説明

バルサルタンのパルス放出

本発明は、バルサルタンのバイオアベイラビリティーを改善する胃滞留性パルス医薬送達システムであって、薬剤が、改善された溶解性、胃腸管内での改善された滞留時間、およびパルス放出プロフィールを有する胃滞留性パルス医薬送達システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アンジオテンシンIIは、血管を取り囲んでいる筋肉を収縮させて血管を著しく狭小化させる極めて強力な最終生成物の化学物質である。この狭小化は、動脈血管内の圧力を上昇させて高血圧(高血圧症)を引き起こす。アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)は、アンジオテンシンIIの作用を遮断する薬物である。結果として、動脈血管が拡張し、血圧が低下し、これにより心臓が血液を送り出すのを容易にする。したがって、ARBは、高血圧はもちろん、心不全を改善するためにも使用することができる。加えて、ARBは、高血圧または糖尿病による腎疾患の進行を遅くする。
【0002】
バルサルタン(Valsartan)は、重要なARBであり、その合成および使用は、参照によりその全容が本明細書に組み入れられる、米国特許第5,399,578号に記載されている。しかし、バルサルタンは、崩壊および溶解性が劣るため、結果としてバイオアベイラビリティーが低い。低い水溶性に関連した低いバイオアベイラビリティーは、望ましい治療活性を維持するために、放出が制御されて送達される、より多くの用量のバルサルタンの投与を必要とする。
【0003】
従来の放出制御薬物送達システムは、(1)胃腸管に狭い吸収ウインドウ(absorption window)を有する、すなわち十二指腸および/または空腸で吸収される薬物、(2)胃腸管(胃および/または十二指腸)の近位部分の局所治療、および(3)結腸内で分解する薬物のみに使用が限定されていた。
【0004】
薬物吸収の基本原理によると、溶液中に存在する中性型の薬物のみが、脂質細胞膜を透過できる。したがって、より良い吸収のためには、製剤原料は、親油性の性質であり、かつ胃腸環境で十分な溶解性を有するべきである。バルサルタンは、例えば、遊離カルボン酸基を有し、遊離カルボン酸基は、酸性条件でバルサルタンを不溶性にし、かつアルカリ環境でイオン化(可溶型)する。したがって、酸性環境でのバルサルタンの吸収は、その低い溶解性によって低い。対照的に、アルカリ環境では、バルサルタンは、イオン化(可溶)型であるため、親油性が低く、結果として細胞膜透過性が低い。言い換えれば、バルサルタンは、酸性/弱酸性胃腸管環境での低い溶解性の遊離酸型と低い透過性の溶解(イオン化)型の組合せにより、胃腸管でも吸収性が低い。この低い溶解性と低い透過性により、バイオアベイラビリティーが10〜25%と低い。
【0005】
さらに、胃腸管を通る通過時間が、しばしば、最も効率的な吸収部位で吸収に利用可能な薬物の量を制限する。薬物の溶解性が低下すると、薬物の溶解および腸管膜を介した吸収に必要な時間が十分でなくなり、このため通過時間が、有効な薬物送達を妨げる重要なファクターになる。さらに、それらの不溶性のために、難溶性または殆ど不溶性の薬物は、溶液拡散または膜制御送達システムによって容易に送達することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バルサルタンのバイオアベイラビリティーおよび放出速度を改善する改善された製剤の必要性および機会がなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、薬物が低い溶解性、結果として低いバイオアベイラビリティーを有する場合に改善された治療を可能にするために、胃滞留性パルス医薬送達システムを本明細書に開示する。経口投与後、このような胃滞留性剤形は、胃内に留まって、制御下で長期的に薬物を放出する。胃滞留性剤形の例には、浮く剤形、および胃内で膨張、膨潤、または展開する剤形である。
【0008】
本発明は、バルサルタンのバイオアベイラビリティーを改善する医薬送達システムであって、薬物または活性剤が送達システムから複数回放出されるように、薬剤が、改善された溶解性、改善された滞留時間、および改善された放出プロフィールを有する医薬送達システムを提供する。本発明のある態様によると、パルスであり胃滞留性であるバルサルタン含有送達システムを含み、バルサルタンが溶解促進剤および/または透過促進剤で処理された、バルサルタンの経口送達のための医薬送達システムが提供される。
【0009】
さらなる実施形態では、医薬送達システムは、即時放出(IR)成分、変更放出(MR)成分、およびバルサルタンを含む。特定の実施形態では、バルサルタンは、IR成分および/またはMR成分などのシステムの個々の成分の中に別個に取り込まれている。バルサルタンは、非促進型、透過促進剤で処理、溶解促進剤で処理、またはそれらの任意の組合せとすることができる。
【0010】
特定の実施形態では、MR成分は、1つの第1の遅延放出領域を含む。さらなる実施形態では、MR成分は、多領域であり、第1の遅延放出領域および第2の遅延放出領域を含む。さらに別の実施形態では、多領域MR成分は、3つまたはそれ以上の遅延放出領域を含む。
【0011】
特定の実施形態では、医薬送達システムは、パルスであり、このシステムの1回の投与で、多数の用量のバルサルタンがシステムから連続および逐次放出される。各用量は、異なる時間にシステムから放出されるバルサルタンの個々のパルスに一致する。特定の実施形態では、第1のパルスが、IR成分から放出され、第2のパルスが、第1のパルスからある程度の時間の後に第1の遅延放出領域から放出される。他の実施形態では、第1のパルスが、IR成分から放出され、第2のパルスが、第2の遅延放出領域から放出され、第3のパルスが、第1の遅延放出領域から放出される。バルサルタンは、非促進型、透過促進剤で処理、溶解促進剤で処理、またはそれらの任意の組合せとすることができる。
【0012】
特定の実施形態では、MR成分が、膨潤性ゲル状マトリックスを含み、システムは、膨潤する、膨張する、浮かぶ、胃腸粘膜内層に付着する、またはそれらの任意の組合せである。膨潤性ゲル状マトリックスは、胃腸管の胃環境などの液体の存在下において膨潤、膨張、または展開することができる。膨潤性ゲル状マトリックスは、システムを胃滞留式で維持することによって胃腸管での長い滞留時間を可能にする。したがって、システムは、システムが小腸に移動される前に治療有効量のバルサルタンを送達する。システムは、バルサルタンのすべてのパルスが、システムが小腸に送達される前に送達されるように胃腸管に保持される。一部の実施形態では、送達システムは、小腸に1つまたは複数のパルスを送達するように適合させることができる。さらなる実施形態では、MR成分は、多領域であり、多数の膨潤性ゲル状マトリックスを含む。
【0013】
特定の実施形態では、IR成分、およびMR成分の遅延放出領域(複数可)は、互いに軸方向または層状に連通している。
【0014】
一部の実施形態では、システムは、タブレット、カプセル、顆粒、ビーズ、ゲル、液体、またはそれらの組合せである。特定の他の実施形態では、システムは、固形粉末およびポリマー材料を含む。バルサルタンは、顆粒、固形粉末、またはそれらの任意の組合せとしてMR成分内に取り込むことができる。特定の他の実施形態では、バルサルタンは、MR成分の領域間、またはMR成分とIR成分との間に閉じ込められている。特定の実施形態では、バルサルタンは、第1の遅延放出領域によって取り囲まれている。特定の他の実施形態では、バルサルタンは、第1の遅延放出領域、第2の遅延放出領域、または両方の膨潤性ゲル状マトリックス内に注入される。特定の他の実施形態では、IR成分は、バルサルタンと共に注入されるポリマー材料を含む。さらなる実施形態では、送達システムは、第1の遅延放出領域および第2の遅延放出領域を含む変更放出成分を含む。第1の遅延放出領域および第2の遅延放出領域は個々に、固形粉末層、ポリマー層、膨潤性ゲル状マトリックス、またはそれらの組合せを含む。
【0015】
本発明の他の態様では、上記の送達システムを投与するステップを含む治療方法も本明細書に開示される。特定の実施形態では、本明細書に開示される胃滞留性パルス医薬送達システムは、それを必要とする対象の治療に使用される。さらなる実施形態では、送達システムは、高血圧、うっ血性心不全、または心筋梗塞後症候群の対象を治療するために用いられる。一部の実施形態では、送達システムは、胃が空になるのを遅くすることができる有効量の第2の活性剤と同時または逐次投与される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
本明細書で使用される場合、用語「パルス」、「パルス剤形」または「パルス送達」は、対象へのデバイスの単回投与で多数の用量を放出できるデバイスを表すことが意図されている。個々の用量は、本明細書に記載されるパルス医薬送達システムまたは胃滞留性パルス医薬送達システムの製剤に応じて、様々な間隔で投与することができる。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「胃滞留性」は、本発明の医薬送達システムが治療薬(例えば、バルサルタン)を送達すると共に胃腸管内に留まる能力を表すことが意図されている。本明細書で使用される場合、用語「胃滞留性」は、本発明の医薬送達システムが、通常なら治療薬を分解する胃環境から治療薬(例えば、バルサルタン)を隔離する、または胃環境から治療薬を除去する(例えば、胃を空にする)能力も指す。したがって、本発明の胃滞留性医薬送達システムの成分が、治療薬(例えば、バルサルタン)が胃環境に長期間(本発明の成分の補助がない場合に治療薬が胃環境で存在する能力と比較して)存在することを可能にする。治療薬が長期間に亘って胃環境に存在できるようにすることにより、治療薬(例えば、バルサルタン)を、一定期間に亘って制御された速度で対象に送達することができる。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「胃滞留式」は、胃が空になる1つの期間を超えてシステムが胃腸管内に滞留する能力を含む。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「取り込まれた」、「内部に取り込まれた」、または「取り込んでいる」は、1つもしくは複数の即時放出成分または任意の数の遅延放出領域によって薬物を閉じ込める、注入する、または取り囲むことができる実施形態を表すことが意図されている。用語「閉じ込められた」は、活性剤が、IR成分とMR成分との間などの2つの成分間に挟まれている実施形態を表すことが意図されている。用語「注入された」は、活性剤がポリマー層全体に分散または分布されている実施形態を表すことが意図されている。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「パルス」は、デバイスから周囲環境に活性剤の個々の一時的な放出を表すことが意図されている。例えば、第1のパルスは、活性剤の血漿濃度がピークとなるように実質的に送達デバイスの経口投与の直後に起こすことができる。第2のパルスは、第1のパルスからある程度の時間の後(例えば、第1のパルスからら3〜14時間後)に起こすことができる。第2のパルスの後に、第3のパルス、第4のパルス、第5のパルスなどが続き得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「即時放出成分」、「IR」、または「IR成分」は、実質的にデバイスの経口投与の直後に薬物が放出されて第1のパルスを提供するデバイスの領域を表すことが意図されている。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「変更放出成分」、「MR」、または「MR成分」は、互いにおよび即時放出成分と軸方向および層状に連通した1つまたは複数(多領域)の遅延放出領域を表すことが意図されている。「変更放出成分」、「MR」、または「MR成分」は、送達システムからの作用物質の第2のパルスまたは第2のパルスと第3のパルスを提供するように適合させることができる。特定の実施形態では、MR成分は、1つまたは複数の遅延放出(DR)領域を含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「遅延放出領域」は、互いにまたは即時放出成分と軸方向または層状に連通することができる変更放出成分領域の実施形態を表すことが意図されている。遅延放出領域は、即時放出成分からの放出からある程度の時間の後にバルサルタンが放出されるようにバルサルタンの放出を遅らせる。本明細書に記載されているように、バルサルタンの遅延放出領域からの放出速度は、バルサルタンの製剤パラメータを変更することによって制御される。
【0024】
用語「持続的送達」は、長時間に亘って薬物を徐々に放出させる、好ましくは、必ずしも必要ではないが、薬物投与後に長時間、例えば、最大約72時間、約66時間、約60時間、約54時間、約48時間、約42時間、約36時間、約30時間、約24時間、約18時間、約12時間、約10時間、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、または約1時間に亘って薬物の血中レベルを実質的に一定にする製剤を指すために用いられる。
【0025】
用語「送達システム」または「送達デバイス」は、一般的に、有益な成分または作用物質またはそれらの混合物を保存し、後に送達または放出するための手段またはシステムを意味する。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「多領域」は、システムの成分が2つ以上の領域を含む実施形態を表すことが意図されている。例えば、変更放出成分は、その多領域の実施形態では、2つ以上の遅延放出領域を含むことができる。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「軸方向の連通」は、本発明のデバイスの層または領域が、球状、楕円、曲線、または末端表面積を有していない実施形態を表すことが意図されている。
【0028】
用語「層状の連通」は、層または領域がラミネート状に積層され、層が、同じ末端とすることができ、または異なる長さおよび/または幅を有することができる実施形態を表すことが意図されている。層状に連通した層、領域、または成分は、末端表面積を有するが、表面積は、必ずしも同じ末端でなくてもよい。
【0029】
用語「放出制御材料」は、デバイスからのバルサルタンの放出時間を変更する材料を具体化することが意図されている。このような材料は、本明細書に記載されるリストから選択することができる。
【0030】
用語「放出変更成分」は、デバイスから放出されてからのバルサルタンの吸収速度を変更する成分を具体化することが意図されている。このような成分は、本明細書に記載されるリストから選択することができる。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「取り囲まれた」は、層または領域が球状または楕円状に囲まれている実施形態を表すことが意図されている。例えば、本明細書に記載されているように、医薬組成物のMR成分は、IR成分によって取り囲むことができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「注入された」は、薬物がポリマー層全体に分布されている実施形態を表すことが意図されている。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「閉じ込められた」は、薬物が2つの領域または層間に位置している実施形態を表すことが意図されている。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「コア」は、医薬送達システムの球状、楕円、または他の丸い実施形態の最も中心の領域を表すことが意図されている。例えば、システムのコアは、システムの最も内側の領域に位置する粉末、固形粉末、液体、ゲル、または他の形態とすることができる。
【0035】
用語「カプセル」は、活性成分を含む組成物を保持するまたは含むための、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、または変性ゼラチンもしくはデンプンから形成された特殊な容器または封入器を指す。硬質シェルカプセルは、典型的には、ゲル強度が比較的高い骨とブタ皮膚ゼラチンとの配合物から形成される。カプセル自体は、少量の染料、不透明化剤、可塑剤、および防腐剤を含むことができる。
【0036】
用語「タブレット」は、適切な希釈剤と共に活性成分を含む圧縮または成形された固形剤形を指す。タブレットは、混合物の圧縮、または湿式製粒法、乾式製粒法、もしくは圧縮によって得られる造粒によって調製することができる。
【0037】
用語「溶解促進」は、溶媒中に溶液として存在すると溶媒中の活性剤の溶解性を促進するが、それ自体は活性剤の溶媒ではない化学化合物によって溶解速度または溶解量が改善される活性剤を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「膨潤性ゲル状マトリックス」は、液体環境に接触すると膨張可能なポリマーヒドロゲルを指す。
【0039】
用語「胃が空になる期間」は、作用物質の摂取から、摂取された作用物質が小腸に移動するのに必要な時間を指す。
【0040】
用語「対象」は、高血圧、うっ血性心不全、または心筋梗塞後症候群などのバルサルタンで治療できる状態に罹患できるまたは罹患している動物を含むことが意図されている。対象の例には、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、および遺伝子組換え非ヒト動物が含まれる。特定の実施形態では、対象は、ヒト、例えば、バルサルタンで治療できる疾患または障害に罹患している、罹患するリスクのある、または潜在的に罹患し得るヒトである。
【0041】
パルス剤形
制御された薬物送達システムを使用する利点は多数ある。治療における効率の改善が、制御された薬物療法において主として重要である。制御された薬物療法は、必要な投与の頻度を減らし、周期的な間隔での単回投与で十分であり、患者の服薬順守の改善をもたらす。
【0042】
本発明は、持続的な制御された放出のためにバルサルタンのパルス送達を提供すると同時に、胃滞留式で胃腸管に保持される胃滞留性システムを提供することによって、バルサルタンのバイオアベイラビリティーを改善する医薬送達システムを提供する。本発明の一態様によると、医薬輸送デバイスは、バルサルタンが溶解促進剤、透過促進剤、脂質担体、またはそれらの組合せで処理されるパルス剤形である。本発明のさらなる態様では、医薬輸送デバイスは、バルサルタンが溶解促進剤、透過促進剤、脂質担体、またはそれらの組合せで処理されるパルス剤形であり、このデバイスは、胃滞留性である。
【0043】
本発明は、バルサルタンの送達のためのパルス医薬送達システムを提供する。バルサルタンは、促進型とすることができる、すなわちバルサルタンは、後述される透過促進剤または溶解促進剤で処理できることを意味する。本発明は、促進または非促進バルサルタンの治療上有効な血中濃度レベルを提供するように適合された医薬送達システムをさらに提供する。本発明によると、送達システムの経口単回投与で最大約24時間の持続時間に亘ってバルサルタンの治療上有効な血中濃度レベルを提供するように適合された医薬送達システムが提供される。
【0044】
一実施形態では、送達システムは、バルサルタンの第1のパルスを提供する即時放出(IR)成分を含む。システムは、少なくとも1つの追加のバルサルタンのパルスを提供する変更放出(MR)成分をさらに含む。バルサルタンは、IR成分またはMR成分の少なくとも1つの中に取り込まれる。その中に取り込まれるバルサルタンは、促進型または非促進型とすることができる。IR成分およびMR成分は、互いに軸方向または層状に連通し、送達システムは、治療上有効であるようにバルサルタンを送達する。
【0045】
バルサルタンは、その非促進型または促進型で、即時放出(IR)成分および変更放出(MR)成分が存在するパルス医薬送達システム内に取り込まれる。IR成分およびMR成分は、促進型または非促進型、またはそれらの任意の組合せでバルサルタンを個々に含むことができる。例えば、IR成分は、非促進または促進バルサルタン、または両方を含むことができる。MR成分は、促進型、非促進型、または両方のバルサルタンを同時に含むことができる。IR成分は、経口投与時に実質的に即時に、かつ実質的に完全にバルサルタンを放出させる。特定の実施形態では、MR成分は、多領域であり、バルサルタンの遅延放出をもたらす少なくとも2つの遅延放出(DR)領域を含む。DR領域は、その中に取り込まれたバルサルタンを、IR成分中のバルサルタンの放出からある程度の時間の後に放出させる。DR領域は、放出時間を決定し、放出時間は、バルサルタンの放出プロフィールを遅らせるまたは制御するために使用される材料によって決まる。
【0046】
バルサルタンの放出プロフィールを遅くするまたは制御するために使用される材料は、本明細書では、放出制御材料であると定義されている。これらの放出制御材料は、単独または組み合わせて使用される、セルロースおよびセルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、セルロースカルボキシメチルエーテルおよびその塩、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレン、ポリオクタニウム−1、ポリ酢酸ビニル(ホモポリマー)、ポリ酢酸フタル酸ビニル、アルギン酸プロピレングリコール、ポリビニルメタクリレート(PVM)/メタクリル酸(MA)コポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVP/ジメチコニルアクリレート(dimethiconylacrylate)/ポリカルバミル(polycarbamyl)/ポリグリコールエステル、PVP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、PVP/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル、PVP/ポリカルバミルポリグリコールエステル、PVP/酢酸ビニル(VA)コポリマー、ラノリンおよびラノリン誘導体、モノステアリン酸グリセリル、ステリル酸、パラフィン、蜜蝋、カルナウバ蝋、トリベヘニン、ポリアルキレンポリオール、例えば、ポリエチレングリコール、ゼラチンおよびゼラチン誘導体、アルギン酸、カルボマー、ポリカルボフィル、メタクリル酸ポリマーおよびコポリマー、カラゲナン、ペクチン、キトサン、シクロデキストリン、レシチン、ガラクトマンナンを含む天然および合成ゴム、例えば、キサンタンゴム、トラガカント、アカシア、寒天、グアーゴム、カラヤゴム、ローカストビーンゴム、およびアラビアゴムなどから選択することができる。
【0047】
放出制御材料は、腸内ポリマーとすることもできる。適切な腸内ポリマーには、セルロースおよびその誘導体のエステル(酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、酢酸フタル酸ポリビニル、pH感受性メタクリル酸−メタメタクリレートコポリマー、およびシェラックが含まれる。これらのポリマーは、乾燥粉末または水分散液として使用することができる。使用できる一部の市販の材料は、Rhom Pharmaが製造するEudragit(L100、S100、L30D)の商標で販売されているメタクリル酸コポリマー、Eastman Chemical Co.のCellacefate(酢酸フタル酸セルロース)、FMC Corp.のAquateric(酢酸フタル酸セルロース水分散液)、およびShin Etsu K.K.のAqoat(酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース水分散液)である。
【0048】
放出制御材料は、水不溶性とすることもできる。本発明に有用な適切な水不溶性ポリマーには、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース)、ポリ酢酸ビニル(BASFのKollicoat SR30D Z)、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートをベースとする中性コポリマー、Eudragit NE、RSまたはRS30D、およびRLまたはRL30Dなどの第4アンモニウム基を有するアクリルおよびメタクリル酸エステルのコポリマーが含まれる。
【0049】
IR成分およびMR成分は、バルサルタンのパルス放出が達成されるように製剤される。特定の実施形態では、IR成分は、IR成分がMR成分を包囲するようにMR成分と軸方向または層状に連通している。用語「包囲する」、「包囲している」、「包囲された」、または任意の他の同様の置き換えは、層が軸方向または層状に連通していることを意味することが意図されている。用語、軸方向の連通は、層または領域が、球状、楕円、半円形、または層が互いの周りに湾曲している任意の他の実施形態であることを意味する。用語、層状の連通は、層または領域が、層が互いに積層されて末端表面積を有するように平坦で限定的であることを意味する。層は、同じ末端とすることができ、または幅、長さ、または両方が一様でないようにすることもできる。
【0050】
特定の実施形態では、送達システムは、IR成分、および少なくとも2つの遅延放出(DR)領域を備えた多領域MR成分を含む。より好ましい実施形態では、MR成分は、第1の遅延放出領域を含み、この第1の遅延放出領域は、それ自体がIR成分によって包囲された第2の遅延放出領域によって包囲されている。第2の遅延放出領域は、第1の遅延放出領域とIR成分との間に配置されている。IR成分、第1のDR領域、および第2のDR領域は、軸方向または層状に連通している。特定の実施形態では、促進または非促進バルサルタンの第1のパルスは、IR成分から放出され、第2のパルスは、第1の遅延放出領域の膨潤性ゲル状マトリックスの崩壊、展開、または膨張時に放出される。さらなる実施形態では、第1のパルスは、IR成分から放出され、第2のパルスは、第2の遅延放出領域の膨潤性ゲル状マトリックスの崩壊、展開、または膨張時に放出され、第3のパルスは、第1の遅延放出領域の膨潤性ゲル状マトリックスの崩壊、展開、または膨張時に放出される。本明細書で使用される場合、用語「崩壊」は、DR領域を形成するために用いられるポリマー材料の分解、溶解、または侵食を表すことを意味する。
【0051】
本発明の他の特定の実施形態では、促進型または非促進型のバルサルタンは、IR成分および多数のMR成分が存在するパルス医薬送達システム内に取り込まれている。IR成分およびMR成分は、促進型または非促進型、またはそれらの任意の組合せのバルサルタンを個々に含むことができる。MR成分は、促進型または非促進型、または両方のバルサルタンを同時に含むことができる。IR成分は、促進または非促進バルサルタンを、経口投与時に実質的に即時に、かつ実質的に完全に放出させる。MR成分は、バルサルタンの遅延放出を可能にする多数の遅延放出(DR)領域を含む。MR成分は、2つ以上のDR領域を含むことができる。DR領域は、その中に個々に取り込まれているバルサルタンを、IR成分中のバルサルタンの放出からある程度の時間の後に放出させることができる。DR領域は、互いに対して同時または逐次放出され得る。DR領域が同時または逐次放出されるかは、その中に取り込まれたバルサルタンの放出プロフィールを遅くするために選択された材料によって決まる。IR成分およびMR成分は、バルサルタンのパルス放出が達成されるように製剤される。
【0052】
特定の実施形態では、パルス医薬送達システムは、IR成分とMR成分が投与時にバルサルタンの少なくとも2つの放出プロフィールを生成する密閉カプセルまたは多層デバイスとして製剤される。各カプセルまたは多層デバイスは、圧縮タブレットもしくは複数の圧縮タブレット、または複数のビーズ、複数の顆粒、または複数の粒子、またはカプセル内に位置するそれらの組合せをさらに含むことができる。IR成分は、最初の用量の即時放出を提供するために実質的に経口投与の直後にバルサルタンを放出する。MR成分は、DR領域をさらに含む。DR領域は、第2の用量を提供するために経口投与の約3〜約14時間後にバルサルタンを放出する複数のビーズ、複数の顆粒、または複数の粒子、またはそれらの組合せからなる。MR成分が多数のDR領域を含む場合、第2のDR領域は、第2の用量を提供するために経口投与の約3〜約14時間後にバルサルタンを放出することができる一方、第1のDR領域は、第3の用量を提供するために経口投与の約14時間〜約18時間後にバルサルタンを放出することができる。
【0053】
特定の他の実施形態では、パルス医薬送達システムのタブレット製剤が開示される。タブレットは、IR成分およびMR成分を有する。IR成分は、バルサルタンを含み、最初の用量の即時放出を提供する。MR成分は、IR成分によって包囲することができる。MR成分は、バルサルタンと共に取り込むことができ、1つまたは複数のDR領域を含む。例えば、MR成分は、第2のDR領域、および第2のDR領域によって包囲された第1のDR領域を含むことができる。第1のDR領域および第2のDR領域は、バルサルタンのIR成分からの放出からある程度の時間の後にバルサルタンを放出する。好ましくは、第2のDR領域は、経口投与の約3〜約14時間後にバルサルタンを放出する一方、第1のDR領域は、経口投与の約14時間〜約18時間後にバルサルタンを放出する。この態様の特定の実施形態では、IR成分は、MR成分と軸方向または層状に連通している。第1のDR領域は、第2のDR領域によって包囲することができる。第1のDR領域は、第2のDR領域と軸方向または層状に連通することができる。第2のDR領域は、バルサルタンと共に取り込まれた内層を含む。第1のDR領域は、バルサルタンと共に取り込まれたコア層を含む。
【0054】
別の実施形態では、パルス医薬送達システムは、第1のDR領域が、第1のDR領域の侵食、崩壊、膨潤、または展開時にバルサルタンを放出するビーズまたは顆粒からなるように製剤されている。IR成分は、バルサルタンと共に取り込まれ、最初の用量の即時放出を提供する。IR成分は、MR成分と軸方向または層状に連通し、IR成分によって包囲されている。MR成分は、バルサルタンと共に取り込まれた1つまたは複数のDR領域を含む。例えば、MR成分は、第1のDR領域、および第1のDR領域を包囲する任意選択の第2のDR領域を含むことができる。第1のDR領域および第2のDR領域は、IR成分からのバルサルタンの放出からある程度の時間の後にバルサルタンを放出する。好ましくは、第2のDR領域は、経口投与の約3時間〜約14時間後にバルサルタンを放出する。第1のDR領域は、第2のDR領域からのバルサルタンの放出からある程度の時間の後にバルサルタンを放出する。好ましくは、第1のDR領域は、経口投与の約14時間〜約18時間後にバルサルタンを放出する。したがって、一部の実施形態では、IR成分は、最初の用量の即時放出のためにバルサルタンがその中に取り込まれている外層を含む。内層は、IR成分と第2のDR領域との境界をなす。内層は、バルサルタンと共に取り込まれている。第1のDR領域は、ビーズまたは顆粒のコアを含む。
【0055】
特定の他の実施形態では、パルス医薬送達システムは、第2のDR領域がバルサルタンと共に注入されるポリマー層を含むようにタブレットとして製剤される。IR成分は、バルサルタンを含み、最初の用量の即時放出を提供する。MR成分は、IR成分によって包囲され、IR成分と軸方向または層状に連通している。MR成分は、バルサルタンと共に取り込まれた1つまたは複数のDR領域を含む。例えば、MR成分は、第1のDR領域、および第1のDR領域を包囲する任意選択の第2のDR領域を含むことができる。第1のDR領域および第2のDR領域は、IR成分からのバルサルタンの放出からある程度の時間の後にバルサルタンを放出する。好ましくは、第2のDR領域は、経口投与の約3時間〜約14時間後にバルサルタンを放出する。第1のDR領域は、第2のDR領域からのバルサルタンの放出からある程度の時間の後にバルサルタンを放出する。好ましくは、第1のDR領域は、経口投与の約14時間〜約18時間後にバルサルタンを放出する。一部の実施形態では、第1のDR領域は、液体、ビーズ、または顆粒としてバルサルタンを含む。したがって、一部の実施形態では、IR成分は、最初の用量の即時放出のためにバルサルタンがその中に取り込まれた外層を含む。内層は、IR成分と第2のDR領域との境界をなす。第2のDR領域は、バルサルタンと共に取り込まれたポリマー層を含み、バルサルタンがポリマー層内に注入されている。第1のDR領域は、内層によって包囲され、内層によって包囲されたバルサルタンのコアを有する。バルサルタンのコアは、液体、ビーズ、または顆粒の形態とすることができる。
【0056】
特定の他の実施形態では、パルス医薬送達システムは、バルサルタンが液体またはゲルとして第2のDR領域内に取り込まれるように製剤される。IR成分は、バルサルタンと共に取り込まれ、最初の用量の即時放出を提供する。特定の好ましい実施形態では、バルサルタンがIR成分内に取り込まれる場合、IR成分は、バルサルタンと共に注入される固形粉末の形態である。特定の他の実施形態では、バルサルタンがIR成分内に取り込まれる場合、IR成分は、生体分解、崩壊、または膨張できるポリマー材料内に注入される。特定の他の実施形態では、バルサルタンがIR領域内に取り込まれる場合、IR領域は、IR成分を形成するために使用されるポリマー材料とMR成分のポリマー材料との間に閉じ込められている。MR成分は、IR成分によって包囲され、IR成分と軸方向または層状に連通している。MR成分は、バルサルタンと共に取り込まれた1つまたは複数のDR領域を含む。特定の実施形態では、IR成分は、バルサルタンが取り込まれている外層である。IR成分は、バルサルタンの最初の用量の即時放出を提供する。MR成分は、IR成分によって包囲され、IR成分と軸方向または層状に連通している。MR成分は、バルサルタンと共に取り込まれた1つまたは複数のDR領域を含む。内層は、IR成分とMR成分との境界をなしていてもよい。特定の実施形態では、内層は、バルサルタンを含まない。第2のDR領域は、液体またはゲルの形態でその中に取り込まれたバルサルタンを含むことができる。第1のDR領域は、第2のDR領域のバルサルタンの液体またはゲル全体に分布されたビーズおよび顆粒を含むことができる。タブレットの層は、内層、外層、およびDR領域の混合物を含む。内層の崩壊時に、第1のDR領域がバルサルタンを即時放出する。ビーズおよび顆粒は、第1のDR領域のある程度の時間の後にバルサルタンを放出する。
【0057】
特定の実施形態では、システムの第1のDR領域は、後述するポリマー材料を含み、バルサルタンは、ポリマー材料によって取り囲まれている。取り囲まれたバルサルタンは、固形粉末、顆粒、ビーズ、ゲル、液体、またはそれらの任意の組合せの形態にすることができる。システムの第2のDR領域は、第2のDR領域のポリマー材料内に注入されたバルサルタンを含む、または第2のDR領域のポリマー材料と第1のDR領域のポリマー材料との間に閉じ込められている。IR成分は、バルサルタンと共に注入された固形粉末を含むか、またはバルサルタンと共に注入されたポリマー材料を含む。特定の他の実施形態では、IR成分は、IR領域のポリマー材料とDR領域の後述するポリマー材料との間に閉じ込められたバルサルタンを含む。
【0058】
胃滞留性剤形
本発明は、胃が空になる少なくとも1つの期間を超えて胃腸管に保持される、上記のパルス医薬送達システムの胃滞留形態をさらに提供する。典型的には、薬物は、胃および小腸の近位部分を通じて最も効率的に吸収される。本発明の胃滞留(GR)制御送達システムは、通常は狭い吸収ウインドウを有する薬物の投与に有利であろう。これらの薬物は、通常は、胃腸管の上部(大抵は、十二指腸および空腸)の限定されたセグメントで吸収される。加えて、これらの薬物の多くは、胃腸管の上述の上部の活性な輸送システムによって吸収される、または小腸の中間pHで溶解性が低い。狭い吸収ウインドウを有する薬物の十二指腸送達を延長することにより、薬物のバイオアベイラビリティーおよび治療効果を促進することができる。
【0059】
本発明の送達システムは、望ましい薬物放出時間の後に崩壊し、送達システムの成分のすべてが胃から移動できるように設計されている。したがって、GIで長時間滞留できる医薬送達システムは、特に、パルス医薬送達システムの単回投与から多数の用量を投与するためにパルス医薬送達システムを用いられる場合に有利であろう。
【0060】
したがって、特定の態様では、本発明は、バルサルタンの胃腸管での制御された放出のための胃滞留性パルス医薬送達システムに関する。特定の態様では、このシステムは、(a)即時放出(IR)成分、(b)変更放出(MR)成分、および(c)IR成分、MR成分、または両方に取り込まれた促進型または非促進型バルサルタン、および(d)膨張、膨潤、崩壊、胃腸粘膜への付着、または浮くことが可能な1つまたは複数の膨潤性ゲル状マトリックスを有する、上記のパルス剤形を含む。MR成分の膨潤製ゲル状マトリックスは、システムの表面積が幽門括約筋の直径よりも広くなるように胃腸環境に接触すると膨張または膨潤する。膨潤性ゲル状マトリックスは、このマトリックスがIR成分、MR成分、または両方と軸方向または層状に連通するように分布されている。特定の実施形態では、膨潤性ゲル状マトリックスは、促進型または非促進型のバルサルタンと共に注入される。特定の他の実施形態では、第1のDR領域の膨潤性ゲル状マトリックスは、促進型または非促進型のバルサルタンを閉じ込め、第2のDR領域の膨潤性ゲル状マトリックスは、第1のDR領域のポリマー材料と第2のDR領域のポリマー材料との間にバルサルタンを閉じ込める。MR成分が多数の遅延放出(DR)領域を含む場合、マトリックスは、1つまたは複数のDR領域と軸方向または層状に連通することもできる。
【0061】
腸内ポリマーおよび水不溶性ポリマーの両方をマトリックスの形成に使用することができる。これらのポリマーは可塑化することができる。マトリックスを可塑化するために使用することができる可塑剤の代表的な例には、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチルクエン酸アセチルトリ−nブチル(acetyl tri-n butyl citrate diethyl phthalate)、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、およびアセチル化モノグリセリドなど、またはそれらの組合せが含まれる。可塑剤は、ポリマーに対して約3〜30重量%、より典型的には約10〜25重量%とすることができる。可塑剤の種類およびその成分は、ポリマーまたは複数のポリマー、および/またはコーティングシステム(例えば、水溶性または溶媒ベース、溶液または分散ベース、および全固形物)の性質によって決まる。
【0062】
マトリックスは、所定時間に亘って望ましい構造にシステムを維持することによってシステムの胃滞留性を制御する。システムの胃からの移動は、マトリックスが生分解、生物侵食、溶解、または崩壊され、これによりマトリックスのより小さい断片への分離、またはマトリックスおよび必然的にシステムの任意の他の方法での崩壊が可能になった後に起こるべきである。
【0063】
胃滞留性の特性は、胃粘膜に特異的な結合親和性を有するポリマーで活性剤(例えば、バルサルタン)を処理する技術、浮上をもたらす剤形の固有の重力を減少させる技術、幽門直径よりも大きくなるように剤形のサイズを増大させる技術、および/または胃を空にするのを遅らせる化学物質を使用する技術など、またはこのような技術の2つ以上の組合せなどの技術によって剤形/薬物送達システムに取り込むことができる。ある実施形態では、剤形組成物の胃滞留性は、食物を与えるなどして胃が空になる時間を遅らせることによって達成することもできる。特定のさらなる実施形態では、胃が空になるのを遅らせることができる第2の活性剤を、医薬送達システムと同時または逐次投与することができる。
【0064】
本発明の特定の他の態様では、胃滞留性は、送達システムが胃環境内で浮くように送達システムの固有の重力を減少させることによって達成される。システムが胃環境内で浮くことができるように固有の重力を減少させるために使用される特定の物質には、限定されるものではないが、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、炭酸カルシウム、およびそれらの混合物などの水溶性の炭酸塩、亜硫酸塩、および重炭酸塩などのガス発生剤が含まれる。いかなる特定の理論に拘束されることを望むものではないが、胃の酸性環境がゲル状マトリックス内に入ると、ガス遊離剤(gas liberating agent)と反応してガスを遊離させると考えられる。遊離したガスは、ゲルマトリックス内に閉じ込められ、薬物がゲルから拡散または送達される際に徐々に放出される。
【0065】
本発明の特定の他の実施形態では、胃滞留性は、パルス医薬送達システムのサイズを幽門括約筋の直径よりも大きく膨張させるように作用するマトリックスをこのシステム内に取り込むことによって達成される。マトリックスは、上記したように、即時放出成分および変更放出成分と軸方向または層状に連通することができる。また、バルサルタンなどの薬物を、マトリックス、即時放出成分、変更放出成分、またはそれらの任意の組合せに取り込むこともできる。マトリックスは、即時放出成分からのバルサルタンの放出からある程度の時間の後にバルサルタンを放出する。
【0066】
特定の実施形態では、MR成分のDR領域は、膨潤性ゲル状マトリックスを含む。マトリックスは、胃液を吸収し、吸収した胃液により膨潤することができる。デバイスの幽門への移動は、胃液または胃環境に接触すると膨張または膨潤可能な膨潤性ゲル状マトリックス成分を有することによって遅れる。特定の実施形態では、膨潤性ゲル状マトリックスは、ポリマーヒドロゲルである。一部の態様では、膨潤性ゲル状マトリックスは、膨潤性ゲル状マトリックスが分解されるまでバルサルタンの放出を遅らせるようにも作用する。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「ポリマーヒドロゲル」は、水媒体中では大幅に膨張するが、水中では溶解しないポリマー材料の種類を指す。一般的には、ヒドロゲルは、ポリマーが、溶液をゲル化するのに十分な3次元マトリックスに架橋される条件下で、親水性モノマーの重合によって調製される。生体人工または半合成ヒドロゲルは、親水性ポリマーのタンパク質の表面への共有結合的付加により、このポリマーとタンパク質がさらなる共有結合的に架橋された3次元マトリックスを形成することによって調製することもできる。この種類のヒドロゲルは、合成ポリマーおよびバイオポリマーから形成され、近年、参照により本明細書に組み入れられる、Giusti,P.ら、Trends in Polymeric Science、(261−267、1993)で総説されている。
【0068】
本発明のパルス医薬送達システムに使用することができるマトリックスは、水膨潤性ポリマーである結合剤を含む膨潤性ヒドロゲルを含むこともでき、適切なポリマーは、非毒性であり、水吸収時に寸法的に無制限に膨潤し、時間と共に薬物を徐々に放出するポリマーである。この記載を満たしているポリマーの例は、限定されるものではないが、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ならびに微結晶性セルロース多糖およびその誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンゴム、マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプンおよびデンプンベースのポリマー、マルトデキストリン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタンヒドロゲル、架橋ポリアクリル酸、ならびにそれらの誘導体を含む、セルロースポリマーおよびその誘導体である。
【0069】
膨潤性ゲル状マトリックスが取り込まれている場合、システムの胃環境内への進入により、システムは胃環境と接触した後に膨張する。他の実施形態では、ポリマーヒドロゲルは、ゲル状マトリックスが胃腸粘膜に付着できるように、システムが粘膜付着性であるように選択される。他の実施形態では、マトリックスは、粘膜付着性であるヒドロゲルおよび1つまたは複数のポリマーを含む。他の実施形態では、ポリマーヒドロゲルは、システムが胃環境で浮くことができるように選択される。他の実施形態では、マトリックスは、システムが胃環境内で浮くようにシステムの固有の重力を減少させるヒドロゲルおよび1つまたは複数の他のポリマーを含む。
【0070】
特定の実施形態では、ゲル状マトリックスは、膨張すると、胃滞留性パルス医薬送達システムを胃が空になるまでの通常の時間を超えて胃内に保持し、これにより薬物が放出される前に胃から移動するのを防止する。さらに好ましい実施形態では、システムは、胃が空になる少なくとも1つの期間を超えて胃に保持される。さらなる実施形態では、システムは、少なくとも4時間、胃に保持される。
【0071】
デバイスは、取り込まれた医薬形態によって主に胃液内に制御下で放出される活性成分(例えば、バルサルタン)を含むことができる。医薬形態は、例えば、上記のパルス医薬送達システムとすることができる。特定の実施形態では、本発明によるデバイスは、容易に巻くまたは折り畳むことができ、カプセル内に充填することができる。
【0072】
さらなる例示的な実施形態では、経口投与用の膨張する多層または多成分システムの形態の固形医薬組成物は、経口投与の直後または胃腸管に達した直後に第1の層または第1の成分からバルサルタンを送達し、バルサルタンまたは異なる作用物質とすることができる第2の医薬物質を特定の期間に亘って制御下で送達するように適合されている。また、第2の層または成分は、投与システムに膨張特性を与え、これにより投与システムを胃内に長く滞留させるように適合されている。
【0073】
本発明の一態様によると、上記のパルス医薬送達システムは、上部GIでの滞留時間が増加するように胃粘膜と結合する特異的な親和性を有するポリマーで処理される。本発明の他の態様では、上記のパルス医薬送達システムは、剤形の固有の重力が胃環境内で浮力をもたらすように製剤されている。本発明の他の態様では、上記のパルス医薬送達システムは、そのサイズがそれを必要とする哺乳動物の幽門の直径よりも大きくなるように製剤される。
【0074】
胃滞留性パルス医薬送達システムは、原料粉末、または適切な液体、半固体、マイクロもしくはナノ粒子、マイクロもしくはナノスフェア、タブレット、カプセル、もしくは適切なマトリックス内に溶質化された、分散された、もしくは埋め込まれた形態にすることができる。任意の前記形態の薬物または薬物の混合物は、本発明の送達システムの少なくとも1つの層に埋め込むことができる。あるいは、薬物は、IR成分、MR成分、または多数のDR領域を画定する任意の層間に閉じ込めることができる。例えば、デバイスが、成分および/または領域間で層状の連通を有する場合、半固体薬物は、マトリックスの任意の2つの層間に取り込むことができる。別の例では、薬物がタブレット、カプセル、または、任意の薬学的に適合性のマトリックス内に取り込まれ、薬物含有タブレット、カプセル、または薬学的に適合性のマトリックスが、マトリックスの任意の2つの層間に閉じ込められている。このような多層の実施形態は、遮断層を有するのが好ましい。あるいは、好ましくは前記薬物含有手段と共に取り込まれる薬物は、本発明の送達システムに係留手段で係留する、または他の方法で取り付けることができる。
【0075】
溶解促進および透過促進バルサルタン
本明細書に記載されるいずれの実施形態でも、バルサルタンは修飾することができる。バルサルタンは、組成物を形成するために放出変更成分で処理することができる。このような放出変更成分には、限定されるものではないが、湿潤剤、可溶化剤、界面活性剤、可塑剤、溶媒、pH調整剤、および張度調整剤(tonicity adjusting agent)など、またはそれらの混合物からなる群から選択される。このような成分の適切な例には、天然および水素化植物油ならびにエチレングリコールなどの反応生成物、例えば、CREMOPHORなどのポリオキシエチレングリコール化天然または水素化ヒマシ油が含まれる。他の適切な生成物には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、TWEEN、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えば、MYRJおよびCETIOL HE、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、例えば、PLURONICおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、例えば、POLOXAMER、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、プロピレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、例えば、MIGLYOL840、アルカリ金属塩などの胆汁塩、例えば、タウロコール酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、ジアセチン、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ヒマシ油、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ラクトース、マンニトール、スクロース、ソルビトール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、乳酸、酒石酸、およびリンゴ酸など、またはそれらの混合物が含まれる。
【0076】
バルサルタンは、バルサルタン組成物を形成するために界面活性剤で処理することができる。界面活性剤は、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル、PEG−脂肪酸ジエステル、天然および/または水素化油からなる群の少なくとも1つとアルコールまたはポリオールの親水性トランス−エステル化生成物を含むことができる。最も一般的に使用される油は、ヒマシ油もしくは水素化ヒマシ油、またはコーン油、オリーブ油、ピーナッツ油、パーム核油、扁桃油などの食用植物油である。好ましいポリオールには、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、およびペンタエリスリトールが含まれる。この種類の好ましい親水性界面活性剤には、PEG−35ヒマシ油、ポリオキシエチレン−ポリプロピレンコポリマー(Lutrol、BASF)、およびPEG−40水素化ヒマシ油が含まれる。
【0077】
バルサルタンは、バルサルタン組成物を形成するために透過促進剤で処理することもできる。このような透過促進剤には、限定されるものではないが、ビタミンEコハク酸トコフェロールプロピレングリコール(Vitamin E tocopheryl propylene glycol succinate)、ピペリン、脂質、または界面活性剤、またはそれらの混合物を含む群から選択することができる。
【0078】
バルサルタンは、バルサルタン組成物を形成するために溶解促進剤または溶解促進成分で処理することができる。溶解促進剤は、限定されるものではないが、PEG−20−グリセリル、ステアレート(AbitecによるCapmul(登録商標))、PEG−40水素化ヒマシ油(BASFによるCremophor RH 40(登録商標))、PEG6コーン油(GattefosseによるLabrafil(登録商標))、ラウリルマクロゴール−32グリセリド(GattefosseによるGelucire44/14(登録商標))、ステアロイルマクロゴールグリセリド(GattefosseによるGelucire50/13(登録商標))、モノジオレイン酸ポリグリセリル−10(AbitecによるCaprol(登録商標)PEG860)、オレイン酸プロピレングリコール(BASFによるLutrol OP(登録商標))、ジオクタン酸プロピレングリコール(AbitecによるCaptex(登録商標))、カプリル酸/カプリン酸プロピレングリコール(GattefosseによるLabrafac(登録商標))、モノオレイン酸グリセリル(GattefosseによるPeceol(登録商標))、モノリノール酸グリセロール(GattefosseによるMaisine(登録商標))、モノステアリン酸グリセロール(AbitecによるCapmul(登録商標))、モノラウリン酸PEG−20ソルビタン(ICIによるTween20(登録商標))、PEG−4ラウリルエーテル(ICIによるBrij30(登録商標))、ジステアリン酸スクロース(GattefosseによるSucroester7(登録商標))、モノパルミチン酸スクロース(GattefosseによるSucroester15(登録商標))、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(Lutrol(登録商標)シリーズ、BASF)、ヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール660(BASFによるSolutol(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、L−ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ベタイン、ポリエチレングリコール(DOWによるCarbowax(登録商標))、d−α−コハク酸トコフェロールポリエチレングリコール1000(EastmanによるVitamin E TPGS(登録商標))、またはそれらの混合物を含む群から選択することができる。
【0079】
より好ましくは、溶解促進成分は、PEG−40水素化ヒマシ油(BASF−HLB−13によるCremophor RH40(登録商標))、ラウリルマクロゴール−32グリセリド(Gattefosse−HLB−14によるGelucire44/14(登録商標))、ステアロイルマクロゴールグリセリド(Gattefosse−HLB−13によるGelucire50/13(登録商標))、モノラウリン酸PEG−20ソルビタン(ICI−HLB−17によるTween20(登録商標))、PEG−4ラウリルエーテル(ICI−HLB−9.7によるBrij30(登録商標))、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(15〜30の範囲の異なるHLBを有するLutrol(登録商標)シリーズ、BASF)、ラウリル硫酸ナトリウム(HLB−40)、ポリエチレングリコール(DOWによるCarbowax(登録商標))、d−α−コハク酸トコフェロールポリエチレングリコール1000(Eastman−HLB−15によるVitamin E TPGS(登録商標))、またはそれらの混合物とすることができる。
【0080】
溶解剤は、緩衝剤、アミノ酸、およびアミノ酸糖(amino acid sugar)などのpH調整剤を含むこともできる。
【0081】
上のバルサルタン組成物のいずれにおいても、バルサルタンは、物理的配合物、固形分散物、固溶体、または溶解促進剤との複合体の形態で存在することができる。様々なプロセスを利用して、溶解促進剤を用いてバルサルタンの組成物を調製することができる。本発明の範囲内で企図されるプロセスには、限定されるものではないが、溶融造粒を用いた可溶化、溶媒処理、物理的混合、または溶解促進剤を用いた溶媒中の溶解物の噴霧乾燥が含まれ得る。
【0082】
別の例示的な実施形態では、可溶化バルサルタンを液体の形態でカプセル内に取り込むことができる。この実施形態では、溶融した溶解促進剤と混合されたバルサルタンは、他の賦形剤を用いてまたは用いずにカプセル内に充填される。カプセルの内容物は、保存中に液体または半固体状態に保つことができ、カプセル内に充填された液体は、カプセル内で固体塊を形成するために硬化することができる。任意選択で、崩壊剤、滑沢剤、または希釈剤などの賦形剤を製剤に取り込むことができる。
【0083】
別の例示的な実施形態では、可溶化バルサルタンは、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトール、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(Neusillin)、または一般的に経口剤形に利用される任意の他の賦形剤などの賦形剤中に分散させることができる。分散混合物を、カプセル内に充填する、またはタブレット内に圧縮することができる。
【0084】
別の例示的な実施形態では、可溶化バルサルタンは、持続放出のために、持続放出製剤または胃滞留性パルス医薬送達システム内に取り込むことができる。溶解促進剤は、放出プロフィールに対する良好な制御および望ましい時間間隔での薬物の完全な放出も保証する。
【0085】
さらなる例示的な実施形態では、可溶化バルサルタンは、1つまたは複数のポリマーまたは非ポリマー放出遅延剤を含む持続放出製剤の中に取り込むことができる。使用できるポリマーの例には、限定されるものではないが、ポリアルキレンオキシド、セルロースポリマー、アクリル酸、メタクリル酸ポリマー、およびそのエステル、マレイン酸無水物ポリマー、ポリマレイン酸、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(オレフィンアルコール)(poly(olefinic alcohol)s)、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリオール、ポリオキシエチル化多糖、ポリオキサゾリン、ポリビニルアミン、酢酸ポリビニル、ポリイミン、デンプンおよびデンプンベースのポリマー、ポリウレタンヒドロゲル、キトサン、多糖ガム、ゼイン、シェラックベースのポリマー、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸、マルトデキストリン、前ゼラチン化デンプンおよびポリビニルアルコール、コポリマー、およびそれらの混合物が含まれる。
【0086】
組成物に使用される溶解促進剤は、バルサルタン、特に酸性または弱酸性環境にあるバルサルタンの溶解性および溶出性を高める。一実施形態では、組成物を含む即時放出成分は、酸性および弱酸性環境で少なくとも40%の溶出性を提供する。溶解促進剤ならびに酸性および弱酸性環境でのより高い溶出性により、より多くの薬物がGI膜を透過し、バイオアベイラビリティーの向上につながる。また、この溶解性の上昇により、pH依存溶解性を有する薬物のpH依存性薬物放出プロフィールがもたらされる。本発明はまた、患者内および患者間の薬物吸収のばらつきを減少させる。
【0087】
本発明は、従来の即時放出剤形よりも約1.1〜6倍バイオアベイラビリティーが高いバルサルタンの経口固形剤形を提供する。バイオアベイラビリティーの上昇は、Tmax(最高血中濃度に達するまでの時間)の低下、ならびにCmax(最高血中濃度)、AUC0〜t、およびAUC0〜∞(吸収量、または血中濃度の時間に対する曲線の下側の面積)の増加から明らかである。相対バイオアベイラビリティーの上昇により、新規な組成物は、典型的にはバルサルタンに関連したばらつきを低下させることもできる。この組成物はまた、4時間未満、好ましくは3時間未満、より好ましくは2時間未満でピーク血漿濃度に達することができる。また、達したTmax値は、従来の即時放出製剤よりも速い。
【0088】
驚くべきことに、バルサルタンまたはその塩と特定の溶解促進剤との組合せにより、広いpH範囲に渡る溶解性の上昇および溶出速度の改善がもたらされ、市販の製品と比較してバイオアベイラビリティーが改善されることが分かった。
【0089】
治療方法
本発明はまた、本発明の胃滞留性パルス医薬送達システムまたはパルス医薬送達システムを用いた状態もしくは疾患の治療または予防の方法にも関する。特定の好ましい実施形態では、胃滞留性パルス医薬送達システムが経口投与される。経口投与時に、バルサルタンの即時放出パルスが、送達システムから放出され、続いてバルサルタンの少なくとも第2のパルスが放出される。特定のさらなる実施形態では、送達システムは、胃を空にするのを遅らせることができる第2の作用物質と同時または逐次投与される。
【0090】
特定の実施形態では、治療される対象の疾患または障害には、高血圧、(急性および慢性)うっ血性心不全、左心室機能不全および肥大型心筋症、心筋梗塞およびその後遺症、上室性および心室性不整脈、心房細動または心房粗動、アテローム性動脈硬化、アンギナ(安定または不安性)、腎不全(糖尿病性および非糖尿病性)、心不全、狭心症、糖尿病、NIDDMの患者の高血圧、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高アルドステロン症、原発性および肺高血圧、腎不全状態、例えば、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化、原発性腎疾患のタンパク尿、および腎血管性高血圧も、糖尿病性網膜症、他の血管障害、例えば、片頭痛、レイノー病、管腔過形成、認知機能障害(アルツハイマーなど)、および脳卒中の管理が含まれ、この管理には、このような治療を必要とする哺乳動物に上記のパルス医薬送達システムまたは胃滞留性パルス医薬送達システムを投与することが含まれる。
【0091】
本発明の胃滞留性送達システムはまた、獣医学的使用、哺乳動物、特に家畜動物およびペットの治療にも適している。
【0092】
本発明の胃滞留性パルス医薬送達システムおよびパルス医薬パルス医薬送達システムは、その全容が本明細書に組み入れられる、国際出願第04083192号、同第04087681号、同第03066606号、米国特許第6,485,745号、米国特許出願公開第2002/0132839号、および同第2003/0152620号に開示されている疾患および障害を治療するために用いることができる。
【0093】
合成方法
上のバルサルタン組成物のいずれにおいても、バルサルタンは、物理的配合物、固形分散物、固溶体、または溶解促進剤との複合体の形態で存在することができる。様々なプロセスを利用して、溶解促進剤を用いてバルサルタンの組成物を調製することができる。本発明の範囲内で企図されるプロセスには、限定されるものではないが、溶融造粒を用いた可溶化、溶媒処理、物理的混合、または溶解促進剤を用いた溶媒中の溶解物の噴霧乾燥が含まれ得る。
【0094】
溶融造粒の場合、溶解促進剤を溶融する。次いで、ARB(例えば、バルサルタン)を溶融塊に添加して混合し、固化して顆粒を形成し、次いで顆粒を互いに分離する。このシステムの別の例示的な実施形態では、バルサルタンは、溶融した溶解促進剤を用いて粒状にする。場合によっては、バルサルタンおよび溶解促進剤の両方を、一緒に溶融し、室温にして凝固させることができる。
【0095】
溶媒処理法を使用する場合は、溶解促進剤またはバルサルタン、または両方を、溶媒に溶解し、次いでこの溶媒を蒸発または噴霧乾燥させる。得られる塊は、バルサルタンと溶解促進剤の配合物であり、バルサルタンの溶解性が上昇する。このシステムに利用される溶媒は、水性または非水性とすることができる。
【0096】
物理的混合の場合には、バルサルタンおよび溶解促進剤は、Hobartミキサー、Vブレンダー、または高せん断造粒機を用いて完全に乾燥混合するのが好ましい。
【0097】
IRパルスが放出されるIR成分は、特に、ローラー圧縮、湿式造粒法、および溶融造粒法などの製剤方法を用いて得る。他の製剤方法には、固形分散およびマイクロエマルションが含まれ得る。
【0098】
第2のパルスは、放出を遅らせるためにポリマーを用いるペレットまたはタブレットとすることができる。第2のパルスは、バルサルタンの吸収が促進されるようにバルサルタンを溶解促進剤、透過促進剤、または両方で処理することによって製剤することができる。一部の実施形態では、バルサルタンまたはバルサルタン塩の高い吸収を示す剤形は、溶解促進剤または透過促進剤のいずれでも処理されていない製剤原料を同じまたは多く含む他の剤形と比較して、より高いバルサルタンの放出および/または吸収を示す。一部の実施形態では、バルサルタンが促進されていない場合と比較して促進されている場合は、少ない量のバルサルタンで同じ治療効果を達成することができる。あるいは、パルスシステムは、IRパルスと促進吸収システムの組合せとすることができる。このようなシステムは、溶解性を促進し、非イオン化種の吸収を向上させる。
【0099】
製剤からのバルサルタンの制御された放出は、胃滞留性システム(GR)を設計することによって達成することができる。典型的には、胃および小腸の近位部分から主に吸収される薬物は、このようなシステムから恩恵を受けることができる。しかし、適切な時間内で複数のパルスを可能にするためには、GRシステムが考えられる。胃粘膜に結合する特異的な親和性を有するポリマーで活性剤を処理する、剤形の固有の重力を減少させて浮かせる、幽門の直径よりも大きくなるように剤形のサイズを大きくする、および/または胃が空になるのを遅らせる化学物質を使用するなどの技術、またはこのような技術の2つ以上の組合せによって薬物送達システムに胃滞留特性を付与することができる。ある実施形態では、剤形組成物の胃滞留性は、食物を与えるなどして胃が空になる時間を遅らせることによって達成することもできる。
【0100】
特定の実施形態では、IR成分は、バルサルタンまたはその塩をコロイド状無水シリカ(例えば、AEROSIL)、微結晶性セルロース(例えば、AVICEL)、およびポリビニルピロリドン(例えば、CROSPOVIDONE)と配合して混合物を形成することによって形成する。次いで、この混合物を篩にかけて第1の配合物を形成する。一部の実施形態では、篩は、メッシュサイズ30とすることができる。次いで、第1の配合物を、適切なローラー圧縮機を用いて粒状にし、第2の配合物を形成するのに適したスクリーンを用いて選別する。次いで、ステアリン酸マグネシウムを篩(例えば、メッシュサイズ100)にかけて、第2の配合物と混合してIR成分を形成する。
【0101】
特定の実施形態では、1つまたは複数のDR領域を含むことができるMR成分を、親水性マトリックス、膨潤性ゲル状マトリックス、および溶解促進または透過促進バルサルタンからなり得る材料から製剤する。加えて、膨潤性ゲル状マトリックスを取り込むことができ、その結果、MR成分またはDR領域を胃滞留性とすることができる。
【0102】
特定の実施形態では、MR成分は、胃滞留性システムとして製剤されるタブレットまたはカプセル内のタブレットの形態に製剤することができる。本発明のMR成分またはDR領域の形成に使用される放出遅延材料は、膨潤性ポリマーとすることができる。活性成分は、組成物の5%〜95%w/w、1つまたは複数の放出制御材料は、組成物の2%〜95%w/w、1つまたは複数の賦形剤は、組成物の3%〜80%w/wとすることができる。これらの材料は、親水性の性質であるのが好ましい。これらは、天然、半合成、合成、または修飾物とすることができる。適切な材料には、単独または組み合わせて使用される、セルロースおよびセルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、セルロースカルボキシメチルエーテルおよびその塩、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレン;ポリクオタニウム−1;酢酸ポリビニル(ホモポリマー);酢酸フタル酸ポリビニル;アルギン酸ポリエチレングリコール;ポリビニルメタクリレート(PVM)/メタクリル酸(MA)コポリマー;ポリビニルピロリドン(PVP);PVP/ジメチコニルアクリレート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル;PVP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー;PVP/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル;PVP/ポリカルバミルポリグリコールエステル;PVP/酢酸ビニル(VA)コポリマー;ラノリンおよびラノリン誘導体;モノステアリン酸グリセリル;ステアリン酸;パラフィン;蜜蝋;カルナウバ蝋;トリベヘニン;ポリアルキレンポリオール、例えば、ポリエチレングリコール;ゼラチンおよびゼラチン誘導体;アルギン酸;カルボマー;ポリカルボフィル;メタクリル酸ポリマーおよびコポリマー;カラゲナン;ペクチン;キトサン;シクロデキストリン;レシチン;ガクトマンナン様キサンタンゴムを含む天然および合成ゴム、トラガカント、アカシア、寒天、グアーゴム、カラヤゴム、ローカストビーンゴム、およびアラビアゴムなどが含まれる。
【0103】
特定の実施形態では、組成物は、システムからの作用物質(すなわち、バルサルタン)の放出を遅らせるまたは遅延させるように選択された他のポリマーも含むことができる。MR成分は、上述の透過促進剤または溶解促進剤も含むことができる。
【0104】
特定の実施形態では、IR成分およびMR成分は、同じまたは異なる材料からなり得る。促進バルサルタンを用いたMR成分の製剤では、MR成分の第1の配合物を、バルサルタンまたはその塩、微結晶性セルロース(例えば、AVICEL)、およびポリビニルピロリドン(例えば、CROSPOVIDONE)を配合することによって形成する。MR成分の第1の配合物を篩にかけてMR成分の第2の配合物を形成する。MR成分の第3の配合物を、GellucireまたはVitamin(例えば、E TPGS)を溶融し、この溶融物に微結晶性セルロースを添加することによって形成する。次いで、MR成分の第2の配合物を第3の配合物と配合して第4の配合物を形成する。次いで、第4の配合物を粒状にしてメッシュに通し、次いで、ステアリン酸マグネシウムと配合して第5の配合物を形成する。
【0105】
一部の実施形態では、MR成分からの第2のパルスは、本発明に導入される幾何学的方法、タブレットの3成分の層、またはタブレットもしくはカプセル内の追加の層によって達成することができる。この配置は、IR成分が第1のパルスを放出した後に、第3、第4、または第5のパルスを逐次放出させることもできる。特定の実施形態では、このシステムの組成物は、IAに示されている例の組成物である。
【0106】
一部の実施形態では、1つまたは複数のDR領域を含むMR成分は、例えば、第2、第3、第4、第5などのパルスが腸溶解性の性質とすることできるように腸内ポリマーを用いて製剤することができる。腸内送達に適したポリマーは、上述したものである。
【0107】
錯体形成法では、バルサルタンの錯体を、ボールミル粉砕、噴霧乾燥および凍結乾燥プロセスを含む溶媒蒸発法、スラリー法、ペースト法などの様々な技術を用いて調製することができる。
【0108】
上述のプロセスの組合せを利用できることが本発明の範囲内で企図されている。例えば、ホットメルトプロセス、物理的混合、および溶媒処理法の組合せを用いることができる。この場合、バルサルタンを、1つまたは複数の溶融した溶解促進剤を用いて初めに粒状にし、これを、溶媒中の同じもしくは異なる溶解促進剤または単純な物理的混合でさらに処理することができ、逆も可能である。また、医薬組成物全般の製造に適した当技術分野で公知のあらゆるプロセスを本発明のために利用できることも本発明の範囲内で企図されている。
【0109】
溶融造粒および完全な物理的混合は、本発明によるパルス送達形態を調製するための最も好ましい方法である。溶解性の上昇は、溶解促進剤の存在下でのバルサルタンの実際の溶解性試験を行うことによって、または適切な溶出溶媒中で溶解試験を行うことによって判定することができる。溶解法は、異なる時間間隔で溶解したバルサルタンの量を決定することによって異なる製剤の溶解速度の比較を可能にするため好ましい。
【0110】
特定の実施形態では、IR成分は、IR成分が層状または軸方向に連通してMR成分を包囲するように、1つまたは複数のDR領域を含むことができるMR成分の周りに分布されている。本明細書で使用される語「周りに分布された」は、層状タブレット、カプセルなどを形成するのに適した手段によってIR成分がMR成分に付着される実施形態を表すことを意味する。
【0111】
特定の実施形態では、促進型、非促進型、または両方のバルサルタンは、バルサルタンがIR成分、DR領域、またはそれらの任意の組合せの少なくとも1つの中に存在するようにシステム全体に分布されている。本明細書で使用される場合、用語「全体に分布されている」は、バルサルタンが、上で定義したシステム内に取り込まれている場合を具体化することを意味する。膨潤性ゲル状マトリックスは、システムが胃滞留性であるようにMR成分内に取り込まれている。膨潤性ゲル状マトリックスは、上述のポリマーヒドロゲルを含むことができる。
【0112】
組成物は、限定されるものではないが、胃で崩壊するタブレット、口中で崩壊し得るタブレット、液体(水)中に沸騰によって分散させることができるタブレット、液体(水など)中に分散させることができるタブレット、コーティングされたタブレット、小袋内にパッケージングされた所定用量の粉末、懸濁液、ゼラチンカプセル、軟質ゼラチンカプセル、半固形剤形、および他の薬物送達システムを含む、様々な医薬剤形に取り込むことができる。
【0113】
本発明の好ましい剤形は、固形剤形、好ましくは、限定されるものではないが、楕円形、三角形、アーモンド形、ピーナッツ形、平行四辺形、五角形を含む、様々な形状にすることができるタブレットである。剤形をカプセル化できることが本発明の範囲内で企図されている。
【0114】
本発明によるタブレットは、限定されるものではないが、直接圧縮、湿式造粒、乾式造粒、または押し出し/溶融造粒などの当技術分野で公知のタブレット化の従来技術を用いて製造することができる。
【0115】
本発明よる剤形は、充填剤、結合剤、および滑沢剤などの当技術分野で公知の従来の賦形剤を含むことができる。例えば、限定されるものではないが、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、ケイ酸カルシウム、またはメタケイ酸アルミン酸マグネシウム(Neusillin)などの充填剤を使用することができる。例えば、限定されるものではないが、ポリビニルピロリドン(PVP)、またはコポビドン(copovidone)などの結合剤を使用することができる。例えば、限定されるものではないが、Aerosil−200、ステアリン酸マグネシウム、水素化植物油、ステアリン酸のトリグリセリド、またはパルミチン酸などの滑沢剤を使用することができる。
【0116】
バルサルタンは、脂質担体で処理して、バルサルタン組成物を形成することができる。脂質担体には、脂肪アルコール、グリセロール脂肪酸エステル、アセチル化グリセロール脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ステロールおよびステロール誘導体、ポリオキシエチル化ステロールまたはステロール誘導体、ポリエチレングリコールアルキルエステル、糖エステル、糖エーテル、モノまたはジグリセリドの乳酸誘導体、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、およびステロールからなる群の少なくとも1つとポリオールの疎水性エステル交換生成物、油溶性ビタミン/ビタミン誘導体、ポリエチレングリコール(PEG)ソルビタン脂肪酸エステル、PEGグリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン化脂肪酸(polyglycerized fatty acid)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、d−α−コハク酸トコフェロールポリエチレングリコール1000(Eastman−HLB−15によるVitamin E TPGS(登録商標))、またはそれらの混合物が含まれ得る。
【0117】
例示的な一実施形態では、剤形は、任意選択でコーティングすることができる。表面コーティングを、美観のため、または圧縮剤形を寸法的に安定させるために用いることができる。表面コーティングは、経口使用に適した任意の従来のコーティング剤を用いて行うことができる。コーティングは、従来の成分を用いる任意の従来の技術を使用して行うことができる。表面コーティングは、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールポリメタクリレートなどの従来のポリマーを用いる急速溶解膜を使用して得ることができる。
【0118】
さらなる例示的な実施形態では、経口投与用の多層または多成分システムの形態の固形医薬組成物は、投与直後または胃腸管への到達時に第1の層または成分から第1の活性薬剤を送達し、そして第1の薬剤と同じまたは異なることができる第2の薬剤を第2の層または成分から特定の時間に亘って制御して送達するように適合させることができる。
【実施例】
【0119】
本発明およびその利点をさらに例示するために、以下の特定の実施例を示すが、これらの実施例は、単なる例示であり、決して限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【実施例1】
【0120】
【化1】

【0121】
(1A)パルス1:即時放出成分:
【0122】
【表1】

【0123】
AEROSILは、Evonik Industriesから入手可能である。AVICELは、FMC Incから入手可能であり、CROSPOVIDONEは、ISP Incから入手可能である。
【0124】
即時放出領域の調製は、(i)1、2、3、および4を配合し、メッシュサイズ30の篩にかけるステップ、(ii)配合物を適切なローラー圧縮機及び適切なふるいを有するミルを用いて粒状にするステップ、および(iii)得られた材料をメッシュサイズ100の篩にかけ、ステップ(ii)の生成物と配合するステップを含む。
【0125】
(1B)パルス2:遅延放出領域:この層は、親水性マトリックス、溶解促進もしくは透過促進バルサルタン組成物、またはそれらの組合せからなり得る。加えて、この層は、ポリマーまたは他の膨潤性材料を用いて胃滞留性にすることができる。
【0126】
バルサルタン組成物の医薬送達システムの変更放出部分は、胃滞留システムとして製剤されるタブレットまたはカプセル内にタブレットの形態に製剤するのが好ましい。本発明の組成物に使用される放出変更材料は、本明細書に記載した膨潤性ポリマーである。活性成分は、組成物の5%〜95%w/w、1つまたは複数の放出変更成分は、組成物の2%〜95%w/w、および1つまたは複数の医薬賦形剤は、組成物の3%〜80%w/wとすることができる。
【0127】
本発明の放出変更成分は、親水性の性質であるのが好ましい。これらは、天然、半合成、合成、または修飾物とすることができ、上に開示した変更材料のリストから選択することができる。
【0128】
放出変更成分は、限定されるものではないが、ビタミンE コハク酸トコフェロールプロピレングリコール(Vitamin E TPGS)、ピペリン、脂質、または界面活性剤、またはそれらの混合物からなる群から選択される透過促進剤とすることもできる。
【実施例2】
【0129】
(1C)延長/遅延放出層:
【0130】
【化2】

【0131】
第2のパルスは、本発明に導入された方法、またはタブレットの3成分層、またはタブレットもしくはカプセルの追加の層によって達成することができる。この配置により、GR相の端部に即時放出成分を導入することができる。このシステムの組成物は、1Aに示されている例の組成物である。
【0132】
第2のパルスは、任意選択で、腸溶性の性質にすることができる。上記の本発明に有用な腸内ポリマーの代表的な例には、セルロースおよびその誘導体のエステル(酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、酢酸フタル酸ポリビニル、pH感受性メタクリル酸−メタメタクリレートコポリマー、およびシェラックが含まれる。これらのポリマーは、乾燥粉末または水分散液として使用することができる。使用できる一部の市販の材料は、Rhom Pharmaが製造するEudragit(L100、S100、L30D)、Eastman Chemical Co.のCellacefate(酢酸フタル酸セルロース)、FMC Corp.のAquateric(酢酸フタル酸セルロース水分散液)、およびShin Etsu K.K.のAqoat(酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース水分散液)の商標で販売されているメタクリル酸コポリマーである。
【実施例3】
【0133】
【化3】

【0134】
(2A)パルス1:促進即時放出層:
【0135】
【表2】

【0136】
E TPGSは、Eastman Chemical Companyから入手可能である。
【0137】
この実施形態の調製は、(i)1、3、および5を配合し、これらをメッシュサイズ30の篩にかけるステップ、(ii)2を溶融し、3を添加するステップ、(iii)ステップ(i)から得た配合物を添加し、混合してスラリーを得るステップ、(iv)スラリーを冷却するステップ、(v)ステップ(ii)から得た配合物をメッシュに通すことにより粒状にするステップ、および(vi)上の顆粒を6と配合するステップを含む。
【0138】
(2B)胃滞留性成分:
本明細書に記載したように、この層は、溶解促進または透過促進バルサルタン組成物、またはそれらの組合せと共に取り込まれた親水性膨潤ゲル状マトリックスからなり得る。加えて、この層は、膨潤性材料を用いて胃滞留性にすることができる。
【0139】
本明細書に記載された医薬送達システムの変更放出成分は、胃滞留システムとして製剤されるタブレットまたはカプセル内にタブレットの形態に製剤するのが好ましい。本発明の組成物に使用される放出変更材料は、膨潤性ポリマーである。活性成分は、組成物の5%〜95%w/w、1つまたは複数の放出制御材料は、組成物の2%〜95%w/w、および1つまたは複数の医薬賦形剤は、組成物の3%〜80%w/wとすることができる。
【0140】
(2C)延長/遅延放出層:
【0141】
【化4】

【0142】
第2のパルスは、本発明に導入された幾何学的方法、またはタブレットの3成分層、またはタブレットもしくはカプセルの追加の層によって達成することができる。この配置により、GR相の端部にIRパルスを導入することができる。このシステムの組成物は、1Aに示されている例の組成物である。
【0143】
他の可能な例には、以下が含まれる:
1.ID−DR2−DR1(促進)
2.IR(促進)−DR2−DR1(促進)
3.IR(促進)−DR2(促進)−DR1(促進)
【実施例4】
【0144】
【化5】

【0145】
実施例4は、成分が軸方向に連通した本発明のパルス医薬送達システムの略図を示している。特定の他の実施形態では、システムは、追加の遅延放出領域および/または追加の即時放出成分を含む。特定の他の実施形態では、膨潤性ゲル状マトリックスが、システムが、胃が空になる少なくとも1つの期間を超えて胃腸管内に保持されるように、上記のように取り込まれる。特定の実施形態では、バルサルタンは、成分のいずれか1つまたはいずれかの組合せで、その促進型または非促進型に取り込まれる。
【実施例5】
【0146】
【化6】

【0147】
実施例5は、成分が互いに軸方向に連通し、システムが胃滞留性であるように膨潤性ゲル状マトリックスがIR成分とDR2との間に配置された本発明のパルス医薬送達システムの略図を示している。一部の他の実施形態では、膨潤性ゲル状マトリックスは、DR1とDR2との間に配置される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象へのバルサルタンの持続的な送達のための胃滞留性パルス医薬送達システムであって、
バルサルタンの第1のパルスを提供する即時放出(IR)成分と、
バルサルタンの少なくとも1つの追加のパルスを提供する変更放出(MR)成分と
を備え、
バルサルタンが、バルサルタンのパルス送達が治療上有効でありかつ胃に滞留して行われるような溶解促進型である、胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項2】
バルサルタンが、前記IR成分または前記MR成分の少なくとも1つの中に取り込まれ、前記IR成分および前記MR成分が、互いに軸方向または層状に連通している、請求項1に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項3】
胃滞留性であり、その結果、胃が空になる少なくとも1つの期間を超えて胃腸管内で維持される、請求項2に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項4】
前記MR成分が、多領域であり、かつ第1の遅延放出領域および第2の遅延放出領域を含み、バルサルタンが少なくとも2つのパルスで前記MR成分から送達されるように、前記第2の遅延放出領域が、前記第1の遅延放出領域と前記IR成分との間に配置され、
前記IR成分、前記第1の遅延放出領域、および前記第2の遅延放出領域が、互いに軸方向または層状に連通している、請求項2に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項5】
前記第1の遅延放出領域および前記第2の遅延放出領域がそれぞれ、第1の膨潤性ゲル状マトリックスおよび第2の膨潤性ゲル状マトリックスを含み、その結果、その胃環境に接触すると前記第1の膨潤性ゲル状マトリックスまたは前記第2の膨潤性ゲル状マトリックス、または両方が幽門括約筋の直径のサイズよりも大きく膨張し、その結果、デバイスが、胃が空になる少なくとも1つの期間を超えて胃腸管内に残存する、請求項4に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項6】
前記IR成分が、バルサルタンが注入された固形粉末、バルサルタンが注入されたポリマー、またはポリマーであってバルサルタンを前記第2のゲル状マトリックスとポリマーとの間に閉じ込めるポリマーの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項7】
バルサルタンが、前記第1の膨潤性ゲル状マトリックス内に注入される、または前記第1の膨潤性ゲル状マトリックスによって取り囲まれている、請求項5に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項8】
バルサルタンが、前記第2の膨潤性ゲル状マトリックス内に注入される、または前記第2の膨潤性ゲル状マトリックスと前記第1の膨潤性ゲル状マトリックスとの間に閉じ込められている、請求項5に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項9】
バルサルタンが、前記第1のゲル状マトリックスによって取り囲まれ、バルサルタンが、固形粉末、顆粒、ビーズ、ゲル、液体、またはそれらの任意の組合せを含む形態である、請求項7に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項10】
バルサルタンが、固形粉末、顆粒、ビーズ、ゲル、液体、またはそれらの任意の組合せを含む形態である、請求項8に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項11】
バルサルタンが、実質的に経口投与の直後に前記IR成分から放出され、バルサルタンが、前記IR成分からの放出からある程度の時間の後に前記変更放出成分から放出される、請求項1から10のいずれかに記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項12】
前記第2の遅延放出成分が、前記第1の遅延放出成分と前記IR成分との間に軸方向または層状に連通して位置し、
バルサルタンの第1のパルスが、実質的に経口投与の直後に前記IR成分から放出され、
バルサルタンの第2のパルスが、ある中間時点で前記第2の遅延放出領域から放出され、
バルサルタンの第3のパルスが、前記第2のパルスからある程度の時間の後に前記第1の遅延放出領域から放出される、請求項11に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項13】
前記第1のパルスが、実質的に経口投与の直後に放出され、
前記第2のパルスが、経口投与の約3時間から約14時間後に前記第2の遅延放出領域から放出され、
前記第3のパルスが、経口投与の約14時間から約18時間後に前記第1の遅延放出領域から放出される、請求項12に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項14】
バルサルタンが、溶解促進剤で処理されている、請求項1から13のいずれかに記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項15】
バルサルタンの溶解性が、少なくとも40%である、請求項14に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項16】
前記溶解促進剤が、PEG−20−グリセリル、ステアレート(AbitecによるCapmul(登録商標))、PEG−40水素化ヒマシ油(BASFによるCremophor RH 40(登録商標))、PEG6コーン油(GattefosseによるLabrafil(登録商標))、ラウリルマクロゴール−32グリセリド(GattefosseによるGelucire44/14(登録商標))、ステアロイルマクロゴールグリセリド(GattefosseによるGelucire50/13(登録商標))、モノジオレイン酸ポリグリセリル−10(AbitecによるCaprol(登録商標)PEG860)、オレイン酸プロピレングリコール(BASFによるLutrol OP(登録商標))、ジオクタン酸プロピレングリコール(AbitecによるCaptex(登録商標))、カプリル酸/カプリン酸プロピレングリコール(GattefosseによるLabrafac(登録商標))、モノオレイン酸グリセリル(GattefosseによるPeceol(登録商標))、モノリノレン酸グリセロール(GattefosseによるMaisine(登録商標))、モノステアリン酸グリセロール(AbitecによるCapmul(登録商標))、モノラウリン酸PEG−20ソルビタン(ICIによるTween20(登録商標))、PEG−4ラウリルエーテル(ICIによるBrij30(登録商標))、ジステアリン酸スクロース(GattefosseによるSucroester7(登録商標))、モノパルミチン酸スクロース(GattefosseによるSucroester15(登録商標))、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(Lutrol(登録商標)シリーズ、BASF)、ヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール660(BASFによるSolutol(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、L−ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ベタイン、ポリエチレングリコール(DOWによるCarbowax(登録商標))、d−α−コハク酸トコフェロールポリエチレングリコール1000(EastmanによるVitamin E TPGS(登録商標))、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項14に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項17】
バルサルタンが、透過促進剤で処理される、請求項2から13のいずれかに記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項18】
前記透過促進剤が、ビタミンE、トコフェロール、コハク酸プロピレングリコール、ピペリン、脂質、界面活性剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項19】
前記膨潤性ゲル状マトリックスが、ポリマーヒドロゲルを含む、請求項1から18のいずれかに記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項20】
前記ポリマーヒドロゲルには、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ならびに微結晶性セルロース多糖およびその誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンゴム、マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプン、マルトデキストリン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタンヒドロゲル、架橋ポリアクリル酸、およびそれらの誘導体が含まれる、請求項19に記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項21】
胃が空になる少なくとも1つの期間を超えて胃に残存する、請求項1から20のいずれかに記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項22】
胃腸粘膜に付着する、請求項1から21のいずれかに記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項23】
胃環境で浮く、請求項1から22のいずれかに記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項24】
前記胃腸管内での滞留時間が少なくとも4時間である、請求項1から23のいずれかに記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項25】
タブレット、積層膜、またはカプセルである、請求項1から24のいずれかに記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項26】
0.1重量%〜99重量%の量のバルサルタンを含み、0.1重量%〜99重量%の量の1つまたは複数の放出制御材料および0.9重量%〜90重量%の量の1つまたは複数の賦形剤で処理される、請求項1から25のいずれかに記載の胃滞留性パルス医薬送達システム。
【請求項27】
それを必要とする対象において、高血圧、うっ血性心不全、または心筋梗塞後症候群を治療する方法であって、請求項2から26のいずれか一項に記載の医薬送達システムを前記対象に経口投与して、高血圧、うっ血性心不全、または心筋梗塞後症候群を治療するステップを含む方法。
【請求項28】
前記送達システムを、胃が空になるのを遅らせることができる有効量の第2の活性剤と同時または逐次投与する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
胃滞留性パルス医薬送達システムを調製する方法であって、
バルサルタンまたはその塩をコロイド状無水シリカ、微結晶性セルロース、およびポリビニルピロリドンと配合して混合物を形成し、前記混合物を篩にかけてIR成分の第1の配合物を形成することによって前記IR成分を形成するステップと、
適切なローラー圧縮機及び適切なふるいを有するミルを用いて前記第1の配合物を粒状にし、前記IR成分の第2の配合物を形成するステップと、
ステアリン酸マグネシウムを篩にかけ、前記第2の配合物と混合して前記IR成分を形成するステップと、
バルサルタンまたはその塩、微結晶性セルロース、およびポリビニルピロリドンを配合してMR成分の第1の配合物を形成することによって前記MR成分を形成するステップと、
前記第1の配合物を篩にかけて、前記MR成分の第2の配合物を形成するステップと、
Gellucireまたはビタミンを溶融し、微結晶性セルロースを前記溶融物に添加して前記MR成分の第3の配合物を形成するステップと、
前記MR成分の前記第2の配合物を前記MR成分の前記第3の配合物と配合して、前記MR成分の第4の配合物を形成するステップと、
前記MR成分の前記第4の配合物を粒状にしてメッシュに通し、次いで前記第4の配合物をステアリン酸マグネシウムと配合して前記MR成分の第5の配合物を形成するステップと、
前記システムが胃滞留性となるように膨潤性ゲル状マトリックスを前記システム内に取り込むステップと、
前記IR成分が前記MR成分を包囲し、これらの成分が互いに軸方向または層状に連通するように、前記IR成分を前記MR成分の周りに分布させるステップと、
バルサルタンが、促進型、非促進型、または両方で、前記システム全体に分布するようにバルサルタンを前記システム内に取り込むステップと
を含む方法。
【請求項30】
前記MR成分が2つの遅延放出領域を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
バルサルタンが、溶解促進剤、透過促進剤、または両方での処理によって促進される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記透過促進剤が、ビタミンE、トコフェロール、コハク酸プロピレングリコール、ピペリン、脂質、界面活性剤、およびそれらの混合物から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記溶解促進剤が、PEG−20−グリセリル、ステアレート(AbitecによるCapmul(登録商標))、PEG−40水素化ヒマシ油(BASFによるCremophor RH 40(登録商標))、PEG6コーン油(GattefosseによるLabrafil(登録商標))、ラウリルマクロゴール−32グリセリド(GattefosseによるGelucire44/14(登録商標))、ステアロイルマクロゴールグリセリド(GattefosseによるGelucire50/13(登録商標))、モノジオレイン酸ポリグリセリル−10(AbitecによるCaprol(登録商標)PEG860)、オレイン酸プロピレングリコール(BASFによるLutrol OP(登録商標))、ジオクタン酸プロピレングリコール(AbitecによるCaptex(登録商標))、カプリル酸/カプリン酸プロピレングリコール(GattefosseによるLabrafac(登録商標))、モノオレイン酸グリセリル(GattefosseによるPeceol(登録商標))、モノリノレン酸グリセロール(GattefosseによるMaisine(登録商標))、モノステアリン酸グリセロール(AbitecによるCapmul(登録商標))、モノラウリン酸PEG−20ソルビタン(ICIによるTween20(登録商標))、PEG−4ラウリルエーテル(ICIによるBrij30(登録商標))、ジステアリン酸スクロース(GattefosseによるSucroester7(登録商標))、モノパルミチン酸スクロース(GattefosseによるSucroester15(登録商標))、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(Lutrol(登録商標)シリーズ、BASF)、ヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール660(BASFによるSolutol(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、L−ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ベタイン、ポリエチレングリコール(DOWによるCarbowax(登録商標))、d−α−コハク酸トコフェロールポリエチレングリコール1000(EastmanによるVitamin E TPGS(登録商標))、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記膨潤性ゲル状マトリックスが、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、および微結晶性セルロース多糖およびその誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンゴム、マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプン、マルトデキストリン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタンヒドロゲル、架橋ポリアクリル酸、およびそれらの誘導体を含むポリマーヒドロゲルである、請求項29に記載の方法。

【公表番号】特表2011−522050(P2011−522050A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512556(P2011−512556)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/045786
【国際公開番号】WO2009/148990
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】