説明

バルブ装置

【課題】簡素な構造によって流路遮断機能と流量制御機能とを両立させること。
【解決手段】流路70内に弁体74が配置されるボール弁50と、ボール弁50に形成された貫通孔72内に弁体80が配置されるバタフライ弁52とを有する弁機構53と、回転駆動源の回転駆動力を弁機構53に対して伝達し、軸方向に沿った下端側が、バタフライ弁52の弁体80に連結されると共に、ボール弁50の弁体74に形成された軸孔78と係合するシャフト軸76と、シャフト軸76の一端部に設けられ、シャフト軸76の軸方向に沿った下端部とボール弁50の弁体74に形成された軸孔78とを係合させる係合機構75とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を遮断する流路遮断機能と、流路を流通する圧力流体の流量を制御する流量制御機能とを併有し、前記流路遮断機能と流量制御機能とを適宜切り換えることが可能なバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、起動停止時におけるアノード及びカソードの酸化による劣化を抑制し、耐久性を向上させることができる、とする燃料電池発電装置が開示されている。
【0003】
この燃料電池発電装置は、停止時にカソードに残留した酸化剤ガスの全部又は一部を燃料ガスで置換する燃料ガス置換部と、起動時にカソードに残留した燃料ガスの全部又は一部を不活性ガスで置換する不活性ガス置換部と、燃料電池の燃料ガス供給通路及び酸化剤ガス供給通路の入口・出口にそれぞれ配置されて燃料電池の停止時にアノード及びカソードに燃料ガスを封入する4つの遮断弁と、所定の流量で燃料電池のアノードに対して燃料ガスを供給する燃料ガス流量制御部と、大気中から取り込まれたエアを所定の流量で燃料電池のカソードに対して酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス流量制御部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−93115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示された燃料電池発電装置では、遮断弁及び流量制御部の具体的な構成について何ら開示乃至示唆されていないが、例えば、遮断弁としてボール弁やポペットタイプのオンオフ弁を用い、流量制御部としてバタフライ弁を用いることが考えられる。
【0006】
そこで、遮断弁による流路封止(遮断)機能と流量制御部による流量制御機能とを一体化させた場合、ボール弁やポペットタイプのオンオフ弁では、一般的に流体遮断性に優れているもののボール弁では作動耐久性に課題があり、ポペットタイプのオンオフ弁では流量制御性に課題がある。また、バタフライ弁では、一般的に弁開度による流量制御性や作動耐久性に優れているものの、ボアと弁体との干渉を回避するために隙間が発生するため流路遮断性に課題がある。
【0007】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、簡素な機構によって流路遮断機能と流量制御機能とを両立させることが可能なバルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、圧力流体が導入されるインレットポート及び圧力流体が導出されるアウトレットポートと、前記インレットポートと前記アウトレットポートとを連通させる流路とがそれぞれ形成された装置本体と、単一の回転駆動源と、前記回転駆動源によって駆動され、前記流路内に弁体が配置されるボール弁と、前記ボール弁に形成された内部流路内に弁体が配置されるバタフライ弁とを有する弁機構と、前記回転駆動源の回転駆動力を前記弁機構に対して伝達し、軸方向に沿った一端部が、前記バタフライ弁の弁体に連結されると共に、前記ボール弁の弁体に形成された軸孔と係合するシャフト軸と、前記シャフト軸の一端部に設けられ、前記シャフト軸の軸方向に沿った一端部と前記ボール弁の弁体に形成された軸孔とを係合させる係合機構と、を備え、前記係合機構には、前記シャフト軸の一端部が前記軸孔に係合して回動する範囲において、前記シャフト軸のみが単独で回動動作可能な単独回動範囲と、前記シャフト軸及び前記ボール弁の弁体が共回り可能な共回り回動範囲とが設けられることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、装置本体の流路を流通する圧力流体は、ボール弁による流路遮断制御と、バタフライ弁による流量制御(圧力制御)との両方の制御を受けることができ、流路遮断機能と流量制御機能とを両立させることができる。すなわち、ボール弁によって締切性(封止性)の良好な制御が可能になると共に、バタフライ弁によって流量制御性(圧力制御性)の良好な制御が可能となる。これにより、バタフライ弁によって流量制御が可能となるので、この結果、ボール弁の作動耐久性を向上させることができる。
【0010】
また、シャフト軸の軸方向に沿った一端部とボール弁の弁体に形成された軸孔とを係合させる係合機構が、シャフト軸の一端部に設けられるため、単一のシャフト軸のみによって、バタフライ弁の弁体とボール弁の弁体の両方を作動させることができる。換言すると、単一のシャフト軸は、バタフライ弁軸とボール弁軸の両方の機能を併有し、回転駆動源の回転駆動力をシャフト軸を介してバタフライ弁の弁体とボール弁の弁体の両方に伝達することができる。
【0011】
さらに、シャフト軸の一端部が軸孔に係合して回動する範囲において、単独回動範囲では、シャフト軸のみが単独で回動されるため、バタフライ弁の弁体のみが作動されてバタフライ弁による流量制御性(圧力制御性)の良好な制御が可能となる。一方、共回り回動範囲では、シャフト軸及びボール弁の弁体が一体的に作動するため、ボール弁を用いた締切性(封止性)の良好な制御が可能となる。
【0012】
また、本発明は、前記係合機構が、略円柱体からなる前記シャフト軸の一端部を切り欠いて形成され平面視して略半円状からなる係合部と、前記係合部が係合し、前記軸孔から中心に向かって突出し平面視して山形状に形成された係合突部とを有し、前記係合部と前記係合突部との間には、前記シャフト軸のみが単独で回動する隙間が設けられることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、シャフト軸が、例えば、一側に回動してシャフト軸の係合部がボール弁の軸孔に形成された係合突部に係合すると、シャフト軸とボール弁の弁体とが一体的に一側に回動する(共回りする)ことが可能となる。
【0014】
また、シャフト軸が、例えば、前記一側とは反対の他側に回動してシャフト軸の係合部がボール弁の係合突部に係合すると、シャフト軸とボール弁の弁体とが一体的に他側に回動する(共回りする)ことが可能となる。
【0015】
さらに、シャフト軸の係合部がボール弁の係合突部に係合しない場合には、隙間に沿ってシャフト軸のみが単独で回動することが可能となり、バタフライ弁の弁体のみが単独で回動可能となる。
【0016】
さらに、本発明は、前記ボール弁及び前記バタフライ弁の各弁体の閉じ側への回動方向が、相互に反対方向に設定され、前記装置本体には、前記流路の開口状態で前記ボール弁の弁体の回動動作を規制する開側ストッパ部が設けられることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、開側ストッパ部によってボール弁の弁体の回動動作が規制されることにより、流路が開口状態となってバタフライ弁が作動可能な状態となる。これにより、バタフライ弁が作動する際、ボール弁が共回りすることが阻止される。
【0018】
さらにまた、本発明は、前記シャフト軸を中心とする前記バタフライ弁の弁体の回動角度は、前記内部流路に対する弁開状態と弁閉状態との間で約90度に設定されることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、バタフライ弁の弁体に一端部が連結されるシャフト軸を用いて、ボール弁の弁体を約90度だけ回動動作させることが可能となる。
【0020】
またさらに、本発明は、前記バタフライ弁の弁体が、ノーマルオープンタイプからなり、前記回転駆動源のフェール時には、前記バタフライ弁の弁体が弁開状態になると共に、前記ボール弁の弁体が弁開状態となることを特徴とする。
【0021】
仮に、回転駆動源がフェールした場合、バタフライ弁の弁体が弁開状態になると共に、ボール弁の弁体が弁開状態となることにより、流路に沿って圧力流体を流通させることができる。この結果、本発明に係るバルブ装置を、例えば、燃料電池に付設した場合、回転駆動源のフェール時においても燃料電池を好適に発電させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡素な構造によって流路遮断機能と流量制御機能とを両立させることが可能なバルブ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るバルブ装置が組み込まれた燃料電池システムの概略構成図である。
【図2】(a)は、燃料電池システムに組み込まれ、本発明の実施形態に係る第2バルブ装置の縦断面図、(b)は、ストッパ部を示す(a)の平面図、(c)は、係合機構の概略構成を示す(a)の底面図、(d)は、係合機構を示す一部破断斜視図である。
【図3】(a)〜(e)は、ボール弁の弁体及びバタフライ弁の弁体の回動動作をそれぞれ示したものであって、上段は、ストッパ部の位置を示す平面図、中段は、シャフト軸の係合部と軸孔の係合突部との係合関係を示す底面図、下段は、ボア及び流路の開閉状態を示す概略縦断面図である。
【図4】(a)は、デフォルトレバーの係止部が開側ストッパ部に当接して係止されている状態を示す概略平面図、(b)は、前記係止状態を示す一部省略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るバルブ装置が組み込まれた燃料電池システムの概略構成図である。なお、本実施形態では、車両に搭載された燃料電池に組み込まれるバルブ装置を以下に例示して説明しているが、これに限定されるものでなく、例えば、船舶や航空機等、又は業務用や家庭用の定置式の燃料電池等に組み込まれる各種バルブに適用することができる。
【0025】
図1に示されるように、本実施形態に係るバルブ装置が組み込まれた燃料電池システム10は、燃料電池12、アノード系14、カソード系16、図示しない制御系を備えて構成されている。
【0026】
燃料電池12は、固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)からなり、MEA(Membrane Electrode Assembly、膜電極接合体)を図示しないセパレータで挟持してなる単セルが複数積層されて構成されている。MEAは、電解質膜(固体高分子膜)、これを挟持するカソード及びアノード等を備える。前記カソード及びアノードは、例えば、白金等の触媒がカーボンブラック等の触媒担体に担持された電極触媒層からなる。また、各セパレータには、溝や貫通孔からなるアノード流路22及びカソード流路24が形成されている。
【0027】
このような燃料電池12では、アノードに水素(反応ガス、燃料ガス)が供給され、一方、カソードに酸素を含むエア(反応ガス、酸化剤ガス)が供給されると、アノード及びカソードに含まれる触媒上で電極反応が起こり、燃料電池12が発電可能な状態となる。
【0028】
前記燃料電池12は、図示しない外部負荷と電気的に接続され、前記外部負荷によって電流が取り出されると、燃料電池12が発電するようになっている。なお、前記外部負荷とは、走行用のモータ、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置、後記するエアポンプ26等である。
【0029】
アノード系14は、水素タンク28、遮断弁30、パージ弁32、配管a1〜a4等によって構成される。
【0030】
水素タンク28は、高純度の水素を高圧で貯蔵するものであり、配管a1を介して下流側の遮断弁30と接続されている。前記遮断弁30は、例えば、電磁弁からなり、配管a2を介して下流側の燃料電池12のアノード流路22の入口と接続されている。
【0031】
パージ弁32は、例えば、電磁弁からなり、配管a3を介して上流側の燃料電池12のアノード流路22の出口と接続されている。
【0032】
カソード系16は、エアポンプ26、第1バルブ装置40a及び第2バルブ装置40b、配管(酸化剤ガス流路)c1〜c3等で構成されている。
【0033】
エアポンプ26は、例えば、図示しないモータで駆動される機械式の過給器であり、取り込んだ外気(エア)を圧縮して燃料電池12に供給する。
【0034】
本発明の実施形態に係る第1バルブ装置40aは、酸化剤ガスの供給側に設けられ、配管c1を介して上流側のエアポンプ26と接続されると共に、配管c2を介して下流側の燃料電池12のカソード流路24の入口と接続されている。また、本発明の実施形態に係る第2バルブ装置40bは、酸化剤ガスの排出側に設けられ、配管c3を介して上流側の燃料電池12のカソード流路24の出口と接続される。
【0035】
本発明の実施形態に係る第1バルブ装置40a及び第2バルブ装置40bは、それぞれ同一構成からなるため、以下、カソード流路24の出口側に設けられた第2バルブ装置40bの構成を詳細に説明して、第1バルブ装置40aの説明を省略する。
【0036】
図2(a)は、燃料電池システムに組み込まれ、本発明の実施形態に係る第2バルブ装置の縦断面図、図2(b)は、ストッパ部を示す図2(a)の平面図、図2(c)は、係合機構の概略構成を示す図2(a)の底面図、図2(d)は、係合機構を示す一部破断斜視図である。
【0037】
この第2バルブ装置40bは、図2(a)に示されるように、流体(圧力流体)が導入されるインレットポート42aが一方の側壁に形成されると共に、流体(圧力流体)が導出されるアウトレットポート42bが他方の側壁に形成されたボディ44と、前記ボディ44の上部を被覆する図示しないカバーとを有する。なお、前記ボディ44及びカバーは、装置本体として機能するものである。
【0038】
ボディ44及びカバーの内部には、弁駆動機構48(図1参照)と、前記弁駆動機構48によって駆動(付勢)されるボール弁50及びバタフライ弁52からなる弁機構53と、前記弁駆動機構48からの回転駆動力を前記弁機構53に対して伝達する駆動力伝達機構54とが配設される。
【0039】
弁駆動機構48は、ボディ44の凹部内によって固定され、例えば、ステッピングモータやDCサーボモータ等からなる単一の回転駆動源56と、前記回転駆動源56の回転駆動軸(モータ軸)56aに連結されたピニオン58とを有する。
【0040】
なお、図示しない電源によって回転駆動源56に供給される電流の極性を切り換えることにより、回転駆動軸56aに連結されたピニオン58の回転方向を正逆いずれかの方向に切り換えることができる。また、回転駆動源56をボディ44の外部に、例えば、ブラケットを介して付設してもよい。
【0041】
駆動力伝達機構54は、ボディ44とカバーとの間で回転駆動軸56aと略平行に固定されるピン(中間軸)60と、前記ピン60に対して回転自在に軸着される中間ギヤ62とを有する。
【0042】
中間ギヤ62の軸方向に沿った上部側の外周面には、前記回転駆動軸56aのピニオン58と噛合する大径な第1ギヤ部68aが設けられ、前記第1ギヤ部68の下部側には、前記第1ギヤ部68aよりも小径な第2ギヤ部68bが同軸状に設けられる。
【0043】
弁機構53は、インレットポート42aとアウトレットポート42bとを連通させる流路70の中間部位に配置されるボール弁50と、前記ボール弁50の内部流路に配置されるバタフライ弁52とを有する(図1参照)。
【0044】
ボール弁50は、中心軸(中心を通る軸)に沿って一方の曲面と他方の曲面が取り除かれ、中心軸に沿って一方から他方に貫通する貫通孔72を有する略球形状からなる弁体74と、後記するシャフト軸76の下端部が挿入され、前記シャフト軸76の下端部と係合する軸孔78を有する係合機構75とを備える。なお、係合機構75は、後記で詳細に説明する。
【0045】
バタフライ弁52は、ボール弁50の内部流路として機能する貫通孔(ボア)72内に所定角度だけ回動自在に配置される円板状の弁体80と、ねじ部材82を介して円板状の弁体80に連結され、バタフライ弁軸及びボール弁軸としての機能を併有する略円柱状のシャフト軸76と、前記シャフト軸76の外径部を回動自在に軸支する軸受部材86と、前記シャフト軸76の外径面を囲繞してシールするシール部材88とを備える。
【0046】
なお、バタフライ弁52の弁体80の外径寸法は、後記するようにその回動角度が約180度に設定されているため、ボール弁50の弁体74に形成された貫通孔72の内径寸法よりも若干小さく設定されている(図2(a)参照)。
【0047】
係合機構75は、図2(c)、(d)に示されるように、略円柱体からなるシャフト軸76の下端部を切り欠いて形成され平面視して略半円状からなる係合部76aと、前記係合部76aが係合し、軸孔78の内周面から中心に向かって突出し平面視して山形状に形成された係合突部79とを有する。
【0048】
また、係合機構75には、シャフト軸76の係合部76aと軸孔78の係合突部79との間で形成された間隙81(平面視して四分の一の円弧部分)が設けられる。軸孔78内に挿入されたシャフト軸76が前記軸孔78の周方向に沿って回動する範囲において、シャフト軸76が前記間隙81に沿って単独で回動動作可能な単独回動範囲と、シャフト軸76の係合部76aと軸孔78の係合突部79とが当接して、シャフト軸76及びボール弁50の弁体74が共回り可能な共回り回動範囲とが設けられる。
【0049】
シャフト軸76の上部側には、中間ギヤ62の第2ギヤ部68bと噛合可能なギヤ部からなり、弁機構53を作動させる弁機構作動用ギヤ部90が固定されている。
【0050】
弁機構作動用ギヤ部90の下方側には、シャフト軸76の上部側に回動自在に軸支された略円盤状のデフォルトレバー92と、前記弁機構作動用ギヤ部90と前記デフォルトレバー92との間に介装され復帰スプリングとして機能するコイルスプリング94とが設けられる。この場合、後記する図4(a)に示されるように、コイルスプリング94の上端部(一端部)94aは、弁機構作動用ギヤ部90に対して係着され、コイルスプリング94の下端部(他端部)94bは、デフォルトレバー92に対して係着されて、デフォルトレバー92に対し周方向に沿ってばね力を付与するように設けられる。
【0051】
図4(a)は、デフォルトレバーの係止部が開側ストッパ部に当接して係止されている状態を示す概略平面図、図4(b)は、前記係止状態を示す一部省略斜視図である。
【0052】
バタフライ弁52の作動時におけるボール弁50との共回りを防止するために、回転駆動源56の正逆切換作用でボール弁50の弁体74とバタフライ弁52の弁体80との回動方向が相互に反対方向となっていると共に、図4に示されるように、ボディ44の開口部に設けられ、上面側に向かって突出する円弧状凸部からなる一対の開側ストッパ部96a及び閉側ストッパ部96bを有する。
【0053】
バタフライ弁52が作動するとき、開側ストッパ部96a又は閉側ストッパ部96bのいずれか一方に対して、デフォルトレバー92の周方向に形成された係止部98が係止されることにより、ボール弁50の弁体74の回動動作が阻止されて共回りが防止される。換言すると、デフォルトレバー92の係止部98が当接する一方の開側ストッパ部96aと他方の閉側ストッパ部96bとの間でボール弁50の弁体74の回動動作が規制され、ボール弁50の弁体74の回動範囲は、約90度の角度に設定される。
【0054】
すなわち、コイルスプリング94のばね力によって弁機構作動用ギヤ部90が周方向に付勢され、デフォルトレバー92の周方向に形成された係止部98を開側ストッパ部96aに当接させることにより、ボール弁50の弁体74が弁開状態に保持される。係止部98及び開側ストッパ部96aの係止作用によりボール弁50の弁体74が弁開状態に保持されることによって、バタフライ弁52が作動可能な状態となる。この結果、ボール弁50の弁体74が弁開状態に保持された状態において、バタフライ弁52が作動するときに、前記バタフライ弁52と一緒にボール弁50が共回りすることが阻止される。
【0055】
なお、本実施形態では、デフォルトレバー92の係止部98が当接してストッパ機能を発揮する開側ストッパ部96a及び閉側ストッパ部96bをボディ44に対して一体的に形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図示しない他のストッパ部材を用いてデフォルトレバー92の係止部98を係止するようにしてもよい。
【0056】
さらに、図2(a)に示されるように、ボディ44の流路70内には、ボール弁50の弁体74の外径面を保持(シート)して、弁体74の回り止め機能を発揮するシート機構102が設けられる。ボール弁50の弁体74の回り止めは、例えば、ピニオン58と中間ギヤ62との噛み合い抵抗や、中間ギヤ62と弁機構作動用ギヤ部90との噛み合い抵抗等によって保持することが可能であるが、前記シート機構102を設けることによりボール弁50の弁体74の回り止めを確実に行うことができる。
【0057】
このシート機構102は、インレットポート42a側に配置され、弁体74の形状に対応する部分球面からなるシート面104aを有する第1シート部材106と、前記第1シート部材106のシート面104aを弁体74に向かって押圧する第1ばね部材108と、アウトレットポート42b側に配置され、弁体74の形状に対応する部分球面からなるシート面104bを有する第2シート部材110と、前記第2シート部材110のシート面104bを弁体74に向かって押圧する第2ばね部材112と、第2ばね部材112を係止すると共に、第2シート部材110を保持する保持部材114とを有する。
【0058】
制御系は、図示しないECU(Electronic Control Unit)、燃料電池12の温度を検出する温度センサ等で構成されている。ECUは、遮断弁30、パージ弁32、第1及び第2バルブ装置40a、40bにそれぞれ設けられた回転駆動源56等を制御する。
【0059】
本実施形態に係る第1及び第2バルブ装置40a、40bが組み込まれた燃料電池システム10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0060】
図3(a)〜(e)は、ボール弁の弁体及びバタフライ弁の各弁体の回動動作を示したものであって、上段は、ストッパ部の位置を示す平面図、中段は、シャフト軸の係合部と軸孔の係合突部との係合関係を示す底面図、下段は、ボア及び流路の開閉状態を示す縦断面図である。
【0061】
先ず、回転駆動源56に対して電流が供給されていない非通電時で流路70を遮断している状態から、バタフライ弁52及びボール弁50を弁開状態とするまでの動作順序を、図3に基づいて説明する。
【0062】
なお、以下の説明において、バタフライ弁52の弁体80の弁開状態又は弁閉状態とは、バタフライ弁52の弁体80に形成された「貫通孔72(内部通路、以下、ボア72ともいう)に対する開閉状態」をいい、前記弁体80によってこのボア72を開口させた状態をバタフライ弁52の弁開状態とし、ボア72を略遮断した状態をバタフライ弁52の弁閉状態とする。
【0063】
また、ボール弁50の弁体74の弁開状態又は弁閉状態とは、ボディ44に形成されたインレットポート42aとアウトレットポート42bとを連通させる「流路70に対する開閉状態」をいい、前記弁体74によってこの流路70を開口させた状態をボール弁50の弁開状態といい、流路70を閉塞して遮断した状態をボール弁50の弁閉状態とする。
【0064】
図3(a)は、回転駆動源56へ通電されていない無通電状態にあって、後記するように、燃料電池12の発電停止状態を示したものである。この場合、デフォルトレバー92の係止部98が閉側ストッパ部96bに当接した状態にあり、バタフライ弁52の弁体80が貫通孔72(ボア)を開口させた弁開状態にあると共に、ボール弁50の弁体74は、流路70を遮断した弁閉状態にある。
【0065】
図3(a)の無通電状態において、図示しない電源から電流を供給して回転駆動源56を付勢し、中間ギヤ62及び弁機構作動用ギヤ部90を介して、シャフト軸76を時計回り方向に約90度だけ回動させる(図3(b)の中段の細線矢印参照)。この結果、図3(b)に示されるように、バタフライ弁52の弁体80は、弁開状態から貫通孔72(ボア)を略閉鎖した弁閉状態に切り換わると共に、ボール弁50の弁体74は、流路70を遮断した弁閉状態にある。
【0066】
なお、弁体80と一体的に回動するシャフト軸76に設けられた図示しない被検出体を、図示しないセンサで検出することによって、バタフライ弁52の弁体80の回動角度が検知される。また、ボール弁50の弁体74の弁閉状態は、シート機構102の第1ばね部材108及び第2ばね部材112のばね力を介して、第1シート部材106及び第2シート部材110が弁体74を互いに反対方向に向かって押圧することによって発生する摺動抵抗で保持される(図2(a)参照)。
【0067】
図3(a)の状態から図3(b)の状態に移行する際、シャフト軸76は、平面視して半円状に形成された係合部76aと山形状の係合突部79との間に形成された間隙81に沿って約90度だけ回動する。換言すると、シャフト軸76は、シャフト軸76のみが単独で回動可能な単独回動範囲に沿って約90度だけ回動する。
【0068】
続いて、図3(b)の状態において、回転駆動源56の回転駆動力によってシャフト軸76をさらに時計回り方向に約90度だけ回動させる。この場合、シャフト軸76の係合部76aが係合突部79に当接し前記係合突部79を押圧して、シャフト軸76とボール弁50の弁体74が時計回り方向に沿って約90度だけ共回りする(図3(c)の中段の太線及び細線矢印参照)。換言すると、図3(b)の状態から図3(c)の状態に移行する際、シャフト軸76及びボール弁50の弁体74は、共回り可能な共回り回動範囲に沿って90度だけ回動する。
【0069】
この結果、図3(c)に示されるように、バタフライ弁52の弁体80は、貫通孔72(ボア)を略閉鎖した弁閉状態に保持される共に、ボール弁50の弁体74は、貫通孔72が開口して流路70と連通する弁開状態に切り換わる。なお、図3(c)の状態では、その上段に示されるように、デフォルトレバー92の係止部98が回動して開側ストッパ部96aに当接して係止される。
【0070】
続いて、図3(c)の状態において、コイルスプリング94のばね力によって反時計回り方向にシャフト軸76が約90度だけ戻されることにより、バタフライ弁52の弁体80が間隙81に沿って回動し、図3(d)の状態となる。図3(d)の状態では、バタフライ弁52の弁体80が、貫通孔72(ボア)を略閉鎖した弁閉状態から貫通孔72(ボア)を開口した弁開状態に切り換わると共に、ボール弁50の弁体74は、流路70が連通した弁開状態にある。
【0071】
図3(d)の状態では、バタフライ弁52の弁体80が弁開状態になると共に、ボール弁50の弁体74が弁開状態となることにより、流路70が開口してインレットポート42aとアウトレットポート42bとが連通した状態となる。このとき、図示しない電源を滅勢して回転駆動源56(無通電状態)をオフ状態としても、ボール弁50の弁体74は、前記したシート機構102の摺動抵抗によって弁開状態に保持される。また、図3(d)の状態は、後記するように、燃料電池12が発電状態にある場合を示している。
【0072】
さらに、図3(e)に示されるように、回転駆動源56の回転方向を前記とは正逆反転させてシャフト軸76を反時計回り方向に約90度だけ回動させる。この場合、係合機構75の係合部76aが係合突部79に当接し前記係合突部79を押圧して、シャフト軸76とボール弁50の弁体74が反時計回り方向に沿って約90度だけ共回りする(図3(e)の中段の太線及び細線矢印参照)。
【0073】
なお、図3(e)に示す状態と図3(a)に示す状態とは、同一状態からなり、経時列の関係上、便宜的に示したものである。
【0074】
次に、燃料電池自動車に搭載された燃料電池12との関係において、第2バルブ装置40bの動作を説明する。
【0075】
燃料電池システム10が運転中である場合には、ECUによって第1バルブ装置40a及び第2バルブ装置40bのバタフライ弁52及びボール弁50がそれぞれ弁開状態となり(図3(d)の状態)、カソードの封鎖状態が解除されている。同時に、ECUによって遮断弁30が弁開状態とされて水素タンク28からアノードに水素が供給されると共に、エアポンプ26が駆動されてカソードにエア(空気)が供給されて、燃料電池12の発電が行われる。
【0076】
燃料電池システム10が運転中である場合、コイルスプリング94のばね力によってデフォルトレバー92が周方向に付勢され、デフォルトレバー92に形成された係止部98がボディ44の開側ストッパ部96aに当接した状態にある(図4参照)。デフォルトレバー92の係止部98が開側ストッパ部96に当接して係止されることにより、ボール弁50の弁体74が弁開状態(インレットポート42aとアウトレットポート42bとの連通状態)に保持され、バタフライ弁52の弁体80が作動可能な状態にある。
【0077】
この場合、回転駆動源56の回転駆動力がピニオン58、中間ギヤ62、弁機構作動用ギヤ部92、及び、シャフト軸76を介してバタフライ弁52に伝達され、シャフト軸76を中心としてバタフライ弁52の弁体80を所定角度だけ回動させることができる。この結果、バタフライ弁52の弁体80の回動動作によって、流路70を流通するカソードオフガスの流量が制御されて、カソードの背圧が制御される。
【0078】
次に、燃料電池12の発電が停止される場合について説明する。
【0079】
燃料電池12の発電が停止された場合、図示しないECUからの制御信号によって、遮断弁30が閉じられて燃料電池12側への水素の供給が停止されると共に、エアポンプ26の図示しないモータの駆動が停止されて燃料電池12側へのエアの供給が停止される。また、燃料電池12の発電停止時は、燃料電池12(スタック)の自己発電による劣化防止のため、第1バルブ装置40a及び第2バルブ40bによって燃料電池12のカソード(カソード流路24)の入口側及び出口側をそれぞれ封鎖する必要がある。
【0080】
回転駆動源56へ供給される電流の極性を変えて回転駆動軸56aの回転方向を前記とは正逆反対方向に回転させる。この回転駆動源56の回転駆動力は、ピニオン58、中間ギヤ62、弁機構作動用ギヤ部90、シャフト軸76、及び係合機構75を介してボール弁50の弁体74に伝達される。ボール弁50の弁体74を所定方向に約90度だけ回動させることにより、ボール弁50を弁開状態から弁閉状態に切り換えることができる(図3(d)の状態から図3(e)への移行を参照)。なお、前記したように、ボール弁50の弁体74が回動する際、バタフライ弁52の弁体80も一緒に共回りする。
【0081】
この結果、ボディ44内の流路70がボール弁50の弁体74によって完全に封止(封鎖)されるため、ボディ44のインレットポート42aとアウトレットポート42bとの連通が遮断され、燃料電池12(スタック)の自己発電による劣化を回避することができる。
【0082】
本実施形態では、ボディ44の流路70を流通する圧力流体(酸化剤ガス)が、ボール弁50による流路遮断制御と、バタフライ弁52による流量制御(圧力制御)との両方の制御を受けることができ、流路遮断機能と流量制御機能とを両立させることができる。すなわち、ボール弁50によって締切性(封止性)の良好な制御が可能になると共に、バタフライ弁52によって流量制御性(圧力制御性)の良好な制御が可能となる。これにより、バタフライ弁52によって流量制御が可能となるので、この結果、ボール弁50の作動耐久性を向上させることができる。
【0083】
また、本実施形態では、シャフト軸76の軸方向に沿った下端部(一端部)とボール弁50の弁体74に形成された軸孔78とを係合させる係合機構75が、シャフト軸76の下端部(一端部)に設けられるため、単一のシャフト軸76のみによって、バタフライ弁52の弁体80とボール弁50の弁体74の両方を作動させることができる。換言すると、単一のシャフト軸76は、バタフライ弁軸とボール弁軸の両方の機能を併有し、回転駆動源56の回転駆動力を、単一のシャフト軸76を介してバタフライ弁52の弁体80とボール弁50の弁体74の両方に伝達することができる。
【0084】
さらに、本実施形態では、シャフト軸76の下端部(一端部)が軸孔78に係合して回動する範囲において、単独回動範囲では、シャフト軸76のみが単独で回動されるため、バタフライ弁52の弁体80のみが作動されてバタフライ弁52による流量制御性(圧力制御性)の良好な制御が可能となる。一方、共回り回動範囲では、シャフト軸76及びボール弁50の弁体74が一体的に作動するため、ボール弁50を用いた締切性(封止性)の良好な制御が可能となる。
【0085】
さらにまた、本実施形態では、シャフト軸76が、例えば、時計回り方向(一側)に回動してシャフト軸76の係合部76aがボール弁50の軸孔78に形成された係合突部79に係合すると、シャフト軸76とボール弁50の弁体74とが一体的に一側に回動する(共回りする)ことが可能となる(図3(c)参照)。また、シャフト軸76が、例えば、反時計回り方向(他側)に回動してシャフト軸76の係合部76aがボール弁50の係合突部79に係合すると、シャフト軸76とボール弁50の弁体74とが一体的に反時計回り方向(他側)に回動する(共回りする)ことが可能となる(図3(e)参照)。さらに、シャフト軸76の係合部76aがボール弁50の係合突部79に係合しない場合には、隙間81に沿ってシャフト軸76のみが単独で回動することが可能となり、バタフライ弁52の弁体80のみが単独で回動可能となる(図3(b)及び図3(d)参照)。
【0086】
またさらに、本実施形態では、開側ストッパ部96aによってボール弁50の弁体74の回動動作が規制されることにより、流路70が開口状態となってバタフライ弁52が作動可能な状態となる。これにより、バタフライ弁52が作動する際、ボール弁50が共回りすることが阻止される。
【0087】
またさらに、本実施形態では、バタフライ弁52の弁体80に下端側(一端部)が連結されるシャフト軸76を用いて、ボール弁50の弁体74を約90度だけ回動動作させることが可能となる。
【0088】
またさらに、本実施形態では、バタフライ弁52の弁体80がノーマルオープンタイプに設定されており(図3(a)参照)、仮に、回転駆動源56がフェールした場合、バタフライ弁52の弁体80が弁開状態になると共に、ボール弁50の弁体74が弁開状態となることにより、流路70に沿って圧力流体を流通させることができる。この結果、本実施形態に係るバルブ装置40a、40bを燃料電池システム10に適用した場合、回転駆動源56のフェール時においても燃料電池12を好適に発電させることができる。
【0089】
またさらに、本実施形態では、ボール弁50とバタフライ弁52との両方を、単一の回転駆動源56から回転駆動力が伝達される単一のシャフト軸76を介して駆動することが可能となり、ボール弁50及びバタフライ弁52へ回転駆動力を伝達する駆動力伝達機構の構造を簡素化することができる。
【0090】
またさらに、本実施形態では、単一の回転駆動源56によってボール弁50及びバタフライ弁52からなる2個の弁をそれぞれ駆動させることができる。この場合、ボール弁50による締切性(封止性)の良好な制御と、バタフライ弁52による流量制御性(圧力制御性)の良好な制御と、ボール弁50の作動耐久性の向上とを、単一の回転駆動源56によって実現することができる。例えば、複数の回転駆動源を用いてボール弁50及びバタフライ弁52をそれぞれ駆動する場合と比較して、回転駆動源56が1個で済むため、製造コストを低減化することができる。
【0091】
またさらに、本実施形態では、デフォルトレバー92の係止部98がボディ44の開側ストッパ部96aで係止されてボール弁50が弁開状態に保持されているときに、バタフライ弁52が作動可能な状態となっている。これにより、バタフライ弁52が作動する際、バタフライ弁52と一緒にボール弁50が共回りすることを阻止することができる。
【0092】
またさらに、本実施形態において、燃料電池システム10が運転中のとき、ボール弁50は、シート機構102による摺動抵抗によって弁開状態に保持されているため、流路70の開度をバタフライ弁52によって制御することができる。一方、燃料電池12の発電が停止されるとき、ボール弁50を弁閉状態として流路70を締め切る(遮断する)ことができる。
【0093】
またさらに、本実施形態では、燃料電池12のカソード流路24の出口側に第2バルブ装置40bが配置されるため、カソード流路24の出口から排出されるカソードオフガスの背圧制御を好適に行うことができる。
【0094】
またさらに、本実施形態では、カソード流路24の入口側に第1バルブ装置40aが配置されると共に、カソード流路24の出口側に第2バルブ装置40bが配置されているため、カソードの入口側及び出口側をそれぞれ封止することが可能となる。この結果、カソードに対して酸化剤ガスの流入が確実に阻止されるため、スタックの自己発電を回避して燃料電池12の耐久性を向上させることができる。
【0095】
またさらに、本実施形態では、従来からカソード流路24の出口側に配置されている、例えば、遮断弁や背圧制御弁を本実施形態に係る第2バルブ装置40bと代替することができ、部品点数が削減されて製造コストを低減することができる。
【0096】
なお、本実施形態では、燃料電池12のカソード流路24の出口側に配置された第2バルブ装置40bを用いて詳細に説明しているが、カソード流路24の入口側に配置された第1バルブ装置40aも、同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0097】
40a、40b バルブ装置 42a インレットポート
42b アウトレットポート 44 ボディ(装置本体)
50 ボール弁 52 バタフライ弁
53 弁機構 56 回転駆動源
70 流路 72 貫通孔(内部流路)
74 弁体(ボール弁) 75 係合機構
76 シャフト軸 76a 係合部
78 軸孔 79 係合突部
80 弁体(バタフライ弁) 81 間隙
96a 開側ストッパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力流体が導入されるインレットポート及び圧力流体が導出されるアウトレットポートと、前記インレットポートと前記アウトレットポートとを連通させる流路とがそれぞれ形成された装置本体と、
単一の回転駆動源と、
前記回転駆動源によって駆動され、前記流路内に弁体が配置されるボール弁と、前記ボール弁に形成された内部流路内に弁体が配置されるバタフライ弁とを有する弁機構と、
前記回転駆動源の回転駆動力を前記弁機構に対して伝達し、軸方向に沿った一端部が、前記バタフライ弁の弁体に連結されると共に、前記ボール弁の弁体に形成された軸孔と係合するシャフト軸と、
前記シャフト軸の一端部に設けられ、前記シャフト軸の軸方向に沿った一端部と前記ボール弁の弁体に形成された軸孔とを係合させる係合機構と、
を備え、
前記係合機構には、前記シャフト軸の一端部が前記軸孔に係合して回動する範囲において、前記シャフト軸のみが単独で回動動作可能な単独回動範囲と、前記シャフト軸及び前記ボール弁の弁体が共回り可能な共回り回動範囲とが設けられることを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
請求項1記載のバルブ装置において、
前記係合機構は、略円柱体からなる前記シャフト軸の一端部を切り欠いて形成され平面視して略半円状からなる係合部と、前記係合部が係合し、前記軸孔から中心に向かって突出し平面視して山形状に形成された係合突部とを有し、
前記係合部と前記係合突部との間には、前記シャフト軸のみが単独で回動する隙間が設けられることを特徴とするバルブ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のバルブ装置において、
前記ボール弁及び前記バタフライ弁の各弁体の閉じ側への回動方向は、相互に反対方向に設定され、
前記装置本体には、前記流路の開口状態で前記ボール弁の弁体の回動動作を規制する開側ストッパ部が設けられることを特徴とするバルブ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載のバルブ装置において、
前記シャフト軸を中心とする前記バタフライ弁の弁体の回動角度は、前記内部流路に対する弁開状態と弁閉状態との間で約90度に設定されることを特徴とするバルブ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載のバルブ装置において、
前記バタフライ弁の弁体は、ノーマルオープンタイプからなり、前記回転駆動源のフェール時には、前記バタフライ弁の弁体が弁開状態になると共に、前記ボール弁の弁体が弁開状態となることを特徴とするバルブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−247011(P2012−247011A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119597(P2011−119597)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】