説明

バルーンカテーテル用高強度低コンプライアンス複合バルーン

【課題】カテーテル固定用改良型膨張バルーンを提供する。
【解決手段】バルーンは、拘束構造部材が固定されたエラストマー外皮を備えている。拘束構造部材により、萎んだときの直径であるDdeflと膨張したときの直径であるDinflとの間で、径方向に膨張する。最小膨張圧を、選択されたエラストマーのDinflとDinflに基づいて算出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテルに関し、より詳細には、所定圧を加えると所定の直径まで膨張するエラストマーバルーンに関する。
【背景技術】
【0002】
バルーンカテーテルが、この業界で知られている。このようなカテーテルは、狭窄した血管の拡張、ステントや他のインプランの配置、血管の一時的な閉鎖などの、種々の医療処置で使用される。
【0003】
典型的な用途では、バルーンを脈管系の所望位置まで進める。次いで、医療手順に従って、バルーンを圧力で膨張させる。その後、バルーンから圧力を取り除き、バルーンを収縮させ、カテーテルを抜取れるようにする。バルーンを、圧力を加えると簡単に膨張するが、圧力を取り除くと容易に収縮するゴム弾性材料(エラストマー材料)で形成しなければならないことが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような処置は、非侵襲性であると考えられ、しばしば、患者の体の組織破壊を最小にする方法で行われる。その結果、カテーテルは、しばしば、処置する部位から離れた場所から挿入される。例えば、冠動脈血管形成術では、バルーンカテーテルを、患者の鼠蹊部大腿動脈から挿入し、次いで、その脈管系を通して、患者の冠動脈領域まで進めるのが一般的である。これらのカテーテルは、X線を通さないマーカを備え、処置を行う医師が、患者の身体内でのカテーテルの進み具合をモニタできるようになっているのが一般的である。しかしながら、医師が、カテーテルのバルーン部分を見ることができないので、医師が気づかないうちに、バルーンが膨らみ過ぎることがある。
【0005】
カテーテルのバルーンの膨らみ過ぎを制御して制限するいくつかの試みがなされている。1つの改良型バルーンが、米国特許第4、706、670号明細書に開示されている。'670特許のバルーンは、カテーテルチューブに沿っており、連続的で、互いに繰り返し交差する螺旋フィラメントで補強されている。
【0006】
このフィラメントは、埋め込まれた又は柔軟なプラスチック材料内に覆われた組紐として形成されている。このフィラメントは、バルーンに圧力を加える前に、バルーン部分のフィラメントが、バルーンの軸線に対して54.73°の中立角(neutral angle)より小さい角度になるように、配置されている。バルーンが膨張するにつれて、バルーン壁におけるフィラメントの角度は、上述の中立角に近づく。この中立角は、バルーンの円周方向の応力が、バルーンの軸線方向の応力と釣り合い、カテーテルの内圧が増加してもバルーンの直径がそれ以上大きくならない平衡点である。
【0007】
理想的な条件では、バルーンは、補強繊維が中立角に達したとき、その最大直径に達する。しかしながら、材料の制約、および、エラストマー(込む弾性材料)と補強繊維の間の相互作用により、バルーンの現実の性能は変化する。例えば、補強繊維は、いくらか伸びる性質を有するので、フィラメントが中立角に達した後でも、バルーンは膨張し続ける。さらに、バルーンを繰り返し膨張・収縮させていると、バルーンに使われている補強繊維が柔らかくなり、バルーンは膨張させたときに膨らみすぎてしまう。補強繊維とバルーンとは、バルーンに望ましくない捩れモーメントを生じさせるように相互作用することがある。さらには、バルーンのゴム弾性により、補強繊維の間の領域で、バルーンを“隆起”させてしまうこともある。
【0008】
したがって、予め定められた最大膨張直径を有する補強エラストマーバルーンに対するニーズがある。この最大膨張直径は、バルーンの圧力が増大しても、一定である必要がある。さらに、この最大膨張直径は、バルーンを繰り返し膨張・収縮させても、一定である必要がある。最大膨張直径にするために必要な圧力は、選択されたエラストマーと、膨張し且つ膨張していないバルーンの直径とに基づいて、算出可能である。さらに、補強構造は、膨張工程中、この補強構造間とエラストマーとの間で伝えられる望ましくない力を減少させるような形に形成される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来技術の要求に応じてなされた本発明は、カテーテルを固定するバルーンを提供する。このバルーンは、膜厚がtであり、内部に加えられる最小作動圧Pによって、膨張していない直径Ddeflか膨張した直径Dinflまで膨張する、ほぼ中空の圧力膨張可能なエラストマー本体を備えている。このエラストマー本体は、
sec =σ(εinfl)/εinfl
で規定される正割モジュラスEsecを有し、ここで、σ(εinfl)は、εinflの関数として、エラストマーの名目の単軸応力であり、
εinfl=Dinfl/Ddefl
である。
【0010】
バルーンは、さらに、エラストマーに付けられた実質的に非従順な膨張可能な拘束構造部材を備えている。この拘束構造部材は、本体が最大直径Dinflまで膨張するのを制限し、本体をDinf1未満の直径まで膨張させるのに必要な前記最小作動圧Pは、式
(P・Ddefl)/(2Esec・t)≧1
で規定される。
【0011】
好ましい1実施例では、ASTM D412−87に従って測定したとき、500%伸びで、Esecが約7MPaである。拘束構造部材は、破断伸びが約10%未満で引っ張り強度が約1GPaより大きい繊維で形成されているのが好ましい。
【0012】
この結果、本発明のバルーンは、J基準と称する基準が満たされたとき、完全に膨張しかつ非従順である。この基準は、加えられた圧力が、名目直径での対応する純粋なエラストマーリングでの単軸応力(uiaxial tension)と釣り合うという条件で、バルーンは実質的に完全に膨張するということを示している。したがって、S−S曲線、エラストマー材質、バルーン設計が示す伸びの程度およびバルーン外皮の膜圧に基づいて、最小膨張圧を容易に算出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に示されるように、カテーテル10は、同心的に配置されたチューブ12、14を備えている。内側チューブであるチューブ12は、カテーテルの近位端(図示せず)から、カテーテルの遠位端まで延びている。チューブ12には、ガイドワイヤ(図示せず)を挿通するルーメン(管腔)18が設けられている。外側チューブであるチューブ14もまた、カテーテルの近位端から延びているが、遠位端16から距離D1だけ離れた位置で終わっている。内側チューブ12の外周面と外側チューブ14の内周面との間に、カテーテルの近位端から延びている膨張ルーメン20が形成されている。
【0014】
エラストマー外皮で形成されたバルーン22が、カテーテルのチューブに取付けられている。図示のように、バルーンの近位端は、チューブ14の外周部分に取付けられ、一方、バルーンの遠位端は、チューブ12の外周部分に取付けられている。バルーン12は、完全に膨張した状態で図示されている。バルーンの内部と流体連通している膨張ルーメン20により、バルーンを(膨張していない)直径Ddeflから(完全に膨張した)直径Dinflまで膨張させることができる。
【0015】
図2および図3に示すように、拘束構造部材26がエラストマー外皮24に取付けられている。構造部材26は、埋め込まれているか、あるいは、エラストマー外皮24に付けられているのが好ましい。この拘束構造部材26は、バルーンのDdeflからDinflへのバルーンの拘束されない膨張を許容するが、バルーンが、Dinflを超えて径方向に膨張することを効果的に抑制する。
【0016】
構造部材26は、螺旋状に延びる繊維(ファイバ)28で形成されているのが好ましい。また、これらの繊維は、連続的なモノフィラメントで形成されているのが好ましい。アラミド、ポリエチレン、鋼、ポリエステル、ガラス、カーボンおよびセラミックスなどが好ましい材料である。VECTRANのような、液晶ポリマで作られた繊維が特に好ましい。好ましい実施例では、フィラメントは、約15μm未満の厚さを有し、バルーン壁を、容量で約20%から約50%、構成する。
【0017】
本明細書に援用する米国特許4、706、670号明細書に開示されているように、補強繊維システムを、埋め込んでも、あるいは、バルーンのエラストマー外皮に包み込ませてもよい。これらの繊維は、バルーン全体で、螺旋状に延びている。繊維は、バルーンに圧力を加えられていないときに、繊維が、バルーンの軸線に対して54.73°の中立角(neutral angle)より小さい角度になるように、位置決めされている。図2は、バルーン22が、加圧されていない状態を示して、したがって、角度θ1は、中立角より小さい。図3は、バルーン22が、加圧されている状態を示して、したがって、角度θ2は、中立角に等しい。
【0018】
(バルーンの膨張のため)繊維のシステムが径方向に膨張するにつれて、繊維は、上述の中立角に達するまで、互いに対して再配向する(向きを変える)。この時点で、拘束構造部材24は、バルーンの円周方向の応力が、バルーンの軸線方向の応力と釣り合う平衡点に達する。より詳細には、構造部材24は、(図3に示すように)最大径方向膨張状態に達する。拘束構造部材24は、バルーン外皮に付けられているので、バルーンがそれ以上径方向に膨張するのを防止する。
【0019】
バルーン外皮がないと、繊維それ自体は、最小内圧で、中立角に向いている。
エラストマー外皮が取付けられると、外皮が、いくらか、中立角に再配向する繊維の能力を妨害する。その結果、過去においては、バルーンが完全に膨張した時を決定すること、より詳細には、エラストマーに求められる弾性を予測し、そのようなエラストマーが、再配向している繊維にネガティブ(消極的)に衝撃を与える(作用する)ことなしに、適当に膨張させることは困難であった。
【0020】
繊維28は、バルーン膨張の初期段階では、剛体運動を受け、即ち、繊維は、単に、交差点で、再配向する。繊維は、バルーンの初期膨張中、エラストマー外皮に、見えていないのが理想的である。繊維とバルーンの長手方向軸線との間の角度が、中立角に達するように、繊維が再配向すると、繊維は、平衡状態になる。この時点で、繊維は、加重を受け、エラストマー外皮の効果がバルーンに見えるようになる。バルーン内の初期作動圧の増加が拘束構造部材24をさらに径方向に膨張させないだけの、非伸長性が繊維にあるのが理想的である。理想的に従順なエラストマー外皮と理想的に剛性の繊維を有するバルーンの膨張特性を図4に示す。
【0021】
完全に膨張したバルーンは、繊維のコンプライアンス(従順性)によって、本質的に決定されるコンプライアンスを有する。このため、剛性繊維を使用すると、バルーンは完全膨張状態で、ノンコンプライアント(非従順)になる。1つの実施例では、繊維を、エラストマーの剛性の数倍の大きさを有するように設計している。
【0022】
剛性の相違は、バルーンの部品の独立した動きに対して望ましいが、バルーンと繊維の構造に応じて、エラストマーバルーンに、望ましくない捩れモーメントを与えることがある。より詳細には、複数の螺旋補強繊維が取付けられている従来のバルーンでは、典型的には、繊維が、一の螺旋が他の螺旋から径方向に離れている、(反対方向に渦巻いている)交差螺旋(crossing helices)に配置されている。バルーンが膨張すると、外層は、一方向への引っ張り荷重を受け、一方、内層は、他の方向への荷重を受ける。この結果、2つの螺旋の間の仮想中間面(midplane)に対して、バルーンの膨張中、2つの螺旋間で捩れモーメントが発生する。この結果、弾性マトリクス、即ち、バルーン外皮が、望ましくなく捩れを受け、材料の破損を生じる。
【0023】
釣り合いがとれない螺旋によって生じる捩れモーメントを最小するために、本発明の1実施例では、繊維補強材が、組まれた(braid)、編まれた(knitted)、或いは織られた(woven)繊維の単一層であって、所望の補強が可能であり且つエラストマー材料の破損の危険を除去できる単一層であるのが好ましい。この繊維補強材は、3以上の螺旋状の延びる繊維層であってもよい。
【0024】
例えば、補強材は、4層の螺旋状の延びるフィラメントを含んでも良い。内側の層と外側の層は、同じ方向に巻き付けられ、2つの中間層は、反対方向に巻き付けられている。
さらに、補強材は、3層の螺旋状の延びるフィラメントを含んで、内側の層と外側の層が同じ方向に巻き付けられ、中間層が、反対方向に巻き付けられるとともに二倍の厚さを有するものでもよい。
上記の複層構造のいずれの場合にも、螺旋は、層間の仮想中間面に対して釣り合うように構成されている。
【0025】
上述したように、バルーン22の外皮は、内部に作動圧が加えられたとき、容易に膨張するエラストマー材料で形成されていることが好ましい。このエラストマー材料は、十分に弾性を有し、膨張圧がバルーンから除かれるときには、容易に収縮するような材料であるべきである。さらに、エラストマー材料は、繊維28間の領域で、“隆起”するほど可撓性であってはならない。
【0026】
バルーンを完全に膨張させるのに必要な最小圧力を、バルーン外皮に使われているエラストマーと、バルーンの所定最大膨張直径と、膨張していないバルーンの直径とに基づいて決定して、バルーンカテーテルを製造できることが発見された。その結果、特定のバルーンカテーテルを選択する医師に、最小膨張圧が通知される。したがって、医師は、バルーンが所定最小膨張圧で膨張すると、バルーンが完全に膨張したことを確信する。
【0027】
さらに、医師は、バルーンが膨張し過ぎることを心配する必要がない。従来のバルーンカテーテルでは、バルーンが完全に膨張する最小圧膨張圧は、容易に予測できなかった。その結果、バルーンを実際に完全な作動直径まで確実に膨張させるため、加圧し過ぎる傾向があった。このため、i)所定の最大作動直径を超えたバルーンの過膨張、ii)バルーン構造体が柔らかくなり且つ延びてしまい、次回のバルーン膨張のときに過膨張になること、iii)破裂の危険が生じる可能性がある。
【0028】
エラストマーの構造上の性質の影響を計量するために、J基準(J criteria)と名付けられ基準を示す。この基準は、完全に充足されたとき、バルーンが実質的に完全に膨張されかつ従順でなくなることが確かな圧力範囲の、下限(下方ブラケット)を規定する。この基準は、加えられた圧力が、名目直径での対応する純粋なエラストマーリングでの単軸応力(uiaxial tension)と釣り合うという条件で、バルーンは実質的に完全に膨張するということを示している。換言すると、一定のバルーンの設計では、J基準は、それより大きいとバルーンが完全に膨張し、したがって、従順でない繊維がバルーンを非従順にする、無次元の圧力を決定する。これ故、この基準は、エラストマー材料のS−S曲線と、バルーン設計が処方する伸びの大きさ、バルーン外皮の厚さおよび作動圧範囲に関連する。
【0029】
特に、そのJ要素が1以上であるようにしてバルーンが製造されているなら、完全膨張に必要な最小圧は、以下のように規定される:
J=(P・Ddefl)/(2Esec・t)≧1
ここで、Pは単位MPaで表されたの内部作動圧、Ddef1は単位mmで表された膨張していないバルーンの直径、tは単位mmで表されたバルーン外皮の厚さ、そして、Esecはエラストマーの正割モジュラス(secant modules)である。
【0030】
特定エラストマーのS−S曲線は、機械試験によって決定される。ASTM D412−87で、断面積が判っているストリップを、引張り試験する。引っ張り力が、ストリップの伸びの関数として、決定される。この値をもとに、(初期断面積で割られた力である)通常の膨張応力σと、相対伸びεとが算出される。
【0031】
次いで、2つのパラメータの間の関係を示す曲線を用意する。図5に示すようなS型曲線が作られるのが典型的である。この曲線のある点に対応する相対伸びに於ける正割モジュラスは、原点からその点を通る直線の傾きから、決定される。
【0032】
数学的には、正割モジュラスEsecは、以下のように規定されている。
sec =σ(εinfl)/εinfl
ここで、σ(εinfl)は、εinflの関数として、エラストマーの通常の単軸テンションであり、そして、
εinfl=Dinfl/Ddefl
ここで、Dieflは膨張したバルーンの所定最大膨張直径であり、Ddef1は膨張していないバルーンの内径である。
もし、マトリクス材料が、2以上のエラストマー、例えばNエラストマーなら、正割モジュラスは、下記の等式に基づいて計算される:
【数1】

ここで、iは、エラストマーの数iであり、Vi/Vtotalが前記コンポーネントの容量端数(volume fraction)を示す。
【0033】
好ましい実施例では、ASTM D412−87で測定したとき、エラストマー材料が、500%の伸びで、7Mpaより小さい正割モジュラスを有する。内部作動圧は、約0.4Mpaないし約1.2Mpaの範囲内であるのが好ましい。
【0034】
例 J基準を使用を例示するために、ある特定バルーンの膨張特性を、以下に示す:
バルーンカテーテルは、膜厚tが0.2mmであり、1.6MPaのEsec、Ddeflが1.58mm、Dinflが9.8mmのJ基準を有する。繊維は、破断伸び(elongation to break)が3%未満である。1.2MPaの作動圧が提案されている。
【0035】
Jの値が1以上になる最小膨張圧Pは、以下のように算出される。
(P・1.58)/(2・1.6・0.2)≧1、 P=0.4MPa
したがって、提案されている作動圧1.2MPaでは、完全に膨張し且つ従順でないバルーンとなる。上記バルーンの膨張特性すなわち直径対Jを、図6に示す。0.4MPaに対応するJ≧1では、完全直径は5%内で達成されることが判る。J基準にしたがって、0.4MPaから1.2MPaの範囲の作動圧をラベル(提案)し、この範囲内での非従順性を主張(明示)することは意味がある。
【0036】
図面に沿って本発明の実施例を説明してきたが、本発明がこれらの実施例に限定されるものでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、変形が当業者によってなされることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】カテーテルの遠位端の断面図である。
【図2】膨張していない状態でのバルーンのエラストマー外皮の一部の図面である。
【図3】膨張した状態でのバルーンのエラストマー外皮の一部の図面である。
【図4】理想的なバルーンの直径と圧力の関係をグラフにしたものである。
【図5】所定のエラストマーにおける、応力と長さの関係をグラフにしたものである。
【図6】所定のバルーンにおける、無次元の直径と無次元の圧力の関係をグラフにしたものである。
【符号の説明】
【0038】
10 カテーテル
12 内側チューブ
14 外側チューブ
18 ルーメン(管腔)
20 膨張ルーメン
22 バルーン
24 エラストマー外皮
26 拘束構造部材
28 維(ファイバ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルを固定するためのバルーンであって、膜厚がtであり、内部に加えられる最小作動圧Pによって、膨張していない直径Ddeflか膨張した直径Dinflまで膨張する、中空の圧力膨張可能なエラストマー本体を備え、該エラストマー本体が、
sec =σ(εinfl)/εinfl
正割モジュラスEsecを有し、ここで、σ(εinfl)は、εinflの関数として、エラストマー本体の名目の単軸応力であり、
εinfl=Dinfl/Ddefl
であり、且つ、
前記バルーンは、前記エラストマー本体に付けられた非伸縮性の膨張可能な拘束構造部材を備え、前記拘束構造部材は、10%未満の破断伸びと1GPaより大きい引っ張り強度を有し、アラミド、ポリエチレン、鋼、ポリエステル、ガラス、カーボン、セラミックス、及び液晶ポリマからなるグループから選択された繊維で形成され、該拘束構造部材は、前記エラストマー本体の膨張を最大直径Dinf1に制限し、前記エラストマー本体をDinf1を越えない直径まで膨張させるのに必要な前記最小作動圧Pが、等式
J=(P・Ddefl)/(2Esec・t)≧1
で規定されるバルーン。
【請求項2】
前記拘束構造部材が、前記エラストマー本体内にもたらされる捩れモーメントと釣り合うように位置決めされた、複数の螺旋状に渦巻く層を備えている請求項1記載のバルーン。
【請求項3】
前記螺旋状に渦巻く層が、前記層の間の仮想中間面に対して、対称に配置されている請求項2記載のバルーン。
【請求項4】
前記拘束構造部材が、螺旋状に延びる内側層および外側層と、螺旋状に延びる2つの中間層を備え、前記内側層および外側層が、一の方向に巻かれ、前記中間層が反対方向に巻かれている請求項3記載のバルーン。
【請求項5】
前記拘束構造部材が、螺旋状に延びる内側層、外側層、および、中間層を備え、
前記内側層および外側層の巻き方向が、前記中間層の巻き方向とは、反対方向であり、前記中間層の厚さが、前記内側層および前記外側層の厚さの2倍である請求項2記載のバルーン。
【請求項6】
前記拘束構造部材が、繊維を組み、編み、又は織ることにより形成された単一層を備えている請求項1記載のバルーン。
【請求項7】
前記拘束構造部材が、前記繊維を組むことによって形成された単一層である請求項4記載のバルーン。
【請求項8】
ASTM D412−87に従って測定したとき、500%伸びで、Esecが7MPaである請求項1記載のバルーン。
【請求項9】
前記繊維が液晶ポリマから形成されている請求項1記載のバルーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−253800(P2008−253800A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163541(P2008−163541)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【分割の表示】特願平9−501711の分割
【原出願日】平成8年6月7日(1996.6.7)
【出願人】(594197377)ミードックス メディカルズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】