説明

バルブ装置

【課題】閉じ姿勢に切換わることで流路を確実に遮断でき、しかも長期に亘って良好に閉止作動できるようにする。
【解決手段】ハウジング(6)内に入口路(7)と弁室(8)とを備え、弁室(8)に開口する入口路(7)の開口端(7a)近傍に弁座(13)を形成する。弁座(13)を、入口路(7)の内周面に形成した第1弁座(11)と、開口端(7a)を取り囲む状態に形成した第2弁座(12)とから構成する。弁室(8)内へ挿入した弁部材(16)にシール部(23)を設ける。シール部(23)を、入口路(7)内へ挿入されて第1弁座(11)に保密状に摺接する第1シール部(21)と、第2弁座(12)へ保密状に当接する第2シール部(22)とから構成する。第2弁座(12)と第2シール部(22)とを金属材料で形成し、当接した際のシール面幅を1mm以下に設定する。第2弁座(12)を、入口路(7)の開口端(7a)から弁室(8)内へ向けて外広がりの傾斜面に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆止弁や残圧保持弁などのバルブ装置に関し、さらに詳しくは、弁部材が閉じ姿勢に切換わることで流路を確実に遮断でき、しかも長期に亘って良好に閉止作動できる、バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バルブ装置において、例えば逆止弁や残圧保持弁などのいわゆる一方向弁は、入口側から出口側へのガスの流れは許容するが、逆方向のガスの流れは遮断するように機能する。従来このバルブ装置としては、例えば図4と図5に示すように、ハウジング(51)内に入口路(52)と弁室(53)と出口路(54)とを順に形成し、この弁室(53)に開口する入口路(52)の開口端(55)の周縁に弁座(56)を形成し、この弁室(53)内へ弁部材(57)を上記の弁座(56)に対して進退可能に挿入し、この弁部材(57)にシール部(58)を設け、この弁部材(57)を閉弁バネ(59)で弁座(56)側へ付勢したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のバルブ装置を、例えばガス充填路に付設される逆止弁として用いる場合、上記の入口路(52)が充填口(60)に連通され、上記の出口路(54)がガス充填路(61)を介してガス容器の内部空間に連通される。これにより、ガス容器から貯蔵ガスを取り出すガス消費時にあっては、ガス容器の貯蔵ガスの一部が上記のガス充填路(61)を経て出口路(54)から弁室(53)内に流入し、図4(a)に示すように、その貯蔵ガス圧力と前記の閉弁バネ(59)の弾圧力で弁部材(57)が弁座(56)側へ進出し、この弁座(56)にシール部(58)が当接した閉じ姿勢(X)に切変わる。
【0004】
このとき上記の貯蔵ガス圧力が高い間は、そのガス圧力で上記の弁部材(57)が弁座(56)側へ強く押圧されて、シール部(58)の一部が大きく変形し、弁部材(57)に形成した位置決め部(62)が弁室(53)の内端面に受け止められる。しかしガスの消費とともに貯蔵ガス圧力が低下すると、弁室(53)内に流入するガス圧力が低下し、弁部材(57)を押圧する力が低下するので、例えば図4(b)に示すように、シール部(58)の弾性復元力によって弁部材(57)が後退し、上記の位置決め部(62)が弁室(53)の内面から離隔する。
【0005】
一方、上記の貯蔵ガスが消費されてガス容器内が空になると、上記の充填口(60)に充填装置が接続されて上記の入口路(52)にフレッシュガスが導入される。この入口路(52)へ導入されたフレッシュガスの圧力により、上記の弁部材(57)は図5に示すように、閉弁バネ(59)の弾圧力や弁室(53)内のガス圧力に抗して後退し、シール部(58)が弁座(56)から離隔した開き姿勢(Y)に切換わる。これにより入口路(52)と弁室(53)とが連通し、上記のフレッシュガスが、入口路(52)から弁室(53)と出口路(54)とガス充填路(61)とを順に経てガス容器の内部空間へ充填される。そして、上記の充填により弁室(53)内の圧力が入口路(52)の圧力と略同一程度に高くなると、弁部材(57)は閉弁バネ(59)の弾圧力で弁座(56)側へ進出して前記の閉じ姿勢(X)に切換わり、充填作業が終了する。
【0006】
【特許文献1】特開平8−159397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術では、弁部材(57)が閉じ姿勢(X)に切換えられると、シール部(58)が弁座(56)に当接することで入口路(52)と弁室(53)との連通が遮断される。しかしながら、この弁座(56)とシール部(58)との間にごみ等の異物が噛み込まれたり、異物等との接触により弁座(56)やシール部(58)が損傷したりすると、その噛み込み部分や損傷部分からガスが漏れ出してしまう虞がある。
【0008】
さらに、上記のシール部(58)は一般にOリングなどのゴム弾性体で形成されるが、上記の弁座(56)が入口路(52)の開口端(55)の周縁である角部に形成されていることから、特に弁室(53)内のガス圧力が高い場合、図4(a)に示すように、装着溝(63)内のシール部(58)の外半分が、弁座(56)に食い込まれた状態に変形する。このためこのシール部(58)の変形が大きくなって、早期に弾性復元力が低下したり材質劣化を生じたりし易いうえ、ガス容器内の貯蔵ガス圧力、即ち弁室(53)内に流入するガス圧力の変化に対し、シールする際の弁座(56)への押圧力(以下、シール力ともいう。)が変化するため、上記の復元力の低下や劣化により、確実な閉止作動ができなくなる虞がある。
【0009】
本発明の技術的課題は上記の問題点を解消し、閉じ姿勢に切換わることで流路を確実に遮断でき、しかも長期に亘って良好に閉止作動できる、バルブ装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記の課題を解決するために、例えば、本発明の実施の形態を示す図1から図3に基づいて説明すると、次のように構成したものである。
即ち、本発明はバルブ装置に関し、ハウジング(6)内にガス流路(7)と弁室(8)とを備え、この弁室(8)に開口するガス流路(7)の開口端(7a)近傍に弁座(13)を形成し、この弁座(13)に対し進退可能に弁部材(16)を弁室(8)内へ挿入して、この弁部材(16)にシール部(23)を設け、この弁部材(16)を、上記のシール部(23)が上記の弁座(13)へ保密状に当接する閉じ姿勢(X)と、シール部(23)が弁座(13)から離隔した開き姿勢(Y)とに切換え可能に構成したバルブ装置であって、上記の弁座(13)を、ガス流路(7)の内周面に形成した第1弁座(11)と、開口端(7a)を取り囲む状態に形成した第2弁座(12)とから構成し、上記のシール部(23)を、上記のガス流路(7)内へ挿入されて第1弁座(11)に保密状に摺接する第1シール部(21)と、上記の弁部材(16)が開口端(7a)側へ進出することにより上記の第2弁座(12)へ保密状に当接する第2シール部(22)とから構成したことを特徴とする。
【0011】
上記の弁部材を弁座側、即ちガス流路の開口端側へ進出させた閉じ姿勢に切換わると、第1シール部がガス流路内に挿入されて第1弁座に摺接し、第2シール部が第2弁座へ当接する。上記の2つのシール部がそれぞれ弁座に当接して遮断されることから、いわば二重シール構造となっており、仮に一方のシール部と弁座との間に異物が噛み込まれたり、あるいは一方のシール部に損傷などが生じても、他方のシール部と弁座により、ガス流路と弁室との間が確実に遮断される。
【0012】
ここで上記の第1シール部は、上記の弁部材を閉じ姿勢に切換えるとガス流路内に挿入され、ガス流路の内面に摺接する。従ってこの閉じ姿勢にあっては、この第1シール部にガス流路の直径方向から押圧力が加わる。このためこの第1シール部には、例えば第1シール部をOリングで構成した場合、このOリングを装着溝へ押し込む方向に力が加わるので、前記の従来技術と異なって、この第1シール部の一部が大きく変形することがない。しかも、この第1シール部には、シールする際の第1弁座への押圧力、いわゆるシール力が、弁部材の進退方向に加わらないことから、弁室内の圧力変化の影響を受けずに、所定の押圧力で第1弁座と当接することができる。
【0013】
一方、上記の第2シール部が第2弁座と当接する際には、この第2シール部に弁部材の進退方向への押圧力が加わる。ここで、この第2弁座と第2シール部とは、互いに当接することでガス流路と弁室との連通を遮断するものであればよく、特定の形状や材質に限定されず、例えば一方をゴム弾性体で構成することも可能である。しかしこの第2シール部と第2弁座の両者をそれぞれ金属材料で形成して、いわゆるメタルシール構造に構成した場合は、弁室内の圧力の高低で第2シール部や第2弁座が大きく変形することがなく、長期に亘って安定したシール性能を発揮できるので好ましい。さらにこの場合には、この両者にハウジング材料や弁部材の材料を兼用でき、Oリングなどの別部材を必要としないので安価に実施できる利点もある。
【0014】
また、上記の第2シール部と第2弁座との両者を金属材料で形成した場合、弁室内のガス圧力が低くなっても両者の当接によるシール性能を確保するため、当接した際の面圧を高くすることが好ましい。このため、この第2弁座と第2シール部とが当接した際のシール面幅は、好ましくは1mm以下に設定され、さらに好ましくは0.5mm以下に設定される。
【0015】
また、上記の第2弁座は特定の形状や構造に限定されず、例えば弁部材の進退方向に対し直交する平面に形成することも可能である。しかしこの第2弁座を、上記のガス流路の開口端から弁室内へ向けて外広がりの傾斜面に形成すると、弁部材が閉じ姿勢に切換わった際、この弁部材の軸心がガス流路の軸心と容易に一致する。このため、上記の第1シール部を、このガス流路の内周面に形成された第1弁座へ均等に当接させることが容易にできるので、好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記のように構成され作用することから、次の効果を奏する。
【0017】
(1) 弁部材が閉じ姿勢に切換わると、2つのシール部がそれぞれ弁座に当接して遮断され、いわば二重シール構造となることから、仮に一方のシール部と弁座との間に異物が噛み込まれたり、シール部や弁座に損傷が生じても、他方のシール部と弁座により、ガス流路と弁室との間を確実に遮断でき、作動不良の発生率を大幅に低減して、長期に亘って良好に閉止作動することができる。
【0018】
(2) 第1シール部は、いわゆるシール力が弁部材の進退方向に加わらないことから、弁室内のガス圧力の変化の影響を受けずに、所定の押圧力で第1弁座と当接させることができ、安定した封止性能を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1と図2は本発明のバルブ装置を、容器弁のガス充填路に付設される逆止弁として用いた実施形態を示し、図1はガス消費時における逆止弁の断面図、図2はガス充填時における逆止弁の断面図である。
【0020】
図1に示すように、この逆止弁(1)は、容器弁(2)の本体ハウジング(3)の外面に形成された装着穴(4)に螺着固定してあり、この装着穴(4)を図示しないガス容器の内部空間に連通するガス充填路(5)が、上記の本体ハウジング(3)内に形成してある。
【0021】
上記の逆止弁(1)のハウジング(6)は、筒状の第1ハウジング部材(6a)と有底筒状の第2ハウジング部材(6b)とからなり、両ハウジング部材(6a・6b)を互いに螺着固定してユニット状に形成してある。上記のハウジング(6)には入口路(7)と弁室(8)と出口路(9)とが順に形成してあり、入口路(7)の外側端部に充填口(10)が形成され、入口路(7)の弁室(8)側の開口端(7a)近傍に弁座(13)が形成してある。この弁座(13)は、上記の入口路(7)の内周面に形成された第1弁座(11)と、開口端(7a)から弁室(8)内へ向けて外広がりの傾斜面に、この開口端(7a)を取り囲む状態に形成された第2弁座(12)とからなる。
【0022】
上記の出口路(9)は、上記の第1ハウジング部材(6a)の、第2ハウジング部材(6b)との螺着用ネジ部(14)に溝状に形成してある。そしてこの出口路(9)は、第2ハウジング部材(6b)の外面と前記の装着穴(4)の内面との間に形成した連通空間(15)を介して、上記のガス充填路(5)に連通させてある。
【0023】
上記の弁室(8)内には、上記の弁座(13)が近傍に形成された上記の開口端(7a)に対し進退可能に、ピストン状の弁部材(16)が挿入してあり、この弁部材(16)と第2ハウジング部材(6b)との間に配設された閉弁バネ(17)で、上記の開口端(7a)側へ付勢してある。またこの弁室(8)内には、この弁部材(16)と第2ハウジング部材(6b)の底壁(18)との間に受圧室(19)が形成してあり、この受圧室(19)を、上記の底壁(18)に透設した連通路(20)を介して上記のガス充填路(5)に連通してある。
【0024】
上記の弁部材(16)には第1シール部(21)と第2シール部(22)とからなるシール部(23)が設けてあり、図1に示すように、この弁部材(16)が上記の開口端(7a)側へ進出した閉じ姿勢(X)に切換わると、この各シール部(21・22)がそれぞれ上記の各弁座(11・12)に保密状に当接し、図2に示すように、この弁部材(16)が上記の開口端(7a)側から後退した開き姿勢(Y)に切換わると、各シール部(21・22)がそれぞれ上記の各弁座(11・12)から離隔するように構成してある。
【0025】
即ち、上記の第1シール部(21)は、弁部材(16)の先端棒状部(24)の周面に付設したOリングからなり、上記の閉じ姿勢(X)では前記の入口路(7)内に挿入されて、上記の第1弁座(11)に保密状に摺接するように構成してある。一方、上記の第2シール部(22)は、上記の先端棒状部(24)の基部の周囲に形成された環状段部の角部からなり、弁部材(16)が上記の開口端(7a)側へ進出することにより、上記の第2弁座(12)へ保密状に当接するように構成してある。
【0026】
上記の第2弁座(12)は第1ハウジング部材(6a)の内面で構成され、上記の第2シール部(22)は弁部材(16)の環状段部で構成されるので、両者はそれぞれ金属材料で形成され、いわゆるメタルシール構造となっている。そしてこの第2シール部(22)を構成する上記の角部の形状は、第2弁座(12)と当接した際のシール面幅が、例えば0.5mm以下となるように狭く形成してある。
【0027】
次に、上記の逆止弁(1)の作動について説明する。
前記のガス容器内に貯蔵ガスが充分に残っており、この貯蔵ガスを取り出して使用するガス消費時にあっては、貯蔵ガスが上記のガス充填路(5)から出口路(9)を経て弁室(8)内へ流入するとともに、上記の連通路(20)を経て受圧室(19)内に流入する。このため上記の弁部材(16)は、その受圧室(19)内のガス圧力と前記の閉弁バネ(17)の弾圧力とにより、入口路(7)の開口端(7a)側へ進出し、図1に示す閉じ姿勢(X)に切換わる。
【0028】
この閉じ姿勢(X)にあっては、上記の弁部材(16)の先端棒状部(24)が上記の入口路(7)内に挿入され、上記の第1シール部(21)が、入口路(7)の内面に形成された第1弁座(11)に保密状に摺接する。このとき第1シール部(21)を構成するOリングは、第1弁座(11)との当接により、先端棒状部(24)に凹設された嵌合溝(25)内へ押し込まれるように押圧されるだけであり、前記の従来技術と異なって一部分が大きく変形することがない。また、弁部材(16)の進退方向と直交方向から押圧されるだけであり、弁部材(16)の進退方向には力を受けないことから、この第1シール部(21)によるシール力は、弁室(8)内や受圧室(19)内のガス圧力の影響を受けない。この結果、この第1弁座(11)への第1シール部(21)の摺接により、上記の入口路(7)と弁室(8)との連通が、安定したシール力で確実に遮断される。
【0029】
一方、上記の第2シール部(22)は、上記の弁部材(16)が上記の開口端(7a)側へ進出することにより、上記の第2弁座(12)へ受け止められるように保密状に当接する。このとき、この第2弁座(12)への第2シール部(22)の当接によるシール面幅は、例えば0.5mm以下となるように狭く形成してあるので、前記の閉弁バネ(17)の適切な弾圧力や上記の受圧室(19)内のガス圧力により、この第2弁座(12)への第2シール部(22)の当接でも、上記の入口路(7)と弁室(13)との連通が遮断される。なお上記の第1シール部(21)が弁部材(16)の進退方向には力を受けないので、その第1シール部(21)の弾性復元力で弁部材(16)が開口端(7a)側から後退することがなく、このため受圧室(19)内の圧力が変化しても、上記の第2シール部(22)は第2弁座(12)へ当接した姿勢に確実に維持される。
【0030】
次に、上記の貯蔵ガスが消費されてガス容器内が空になると、上記の充填口(10)に図示しない充填装置が接続される。そしてこの充填口(10)から上記の入口路(7)へ高圧のフレッシュガスが導入されると、そのガス圧力により、閉弁バネ(17)の弾圧力や受圧室(19)内のガス圧力に抗して、上記の弁部材(16)が入口路(7)の開口端(7a)から後退し、図2に示す開き姿勢(Y)に切換わる。
【0031】
この開き姿勢(Y)では、上記の弁部材(16)は先端棒状部(24)が上記の入口路(7)から弁室(8)内へ抜け出しており、従って第1シール部(21)は第1弁座(11)から離隔する。また上記の第2シール部(22)も、弁部材(16)の後退とともに第2弁座(12)から離隔する。これにより入口路(7)と弁室(8)とが連通し、上記のフレッシュガスが、入口路(7)から弁室(8)と出口路(9)とガス充填路(5)とを順に経て、上記のガス容器の内部空間へ充填される。そしてこのフレッシュガスの充填により、受圧室(19)内のガス圧力が入口路(7)の圧力と略同一程度に高くなると、弁部材(16)は閉弁バネ(17)の弾圧力で入口路(7)の開口端(7a)側へ進出して、図1に示す前記の閉じ姿勢(X)に切換わり、充填作業が終了する。
【0032】
上記の実施形態で説明したバルブ装置は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものであり、各部の材質や形状、構造等をこの実施形態のものに限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
【0033】
例えば、上記の実施形態ではバルブ装置を逆止弁に適用した場合について説明したが、本発明のバルブ装置は他の用途のバルブ装置にも適用することができる。例えば上記の実施形態の構造のバルブ装置を、容器弁の残圧保持弁に用いる場合、例えば上記の入口路がガス容器の内部空間にガス取出し路と閉止弁を介して連通され、上記の出口路がガス取出口に連通される。
【0034】
また上記の実施形態では、弁座を形成したガス流路が入口路である場合について説明したが、本発明でのこのガス流路は弁室からガスを取り出す出口路であってもよい。例えば上記の残圧保持弁に適用した場合、ハウジング内に入口路と弁室と出口路とを順に形成するとともに、弁室内に挿入した弁部材の片側に受圧室を形成し、この受圧室を出口路に連通させ、出口路の開口端近傍に弁座を形成してもよい。この場合は、出口路に連通する受圧室の内圧と、入口路から弁室に流入するガス圧力との差圧が、所定の圧力差以下に低下した場合に、弁部材が開口端側に押圧されて閉じ姿勢に切換えられる。
【0035】
また、上記の実施形態では、ハウジングを第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とでユニット状に構成したので、容器弁などに装着穴を形成するだけで容易に組み込むことができる利点がある。しかし本発明では、このバルブ装置のハウジングを、容器弁の本体ハウジングと一体に形成することも可能である。
【0036】
例えば図3に示す変形例では、逆止弁(1)の第1ハウジング(6a)を容器弁(2)の本体ハウジング(3)と一体に形成し、この第1ハウジング(6a)とこれに螺着固定した有底筒状の第2ハウジング(6b)とで逆止弁(1)のハウジング(6)を構成してある。なおこの変形例では、ガス充填路(5)が直接弁室(8)に接続してあり、従ってこのガス充填路(5)が逆止弁(1)の出口路(9)を兼ねている。また弁部材(16)内には連通路(20)が透設してあり、弁部材(16)の片側に形成した受圧室(19)は、この連通路(20)と弁室(8)とを順に介して上記のガス充填路(5)に連通してある。その他の構成は上記の実施形態と同様であり、同様に作用するので説明を省略する。
【0037】
上記の実施形態では、第1シール部をOリングで構成し、第2シール部と第2弁座とをメタルシール構造に構成した。しかし本発明ではこれらのシール構造に限定されず、例えば上記の第2シール部と第2弁座は、第2弁座を環状段部に形成するとともに第2シール部を傾斜面に形成してもよく、あるいは第2弁座と第2シール部のいずれか一方をゴム弾性材料で形成することも可能である。
【0038】
また、上記の実施形態では容器弁に組み込まれた逆止弁に適用した場合について説明したが、本発明は配管弁など、容器弁以外のバルブ装置にも適用でき、さらに一方向弁以外のバルブ装置にも適用できることは、いうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のバルブ装置は、閉じ姿勢に切換わることで流路を確実に遮断でき、しかも長期に亘って良好に閉止作動できるので、特に逆止弁や容器弁に組み込まれる残圧保持弁などの一方向弁に好適に用いられるが、他の種類のバルブ装置としても好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態を示す、ガス消費時における逆止弁の断面図である。
【図2】本発明の実施形態の、ガス充填時における逆止弁の断面図である。
【図3】本発明の変形例を示す、ガス消費時における逆止弁の断面図である。
【図4】従来技術のガス消費時における逆止弁を示し、図4(a)は貯蔵ガス圧力が高い間の断面図、図4(b)は貯蔵ガス圧力が低下した際の断面図である。
【図5】従来技術を示す、ガス充填時における逆止弁の断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1…バルブ装置(逆止弁)
6…ハウジング
7…ガス流路(入口路)
7a…弁室(8)側の開口端
8…弁室
11…第1弁座
12…第2弁座
13…弁座
16…弁部材
21…第1シール部
22…第2シール部
23…シール部
X…閉じ姿勢
Y…開き姿勢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(6)内にガス流路(7)と弁室(8)とを備え、この弁室(8)に開口するガス流路(7)の開口端(7a)近傍に弁座(13)を形成し、この弁座(13)に対し進退可能に弁部材(16)を弁室(8)内へ挿入して、この弁部材(16)にシール部(23)を設け、この弁部材(16)を、上記のシール部(23)が上記の弁座(13)へ保密状に当接する閉じ姿勢(X)と、シール部(23)が弁座(13)から離隔した開き姿勢(Y)とに切換え可能に構成したバルブ装置であって、
上記の弁座(13)を、ガス流路(7)の内周面に形成した第1弁座(11)と、開口端(7a)を取り囲む状態に形成した第2弁座(12)とから構成し、
上記のシール部(23)を、上記のガス流路(7)内へ挿入されて第1弁座(11)に保密状に摺接する第1シール部(21)と、上記の弁部材(16)が開口端(7a)側へ進出することにより上記の第2弁座(12)へ保密状に当接する第2シール部(22)とから構成したことを特徴とする、バルブ装置。
【請求項2】
上記の第2弁座(12)と第2シール部(22)との両者をそれぞれ金属材料で形成した、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
上記の第2弁座(12)と第2シール部(22)とが当接した際のシール面幅を、1mm以下に設定した、請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
上記の第2弁座(12)を、上記の開口端(7a)から弁室(8)内へ向けて外広がりの傾斜面に形成した、請求項1から3のいずれか1項に記載のバルブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−75742(P2008−75742A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255214(P2006−255214)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(591038602)株式会社ネリキ (54)
【Fターム(参考)】