説明

バルーン拡張性ステントに適した、医療デバイス用固定アンカー

本発明は、医療用デバイス(200)のためのバルーン拡張性アンカー(204)である。アンカーバーブは、デバイス圧縮の運搬プロファイル内に含まれて、バルーン拡張して、拡張デバイスプロファイルの外側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイス用固定アンカーに関し、特にはバルーン拡張性ステントと共に用いられるのに適するアンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療デバイスが、対象サイトに固定又は固着するための何らかの形態を必要とする。通常の固着手段としては、バーブ、フック、縫合、又は周辺の生体組織にデバイスを取り付けるために用いられる他の機構等が挙げられる。アンカー手段を必要とするデバイスの幾つかの例示は、大静脈フィルター、ステント、ステントグラフト、 胆汁/尿の導管ステント、腸/胃内のステント及びライナー、オクルダー、電気生理学的リード、様々なモニター用又は診断用デバイス、中心静脈カテーテル、並びに当該技術分野で周知である他のデバイス等である。これらのデバイスの多くはバルーン拡張性コンポーネントを組み込み、そのコンポーネントは拡張して周辺の生体組織に荷重をかけ、このようにして、固着手段を提供する。医療デバイスの位置的な固着の程度は、通常、バルーン拡張性コンポーネントの"過拡張"の程度によって決まる。過拡張の場合、拡張性の部分が、攻撃的に周辺の生体組織に押し込まれて、固着の摩擦又は"締りばめ"に影響を与える。過拡張の程度が度を超えているならば、周辺の生体組織が損傷する可能性がある。反対に、過拡張の程度が最小であるならば、固着力が小さいためデバイスは動いて除去される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
バルーン拡張性コンポーネント固着するための改良された手段は拡張性アンカー又はバーブを組み込む。これらの拡張性アンカーは積極的な過拡張の必要性を取り除き、過拡張が最小であるならばある程度の固着性を提供する。また、改良されたバルーン拡張性アンカーは、バルーンに対する拡張性コンポーネントの保持力を改良することができる。改良されたバルーン拡張性アンカーは、拡張性デバイスの形状内に含まれることが可能であり、したがって、アンカーがデバイスの運搬を妨害することはない。
【0004】
本発明の実施形態は医療用固定デバイスを含み、デバイス取り付け部と、拡張(延伸又は膨張)ベアリング部と、バーブ部とを有するバルーン拡張性(延伸性又は膨張性)アンカーを含む医療用固定デバイスであり、そのアンカー拡張(延伸又は膨張)ベアリング部が、そのアンカーデバイス取り付け部とそのアンカーバーブ部との間に配置されて、
そのデバイス取り付け部が、第1の圧縮プロファイルと第2の拡張(延伸又は膨張)プロファイルとを有する拡張性(延伸性又は膨張性)医療デバイスと連結し、
そのアンカーバーブ部が第1の圧縮プロファイル内に配置されて、
さらに、そのアンカーが変形して、第2の拡張(延伸又は膨張)プロファイルの外側にそのアンカーバーブ部を延在させる。
【0005】
本発明の追加的な特徴及び利点は、本願明細書において述べられて、本発明の実施によって理解される。本発明のこれらの特徴及び他の利点は、明細書と、特許請求の範囲と、添付の図面とによって具体的に指し示された構成によって実現され、達成される。
【0006】
前述の一般的な記述及び次の詳細な記述の両方は、典型的であって、かつ、説明的であり、そして、特許請求の範囲に記載された本発明の更なる説明を提供することを目的とすることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付図面は、本発明を更に理解することを提供するために含まれて、本願明細書の一部として組み込まれて、本願明細書の一部を構成し、そして本発明の実施形態を示し、本願明細書の記述と併せて、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図1A】図1Aは、移植前の医療デバイスの側面図の一部である。図示された医療デバイスは、バルーンと運搬カテーテルとを囲むバルーン拡張性ステントである。
【図1B】図1Bは、バルーン拡張をした医療デバイスの側面図の一部である。
【図2A】図2Aは、改良されたバルーン拡張性アンカーの側面図の一部であり、そのアンカーは、第1の圧縮デバイスのプロファイル内に含まれるアンカーバーブを示し、また、図2Aは、拡張されたデバイスプロファイルの外側を示す。
【図3】図3は、2つのアンカーバーブを有するバルーン拡張した医療デバイスの側面図の一部であり、それら2つのアンカーバーブは、拡張したデバイスプロファイルの外側に延在する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、医療デバイスの固着手段又は固定手段に関し、固着手段又は固定手段は、初期の圧縮及びその後のデバイス展開を容易にすることが可能である。
【0009】
図1A及び1Bは、医療デバイスの運搬シーケンスの一般的な例示を示す。部分側面図に示されているように、図1Aは圧縮された医療デバイス100を示す。図示された具体的な医療デバイスは、バルーン拡張性ステント102である。医療デバイスが、ルーメン104内に配置されたことを示す。バルーン拡張性ステント102が、バルーン(図示されていない)及び運搬カテーテル106上で圧縮された状態であることを示す。
【0010】
部分側面図で示されるように、図1Bは、拡張状態の医療デバイス100を示す。バルーン拡張性ステント102(拡張状態で示されている。)と、拡張バルーン108と、運搬カテーテル106とを示す。典型的な手順としては、内部のバルーン圧力が、可鍛性のステント(又は他のデバイス)を拡張させて、強制的に可鍛性ステントを周辺の生体組織又はルーメン壁104に接触させる。通常、バルーン圧力の大きさは、ステントの外側プロファイルを決定し、そして、過度な拡張の程度又は血管壁への埋め込みの程度を決定する。
【0011】
図2A及び2Bは、改良されたバルーン拡張性アンカーの部分側面図を示す。拡張性医療デバイス200は、ルーメン104内に示されて、膨張可能なバルーン202を囲む。医療デバイスは拡張性アンカー204を有し、拡張性アンカー204は、デバイス取り付け部206と(アンカーを医療デバイスに接合させるために用いられる。)、拡張ベアリング部208とバーブ部210とを有する。図2Aに示されるように、医療デバイス200が、第1の圧縮プロファイル212を有することが示されている。図示されているように、アンカーバーブ部210は、第1の圧縮プロファイル212の214内に含まれる。拡張ベアリング部208は、様々な方法によって構成されてよく、結果として、バーブ部210が第1の圧縮プロファイル212内に含まれれば、曲線形状、突出形状、平面形状又は任意の他の形状を含んでよい。
【0012】
図2Bに示されるように、内部のバルーン圧力216は、医療デバイス200を押し進めて、第2の拡張されたプロファイル218まで拡張する。拡張時に、バーブ部210が、第2の拡張されたプロファイル218の外側220に延在するように、バルーン202は拡張ベアリング部208に接触して、拡張ベアリング部208は、拡張性アンカー204を強制的に拡張させる。
【0013】
図3には、バルーン拡張性医療デバイス300の部分側面図が示されて、バルーン拡張性医療デバイス300が、拡張されたバルーン108と運搬カテーテル106とを囲むことを示す。拡張された医療デバイス300が、第2の拡張されたプロファイル302と2つのアンカーバーブ部210とを有することを示す。2つのアンカーバーブ部210は、第2の拡張プロファイル302の外側304に延在していることを示す。
【0014】
拡張バルーンと共に示されているが、本発明の拡張性アンカーはまた、拡張する他の手段、例えば、機械的なボウアーム(bow-arms)、拡張性"提灯"、拡張性バスケット、他の拡張デバイス、他の拡張材料等と共に用いられてよい。バルーン拡張性アンカーは、バルーン拡張性ステントの生産で用いられる周知の材料(又はその組み合わせ)を含んでよい。典型的な材料としては、316Lステンレススチール、コバルト-クロム-ニッケル-モリブテン-鉄合金("コバルト-クロム")、L605のような他のコバルト合金、タンタル、可鍛性ニチノール又は他の生体適合性可鍛性金属が含まれてよい。他の適切な材料としては、特殊可鍛性ポリマー、生体吸収性の可鍛性材料、及びそれらと同等な材料が含まれてよい。
【0015】
医療デバイスにアンカーを組み立てる際に用いられる典型的な方法としては、2つ以上のコンポーネント(部品)を取り付けるために用いられる周知の技術が含まれる。永久的な取り付けの例としては、にかわ、接着剤、溶接、インサート成形、強圧入(強プレスフィット)、1方向の留め金、ロック機能、圧搾ピン、ヒートステーキング、及びリベットの使用が含まれる。半永久的な取り付け又はコンポーネント(部品)を分離するために道具を必要とする取り付けの例は、スクリュー(ねじくぎ)、ねじ部品、止め輪及びスナップフィットが含まれる。取り外し可能な取り付け又は追加的な道具を使用することなく手動によって分離され得る取り付けとしては、スナップフィット、ツイストロック機能、取り外し機能を解除するためのプッシュ、取り外し機能を解除するためのスクーイーズ、スライドレバー、掛け金及び光圧入(光プレスフィット)が含まれる。
【0016】
アンカーは、様々な断面プロファイルを有してよく、断面プロファイルとしては、例えば、円形状、楕円形状、長方形状、その他多角形状等が挙げられる。また、アンカーは、外側に、滑剤層、滑剤被覆物又は滑剤包装物を組み込んでもよく、摩擦を最小限度にすることできる。さらに、アンカーは、特有の生物学的結果を得るために治療薬を組み込んでもよい。またさらに、アンカーは、X線不透過性マーカー又はX線増強器を含んでもよい。
【0017】
本発明の特定の実施形態が、本願明細書において例示されて述べられたが、本発明は、そのような例示及び記述に限定されるべきではない。以下の特許請求の範囲内であれば、変形例及び改良例が本発明の一部として組み込まれてよく、さらに具現化されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス取り付け部と、バーブ部と、拡張ベアリング部とを含む、アンカー。
【請求項2】
デバイス取り付け部と、拡張ベアリング部と、バーブ部とを有するバルーン拡張性アンカーを含む医療用固定デバイスであって、
該アンカー拡張ベアリング部が、該アンカーデバイス取り付け部と該アンカーバーブ部との間に配置されて、
該デバイス取り付け部が、第1の圧縮プロファイルと第2の拡張プロファイルとを有する拡張性医療デバイスと連結し、
該アンカーバーブ部が該第1の圧縮プロファイル内に配置されて、
そして、該アンカーが変形して、該第2の拡張プロファイルの外側に該アンカーバーブ部を延在させる、
医療用固定デバイス。
【請求項3】
前記拡張ベアリング部が、前記デバイス取り付け部と前記バーブ部との間に配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
a. 医療デバイスと、
b. バーブと、
c. 該デバイスと該バーブとの間に配置される拡張ベアリング部と、
を含む、固着型医療デバイス。
【請求項5】
前記バーブ部が金属である、請求項1に記載の医療用固定デバイス。
【請求項6】
前記拡張ベアリング部が線形である、請求項1に記載の医療用固定デバイス。
【請求項7】
前記拡張ベアリング部が非線形である、請求項1に記載の医療用固定デバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−530540(P2012−530540A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516063(P2012−516063)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/001748
【国際公開番号】WO2010/147658
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】