バルーンディセッションを用いて経皮的に減圧治療を施すシステム
【課題】骨の損傷や骨の成長促進には用いられる減圧治療システムを提供する。
【解決手段】組織部位に減圧組織治療を行うための減圧送達システム811であって、内側スペース873を有し、圧縮状態と弛緩状態をとることができる不透過性膜871と;複数のフローチャネルを有し、不透過性膜の内側スペース内に配置されたマニホールドと;を具え、不透過性膜の内側スペース内の圧力が、不透過性膜の外側の圧力より低く、不透過性膜内のマニホールドが占めるスペースの体積を小さくする。
【解決手段】組織部位に減圧組織治療を行うための減圧送達システム811であって、内側スペース873を有し、圧縮状態と弛緩状態をとることができる不透過性膜871と;複数のフローチャネルを有し、不透過性膜の内側スペース内に配置されたマニホールドと;を具え、不透過性膜の内側スペース内の圧力が、不透過性膜の外側の圧力より低く、不透過性膜内のマニホールドが占めるスペースの体積を小さくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に組織の成長に関し、より具体的には、組織部位に減圧組織治療を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
減圧治療なしでは治癒が遅いか治癒しない柔組織の創傷に、減圧治療が頻繁に行われるようになった。通常、負圧は創傷部位に連続気泡発泡体を通して適用され、これが負圧を分散するマニホールドとして作用する。連続気泡発泡体はそこにある創傷に合致するよう形作られ、創傷に接触するよう配置され、創傷が治り始めて小さくなるにつれより小さな発泡体片へと定期的に取り替えられる。発泡体のセル内へ成長する組織の量を最小限にするために、連続気泡発泡体を頻繁に交換する必要がある。組織が有意に成長すると、発泡体の除去時に患者に痛みが発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
減圧治療は通常、治癒していない、開いた創傷に適用される。いくつかのケースでは、治療される組織は皮下にあり、別のケースでは組織は皮膚内または皮膚の組織である。従来、減圧治療は主に柔組織に適用された。減圧治療は、アクセスが難しいため、通常は閉じ深層組織には用いられない。さらに、主にアクセスの問題のため、減圧治療は骨の損傷や骨の成長促進には用いられない。減圧治療のために骨を手術で露出させるのは、解決というより問題が生じる。最後に、減圧治療を施す装置やシステムは、手で治療部位に適合するよう形成され所定期間の減圧治療の後に除去される連続気泡発泡体を越える進歩がない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
現存の創傷治癒システム及び方法の問題は、本発明のシステムと方法によって解決される。本発明によれば、組織部位に減圧を与える減圧送達システムが提供されている。この減圧送達システムは、少なくとも二つの管腔を有するマニホールド送達チューブと、複数の流路を有するマニホールドを具える。このマニホールドは、マニホールド送達チューブの第1の管腔内に配置されている。内側空間を有し、しぼんだ位置と膨張した位置をとることができるバルーンが設けられている。このバルーンの内側空間は、マニホールド送達チューブに流体的に連結されている。
【0005】
本発明の別の実施例によれば、内側空間を有する不透過性膜を有する減圧送達システムが提供されている。この不透過性膜は、圧縮された位置と弛緩した位置をとることができる。複数の流路を有するマニホールドが、この不透過性膜の内側空間内に配置されている。不透過性膜の内側空間内の減圧は、不透過性膜の外側の圧力より低く、不透過性膜内のマニホールドによって閉めるスペースの体積を低減している。
【0006】
本発明の更に別の実施例によれば、少なくとも一の通路と遠位端を有するマニホールドを具える減圧送達システムであって、当該遠位端を組織部位近傍に配置することができる減圧送達システムが提供されている。複数の流路を有するマニホールドは、マニホールド送達チューブの経路を通って組織部位に送達されるように構成されている。不透過性膜が、このマニホールド送達チューブの遠位単に位置するように提供されている。不透過性膜は内側空間を有しており、拡張位置と折りたたみ位置のうちの少なくとも一方をとることができる。
【0007】
本発明のその他の目的、特徴、利点は、図面と以下の詳細な説明を参照して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
この特許または出願書類は、1以上のカラー図面を含む。本特許または特許出願公開のカラー図面のコピーは、請求および必要な費用の支払いにより庁から提供される。
【図1】図1は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの斜視図であり、減圧送達装置は、可撓性バリヤから延びて複数の流路を構成する複数の突起を有する。
【図2】図2は、図1の減圧送達装置の正面図である。
【図3】図3は、図1の減圧送達装置の平面図である。
【図4A】図4Aは、図1の減圧送達装置の側面図であり、この減圧送達装置は管腔が1とつしかない減圧送達チューブを具える。
【図4B】図4Bは、図1の減圧送達装置の代替実施例の側面図であり、この減圧送達装置は管腔が2つある減圧送達チューブを有する。
【図5】図5は、図1の減圧送達システムの拡大斜視図である。
【図6】図6は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの斜視図であり、この減圧送達システムは、脊椎部および一対の羽根部を有する可撓性バリアに取り付けられた多孔性材料を具え、この多孔性材料は複数の流路を有する。
【図7】図7は、図6の減圧送達装置の正面図である。
【図8】図8は、図7の減圧送達装置のXVII−XVII線でとった側部断面図である。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施例にかかる減圧送達装置の小面断面図である。
【図8B】図8Bは、図8Aの減圧送達システムの側面図である。
【図9】図9は、本発明の一実施例にかかる減圧送達装置の正面図であり、患者の骨に減圧組織治療を適用するのに用いられる。
【図10】図10は、ウサギの頭蓋部における未処置の損傷のない骨の組織部分をカラーで示す図である。
【図11】図11は、ウサギの頭蓋部のカラー組織図であり、減圧組織治療を行った後に組織が粒状となる状態を示す。
【図12】図12は、ウサギの頭蓋部のカラー組織図であり、減圧治療処置の後に新しい骨が堆積した状態を示す。
【図13】図13は、ウサギの頭蓋部のカラー組織図であり、減圧治療処置を行った後に新しい骨が堆積した状態を示す。
【図14】図14は、ウサギの頭蓋部のカラー写真であり、2つの臨界寸法の欠陥が頭蓋部に形成されている状態を示す。
【図15】図15は、図14のウサギの頭蓋部のカラー写真であり、リン酸カルシウムの骨格が臨界寸法の欠陥部位に挿入され、ステンレススチールのスクリーンが第2の臨界寸法の欠陥部位に被せられている。
【図16】図16は、図14のウサギの頭蓋部のカラー写真であり、減圧組織治療を臨界寸法の欠陥部位に適用している。
【図17】図17は、減圧組織治療語のウサギの頭蓋部のカラー組織図であり、この組織図はリン酸カルシウムの骨格内に新しい骨の堆積を示している。
【図18】図18は、図15の骨格が装填された臨界寸法の欠陥部位のX線写真であり、6日間の減圧組織治療を施し術後2週間おいた状態である。
【図19】図19は、図15の骨格が装填された臨界寸法の欠陥部位のX線写真であり、6日間の減圧組織治療を施し術後12週間おいた状態である。
【図20】図20は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの正面図であり、減圧送達システムは、減圧送達装置を組織部位へ皮膚に挿入するのに用いるマニフォールド送達チューブを具える。
【図21】図21は、図20のマニホールド送達チューブの拡大正面図であり、このマニホールド送達チューブは、圧縮状態にある可撓性バリアおよび/または多孔性材料を有する減圧送達装置を具える。
【図22】図22は、図21のマニホールド送達チューブの拡大正面図であり、減圧送達装置の可撓性バリアおよび/または多孔性材料がマニホールド送達チューブに押された後で展開状態にある。
【図23】図23は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達システムは、減圧送達装置を組織部位に皮膚を通して挿入するのに用いるマニホールド送達チューブを具え、この減圧送達装置はマニホールド送達チューブの外側であるが圧縮状態の負浸透膜により圧迫されている状態にある。
【図24】図24は、図23の減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達装置はマニホールド送達チューブの外側であるが弛緩状態の負浸透膜により圧迫されている状態にある。
【図25】図25は、図23の減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達装置はマニホールド送達チューブの外側であるが展開状態の負浸透膜により圧迫されている状態にある。
【図25A】図25Aは、図23の減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達装置はマニホールド送達チューブの外側であるが展開状態の負浸透膜で囲われている状態にある。
【図26】図26は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達システムは、減圧送達装置を組織部位に皮膚を通して挿入するのに用いるマニホールド送達チューブを有し、減圧送達装置はマニホールド送達チューブの外側であるが粘着シールを有する不浸透膜により圧迫された状態にある。
【図26A】図26Aは、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの正面図を示す。
【図27】図27は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達システムは、減圧送達装置を組織部位に皮膚を通して挿入するのに用いるマニホールド送達チューブを有し、減圧送達装置はマニホールド送達チューブの外側であるが粘着シールを有する不浸透膜により圧迫された状態にある。
【図27A】図27Aは、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達システムは、減圧送達装置を組織部位に配置された不浸透膜に皮膚を通して挿入するのに用いるマニホールド送達チューブを有する。
【図28】図28は、本発明の一実施例にかかる、組織部位に減圧組織治療を施す方法のフローチャートである。
【図29】図29は、本発明の一実施例にかかる、組織部位に減圧組織治療を施す方法のフローチャートである。
【図30】図30は、本発明の一実施例にかかる、組織部位に減圧組織治療を施す方法のフローチャートである。
【図31】図31は、本発明の一実施例にかかる、組織部位に減圧組織治療を施す方法のフローチャートである。
【図32】図32は、本発明の一実施例にかかる減圧送達装置の正面断面図であり、この減圧送達装置は、股関節プロテーゼ周囲の骨の領域に減圧をかけるための複数の流路を有する股関節プロテーゼを具える。
【図33】図33は、図32の股関節プロテーゼの正面断面図であり、当該股関節プロテーゼ周囲の骨の領域に流体を送達する第2の複数の流路を具える。
【図34】図34は、本発明の一実施例にかかる減圧組織治療を用いて患者の関節を治療する方法のフローチャートである。
【図35】図35は、本発明の一実施例にかかる減圧送達装置の正面断面図であり、この減圧送達装置は、近くの骨の領域に減圧をかけるための複数の流路を有する外科的固定装置を具える。
【図36】図36は、図35の外科的固定装置の正面断面図であり、当該外科的固定具に近接する骨の領域に流体を供給する第2の複数の流路を具える。
【図37】図37は、本発明の一実施例にかかる減圧組織治療を用いた骨の欠陥を治療する方法のフローチャートである。
【図38】図38は、本発明の一実施例にかかる、組織部位に減圧組織治療を施す方法のフローチャートである。
【図39】図39は、本発明の一実施例にかかる、組織部位に減圧組織治療を施す方法のフローチャートである。
【図40】図40は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図41】図41は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図42】図42は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図43】図43は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図44】図44は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図45】図45は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図46】図46は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図47】図47は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図48】図48は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図49】図49は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの斜視図および平面断面図であり、この減圧送達システムは、減圧送達チューブに一体的に接続された主マニホールドを具える。
【図50】図50は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの斜視図および平面断面図であり、この減圧送達システムは、減圧送達チューブに一体的に接続された主マニホールドを具える。
【図51】図51は、図40−50の主マニホールドの斜視図であり、骨の組織部位に副マニホールドをとともに用いられている状態を示す。
【図52】図52は、本発明の一実施例にかかる、第2の導管に流体接続されたバルブを有する減圧送達システムの概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の好適な実施例の詳細な説明では、その一部を構成する添付図面であって本発明を適用しうる特定の好適な実施例の図面を参照する。これらの実施例は、当業者が本発明を実施しうるよう十分に詳細に記載されており、他の実施例を用いてもよく、本発明の意図または範囲を逸脱することなく理論的構造、機械的、電気的、および化学的な変更を施せることを理解されたい。当業者が本発明を実施する必要がない詳細を避けるべく、説明では当業者に既知の特定の情報を省略している。以下の説明は、このため、限定の意味で把握すべきではなく、本発明の範囲は添付のクレームによってのみ限定される。
【0010】
本書において、「ゴム状(elastomeric)」の語は、エラストマー性質を有することをいう。「ゴム状」の語は、一般にはラバー状性質を有するポリマー材料をいう。より具体的には、大抵のエラストマーは100%より大きい伸長率と、有意な量の弾力性を有する。ある材料の弾力性とは、その材料のゴム状変形からの回復能をいう。エラストマーの例は、限定しないが、天然ゴム、ポリイソプレン、ブタジエンスチレンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン酸ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン、およびシリコンを含む。
【0011】
本書において、「可撓性の(flexible)」の語は、撓んだり曲げたりできる物体または材料をいう。ゴム状材料は通常は可撓性であるが、本書における可撓性材料の語はエラストマーのみには限定されない。本発明の材料や減圧送達装置に関して「可撓性」の語を用いる場合、通常は組織部位の形にぴったり合致する材料の性質をいう。例えば、骨の欠陥を治療するのに用いられる減圧送達装置の可撓性により、欠陥のある骨の部分の周りに装置を巻くか折ることができる。
【0012】
本書において、「流体」の語は通常気体または液体をいうが、限定しないがゲル、コロイド、および発泡体などの他の流動材料を含んでもよい。
【0013】
本書において、「不浸透性」の語は通常、膜、カバー、シート、または液体や気体の透過を遮断または低減する他の物質をいう。不浸透性とは、カバー、シート、または液体の透過を沮止する他の膜であって、気体が透過する膜について用いられてもよい。ある不浸透膜は液密であってもよいし、この膜は単に全部または特定の液体の透過量を低減させるだけでもよい。「不浸透性」の語の使用は、例えば特定のWVTR(water vapor transfer rate)などの、ある不浸透膜の不浸透性が特定の工業基準以上または以下であることを意味するものではない。
【0014】
本書において、「マニホールド」の語は通常、組織部位へ減圧をかけ、流体を送達し、または流体を除去するのを補助するための物体または構造をいう。マニホールドは通常、マニホールド周囲の組織の領域に供給され除去される流体の供給を改善すべく相互接続された複数の流路または通路を具える。マニホールドの例は、限定しないが、流路、連続気泡発泡体、多孔性組織集合体、および液体などの多孔性発泡体、ゲル、および流路を有するか硬化させて有する発泡体を含む。
【0015】
本書において「減圧」の語は通常、治療対象となる組織部位における周囲気圧より低い圧力をいう。殆どの場合、この減圧は患者が位置する場所の大気圧より低い。代替的に、この減圧は、組織部位における組織の水圧より低い。「真空」および「負圧」の語を組織部位に適用される圧力の説明として用いている場合でも、組織部位に現実にかけられる圧力は完全な真空とされる圧力より低い。減圧により最初に、チューブおよび組織部位の領域で流体流が発生する。組織部位周辺の水圧が所望の減圧に近づくにつれ、流れは静まり、そして減圧が維持される。他に明示しない限り、本書における圧力の値はゲージ圧である。
【0016】
本書において「骨格(scaffold)」の語は、細胞の成長および/または組織形成を増進または促進するのに用いられる物質または構造をいう。骨格は通常、細胞成長のテンプレートを提供する三次元の多孔性構造体である。この骨格は、細胞、発育因子、および他の細胞成長促進物質を浸漬、コーティング、または含んでなる。骨格は、組織部位に減圧組織治療を施すための本書に記載する実施例にかかるマニホールドとして用いられてもよい。
【0017】
本書において「組織部位」の語は、様々な組織またはその内部の創傷または欠陥をいい、限定しないが、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、関節組織、軟骨、腱、または靱を含む。「組織部位」の語はさらに、創傷または欠陥がある必要のない様々な組織の範囲を含んでもよいが、代わりにさらなる組織の成長の追加または促進が望まれる範囲をいう。例えば、減圧組織治療は、採取され他の組織場所に移植された追加の組織を成長させるための特定の組織領域に用いられてもよい。
【0018】
図1−5を参照すると、本発明の原理に係る減圧送達装置または羽根マニホールド211が、脊椎部215および一対の羽根部219を有する可撓性バリア213を具える。各羽根部219は、脊椎部215の両側に沿って配置されている。脊椎部215は、羽根マニホールド211の全体に延在し、または延在しないアーチ溝223を形成している。この脊椎部215は、羽根部219の幅が等しくなるよう羽根マニホールド211の中心に配置されているが、脊椎部215は図1−5に示すようにオフセットさせて、一方の羽根部219が他方の羽根部219より幅広くなるようにしてもよい。一方の羽根部219を幅広くすると、羽根マニホールド211を骨の再生または治療に用いるときに有効であり、幅広い羽根マニホールド211を骨に取り付けた固定金具の周りに巻くことができる。
【0019】
可撓性バリア213は、例えばシリコンポリマなどのエラストマー材料で形成されることが好ましい。適切なシリコンポリマの例は、カリフォルニア州CarpinteriaのNusil Technologiesが製造するMED−6015を含む。しかしながら、この可撓性バリア213は、他の生体適合性の可撓性材料で作成されてもよい。この可撓性バリア213は、可撓性バリア213に強度と耐久性を付加する可撓性支持材227を包んでいる。この可撓性バリア213の形成にシリコンポリマを用いる場合、シリコン接着剤を用いて可撓性支持材227と接着させることができる。シリコン接着剤の一例は、Nusil Technologiesが販売するMED−1011を含んでもよい。可撓性支持材227は、アリゾナ州テンペのC.R.Bardが製造するポリエステルニット生地で構成されることが望ましい。しかしながら、この可撓性支持材227は、可撓性バリア213に強度と耐久性を付加する様々な生体適合性の可撓性材料で構成してもよい。特定の環境下では、可撓性バリア213が適切な強度材料で構成される場合、可撓性支持材227を省略してもよい。
【0020】
可撓性バリア213または可撓性支持材227のいずれかを、液体、空気、または他の気体を不透過としてもよく、あるいは、可撓性支持材227と可撓性バリア213の双方を液体、空気、および他の気体を不透過としてもよい。
【0021】
可撓性バリア213と可撓性支持材227はまた、減圧送達装置211の使用後に患者の身体から取り去る必要がない生体吸収性材料で構成されてもよい。適切な生体吸収性材料は、限定しないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)の混合ポリマを含む。この混合ポリマはまた、限定しないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトンを含んでもよい。可撓性バリア213と可撓性支持材227はさらに、新たな細胞成長用の骨格や、可撓性バリア213と可撓性支持材227に用いて細胞成長を促進するのに用いる骨格材料として作用してもよい。適切な骨格材料は、限定しないが、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コラルヒドロキシアパタイト、炭酸塩、または処理された同種移植片材料を含む。この骨格材料は高空隙率であることが好ましい(すなわち、空気含有率が高い)。
【0022】
可撓性バリア213は、可撓性バリア213の表面の羽根部219から延びる複数の突起213を具える。これらの突起213は、各突起231の少なくとも一部が可撓性支持材213の側部において突起231が取り付けられた平面と異なる平面内にある限り、円筒形、円錐形、半球形、四角形、または他の様々な形状であってよい。この観点では、特定の突起231は別の突起231と同じ形状または寸法である必要はなく、実際、突起231は異なる形状と寸法のランダムミックスを含んでもよい。その結果として、各突起231が可撓性バリア213から延びる距離は変わってもよいが、複数の突起231で均一であってもよい。
【0023】
可撓性バリア213に突起231を設けると、突起の間に複数の流路233が作成される。突起231が均一の形状および寸法で可撓性バリア213上に等間隔である場合、流路233が突起231間で均一に作成される。寸法、形状、突起231間の距離を変化させると、流路233の寸法や流動特性が変化する。
【0024】
減圧送達チューブ241がアーチ溝223内に配置されており、図5に示すように、可撓性バリア213に取り付けられている。この減圧送達チューブ241は、可撓性バリア213または可撓性支持材227のみに取り付けられてもよいし、このチューブ241は可撓性バリア213と可撓性支持材227の双方に取り付けられてもよい。減圧送達チューブ241は、チューブ241の遠位端部に遠位口243を具える。このチューブ241は、遠位口243がアーチ溝223のいずれかの地点に沿うように配置されるが、好適にはこのチューブ241は、遠位口243がアーチ溝223の縦の長さのほぼ中央地点に沿って位置するように配置される。この遠位口243は、チューブ241の長軸に対して90°以下に配向する面に沿ってチューブ241をカットすることにより、楕円形またはオーバル形に構成されることが望ましい。遠位口243は円形でもよいが、遠位口243を楕円形とすると突起231間に形成される流路233との流体接続が大きくなる。
【0025】
減圧送達チューブは、好適にパラリンコート(paralyne-coated)されたシリコンまたはウレタンでなる。ただし、様々な医療グレードのチューブ材を用いて減圧送達チューブ241を構成してもよい。チューブをコーティングする他のコーティングは、ヘパリン、坑凝結剤、坑フィブリノゲン、坑粘着剤、坑トロンビノゲン、および親水性コーティングを含む。
【0026】
一実施例では、減圧送達チューブ241はまた、遠位口243とともに、あるいは代わりに、あるいは遠位口243に追加して減圧送達チューブ241と流路233間の流体接続を増大させるべく、減圧送達チューブ241に沿って設けられたベント開口またはベント口251を具える。この減圧送達チューブ241は、図1−5に示すように、アーチ溝223の長軸の一部のみに沿って配置されてもよいし、あるいは、アーチ溝223の長さ全体に沿って配置されてもよい。減圧送達チューブ241がアーチ溝223の長さ全体を占めるよう配置される場合、チューブ241と流路233間の流体接続のすべてがベント開口251を通してなされるよう遠位口243に蓋がされる。
【0027】
減圧送達チューブ241はさらに、チューブ241の近位端部に近位口255を具える。この近位口255は、図9を参照してより詳細に後述する減圧源に適合するよう構成される。図1−3、4A、5に記載の減圧送達チューブ241は、1の管腔または流路259のみを有する。しかしながら、減圧送達チューブ241は、図4Bに示すようにデュアル管腔チューブ261のように複数の管腔を有してもよい。このデュアル管腔チューブ261は、第1の管腔263と第2の管腔265を有する。デュアル管腔チューブを用いると、減圧送達チューブ241の近位端部と流路233の間の流体接続に異なる経路を提供することができる。例えば、デュアル管腔チューブ261を用いると、減圧源と流路233間の接続を第1の管腔263で達成することができる。第2の管腔265は、流路233流体を導入するのに用いることができる。この流体はフィルタされた空気または他の気体、抗菌剤、坑ウィルス剤、細胞成長促進剤、洗浄剤、化学的活性剤、または他の流体である。複数の流体を異なる流体接続通路を通して流路233に流したい場合、減圧送達チューブに2より多い管腔を設けてもよい。
【0028】
図4Bを参照すると、水平デバイダ271が、減圧送達チューブ261を第1と第2の管腔263、265に分割しており、これにより第1の管腔263が第2の管腔265の上に配置される。第1および第2の管腔263、265の相対位置は、管腔263、265と流路233の間でどのように流体接続がなされるかにより変更してもよい。例えば、図4Bに示すように第1の管腔263が配置される場合、ベント開口251と同様のベント開口を設けて流路233との流体接続を可能にする。図4Bに示すように第2の管腔263が配置される場合、第2の管腔263は遠位口243と同様の遠位口を通って流路233に流体接続される。代替的に、管腔を垂直デバイダで分割して減圧送達チューブに複数の管腔を隣り合わせに配置してもよいし、管腔を同心円状または共軸で構成してもよい。
【0029】
この技術分野の当業者にとって、個々の流路または流体接続の構成は、上述のように複数の管腔を設けることを含め、多数の異なる方法で実現可能であることは明白であろう。代替的に、単一管腔のチューブを他の単一管腔のチューブとくっつけたり、単一または複数管腔の異なるくっつけないチューブを用いてもよい。
【0030】
異なるチューブを用いて流路233への異なる流路または液体接続を実現する場合、脊椎部215は、各チューブに1つずつ、複数のアーチ溝233を具えてもよい。あるいは、複数のチューブに合わせてアーチ溝223を大きくしてもよい。流体供給チューブとは別個の減圧送達チューブを有する減圧送達装置の実施例が、図9を参照してより詳細に後述される。
【0031】
図6−8を参照すると、本発明の原理にかかる減圧送達装置または羽根マニホールド311が、脊椎部315と一対の羽根部319とを有する可撓性バリア313を具える。各羽根部319は、脊椎部315の両側に沿って配置されている。脊椎部315は、羽根マニホールド311の長さ全体に延在するか、全体には延在しないアーチ溝323を構成している。この脊椎部315は羽根マニホールド311の中心に、すなわち羽根部319の寸法が等しくなるよう配置されてもよいが、脊椎部315は図6−8に示すようにオフセットさせて、一方の羽根部319が他方の羽根部319より幅広くなるようにしてもよい。一方の羽根部319を幅広くすると、羽根マニホールド311を骨の再生または治療に用いるときに有効であり、幅広い羽根マニホールド311を骨に取り付けた固定金具の周りに巻くことができる。
【0032】
多孔性材料327が可撓性バリア31に取り付けられ、これは可撓性バリア313の表面全体をカバーし脊椎部315と両方の羽根部319に亘って延在する単一ピース材料として設けられる。この多孔性材料327は、可撓性バリア313側に配置される取り付け面(図6には示さず)と、取り付け面とは反対側の主流通面329と、複数の周面330とを具える。
【0033】
一実施例では、可撓性バリア313は、可撓性バリア213と同様であって可撓性支持材を具えてもよい。多孔性材料327を可撓性バリア313に取り付けるには接着剤が好適な方法であるが、可撓性バリア313と多孔性材料327は他の様々な適切な取り付け方法で取り付けてもよいし、治療現場でユーザが組み立てるようにしてもよい。可撓性バリア313および/または可撓性支持材は、液体や空気その他の気体などの流体伝達に対する不浸透性バリアとして作用する。
【0034】
一実施例では、可撓性バリアと可撓性支持材は、多孔性材料327の後ろに個別に設けられないでもよい。むしろ、多孔性材料327は、当該多孔性材料327の不浸透部分である一体型のバリア層を具えてもよい。このバリア層は、流体の通過を妨げるクローズドセル材料で形成され、可撓性バリア313の代わりをなす。多孔性材料327と一体型のバリア層を用いる場合、このバリア層は、可撓性バリア313に関して上述した脊椎部と羽根部を具えてもよい。
【0035】
可撓性バリア313は、例えばシリコンポリマなどのエラストマー材料で形成されることが好ましい。適切なシリコンポリマの例は、カリフォルニア州CarpinteriaのNusil Technologiesが製造するMED−6015を含む。しかしながら、この可撓性バリア313は、他の生体適合性の可撓性材料で作成されてもよい。可撓性バリアが可撓性支持材を包含あるいはそうでなくても組み込んでいる場合、可撓性支持材は、アリゾナ州テンペのC.R.Bardが製造するBard6013といったポリエステルニット生地で構成されることが望ましい。しかしながら、この可撓性支持材227は、可撓性バリア213に強度と耐久性を付加する様々な生体適合性の可撓性材料で構成してもよい。
【0036】
一実施例では、多孔性材料327は連続気泡(open-cell)の、網状のポリエーテルウレタン発泡体で、気孔のサイズは約400−600ミクロンの範囲である。この発泡体の一例は、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.が製造するGranuFoamを含む。この多孔性材料327はまた、ガーゼ、フェルト状マット、または三次元で複数のチャネルを通して流体接続を実現する他の様々な生体適合材料であってもよい。
【0037】
この多孔性材料327は、主として複数のセルが隣接するセルに連通した「オープンセル」材料である。多孔性材料327の「オープンセル」間に複数の流路が形成される。この流路により、連続気泡を有する多孔性材料の部分に亘って流体接続がなされる。これらのセルや流路は形状および寸法において均一であってもよいし、形状と寸法がパターン化またはランダムに変化してもよい。多孔性材料327のセルの形状・寸法を変化させると流路に変化が生じ、このような特性を多孔性材料327を通る流体の流動特性を変化させるのに利用することができる。この多孔性材料327はさらに、「クローズドセル」を有する部分を具えてもよい。これらの多孔性材料327のクローズドセル部分は、大部分が隣接するセルと流体接続されていない複数のセルを有する。クローズドセル部分の一例は、可撓性バリア313に代用される上述のバリア層である。同様に、このクローズドセル部分は、選択的に多孔性材料327内に設けられて、多孔性材料327の周面330を通る流体透過を防ぐことができる。
【0038】
可撓性バリア313と多孔性材料327はまた、減圧送達装置311の使用後に患者の身体から取り去る必要がない生体吸収性材料で構成されてもよい。適切な生体吸収性材料は、限定しないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)の混合ポリマを含む。この混合ポリマはまた、限定しないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトンを含んでもよい。可撓性バリア313と可撓性支持材327はさらに、新たな細胞成長用の骨格や、可撓性バリア313、可撓性支持材327、および/または多孔性材料327に用いて細胞成長を促進するのに用いる骨格材料として作用してもよい。適切な骨格材料は、限定しないが、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コラルヒドロキシアパタイト、炭酸塩、または処理された同種移植片材料を含む。この骨格材料は高空隙率であることが好ましい(すなわち、空気含有率が高い)。
【0039】
減圧送達チューブ341がアーチ溝323内に配置されており、可撓性バリア313に取り付けられている。この減圧送達チューブ341はまた多孔性材料327に取り付けられてもよいし、多孔性材料327のみがある場合には、減圧送達チューブ341は多孔性材料327のみに取り付けられてもよい。減圧送達チューブ341は、チューブ341の遠位端部に図5の遠位口243と同様の遠位口343を具える。この減圧送達チューブ341は、遠位口343がアーチ溝323のいずれかの地点に沿うように配置されるが、好適には、アーチ溝323の縦の長さのほぼ中央地点に沿って位置するように配置される。この遠位口343は、チューブ341の長軸に対して90°以下に配向する面に沿ってチューブ341をカットすることにより、楕円形またはオーバル形に構成されることが望ましい。遠位口は円形でもよいが、遠位口を楕円形とすると多孔性材料327内の流路との流体接続が大きくなる。
【0040】
一実施例では、減圧送達チューブ341はまた、図5のベント開口251と同様のベント開口またはベント口(図示せず)を具える。このベント開口は、遠位口343の代わりに、あるいは遠位口343に追加して設けられ、減圧送達チューブ341と流路間の流体接続をさらに増大する。上述したように、減圧送達チューブ341は、アーチ溝323の長軸の一部のみに沿って配置されてもよいし、アーチ溝323の長さ全体に沿って配置されてもよい。減圧送達チューブ341がアーチ溝323の長さ全体を占めるよう配置される場合、チューブ341と流路間の流体接続のすべてがベント開口を通してなされるよう遠位口343に蓋がされる。
【0041】
好適には、多孔性材料327は、減圧送達チューブ341を覆って直接接触する。この多孔性材料327は、減圧送達チューブに連結されてもよいし、あるいはこの多孔性材料327は単に可撓性バリア313に取り付けられてもよい。減圧送達チューブ341がアーチ溝323の中間部にのみ延在するよう配置された場合、多孔性材料327もまた可撓性バリア313の脊椎部315においてアーチ溝323が減圧送達チューブ341を含まない領域に接続される。
【0042】
減圧送達チューブ341はさらに、チューブ341の近位端部に近位口355を具える。この近位口355は、図9を参照してより詳細に後述する減圧源に適合するよう構成される。図6−8に記載の減圧送達チューブ341は、1の管腔または流路359のみを有する。しかしながら、減圧送達チューブ341は、図4Bで説明したよう複数の管腔を有してもよい。複数管腔のチューブを用いると、上述のように、減圧送達チューブ341の近位端部と流路の間の流体接続に異なる経路を提供することができる。これら流体接続の別個の管腔は、流路と接続する単一または複数の管腔を有する別個の複数のチューブにより実現されてもよい。
【0043】
図8A、8Bを参照すると、本発明の原理に基づく減圧送達装置371が、遠位端部377に延長部分375を有する減圧送達チューブ373を具える。この延長部分375は好ましくは、減圧送達チューブ373の曲率に合致するようアーチ形である。この延長部部ぬ375は、減圧送達チューブ373の遠位端部373を一部除去することにより構成され、このため肩部383を有する切り欠き381を形成している。複数の突起385が減圧送達チューブ373の内面387に設けられ、突起385間に複数の流路391が形成される。これらの突起385は、図1−5を参照して述べた突起と同様に寸法、形状、間隔が等しくてもよい。減圧送達装置371は、切り欠き381内に受けられる結合組織に減圧送達して組織再生させるのに特に適している。この減圧送達装置371で治療される非限定的な組織は、靭、腱、軟骨である。
【0044】
図9を参照すると、本書における他の減圧送達装置と同様の減圧送達装置411が、例えば患者の人骨415などの組織部位413に減圧組織治療を施すのに用いられている。骨組織の成長促進に用いる場合、減圧組織治療により骨折、偽関節、空洞、その他の骨の欠陥の治療速度が速くなる。さらに、減圧組織治療は骨髄炎からの回復を改善するのに利用できると信じられている。この治療はさらに、骨髄炎に罹っている患者における骨の欠陥を局所化させるのに用いられる。最後に、減圧組織治療は、例えば股関節インプラント、膝インプラント、および固定器具といった整形インプラントの骨統合(osteointegration)を加速し改善するのに用いることができる。
【0045】
図9を参照すると、減圧送達装置411は、減圧源427に接続された近位端部421を有する減圧送達チューブ419を具える。この減圧源427はポンプか、減圧送達チューブ419と前記減圧送達装置411に設けられた複数の流路とを通して組織部位413に減圧を提供しうる他の装置である。組織部位413への減圧供給は、減圧送達装置411の羽根部を組織部位413の近くに配置することにより実現され、特定の実施例は骨415の空洞欠陥429の周りに羽根部を巻くことを含む。この負圧送達装置411は、外科手術または経皮的に挿入される。経皮挿入される場合、減圧送達チューブ419は好適に、患者の皮膚組織を貫通する滅菌された挿入シースを通して挿入される。
【0046】
減圧組織治療を施すと、組織部位413の周囲領域の組織が粒状化する。粒状組織は体内で組織の回復に先立ち形成されるものである。通常の環境では、粒状組織は異物への反応または創傷の治癒時に形成される。粒状組織は通常、健康な組織復元のための骨格として作用し、さらにいくつかの瘢痕組織を発育させる。粒状組織は高度に血管化され(vascurilized)、減圧により高度に血管化された組織の成長および成長速度の増進により、組織部位413における新たな組織の成長が促進する。
【0047】
図9を再び参照すると、流体供給チューブ431が減圧送達装置411の流路の遠位端部に流体接続されている。この流体供給チューブ431は、流体供給源433に流体接続された近位端部432を有する。組織部位に送られる流体が空気である場合、空気は好適にフィルタ434により濾過され、これは0.22μmの小ささの粒子を濾過して空気を清浄し滅菌する。組織部位413への空気の導入は、特に組織部位413が皮膚表面のすぐ下にある場合、組織部位413の良好な排気(drainage)を促進するために重要であり、これにより減圧送達チューブ419の障害が低減あるいは防止される。流体供給チューブ431と流体供給源433はまた、組織部位413へ他の流体を提供しても良く、これは限定しないが抗菌剤、坑ウィルス剤、細胞成長促進剤、洗浄液、または他の化学的活性剤を含む。皮下挿入する場合、流体供給チューブ431は好適に、患者の皮膚組織を貫通する滅菌挿入シースに挿入される。
【0048】
流体供給チューブ431には圧力センサ435が機能的に接続され、流体供給チューブ431が血液その他の体液で詰まっていないかが示される。この圧力センサ435は流体供給源433にも機能的に接続してフィードバックを提供し、これにより組織部位413への流体供給量が制御される。チェックバルブ(図示せず)が流体供給チューブ431の遠位端部近辺に機能的に接続され、流体供給チューブ431に血液その他の体液が入るのが防止される。
【0049】
減圧送達チューブ419により提供される独立した流体接続路は多様な異なる方法で実現することができ、例えば図4Bで上述した単一または複数の管腔を具えるチューブを設けることを含む。当業者であればセンサ、バルブ、その他の流体供給チューブ431に付随する要素は、複数管腔のチューブを用いる場合に減圧送達チューブ419の特定の管腔にも同様に設けてもよいことを理解するであろう。組織部位に流体接続される様々な管腔またはチューブを坑閉塞剤でコートして、管腔またはチューブ内の体液または血液の堆積を防止することが望ましい。管腔またはチューブをコートする他のコーティングは、限定しないが、ヘパリン、坑凝結剤、坑フィブリノゲン、坑粘着剤、坑トロンビノゲン、および親水性コーティングを含む。
【0050】
図10−19を参照すると、減圧組織治療を骨組織に適用した場合の試験の肯定的な結果が示されている。ある特定の試験では、減圧組織治療を複数のウサギの頭蓋部に適用し、骨の成長および再生における効果を判定した。この試験の目的は、頭蓋に欠陥や外傷のなりウサギに対する減圧組織治療の効果と、頭蓋に大きなサイズの欠陥を有するウサギへの減圧組織治療の効果と、頭蓋の大きなサイズの欠陥への減圧組織治療で骨格材料を用いた場合の効果と、を確認することにある。特定の試験のプロトコルおよびウサギの数は以下の表1に示されている。
【0051】
大きなサイズの欠陥は、組織(例えば頭蓋部)の欠陥であり、生来の回復力のみでは治癒しないほど大きいものである。ウサギに対して頭蓋の厚さ全体に直径約15mmの穴を開けて、大きなサイズの頭蓋の欠陥とする。
【0052】
より具体的に図10を参照すると、ウサギの頭蓋のそのままの無傷の骨の組織部分が示されている。頭蓋骨の骨組織がマゼンダ色、周囲の柔組織が白に着色され、骨膜の層が黄色のアステリスクでハイライトされている。図11は、ウサギの頭蓋骨に6日間の減圧組織治療を施してすぐに組織を採取したものである。骨と骨膜が見え、粒状組織が発生している。図12は、ウサギの頭蓋骨に6日間の減圧組織治療を施し、直後に組織を採取したものである。図12の組織断面では、粒状組織の下に新たな骨の組織が発生している。この骨組織は黄色のアステリスクでハイライトされている。図13は、ウサギの頭蓋骨に6日間の減圧組織治療を施し、直後に組織を採取したものである。新しい骨と骨膜が見える。減圧組織治療に対応する骨組織の発育は、非常に若い動物の非常に早い成長や新たな骨の堆積といった骨の発育に組織学上みられるものに非常に似ている。
【0053】
より具体的に図14−19を参照すると、いくつかの写真と組織断面により、大きな寸法の欠陥を有するウサギの頭蓋骨への減圧組織治療の方法および結果が示されている。図14は、2つの大きな欠陥が形成されたウサギの頭蓋骨が示されている。この厚さ全体の大きな寸法の欠陥は、直径約15mmである。図15では、ステンレススチールのスクリーンを一方の大きなサイズの欠陥の上に配置し、第2の大きなサイズの欠陥にリン酸カルシウムの骨格を配置している。図16では、本書に開示したものと同じ減圧組織治療装置を用いて大きなサイズの欠陥に減圧をかけている。各欠陥に適用される圧力の量は−125mmHgゲージ圧である。減圧は、表1にリストされたいずれか1のプロトコルに従って適用される。図17では、6日間の減圧組織治療を施し術後12週間経った頭蓋骨の組織断面を示す。図示した断面は、赤い矢印で示すリン酸カルシウムの骨格を含んでいる。減圧組織治療の適用により新たな骨組織の成長が著しくなり、これが図17に黄色のアステリスクでハイライトされている。骨の成長の量は、同じリン酸カルシウムの骨格を含むが減圧組織治療を施していない大きなサイズの欠陥よりはるかに大きい。この観察は、 新たな骨が多数生じる反応を顕在化するのに必要な治療のレベルまたは期間の閾値が存在することを示唆している。減圧組織治療の効果は、術後12週間の試料で最も顕著となり、減圧組織治療が新たな骨の形成の増進を導く生体学的事象のカスケードを起こさせることを示している。
【0054】
欠陥内に骨格材料を入れないがステンレススチールのスクリーンでカバーされた大きなサイズの欠陥(図15)は、新たな骨の成長を最小限とした動物間コントロールとして作用する。これらのデータは、適切な骨格材料と、骨格の統合および生体学的パフォーマンスへの減圧組織治療の有利な効果をハイライトしている。図18、19では、骨格を装填したサイズの大きな欠陥に6日間の減圧組織治療を施した後のX線写真である。図18は、術後2週間の欠陥を示し、骨格内の新たな骨の堆積を示している。この骨格の主な構造は未だ明白である。図19は、術後12週間の欠陥であり、サイズの大きな欠陥が殆ど治癒しており、組織の統合すなわち骨格基質内で新たな骨が形成されることにより主骨格の構造がほぼ完全に失われている状態を示す。
【0055】
図20を参照すると、本発明の位置実施例にかかる減圧送達システム711が、患者の組織部位713に減圧組織治療を施している。この減圧送達システム711は、マニホールド送達チューブ721を具える。マニホールド送達チューブ721はカテーテルやカニューレであり、マニホールド送達チューブ721が組織部位713へ案内されうるように操縦ユニット725およびガイドワイヤ727といった構造体を具える。ガイドワイヤ727およびマニホールド送達チューブ721の配置および方向付けは、内視鏡検査、超音波、蛍光透視法、聴診、触診、または他の適切な位置決め技術により実現される。マニホールド送達チューブ721は、減圧送達装置から患者の組織部位713へ皮下挿入することにより配置される。皮下挿入する場合、好適にはマニホールド送達チューブ721は患者の皮膚組織を貫通する滅菌挿入シースを通して挿入される。
【0056】
図20において、組織部位713は、患者の骨733の骨折部731に近い骨組織を含む。マニホールド送達チューブ721は患者の皮膚735および骨733の周囲の柔組織739を通して挿入される。上述したように、組織部位713はまた様々な他の種類の組織を含んでもよく、例えば限定しないが脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、間接組織、軟骨組織、腱、または靱帯を含む。
【0057】
図21、22を参照すると、減圧送達システム711がさらに描かれている。マニホールド送達チューブ721は、患者の皮膚735と柔組織739に通しやすいようにテーパ形の遠位端部を具える。このテーパ形の遠位端部743はさらに、この遠位端部743の内径がチューブ721の他の部分の内径と実質的に等しいか大きくなるよう、半径方向外側に撓むよう構成されてもよい。この遠位端部743が開いた状態が、図21に点線737で示されている。
【0058】
マニホールド送達チューブ721はさらに、減圧送達装置761または他の減圧送達装置が内包される通路751を具える。この減圧送達装置761は、図6−8に関して説明したのと同様の可撓性バリア765および/または多孔性材料767を具える。可撓性バリア765および/または多孔性材料767は、通路751内で減圧送達装置761の断面積を低減するため、減圧送達チューブ769の周りに好適に巻かれ、折られ、あるいは押しつけられている。
【0059】
減圧送達装置761は、通路751内に配置され、マニホールド送達チューブ721遠位端部743を組織部位713に配置した後に組織部位713に案内される。あるいは、減圧送達装置761は、マニホールド送達チューブ721が患者に挿入される前に通路751内に予め配置されていてもよい。減圧送達装置761が通路751を通して圧送される場合、生体適合性の潤滑剤を用いて減圧送達装置761とマニホールド送達チューブ721間の摩擦を低減する。遠位端部743が組織部位713に配置され、減圧送達装置761が遠位端部743に送達されたら、減圧送達装置761が遠位端部743側に押され、遠位端部743が開位置へと放射状外側に拡張する。減圧送達装置761は、好適には組織部位713の近くの空いたスペースへ、マニホールド送達チューブ721の外に押し出される。この空きスペースは、典型的には穿刺手段による柔組織の切開(dissection)により生じる。いくつかの場合、組織部位713は創傷部位に位置し、空隙は創傷の解剖により自然に生じる。他の場合、空隙はバルーンディセクション(balloon dissection)、シャープディセクション、ブラントディセクション、流体ディセクション、気体ディセクション、超音波ディセクション、電気メスディセクション、レーザディセクション、または他の適切な切開技術による。減圧送達装置761が組織部位713の近くの空隙に入ると、減圧送達装置761の可撓性バリア765および/または多孔性材料767は、減圧送達装置761が組織部位713に接触する位置になるよう展開されるか、広げられ、または減圧される(図22参照)。必須ではないが、可撓性バリア765および/または多孔性材料767は減圧送達チューブ769を介して真空または減圧にかけられ、可撓性バリア765および/または多孔性材料767を圧縮してもよい。可撓性バリア765および/または多孔性材料767の展開は、減圧送達チューブ769を解する減圧を緩めてもよいし、減圧送達チューブ769から正の圧力を供給して展開プロセスを補助してもよい。減圧送達装置761の最終的な配置および操作は、内視鏡、超音波、蛍光透視、聴診、触診、または他の適切な位置決め技術により実現する。減圧送達装置761の配置に続き、マニホールド送達チューブ721が好適に患者から除去されるが、減圧送達装置761に付随する減圧送達チューブは皮下で組織部位713に減圧をかけるため体内に残される。
【0060】
図23−25を参照すると、本発明の位置実施例にかかる減圧送達システム811が、遠位端部843の内径がチューブ821の他の部分の内径と実質的に等しいか大きくなるように開状態へと半径方向外側へ撓むテーパ形の遠位端部843を有するマニホールド送達チューブ821を具える。この遠位端部843が開いた状態が、図23−25に点線837で示されている。
【0061】
マニホールド送達チューブ821はさらに、本書に記載の他の減圧送達装置と同様の減圧送達装置861が内包される通路を具える。この減圧送達装置861は、可撓性バリア765および/または多孔性材料767を具え、これは通路内で減圧送達装置861の断面積を低減するため、減圧送達チューブ869の周りに好適に巻かれ、折られ、あるいは押しつけられている。
【0062】
内側空間873を有する不浸透膜871が減圧送達装置861の周囲に配置され、これにより減圧送達装置861は不浸透膜871の内側空間873内に包含される。この不浸透膜871はバルーン、シース、または他の流体の通過を防ぐ様々な種類の膜であってもよく、この不浸透膜871は少なくとも圧縮状態(図23参照)、弛緩状態(図24参照)、および拡張状態(図25、26参照)のいずれかをとることができる。不浸透膜871はマニホールド送達チューブ821に、不浸透膜871の内側空間873がマニホールド送達チューブ821の通路と流体接続するよう、密閉状態で接続される。この不浸透膜871は代替的に、不浸透膜871の内側空間873が減圧送達チューブ869の通路と流体接続するよう減圧送達チューブ869に取り付けられてもよい。代わりに不振とうまく871は内側空間873に流体接続する別個の制御チューブまたは制御管腔に取り付けられてもよい(例えば図25A参照)。
【0063】
一実施例では、通路内における減圧送達装置861の断面積をさらに低減するよう不浸透膜871が設けられてもよい。これを実現すべく、不浸透膜871の内側空間873に、不浸透膜871を取り巻く周辺圧力より低い圧力をかける。内側空間873内の空気または他の流体の有意の部分が吸い出され、不浸透膜871が図23に示す圧縮状態となる。この圧縮状態では、不浸透膜871は内側に収縮し、減圧送達装置861に圧縮力を加えて減圧送達装置861の断面積をさらに低減する。図21、22に関して説明したように、減圧送達装置861は、マニホールド送達チューブ821の遠位端部843を組織部位に配置した後に到達されてもよい。不浸透膜871や減圧送達装置861の配置および操作は、内視鏡、超音波、蛍光透視、聴診、触診、または他の適切な位置決め技術により実現する。不浸透膜871は、除去前に蛍光透視法による可視化を改善するための造影マーカ881を含んでもよい。
【0064】
減圧送達装置861を遠位端部843を通して押した後、減圧を内側空間873にかけ、不浸透膜871が弛緩状態(図24参照)となり、不浸透膜871から減圧送達装置861を容易に取り去ることができる。例えばトロカール、スタイレット、または他の鋭利な器具の除去器具885を用意して、不浸透膜871を破裂させる。好適には、除去器具885は減圧送達チューブ869を通して挿入され、不浸透膜871に接触するまで進められる。不浸透膜871を破裂させた後、除去器具885と不浸透膜871がマニホールド送達チューブ821を通して引き出され、これにより減圧送達装置861の可撓性バリア865および/または多孔性材料867が組織部位に接触するよう配置することができる。内側空間873の減圧を緩めて不浸透膜871を除去すると、可撓性バリア865および/または多孔性材料867が自動的に展開する場合がある。いくつかのケースでは、減圧送達チューブ869を通して正圧をかけて、可撓性バリア8765および/または多孔性材料867の展開を補助してもよい。減圧送達装置861の最終配置の後、マニホールド送達チューブ821が好適に患者から除去されるが、組織部位に皮下で減圧をかけるために、減圧送達装置861に付随する減圧送達チューブ869が体内に残される。
【0065】
不浸透膜871はまた、組織部位に減圧送達装置861を配置する0前に、組織部位の近くの組織を切開するのに用いてもよい。減圧送達装置861および無傷の不浸透膜871をマニホールド送達チューブ821の遠位端部843を通して押した後、空気または他の流体が不浸透膜871の内側空間871に圧送される。液体は圧縮できず不浸透膜871が均一かつしっかりと膨らむため、不浸透膜871を膨らませるのに液体を好適に用いることができる。不浸透膜871は図25に示すように半径方向に、あるいはその製造方法およびマニホールド送達チューブ821への取り付け方法に直接依存して広がる。不浸透膜871が空気または流体の圧力により外側に広がって膨張状態となると(図25参照)、組織部位の近くに空隙が開かれる。この空隙が十分に大きい場合、液体、空気その他の流体は内側空間873から解放されて、不浸透膜871が弛緩状態となる。不浸透膜871はその後、前述のように破裂され、減圧送達装置861が組織部位の近くに挿入される。
【0066】
図25Aを参照すると、最初に不浸透膜871を用いて組織部位の近くの組織を切開し、この不浸透膜871はマニホールド送達チューブ821に密封接続され、これにより内側スペース871がマニホールド送達チューブ821に付属するか取り付けられた第2の管腔またはチューブ891と流体接続する。第2の管腔891は、内部スペース873に液体、気体、または他の流体を供給して不浸透膜871を膨張状態とするのに用いられる。切開の後、不浸透膜871は弛緩され、図24で前述したように破裂される。
【0067】
図26を参照すると、本発明の一実施例にかかる減圧送達システム911が、遠位端部943の内径がチューブ921の他の部分と実質的に等しいか大きくなるような開状態へ半径方向外側に撓むよう構成されたテーパ形の遠位端部943を有する。この遠位端部943の開状態が図26に波線937で示されている。
【0068】
マニホールド送達チューブ921はさらに、本書に記載の他の減圧送達装置と同じ減圧送達装置961が内包される通路951を具える。この減圧送達装置961は、マニホールド送達チューブ921の通路951内で減圧送達装置961の断面積を低減するため、減圧送達チューブ969の周りに好適に巻かれ、折られ、あるいは押しつけられている。
【0069】
内側空間973を有する不浸透膜971が減圧送達装置961の周囲に配置され、これにより減圧送達装置961は不浸透膜971の内側空間973内に包含される。この不浸透膜971は、不浸透膜971の一端部に粘着シール977を具え、不浸透膜971から減圧送達装置961を除去する別の方法を提供している。不浸透膜971は、不浸透膜971の内側空間973がマニホールド送達チューブ921の通路に流体接続するようマニホールド送達チューブ921の他方の端部に密封接続される。代替的に、不浸透膜971は、内側空間973に流体接続する別の制御チューブ(図示せず)に接続されてもよい。
【0070】
図23の不浸透膜871と同様に、不浸透膜971は、不浸透膜971が圧縮状態、弛緩状態、および拡張状態のいずれか1となりうるよう流体移動を防止することができる。不浸透膜971を圧縮状態と拡張状態とする方法が不浸透膜871と同様であるため、減圧送達装置961を取り除く異なるプロセスのみを説明する。
【0071】
減圧送達訴追961は不浸透膜971内の組織部位に送達され、内視鏡、超音波、蛍光透視法、聴診、触診、その他の適切な位置決め技術を用いて正しく配置される。不浸透膜971は、除去前に蛍光透視法による不浸透膜971の可視化を改善するための造影マーカ981を含んでもよい。減圧送達装置961はその後、マニホールド送達チューブ921の遠位端部943を通して押される。内側空間973に減圧をかけて、不浸透膜971が弛緩状態となる。減圧送達装置961はその後粘着シール977を通して押され、不浸透膜971から出る。
【0072】
図26Aを参照すると、本発明の一実施例にかかる減圧送達システム985が、図26のマニホールド送達チューブ921と同じマニホールド送達チューブを有さない。代わりに、減圧送達システム985はガイドワイヤ987と、減圧送達チューブ989と、減圧送達装置991とを具える。減圧送達装置991は、減圧送達チューブ989と流体接続する複数の流路を具える。独立したマニホールド送達チューブを用いて減圧送達装置991を送達する代わりに、減圧送達装置991および減圧送達チューブ989が、組織部位993へと皮膚を通して案内されたガイドワイヤ987上に配置される。好適には、ガイドワイヤ987および減圧送達チューブ989は患者の皮膚を滅菌シースを介して貫通する。減圧送達チューブ989と減圧送達装置991をガイドワイヤ987に沿って案内すると、減圧送達装置991が組織部位993に案内されて減圧組織治療の経皮適用が可能となる。
【0073】
減圧送達装置991が組織部位993への送達時にマニホールド送達チューブに入らないため、減圧送達装置991を送達中に圧縮状態で保持することが望まれる。減圧送達装置991にゴム発泡体を用いる場合、生体適合性の熔解しうる粘着材を発泡体および圧縮発泡体に用いる。組織部位へ到達したら、体液その他の流体を減圧送達チューブ989を通して供給して粘着材を溶融させ、発泡体が膨らんで組織部位に接触するようにする。代替的に、減圧送達装置991は圧縮された乾燥ヒドロゲルで構成される。このヒドロゲルは組織部位993への送達語に水分を吸収し、減圧送達装置991を膨らませる。さらなる別の減圧送達装置991を熱活性材料(例えばポリエチレングリコール)で構成し、組織部位993において患者の体温にさらされたときに膨張するようにしてもよい。さらなる別の実施例では、圧縮された減圧送達装置991を溶解可能な膜に入れて組織部位993に送達してもよい。
【0074】
図27を参照すると、本発明の一実施例にかかる減圧送達システム101が、組織部位1025へのアクセスのために患者の組織に挿入される遠位端部1043を有するマニホールド送達チューブ1021を具える。この組織部位1025は、創傷その他の欠陥に付随する空隙1029を具えるか、代替的に本書に記載の切開技術を含む切開により空隙が形成される。
【0075】
組織部位1025の近くの空隙1029内に遠位端部1043を配置した後、注射式、注入式、または流入式の減圧送達装置1035がマニホールド送達チューブ1021を通して組織部位1025に送達される。この減圧送達装置1035は好適に、組織部位への送達時に流動状態であり、その後、送達後に減圧または流体を分配する複数の流路を形成する。いくつかのケースでは、この流動材料は組織部位への到達後に、乾燥工程、養生行程、または他の科学的あるいは物理的反応により固体状態へと硬化される。別のケースでは、流動材料は組織部位への送達後に生体内で発泡体を形成する。さらに別の材料は、組織部位1025でゲル様状態として存しつつ、複数の流路を有し減圧をかけられるようになっている。組織部位1025へ送達される減圧送達装置1035の量は、空隙1029を部分的または完全に満たすのに十分な量である。減圧送達装置1035は、マニホールドと骨格の双方の態様をもつ。マニホールドとして、減圧送達装置1035は、空隙1029に送達された後に材料内に複数の孔またはオープンセルを有する。この孔またはオープンセルは互いに連通しており、複数の流路を構成する。これらの流路は組織部位1025に減圧をかけて分配するのに用いられる。骨格としては、減圧送達装置1035は生体吸収性であり内部で新たな組織が成長する基盤として作用する。
【0076】
一実施例において、減圧送達装置1035は、例えばNaClまたは他の塩基といったポラーゲン(poragens)を具え、これらは液体や粘性ゲルを通じて分散される。この液体や粘性ゲルが組織部位1025に送達した後に、その材料は空隙1029に適合(conform)して固い状態へと硬化する。体液に触れて溶解した水溶性NaClポラーゲンは、相互接続した孔や流路の構造を残す。この流路に減圧および/流体が供給される。あらなた組織が現れると、この組織は減圧送達装置1035の孔へと成長し、減圧送達装置1035が分解するに伴い終局的には替わりとなる。この特定の実施例では、減圧送達装置1035はマニホールドのみならず、新たな組織の成長のための骨格として作用する。
【0077】
別の実施例では、減圧送達装置1035は、400μmのマンノースビーズを有するアルギン酸塩混合物である。このポラーゲンまたはビーズは、局所的な体液または洗浄または組織部位の減圧送達装置1035に供給される他の流体により溶解する。ポラーゲンまたはビーズの溶解後に、このポラーゲンまたはビーズに占有されていた空間が他の空隙と相互接続した空隙となり、減圧送達装置1035内の流路が形成される。
【0078】
材料内の流路形成にポラーゲンを用いることは効果的であるが、選択したポラーゲンの粒子サイズと殆ど同じサイズに制限された孔や流路が形成される。ポラーゲンの代わりに、化学反応を用いて気体の副産物を形成することにより大きな孔を形成してもよい。例えば一実施例では、組織部位1025に送達される流動材料が重炭酸ナトリウムとクエン酸粒子を含んでもよい(不定比の量を用いる)。流動材料が生体内で発泡体を形成するに伴い、体液が重炭酸ナトリウムとクエン酸の間で酸性反応を起こさせる。得られる二酸化炭素ガス粒子が、ポラーゲン溶解に依存する技術よりも大きな、減圧送達装置1035を通る孔または流路を生成する。
【0079】
減圧送達装置1035の液体または粘性ゲルから固体または発泡体への変質は、pH、温度、光、体液や薬品や組織部位に供給される他の物質との反応によって開始することができる。この変質は、複数の反応成分を混合することによって生じてもよい。一実施例では、減圧送達装置1035は、生体吸収性ポリマからなる生体吸収性のミクロスフェアを選択することにより用意することが好ましい。このミクロスフェアは、フォトイニシエータ(photoinitiator)と、ヒアルロン酸、コラーゲン、またはポリエチレングリコールなどのヒドロゲル発泡材料を光反応群とともに有する溶剤中に分散される。このミクロスフェア−ゲル混合剤は、短期間光にあててヒドロゲルが部分的にクロスリンクし、ミクロスフェアにヒドロゲルを固定する。余分な溶剤が流され、ミクロスフェアが乾燥される。ミクロスフェアは組織部位へと注入または流入により送達され、送達後に、混合剤は水分を吸収し、ヒドロゲルコーティングが水和する。この混合剤はその後再び光にあてられ、ミクロスフェアがクロスリンクして、複数の流路が生成される。クロスリンクされたミクロスフェアは、組織部位へ減圧をかけるマニホールドとして、および新たな組織の成長を促進する骨格として作用する。
【0080】
本書において上述した実施例に加えて、減圧送達装置1035は様々な材料で構成されてもよく、例えば限定しないが、リン酸カルシウム、コラーゲン、アルギン酸塩、セルロース、または気体、液体、ゲル、ペースト、パテ、スラリ、懸濁液、または他の流動材料を含む他の同等材料であって、組織部位と流体接続する複数の流路を構成しうるものを含む。この流動材料はさらに、ビーズのような粒状固体物であって、当該粒状固体物のサイズが十分に小さい場合にマニホールド送達チューブ1021を通って流れるものを含む。流動状態で組織部位に送達される材料は、遺体内で多重化またはゲル化してもよい。
【0081】
前述したように、減圧送達装置1035は、組織部位1025の近くの空隙1029に直接注入または流入されてもよい。図27Aを参照すると、マニホールド送達チューブ1021は、当該マニホールド送達チューブ1021の遠位端部1043に不浸透膜または半浸透膜1051を具えてもよい。この膜1051は、マニホールド送達チューブ1021に取り付けられた第2の管腔1057と流体接続する内側空間1055を有する。マニホールド送達チューブ1021は、ガイドワイヤ1061で組織部位1025へと案内される。
【0082】
減圧送達装置1035は、第1の管腔1057を通して注入または流入されて、膜1051の内側空間1055に充填される。膜1051に流体またはゲルが充填されるにつれ、膜1051は空隙1029を埋めるべく、膜が組織部位1025に接触するように拡大する。膜1051が拡大するのに伴い、膜1051は組織部位1025に隣接するさらなる組織を切開するのに用いられる。膜1051は、不浸透膜である場合、物理的に破裂され除去され、後には組織部位1025と接触する減圧送達装置1035が残される。代替的に、膜1051は、体液で分解する生体吸収性材料や、膜1051へ送達される生体適合溶剤で構成される。膜1051が半浸透性である場合、膜1051は生体内に残される。この半浸透膜1051は、減圧と、可能性のある他の流体を組織部位1025へ送達する。
【0083】
図28を参照すると、組織部位へ減圧組織治療を施す方法1111が、1115にて外科的にマニホールドを組織部位の近くに挿入し、このマニホールドは可撓性バリアから延在する複数の突起を具え、突起間に複数の流路を形成している。1119にてマニホールドが、突起の少なくとも一部が組織部位に接触するよう配置される。1123にて、マニホールドを通して組織部位に減圧がかけられる。
【0084】
図29を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施す方法1211が、1215にてマニホールドを組織部位に皮下挿入する。このマニホールドは、可撓性バリアから延在する複数の突起を具え、突起間に複数の流路を形成している。代替的に、このマニホールドは、内部に複数の流路を具える多孔性材料を具える。あるいは、マニホールドは組織部位へ送達される注入可能または流入可能であって、組織部位へ到達した後に複数の流路を形成する材料で構成されてもよい。1219において、マニホールドは、流路の少なくとも一部が組織部位と流体接続するように配置される。1223にて、マニホールドを介して組織部位に減圧がかけられる。
【0085】
図30を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施す方法1311が、1315にて、通路を有するチューブを患者の組織を通して皮下挿入し、チューブの遠位端部を組織部位の近くに配置する。1319にて、チューブに付属するバルーンが拡張され、組織部位に隣接する組織を切開して空隙が構成される。1323にて、通路を通してマニホールドが送達される。このマニホールドは、可撓性バリアから延在する複数の突起を具え、突起間に複数の流路を形成している。代替的に、このマニホールドは、内部に複数の流路を具える多孔性材料を具えてもよい。あるいは、図27で説明したように、マニホールドは組織部位へ送達される注入可能または流入可能な材料で構成されてもよい。1327において、マニホールドは、流路の少なくとも一部が組織部位と流体接続するように配置される。1331にて、減圧送達チューブまたは他の送達手段を介して組織部位に減圧がかけられる。
【0086】
図31を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施す方法1411が、1415において、通路を有するチューブを患者の組織に皮下挿入し、チューブの遠位端部を組織部位の近くに配置する。1423にて、不浸透シース内でマニホールドが前記通路を通って組織部位へ送達され、1419にて、不浸透シースが当該シースの周辺圧力より低い第1の減圧にかけられる。1427にて、シースは破断されマニホールドが組織部位と接触するよう配置される。1431にて、第2の減圧がマニホールドを通して組織部位にかけられる。
【0087】
図32、33を参照すると、本発明の一実施例にかかる減圧送達装置1511が、患者の既存の大腿骨頭部と置換するための整形外科用の股関節プロテーゼ1515を具える。この股関節プロテーゼは、ステム部1521と頭部1525とを具える。ステム部1521は、大腿骨1517のシャフト内に設けられた通路1529内への挿入のために細長くなっている。多孔性コーティング1535がステム部の周囲に設けられ、これは焼成またはガラス化したセラミックスまたは金属で構成されることが好ましい。代替的に、多孔質の多孔性材料をステム部の周囲に配置してもよい。複数の流路1541がステム部1521または股関節プロテーゼ内に設けられ、これらの流路1541は多孔性コーティング1535と流体接続している。接続ポート1545が流路1541に流体接続しており、このポートは減圧送達チューブ1551と減圧送達源1553に着脱可能に接続するよう構成されている。流路1541は、多孔性コーティングおよび/または移植後の股関節プロテーゼ周囲の骨に減圧をかけるのに用いられる。流路1541は、多孔性コーティング1535と接続するいくつかの側方支線1547に流体接続する主供給ライン1543を具える。この側方支線1545は、図32に示すように主供給ライン1543に垂直に配向されるか、主供給ライン1543に角度をつけて配向される。減圧を供給する代替方法は、空洞の股関節プロテーゼを提供し、このプロテーゼの内側空間を多孔性コーティング1535と流体接続する多孔性材料(好適にはオープンセルの)で充填することである。
【0088】
より具体的に図33を参照すると、股関節プロテーゼ1515はさらに、ステム部1521に第2の複数の流路1561を具え、これが多孔性コーティング1535および/または股関節プロテーゼ1515の周囲の骨に流体を供給する。この流体は濾過された空気または他の気体、抗菌剤、抗ウィルス剤、細胞成長促進剤、洗浄剤、科学的活性剤、その他の流体を含む。股関節プロテーゼ1515周囲の骨に複数の流体を導入することが望まれる場合、追加のパスまたは流体接続が設けられてもよい。接続ポート1565が流路1561に流体接続されており、このポート1565は流体供給チューブ1571および流体供給源1573に取り外し可能に接続するよう構成されている。流路1561は、多孔性コーティング1535に流体接続するいくつかの側方支線1585と流体接続する主供給ライン1583を具えてもよい。側方支線1585は、図33に示すように主供給ライン1583に垂直に配向されるか、主供給ライン1583に角度をつけて配向されてもよい。
【0089】
第1の複数の流路1541への減圧送達と、第2の流路1561への流体供給は、例えば減圧送達チューブ1551および流体供給チューブ1571のように別個のチューブで実現されてもよい。代替的に、本書で前述したように複数の管腔を有するチューブを用いて、減圧送達するのと流体を提供するので別の接続通路にしてもよい。さらに、股関節プロテーゼ1515内で異なる通路または流体接続を設けるのが好ましいが、第1の流路1541は減圧と流体の双方を股関節プロテーゼ151周囲の骨に送達するのに用いることができる。
【0090】
前述したように、骨組織に減圧をかけると、新たな骨組織の成長速度が促進される。股関節プロテーゼ1515を、股関節プロテーゼ周囲の骨の領域に減圧を送達するマニホールドとして用いると、大腿骨の回復が早くなり、股関節プロテーゼ1515が骨とより効率的に統合される。第2の複数の流路1561を設けて、股関節1515周囲の骨を曲げるのに用いると、プロテーゼの周囲の骨を曲げると、プロテーゼ周囲における新たな骨の発生を向上させることができる。
【0091】
選択された期間だけ股関節プロテーゼ1515を通して減圧をかけた後、減圧送達チューブ1551および流体供給チューブ1571は接続ポート1551、1571から切り離され、好適には外科的に皮侵襲性の処置により患者の身体から取り去られる。接続ポート1545、1565とチューブ1551、1571間の接続は、患者の身体の外側からチューブ1551、1571に軸方向の聴力をかけることにより手作業で解除可能な接続である。代替的に、接続ポート1545、1565は生体吸収性か、選択された流体または薬品により溶解可能であり、接続ポート1545、1565を流体または薬品に晒すことによりチューブ1551、1571を解除することができる。チューブ1551、1571はまた、経年により生分解するか特定の薬品または他の物質にさらされることにより分解する活性材料としてもよい。
【0092】
塩圧送達源1553は患者の体外に設けられ、減圧送達チューブ1551に接続されて股関節プロテーゼ1515に減圧を送達する。代替的に、減圧送達源1553は患者の体内に、現場または股関節プロテーゼの近くに埋め込まれてもよい。減圧送達源1553を患者の体内に置くと、皮膚を通して流体接続する必要がなくなる。埋め込まれた減圧送達源1553は、流路1541に機能的に接続された従来のポンプとすることができる。このポンプは、患者の体内に埋め込まれる電池により駆動されるか、ポンプに電気的かつ経皮的に接続された外部電池により駆動されてもよい。このポンプはまた、減圧を送達する化学反応や流路1541、1561を通る流体により直接駆動されてもよい。
【0093】
股関節プロテーゼ1515のステム部1521と頭部1525のみを図32、33に示すが、本書に記載する減圧組織治療をかけるための流路および手段を、例えば寛骨キャップなどの股関節プロテーゼ1515の様々な構成要素に適用してもよい。
【0094】
図34を参照すると、患者の間接を治療する方法1611は、1615において、間接に近接する骨内にプロテーゼを埋め込む。このプロテーゼは上述した股関節プロテーゼであってもよいし、患者の間接の可動性の回復を補助する他の様々なプロテーゼであってもよい。このプロテーゼは、骨と流体接続するよう構成された複数の流路を具える。1619にて、複数の流路を通して減圧がかけられ、プロテーゼの骨結合(osseointegration)を促進する。
【0095】
図35、36を参照すると、本発明の一実施例にかかる減圧送達装置1711が、骨折1719または他の欠陥を有する患者の骨1717を固定するための整形外科的固定器具1715を具える。図35、36に示す整形外科的固定器具1715は、当該整形外科的固定器具1715を骨1717にネジ1725、ピン、ボルト、または他の固定具で固定する複数の通路を有するプレートである。多孔性コーティング1735が整形外科的固定器具1715の骨1717と接触する表面に設けられる。この多孔性コーティングは、焼成またはガラス化したセラミックスまたは金属で構成されることが望ましい。あるいは、多孔性の多孔性材料を骨1717と整形外科的固定器具1715の間に配置してもよい。複数の流路1741が、流路1741が多孔性コーティング1735とルウ対接続するよう整形外科的固定器具1715内に設けられている。接続ポート1745が流路1741に流体接続され、このポートは減圧送達チューブ1751と減圧送達源1753に接続するよう構成されている。流路1741は、整形外科的固定器具1715を骨1717に固定した後に、多孔性コーティング1735および/または整形外科的固定器具1715の周囲の骨に減圧をかけるのに用いられる。流路1741は、多孔性コーティング1735に接続されたいくつかの側方支線1747に流体接続する主供給ライン1743を具えてもよい。この側方支線1747は、図35に示すように主供給ライン1743に垂直に配向されるか、主供給ライン1743に角度をつけて配向される。減圧を供給する代替方法は、空洞の股関節プロテーゼを提供し、このプロテーゼの内側空間を多孔性コーティング1735と流体接続する多孔性材料(好適にはオープンセルの)で充填することである。
【0096】
整形外科的固定器具1715は図35に示すようにプレートであってもよいし、代替的にスリーブ、ブレース、支柱、その他の骨の一部を安定化させるのに用いる装置であってもよい。整形外科的固定器具1715はさらに、プロテーゼまたは他の整形外科的器具や移植組織(骨や軟骨)を取り付けるのに用いる固定具であってもよく、この固定具は当該固定具に隣接するまたは周囲の組織に減圧を送達する流路を具える。これらの固定具の例は、ピン、ボルト、ネジ、または他の様々な適切な固定具を含む。
【0097】
図36をより具体的に参照すると、整形外科的固定器具1715はさらに、整形外科的固定器具1715内に、多孔性コーティング1735および/または整形外科的固定器具1715の周囲の骨に流体を供給する第2の複数の流路1761を具える。この流体は濾過された空気または他の気体、抗菌剤、抗ウィルス剤、細胞成長促進剤、洗浄剤、科学的活性剤、その他の流体を含む。整形外科的固定器具17155周囲の骨に複数の流体を導入することが望まれる場合、追加のパスまたは流体接続が設けられてもよい。接続ポート1765が流路1761に流体接続されており、このポート1765は流体供給チューブ1771および流体供給源1773に接続するよう構成されている。流路1761は、多孔性コーティング1735に流体接続するいくつかの側方支線1785と流体接続する主供給ライン1783を具えてもよい。側方支線1785は、図33に示すように主供給ライン1783に垂直に配向されるか、主供給ライン1783に角度をつけて配向されてもよい。
【0098】
第1の複数の流路1741への減圧送達と、第2の流路1761への流体供給は、例えば減圧送達チューブ1751および流体供給チューブ1771のように別個のチューブで実現されてもよい。代替的に、本書で前述したように複数の管腔を有するチューブを用いて、減圧送達するのと流体を提供するので別の接続通路にしてもよい。さらに、整形外科的固定器具1715内で異なる通路または流体接続を設けるのが好ましいが、第1の流路1741は減圧と流体の双方を股関節プロテーゼ151周囲の骨に送達するのに用いることができる。
【0099】
整形外科的固定器具1715をマニホールドとして、整形外科的固定器具1715に隣接する骨の領域に減圧をかけるのに用いると、骨1717の欠陥1719の回復を加速し促進する。整形外科的固定器具1715の周囲の骨に流体を送るのに第2の複数の流路1761を用いると、整形外科的固定器具1715の近くで新たな骨の生成を改善することができる。
【0100】
図37を参照すると、骨の欠陥を治療する方法1811は、1815にて、整形外科的固定器具を用いる骨を固定する。この整形外科的固定器具は、当該整形外科的固定器具内に設けられた複数の流路を具える。1819にて、複数の流路を通じて骨の欠陥に減圧がかけられる。
【0101】
図38を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施す方法1911は、1915にて、組織部位に複数の流路を有するマニホールドを、少なくとも一部の流路が組織部位に流体接続するよう配置する。1919にて流路を通して組織部位に減圧がかけられ、1923にて流路を通して流体が供給される。
【0102】
図39を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施す方法2011は、2015にて、マニホールド送達チューブの遠位端部を組織部位に隣接配置する。2019にて、マニホールド送達チューブを通じて流体を組織部位に送達する。この流体は組織部位に隣接する空隙に充填され、組織部位に流体接続する複数の流路を有するマニホールドに硬化する。2023にて固体マニホールドの流路を通して組織部位に減圧がかけられる。
【0103】
図40−48を参照すると、減圧送達システム1211は、主流路2121を取り囲む可撓性の壁2117を有する主マニホールドを具える。この可撓性の壁2117は、近位端部2123において減圧送達チューブ2125に接続されている。減圧送達チューブ2125の形状は通常円形の断面であり、主マニホールド2115の形状は円形の断面ではなく(図40−45では四角く、図46−48では三角形)、減圧送達チューブ2125と主マニホールド2115間の移行領域が設けられる。主マニホールド2115は減圧送達チューブ2125に接着されてもよく、例えば溶接や挿入形成などの他の手段を用いて接続されてもよく、あるいは共有押し出し成形により一体的に連結されてもよい。この減圧送達チューブ2125は、主マニホールド2115に減圧を送達して組織部位またはその近くに分配する。
【0104】
閉塞防止部材2135が主マニホールド内に配置され、マニホールド2115の崩壊を防止し、したがって減圧をかけるときに主流路2121の閉塞を防止する。一実施例では、閉塞防止部材2135は、可撓性の壁2117の内面2141に設けられ主流路2121内に延在する複数の突起2137である(図44参照)。別の実施例では、閉塞防止部材2135は内面2141に設けられた単一または複数の隆起2145である(図40、41参照)。さらなる別の実施例では、閉塞防止部材2135は、図47に示すような、主流路内に設けられる発泡材料である。この閉塞防止部材2135は、流路内に挿入可能か可撓性の壁2117と一体構成か取り付けることができる様々な材料や構造体であってもよい。閉塞防止部材2135は、主流路2121を通る流れを維持したまま、可撓性の壁2117全体の崩壊を防止することができる。
【0105】
可撓性の壁2117はさらに、可撓性の壁2117を通り主流路2121に接続する複数の開口2155を具える。この開口2155は、主流路2121への減圧を組織部位へ分配する。開口2155は、マニホールド2115の周囲に選択的に設けて優先的に真空の送達を振り向けてもよい。例えば、図51では、開口は骨に向けて、または下の組織に向けて、あるいはその両方に配置される。
【0106】
減圧送達チューブ2125は好適に、主流路2121に流体接続され主流路2121に減圧を送達する1以上の出口を有する第1の導管2161を具える。第2の導管2163を設けて、主流路2121と第1の導管2161に流体を通して、組織部位から出る創傷の浸出液その他の流体が原因の閉塞を防止または解消してもよい。第2の導管2163は好適に、主流路2121と第1の導管2161の1以上の出口の少なくとも1以上の近くに設けられる1以上の出口を具える。
【0107】
図40、41をより具体的に参照すると、減圧送達システム2111の第2の導管2163は、主流路2121と第1の導管2161をパージする複数の導管を具えてもよい。可撓性の壁2117において減圧送達チューブ2125に取り付けられるのと反対側の端部は、図40に示すように開いていてもよく、可撓性の壁2117の端部にキャップをするとパージ機能の効率と信頼性が改善することが発見された。好適には、可撓性の壁のキャップされた端部と第2の導管2163の間にヘッドスペース2171が設けられる。このヘッドスペース2171は、パージ処理の間にパージ流体を堆積し、パージ流体を流路2121と第1の導管2161に流すのに役立つ。
【0108】
図41はさらに、閉塞防止部材2135として作用するデバイダを示す。この中央配置デバイダは、主流路2121を2つの部屋に分け、一方の部屋が閉塞してパージでも閉塞が解消しない場合に主マニホールド2115の継続動作を可能とする。
【0109】
図49、50を参照すると、減圧送達システム211が、減圧送達チューブ2217と一体構成された主マニホールド2215を具える。減圧送達チューブ2217は、中央管腔2223と複数の副管腔2225とを具える。副管腔2225は組織部位またはその近くの圧力を測定するのに用いられ、この副管腔2225はさらに中央管腔2223の閉塞を防止または解消するためのパージに用いられる。複数の開口2231が中央管腔2223と接続され、中央管腔2223から供給される減圧が分散される。図50に示すように、開口2231は副管腔2225を貫通しない。図50にはさらに、減圧送達チューブのカウンターシンク端部(countersunk end)が示されており、これはヘッドスペース2241が副管腔2225の端部を越えて生成されている。減圧をかける際に組織、骨格、または他の材料が減圧送達チューブ2217の端部に当接しても、このヘッドスペース2241により中央管腔2223に供給される流体を流すことができる。
【0110】
運用時、図40−50の減圧送達システム2111、2211は組織部位に直接適用され、組織部位に減圧を送達する。主マニホールドは、本書に記載の皮下挿入および除去技術には扁平形状が非常に望まれる。同様に、主マニホールドも外科的に挿入される。
【0111】
図51を参照すると、主マニホールド2115、2215は第2のマニホールド2321とともに用いられる。図51では、第2のマニホールド2321が2層のフェルトマットを具える。第2のマニホールド2321の第1の層は、骨の欠陥を有する骨組織に接触するよう配置される。主マニホールド2115は第1の層と接触するよう配置され、この第2のマニホールド2321の第2の層は主マニホールド2115と第1の層の上に配置される。第2のマニホールド2321は、主マニホールド2115と組織部位の間に流体接続を実現しつつ、組織部位と主マニホールド2115が直接接触しないようにする。
【0112】
好適には、第2のマニホールド2321は生体吸収性で、この第2のマニホールドを減圧治療後に体内に残すことができる。減圧治療が終わったら、組織部位の侵襲を殆どなく主マニホールド2115を第2のマニホールドの層間から取り除く。一実施例では、主マニホールドは潤滑性材料またはヒドロゲル発泡材料でコーティングして、層間から容易に取り出せるようにする。
【0113】
第2のマニホールドは好適に、新たな組織の成長用の骨格として作用する。骨格として、第2のマニホールドは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキブチレート、ポリヒドロキシ吉草酸塩(polyhydroxyvalerate)、ポリジオキサノン(polydioxanon)、ポリオルソエステル(polyorthoesthers)、ポリフォスファゼン(polyphosphazenes)、ポリウレタン、コラーゲン、ヒアルロン酸、キトサン、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、生体ガラス、ステンレススチール、タンタル、同種移植片、および自家移植片から選択される1以上の材料からなる。
【0114】
上述した減圧送達システム211、2211のパージ機能は、本書に記載のどのマニホールドに設けてもよい。マニホールドまたは減圧送達する導管を洗浄する機能により、減圧の制御を妨げる閉塞が防止される。これらの閉塞は通常、組織部位近くの圧力が平衡し、組織部位周辺の流体の浸出が遅くなったときに生じる。マニホールドや減圧導管を所定期間空気でパージすると、閉塞の防止および解消に役立つ。
【0115】
より具体的には、減圧を送達する第1の導管とは別に第2の導管に空気を供給する。第2の導管の出口は好適に、マニホールドまたは第1の導管の出口に近接している。空気は圧縮され第2の導管の出口に「圧送」され、この空気は組織部位の減圧により第2の導管を通る。減圧適用時に60秒間隔で2秒間空気を供給すると、どの場合でも閉塞形成を防止するのに十分である。このパージスケジュールは、マニホールドと第1の導管内で流体を充分に動かすのに十分な空気を提供するが、過剰な空気の導入は防止される。空気の導入が過剰か、空気導入の頻度が高すぎると、減圧システムがパージサイクルの間に目標とする減圧に戻らなくなる。パージ流体の選択された供給時間と、パージ流体が供給される選択された間隔は、システム要素(例えばポンプやチューブ等)の設計やサイズに基づいて変化する。しかしながら、空気は、パージサイクル間で目標圧力を完全に実現しつつ、閉塞を除くのに十分な量および頻度で供給されるべきである。
【0116】
図52を参照すると、一実施例では、減圧送達システム2411が、第1の導管2419と第2の導管2423に流体接続されたマニホールド2415を具える。第1の導管2419は、マニホールド2415に減圧を供給する減圧源2429に接続される。第2の導管2423は、マニホールド2415に流体接続され第1の導管2419の出口に近くに配置される出口を具える。第2の導管2423はバルブ2439に流体接続され、バルブが開位置にある場合に第2の導管2423と周辺空気が連通する。このバルブ2439は、コントローラ2453に機能的に接続され、これがバルブ2439の開閉を制御して第2の導管を周辺空気でパージして、マニホールド2415と第1の導管2419内の閉塞を防止する。
【0117】
本書に記載のパージ技術を達成するために、液体や気体を含む様々な流体を用いてもよいことに留意されたい。パージ流体を駆動する力は好適には組織部位の減圧であり、この流体は同様に図9で説明した流体供給手段により供給されてもよい。
【0118】
本書記載のシステムおよび方法にかかる組織部位への減圧組織治療の実施は、組織部位へ十分な減圧をかけ、この十分な減圧を選択した期間維持する。あるいは、組織部位にかけられる減圧は周期的特性であってもよい。より具体的には、送達される減圧の量は、選択された時間サイクルで変化してもよい。さらに別の減圧送達方法は、減圧の量をランダムに変化してもよい。同様に、組織部位への減圧供給レートまたは量は一定でも、周期的でもランダム特性であってもよい。周期的である場合、減圧送達時または減圧がかけられない周期の間に、流体が生じる。組織部位へかけられる減圧の量は、組織部位の病状や、減圧組織治療が実施される環境によって通常変化するが、この減圧は一般には約−5mmHg乃至−500mmHgであり、より好適には約−5mmHg乃至−300mmHgである。
【0119】
本発明のシステムおよび方法を、組織の成長および人間の患者の治療に関して説明したが、これらの減圧組織治療を行うシステムよおび方法は、組織成長または治療が望まれる様々な生き物に用いてもよい。同様に、本発明のシステムおよび方法は、限定しないが、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、関節組織、軟骨、腱、および靭などの様々な組織に適用することができる。組織治療は本書の減圧組織治療の適用の一焦点であるが、特に患者の皮膚の下にある組織へ減圧組織治療を適用すると、疾病、欠陥、または損傷のない組織の成長をもたらすこともできる。例えば、組織部位におけるさらなる組織成長を行いその後採取するために、減圧組織治療を施すには皮下へ埋め込むことが望ましい。採取した組織は他の組織部位へ移植されて疾病または損傷した組織と取り替えられ、あるいは採取した組織は他の患者に移植される。
【0120】
本書記載の減圧送達装置は、新たな組織の成長または成長速度を増進するための骨格とともに用いてもよい。この骨格材料は、組織部位と減圧送達装置の間に配置されてもよく、あるいは減圧送達装置を生体吸収性材料で作成し新たな組織の成長用の骨格としてもよい。
【0121】
上記から、特有の利点を有する発明が提供されたことは明らかである。本発明のいくつかの形態しか示さないが、これは限定するものではなく、その範囲を逸脱することなく様々な変更が可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に組織の成長に関し、より具体的には、組織部位に減圧組織治療を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
減圧治療なしでは治癒が遅いか治癒しない柔組織の創傷に、減圧治療が頻繁に行われるようになった。通常、負圧は創傷部位に連続気泡発泡体を通して適用され、これが負圧を分散するマニホールドとして作用する。連続気泡発泡体はそこにある創傷に合致するよう形作られ、創傷に接触するよう配置され、創傷が治り始めて小さくなるにつれより小さな発泡体片へと定期的に取り替えられる。発泡体のセル内へ成長する組織の量を最小限にするために、連続気泡発泡体を頻繁に交換する必要がある。組織が有意に成長すると、発泡体の除去時に患者に痛みが発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
減圧治療は通常、治癒していない、開いた創傷に適用される。いくつかのケースでは、治療される組織は皮下にあり、別のケースでは組織は皮膚内または皮膚の組織である。従来、減圧治療は主に柔組織に適用された。減圧治療は、アクセスが難しいため、通常は閉じ深層組織には用いられない。さらに、主にアクセスの問題のため、減圧治療は骨の損傷や骨の成長促進には用いられない。減圧治療のために骨を手術で露出させるのは、解決というより問題が生じる。最後に、減圧治療を施す装置やシステムは、手で治療部位に適合するよう形成され所定期間の減圧治療の後に除去される連続気泡発泡体を越える進歩がない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
現存の創傷治癒システム及び方法の問題は、本発明のシステムと方法によって解決される。本発明によれば、組織部位に減圧を与える減圧送達システムが提供されている。この減圧送達システムは、少なくとも二つの管腔を有するマニホールド送達チューブと、複数の流路を有するマニホールドを具える。このマニホールドは、マニホールド送達チューブの第1の管腔内に配置されている。内側空間を有し、しぼんだ位置と膨張した位置をとることができるバルーンが設けられている。このバルーンの内側空間は、マニホールド送達チューブに流体的に連結されている。
【0005】
本発明の別の実施例によれば、内側空間を有する不透過性膜を有する減圧送達システムが提供されている。この不透過性膜は、圧縮された位置と弛緩した位置をとることができる。複数の流路を有するマニホールドが、この不透過性膜の内側空間内に配置されている。不透過性膜の内側空間内の減圧は、不透過性膜の外側の圧力より低く、不透過性膜内のマニホールドによって閉めるスペースの体積を低減している。
【0006】
本発明の更に別の実施例によれば、少なくとも一の通路と遠位端を有するマニホールドを具える減圧送達システムであって、当該遠位端を組織部位近傍に配置することができる減圧送達システムが提供されている。複数の流路を有するマニホールドは、マニホールド送達チューブの経路を通って組織部位に送達されるように構成されている。不透過性膜が、このマニホールド送達チューブの遠位単に位置するように提供されている。不透過性膜は内側空間を有しており、拡張位置と折りたたみ位置のうちの少なくとも一方をとることができる。
【0007】
本発明のその他の目的、特徴、利点は、図面と以下の詳細な説明を参照して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
この特許または出願書類は、1以上のカラー図面を含む。本特許または特許出願公開のカラー図面のコピーは、請求および必要な費用の支払いにより庁から提供される。
【図1】図1は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの斜視図であり、減圧送達装置は、可撓性バリヤから延びて複数の流路を構成する複数の突起を有する。
【図2】図2は、図1の減圧送達装置の正面図である。
【図3】図3は、図1の減圧送達装置の平面図である。
【図4A】図4Aは、図1の減圧送達装置の側面図であり、この減圧送達装置は管腔が1とつしかない減圧送達チューブを具える。
【図4B】図4Bは、図1の減圧送達装置の代替実施例の側面図であり、この減圧送達装置は管腔が2つある減圧送達チューブを有する。
【図5】図5は、図1の減圧送達システムの拡大斜視図である。
【図6】図6は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの斜視図であり、この減圧送達システムは、脊椎部および一対の羽根部を有する可撓性バリアに取り付けられた多孔性材料を具え、この多孔性材料は複数の流路を有する。
【図7】図7は、図6の減圧送達装置の正面図である。
【図8】図8は、図7の減圧送達装置のXVII−XVII線でとった側部断面図である。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施例にかかる減圧送達装置の小面断面図である。
【図8B】図8Bは、図8Aの減圧送達システムの側面図である。
【図9】図9は、本発明の一実施例にかかる減圧送達装置の正面図であり、患者の骨に減圧組織治療を適用するのに用いられる。
【図10】図10は、ウサギの頭蓋部における未処置の損傷のない骨の組織部分をカラーで示す図である。
【図11】図11は、ウサギの頭蓋部のカラー組織図であり、減圧組織治療を行った後に組織が粒状となる状態を示す。
【図12】図12は、ウサギの頭蓋部のカラー組織図であり、減圧治療処置の後に新しい骨が堆積した状態を示す。
【図13】図13は、ウサギの頭蓋部のカラー組織図であり、減圧治療処置を行った後に新しい骨が堆積した状態を示す。
【図14】図14は、ウサギの頭蓋部のカラー写真であり、2つの臨界寸法の欠陥が頭蓋部に形成されている状態を示す。
【図15】図15は、図14のウサギの頭蓋部のカラー写真であり、リン酸カルシウムの骨格が臨界寸法の欠陥部位に挿入され、ステンレススチールのスクリーンが第2の臨界寸法の欠陥部位に被せられている。
【図16】図16は、図14のウサギの頭蓋部のカラー写真であり、減圧組織治療を臨界寸法の欠陥部位に適用している。
【図17】図17は、減圧組織治療語のウサギの頭蓋部のカラー組織図であり、この組織図はリン酸カルシウムの骨格内に新しい骨の堆積を示している。
【図18】図18は、図15の骨格が装填された臨界寸法の欠陥部位のX線写真であり、6日間の減圧組織治療を施し術後2週間おいた状態である。
【図19】図19は、図15の骨格が装填された臨界寸法の欠陥部位のX線写真であり、6日間の減圧組織治療を施し術後12週間おいた状態である。
【図20】図20は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの正面図であり、減圧送達システムは、減圧送達装置を組織部位へ皮膚に挿入するのに用いるマニフォールド送達チューブを具える。
【図21】図21は、図20のマニホールド送達チューブの拡大正面図であり、このマニホールド送達チューブは、圧縮状態にある可撓性バリアおよび/または多孔性材料を有する減圧送達装置を具える。
【図22】図22は、図21のマニホールド送達チューブの拡大正面図であり、減圧送達装置の可撓性バリアおよび/または多孔性材料がマニホールド送達チューブに押された後で展開状態にある。
【図23】図23は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達システムは、減圧送達装置を組織部位に皮膚を通して挿入するのに用いるマニホールド送達チューブを具え、この減圧送達装置はマニホールド送達チューブの外側であるが圧縮状態の負浸透膜により圧迫されている状態にある。
【図24】図24は、図23の減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達装置はマニホールド送達チューブの外側であるが弛緩状態の負浸透膜により圧迫されている状態にある。
【図25】図25は、図23の減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達装置はマニホールド送達チューブの外側であるが展開状態の負浸透膜により圧迫されている状態にある。
【図25A】図25Aは、図23の減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達装置はマニホールド送達チューブの外側であるが展開状態の負浸透膜で囲われている状態にある。
【図26】図26は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達システムは、減圧送達装置を組織部位に皮膚を通して挿入するのに用いるマニホールド送達チューブを有し、減圧送達装置はマニホールド送達チューブの外側であるが粘着シールを有する不浸透膜により圧迫された状態にある。
【図26A】図26Aは、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの正面図を示す。
【図27】図27は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達システムは、減圧送達装置を組織部位に皮膚を通して挿入するのに用いるマニホールド送達チューブを有し、減圧送達装置はマニホールド送達チューブの外側であるが粘着シールを有する不浸透膜により圧迫された状態にある。
【図27A】図27Aは、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの正面図であり、この減圧送達システムは、減圧送達装置を組織部位に配置された不浸透膜に皮膚を通して挿入するのに用いるマニホールド送達チューブを有する。
【図28】図28は、本発明の一実施例にかかる、組織部位に減圧組織治療を施す方法のフローチャートである。
【図29】図29は、本発明の一実施例にかかる、組織部位に減圧組織治療を施す方法のフローチャートである。
【図30】図30は、本発明の一実施例にかかる、組織部位に減圧組織治療を施す方法のフローチャートである。
【図31】図31は、本発明の一実施例にかかる、組織部位に減圧組織治療を施す方法のフローチャートである。
【図32】図32は、本発明の一実施例にかかる減圧送達装置の正面断面図であり、この減圧送達装置は、股関節プロテーゼ周囲の骨の領域に減圧をかけるための複数の流路を有する股関節プロテーゼを具える。
【図33】図33は、図32の股関節プロテーゼの正面断面図であり、当該股関節プロテーゼ周囲の骨の領域に流体を送達する第2の複数の流路を具える。
【図34】図34は、本発明の一実施例にかかる減圧組織治療を用いて患者の関節を治療する方法のフローチャートである。
【図35】図35は、本発明の一実施例にかかる減圧送達装置の正面断面図であり、この減圧送達装置は、近くの骨の領域に減圧をかけるための複数の流路を有する外科的固定装置を具える。
【図36】図36は、図35の外科的固定装置の正面断面図であり、当該外科的固定具に近接する骨の領域に流体を供給する第2の複数の流路を具える。
【図37】図37は、本発明の一実施例にかかる減圧組織治療を用いた骨の欠陥を治療する方法のフローチャートである。
【図38】図38は、本発明の一実施例にかかる、組織部位に減圧組織治療を施す方法のフローチャートである。
【図39】図39は、本発明の一実施例にかかる、組織部位に減圧組織治療を施す方法のフローチャートである。
【図40】図40は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図41】図41は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図42】図42は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図43】図43は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図44】図44は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図45】図45は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図46】図46は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図47】図47は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図48】図48は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの多様な図面であり、この減圧送達システムは、主流路の周囲の可撓性の壁と、可撓性の壁にある複数の開口とを有する主マニホールドを具える。
【図49】図49は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの斜視図および平面断面図であり、この減圧送達システムは、減圧送達チューブに一体的に接続された主マニホールドを具える。
【図50】図50は、本発明の一実施例にかかる減圧送達システムの斜視図および平面断面図であり、この減圧送達システムは、減圧送達チューブに一体的に接続された主マニホールドを具える。
【図51】図51は、図40−50の主マニホールドの斜視図であり、骨の組織部位に副マニホールドをとともに用いられている状態を示す。
【図52】図52は、本発明の一実施例にかかる、第2の導管に流体接続されたバルブを有する減圧送達システムの概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の好適な実施例の詳細な説明では、その一部を構成する添付図面であって本発明を適用しうる特定の好適な実施例の図面を参照する。これらの実施例は、当業者が本発明を実施しうるよう十分に詳細に記載されており、他の実施例を用いてもよく、本発明の意図または範囲を逸脱することなく理論的構造、機械的、電気的、および化学的な変更を施せることを理解されたい。当業者が本発明を実施する必要がない詳細を避けるべく、説明では当業者に既知の特定の情報を省略している。以下の説明は、このため、限定の意味で把握すべきではなく、本発明の範囲は添付のクレームによってのみ限定される。
【0010】
本書において、「ゴム状(elastomeric)」の語は、エラストマー性質を有することをいう。「ゴム状」の語は、一般にはラバー状性質を有するポリマー材料をいう。より具体的には、大抵のエラストマーは100%より大きい伸長率と、有意な量の弾力性を有する。ある材料の弾力性とは、その材料のゴム状変形からの回復能をいう。エラストマーの例は、限定しないが、天然ゴム、ポリイソプレン、ブタジエンスチレンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン酸ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン、およびシリコンを含む。
【0011】
本書において、「可撓性の(flexible)」の語は、撓んだり曲げたりできる物体または材料をいう。ゴム状材料は通常は可撓性であるが、本書における可撓性材料の語はエラストマーのみには限定されない。本発明の材料や減圧送達装置に関して「可撓性」の語を用いる場合、通常は組織部位の形にぴったり合致する材料の性質をいう。例えば、骨の欠陥を治療するのに用いられる減圧送達装置の可撓性により、欠陥のある骨の部分の周りに装置を巻くか折ることができる。
【0012】
本書において、「流体」の語は通常気体または液体をいうが、限定しないがゲル、コロイド、および発泡体などの他の流動材料を含んでもよい。
【0013】
本書において、「不浸透性」の語は通常、膜、カバー、シート、または液体や気体の透過を遮断または低減する他の物質をいう。不浸透性とは、カバー、シート、または液体の透過を沮止する他の膜であって、気体が透過する膜について用いられてもよい。ある不浸透膜は液密であってもよいし、この膜は単に全部または特定の液体の透過量を低減させるだけでもよい。「不浸透性」の語の使用は、例えば特定のWVTR(water vapor transfer rate)などの、ある不浸透膜の不浸透性が特定の工業基準以上または以下であることを意味するものではない。
【0014】
本書において、「マニホールド」の語は通常、組織部位へ減圧をかけ、流体を送達し、または流体を除去するのを補助するための物体または構造をいう。マニホールドは通常、マニホールド周囲の組織の領域に供給され除去される流体の供給を改善すべく相互接続された複数の流路または通路を具える。マニホールドの例は、限定しないが、流路、連続気泡発泡体、多孔性組織集合体、および液体などの多孔性発泡体、ゲル、および流路を有するか硬化させて有する発泡体を含む。
【0015】
本書において「減圧」の語は通常、治療対象となる組織部位における周囲気圧より低い圧力をいう。殆どの場合、この減圧は患者が位置する場所の大気圧より低い。代替的に、この減圧は、組織部位における組織の水圧より低い。「真空」および「負圧」の語を組織部位に適用される圧力の説明として用いている場合でも、組織部位に現実にかけられる圧力は完全な真空とされる圧力より低い。減圧により最初に、チューブおよび組織部位の領域で流体流が発生する。組織部位周辺の水圧が所望の減圧に近づくにつれ、流れは静まり、そして減圧が維持される。他に明示しない限り、本書における圧力の値はゲージ圧である。
【0016】
本書において「骨格(scaffold)」の語は、細胞の成長および/または組織形成を増進または促進するのに用いられる物質または構造をいう。骨格は通常、細胞成長のテンプレートを提供する三次元の多孔性構造体である。この骨格は、細胞、発育因子、および他の細胞成長促進物質を浸漬、コーティング、または含んでなる。骨格は、組織部位に減圧組織治療を施すための本書に記載する実施例にかかるマニホールドとして用いられてもよい。
【0017】
本書において「組織部位」の語は、様々な組織またはその内部の創傷または欠陥をいい、限定しないが、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、関節組織、軟骨、腱、または靱を含む。「組織部位」の語はさらに、創傷または欠陥がある必要のない様々な組織の範囲を含んでもよいが、代わりにさらなる組織の成長の追加または促進が望まれる範囲をいう。例えば、減圧組織治療は、採取され他の組織場所に移植された追加の組織を成長させるための特定の組織領域に用いられてもよい。
【0018】
図1−5を参照すると、本発明の原理に係る減圧送達装置または羽根マニホールド211が、脊椎部215および一対の羽根部219を有する可撓性バリア213を具える。各羽根部219は、脊椎部215の両側に沿って配置されている。脊椎部215は、羽根マニホールド211の全体に延在し、または延在しないアーチ溝223を形成している。この脊椎部215は、羽根部219の幅が等しくなるよう羽根マニホールド211の中心に配置されているが、脊椎部215は図1−5に示すようにオフセットさせて、一方の羽根部219が他方の羽根部219より幅広くなるようにしてもよい。一方の羽根部219を幅広くすると、羽根マニホールド211を骨の再生または治療に用いるときに有効であり、幅広い羽根マニホールド211を骨に取り付けた固定金具の周りに巻くことができる。
【0019】
可撓性バリア213は、例えばシリコンポリマなどのエラストマー材料で形成されることが好ましい。適切なシリコンポリマの例は、カリフォルニア州CarpinteriaのNusil Technologiesが製造するMED−6015を含む。しかしながら、この可撓性バリア213は、他の生体適合性の可撓性材料で作成されてもよい。この可撓性バリア213は、可撓性バリア213に強度と耐久性を付加する可撓性支持材227を包んでいる。この可撓性バリア213の形成にシリコンポリマを用いる場合、シリコン接着剤を用いて可撓性支持材227と接着させることができる。シリコン接着剤の一例は、Nusil Technologiesが販売するMED−1011を含んでもよい。可撓性支持材227は、アリゾナ州テンペのC.R.Bardが製造するポリエステルニット生地で構成されることが望ましい。しかしながら、この可撓性支持材227は、可撓性バリア213に強度と耐久性を付加する様々な生体適合性の可撓性材料で構成してもよい。特定の環境下では、可撓性バリア213が適切な強度材料で構成される場合、可撓性支持材227を省略してもよい。
【0020】
可撓性バリア213または可撓性支持材227のいずれかを、液体、空気、または他の気体を不透過としてもよく、あるいは、可撓性支持材227と可撓性バリア213の双方を液体、空気、および他の気体を不透過としてもよい。
【0021】
可撓性バリア213と可撓性支持材227はまた、減圧送達装置211の使用後に患者の身体から取り去る必要がない生体吸収性材料で構成されてもよい。適切な生体吸収性材料は、限定しないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)の混合ポリマを含む。この混合ポリマはまた、限定しないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトンを含んでもよい。可撓性バリア213と可撓性支持材227はさらに、新たな細胞成長用の骨格や、可撓性バリア213と可撓性支持材227に用いて細胞成長を促進するのに用いる骨格材料として作用してもよい。適切な骨格材料は、限定しないが、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コラルヒドロキシアパタイト、炭酸塩、または処理された同種移植片材料を含む。この骨格材料は高空隙率であることが好ましい(すなわち、空気含有率が高い)。
【0022】
可撓性バリア213は、可撓性バリア213の表面の羽根部219から延びる複数の突起213を具える。これらの突起213は、各突起231の少なくとも一部が可撓性支持材213の側部において突起231が取り付けられた平面と異なる平面内にある限り、円筒形、円錐形、半球形、四角形、または他の様々な形状であってよい。この観点では、特定の突起231は別の突起231と同じ形状または寸法である必要はなく、実際、突起231は異なる形状と寸法のランダムミックスを含んでもよい。その結果として、各突起231が可撓性バリア213から延びる距離は変わってもよいが、複数の突起231で均一であってもよい。
【0023】
可撓性バリア213に突起231を設けると、突起の間に複数の流路233が作成される。突起231が均一の形状および寸法で可撓性バリア213上に等間隔である場合、流路233が突起231間で均一に作成される。寸法、形状、突起231間の距離を変化させると、流路233の寸法や流動特性が変化する。
【0024】
減圧送達チューブ241がアーチ溝223内に配置されており、図5に示すように、可撓性バリア213に取り付けられている。この減圧送達チューブ241は、可撓性バリア213または可撓性支持材227のみに取り付けられてもよいし、このチューブ241は可撓性バリア213と可撓性支持材227の双方に取り付けられてもよい。減圧送達チューブ241は、チューブ241の遠位端部に遠位口243を具える。このチューブ241は、遠位口243がアーチ溝223のいずれかの地点に沿うように配置されるが、好適にはこのチューブ241は、遠位口243がアーチ溝223の縦の長さのほぼ中央地点に沿って位置するように配置される。この遠位口243は、チューブ241の長軸に対して90°以下に配向する面に沿ってチューブ241をカットすることにより、楕円形またはオーバル形に構成されることが望ましい。遠位口243は円形でもよいが、遠位口243を楕円形とすると突起231間に形成される流路233との流体接続が大きくなる。
【0025】
減圧送達チューブは、好適にパラリンコート(paralyne-coated)されたシリコンまたはウレタンでなる。ただし、様々な医療グレードのチューブ材を用いて減圧送達チューブ241を構成してもよい。チューブをコーティングする他のコーティングは、ヘパリン、坑凝結剤、坑フィブリノゲン、坑粘着剤、坑トロンビノゲン、および親水性コーティングを含む。
【0026】
一実施例では、減圧送達チューブ241はまた、遠位口243とともに、あるいは代わりに、あるいは遠位口243に追加して減圧送達チューブ241と流路233間の流体接続を増大させるべく、減圧送達チューブ241に沿って設けられたベント開口またはベント口251を具える。この減圧送達チューブ241は、図1−5に示すように、アーチ溝223の長軸の一部のみに沿って配置されてもよいし、あるいは、アーチ溝223の長さ全体に沿って配置されてもよい。減圧送達チューブ241がアーチ溝223の長さ全体を占めるよう配置される場合、チューブ241と流路233間の流体接続のすべてがベント開口251を通してなされるよう遠位口243に蓋がされる。
【0027】
減圧送達チューブ241はさらに、チューブ241の近位端部に近位口255を具える。この近位口255は、図9を参照してより詳細に後述する減圧源に適合するよう構成される。図1−3、4A、5に記載の減圧送達チューブ241は、1の管腔または流路259のみを有する。しかしながら、減圧送達チューブ241は、図4Bに示すようにデュアル管腔チューブ261のように複数の管腔を有してもよい。このデュアル管腔チューブ261は、第1の管腔263と第2の管腔265を有する。デュアル管腔チューブを用いると、減圧送達チューブ241の近位端部と流路233の間の流体接続に異なる経路を提供することができる。例えば、デュアル管腔チューブ261を用いると、減圧源と流路233間の接続を第1の管腔263で達成することができる。第2の管腔265は、流路233流体を導入するのに用いることができる。この流体はフィルタされた空気または他の気体、抗菌剤、坑ウィルス剤、細胞成長促進剤、洗浄剤、化学的活性剤、または他の流体である。複数の流体を異なる流体接続通路を通して流路233に流したい場合、減圧送達チューブに2より多い管腔を設けてもよい。
【0028】
図4Bを参照すると、水平デバイダ271が、減圧送達チューブ261を第1と第2の管腔263、265に分割しており、これにより第1の管腔263が第2の管腔265の上に配置される。第1および第2の管腔263、265の相対位置は、管腔263、265と流路233の間でどのように流体接続がなされるかにより変更してもよい。例えば、図4Bに示すように第1の管腔263が配置される場合、ベント開口251と同様のベント開口を設けて流路233との流体接続を可能にする。図4Bに示すように第2の管腔263が配置される場合、第2の管腔263は遠位口243と同様の遠位口を通って流路233に流体接続される。代替的に、管腔を垂直デバイダで分割して減圧送達チューブに複数の管腔を隣り合わせに配置してもよいし、管腔を同心円状または共軸で構成してもよい。
【0029】
この技術分野の当業者にとって、個々の流路または流体接続の構成は、上述のように複数の管腔を設けることを含め、多数の異なる方法で実現可能であることは明白であろう。代替的に、単一管腔のチューブを他の単一管腔のチューブとくっつけたり、単一または複数管腔の異なるくっつけないチューブを用いてもよい。
【0030】
異なるチューブを用いて流路233への異なる流路または液体接続を実現する場合、脊椎部215は、各チューブに1つずつ、複数のアーチ溝233を具えてもよい。あるいは、複数のチューブに合わせてアーチ溝223を大きくしてもよい。流体供給チューブとは別個の減圧送達チューブを有する減圧送達装置の実施例が、図9を参照してより詳細に後述される。
【0031】
図6−8を参照すると、本発明の原理にかかる減圧送達装置または羽根マニホールド311が、脊椎部315と一対の羽根部319とを有する可撓性バリア313を具える。各羽根部319は、脊椎部315の両側に沿って配置されている。脊椎部315は、羽根マニホールド311の長さ全体に延在するか、全体には延在しないアーチ溝323を構成している。この脊椎部315は羽根マニホールド311の中心に、すなわち羽根部319の寸法が等しくなるよう配置されてもよいが、脊椎部315は図6−8に示すようにオフセットさせて、一方の羽根部319が他方の羽根部319より幅広くなるようにしてもよい。一方の羽根部319を幅広くすると、羽根マニホールド311を骨の再生または治療に用いるときに有効であり、幅広い羽根マニホールド311を骨に取り付けた固定金具の周りに巻くことができる。
【0032】
多孔性材料327が可撓性バリア31に取り付けられ、これは可撓性バリア313の表面全体をカバーし脊椎部315と両方の羽根部319に亘って延在する単一ピース材料として設けられる。この多孔性材料327は、可撓性バリア313側に配置される取り付け面(図6には示さず)と、取り付け面とは反対側の主流通面329と、複数の周面330とを具える。
【0033】
一実施例では、可撓性バリア313は、可撓性バリア213と同様であって可撓性支持材を具えてもよい。多孔性材料327を可撓性バリア313に取り付けるには接着剤が好適な方法であるが、可撓性バリア313と多孔性材料327は他の様々な適切な取り付け方法で取り付けてもよいし、治療現場でユーザが組み立てるようにしてもよい。可撓性バリア313および/または可撓性支持材は、液体や空気その他の気体などの流体伝達に対する不浸透性バリアとして作用する。
【0034】
一実施例では、可撓性バリアと可撓性支持材は、多孔性材料327の後ろに個別に設けられないでもよい。むしろ、多孔性材料327は、当該多孔性材料327の不浸透部分である一体型のバリア層を具えてもよい。このバリア層は、流体の通過を妨げるクローズドセル材料で形成され、可撓性バリア313の代わりをなす。多孔性材料327と一体型のバリア層を用いる場合、このバリア層は、可撓性バリア313に関して上述した脊椎部と羽根部を具えてもよい。
【0035】
可撓性バリア313は、例えばシリコンポリマなどのエラストマー材料で形成されることが好ましい。適切なシリコンポリマの例は、カリフォルニア州CarpinteriaのNusil Technologiesが製造するMED−6015を含む。しかしながら、この可撓性バリア313は、他の生体適合性の可撓性材料で作成されてもよい。可撓性バリアが可撓性支持材を包含あるいはそうでなくても組み込んでいる場合、可撓性支持材は、アリゾナ州テンペのC.R.Bardが製造するBard6013といったポリエステルニット生地で構成されることが望ましい。しかしながら、この可撓性支持材227は、可撓性バリア213に強度と耐久性を付加する様々な生体適合性の可撓性材料で構成してもよい。
【0036】
一実施例では、多孔性材料327は連続気泡(open-cell)の、網状のポリエーテルウレタン発泡体で、気孔のサイズは約400−600ミクロンの範囲である。この発泡体の一例は、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.が製造するGranuFoamを含む。この多孔性材料327はまた、ガーゼ、フェルト状マット、または三次元で複数のチャネルを通して流体接続を実現する他の様々な生体適合材料であってもよい。
【0037】
この多孔性材料327は、主として複数のセルが隣接するセルに連通した「オープンセル」材料である。多孔性材料327の「オープンセル」間に複数の流路が形成される。この流路により、連続気泡を有する多孔性材料の部分に亘って流体接続がなされる。これらのセルや流路は形状および寸法において均一であってもよいし、形状と寸法がパターン化またはランダムに変化してもよい。多孔性材料327のセルの形状・寸法を変化させると流路に変化が生じ、このような特性を多孔性材料327を通る流体の流動特性を変化させるのに利用することができる。この多孔性材料327はさらに、「クローズドセル」を有する部分を具えてもよい。これらの多孔性材料327のクローズドセル部分は、大部分が隣接するセルと流体接続されていない複数のセルを有する。クローズドセル部分の一例は、可撓性バリア313に代用される上述のバリア層である。同様に、このクローズドセル部分は、選択的に多孔性材料327内に設けられて、多孔性材料327の周面330を通る流体透過を防ぐことができる。
【0038】
可撓性バリア313と多孔性材料327はまた、減圧送達装置311の使用後に患者の身体から取り去る必要がない生体吸収性材料で構成されてもよい。適切な生体吸収性材料は、限定しないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)の混合ポリマを含む。この混合ポリマはまた、限定しないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトンを含んでもよい。可撓性バリア313と可撓性支持材327はさらに、新たな細胞成長用の骨格や、可撓性バリア313、可撓性支持材327、および/または多孔性材料327に用いて細胞成長を促進するのに用いる骨格材料として作用してもよい。適切な骨格材料は、限定しないが、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コラルヒドロキシアパタイト、炭酸塩、または処理された同種移植片材料を含む。この骨格材料は高空隙率であることが好ましい(すなわち、空気含有率が高い)。
【0039】
減圧送達チューブ341がアーチ溝323内に配置されており、可撓性バリア313に取り付けられている。この減圧送達チューブ341はまた多孔性材料327に取り付けられてもよいし、多孔性材料327のみがある場合には、減圧送達チューブ341は多孔性材料327のみに取り付けられてもよい。減圧送達チューブ341は、チューブ341の遠位端部に図5の遠位口243と同様の遠位口343を具える。この減圧送達チューブ341は、遠位口343がアーチ溝323のいずれかの地点に沿うように配置されるが、好適には、アーチ溝323の縦の長さのほぼ中央地点に沿って位置するように配置される。この遠位口343は、チューブ341の長軸に対して90°以下に配向する面に沿ってチューブ341をカットすることにより、楕円形またはオーバル形に構成されることが望ましい。遠位口は円形でもよいが、遠位口を楕円形とすると多孔性材料327内の流路との流体接続が大きくなる。
【0040】
一実施例では、減圧送達チューブ341はまた、図5のベント開口251と同様のベント開口またはベント口(図示せず)を具える。このベント開口は、遠位口343の代わりに、あるいは遠位口343に追加して設けられ、減圧送達チューブ341と流路間の流体接続をさらに増大する。上述したように、減圧送達チューブ341は、アーチ溝323の長軸の一部のみに沿って配置されてもよいし、アーチ溝323の長さ全体に沿って配置されてもよい。減圧送達チューブ341がアーチ溝323の長さ全体を占めるよう配置される場合、チューブ341と流路間の流体接続のすべてがベント開口を通してなされるよう遠位口343に蓋がされる。
【0041】
好適には、多孔性材料327は、減圧送達チューブ341を覆って直接接触する。この多孔性材料327は、減圧送達チューブに連結されてもよいし、あるいはこの多孔性材料327は単に可撓性バリア313に取り付けられてもよい。減圧送達チューブ341がアーチ溝323の中間部にのみ延在するよう配置された場合、多孔性材料327もまた可撓性バリア313の脊椎部315においてアーチ溝323が減圧送達チューブ341を含まない領域に接続される。
【0042】
減圧送達チューブ341はさらに、チューブ341の近位端部に近位口355を具える。この近位口355は、図9を参照してより詳細に後述する減圧源に適合するよう構成される。図6−8に記載の減圧送達チューブ341は、1の管腔または流路359のみを有する。しかしながら、減圧送達チューブ341は、図4Bで説明したよう複数の管腔を有してもよい。複数管腔のチューブを用いると、上述のように、減圧送達チューブ341の近位端部と流路の間の流体接続に異なる経路を提供することができる。これら流体接続の別個の管腔は、流路と接続する単一または複数の管腔を有する別個の複数のチューブにより実現されてもよい。
【0043】
図8A、8Bを参照すると、本発明の原理に基づく減圧送達装置371が、遠位端部377に延長部分375を有する減圧送達チューブ373を具える。この延長部分375は好ましくは、減圧送達チューブ373の曲率に合致するようアーチ形である。この延長部部ぬ375は、減圧送達チューブ373の遠位端部373を一部除去することにより構成され、このため肩部383を有する切り欠き381を形成している。複数の突起385が減圧送達チューブ373の内面387に設けられ、突起385間に複数の流路391が形成される。これらの突起385は、図1−5を参照して述べた突起と同様に寸法、形状、間隔が等しくてもよい。減圧送達装置371は、切り欠き381内に受けられる結合組織に減圧送達して組織再生させるのに特に適している。この減圧送達装置371で治療される非限定的な組織は、靭、腱、軟骨である。
【0044】
図9を参照すると、本書における他の減圧送達装置と同様の減圧送達装置411が、例えば患者の人骨415などの組織部位413に減圧組織治療を施すのに用いられている。骨組織の成長促進に用いる場合、減圧組織治療により骨折、偽関節、空洞、その他の骨の欠陥の治療速度が速くなる。さらに、減圧組織治療は骨髄炎からの回復を改善するのに利用できると信じられている。この治療はさらに、骨髄炎に罹っている患者における骨の欠陥を局所化させるのに用いられる。最後に、減圧組織治療は、例えば股関節インプラント、膝インプラント、および固定器具といった整形インプラントの骨統合(osteointegration)を加速し改善するのに用いることができる。
【0045】
図9を参照すると、減圧送達装置411は、減圧源427に接続された近位端部421を有する減圧送達チューブ419を具える。この減圧源427はポンプか、減圧送達チューブ419と前記減圧送達装置411に設けられた複数の流路とを通して組織部位413に減圧を提供しうる他の装置である。組織部位413への減圧供給は、減圧送達装置411の羽根部を組織部位413の近くに配置することにより実現され、特定の実施例は骨415の空洞欠陥429の周りに羽根部を巻くことを含む。この負圧送達装置411は、外科手術または経皮的に挿入される。経皮挿入される場合、減圧送達チューブ419は好適に、患者の皮膚組織を貫通する滅菌された挿入シースを通して挿入される。
【0046】
減圧組織治療を施すと、組織部位413の周囲領域の組織が粒状化する。粒状組織は体内で組織の回復に先立ち形成されるものである。通常の環境では、粒状組織は異物への反応または創傷の治癒時に形成される。粒状組織は通常、健康な組織復元のための骨格として作用し、さらにいくつかの瘢痕組織を発育させる。粒状組織は高度に血管化され(vascurilized)、減圧により高度に血管化された組織の成長および成長速度の増進により、組織部位413における新たな組織の成長が促進する。
【0047】
図9を再び参照すると、流体供給チューブ431が減圧送達装置411の流路の遠位端部に流体接続されている。この流体供給チューブ431は、流体供給源433に流体接続された近位端部432を有する。組織部位に送られる流体が空気である場合、空気は好適にフィルタ434により濾過され、これは0.22μmの小ささの粒子を濾過して空気を清浄し滅菌する。組織部位413への空気の導入は、特に組織部位413が皮膚表面のすぐ下にある場合、組織部位413の良好な排気(drainage)を促進するために重要であり、これにより減圧送達チューブ419の障害が低減あるいは防止される。流体供給チューブ431と流体供給源433はまた、組織部位413へ他の流体を提供しても良く、これは限定しないが抗菌剤、坑ウィルス剤、細胞成長促進剤、洗浄液、または他の化学的活性剤を含む。皮下挿入する場合、流体供給チューブ431は好適に、患者の皮膚組織を貫通する滅菌挿入シースに挿入される。
【0048】
流体供給チューブ431には圧力センサ435が機能的に接続され、流体供給チューブ431が血液その他の体液で詰まっていないかが示される。この圧力センサ435は流体供給源433にも機能的に接続してフィードバックを提供し、これにより組織部位413への流体供給量が制御される。チェックバルブ(図示せず)が流体供給チューブ431の遠位端部近辺に機能的に接続され、流体供給チューブ431に血液その他の体液が入るのが防止される。
【0049】
減圧送達チューブ419により提供される独立した流体接続路は多様な異なる方法で実現することができ、例えば図4Bで上述した単一または複数の管腔を具えるチューブを設けることを含む。当業者であればセンサ、バルブ、その他の流体供給チューブ431に付随する要素は、複数管腔のチューブを用いる場合に減圧送達チューブ419の特定の管腔にも同様に設けてもよいことを理解するであろう。組織部位に流体接続される様々な管腔またはチューブを坑閉塞剤でコートして、管腔またはチューブ内の体液または血液の堆積を防止することが望ましい。管腔またはチューブをコートする他のコーティングは、限定しないが、ヘパリン、坑凝結剤、坑フィブリノゲン、坑粘着剤、坑トロンビノゲン、および親水性コーティングを含む。
【0050】
図10−19を参照すると、減圧組織治療を骨組織に適用した場合の試験の肯定的な結果が示されている。ある特定の試験では、減圧組織治療を複数のウサギの頭蓋部に適用し、骨の成長および再生における効果を判定した。この試験の目的は、頭蓋に欠陥や外傷のなりウサギに対する減圧組織治療の効果と、頭蓋に大きなサイズの欠陥を有するウサギへの減圧組織治療の効果と、頭蓋の大きなサイズの欠陥への減圧組織治療で骨格材料を用いた場合の効果と、を確認することにある。特定の試験のプロトコルおよびウサギの数は以下の表1に示されている。
【0051】
大きなサイズの欠陥は、組織(例えば頭蓋部)の欠陥であり、生来の回復力のみでは治癒しないほど大きいものである。ウサギに対して頭蓋の厚さ全体に直径約15mmの穴を開けて、大きなサイズの頭蓋の欠陥とする。
【0052】
より具体的に図10を参照すると、ウサギの頭蓋のそのままの無傷の骨の組織部分が示されている。頭蓋骨の骨組織がマゼンダ色、周囲の柔組織が白に着色され、骨膜の層が黄色のアステリスクでハイライトされている。図11は、ウサギの頭蓋骨に6日間の減圧組織治療を施してすぐに組織を採取したものである。骨と骨膜が見え、粒状組織が発生している。図12は、ウサギの頭蓋骨に6日間の減圧組織治療を施し、直後に組織を採取したものである。図12の組織断面では、粒状組織の下に新たな骨の組織が発生している。この骨組織は黄色のアステリスクでハイライトされている。図13は、ウサギの頭蓋骨に6日間の減圧組織治療を施し、直後に組織を採取したものである。新しい骨と骨膜が見える。減圧組織治療に対応する骨組織の発育は、非常に若い動物の非常に早い成長や新たな骨の堆積といった骨の発育に組織学上みられるものに非常に似ている。
【0053】
より具体的に図14−19を参照すると、いくつかの写真と組織断面により、大きな寸法の欠陥を有するウサギの頭蓋骨への減圧組織治療の方法および結果が示されている。図14は、2つの大きな欠陥が形成されたウサギの頭蓋骨が示されている。この厚さ全体の大きな寸法の欠陥は、直径約15mmである。図15では、ステンレススチールのスクリーンを一方の大きなサイズの欠陥の上に配置し、第2の大きなサイズの欠陥にリン酸カルシウムの骨格を配置している。図16では、本書に開示したものと同じ減圧組織治療装置を用いて大きなサイズの欠陥に減圧をかけている。各欠陥に適用される圧力の量は−125mmHgゲージ圧である。減圧は、表1にリストされたいずれか1のプロトコルに従って適用される。図17では、6日間の減圧組織治療を施し術後12週間経った頭蓋骨の組織断面を示す。図示した断面は、赤い矢印で示すリン酸カルシウムの骨格を含んでいる。減圧組織治療の適用により新たな骨組織の成長が著しくなり、これが図17に黄色のアステリスクでハイライトされている。骨の成長の量は、同じリン酸カルシウムの骨格を含むが減圧組織治療を施していない大きなサイズの欠陥よりはるかに大きい。この観察は、 新たな骨が多数生じる反応を顕在化するのに必要な治療のレベルまたは期間の閾値が存在することを示唆している。減圧組織治療の効果は、術後12週間の試料で最も顕著となり、減圧組織治療が新たな骨の形成の増進を導く生体学的事象のカスケードを起こさせることを示している。
【0054】
欠陥内に骨格材料を入れないがステンレススチールのスクリーンでカバーされた大きなサイズの欠陥(図15)は、新たな骨の成長を最小限とした動物間コントロールとして作用する。これらのデータは、適切な骨格材料と、骨格の統合および生体学的パフォーマンスへの減圧組織治療の有利な効果をハイライトしている。図18、19では、骨格を装填したサイズの大きな欠陥に6日間の減圧組織治療を施した後のX線写真である。図18は、術後2週間の欠陥を示し、骨格内の新たな骨の堆積を示している。この骨格の主な構造は未だ明白である。図19は、術後12週間の欠陥であり、サイズの大きな欠陥が殆ど治癒しており、組織の統合すなわち骨格基質内で新たな骨が形成されることにより主骨格の構造がほぼ完全に失われている状態を示す。
【0055】
図20を参照すると、本発明の位置実施例にかかる減圧送達システム711が、患者の組織部位713に減圧組織治療を施している。この減圧送達システム711は、マニホールド送達チューブ721を具える。マニホールド送達チューブ721はカテーテルやカニューレであり、マニホールド送達チューブ721が組織部位713へ案内されうるように操縦ユニット725およびガイドワイヤ727といった構造体を具える。ガイドワイヤ727およびマニホールド送達チューブ721の配置および方向付けは、内視鏡検査、超音波、蛍光透視法、聴診、触診、または他の適切な位置決め技術により実現される。マニホールド送達チューブ721は、減圧送達装置から患者の組織部位713へ皮下挿入することにより配置される。皮下挿入する場合、好適にはマニホールド送達チューブ721は患者の皮膚組織を貫通する滅菌挿入シースを通して挿入される。
【0056】
図20において、組織部位713は、患者の骨733の骨折部731に近い骨組織を含む。マニホールド送達チューブ721は患者の皮膚735および骨733の周囲の柔組織739を通して挿入される。上述したように、組織部位713はまた様々な他の種類の組織を含んでもよく、例えば限定しないが脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、間接組織、軟骨組織、腱、または靱帯を含む。
【0057】
図21、22を参照すると、減圧送達システム711がさらに描かれている。マニホールド送達チューブ721は、患者の皮膚735と柔組織739に通しやすいようにテーパ形の遠位端部を具える。このテーパ形の遠位端部743はさらに、この遠位端部743の内径がチューブ721の他の部分の内径と実質的に等しいか大きくなるよう、半径方向外側に撓むよう構成されてもよい。この遠位端部743が開いた状態が、図21に点線737で示されている。
【0058】
マニホールド送達チューブ721はさらに、減圧送達装置761または他の減圧送達装置が内包される通路751を具える。この減圧送達装置761は、図6−8に関して説明したのと同様の可撓性バリア765および/または多孔性材料767を具える。可撓性バリア765および/または多孔性材料767は、通路751内で減圧送達装置761の断面積を低減するため、減圧送達チューブ769の周りに好適に巻かれ、折られ、あるいは押しつけられている。
【0059】
減圧送達装置761は、通路751内に配置され、マニホールド送達チューブ721遠位端部743を組織部位713に配置した後に組織部位713に案内される。あるいは、減圧送達装置761は、マニホールド送達チューブ721が患者に挿入される前に通路751内に予め配置されていてもよい。減圧送達装置761が通路751を通して圧送される場合、生体適合性の潤滑剤を用いて減圧送達装置761とマニホールド送達チューブ721間の摩擦を低減する。遠位端部743が組織部位713に配置され、減圧送達装置761が遠位端部743に送達されたら、減圧送達装置761が遠位端部743側に押され、遠位端部743が開位置へと放射状外側に拡張する。減圧送達装置761は、好適には組織部位713の近くの空いたスペースへ、マニホールド送達チューブ721の外に押し出される。この空きスペースは、典型的には穿刺手段による柔組織の切開(dissection)により生じる。いくつかの場合、組織部位713は創傷部位に位置し、空隙は創傷の解剖により自然に生じる。他の場合、空隙はバルーンディセクション(balloon dissection)、シャープディセクション、ブラントディセクション、流体ディセクション、気体ディセクション、超音波ディセクション、電気メスディセクション、レーザディセクション、または他の適切な切開技術による。減圧送達装置761が組織部位713の近くの空隙に入ると、減圧送達装置761の可撓性バリア765および/または多孔性材料767は、減圧送達装置761が組織部位713に接触する位置になるよう展開されるか、広げられ、または減圧される(図22参照)。必須ではないが、可撓性バリア765および/または多孔性材料767は減圧送達チューブ769を介して真空または減圧にかけられ、可撓性バリア765および/または多孔性材料767を圧縮してもよい。可撓性バリア765および/または多孔性材料767の展開は、減圧送達チューブ769を解する減圧を緩めてもよいし、減圧送達チューブ769から正の圧力を供給して展開プロセスを補助してもよい。減圧送達装置761の最終的な配置および操作は、内視鏡、超音波、蛍光透視、聴診、触診、または他の適切な位置決め技術により実現する。減圧送達装置761の配置に続き、マニホールド送達チューブ721が好適に患者から除去されるが、減圧送達装置761に付随する減圧送達チューブは皮下で組織部位713に減圧をかけるため体内に残される。
【0060】
図23−25を参照すると、本発明の位置実施例にかかる減圧送達システム811が、遠位端部843の内径がチューブ821の他の部分の内径と実質的に等しいか大きくなるように開状態へと半径方向外側へ撓むテーパ形の遠位端部843を有するマニホールド送達チューブ821を具える。この遠位端部843が開いた状態が、図23−25に点線837で示されている。
【0061】
マニホールド送達チューブ821はさらに、本書に記載の他の減圧送達装置と同様の減圧送達装置861が内包される通路を具える。この減圧送達装置861は、可撓性バリア765および/または多孔性材料767を具え、これは通路内で減圧送達装置861の断面積を低減するため、減圧送達チューブ869の周りに好適に巻かれ、折られ、あるいは押しつけられている。
【0062】
内側空間873を有する不浸透膜871が減圧送達装置861の周囲に配置され、これにより減圧送達装置861は不浸透膜871の内側空間873内に包含される。この不浸透膜871はバルーン、シース、または他の流体の通過を防ぐ様々な種類の膜であってもよく、この不浸透膜871は少なくとも圧縮状態(図23参照)、弛緩状態(図24参照)、および拡張状態(図25、26参照)のいずれかをとることができる。不浸透膜871はマニホールド送達チューブ821に、不浸透膜871の内側空間873がマニホールド送達チューブ821の通路と流体接続するよう、密閉状態で接続される。この不浸透膜871は代替的に、不浸透膜871の内側空間873が減圧送達チューブ869の通路と流体接続するよう減圧送達チューブ869に取り付けられてもよい。代わりに不振とうまく871は内側空間873に流体接続する別個の制御チューブまたは制御管腔に取り付けられてもよい(例えば図25A参照)。
【0063】
一実施例では、通路内における減圧送達装置861の断面積をさらに低減するよう不浸透膜871が設けられてもよい。これを実現すべく、不浸透膜871の内側空間873に、不浸透膜871を取り巻く周辺圧力より低い圧力をかける。内側空間873内の空気または他の流体の有意の部分が吸い出され、不浸透膜871が図23に示す圧縮状態となる。この圧縮状態では、不浸透膜871は内側に収縮し、減圧送達装置861に圧縮力を加えて減圧送達装置861の断面積をさらに低減する。図21、22に関して説明したように、減圧送達装置861は、マニホールド送達チューブ821の遠位端部843を組織部位に配置した後に到達されてもよい。不浸透膜871や減圧送達装置861の配置および操作は、内視鏡、超音波、蛍光透視、聴診、触診、または他の適切な位置決め技術により実現する。不浸透膜871は、除去前に蛍光透視法による可視化を改善するための造影マーカ881を含んでもよい。
【0064】
減圧送達装置861を遠位端部843を通して押した後、減圧を内側空間873にかけ、不浸透膜871が弛緩状態(図24参照)となり、不浸透膜871から減圧送達装置861を容易に取り去ることができる。例えばトロカール、スタイレット、または他の鋭利な器具の除去器具885を用意して、不浸透膜871を破裂させる。好適には、除去器具885は減圧送達チューブ869を通して挿入され、不浸透膜871に接触するまで進められる。不浸透膜871を破裂させた後、除去器具885と不浸透膜871がマニホールド送達チューブ821を通して引き出され、これにより減圧送達装置861の可撓性バリア865および/または多孔性材料867が組織部位に接触するよう配置することができる。内側空間873の減圧を緩めて不浸透膜871を除去すると、可撓性バリア865および/または多孔性材料867が自動的に展開する場合がある。いくつかのケースでは、減圧送達チューブ869を通して正圧をかけて、可撓性バリア8765および/または多孔性材料867の展開を補助してもよい。減圧送達装置861の最終配置の後、マニホールド送達チューブ821が好適に患者から除去されるが、組織部位に皮下で減圧をかけるために、減圧送達装置861に付随する減圧送達チューブ869が体内に残される。
【0065】
不浸透膜871はまた、組織部位に減圧送達装置861を配置する0前に、組織部位の近くの組織を切開するのに用いてもよい。減圧送達装置861および無傷の不浸透膜871をマニホールド送達チューブ821の遠位端部843を通して押した後、空気または他の流体が不浸透膜871の内側空間871に圧送される。液体は圧縮できず不浸透膜871が均一かつしっかりと膨らむため、不浸透膜871を膨らませるのに液体を好適に用いることができる。不浸透膜871は図25に示すように半径方向に、あるいはその製造方法およびマニホールド送達チューブ821への取り付け方法に直接依存して広がる。不浸透膜871が空気または流体の圧力により外側に広がって膨張状態となると(図25参照)、組織部位の近くに空隙が開かれる。この空隙が十分に大きい場合、液体、空気その他の流体は内側空間873から解放されて、不浸透膜871が弛緩状態となる。不浸透膜871はその後、前述のように破裂され、減圧送達装置861が組織部位の近くに挿入される。
【0066】
図25Aを参照すると、最初に不浸透膜871を用いて組織部位の近くの組織を切開し、この不浸透膜871はマニホールド送達チューブ821に密封接続され、これにより内側スペース871がマニホールド送達チューブ821に付属するか取り付けられた第2の管腔またはチューブ891と流体接続する。第2の管腔891は、内部スペース873に液体、気体、または他の流体を供給して不浸透膜871を膨張状態とするのに用いられる。切開の後、不浸透膜871は弛緩され、図24で前述したように破裂される。
【0067】
図26を参照すると、本発明の一実施例にかかる減圧送達システム911が、遠位端部943の内径がチューブ921の他の部分と実質的に等しいか大きくなるような開状態へ半径方向外側に撓むよう構成されたテーパ形の遠位端部943を有する。この遠位端部943の開状態が図26に波線937で示されている。
【0068】
マニホールド送達チューブ921はさらに、本書に記載の他の減圧送達装置と同じ減圧送達装置961が内包される通路951を具える。この減圧送達装置961は、マニホールド送達チューブ921の通路951内で減圧送達装置961の断面積を低減するため、減圧送達チューブ969の周りに好適に巻かれ、折られ、あるいは押しつけられている。
【0069】
内側空間973を有する不浸透膜971が減圧送達装置961の周囲に配置され、これにより減圧送達装置961は不浸透膜971の内側空間973内に包含される。この不浸透膜971は、不浸透膜971の一端部に粘着シール977を具え、不浸透膜971から減圧送達装置961を除去する別の方法を提供している。不浸透膜971は、不浸透膜971の内側空間973がマニホールド送達チューブ921の通路に流体接続するようマニホールド送達チューブ921の他方の端部に密封接続される。代替的に、不浸透膜971は、内側空間973に流体接続する別の制御チューブ(図示せず)に接続されてもよい。
【0070】
図23の不浸透膜871と同様に、不浸透膜971は、不浸透膜971が圧縮状態、弛緩状態、および拡張状態のいずれか1となりうるよう流体移動を防止することができる。不浸透膜971を圧縮状態と拡張状態とする方法が不浸透膜871と同様であるため、減圧送達装置961を取り除く異なるプロセスのみを説明する。
【0071】
減圧送達訴追961は不浸透膜971内の組織部位に送達され、内視鏡、超音波、蛍光透視法、聴診、触診、その他の適切な位置決め技術を用いて正しく配置される。不浸透膜971は、除去前に蛍光透視法による不浸透膜971の可視化を改善するための造影マーカ981を含んでもよい。減圧送達装置961はその後、マニホールド送達チューブ921の遠位端部943を通して押される。内側空間973に減圧をかけて、不浸透膜971が弛緩状態となる。減圧送達装置961はその後粘着シール977を通して押され、不浸透膜971から出る。
【0072】
図26Aを参照すると、本発明の一実施例にかかる減圧送達システム985が、図26のマニホールド送達チューブ921と同じマニホールド送達チューブを有さない。代わりに、減圧送達システム985はガイドワイヤ987と、減圧送達チューブ989と、減圧送達装置991とを具える。減圧送達装置991は、減圧送達チューブ989と流体接続する複数の流路を具える。独立したマニホールド送達チューブを用いて減圧送達装置991を送達する代わりに、減圧送達装置991および減圧送達チューブ989が、組織部位993へと皮膚を通して案内されたガイドワイヤ987上に配置される。好適には、ガイドワイヤ987および減圧送達チューブ989は患者の皮膚を滅菌シースを介して貫通する。減圧送達チューブ989と減圧送達装置991をガイドワイヤ987に沿って案内すると、減圧送達装置991が組織部位993に案内されて減圧組織治療の経皮適用が可能となる。
【0073】
減圧送達装置991が組織部位993への送達時にマニホールド送達チューブに入らないため、減圧送達装置991を送達中に圧縮状態で保持することが望まれる。減圧送達装置991にゴム発泡体を用いる場合、生体適合性の熔解しうる粘着材を発泡体および圧縮発泡体に用いる。組織部位へ到達したら、体液その他の流体を減圧送達チューブ989を通して供給して粘着材を溶融させ、発泡体が膨らんで組織部位に接触するようにする。代替的に、減圧送達装置991は圧縮された乾燥ヒドロゲルで構成される。このヒドロゲルは組織部位993への送達語に水分を吸収し、減圧送達装置991を膨らませる。さらなる別の減圧送達装置991を熱活性材料(例えばポリエチレングリコール)で構成し、組織部位993において患者の体温にさらされたときに膨張するようにしてもよい。さらなる別の実施例では、圧縮された減圧送達装置991を溶解可能な膜に入れて組織部位993に送達してもよい。
【0074】
図27を参照すると、本発明の一実施例にかかる減圧送達システム101が、組織部位1025へのアクセスのために患者の組織に挿入される遠位端部1043を有するマニホールド送達チューブ1021を具える。この組織部位1025は、創傷その他の欠陥に付随する空隙1029を具えるか、代替的に本書に記載の切開技術を含む切開により空隙が形成される。
【0075】
組織部位1025の近くの空隙1029内に遠位端部1043を配置した後、注射式、注入式、または流入式の減圧送達装置1035がマニホールド送達チューブ1021を通して組織部位1025に送達される。この減圧送達装置1035は好適に、組織部位への送達時に流動状態であり、その後、送達後に減圧または流体を分配する複数の流路を形成する。いくつかのケースでは、この流動材料は組織部位への到達後に、乾燥工程、養生行程、または他の科学的あるいは物理的反応により固体状態へと硬化される。別のケースでは、流動材料は組織部位への送達後に生体内で発泡体を形成する。さらに別の材料は、組織部位1025でゲル様状態として存しつつ、複数の流路を有し減圧をかけられるようになっている。組織部位1025へ送達される減圧送達装置1035の量は、空隙1029を部分的または完全に満たすのに十分な量である。減圧送達装置1035は、マニホールドと骨格の双方の態様をもつ。マニホールドとして、減圧送達装置1035は、空隙1029に送達された後に材料内に複数の孔またはオープンセルを有する。この孔またはオープンセルは互いに連通しており、複数の流路を構成する。これらの流路は組織部位1025に減圧をかけて分配するのに用いられる。骨格としては、減圧送達装置1035は生体吸収性であり内部で新たな組織が成長する基盤として作用する。
【0076】
一実施例において、減圧送達装置1035は、例えばNaClまたは他の塩基といったポラーゲン(poragens)を具え、これらは液体や粘性ゲルを通じて分散される。この液体や粘性ゲルが組織部位1025に送達した後に、その材料は空隙1029に適合(conform)して固い状態へと硬化する。体液に触れて溶解した水溶性NaClポラーゲンは、相互接続した孔や流路の構造を残す。この流路に減圧および/流体が供給される。あらなた組織が現れると、この組織は減圧送達装置1035の孔へと成長し、減圧送達装置1035が分解するに伴い終局的には替わりとなる。この特定の実施例では、減圧送達装置1035はマニホールドのみならず、新たな組織の成長のための骨格として作用する。
【0077】
別の実施例では、減圧送達装置1035は、400μmのマンノースビーズを有するアルギン酸塩混合物である。このポラーゲンまたはビーズは、局所的な体液または洗浄または組織部位の減圧送達装置1035に供給される他の流体により溶解する。ポラーゲンまたはビーズの溶解後に、このポラーゲンまたはビーズに占有されていた空間が他の空隙と相互接続した空隙となり、減圧送達装置1035内の流路が形成される。
【0078】
材料内の流路形成にポラーゲンを用いることは効果的であるが、選択したポラーゲンの粒子サイズと殆ど同じサイズに制限された孔や流路が形成される。ポラーゲンの代わりに、化学反応を用いて気体の副産物を形成することにより大きな孔を形成してもよい。例えば一実施例では、組織部位1025に送達される流動材料が重炭酸ナトリウムとクエン酸粒子を含んでもよい(不定比の量を用いる)。流動材料が生体内で発泡体を形成するに伴い、体液が重炭酸ナトリウムとクエン酸の間で酸性反応を起こさせる。得られる二酸化炭素ガス粒子が、ポラーゲン溶解に依存する技術よりも大きな、減圧送達装置1035を通る孔または流路を生成する。
【0079】
減圧送達装置1035の液体または粘性ゲルから固体または発泡体への変質は、pH、温度、光、体液や薬品や組織部位に供給される他の物質との反応によって開始することができる。この変質は、複数の反応成分を混合することによって生じてもよい。一実施例では、減圧送達装置1035は、生体吸収性ポリマからなる生体吸収性のミクロスフェアを選択することにより用意することが好ましい。このミクロスフェアは、フォトイニシエータ(photoinitiator)と、ヒアルロン酸、コラーゲン、またはポリエチレングリコールなどのヒドロゲル発泡材料を光反応群とともに有する溶剤中に分散される。このミクロスフェア−ゲル混合剤は、短期間光にあててヒドロゲルが部分的にクロスリンクし、ミクロスフェアにヒドロゲルを固定する。余分な溶剤が流され、ミクロスフェアが乾燥される。ミクロスフェアは組織部位へと注入または流入により送達され、送達後に、混合剤は水分を吸収し、ヒドロゲルコーティングが水和する。この混合剤はその後再び光にあてられ、ミクロスフェアがクロスリンクして、複数の流路が生成される。クロスリンクされたミクロスフェアは、組織部位へ減圧をかけるマニホールドとして、および新たな組織の成長を促進する骨格として作用する。
【0080】
本書において上述した実施例に加えて、減圧送達装置1035は様々な材料で構成されてもよく、例えば限定しないが、リン酸カルシウム、コラーゲン、アルギン酸塩、セルロース、または気体、液体、ゲル、ペースト、パテ、スラリ、懸濁液、または他の流動材料を含む他の同等材料であって、組織部位と流体接続する複数の流路を構成しうるものを含む。この流動材料はさらに、ビーズのような粒状固体物であって、当該粒状固体物のサイズが十分に小さい場合にマニホールド送達チューブ1021を通って流れるものを含む。流動状態で組織部位に送達される材料は、遺体内で多重化またはゲル化してもよい。
【0081】
前述したように、減圧送達装置1035は、組織部位1025の近くの空隙1029に直接注入または流入されてもよい。図27Aを参照すると、マニホールド送達チューブ1021は、当該マニホールド送達チューブ1021の遠位端部1043に不浸透膜または半浸透膜1051を具えてもよい。この膜1051は、マニホールド送達チューブ1021に取り付けられた第2の管腔1057と流体接続する内側空間1055を有する。マニホールド送達チューブ1021は、ガイドワイヤ1061で組織部位1025へと案内される。
【0082】
減圧送達装置1035は、第1の管腔1057を通して注入または流入されて、膜1051の内側空間1055に充填される。膜1051に流体またはゲルが充填されるにつれ、膜1051は空隙1029を埋めるべく、膜が組織部位1025に接触するように拡大する。膜1051が拡大するのに伴い、膜1051は組織部位1025に隣接するさらなる組織を切開するのに用いられる。膜1051は、不浸透膜である場合、物理的に破裂され除去され、後には組織部位1025と接触する減圧送達装置1035が残される。代替的に、膜1051は、体液で分解する生体吸収性材料や、膜1051へ送達される生体適合溶剤で構成される。膜1051が半浸透性である場合、膜1051は生体内に残される。この半浸透膜1051は、減圧と、可能性のある他の流体を組織部位1025へ送達する。
【0083】
図28を参照すると、組織部位へ減圧組織治療を施す方法1111が、1115にて外科的にマニホールドを組織部位の近くに挿入し、このマニホールドは可撓性バリアから延在する複数の突起を具え、突起間に複数の流路を形成している。1119にてマニホールドが、突起の少なくとも一部が組織部位に接触するよう配置される。1123にて、マニホールドを通して組織部位に減圧がかけられる。
【0084】
図29を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施す方法1211が、1215にてマニホールドを組織部位に皮下挿入する。このマニホールドは、可撓性バリアから延在する複数の突起を具え、突起間に複数の流路を形成している。代替的に、このマニホールドは、内部に複数の流路を具える多孔性材料を具える。あるいは、マニホールドは組織部位へ送達される注入可能または流入可能であって、組織部位へ到達した後に複数の流路を形成する材料で構成されてもよい。1219において、マニホールドは、流路の少なくとも一部が組織部位と流体接続するように配置される。1223にて、マニホールドを介して組織部位に減圧がかけられる。
【0085】
図30を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施す方法1311が、1315にて、通路を有するチューブを患者の組織を通して皮下挿入し、チューブの遠位端部を組織部位の近くに配置する。1319にて、チューブに付属するバルーンが拡張され、組織部位に隣接する組織を切開して空隙が構成される。1323にて、通路を通してマニホールドが送達される。このマニホールドは、可撓性バリアから延在する複数の突起を具え、突起間に複数の流路を形成している。代替的に、このマニホールドは、内部に複数の流路を具える多孔性材料を具えてもよい。あるいは、図27で説明したように、マニホールドは組織部位へ送達される注入可能または流入可能な材料で構成されてもよい。1327において、マニホールドは、流路の少なくとも一部が組織部位と流体接続するように配置される。1331にて、減圧送達チューブまたは他の送達手段を介して組織部位に減圧がかけられる。
【0086】
図31を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施す方法1411が、1415において、通路を有するチューブを患者の組織に皮下挿入し、チューブの遠位端部を組織部位の近くに配置する。1423にて、不浸透シース内でマニホールドが前記通路を通って組織部位へ送達され、1419にて、不浸透シースが当該シースの周辺圧力より低い第1の減圧にかけられる。1427にて、シースは破断されマニホールドが組織部位と接触するよう配置される。1431にて、第2の減圧がマニホールドを通して組織部位にかけられる。
【0087】
図32、33を参照すると、本発明の一実施例にかかる減圧送達装置1511が、患者の既存の大腿骨頭部と置換するための整形外科用の股関節プロテーゼ1515を具える。この股関節プロテーゼは、ステム部1521と頭部1525とを具える。ステム部1521は、大腿骨1517のシャフト内に設けられた通路1529内への挿入のために細長くなっている。多孔性コーティング1535がステム部の周囲に設けられ、これは焼成またはガラス化したセラミックスまたは金属で構成されることが好ましい。代替的に、多孔質の多孔性材料をステム部の周囲に配置してもよい。複数の流路1541がステム部1521または股関節プロテーゼ内に設けられ、これらの流路1541は多孔性コーティング1535と流体接続している。接続ポート1545が流路1541に流体接続しており、このポートは減圧送達チューブ1551と減圧送達源1553に着脱可能に接続するよう構成されている。流路1541は、多孔性コーティングおよび/または移植後の股関節プロテーゼ周囲の骨に減圧をかけるのに用いられる。流路1541は、多孔性コーティング1535と接続するいくつかの側方支線1547に流体接続する主供給ライン1543を具える。この側方支線1545は、図32に示すように主供給ライン1543に垂直に配向されるか、主供給ライン1543に角度をつけて配向される。減圧を供給する代替方法は、空洞の股関節プロテーゼを提供し、このプロテーゼの内側空間を多孔性コーティング1535と流体接続する多孔性材料(好適にはオープンセルの)で充填することである。
【0088】
より具体的に図33を参照すると、股関節プロテーゼ1515はさらに、ステム部1521に第2の複数の流路1561を具え、これが多孔性コーティング1535および/または股関節プロテーゼ1515の周囲の骨に流体を供給する。この流体は濾過された空気または他の気体、抗菌剤、抗ウィルス剤、細胞成長促進剤、洗浄剤、科学的活性剤、その他の流体を含む。股関節プロテーゼ1515周囲の骨に複数の流体を導入することが望まれる場合、追加のパスまたは流体接続が設けられてもよい。接続ポート1565が流路1561に流体接続されており、このポート1565は流体供給チューブ1571および流体供給源1573に取り外し可能に接続するよう構成されている。流路1561は、多孔性コーティング1535に流体接続するいくつかの側方支線1585と流体接続する主供給ライン1583を具えてもよい。側方支線1585は、図33に示すように主供給ライン1583に垂直に配向されるか、主供給ライン1583に角度をつけて配向されてもよい。
【0089】
第1の複数の流路1541への減圧送達と、第2の流路1561への流体供給は、例えば減圧送達チューブ1551および流体供給チューブ1571のように別個のチューブで実現されてもよい。代替的に、本書で前述したように複数の管腔を有するチューブを用いて、減圧送達するのと流体を提供するので別の接続通路にしてもよい。さらに、股関節プロテーゼ1515内で異なる通路または流体接続を設けるのが好ましいが、第1の流路1541は減圧と流体の双方を股関節プロテーゼ151周囲の骨に送達するのに用いることができる。
【0090】
前述したように、骨組織に減圧をかけると、新たな骨組織の成長速度が促進される。股関節プロテーゼ1515を、股関節プロテーゼ周囲の骨の領域に減圧を送達するマニホールドとして用いると、大腿骨の回復が早くなり、股関節プロテーゼ1515が骨とより効率的に統合される。第2の複数の流路1561を設けて、股関節1515周囲の骨を曲げるのに用いると、プロテーゼの周囲の骨を曲げると、プロテーゼ周囲における新たな骨の発生を向上させることができる。
【0091】
選択された期間だけ股関節プロテーゼ1515を通して減圧をかけた後、減圧送達チューブ1551および流体供給チューブ1571は接続ポート1551、1571から切り離され、好適には外科的に皮侵襲性の処置により患者の身体から取り去られる。接続ポート1545、1565とチューブ1551、1571間の接続は、患者の身体の外側からチューブ1551、1571に軸方向の聴力をかけることにより手作業で解除可能な接続である。代替的に、接続ポート1545、1565は生体吸収性か、選択された流体または薬品により溶解可能であり、接続ポート1545、1565を流体または薬品に晒すことによりチューブ1551、1571を解除することができる。チューブ1551、1571はまた、経年により生分解するか特定の薬品または他の物質にさらされることにより分解する活性材料としてもよい。
【0092】
塩圧送達源1553は患者の体外に設けられ、減圧送達チューブ1551に接続されて股関節プロテーゼ1515に減圧を送達する。代替的に、減圧送達源1553は患者の体内に、現場または股関節プロテーゼの近くに埋め込まれてもよい。減圧送達源1553を患者の体内に置くと、皮膚を通して流体接続する必要がなくなる。埋め込まれた減圧送達源1553は、流路1541に機能的に接続された従来のポンプとすることができる。このポンプは、患者の体内に埋め込まれる電池により駆動されるか、ポンプに電気的かつ経皮的に接続された外部電池により駆動されてもよい。このポンプはまた、減圧を送達する化学反応や流路1541、1561を通る流体により直接駆動されてもよい。
【0093】
股関節プロテーゼ1515のステム部1521と頭部1525のみを図32、33に示すが、本書に記載する減圧組織治療をかけるための流路および手段を、例えば寛骨キャップなどの股関節プロテーゼ1515の様々な構成要素に適用してもよい。
【0094】
図34を参照すると、患者の間接を治療する方法1611は、1615において、間接に近接する骨内にプロテーゼを埋め込む。このプロテーゼは上述した股関節プロテーゼであってもよいし、患者の間接の可動性の回復を補助する他の様々なプロテーゼであってもよい。このプロテーゼは、骨と流体接続するよう構成された複数の流路を具える。1619にて、複数の流路を通して減圧がかけられ、プロテーゼの骨結合(osseointegration)を促進する。
【0095】
図35、36を参照すると、本発明の一実施例にかかる減圧送達装置1711が、骨折1719または他の欠陥を有する患者の骨1717を固定するための整形外科的固定器具1715を具える。図35、36に示す整形外科的固定器具1715は、当該整形外科的固定器具1715を骨1717にネジ1725、ピン、ボルト、または他の固定具で固定する複数の通路を有するプレートである。多孔性コーティング1735が整形外科的固定器具1715の骨1717と接触する表面に設けられる。この多孔性コーティングは、焼成またはガラス化したセラミックスまたは金属で構成されることが望ましい。あるいは、多孔性の多孔性材料を骨1717と整形外科的固定器具1715の間に配置してもよい。複数の流路1741が、流路1741が多孔性コーティング1735とルウ対接続するよう整形外科的固定器具1715内に設けられている。接続ポート1745が流路1741に流体接続され、このポートは減圧送達チューブ1751と減圧送達源1753に接続するよう構成されている。流路1741は、整形外科的固定器具1715を骨1717に固定した後に、多孔性コーティング1735および/または整形外科的固定器具1715の周囲の骨に減圧をかけるのに用いられる。流路1741は、多孔性コーティング1735に接続されたいくつかの側方支線1747に流体接続する主供給ライン1743を具えてもよい。この側方支線1747は、図35に示すように主供給ライン1743に垂直に配向されるか、主供給ライン1743に角度をつけて配向される。減圧を供給する代替方法は、空洞の股関節プロテーゼを提供し、このプロテーゼの内側空間を多孔性コーティング1735と流体接続する多孔性材料(好適にはオープンセルの)で充填することである。
【0096】
整形外科的固定器具1715は図35に示すようにプレートであってもよいし、代替的にスリーブ、ブレース、支柱、その他の骨の一部を安定化させるのに用いる装置であってもよい。整形外科的固定器具1715はさらに、プロテーゼまたは他の整形外科的器具や移植組織(骨や軟骨)を取り付けるのに用いる固定具であってもよく、この固定具は当該固定具に隣接するまたは周囲の組織に減圧を送達する流路を具える。これらの固定具の例は、ピン、ボルト、ネジ、または他の様々な適切な固定具を含む。
【0097】
図36をより具体的に参照すると、整形外科的固定器具1715はさらに、整形外科的固定器具1715内に、多孔性コーティング1735および/または整形外科的固定器具1715の周囲の骨に流体を供給する第2の複数の流路1761を具える。この流体は濾過された空気または他の気体、抗菌剤、抗ウィルス剤、細胞成長促進剤、洗浄剤、科学的活性剤、その他の流体を含む。整形外科的固定器具17155周囲の骨に複数の流体を導入することが望まれる場合、追加のパスまたは流体接続が設けられてもよい。接続ポート1765が流路1761に流体接続されており、このポート1765は流体供給チューブ1771および流体供給源1773に接続するよう構成されている。流路1761は、多孔性コーティング1735に流体接続するいくつかの側方支線1785と流体接続する主供給ライン1783を具えてもよい。側方支線1785は、図33に示すように主供給ライン1783に垂直に配向されるか、主供給ライン1783に角度をつけて配向されてもよい。
【0098】
第1の複数の流路1741への減圧送達と、第2の流路1761への流体供給は、例えば減圧送達チューブ1751および流体供給チューブ1771のように別個のチューブで実現されてもよい。代替的に、本書で前述したように複数の管腔を有するチューブを用いて、減圧送達するのと流体を提供するので別の接続通路にしてもよい。さらに、整形外科的固定器具1715内で異なる通路または流体接続を設けるのが好ましいが、第1の流路1741は減圧と流体の双方を股関節プロテーゼ151周囲の骨に送達するのに用いることができる。
【0099】
整形外科的固定器具1715をマニホールドとして、整形外科的固定器具1715に隣接する骨の領域に減圧をかけるのに用いると、骨1717の欠陥1719の回復を加速し促進する。整形外科的固定器具1715の周囲の骨に流体を送るのに第2の複数の流路1761を用いると、整形外科的固定器具1715の近くで新たな骨の生成を改善することができる。
【0100】
図37を参照すると、骨の欠陥を治療する方法1811は、1815にて、整形外科的固定器具を用いる骨を固定する。この整形外科的固定器具は、当該整形外科的固定器具内に設けられた複数の流路を具える。1819にて、複数の流路を通じて骨の欠陥に減圧がかけられる。
【0101】
図38を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施す方法1911は、1915にて、組織部位に複数の流路を有するマニホールドを、少なくとも一部の流路が組織部位に流体接続するよう配置する。1919にて流路を通して組織部位に減圧がかけられ、1923にて流路を通して流体が供給される。
【0102】
図39を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施す方法2011は、2015にて、マニホールド送達チューブの遠位端部を組織部位に隣接配置する。2019にて、マニホールド送達チューブを通じて流体を組織部位に送達する。この流体は組織部位に隣接する空隙に充填され、組織部位に流体接続する複数の流路を有するマニホールドに硬化する。2023にて固体マニホールドの流路を通して組織部位に減圧がかけられる。
【0103】
図40−48を参照すると、減圧送達システム1211は、主流路2121を取り囲む可撓性の壁2117を有する主マニホールドを具える。この可撓性の壁2117は、近位端部2123において減圧送達チューブ2125に接続されている。減圧送達チューブ2125の形状は通常円形の断面であり、主マニホールド2115の形状は円形の断面ではなく(図40−45では四角く、図46−48では三角形)、減圧送達チューブ2125と主マニホールド2115間の移行領域が設けられる。主マニホールド2115は減圧送達チューブ2125に接着されてもよく、例えば溶接や挿入形成などの他の手段を用いて接続されてもよく、あるいは共有押し出し成形により一体的に連結されてもよい。この減圧送達チューブ2125は、主マニホールド2115に減圧を送達して組織部位またはその近くに分配する。
【0104】
閉塞防止部材2135が主マニホールド内に配置され、マニホールド2115の崩壊を防止し、したがって減圧をかけるときに主流路2121の閉塞を防止する。一実施例では、閉塞防止部材2135は、可撓性の壁2117の内面2141に設けられ主流路2121内に延在する複数の突起2137である(図44参照)。別の実施例では、閉塞防止部材2135は内面2141に設けられた単一または複数の隆起2145である(図40、41参照)。さらなる別の実施例では、閉塞防止部材2135は、図47に示すような、主流路内に設けられる発泡材料である。この閉塞防止部材2135は、流路内に挿入可能か可撓性の壁2117と一体構成か取り付けることができる様々な材料や構造体であってもよい。閉塞防止部材2135は、主流路2121を通る流れを維持したまま、可撓性の壁2117全体の崩壊を防止することができる。
【0105】
可撓性の壁2117はさらに、可撓性の壁2117を通り主流路2121に接続する複数の開口2155を具える。この開口2155は、主流路2121への減圧を組織部位へ分配する。開口2155は、マニホールド2115の周囲に選択的に設けて優先的に真空の送達を振り向けてもよい。例えば、図51では、開口は骨に向けて、または下の組織に向けて、あるいはその両方に配置される。
【0106】
減圧送達チューブ2125は好適に、主流路2121に流体接続され主流路2121に減圧を送達する1以上の出口を有する第1の導管2161を具える。第2の導管2163を設けて、主流路2121と第1の導管2161に流体を通して、組織部位から出る創傷の浸出液その他の流体が原因の閉塞を防止または解消してもよい。第2の導管2163は好適に、主流路2121と第1の導管2161の1以上の出口の少なくとも1以上の近くに設けられる1以上の出口を具える。
【0107】
図40、41をより具体的に参照すると、減圧送達システム2111の第2の導管2163は、主流路2121と第1の導管2161をパージする複数の導管を具えてもよい。可撓性の壁2117において減圧送達チューブ2125に取り付けられるのと反対側の端部は、図40に示すように開いていてもよく、可撓性の壁2117の端部にキャップをするとパージ機能の効率と信頼性が改善することが発見された。好適には、可撓性の壁のキャップされた端部と第2の導管2163の間にヘッドスペース2171が設けられる。このヘッドスペース2171は、パージ処理の間にパージ流体を堆積し、パージ流体を流路2121と第1の導管2161に流すのに役立つ。
【0108】
図41はさらに、閉塞防止部材2135として作用するデバイダを示す。この中央配置デバイダは、主流路2121を2つの部屋に分け、一方の部屋が閉塞してパージでも閉塞が解消しない場合に主マニホールド2115の継続動作を可能とする。
【0109】
図49、50を参照すると、減圧送達システム211が、減圧送達チューブ2217と一体構成された主マニホールド2215を具える。減圧送達チューブ2217は、中央管腔2223と複数の副管腔2225とを具える。副管腔2225は組織部位またはその近くの圧力を測定するのに用いられ、この副管腔2225はさらに中央管腔2223の閉塞を防止または解消するためのパージに用いられる。複数の開口2231が中央管腔2223と接続され、中央管腔2223から供給される減圧が分散される。図50に示すように、開口2231は副管腔2225を貫通しない。図50にはさらに、減圧送達チューブのカウンターシンク端部(countersunk end)が示されており、これはヘッドスペース2241が副管腔2225の端部を越えて生成されている。減圧をかける際に組織、骨格、または他の材料が減圧送達チューブ2217の端部に当接しても、このヘッドスペース2241により中央管腔2223に供給される流体を流すことができる。
【0110】
運用時、図40−50の減圧送達システム2111、2211は組織部位に直接適用され、組織部位に減圧を送達する。主マニホールドは、本書に記載の皮下挿入および除去技術には扁平形状が非常に望まれる。同様に、主マニホールドも外科的に挿入される。
【0111】
図51を参照すると、主マニホールド2115、2215は第2のマニホールド2321とともに用いられる。図51では、第2のマニホールド2321が2層のフェルトマットを具える。第2のマニホールド2321の第1の層は、骨の欠陥を有する骨組織に接触するよう配置される。主マニホールド2115は第1の層と接触するよう配置され、この第2のマニホールド2321の第2の層は主マニホールド2115と第1の層の上に配置される。第2のマニホールド2321は、主マニホールド2115と組織部位の間に流体接続を実現しつつ、組織部位と主マニホールド2115が直接接触しないようにする。
【0112】
好適には、第2のマニホールド2321は生体吸収性で、この第2のマニホールドを減圧治療後に体内に残すことができる。減圧治療が終わったら、組織部位の侵襲を殆どなく主マニホールド2115を第2のマニホールドの層間から取り除く。一実施例では、主マニホールドは潤滑性材料またはヒドロゲル発泡材料でコーティングして、層間から容易に取り出せるようにする。
【0113】
第2のマニホールドは好適に、新たな組織の成長用の骨格として作用する。骨格として、第2のマニホールドは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキブチレート、ポリヒドロキシ吉草酸塩(polyhydroxyvalerate)、ポリジオキサノン(polydioxanon)、ポリオルソエステル(polyorthoesthers)、ポリフォスファゼン(polyphosphazenes)、ポリウレタン、コラーゲン、ヒアルロン酸、キトサン、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、生体ガラス、ステンレススチール、タンタル、同種移植片、および自家移植片から選択される1以上の材料からなる。
【0114】
上述した減圧送達システム211、2211のパージ機能は、本書に記載のどのマニホールドに設けてもよい。マニホールドまたは減圧送達する導管を洗浄する機能により、減圧の制御を妨げる閉塞が防止される。これらの閉塞は通常、組織部位近くの圧力が平衡し、組織部位周辺の流体の浸出が遅くなったときに生じる。マニホールドや減圧導管を所定期間空気でパージすると、閉塞の防止および解消に役立つ。
【0115】
より具体的には、減圧を送達する第1の導管とは別に第2の導管に空気を供給する。第2の導管の出口は好適に、マニホールドまたは第1の導管の出口に近接している。空気は圧縮され第2の導管の出口に「圧送」され、この空気は組織部位の減圧により第2の導管を通る。減圧適用時に60秒間隔で2秒間空気を供給すると、どの場合でも閉塞形成を防止するのに十分である。このパージスケジュールは、マニホールドと第1の導管内で流体を充分に動かすのに十分な空気を提供するが、過剰な空気の導入は防止される。空気の導入が過剰か、空気導入の頻度が高すぎると、減圧システムがパージサイクルの間に目標とする減圧に戻らなくなる。パージ流体の選択された供給時間と、パージ流体が供給される選択された間隔は、システム要素(例えばポンプやチューブ等)の設計やサイズに基づいて変化する。しかしながら、空気は、パージサイクル間で目標圧力を完全に実現しつつ、閉塞を除くのに十分な量および頻度で供給されるべきである。
【0116】
図52を参照すると、一実施例では、減圧送達システム2411が、第1の導管2419と第2の導管2423に流体接続されたマニホールド2415を具える。第1の導管2419は、マニホールド2415に減圧を供給する減圧源2429に接続される。第2の導管2423は、マニホールド2415に流体接続され第1の導管2419の出口に近くに配置される出口を具える。第2の導管2423はバルブ2439に流体接続され、バルブが開位置にある場合に第2の導管2423と周辺空気が連通する。このバルブ2439は、コントローラ2453に機能的に接続され、これがバルブ2439の開閉を制御して第2の導管を周辺空気でパージして、マニホールド2415と第1の導管2419内の閉塞を防止する。
【0117】
本書に記載のパージ技術を達成するために、液体や気体を含む様々な流体を用いてもよいことに留意されたい。パージ流体を駆動する力は好適には組織部位の減圧であり、この流体は同様に図9で説明した流体供給手段により供給されてもよい。
【0118】
本書記載のシステムおよび方法にかかる組織部位への減圧組織治療の実施は、組織部位へ十分な減圧をかけ、この十分な減圧を選択した期間維持する。あるいは、組織部位にかけられる減圧は周期的特性であってもよい。より具体的には、送達される減圧の量は、選択された時間サイクルで変化してもよい。さらに別の減圧送達方法は、減圧の量をランダムに変化してもよい。同様に、組織部位への減圧供給レートまたは量は一定でも、周期的でもランダム特性であってもよい。周期的である場合、減圧送達時または減圧がかけられない周期の間に、流体が生じる。組織部位へかけられる減圧の量は、組織部位の病状や、減圧組織治療が実施される環境によって通常変化するが、この減圧は一般には約−5mmHg乃至−500mmHgであり、より好適には約−5mmHg乃至−300mmHgである。
【0119】
本発明のシステムおよび方法を、組織の成長および人間の患者の治療に関して説明したが、これらの減圧組織治療を行うシステムよおび方法は、組織成長または治療が望まれる様々な生き物に用いてもよい。同様に、本発明のシステムおよび方法は、限定しないが、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、関節組織、軟骨、腱、および靭などの様々な組織に適用することができる。組織治療は本書の減圧組織治療の適用の一焦点であるが、特に患者の皮膚の下にある組織へ減圧組織治療を適用すると、疾病、欠陥、または損傷のない組織の成長をもたらすこともできる。例えば、組織部位におけるさらなる組織成長を行いその後採取するために、減圧組織治療を施すには皮下へ埋め込むことが望ましい。採取した組織は他の組織部位へ移植されて疾病または損傷した組織と取り替えられ、あるいは採取した組織は他の患者に移植される。
【0120】
本書記載の減圧送達装置は、新たな組織の成長または成長速度を増進するための骨格とともに用いてもよい。この骨格材料は、組織部位と減圧送達装置の間に配置されてもよく、あるいは減圧送達装置を生体吸収性材料で作成し新たな組織の成長用の骨格としてもよい。
【0121】
上記から、特有の利点を有する発明が提供されたことは明らかである。本発明のいくつかの形態しか示さないが、これは限定するものではなく、その範囲を逸脱することなく様々な変更が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織部位に減圧組織治療を行うための減圧送達システムにおいて:
内側スペースを有し、圧縮状態と弛緩状態をとることができる不透過性膜と;
複数のフローチャネルを有し、前記不透過性膜の内側スペース内に配置されたマニホールドと;
を具え、
前記不透過性膜の内側スペース内の圧力が、前記不透過性膜の外側の圧力より低く、前記不透過性膜内の前記マニホールドが占めるスペースの体積を小さくすることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項2】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記不透過性膜内の圧力を維持するように前記不透過性膜が密封されていることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項3】
請求項1に記載の減圧送達システムが更に、前記不透過性膜の内側スペースに流体的に連結された当該内側スペース内の圧力を維持する減圧源を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項4】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記不透過性膜が、体液あるいは身体組織に接触して配置されたときに分解可能であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項5】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記不透過性膜が拡張して、前記組織部位近傍における組織を切り取ることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項6】
請求項5に記載の減圧送達システムにおいて、前記不透過性膜が前記内側スペースに流体を注入することによって拡張することを特徴とする減圧送達システム。
【請求項7】
請求項1に記載の減圧送達システムが更に、前記不透過性膜を選択的に破るための鋭利な先端を有する器具を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項8】
請求項1に記載の減圧送達システムが更に:
前記不透過性膜の上に配置したシールと;
前記シールを介して前記マニホールドを押す器具と;
を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項9】
請求項1に記載の減圧送達システムが更に、前記不透過性膜と前記マニホールドのうちの少なくとも一方に動作可能に取り付けて、前記不透過性膜あるいは前記マニホールドの前記組織部位に対する位置を可視化するマーカを具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項10】
請求項9に記載の減圧送達システムにおいて、前記マーカが放射性不透過性マーカであることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項11】
請求項1に記載の減圧送達システムが更に、前記マニホールドのフローチャネルの少なくとも一つに流体的に連結された遠位端を有する減圧送達チューブを具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項12】
請求項11に記載の減圧送達システムが更に、前記減圧送達チューブの近位端に流体的に連結された前記少なくとも一のフローチャネルに第2の減圧を送達する減圧源を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項13】
請求項12に記載の減圧送達システムにおいて、前記第2の減圧が繰り返し与えられることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項14】
請求項11に記載の減圧送達システムにおいて、前記減圧送達チューブを前記少なくとも一のフローチャネルから切り離すことができることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項15】
請求項14に記載の減圧送達システムにおいて、前記マニホールドが生体再吸収可能であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項16】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記マニホールドが更に:
主流路を囲み、前記組織部位に近接して配置されるように構成した可撓性壁であって、当該可撓性壁を貫通する複数の開口を具え、前記主流路と連通している可撓性壁と;
前記主流路内に配置した閉塞防止部材と;
前記主流路に流体的に連結された少なくとも一の出口を有し、前記主流路に減圧を送達する第1の導管と;
前記主流路又は前記第1の導管の少なくとも一の出口に隣接して少なくとも一の出口を有し、減圧を与えている間に前記主流路と前記第1の導管の出口の少なくとも一方を、流体でパージする第2の導管と;
を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項17】
請求項16に記載の減圧送達システムにおいて、前記閉塞防止部材は、前記可撓性壁の内側表面に配置され、前記主流路に延在する複数の突起であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項18】
請求項16に記載の減圧送達システムにおいて、前記閉塞防止部材が、前記主流路内に配置した多孔性材料であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項19】
請求項16に記載の減圧送達システムにおいて、前記流体が気体であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項20】
請求項16に記載の減圧送達システムにおいて、前記流体が液体であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項21】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記マニホールドが更に:
可撓性バリアと;
当該可撓性バリアに付着させた多孔性材料であって、前記複数のフローチャネルを含む多孔性材料と;
前記複数のフローチャネルの少なくとも一つに流体的に連結された減圧送達チューブと;
を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項22】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記組織部位が硬組織であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項23】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記組織部位が軟組織であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項24】
組織部位に減圧組織治療を行う減圧送達システムにおいて:
少なくとも2の管腔を有するマニホルド送達チューブと、
複数のフローチャネルを有し、前記管腔のうちの第1の管腔内に配置されたマニホールドであって:
主流路を取り囲んで前記組織部位の近くに配置するのに適合している可撓性の壁であって、当該可撓性の壁を通って前記主流路に通じる複数の開口を具える可撓性の壁と、
前記主流路内に配置された閉塞防止部材と、
前記主流路に流体的に連結されて、当該主流路に負圧を送達する第1の導管と、
前記主流路又は前記第1の導管の出口の少なくとも一方の出口の近くに少なくとも一の出口を有し、負圧をかけている間に前記主流路と前記第1の導管の出口の少なくとも一方をガス流体でパージする第2の導管と;を具えるマニホールドと、
内側空間を有し、しぼんだ位置と膨張した位置をとることができるバルーンであって、前記内側空間が前記マニホールド送達チューブの前記管腔のうちの第2の管腔に流体的に連結されているバルーンと;
を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項25】
請求項24に記載の減圧送達システムにおいて、前記閉塞防止部材が、前記可撓性の壁の内側表面に設けられ、前記主流路内に延在する複数の突起であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項26】
請求項24に記載の減圧送達システムにおいて、前記閉塞防止部材が前記主流路内に配置した多孔性材料であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項1】
組織部位に減圧組織治療を行うための減圧送達システムにおいて:
内側スペースを有し、圧縮状態と弛緩状態をとることができる不透過性膜と;
複数のフローチャネルを有し、前記不透過性膜の内側スペース内に配置されたマニホールドと;
を具え、
前記不透過性膜の内側スペース内の圧力が、前記不透過性膜の外側の圧力より低く、前記不透過性膜内の前記マニホールドが占めるスペースの体積を小さくすることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項2】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記不透過性膜内の圧力を維持するように前記不透過性膜が密封されていることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項3】
請求項1に記載の減圧送達システムが更に、前記不透過性膜の内側スペースに流体的に連結された当該内側スペース内の圧力を維持する減圧源を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項4】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記不透過性膜が、体液あるいは身体組織に接触して配置されたときに分解可能であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項5】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記不透過性膜が拡張して、前記組織部位近傍における組織を切り取ることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項6】
請求項5に記載の減圧送達システムにおいて、前記不透過性膜が前記内側スペースに流体を注入することによって拡張することを特徴とする減圧送達システム。
【請求項7】
請求項1に記載の減圧送達システムが更に、前記不透過性膜を選択的に破るための鋭利な先端を有する器具を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項8】
請求項1に記載の減圧送達システムが更に:
前記不透過性膜の上に配置したシールと;
前記シールを介して前記マニホールドを押す器具と;
を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項9】
請求項1に記載の減圧送達システムが更に、前記不透過性膜と前記マニホールドのうちの少なくとも一方に動作可能に取り付けて、前記不透過性膜あるいは前記マニホールドの前記組織部位に対する位置を可視化するマーカを具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項10】
請求項9に記載の減圧送達システムにおいて、前記マーカが放射性不透過性マーカであることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項11】
請求項1に記載の減圧送達システムが更に、前記マニホールドのフローチャネルの少なくとも一つに流体的に連結された遠位端を有する減圧送達チューブを具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項12】
請求項11に記載の減圧送達システムが更に、前記減圧送達チューブの近位端に流体的に連結された前記少なくとも一のフローチャネルに第2の減圧を送達する減圧源を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項13】
請求項12に記載の減圧送達システムにおいて、前記第2の減圧が繰り返し与えられることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項14】
請求項11に記載の減圧送達システムにおいて、前記減圧送達チューブを前記少なくとも一のフローチャネルから切り離すことができることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項15】
請求項14に記載の減圧送達システムにおいて、前記マニホールドが生体再吸収可能であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項16】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記マニホールドが更に:
主流路を囲み、前記組織部位に近接して配置されるように構成した可撓性壁であって、当該可撓性壁を貫通する複数の開口を具え、前記主流路と連通している可撓性壁と;
前記主流路内に配置した閉塞防止部材と;
前記主流路に流体的に連結された少なくとも一の出口を有し、前記主流路に減圧を送達する第1の導管と;
前記主流路又は前記第1の導管の少なくとも一の出口に隣接して少なくとも一の出口を有し、減圧を与えている間に前記主流路と前記第1の導管の出口の少なくとも一方を、流体でパージする第2の導管と;
を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項17】
請求項16に記載の減圧送達システムにおいて、前記閉塞防止部材は、前記可撓性壁の内側表面に配置され、前記主流路に延在する複数の突起であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項18】
請求項16に記載の減圧送達システムにおいて、前記閉塞防止部材が、前記主流路内に配置した多孔性材料であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項19】
請求項16に記載の減圧送達システムにおいて、前記流体が気体であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項20】
請求項16に記載の減圧送達システムにおいて、前記流体が液体であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項21】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記マニホールドが更に:
可撓性バリアと;
当該可撓性バリアに付着させた多孔性材料であって、前記複数のフローチャネルを含む多孔性材料と;
前記複数のフローチャネルの少なくとも一つに流体的に連結された減圧送達チューブと;
を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項22】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記組織部位が硬組織であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項23】
請求項1に記載の減圧送達システムにおいて、前記組織部位が軟組織であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項24】
組織部位に減圧組織治療を行う減圧送達システムにおいて:
少なくとも2の管腔を有するマニホルド送達チューブと、
複数のフローチャネルを有し、前記管腔のうちの第1の管腔内に配置されたマニホールドであって:
主流路を取り囲んで前記組織部位の近くに配置するのに適合している可撓性の壁であって、当該可撓性の壁を通って前記主流路に通じる複数の開口を具える可撓性の壁と、
前記主流路内に配置された閉塞防止部材と、
前記主流路に流体的に連結されて、当該主流路に負圧を送達する第1の導管と、
前記主流路又は前記第1の導管の出口の少なくとも一方の出口の近くに少なくとも一の出口を有し、負圧をかけている間に前記主流路と前記第1の導管の出口の少なくとも一方をガス流体でパージする第2の導管と;を具えるマニホールドと、
内側空間を有し、しぼんだ位置と膨張した位置をとることができるバルーンであって、前記内側空間が前記マニホールド送達チューブの前記管腔のうちの第2の管腔に流体的に連結されているバルーンと;
を具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項25】
請求項24に記載の減圧送達システムにおいて、前記閉塞防止部材が、前記可撓性の壁の内側表面に設けられ、前記主流路内に延在する複数の突起であることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項26】
請求項24に記載の減圧送達システムにおいて、前記閉塞防止部材が前記主流路内に配置した多孔性材料であることを特徴とする減圧送達システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図25A】
【図26】
【図26A】
【図27】
【図27A】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図25A】
【図26】
【図26A】
【図27】
【図27A】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【公開番号】特開2012−254314(P2012−254314A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−176014(P2012−176014)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【分割の表示】特願2009−500507(P2009−500507)の分割
【原出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【分割の表示】特願2009−500507(P2009−500507)の分割
【原出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】
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