説明

バルブ装置

【課題】コストアップや大型化を招くことなく、全閉状態において弁室内の流体圧力が所定圧以上となった場合は、該流体を自動的に逃がすことのできる電動弁等のバルブ装置を提供する。
【解決手段】弁本体20には、第1入出口11及び弁口22aが開口する弁室21及び前記弁口22aに連なる第2入出口12が設けられ、また、弁軸25の下端部(弁室21内)には、弁口22aを開閉するための弁体部24が設けられており、この弁体部24内に、該弁体部24により弁口22aが閉じられている全閉状態で、弁室21内の冷媒圧力が所定圧以上となった場合に、弁室21の圧力を第2入出口12へ逃がす逃がし弁60が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ式冷暖房システム等に組み込まれて使用される電動弁や電磁弁等のバルブ装置に係り、特に、閉弁状態において弁室内の流体が高圧となった場合に、該流体を逃がすことのできる逃がし弁の機能を備えたバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヒートポンプ式冷暖房システムとして、圧縮機、室外熱交換器、室内熱交換器、四方切換弁等の他、省エネ効率等を向上させるため、通常は一つでよい膨張弁を二つ備え、さらに、圧力損失を可及的に低減するため、それら二つの膨張弁にそれぞれ並列に逆止弁を組み込んだもの(逆止弁付き膨張弁としたもの)が知られている(例えば、下記特許文献1の図6を参照)。
【0003】
また、最近では、その二つの逆止弁付き膨張弁のうちの少なくとも一方を電子制御式電動弁に置き換えることが考えられている(下記特許文献2を参照)。
【0004】
かかる逆止弁付き膨張弁として働く電子制御式電動弁を備えたヒートポンプ式冷暖房システムの一例を図4に示す。図示例のヒートポンプ式冷暖房システム100は、圧縮機101、四方切換弁102、室外熱交換器103、室内熱交換器104の他、上記二つの逆止弁付き膨張弁の一方である逆止弁106B付き膨張弁106、上記二つの逆止弁付き膨張弁の他方として働く電子制御式電動弁10’、ディストリビュータ108、冷媒回収用タンク120、メンテナンス用のサービスバルブ(手動操作)121、122を備えている。
【0005】
詳細には、二つのサービスバルブ121、122(通常は全開状態)より右側の室外側(室外熱交換器103側)に電動弁10’及び冷媒回収用タンク120が配置され、二つのサービスバルブ121、122より左側の室内側(室内熱交換器104側)に逆止弁106B付き膨張弁106配置されている。逆止弁付き膨張弁106の膨張弁106Aとしては感温式(機械式)のものが用いられており、この膨張弁106Aに並列に逆止弁106Bが配置されている。
【0006】
この冷暖房システム100においては、冷房運転時には、圧縮機101で圧縮された冷媒は、図の実線矢印で示される如くに、四方切換弁102(のポートa→d)を介して室外熱交換器103に導入され、ここで外気と熱交換して凝縮し、この凝縮した冷媒がディストリビュータ108、電動弁10’(このときは最大開度)、及びサービスバルブ121を介して膨張弁106に流入し、ここで断熱膨張した後、室内熱交換機104に流入し、室内熱交換機104にて室内空気と熱交換して蒸発し、室内を冷房する。室内熱交換機104を出た冷媒は、サービスバルブ122及び四方切換弁102(のポートb→c)を介して圧縮機101に吸入される。
【0007】
それに対し、暖房運転時には、圧縮機101で圧縮された冷媒は、図の破線矢印で示される如くに、四方切換弁102(のポートa→b)、サービスバルブ122を介して室内熱交換器104に導入され、ここで室内空気と熱交換して凝縮し、室内を暖房した後、逆止弁106Bを通って(膨張弁106Aをバイパスして)、電動弁10’(このときは冷媒温度に応じて開度調整)に流入し、ここで減圧された後、ディストリビュータ108を介して室外熱交換器103に導入され、ここで蒸発した後、四方切換弁102(のポートd→c)を介して圧縮機101に吸入される。
【0008】
次に、上記した如くの冷暖房システム100に用いられる電子制御式電動弁10’の一例を図3を参照しながら説明する。図示例の電動弁10’は、下部大径部25aと上部小径部25bを有し、前記下部大径部25aの下端部に特定形状(それぞれ所定の中心角を持つ二段の逆円錐台状)の弁体部24が一体に設けられた弁軸25と、弁室21を有する弁本体20と、この弁本体20にその下端部が密封接合されたキャン40と、このキャン40の内周に所定の間隙αをあけて配在されたロータ30と、このロータ30を回転駆動すべく前記キャン40に外嵌されたステータ50と、前記ロータ30と前記弁体部24との間に配在され、前記ロータ30の回転を利用して前記弁体部24を弁口22aに接離させるねじ送り機構とを備え、弁体部24のリフト量を変化させることにより冷媒の通過流量を調整するようになっている。
【0009】
前記弁本体20の弁室21には、前記弁体部24が接離する弁口(オリフィス)22aが形成された弁座22が設けられ、側方に導管継手からなる第1入出口11が設けられ、また、弁本体20の下部には、前記弁口22aに連なって導管継手からなる第2入出口12が設けられている。
【0010】
前記ステータ50は、ヨーク51、ボビン52、ステータコイル53,53、及び樹脂モールドカバー56等で構成され、前記ロータ30やステータ50等でステッピングモータが構成され、該ステッピングモータやねじ送り機構等で前記弁口22aに対する前記弁体部24のリフト量(=弁開度)を調整するための昇降駆動機構が構成される。なお、ステータ50の下端部には回り止め具46が設けられるとともに、弁本体20の側部には前記回り止め具46を係止するため管状係止具47が固着されている。
【0011】
前記ロータ30には、支持リング36が一体的に結合されるとともに、この支持リング36に、前記弁軸25及びガイドブッシュ26の外周に配在された下方開口で筒状の弁軸ホルダ32の上部突部がかしめ固定され、これにより、ロータ30、支持リング36及び弁軸ホルダ32が一体的に連結されている。
【0012】
前記ねじ送り機構は、弁本体20に設けられた嵌合穴42にその下端部26aが圧入固定されるとともに、弁軸25(の下部大径部25a)が摺動自在に内挿された筒状のガイドブッシュ26の外周に形成された固定ねじ部(雄ねじ部)28と、前記弁軸ホルダ32の内周に形成されて前記固定ねじ部28に螺合せしめられた移動ねじ部(雌ねじ部)38とから構成されている。
【0013】
また、前記ガイドブッシュ26の上部小径部26bが弁軸ホルダ32の上部に内挿されるとともに、弁軸ホルダ32の天井部中央(に形成された通し穴)に弁軸25の上部小径部25bが挿通せしめられている。弁軸25の上部小径部25bの上端部にはプッシュナット33が圧入固定されている。
【0014】
また、前記弁軸25は、該弁軸25の上部小径部25bに外挿され、かつ、弁軸ホルダ32の天井部と弁軸25における下部大径部25aの上端段丘面との間に縮装された圧縮コイルばねからなる閉弁ばね34によって、常時下方(閉弁方向)に付勢されている。弁軸ホルダ32の天井部上でプッシュナット33の外周には、コイルばねからなる復帰ばね35が設けられている。
【0015】
前記ガイドブッシュ26には、前記ロータ30が所定の閉弁位置まで回転下降せしめられた際、それ以上の回転下降を阻止するための回転下降ストッパ機構の一方を構成する下ストッパ体(固定ストッパ)27が固着され、弁軸ホルダ32には前記ストッパ機構の他方を構成する上ストッパ体(移動ストッパ)37が固着されている。
【0016】
なお、前記閉弁ばね34は、弁体部24が弁口22aに着座する閉弁状態において所要のシール圧を得るため(漏れ防止)、及び、弁体部24が弁口22aに衝接した際の衝撃を緩和するために配備されている。
【0017】
このような構成とされた電動弁10’にあっては、ステータコイル53,53に第1態様で通電励磁パルスを供給することにより、弁本体20に固定されたガイドブッシュ26に対し、ロータ30及び弁軸ホルダ32が一方向に回転せしめられ、ガイドブッシュ26の固定ねじ部28と弁軸ホルダ32の移動ねじ部38とのねじ送りにより、例えば弁軸ホルダ32が下方に移動して弁体部24が弁口22aに押し付けられて弁口22aが閉じられる(全閉状態)。
【0018】
弁口22aが閉じられた時点では、上ストッパ体37は未だ下ストッパ体27に衝接しておらず、弁体部24が弁口22aを閉じたままロータ30及び弁軸ホルダ32はさらに回転下降する。この場合、弁軸25(弁体部24)は下降しないが、弁軸ホルダ32は下降するため、閉弁ばね34が所定量圧縮せしめられ、その結果、弁体24が弁口22aに強く押し付けられるとともに、弁軸ホルダ32の回転下降により、上ストッパ体37が下ストッパ体27に衝接し、その後ステータコイル53,53に対するパルス供給が続行されても弁軸ホルダ32の回転下降は強制的に停止される。
【0019】
一方、ステータコイル53,53に第2態様で通電励磁パルスを供給すると、弁本体20に固定されたガイドブッシュ26に対し、ロータ30及び弁軸ホルダ32が前記と逆方向に回転せしめられ、ガイドブッシュ26の固定ねじ部28と弁軸ホルダ32の移動ねじ部38とのねじ送りにより、今度は弁軸ホルダ32が上方に移動する。この場合、弁軸ホルダ32の回転上昇開始時点(パルス供給開始時点)では、閉弁ばね34が前記のように所定量圧縮せしめられているので、閉弁ばね34が前記所定量分伸長するまでは、前記弁体部24が弁口22aからは離れず閉弁状態(リフト量=0)のままである。そして、閉弁ばね34が前記所定量分伸長した後、弁軸ホルダ32がさらに回転上昇せしめられると、前記弁体部24が弁口22aから離れて弁口22aが開かれ、冷媒が弁口22aを通過する。この場合、ロータ30の回転量により弁体部24のリフト量、言い換えれば、弁口22aの実効開口面積(=弁開度)を任意に細かく調整することができ、ロータ30の回転量は供給パルス数により制御されるため、冷媒流量を高精度に制御することができる(詳細は、下記特許文献1等を参照)。
【0020】
したがって、かかる構成の電動弁10’を前記ヒートポンプ式冷暖房システム100に逆止弁付き膨張弁に代えて組み込む場合には、冷媒が一方向に流されるとき(冷房運転時)は、圧力損失を可及的に低減すべく最大開度(最大リフト量)とされ、冷媒が他方向に流されるとき(暖房運転時)は、流量制御を行なうべくその開度(リフト量)を所定値以下の特定範囲で細かく制御するようにされる(詳細は下記特許文献2を参照)。
【0021】
ところで、上記した如くの電動弁10’を備えたヒートポンプ式冷暖房システム100では、メンテナンス時において冷媒が室内側へ漏洩すると、システム内の全冷媒が室内に洩れ、酸欠状態になるおそれがあるので、メンテナンス時には、次のような操作を行う。
【0022】
すなわち、メンテナンス時には、サービスバルブ121を閉じ、サービスバルブ122を開いたままとし、四方切換弁102を冷房運転時と同じ状態(a→d、b→c)、電動弁10’を全閉状態(非通電状態)として、圧縮機101を起動し、室内側から冷媒を吸い出して室外側へ吐出させる。これにより、室外側配管内の冷媒圧力が大きくなり、この冷媒圧力(高圧)が電動弁10’の第2入出口12から弁軸25(弁体部24)に作用し、弁軸25(弁体部24)が閉弁ばね34の付勢力に抗して押し上げられ、冷媒の一部は、電動弁10’の第2入出口12→弁口22a→弁室21→第1入出口11を通って冷媒回収用タンク120に回収される(このとき電動弁10’は逃がし弁のように働く)。略全冷媒がタンク120を含む室外側(サービスバルブ122と121との間)に集められたら、サービスバルブ122を閉じ、圧縮機101を停止し、所要のメンテナンス作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2010−249246号公報
【特許文献2】特開2009−14056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
上記した如くにして、メンテナンス時にタンク120に冷媒を回収した後において、外気温度が上昇すると、タンク120内の冷媒圧力が増大する。この場合、タンク120の出口側は、サービスバルブ121と電動弁10’により閉塞されているため、タンク120内の冷媒圧力が増大すると、冷媒が外部に漏出する等の不具合が発生するおそれがある。これを避けるには、例えば、電動弁10’をパイパスする流路を設け、該流路に所定圧以上で開く逃がし弁(リリーフ弁)を介装する方策が考えられるが、かかる方策では、配管や継手類などの部品の点数が増大するとともに、配管接続作業にも多大な手間と時間がかかり、システムのコストアップを招くとともに、その逃がし弁を含む電動弁の占有スペースが増大し、実質的に電動弁の大型化を招くことになる。
【0025】
また、上記図示例とは逆に電動弁10’の第2入出口12をタンク120に接続し、第1入出口11をディストリビュータ108に接続すれば、タンク120内の冷媒圧力が高くなったとき、電動弁10’を自動的に開かせてタンク120内の冷媒(圧力)を室外側に逃がすことが可能となるが、このようにすると、冷媒回収時及び冷房運転時とは逆流れの暖房運転時において細やかな流量制御を行うことが難しくなる(低圧力で開弁してしまうため)。
【0026】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、大きなコストアップや大型化を招くことなく、全閉状態において弁室内の流体圧力が所定圧以上となった場合は、該流体を自動的に逃がすことのできる電動弁や電磁弁等のバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記の目的を達成すべく、本発明に係るバルブ装置は、基本的には、第1入出口及び弁口が開口する弁室及び該弁口に連なる第2入出口が設けられた弁本体と、前記弁口を開閉すべく前記弁室内に配在された弁体部を有する弁軸と、前記弁口を開閉するために前記弁体部を昇降させる昇降駆動機構とを備え、前記弁体部により前記弁口が閉じられている全閉状態で、前記弁室内の流体圧力が所定圧以上となった場合に、前記弁室内の圧力を前記第2入出口へ逃がす逃がし弁が前記弁体部内に設けられていることを特徴としている。
【0028】
前記逃がし弁は、好ましくは、前記弁軸の弁体部内に設けられた空所と、該空所と前記弁室とを連通するための連通路及び逃がし弁口と、該逃がし弁口を開閉すべく前記空所に配在された逃がし弁体と、該逃がし弁体を前記逃がし弁口に押し付ける方向に付勢するばね部材と、を備える。
【0029】
また、上記のバルブ装置において、前記昇降駆動機構は、前記弁体部のリフト量を制御するためのロータ及びステータ等からステッピングモータと、前記ロータの回転を弁軸の直線運動に変換するねじ送り機構と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るバルブ装置では、弁軸の弁体部内に逃がし弁が設けられているため、弁室の圧力が所定圧以上となったときは、逃がし弁が開き、第1入出口からの流体(冷媒)が第2入出口へ逃がされるので、当該バルブ装置が大型化することなく、逃がし弁の機能を当該バルブ装置に持たせることが出来る。
【0031】
また、逃がし弁は弁体部内に設けられるので、電動弁をパイパスするように逃がし弁を設ける場合等に比して、逃がし弁を含む電動弁の大きさ(占有スペース)を小さくすることができるとともに、追加の配管部品や配管接続作業が不要となり、システムのコストを抑えることができる。
【0032】
さらに、上記のバルブ装置において、前記弁体部のリフト量を制御するように前記昇降駆動機構を構成すれば、前述した図4に示されるヒートポンプ式冷暖房システムで採用されていた従来の電動弁に代えて用いることにより、メンテナンス時にタンクに冷媒を回収した後おいて、外気温度が上昇して、タンク内の冷媒圧力が増大しても、タンク内の冷媒圧力を電動弁内の逃がし弁で自動的に逃がすことができ、冷媒が外部に漏出する等の不具合の発生を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明を電動弁に適用した場合の一実施例を示す部分切欠側面図。
【図2】図1に示される電動弁の主要部拡大図。
【図3】従来の電動弁の一例を示す縦断面図。
【図4】ヒートポンプ式冷暖房システムの一例を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を電動弁に適用した場合の一実施例を示す部分切欠側面図、図2は、図1に示される電動弁の主要部拡大図である。図示実施例の電動弁10は、図4に示されるヒートポンプ式冷暖房システム100において従来例の電動弁10’に代えて用いられるもので、その基本構成は、前述した図3に示される従来例の電動弁10’と略同じであるので、ここでは、図3に示される従来例の電動弁10’の各部に対応する部分には同一の符号を付して重複説明を省略し、以下は、主要部(特徴部分)である弁軸25の下部及び弁本体を中心に説明する。
【0035】
図示実施例の電動弁10は、図3に示される従来例と同様に、弁本体20には、第1入出口11及び弁口22aが開口する弁室21及び前記弁口22aに連なる第2入出口12が設けられ、また、弁軸25の下部(弁室21内)には、弁口22aを開閉するための弁体部24が設けられており、この弁体部24内に、該弁体部24により弁口22aが閉じられている全閉状態で、弁室21内の冷媒圧力が所定圧以上となった場合に、弁室21の圧力を第2入出口12へ逃がす逃がし弁60が設けられている。
【0036】
前記逃がし弁60は、弁軸25の弁体部24内に設けられた下面開口の空所62と、該空所62と弁室21とを連通するための連通路(横孔)63及び逃がし弁口64と、該逃がし弁口64を開閉すべく前記空所62の上部に配在された逃がしボール弁体65と、該逃がしボール弁体65を前記逃がし弁口64に押し付ける方向に付勢する円錐台状コイルばね66と、を備えている。
【0037】
前記空所62の天井面は円錐面とされ、この円錐面の中央に前記逃がし弁口64が形成されている。また、空所62の下端部には、ばね受け部材67が圧入等により嵌挿固定されている。ばね受け部材67の中央には、逃がし出口68が形成されている。
【0038】
かかる構成とされた本実施例の電動弁10においては、弁軸25の弁体部24内に上記構成の逃がし弁60が設けられているため、弁室21の圧力が所定圧以上となったときは、逃がし弁60が開き、第1入出口11からの冷媒が第2入出口12へ逃がされるので、前述した図4に示されるヒートポンプ式冷暖房システム100において、従来の電動弁10’に代えて用いることにより、メンテナンス時にタンク120に冷媒を回収した後において、外気温度が上昇して、タンク120内の冷媒圧力が増大しても、タンク120内の冷媒圧力を弁軸25内の逃がし弁60で自動的に逃がすことができ、冷媒が外部に漏出する等の不具合の発生を未然に防ぐことができる。
【0039】
また、逃がし弁60は弁軸25内に設けられるので、電動弁をバイパスするように逃がし弁を設ける場合等に比して、逃がし弁を含む電動弁の大きさ(占有スペース)を小さくすることができるとともに、追加の配管部品や配管接続作業が不要となり、システムのコストを抑えることができる。
【0040】
さて、上記実施例では、本発明を適用した電動弁をヒートポンプ式冷暖房システムに組み込んだ場合を例示したが、その組み込み事例は、ヒートポンプ式冷暖房システムに限られないことは勿論である。
【0041】
また、上記実施例は、本発明を電動弁に適用した事例を示しているが、本発明はこれのみに限定されることはなく、弁口を開閉する弁体部に逃がし弁を設けたものであれば電磁弁等、いかなるタイプのバルブ装置に適用されても良いことは当然である。
【符号の説明】
【0042】
10 電動弁
11 第1入出口
12 第2入出口
20 弁本体
21 弁室
22 弁座
22a 弁口
24 弁体部
25 弁軸
30 ロータ
40 キャン
50 ステータ
60 逃がし弁
100 ヒートポンプ式冷暖房システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入出口及び弁口が開口する弁室及び該弁口に連なる第2入出口が設けられた弁本体と、前記弁口を開閉すべく前記弁室内に配在された弁体部を有する弁軸と、前記弁口を開閉するために前記弁体部を昇降させる昇降駆動機構とを備えたバルブ装置であって、
前記弁体部により前記弁口が閉じられている全閉状態で、前記弁室内の流体圧力が所定圧以上となった場合に、前記弁室内の圧力を前記第2入出口へ逃がす逃がし弁が前記弁体部内に設けられていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
前記逃がし弁は、前記弁軸の弁体部内に設けられた空所と、該空所と前記弁室とを連通するための連通路及び逃がし弁口と、該逃がし弁口を開閉すべく前記空所に配在された逃がし弁体と、該逃がし弁体を前記逃がし弁口に押し付ける方向に付勢するばね部材と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記昇降駆動機構は、前記弁体部のリフト量を制御するためのロータ及びステータ等からなるステッピングモータと、前記ロータの回転を弁軸の直線運動に変換するねじ送り機構とより成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−172749(P2012−172749A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34697(P2011−34697)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(391002166)株式会社不二工機 (451)
【Fターム(参考)】