バルブ
【課題】 ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)等として利用可能なように小型化が可能であるバルブを提供する。
【解決手段】 バルブ10は、ピストン16と当該ピストン16を収容するピストン用孔18が設けられたバルブ本体12とを備える。バルブ本体12には、ピストン16の軸線方向に沿って延びて開口部14を有する複数の流路20と、当該流路20それぞれと連通すると共に軸線方向において互いに異なる位置24においてピストン用孔18と連通する複数の連通路22とが設けられている。ピストン16には、当該ピストン16とピストン用孔18との間をシールすると共にピストン用孔18における複数の連通路22との連通部分の間隔に応じた間隔で設けられるシール部材28,30が設けられている。ピストン16におけるシール部材28,30の間34の外面とピストン用孔18との間には隙間がある。
【解決手段】 バルブ10は、ピストン16と当該ピストン16を収容するピストン用孔18が設けられたバルブ本体12とを備える。バルブ本体12には、ピストン16の軸線方向に沿って延びて開口部14を有する複数の流路20と、当該流路20それぞれと連通すると共に軸線方向において互いに異なる位置24においてピストン用孔18と連通する複数の連通路22とが設けられている。ピストン16には、当該ピストン16とピストン用孔18との間をシールすると共にピストン用孔18における複数の連通路22との連通部分の間隔に応じた間隔で設けられるシール部材28,30が設けられている。ピストン16におけるシール部材28,30の間34の外面とピストン用孔18との間には隙間がある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流路を複数の方向に切り替えられるバルブが知られている。例えば、特許文献1では、空気の流路を多方向へ切り替えられるバルブが提案されている。特許文献1に記載されたバルブでは、複数の流路が連通されたシリンダ内に設けられるピストンを移動させて当該流路の連結を切り替えることができるようになっている。また、ピストンによって流路を切り替えるバルブとして、非特許文献1及び2に記載されているような、地球深部探査船のBOP(噴出防止装置)に使用されているバルブがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−250455号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“SPM Valve”、[online]、Gilmore Valve Company、[平成23年11月17日検索]、インターネット<URL:http://www.gilmorevalve.com/products/smp_valves.asp>
【非特許文献2】“サーボ弁”、[online]、MOOG、[平成23年11月17日検索]、インターネット<URL:http://www.moog.co.jp/japanese/products/servovalves-servo-proportional-valves/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1に記載されたバルブのピストンの軸方向は、バルブに流体が出入りする流路の方向と垂直になっている。また、ピストンの一方の端部側にピストンを移動させるための駆動源が設けられている。従って、ピストンの軸方向には、ピストンが動くための領域と駆動源を設けるための領域とが必要となる。また、非特許文献1及び2に記載されたバルブも、ピストンの軸方向とバルブに流体が出入りする流路の方向とが垂直になっている。
【0006】
ところで、海底地盤の調査等では、地盤を掘削した後の検層等で用いられるワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)として高圧流体を複数の方向に送り込むバルブが必要となる。ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)としてのバルブは、掘削された穴に入れられるため小型化が必要になる。しかしながら、特許文献1に記載されたバルブのような構成では、上述したように流路と垂直な方向にピストンが動くための領域と駆動減を設けるための領域とが必要となるため小型化することが難しい。また、非特許文献1及び2に記載されたバルブのような構成でも、上述したように流路と垂直な方向にピストンが動くための領域が必要となるため小型化することが難しい。
【0007】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)等として利用可能なように小型化が可能であるバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係るバルブは、ピストンと、当該ピストンを軸線方向に移動可能に収容するピストン用孔が設けられたバルブ本体とを備えるバルブであって、バルブ本体には、ピストンの軸線方向に沿って延びて当該バルブ本体に開口部を有すると共に流体が流れることが可能な複数の流路と、当該流路それぞれと連通すると共にピストンの軸線方向において互いに異なる位置においてピストン用孔と連通する複数の連通路とが設けられており、ピストンには、当該ピストンとピストン用孔との間をシールすると共にピストン用孔における複数の連通路との連通部分の間隔に応じた間隔で設けられる少なくとも2つのシール部材が設けられ、ピストンにおけるシール部材の間の外面とピストン用孔との間には隙間がある。
【0009】
本発明のバルブでは、ピストン用孔内においてピストンが移動されて、シール部材によってシールされる位置が変動することによって、シール部材が設けられた位置の間の隙間で連通される連通路が変更され流体の方向を制御することができる。また、本発明のバルブでは、バルブ本体において流路が延びる方向と、流体の方向を制御するためのピストンの軸線方向とが同じ方向であるため、バルブにおける当該方向と垂直な方向の大きさを小さくすることができる。これにより、本発明のバルブは、ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)等として利用可能なように小型化が可能である。
【0010】
バルブ本体のピストン用孔には、連通路との連通部分に溝が設けられていることとしてもよい。この構成によれば、ピストン用孔内においてピストンを移動しやすくすることができる。
【0011】
複数の連通路それぞれは、ピストン用孔に対して30度〜70度の角度で接続されていることとしてもよい。この構成によれば、バルブ内の流体を流れやすくすることができる。
【0012】
複数の連通路それぞれは、バルブ本体の外面とピストン用孔とを貫通する孔をバルブ本体の外面側の開口を溶接されたプラグで塞いだ構成となっていることとしてもよい。この構成によれば、連通路を容易に構成できると共にバルブ内の流体の圧力に耐えうるものにすることができる。
【0013】
ピストンにおけるシール部材の間には窪みが設けられていることとしてもよい。この構成によれば、ピストン用孔内において流体を流れやすくすることができる。
【0014】
シール部材は、OリングとOリングの両側に設けられたバックアップリングとを含んで構成されていることとしてもよい。この構成によれば、容易かつ確実にシール部材を構成することができる。
【0015】
ピストンは、低摩耗性及び硬度を向上させる表面処理がなされていることとしてもよい。この構成によれば、高圧高温の環境下でも利用可能なバルブを構成することができる。
【0016】
バルブは、ピストンを軸線方向に移動させる駆動部を更に備えることとしてもよい。この構成によれば、ピストンを移動させることができ確実にバルブとして機能させることができる。
【0017】
駆動部は、リードスクリューを介してピストンを移動させるステッピングモータであることとしてもよい。この構成によれば、確実かつ瞬時にピストンを移動させると共にバルブの小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のバルブでは、ピストン用孔内においてピストンが移動されて、シール部材によってシールされる位置が変動することによって、シール部材が設けられた位置の間で連通される連通路が変更され流体の方向を制御することができる。また、本発明のバルブでは、バルブ本体において流路が延びる方向と、流体の方向を制御するためのピストンの軸線方向とが同じ方向であるため、バルブにおける当該方向と垂直な方向の大きさを小さくすることができる。これにより、本発明のバルブは、ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)等として利用可能なように小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るバルブの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るバルブの上面図、断面図及び下面図である。
【図3】バルブ本体の開口部が設けられた面を示す図である。
【図4】バルブ本体のプラグが設けられる部分の加工及び溶接プラグを説明するための図である。
【図5】バルブに用いられるピストンを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るバルブの動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面と共に本発明に係るバルブの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0021】
図1に、本実施形態に係るバルブ(バルブ機構)10を示す。また、図2(a)にバルブ10の上面図、図2(b)にバルブ10の断面図、図2(c)にバルブ10の下面図をそれぞれ示す。バルブ10は、例えば、ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)として地盤の掘削(掘削孔に入れられる)等に用いられる。バルブ10は、多方向バルブであり、例えば、複数の流体の吐出口が設けられており、バルブ10に流入した流体の吐出口を切り替えるものである。バルブ10が、海底地盤の調査等のワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)として用いられる場合は、バルブ10に流入する流体は150MPaの非常に高圧の流体である。また、そのような場合、バルブ10が用いられる環境は、高圧(例えば、150MPa)及び高温(例えば、150℃)となる。
【0022】
バルブ10は、円柱形状のバルブ本体12を備えている。バルブ本体12は、バルブ10として十分な硬度を有する金属によって形成される。例えば、ステンレス鋼材が用いられる。バルブ本体12には、流体の出入口となる複数の開口部14が設けられている。本実施形態に示すバルブ10は、円柱状のバルブ本体12の一方の面に一つの開口部14aと、他方の面に二つの開口部14b,14cとが設けられている。これらの開口部14a,14b,14cが設けられる面は、後述するようにバルブ10が備えるピストン16の軸線方向と垂直となっている。バルブ10は、開口部14aに流入させた流体を、開口部14b,14cの何れかから吐出する。図3(a)にバルブ本体12における開口部14aが設けられた面(図2におけるバルブ本体12の左側の面)、図3(b)にバルブ本体12における開口部14b,14cが設けられた面(図2におけるバルブ本体12の右側の面)を示す。
【0023】
図2(b)に示すように、バルブ10は、バルブ本体12に収容されるピストン(ピストンシリンダ)16を備えている。バルブ本体12には、ピストン16を軸線方向Aに移動可能に収容するピストン用孔18が設けられている。ピストン用孔18は、その断面の形状がピストン16の最も太い部分の断面の形状(具体的には円形)と同様の形状であり、その断面の大きさがピストン16の最も太い部分の断面よりもわずかに大きい。即ち、ピストン用孔18を構成する内周が、ピストン16の最も太い部分の径よりもわずかに大きくなっている。これにより、ピストン用孔18に収容されたピストン16が軸線方向Aのみ(図2の左方向及び右方向)に動けるような形状となっている。また、このピストン用孔18は、後述するように流体の通り道ともなる。
【0024】
バルブ本体12の内部には、ピストン16の軸線方向に沿って延びると共に流体が流れることが可能な複数の流路20a,20b,20cが設けられている。各流路20a,20b,20cの軸線方向Aと垂直の断面は、ピストン用孔18よりも径が小さい円形となっている。各流路20a,20b,20cの直径は、バルブ10の用途に応じて適宜定めることができる。例えば、上記のワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)として利用する場合には、各流路20a,20b,20cの直径は、細くすることができる(例えば、5mm程度以下)。
【0025】
これらの流路20a,20b,20cは、一方の端部にバルブ本体12における開口部14a,14b,14cを有している。なお、図3に開口部14a,14b,14cの位置が示されているように、各流路20a,20b,20cそれぞれは、円柱形状のバルブ本体12の周方向における互いに異なる位置に設けられている。具体的には、図3(a)の向きに見た場合、流路20aはピストン用孔18の上の位置に、流路20bはピストン用孔18の右下の位置(図3(b)の向きに見た場合左下の位置となる)に、流路20cはピストン用孔18の左下の位置(図3(b)の向きに見た場合右下の位置となる)にそれぞれピストン16(ピストン用孔18)の軸線方向に沿って延びている。
【0026】
なお、図2(b)の図は、流路20aに沿った断面であるので流路20aしか示されていないが、別の位置に流路20b,20cが設けられている。また、流路20aは図2においてバルブ本体12の左方向に開口部14aを有しているが、流路20b,20cは図2においてバルブ本体12の右方向に開口部14b,14cを有している。
【0027】
また、バルブ本体12には、流路20a,20b,20cのそれぞれと、ピストン用孔18と連通していると共に流体が流れることが可能な複数の連通路22a,22b,22cが設けられている。連通路22a,22b,22cそれぞれは、バルブ本体12の周方向における連通路22a,22b,22cの位置と同様の位置に設けられている(例えば、図2(b)参照)。また、連通路22a,22b,22cそれぞれは、ピストン用孔18の内周からバルブ本体12の径方向に延びて、流路20a,20b,20cそれぞれの開口部14a,14b,14c側でない端部と連通している。連通路22a,22b,22cは、例えば、断面が流路20a,20b,20cと同程度の径の大きさの円形となっている。
【0028】
また、バルブ10内を流れる流体が流れやすいように、連通路22a,22b,22cは、流路20a,20b,20cとはピストン用孔18に向かって、90度を超える角度で接続されている(図2(b)に示す角度θ1が90度を超える角度)ことが望ましい。また、同様に、連通路22a,22b,22cは、ピストン用孔18に対して斜めに、より具体的には30度〜70度の角度で接続されている(図2(b)に示す角度θ2が30度〜70度)ことが望ましい。本実施形態の例では、設計上のスペースを考慮して、連通路22a,22b,22cはピストン用孔18に対して45度の角度で接続されている。
【0029】
また、流路20a,20b,20cのそれぞれは、ピストン16の軸線方向Aにおいて互いに異なる位置においてピストン用孔18と連通している。流路20a,20b,20cのそれぞれとピストン用孔18との連通位置24a,24b,24cは、図2(b)に示す位置関係において右側から順に連通位置24b、連通位置24a、連通位置24cの順番になっている。即ち、ここでは、流体を流入させる連通路22aの連通位置24aが、流体を吐出させる連通路22b,22cの連通位置24b、24cの間に位置するようになっている。なお、各連通位置24a,24b,24cの間の間隔は、同程度の広さであり、後述するように各連通位置24a,24b,24cの間をピストン16に設けられるシール部材でピストン16とピストン用孔18との間をシールできるような広さとなっている。
【0030】
また、バルブ本体12のピストン用孔18における各連通位置(連通部分)24a,24b,24cには溝(凹部)が設けられており、この部分のピストン用孔18の径が他の部分と比べてわずかに大きくなっている。なお、ピストン用孔18に設けられる溝は、ピストン用孔18の内周に渡って設けられていてもよいし、連通路22の連通部分24にのみ設けられていてもよい。これは、後述するようにピストン16には、径が太い部分と細い部分とがあるため、ピストン16がピストン用孔18内を移動する際に連通位置24a,24b,24cで引っかかることを防止して、スムーズに移動できるようにしたものである。また、連通路22の連通部分24のエッジは、ピストン16及び後述するシール部材との損傷をなくすため曲率をつけておくことが望ましい。
【0031】
また、連通路22a,22b,22cは、バルブ本体12の外周面からピストン用孔18に貫通する孔を開けてバルブ本体12の外周面側の開口をプラグ26a,26b,26cで塞いで形成することとしてもよい。なお、プラグ26a,26b,26cは、バルブ本体12と同じ材質を用いることとすればよい。また、プラグ26a,26b,26cは、バルブ本体12に対して溶接で接合することが望ましい。具体的には、溶接は電子溶接(EBW)とすることができる。この場合、図4に示すようにバルブ本体12の径を予め大きく形成しておき、プラグ26を電子溶接で接合した後、バルブ本体12の表面を削ることによって、プラグ26が接合されたバルブ本体12を形成してもよい。上記の構成によって、連通路22a,22b,22cを容易に構成できると共にバルブ10内の流体の圧力に耐えうるものにすることができる。また、溶接は、電子溶接以外でもよく、例えばティグ溶接でもよい。
【0032】
図5(a)にピストン16の左側面図、図5(b)にピストン16の正面図、図5(c)にピストン16の右側面図、図5(d)にピストン16の軸方向に沿った断面図を示す。ピストン16は、細長い円柱状の部材であり、少なくとも各連通位置24a,24b,24cの間の間隔を超える長さを有している。
【0033】
ピストン16には、ピストン16とピストン用孔18との間をシールすると共にピストン用孔18における複数の連通路との連通部分24a,24b,24cの間隔に応じた間隔で設けられる少なくとも2つのシール部材が設けられる。具体的には、個々のシール部材は、Oリング28とOリング28の両側に設けられた2つのバックアップリング30とを含んで構成されている。ピストン16のOリング28と2つのバックアップリング30とが設けられる部分(軸線方向Aの位置)には、環状の溝(凹部)32が設けられており、当該溝内にOリング28と2つのバックアップリング30が収容される。
【0034】
ピストン16における(4つあるうちの内側)2つのシール部材28a,30aの間の部分34は、ピストン16の外周面とピストン用孔との間に隙間ができるような径の大きさ(太さ)となっている。この隙間には、後述するように流体が流れる。従って、流体が流れやすいようにこの部分34は、ピストン16の他の部分よりも径が小さく(細く)なっている、即ち、当該部分には窪みが設けられていることが望ましい。また、流体を流れやすくするため、ピストンの細くなっている部分34の両端側34aは、2つのシール部材28a,30aが設けられている部分に近くなるにつれて大きくなるテーパー状の形状となっていることが望ましい。
【0035】
ピストン16の窪み部分34の両側のシール部材28a,30aが設けられている部分の外側には、更にシール部材28b,30bが設けられていてもよい。これは、ピストン16とピストン用孔18との間をより確実にシールすると共に流体が流れない連通路22に流体が流れ込まないようにするためである。
【0036】
2つのシール部材28a,30aの間の間隔は、ピストン用孔18における連続した2つの連通位置24c,24a又は連通位置24a,24bの間隔よりも大きく構成されている。これによって、ピストン16の右側のシール部材28a,30aが右側の連通位置24bよりも左にある場合(図2(b)に示す状態)には、連通路22aと連通路24cとが、ピストン16の窪み部分34を介して接続された状態(流体が流れえる状態)となる。また、ピストン16の左側のシール部材28a,30aが左側の連通位置24cよりも右にある場合には、連通路22aと連通路24bとが、ピストン16の窪み部分34を介して接続された状態(流体が流れえる状態)となる。
【0037】
ピストン16は、高強度な材料が必要である。例えば、耐食性、高強度材であるチタン合金が用いられる。また、上述したようにピストン16には細くなっている部分34があるため、高温及び高圧環境下でも適切にバルブが動作するように低摩耗性及び高度を向上させる表面処理がなされていることが望ましい。具体的には、目的に応じた材質の微粒子を圧縮性の気体に混合して、高速衝突させて微細で靭性に富む緻密な組織が形成され表面を強化し、摩擦磨耗特性を向上させる粒子を材料表面に当てた処理を行うこととするのがよい。
【0038】
Oリング28の材料としては、例えば、フッ素ゴムが用いられる。バックアップリング30の材料としては、例えば、テフロン等のプラスチックが用いられる。また、上述した高圧及び高温環境下では、例えば、150MPaの圧力及び90Dの硬度のOリング28を用いることが望ましい。
【0039】
バルブ10は、ピストン16を軸線方向Aに移動させる駆動部を更に備えていてもよい。具体的には、バルブ本体12のピストン用孔18の開口がある一方の面(図2におけるバルブ本体12の右側の面)側に、ブラケット(シリンダシャフトカバー)36を介して、駆動部としてのステッピングモータ38がピストン16の軸線方向A上に取り付けられている。ブラケット36は、バルブ本体12の上記の面にねじ止めされて固定されており、ステッピングモータ38は、ブラケット36にねじ止めされて固定されている。
【0040】
ピストン16は、ピストン16と軸線方向を共にするリードスクリュー40に接続されており、リードスクリュー40はステッピングモータ(ギヤードモータ、パルスモータ)38に回転されるように接続されている。ブラケット36には、バルブ本体12のピストン用孔18に連通する孔が設けられており、その孔にピストン16とリードスクリュー40とが配置される。また、リードスクリュー40には、ボールベアリングが接続されており、ボールねじ構造を構成している。ステッピングモータ38がリードスクリュー40を回転させることによって、ピストン16は軸線方向Aの前後に移動することができる。また、ステッピングモータ38は、減速機と一体となっている。
【0041】
このようなボールねじ構造を取ることによって、例えば、150MPaの圧力及び90Dの硬度のOリング28でシールを行った場合でも十分な推進力を有する。また、このような構成をとることによって、ピストン16を瞬時に移動させることができる。これにより、瞬時(1秒強)に流体の開閉や流路変更が可能になる。また、時間をかけて開閉することもできる。
【0042】
スペースを削減するため、ステッピングモータ38は、図2に示すようにモータの中心部にボールねじが通せる、中空タイプのものを用いることとするのがよい。ステッピングモータ38の中央に空洞を設けているので、減速機とステッピングモータ38の接続関係を小さくすることができる。また、ステッピングモータ38は、例えば、最大環境温度150℃の高温対応のものを用いることが望ましい。また、ステッピングモータ38は、外部からの制御信号により動作させられる。また、ピストン16がステッピングモータ38によって動かされたときにピストン16が所定の範囲を超えて動かないように、あるいはピストン16の位置決めを行うために、バルブ10内にストッパが設けられていてもよい。
【0043】
また、図2に示すように、バルブ本体12の開口部14には、バルブ10に流入する流体、又はバルブ10から吐出する流体を通すための配管42が接続されてもよい。
【0044】
引き続いて、図6を用いて本発明の実施形態に係るバルブ10の動作を説明する。動作を分かりやすくするため図6ではバルブ10の断面を模式的に示す(図2に示したバルブでは、図6のように各流路20a,20b,20cは同一断面上には位置していない。但し、図6のように各流路20a,20b,20cは同一断面上には位置するような構成であってもよい)。
【0045】
まず、図6(a)に示す位置(中央)にピストン16が位置していた場合には、開口部14aから流路20aに流入した流体は、連通路22aを通って、ピストン用孔18におけるピストン16のシール部材の間の部分34に流入する。当該部分34の両側は、シール部材でシールされているので、流体はピストン16の当該部分34の周りを通って、連通路22bに流入して、流路20bを通って開口部14bから吐出される。即ち、この場合、流路20a、連通路22a、ピストン用孔18、連通路22b及び流路20bの順に流体が通るフローラインができる。
【0046】
一方で、図6(b)に示す位置(左側)にピストン16が位置していた場合には、開口部14aから流路20aに流入した流体は、連通路22aを通って、ピストン用孔18におけるピストン16のシール部材の間の部分34に流入する。当該部分34の両側は、シール部材でシールされているので、流体はピストン16の当該部分34の周りを通って、連通路22cに流入して、流路20bを通って開口部14cから吐出される。即ち、この場合、流路20a、連通路22a、ピストン用孔18、連通路22c及び流路20cの順に流体が通る図6(a)の場合とは別のフローラインができる。
【0047】
このように、ピストン16を駆動部によって軸線方向に前後に動かすことによって、フローライン(流体の流れ)を瞬時に変えることができる。
【0048】
本実施形態に係るバルブ10では、上述したように、ピストン用孔18内においてピストン16が移動されて、シール部材28,30によってシールされる位置が変動することによって、シール部材28,30が設けられた位置の間の隙間で連通される連通路22が変更され流体の方向を制御することができる。また、本実施形態に係るバルブ10では、バルブ本体12において流路20が延びる方向と、流体の方向を制御するためのピストン16の軸線方向とが同じ方向であるため、バルブ10における当該方向と垂直な方向の大きさを小さくすることができる。即ち、バルブ10(バルブ本体12)の径方向の大きさを小さくすることができ、小口径のバルブ10を実現することができる。例えば、上述した本実施形態のバルブ10の例では、直径が100mm以下のバルブ10を実現することができる。
【0049】
これにより、本実施形態に係るバルブ10は、掘削孔等の比較的小さい穴に入れることができ、ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)等として利用可能である。具体的には、海底地盤の圧力の調査等に用いることができる。
【0050】
また、上述したように本実施形態に係るバルブ10は、部品点数が少ないため、組立に特殊工具を必要とせず、メンテナンス性がよい。また、交換部品が少なく経済性の点でも優れている。また、上述したように損傷箇所が少なくなるように構成することが可能である。
【0051】
また、本実施形態のようにバルブ本体12のピストン用孔18には、連通路22との連通部分24に溝を設けることとするのが望ましい。この構成によれば、ピストン16及びピストン16に設けられたシール部材28,30が移動する際に連通部分24で引っかかることを防止して、ピストン用孔18内においてピストン16を移動しやすくすることができる。
【0052】
また、本実施形態のように連通路22は、ピストン用孔18に対して斜めに接続されていることが望ましい。具体的には、30度〜70度の角度で接続されていることが望ましい。この構成によれば、バルブ10内の流体を流れやすくすることができる。特に、流体が比較的高い粘度を有する液体であっても流れやすくすることができる。
【0053】
また、本実施形態のように連通路22は、バルブ本体12の外面の開口を溶接(電子溶接、ティグ溶接等)されたプラグで塞いだ構成とすることが望ましい。この構成によれば、連通路22を容易に構成できると共にバルブ10内の流体の圧力に耐えうるものにすることができる。
【0054】
また、ピストン16における流体が通過する、シール部材28a,30aが設けられた間部分34には、窪みが設けることとしてもよい。この構成によれば、ピストン用孔18内において流体が流れることができるスペースが広がり、流体を流れやすくすることができる。
【0055】
また、本実施形態のようにシール部材は、Oリング28とOリング28の両側に設けられたバックアップリング30とを含んで構成されていることとしてもよい。この構成によれば、容易かつ確実にシール部材を構成することができる。但し、ピストン16とピストン用孔18との間をシールすることができればよく、シール部材として上記以外の構成をとることとしてもよい。
【0056】
また、ピストン16は、低摩耗性及び硬度を向上させる表面処理がなされているこの構成によれば、高圧高温の環境下でも利用可能なバルブ10を構成することができる。
【0057】
また、本実施形態のようにピストン16を軸線方向Aに移動させる駆動部であるステッピングモータ38を備えていることが望ましい。この構成によれば、ピストンを瞬時に移動させることができ確実かつ瞬時にバルブとして機能させることができる。また、中心部にリードスクリュー40を通すステッピングモータ38を用いることによって、バルブ10の小型化を図ることができる。なお、駆動部はピストン16を移動させることができれば、上述した構成以外のものが用いられてもよい。例えば、以下のような場合に瞬時に開閉ができるシステムが必要となる。水圧を用いて、地盤に開けられた孔井の孔内壁に割れを作る場合高水圧を必要とする。科学的調査として、流体の流れを瞬時に止めて計測が必要になる。孔井内の流体圧を変化させて、その後の流体圧変化から地層の水理特性(浸透率等)を推定する際、変化させる流体圧変化が瞬時でないと、その後の流体圧変化に影響する。また、水圧破砕による応力測定では、流体圧により破砕を行い、その際の流体圧変化から応力を算出するため、瞬時の流体圧制御が必要になる。
【0058】
なお、上述したバルブ10は、流体が流入あるいは吐出する開口部14が3つあったが、4つ以上の開口部がある構成としてもよい。即ち、3方向バルブではなく、4方向以上の切替バルブとして構成することとしてもよい。その場合も、開口部14に連通している連通路22とピストン用孔18との接続部分24を軸線方向Aにずらして配置して、ピストン16の位置に応じてシール部材によってピストンとピストン用孔18との間をシールすることで、フローライン(流体の流れ)の切替が可能になる。
【0059】
また、本実施形態では、バルブ10に流入した流体の吐出口14b,14cを切り替えるものであったが、複数の流入口を設けてバルブ10に流入可能な流入口を切り替えるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のバルブは、環境(例えば、ガス・蒸気・水力タービン、石油精製プラント、天然ガス処理プラント、火力・水力発電プラント、蒸気発電プラント、地熱発電プラント、原子力発電プラント、原子力再処理プラント、泥水プラント、海洋深層水プラント、真空輸送プラント、上下水道、サブシー機器(海底設置用))、科学(例えば、地下探査機器、高温高圧試験水槽)、運輸(例えば、自動車(燃料制御、サスペンション、等)、船舶、航空機、潜水艦、鉄道)、製造(例えば、プラスチック成型、ロボット、射出成型、金属成形、ウォータージェット)、医療(例えば、救助用圧力マット)、半導体(例えば、半導体プラント)、食品(例えば、食品プラント、ソフトアイスクリーム製造器)等の分野での応用が期待できる。
【符号の説明】
【0061】
10…バルブ、12…バルブ本体、14…開口部、16…ピストン、18…ピストン用孔、20…流路、22…連通路、26…プラグ、28…Oリング、30…バックアップリング、36…ブラケット、38…ステッピングモータ、40…リードスクリュー、42…配管。
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流路を複数の方向に切り替えられるバルブが知られている。例えば、特許文献1では、空気の流路を多方向へ切り替えられるバルブが提案されている。特許文献1に記載されたバルブでは、複数の流路が連通されたシリンダ内に設けられるピストンを移動させて当該流路の連結を切り替えることができるようになっている。また、ピストンによって流路を切り替えるバルブとして、非特許文献1及び2に記載されているような、地球深部探査船のBOP(噴出防止装置)に使用されているバルブがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−250455号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“SPM Valve”、[online]、Gilmore Valve Company、[平成23年11月17日検索]、インターネット<URL:http://www.gilmorevalve.com/products/smp_valves.asp>
【非特許文献2】“サーボ弁”、[online]、MOOG、[平成23年11月17日検索]、インターネット<URL:http://www.moog.co.jp/japanese/products/servovalves-servo-proportional-valves/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1に記載されたバルブのピストンの軸方向は、バルブに流体が出入りする流路の方向と垂直になっている。また、ピストンの一方の端部側にピストンを移動させるための駆動源が設けられている。従って、ピストンの軸方向には、ピストンが動くための領域と駆動源を設けるための領域とが必要となる。また、非特許文献1及び2に記載されたバルブも、ピストンの軸方向とバルブに流体が出入りする流路の方向とが垂直になっている。
【0006】
ところで、海底地盤の調査等では、地盤を掘削した後の検層等で用いられるワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)として高圧流体を複数の方向に送り込むバルブが必要となる。ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)としてのバルブは、掘削された穴に入れられるため小型化が必要になる。しかしながら、特許文献1に記載されたバルブのような構成では、上述したように流路と垂直な方向にピストンが動くための領域と駆動減を設けるための領域とが必要となるため小型化することが難しい。また、非特許文献1及び2に記載されたバルブのような構成でも、上述したように流路と垂直な方向にピストンが動くための領域が必要となるため小型化することが難しい。
【0007】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)等として利用可能なように小型化が可能であるバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係るバルブは、ピストンと、当該ピストンを軸線方向に移動可能に収容するピストン用孔が設けられたバルブ本体とを備えるバルブであって、バルブ本体には、ピストンの軸線方向に沿って延びて当該バルブ本体に開口部を有すると共に流体が流れることが可能な複数の流路と、当該流路それぞれと連通すると共にピストンの軸線方向において互いに異なる位置においてピストン用孔と連通する複数の連通路とが設けられており、ピストンには、当該ピストンとピストン用孔との間をシールすると共にピストン用孔における複数の連通路との連通部分の間隔に応じた間隔で設けられる少なくとも2つのシール部材が設けられ、ピストンにおけるシール部材の間の外面とピストン用孔との間には隙間がある。
【0009】
本発明のバルブでは、ピストン用孔内においてピストンが移動されて、シール部材によってシールされる位置が変動することによって、シール部材が設けられた位置の間の隙間で連通される連通路が変更され流体の方向を制御することができる。また、本発明のバルブでは、バルブ本体において流路が延びる方向と、流体の方向を制御するためのピストンの軸線方向とが同じ方向であるため、バルブにおける当該方向と垂直な方向の大きさを小さくすることができる。これにより、本発明のバルブは、ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)等として利用可能なように小型化が可能である。
【0010】
バルブ本体のピストン用孔には、連通路との連通部分に溝が設けられていることとしてもよい。この構成によれば、ピストン用孔内においてピストンを移動しやすくすることができる。
【0011】
複数の連通路それぞれは、ピストン用孔に対して30度〜70度の角度で接続されていることとしてもよい。この構成によれば、バルブ内の流体を流れやすくすることができる。
【0012】
複数の連通路それぞれは、バルブ本体の外面とピストン用孔とを貫通する孔をバルブ本体の外面側の開口を溶接されたプラグで塞いだ構成となっていることとしてもよい。この構成によれば、連通路を容易に構成できると共にバルブ内の流体の圧力に耐えうるものにすることができる。
【0013】
ピストンにおけるシール部材の間には窪みが設けられていることとしてもよい。この構成によれば、ピストン用孔内において流体を流れやすくすることができる。
【0014】
シール部材は、OリングとOリングの両側に設けられたバックアップリングとを含んで構成されていることとしてもよい。この構成によれば、容易かつ確実にシール部材を構成することができる。
【0015】
ピストンは、低摩耗性及び硬度を向上させる表面処理がなされていることとしてもよい。この構成によれば、高圧高温の環境下でも利用可能なバルブを構成することができる。
【0016】
バルブは、ピストンを軸線方向に移動させる駆動部を更に備えることとしてもよい。この構成によれば、ピストンを移動させることができ確実にバルブとして機能させることができる。
【0017】
駆動部は、リードスクリューを介してピストンを移動させるステッピングモータであることとしてもよい。この構成によれば、確実かつ瞬時にピストンを移動させると共にバルブの小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のバルブでは、ピストン用孔内においてピストンが移動されて、シール部材によってシールされる位置が変動することによって、シール部材が設けられた位置の間で連通される連通路が変更され流体の方向を制御することができる。また、本発明のバルブでは、バルブ本体において流路が延びる方向と、流体の方向を制御するためのピストンの軸線方向とが同じ方向であるため、バルブにおける当該方向と垂直な方向の大きさを小さくすることができる。これにより、本発明のバルブは、ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)等として利用可能なように小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るバルブの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るバルブの上面図、断面図及び下面図である。
【図3】バルブ本体の開口部が設けられた面を示す図である。
【図4】バルブ本体のプラグが設けられる部分の加工及び溶接プラグを説明するための図である。
【図5】バルブに用いられるピストンを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るバルブの動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面と共に本発明に係るバルブの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0021】
図1に、本実施形態に係るバルブ(バルブ機構)10を示す。また、図2(a)にバルブ10の上面図、図2(b)にバルブ10の断面図、図2(c)にバルブ10の下面図をそれぞれ示す。バルブ10は、例えば、ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)として地盤の掘削(掘削孔に入れられる)等に用いられる。バルブ10は、多方向バルブであり、例えば、複数の流体の吐出口が設けられており、バルブ10に流入した流体の吐出口を切り替えるものである。バルブ10が、海底地盤の調査等のワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)として用いられる場合は、バルブ10に流入する流体は150MPaの非常に高圧の流体である。また、そのような場合、バルブ10が用いられる環境は、高圧(例えば、150MPa)及び高温(例えば、150℃)となる。
【0022】
バルブ10は、円柱形状のバルブ本体12を備えている。バルブ本体12は、バルブ10として十分な硬度を有する金属によって形成される。例えば、ステンレス鋼材が用いられる。バルブ本体12には、流体の出入口となる複数の開口部14が設けられている。本実施形態に示すバルブ10は、円柱状のバルブ本体12の一方の面に一つの開口部14aと、他方の面に二つの開口部14b,14cとが設けられている。これらの開口部14a,14b,14cが設けられる面は、後述するようにバルブ10が備えるピストン16の軸線方向と垂直となっている。バルブ10は、開口部14aに流入させた流体を、開口部14b,14cの何れかから吐出する。図3(a)にバルブ本体12における開口部14aが設けられた面(図2におけるバルブ本体12の左側の面)、図3(b)にバルブ本体12における開口部14b,14cが設けられた面(図2におけるバルブ本体12の右側の面)を示す。
【0023】
図2(b)に示すように、バルブ10は、バルブ本体12に収容されるピストン(ピストンシリンダ)16を備えている。バルブ本体12には、ピストン16を軸線方向Aに移動可能に収容するピストン用孔18が設けられている。ピストン用孔18は、その断面の形状がピストン16の最も太い部分の断面の形状(具体的には円形)と同様の形状であり、その断面の大きさがピストン16の最も太い部分の断面よりもわずかに大きい。即ち、ピストン用孔18を構成する内周が、ピストン16の最も太い部分の径よりもわずかに大きくなっている。これにより、ピストン用孔18に収容されたピストン16が軸線方向Aのみ(図2の左方向及び右方向)に動けるような形状となっている。また、このピストン用孔18は、後述するように流体の通り道ともなる。
【0024】
バルブ本体12の内部には、ピストン16の軸線方向に沿って延びると共に流体が流れることが可能な複数の流路20a,20b,20cが設けられている。各流路20a,20b,20cの軸線方向Aと垂直の断面は、ピストン用孔18よりも径が小さい円形となっている。各流路20a,20b,20cの直径は、バルブ10の用途に応じて適宜定めることができる。例えば、上記のワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)として利用する場合には、各流路20a,20b,20cの直径は、細くすることができる(例えば、5mm程度以下)。
【0025】
これらの流路20a,20b,20cは、一方の端部にバルブ本体12における開口部14a,14b,14cを有している。なお、図3に開口部14a,14b,14cの位置が示されているように、各流路20a,20b,20cそれぞれは、円柱形状のバルブ本体12の周方向における互いに異なる位置に設けられている。具体的には、図3(a)の向きに見た場合、流路20aはピストン用孔18の上の位置に、流路20bはピストン用孔18の右下の位置(図3(b)の向きに見た場合左下の位置となる)に、流路20cはピストン用孔18の左下の位置(図3(b)の向きに見た場合右下の位置となる)にそれぞれピストン16(ピストン用孔18)の軸線方向に沿って延びている。
【0026】
なお、図2(b)の図は、流路20aに沿った断面であるので流路20aしか示されていないが、別の位置に流路20b,20cが設けられている。また、流路20aは図2においてバルブ本体12の左方向に開口部14aを有しているが、流路20b,20cは図2においてバルブ本体12の右方向に開口部14b,14cを有している。
【0027】
また、バルブ本体12には、流路20a,20b,20cのそれぞれと、ピストン用孔18と連通していると共に流体が流れることが可能な複数の連通路22a,22b,22cが設けられている。連通路22a,22b,22cそれぞれは、バルブ本体12の周方向における連通路22a,22b,22cの位置と同様の位置に設けられている(例えば、図2(b)参照)。また、連通路22a,22b,22cそれぞれは、ピストン用孔18の内周からバルブ本体12の径方向に延びて、流路20a,20b,20cそれぞれの開口部14a,14b,14c側でない端部と連通している。連通路22a,22b,22cは、例えば、断面が流路20a,20b,20cと同程度の径の大きさの円形となっている。
【0028】
また、バルブ10内を流れる流体が流れやすいように、連通路22a,22b,22cは、流路20a,20b,20cとはピストン用孔18に向かって、90度を超える角度で接続されている(図2(b)に示す角度θ1が90度を超える角度)ことが望ましい。また、同様に、連通路22a,22b,22cは、ピストン用孔18に対して斜めに、より具体的には30度〜70度の角度で接続されている(図2(b)に示す角度θ2が30度〜70度)ことが望ましい。本実施形態の例では、設計上のスペースを考慮して、連通路22a,22b,22cはピストン用孔18に対して45度の角度で接続されている。
【0029】
また、流路20a,20b,20cのそれぞれは、ピストン16の軸線方向Aにおいて互いに異なる位置においてピストン用孔18と連通している。流路20a,20b,20cのそれぞれとピストン用孔18との連通位置24a,24b,24cは、図2(b)に示す位置関係において右側から順に連通位置24b、連通位置24a、連通位置24cの順番になっている。即ち、ここでは、流体を流入させる連通路22aの連通位置24aが、流体を吐出させる連通路22b,22cの連通位置24b、24cの間に位置するようになっている。なお、各連通位置24a,24b,24cの間の間隔は、同程度の広さであり、後述するように各連通位置24a,24b,24cの間をピストン16に設けられるシール部材でピストン16とピストン用孔18との間をシールできるような広さとなっている。
【0030】
また、バルブ本体12のピストン用孔18における各連通位置(連通部分)24a,24b,24cには溝(凹部)が設けられており、この部分のピストン用孔18の径が他の部分と比べてわずかに大きくなっている。なお、ピストン用孔18に設けられる溝は、ピストン用孔18の内周に渡って設けられていてもよいし、連通路22の連通部分24にのみ設けられていてもよい。これは、後述するようにピストン16には、径が太い部分と細い部分とがあるため、ピストン16がピストン用孔18内を移動する際に連通位置24a,24b,24cで引っかかることを防止して、スムーズに移動できるようにしたものである。また、連通路22の連通部分24のエッジは、ピストン16及び後述するシール部材との損傷をなくすため曲率をつけておくことが望ましい。
【0031】
また、連通路22a,22b,22cは、バルブ本体12の外周面からピストン用孔18に貫通する孔を開けてバルブ本体12の外周面側の開口をプラグ26a,26b,26cで塞いで形成することとしてもよい。なお、プラグ26a,26b,26cは、バルブ本体12と同じ材質を用いることとすればよい。また、プラグ26a,26b,26cは、バルブ本体12に対して溶接で接合することが望ましい。具体的には、溶接は電子溶接(EBW)とすることができる。この場合、図4に示すようにバルブ本体12の径を予め大きく形成しておき、プラグ26を電子溶接で接合した後、バルブ本体12の表面を削ることによって、プラグ26が接合されたバルブ本体12を形成してもよい。上記の構成によって、連通路22a,22b,22cを容易に構成できると共にバルブ10内の流体の圧力に耐えうるものにすることができる。また、溶接は、電子溶接以外でもよく、例えばティグ溶接でもよい。
【0032】
図5(a)にピストン16の左側面図、図5(b)にピストン16の正面図、図5(c)にピストン16の右側面図、図5(d)にピストン16の軸方向に沿った断面図を示す。ピストン16は、細長い円柱状の部材であり、少なくとも各連通位置24a,24b,24cの間の間隔を超える長さを有している。
【0033】
ピストン16には、ピストン16とピストン用孔18との間をシールすると共にピストン用孔18における複数の連通路との連通部分24a,24b,24cの間隔に応じた間隔で設けられる少なくとも2つのシール部材が設けられる。具体的には、個々のシール部材は、Oリング28とOリング28の両側に設けられた2つのバックアップリング30とを含んで構成されている。ピストン16のOリング28と2つのバックアップリング30とが設けられる部分(軸線方向Aの位置)には、環状の溝(凹部)32が設けられており、当該溝内にOリング28と2つのバックアップリング30が収容される。
【0034】
ピストン16における(4つあるうちの内側)2つのシール部材28a,30aの間の部分34は、ピストン16の外周面とピストン用孔との間に隙間ができるような径の大きさ(太さ)となっている。この隙間には、後述するように流体が流れる。従って、流体が流れやすいようにこの部分34は、ピストン16の他の部分よりも径が小さく(細く)なっている、即ち、当該部分には窪みが設けられていることが望ましい。また、流体を流れやすくするため、ピストンの細くなっている部分34の両端側34aは、2つのシール部材28a,30aが設けられている部分に近くなるにつれて大きくなるテーパー状の形状となっていることが望ましい。
【0035】
ピストン16の窪み部分34の両側のシール部材28a,30aが設けられている部分の外側には、更にシール部材28b,30bが設けられていてもよい。これは、ピストン16とピストン用孔18との間をより確実にシールすると共に流体が流れない連通路22に流体が流れ込まないようにするためである。
【0036】
2つのシール部材28a,30aの間の間隔は、ピストン用孔18における連続した2つの連通位置24c,24a又は連通位置24a,24bの間隔よりも大きく構成されている。これによって、ピストン16の右側のシール部材28a,30aが右側の連通位置24bよりも左にある場合(図2(b)に示す状態)には、連通路22aと連通路24cとが、ピストン16の窪み部分34を介して接続された状態(流体が流れえる状態)となる。また、ピストン16の左側のシール部材28a,30aが左側の連通位置24cよりも右にある場合には、連通路22aと連通路24bとが、ピストン16の窪み部分34を介して接続された状態(流体が流れえる状態)となる。
【0037】
ピストン16は、高強度な材料が必要である。例えば、耐食性、高強度材であるチタン合金が用いられる。また、上述したようにピストン16には細くなっている部分34があるため、高温及び高圧環境下でも適切にバルブが動作するように低摩耗性及び高度を向上させる表面処理がなされていることが望ましい。具体的には、目的に応じた材質の微粒子を圧縮性の気体に混合して、高速衝突させて微細で靭性に富む緻密な組織が形成され表面を強化し、摩擦磨耗特性を向上させる粒子を材料表面に当てた処理を行うこととするのがよい。
【0038】
Oリング28の材料としては、例えば、フッ素ゴムが用いられる。バックアップリング30の材料としては、例えば、テフロン等のプラスチックが用いられる。また、上述した高圧及び高温環境下では、例えば、150MPaの圧力及び90Dの硬度のOリング28を用いることが望ましい。
【0039】
バルブ10は、ピストン16を軸線方向Aに移動させる駆動部を更に備えていてもよい。具体的には、バルブ本体12のピストン用孔18の開口がある一方の面(図2におけるバルブ本体12の右側の面)側に、ブラケット(シリンダシャフトカバー)36を介して、駆動部としてのステッピングモータ38がピストン16の軸線方向A上に取り付けられている。ブラケット36は、バルブ本体12の上記の面にねじ止めされて固定されており、ステッピングモータ38は、ブラケット36にねじ止めされて固定されている。
【0040】
ピストン16は、ピストン16と軸線方向を共にするリードスクリュー40に接続されており、リードスクリュー40はステッピングモータ(ギヤードモータ、パルスモータ)38に回転されるように接続されている。ブラケット36には、バルブ本体12のピストン用孔18に連通する孔が設けられており、その孔にピストン16とリードスクリュー40とが配置される。また、リードスクリュー40には、ボールベアリングが接続されており、ボールねじ構造を構成している。ステッピングモータ38がリードスクリュー40を回転させることによって、ピストン16は軸線方向Aの前後に移動することができる。また、ステッピングモータ38は、減速機と一体となっている。
【0041】
このようなボールねじ構造を取ることによって、例えば、150MPaの圧力及び90Dの硬度のOリング28でシールを行った場合でも十分な推進力を有する。また、このような構成をとることによって、ピストン16を瞬時に移動させることができる。これにより、瞬時(1秒強)に流体の開閉や流路変更が可能になる。また、時間をかけて開閉することもできる。
【0042】
スペースを削減するため、ステッピングモータ38は、図2に示すようにモータの中心部にボールねじが通せる、中空タイプのものを用いることとするのがよい。ステッピングモータ38の中央に空洞を設けているので、減速機とステッピングモータ38の接続関係を小さくすることができる。また、ステッピングモータ38は、例えば、最大環境温度150℃の高温対応のものを用いることが望ましい。また、ステッピングモータ38は、外部からの制御信号により動作させられる。また、ピストン16がステッピングモータ38によって動かされたときにピストン16が所定の範囲を超えて動かないように、あるいはピストン16の位置決めを行うために、バルブ10内にストッパが設けられていてもよい。
【0043】
また、図2に示すように、バルブ本体12の開口部14には、バルブ10に流入する流体、又はバルブ10から吐出する流体を通すための配管42が接続されてもよい。
【0044】
引き続いて、図6を用いて本発明の実施形態に係るバルブ10の動作を説明する。動作を分かりやすくするため図6ではバルブ10の断面を模式的に示す(図2に示したバルブでは、図6のように各流路20a,20b,20cは同一断面上には位置していない。但し、図6のように各流路20a,20b,20cは同一断面上には位置するような構成であってもよい)。
【0045】
まず、図6(a)に示す位置(中央)にピストン16が位置していた場合には、開口部14aから流路20aに流入した流体は、連通路22aを通って、ピストン用孔18におけるピストン16のシール部材の間の部分34に流入する。当該部分34の両側は、シール部材でシールされているので、流体はピストン16の当該部分34の周りを通って、連通路22bに流入して、流路20bを通って開口部14bから吐出される。即ち、この場合、流路20a、連通路22a、ピストン用孔18、連通路22b及び流路20bの順に流体が通るフローラインができる。
【0046】
一方で、図6(b)に示す位置(左側)にピストン16が位置していた場合には、開口部14aから流路20aに流入した流体は、連通路22aを通って、ピストン用孔18におけるピストン16のシール部材の間の部分34に流入する。当該部分34の両側は、シール部材でシールされているので、流体はピストン16の当該部分34の周りを通って、連通路22cに流入して、流路20bを通って開口部14cから吐出される。即ち、この場合、流路20a、連通路22a、ピストン用孔18、連通路22c及び流路20cの順に流体が通る図6(a)の場合とは別のフローラインができる。
【0047】
このように、ピストン16を駆動部によって軸線方向に前後に動かすことによって、フローライン(流体の流れ)を瞬時に変えることができる。
【0048】
本実施形態に係るバルブ10では、上述したように、ピストン用孔18内においてピストン16が移動されて、シール部材28,30によってシールされる位置が変動することによって、シール部材28,30が設けられた位置の間の隙間で連通される連通路22が変更され流体の方向を制御することができる。また、本実施形態に係るバルブ10では、バルブ本体12において流路20が延びる方向と、流体の方向を制御するためのピストン16の軸線方向とが同じ方向であるため、バルブ10における当該方向と垂直な方向の大きさを小さくすることができる。即ち、バルブ10(バルブ本体12)の径方向の大きさを小さくすることができ、小口径のバルブ10を実現することができる。例えば、上述した本実施形態のバルブ10の例では、直径が100mm以下のバルブ10を実現することができる。
【0049】
これにより、本実施形態に係るバルブ10は、掘削孔等の比較的小さい穴に入れることができ、ワイヤラインダウンホールツールの一部(部品)等として利用可能である。具体的には、海底地盤の圧力の調査等に用いることができる。
【0050】
また、上述したように本実施形態に係るバルブ10は、部品点数が少ないため、組立に特殊工具を必要とせず、メンテナンス性がよい。また、交換部品が少なく経済性の点でも優れている。また、上述したように損傷箇所が少なくなるように構成することが可能である。
【0051】
また、本実施形態のようにバルブ本体12のピストン用孔18には、連通路22との連通部分24に溝を設けることとするのが望ましい。この構成によれば、ピストン16及びピストン16に設けられたシール部材28,30が移動する際に連通部分24で引っかかることを防止して、ピストン用孔18内においてピストン16を移動しやすくすることができる。
【0052】
また、本実施形態のように連通路22は、ピストン用孔18に対して斜めに接続されていることが望ましい。具体的には、30度〜70度の角度で接続されていることが望ましい。この構成によれば、バルブ10内の流体を流れやすくすることができる。特に、流体が比較的高い粘度を有する液体であっても流れやすくすることができる。
【0053】
また、本実施形態のように連通路22は、バルブ本体12の外面の開口を溶接(電子溶接、ティグ溶接等)されたプラグで塞いだ構成とすることが望ましい。この構成によれば、連通路22を容易に構成できると共にバルブ10内の流体の圧力に耐えうるものにすることができる。
【0054】
また、ピストン16における流体が通過する、シール部材28a,30aが設けられた間部分34には、窪みが設けることとしてもよい。この構成によれば、ピストン用孔18内において流体が流れることができるスペースが広がり、流体を流れやすくすることができる。
【0055】
また、本実施形態のようにシール部材は、Oリング28とOリング28の両側に設けられたバックアップリング30とを含んで構成されていることとしてもよい。この構成によれば、容易かつ確実にシール部材を構成することができる。但し、ピストン16とピストン用孔18との間をシールすることができればよく、シール部材として上記以外の構成をとることとしてもよい。
【0056】
また、ピストン16は、低摩耗性及び硬度を向上させる表面処理がなされているこの構成によれば、高圧高温の環境下でも利用可能なバルブ10を構成することができる。
【0057】
また、本実施形態のようにピストン16を軸線方向Aに移動させる駆動部であるステッピングモータ38を備えていることが望ましい。この構成によれば、ピストンを瞬時に移動させることができ確実かつ瞬時にバルブとして機能させることができる。また、中心部にリードスクリュー40を通すステッピングモータ38を用いることによって、バルブ10の小型化を図ることができる。なお、駆動部はピストン16を移動させることができれば、上述した構成以外のものが用いられてもよい。例えば、以下のような場合に瞬時に開閉ができるシステムが必要となる。水圧を用いて、地盤に開けられた孔井の孔内壁に割れを作る場合高水圧を必要とする。科学的調査として、流体の流れを瞬時に止めて計測が必要になる。孔井内の流体圧を変化させて、その後の流体圧変化から地層の水理特性(浸透率等)を推定する際、変化させる流体圧変化が瞬時でないと、その後の流体圧変化に影響する。また、水圧破砕による応力測定では、流体圧により破砕を行い、その際の流体圧変化から応力を算出するため、瞬時の流体圧制御が必要になる。
【0058】
なお、上述したバルブ10は、流体が流入あるいは吐出する開口部14が3つあったが、4つ以上の開口部がある構成としてもよい。即ち、3方向バルブではなく、4方向以上の切替バルブとして構成することとしてもよい。その場合も、開口部14に連通している連通路22とピストン用孔18との接続部分24を軸線方向Aにずらして配置して、ピストン16の位置に応じてシール部材によってピストンとピストン用孔18との間をシールすることで、フローライン(流体の流れ)の切替が可能になる。
【0059】
また、本実施形態では、バルブ10に流入した流体の吐出口14b,14cを切り替えるものであったが、複数の流入口を設けてバルブ10に流入可能な流入口を切り替えるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のバルブは、環境(例えば、ガス・蒸気・水力タービン、石油精製プラント、天然ガス処理プラント、火力・水力発電プラント、蒸気発電プラント、地熱発電プラント、原子力発電プラント、原子力再処理プラント、泥水プラント、海洋深層水プラント、真空輸送プラント、上下水道、サブシー機器(海底設置用))、科学(例えば、地下探査機器、高温高圧試験水槽)、運輸(例えば、自動車(燃料制御、サスペンション、等)、船舶、航空機、潜水艦、鉄道)、製造(例えば、プラスチック成型、ロボット、射出成型、金属成形、ウォータージェット)、医療(例えば、救助用圧力マット)、半導体(例えば、半導体プラント)、食品(例えば、食品プラント、ソフトアイスクリーム製造器)等の分野での応用が期待できる。
【符号の説明】
【0061】
10…バルブ、12…バルブ本体、14…開口部、16…ピストン、18…ピストン用孔、20…流路、22…連通路、26…プラグ、28…Oリング、30…バックアップリング、36…ブラケット、38…ステッピングモータ、40…リードスクリュー、42…配管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンと、当該ピストンを軸線方向に移動可能に収容するピストン用孔が設けられたバルブ本体とを備えるバルブであって、
前記バルブ本体には、前記ピストンの軸線方向に沿って延びて当該バルブ本体に開口部を有すると共に流体が流れることが可能な複数の流路と、当該流路それぞれと連通すると共にピストンの軸線方向において互いに異なる位置においてピストン用孔と連通する複数の連通路とが設けられており、
前記ピストンには、当該ピストンと前記ピストン用孔との間をシールすると共にピストン用孔における複数の連通路との連通部分の間隔に応じた間隔で設けられる少なくとも2つのシール部材が設けられ、
前記ピストンにおける前記シール部材の間の外面と前記ピストン用孔との間には隙間があるバルブ。
【請求項2】
前記バルブ本体のピストン用孔には、前記連通路との連通部分に溝が設けられている請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記複数の連通路それぞれは、前記ピストン用孔に対して30度〜70度の角度で接続されている請求項1又は2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記複数の連通路それぞれは、前記バルブ本体の外面とピストン用孔とを貫通する孔を前記バルブ本体の外面側の開口を溶接されたプラグで塞いだ構成となっている請求項1〜3の何れか一項に記載のバルブ。
【請求項5】
前記ピストンにおける前記シール部材の間には窪みが設けられている請求項1〜4の何れか一項に記載のバルブ。
【請求項6】
前記シール部材は、OリングとOリングの両側に設けられたバックアップリングとを含んで構成されている請求項1〜5の何れか一項に記載のバルブ。
【請求項7】
前記ピストンは、低摩耗性及び硬度を向上させる表面処理がなされている請求項1〜6の何れか一項に記載のバルブ。
【請求項8】
前記ピストンを軸線方向に移動させる駆動部を更に備える請求項1〜7の何れか一項に記載のバルブ。
【請求項9】
前記駆動部は、リードスクリューを介してピストンを移動させるステッピングモータである請求項8に記載のバルブ。
【請求項1】
ピストンと、当該ピストンを軸線方向に移動可能に収容するピストン用孔が設けられたバルブ本体とを備えるバルブであって、
前記バルブ本体には、前記ピストンの軸線方向に沿って延びて当該バルブ本体に開口部を有すると共に流体が流れることが可能な複数の流路と、当該流路それぞれと連通すると共にピストンの軸線方向において互いに異なる位置においてピストン用孔と連通する複数の連通路とが設けられており、
前記ピストンには、当該ピストンと前記ピストン用孔との間をシールすると共にピストン用孔における複数の連通路との連通部分の間隔に応じた間隔で設けられる少なくとも2つのシール部材が設けられ、
前記ピストンにおける前記シール部材の間の外面と前記ピストン用孔との間には隙間があるバルブ。
【請求項2】
前記バルブ本体のピストン用孔には、前記連通路との連通部分に溝が設けられている請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記複数の連通路それぞれは、前記ピストン用孔に対して30度〜70度の角度で接続されている請求項1又は2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記複数の連通路それぞれは、前記バルブ本体の外面とピストン用孔とを貫通する孔を前記バルブ本体の外面側の開口を溶接されたプラグで塞いだ構成となっている請求項1〜3の何れか一項に記載のバルブ。
【請求項5】
前記ピストンにおける前記シール部材の間には窪みが設けられている請求項1〜4の何れか一項に記載のバルブ。
【請求項6】
前記シール部材は、OリングとOリングの両側に設けられたバックアップリングとを含んで構成されている請求項1〜5の何れか一項に記載のバルブ。
【請求項7】
前記ピストンは、低摩耗性及び硬度を向上させる表面処理がなされている請求項1〜6の何れか一項に記載のバルブ。
【請求項8】
前記ピストンを軸線方向に移動させる駆動部を更に備える請求項1〜7の何れか一項に記載のバルブ。
【請求項9】
前記駆動部は、リードスクリューを介してピストンを移動させるステッピングモータである請求項8に記載のバルブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−108552(P2013−108552A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252902(P2011−252902)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504194878)独立行政法人海洋研究開発機構 (110)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504194878)独立行政法人海洋研究開発機構 (110)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]