説明

バルブ

【課題】 砥粒を混入したスラリーであっても確実に、その流入、流出を開閉制御することができるバルブを提供する。
【解決手段】 スラリーの流通路21が形成されているバルブ本体2と、バルブ本体と協働してスラリーの流通路を開閉する弁体4と、この弁体を作動させる駆動部6とを備えているバルブ1であって、駆動部で弁体を下降させて、流通路内に挿入することによって、流通路の入口内面と弁体の外周面とでシール面を形成し、流通路を閉じてスラリーの流れを止めるようにしている。また、バルブ本体の流通路の入口には、リング状の弾性体7が嵌着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥粒を混入した流体であるスラリーの流れの開閉を制御するためのバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバルブは、図3に示すようなバルブ構造をしていた。即ち、バルブハウジング3内には、バルブ本体2が挿設されており、バルブハウジング3の流入口31より流入したスラリーは、バルブ本体2内に設けられた流通路21を通って、バルブハウジング3の流出口32より流出するようになっており、このスラリーの流通路21を開閉するために弁体4が上下動するピストン体5に取り付けられている。そして、バルブ本体2の流通路21の入口にテーパ面を形成して弁座24とし、弁体4の先端をポペット形とした端面41をこの弁座24に押圧し当接させることで、バルブ1を閉じ、スラリーの流れを止めるようにしていた。
【0003】
上記した従来のバルブ1においては、流体内に砥粒が混入していない場合は、弁座24への弁体4の押圧力が充分であれば確実に流体の流れを止めることができたが、流体に砥粒が混入しているスラリーであると、弁座24と弁体4の端面41との間に砥粒が挟まってその間を流体が流れて、スラリーの流れを止めることができないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、砥粒を混入したスラリーであっても確実に、その流入、流出を開閉制御することができるバルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載のバルブを提供する。
請求項1に記載のバルブは、バルブ本体の流通路の入口内面と弁体の外周面とで、スラリーの流通路を閉じるようにしたものであり、これにより、弁体が流通路の入口に挿入されるとき、スラリーの流入圧力を受けなくなり、流通路の入口内面と弁体の外周面とで形成されるシール面が線から面に徐々に変化することにより、シール面間に砥粒が挟まることがなくなり、確実にスラリーの流れを止めることができる。
【0006】
請求項2のバルブは、バルブ本体のスラリーの流通路の入口にリング状の弾性体を嵌着したものであり、これにより、弁体の外周面に付着している砥粒を弾性体で拭き取ることができ、砥粒がシール面に進入することがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面に従って本発明の実施の形態のバルブについて説明する。図1は、本発明の実施の形態のバルブの縦断面図であり、図2は、その要部拡大図である。本発明のバルブ1は、内部に流通路21が形成されているバルブ本体2、このバルブ本体2を収容しているバルブハウジング3、流通路21を開閉する弁体4、この弁体4を上下動するピストン体5及び弁体4を作動させる駆動部6等より主に構成されている。
【0008】
バルブハウジング3は、スラリーの流入口31と流出口32とを有している。バルブ本体2は、このバルブハウジング3内に挿設され、ねじ等の固定具9によってバルブハウジング3に固定されている。したがって、スラリーは流入口31から流入し、バルブ本体2内の流通路21を通って、流出口32から流出される。バルブ本体2の流通路21の入口22には、環状に凹部23が形成されていて、この凹部23にリング状の弾性体7が嵌着されている。リング状の弾性体7の内面の形状は、後述する弁体4の一方の端部42の外周面の形状と同じで、やや小さ目に形成されている。即ち、弾性体7の内面の形状が円筒形である場合は、弁体4の外周面の形状も円筒形であり、内面の径が外周面の径よりやや小さいことが好ましい。
【0009】
バルブ本体2の流通路21の開閉を行う弁体4は、バルブハウジング3に嵌合している封鎖部材8を貫通して延在し、更に上下動するピストン体5を貫通して、これに固定されていると共に、貫通した弁体4の他方の端部43がダイヤフラム10に固着されている。弁体4の一方の端部42は、弁体4を流通路21に導入し易くするため面取りされており、その外周面の形状がバルブ本体2の流通路21の入口22の内面の形状と一致している。例えば、弁体4の端部42の外周面が円筒形であるなら、流通路21の入口22の内面も円筒形をしていて、その径が略同じである。これにより、弁体4の端部42が流通路21の入口22内に挿入されることによって、スラリーの流通路21内への流入が止められる。即ち、弁体4の端部42の外周面と流通路21の入口22の内面とでシール面が形成されることになる。このピストン体5によって、弁体4を左右に振れることなく上下動させることができる。
【0010】
弁体4と封鎖部材8との間には、リング状のシール部材81が設けられていて、スラリーをシールすると共に、弁体4の摺動を許容している。
バルブハウジング3の上には、弁体4を作動させる駆動部6が設けられている。駆動部6内には圧力室61とシリンダ室62とが、ダイヤフラム10によって仕切られて区画形成されている。シリンダ室62には、弁体4を支持しているピストン体5が摺動可能に収容されている。圧力室61は、図示しないエア等の圧力供給源に接続しており、圧力室61内の圧力を高めることによって、弁体4をダイヤフラム10に抗して押し下げることによって、流通路21の入口22が閉じられる。圧力室61内の圧力を下げることによって、弁体4はダイヤフラム10の弾性力によって持ち上げられ、流通路21の入口22が開放され、スラリーは流通路21内を流れるようになる。なお、ピストン体5の下側のシリンダ室62に圧力流体を導入して弁体4を持ち上げるようにしてもよい。
【0011】
なお、上記実施形態では、弁体4を作動する駆動部6が、機械的な構成で示されているが、この駆動部6を電気的に弁体を作動させる電気的な構成を採用することも可能である。
【0012】
上記構成よりなる本発明のバルブの作動を説明する。なお、本発明のバルブは、スラリーを流体研磨装置に供給する供給系に用いるのに好適である。
まず、スラリーの流入口31に、図示しないスラリーを供給する加圧供給部を連結する。同様に、スラリーの流出口32に、図示しない流体研磨装置を連結する。流体研磨装置で使用されたスラリーは加圧供給部に回収され再使用される。この流体研磨装置にスラリーを必要な時だけ供給し、不要な時は供給しないために使用されるバルブを例として説明する。
【0013】
流体研磨装置がスラリーを必要とするとき、駆動部6の圧力室61内の圧力を下げて、ダイヤフラム10の弾性力により弁体4を引き上げる。これにより、バルブ本体2の流通路21の入口22が開いて、スラリーは、加圧供給部から流入口31、流通路21を通って流出口32から流体研磨装置に供給される。
【0014】
流体研磨装置がスラリーを不要とするとき、駆動部6の圧力室61内の圧力を上げて、ダイヤフラム10の弾性力に抗して弁体4を下方に下げる。弁体4は、バルブ本体2の流通路21の入口22から挿入され、流通路21が閉じられることによって、スラリーの流体研磨装置への供給が止まる。
【0015】
このように、バルブ本体2の流通路21の入口22の内面に、この内面と同じ形状の外周面をもつ弁体4の端部42を挿入、例えば円筒の入口22に同じ径の円筒の弁体4の端部42を挿入してバルブ1の開閉を行うことにより、流通路21の入口22の内面と弁体4の端部42の外周面とで形成されるシール面に、スラリーの砥粒が進入することを防止できる。
また、流通路21の入口22に、弁体4の端部42の外周面形状よりやや小さい内面形状をもつリング状の弾性体7を設けることにより、弁体4が弾性体7に挿入されるときに、弁体4の外周面に付着している砥粒を弾性体7が拭き取ることができ、スラリーの砥粒がシール面に運ばれるのを効果的に防止できる。更に、スラリーの圧力で弾性体7が弁体4に押圧され、シール性が向上する。
【0016】
以上説明したように、本発明では、バルブ本体の流通路内面と弁体の外周面で流通路を閉じるようにしたこと、及び流通路入口に弾性体を設けたことにより、砥粒を混入したスラリーであっても確実にスラリーの流入、流出を開閉制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態のバルブの縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態のバルブの要部断面図である。
【図3】従来のバルブの縦断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 バルブ
2 バルブ本体
21 流通路
22 入口
23 凹部
3 バルブハウジング
31 流入口
32 流出口
4 弁体
42 (一方の)端部
43 (他方の)端部
5 ピストン体
6 駆動部
61 圧力室
62 シリンダ室
7 弾性体
8 封鎖部材
81 シール部材
9 固定具
10 ダイヤフラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、バルブのベースとなり、スラリーの流通路が形成されているバルブ本体と、
前記バルブ本体と協働してスラリーの流通路を開閉する弁体と、
前記弁体を作動させる駆動部と、
からなる砥粒を混入したスラリーの流通を制御するバルブにおいて、
前記バルブ本体の流通路の入口内面と前記弁体の外周面とで、スラリーの前記流通路を閉じるようにしたことを特徴とするバルブ。
【請求項2】
前記バルブ本体のスラリーの前記流通路の入口に、リング状の弾性体を嵌着したことを特徴とする請求項1に記載のバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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