物質あるいは高密度化されたバルク粒状物質から蒸発し除去される。
【0030】
本発明の1実施例において、高密度化剤として水性液体を用いる場合、バルク粒状物質は水を含有し、あるいは水がバルク粒状物質に添加され、質量濃度は4%を超え、たとえば4%から8%であり、高密度化されたバルク粒状物質は3質量%未満の水を含む。本発明の他の実施例において、バルク粒状物質として微小シリカを用い、高密度化剤として水性液体を用いる場合、微小シリカは水を含み、あるいは水は微小シリカに添加され、質量濃度は4%から8%で、たとえば6から8質量%であり、高密度化された微小シリカは1.5質量%未満の水を含み、好ましくは、1質量%未満の水を含む。また出願人は以下のことを発見した。即ち、バルク粒状物質として微小シリカを用いる場合、高密度化されている微小シリカが約1.5%の水分を含むとき、すなわち、高密度化された微小シリカの水分含有量がほとんど0%で略乾燥状態となるとき、優れた結果が得られる。
【0031】
本発明に係る方法は、高密度化されたバルク粒状物質の密度を調整することも含む。高密度化されたバルク粒状物質の密度の調整は、容器内のバルク粒状物質の滞留時間を操作する方法、回転部材の回転速度を操作する方法、容器内のバルク粒状物質のレベルを操作する方法、バルク粒状物質に含まれる高密度化剤の濃度を調整する方法から選択した方法を用いることによって、または、これらの方法のうちの2つまたはそれ以上の方法を用いることによって行なわれる。しかし、高密度化されたバルク粒状物質の密度の調整については、これらの方法に必ずしも限定されるものではない。
【0032】
本発明は、以下の工程からなるバルク粒状物質の高密度化方法を含む。即ち、
高密度化領域にバルク粒状物質を給送する工程と、
少なくとも部分的にバルク粒状物質を高密度化領域内に閉じ込める工程と、
閉じ込めたバルク粒状物質中に埋没した少なくとも1つの長尺の回転部材で、閉じ込めたバルク粒状物質を機械的に攪拌し、この際、回転部材は回転軸を有し、軸方向に間隔を開けて配置されると共に回転軸より外方に突出する複数の攪拌構成体を具備し、バルク粒状物質を回転部材の回転軸を横断する方向に高密度化領域を通って供給する工程。
【0033】
本発明の他の側面によれば、バルク粒状物質高密度化装置は以下の手段を具備する。
【0034】
少なくとも部分的にはバルク粒状物質体を閉じ込めるための容器であって、バルク粒状物質を受け入れて閉じ込める領域を形成する容器と、
バルク粒状物質を機械的に強力に攪拌するためのバルク粒状物質を受け入れ閉じ込める領域内に、少なくとも1つの回転部材が使用時にバルク粒状物質により埋没されるように配置され、横断方向に間隔を開けて配置される、少なくとも2つの長尺の回転部材であって、各回転部材はそれぞれ回転軸を有し、回転軸から外方に向かって突出し、軸方向に間隔を開けて配置される複数の攪拌構成体を含む各回転部材と、
バルク粒状物質を受け入れる領域内でバルク粒状物質を攪拌するために、回転部材の回転軸周りに回転部材が回転可能なように、回転部材に結合された駆動手段。
【0035】
好ましくは、各回転部材は攪拌構成体を有し、バルク粒状物質を受け入れる領域で、バルク粒状物質中に使用時に埋没されるように配置される。
【0036】
好ましくは、少なくとも2つの長尺の回転部材は、一方の回転部材が他方の回転部材の上方になるように配置される。少なくとも2つの回転部材が、一方の回転部材が他方の回転部材の上方になるように配置される場合、2つの回転部材は同じ方向に回転するように構成することができる。
【0037】
好ましくは、少なくとも2つの長尺の回転部材は並設される。少なくとも2つの長尺の回転部材が並設される場合、2つの回転部材は反対方向に回転するように構成することができる。
【0038】
前記容器は、バルク粒状物質を受け入れて閉じ込める領域の上方に自由ヘッド空間を形成することができる。
【0039】
回転部材の回転軸は、一般的には、略平行である。回転軸は、好ましくは横断方向に伸延し、例えば略水平方向に伸延する。
【0040】
前記装置は、一般的には、低い位置に配設された高密度化されたバルク粒状物質のための1つ又は複数の排出口と、前記排出口より高い位置に配設されたバルク粒状物質のための1つの投入口を含む。前記投入口は、回転部材の上方に配置することができ、1つ又は複数の排出口は、回転部材の下方に配置することができる。このように、1つまたは複数の出口は、1つまたは複数の底部排出口として形成することができる。
【0041】
本発明の一実施例として、前記投入口、前記1つ又は複数の排出口、および回転部材は、使用中、高密度化されるバルク粒状物質が、バルク粒状物質を受け入れて閉じ込める領域を通して、回転部材の回転軸を横断する方向に供給することができるように配置される。
【0042】
前記装置は、容器内と連通する高密度化剤投入口を具備することができる。
【0043】
前記装置は、蒸発した高密度化剤を容器から排出するための高密度化剤排出口を具備することができる。上記した構成に代えて、前記高密度化剤投入口に高密度化剤排出口としての機能ももたせることができる。
【0044】
攪拌構成体は、回転部材の回転軸から半径方向に離れて突出するように設けることもできる。この場合、回転部材は、攪拌構成体を突出し回転部材を取り付けるための芯棒を具備することができる。
【0045】
攪拌構成体は、軸又は軸部と、芯棒から離隔した軸部の端部に設けた頭部を具備することができる。頭部は、容器の内面をきれいに掻きとるために有効に用いることができる。
【0046】
攪拌構成体は、軸方向には伸延するが円周方向に間隔を開けた複数列、例えば4列に配置することができる。各列は、1つの列内の攪拌構成体が、隣接する列内で空所位置に横付けするように千鳥状に配列することができる。
【0047】
前記駆動手段は、回転部材が粒状物質体に埋没している場合、100rpm〜3500rpmの角速度で回転部材を回転させることができる。一般的には、駆動手段は、回転部材が粒状物質体に埋没している場合、500rpm〜1000rpmの角速度で、例えば約700rpm〜800rpmで回転部材を回転させることができる。
【0048】
前記装置は、連続プロセスにおける連続運転用に構成することができる。
【0049】
前記装置は、搬送手段と袋詰め手段を具備することができる。ここで、搬送手段は、高密度化されたバルク粒状物質を、容器から高密度化されたバルク粒状物質を袋詰めするための袋詰め手段へ搬送することができるように配置される。このような配置に代えて、高密度化されたバルク粒状物質の排出口から袋詰め手段にバルク粒状物質を供給するようにしてもよい。
【0050】
前記装置は、容器の内面に対して粒状物質の塊状化、または凝固、あるいは凝集を防止するために容器を振動させる振動手段を具備することができる。
【0051】
前記装置は、容器から粉塵を抜き出す粉塵抜き出し手段を具備することができる。
【0052】
回転部材および容器の内面は、バルク粒状物質の凝固、または塊状化、あるいは凝集を防止するための物質で被覆することができる。
【0053】
前記装置は、密度測定手段、および高密度化されたバルク粒状物質の密度を調整する調整手段を具備することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
本発明を、実施例に基づいて、かつ、添付図を参照して説明する。
【0055】
図中、図1は、バルク粒状物質を高密度化を図る本発明に係る高密度化装置の1実施例の正面断面図である。
【0056】
図2は、図1の高密度化装置の回転部材の側面図である。
【0057】
図3、図4および図5は、バルク粒状物質を高密度化するための本発明に係る高密度化装置の回転部材の他の配置を模式的に示す。
【0058】
図1を参照して、参照番号10は、バルク粒状物質の高密度化を図る本発明に基づく高密度化装置の1実施例の全体構成を示す。装置10は、バルク粒状物質を収容し閉じ込める容器12と、容器12に収容されるバルク粒状物質中に使用時に埋没し、水平長手方向に延びる回転軸周りに回転可能で、かつ、互いに平行な、横断方向に間隔を開けて配置された長尺の回転部材14および15とを具備する。
【0059】
容器12は、平面視で矩形状をなし、容器12の長手側が回転部材14および15の回転軸に平行となり、回転部材14および15が容器12の端面側間を伸延する。回転部材14および15は軸受を具備する。
【0060】
容器12は、バルク粒状物質を受け入れ、閉じ込め、高密度化する領域16を内部に形成すると共に、同領域内に回転部材14および15が配置されている。
【0061】
容器12は、バルク粒状物質を容器12に供給する投入口22と、容器12から高密度化されたバルク粒状物質を除去する排出口24とを具備する。投入口22は、容器12の天板26に配置されており、排出口24は、回転部材14の回転軸に対して平行に伸延する容器12の壁28に配置されている。より好適な実施例においては、1つ又は2つ以上の排出口が容器12の床面46に配置される。
【0062】
回転部材14は、排出口24の略高さ位置に配置される。回転部材14は、カップリング17によって駆動軸30に機械的に取り付けられ、一方、駆動軸30は電動モータ32に駆動可能に連結される。電動モータ32は、700rpm〜800rpmの角速度で選択的に回転部材を回転することができる。カップリング17は、プーリーとしても機能する。プーリー19、駆動ベルト21およびカップリング(プーリー)17によって、電動モータ32は、回転部材15も駆動することができる。
【0063】
電動機32および容器12は、脚36を有する基台34上に支持されている。
【0064】
回転部材14および15は、それぞれ、芯棒38、および複数の軸方向に間隔を開けて半径方向に伸延する攪拌構成体40を具備する。各回転部材14および15の攪拌構成体40は、軸方向に伸延する4列に配置され、4列のうちの3列の攪拌構成体40のみが図1および図2に示されている。各列は、隣接する列との間に相互に90°の角度を開けて配置されている。各列は、ひとつの列内の攪拌構成体40が隣接する列内で空所位置に横付けするように千鳥状に配列することもでき、この場合、隣接しない列の攪拌構成体40は対角線上に整列されている。
【0065】
攪拌構成体40は、それぞれ軸部42と頭部44からなる(図2参照)。本発明の1実施例において、攪拌構成体は、それぞれボルト形状を有し、芯棒38にねじ込まれている。しかしながら、攪拌構成体については他の多くの実施例があることは理解されるべきである。
【0066】
容器12および回転部材14は、回転部材14が回転するとき、一方をなす床面46及び容器12の各壁28と、他方をなす攪拌構成体40の頭部44間に殆ど隙間がないように寸法が決定される。同様に、回転部材15の攪拌構成体40の頭部44と容器12の壁28との間には殆ど隙間が設けられていない。したがって、頭部44は、バルク粒状物質を攪拌することに加えて、回転部材14および15が回転中には、容器12の内壁のバルク粒状物質の凝固を防止するように作用する。
【0067】
高密度化剤投入口48は、容器12の壁の比較的高い位置に設けられる。投入口48は、水供給管路50と連通しており、流量調整器52が管路50内に設置されている。
【0068】
必要に応じて、粉塵抜き出し口(図示せず)が容器12に設置され、加振器(図示せず)が容器12の外壁に取り付けられる。
【0069】
使用に際し、調整および測定された状態のバルク粒状物質が、容器12内に、矢印54に示すように、連続的に供給され、回転部材14および15を覆うことになる。高密度化剤としての水は、バルク粒状物質に対して予め設定された調整比率で投入口48から添加される。バルク粒状物質がシリカヒュームの場合、調整比率は質量比で6:100である。しかし、装置10は、水のような高密度化剤を使用せずとも機能することは理解されるべきである。
【0070】
バルク粒状物質を高密度化するために、埋没された回転部材14および15を、電動機32を用いて約732rpmの角速度で回転する。攪拌構成体40はバルク粒状物質を強力に攪拌し、この攪拌によってバルク粒状物質を高密度化される。攪拌中、バルク粒状物質は容器12の側面にはじき飛ばされる。しかしながら、回転部材14および15は、容器12内ではバルク粒状物質体を大きく流動化することはなく、従って、回転部材14および15と同軸の円筒形空洞が形成されることもない。
【0071】
加振器を用いる場合、加振器は、容器12の内壁に対するバルク粒状物質の凝固を防止するように作動し、発生した粉塵は、粉塵抜き出し口(もし設けられている場合)より抜き出され、また、70から80℃に達する粒状物質の摩擦熱により発生する水蒸気も同時に除去される。高密度化剤排出口を別途設けない場合、バルク粒状物質投入口22を容器12から水蒸気を排出するために用いることができる。
【0072】
高密度化されたバルク粒状物質は、排出口24から排出される。排出は、回転部材14の回転により行われる。容器12から排出された高密度化されたバルク粒状物質の密度は、密度調整および測定手段(図示せず)により測定され、高密度化されたバルク粒状物質の容器12からの排出量は、排出口24の開閉により増減することができ、これにより、バルク粒状物質を所望のバルク密度まで高密度化するため、容器12内のバルク粒状物質の滞留時間を増減することができる。一般的に、高密度化されたバルク粒状物質は、1質量%未満の水を含み、したがって、ほとんど乾燥状態である。
【0073】
添付図中、図3から図5に、バルク粒状物質を高密度化することができる本発明に係る高密度化装置の他の実施例が、参照番号100、200、および300を付して一般的に示されている。図3から図5に示す簡略概略図から理解できるように、回転部材は様々な他の配列が可能である。装置100において、同じ高さ位置に配置された2つの回転部材14が使用されている。2つの回転部材14は、互いに向かって、あるいは互いに離れて、もしくは同じ方向(好ましくはない)に回転することができる。図4において、2つ以上の、例えば3つの回転部材が、垂直方向に配列された状態で使用されており、1つ以上の排出口24を具備する。図5は、複数の、例えば4つの回転部材14を配列する場合の配列状態を示しており、排出口24は底部に設けられている。
【0074】
垂直方向に間隔を開けて配置された複数の回転部材を用いる場合、高い位置にある回転部材は、粒状物質(アルミナやボーキサイトなど)の粒子を整形あるいは再整形し、かつ粒子を細粒化するために用いられ、低い位置にある回転部材は、高い位置にある回転部材と比較して、バルク粒状物質の高密度化により貢献する形態で用いられる。このような配置において、各高さ位置に配置されている回転部材の回転速度はそれぞれ異ならせることができる。
【0075】
本発明の利点は、添付図を参照して説明してきたように、シリカヒュームのようなバルク粒状物質を高密度化するに際してコスト効果の高い方法および装置を提供することにある。本発明の他の利点は、添付図を参照して説明してきたように、このような方法および装置が、シリカヒュームのような高密度化物質を、シリカヒュームおよび同種の物質の高密度化に使用される従来の空圧式(あるいは他の)方法および装置よりも高いバルク密度で高密度化することができるということにある。粒子の塊状化も、本出願人が認識している従来技術による空圧式高密度化工程に比較して非常に少なく、より小さい平均粒径が得られ、BET表面積を増加することができる。装置10は、添付図を参照して説明してきたように、連続プロセスに対して好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】バルク粒状物質の高密度化を図る本発明に係る高密度化装置の1実施例の正面断面図である。
【図2】図1の高密度化装置の回転部材の側面図である。
【図3】バルク粒状物質を高密度化するための本発明に係る高密度化装置の回転部材の他の配置を模式的に示す。
【図4】バルク粒状物質を高密度化するための本発明に係る高密度化装置の回転部材の他の配置を模式的に示す。
【図5】バルク粒状物質を高密度化するための本発明に係る高密度化装置の回転部材の他の配置を模式的に示す。
【符号の説明】
【0077】
10 高密度化装置
12 容器
14,15 回転部材
32 電動機
40 攪拌構成体






【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的にバルク粒状物質を閉じ込め、閉じ込めたバルク粒状物質を少なくとも2つの長尺の回転部材により機械的に攪拌するものであり、回転部材のうち少なくとも1つはバルク粒状物質に埋没しており、各回転部材は回転軸を有すると共に軸方向に間隔を空けて配置される複数の攪拌構成体を備えており、この攪拌構成体は回転軸から外側に突出しており、回転部材は横断方向に間隔をあけて配置され、それによってバルク粒状物質を高密度化するバルク粒状物質の高密度化方法。
【請求項2】
各回転部材は閉じ込められたバルク粒状物質中に埋没されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
高密度化されるバルク粒状物質を回転部材の回転軸に対して横断する方向に回転部材を越えて供給することを特徴とする請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2つの長尺の回転部材の一方が他方の上方に配置される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2つの回転部材の一方が他方の上方に配置され、かつ、2つの回転部材は同方向に回転されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2つの長尺の回転部材が側方に並置されることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つの長尺の回転部材が側方に並置され、かつ、2つの回転部材が逆方向に回転されることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
閉じ込めたバルク粒状物質中に垂直方向のバルク密度勾配が形成され、底部が最も高いバルク密度を有することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
バルク粒状物質は、閉じ込めたバルク粒状物質の上方に自由ヘッド空間を残した状態で、少なくとも部分的に閉じ込められ、攪拌されたバルク粒状物質は攪拌中に少なくとも自由ヘッド空間の一部を占めることができる前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
各回転部材の回転軸は略平行に配置され、かつ、各回転部材の回転軸が略水平に位置する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
バルク粒状供給物質が連続式に高密度化され、バルク粒状供給物質が回転部材の上方から供給され、高密度化されたバルク粒状物質が回転部材の下方より除去される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
バルク粒状物質の機械的な攪拌は高密度化剤を用いて行うことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
高密度化剤が水性液体であることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
高密度化されたバルク粒状物質中の高密度化剤の平均濃度が、高密度化しようとするバルク粒状物質中の高密度化剤の平均濃度よりも低いことを特徴とする請求項12または請求項13記載の方法。
【請求項15】
機械的攪拌中にバルク粒状物質が加熱され、少なくとも高密度化剤の一部が、蒸発により、高密度化としようとするバルク粒状物質あるいは高密度化されたバルク粒状物質から除去されることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
少なくとも部分的にバルク粒状物質体を閉じ込めるための容器であって、バルク粒状物質を受け入れて閉じ込める領域を形成する容器と、横断方向に間隔を開けて配置されかつバルク粒状物質を機械的に強力に攪拌するためのバルク粒状物質を受け入れ閉じ込める領域内に、少なくとも1つの回転部材がバルク粒状物質により使用時に埋没されるように配置される少なくとも2つの長尺の回転部材であって、それぞれ回転軸を有し、回転軸から外側に向かって突出し、軸方向に間隔を置く複数の攪拌構成体をそれぞれ含む回転部材と、バルク粒状物質を受け入れる領域内でバルク粒状物質を攪拌するために、回転部材の回転軸周りに回転部材を回転可能なように、回転部材に結合された駆動手段とを具備するバルク粒状物質高密度化装置。
【請求項17】
回転部材が、それぞれ攪拌構成体を有し、バルク粒状物質を受け入れる領域に、バルク粒状物質中に埋没されるように配置される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
少なくとも2つの長尺の回転部材が、一方が他方の上方になるように配置されることを特徴とする請求項16または請求項17に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも2つの回転部材が、一方が他方の上方になるように配置され、前記2つの回転部材が同方向に回転するよう構成されることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも2つの長尺の回転部材が側方に並設されることを特徴とする請求項16から請求項19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
少なくとも2つの長尺の回転部材が側方に並設され、前記2つの回転部材が反対方向に回転するよう構成されることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記容器が、バルク粒状物質を受け入れ閉じ込める領域の上方に自由ヘッド空間を形成することを特徴とする項16から請求項21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
回転部材の回転軸が略平行であり、前記回転軸が略水平であることを特徴とする請求項16から請求項22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
低い位置にある高密度化されたバルク粒状物質の1つの排出口と、前記排出口より高い位置にあるバルク粒状物質の1つの投入口を具備する、請求項16から請求項23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記投入口が、前記回転部材の上方に位置し、前記排出口が、前記回転部材の下方に位置することを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記投入口、排出口および回転部材は、使用に際し、高密度化されるバルク粒状物質を、バルク粒状物質を受け入れて閉じ込める領域を通して回転部材の回転軸を横断する方向に送るように配置されることを特徴とする請求項24または請求項25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
前記容器内へ通じる高密度化剤投入口を具備することを特徴とする請求項16から請求項26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
蒸発した高密度化剤を前記容器から除去するための高密度化剤排出口を具備することを特徴とする請求項16から請求項27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
連続プロセスで連続運転可能に構成されることを特徴とする請求項16から請求項28のいずれかに記載の装置。

【公表番号】特表2006−524127(P2006−524127A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506891(P2006−506891)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050504
【国際公開番号】WO2004/094056
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505396213)
【氏名又は名称原語表記】RUSSEL−SMITH,Kevan,Vaughan
【Fターム(参考)】