説明

バルブ装置

【課題】 弁体とハウジングとの間で流動体を円滑に流通させることで弁体やハウジングに対する流動体等の付着乃至堆積を抑制し、弁体の回転や傾動を確保して主通路の開閉を円滑に行える状態で維持することのできるバルブ装置を提供する。
【解決手段】 連通路が形成された弁体と、弁体収容室が形成されるとともに連通路を介して互いに連通する主通路が形成されたハウジングと、弁体収容室側にある主通路の開口回りに配置された環状のシート部材とを備え、前記弁体は、シート部材に非接触な状態で前記所定の軸線を回転中心にして回転可能に構成されるとともに当該弁体の非貫通部分がシート部材と対向した状態でシート部材側に傾動してシート部材に圧接するように構成されたバルブ装置において、前記弁体は、連通路の少なくとも何れか一方の開口端回りにある外面の少なくとも一カ所に連通路を画定する内周面上で開放した凹状の流動体誘導路が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体や粉体等の流動体を流通させる流路の遮断や切り換えを行うためのバルブ装置に関し、より詳しくは、流路を形成する配管が接続されるハウジングに内装された弁体を所定の軸線回りで回転させることで流路の遮断や切り換えを行うバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体や粉体等の流動体を流通させる流路の遮断や切り換えを行うバルブ装置には、種々タイプのものがあり、その一つとして、所定の軸線回りで回転可能に設けられるとともに、前記軸線と直交又は略直交する方向に貫通した連通路が形成された弁体と、該弁体を収容する弁体収容室が形成されるとともに該弁体収容室を挟んで少なくとも二つの主通路が形成されたハウジングとを備えたものが提供されている。
【0003】
そして、この種のバルブ装置には、図7(a)及び図7(b)に示す如く、ハウジング71内で弁体収容室VRに向いて開放する一方の主通路R2の開口回りに環状のシート部材72が配置され、前記弁体70がシート部材72に対して非接触な状態(離間した状態)で回転可能に構成されるとともに、前記弁体70の非貫通部分(連通路R1の開口の形成されていない部分)がシート部材72と対向した状態で弁体70がシート部材72側に傾動可能に構成されたものがある。
【0004】
かかるバルブ装置7は、弁体70とシート部材72とが非接触な状態で弁体70の連通路R1を介して二つの主通路R2,R3が連通した状態(以下、この状態を流路連通状態という。)になる一方、流路連通状態から弁体70を前記軸線L回りで回転させた後に該弁体70をシート部材72側に傾動させることで、該弁体70の非貫通部分がシート部材72に圧接して主通路R2,R3間を遮断した状態(以下、この状態を流路遮断状態という。:図7(b)参照)になるように構成されている。
【0005】
このように、上記構成のバルブ装置7は、流路遮断状態以外の状態で弁体70がシート部材72に圧接(接触)しないため、弁体70の接触によるシート部材72の摩耗を最小限に抑えることができ、一般的なボールバルブ(弁体がシート部材と常時接触するバルブ装置)に比して弁体70とハウジング71との間を長期に亘って適正にシールすることができるとされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4192193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記構成のバルブ装置7は、弁体70の傾動を許容すべくハウジング71内の弁体収容室VRが弁体70よりも大きく形成され、弁体70とハウジング71との間に空間(以下、この空間をポケット部という)Sが形成される。
【0008】
そのため、上記構成のバルブ装置7は、流路連通状態にして一方の主通路R2から他方の主通路R3に向けて流動体Tを流通させた場合、図7(a)に示す如く、一方の主通路R2からの流動体Tの一部が弁体70とシート部材72との間に形成される隙間を介してポケット部Sに流れ込み、該ポケット部Sに流入した流動体T或いは流動体Tに含まれる物質等が弁体70の外面やハウジング71の内面に付着(堆積)することがある。
【0009】
具体的に説明すると、この種のバルブ装置7は、一般的に、流路遮断状態にする際の弁体70の傾動量を少なくするために、弁体70とシート部材72との間隔が必要最小限の間隔に設定される。これに伴い、該バルブ装置7は、弁体70とシート部材72との間を通過する流動体Tの流速が早くなる一方で、弁体70とシート部材72との間の隙間よりも広いポケット部(空間)Sに流れ込んだ流動体Tの流速が弁体70とシート部材72との間を通過するときの流速よりも遅くなる。
【0010】
そのため、この種のバルブ装置7は、流動体Tがポケット部S内をゆっくり通過して他方の主流路R3に流出したりポケット部S内で滞留したりする傾向にある。その結果、該バルブ装置7は、流通させる流動体Tの性状によって、弁体70の外面やハウジング71の内面に対して流動体Tそのものや、流動体Tに含まれる物質、流動体Tからの析出物等が付着乃至堆積し、弁体70やハウジング71に付着乃至堆積した流動体T等によって弁体70の回転や傾動が阻害されて流路の開閉を円滑に行えなくなる場合がある。
【0011】
そこで、本発明は、弁体とハウジングとの間で流動体を円滑に流通させることで弁体やハウジングに対する流動体等の付着乃至堆積を抑制し、弁体の回転や傾動を確保して流路の開閉を円滑に行えることのできるバルブ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るバルブ装置は、所定の軸線回りで回転可能に設けられるとともに、前記所定の軸線と直交又は略直交する仮想面上を通って貫通する連通路が形成された弁体と、該弁体を収容する弁体収容室が形成されるとともに、弁体収容室内の弁体の連通路を介して互いに連通可能な少なくとも二つの主通路が形成されたハウジングと、ハウジング内で弁体収容室に向いて開放する少なくとも一つの主通路の開口回りに配置された環状のシート部材とを備え、前記弁体は、シート部材に非接触な状態で前記所定の軸線を回転中心にして回転可能に構成されるとともに当該弁体の非貫通部分がシート部材と対向した状態でシート部材側に傾動してシート部材に圧接可能に構成されたバルブ装置において、前記弁体は、連通路の少なくとも何れか一方の開口端回りにある外面の少なくとも一カ所に連通路を画定する内周面上で開放した凹状の流動体誘導路が形成されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成のバルブ装置によれば、弁体を軸線回りで回転させることで、該弁体の連通路及びハウジングの主通路が連通した状態(流動体を流通させる状態)と、弁体の非貫通部分(連通路の開口の形成されていない部分)及び環状のシート部材(主通路の開口)が互いに対向した状態とに切り換えることができる。
【0014】
そして、上記構成のバルブ装置は、少なくとも何れか一方の連通路の開口を流動体の流通方向の上流側になる何れか一方の主通路と対向させて弁体の連通路とハウジングの主通路とを連通させた状態にした上で流動体を流通させると、流動体の大部分が弁体の連通路を介して何れか一方の主通路側(上流側の主通路)から何れか他方の主通路側(下流側の主通路)に向けて流通し、一部の流動体が流動体誘導路を介して弁体とハウジングとの間に流れ込んだ上で、短時間で他方の主通路に流出することになる。
【0015】
すなわち、上記構成のバルブ装置は、一方の主通路からの流動体が流動体誘導路を介して積極的に弁体とハウジングとの間に形成される空間に流れ込むことになるため、該弁体の外面とハウジングの内面(弁体収容室を画定する内面)との間で弁体に形成される連通路の一方の開口回りから該連通路の他方の開口回りに向けての流動体の流れが形成される。これにより、上記構成のバルブ装置は、弁体とハウジングとの間で流れ込んだ流動体がゆっくり流れたり滞留したりすることがなく、弁体の外面やハウジングの内面に付着しようとする流動体や、該流動体に含まれる物質、流動体からの析出物等が自己の流れ(流速)によって下流側(連通路の他方の開口側)に流されることになる。
【0016】
従って、上記構成のバルブ装置は、弁体の外面やハウジングの内面に流動体等の付着乃至堆積が抑制される結果、弁体の回転や傾動を円滑に行うことができる。
【0017】
そして、上記構成のバルブ装置は、弁体を回転させてシート部材側に傾動させることで、弁体の非貫通部分がシート部材と圧接するため、弁体の非貫通部分がシート部材の包囲する領域(一方の主通路の開口を含む領域)を閉塞して主通路(流路)を遮断した状態にすることができる。従って、該バルブ装置は弁体の回転時におけるシート部材の摩耗を抑制でき、弁体とハウジングとの間を長期に亘って適正にシールすることができる。
【0018】
本発明の一態様として、前記弁体は、連通路の少なくとも何れか一方の開口端回りの外面の二カ所以上に流動体誘導路が形成されていることが好ましい。このようにすれば、上流側の主通路からの流動体を弁体とハウジングとの間に積極的に流入させることができ、弁体とハウジングとの間に流入した流動体を効率的に下流側の主通路に流出させることができる。これにより、上記構成の弁体を備えたバルブ装置は、弁体の外面やハウジングの内面に流動体等の付着乃至堆積を防止できる。
【0019】
この場合、前記二つ以上の流動体誘導路は、弁体の連通路の開口端を中心に放射状に延びるように形成されていることが好ましい。このようにすれば、弁体の外周回りに流動体の流れを形成することができる。これにより、流動体の滞留等を確実に防止することができ、弁体の外面やハウジングの内面に対する流動体の付着乃至堆積を確実に防止することができる。
【0020】
また、本発明の他態様として、前記連通路は、少なくとも何れか一方の開口端側の孔径が上流側にある一方の主通路の開口よりも小径に設定されていることが好ましい。このようにすれば、連通路の一方の開口を流動体の流通方向の上流側になる何れか一方の主通路の開口と対向させた状態(弁体の連通路とハウジングの主通路とを連通させた状態)で、連通路の開口回りが一方の主通路の内周面よりも内側に延在した状態になる。これにより、流動体を流通させたときに、一方の主通路の内周面近傍を流れる流動体が弁体における連通路の開口回りに衝突して流動体誘導路に流入することになる。
【0021】
これにより、上記構成のバルブ装置は、より多くの流動体が流動体誘導路を介して弁体とハウジングとの間の空間に流れ込むことになり、弁体とハウジングとの間で多くの流動体が積極的に下流側に流れることになる。従って、該バルブ装置は、弁体の外面やハウジングの内面に対する流動体等の付着乃至堆積をより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係るバルブ装置によれば、弁体とハウジングとの間で流動体を円滑に流通させることで弁体やハウジングに対する流動体等の付着乃至堆積を抑制し、弁体の回転や傾動を確保して流路の開閉を円滑に行えることができるといった優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るバルブ装置の縦断面図であって、弁体の連通路を介して上流の主通路と下流の主通路とが連通した状態の縦断面図を示す。
【図2】同実施形態に係るバルブ装置に採用される弁体の説明図であって、(a)は、縦断面図を示し、(b)は、(a)のI−I矢視図を示す。
【図3】同実施形態に係るバルブ装置の作動を説明するための説明図であって、上流側から下流側に向けて流動体を流通させた状態を説明するための縦断面図を示す。
【図4】同実施形態に係るバルブ装置の作動を説明するための説明図であって、(a)は、図3に示す状態から弁体を所定の軸線回りで回転させた状態の縦断面図を示し、(b)は、(a)に示す状態から弁体をシート部材側に傾動させて主通路を遮断した状態の縦断面図を示す。
【図5】本発明の他実施形態に係るバルブ装置の縦断面図であって、(a)は、弁体の連通路が全長に亘って同径又は略同径に形成され、該連通路が上流側の主流路よりも小径に設定された弁体を備えたバルブ装置の縦断面図を示し、(b)は、弁体の連通路が全長に亘って同径又は略同径に形成され、該連通路が上流側の主流路と同径又は略同径に設定された弁体を備えたバルブ装置の縦断面図を示す。
【図6】本発明の別の実施形態に係るバルブ装置の弁体の説明図であって、流動体誘導路が二つ形成された弁体の正面図を示す。
【図7】従来のバルブ装置の縦断面図であって、(a)は、主通路と連通路とを連通させた状態(流動体が流通する状態)の縦断面図を示し、(b)は、弁体の非貫通部分がシート部材に圧接して主通路を遮断した状態の縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係るバルブ装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0025】
本実施形態に係るバルブ装置は、図1に示す如く、流動体Tを流通させる流路上に配設されて該流路の遮断と開放とを切り換える二方弁である。該バルブ装置1は、所定の軸線L回りで回転可能に設けられるとともに、前記軸線Lと直交又は略直交する仮想面(図示しない)上を通って貫通する連通路R1が形成された弁体2と、該弁体2を収容する弁体収容室VRが形成されるとともに、弁体収容室VR内の弁体2の連通路R1を介して互いに連通する二つの主通路R2,R3が形成されたハウジング3と、該ハウジング3内で弁体収容室VRに向いて開放する一方の主通路R2の開口回りに配置された環状のシート部材4とを備えている。
【0026】
そして、本実施形態に係るバルブ装置1は、前記弁体2がシート部材4に非接触な状態で前記所定の軸線Lを回転中心にして回転可能に構成されている。また、該バルブ装置1は、弁体2の非貫通部分がシート部材4と対向した状態で前記弁体2がシート部材4側に傾動可能に設けられている(図4(b)参照)。本実施形態に係るバルブ装置1は、弁体2の外面における連通路R1の両端開口間に形成される非貫通部分が、シート部材4の包囲した領域と対向した状態で前記軸線L方向の一端側を支点にしてシート部材4側に傾動可能に設けられている(図4(b)参照)。
【0027】
より具体的に説明すると、本実施形態に係るバルブ装置1は、上記構成に加え、所定の軸線Lを通るようにハウジング3に挿通され、所定の軸線Lの延びる方向(以下、軸線方向という)の一端側で弁体2をシート部材4に向けて付勢して該弁体2を傾動させる軸状の第一ステム5と、所定の軸線Lを通るように第一ステム5とは反対側でハウジング3に挿通され、軸線方向の他端側で弁体2を傾動可能に支持するとともに該弁体2を所定の軸線L回りで回転させる軸状の第二ステム6とをさらに備えている。
【0028】
本実施形態に係るバルブ装置1は、上述の如く、二方弁であるため、弁体2の連通路R1は、当該弁体2の回転中心となる前記軸線Lに対して直交する方向で真っ直ぐに延びる丸孔で構成され、弁体2の回転中心(軸線L)を基準にした対称位置に円形状の開口を形成している。そして、前記連通路R1は、少なくとも何れか一方の開口端側の孔径が流動体Tの流通方向の上流側になる一方の主通路R2の開口径よりも小径に設定される。より具体的に説明すると、前記連通路R1は、流動体Tの流通方向の上流側に配置される一方の主通路R2の開口径よりも小径に設定された小径孔部Ra1と、流動体Tの流通方向の下流側に配置される他方の主通路R3の開口径と同径又は略同径に設定された大径孔部Rb1と、小径孔部Ra1と大径孔部Rb1とを接続するテーパ孔部Rc1とで構成されている。
【0029】
本実施形態に係るバルブ装置1は、同径に設定された一対の主通路R2,R3が同心になるように弁体収容室VRを挟んで一列に配置されている。これを前提に、本実施形態に係る連通路R1は、各主通路R2,R3の開口径よりも小径に設定された小径孔部Ra1と、各主通路R2,R3の開口径と同径又は略同径に設定された大径孔部Rb1と、小径孔部Ra1と大径孔部Rb1とを接続するテーパ孔部Rc1とで構成されている。
【0030】
前記弁体2は、図2(a)及び図2(b)に示す如く、連通路R1の少なくとも何れか一方の開口端回りの外面の少なくとも一カ所に連通路R1を画定する内周面上で開放した凹状の流動体誘導路20…が形成される。本実施形態に係る弁体2は、連通路R1(小径孔部Ra1)の開口端回りにある外面の二カ所以上に流動体誘導路20…が形成されている。
【0031】
前記複数の流動体誘導路20…は、図2(b)に示す如く、弁体2の連通路R1の開口端を中心に放射状に延びるように形成されている。すなわち、本実施形態に係る弁体2は、複数(二つ以上)の流動体誘導路20…が連通路R1の開口回りに間隔をあけて形成されている。本実施形態に係る弁体2は、軸線方向の一方側に所定数(本実施形態においては五つ)の流動体誘導路20…が形成されるとともに、軸線方向の他方側に所定数(本実施形態においては五つ)の流動体誘導路20…が形成されている。
【0032】
各流動体誘導路20は、図2(a)に示す如く、連通路R1の内周面上から連通路R1を主通路R2と対向させたときにシート部材4と対向することになる環状の領域を超えた位置にまで延びており、弁体2の外面上及び連通路R1を画定する内周面上で開放している。なお、本実施形態に係る弁体2は、後述する第一ステム挿入部21、第二ステム挿入部22が形成される領域を除いて外周が球面状になっている。これに伴い、各流動体誘導路20は、連通路R1の内周面上にある始点から終点に向けて深さが徐々に浅くなるように形成されている。
【0033】
そして、前記弁体2は、軸線方向の一方側の端部に第一ステム5の一端部を挿入するための第一ステム挿入部21が凹設されるとともに、前記軸線方向の他方側の端部に第二ステム6の端部を挿入する第二ステム挿入部22が凹設されている。
【0034】
図1に戻り、本実施形態に係るハウジング3は、弁体収容室VR及び他方の主通路R3を画定するメインフレーム30と、一方の主通路R2を画定するサブフレーム31とを備えている。
【0035】
前記メインフレーム30は、弁体2を内装する弁体収容室VRを画定する本体部300と、該本体部300の一端に連設されたメインフランジ部301と、前記本体部300の他端に連設されて他方の主通路R3を画定する主通路形成部302と、第一ステム5を挿通するための第一ステム挿通部303と、第二ステム6を挿通するための第二ステム挿通部304とで構成されている。
【0036】
前記本体部300は、両端が開口した筒状に形成され、弁体2を非接触状態で収容できる弁体収容室VRを画定(形成)している。すなわち、前記弁体収容室VRは、筒状の本体部300の内孔で構成されている。そして、メインフランジ部301は、環状に形成されており、本体部300と同心をなして一方の面が本体部300の一端に連結されている。そして、本実施形態に係るメインフランジ部301は、サブフレーム31側に向く面上に後述するシート部材固定手段32が嵌着可能な円環状の凹部305が開口と同心で形成されている。
【0037】
前記主通路形成部302は、環状に形成され、他方の主通路R3を画定している。すなわち、前記他方の主通路R3は、環状の主通路形成部302の内孔で構成されている。そして、主通路形成部302は、内孔(他方の主通路R3)が本体部300の内孔(弁体収容室VR)と同心をなすように、一端部が本体部300の他端に連結されている。本実施形態において、主通路形成部302は、配管を接続すべく他端にフランジ部302aが設けられている。すなわち、主通路形成部302は、配管用のフランジ(図示しない)を締結可能なフランジ部302aが他端部に形成されている。
【0038】
第一ステム挿通部303は、本体部300の外周の一部に連設されており、前記所定の軸線Lと略同心をなす第一貫通孔H1が穿設されている。そして、本実施形態に係るバルブ装置1は、第一ステム挿通部303の第一貫通孔H1に対して第一ステム5を固定するための第一ステム固定部材33が挿入されている。該第一ステム固定部材33は、筒状の第一ステム規制部330と、該第一ステム規制部330の一端に連設された第一フランジ部331とで構成されおり、第一ステム規制部330が第一ステム挿通部303の第一貫通孔H1に挿入された状態で第一フランジ部331が第一ステム挿通部303にネジ部材(図示しない)を介して固定されるようになっている。これにより、該バルブ装置1は、第一ステム挿通部303と第一ステム規制部330とが第一ステム5の後述する大径部50を挟み込んで該第一ステム5の軸線方向における移動を規制するようになっている。
【0039】
本実施形態に係るバルブ装置1は、第一ステム5の大径部50の軸線方向の両側にパッキンC,Cが介設されるとともに、第一ステム固定部材33の外向きに開口した部分に筒状のガスケットGが内嵌されており、該パッキンC,C及びガスケットGによって第一ステム5の軸線L回りでの回転を許容しつつ該第一ステム5回りが封止されている。なお、本実施形態に係るバルブ装置1は、第一ステム固定部材33に内嵌されたガスケットGを押圧した状態で第一ステム固定部材33に固定されるガスケット押圧部材(以下、第一押圧部材という)34を備えており、該第一押圧部材34がガスケットGを押圧して径方向に拡径させ、ガスケットGの内外周面を第一ステム5及び第一ステム固定部材33の内周面に圧接させるようになっている。
【0040】
第二ステム挿通部304は、弁体収容室VR(本体部300)を挟んで第一ステム挿通部303の反対側に設けられている。そして、該第二ステム挿通部304には、弁体2の所定の軸線Lと略同心をなして貫通した第二貫通孔H2が設けられている。
【0041】
本実施形態に係るバルブ装置1は、第二ステム挿通部304の第二貫通孔H2に対して第二ステム6を固定するための第二ステム固定部材35が挿入されている。該第二ステム固定部材35は、筒状に形成されて内周面に環状凸部350aが突設された第二ステム規制部350と、該第二ステム規制部350の一端に連設された第二フランジ部351とで構成されおり、第二ステム規制部350が第二ステム挿通部304の第二貫通孔H2に挿入された状態で第二フランジ部351が第二ステム挿通部304にネジ部材(図示しない)を介して固定されるようになっている。これにより、該バルブ装置1は、第二ステム規制部350(環状凸部350a)が第二ステム6の後述する大径部60と干渉して第二ステム6の軸線方向における移動を規制するようになっている。
【0042】
本実施形態に係るバルブ装置1は、第二ステム固定部材35の外向きに開口した部分に筒状のガスケットGが内嵌されており、該ガスケットGによって第二ステム6の軸線L回りでの回転を許容しつつ該第二ステム6回りが封止されている。なお、本実施形態に係るバルブ装置1は、第二ステム固定部材35に内嵌されたガスケットGを押圧した状態で第二ステム固定部材35に固定されるガスケット押圧部材(以下、第二押圧部材という)36を備えており、該第二押圧部材36がガスケットGを押圧して径方向に拡径させ、ガスケットGの内外周面を第二ステム6及び第二ステム固定部材35の内周面に圧接させるようになっている。
【0043】
前記サブフレーム31は、メインフレーム30に取り付けられるもので、本体部300に連結するための連結用フランジ部310と、該連結用フランジ部310に一端が連設された筒状部311と、該筒状部311の他端に連設された配管接続用フランジ部312とを備えている。
【0044】
前記連結用フランジ部310は、内孔313を画定するように環状に形成され、前記内孔313が本体部300及びメインフランジ部301と同心をなすように前記メインフランジ部301にネジ固定されている。本実施形態において、前記連結用フランジ部310の内孔313は、筒状部311の内孔と同心をなす段付き孔に形成され、シート部材4を収容可能なシート部材収容部を構成している。
【0045】
前記筒状部311は、連結用フランジ部310に対して同心になるように設けられている。前記配管接続用フランジ部312は、環状に形成され、筒状部311に対して同心になるように一方の面側が筒状部311に固定されている。
【0046】
前記シート部材4は、シート部材収容部313に対して同心で挿入可能な環状に形成されており、一端部に弁体2の連通路R1の周囲に接触可能な環状のシール部40が突設されている。本実施形態に係るシート部材4は、内孔が筒状部311の内孔と同径に設定されており、内孔が筒状部311及び配管接続用フランジ部312の内孔と連通してサブフレーム31とともに一方の主通路R2を形成している。
【0047】
本実施形態に係るバルブ装置1は、シート部材4が孔中心方向で移動可能にシート部材収容部313内に収容されるとともに、該シート部材4と一緒にシート部材収容部313内に付勢手段(本実施形態においては皿バネ)314が収容されている。これに伴い、該バルブ装置1は、シート部材4の外周面とハウジング3(サブフレーム31)の連結用フランジ部310の内周面(シート部材収容部313を画定する内周面)との間に、Oリング(採番しない)が介設され、シート部材4の移動を許容しつつ、該シート部材4とハウジング3との間のシール性が確保されている。
【0048】
これに伴い、本実施形態に係るバルブ装置1は、弁体収容室VRに向けて開放する一方の主通路R2の開口回りにシート部材4を固定するシート部材固定手段32を備えている。
【0049】
前記シート部材固定手段32は、円環状のプレートで構成されており、メインフレーム30の本体部300のサブフレーム31側に向く面上に形成された凹部305に外周端部が嵌着されている。該シート部材固定手段32は、外周端部が本体部300と連結用フランジ部310とに挟まれた状態で固定され、この状態で内周端部がサブフレーム31のシート部材収容部313の内周面よりも内側(孔中心側)に延在するようになっている。これにより、シート部材収容部313に収容されたシート部材4は、シート部材固定手段32(内周端部)によって弁体収容室VR側に移動する(弁体収容室VR内に必要以上に進行する)ことが規制されている。
【0050】
そして、本実施形態に係るシート部材4は、シート部材固定手段32に移動が規制された状態で少なくともシール部40が弁体収容室VR側に突出するように形成されている。これにより、弁体2がシート部材4側に向けて傾動したときにシール部40が全長(全周)に亘って弁体2の外面と接触できるようになっている。なお、シート部材4の材質は、流動体Tの性状や該バルブ装置1の使用環境に応じて(耐熱や耐薬などを考慮して)選択されるが、弁体2の外周面との密性を確保するために、天然ゴム、合成ゴム(ニトリルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴムなどの合成ゴム)、四フッ化エチレンゴム樹脂等の弾性材料を主体に成型されることが好ましい。
【0051】
前記第一ステム5は、ハウジング3の第一ステム挿通部303の第一貫通孔H1(本実施形態においては第一貫通孔H1及び該第一貫通孔H1に挿入された第一ステム固定部材33)に挿通され、一端側がハウジング3の外側に位置する一方、他端側がハウジング3の内部に位置するようになっている。そして、該第一ステム5は、第一ステム挿通部303内に位置する軸線方向の途中位置に大径部50が形成されている。そして、第一ステム5は、一端部にハンドルやアクチュエータ(図示しない)が取り付けられ、該ハンドル操作やアクチュエータの作動により、軸線L回りで回転するようになっている。そして、第一ステム5の他端部に弁体収容室VR内の弁体2の第一ステム挿入部21に挿入される弁体接続部51が設けられている。なお、本実施形態に係るバルブ装置1は、第一ステム5の大径部50と弁体接続部51との間に第一ステム挿通部303(第一貫通孔H1)の内周面に圧接させるシール材(図においては角リング)が外嵌されており、前記パッキンC,C及びガスケットGに加えて第一ステム5回りの封止性能が高められている。
【0052】
該弁体接続部51は、カム状に形成されており、弁体2の非貫通部分(連通路R1の両端開口間にある中実部分)がシート部材4と対向した状態で、第一ステム5全体を軸線L回りの一方向に回転させることで第一ステム挿入部21の内周面を押圧する一方、第一ステム5全体を軸線L回りの他方向に回転させることで第一ステム挿入部21の内周面に対する押圧を解除して弁体2の軸線L回りの回転を許容できるように形状設定されている。
【0053】
前記第二ステム6は、ハウジング3の第二ステム挿通部304の第二貫通孔H2(本実施形態においては第二貫通孔H2に挿入された第二ステム固定部材35)に挿通され、一端側がハウジング3の外側に位置する一方、他端側がハウジング3の内部に位置するようになっている。そして、該第二ステム6は、第二ステム挿通部304内に位置する軸線方向の途中位置に大径部60が形成されている。該第二ステム6は、一端部にハンドルやアクチュエータ(図示しない)が取り付けられ、該ハンドル操作やアクチュエータの作動により、軸線L回りで回転するようになっている。
【0054】
そして、第二ステム6の他端部には、弁体収容室VR内の弁体2の第二ステム挿入部22に挿入されるトルク伝達部61が設けられている。なお、本実施形態に係るバルブ装置1は、第二ステム6の大径部60上に第二ステム挿通部304に挿入された第二ステム固定部材35の内周面に圧接させるシール材(図においては角リング)が外嵌されており、前記ガスケットGに加えて第二ステム6回りの封止性能が高められている。
【0055】
前記トルク伝達部61は、先端部が第二ステム挿入部22の奥部を点支持できるように形成されている。すなわち、トルク伝達部61の先端は、球面状に形成されている。また、該トルク伝達部61は、軸線L回りの回転力を第二ステム挿入部22の内周面(平面)に伝達できるとともに、連通路R1の孔中心及び前記軸線Lに対して交差方向に弁体2が傾倒することを許容できるように形成されている。
【0056】
本実施形態に係るバルブ装置1は、以上の構成からなり、次に、本実施形態に係るバルブ装置1の作動について説明する。なお、以下において、サブフレーム31に形成される一方の主通路R2側からメインフレーム30に形成される他方の主通路R3に向けて流動体Tを流通させることを前提に説明する。
【0057】
まず、流動体Tを流通させるにあたり、弁体2の連通路R1の一端開口(周囲に流動体誘導路20…の形成された開口)を一方の主通路R2と対向させる。すなわち、周囲に流動体誘導路20…が形成された連通路R1の開口を流動体Tの流通方向の上流側に向ける。この状態で、二つの主通路R2,R3と弁体2の連通路R1とが同心又は略同心をなし、二つの主通路R2,R3が弁体2の連通路R1を介して連通した状態になる。また、弁体2がシート部材4に対して非接触状態で維持することになる。
【0058】
そして、図3に示す如く、一方の主通路R2側から流動体Tを流通させると、流動体Tの大部分は、弁体2の連通路R1を介して一方の主通路R2側(上流側の主通路R2)から他方の主通路R3側(下流側の主通路R3)に向けて流通することになるが、一部の流動体Tが流動体誘導路20…を介して弁体2とハウジング3との間(以下、ポケット部という)Sに流れ込むことになる。すなわち、上記構成のバルブ装置1は、一方の主通路R2からの流動体Tが流動体誘導路20…に誘導されて積極的にポケット部Sに流れ込むことになる。本実施形態に係るバルブ装置1は、前記弁体2における連通路R1の一方の開口端回りにある外面の二カ所以上に流動体誘導路20…が形成されているため、上流側からの流動体Tのポケット部S内への流入量が多くなる。
【0059】
特に、本実施形態に係るバルブ装置1は、弁体2の連通路R1の一方の開口端側の孔径が上流側にある一方の主通路R2の開口よりも小径に設定されているため、連通路R1の一方の開口を流動体Tの流通方向の上流側になる一方の主通路R2の開口と対向させた状態(弁体2の連通路R1とハウジング3の主通路R2,R3とを連通させた状態)で、連通路R1の一方の開口回りが一方の主通路R2の内周面よりも内側に延在した状態になる。これにより、流動体Tを流通させたときに、一方の主通路R2の内周面近傍を流れる流動体Tが弁体2における連通路R1の開口回りに衝突して流動体誘導路20…に確実に流入することになる。
【0060】
このように、本実施形態に係るバルブ装置1は、流動体Tが流動体誘導路20…を介してポケット部Sに流れ込むことで、ポケット部S内での流動体Tの流通が促進され、ポケット部S内で連通路R1の一方の開口(上流側の開口)側から該連通路R1の他方の開口(下流側の開口)側に向けての流動体Tの流れが確実に形成されることになる。
【0061】
本実施形態に係るバルブ装置1は、二つ以上の流動体誘導路20…が弁体2の連通路R1の開口端を中心に放射状に延びるように形成されるため、ポケット部S内で連通路R1の一方の開口(上流側の開口)回りから該連通路R1の他方の開口(下流側の開口)回りに向けての流動体Tの流れが形成される。すなわち、本実施形態に係るバルブ装置1は、流動体Tの流れが弁体2の外周回りの略全体に淀みなく形成されることになる。
【0062】
これにより、本実施形態に係るバルブ装置1は、ポケット部S内で流動体Tがゆっくり流れたり滞留したりすることがなく、弁体2の外面やハウジング3の内面に付着しようとする流動体Tや、流動体Tに含まれる物質、流動体Tからの析出物等が自己の流れ(流速)によって下流側(連通路R1の他方の開口側)に流されることになる。従って、本実施形態に係るバルブ装置1は、ポケット部Sを形成する弁体2の外面やハウジング3の内面に対する流動体T等の付着乃至堆積を防止でき、弁体2の回転や傾動を円滑に行える状態で維持することになる。
【0063】
そして、上述のように流動体Tの流通を許容した状態から主通路R2,R3を遮断する場合、図4(a)に示す如く、第一ステム5をそのままの状態で維持させつつ第二ステム6のみを回転させる。そうすると、第二ステム6の回転力が弁体2に伝達され、該弁体2が90°回転することになる。
【0064】
このように第一ステム5を回転させることなく弁体2を回転させるとき、第一ステム5の弁体接続部(カム)50は、第一ステム挿入部21の内周面を押圧しない状態(弁体2を傾動させるような付勢を作用させない状態)で維持し、弁体2は、シート部材4に対して非接触状態のままで維持しつつ所定の軸線L回りで回転し、該弁体2の非貫通部分が一方の主通路R2(シート部材4)に対して隙間をあけた状態で対向するとともに、第二ステム6のトルク伝達部61を支点にしてシート部材4側への傾動が許容された状態になる。
【0065】
そして、第二ステム6を回転させることなく第一ステム5を回転させると、図4(b)に示す如く、弁体接続部(カム)50が第一ステム挿入部21の内周面を押圧して該弁体2をシート部材4側に付勢し、その付勢で弁体2が傾動しようとする。このとき、第二ステム6の先端(弁体2を支持した支持点)を傾動支点にして弁体2が傾動し、弁体2が所定量傾動した状態で、弁体2の非貫通部分がシート部材4に圧接して弁体2とハウジング3との間がシールされる結果、一方の主通路R2(二つの主通路R2,R3間)が遮断され、流動体Tの流通が阻止されることになる。
【0066】
そして、この状態から流動体Tを流通する状態に切り換えるには、第一ステム5を逆回転(弁体2をシート部材4側に変位させる場合とは反対側に回転)させると、第一ステム挿通部303に対する弁体接続部(カム)50の当接位置が変わり、傾倒していた弁体2が起きてシート部材4から離間することになる。
【0067】
その結果、弁体2が元の位置に復帰し、弁体2とシート部材4とが非接触状態(略一定の間隔)に戻ることになる(図4(a)参照)。そして、第一ステム5を回転させることなく第二ステム6を逆回転(弁体2の非貫通部分をシート部材4と対向させる場合とは反対側に回転)させると、弁体2がシート部材4に対して非接触状態で回転し、二つの主通路R2,R3が弁体2の連通路R1を介して連通して流動体Tの流通を許容した状態に戻ることになる(図3参照)。
【0068】
以上のように、本実施形態に係るバルブ装置1は、前記弁体2の連通路R1の一方の開口端回りにある外面の少なくとも一カ所に連通路R1を画定する内周面上で開放した凹状の流動体誘導路20…が形成されているため、流動体Tを流通させるときに、一部の流動体Tを流動体誘導路20…を介してポケット部S(弁体2とハウジング3との間)に積極的に流入させて該ポケット部Sに流動体Tの流れを形成し、弁体2やハウジング3に付着しようとする流動体T等を自己の流れ(流速)で下流側(連通路の他方の開口側)に流すことができる。
【0069】
従って、本実施形態に係るバルブ装置1は、弁体2の外面やハウジング3の内面に対する流動体Tや、流動体Tに含まれる物質、流動体Tからの析出物等の付着乃至堆積を抑制することができ、弁体2の回転や傾動を確保して主通路R2,R3の開閉(流路の開閉)を円滑に行えるといった優れた効果を奏し得る。
【0070】
また、本実施形態において、前記弁体2は、連通路R1の一方の開口端回りにある外面の二カ所以上に流動体誘導路20…が形成されているため、流動体Tをポケット部Sに積極的に流入させることができ、ポケット部Sに流入した流動体Tを効率的に下流側の主通路R3に流出させることができる。
【0071】
特に、本実施形態に係るバルブ装置1は、前記二つ以上の流動体誘導路20…が弁体2の連通路R1の開口端を中心に放射状に延びるように形成されているため、弁体2全体を包み込むように該弁体の外周回りに流動体Tの流れを形成することができ、流動体Tの滞留等を確実に防止することができる。
【0072】
また、本実施形態に係るバルブ装置1は、前記連通路R1の一方の開口端側の孔径が上流側にある一方の主通路R2の開口よりも小径に設定されているため、流動体Tを流通させたときに、一方の主通路R2の内周面近傍を流れる流動体Tを弁体2における連通路R1の開口回りに衝突させて確実に流動体誘導路20…に流入させる(誘導する)ことができ、該ポケット部S内に流動体Tの流れを確実に形成することができる。従って、本実施形態に係るバルブ装置1は、弁体2の外面やハウジング3の内面に流動体T等の付着乃至堆積を確実に防止でき、弁体2の回転や傾動を円滑に行える状態でより確実に維持することができる。
【0073】
尚、本発明のバルブ装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0074】
上記実施形態において、シート部材4を主通路R2の孔中心方向に移動可能に設けるとともに、該シート部材4を弁体収容室VR(弁体2)側に付勢する付勢手段314を設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、シート部材4を一定位置に固定するようにしてもよい。
【0075】
上記実施形態において、弁体2の連通路R1の一方の開口回りに流動体誘導路20を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、弁体2が軸線L回りで180°の範囲で回転可能な場合(連通路R1の両端開口の何れもが上流側の主通路R2と対向できるように弁体2が回転可能に構成された場合)には、弁体の連通路R1の両端開口回りに流動体誘導路20…を設けてもよい。また、この場合、連通路R1の少なくとも両端開口の孔径を主通路R2,R3の孔径よりも小径にすることが好ましい。
【0076】
上記実施形態において、一方の主通路R2側から流動体Tを流通させることを前提に、流動体Tを流通させる状態で弁体2の連通路R1の一方の開口を一方の主通路R2側に向けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、他方の主通路R3側から流動体Tを流通させるようにしてもよい。この場合、流動体Tを流通させる状態で弁体2の連通路R1の一方の開口を他方の主通路R2側に向けるようにすればよい。
【0077】
上記実施形態において、弁体2の連通路R1を段付き孔状に形成し、該連通路R1の流動体Tの流通方向の上流側に向ける開口端の孔径を上流側の主通路R2よりも小径に設定したが、これに限定されるものではなく、例えば、図5(a)に示す如く、弁体2の連通路R1を全長に亘って同径の孔で構成し、該孔径を上流側の主通路R2よりも小径に設定したものであってもよい。
【0078】
また、弁体2の連通路R1は、少なくとも流動体Tの流通方向の上流側に向ける開口端の孔径が上流側の主通路R2よりも小径に設定されたものに限定されるものではなく、例えば、図5(b)に示す如く、連通路R1を全長に亘って同径の孔で構成し、該孔径を上流側の主通路R2と同径に設定してもよい。但し、弁体2の連通路R1を全長に亘って上流側の主通路R2と同径に設定すると、主通路R2からの流動体Tが弁体2と衝突しなくなるため、ポケット部Sに対する流動体Tの流入効率が上記実施形態で説明したバルブ装置1よりも悪くなる。従って、ポケット部Sに対する流動体Tの流入効率を高めるには、上記実施形態と同様に、連通路R1の流動体Tの流通方向の上流側に向ける開口端の孔径を上流側の主通路R2よりも小径に設定することが好ましい(図3、図5(a)参照)。
【0079】
上記実施形態において、弁体2の連通路R1の一方の開口回りに複数の流動体誘導路20…を放射状に配置したが、これに限定されるものではなく、連通路R1の開口回りに一つ又は二つ以上の流動体誘導路20を形成すればよい。このようにしても、ポケット部S内が流動体Tを誘導されるため、該ポケット部S内に流動体Tの流れを形成でき、弁体2の外面やハウジング3の内面に対する流動体Tの付着乃至堆積を抑制することができる。なお、ポケット部S内で流動体Tの流れを確実に形成するには、流動体誘導路20を複数設けることが好ましいことは言うまでもない。そして、流動体誘導路20…を二つ以上設ける場合、弁体2の回転や傾動の影響のある部分(第一ステム5や第二ステム6の近傍)での流動体Tの付着乃至堆積を抑制乃至防止することが最も効果的であるため、図6に示す如く、弁体2の連通路R1を境にした軸線方向の一方側及び他方側の軸線Lに沿った位置のそれぞれに流動体誘導路20…を形成することが好ましい。すなわち、第一ステム5に向けた流動体Tの流れ及び第二ステム6に向けた流動体Tの流れを形成できる位置に流動体誘導路20…を形成することが好ましい。
【0080】
上記実施形態において、二方弁を一例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、弁体2に軸線Lと直交方向に広がる仮想面上で屈曲した連通路R1を形成するとともに、ハウジング3に弁体収容室VRを挟んで三つの主通路を形成し、弁体2を所定の軸線L回りで回転させて何れか二つの主通路を弁体2の連通路R1を介して連通させるとともに、該弁体2を残りの主通路(該主通路の開口回りに配置されたシート部材)側に傾動させて該主通路を遮断するように構成された三方弁であってもよい。この場合においても、流動体Tの流通方向の上流側にある主通路と対向する連通路R1の開口回りに流動体誘導路20を形成することで、弁体2とハウジング3との間に形成されるポケット部Sで流動体Tの流れを形成することができ、該流動体Tを下流側の主通路に効率的に流出させることができる。従って、対象が三方弁であっても、上記実施形態で説明したバルブ装置(二方弁)と同様に、弁体2やハウジング3に対する流動体T等の付着を抑制し、弁体2の回転や傾動を確保して主通路の開閉を円滑に行える状態で維持できるものになる。
【0081】
上記実施形態において、弁体2を回転させる第一ステム5及び弁体2を傾動させる第二ステム6を備えたバルブ装置1について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ハウジング3に挿通された一本の軸体が該ハウジング3内で弁体2にも挿通され、該軸体を軸線回りで回転させることで該軸体が弁体2を回転させつつシート部材4側に傾動させるようにしたバルブ装置であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…バルブ装置、2…弁体、3…ハウジング、4…シート部材、5…第一ステム、6…第二ステム、20…流動体誘導路、21…第一ステム挿入部、22…第二ステム挿入部、30…メインフレーム、31…サブフレーム、32…シート部材固定手段、33…第一ステム固定部材、34…第一押圧部材、35…第二ステム固定部材、36…第二押圧部材、40…シール部、50…大径部、51…弁体接続部、60…大径部、61…トルク伝達部、300…本体部、301…メインフランジ部、302…主通路形成部、302a…フランジ部、303…第一ステム挿通部、304…第二ステム挿通部、305…凹部、310…連結用フランジ部、311…筒状部、312…配管接続用フランジ部、313…シート部材収容部(内孔)、314…付勢手段、330…第一ステム規制部、331…第一フランジ部、350…第二ステム規制部、350a…環状凸部、351…第二フランジ部、C…パッキン、G…ガスケット、H1…第一貫通孔、H2…第二貫通孔、L…軸線、R1…連通路、R2,R3…主通路、Ra1…小径孔部、Rb1…大径孔部、Rc1…テーパ孔部、S…ポケット部、T…流動体、VR…弁体収容室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸線回りで回転可能に設けられるとともに、前記所定の軸線と直交又は略直交する仮想面上を通って貫通する連通路が形成された弁体と、該弁体を収容する弁体収容室が形成されるとともに、弁体収容室内の弁体の連通路を介して互いに連通可能な少なくとも二つの主通路が形成されたハウジングと、ハウジング内で弁体収容室に向いて開放する少なくとも一つの主通路の開口回りに配置された環状のシート部材とを備え、前記弁体は、シート部材に非接触な状態で前記所定の軸線を回転中心にして回転可能に構成されるとともに当該弁体の非貫通部分がシート部材と対向した状態でシート部材側に傾動してシート部材に圧接可能に構成されたバルブ装置において、前記弁体は、連通路の少なくとも何れか一方の開口端回りにある外面の少なくとも一カ所に連通路を画定する内周面上で開放した凹状の流動体誘導路が形成されていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
前記弁体は、連通路の少なくとも何れか一方の開口端回りの外面の二カ所以上に流動体誘導路が形成されている請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記二つ以上の流動体誘導路は、弁体の連通路の開口端を中心に放射状に延びるように形成されている請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記連通路は、少なくとも何れか一方の開口端側の孔径が上流側にある一方の主通路の開口よりも小径に設定されている請求項1乃至3の何れか1項に記載のバルブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−237344(P2012−237344A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105490(P2011−105490)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000152480)株式会社日阪製作所 (60)
【Fターム(参考)】