説明

バレルモータ

【課題】容易かつ安価に製造可能であり、動作中に容易かつ低コストで保守可能なバレルモータおよびバレルモータ用のバレルモータ駆動装置の提供。
【解決手段】バレルモータ駆動ユニットと、バレルモータを運搬フレームに固定するための第1固定部材および第2固定部材とを具備し、バレルカバーは少なくとも第1固定部材に対してバレル軸を中心として回転できるように装着され、バレルモータ駆動ユニットは固定子およびロータを有する電気モータを具備して、バレルカバー内に配置され、電気モータの固定子は回転に関しては第1固定部材に固定連結され、電気モータのロータは、出力部材を介してバレルカバーに、バレルカバーが少なくとも第1固定部材に対してバレル軸を中心として回転できるように、バレルカバーが出力部材を介して駆動可能に連結され、出力部材はバレルモータ駆動ユニットの、バレル軸に関して第1固定部材と同じ側面に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレルモータ駆動ユニット、バレルモータ、およびこのようなバレルモータ
を有するドリフトコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
材料をコンベヤローラ上にて運搬する各種のコンベヤ設備が存在する。これらのような
コンベヤローラの一部が駆動される。
【0003】
これらのような駆動コンベヤローラは、たとえばUS6,402,653B1およびE
P0752970B1に記載されている。
【0004】
一般にこれらのようなコンベヤローラは、1個以上の部品を具備し、コンベヤローラ端
部を越えて延伸する連続軸を有する。コンベヤローラは、このような軸の端部を介してコ
ンベヤ設備に装着される。
【0005】
このようなコンベヤローラに含まれる駆動装置は一般に、このような軸の周囲に同心状
に配置されており、すなわち軸が駆動装置の一端から他端まで貫通している。公知の駆動
コンベヤローラは一般に、材料が運搬されるコンベヤローラの回転式チューブに対して円
周方向に伝達される、駆動ユニットからの駆動力を利用した部材を有している。
【0006】
場合によっては、これらのようなコンベヤローラは動作中に潤滑する必要のあるトラン
スミッションを有する。このような潤滑を確実にするために、このようなコンベヤローラ
の内側は、たとえばオイルによって特定の高さまで充填される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、容易かつ安価に製造可能であり、動作中に容易かつ低コストで
保守可能な、バレルモータを有するドリフトコンベヤ、このようなバレルモータおよびこ
のようなバレルモータ用のバレルモータ駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、独立請求項で請求されるような装置および方法によって達成される。
好適な実施形態は従属請求項に開示されている。
【0009】
本発明の一態様は、バレルケーシングと、バレルモータ駆動ユニットと、バレルモータ
をコンベヤフレームに装着するための第1装着部材および第2装着部材とを具備するバレ
ルモータに関するものであり、バレルケーシングは少なくとも第1装着部材に対してバレ
ル軸を中心として回転自在に支持され、バレルモータ駆動ユニットは固定子とロータとを
有する電気モータを具備してバレルケーシング内に配置され、耐トルク性(torque
−proof:耐回転性(turn−proof)ともいう)を有するように電気モータ
の固定子が第1装着部材に連結されてバレルケーシングがバレル軸を中心として回転自在
となるように、電気モータのロータは出力駆動部材を介してバレルケーシングに連結され
、バレルケーシングが出力駆動部材を介して少なくとも第1装着部材に対して駆動自在と
なり、出力駆動部材はバレルモータ駆動ユニットの、バレル軸に関して第1装着部材と同
じ側面に配置され、出力駆動部材の回転軸はロータの回転軸と同一でない。本設計は、ト
ルクを伝達する必要があるバレルモータ駆動ユニットのすべての部品がバレルモータ駆動
ユニットの一方の側面に配置できるという利点と、出力駆動部材がバレルケーシングの内
壁にて円周方向に静止する必要はなく、駆動力をバレルケーシングの個々の箇所に特定し
て伝達できるという利点を有する。このことはたとえば、バレルケーシングと駆動ユニッ
トとの間に歯状システムが設けられるときに好適となりうる。さらに、たとえばバレルモ
ータの反対の側面(駆動ユニットが設置されていない側)がすでに完全に組み立てられた
形で供給されて、バレルモータ駆動ユニットがバレルケーシング内にバレルケーシングの
一方の側面から導入可能とするおかげで、このようなバレルモータが容易に設置できる。
本請求の目的では、「耐トルク性を有するように」という表現は、部材が相互に対して回
転できないような耐トルク連結を介してトルクが伝達可能であることを意味しており、こ
のような場合、相互に連結された部品は相互に対して本質的に回転しない。しかしながら
この表現は、例えば相互に連結された部品をほんの少しの度数で回転させることを可能と
する制動部材を有する連結を含むことも意図する。
【0010】
さらに好適な実施形態は、出力駆動部材の回転軸がバレル軸と同じでないバレルモータ
に関する。このようなバレルモータは、上述のバレルモータと本質的に同じ利点を有する
。バレルモータの構成によっては、ロータの回転軸と同じでないバレル軸でも可能であろ
う。
【0011】
さらにバレルモータの好ましい一実施形態において、出力駆動部材は、耐トルク性を有
するように、バレルケーシングの内周に設けられた内部歯状システムと係合するピニオン
である。これは、摩擦ロック連結の場合よりも大きい駆動力が歯状システムを介して伝達
できるという利点を有する。さらに歯状システムは、より省スペース式に配置可能であり
、組立がより容易である。
【0012】
さらにこのようなバレルモータは好ましくは、第1ころ軸受および/または第1流体シ
ールがバレルケーシングと第1装着部材との間に設けられる設計を有する。好ましい流体
シールは、たとえばSimrit社登録商標のスライドリングシールまたはシャフトシー
ル形成リングである。
【0013】
このような実施形態のさらに好適な態様は、第1ころ軸受の外半径および/または第1
流体シールの外半径が、バレル軸から出力駆動部材の回転軸まで延在する半径と本質的に
等しいか、それより大きく、および/または、耐トルク性を有するようにバレルケーシン
グの内周に設けられた内部歯状システムの歯元円の半径と等しいか、それより大きくバレ
ルモータに存しうる。本設計の1つの利点は、比較的大きい直径を有するころ軸受がさら
なる荷重も吸収することが可能であり、その結果としてより大きい荷重がこのようなバレ
ルモータで運搬可能であること、および/またはこのように設計された軸受もベルトの応
力を吸収できるため、このようなバレルモータがベルトと併せても使用可能であることで
ある。ころ軸受がこの方法で選択されるとき、内径も比較的大きいことにも注目すべきで
ある。従って、この方法で好適に設計された実施形態の場合における第1装着部材は、こ
のようなころ軸受の内径に一致する比較的大きい外径を有するのが好ましい。第1装着部
材のこのような比較的大きい直径は、装着部材の半径断面の異なる機能部材、たとえば比
較的大きい断面を備えたケーブル、詳細にたとえると追加機能(たとえばブレーキ、回転
センサなど)の開ループおよび閉ループ制御のための通常より多くのケーブル、好ましく
は封着されたオイル充填口である連結用プラグソケット、装着部材をドリフトコンベヤの
隣接フレームに装着するためのネジ穴を供給することを可能にする。このような第1装着
部材は、それがバレルケーシングの軸縁と本質的に同一平面上で終結するように、または
バレルケーシングの軸縁からごくわずかに突出するように設計されることも可能である。
このことはバレルモータが小型形状を有することを可能にする。それゆえバレルモータの
設置長を最小限まで縮小できる。バレルモータは、容易に包含されうるシートメタルコン
ベヤフレームに、ネジ穴によって標準部品を使用して嵌め込むことができる。この好まし
い実施形態はコンベヤの最適化された組立および分解を確実にし、連結の選択肢には制限
がない。
【0014】
第1ころ軸受がバレルモータ駆動ユニットの直径と本質的に等しい、またはそれより大
きい外径を有する、このようなバレルモータが好ましい。この場合の利点は、ころ軸受お
よび/または流体シールが取り外された状態で、バレルモータ駆動ユニットがバレルケー
シング内に押し込み可能なことである。従ってこの状況では、歯状システムのクラウンサ
ークルが、内部歯状システムの最も上の頂点によって形成され、同様にバレル駆動ユニッ
トの外径と等しい、またはそれより大きい直径を有することが同様に好ましい。別の好ま
しい実施形態において、バレルモータ駆動ユニットは、組立状態にあるときにバレルモー
タ駆動ユニットがバレルケーシング内に配置されている区域において、バレルケーシング
の内径よりもわずかに小さい外径を有する。バレルモータ駆動ユニットの外径は好ましく
は、バレルケーシングの内径よりも約1〜2ミリメートル小さい。この設計だと、バレル
ケーシングの内部区域が最適に利用されることが可能であり、それゆえ最大出力のバレル
モータ駆動ユニットを使用することが可能である。この場合、内部歯状システム、第1こ
ろ軸受および第1流体シールを具備する第1軸受ユニットは、バレルモータ駆動ユニット
と共に設置することができる。
【0015】
このようなバレルモータは好ましくは、バレル軸と本質的に同心である軸部材がバレル
モータ駆動ユニットと装着部材との間に設けられ、耐トルク性を有するように電気モータ
の固定子を装着部材によって装着部材のブラインドホール内に固定する設計を有する。こ
のような同心軸部材は、好ましくはピンのようにおよび/または円筒状であるように形成
され、好ましくはバレル軸から出力駆動部材の回転軸までの半径の長さと出力駆動部材の
半径との差と同じであるか、またはそれより小さい直径を有し、すなわちピニオンの場合
にはそのクラウンサークルである。このような設計は、回転出力駆動部材を軸部材上で摺
動させずに、同心軸部材および出力駆動部材が相互に並んで設けられるようにする。この
ような円筒状軸部材は、第1装着部材のブラインドホールに容易に固定または連結されう
る。耐トルク性を有する連結は、いずれかの所望のシャフト−ハブ連結を介して、好まし
くはたとえば調整バネを介して供給されうる。
【0016】
さらに好適な実施形態は、特に電気モータの電源用のケーブル開口、および/またはプ
ラグソケットおよび/またはオイル充填口が装着部材に設けられたバレルモータに関する
。このような設計は、プラグ連結を容易にもたらすことが可能であるだけでなく、オイル
充填口への到達性も確保されるので、このようなバレルモータが容易に組立および保守さ
れうるという利点を有する。
【0017】
バレルモータのさらに好ましい実施形態において、バレル駆動ユニットおよびバレルケ
ーシングは、それらが相互に対して回転可能であり、相互に対して傾斜できないように第
1軸受および中央軸受を介して支持され、中央軸受は第1軸受からバレル軸の方向に離れ
ている。第1軸受からバレル軸の方向を見ると、第2軸受が中央軸受の後側に設けられ、
第2軸受を介してバレルケーシングが、バレルモータに隣接するコンベヤフレームに対し
て回転自在に支持されている。バレル駆動ユニットは第2軸受から独立してバレルケーシ
ングに対して支持されている。このような軸受は、バレルモータの一端から他端まで延伸
して、バレルケーシング内でバレルモータ駆動ユニットを支える軸を供給する必要がない
という利点を有する。さらに本設計は、荷重下でのバレルケーシングのわずかな屈曲がバ
レルケーシングに対するバレルモータ駆動ユニットの傾斜につながらないという利点を有
する。さらなる利点は、このような中央軸受がバレルケーシングを補強して、堅牢にさせ
ることである。
【0018】
さらにこのようなバレルモータは、好ましくは第1軸受が第1ころ軸受を具備する設計
を有する。このような設計は、さらなる軸受を不要にする。
【0019】
このような実施形態のさらに好適な態様は、第2軸受が第2装着部材の区域に第2ころ
軸受を具備するバレルモータに存しうる。
【0020】
バレルモータ駆動ユニットの少なくとも一部を収容する流体密スペースがバレルモータ
内部の第1シールと第2軸受との間に形成されるように、中央シールが第1流体シールと
第2軸受との間に設けられたバレルモータが好ましい。本設計は、各種のバレルケーシン
グ長を備えた各種のバレルモータがバレルモータ駆動ユニット側面に流体密スペースを有
し、その区域がすべての各種バレルモータにおいて本質的に同じ大きさである、好適な構
成をもたらす。このようなバレルモータにおいてオイル潤滑が必要である場合、このこと
は、各種のバレルモータそれぞれの流体密スペースを充填するのに同じ量のオイルが必要
とされることを確実にする。オイルの必要量は、従来のバレルモータの場合よりも、より
長い物理長を備えたバレルモータの場合でより少なくなる。このことはオイルが節約され
うることを意味する。
【0021】
このようなバレルモータは、好ましくは縁が所々円筒形である管状区間で形成されてお
り、その外径がバレルケーシングの内径と本質的に一致するシール形成トラフを具備する
中央シールが設計される。このような中央シールは好ましくは円筒管状区間の外側に円周
溝を有し、この溝には、シール形成トラフとバレルケーシングとの間にシールを与えるO
リングが挿入される。あるいは、設計されたおよび/または同時にそれがシール形成およ
び電力伝達機能を有するようなサイズの締まり嵌めも、バレルケーシングとシール形成ト
ラフとの間に設けることができる。シール形成トラフの代わりとして、その外側リングが
バレルケーシング内に嵌め込まれるシール形成ころ軸受、たとえば溝付き玉軸受を供給す
ることも可能である。溝付き玉軸受に加えてシャフトシール形成リングまたは同様のシー
ル形成部材を供給することも実現可能である。これらの代わりの解決策と比較して、シー
ル形成トラフを用いた解決策は、シール形成トラフがたとえば射出成形工程などによって
容易に作製されうるという利点を有する。さらにこのようなシール形成トラフは、内部区
域においてバレルケーシングを補強する役割を果たす。
【0022】
さらに好適な実施形態は、中央軸受がバレルモータ駆動ユニットとバレルケーシングと
の間に、特にバレルモータ駆動ユニットとシール形成トラフの円筒管状区間の内部表面と
の間に配置された中央ころ軸受を具備するバレルモータに関する。このような設計は、バ
レルモータ駆動ユニットを、バレルモータ内のころ軸受およびシール形成トラフと組付け
ることを容易にする。さらに軸受表面は、バレルケーシングの内部区域においてよりも、
シール形成トラフの内部表面上により容易に作製されうる。
【0023】
本発明のさらなる態様は、バレルケーシングと、バレルモータ駆動ユニットと、バレル
モータをコンベヤフレームに装着するための第1装着部材および第2装着部材とを具備す
るバレルモータに関するものであり、バレルケーシングは少なくとも第1装着部材に対し
てバレル軸を中心として回転自在に支持され、バレルモータ駆動ユニットは、固定子およ
びロータを有する電気モータを具備して、バレルケーシング内に配置され、電気モータの
固定子は耐トルク性を有するように第1装着部材に連結され、バレル駆動ユニットおよび
バレルケーシングは、それらが相互に対して回転可能であり、相互に対して傾斜できない
ように第1軸受および中央軸受を介して支持され、中央軸受は第1軸受からバレル軸の方
向に離れており、第1軸受からバレル軸の方向を見ると、第2軸受が中央軸受の後側に設
けられ、第2軸受を介してバレルケーシングが、バレルモータに隣接するコンベヤフレー
ムに対して回転自在に支持されており、バレル駆動ユニットは第2軸受から独立してバレ
ルケーシングに対して支持されている。本発明の第1の態様に関する上述の記載は、本発
明のこのさらなる態様にも本質的に当てはまる。上と同様に、第1装着部材とは反対側の
ユニットの側面上のバレルケーシングにおけるバレルモータ駆動ユニットの軸受は、第2
軸受が取り外された場合でさえ、バレルモータ駆動ユニットがバレルケーシングに対して
傾斜できないように、バレルモータ駆動ユニットがなお支持されるという利点を有する。
したがって、第1装着部材とは反対側のバレルモータ駆動ユニットの側面上にも延在する
、たとえば連続軸またはバレルモータ駆動ユニットの軸を介した、バレルモータ駆動ユニ
ット用の追加軸受の必要は一切ない。特にこのことは、バレルケーシングの長さに依存し
てしまうが故に各々のバレルケーシングの有する長さごとに別品目として連続軸を製造す
る、という必要がなくなるという利点を有する。上述した実施形態に関して言及した可能
性および利点は、以下の本文で記載する好適な実施形態にも当てはまる。
【0024】
さらにバレルモータの好ましい一実施形態において、第1軸受は、第1装着部材とバレ
ルケーシングとの間に配置され、第1ころ軸受および/または第1流体シールを具備する

【0025】
さらにこのようなバレルモータは、好ましくは第2軸受が第2装着部材とバレルケーシ
ングとの間に配置され、第2ころ軸受および/または第2流体シールを具備する設計を有
する。
【0026】
このような実施形態のさらに好適な態様は、バレルモータ駆動ユニットの少なくとも一
部を収容する流体密スペースがバレルモータ内部の第1シールと第2軸受との間に形成さ
れるように、中央シールが第1流体シールと第2軸受との間に設けられたバレルモータで
ある。
【0027】
所々円筒形である管状区間によってシール形成トラフの縁が形成され、かつシール形成
トラフの外径がバレルケーシングの内径と実質的に一致するシール形成トラフを中央シー
ルが具備することは、このようなバレルモータでは好ましい。
【0028】
このようなバレルモータは好ましくは、バレルケーシングが少なくとも第1装着部材に
対して出力駆動部材を介して駆動して、バレルケーシングがバレル軸を中心として回転す
るように、電気モータが出力駆動部材を介してバレルケーシングに連結された設計を有し
、出力駆動部材がバレル軸に対して、バレルモータ駆動ユニットの、前記第1装着部材と
同じ側面に配置され、出力駆動部材の回転軸はロータの回転軸と同一でない、という構成
を有する。
【0029】
さらに好適な実施形態は、出力駆動部材の回転軸がバレル軸と同じでないバレルモータ
に関する。
【0030】
バレルモータのさらに好ましい実施形態において、出力駆動部材は、耐トルク性を有す
るようにバレルケーシングの内周に設けられた内部歯状システムと係合するピニオンであ
る。
【0031】
さらにこのようなバレルモータは好ましくは、第1ころ軸受の外半径および/または第
1流体シールの外半径が、バレル軸から出力駆動部材の回転軸まで延在する半径と本質的
に等しいか、それより大きくおよび/または共に回転するようにバレルケーシングの内周
に設けられた内部歯状システムの歯元円の半径と等しいか、それより大きい設計を有する

【0032】
このような実施形態のさらに好適な態様は、第1ころ軸受がバレルモータ駆動ユニット
の直径と本質的に等しい、またはそれより大きい外径を有するバレルモータに存しうる。
【0033】
このような1つの好ましいバレルモータにおいて、バレル軸と本質的に同心である軸部
材はバレルモータ駆動ユニットと装着部材との間に設けられ、耐トルク性を有するように
電気モータの固定子を装着部材によって装着部材のブラインドホール内に固定または連結
する。
このようなバレルモータは好ましくは、特に電気モータの電源用のケーブル開口、およ
び/またはプラグソケット、および/またはオイル充填口が装着部材に設けられた設計を
有する。
【0034】
さらに好適な実施形態は、中央軸受がバレルモータ駆動ユニットとバレルケーシングと
の間に、特にバレルモータ駆動ユニットとシール形成トラフの円筒管状区間の内部表面と
の間に配置された中央ころ軸受を具備する、バレルモータに関する。
【0035】
本発明のさらなる態様は、請求項1〜27のいずれか一項に記載のバレルモータを有す
るドリフトコンベヤに関する。
【0036】
本発明のさらなる態様は、軸部材と、固定子およびロータを有する電気モータと、駆動
部材を有し出力駆動部材を有するトランスミッションと、を具備するバレルモータ駆動ユ
ニットに関するものであり、軸部材は、耐トルク性を有するように電気モータの固定子に
対して配置され、かつバレルモータ駆動ユニットを貫通してバレルモータ駆動ユニットの
第1側面上に突出するように配置され、バレルモータ駆動ユニットを貫通して出力駆動部
材は軸部材の側面側において突出して、出力駆動部材の回転軸は軸部材に対してずれて配
置されている。
【0037】
本発明のさらなる態様は、バレルケーシングと、バレルモータ駆動ユニットと、バレル
モータをコンベヤフレームに装着するための第1装着部材および第2装着部材と、バレル
ケーシングを装着部材に装着するための軸受と、バレルモータ駆動ユニットと少なくとも
1つの装着部材との間で連結部材として使用される少なくとも1つの軸部材とを具備する
バレルモータに関するものであり、バレルケーシング以外のバレルモータの構成要素はす
べて、各種ケーシング長さを備えたバレルモータ内であっても同じように使用される。バ
レルモータの長さに依存する唯一の部品がバレルケーシングとなるように、前記構成要素
は設計されている。このようなバレルモータが具備する最小限かつ最重要の部品について
、本文中において述べた。このようなバレルモータがさらなる部品、特に本発明の他の態
様に関連して記載されたこのような部品を具備することも可能である。特に、これらの部
品は、本発明の本態様の意味では「前記構成要素」でもありうる。このようなバレルモー
タでは、各種の長さを有するバレルモータであっても構成要素の大半が同一であるために
、各種長さのバレルモータを容易に製造できるという利点を有する。唯一の単一部品、特
にバレルケーシングが、このようなバレルモータの長さに応じて製造されることが特に好
ましい。
【0038】
本発明の個々において特に好ましい実施形態は、以下の本文で一例として記載すること
にする。この場合、個々の記載された実施形態は、一部の例においては、本発明を実施す
るために絶対的に必須というわけではないが、一般に好ましいと見なされる機能を有する
。たとえば以下の本文に記載する実施形態のすべての機能を有するわけではない実施形態
も、本発明の教示内で開示されていると見なされる。各種の実施形態に関連して記載され
ている特徴を相互に選択的に組合せることについても同様に実現可能である。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、容易かつ安価に製造可能であり、動作中に容易かつ低コストで保守可
能な、バレルモータを有するドリフトコンベヤ、このようなバレルモータおよびこのよう
なバレルモータ用のバレルモータ駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるバレルモータの好ましい一実施形態による縦断面図、およびバレルモータの側面図を示す。
【図2】図1による縦断面図からの詳細部分の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、本発明によるバレルモータの好ましい一実施形態による縦断面図、およびバレ
ルモータの側面図を示す。
【0042】
図は、バレルケーシング10と、第1装着部材13と、第2装着部材14と、バレルモ
ータ駆動ユニット12とを有するバレルモータ1を示す。
【0043】
バレルケーシング10は、装着部材13、14を中心として回転できる。このことは第
1軸受135の区域においては第1ころ軸受136によって、第2軸受141の区域にお
いては第2ころ軸受142によって確実にされ、第1装着部材13および第2装着部材1
4上で軸受がバレルケーシングを支持する。第1軸受135は第1流体シール137をさ
らに具備し、第2軸受141は第2流体シール143をさらに具備する。これらの流体シ
ールは、水分が外部からバレルモータ1に浸入できないことを確実にする。他方では、流
体シール137は流体密スペース16に位置するオイルがバレルモータから外部に漏出で
きないことを確実にする。
【0044】
内部区域16におけるオイルレベルHOは、一方では第1ころ軸受および中央ころ軸受
の潤滑を確実にするために、他方ではバレルモータ駆動ユニットの十分な冷却を確実にす
るために設計されている。これは大きい直径を備えたころ軸受による設計がもたらすさら
なる利点であり、このことに基づけば、オイルにおける比較的低い充填高さ、すなわち低
いオイルレベルHOでも、ころ軸受を潤滑するのに十分である。
【0045】
好ましい本実施形態における2つの前記流体シール137、143に加えて、シール形
成部材は各流体シールの外側で軸方向に配置され、それぞれ第1および第2装着部材13
、14と共にラビリンスシールを形成する。この場合、シール形成部材は、流体密にされ
るバレルケーシング内に、好ましくはそれらを押し込むおよび/またはそれらを中へ接着
結合することによって好適に導入される。このことは、シール形成部材の内径の下端が内
部区域16のオイルレベルHOより上である場合は、流体シールの1つから漏れが生じて
いたとしても、内部区域16からオイルが漏出できないという利点を有する。この設計に
よって可能となる低いオイルレベルHOにもかかわらず、シール形成部材の比較的大きい
内径を生じさせ、その結果としてシール形成部材を通過してきた装着部材13の区域の直
径も大きくすることが可能であり、配線の実装などに十分なスペースを与える。
【0046】
図1に見られるように、装着部材13、14は比較的大きい直径を有する。このことは
、これらの装着部材、特に第1装着部材131が、オイル充填口134、好ましくはプラ
グソケット133を装備したケーブル開口132、およびネジ穴を与えることができ、ネ
ジ穴を介して装着部材が隣接する支持フレームに装着されうることを確実にする。
【0047】
本実施形態において、前記ネジ穴は特に、本発明によるバレルモータ1がドリフトコン
ベヤのフレームに容易に嵌め込まれるようにする。これらのようなネジ穴の代わりに、他
の装着装置も供給されうる。一例として、第2装着部材14の単一ネジ穴が示されている
。たとえば(第2)装着部材14用ドリフトコンベヤのフレーム上に単一ブラインドホー
ルまたはただ1つの台を供給し、そしてフレームの縦方向に固定具を供給することも実現
可能である。本文中では、軸受フレーム上の固定具が少なくとも第1装着部材13の側面
にて確保されている場合に、固定具が第1装着部材の回転を防止して、駆動トルクがフレ
ームに伝達されるようにすることが好ましい。
【0048】
図示した実施形態においては、第2装着部材14を介してトルクが伝達されないので、
これらの部材が第2装着部材の側面でこのように耐トルク性を有する連結を設けることが
絶対に必須というわけではない。このことは、第2装着部材に設けることができるが、記
載した実施形態の目的ではこれらの箇所には必要とされないオイル充填口134、ケーブ
ル開口132などにも対応する方式で当てはまる。
【0049】
位置合せ、平行性および角度の誤差が補正されうるように、少なくとも1つの装着部材
が設計されることが好ましい。このことは、たとえばゴム軸受および/またはフレーム上
の長穴によって行うことが可能であり、この手段によってバレルモータは最初にフレーム
内で位置合せされて、次に長穴内でネジを締め付けることによって固定されることが可能
である。
【0050】
図1に示すバレルモータ駆動ユニット12は、電気モータ122およびトランスミッシ
ョン126を具備している。電気モータ122は、図にはそれ以上詳細に示されていない
固定子およびロータを有する。トランスミッションは、示されていない駆動部材を介して
モータ出力駆動装置に連結されて、モータ回転速度をトランスミッション126の出力駆
動部材128で生成される出力駆動速度に変換する。
【0051】
出力駆動部材128は、この好ましい実施形態においてピニオンの形である。ピニオン
は、バレルケーシング10の内周に設けられた内部歯状システム102と係合する。内部
歯状システム102は、図示した実施形態においてリング部材上に設けられ、リング部材
は第1流体シール137のためのシール形成表面、および第1ころ軸受136のための軸
受表面も有する。リング部材はバレルケーシング10に押し込まれて、好ましくは射出成
形工程によって製造される。比較的高いトルクレベルが伝達されねばならないとき、リン
グ部材はダイキャストアルミニウム部品としても供給されうる。他の製造方法も同様に実
現可能である。リング部材は、使用された材料に応じて、バレルケーシング内に押入、接
着結合、および/または溶接されることが可能である。他の装着方法も同様に実現可能で
ある。クラウンサークル、すなわち半径方向に最も離れた内側に位置する内部歯状システ
ムの箇所によって定義される直径は、図示した実施形態において、バレルモータ駆動ユニ
ット12の最も太い箇所の直径DTと等しいか、それより大きい。したがってバレルモー
タ駆動ユニット12は、リング部材がすでに事前に設置されていたら、バレルケーシング
に押し込むことができる。
【0052】
第1装着部材13に対向するバレルモータ駆動ユニット12の側面では、バレルモータ
駆動ユニット12が中央軸受15を介してバレルケーシング10内に支持される。中央軸
受15は、シール形成トラフ151および中央ころ軸受154を具備している。シール形
成トラフ151は本質的に皿の形である。その縁は円筒状であり、バレルケーシング10
へ押し込まれる。図示した実施形態において、シール形成トラフ151がバレルケーシン
グ10に押し込まれる嵌め合いは、シール形成トラフ151およびバレルケーシング10
が流体、特に潤滑油に対してシール形成されるように選択される。
【0053】
中央ころ軸受154は、シール形成トラフ151の円筒管状区間152の内面で支持さ
れる。少なくともこの区域においてバレルケーシング10と同心であるように好適に設計
されるバレルモータ駆動ユニット12の裏面は、バレルケーシング10内で中央ころ軸受
154を介して、それが回転できるように支持される。
【0054】
本実施形態の可能性として、中央軸受およびシールがバレルモータ駆動ユニット12の
軸端ではなく、第1装着部材の方向にさらに離れて設けられるような方法で、バレルモー
タ駆動ユニット12の表面に軸受およびシール形成表面を設けることが実現可能である。
【0055】
バレルケーシング10とは別に、バレルモータ駆動ユニット12の寸法に応じて、各バ
レルモータ1で同じ部品が使用されうるので、これらの部品は特に好適に製造されうる。
さらに第1装着部材13、シール形成トラフ151およびバレルケーシング10の間に形
成された流体密スペース16は、これらのようなバレルモータにおいて常に同じサイズで
ある。結果として、同量のオイルが常に必要とされ、ピニオンおよび内部歯状システム、
および/またはトランスミッション126を潤滑するために導入される。図2(2a)の
オイル充填レベルは、参照記号HOによって示されている。
【0056】
図2(2a)および(2b)は、図1による縦断面図からの詳細部分の拡大図を示す。
【0057】
図2(2a)は、第1装着部材13の区域における、バレルモータ1の区域の拡大図を
示す。バレル軸101の周囲を回転するこれらの部品は、交差斜線によって示す。図は特
に、多くの場合の半径および直径を示す。参照記号RFは、バレル軸101と内部歯状シ
ステム102の歯元円との間の半径を示す。歯元円は、それぞれの場合で2つの歯の間の
歯基部における最も深い箇所を通過する、歯状システムの円である。
【0058】
バレル軸101から出力駆動部材の回転軸129まで延伸する半径は、参照記号RAで
示される。出力駆動部材128は示した実施形態の図面の平面の後側に位置することがで
きるので、本半径は図法で示すよりも大きいことがある。
【0059】
図2(2b)は、図1による中央軸受15の区域の拡大図である。これは、中央軸受の
区域で段差を形成する各種の直径によってバレルケーシングが形成されることをよく示し
ている。シール形成トラフ151はこのステップに押し付けられて、それにより第2装着
部材の方向における軸方向へ固定される。
【符号の説明】
【0060】
1 バレルモータ
10 バレルケーシング
101 バレル軸
102 内部歯状システム
12 バレルモータ駆動ユニット
121 同心軸部材
122 電気モータ
125 ロータの回転軸
126 トランスミッション
128 出力駆動部材
129 出力駆動部材の回転軸
13 第1装着部材
131 ブラインドホール
132 ケーブル開口
133 プラグソケット
134 オイル充填口
135 第1軸受
136 第1ころ軸受
137 第1流体シール
14 第2装着部材
141 第2軸受
142 第2ころ軸受
143 第2流体シール
15 中央軸受
151 シール形成トラフ
152 円筒管状区間
153 シール形成トラフの円筒管状区間の内面
154 中央ころ軸受
155 中央シール
16 流体密スペース
2 コンベヤフレーム
R1 第1ころ軸受の外半径
RA バレル軸から出力駆動部材の回転軸までの半径
RF 内部歯状システムの歯元円の半径
RT バレルモータ駆動ユニットの半径
DT バレルモータ駆動ユニットの直径
HO オイルレベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレルケーシングと、バレルモータ駆動ユニットと、バレルモータをコンベヤフレームに装着するための第1装着部材および第2装着部材を具備しており、
前記バレルケーシングが少なくとも前記第1装着部材に対して、バレル軸を中心として回転自在に支持され、
前記バレルモータ駆動ユニットが固定子およびロータを有する電気モータを具備して、前記バレルケーシング内に配置され、
前記電気モータの固定子が前記第1装着部材に、耐トルク性を有するように連結され、
前記バレル駆動ユニットおよび前記バレルケーシングが第1軸受および中央軸受を介して、相互に対して回転自在であり、相互に対して傾斜できないように支持されており、
前記中央軸受が前記第1軸受から前記バレル軸の方向に離れており、
前記第1軸受から前記バレル軸の方向を見ると、第2軸受が前記中央軸受の後側に設けられ、前記第2軸受を介して前記バレルケーシングが、前記バレルモータに隣接するコンベヤフレームに対して回転自在に支持されており、
前記バレル駆動ユニットが前記第2軸受から独立して前記バレルケーシングに対して支持されている、バレルモータ。
【請求項2】
前記第1軸受が前記第1装着部材と前記バレルケーシングとの間に配置され、第1ころ軸受および/または第1流体シールを具備する、請求項1に記載のバレルモータ。
【請求項3】
前記第2軸受が前記第2装着部材と前記バレルケーシングとの間に配置され、第2ころ軸受および/または第2流体シールを具備する、請求項1または2に記載のバレルモータ。
【請求項4】
前記バレルモータ駆動装置の少なくとも一部を収容する流体密スペースが前記バレルモータ内部の第1流体シールと前記第2軸受との間に形成されるように、前記第1流体シールと前記第2軸受との間に中央シールが設けられた、請求項1ないし3のいずれかに記載のバレルモータ。
【請求項5】
前記中央シールが、その縁が少なくとも一部円筒形である管状区間で形成されており、前記バレルケーシングの内径と一致するシール形成トラフを具備する、請求項4に記載のバレルモータ。
【請求項6】
前記バレルケーシングが少なくとも前記第1装着部材に対して前記出力駆動ユニットを介して駆動し、前記バレルケーシングが前記バレル軸を中心として回転するように、前記電気モータのロータが出力駆動ユニットを介して前記バレルケーシングに連結され、
出力駆動部材が前記バレル軸に対して、前記バレルモータ駆動ユニットの、前記第1装着部材と同じ側面に配置され、
前記出力駆動部材の回転軸が前記ロータの回転軸と同じでない、請求項1〜6のいずれかに記載のバレルモータ。
【請求項7】
前記出力駆動部材の回転軸が前記バレル軸と同じでない、請求項6に記載のバレルモータ。
【請求項8】
前記出力駆動部材が、耐トルク性を有するように前記バレルケーシングの内周に設けられた内部歯状システムと係合するピニオンである、請求項6または7に記載のバレルモータ。
【請求項9】
前記第1ころ軸受の外半径、および/または第1流体シールの外半径が、前記バレル軸から前記出力駆動部材の回転軸まで延在する半径と等しいか、それより大きく、および/または、耐トルク性を有するように前記バレルケーシングの内周に設けられた内部歯状システムの歯元円の半径と等しいか、それより大きい、請求項6ないし8のいずれかに記載のバレルモータ。
【請求項10】
前記第1ころ軸受が前記バレルモータ駆動ユニットの直径と等しい、またはそれより大きい外径を有する、請求項2ないし9のいずれかに記載のバレルモータ。
【請求項11】
前記バレル軸と同心である軸部材が前記バレルモータ駆動ユニットと前記第1装着部材との間に設けられ、前記電気モータの固定子を前記第1装着部材によって前記第1装着部材のブラインドホール内に、耐トルク性を有するように固定する、請求項1ないし10のいずれかに記載のバレルモータ。
【請求項12】
前記電気モータの電源用のケーブル開口、および/またはプラグソケットおよび/またはオイル充填口が前記第1装着部材に設けられている、請求項1ないし11のいずれかに記載のバレルモータ。
【請求項13】
前記中央軸受が、前記バレルモータ駆動ユニットと前記バレルケーシングとの間に配置された中央ころ軸受を具備する、請求項1ないし12いずれかに記載のバレルモータ。
【請求項14】
前記中央ころ軸受が、前記バレルモータ駆動ユニットとシール形成トラフの円筒管状区間の内部表面との間に配置された、請求項13に記載のバレルモータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−63857(P2013−63857A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−272023(P2012−272023)
【出願日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【分割の表示】特願2009−536655(P2009−536655)の分割
【原出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(506301427)インターロール・ホールディング・アーゲー (13)
【Fターム(参考)】